金融審議会金融分科会第二部会(第40回)及び「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第38回)合同会合議事要旨

1. 日時:

平成19年10月24日(水)14時00分~16時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • 銀行等による保険販売について
  • 保険に関する規制緩和関連
  • 平成16年信託業法改正後の施行状況について

4. 議事内容:

「銀行等による保険販売について」及び「保険に関する規制緩和関連」について

  • 銀行等の保険販売の全面解禁を予定通り本年12月22日に実施するにあたり、より一層の保険契約者等の保護を図るための所要の手当てについて、事務局から説明を行い、その後自由討議を行った。

  • 保険に関する規制緩和(資産別運用比率規制、保険契約移転時の移転単位の見直し)について、日本損害保険協会から意見陳述がなされ、その後自由討議を行った。

【自由討議における主な意見等】

  • 1. 銀行等による保険販売について

    • 全面解禁後も引き続き当局によりモニタリングが継続するとのことだが、利用者保護の視点から実効性のあるモニタリングをしてほしい。また、銀行の優越的地位の問題に関して、融資先企業の家族への保険募集や支店長自らによる保険募集については今回特段監督上の措置は講じられなかったが、今後も留意してほしい。

    • 金融庁の報告によれば現行の規制は有効に機能しているとのことだが、今回、さらに規制が入ってくることにやや違和感を覚える。それから書面による同意の問題だが、対面募集の場合と非対面募集の場合を分けて考えてほしい。非対面募集の場合は圧力がかかるということはまず考えられない。また、弊害防止措置の見直しについては、3年ではなく1年位が妥当ではないか。

    • あと2か月で、銀行等は販売体制の整備のスケジュールに関して、どのように進めていくのか。また、銀行と保険会社は、双方が協力して進めていくのか、別々に進めていくのか。

    • 規制があまり強化されていくと、利用者保護が逆に利便性を阻害することにもなるのではないか。今後のモニタリングの中では、単に規制を強化するための見方ではなく、緩和も含めた視点を持って見てほしい。また、優越的な地位の濫用というが、各金融機関は、オーバーバンキングといわれているように、預貸率のアップに苦労している状況である。本当に融資先に対して金融機関が優越的な立場にあるのかどうかも考慮してほしい。

    • 銀行界としては今後新しく販売をしていく保険商品についても品質の高い商品サービスの提供に努めていきたい。また、銀行等における責任ある販売体制の整備等については、今後手当てされる監督指針の改正等を踏まえ、適切な保険募集の確保という観点でしっかりと対応していきたい。保険契約締結後の業務の銀行と保険会社の役割分担についても、契約書に明記するという形、あるいは販売員をしっかりと確保して販売していくということで、しっかりと臨んでいきたい。

  • 2. 保険の規制緩和関連について

    (資産別運用比率規制について)

    • 各社の事業内容や負債構造が異なる中での現行のような画一的な規制は、リスク管理を自主的に高度化させようとするインセンティブとは矛盾するものであり、やはり見直すべきではないか。

    • 事業内容とか負債構造が異なる中では、画一的なものの規律というのはそぐわないものがあると考えられ、ALMに基づいて自主的な判断を行うことが望ましいと思う。他方、投資家の立場でいうと、当該規制を撤廃したことにより、極端に資産がある状態や、ある資産に集中化されている状態が生じることは望ましいことではなく、当局のモニタリングや情報開示について改善する必要がある。

    • 現行の運用規制は厳しいものであり、基本的には各社により適切に運用されていれば良いと思われるものの、当該規制を撤廃する場合には情報開示やモニタリングの充実など、別の担保とあわせて検討する必要がある。

    • ガチガチに何で運用しなければいけないというふうに定めるのは厳しいようであるが、開示が足らない点を充実させるとか、モニタリングを充実させるとか、そういうこととセットでぜひ考えて頂きたい。

    • すべての会社に対し一律の規制をかけるのではなく、会社の規模、リスクマネジメント能力で差を設けるなど、個社に配慮した規制の手法を取り入れても良いのではないか。

    • 保険会社の自由な経営判断というのはある程度認めていく時代ではないかと思われ、運用規制の方は、まだこれが残っていたことに驚いた。これこそが、保険会社の経営能力とか経営判断を育てなかったのではないかと危惧している。

    (保険契約移転時の移転単位について)

    • 規制改革要望としては、各社の専門性や業務の効率化などの要請に応えうる手段であり、ぜひ検討すべきだと思うが、一方で、契約者間の公平を担保するために、個別に責任準備金の算出を行えるかどうかについて専門的見地から検討していただき、報告してもらいたい。

    • 事業再編や破綻処理を円滑に進める観点から方向性は賛同。ただし、移転単位の細分化により、会社の信用力自体が変わり、契約者間の公平性が保たれないおそれがある点に留意する必要がある。

    • 保険業法135条3項に関して、監督官庁は、残される保険会社に残っている財産が十分なものかどうかというのをきちっと審査しなければならないと思う。契約の移転単位を細分化することにより、包括移転を容易に行うことができるようになるが、その場合、責任準備金の算出の適切性よりも、移転元会社にその債務を弁済しうるだけの十分な財産が残っているかどうかの監督官庁の審査がさらに重要となると思われる。

    • 契約の移転単位の切り分けの仕方によっては、各単位間にリスクの濃縮度に差が生じることとなるため、「いいとこ取り」を防ぐための措置が必要である。

    • 現行の制度には、移転元に残された保険契約者の意思表示をする手段としての異議申立ての機会がないことに留意する必要がある。

    • 「規制改革推進のための3か年計画」の中で、責任準備金の公平な分割に留意しつつ、結論を得るとされているところであるが、現在IAIS(保険監督者国際機構)で行われている責任準備金の評価に関する議論の動向が、責任準備金の算定基準にも影響を与えうるものであり、その議論の動向に配慮しながら検討すべき。

    • 現行の制度においても異議申立制度が機能的に働いているかどうかについて疑問である。移転した側と受け入れた側が、それぞれの契約について、どういう責任を負うべきかというあたりに遡って検討してはどうか。

    • マイナス面を指摘される方も多いが、選択と集中が可能となるわけであり賛成。日本で免許をとった場合、その時点でマーケットで売られた商品すべての認可をとっているという会社がほとんどだが、量が少ないので利益がでるはずがない。経費も今の料率構成では賄えないところが結構多い。今後の会社の効率的な経営を考えると、非常にいい提案だと思う。

    • 自分たちはここと契約していたのに、知らないうちに分割、移転させられていたというような、企業にとっては自由に組み直せるということで良いが、契約者の側から見ると、果たしてどうなのかというところが根本的なところで残ると思う。

    • 通常の事業譲渡や会社分割の場合と異なり、保険会社の包括移転及び会社分割について、異議を申し立てた債権者の5分の1を超える場合でなければ異議として認められないこととしているのは、破綻時を念頭に置き、契約者全体の保護を考慮して特例的な扱いをしているものであり、これを直ちに平時にも適用することについては、慎重な検討を行う必要があるのではないか。

    • 破綻時を念頭に置いた包括移転を平時にも行うことで、保険会社にとっては事業再編が容易となる一方で、契約者にとっては知らないうちに会社分割や包括移転が行われることとなるため、根本的なところで疑念が残るので、それを解決する手立てを考える必要がある。

    • 平時における包括移転の制度は、海外の事例としても少ないと思われ、この検討にあたっては、海外事例を当然ながら参考にしながら決めていただきたい。

平成16年信託業法改正後の施行状況について

  • 平成16年改正後の信託業法の施行状況について事務局より説明を行い、次に、平成16年信託業法改正の信託業界のビジネスにおける影響と評価についてみずほ信託銀行より発表があり、その後自由討議を行った。

【自由討議における主な意見】

  • 金融商品取引法や信託法が施行されて間もない時期でもあり、今の時点で信託業法を見直すのは効率的ではないのではないか。

  • 新たに参入した信託会社において、信託業務がビジネスとして成り立っているかについて検証する必要はないか。

  • 信託業法を改正したときは、旧商法・旧証券取引法の下で行われたが、会社法・金融商品取引法が施行され、信託業を行う上で新しい問題はないか。

  • 金融商品取引法において信託受益権も金融商品の中に位置づけられた。金融商品取引法は広く投資家を保護する枠組みであり、信託業法は信託商品の投資家保護だけでなく受託者の責任をいかに果たすかについてのルール。多少重なるところもあるが、ビジネス上の負担があるとは考えていない。

  • アメリカにおける民事信託の活用場面の一つとして、遺言代替として信託が利用されるケースがあり、これは現代においても広く利用されている。また、成年後見制度が裁判所の関与する厳格な手続が必要で、うまくいっていないため、あらかじめ受託者を複数選任しておき、委託者の能力が低下したと受託者が判断すれば信託を開始するという自主的な後見制度として利用されることもある。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3582)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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