保険の基本問題に関するワーキング・グループ(第42回)議事要旨

1. 日時:

平成19年12月18日(火)13時00分~15時05分

2. 場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

保険法改正への対応について

4. 議事内容:

  • 法務省法制審議会で審議されている保険法改正への対応に関して、前回に引き続き、保険会社に対する監督・規制という観点から考えられる論点について議論を行った。事務局より、(1)解約返戻金の仕組みと審査について、(2)保険WGにおける審議のための「たたき台」について資料に基づき説明を行った後、自由討議を行った。

【自由討議における主な質疑等】

【生命保険契約における現物給付について】

  • 資料2の5ページに、現物給付のところで法制審に申し入れをするというようなことが記載されている。このような要請を行った結果として、仮に保険法に生命保険にかかわる現物給付形態のような生命保険が規定されなかったとしても、少なくとも生命保険類似の無名契約になるのだろう。これに加えて、保険業法に規定しないということになると、今もそうだが、原則として、この事業は多分だれでもできるという状況が、今後も続くということになるのではないかと考えている。

    そうすると、一部の共済が実際に運営しているという実態がある中で、これを今後も放置していくということになってしまい、消費者保護上大きな問題ではないか。したがって、保険業法の適用の範囲に入れて、そのかわり、消費者保護の観点から厳格な規定を入れるという方向で考えるべきではないか。

  • 今の意見も一つの意見だが、他方、前々回に、この問題の議論をしたときは、資料2の3ページから4ページにあったように、ネガティブな意見が多かった。ネガティブであるということの意味をどう考えるかだが、そもそもこういうものが世の中にあってはいけないというニュアンスの意見もあったのだろうと思うし、何らかの一定のルール、あるいは条件を設ければ、認める余地があってもいいという考えに聞こえたものもあり、その間にさまざまなニュアンスの意見があったかと思う。事務局の方で整理してみると、資料2の4ページから5ページにかけて記載している5つぐらいの意見に整理できるのではないかということだが、もう一度改めて委員のスタンス、自分の意見がどういうものであったのかを聞かせてほしい。

  • 現物給付自体は2つ、つまり給付の基準として考える次元と、給付の形態の多様化という意味で考える次元と2つあると考えている。給付の基準として考えると、損害保険の場合は実損てん補という形で、実際に受けた損害というのが給付の基準になっているが、生命保険の場合は約定された保険金額が基準であり、それに新たに加えて現物も給付の基準とすると、かなり難しいことがたくさんある。だから、基本的には消費者への多様なニーズをとらえて、給付を多様に提供するという現物給付のスタンスはとても重要なのだが、約定された現物給付、こういう言葉があるかどうかわからないが、結構、保険技術的に難しいのではないかと思う。もし、この選択肢でいって、どうしても現物給付というものを生かすとすれば、例えば、資料2の6ページでいくと、保険金額相当性というのがあるが、これであれば、約定された保険金額が基準となって、それの一部、あるいはそれの全部を用いて現物給付という解釈ができると思うので、仮に現物給付を何らかの形で入れるとしたら、こういう解決方法があるのではないか。

  • 現物給付というのは、先が見えないというか、そのときどきで変動するので、満期時において、金銭か現物か選べるものをお願いしたい。また、保険金相当額の現物給付を受けられることが大事ではないかと思う。一つ懸念しているのは、やはり、「新商品が出ました、バラ色ですよ、老後も安心です」ということで有利誤認されるのではないかということである。現物給付については、先が読めないものに対しての不安がある。

  • 現物給付について、資料を見ても、今現物給付を認めるメリットがどこにあるのかがよくわからない。しかし、保険会社について、それをやってはいけないというところまで言えるかというと、別にそこまで言う必要はないだろう。では、それについて規制をかけるかということがここでの議論だと思うが、金融庁には悪いが、一遍自由にやらせて、それで事故が起きたらそこで出てくるという考え方も、デリバティブの世界がそうであったように、あるのではないか。もちろん、消費者保護上の消費者契約法、金融商品販売法その他の規制はかかるということは前提にして、保険業法で規制をかける必要はなく、細かいところまで余地を残しつつ無規制契約でやっても構わないのではないか。それで商品の淘汰も進むのではないか。

    また、保険の意義について、保険業法上は規定を設けないことは正しい判断だと思うが、法制審の方では、大数の原則や収支相当原則などを入れて、保険の定義ができると考えているのか。法制審の方はどうなっているのか教えてほしい。

  • 法制審議会の方では、定義ができるのではないかということで提案したところ、資料の2ページに書いてあることと同じような指摘があり、できるかもしれないけれども適当でもないということになった。

  • そうだとすれば、保険会社という免許を持っている者がこういう商品を売れば保険であって、保険法としての規制を受け、保険業法の規制を受けるという、それが保険ということか。できる限り保険業法や保険法で明確な定義がきれいに引ければいいのだが引けないことから、法制審としては、保険とは何かと言われたときに答えがなく、解釈にゆだねる。しかし、解釈には多様な解釈がありうるということになってしまう。法制審としては、そこはどのように収拾される予定なのか。

  • そのような疑問があるからこそ、本来は定義が置けるものなら置くべきというのが基本的な発想の出発点である。法制審議会の方では置く方向での提案もしたが、それについて懸念があるので難しいということになった。では、適用対象になる保険は何かということになるわけだが、それは資料2の2ページにある恐らく実質保険というのが適用対象であろう。

    その実質保険とは何かというと、さまざまな解釈で幅が出てきてしまう。本来は典型的なものを置いた上で、残りは解釈でという方が望ましいようにも思うが、そもそも置く事自体について否定的な議論が出てきたために、解釈ということになってしまっている。このため、保険という言葉にゆだねて、ここで言うところの実質保険、それはすなわち保険法でいくと、危険の増加や減少だとか、危険に見合って保険料をとり、リスク計算をして、保険料を決め、それを徴収するというのが本質的な要素として、契約の規律の方から、裏から書いている。言ってみれば、定義としては書いていないが、書かれざる要件というような形で、それが解釈の指針になるという説明をしていくほかないのではないかと、現時点では考えている。

  • 今聞いたようなことは、実はクレジット・デリバティブでカタストロフィー・デリバティブがまさにそれをやっているので困ったことになる。マーケットが広がってきているので、そこのところの配慮を法制審の方でお願いしたい。

  • 保険会社という免許を持っている者がこういう商品を売れば保険であって、保険法としての規制を受け、保険業法の規制を受けるという、それが保険だという考え方は、保険法の方には全然なく、実質保険であれば保険であるということである。保険会社以外のものが、実質保険に当たるものをやっていれば、やはり保険の免許営業になるのだろうと思うが、CAT(カタストロフィー)ボンド的なものは、今のところ違うのではないかと一般的には考えられているのではないか。

  • 一般的にはCAT(カタストロフィー)ボンド的なものは保険ではないと考えられていて、かつ、それを保険会社がデリバティブの形で売っている。誰が売っているのかに着目して規制をかけた方がいいのではないか。

  • 保険法では、そこまで中に踏み切っていない。逆に実質保険というのは、とにかく保険法の解釈で決まっているが、保険業法による規制がかかる分野というのは意外と狭い。だから、今問題としている定額現物給付というものも、とにかく私法上有効に存在し得る無名契約ということでいっているが、有効に締結し得るのであれば、それは保険業法による規制の枠組みに入らないと誰でもできることになり、現状はそういう状態だということ。法務省の基本的なスタンスというのは、そういう規制を受けないものが世の中にあってはまずいのではないかということで、一応保険法の対象には、まず取り込んでいこうというスタンスであろう。

    ただ、そういうものがもともと有効に存在し得たという前提をとれば、それは今まで無規制であったことがよくないので、これを保険法、契約法の規制の中へ取り込んで、保険業法の方もそれにあわせて監督ができるように調整すればよいのではないかというスタンスなのだが、自分としてそれで良いと言いにくいのは、そういう無名契約というのは本当にあるのか、有効に締結し得るのかという話があり、そこが確信を持ってイエスと言えないのは、定額の現物給付なる概念があるということを、どこの国でも普通は言っていないのではないかと思うからである。その辺りにスタンスの違いがあり、法制審の意見も集約できていないということである。それが一つの問題である。

    仮に契約法、保険法の方で現物給付を認めるべきであるとして、そうすると、保険業法の方でもそれを監督できるようにすることを考えてはどうかということになるが、そのときに金融庁側、保険監督法の側としてどのあたりが一番障害になるのか説明してほしい。

  • 一つは、まず保険契約法上の保険というものの中に、この現物給付を取り込むということになると、保険として取引されるものが相当広がってくるわけだが、現物給付のタイプにどのようなものがあるのか、現実にあるのかという指摘もあったところ、では、保険会社において一般的に販売される保険商品として、そういうものを広く認める形にすることができるのか、現物給付を認めるときに、実際に、消費者保護上問題がないような監督規律が置けるのか、あるいは規律したとしても、それを実際にエンフォースできるのか、といった問題が恐らくある。そうすると、現行、無名契約でそこに何らの規制が及ばないことについて、契約者に必要なルールを広げるという考え方もあると思うが、広げ切れなかった場合、この間に無規制契約というものが生じてしまう。

    法制審議会では、無規制契約が生じると、保険契約法上の典型契約としていわばお墨つきが与えられた契約だということで、保険業法で認められていない現物給付であるものの、類型になってきて、保険会社ではないところが典型契約の保険商品だとして販売する問題が出てくるのでどうなのかという議論があった。

    このため、広げるにしても狭めるにしてもいろいろ難しい問題があり、法制審でも介護絡みで例えばという話は議論のときにあったが、現物給付の実際の商品の例がなかなか想定されていない中で、実際どういう規制を置くのが合目的かつ適正な水準なものなのか、実際にそれは履行でき得るものなのか、相当いろいろな問題を検討していく必要があり、なかなか簡単に答えが出ない問題だと思っている。

  • 現物給付の場合と金銭の場合だと、現金給付は必ずそこで金額が確定するからすぐにわかるが、現物給付の場合、例えば介護だと、毎日介護サービスをするという現物サービスだった場合に、その質を、だれがチェックできるのか。毎日介護サービスの人が来るわけだが、いいかげんなところと、非常によくやるところとがあるだろう。それならば、金銭で渡して、その次にどういう介護サービスの会社のサービスがいいかということを、そこでもう一度競争させれば、結局は金銭を現物給付に変えていることと同じであるから、金銭で給付した方がクリアであって、いいサービスをする業者を自分が選べるということになる。あるいは保険会社がそういう方を紹介するという2段階でも全く同じことをやっていることになるだろう。そうであれば、インフレの状況なども全部、クリアできるのではないか。

  • 金銭で給付して、給付後に市場でサービスを選んでもらうというのが一つ合理的な考え方だと思う。法務省はなぜそういう考え方をとらずに、契約類型として現物そのものを規定しようとするのか説明してほしい。

  • 現物について、金銭価値が見えにくいということは理解するが、それは現物だからある問題ではない。例えば保険料として払っているものと、保険金額として約定したものが見合っているかどうかもよくわからないわけである。それについては商品審査でチェックしているという建前になっており、現物だから金銭価値が見えないわけではなく、払っている保険料と貰う保険金、約定した保険金額が見合っているかについても素人には分からないわけであって、結局、それは現物であるが故に登場してくる問題ではない。

    今回、保険法で考えているのは、契約者保護に力点を置いた改正をしようということである。そのために、現在は任意規定ということで別の約定を置けば、そちらが優先してしまうという法律の性質、規定の性質になっているところを、俗に片面的強行規定と呼ばれている性質づけを与えて、契約者保護に資する規定については、それに反する約定をしたとしても、契約者に不利な部分は無効とするということによって、契約者保護を図ろうと考えているわけである。現物給付を保険給付として定める契約は無名契約だとすると、契約者保護などの今回改正した保険法の規定が適用対象外となってしまい、なぜ契約者保護と言いながら、保護されない契約をたくさんつくるのかという指摘を受けたときに答えられない。それは広く取り込んで、契約法の対象にすべきだというのが基本的な発想である。

    保険法で現物給付を認めてしまえば、規制の及ばない対象が広がるという指摘があったが、保険法で典型契約として規定し、かつそれを保険業法が受けとめて書けば、規制されない部分が広がるのではなく、そういう契約を締結することも免許を取らないとできないということになり、それはむしろ適切な規制が今後及ぶことになるのではないか。少なくとも契約法の分野では、片面的強行規定で契約者の保護を図ろうとしている。それを一層厚くしようという改正の趣旨に照らして、できるだけ広く網をかけるのがあるべき改正の姿ではないかと思っている。

  • 現物給付はかなり問題が多いのではないか。今、老人ホームや介護サービスというのは、かなりトラブルの多い業界であり、あえて、火中の栗を拾うと言うか、トラブルの中に手を突っ込むのには何らかの理由があるのではないか。保険会社は、満期になったときに、保険金を払う。もし、当該会社が関与している老人ホームや介護サービス事業があるならば、そういうものを紹介するということで顧客の需要を満たすということもあり得ると思うため、わざわざ現物給付を導入する必要はないのではないかと思うが、そもそも、この問題は、なぜこだわっているのか理解できない部分がある。

  • 今回、現物給付を想定した規定ぶりにせず、現行商法どおり一定の金額だけを保険給付として規定した場合に、老人ホームなり介護サービスを選択型にし、保険給付としては金銭給付をし、あとはサービスとしての提供でやれば十分であるというのはその通りかもしれない。だが、それは手間がかかるから介護サービスを直接給付するということを始める業者があらわれたら、その業者は免許をとらなくても自由にでき、契約法のルールも及ばないということになってよいのか。それも適用対象になり、免許をとらなければいけないのではないか。

    選択性の商品に限るべき、あるいは、保険金額相当性というのを加えるべきというのは、免許の対象にするからこそ、そういう規制ができるのであり、そこに取り込んでおかないことには免許外の者であるから手出しできず、自由にできるというのは問題なのではないか。

  • よく探していけば一部の団体が定額の現物給付サービスのようなものを販売しているかもしれないが、実態上、普通はないだろうと思っていたので、仮に法務省の案どおりにいくと、今までなかったものを新たに認めることになる。保険法上はかなり白紙の状態でそれを認めることになるので、監督法上規制をかければよいのではないかということだが、商品内容もまだ全然わからないところで、どういう規制をかけるかについては、それはわからないとしか言いようがないわけであり、そういうものをこの際、新たにつくり出すというのは、実質的な政策決定なのではないか。広く網をかける必要があるというのも、確かに一つの発想であるとは思うが。

  • 法務省がなぜ突然にそんなに親切になるのか、よくわからないというのが印象である。ファイナンスの観点から見ると、現物給付ということ自体に、現在価値で割り引いて最初の保険の契約を決めなければいけない。あるいは未来のある時点で、マーク・ツー・マーケットにするというのを現物にするというのは非常に難しいことだと思う。今、網をかけなければいけないような者がたくさん出ているのか。その親切心のもとは何なのか。

  • 親切心ということではなく、自由にやらせて、まずかったら規制すればいいというのも一つの発想だが、保険法で考えているのは、契約ルールであるから、例えば、誰がやっても売買のルールというのは基本的に民法に書いてあって及ぶということであり、わざわざ外すことはない。今回も保険といったときになぜわざわざ外すのかということの説明ができないのではないかと考えている。

    限定して書けば書くほど、そうではないものは自由になり、何でもありの世界になってしまう。実際に出ていないから残しておいて、出てきてから考えるというのも一つのやり方だとは思うが、今回改めて契約者保護ということで、契約ルールを整備した以上、広く適用されるように、規定を整備するのがむしろあるべき姿なのではないかと考えているところである。

  • 保険法が規定したとして、保険業法はどうするかという話をしているのだが、ほかの制度共済はこういう議論をやっているのか。

  • 保険法が規定したときに、どういう網をかけるか議論しているとは聞いていないので、議論していないのではないか。今その部分は、契約ルールもなければ、規制もかかっていないわけであるから、せめて契約ルールは、しっかりかぶせようと考えているわけで、例えばそれを共済の団体が議論していないから、契約ルールを及ぼすのがおかしいという発想にはならないのではないか。契約ルールとしても及んでいない、規制も何も及んでいない、引き続きほったらかしにしようかいうことについては、せめて契約ルールは、特に契約者保護の観点から整備するのだから、先に網をかけるのがよいのではないか。もちろん規制はついてきてもらったほうがいいだろうし、ついてくるべきだと思うが、それが議論されていないから契約ルールでも及ぼさないでおこうというのは、議論が逆なのではないか。

  • 自分としては保険法に定めるなとまでは言えないので、保険業法適用以外のもので、きちんとルールができることで、そういうものが淘汰されるなり何なりの効果が働くならば、それはそれでよいと思う。ただ、保険業法の中では現物給付は認めるべきではないという意見である。

  • どこまで法律で全部カバーするか、現物になると、モニタリングは非常に大変なのではないか。いろいろなものが出てきたときに、本当に法律に従ってやられているかどうかということをチェックできる体制にあるかをまず考える必要がある。それは保険業法ではなく、ほかの法律で、別に作ってもいいのではないか。

    例えば、これから現物のいろいろな介護サービスの会社が出てくるだろう。そこがきちんとしたサービスを提供しているかどうかということを、保険業法の中でやるべきか、もう一つ別の法律でやるかという2つの考えがあると思う。取り締まることは必要だと思うが、それは保険業法の中では非常に困難なのではないか。現実に、金融庁が監督できるのか。

  • 保険業法において現物給付に対する適切な、あるいは適正な規制というものが果たして可能なのかどうかということを、思い悩んでいるというのが現状である。

  • 保険業法で禁止するのは良いとして、そうすると、自由にできることになるという問題が出てくる。そこはどこかの官庁が、介護サービス業法のようなものをつくってくれるかというと、直ちには期待できないということではないかと思う。

  • 保険業法において規制が及ぶのは、保険会社と、平成17年の改正以降は、少額短期保険業者ということである。いわゆる無認可共済の中のかなりのものは少額短期保険業者への移行が求められ、あるいはそれができない場合は保険会社に商品を移されたり、団体保険に商品内容を変えるとかいう形で、今、移行期間中である。そういう、いわば今まで実態がよくわからなかったところは届出をして、特定保険業者となり、いずれその中で、保険会社になるところと、少額短期保険業者になるところとがあり、保険業法による規制の中に入ってくるということになる。

    保険業法による規制が及ばないのは、農協、生協などの制度共済と、適用除外として認められている、典型的には企業の中での共済事業や、労働組合が組合員に対して行う共済事業、あるいは1,000人以下の小規模なものといったものである。もちろんその保険関連の事業以外に、今あったような介護サービス業会社とか、いろいろなサービス、あるいは物について現物の取引を行っている、提供を行っている会社というのはもともと幅広く介護以外にあって、それはそれで保険という中に入っていない世界で必要に応じて介護についても、医療関連についても、所管省庁がある場合には、そこで何らかの監督が行われているのだと思う。

  • 美しい保険契約法をつくりたいという気持ちもわかるが、逆に保険ということの定義が最初からぐらついている状況で、そういうことをやると、新しいビジネスの芽をつんでしまうのではないか。多分、保険業法は今回は何もしないということになると思うが、すべてをきれいに分類し終わって、これはこれに入りますという形での法律のつくり方というのもあるのだろうが、ある程度、遊びの部分を残しておくというような立法態度もあっていいのではないか。

    法務省を批判するわけではないが、会社法も完璧なものを作ったと思ったら、実は解釈論でいろいろ埋めていかなければいけないことがたくさん出てきた。そこから考えると、あまりきれいに切り分けるということをやると、かえってマーケットを阻害するということがあるのかもしれない。逆に言えば、片面的強行規定により、契約者保護を図るといっているが、片面的強行規定が常にいいのかどうなのかも、場合によりけりだろうと思うので、よくわからない。よくわからないことについて、なぜここで決断しなければいけないのか。それは、危ないのではないか。

    また、保険業法は適用しないでほしい、一回きりの取り決めでも引っかかるのかという議論が起こってくることも考えられるので、今は保険業法でこの現物給付の話はやめておいた方がいいのではないか。

【保険料積立金等の支払について】

  • 販売チャネルによって新契約費というのはかなり違うと思う。ここでは営業職員給与や、代理店手数料などと書いてあるが、対面募集ではなくて、非対面募集の場合の新契約費というのは、どのようなものを含むことになっているのか教えてほしい。端的に言えば、広告などはどのような扱いになっているのかわからないので教えてほしい。

  • 例えばインターネットチャネルであれば、その広告なり、それを受ける事務処理の費用なり、まさに契約を締結するときにかかった費用全般を新契約費の中で処理していると理解している。

  • 保険業法を改正していろいろなビジネス展開ができるようになった中で、自動車保険を初めとして直接募集のものがたくさん出たが、契約者が払う保険料が安くなったかというと、決して安くなってはいないのではないかという感覚を持っている。

    つまり、非対面募集でやれば保険料は下がるだろうと考えたのだが、保険の種類にもよるけれども、それほど下がらなかった。広告、テレビコマーシャルなど、そういうものが非常に当初かかっていたという経緯があると思うが、そういうものを金融庁が認可するときに、高額なテレビコマーシャル料というのは適正だと判断したのか。

  • 18年4月以降については、予定事業費、新契約費にかかる部分については事後的なモニタリングとしている。それ以前の時期での質問ということであれば、各商品単位でどのような保険料の計算基礎を用いるかということになるが、例えばそのチャネルに特化した商品である場合には、それを念頭に置いたコストの積み上げというものが適正かどうかというところを、他社との比較や社内の商品間等の水準を見ていた。

    18年4月以降、なぜそうした予定事業費なり新契約費のモニタリングを事後的にする必要が出てきたかということは、資料1により説明したとおりであるが、販売経路がさまざま多様化した中で、弾力的な予定事業費の設定が必要となり、かつ、それを事後的にきちんとチャネルごとに見ていくという行政に転換したという状況である。

    まだ始めてから時間がさほど経っていない状況の中で、さまざまなデータをどのように分析するのかということをいろいろ工夫しながらモニタリングを進めている。そういう意味ではチャネルごとの予定事業費に対して、実額がどの程度配分されているのかということをチャネルごと、また商品ごと、なるべくきめ細やかに見ていく手法の開発を進めながらモニタリングしているというのが実態である。

  • 責任準備金というのは、個々に帰属しないものだと認識しているが、一応計算上は契約者価額だという考え方で、この積立金などを出していくときに考えていくというのが今回のたたき台なのか。また、保険料に関して、適正に計算されているとの前提なのだが、今、更新型の契約というのが非常に多いが、更新型の契約の保険料単価は、新契約の保険料単価ときちんと区別して、きちんとモニタリングができているのか。更新時の保険料の設定が適正かどうかということの審査をやっているのか。

  • 1点目の質問である責任準備金だが、業法上で言っている責任準備金は、財務規制上の問題であり、標準責任準備金として詳細な積立ルールを定めており、予定利率にしても死亡率にしても明確なルールを決めて、かなりリジットなものをつくっている。他方で、法制審で言うところの保険料積立金、業法で言うところの契約者価額、そこは約款上では責任準備金という言い方をするものなので、若干混乱するところがあるが、そこの部分については、むしろ保険料の計算基礎との明確な関連のもとで計算されているというのが実態である。

    自動更新については、一般的な自動更新であればそのまま契約が更新・継続していくという商品の設計なので、イニシャルコストが計算上に入り、それが継続されていったときにフェードアウトしていくという商品設計には、一般的にはなっていないと認識している。

  • 監督・規制の観点からという非常に難しい問題を求められているが、そもそも金融庁が監督・規制の観点からどこまでできるのかを教えてもらわないと、我々が第三者的に判断するのは難しい。

  • 昔は、保険審議会で解約控除をいかに引き下げるかという議論を盛んにしていた。しかし、ある時期からぱたりとなくなってしまった。今回はいろいろ実態がどうなっているかについて、ある程度説明が聞けてよかったかと思うが、いずれにしても、これは今後どう考えるべきか、そう簡単に結論が出るというようなものではないことは確かなのではないか。この問題については、どこかで、いずれにしても専門的、実務的見地からの検討も必要ではないかと思うが、そのあたりの検討について、ある程度具体的な予定、見込みはあるのか。

  • 第二部会の規制緩和の議論でもご指摘があった。また、この保険WGでも、保険募集、保険金支払など、保険法の改正に関連しないものであっても、かなりいろいろな論点があるのではないかとの指摘があった。保険料積立金、返戻金などの問題も、技術的な観点からの検討も含めてやっていくべきではないかということで、今回の8つの項目以外にも、保険業法、あるいは保険制度に関する問題が、今回の議論や第二部会での規制緩和の議論でも提起されているので、来年、いろいろな論点を議論する場を作って行きたい。

  • 更新型の保険で、その更新期でそのまま自動更新していく場合と、そこにほかにいろいろチェンジしていくタイプが多いので、それが新契約費なのか、いわゆる特約でつけていくときにどういう扱いになるのか、そういうことが消費者にあまり知らされていないので、それも含めてということでよろしくお願いしたい。

【未成年者の死亡保険について】

  • 未成年の問題については、前回の保険WGの後、再度法制審で取り上げて審議した。その際、法務省としては、さまざまな商品があり、商品性などを抜きに、一律の金額を設定することは、契約法においては難しく、不適当ではないかという提案をしたところ、それについては特段のご意見がなかった。そういう意味では、法制審のおおむねのコンセンサスと言うか、方向性としては、契約法において商品性などを抜きに、一律の金額制限を付すことはしないという方向にほぼまとまりつつあるのではないかと認識している。

  • 資料2の20ページの3.ア)において、どうして学資保険とか、そういうニーズの話が出てくるのか。すごくごちゃごちゃになっている。未成年者の死亡保険を議論しているのであって、学資保険などは、別にここで議論になっていない。

  • 用語の整理が不十分なところがあるが、未成年者を被保険者とする死亡保険という議論をしている一方で、学資保険、あるいは養老保険で子供を被保険者とするタイプのものとか、狭い意味でのいわゆる定期保険での死亡保険以外に、子供を対象とする保険全般についても議論が及んでいたので、その狭い意味での保険以外にもいろいろあるというのと両方並べて、用語の定義をきちんとせずに書いている。

    また、学資保険や貯蓄性商品も、死亡を事由とした保険給付をセットに組み合わされたものが現に売られていることから、そういったものについては、そういう点に着目するのか、それとも主たる目的である学資保険や貯蓄性商品ということに着目して議論を整理するのかといった問題もあるため、このように書いている。

  • そうであれば、それをきちんと書いてほしい。また、学資保険などと組み合わされた死亡保険というのを全般的に禁止するべきだというのが、ワーキング全体の意見だったと思う。ごちゃごちゃにしたい方たちがたくさんいる中で、金融庁のペーパーでごちゃごちゃにしてほしくない。

  • 未成年者の死亡保険は、貯蓄性は貯蓄性、死亡保険は死亡保険と分けて考えていくべきであるし、死亡を目的とした未成年者の保険は要らないと思う。

  • 業界の取組について、現時点で、具体的なものはいえないが、さまざまなご意見を踏まえ、生命保険協会として、自主ガイドラインの策定、あるいは契約内容登録制度の強化、これを含めた検討を行って行きたいと考えている。また、同時に、個社においても、引受上限金額の引き下げについて検討していく。

  • 損保協会としては、商品としては一部だが、傷害保険の死亡リスク部分は、未成年者が加わるというケースもあるので、商品の構造であるとか、事務処理等について生保と同じではない部分もあるため、そこは実務的にアレンジをしていくが、基本的には同様に、不適正なものがまじってこないようにという指摘に沿った措置をしていこうと考えている。

  • 基本的に未成年者の死亡保障の問題については、哲学として要らないという面と、問題があるのでよろしくないという面と、2つの観点があると思う。いろいろな考え方があると思うが、問題があるかないかという立場から考えてみると、例えば死亡保障を制限するということについて、保険金の分布等をやはりしっかりきちっと見て、どの辺りで切ったら、保険金の不正請求の効果をもっとも合理的に切れるかといった観点から、一律にやるのではなく、ちゃんとした実証を踏まえて検討してほしい。

    また、現行規制で、規制の仕方の一つとして、保険業法施行規則第53条の7に、「犯罪を防止するための措置」ということがあるが、もしこれを機動的に使うとしたら、実際に未成年者の保険金不正犯罪がどのぐらいあったのか、あるいはほかの保険金犯罪の実績、実績というのはおかしい言い方だが、実際と比較して、それが有意に大きいのかとか、そういった検証をした上で、実際の規制を検討してほしい。

【傷害・疾病保険契約に関する規定の創設について】

  • 死亡給付がある傷害・疾病保険について、生命保険については保険法においてかなり厳しい同意のルールを設けるので、それと死亡給付がついているという点は全く同じだから、厳しい同意の要件を適用すべきではないかという意見がある。しかし、これはなかなか実際上は難しいとの意見もある。ただ、全く何の制約もないということでいいのか、そのあたりの問題であると思う。未成年者の保険とかなり似たような、保険法ではなかなか適切な範囲の規制が難しいといったあたりから出てくる問題ではないか。

  • 当然ながら、保険業者としてもモラルリスク対応というのは重要課題であるし、高額な旅行傷害保険の家族型の契約といったようなものについては、見直しを図っていく。家族傷害保険といったものは、職場を通じて加入しているような団体契約がほとんどのメーンマーケットであり、実際見てみても、著しい高額契約やモラル事案の発生という問題は承知しないが、さはさりながら、家族というエリアも含めて、しかるべく対応を業界としても図っていく。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局 企画課 保険企画室(内線3571)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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