金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第49回)議事要旨

1. 日時:

平成20年12月19日(金曜日)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3. 議題:

保険募集・支払い等について

4. 議事内容:

最初に、砂田委員と丹野委員による資料説明があり、その後自由討議が行われた。

主な意見は以下のとおり

【自由討議における主な意見等】

  • 資料WG49-2の5ページの6番に適合性原則の規定化とあるが、狭義の適合性原則の問題ではなくて、いわゆる保険購買者のニーズをどうサーベイするかというのを最初にもってくれば、こんな保険を買ったつもりじゃなかったとか、払ってもらえると思っていたのに払ってもらえなかったというような問題は出てこないのではないかと思う。

    商品の簡素化等については、購買者のニーズにあわせて考えればいいと思う。例えば共済商品は比較的簡素化された商品であるが、それでもいろいろ問題は出ているため、簡素化だけでは済まない問題ではないかと思っている。

  • 商品の簡素化については、わかりやすさの向上であるとか、募集の資質の向上、帳票の簡素化、説明・契約の確認というようなところは、近年業界としても各保険会社としても力を入れて取り組んでいるところ。

    そういった状況も踏まえ、実効性を確保するという観点からどういった方策が必要なのか。あるいは現状のこの業界の取組というのをもう少し見るという考え方もあるのか、というあたりを踏まえてご議論いただければと思う。

  • 現状の、例えば募集に関して、特に意向確認書面だと実質的に2007年9月まで猶予期間があったこともあり、契約概要とか注意喚起情報、意向確認書面を導入をしたことの効果は、遅行して見えてくるものというふうに思っている。

  • 生保会社がメインにしている死亡保険について簡素な商品が出てきたかというと、それがなかなか出てこない。別にものすごくダイエットして、極細の保険を出してこいと言っているわけではないが、普通の人が考えて、こういうものがいるよというときに、そのこういうものというものの担保範囲が非常に明瞭でわかりやすいものをお出しになったらどうか。

  • 現場を知っているのは保険会社だけではなくて、消費者も現場を知っているということでご理解をいただきたい。

    サーベイという意味では、広い意味での適合性の原則を置くことに異論はないが、保険商品こそ、本来の意味の適合性の原則が果たされるべき商品だと考えているため、やはり狭い意味での適合性の原則というのも非常に重要だと思う。

    募集人の資質向上のためのテストについては賛成している。募集人が、その保険会社の商品についての知識だけでなく、ベーシックに保険についての基本的な知識を得られる資質を持てば、保険の募集人のプロフェッショナルな集団も生まれてくると思う。

    加えて、保険は商品や募集・支払いについてのビジネスモデルについて、今本当に変わっていかなければいけない大変な時期にあると思っている。募集コストの開示を含めた情報開示を行い、外側から競争させるような仕組みを入れていくべき。

    それから、商品比較ができるように項目立てをして、それを出していくという形で、情報開示の仕組みをもっと取り組んでいただけたらというふうに考えている。

  • 2つ疑問があり、1点目は、約款の合理化は長年議論されてきたにもかかわらず、いまだにこういう問題が存在するということは、保険会社がさぼっているのか、あるいは原理的に何か難しさがあるのか。

    2点目は、規制の強かったときに、多様なニーズに対応できる商品を進め、複雑で広範な商品をつくってきた経緯がある。今自由化になったら、市場原理への疑問が提示されて、これはそのまま放っておいたら複雑化して困ったものだと、こういう議論。簡素化に向かってある種の規制、ルールをつくらなければならないという議論になりかねないが、ここはもう少し長い歴史のスパンで冷静に考えるべきではないかと思う。

    消費者と保険会社の幸福な関係をつくるのは大賛成であるが、良質で適切なサービスを安い価格で提供するというのが重要なことで、この辺のバランスをとって募集の問題を考えていかなければいけないのではないか。

  • 商品の簡素化ということをおっしゃっているが、多分簡単な商品ほど説明するのは難しい。丹野委員が保険というのはブラックボックスだといっているが、実際に今でもブラックボックスだと思う。事故が起こったときにこの金額どうやって出てきたんですかというふうなことをやりだすとブラックボックスが出てくるのはしょうがない。

    問題は、説明できることと説明できないことがあるけれども、メリットがあるから買う。そういう意味での商品の簡素化あるいは約款のわかりやすさということで、どこまで説明すればいいのかという問題として整理すればいいと思う。

    わかりやすい言葉で法律を作り、それと同じようにわかりやすい言葉できちんと説明して、説明できることとできないことがありますということを区別したうえで、リスクを引き受けていただけますかとアプローチするのがいいと思う。

  • 1つ質問なんですが、WG49-2の3ページ目の募集人の資質確保というところで、例えば試験制度というのを出しているが、代理店の質問題というところももし何かお気づきの点があれば教えていただきたい。

    一定の試験などで、レベルを確保されるということも1つ方法としていいと思うが、やはりプロとしてある程度のキャリアを積んで、オンザジョブトレーニングや、いろいろな会社のサポートを受けて資質を高める等、かなりいろいろな問題が含まれているのではないか。

    あと、保険会社の方も、もう少し目に見える形で、質が客観的にわかるような開示というか、これだけ質がよくなっているというようなことを見せていただければと思う。

  • 代理店の質問題について、代理店と言っても、専用の代理店、ディーラー、旅行会社、不動産業者、金融機関などが代理店をやっている状態であり、非常に多様な幅広い販売チャネルがあって、例えば車を売る方が車を売るところで一所懸命で、保険についてはここだけ名前書いてくださいみたいなそういう販売の仕方がややもすると非常に多いのではないか。

    他方、専業の代理店の日々の営業について、お客さんのところに行って積極的に説明するという形ではなく、前年の契約についてそのままでいいですかというような売り方をしていることもあると聞いている。そういう意味では非常に質のばらつきがあり、下の質を確保するために、例えば試験制度を作って、それに受かった人を募集人として認めて登録をするような体制を作ってほしい。

  • 募集人については、まず各社とも一般課程の試験を通った人が登録をしており、実際に登録するのは、さらに上のところに各社でラインを引いているという実態がある。入口ではそういう最低限のレベル確保の仕組みが整えられていると思っている。また、その後の教育についても重要であり、来年から継続教育制度というのを導入する予定。

  • 非常に具体的なご提案を頂いているが、ルールで対応すべきなのか、それとも細かいルールをつくるとかえって弊害があるのか、あるいはそのルールには書ききれないというようなものがあるのか。それから、業界の委員の方々からいろいろな努力をされているというとおっしゃっていただいているが、またぜひその点についても、この先アピールしていただきたい。

    そういった中で取り組んでいけば一番いい答えが得られると思うし、最終的にはどんなルールあるいはどんなプリンシプルにせよ、消費者の方々と業界の方々と双方納得づくでないと意味がないと思っている。

  • 例えば、契約概要、注意喚起情報というものが今取り入れられているが、保険会社が免責的に作成するためということもあり、要は苦情を踏まえてこれも書いておかなきゃというふうにどんどん分量がふえていく。さらにはその出発点として、契約概要、注意喚起情報というところには、監督指針上、少なくともこの項目は満たすようにということが書かれており、そこは少なくとも満たさなければいけないということがある。

  • 約款を見ていても、例えば厚くて読む気がしない、字が多すぎるという意見と、片方は専門用語を使わないでわかりやすく説明してほしいなど、相反するものがたくさんある。

    何か1つのものですべてを解決するというのは難しく、お客さんのニーズにあったものを売るのがやはり一番正しい。そうすると、適合性の原則だとか、あるいは販売員の資質の問題というのはある面では避けて通れないところがあるかもしれない。ただ、いろいろな規制ルールを入れることが実態とあわなくなるという問題も出るので、逆に業界の声をどこかで出していただければ、論議がいいところに落ち着くんじゃないかなと思う。

  • 商品の簡素化と、約款を簡素化するという、そこが今日の1つのキーワードであるが、まだあまり具体的なイメージが共有されていないと思うので、具体的な契約や商品、それから約款に基づいて、もう少し意見交換したほうがいいのではないかと思う。その上で、法律上のルール、自主規制、ディスクロージャーによって、マーケットないし消費者がいろいろ評価をしていってはどうか。

    今日かなり具体的な提案を頂いているので、実態をもう一回よく見てこういう提案についてどう考えるかというあたりの議論を深めていくようになるのではないか。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)
本議事要旨は今後変更があり得ます。

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