金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第8回) 議事録

  • 1.日時:

    平成30年6月22日(金)13時00分~14時35分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【神田座長】

それでは、委員の皆様方おそろいでございますので、始めさせていただきます。金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」第8回目の会合を開催させていただきます。

皆様方にはいつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

早速ですけれども、議事に移らせていただきます。

お手元の議事次第にございますように、本日は、これまでの議論を取りまとめた、「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(案)」につきましてご審議をいただきたく存じます。

それでは、事務局からの説明をお願いいたします。

【田原企業開示課長】

それでは、お手元の「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(案)」に従いましてご説明をさせていただければと存じます。

1ページおめくりいただきまして、目次でございますけれども、これまで7回にわたりご議論いただいたものをこういった形でまとめさせていただいております。大きな柱といたしましては、「I.「財務情報」及び「記述情報」」、「II.建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供」、「III.提供情報の信頼性・適時性の確保」、そして、「IV.その他」ということでございます。

2ページ以降の具体的な内容につきまして、論点整理からの変更点を中心にご説明をさせていただければと存じます。

まず、「はじめに」でございます。これは「おわりに」もほぼ同じような書きぶりでございますけれども、今回の議論に当たっての考え方を整理させていただいたものでございます。

企業や投資家を取り巻く経済環境が大きく変化する中、資本市場の機能の発揮を通じ、我が国全体の最適な資金フローを実現し、企業価値の向上とその果実の家計への還元につなげるという好循環を実現することが求められているということでございます。その際、企業情報の開示は、投資家の投資判断の基礎となる情報を提供することを通じて、資本市場における効率的な資源配分を実現するための基本的なインフラということでございまして、投資判断に必要とされる情報を十分かつ正確に、また適時に分かりやすく提供することが求められるということでございます。

こういった観点から4つご指摘があったと思います。まず、経営環境の変化のスピードが増すとともに、経営上の課題が複雑化・多様化していること。それから、機関投資家・海外投資家の株式保有割合が上昇するとともに、引き続き個人投資家が重要な地位を占めていること。それから、コーポレート・ガバナンス改革や会計監査の信頼性確保に向けた取組みが進められていること。欧州、米国をはじめとして、諸外国で記述情報を含む開示の充実に向けた取組みが進められていること。こういったことを踏まえまして、有価証券報告書における開示を念頭に、その他の開示との関係にも配慮しながら、包括的な検討が行われてきたと理解しております。

1ページおめくりいただきまして、「Ⅰ.「財務情報」及び「記述情報」」でございます。「記述情報」につきましては、有価証券報告書において適切に開示されることが重要というご議論であったと思っております。その際、中長期の企業価値評価のために必要かつ十分な情報が提供されることが重要であるというご意見や、制度開示が重要であることはもちろんですが、任意開示についても十分に活用されていくべきであるというようなご指摘があったように思います。

具体的な内容といたしましては、経営戦略・ビジネスモデル、MD&A、それから、リスク情報ということでございます。

まず、2の経営戦略・ビジネスモデルにつきましては、4ページをご覧いただきますと、点線の部分が前回囲みでご議論いただいた部分でございまして、本日はここを中心にご説明申し上げます。

企業の目的と経営戦略、ビジネスモデルについて、取締役・経営陣が積極的に自らコミットしてその見解を示すことが必要であるということであったと思います。また、その説明に当たっては、MD&AやKPI、リスク情報とも関連付けて、より具体的で充実した説明がなされるべきであるということでございます。

1ページおめくりいただきまして、その際に、経営戦略が目的を達成する上で適切であるかどうかの判断、企業の成長、業績、財政状態、将来の見込みの評価に資するような情報が提供されるようにするべきであるということ、また、ビジネスモデルにつきましても、企業がどのように事業を行って中長期的な価値創造に取り組んでいるかが明確になるような情報が提供されるべきだというようなご指摘であったように思います。

それから、3のMD&Aでございますけれども、6ページの下のところが前回ご議論いただいたところでございます。MD&Aにつきましては、経営のトップレベルが早期から関与し、経営者としての説明責任を果たしていくことが求められるということでございます。特にセグメント分析に関しましては、経営管理と同じセグメントに基づきまして、セグメントごとの資本効率も含め、セグメントの状況がより明確に理解できるような情報が開示されることが必要ということでございます。また、資本の財源及びキャッシュ・フローに関する情報、会計上の見積り・仮定に関する情報もしっかりと開示されることが必要というご議論であったと思います。

それから、4のリスク情報でございますけれども、8ページの上にございますように、経営者視点から見たリスクの重要度の順に、発生可能性や時期・事業に与える影響・リスクへの対応策等を含めまして、企業固有の事情に応じたより実効的なリスク情報の開示を促していく必要があるということであったかと思います。

それから、5のその他といたしまして、まず、(1)の人的情報等につきましては、連結全体の人件費や、ジェンダーをはじめとする多様性の確保、労働環境といった従業員に関する情報の充実が重要であるというご意見を頂戴いたしました。近年、企業のガバナンス強化に向けた取組みの進展や社会・環境問題への関心が高まる中、こういった情報への関心が高まっておりますので、企業様におかれては、投資判断、対話における必要性に応じて、こういった情報をより適切に開示することが求められていると考えられるという形で整理をさせていただいております。

また、(2)の重要な契約につきましては、次のページの上の方でございますけれども、投資家の投資判断や対話において重要であると考えられる契約の内容につきましては、海外の実態を把握しながら、各企業により適切な開示を行うよう促していくことが求められているということであったかと存じます。

また、開示が分かりやすい形で行われる必要があるという議論もございまして、9ページの下の方にございますけれども、諸外国の取組みも参考に、各企業は法定開示書類等において、投資家にとって重要な情報を十分かつ正確に、また適時に分かりやすく提供するため、更なる取組みが行われていくべきであるという考えで整理をさせていただいております。

10ページでございます。6のところですが、こういった財務情報・記述情報の充実に当たりましては、最初のところに書いてございますように、経営されている方々の考え方が非常に重要であるということでございます。そういった点について開示をいただく上では、中ほどにございますけれども、経営戦略・財務情報・リスク等に関する議論を促し、我が国企業における経営戦略・ビジネスモデル、MD&A、リスク情報、重要な契約、ガバナンス情報等の記述情報の開示の充実を実現していくということが重要であろうということでございました。

したがいまして、こういったことにつきましては、ルールベースというよりは、プリンシプルベースで取り組んでいくということが重要であろうということでございますので、今回の1つの大きな柱といたしましては、プリンシプルベースのガイダンスを策定することによって、こういった記述情報の開示を促していくことが重要であるということであったかと考えております。

記述情報の開示に当たりましては、先ほどMD&Aなどでも申し上げましたけれども、開示内容に経営トップが責任を持って早期から関与すること、取締役会等においてその方針が十分に審議されることが重要であると考えられます。

次のページでございますけれども、下の方にございますが、開示に関するルール、それから、先ほど申し上げましたようなプリンシプルベースでのガイダンスを作った上で、適切な開示実務を積み上げていくことによって開示内容の充実を図っていくことが重要であるというご議論であったかと思います。

それで、その際にベストプラクティスを収集し、それを浸透させていくという取組みを行う中で、このベストプラクティスを必要に応じてガイダンスにも反映させていくということで、開示内容の全体のレベルの向上が図られていくのではないかということで、そういった観点で好循環を実現していくということが重要ではないかという形で整理をさせていただいております。

次に、12ページ以降、2つ目の柱であるガバナンス情報の提供についてでございます。大きく、役員報酬に関する開示と政策保有株式に関する開示についてご議論を頂戴したところでございます。

13ページをご覧いただけますでしょうか。まず役員報酬についてでございますけれども、報酬プログラムの開示を充実させていくべきだという点については、同じようなご意見をいただいたのではないかと考えております。その際、経営陣の報酬内容・報酬体系と、経営戦略や中長期的な企業価値向上との結び付きを検証できるように、固定報酬、短期の業績連動報酬、中長期の業績連動報酬それぞれの算定方法や支給割合、役職ごとの支給額についての考え方を定めている場合にはその内容を開示いただくなど、報酬の決定・支給の方法やこれらに関する考え方を具体的に分かりやすく記載することを求めるべきであるというご議論であったかと思います。その際の内容につきましては、下の文章の中に書いてあるようなとおりでございます。また、実際に支給された報酬がそのプログラムに沿ったものになっているかを検証できることも重要であるというご指摘も頂戴いたしまして、その点につきましても下のところにまとめさせていただいております。

それから、報酬決定プロセスの客観性・透明性のチェックを可能とするためのガバナンス情報も重要だということでございまして、その点についても開示をお願いすべきではないかということであったかと思います。

一方、現在連結報酬総額1億円以上の役員の方についてお願いしております報酬の個別開示でございますけれども、この報酬の個別開示につきましては、企業価値の向上に貢献した経営陣に対して、それに見合った報酬を提供していくべきというコーポレートガバナンス上の要請に合ったものとなっていないというご指摘を頂戴いたしました。この点につきましては、この仕組みのあり方については再考の余地があるのではないかという形で記載させていただいております。

その際に、どういった方について個別開示をすべきかという点についてもご指摘を頂戴しました。一方で、先ほどの報酬プログラムについての開示が充実すれば、必ずしも個別開示の対象を拡大することは重要でないというご意見も頂戴いたしました。したがいまして、今回の取りまとめに当たりましては、役員報酬プログラムの内容の開示の充実を図った上で、報酬内容と経営戦略等の整合性の検証の進展、我が国における役員報酬額の水準の変化などを見ながら、必要に応じてこの点についてはまた検討を継続すべきではないかと考えまして、そういった整理とさせていただいております。

それから、14ページの下、政策保有株式についてでございます。政策保有株式をめぐっては様々な見方があるということでございますが、対話の必要性に鑑みますと、保有している方針、目的や効果について、具体的かつ十分に説明される必要があるのではないかというご議論であったように思います。その際、保有目的・効果につきましては、提出会社の戦略、事業内容及びセグメントと関連付け、定量的な効果も含めてより具体的に記載すべきではないかというご意見がございました。

それから、開示基準に満たない銘柄の開示のあり方についてもご議論を頂戴しました。売却したり、買い増した政策保有株式について、減少・増加の銘柄数、売却・買い増した株式それぞれの合計金額、買い増しの理由等についても開示をすべきではないかということであったかと思います。なお、前回のご議論の中では減った場合の理由というようなご議論もあったわけでございますけれども、減った場合につきましては、減らしたということですので、必ずしも理由を求める必要はないのではないかということで、買い増しの理由とさせていただいているところでございます。

それから、黒丸の2つ目のところでございますけれども、開示対象となる銘柄につきましては、現在30銘柄ということにされているわけでございますけれども、一般的に上場企業さんの保有されている政策保有株式の銘柄数、例えば日経500社ですと中央値が63.0と脚注に書かせていただいておりますけれども、こういったものを見ながら開示対象を拡大すべきではないかというご議論であったように思います。

それから、純投資と政策投資の区分の基準や考え方についても、より明確な説明を求めるべきではないかというご指摘も頂戴いたしました。

それから、4つ目でございますけれども、そういった純投資の対象である株式等につきましても、重要性を考慮しながら一定の開示を求めるべきではないかというご議論であったように思います。

また、次のページ、16ページをご覧いただきまして、持ち合いの状況で、投資家の方々から、投資先企業の株式が政策保有目的の株主に保有されている状況、すなわち、A社さんがB社さんの株式を政策目的で保有しているときに、B社さんがA社さんの株式を持っているかどうかについても情報が整理されるとよいというご指摘を頂戴いたしました。この議論につきましては、実際にそれを報告する際の実務上の手間などについても配慮すべきであるというご指摘も頂戴いたしました。考え方といたしましては、相手方に保有されている株式について、その有無を記載していただくということが考えられるのではないかと思いますけれども、その際に、把握が比較的しっかりできるもの、例えば株主名簿上明らかであるものとか、大量保有報告が出ているものを開示していただくことが考えられるのではないかと考えられます。この点につきましては、実際に制度に落とす際によく検討していきたいと考えているところでございます。

それから、政策保有株式について、議決権行使の状況についても開示すべきではないかというご議論も頂戴いたしましたけれども、こちらにつきましては、いろいろご議論いただいた中で、開示の意義は乏しいというご指摘もありましたことから、導入については慎重に検討すべきという意見があったという形で整理をさせていただいております。

それから、4のその他のガバナンス情報の充実と提供でございます。16ページの下の方になりますが、有価証券報告書におけるガバナンス情報の充実を図る観点から、機関設計に応じて取締役会や委員会等の構成、その設置目的、権限などについて、開示を拡充すべきというご指摘を頂戴いたしました。

また、その活動状況についても、具体的に記載を求めるべきということでございましたけれども、この中で監査役会等につきましては、後ほど監査についてのところでもう一度ご説明を差し上げますけれども、有価証券報告書においてその活動状況の記載を求めるべきではないかということであったように思います。一方で、監査役会等以外の取締役会や委員会等につきましては、そういったご意見もあった一方、企業間で実務のバラつきなどもありますことから、まずはコーポレート・ガバナンス報告書での記載をお願いするということではないかということであったように思います。

それから、有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の関係についても議論を頂戴いたしました。こちらにつきましては、役割をできるだけ分担して重複をなくすべきというご意見と、総覧性を高める観点からできるだけ両方に記載すべきであるというご指摘があったかと思います。そういったさまざまな意見がある中で、どういう情報提供のあり方が望ましいかにつきましては、もう少し実務の積み上げを待って判断すべきではないかというご議論であったように思います。

18ページ以降、3つ目の柱である提供情報の信頼性・適時性の確保でございます。大きく2点、会計監査に関する情報と開示書類の提供の時期についてご議論を頂戴いたしました。

まず会計監査につきましては、19ページの下の方でございますけれども、企業様が適正な監査の確保に向けて監査人とどのような取組みを行っているか、米英において開示が求められている、監査役会等による監査人の選任・再任の方針及び理由並びに監査人監査の評価、監査人の継続監査期間、監査業務と非監査業務に区分したネットワークベースの報酬額・業務内容が、我が国でも開示されるべきであるというようなご議論であったように思います。その際、ネットワークベースでの監査業務・非監査業務についての報酬額・業務内容につきましては、それを調べていく上で企業サイドの負担もあるというご指摘がございましたので、この点については重要性も考慮しながら開示すべきというふうに整理をさせていただいております。

なお、ご議論の中で、実際にグローバル企業のグループ全体の監査状況を把握する観点から、提出企業の監査人とそのネットワークファーム以外の監査人に支払われる監査報酬全体について把握できるようにすべきであるというご意見も頂戴いたしました。この点については、現状でも、その他重要な報酬という形になりますれば、連結子会社さんが払う、親会社さんを担当されているファームさんではないファームさんに対する監査報酬も開示対象になっているということでございまして、そういった実務を更に適切に行うという形で整理をさせていただきました。これをまた全体として報告するということになりますと企業サイドの負担が非常に大きいというご議論もございましたので、今回はそういった形で整理をさせていただければということでございます。その点につきましては、注39で記載させていただいております。

それから、20ページの上の方に移っていただきまして、会社法の開示との関係、それから、先ほども少し申し述べましたけれども、監査役会等の活動状況についての開示のあり方についてもご議論を頂戴いたしましたので、その点につきましても20ページの上にありますように整理をさせていただいております。

それから、開示書類の提供の時期でございます。1ページおめくりいただきまして、有価証券報告書の株主総会前提出の状況についてもご議論を頂戴いたしました。この点につきましては、22ページの上にございますけれども、投資家と企業の対話の促進、議決権のより実効的な行使という観点から、各企業の皆様におかれまして、対話の状況なども踏まえながら、有価証券報告書の株主総会前提出への取組みが求められるというようなお考えが示されたということであるかと思います。

それから、その下の重要情報の公表タイミングでございますが、次のページをご覧いただきまして、上場企業の株価に影響を与える重要な情報につきましては、現状でも適時に公表することが求められているわけでございます。各企業の皆様におかれましては、投資家の皆様にそういった情報が適時に提供されるように一層の取組みをお願いするというような議論が行われたということであろうかと思います。

それから、その下の四半期開示でございます。24ページに四半期開示についていろいろいただきました議論の内容を書かせていただいておりますが、25ページの方で整理をさせていただいております。四半期開示につきましては、中長期の視点で投資を行う観点から、進捗確認の意義を認めるという見解が非常に多かったということであろうかと思っております。

また、現状、非財務情報の開示の状況につきましてはいろいろご指摘を頂戴しているところでございまして、その点についても今後取組みが必要であるというご意見もございました。

また、日本においては、適時開示あるいは臨時報告書などにつきまして、軽微基準などもございますので、企業業績が変化したときに必ずしもその点についてすぐに開示が行われないのではないかというご指摘がございました。こういったご指摘を踏まえたときに、現時点において四半期開示制度を見直すことは行うべきでないということであったかと思いますけれども、一方で四半期開示につきましては、企業サイドの負担が重いといったようなご指摘を頂戴することがあるわけでございまして、そういった観点から、四半期決算短信の開示の自由度を高めるなどの取組みを進めるということが考えられるのではないかということでございます。

また、上の問題意識なども踏まえますと、我が国における財務・非財務情報の開示の状況や適時な企業情報の開示の十分性、海外動向なども見ながら、四半期開示につきましてはまた考え方を検討していくということがあるのではないかということで、こういった形で整理をさせていただいております。

それから、最後、沈黙期間でございます。26ページをご覧いただきますと、沈黙期間、決算期末における企業様と投資家様の対話のあり方についてご議論を頂戴いたしました。日本でもこの期間内に建設的な対話が行われているということでございましたけれども、海外の実務なども踏まえながら、こういった期間におきましても、対話について企業サイド、それから、アナリストサイドで積極的な対話が行えるということについて、あるいは行うべきときがあるということについて、関係者への理解の浸透を図るべきというご議論であったかと考えております。

27ページ、最後、4つ目の柱であるその他でございます。EDINETにつきまして様々なご指摘を頂戴いたしました。利便性向上の観点から、タブレット端末等での閲覧に対応すべきというご指摘を頂戴したわけでございます。また、縦覧期間の延長につきましても、ニーズと、それから、コストが当然かかるわけでございますので、そのバランスを踏まえながら今後検討していくべきではないかということでございましたので、これについてまとめさせていただいております。

それから、英文による情報提供でございます。このワーキングでもご議論いただきましたように、EDINET上の情報につきまして、システム上で一定程度英訳を進めるということは考えられるのではないかということで、そちらにつきましては、私どもとしてもできることに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

また、企業さんにおかれましては、英訳をされている企業さんもございますので、そういった英訳を慫慂していく観点から、金融庁のウェブサイトでそういったことを実際されている企業さんの一覧を公表することが考えられるのではないか。また、全文だけではなく、外国人投資家の方々の関心が高い事項について英訳されている企業さんのリストをそういうところで示していくということも考えられるのではないかということでございます。

それから、最後に、そういった任意で有価証券報告書を英訳されている企業さんの結果を活用するために、EDINETにそういったものも載せられるようにすべきではないかというご指摘もございましたので、その点についても可能とするよう努力をしてまいりたいということで、こういった形で整理をさせていただいております。

以上、これまで7回にわたりましてご議論いただきました内容を案として整理させていただきました。本日はこの案につきましてご意見を頂戴できれば幸いでございます。どうもありがとうございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、討議に移らせていただきたいと思いますけれども、本日ご欠席の黒沼委員から意見書の提出をいただいておりますので、委員の皆様方におかれましては、タブレット端末でご覧いただければと存じます。傍聴の皆様方におかれましては、恐縮ですが、金融庁ウェブサイトに掲載しておりますので、適宜ご覧いただければと存じます。

それでは、委員の皆様方からご質問、ご意見をお出しいただければと思います。

川島委員、どうぞ。

【川島委員】

どうもありがとうございます。私からは2点意見を申し上げます。

まず1点目は、前回の会議で申し上げた人的情報等に関する補強意見を反映いただきまして、ありがとうございました。その部分を含めまして、報告案の全体について、当ワーキング・グループにおける様々な意見を取りまとめたものとして、これに賛同いたします。

2つ目は、今後の取組みについて金融庁へのお願いです。この報告書が非財務情報のより充実した開示を促し、企業と投資家との建設的な対話を通じた企業の中長期的な成長などに寄与するとともに、将来における法定開示の充実につながるよう、金融庁におかれては、報告書に示された考えを企業が理解し、実践に移すことの広がりを支援するものとして、分かりやすいガイドラインや手引などの作成をお願いします。その中で、例えば人的情報について、人事労務管理、労働安全衛生、ジェンダーをはじめとする多様性の確保などに関する情報開示の好事例をご紹介いただければと思いますので、ご検討をお願いいたします。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、上柳委員、中熊委員、水口委員、柳澤委員の順でお願いしたいと思います。

上柳委員、どうぞ。

【上柳委員】

ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。

1つ目は、14ページの役員報酬の部分で、いわゆる役員報酬の個別開示の拡大が先送りになったことについて残念に思います。ここの書きぶりで、役員報酬プログラムを充実させてとの部分はもちろん賛成ですけれども、その様子によって個別報酬額開示を検討する旨書いてあるのですが、私の見解では、やっぱりそれは車の両輪じゃないかと思うんです。報酬プログラムと、それがどのように運用されているかという結果としての個別報酬額の数字と、その両方が示されて本当の開示ということになるのではないかと思います。その際、黒沼委員が指摘されている、純粋な役員報酬部分だけではなくて、使用人の給与部分も含めて示されるべきだということは私も大事な点だと思います。

2つ目は、政策保有株式の点について、15ページの下から3つ目のポツを見ますと、拡大ということで、もちろん賛成なんですが、例えば倍にするとか、全部にするとか、そのように具体的な記述にならなかったことは残念に思っております。欧米からは、役員報酬については大きく差をつけるべきだ、それから、政策保有株式についてはなくすべきだというトーンの意見だと思いますけれども、一方で、日本では政策保有株式が活かされているという有識者の方のご意見もあることは認識しております。むしろ、他社のガバナンスに関与することが当社にとってこういう意味があるんだというようなことを、堂々と理由をつけて開示するべきじゃないかと思います。そこを開示しないと言うから変な疑いを持たれるのではないかというふうに私は考えているところです。

3点目でございます。ページ数でいうと10ページあたりになると思います。いわゆる非財務情報あるいは記述情報について充実した検討がなされたことは大事だと思います。私が今回のワーキング・グループのヒアリングの中で一番注目しましたのは、イギリスの投資助言会社の方々の指摘で、企業の過去の成績は数字で分かると。しかし、これからどうなるか、将来の見通しはやはり記述情報がないと分からないという趣旨のことをおっしゃいました。これは、要するに、テストに答えるときに、数字で答えられるところだけ答えておいて、記述式のところは答えていないと、その人の実力が分からないと言われるようなことで、重要な指摘だと思いました。おそらく日本の企業は、記述情報を出さなくても、いわゆる中期経営計画を示すことで、中期に限るかも分かりませんが、日本の投資家は判断しているのではないかと思うのですが、記述情報を隠す必要はないわけですので、きちんと出していくことが必要であると思います。その際、いわゆるESG情報とか、あるいは最近言われているSDGs、世界中・国際社会としてこういうことが課題になっていて、そのうち我が社はこの部分を担当して、そこで利益を上げさせていただくというような表明をするということ、国際的な課題にコミットしていくという意味でも、非財務情報のところは大変大事だと思います。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、中熊委員、どうぞ。

【中熊委員】

まず前回の会議でも申し上げましたが、本報告書の案に盛り込まれた提言については、企業情報を利用する側の一員として全く異論なく、今後実現に向けた努力がなされることを期待します。

以下、せっかくの機会ですので、本報告書案の全体について少し意見を述べさせていただきたいと思います。

私は、法定開示だけでなく任意開示も含めた我が国の企業情報開示を全体として捉えれば、信頼度は高く、情報も充実しており、その水準は決して低くはないと思っております。過去30年余りを振り返りましても、若干簡素化の行き過ぎを感じる部分はありますが、全体としては大きく改善してきていると思っております。これは発行体を含めて多くの資本市場関係者の方々の長年にわたる努力があってこそ実現したものであると考えます。しかし、本ワーキングでも多くの委員の方々が言及しておられるように、それでもなお欧米のスタンダードに比べて追いついていない面が多々あることも事実です。それらのギャップを埋めることは、我が国資本市場の、ひいては我が国経済の更なる発展に至る重要な一歩であると信じます。

近年、欧米、特に英国の開示においては、経営者のビジョンや経営戦略、ビジネスモデルなど、数字だけでなく、数字の背景にある意図であったり、関係性であったり、そういったものを重視する方向にあります。これは資本市場と経営との分断を何とか緩和しようという試みであり、我が国においても追求されるべき方向性であると考えます。

このような開示を実現するためには、経営陣のコミットが不可欠であり、作成者側において大きな負担感が生じるであろうことは十分想像できます。しかし、資本市場を企業経営の外に完全に排除することがかなわない以上、開示の充実が資本市場と経営の分断を防ぎ、両者の利害を一致させるための唯一現実的な解であると考えます。また、作成者側におきましては、開示そのものを目的化し、負担のみに目を向けることなく、自社の戦略やビジネスモデルについてより深く考え、改善していくための手段として大いに活用されることを希望するものです。

最後に、効率性の視点でございますが、作成者と利用者の双方において効率化は重要であり、本報告書で取り上げているような効率化の推進に関しては全く異論ありません。ただし、現時点においては、欧米との数々のギャップを埋めることがより重要であり、それらの取組みと効率化が引き換えにされるべきではなく、両者は切り離して論じられるべきものと考えます。

以上が私の意見でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、水口委員、どうぞ。

【水口委員】

ありがとうございます。前回からの繰り返しになりますが、報告案を多くの利用者のニーズを踏まえた内容としていただいたことに感謝しております。当該報告案の「はじめに」のセクションに記載された諸事項に対応する形で、本審議会において充実した企業開示にかかわる包括的検討が行われてきたと考えておりまして、報告案の内容については賛同いたします。

既に報告案で触れられている点ではありますが、前回の審議会での私の意見を補足いたします。全体像の話ではなく、各論ではありますが、1点目、前回、監査人のネットワークベースの監査及び非監査業務に関する報酬額・業務内容などの会計監査に関する情報の充実を歓迎する旨をお話しいたしましたが、これは独立性の担保のみでなく、監査品質の確保などの観点も踏まえた発言です。体系的・包括的な監査報酬の開示は、グローバルピアの状況も視野に入れて、監査品質の維持・向上に向けて各企業が十分な監査報酬を支払っているかについての判断につながるといった観点からも有用であると考えております。

2点目、政策株式に関する開示については、企業間で様々な考え方をお持ちで、バラつきがあるかもしれませんけれども、ガバナンスの観点に加え、資本効率向上の観点から有用な開示を行っていただければ大変ありがたいと考えております。

最後に、この報告案で触れられており、先ほど中熊委員からもお話がありましたように、中長期的な価値創造の観点から企業分析をする際に非常に重要であるところの「財務情報」及び「記述情報」の充実のセクションに記載されている内容についてです。今後の開示に関するルールやプリンシプルベースのガイダンスの整備に加えて、適切な開示の実務の積み上げを図る実効的な取組みに関していろいろ工夫していただいて、私たちユーザーも積極的に関与させていただきたいと思っており、よいPDCAサイクルに大いに期待しております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

柳澤委員、どうぞ。

【柳澤委員】

発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。今回事務局からご提示いただいた報告書案につきましては、当ワーキング・グループで審議されてきた企業情報開示の充実に向けた検討事項が各項目においてそれぞれ望ましい方向性で整理、反映されていると理解しておりますので、全体として報告書案の内容に賛同いたします。

また、審議を通して各委員から提起された見解を幅広く本文及び脚注に記載いただいているということに加えまして、投資家の観点から述べさせていただいた意見に対しても随所に取り上げていただいており、こうした取りまとめに関しても深謝申し上げたいと思います。

なお、今後の最終的な調整につきましては、細かな修正等も含めまして、全て座長に一任させていただきたいと考えております。

その上で、あくまで今後の最終的なご判断を一任させていただくという前提でのコメントにはなりますが、個別論点について1点、改めて政策保有株式の開示に対して要望事項を述べさせていただければと思います。

具体的には、報告書案15ページの下段の破線部分に記載されている、開示基準に満たない銘柄の開示に関してですが、減少・増加の銘柄数やそれぞれの合計金額といった概要の記載ではなく、企業と投資家の深度ある対話を促していくためにも、売買の生じた個別銘柄ごとに、銘柄名、保有銘柄数及び金額の増減、売却や買い増しの理由が把握できるように、異動明細の形式で開示されることが望ましいと考えております。

例えば企業が政策保有に関する方針を掲げ、縮減の方向で取組みを進展させているという実態がある場合、それが開示基準に満たない銘柄であったとしても、異動明細の中で個別銘柄ごとに開示されていれば、投資家としては、具体的な銘柄の事例を通して進捗状況を確認することが可能となります。一方で企業側にとりましても、政策保有株式に対する取組みの進展に関して投資家に適切な理解を促すという観点から、個別銘柄ベースでの証左を提供しているということになりますので、異動明細の開示は有益な情報発信として位置付けられるのではないかと思います。

なお、開示対象とする銘柄数の範囲に関してですが、報告書案15ページの脚注33でお示しいただいたデータに照らしてみますと、現状で開示が求められている保有額上位30銘柄では対象範囲として十分ではないと考えられますので、今後の方向性としては、開示すべき銘柄数を適切な範囲まで拡大し、政策保有株式の保有状況がより的確に把握できるよう、引き続き検討を進めていただければと思います。

最後に、全体を通してのコメントになりますが、今回の報告書案に沿って最終提言がまとまり、今後、開示内容の具体的なルールとして整備されることを期待したいと思います。また、プリンシプルベースでのガイダンス策定に関しては、実務上のベストプラクティスから導き出される、望ましい開示の考え方や内容及び取り組み方をまとめ上げていく画期的な試みと受け止めており、制度開示の更なる充実に向けて重要な役割を担っていくものと考えております。その上で、ルールへの形式的・定型的な対応にとどまることのないよう、ベストプラクティスの積み上げと浸透、ガイダンスへの反映と整備、それらを踏まえての開示実務での対応といった不断の改善プロセスを通して、企業情報開示の充実が継続的に促進されていく好循環の確立を目指し、企業と投資家が協働して取り組んでいくことが求められると考えております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、小林委員、永沢委員、中野委員の順で、小林委員、どうぞ。

【小林昭広委員】

ワーキングの全8回を通じて感じたことも含めて述べさせていただきたいと思います。

企業の開示のあるべき姿というのは様々な意見があるんでしょうけれども、開示の充実、それと、作成企業サイドの負担、その双方のバランスを考えたサスティナブルなものになることというのも非常に大切な、必要な要素ではあると考えています。

今回の報告案は、これまでの難しい議論をうまくまとめて、それ相応にバランスのとれたものにしていただいたと感謝しております。企業と投資家との対話を通じて企業の中長期的な成長を促し、資本市場の発展に資するという観点から、100%完成された開示の充実は困難であるとしても、報告案は前進しており、有用であり、賛成したいと思っております。今申し上げたような観点からも、報告案が示す見直しは、企業と投資家の双方から一定の評価は得られるものと考えています。

各論について特に付け加えることはありませんけれども、前回も私申し上げましたが、記述情報に係るベストプラクティスを加味したプリンシプルベースのガイダンスには大いに期待をしております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

永沢委員、どうぞ。

【永沢委員】

ありがとうございます。私も簡単に意見と感想を申し述べさせていただきます。

まず、事務局におかれましては、報告書をお取りまとめいただき、ありがとうございました。本報告書の内容について、基本的に私は異論はございません。

まず、意見ですが、上柳委員と重なりますけれども、第一に、報酬については、プログラムだけで本当に検証できるのだろうか、結局のところよくは分からないのではないかと考えます。これがいいのかどうか、少しやってみて、検証していただく必要があると思っております。

また、政策保有株式については、持ち合いについては開示が必要だろうと思っております。自分の保有株がどの程度の意味を持つものなのかということを判断する上で、個人にとっても、ここの点の開示は重要な意味を持つと私は考えます。

それから、内容ではないのですけれども、報告書の文尾が、「べきである」、「考えられる」、「検討すべきであると考えられる」という、この3種類に整理でき、事務局のご苦労がここから推察されるわけですが、この表現の違いが、今後、この報告書を踏まえて改革を進めていく上で、どのような差となって現れてくるのかが少し気がかりです。できれば、全て「べきである」というふうにそろえられたらよかったなとは思っておりますが。

最後に感想でございます。このたびのワーキング・グループに参加させていただきまして、金融庁の事務局が意図的にそういうものを進ばれたからかもしれませんが、欧米の企業の情報開示が随分と進んでいることに驚きました。特に経営者による記述情報の部分ですけれども、投資家のハートに響くように情報開示をされていると、英語で書かれてはいますけれども、それでもやはり伝わるものがございました。日本の企業もグローバルな競争を勝ち抜いていくためには、こうした情報開示の部分でも負けないように頑張っていただく必要があると思いました。

私からは以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、中野先生、どうぞ。

【中野委員】

まず、前回指摘させていただいたことにつきまして、報告書に加筆いただきまして、どうもありがとうございました。そして、報告書全体の方向性につきましては全面的に賛成をいたしますし、また事務局にはいろいろな意見がある中、非常によくまとめていただきまして感謝を申し上げたいと存じます。この後の細かな調整につきましては、座長一任とさせていただきたいと存じます。

その上で、今回審議に参加させていただきまして、1点気になった点がありますので、指摘させていただきたいと思います。私は会計学が専門なものですから国際会計基準が気になるのですが、近年、わが国では国際会計基準の任意適用をいかに拡大するかが議論されてきました。こうした中、国際会計基準の任意適用の拡大と引き換えに、負担軽減のため、ディスクロージャーの水準を引き下げる施策をとるべきという主張を見受けることが少なくないように思います。

この点について若干研究動向をご紹介させていただきたいのですけれども、ご存じのように、欧州では2005年から国際会計基準の強制適用が行われておりまして、10年以上の経験があります。それで、研究は非常にたくさん出ているのですけれども、明らかになっていることがあります。それは、ただ国際会計基準を導入するだけでは会計の質は向上しないということです。ディスクロージャー制度と国際会計基準がセットで有機的に機能することが重要です。

国際会計基準の強制適用に関する海外の研究の中には日本のディスクロージャー制度に言及しているものもあるのですが、近年のディスクロージャー制度に対するわが国の取り組みは評価されております。今後、ディスクロージャー制度についてさまざまな議論をしていく中で、「国際会計基準の任意適用を拡大する、そのためにこちらの水準は引き下げる」というのはたしかに分かりやすいロジックではあるのですけれども、国際会計基準を導入するだけでは会計の質は向上しない、ディスクロージャー制度とセットで有機的に機能させることが重要であるという点を踏まえれば、国際会計基準の任意適用の拡大と引き換えにディスクロージャー制度の水準を安易に引き下げることには慎重であるべきと考えております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、清原委員、どうぞ。

【清原委員】

どうもありがとうございます。今回は本当に非常に中身の濃い、深い報告書案をまとめていただきまして、どうもありがとうございました。とても素晴らしい報告案になっていると考えているところであります。

今回議論に参加させていただく中で、企業開示の枠組みのパラダイムシフト的なことが今まさに起きていて、それがこの報告書にも反映されているんだなというところを感じているところでありまして、そのところからお話しさせていただければと思います。

「はじめに」のところで4点挙げられているところ、2ページになりますが、ここについて、最近の企業の価値を考えていく上で、有形資産より無形資産の比重が高まっているということは、投資家の方を含めて皆さんがご理解されているところではないかと思います。その中で、企業価値を考えて、評価していく上で、過去情報でなく、将来を考えていく上での情報の価値が高まっていて、そういったところが、先ほど上柳委員からもご発言がありましたように、記述情報の重要性とも非常に深く関連しているものと思われます。

この4番目のところで、諸外国において記述情報を含む開示の充実に向けた取組みが進められている、とありまして、事実としてはそうだと思うんですけれども、そのような取組みの背景に関して考えていくと、やはり過去情報を中心に考えてきた財務報告だとか開示というものが、将来情報をどう取り込むかというところで、記述情報の充実がすごく重要になっていることがあるのだろうと考えているところであります。

そのような将来に向けた情報について経営陣がどう考えているかという点で考えますと、MD&Aのところで、過去情報がどのように将来につながっていくか、そこでの経営陣の考え方というのは非常に重要になってくるわけですし、また、監査の分野で現在議論がなされ、改正されようとしている監査報告書のところ(監査上の主要な検討事項)でも、やはり会計上の見積りだとかそういった主観的な判断が入る事項に対する監査上の検討についてを監査人が開示するというだけでなく、投資家としても見積りなどの情報の前提となっているものや仮定などについて当然非常に関心をもって重要視しているものですので、その意味で、会計監査の信頼性の向上としての、透明性の確保や開示といったことの議論が進むこととあわせて、ディスクロージャーの枠の中でも、もちろんMD&Aでの開示や財務諸表の注記の中での開示の充実がセットになって進むということが、企業の状況を投資家が適正に理解し、評価していくうえで、とても重要なポイントといえると考えるところです。

その点で、MD&Aの中で重要な会計上の見積り・仮定の開示について、6ページのところに意見の紹介がありますが、ここのところは非常に重要なところで、この開示の充実が進むこと、それから、今回、リクイディティ・流動性とキャピタルリソース・資本の源泉について、やはりもう少し日本でも開示が充実するような形でのガイダンスを含めたものが進んでいくとよいと考えております。

次に、MD&Aのところを考えていくと、我々はどうも無意識のうちに、有価証券報告書、年次ベースでのMD&Aを念頭においていて、そこは非常によく考えるんですけれども、四半期報告書の中でのMD&Aについても、特にこれだけ事業環境の変化が早く・大きい時代の中で、年次報告の中で分析していた考え方と異なる大きなトレンドの変化があったときなどには、やはり四半期報告書のMD&Aの中でしっかりと書かれるということが投資家にとっても当然重要ですし、そういったことは常日ごろから経営陣の皆さんは考えておられると思うので、それを意識的に対外的に示す場所があるという意味での四半期報告書という位置付けというのはとても重要なところではないかなと考えるところであります。

次に、役員報酬についてコメントをさせていただければと思います。最初にテクニカルな細かいところの話をさせていただくと、12ページの役員報酬の記述の冒頭で、「企業価値の向上に向けて経営陣にインセンティブを付与する」とあります。ガバナンス・コードの表現をここでも示すべきということではないんですが、あちらに出されている考え方としての健全なリスクテイクのインセンティブというものは、ここにも入れてよいではないのかと思います。と申しますのは、インセンティブはインセンティブとしても、やはり行き過ぎたリスクテイクはもちろん望まないし、コンプライアンスを無視してでもいいから、企業業績だけ、数字だけ上げようという、そういう強欲的なものを必ずしも皆さん望んでおられないというふうに考えると、そこは健全なリスクテイクということだと思います。また、インセンティブの機能のところの次の文章についても、経営陣の「適切なインセンティブ」として十分に機能しているか否かというようにしていくことで、言葉の話になりますけれども、誤ったインセンティブ付けになっていないこと、それが重要だということが明らかのではないかと考えるところでございます。

今回のこのペーパーではまだ触れられていないですが、海外ではクローバックの制度化・開示の義務化というところがありますが、日本でも今後、実務上これを入れておられる会社さんが増えていくであろうし、そういった開示も進んでいくことを考えると、クローバックという考え方も報告の中でどこかに入れていただくと、今後の実務には有用ではないかなと考える次第であります。

法律家として、報酬の関係のところで細かなところで入り切れないところがあるんですが、日本の会社法の関係について、専門家がおられる中でちょっとおこがましいところはありますけれども、本来制度的には株主総会から出発しているというところを考えたときに、総額の上限を定めて委ねた後、取締役会がどうしたか、それは本来委ねた側の株主としては関心が非常に高いところです。任された側は、任されたものをどのようにして最終的に適切に権限を行使して報酬額を決めていったかということを報告するという形によって初めてループは閉じると考えたときに、報酬の開示というものについて、あまりできるだけ外に出したくないというよりは、本来は、委ねられたものをしっかりと決定したこと、適切な企業の経営において、適切なインセンティブになったり、無駄をしていないということも含めて、きちんと決められているということを説明・報告していかないと法律上はおかしいはずであるという点を、開示の各項目を考える上で、ベースとして考えに入れていただくことが重要ではないかと。

そして、報酬を決める方法として、委員会で決めるうえで、ガバナンス・コードにあるような、客観性、透明性ある手続を確保するという議論はもちろん大切なのですが、そこのところで、実効性は本当のところどうなのかという点について、現状、非常に危惧しておりますのが、役員報酬を含めた報酬制度はかなりテクニカルなものが多く、企業の実務家の方も必ずしもその細かなところまで慣れておられる会社さんばかりだけではないのではないか、そうだとすると、外部の報酬コンサルの方にもかなり依存することはある。そういった状況に照らすと、実は報酬制度が適切にしっかりと機能する、また運用されていくということを考える上で、そのようなコンサルの独立性ということは海外では非常に重視されているということがあります。その意味でいうと、報酬制度そのものがうまく回っていくというところで、開示のところで、コンサルなどの独立性についての開示まで踏み込めるようなことになっていくとよいのではないかなと考えております。

14ページの第1段落の一番上に、実効性の確認というところが報酬決定プロセスのところであるのですけれども、そことの絡みで今の点をあわせて考えると、報酬委員会を形だけ整えるだけではもちろんおかしいはずですが、やはりそこが本当のところどう機能しているか、実効性が確保されているかということを考える上で、場合によってはたった1回で形だけ報酬委員会が開かれるというような実例もないわけではないので、開催頻度とか委員の出席状況なども含めて、こういったところの開示の充実は非常に大切になってくると考えられます。

そう考えていきますと、17ページのところで今まとめておられる考え方として、ガバナンス報告書と有価証券報告書の整理の中で、監査絡みのところの記述については有価証券報告書での記載の充実の考えが出ている一方、それ以外のところの委員会について、「企業間で相当のバラつきがあると見込まれ、まずはガバナンス報告書における記載の充実を促す」という形で書かれているところは、その趣旨が整合的なのかどうか。もし仮にこの部分が開示制度の中で、監査役会以外の取締役や、取締役会だと思いますけれども、委員会等についての運用についての記述はあまり重視されないのだとすると、今までの記述とちょっと整合しないところになりかねないので、ここはどうなるのかなと。

おそらく、ここでの趣旨は、今すぐに充実したものを求めるよりは、少し時間を置いて進めていくということだと、そう考えると、開示制度としては開示項目を詳細化・具体化する方向ではあるものの、時的な意味で少しのずれを認め、コーポレート・ガバナンス報告書での記述の実務を1年、2年と積み重ねていけば充実していくだろうということであれば、そういった対応できるような方向で運用していただく、もしくは府令などの改正などを進めていただくのがよいのではないかなと考えるところであります。

長くなって申しわけありませんが、以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、小畑委員、どうぞ。

【小畑委員】

ありがとうございます。今回の取りまとめ案につきましては、非常にバランスよくまとめていただき、誠にありがとうございます。基本的にこの書きぶりでお取りまとめいただければと思っており、この案に賛成いたします。

今回、開示情報を増やし、充実したものにしていくということですが、たび重なる投資家の皆さんからのヒアリングも含め、よく咀嚼した上で、このような開示が必要であると認識しております。取りまとめ案にも記載されているように、このような開示が進むことにより、企業側のベストプラクティスを積み上げていくことが重要である一方、その情報を受け取る側であられる投資家の皆さんにおいても、スチュワードシップ・コード等のもとで、ぜひともこの情報をよりよくご活用いただきたいと思います。その中でしっかりとした建設的な企業との対話が進み積み重なっていくことが重要だと思っております。ぜひそういったことが進むよう、お願い申し上げます。

若干細かいところで恐縮ですけれども、あえて申し上げれば、役員報酬の個別開示の議論の中で、役員個々の報酬については、やはり個人のプライバシーに対する懸念があるという意見もあったことはご勘案いただきたいと思います。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、石原委員、どうぞ。

【石原委員】

ありがとうございます。全体的な取りまとめ、まことにありがとうございます。細かいですけれども、各論で4点ほど少し気になる点がありましたので、それを申し上げた上で、全体的なコメントをさせていただければと思います。

1点目は、重要な契約のところです。当社の中でも議論をしましたが、8ページの「(2)重要な契約」の2行目に、「この点、米国においては、重要な契約について、契約書そのものの添付を含めた詳細な開示が求められている。」とあります。事実関係としては、重要な契約全てではなくて、特定の一部の契約に限定されていることが確認できたことから、このままではあたかも全ての契約について強制されているように読めますので、そこは誤解を招きかねないと思います。

それから、9ページの脚注18の2行目、「この点に関し、契約の内容に企業のガバナンスに関わるものが含まれている場合」という記載が今回加えられているようです。この「ガバナンスに関わるもの」というのが、社内でも議論いたしましたが、意味が、どういうケースを具体的に想定されているのか分かりにくいとの指摘がありました。

次が、19ページ、監査のところです。先ほど水口委員からお話しのあった部分に関わるのかもしれませんが、「ネットワークベースの報酬額・業務内容は、監査人の独立性や信頼性を」という記載に関して、今回「信頼性」という言葉が加えられていると思います。「独立性」については、非監査業務の額が大きければ、監査に影響するのではないかという視点から開示されてきたと理解しておりましたが、「信頼性」という言葉が入りますと、その開示によって何の信頼性をどう評価されるのかという点について理解がついていきません。例えば監査業務の報酬が多ければ信頼性があるのか、少なければ信頼性があるのか、どうやって信頼性の確認をするのかというのが分かりませんので、今回新たに加えられておりますが、疑問を呈するところです。

各論の4点目は、四半期開示の25ページです。前から書いてあったのかもしれませんが、黒丸の3つ目、「半期・四半期のみならず、重要な企業情報の開示が全体として適時に行われる枠組み・ガバナンスが必ずしも十分とは言えないこと」という、改めて日本の仕組みを自己否定しているような文章があります。我々が関わっている制度というのはそんなにレベルの低いものなのでしょうか。大変残念な記載ですし、これを出していくというのは非常に恥ずかしい話だと思いますので、これについても本当にこういう認識なのかどうかということについては関係者を含めて改めて確認していただければと思います。ということで、各論4点申し上げました。

全体につきまして、私、企業側をある意味代表する立場でもありますので、今回のワーキング・グループでの議論を踏まえまして、総括的なコメントを少しさせていただきたいと思います。

開示の充実に向けまして、特に記述情報についてベストプラクティスを広めて、ガイダンスを策定することには大いに賛成をいたします。しかし、これはあくまで書き物ですから、実際に読み手にとって明快かつ簡明で役に立つ、質の高い開示を実現していくためには、制度やガイダンス以上に、書き手である企業側の取組み姿勢こそが鍵になるということであります。すなわち、企業側としては、渡された教科書にのっとって手間ひまかけて書かされるという感覚ではなくて、当該開示がみずからの企業価値の向上につながっている、そういう確かな手応え、身にしみる実感があればこそ、よりよいものを自発的に目指していくということになると思います。

これはコストを上回るベネフィットを求める民間企業のいわばならい性ということでもあります。例えばアクティブ投資であれば、開示情報を材料に、有意義な深みのある対話が行われて、事業戦略や財務戦略上の気づきがもたらされた、あるいはインデックス投資であれば、ガバナンスや環境関連の開示を充実したらファンドに組み込まれた、そういった確かな手応えを感じたいということであります。

したがいまして、私といたしましては、本ワーキング・グループにおきましては企業サイドを代表する立場として、どの情報を、例えば政策保有株式の情報をどう使うのでしょうかと、例えば多くの記述情報の中でどういうウェイト付けをして使うのでしょうかと、教科書ということではなくて、個々の投資家、アナリストの皆さんが実際に日々行っている評価やアクションについて具体的に教えてほしいということをお願いしてきたつもりです。それが分かれば、そして、結果として、個々の開示が具体的な投資判断を通じてどう企業価値の向上に活かされているのかということが真に理解できれば、当該開示の重要性が企業サイドとしても腹に落ちると考えたからであります。

ですが、関心のある重要な情報なので開示すべきであるというお話はたくさん伺いましたけれども、財務情報の分析、例えばバリュエーションやROE等に加えて、個々の記述情報をこういうふうに加味して最終的な投資判断をしている、ゆえに当該情報はこのぐらい重要なのであるといったような説得力のある具体的なお話は、大変残念ながらお聞かせいただくことができなかったというのが率直な感想であります。

任意開示も含めた開示の充実、量というよりは質の充実と思いますけれども、これは今後とも継続するテーマですし、時代の変化の中で重点や情報提供や収集の方法も変わっていくものと思いますが、実際に価値を生み出すのは、いつの時代も企業サイドですので、勝手を申し上げるようで大変恐縮ではありますが、多くの企業をもっとその気にさせるべく、投資家サイドの皆様におかれては、もし次の機会がありましたら、そうした具体的なお話をぜひとも積極的にご披露いただきたいと思う次第です。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、青委員、どうぞ。

【青委員】

財務情報以外の情報を充実させることで、企業の実態がよりよく見えるようになる、そして、とりわけ、将来の企業価値を投資家が考えるに当たって重要な情報が充実するということになりますので、今回の見直しについて全般的に賛成でございます。

特に今回のワーキングの議論では、投資家側からさまざまな意見が出て、そうしたニーズをきちんと引き出していただきましたし、企業サイドにおかれましても前向きにお考えいただけたということで、両者が相まじえながら進んでいくきっかけになるということで、非常によい方向ではないかと考えます。定性的な情報のレベルは、企業の考え方次第のところもございますので、今後、開示の充実に向けて実態が進んでいくことを期待します。

それから、10ページのところでございますけれども、6の2段落と3段落のところでお書きいただいていますように、開示そのものの前に、経営戦略とか様々なものについてまだ十分に議論をされていない企業が、一部でしょうけれども、それなりにあるんじゃないかということを前提にしつつ、そこについて十分な議論を促していくことは、極めて重要だと考えております。それで、開示そのものの充実の前に、そうした各企業の経営のレベルが高まって、それが開示にあらわれるということが最も理想的なところではないかと考えますし、広く、全ての会社において実践されるためにも、法定開示で定めることが重要だと思われます。

そうした点をぜひ今後期待するとともに、ベストプラクティスをまとめられるガイダンスにおかれましても、開示の例だけということでなくて、企業にどのようなことをどういう考えで求めているかとか、会社としてこうしたことをこういう観点で議論することが望まれるポイントであるといったところも、可能であれば示しながら作っていただくと、非常に有意義なものになるのではないかと考えます。

それから、3点目としまして、7ページの会計上の見積り・仮定のところでございます。会計基準の改正により、将来の見積りというのはかなりウェイトを占めてきているというところがございますので、財務情報の信頼を高めるという観点からも、こうした情報についてできる限り、どの程度の意味合いを持った見積りなのかとか、どういう可能性があるのかということがよく分かるような開示を促すことを、実際のプラクティスをまとめる際にお考えいただければ、よい形になるのではないかと考えます。

それから、個別報酬のところでございます。先ほどからご意見ございますように、個別報酬そのものの開示を求めるお考えの方もかなりいらっしゃると思いますけれども、そういうこともあるので、プログラムとか考え方をより分かりやすく書くということが現時点では重要で、特に各社の方針が企業価値ときちんとマッチしているものかということを示していくことが一番重視されることではないかと考えます。

それから、今後、任意での開示を充実させるという部分も、法定開示に加えて重要であるというところは皆様からご意見が出ておりますけれども、法定開示を充実させながら、任意で書くことについても法定開示の中で書けるものは書いていくという形でやっていただけると、法定開示を基礎とした開示の体系ができていくかと思いますので、そうした観点も重要ではないかと考えます。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、貝増委員、どうぞ。

【貝増委員】

ありがとうございます。まず全面的にこの報告書の取りまとめの仕方に賛成をいたします。それから、前回の発言との関係で、7ページの脚注13を追加していただきまして、私の長年の怨念が少し晴れたかなと思いました。この点はありがたいと思います。

全体的なことで2点申し上げておきたいと思います。なかなか人間、思い込みというのは直らないところがありまして、少し前まで、四半期開示が投資家のショートターミズムを助長しているというもっともらしい話が、よく言われていたかと思います。でも、少なくとも今回のこの議論を通じて、あれだけの方々、海外から来てくださった方々及びここに参加している様々なタイプの長期投資家のキーパーソンの方々が、皆さん、どのように四半期の情報を利用して長期投資に役立てているのかというお話をしていただいて、少なくとも、これで四半期開示がショートターミズムを助長しているとか、短期投資を助長しているとおっしゃる方は、よっぽどだろうなと思います。なかなか思い込みは直せないというのはありますが、こうやって少しずつ開示等の充実を通じて、我々、投資家が何を求めているのかということを、少しずつ作成者の皆様にも理解していただければありがたいなと思っております。

それから、随分いろいろなことをこれからやらなければいけないとかと思いますが、あえて、これを一遍にやらなくてもいいんじゃないかと私は思っております。やらなければいけないことをやらなくていいという意味じゃなくて、一時に全部をやってくれと言われたら、それはそれでやっぱり作成者の皆様は大変だと思います。例えば、監査に絡む部分は、監査報告書の充実の作業となるべく平仄を合わせながらとか、あるいはガバナンスに絡む部分はガバナンス報告書等と合わせながらというふうに、どちらかというと太く短くが好きな私ですが、これは細く長くやっていただくということが重要じゃないかと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、三瓶委員、どうぞ。

【三瓶委員】

ありがとうございます。まず全体として、これだけ多岐にわたる論点を、それぞれというよりは全体を関連付けてまとめていただいて、ありがとうございます。この全体のまとめについて賛同いたします。ただ、これからガイダンスを作成するとか、または広く浸透させていくということからすると、幾つか改めて強調しておきたい点がございます。

まず2ページから7ページの間に書かれている、項目でいうと、「基本的な考え方」から「リスク情報」、これについて、ここは目的を改めて明確にしていただいているので非常に大事な部分だと思いますので、今後ガイダンスを作成する等でもこういったところは十分に踏まえていただきたいと思います。

そして8ページ、「5.その他(2)重要な契約」についての終わりの一行、9ページですが、「各企業により適切な開示を行うよう促していくことが求められる。」という表現で、この段階ではそれほど具体的ではないですが、ベストプラクティスなり、何を求めているのか、どういうふうに利用したいのかといったことがガイダンスにうまく書かれて、誘導していくことになるということを期待しています。

そして、大きな項目のIIの方では、12ページになりますけれども、「役員報酬に係る情報」、これは先ほど多くの委員の方々が、プログラムとしての開示に賛同されておりまして、私もそれがまずは先決かと思っています。これは欧米の例もそうですけれども、欧米ではプログラムかつ個別の開示が進んでいますけれども、いまだにおそらく完璧なものがないんですね。ただ、開示が進むことによってまずこういうプログラムでこういうインセンティブ付けを図っていくという説明を充実していただく。インセンティブ付けを図った結果、検証ができる。株主、投資家が検証できて、検証した結果、どうも想定していた、期待していたものとちょっと違うな、結果と支給が合ってないなとかいうことが見えてきて、またそこで対話が始まって、改善の方向へと、それをずっとまだ繰り返している段階だと思うんです。これから日本は、まずプログラムについてもう少し分かりやすく開示していただくことによってこれが始まっていくので、最初から完璧じゃないといけないということではなくて、双方、開示を読み取る我々投資家側もそうですし、企業側の方も、絶対これが完璧だとかというふうにあまりかたくならないでやってみて、この辺についてやっぱりちょっと違和感があるな、じゃ、次はこう変えていこうということを積み重ねていく必要があると思います。これも最終的にはやっぱりガイダンスにそれなりに書かれるんでしょうけれども、ガイダンスもそういうことを踏まえると、何年かのサイクルで見直していく必要があって、ある種の長い目でだんだんよりよいものにしていく、双方にとってよりよいものにしていくということが必要かと思います。

そして、この項目では、次の3の「政策保有株式」ですけれども、ここでは、15ページの下の方に具体的に黒丸4つでかなり踏み込んで具体化していただいています。ありがとうございます。16ページのところでは、先ほど冒頭でご説明がありましたが、持ち合いの有無について求めていくようなことでした。これについてはぜひともよろしくお願いします。具体的な株数とか金額ということではないかもしれませんが、有無というだけでも、ないとあるとでは大きく違うので、これも前進だと思います。そして、有無それ自体も把握できないとなると、そもそも政策保有であるのかどうか、今書いてある保有理由と齟齬があるのではないか、保有理由が正しいのなら有無ぐらいは分かるだろうということで、ここについてはぜひお願いしたいと思います。

そして、最後に、27ページですが、「英文による情報提供」。おそらくこのワーキング・グループがあることは多くの海外の投資家が知っています。そこで何が話されているかも知っているけれども、じゃ、実際にそれを反映したレポートはいつ出るのかなと思っていたら、せっかく今ここまでいろいろな改善を図っているんですが、これが英語で見る方々には何ら改善が反映していないとなると、大きなショックを起こすと思います。ですから、この27ページに書いてあることというのは、いろいろな試行錯誤をしながら、完全にこういうやり方でかちっとやりますということではないんですけれども、一つ一つやれることをやっていきましょうということなので、非常に大事な取組みだと思いますので、やれるところから進めていくことが非常に大事だと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

井口委員、どうぞ。

【井口委員】

ありがとうございます。まず、最初に、皆さんおっしゃっていますが、多様な意見をまとめていただき、事務局には大変深謝いたします。この報告書に示された方向性等については全て賛同いたしまして、あと、修正は座長に一任したく私は思っております。その上で、3点ほどコメントをさせていただければと思っております。

1つ目が、皆さんもコメントされた、13ページの役員報酬のところです。今、三瓶委員もおっしゃったように、私も、13ページでいいますと、下から2つ目の段落にあります、役員報酬プログラムの開示を充実するというのは、これが何よりも重要であると考えています。これ無しに役員報酬の開示をしても、ほとんど投資家には意味がないと思っていますので、ここは非常に大事だと思っています。ただ、前回も申し上げましたが、この報酬プログラムがどう機能しているかということを確認するという意味では、やはり実際の報酬支払いの開示も重要と考えています。

皆様、ご承知のように、日本企業の取締役会の構造を見ますと、多くの企業で、過半数以上が社内取締役の方で、社内取締役の方は各部門の部門長等も兼ねてらっしゃるということになっていると思います。ちょうど先週ぐらい、投資家にとっては株主総会の審査の季節でしたので、いろいろな事業報告等を読んでいましたが、ある企業さんが業績連動報酬のご説明をされていました。その中で、取締役の方の評価割合の開示を、あまりやってらっしゃるところもないですが、先進的にやってらっしゃったという例がありました。

それを見ると、経営トップ、いわゆるCEOとかCFOの方というのは、100%会社の業績で評価されるというような状況です。一方、それ以外の社内取締役の方の評価というのは、全社の業績が50%で、あと、所管されている部門の業績が50%というような状況になっています。これが、現状のように、全部一緒になって開示となったときにどうなるかということですが、せっかく報酬プログラムを開示していただいても、実際に報酬にどう反映されているかというのが、部門ごとの業績も入ってきますので分からなくなる状況になると思います。ですから、前回申し上げたように、経営トップの方のみの個別の開示が望ましいのではないかと申し上げておりました。

ただ、今回のこの資料の中を拝見しますと、13ページの下の方に、「役職ごとに支給された報酬の状況等が開示されるべき」というふうに書いていただいています。これは非常に投資家にとっては重要なところでして、例えば、所管されている部門で評価される取締役の方と区別する形で、全社の業績で評価される取締役の報酬の開示をしていただくと、それを使って、投資家は報酬プログラムが実際に機能しているかどうかを確認できます。個別開示ではありませんが、役職ごとで開示いただくと、個別開示の代替になり得るので、これは投資家にとって非常に大事なところと思っております。

あと、黒沼委員が今日出された意見書の中で、使用人を兼務している場合の重要な使用人給与に係る報酬プログラムも開示すれば、なお理解でき、いいというご意見があるんですが、たしかに、これがあれば、現状の日本の取締役会の構造を考えますと、非常に有用な開示になるのではないかと思っております。

次に、15ページの政策保有株式のところです。これにつきましては、現状、一部の企業さんを除けば、基本的に、小さい金額の株式を多くの企業さんに対して保有されているという、バスケットという言い方が正確かどうか分からないんですが、そういうふうな持ち方をされているところが多いというところからいたしますと、事務局が示されている、売却あるいは買い増した株式それぞれの金額を合計して開示していただくということでよいのではないかと思います。これにより、ガバナンス・コードで今回、政策保有株式縮減の方針というようなお話がありましたが、これを実際にどのようにやられているのかを確認できるという意味でも有用ではないかと思っております。

最後、石原委員からご指摘のあった、監査報酬のところで「信頼性」というのがどうなのかというお話がありました。これはコンセンサスではないかもしれないですが、私が1人の投資家として思うのは、やはり、外部から監査のクオリティを見るのはすごく難しい状況で、実際どれぐらい企業さんが監査に力を入れているかを見る1つの指標として、あるいはKPIとしても、監査報酬の額の開示は重要であるということです。

もう一つ言うと、ネットワークベースが何でいいのかと思いますのは、日本の企業さんというのは今かなりグローバル化されておりまして、単体だけではなくて、グローバルでやられておるという中、実際、海外で不祥事が起こるということを投資家は何度も経験しております。このとき、全体としての、会社さんが支払われている監査報酬がどの程度かというのは、監査の信頼性を知る1つの手がかりになるということで、私は、信頼性を知る非常に重要なKPIになり得ると思っております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

熊谷委員、どうぞ。

【熊谷委員】

ありがとうございます。まず個別の論点につきましてはいろいろな方がご指摘なさっておられるので、私の方からは、全体的な感想と、今後に関してお願いしたいことを述べさせていただきたいと思います。

この開示制度改革の議論というのは、スチュワードシップ・コードあるいはコーポレートガバナンス・コード等のガバナンス改革と並行するような形で、実は最初は経済産業省さんの「建設的対話促進会議」の方でスタートしたと認識しておりますけれども、それ以来、平成27年度のディスクロージャーワーキング・グループ及び今回平成29年度のディスクロージャーワーキング・グループという形でどんどん議論が深化して、より具体的になってきたと理解しております。

今回の開示制度改革の最大の趣旨というのは、建設的な対話の促進ということだろうと思いますし、さらには、それによって中長期的な日本の企業の稼ぐ力を回復させていくという、あるいはそれがまさに、今回の報告案の前文にもありますように、その果実を国民経済に還元していくということだろうと思っております。そういった意味では、今回の報告書を受けましてガイダンスをおつくりになっていかれると思うわけでありますけれども、ある意味、これは金融庁の行政のあり方としてはかなり画期的なことじゃないかなと理解しております。

以前は、法律とか細かいルールということで、行為規制を中心に資本市場の規制があったと思うんですけれども、スチュワードシップ・コードあるいはコーポレートガバナンス・コードでソフトローというような考え方が入ってきた。今回のガイダンスはさらにもう少し弱いものじゃないかなと認識しております。これによって企業が縛られるというわけではないと。法定の開示において、今の法律の枠組み内でも、ここで語られているような開示が実は可能ではないかというふうに認識しておるんですが、それが開示の実務でそうはなってこなかった。そういう意味で、今回のガイダンスの策定によって一定の方向性が金融庁からお示しいただけるということは非常に画期的ですし、それゆえ難しいこともたくさんあるんじゃないかなと考えております。金融庁の行政自体も、バブルの崩壊以降、それまでのルール主義の行政からプリンシプルベースの行政に切りかわってきておるわけでありますけれども、今般の開示制度改革はそういった考え方を非常に先鋭的に取り入れた改革になっていくんじゃないかなと認識しております。

ここが実は難しいところだと思っているんですけれども、やはり法律で縛るというタイプのものではなくて、先ほど石原委員からもございましたけれども、企業に腹落ちした形でやっていただくということがとても大切になってくる。そのために行政としてガイダンスを出していただくわけでありますけれども、それを受けまして、投資家と企業における対話を通じて実際それがよりいい制度に仕上がっていくということが重要じゃないかと思っております。いきなりベストプラクティスということではなくて、ベタープラクティスを積み上げていくことによって理想に近づけていくということが、今後の資本市場の規制あるいは行政のあり方として、そういった意味での試金石になるのかなと考えております。

そういった意味では、これからは規制によって企業の行動を縛る、あるいは投資家の行動を縛るということではなくて、これまでとは違って、いかに企業あるいは投資家をインセンティブ付けしていくかということが非常に重要になってくると思いますので、このガイダンスに沿ってどのようなグッドプラクティスあるいはベタープラクティスが生まれていくかということを、金融庁としてもしっかりフォローアップしていただいて、それをまた市場に還元していっていただく。あるいは、民間サイドも自分たちのプラクティスとしてそういうベタープラクティスを参照しながらベストプラクティスを求めていくということが必要になるんじゃないかなと思っております。

それからあと1点、実はここでも法定開示か任意開示かという議論が随分ございましたけれども、昨年、経済産業省の方から「価値協創レポート」という、任意開示を前提とした、ベストプラクティスを目指すようなガイダンスが出ているわけであります。そもそもこの開示制度改革というのは省庁横断的なお話として、スタートしたところであります。経済産業省あるいは金融庁、お立場の違いはあるとは思うんですけれども、経産省のガイダンスもいろいろ大変参考になるところがございますと思いますので、金融庁のガイダンスをつくられる際には、ぜひそういう先行していいものがある。諸外国も含めましてそういうものをどんどん取り入れて、よりベターなガイダンスをつくっていただけたら素晴らしいと思います。

以上です。ありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

いろいろご意見をいただきまして、大変ありがとうございました。それで、今日は取りまとめをさせていただきたいと思うのですけれども、多くの委員の方々から、これまで個別の項目につきましては、それぞれのお立場から意見が異なっているような事柄もたくさんありましたし、そういったものを、皆様方のご指摘を踏まえて今日の案に事務局の方でまとめていただきました。それについては多くの方々から、基本はこれでいいだろうということでご賛同いただいたものと思います。

その上で、今日たくさん細かいご指摘もいただきましたので、今のお手元の報告の案の流れは阻害しない範囲で、ご指摘いただきましたものを一部修正という形で盛り込めるものが幾つかあると思いますので、それは盛り込んで、そういう意味で一部微修正をさせていただいて、取りまとめということにさせていただきたいと思いますけれども、そういうことでさせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)
 
【神田座長】

どうもありがとうございます。

なお、表現ぶりの平仄とか、そういった最終的な精査につきましては、恐縮ですけれども、私にご一任いただければと思います。既に先ほどご指摘ございましたけれども、取締役会の「会」とか、それから、各段落の文章の末尾をどうするかというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、表現ぶり、その他の点は、最終的にこちらで確認をさせていただいた上で、取りまとめとさせていただきます。

また、本ワーキング・グループの取りまとめの結果につきましては、今後、金融審議会の総会にご報告をさせていただきたいと存じます。

というわけでございまして、このワーキング・グループは、本日1つの区切りを迎えることができました。これはひとえに委員の皆様方が大変お忙しいところを、毎回非常に精力的な、また多様な、多角的な、そして、建設的なご意見を多数お出しいただいたところでありまして、誠にありがとうございました。この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。

また、委員の皆様方には、今後も日本のディスクロージャー制度を一層充実、発展させていくためにも、いろいろな機会にご意見、ご指導をいただくことになると思いますけれども、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、これで散会とさせていただきます。皆様、どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局企業開示課(内線3665、3846)

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