金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第1回) 議事録

  • 1.日時:

    令和4年10月5日(水曜日)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

【神田座長】
 ただいまから、令和4年度の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ第1回目の会合を開催させていただきます。皆様方にはいつも大変お忙しいところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 申し遅れましたが、私、このワーキング・グループの座長を務めることになりました神田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の会議でございますけれども、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンライン会議を併用した開催ということにさせていただきます。

 議事録は、通常どおり作成の上、金融庁ホームページにて後日公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

 それで、会議を始めます前にお知らせがございます。本年9月に、上柳敏郎委員が御逝去されました。ここに生前の御功績をしのび、改めて御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。

 なお、告別式は近親者で執り行い、香典、供花などは御辞退されておりますので、併せてお伝えをさせていただきます。

 続きまして、事務局から留意事項がございますので、御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【廣川企業開示課長】
 神田先生、ありがとうございます。おはようございます。金融庁の企業開示課長の廣川でございます。よろしくお願いいたします。

 本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、御発言を希望される際は、オンライン会議システムのチャット上にて、全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から指名をいただきます。また、御発言をされる際には、冒頭にお名前をお願い申し上げます。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。続きまして、このディスクロージャーワーキング・グループを再開するに当たりまして、メンバーとオブザーバーに変更がありましたので、これも事務局から御紹介をお願いします。

【廣川企業開示課長】
 ありがとうございます。このたび新たにディスクロージャーワーキング・グループのメンバーに御就任いただいた方々を御紹介させていただきます。私のほうから読み上げという形でさせていただきます。

 資料1のディスクロージャーワーキング・グループのメンバー名簿の記載順でございますけれども、小倉加奈子様、柿原アツ子様、渋澤健様です。なお、藤村武宏様は御退任されています。

 次に、オブザーバーとしては、新たに関西経済連合会様に御参加いただいておりまして、全国銀行協会様、日本証券業協会様は御退任されています。

 事務局については、時間の都合もございますので、お手元の配席図をもって紹介に代えさせていただければと存じます。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。次に、私が万が一、会議に参加できないような場合に備えまして、座長代理をお願いしたいと考えております。本日御欠席なのですが、神作先生にお願いしたいと考えており、後日、御本人にお伺いしたいと思っておりますけれども、委員の皆様方にそういうことにさせていただくことについて御了承いただけますでしょうか。

 どうもありがとうございます。画面上うなずいていただいている委員の方々にはありがとうございます。そういうこととさせていただきます。それでは、後日、神作先生にお伺いをして御了解を得ましたら、座長代理をお願いするということにさせていただきます。

 それから、会議の公開についても、今日、第1回目ということですのでお諮りさせていただきたいと思います。金融審議会の議事規則の第4条に則りまして、ディスクロージャーワーキング・グループの審議については公開とさせていただきたいと思いますけれども、そのようにさせていただいてもよろしゅうございますでしょうか。

 どうもありがとうございます。それでは、御了解いただいたということとさせていただき、本日の会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせていただきます。

 では、本日の議事に移らせていただきます。本日は、事務局から資料の説明をした上で、それに基づいて皆様方から質疑応答、討議をしていただくということになります。

 それでは、事務局から資料についての説明をお願いします、廣川企業開示課長、よろしくお願いいたします。

【廣川企業開示課長】
 ありがとうございます。それでは、お手元の資料2に沿いまして説明をさせていただきたいと思います。

 おめくりいただきまして、まず1ページ、2ページまでですけれども、前回のディスクロージャーワーキング・グループにおきましては、御議論いただいた結果として、本年6月に報告を取りまとめて公表をしていただいております。そちらの報告では、サステナビリティ情報等の非財務情報の開示の充実や金融商品取引法の四半期開示義務を廃止して四半期決算短信に一本化する、こういう方向で見直すことについての取りまとめが行われておりまして、その報告におきまして、今後、このディスクロージャーワーキング・グループにおいて、四半期決算短信への一本化の具体化に向けた課題等についてさらなる検討を実施していくということが書かれていたところでございます。具体的には、2ページ、3ページに前回ディスクロージャーワーキング・グループ報告の抜粋をつけてございます。

 四半期開示については後ほど詳しく申し上げますけれども、それに加えまして、この3ページにありますように、サステナビリティについても、サステナビリティ開示に関する企業や投資家の実務的準備に資するロードマップ、それからサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の役割の明確化といった点について、さらなる検討を進める必要があるとされておりまして、こちらについては、また次回以降、御議論いただきたいと考えてございます。

 それでは、本日のテーマであります四半期開示について説明をさせていただきます。4ページが目次になっておりまして、四半期開示について、本日はA、B、C、D、E、Fということで6つ事項を立てておりまして、これに沿って説明をさせていただきます。

 5ページへ行きまして、まず、この四半期開示についてですけれども、政府が本年の6月7日に閣議決定をした「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」において、四半期決算短信に一本化をするということ、それから、本年内に具体策を検討した上で関連法案を提出するということ、これが閣議決定されております。なお、附属の工程表におきましては、関連法案の提出時期として、来年の通常国会が念頭に置かれているということが示されているところでございます。

 次に6ページに参ります。前回のディスクロージャーワーキング・グループにおきましては、四半期決算短信、四半期報告書の一本化ということで、具体的には、こちらの資料だけではなくて、参考資料の3ページに当時の検討結果について報告の抜粋の形でつけさせていただいているので、少しそちらのほうも触れながら説明させていただきますけれども、四半期開示の見直しの方向性につきましては、法定の四半期報告書と四半期決算短信につきまして、内容面での重複とか開示タイミングの近接というのが指摘されたということで、両者の一本化を通じたコストの削減や開示の効率化が可能であると考えられるというふうに報告ではされました。

 その上で、一本化はどちらにするのかということにつきましては、開示のタイミングがより遅い四半期報告書に集約させると、特に情報の適時性が低下するおそれがある、こういう指摘がございました。また、四半期決算短信のほうは投資家に広く利用されている、こういうお話もございました。その上で、正確性担保という観点からは、四半期報告書の形でなくても代替的な手法、例えば四半期決算短信を臨時報告書として開示することにより担保する方策等により確保することも考えられるとの指摘がある、こういうふうになっておりまして、それも踏まえて、四半期決算短信のほうに一本化するということが提言をされたところでございます。

 その上で、また本体の6ページのほうに戻らせていただきます。しかしながら、今後さらに具体的に検討をしていくべき論点があるということで、5つほどですけども、具体的な課題、ここに書かせていただいていますように、四半期決算短信の義務付けの有無ですとか、四半期決算短信の開示内容、それから監査人によるレビューの有無、そして虚偽記載に対するエンフォースメント確保の手段、それから半期報告書についてですけれども、記載事項及び監査人の保証のあり方ということで課題があるとされていたところでございます。

 それでは、本日、それぞれの論点についてさらに深く説明させていただきます。7ページ、それから8ページに参りまして、まず、四半期決算短信の義務付けの有無に関しましては、前回のディスクロージャーワーキング・グループで四半期開示の義務付け、あるいは場合によっては任意化でもいいのではないかということで、義務付けるべき、任意化すべきという方向性から、様々な御意見をいただいているところでございます。

 また、諸外国におきましては、9ページになりますけれども、四半期開示については、米国、中国では法令で義務化されていますけれども、欧州では任意化されているということは、前回のディスクロージャーワーキング・グループでも御紹介したところでございます。

 それから10ページに参りまして、前回、ディスクロージャーワーキング・グループでは必ずしも御紹介していなかったかと思うのですけれども、アジアのシンガポールにおきましては、2020年に四半期開示が任意化されているところでございますけども、ただ、監査人が不適正意見等を表明した企業ですとか、取引所が規制上の懸念があり、必要だと判断した場合には四半期開示を求めるといったような形で、下に実際に四半期開示を求められている社数もつけてございますけれども、そういった仕組みがシンガポールにはあるということ、御参考までに御紹介でございます。

 次に、四半期開示の話と非常に関連が深い、特に義務付けの話と関連が深いと思われます適時開示の充実について御説明をさせていただきます。12ページに参りまして、これは前回のディスクロージャーワーキング・グループ報告の抜粋ですけれども、積極的な適時開示により幅広い資金を取り込むことができる環境を確立することができれば、必ずしも一律に四半期開示を求めなくても、投資家に充実した情報が提供されることになるとの指摘もあるということ、これは報告でも触れられているところでございます。

 そういったところで適時開示についてでありますけれども、13ページに参りまして、まず、これも前回のディスクロージャーワーキング・グループでも御紹介したことではあるのですけれども、日本におきましては、開示対象とか重要性基準を定める細則主義ということが採用されているということであります。一方で、米国、英国など海外におきましては、原則主義に基づき、企業が開示すべき事項や重要性を判断しているということでございます。

 また、14ページに参りまして、この適時開示の開示該当事由、先ほど細則主義と申し上げましたが、基本的にはインサイダー取引規制と揃えられているということでございまして、経緯は参考資料の16ページにつけておりますので、後ほどお時間があるときに御覧いただけたらと考えてございます。

 また、その上で15ページですけれども、適時開示の軽微基準、数値による軽微基準ですけれども、こちらのほうも基本的にはインサイダー取引規制の軽微基準と同程度のものが規定されているということで、特に例えば業績予想のところなどを見ていただきますと、売上高で変動率上下10%未満ですとか、経常利益でいきますと、変動率上下30%未満といったような軽微基準としての数値基準があるということでございます。

 16ページに参ります。適時開示の実態はどうかということで、これも前回ディスクロージャーワーキング・グループでも御紹介をさせていただきました資料、東京証券取引所の資料を参考に使わせていただいているものでございますけれども、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大時、一番最初の頃、決算発表時期の2020年の4月下旬から5月頃の状況でございますけれども、その頃に、リスク情報としてこのコロナの話を開示した事例というのは、全体の約1割程度にとどまっていたのですが、蓋を開けて第1四半期の決算が出ると、半数以上の会社が前年同四半期比で30%以上の減益となったという旨を開示されていたということでございます。

 また、17ページに参りまして、より最近の事例でいきますと、ロシア・ウクライナ情勢についてですけれども、事業活動や経営成績に及ぼす影響やリスク説明に関する積極的な開示、これは取引所のほうからも要請されているのですけれども、必ずしも開示例は多くなかったというような評価でございます。

 そういった中でも開示されている企業はあるということで、18ページに日本における開示として、株式会社日立製作所の例。それから、海外ではそれなりに開示例があると言われておりまして、19ページに参考までに、Deutsche BankとBritish American Tobaccoの開示例をつけてございます。

 次の論点の資料説明に参ります。四半期決算短信の開示内容ということでございまして、四半期開示については、21ページですけれども、特に四半期決算短信につきましては、そこの真ん中ほどに四半期決算短信参考様式ということでございますけれども、このような形で、比較可能性が高い形での情報提供が行われているというところが日本の特徴かと存じます。

 22ページに参りまして、その上で、この四半期決算短信については、2回ぐらい前になりますけども、2016年のディスクロージャーワーキング・グループにおきまして、速報としての性格ということを鑑みた上で、整理・合理化ということで、簡素化という方向での見直しを実施してきているという経緯がございます。当時は、現行もそうですけども、四半期報告書という法定開示があるということが前提になっておりまして、その記載内容との重複を鑑みてということで、このような検討がなされたという経緯でございます。

 23ページに参りまして、では、四半期決算短信と四半期報告書、開示内容がどう違うのかということで比較をしております。まず、非財務情報でありますけれども、四半期報告書と比較しますと、四半期決算短信の場合は、事業等のリスク、経営上の重要な契約等、研究開発活動の状況に重要な変更があった場合の記載などが求められていないというところがございます。なお、これらの情報につきましては、法定の臨時報告書あるいは取引所の適時開示、一般においても記載が求められているわけでは必ずしもないということでございます。具体的に書かれていないということでありまして、右のほうを見ていただきますと、一般的に重要な事実が発生した場合というのは、開示がそれぞれ臨時報告書、適時開示でも求められているというのは、大きく言えば、制度としてはそうなっているということを付言させていただきます。

 24ページに参りまして、今申し上げたような、例えばですけれども、非財務情報の中での開示例ということで、四半期報告書では開示がされているのだけれども、四半期決算短信では必ずしも出てこない情報の例として、事業等のリスク、MD&Aの実際の開示例を匿名化してつけさせていただいております。

 それから25ページに参りまして、今度は財務情報です。こちらは、四半期決算短信では四半期報告書で開示されている財務情報のうち、例えばセグメント情報、キャッシュ・フローの情報、減価償却費等の情報が要請されてないといったところ、その他、見ていただきますように、バー(-)がついているところは四半期決算短信では求められていない事項でございます。

 それから参考までに26ページですけれども、特に財務の話につきまして参考情報として、四半期財務諸表に関しましては、会計基準は企業会計基準委員会(ASBJ)において策定されているものでございます。また、それと整合的な形で、金融庁では四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則を内閣府令という形で定めているということでございまして、会計基準のほうでは、会計処理のみならずその開示についての定めもあって、その開示部分と整合的な形で、下にありますような内閣府令が定められているということでございます。

 27ページに参ります。これは、先ほど申し上げました財務情報のうち、四半期報告書のみで求められているようなものということで、キャッシュ・フローに関する情報とかセグメント情報についての実際の開示例を匿名化したものでございます。

 次に参ります。次は四半期決算短信の監査人によるレビューの有無ということでございまして、この四半期決算に関するレビューですけれども、こちらのほうは29ページに参りまして、2006年の金融商品取引法による四半期報告制度導入というのに合わせまして、これを受ける形で、2007年3月に企業会計審議会のほうで四半期レビュー基準というのが策定されて、この四半期報告制度の法定の制度の施行、2008年4月に合わせて実施をされている、導入されているということでございます。なお、この四半期レビュー基準は、国際的なレビュー基準との整合性が図られているというところが特徴でございます。

 30ページに参ります。では、諸外国における四半期レビューの状況について、米国では法定開示で四半期報告書がありますので、それに合わせて四半期レビューが義務付けられているところでございますけれども、ドイツ、英国、フランスといったところは、そもそも開示自体が任意になっているというところも多くございますので、四半期レビューというものについては任意となっており、例えばドイツについてですけれども、主要銘柄のDAX40について実際にどれぐらいつけているのかというところを調べておりますけども、必ずしも多くがつけているわけではないということを確認してございます。

 31ページに参ります。四半期決算短信と四半期報告書の開示タイミングの差ということでございまして、レビューについて考えるに当たって、この開示タイミングの話が1つポイントになろうかと存じましたので、この資料をつけてございます。具体的には、これは今の日本の状況なのですが、2022年3月期第1四半期のデータを取りまして見てみたところですけれども、四半期決算短信の開示から四半期報告書の提出までの日数が5日以内となっているのが、この左の円グラフですけれども、それなりには多いということで、一見その両書類の開示のタイミングは近接しているということなのですけれども、ただ、四半期決算短信を比較的早期、例えばですけれども、決算期末後30日以内に四半期決算短信を開示されている企業におきましても、この右の升目のほうを見ていただきますと、四半期報告書の提出までは一定の日数がかかっている企業が多いということでありまして、実際、何百社という企業が、四半期報告書のほうは36日以降に出されているといったところが確認できております。

 こちらとレビューが関係してくるのではないかと考えておりまして、レビューのイメージというのを下につけておりますけれども、右の2つ目の黒丸にありますように、例えば第1四半期であれば、3月期決算の会社で第1四半期が6月末に終了といったときに、これは、当然各企業によって、あるいは監査人によって時期は様々ではありますけれども、一般的に、例えばですが7月中旬から8月上旬ぐらいまで第1四半期レビューの手続が行われているといったようなことを聞いてございまして、こういったところが影響している可能性があるのではないかということでございます。なお、そこまで申し上げた上で、数は少ないのですけども、例えばですが、この升目のところで左下、32社ほどは、四半期報告書も含めて30日以内に出されているということで、参考資料の一番後ろの17ページに、具体的にどういった企業がこの32社なのかをつけてございます。御確認いただければ、大手企業も入っていらっしゃるということは分かるかと存じます。

 それから次のテーマに参ります。四半期決算短信の虚偽記載に対するエンフォースメントということで、32ページ、33ページでございますけれども、四半期決算短信の虚偽の責任につきましては、決算短信ですので、取引所規則の制裁措置というのが課されているということでございまして、そこの左にありますように、特設注意市場銘柄への指定とか、それから改善報告書及び改善状況報告書の提出あるいは公表、あるいは上場契約違約金といったようなところがございます。これらは重複して適用されることもあるというものでございます。

 なお、参考までに右側ですけれども、金融商品取引法におきましては、四半期報告書、これは半期報告書と臨時報告書と揃っているわけですけれども、刑事罰、課徴金、それから民事責任の規定というのがございます。

 34ページに参りまして、ではということで、虚偽記載に関する実際のエンフォースメントが、法定の四半期報告書に関するもの、それから四半期決算短信に対する取引所のエンフォースメントということで、どのような形で、どのような件数発動されているかということで、それをまとめたものでございますけれども、上のほうが法定の四半期報告書に関係するものでありまして、虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告の対象書類と件数ということでございます。そこを見ていただきますと、四半期報告書に絡むものについて、第1・第3四半期の四半期報告書のみを対象にしたものというのは1件ということでございます。一方で、何らかの形で年度の有価証券報告書とか、さらにもっと言えば複数の年度にまたがるとか、あるいは第2四半期の四半期報告書も対象になっているというようなものを含めますと、そちらのほうは39件ということでございます。

 一方で、下のほうに参りまして、取引所のエンフォースメントですけれども、そちらにありますように、特設注意市場銘柄の指定といったところとか、数が多いのは改善報告書の提出、それから公表措置といったところでございます。

 なお、1点申し遅れましたけれども、これは集計の時期が、上の虚偽記載の課徴金の件数のほうは2016年7月からの6年間であるのに対して、取引所のほうのエンフォースメントについては2018年からの4年半ということで、ちょっと時期がずれております。申し訳ございません、お断りをしておきます。

 それから次に参りまして35ページですけれども、この議論の参考ということで、米国ですけれども、米国におきましては、これは法定の制度として、米国証券取引委員会(SEC)の制度として、四半期の、あるいはその四半期や年度の業績とか、業績といいますか、事業の状況ですね、それから財政状態の結果に関する情報をプレスリリース等で公表した場合には、それをForm 8-K、臨時報告書の形でSECにも提出するということが求められているところでございます。

 それから最後に参ります。半期報告書・中間監査のあり方ということでございます。

 37ページに参りまして、有価証券報告書を提出する非上場の企業というのは、金融商品取引法に基づきまして中間監査を受けた半期報告書の提出というのが求められております。今回、上場企業につきまして、法令上の四半期開示義務(第1・第3四半期)廃止というのに伴いまして、第2四半期(半期報告書)の開示のあり方、開示内容、レビュー、中間監査等々についての検討が必要かと考えてございます。

 ということで、38ページに、半期報告書と第2四半期報告書、現在の上場企業の第2四半期ですけれども、こちらの比較を、まず非財務情報からしております。非財務情報の開示事項は、一部、青色部分を除きましておおむね同様のものと半期報告書・第2四半期報告書はなってございます。

 一方で、財務情報が次の39ページですけれども、こちらのほうを見ますと、特に単体の財務諸表は半期報告書においては求められているのですけれども、上場の第2四半期報告書においては求められていない。あるいはリース取引の注記のあるなしといったところでその差があるところでございます。

 また、40ページに参りまして、レビュー、監査につきましてですけれども、四半期レビューのほうは限定的保証という保証水準でありまして、質問、分析的手続が中心になっているのに対して、中間監査のほうにつきましては、合理的保証ということで、監査リスクの評価というのが入った上で、そうした観点からの監査の手続になっておりまして、中間監査の水準に応じた運用評価手続ですとか、あと、実証手続ですとか、こういったところがあるといったところが特徴でございます。なお、この中間監査というのは日本独特の監査制度と言われてございます。

 それから、41ページに参りまして、実際に半期報告書を作成して中間監査を受けると、こちらのほうは先ほど申し遅れましたけれども、法定で提出期限は3か月以内となってございます。実際、それに合わせる形で、上ですけど、これはあくまでもイメージではあるのですけれども、ただ、例えばですが、3月期決算の会社であれば9月末に中間決算日が来まして、そこから12月の下旬までかけて作成と監査の手続が続くというのが一般的なイメージかと存じております。

 それから42ページに参ります。諸外国の半期部分についてですけれども、期中報告という形で、先ほど四半期について欧州は任意ということを申し上げたのですけれども、半期については期中報告というのがそれぞれ法律、規則で求められておりまして、フランスなんかではレビューについても必要だとされているということ。また、プラクティスという意味でいきますと、多くの主要企業、例えばFTSE100とか、それからDAX40とかでいきますと、多くの企業がレビューをつけているということでございます。

 43ページはイメージでありまして、業績に関する定性的な情報ですとか、期間中のリスクの状況に合わせて財務情報がついているということで、最後にレビュー報告書がついている、こんなようなイメージ感でございます。

 最後、以上を踏まえまして、本日御議論いただきたい事項でございます。ちょっと長くなってしまって申し訳ございません。読み上げをさせていただきます。45ページです。

 四半期決算短信の義務付けの有無から参ります。上場企業に四半期決算短信の作成・提出を一律に義務付けるか、あるいは任意とするか。例えば、積極的な適時開示により投資家に充実した情報が提供される環境が確立できれば、必ずしも一律に四半期決算短信を求める必要はないとの考え方もあるが、これについてどう考えるか。その他、義務付けの有無を検討するに当たって考慮すべきことはあるか。

 適時開示の充実に参ります。投資家の投資判断上、よりタイムリーに企業の状況変化に関する情報が企業から開示されることが重要であるところ、適時開示の充実に向けてどのような取組みが考えられるか。例えば、好事例の公表など取引所の取組みによる開示実務の促進やエンフォースメントについてどう考えるか。

 投資家が真に必要とする情報を企業が積極的かつタイムリーに開示する姿勢を促していく観点から、現行の適時開示制度は、基本的にインサイダー取引規制に倣った事項が定められ、軽微基準もあり、細則主義的となっている点で課題があるとの意見があるが、これについてどう考えるか。

 次のページ、46ページに参ります。四半期決算短信の開示内容でございます。四半期決算短信では、具体的にどのような非財務・財務情報の開示が必要か。特に、現行の四半期報告書に含まれていて四半期決算短信には含まれていない情報の開示についてどう考えるか。

 例えば、現行の四半期報告書の記載事項のうち四半期決算短信に含まれていないものを、(四半期決算短信以外の)適時開示、あるいは臨時報告書の記載事項とすることについてどう考えるか。

 次、四半期決算短信に対する監査人によるレビューの有無に参ります。四半期決算短信に対する監査人によるレビューについては、情報の信頼性の確保や企業負担の観点から、義務付けをどう考えるか。

 仮にレビューを一律義務付けない場合、企業の判断でレビューを任意で受けることができるようにすることについてどう考えるか。また、会計不正が起こった場合や企業の内部統制の不備が判明した場合について、どう考えるか。

 仮に任意の場合も含めレビューをつける場合、四半期決算短信の提出時期に遅れが生じる可能性があるが、どう考えるか。

 次、47ページに参ります。四半期決算短信の虚偽記載に対するエンフォースメント。四半期決算短信に対するエンフォースメントとして、現在は取引所による枠組みがあるが、今後のあり方についてどう考えるか。

 四半期報告書の廃止に伴い、四半期開示の虚偽記載に対する刑事罰・課徴金によるエンフォースメントがなくなることについてどう考えるか。

 次は半期報告書・中間監査のあり方に参ります。四半期報告書の廃止に伴い、上場企業の半期報告書の記載内容をどう考えるか。また、上場企業が半期報告書を提出することになることを踏まえて、半期報告書の提出時期をどう考えるか。

 関連して、非上場企業の半期報告書の記載内容、提出時期についてどう考えるか。

 半期報告書に対する保証については、現在はレビューと異なる中間監査が行われているが、上場企業が半期報告書を提出することを踏まえて、今後の保証のあり方についてどう考えるか。

 その他、上記のほか、四半期開示の見直しにより、どのような事項を検討すべきかということで、括弧書きで四半期会計基準、四半期レビュー基準等ということで書かせていただいております。

 長くなりましたが、以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうも御説明をいただきましてありがとうございました。それではこれから、まず委員の皆様方から御質問、御意見をお出しいただくという討議の時間とさせていただきたいと思います。委員の皆様方から御質問、御意見をいただいた後で、オブザーバーの皆様方から御発言をいただく機会を設けたいと思っております。

 今御説明がありましたように、御議論いただきたい事項として、資料2でいいますと44ページから47ページが中身ということになります。説明にありましたように、AからFまで6項目、それから今日、再開後初回ですので、その他というのも最後47ページに書いていただいておりますので、適宜参照しながら御質問、御意見をお出しいただければありがたく思います。

 本日、このワーキング・グループは再開後初回でございますので、参加していただいている委員の皆様方からは、できれば全ての委員の皆様方から御意見等を頂戴できればありがたく思います。ということで、いつものように恐縮ですけれども、計算いたしますとお一人当たり三、四分以内辺りをめどにしていただきますとありがたく存じます。

 それではまず、委員の皆様方から御質問、御意見を承りたいと思いますが、いつものように、先ほどまたお知らせしましたように、チャット欄にて発言希望とお名前を入れていただきたいと思います。そうしましたら私のほうから御指名をさせていただきます。いかがでしょうか。どなたからでも、よろしくお願いいたします。

 早速ありがとうございます。井口委員、どうぞ、お願いいたします。

【井口委員】
 ありがとうございます。まず、事務局には、いつものとおりの詳細な資料を作成いただき、ありがとうございます。大変よく理解できました。

 事務局説明資料46ページの議論のポイントに沿って、四半期開示について意見を述べさせていただければと思っております。私は中長期的な視点の中で四半期開示の位置付けをどうするかという観点が重要と考えております。この点、前回の審議会でも議論されましたように、四半期開示というのは、中長期的な計画等の進捗の確認をするということにおいて重要な開示と考えております。ですので、利用者の一人としては、開示の効率化のために、現状レベルの情報の質を落とすということには慎重であるべきと考えております。

 それで、1点目の四半期開示の義務付けの有無については、これは義務付けるべきと思っております。これは、今まさに申し上げましたように、示された中長期的な計画の進捗を確認するということで必要であるからということです。

 1つ飛びまして3点目の四半期決算短信の内容についてです。四半期報告書がなくなるということですので、基本的には、この事務局説明資料の22ページに記載の表でいいますと、四半期報告書の重複で見直されたということがあると思いますので、見直し前の水準に戻すべきではないかと思っております。特に、サマリー情報に加えて、連結財務諸表、これはキャッシュ・フロー計算書も含みますが、それと主な注記というのは非常に重要と考えております。

 また、注記の中でも、ちょうどこの事務局説明資料の25ページで言いますと、四半期貸借対照表関係、四半期損益計算書関係、あるいはセグメント情報、四半期キャッシュ・フロー計算書関係などの注記というのは、本表を理解する上では不可欠な開示と考えております。ただ、あとの四半期報告書にあります四半期決算短信にない情報、例えば事業の内容、事業等のリスク、経営上の重要な契約等、研究開発活動の状況、提出会社の状況といった開示については、重要な変更があった場合、適時開示あるいは臨時報告書で対応するということでいいのではないかと考えております。こういった考えの背景というのは、冒頭で申し上げましたように、四半期開示というのは中長期的な計画等の進捗の状況を定量的に確認するために必要という考えに基づくものです。

 4点目の四半期レビューです。令和3年度ディスクロージャーワーキング・グループ第6回の事務局説明資料にもありましたように、第1・第3四半期にも、会計上の理由によって、年度末と同程度の数の企業が決算延期しているということは重要な確認事項と考えております。これはレビューの有効性というのを示しておりまして、正確性確保の観点でレビューは有効で欠かせないと思っています。また、これは投資家だけではなく、不正を早期発見できるという意味で企業にとっての有用性も示しているのではないかと思っています。

 こういったことに伴う開示の遅れですが、これも事務局説明資料の31ページを見ますと、6割の上場企業で四半期決算短信から5日以内の遅れ、10日以内の遅れで見ますと80%以上の企業が四半期報告書を提出しているということが確認できます。冒頭申し上げましたように、中長期視点の確認のための四半期開示と位置付けますと、この程度の遅れというのには大きな意味はないと思っています。また、四半期開示が一本化された場合というのは、2つの公表資料を作成する必要がなくなるということで、企業の作業が減少すること、あるいは投資家から早期開示の要求が高まること、それと、企業が開示を急ぐといったことから、こういった遅れというのがさらに短くなるのではないかと思っています。ですので、現状の四半期決算短信と四半期報告書の公表時期の差にこだわるよりも、情報の質にこだわるべきではないかと考えております。

 5点目の虚偽記載についてですが、エンフォースメントを高めて虚偽記載を防ぐということには賛成なのですが、一方、現状、四半期決算短信のサマリー情報にあります配当の予想とか、あるいは来年度の業績予想の開示というのは、運用実務において重要な開示となっていると思っています。こういった開示に与える影響も考え、エンフォースメントの度合いを考えるべきではないかと思っております。

 この結果、仮に第1・第3四半期のエンフォースメントが弱まる可能性があると思いますが、6点目にあります、半期報告書で、中間時点でしっかりエンフォースメントとするという考え方もあるのではないかと思います。

 最後ですが、半期報告書の監査レベルに関してです。事務局説明資料の42ページの主要各国の状況、それと、発言しましたように、これまで日本でも四半期レビューが一定の効果を発揮したということを考えますと、海外同様、監査又はレビューというようなことも考えられるのではないかと思います。これも事務局説明資料41ページに示していただいておりますが、中間監査業務というのは多くの工程を要しているということを考えますと、このように、半期においても四半期レビューを許容することによって、米国では45日とされておるようですが、開示タイミングが早くなるということも期待できるのではないかと思っております。

 すみません、ちょっと長くなりましたが、以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは、チャットをいただいております順番で、次に渋澤委員、どうぞお願いいたします。

【渋澤委員】
 ありがとうございます。今回から初めて参加させていただきます渋澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 資本市場にはいろいろな投資家がおりまして、短期、長期あるいはアクティブ、パッシブ、いろいろおります。そしてそれが大前提になりまして、そしてその情報開示は公平でなければならない、これも大前提だと思います。ただ、私、今日は長期投資の視点からのお話になりますが、四半期決算には課題もあると思っていまして、その課題というのはサイレント期間です。もちろん、サイレント期間が設けられることは当然なことであります。ただ、サイレント期間が年に4回あると、企業との対話を重視している我々として、対話の機会が減るわけです。これをどういうふうに対応したらいいのかなというところが私の問題提議であります。四半期ごとで企業の対話の機会が減るということ、情報開示によって対話の機会が減るということにどうなのかなと思うことがあります。

 もう一つは、財務的な情報開示ですと、これは過去のことなので、すぐそういう意味ではまとめることができるかと思います。ただ、これから企業は非財務的な価値の情報開示も求められるような時代の流れが明らかに出てきていると思いまして、その非財務的な情報開示というのは、過去、現在ということも含むのですけど、これからの将来のシナリオというところも含むと思うのです。それを財務価値と同じように四半期ごとに大きく変わるということもないと思いますし、それに加え、現在Scope1、Scope2というのが守備範囲に入っていると思うのですけど、これがScope3に入りますと、情報開示するだけで手いっぱいということになります。情報を開示することだけが仕事になってしまって、繰り返しになりますけど、投資家との対話という時間が逆に足らなくなってしまうのではないかという懸念もありますので、そのバランスも考えて最終的な方向性というのを定めていただきたいと思っております。以上です。ありがとうございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、近江委員、どうぞお願いいたします。

【近江委員】
 近江です。御指名ありがとうございます。私からは、まず、四半期決算短信の作成・提出につきましては、そのメリットを考えますと、やはり義務化が望ましいという意見を持っております。先ほど2名の委員の方々から示唆に富む意見がございましたけれども、令和3年度ディスクロージャーワーキング・グループ第6回においても私からも申し上げましたけれども、何より、企業と投資家とのコミュニケーションが大事であって、投資家は適切な自主開示を行う企業姿勢というのを高く評価しているということであって、ルールで縛らなくとも、企業側が投資家にとって重要な情報を様々な形で開示するというのが理想的である、このようにもちろん考えておりますけれども、仮に任意化したことによって、日本企業の情報発信が全体として低下した場合、そして透明性が後退した場合のグローバルの投資への影響といったものを、一投資家の立場から危惧をしているということであって、廃止するメリットよりも廃止するデメリットのほうが多いのでないかと認識しております。ですので、ここは慎重に考えるべきであると考えます。そして、任意化のメリットとして挙げられている企業側の負担の減少といったところにつきましても、今回の四半期報告書の廃止によって相当程度軽減される、このように思っております。

 適時開示に関しましては、日本企業における積極的な姿勢が乏しいという指摘に鑑みまして、例えば適時開示のハードルを下げるための取組みを取引所などが主導するということについては支持しますし、開示対象に関する具体的項目の列挙であったり、重要性基準などが自主的な開示の妨げになっているということであれば、これを外していくという意味はあるのではないかと考えております。

 一方、四半期決算短信の開示内容ですが、四半期報告書では事業等のリスクであったり経営上の重要な契約等、研究開発活動の状況について重要な変更があった場合について開示を求めているということでありまして、四半期決算短信でもこれらの項目の開示を義務化するのではなくて、企業が重要と判断する場合に自主的な開示を適時行うことができるというような形を促せばいいのではないか、このように考えます。

 一方で、投資家の立場から、今まで開示されていた項目として、経営戦略の進捗状況を把握する上で、セグメント情報であったり、四半期キャッシュ・フロー計算書であったり、減価償却費、のれんの償却額などが引き続き開示されるということは望ましいと考えますが、半期報告書でそれらが義務化されているということ、四半期決算短信で企業の自主性に任せるということも一つの案かもしれないとも思います。開示しないことで、競合他社比で不利になることなどを考慮して企業が自主的に開示を行うということにも期待するということです。

 四半期レビューにつきましては、国際的な整合性が取れているという観点からも継続が望ましいと考えます。レビューをつけることで四半期決算短信の開示が遅れる可能性があったとしても、御説明いただいたように、おおむね5日程度のタイミングの差が平均的であるということであれば、大きな問題はないのかなと思います。ただ、負担の軽減という観点から、任意化した上で、例えば会計不正や内部統制の不備が判明した場合などにおいてレビューを義務化するということも1つの選択肢かもしれないとも思います。

 エンフォースメントにつきましては、四半期が任意の欧州各国でも維持されているところ、我が国の取引所のエンフォースメントは適切に行われており、効果も発揮されているということが理解できましたので、四半期決算短信に対するエンフォースメントは、取引所の枠組みがあることで問題はないのかなと考えます。

 すみません、長くなりましたが、私からは以上です。ありがとうございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、黒沼委員、どうぞお願いいたします。

【黒沼委員】
 黒沼です。私も、議論いただきたい事項に沿って4点ほど申し上げたいと思います。

 第1に、四半期決算報告の義務付けの有無です。第1・第3四半期報告書を四半期決算短信に一本化することによって廃止するということは、第1・第3四半期報告書を四半期決算短信で代用するという意味だったはずです。今回議論いただきたい事項の中に、四半期決算短信の義務付けをやめるかという論点が出されていること自体、私には理解できないところです。四半期決算短信の義務付けを廃止するならば、四半期報告書を復活させるべきであり、四半期報告書を廃止した以上、四半期決算短信を一律に義務付けるのは当然のことではないかと思います。

 第2に、適時開示の充実の点です。現在の適時開示規則には、個別列挙事由以外に包括条項が定められています。個別事由に該当しないから開示を行っていないというのは、これは現行の包括条項に従っていないということです。ですから、細則主義を適時開示規則が取っているから重要な事実が開示されていないという指摘には納得できないところであります。もし改善する点があるとすれば、包括条項にも軽微基準が定められていまして、これは要らないと思うので、包括条項の軽微基準を削除したらよいのではないかと考えます。

 第3に、四半期決算短信の開示内容です。四半期決算短信が第1・第3四半期報告書に変わるという発想からいいますと、比較可能性を確保するために、ある程度の様式の統一が必要ではないかと思います。四半期決算短信は定期的に開示されるものなので、他の適時開示とは異なります。だから、適時開示で補うことのできない部分があるのではないかということです。開示内容としては、四半期財務諸表は必要だと思います。それから、経営成績に関する定性的な記載も、これは定期的に開示される財務情報を理解するために必要な情報ですので、これも復活させるべきではないかと思います。こういった四半期決算短信の開示内容を充実させた結果、開示時期が少し遅れても、従来の四半期報告書の45日以内の範囲であれば許容範囲ではないかと考えます。

 第4に、レビューの要否、エンフォースメントです。現行の制度では、四半期決算短信で開示される情報が四半期報告書にも記載され、そこでレビューを受け、虚偽記載に対する制裁が科されるという仕組みになっています。このように、四半期報告書に対するレビューとエンフォースメントがあったからこそ、四半期決算短信の情報の信頼性も確保されてきたと言えます。

 今回の改正で、第1・第3四半期については、このような四半期報告書によるバックアップがなくなるわけですから、四半期決算短信の信頼性を確保するために、四半期決算短信の情報に対するレビューやエンフォースメントが必要になると考えます。

 レビューについては、これまでも四半期報告書の際に出てきているわけですから、時期が問題だとすれば、四半期決算短信よりも遅れてレビュー結果を公表することを認めればよいのではないかと思います。

 エンフォースメントについては、前回ディスクロージャーワーキング・グループの報告書にも記載されていたように、臨時報告書に四半期決算短信の情報を記載して提出させることにより、民刑事の責任や課徴金の対象にして正確性を確保する必要があると考えます。私からは以上です。どうもありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、三瓶委員、どうぞお願いいたします。

【三瓶委員】
 三瓶です。よろしくお願いします。いろいろ論点がありますけれども、まとめてお話ししたいと思います。

 最初に四半期決算短信の義務付けの有無というところですが、これはいわゆる四半期開示の一本化か廃止かということだと思いますけれども、金融商品取引法には報告義務として、報告の根拠として、「投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項」について提出するとあります。ただ、事務局説明資料16ページに実態の説明があるように、50%以上が適時開示すべきだったのに、10%しかしていないという現状では、平均的企業の開示姿勢からは、廃止しても適切な内容を適時に開示してくれるという信頼はありません。よって、廃止する根拠はないと思います。

 一方で、一本化については、重複を無くすなどの一定の合理的理由があると思います。ただここでも、重複を合理的に軽減するのだから、これまで四半期決算短信か四半期報告書どちらかで開示対象だった項目を削るということが目的ではないし、ロジカルではないと思います。

 四半期決算短信への一本化についてですけれども、これは適時性、インサイダー情報の速やかな開放、デジタルな情報伝達を担う情報インフラとの連動性などが四半期決算短信への一本化の根拠だと理解しています。情報内容としては、四半期決算短信が四半期における決算のほぼ七、八割の役割を果たしてきたと思います。他方、四半期報告書は、レビュー、より完全な財務諸表の項目、定性情報、注記など、法的安定性、信頼性、正確性などの点を補完してきたのだと思っています。したがって、後退せずに効率化する観点から、四半期決算短信を公表した後に、四半期報告書の代わりに、四半期決算短信に無い内容を補足する形で臨時報告書を開示すればいいと考えます。つまり、四半期決算後45日以内に臨時報告書を提出して、内容としては、四半期決算短信のレビュー報告書、キャッシュ・フロー計算書、注記などが含まれることを期待しています。これによって四半期決算短信提出が現状より遅くなることはないと思います。

 次に、第2四半期または半期についてですけれども、四半期報告書の廃止によって、四半期決算短信を補完する書類の根拠がなくなるために、非上場企業を対象とした半期報告書の記述が参考になるということなんですけども、上場企業を対象として定められた四半期報告書と記述が異なるので、その点は、これまでの四半期報告書の考え方を適用するのが整合的で、かつ、実務上の混乱を避けられると思います。具体的には、第2四半期分の臨時報告書の提出期限を決算後45日以内にして、中間監査の代わりに四半期レビュー、財務情報は連結ベース、そして四半期財務諸表に関する会計基準の適用、四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する記載事項等を適用することになります。

 適時開示についてですけれども、今、細則主義ですね。先ほどからレポートされているように、50%以上が適時開示すべきところ10%しか適時開示していない、それも守れていないということなので、大変懸念すべき状況です。言わば宿題をやらない小学生レベルという感じです。ただ、本来は原則主義で、開示すべき事項や重要性を的確に判断できる大人にならないといけないので、そうしないと、今議論されている国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)などの国際基準が作成されているときに、これにもついていけないという状況になります。

 四半期レビューに関してですけれども、監査一般に関する国際的な流れを考えると、1つに、開示情報に関する信頼性向上の課題があります。また、監査上の主要な検討事項(KAM)の導入、サステナビリティ関連情報の保証、こういった流れがある中で、四半期レビューの後退というのは考えられないと思います。

 そして最後、エンフォースメントですけれども、金融商品取引法、内閣府令に則って臨時報告書を第1・第3四半期、半期に提出することで担保できるのではないかと思います。金融商品取引法には、臨時報告書についても、虚偽記載などについて適用するという文言がありますので、これで考えられると思います。

 ちょっと1つ追加ですけども、四半期レビューについて、英国で義務付けがないということですけれど、英国で今、監査法人への罰金が過去最高額になるなどの報道があって、なかなかうまくできていないという状況がありますので、英国の現状が全てそれでいいということでもないと思います。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、小倉委員、どうぞお願いいたします。

【小倉委員】
 公認会計士の小倉です。今回から委員として参加をさせていただきました。3点コメントをさせていただきます。なお、私のコメントは、私が所属する団体のコンセンサスを得たものではないという点を初めに申し添えさせていただきます。

 まず1点目は、四半期決算短信の義務付けの有無についてです。四半期開示によって市場の効率性、流動性の向上、資本コストの低減効果が発現したとの実証研究が報告されています。こうした点を踏まえると、四半期開示は、投資家のみならず企業にもメリットをもたらしていると言えます。このため、四半期決算短信の作成・提出は、現状と同様に上場企業に対して一律に義務付けるべきと考えます。

 2点目は、四半期決算短信の開示内容、エンフォースメント、監査人によるレビューの有無についてです。まず、四半期レビューは義務付けるべきと考えます。四半期業績の虚偽記載について法的責任が問えないとの指摘があって、金融商品取引法に基づく四半期報告制度が導入されたという経緯を踏まえますと、四半期業績に関する財務情報の公表については、虚偽記載に対する刑事罰、課徴金などの罰則規定を維持すべきと考えます。これに対して、適正財務報告のアカウンタビリティを果たしたいという上場企業にとっては、独立した監査人によるレビューを受けるメリットがあり、これは、資本市場の信頼性確保や投資家保護にもつながるものと考えます。また、企業が資本調達を行う際にも、四半期レビューを受けていれば、機動的な調達が可能となっていると思います。このため、四半期レビューは企業にもメリットがあるものと考えます。

 財務情報の公表を義務付ける場合には、四半期レビューは一律に義務付けるべきと考えております。仮に四半期レビューを行うのであれば、適正性の結論が表明できるレベルの財務諸表の表示と開示が必要となると考えます。

 なお、金融商品取引法上の四半期レビューではなく、東京証券取引所の規則に基づくものとなる場合には、金融商品取引法第193条の3が適用されないと理解をしております。このため、法令等違反事実発見時の監査人の対応がどのようになるのかについて、必要に応じて関係者に周知することが必要と考えております。

 スケジュールに関しては、四半期レビューを求める場合は、四半期決算短信は現状どおり公表した上で、四半期財務諸表はレビュー後に公表することが考えられます。これは現状と同様と思います。

 最後に、半期報告書・中間監査のあり方です。四半期開示制度が定着しており、現行の日本の制度ではキャッシュ・フロー計算書の開示義務の相違はあるものの、第1、第2及び第3四半期の開示情報に大きな差異があるという認識は、関係者の間ではないのではないかと考えております。このため、四半期決算短信において四半期財務情報の開示を行うのであれば、金融商品取引法の制度開示が半期だとしても、現状の四半期報告書の開示水準と変更する必要はないと考えます。

 半期報告書の保証については、我が国固有の制度となっている中間監査の適用範囲を従来以上に拡大することには反対します。中間監査の実施を要求する場合、現行以上の負担増が想定され、そのコストに見合うベネフィットが何かが明確でないと考えています。さらに、今般の改正に合わせて、非上場企業の半期報告書は不要としてはどうかと考えております。以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、小林委員、どうぞお願いいたします。

【小林委員】
 小林です。まず、事務局には非常に詳細な資料を作っていただきましてありがとうございました。非常に分かりやすくまとめられていると思います。私からは4点申し上げたいと思います。

 まず1点目の四半期決算短信の義務付けか否かという点です。そもそも四半期の情報というのは、投資家にとって必要な情報をどういうふうなスタンスで企業が提供するのかということに負っているものであり、本来であれば、投資家の立場、投資家の目線を考えて企業が判断するべきこととは思います。実際、私が聞いた限りの企業の経営者の皆様は、仮にその四半期決算開示についての方針が変わったとしても、引き続き四半期は出すとおっしゃっておりますので、それを義務付ける必要はないかとは思う一方で、必ずしも全ての企業が同じ目線でいるということではないことと、そして、日本の市場に対する投資家の信頼ということを考えますと、これについては義務付けをしてもよいかと思います。

 それから2点目、四半期決算短信の簡素化ということが行われてきたわけですけれども、今回、四半期報告書と一緒に一本化するということで、簡素化された現状の四半期決算短信の見直しというのは行ってもよいのではないかと思います。

 それとのバランスにおいて、監査人のレビューというものについてどういうふうに考えるかということになりますけれども、一本化は四半期短信と統合し現行の四半期報告書より簡易にすることが目的で質の劣化を招くものではないという意味においては、監査人のレビューというのがあってもよいのではないかと思っております。これが3点目です。

 最後4点目は、適時開示についてです。現行の適時開示の細則主義によって、実際、取締役会で、こういうことまで取締役会で決議をしなければいけないのかというような点が実はかなり多く見られまして、それが実際、臨時の取締役会の開催等、負担になっている部分がございます。一方で細則主義があるがゆえに形式に囚われ、本来、投資家の目線で開示すべきことが開示されていないという、むしろ逆の効果になってしまっていると感じることが多々あります。よって、細則主義を見直して、原則主義、プリンシプル・ベースで、企業が投資家に対して何を伝えるべきなのか、何を理解してもらう必要があるのかということをより積極的に責任を持って考えていただく機会にすることからも、今の適時開示のあり方というのを見直すべきと考えております。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、中野委員、どうぞお願いいたします。

【中野委員】
 中野です。よろしくお願いいたします。「ご議論いただきたい事項」に沿って意見を申し上げたいと存じます。

 まず、ご議論いただきたい事項1のうち、「四半期決算短信の義務付けの有無」についてです。私は、令和3年度ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、四半期開示の意義は十分に確認されたという認識を持っていますので、上場企業全体に四半期決算短信の作成・提出を義務付けるのが適切と考えます。

 「適時開示の充実」については、事務局説明資料に記載されていることに基本的に賛成でして、特に、好事例の公表など取引所の取組みによる開示実務の促進という案に賛成します。

 ご議論いただきたい事項2のうち、「四半期決算短信の開示内容」についてです。現行の四半期報告書の記載事項のうち、四半期決算短信に含まれていないものについてですが、財務情報、特に事務局説明資料の27ページに記載のキャッシュ・フローに関する情報とセグメント情報の2つを四半期決算短信に含むことを強く要望します。日本企業は、米国企業等と比較して事業の多角化が進展している実態がありますので、セグメント情報は特段重要と考えています。

 次に、「四半期決算短信に対する監査人によるレビューの有無」については、これまでも私はこの会議で発言してきておりますが、引き続き情報の信頼性、虚偽記載の早期発見、あるいは虚偽記載の動機自体を抑えるという観点から、第1及び第3四半期決算短信に対して監査人によるレビューが行われることが望ましいと考えます。ただ、仮にレビューを義務付けないという決定が行われた場合には、企業の判断でレビューを任意に受けることができるようにするという案に賛成します。

 また、その場合ですが、任意のレビューが行われていると四半期決算短信に記載されることは、情報の信頼性に関してプラスのシグナルを市場に発信することになるので、望ましいと考えます。

 また、レビューを義務付けない場合に、シンガポールのように、会計不正が起こった場合や内部統制の不備が判明した場合に四半期レビューを義務付ける案にも賛成します。

 さらに、レビューをつけた場合の四半期決算短信の遅れについてですが、こちらは事務局説明資料の31ページのデータを拝見する限りでは、全体として大きな遅れが生じるとは考えにくく、レビューを行うことのベネフィットのほうが大きいのではないかと考えます。

 最後に、ご議論いただきたい事項3のうち、「半期報告書・中間監査のあり方」、「その他」について意見を申し上げたいと存じます。

 まず、新しい意味での半期報告書の位置付けなのですが、基本的には、現在の第2四半期報告書を半期報告書として位置付けていくのが、制度移行に伴う影響は最も小さく、合理的と考えます。そうしますと、その場合は、現行の四半期報告書の提出期限、記載内容を踏襲するということになります。

 また、半期報告書の保証についてですが、事務局説明資料の40ページに説明されていますとおり、中間監査は日本独特の監査制度であるのに対して、四半期レビュー基準は国際的な監査基準との整合性が取れていますので、基本的には、四半期レビュー基準、さらには四半期会計基準を新しい意味での半期報告書に適用するのが合理的と考えます。

 さらに、非上場企業の半期報告書の記載内容、会計基準及び保証の基準につきましても、上場企業のほうが半期報告制度となるのを機に、上場企業のほうに寄せていくことも検討に値するのではないかと考えております。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、清原委員、どうぞお願いいたします。

【清原委員】
 どうもありがとうございます。清原です。すでに委員の皆様から貴重な意見が述べられているところですので、「ご議論いただきたい事項」を少し離れたところといいますか、別の角度からみてこの問題を考えるという形で少し意見を申し上げたいと思います。

 現在議論している四半期報告制度、この開示制度の見直しの前と後でどうするか、当然そこが焦点であるのですけど、どうしても同等性確保という観点で見ると、四半期決算短信を重くするような方向での議論がかなり出てきてしまうと。やむを得ないところがあるかと思うのですが、これを違う角度からもう少し考えると、これから、サステナビリティ情報の開示の制度化に進むという中で、開示の内容を充実させていくということを考えると、企業の負担に対する配慮、それからタイミングとか、そういったものに対する配慮、そういったことがもろもろ必要になってくるのではないかと思われます。四半期決算短信をここで重くしてしまうと、そういったところとの整合性が将来どうなるのだろうか、というところもありますので、四半期決算短信そのものがこれまで果たしてきた、また今後果たすべき役割にフォーカスして考えることがいいのではないかと。すなわち速報性にフォーカスして、簡易な形であっても情報が出されてきたということ、それから、企業の自主的な創意工夫というものを尊重して、これを促進すべきではないかという視点、こういった点はやはり必要な方向ではないかと考える次第であります。そうしますと、四半期決算短信の内容について、あまりいろいろ盛り込んでいく、それからレビューをした四半期財務諸表を一緒に出さなきゃいけないという形にすると、やはりそこは重くなってきてしまって、なかなか難しいところが生じる点もあるのではないかと考えるところです。

 そういったことを考える際に、もう1つ考えなければいけないなと思っておりますのが、四半期決算短信というものを提出するときに、例えば四半期財務諸表、レビュー付きのものを第1・第3四半期のときに出す必要がないとしても、やはりそれを公表することによるメリット、それを活用したいという上場企業も当然一定数あると思われますので、特にファイナンスに関して発行登録ですとか、それから参照などでそういった情報を出していると短期間に資本市場にアクセスできる、こういったことに対するメリットを考える上場企業はおられると思われますので、そういったものを出せるようにすること、しかしそれを四半期決算短信のときに同時に出さなければいけないとする必要もないはずです。ですので、適時開示の中では開示事項の経過という形での開示というのもありますので、そういったものと同様に、四半期決算短信を出した後にレビューが済んだものを出すということを認めてもいいのではないかと。

 また、短期間でのファイナンスへのアクセスを考えると、有価証券報告書、第2四半期の半期報告書というものに合わせて、四半期についても、レビューした四半期財務諸表を提出することへの企業のニーズがあるのならば、臨時報告書という形でニーズを満たすことができるようなことも考えていっていいのではないかと思うところであります。

 適時開示のところになりますけれども、適時開示に関しては、ISSB、ほかの委員の方からもお話がありましたように、そこは原則主義、プリンシプル・ベースのほうに進もうとしているところがあるという文脈の中で、現状の細則主義というものがもたらす弊害というものについて考える必要はあるのだろうと。黒沼委員もおっしゃっていたように、今もバスケット条項、包括条項というのがあるので、むしろプリンシプルをベースにした条項にした上で、開示事項として挙げられているもの、これはある種ガイダンスとしてみて、義務だというのではなく、通常重要性が高いものを示したものとみて、プリンシプルに基づいて考えると、通常は開示されることになるというふうに、少し組み替えていくことが考えられるのではないか。インサイダー情報との関係では、重要事実に関しては臨時報告書という制度のほうでしっかり、確実に開示されることが確保されているわけですから、そのような情報について、適時開示で出さなくてよいという理由は通常ならばないのだろうと思うので、そういう意味でいうと、適時開示について、プリンシプル・ベースということを確認するような制度・規定に組み替えるということを考えたとしても、これは十分機能するのではないかと思うところであります。

 重要なところとして、プリンシプル・ベースというのは、先ほど来、委員の方々からは、開示に対する信頼についてのご意見がありましたけれども、やはり一番重要なのは、開示を行う上場企業がその信頼に応える開示をするということで、社内の体制をしっかり整備し、かつ、取締役会を含めた監督体制がちゃんと機能するということが、これはもう大前提としてあるわけです。上場する段階で、上場会社の管理体制というのは上場審査の中で取引所はしっかり見るわけですけれども、上場した後の扱いというのは、必ずしもしっかりと見れていないという状況で、開示の不正が起きた会社の実情というのは、内部統制の不備があったとして訂正報告が頻繁に出されているという実情があると。内部統制に関しては別の部会のほうで議論がされるということは承知しておりますが、やはりここで今考えなければならないのは、サステナビリティの中の4つの構成要素のうちの1つのガバナンス、そしてリスク管理といったところで会社の社内体制をしっかり整えること、ここについて企業の背中を後押しするような形を今回の制度の見直しの中に盛り込んでいくことが大切であり、それは、金融商品取引法の枠組みのほかに、東京証券取引所のほうの上場管理、エンフォースメントの中において、上場会社の開示体制、その監督についてしっかり見ていくということが伴っていないと、この先、プリンシプルに基づくISSBの基準を受けた日本の基準などが定まっていくとすれば、その中で期待に十分に応えることができなくなる。そういったことも見据えた上で、今回の四半期の見直しというものの議論の整理も進めていくとよいのではないかと考えるところであります。

 四半期レビューに関しては、四半期財務諸表にはレビューが必要だけれども、四半期決算短信については特に必要ないのではないかと考えております。第2四半期に出される半期報告書の財務諸表については、四半期レビューという形でこれまでと同様のものを継続することが適切ではないかと考えるところであります。

 前後してしまいますけれども、四半期決算短信の義務付けについてどうするかというところに関しては、私は、もし見直しをする余地があるとすれば、プライム市場上場銘柄とそれ以外とで分けることは十分検討に値するのではないかと。今後の負担を考えたとき、特に海外投資家からの投資を呼び込むということを考えたときに、やはり規模の大きいプライム市場上場企業が四半期決算短信、これも義務付けになったとしても、先ほど申し上げたように、あまり重くならない範囲での自主性も認められる、創意工夫が認められるような四半期決算短信、これが義務であるとしても、それは上場企業の方々にしっかり対応していただけるのだろうと。ただ、スタンダード市場やグロース市場の方々においては、そこは少し違う面があるのだろうと。ただし、それがしっかり機能するということを考える上では、上場企業の側での開示体制、そして監督、そちらのところがしっかりと回っていかないといけないですので、そこを見ることについて東京証券取引所の方には、エンフォースメント、上場管理部についてしっかりとやっていただければよい、そのように考える次第であります。以上であります。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、柿原委員、どうぞお願いいたします。

【柿原委員】
 今回から委員として参加させていただきます川崎重工業株式会社の柿原と申します。よろしくお願いいたします。私自身は、メーカーのサステナビリティとディスクロージャーを担当しておりました経験を踏まえて、企業の立場で意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、四半期開示への全般的な意見でございます。

 一本化の議論に当たりましては、四半期決算短信の速報性の維持による投資家側の利便と、企業側の実利の双方が確保されることが重要と考えています。半期報告書、中間監査並びに四半期決算短信へのレビュー要求などは、開示の簡素化にはつながらないだけでなく、速報性を阻害する懸念さえあります。開示の効率化、簡素化の流れに逆行することがないように留意をお願いしたいと思っております。また、具体的にどのように変わるかの全体像が共有されないと、金融商品取引法改正法案の適切な議論が難しいとも考えております。そのため、金融商品取引法、内閣府令、取引所規則の改正点をワンパッケージでお示しいただき、見直しに向けた全体のデザインを踏まえた議論となるようにお願いしたいと思っております。

 次に、私は初めての参加ですので、少しお時間をいただきまして、6つの論点について個別に触れたいと思います。

 まず1点目、四半期決算短信の義務付けについてです。これは企業経営者及び投資家の短期的利益志向を助長しかねず、また、中長期的な視点でのステークホルダーとの対話を阻害するものと認識しております。さらに、3か月ごとの決算開示は、膨大な人的資源の投入を必要とし、企業に多大な事務負担をもたらしております。欧州主要国では、第1・第3四半期開示は要求されておらず、ドイツのプライム市場の320社程度が定性的情報の開示が求められているのみと伺っております。日本では、全ての上場企業3,800社の四半期開示が求められていますが、利用者側のニーズの強さを考慮いたしますと、全ての上場企業に義務付ける必要があるのかは、私はとても疑問に考えております。つきましては、今回の一本化の議論を第一歩として、より抜本的な制度の見直し、つまり完全な義務付けの廃止に向けた継続的な検討を続けてほしいと考えております。

 2点目の適時開示の充実につきましては、取引所による好事例の公表などの取組みは有効だと思いますが、エンフォースメントの強化というのは、企業の前向きな開示を阻害する可能性があり、慎重にすべきと考えております。適時開示の規則が細則主義的になっている点は、何人かの方がおっしゃったように問題であると考えておりまして、欧米のように原則主義的な規則に見直すことも考えられますが、インサイダー取引規制との関連や規則を見直すことによる影響などは慎重に検討する必要があるとも思っております。

 3点目、四半期決算短信の開示内容についてです。開示内容を拡充することにより、タイムリーな開示と実務負担の軽減が阻害されることや、四半期報告書はこれまでもほとんど注目されず、追加的な情報価値が確認されていないということから、現行の四半期決算短信の開示内容を基本とすべきと考えます。一方で、サステナビリティ情報など企業に求められる情報開示の範囲は拡大しております。真に求められる情報の速やかな開示に集中することが、企業側、投資家側双方にとってますます重要になってくると考えております。投資家の要望が強い項目につきましては、企業が積極的に任意開示で対応するというのが適当と考えてございます。

 4点目、監査人によるレビューの有無につきましては、四半期会計基準レビューに準拠したレビューを義務付ける場合、四半期財務諸表の全ての注記を開示する必要があると理解しております。そうしますと、レビューによって四半期決算短信の開示内容は大幅に増大し、企業の負担はかなり増えます。また、レビューの作業のために公表タイミングが遅くなり、タイムリーな情報開示を阻害することになりますので、レビューの要求はすべきでないと考えております。

 5点目、四半期決算短信の虚偽記載に対するエンフォースメントについてです。四半期決算短信の虚偽記載を抑止するために、臨時報告書で重ねて提出させることは、そもそも一本化の方針に反するものですし、セーフハーバー・ルールのない我が国におきましては、業績予想が含まれている問題もございます。また、企業が虚偽記載の責任を負うというリスクを考慮して、確認にかなりの時間を割くことで速報性が犠牲になるということが想定されます。取引所のエンフォースメントに任せるのが適当ではないかと思います。

 最後に6点目、半期報告書と中間監査です。第2四半期に半期報告書を復活させることは、四半期報告書から大幅に開示内容が増えること、開示タイミングが締切日から90日と、第2四半期報告書より大幅に遅いこと、中間監査の手続の報告負担が大きいこと等、企業と投資家の双方にとって問題が多いと考えております。また、中間監査は諸外国には見られない制度で、グローバル・スタンダードから大きく乖離した従前の制度に戻ることになりますことからも、第2四半期は、第1四半期と同様に四半期決算短信に一本化し、中間監査も不要とするべきと考えてございます。以上、6つの事項について意見を申し上げました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、上田委員、どうぞお願いいたします。

【上田委員】
 御指名ありがとうございました。まず改めまして、事務局には毎回詳細な資料の作成と御説明をありがとうございます。前回の報告書のキャッチアップもできまして、大変参考になりました。

 私は、この順番に沿って四半期開示と適時開示についてそれぞれコメントをさせていただきたいと思います。

 まず、四半期開示については、ユーザー側あるいは発行体側の実務への定着あるいは開示のタイミングということを考えますと、6月に公表されたディスクロージャーワーキング・グループ報告にありますように、四半期決算短信のほうに寄せる、これが適切な一本化の道筋ではないかなと思います。他方で懸念していますのは、やはり日本市場の信頼性を維持するという点でございまして、そういった点では、情報ユーザーあるいは市場参加者に対して開示が後退したということになりますと、これは日本にとっては大きなマイナスであろうと思います。しかも、現状では、四半期を廃止して完全に任意化した開示を出してもらえるのであろうかというところについて、必ずしも本日の委員の、特に投資家の委員の皆様の御意見ではその信頼性は十分ではないということを考えますと、現状では四半期開示の義務付けというものは必要であろうと思います。その内容については、これは投資家から多く声が寄せられていますが、キャッシュ・フローの部分については重要な情報であろうかと思いますので、議論が必要だとは思っています。

 あわせて、レビューについても信頼性の確保からは同様に必要であろうと考えています。本日の御報告にもありましたが、現状の開示タイミングについても、半数以上の上場企業が四半期決算短信から5日以内に四半期報告書を出されているということであるとすれば、レビューの必要性、信頼性確保の観点からという点と、この数日のタイムラグというのをどうバランスするかということで判断して制度化することがよろしいのかなと思いました。

 四半期報告書、特に第2四半期のところの半期報告書の整合性についても、今回大きく四半期報告を見直すという観点から整理する必要があろうかと思っています。今後一本化されるという場合には、現状の半期報告書という、古い制度と言うとちょっと失礼ですが、ではなくて、実務的な負担、あるいは必要な情報を適切に出すという観点から、現状の四半期報告書の第2四半期の開示をベースにするのが一つのやり方であろうかと思います。

 関連して、この部分の監査人のレビューについても、現状の中間監査というのが、これは八田先生の詳細な御研究が報告されていましたけれども、そこの点にもありますように、これは相当古い信頼性確保のプロセスがいまだに残っているということかなと思いますので、今回、上場企業においてもこの制度全体を見直すというところで、一旦この半期の部分については、現状の四半期のレビューと同様の形であってもよろしいのかと思います。実際に問題がある場合には、監査人のほうでリスク評価を行っているということですし、それほどここで大きく監査の質が落ちたという感覚もございませんので、そこはより実質的に効果が高いところにリソースを割ける形がいいかと思います。

 監査人の役割が相当今後重要になっていまして、サステナビリティ等を含めて役割の幅が広がってくるという中で、こういう実質が現状担保されている部分については、リソースの配分を見直すという、こういった監査人の役割の見直しというのも必要かと思いました。

 次に、適時開示についてですが、適時開示については、四半期報告書等の、ある程度法定で、そして確定した決算情報を出すというスケジュール化された、静の情報開示というものが重視されてきたというフェーズから、今後は、より動的な積極的な開示が期待されてくると思っています。したがって、我が国の法制度の中でインサイダー取引規制というところの枠組みであったかと思うのですけど、そこからより発展させて、適時開示については積極的な開示を後押しするという方向への仕組みづくり、場合によってはルール化するのか、あるいはQ&A等で開示を後押しするのか、そうしたところも必要ではないかと思います。その点では私は、株式会社日立製作所の開示が御紹介されていましたけど、これは大変すばらしいものだと思っております。恐らくグローバルな視点で御覧になって、情報ユーザーや市場が期待する情報というのを法定開示の枠を越えて発信されておられるということで、こういう開示が適時開示として定着してくれば本当にいいのかと思います。

 ただ、サステナビリティ情報もそうですが、今後、情報というのが、金融庁がおっしゃった間違いのない情報というよりも、情報ユーザーや投資家から企業に期待される情報の開示が必要であろうと思います。特に足元のところで経営陣が適切なプロセスに則って合理的と判断した情報というのは、これが仮に将来、環境変化、条件の変化によって変わる可能性があるとしても、その点で発信するというのが期待されると思っています。これは企業にとっても、最後にリスク情報を出すことで大きなインパクトを与えるというよりも、リスクをあらかじめ出すことで、投資家と、あるいはユーザー側と情報の共有ができますので、リスクを小出しにするのは決して企業にとってはマイナスではないと思っております。

 また、今回のコロナ・パンデミックであるとか、あるいはロシア・ウクライナ問題のように、世界が同じ問題を抱えているときに、日本だけが情報がない、エクスポージャーの開示がない、今後の見通しがないということになりますと、これはやはり市場の信頼性、あるいは上場している企業自身の信頼性にも関わるところだと思います。そういう日本企業あるいは日本市場は情報を硬直化したものしか出さないというイメージになることは避けたいと思いますので、適時開示についても、大きな視点での見直しと企業への後押しというものを期待しているところです。以上です。長くなって申し訳ございません。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは次に、佐々木委員、どうぞお願いいたします。

【佐々木委員】
 御指名ありがとうございます。私のほうからは企業側の立場でコメントをさせていただきます。

 まず、今回、第1・第3四半期について四半期決算短信に一本化するということを打ち出していただいたことは非常にありがたいと思ってございます。非財務情報といいますか、サステナビリティの関連の開示はこれからどんどん充実をさせていかなきゃいけないというふうな時代の流れの中で、四半期報告を含めまして、既存制度につきまして、もともとの趣旨は、もちろん確認するということでございますけども、その中で、効率化という観点で見直しをするということが非常にありがたいと思ってございます。

 そうした中で、今回4点ほどコメントをさせていただきたいと思いますけれども、まず1点目が開示の内容でございます。私の理解では、多くの企業は、いわゆる四半期決算短信と、それから企業がそれぞれ任意で開示する資料、この2つの資料に基づいて投資家の皆様と対話を行っているのだろうと思ってございます。一方で、四半期報告書につきましては、財務諸表の注記などを含めまして、非常に時間をかけて、企業側の負担というのは非常に多かったということですけれども、四半期決算短信そのものの重要性というのは、やはり適時性であると思ってございますので、開示内容の充実がそういった適時性を阻害するということはよろしくないと考えるところでございます。

 近江委員もおっしゃっていましたけれども、基本的には、好事例などを示すことによって企業側の開示を促すということが重要であると思いますので、第1・第3の四半期決算短信につきましては、これまでどおりの内容とすべきではないかと考えます。

 それからレビューの有無でございますけれども、事務局説明資料の31ページにありましたとおり、四半期決算短信の公表から四半期報告書の提出までは、それなりに時間がかかるということでございまして、できるだけ負担は少なくするべきではないか、タイムリーな開示を優先すべきではないかと思ってございます。もちろん、年度の監査ですとか、あるいは半期も何らかの形で残ると思いますので、そういったもので情報の信頼性というものはある程度担保されていると思いますので、第1・第3四半期決算短信につきましては、レビューにつきましては任意とすべきではないかと思っています。少なくとも全ての企業に義務付けるという必要はないと思ってございます。

 それから、エンフォースメントの関連でございますけれども、現在、既に東京証券取引所の規則の中で、虚偽記載に対するエンフォースメント、これが存在をしているということでございます。事務局説明資料の34ページにもあったかと思いますけれども、第1あるいは第3の四半期報告書の関連で、それのみを対象とした課徴金の納付命令というものは極めて少ないということでございましたので、新たなエンフォースメントの仕組みはあまり意味がないのかなと思ってございます。

 それから、最後でございますけれども、半期の観点で、事務局説明資料40ページに記載があったと思いますけれども、レビューといわゆる監査ではかなり差があるというふうに思ってございまして、監査を受ける企業側もそうですし、監査をしていただく会計士の先生方もそうだと思います。監査となれば非常に負担が大きく、また、中間監査そのものが日本独特というふうなこともあります。半期の保証の関連もやはりレビューが妥当であろうというふうに思いますので、その辺り、十分御考慮いただければと思います。私からは以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは、次に、永沢委員、どうぞお願いいたします。

【永沢委員】
 永沢でございます。意見を申し述べる機会をいただき、ありがとうございます。そして、冒頭、事務局の皆様にはこれまでの議論を分かりやすく整理いただき、また、詳細なデータも御提供いただき、ありがとうございます。私は、本日の事務局説明資料の最後のページにあります「ご議論いただきたい事項」の中の最初の2点について意見を述べさせていただきたいと思います。

 最初の項目ですけれども、四半期開示を一律に義務付けるべきという意見に引き続き変わりはございません。本日、黒沼委員の御意見を伺い、黒沼委員の御意見に強く賛同したということも申し述べたいと思います。また、この夏の間に、知り合いから、四半期開示を廃止するというような話を聞き、外にそのように伝わっているのかと思い、大変に残念に思いました。投資者保護のために積み上げてきた四半期開示の制度ですので、これは後退してはいけないと、改めて申し上げたいと思います。

 そして、私は個人投資家の立場から参加させていただいておりますけれども、この数か月の間で、経営環境の激変する状況、スピードの速さを感じておりまして、やはり四半期で開示していただくことの必要性、全ての企業に四半期で開示いただくことの必要性をますます感じております。大企業、余裕のある企業、このワーキング・グループの席上に出ていらっしゃるような企業の方々は、人材も豊かで優秀な人材を擁しておられて、情報開示に十分なエネルギーを割くことができる企業ばかりと思いますが、そうでない企業も多くあります。だからこそ、最低限開示が必要な項目を四半期制度の中で義務付けるべきという思いを強くしております。四半期開示と四半期決算短信の比較表が出ておりましたけれども、私はこの辺は素人ですので分かりませんけれども、変化が大きい時代ですので、定点観測という意味では、例えば、セグメント情報などは個人投資家でさえも投資判断にあたり必要は情報であると思います。

 適時開示に話を移らせていただきますが、四半期開示か、適時開示かではなく、適時開示は盛んに行われるようになることが望ましいことは言うまでもないことであり、どう促していくかが課題だと思っております。ここからは、個人投資家というよりも、社外取締役を務めており、適時開示を検討した経験から感じることとして申し述べたいと思いますが、先行事例がまだまだ少ない中、適時開示をすべきなのかどうかとか、適時開示をするとしてもどのようにすべきなのかということについて悩んだ経験があり、常々、このような場面でどう行動していいのか思案し迷っているというのが正直なところでございます。投資家だけではなく、ほかにもステークホルダーがいます。従業員や取引先もある中で、この情報を発信したらどんなに影響があるだろうかということも考え合わせて決定をしなくてはいけないということも考えるわけです。細則主義については望ましくないことは分かっておりますけれども、細則が定められているから助かると言う場面もあるのではないかと私としては思ってもおります。

 そして、これは近江委員始め、何人かの委員の方々がおっしゃっていましたけれども、積極的な適時開示を促すには後押しするための仕組みづくりが必要と感じておりまして、そのための第一は、取締役会の成熟がもちろん必要ですけれども、適時開示についてもっと事例提供が行われることが必要と感じております。適時開示の望ましい事例を金融庁から積極的に出していただき、褒めていただきたいと思います。先行事例に倣ったり、参考にできるといいと思います。そして、何よりも、適時開示をすることの御褒美が市場から与えられることが大事です。情報開示をした場合に株価が下がることもあると思いますが、適時開示をすることによって、市場から評価され支持されることが必要なように思います。適時開示が株価に中長期的にプラスに作用するという、何かそんな研究データがあると適時開示の後押しになるとも思っております。

 いろいろと申し上げましたが、この課題に関しては、別途、具体的な施策を検討する場を設けて検討していただくことが必要なのではないかと思っております。以上とさせていただきます。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは、次に、田代委員、どうぞお願いいたします。

【田代委員】
 田代でございます。本日は遅れての参加で申し訳ございませんでした。私のほうから2つ意見を述べさせていただきたいと思います。

 1つ目が、先ほども、たしか清原委員だったかと思うのですけれども、四半期決算短信の義務付けの有無について、プライム市場とそれ以外で分けてもいいんじゃないかという御発言があったと思います。そもそも、四半期決算が義務付けられた背景というのが、小さい会社ほど隠れているものがあるので四半期でという背景があるので、ちょっとそれとは矛盾するところがあるような気がするのですけれども、一方で、そういうスタートアップの企業への負担というのはすごくあると思うのと、あとは、これからサステナビリティ等の開示が増えてくるということを考えますと、例えばプライム市場においては義務化して、それ以外についてはシンガポールのように何か課題のあるところは四半期決算の義務化をするとか、少し企業の大きさによって分けるということも考えてもいいのかなとは個人的には思います。

 もう一つは、適時開示の充実についてです。これは非常に課題が大きく、今の状況はちょっと改めるべきことが多いのかなと思います。これは何か研究をしたとかというわけではないのですが、業績予想を発表していることがどれだけこの適時開示に影響しているのかなというのが一つあります。今回の新型コロナやウクライナ情勢の中で、業績予想を出している会社が非常に減っていると伺っています。予想がしづらいということだと思うのですけれども、業績予想をしていないから適時開示しなくてもいいかなと思ってしまうところがもしかしてあったりするのであれば、そもそも業績予想を出すことによる開示への影響というのを一度ちょっと調べてもいいのかなとは思いました。以上です。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは、次に、熊谷委員、どうぞお願いいたします。

【熊谷委員】
 ありがとうございます。みずほ証券の熊谷でございます。私自身はみずほ証券に勤務しておりますけれども、日本証券アナリスト協会企業会計部長を兼務しております。そこで、今般の四半期開示の見直しに当たりまして、証券アナリスト協会では、現役アナリストを中心に、本日の主要論点につき、アンケート調査を実施させていただきました。本日はそのアンケート結果の概要と、それに基づいて私自身の意見を申し上げたいというふうに思います。アンケート結果自体は近日中に公表予定ですので、ぜひ今回の見直しの議論の参考にしていただけたらなというふうに考えております。

 まず、四半期決算短信の義務付けに関してでありますけれども、これは全上場企業に開示を義務付けてほしいという回答が相当多数を占めております。全上場企業が任意開示でよい、あるいは市場区分に応じて開示を義務付けるという回答は、いずれも少数にとどまっております。このように、アンケート回答者の多数は全上場企業に四半期決算短信の一律義務付けを希望しております。個人的な意見ではありますけれども、グロース市場上場企業については、これは今、田代委員のほうから、もともとこういう小さな会社について四半期決算短信の義務付けということが始まった、四半期開示が始まったという歴史的経緯があるわけでありますけれども、グロース市場上場企業についても義務付けを基本としつつ、取引所の承認を前提としてビジネスモデル等に基づいて四半期開示を行い、実施しないという選択を可能にするという、そういう選択肢を検討してもよいのではないかなというふうに思っています。これについては、あくまでも私個人の意見でございます。

 次に、第1・第3四半期決算短信の情報開示の水準と追加的に必要な情報についてです。現行の四半期決算短信よりも多い情報を開示してほしい、という回答が現行の四半期決算短信で提供される情報開示の水準で特に問題ないという回答を若干上回っております。双方とも5割をやや下回る水準ということですが、両者を総合しますと、9割以上の人が少なくとも現行の四半期決算短信で提供される情報の開示を維持する、あるいはそれよりも多い情報ということを希望しているということであります。次にその内容でありますけれども、現行の四半期決算短信で開示されておりますキャッシュ・フロー計算書、財務諸表の注記、経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、四半期決算短信でも開示してほしいという回答が多数を占めました。個人的には、これらの情報およびセグメント情報を四半期決算短信の添付資料において提供することを義務付ける一方で、現在四半期報告書で提供されているそれ以外の情報については、直近報告機関から重大な変更がある場合に特記事項として開示する、ないしは適時開示、臨時報告書等で開示するというのが適切ではないかというふうに考えております。

 それから、佐々木委員から、注記事項の開示が大変だというお話がございました。現状は、この四半期開示の会計基準を、四半期報告書を前提としました四半期会計基準を前提としておりますけれども、仮に注記の開示内容を見直す場合には、この四半期会計基準を取引所の開示に当たって適用すると同時に、注記について、これはASBJにおいて見直す必要があるのではないかなと、個人的には考えてございます。

 次に、第1・第3四半期の決算短信の信頼性とエンフォースメントに関してですけれども、これは実は速報性を重視するので、監査人によるレビューや臨時報告書としての開示は不要という回答が過半数を占めております。一方で、監査人によるレビューが必要という回答も5割弱と、相当な比率を占めております。しかし、臨時報告書としての開示は必要という回答は少数にとどまっております。第1・第3四半期には、今申し上げましたとおり、レビューも臨時報告書も不要という回答が過半数を占めておりますけれども、一方で同期間についてレビューは必要という回答も半数に近くありました。今日もこういう開示制度に詳しい委員の皆様から、レビューは必要という意見が非常に多かったことを踏まえ、これについては慎重な検討をお願いしたいというふうに思っているところでございます。私個人としては、仮に四半期決算短信にレビュー不要という場合には、任意でレビューをつけるというのは検討に値すると考えております。

 それから、第2四半期の開示方法と監査人による保証、臨時報告書としての開示ということでございますけれども、第2四半期については、監査人による中間監査、またはレビューは必要という回答が大多数を占めております。半期報告書の開示、または臨時報告書としての開示は必要、すなわち、金融商品取引法に基づくエンフォースメントの確保は必要という回答も半数を占めております。なお、第1・第3四半期と同様に、第2四半期も任意開示でよいという回答はごく少数にとどまっております。

 以上、総合いたしますと、第1・第3四半期については、適時性と正確性のバランスを期待する一方で、エンフォースメントへの期待は必ずしも大きくないのかなというふうに思っております。一方で、第2四半期については、第1・第3四半期に比べ、高い水準の保証を期待すると同時に、相応のエンフォースメントも期待したいということだろうというふうに考えてございます。私個人としましては、金融商品取引法に基づく開示書類が要求される第2四半期、第4四半期について、虚偽記載についてしっかりエンフォースメントができれば十分であるというふうに考えておりますけれども、四半期決算短信については、レビューのあるなしに関わらず、取引所において、取引所の規則に基づくエンフォースメントのあり方について議論していただくことは重要であるというふうに思っております。

 また、第2四半期について、適時性のバランスを考えますと、半期報告書、中間監査というよりは、半期報告書ないしは四半期短信+半期レビューを支持するアナリスト、投資家が相対的に多数、半数弱を占めました。

 以上、最後に、サステナビリティ情報と非財務情報の開示の充実が求められる中、作成者の皆様の負担軽減のために四半期開示制度の見直し、効率化を図っていくということは、我が国企業開示制度を改善し、我が国資本市場の発展に寄与するものであるというふうに考えております。非財務情報については、財務情報を補完するものでありますけれども、財務情報を代替するものではないと思います。したがって、四半期開示の見直し、効率化を図るに当たっては、財務諸表利用者への実務の影響を極力抑えるとともに、適正な範囲、それから、エンフォースメントや保証、エンフォースメントの水準をどこまでするかということについて検討いただきたいというふうに思います。

 最後に適時開示についてでございますけれども、これも皆様御指摘のとおり、やはり原則主義に立ち返って開示を求めていくというほうがいいのではないかなというふうに思っております。特に黒沼委員の御指摘は重要じゃないかなというふうに思っております。ただ、今回のディスクロージャーワーキング・グループで早急に結論を出すというよりは、適時開示については次回以降のディスクロージャーワーキング・グループでじっくり検討していただけたらなというふうに思っております。

 以上、ちょっと長くなりましたけれども、アンケート結果の概要と私個人の意見を申し上げました。本日は財務諸表利用者の声をお届けする場を与えていただきましたこと、感謝申し上げます。以上です。どうもありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは、高村委員、どうぞお願いいたします。

【高村委員】
 先生、ありがとうございます。本日は遅く入室をいたしまして、申し訳ありませんでした。私からは簡潔に1点申し上げたいというふうに思います。

 これは四半期開示、そして適時開示等を含めて、全体として質の高い開示を確保していくということを念頭に置いて、1点申し上げたいのは、やはり適時開示、これは開示該当事由、あるいは原則主義か細則主義かという点も含めて、あり方について見直しをする必要があるだろうというふうに思っております。1つ、本日事務局説明資料でもお示しをいただいておりますけれども、新型コロナウイルス感染症の事態、それからロシアのウクライナ侵攻といった、ある意味で事業に広く影響を与え得るような事案が生じたときに、今回、よい実例として、株式会社日立製作所などの事例を御紹介いただいておりますけれども、しかしながら、まだなお我が国においてこうした開示が進んでいないという課題も明らかにしていただいていると思います。事業に大きな影響を与えると思われるような、こうした事態について、むしろしっかり精査をし、影響が将来に向けて少ないということを開示すること自身の意味というのもあると思っておりまして、その意味で一つの開示該当事由も含めて、適時開示のあり方について見直しをする必要があるのではないかというふうに考えております。

 同じ趣旨で、もう一つは、非財務情報の開示、サステナビリティに関する情報開示についてであります。これまでの議論の中でも発言をさせていただきましたけれども、やはりサステナビリティに関わって、事業に対して重要な影響を与えるような場合などについて、速やかに開示をされる必要があるというふうに思っております。これはネガティブな影響だけではなく、この間ですと、気候変動をはじめとしたサステナビリティに関わる企業がより積極的な戦略を策定したり、あるいはそうした製品やサービスの供給を始められたりといったケースも見られる状況にあると思っております。そういう意味で、四半期開示のあり方も含めて、その位置付けは考える必要がありますけれども、少なくとも、非財務情報の開示の観点からも、現在の適時開示の開示該当事由とそのあり方については検討が必要だというふうに思っております。今後の検討を進められることを期待しております。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。今の高村委員の御発言で、本日御参加いただいている委員の皆様方全員から御発言をいただきました。多くの貴重な御指摘、御発言をいただきまして、誠にありがとうございました。

 それでは、オブザーバーの皆様方で御発言があれば承りたいと思います。チャット欄に一言入れていただければ、私のほうから御指名をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。ありがとうございます。経団連の小畑オブザーバー、どうぞ。

【小畑オブザーバー】
 経団連の小畑でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の四半期開示の見直しに関しましては、四半期開示コストの削減並びに効率化、こういった観点から見直しをいただいているというふうに理解をしておりまして、その観点から申し上げますと、まず、第1・第3四半期の開示につきましては、基本的には現行の決算短信のレベルを維持するということが基本ではないかというふうに考えておりまして、その意味ではこの四半期決算短信へのレビューというものは不要というふうに考えております。

 また、第1・第3四半期に対するエンフォースメントを特別に設けるということにつきましても、基本的にはもう現状の東京証券取引所の規律で十分というふうに考えております。

 一方、第2四半期の取扱いでございますけれども、こちらにつきましても現行の第2四半期報告書のレベルを維持するということで十分と考えておりまして、それに対するレビューということを付するということでよいというふうに考えております。

 なお、先ほど何人かの委員の方から御指摘がありましたように、非上場会社の半期報告書、中間監査についても見直すということには賛成でございまして、併せて、非上場会社のみならず、特定事業会社、こちらの半期報告制度についてもぜひ見直しを御検討いただきたいと思っております。以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは、公認会計士協会の藤本オブザーバー、どうぞお願いいたします。

【藤本オブザーバー】
 公認会計士協会の藤本でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。私からは、四半期開示に対する保証のあり方について、2点意見を申し述べたいと思います。

 まず、第1、それから第3四半期のレビューについてでございます。これまで、会計監査人としては、年度監査に加えて3回の四半期レビューを行うことで企業の財務報告の信頼性を全体として確保してきたと考えております。会計士としては、市場参加者が期待する役割に真摯に対応することが最も重要であると考えております。これは、四半期報告書が廃止をされ、東京証券取引所の取引所規則による開示になったとしても、企業の情報開示の信頼性を確保する役割には変わらず応えるべきであると考えております。したがいまして、第1と第3四半期について、レビューが仮に義務付けとならなかったとしても、任意のレビューが実施できるような体制の維持はお願いしたいと考えております。企業の開示に至るプロセス、内部管理体制は確保されていると考えておりますが、その程度は企業によって差があると認識をしております。外部の第三者のレビューによる適正な開示を行う一定の牽制、それから不正の抑止効果があるものと認識をしてございます。

 2点目ですが、半期報告書における保証のあり方として、中間監査か、レビューかというお話がございましたが、中間監査には反対をいたします。中間監査は、国際的に見ても、我が国の制度としては説明するのが難しく、実務においても、企業のグローバル化に伴い、海外の主要な構成単位の監査人に対する指示や説明が難しいことも御理解をいただきたいと思います。

 なお、四半期レビュー制度導入後は、監査人が中間監査を行う実績に乏しく、年間の監査スケジュールも大幅な見直しとなります。また、近年の中間監査の監査時間と四半期レビューの時間の実績を比較しますと、これまでお話が出ていますように、圧倒的に中間監査の工数は多いです。中間監査の保証水準からすれば、当然、期末監査の監査時間に近いものとなり、四半期レビューは、質問、それから分析的手続が主な手続であることを鑑みますと、中間監査と比べますと四半期レビューの工数は格段に少ないものとなっております。現行の開示保証制度は、これでも円滑に回っていると考えておりまして、信頼性も確保されてございますので、半期報告書については、中間監査ではなく、レビューであるべきだと考えております。私からは以上でございます。ありがとうございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは、次に、関西経済連合会の松倉オブザーバー、どうぞお願いいたします。

【松倉オブザーバー】
 本日からオブザーバーで参加いたします関西経済連合会の松倉です。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですけれども、関西経済連合会では2009年から、四半期開示見直しに関する意見表明を続けてまいりました。とりわけ、四半期開示の義務付けにつきましては、企業経営者や投資家の短期的利益志向を助長しかねず、中長期的な視点でのステークホルダーとの対話を阻害していること、また、3か月ごとの決算開示は膨大な人的資源の投入を必要とし、企業に多大な事務負担をもたらしていることなどから、これまで義務付け廃止を要望してまいりました。四半期開示は日本では全ての上場企業約3,800社に求められておりますが、欧州主要国では第1・第3四半期の開示は要求されておらず、アナリストがカバーしているのは600から800社程度と思われ、少なくとも全ての上場企業に義務付ける必要はないかと思っております。今回の一本化の議論は望ましい方向への第一歩と考えておりますが、今後、より抜本的な制度の見直し、つまり完全な義務付け廃止に向けた検討を続けてほしいと思っております。

 本日、オブザーバーとして参加するに当たりまして、関西経済連合会では主要企業に対して、今回の事務局説明資料で申し上げますと45から47ページの検討課題につきまして、それぞれアンケート調査を実施いたしました。そこで会員企業からの声が多かったいくつかの項目について触れさせていただきます。

 まず、開示の簡素化につながらないだけでなく、速報性を阻害する懸念があるとして、反対意見が多かった項目を多い順に申し上げますと、6点目の半期報告書・中間監査の復活、4点目の四半期決算短信へのレビュー要求、5点目の臨時報告書による虚偽記載に対するエンフォースメントについて、反対意見が多かったです。また当然と言えば当然ですが、企業サイドとしての意見としては、やはり半期報告書、中間監査の復活を求める企業の声はゼロでございました。それと3点目の四半期決算短信の記載項目につきましても、変更不要、もしくは簡素化を求める声が9割程度ございまして、先ごろ発刊された『週刊経営財務』が公表した四半期開示アンケート結果でも、同様の意見が8割程度と多かったと認識しております。開示の効率化、簡素化の流れに逆行することがないよう、何卒よろしくお願いいたします。

 最後になりますが、アンケートの中では、投資家側の要望と企業側の負担との費用対効果のバランスに留意すべきとの声や、四半期開示に関わらず、有価証券報告書も含めて、量より質の開示により真に投資家の投資判断に役立つ情報開示に集中すべきとの意見がございました。年内の議論では、こうした全ての議論の解決には至らないと思いますので、積み残った課題につきましても今後継続して議論していただくことをお願いいたします。以上です。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは、東京証券取引所の青オブザーバー、どうぞお願いいたします。

【青オブザーバー】
 発言の機会を頂戴しまして、ありがとうございます。東京証券取引所の青でございます。

 今回の四半期開示の見直しに関しましては、四半期報告書と四半期決算短信の一本化を通じてのコストの削減、それから開示の効率化を考慮して一本化するということになってございますけれども、そのときには開示の速報性や、あるいは投資家の利用度合いというものを踏まえて四半期決算短信に一本化するという形になったということであって、情報量について減らしていくことが適当だからという話では必ずしもなかったということだと理解をしております。

 前回のディスクロージャーワーキング・グループでのそうした意見を踏まえ、今回の検討が進められているわけでございます。コスト削減や開示効率化を当然意識することは非常に重要だと思うわけでございますけれども、その中でも、やはり投資家の求める情報をしっかり提供していくという方向感については、全委員の共通理解の下、今後の検討を進めていただければありがたいと思う次第でございます。

 それから、そのスピードというところでございますけれども、現状の四半期決算短信に関しましては、確かに四半期報告書よりも早いタイミングで出ておりますけれども、今回の議論に当たりましては、四半期報告書がなくなる形になることを前提としますと、最初の四半期決算を出す1回だけに開示のタイミングが限られるというわけではないという考え方もあり得ると思ってございます。一部の委員からはすでに出ておりますけれども、追加的な開示も考え得ることだと思っておりますので、スピードと情報量をトレードオフと考えるのではなくて、必要な情報は出していく、そのときに早く出すべきものは早く出していく、そういった発想で仕組みは作り得るということだと思いますので、そこは投資家の求める情報と企業の御負担等も考えながら、全体として、海外から見て、あるいは投資家の方から見て、よい制度設計になっているとなるよう、今後とも御議論いただければと思う次第でございます。

 それから、その中でも気になるところとしましては、四半期そのものに今回焦点が当たってございますけれども、やはり定性的な情報についての定期的な開示というところにおいて、有価証券報告書など様々あるかと思いますけれども、それらの情報も充実していくということと、それから、タイムリーに事業環境の変化があったときに情報開示をすることが大事だと思われますので、そうした個々の情報をしっかり把握するということ、あるいは経営陣において速やかに自社の状況を把握することが非常に重要だと考えてございます。そのために人的リソースが要るということについては、先ほども四半期開示そのものについては指摘がございましたが、それとは必ずしも同じではないと思いますけれども、常々、事業の状況について速やかに把握する方法で、過度に人的リソースに頼らないような方法を、できる限りDX化する等の手段によって構築していくことも企業が行うべき大前提として進めていただくことが重要と考える次第でございます。

 適時開示に関しましては、様々御意見あるところでございますけれども、共通しているところは、企業において積極的に開示する姿勢が重要であるということだと思います。細則主義的な現状の方向のまま改善する方法もあれば、原則主義に転換するという方法もあり得るとは思いますけれども、現状の運用面において企業の方々、投資家の方々にとって分かりやすい面があるということと、実態として重要な情報が出ていくという、この両方のことをしっかり確保することが、実際の運用を考えますと重要なことではないかと思われますので、そうしたことを踏まえながら議論が進んでいくとよいと思う次第でございます、目先のところとしては、何が重要かというところについて特に御議論を頂戴した上で、具体的なところについてはより時間をかけて丁寧な議論をしていくことが適切ではないかと考える次第でございます。

 あと、ここは付言になりますけれども、細則主義というところで必要以上に開示が求められているというようなお声も時々耳にするところではございますけれども、私ども、そこのところは柔軟にルール改正可能だと思ってございますので、ぜひそういったところがあれば、個別に取引所にお声を寄せていただければと思ってございますので、ぜひその点をよろしくお願いできればと思う次第でございます。

 それから最後でございますが、御議論いただきたい事項の7点目、その他のところでございます。会計処理の拠り所や、レビューする場合にはその基準といったもの、あるいはその仕組みをどのように確保していくのかといったところなど、取引所だけでは行い得ない点が出てくるかと思いますので、その点についても、今後の議論の動向次第でございますけれども、関係機関の方々と一緒に御協力をぜひお願いできればと思う次第でございます。長くなって恐縮でございますが、以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。あっという間に時間が過ぎまして、既に予定の時間を10分程度超過してしまっておりまして、大変申し訳ありません。本日はこのあたりとさせていただきたいと思います。なお、発言の時間が限られていたと思いますので、さらに追加でお気づきの点、御意見等ございましたら、いつでも事務局のほうにお知らせいただければ大変幸いです。

 本日も大変多くの御議論、貴重な御指摘をいただきましたので、それを踏まえまして、次回以降、さらに皆様方に御議論を深めていただきたいと思います。最後に、事務局から御連絡等ございましたらお願いいたします。

【廣川企業開示課長】
 本日も貴重な御意見を数々ちょうだいしまして、誠にありがとうございました。

 次回のワーキング・グループの日程でございますけれども、皆様の御都合を踏まえました上で最終的に決定させていただきたいと思いますので、御案内をお待ちいただければと存じます。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。皆様方には長時間、どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局企業開示課(内線3846、2872)

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