金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第4回)議事録

  1. 日時:

    令和7年12月18日(木曜日)16時00分~18時00分
  2. 場所:

    中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
  3. 議題:

    • (1)開会
    • (2)事務局説明
    • (3)討議
    • (4)閉会
  4. 出席者:

    【委員】
    神作裕之(座長)、飯田秀総、井口譲二、大瀧晃栄、加藤貴仁、清原健、黒沼悦郎、小林いずみ、阪智香、
    三瓶裕喜、高村ゆかり、武井一浩、田代桂子、永沢裕美子、樋爪謙一郎、藤本貴子、松井智予
    【金融庁】
    井上企画市場局長、新発田審議官、小長谷企業開示課長、繁本総務課長
    【オブザーバー】
    東京証券取引所、日本監査役協会、日本経済団体連合会、関西経済連合会、日本公認会計士協会、
    日本証券業協会、法務省、経済産業省、財務省、
    日本商工会議所、日本ニュービジネス協議会連合会
  5. 議事録:

    【神作座長】

    定刻になりましたので、ただいまより金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの第4回会合を開催いたします。皆様大変御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

    本日の会議におきましては、対面とオンライン会議を併用した開催とさせていただきます。また、ウェブ上でライブ中継をさせていただきます。

    なお、議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定でおりますので、よろしくお願いいたします。

    会議を始める前に、事務局から留意事項をお願いいたします。

    【小長谷企業開示課長】

    本日もどうぞよろしくお願いいたします。留意事項などを御案内させていただく前に、恐縮ですが、カメラはここまでということでお願いいたします。

    本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、オンラインで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際には、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から御指名いただきます。

    なお、対面で御参加の委員におかれましては、お名前のプレートを立てていただければ座長から指名いただきます。御発言後は名前のプレートを元にお戻しいただくようお願いいたします。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。

    それでは、まず、会議の公開についてお諮り申し上げます。金融審議会議事規則第4条にのっとり、ディスクロージャーワーキング・グループの審議について、公開することとしたいと存じますけれども、よろしいでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)

    【神作座長】

    どうもありがとうございます。御了承いただきましたので、本日の会議の模様はウェブ上でライブ中継させていただきます。

    それでは早速、議事に移らせていただきます。本日は事務局より資料の御説明をいただいた後、質疑応答、討議を行いたいと存じます。

    事務局の金融庁から御説明をお願いできますでしょうか。

    【小長谷企業開示課長】

    それでは、事務局より報告書案の内容をポイントを絞って御説明いたします。

    目次を御覧いただけますでしょうか。本報告書案の構成についてですけれども、Iとして、スタートアップ企業等への資金供給の促進に関連する議論をまとめております。具体的には、1.として有価証券届出書の提出免除基準の見直し。2.として特定投資家私募制度の見直し。3.として株式報酬に係る開示制度の見直しの3点でございます。

    次に、IIとして、虚偽記載に関する責任の範囲の明確化。具体的にはセーフハーバー・ルールと確認書制度に関する議論をまとめております。

    次に2ページを御覧ください。スタートアップ企業等への資金供給の促進というテーマのうち、まず、有価証券届出書の提出免除基準の見直しに関する議論をまとめております。

    現行制度とその課題について触れた上で、3ページの(2)では、第3回会合において御説明した提出免除基準の引上げに係る調査の結果をまとめております。

    その上で、4ページの(3)でございますが、調査結果も踏まえて、提出免除基準を5億円に引き上げることが適当と考えられること、及びその理由を記述しております。

    本件については10億円まで引き上げることを検討してもよいのではないかとの御意見があったことを踏まえまして、5ページの脚注12にその旨を記述するとともに、5ページ冒頭129行目辺りですけれども、そこから始まる段落において、提出免除基準の在り方については継続的に検討していく必要があると考えられると言及しております。

    続いて、5ページの(4)ですが、提出免除基準を5億円に引き上げることに伴う投資者保護策について、また、(5)では小額募集制度の見直しについて、それぞれ言及しております。

    次に、6ページの2.ですが、特定投資家私募制度の見直しについてまとめております。

    (1)で現行制度と課題に触れた上で、7ページの(2)で考えられる見直しの内容をまとめております。具体的には、潜在的特定投資家を特定投資家私募の相手方の範囲に追加することや、行為規制については、一般投資家を相手方とするものと同一の規制を課すことなどを記述しております。

    潜在的特定投資家、すなわち特定投資家への移行手続を経ていない一般投資家を特定投資家私募の相手方の範囲に追加するという新制度の適正な運用に当たっては、当局及び自主規制機関による取組がとりわけ重要になると考えられることから、その点につきまして、8ページの236行目から243行目辺りで言及しております。

    また、本件見直しにつきましては、特定投資家私募制度が十分に活用されていない理由や、制度の見直しがスタートアップ企業への投資拡大につながるという理由が明確ではないといった御意見もいただいたものと承知しておりまして、その旨を脚注の28に記載しております。

    次に、9ページの3.では株式報酬に係る開示制度の見直しについてまとめております。こちらにつきましては、結論としては、上場・非上場を問わず、役員・使用人に対する勧誘行為を募集から除外することが適当ということを記述しております。

    次に、10ページのIIでは、虚偽記載に関する責任の範囲の明確化に関する議論をまとめております。まず、10ページの1.では、セーフハーバー・ルールの導入について検討するに至った背景について言及しております。

    次に、11ページの2.ではセーフハーバー・ルールの効果についてまとめております。(1)の民事責任につきましては、12ページの380行目において、一定の場合には虚偽記載等に係る民事責任を負わないとするセーフハーバー・ルールを導入することが適当と考えられると記述しております。

    次に、12ページ(2)の行政責任・刑事責任についてですが、行政責任につきましては、民事責任と同様、セーフハーバー・ルールの対象とすること。他方、刑事責任については対象としないことが適当と結論づけております。

    なお、課徴金につきましては、行政のエンフォースメント手段を確保する観点から、セーフハーバー・ルールの対象としないほうが望ましいのではないかという御意見も頂戴したものと承知しておりまして、その点を脚注の39に記載しております。

    次に、セーフハーバー・ルールが適用される情報の範囲についてですが、14ページの420行目以降におきまして、不確実性が高く、厳格な正確性を求めることが、投資者のニーズや企業負担の観点から必ずしも相当とは言えない情報として、非財務情報のうちの将来情報、見積り情報、統制の及ばない第三者から取得した情報に限定することが適当と考えられると記述しております。

    この将来情報等のより具体的な範囲につきましては、今後、内閣府令やガイドラインにより明確化されることが期待されるということを脚注の42において言及しております。

    次に、セーフハーバー・ルールの内容適用要件についてです。こちらにつきましては、14ページの428行目以降におきまして、将来情報等の合理性が確保されていると認められる場合にはセーフハーバー・ルールが適用され、虚偽記載等の責任を負わないとすることが適当であるとした上で、どのような場合が合理性が確保されていると認められる場合に該当するのかについて、15ページの436行目以降に記述しております。

    次に、15ページの5.では、セーフハーバー・ルールに関するその他の検討事項について記述しております。まず、有報の虚偽記載等に係る提出会社の役員等の損害賠償責任につきましては、提出会社が責任を負わなければ、その役員等も責任を負わないとすることが相当であるため、セーフハーバー・ルールの対象とすることが適当ではないかとしております。

    また、発行会社での会社の責任をどのように考えるかという点につきましては、会社が投資者から直接資金を調達するという点で流通市場での責任とは違いがあり、投資者に対する救済をより強調する必要があるのではないかとの論点があるものと承知しておりまして、その点を457行目からの段落に記載しております。

    その上でですが、届出書のうちの企業情報に関する記載事項と有報の記載事項はほぼ同じでありまして、また、上場会社の場合は組み込み方式や参照方式を利用する例が多数となっております。こうした中、仮に同一内容の将来情報等について、有報では虚偽記載等の責任を負わない一方で、届出書では責任を負うこととなれば、開示の充実という政策目的の達成が不十分なものとなるため、届出書のうちの将来情報等についても同一の要件の下でセーフハーバー・ルールの対象とすべきと考えられるということを460行目以降に記述しております。

    16ページの6.は確認書制度の見直しについてでございます。確認書の記載事項につきましては、15ページに記載されているとおり、セーフハーバー・ルールの適用要件の1つとされているところでして、この要件との接続といった観点などから、中間論点整理で示されたとおり、記載事項を追加することが適当と記述しております。

    最後に17ページですが、有報の記載事項の整理につきましては、来年春以降に御議論いただく予定である旨に言及しております。

    事務局からの説明は以上でございます。

    【神作座長】

    御説明どうもありがとうございました。

    それでは、これより委員の皆様から御意見、御質問をお伺いする討議の時間とさせていただきます。限られた時間ではございますけれども、全ての委員から5分以内で御意見等を頂戴できればと存じます。

    なお、本日の会議では経過時間をお知らせするため、御発言から5分が経過したタイミングで事務局員よりメモを差し入れさせていただきます。加えまして、御発言の順番につきましては若干前後する可能性があろうかと存じますけれども、あらかじめ御了承いただければ幸いです。

    初めに、本日御欠席の岩井委員より御意見を頂戴しておりますので、事務局から御紹介をお願いします。

    【小長谷企業開示課長】

    それでは、岩井委員から御提出いただいている意見書を読み上げさせていただきます。

    先般送付いただいたディスクロージャーワーキング・グループ報告書案につき、セーフハーバー・ルールの適用される情報の範囲及びその適用要件、また、確認書制度の見直しについて意見を述べさせていただきます。

    セーフハーバー・ルールに記載の将来情報等の定義については、第2回のワーキング・グループで意見させていただいたとおり、非財務情報のうちの将来情報、見積り情報、統制の及ばない第三者から取得した情報ということに異議はございません。

    なお、本報告書案の将来情報等の定義については、内閣府令の開示ガイドライン改正においても、ディスクロージャーワーキング・グループでの議論に沿って明記いただくようお願い申し上げます。

    併せて、現状では将来情報が記載箇所を限定する形で記載されており、このような記載場所を限定する記載は撤廃いただくよう、お願い申し上げます。

    次に、セーフハーバー・ルールの適用要件についてですが、こちらも第2回のワーキング・グループで意見させていただいたとおり、本来は挙証責任を原告側に戻した上で、主観要件を過失責任から重過失責任に見直す方法が望ましいと考えております。

    一方、こちらもその際に述べさせていただきましたが、合理性が確保されていると認められる場合とする事務局案についても、実質的に企業の挙証実務負荷が生じないよう明確にしていただければ、賛同し得るものと思っております。

    また、合理性が確保されていると認められる場合において、追加記載が要求されており、この追加記載自体にも問題はないと考えております。一方、当該追加記載に係る中で、真実であることを前提に、これらの開示をもってセーフハーバー・ルールが適用されるという記載の真実であることを前提にという記述については、作成者が挙証責任を負うことを惹起させるため不要と考えております。

    最後に、確認書制度の見直しについてです。こちらも第1回、第2回ワーキングの発言の繰り返しにはなりますが、現行の確認書の範囲が有価証券報告書全体に及んでいることから、改めて記載事項を追加する必要性はないと考えております。

    追加記載の趣旨として、経営者の適正な情報開示に対する意識向上やセーフハーバー・ルールの要件との接続とありますが、これらは有価証券報告書に記載することで趣旨は達成されると思います。また、諸外国制度との整合性についても、諸外国制度では我が国のような準拠すべき法律名の記載がないため、重複感がなく、そもそも違いがあると考えます。

    これらを踏まえると、追記は本質的でなく、かえって確認書の形骸化を招く懸念もあり、追加記載は不要と主張させていただきます。

    以上でございます。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。

    それでは、委員の皆様方から御意見、御質問をお出しいただければと存じます。どなたからでも結構でございます。御発言の意思をお示しください。

    それでは、井口委員、お願いいたします。

    【井口委員】

    御説明どうもありがとうございました。報告書全体については賛同いたしますが、その上で、セーフハーバー・ルールの導入についてのみ発言させていただければと思っております。

    このセーフハーバー・ルールの導入の議論は、SSBJ基準適用に伴い、議論が始まったと認識しておりますが、ただ、サステナビリティ記載欄の情報のみならず、非財務情報の将来情報等についても対象とする方向ということについて賛同いたしたく思っております。

    現状、資本市場ではサステナビリティ情報を含む財務諸表外の情報は、有報と任意の統合報告書という2つの媒体に開示されている状況でありまして、その内容において、例えば経営者のメッセージは任意の報告書のほうが優れ、役員報酬や政策保有株などについては有報のほうが優れているなど、情報が開示媒体の間でばらばらに開示されているという状況になっております。

    このような中、投資家は複数の開示媒体を読み込む必要が生じておりまして、企業さんも同じ内容の開示書類を2つ出す必要があるという、こういった非効率な事項が生まれていると思います。このことは御承知のようにグローバルスタンダードからも外れているというふうに思っております。今回のセーフハーバー・ルールの導入によりまして、企業は有報での開示が容易になるということと思っておりますので、現状の任意の統合報告書の開示内容の有報への移管が進んで、資本市場がより効率化すると期待しております。

    一方、企業の方とも話しておりますと、あまりこの重要なセーフハーバー・ルールの議論を知らない方も多くいらっしゃいます。今回の制度改正の趣旨をより広く普及させるとともに、既にこれは金融庁さんにおいてやられていることではありますが、有報における開示の好事例の公表等を通じて、任意の統合報告書から有報への開示の移管といったことを促進するような施策をやっていただければと思っております。

    以上でございます。ありがとうございます。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。続きまして、三瓶委員、どうぞ御発言ください。

    【三瓶委員】

    よろしくお願いします。2つコメントがあります。

    1つは、Iのほうのスタートアップに関するところなんですが、今回、基準や制度緩和がされました。なので、これは利用がその結果増えたのかどうかなど、今後少なくとも年1回程度の情報開示を行っていただいて、政策効果の検証をしていただけるといいのかなというふうに思います。それによって、今回の基準の緩和や制度というのが適切だったのか、何かどこか見落としたことがあって、もっと何かを変えないと利用が増えないのか、そんなことがレビューできるというふうに思います。

    2点目ですが、これはIIIと両方にまたがっているんですけれども、報告書案と概要の資料で使われている「企業負担」という表現についてです。報告書案では、1ページの13行目、また、同じく1ページの16行目、14ページの421行目の3か所で使われています。概要のほうでは1ページの左側、一番下の説明と、4ページの2つ目の四角のところと、同じく4ページの適用範囲の説明の3か所で計6か所使われています。

    報告書案の1ページの16行目での「企業負担」は、スタートアップに関連してですから、非上場企業における開示作業負担という意味合いと解されます。だからこそ、有価証券届出書の提出を不要にしたり、簡易様式の提出を認めているということだというふうに思います。

    他方で、これ以外の5回使われている企業負担の表現というのは、セーフハーバー・ルールに関連しています。つまり、上場企業についてです。企業の負担について、セーフハーバー・ルールの文脈で丁寧に記載されているのが、報告書案の13ページ418行目から14ページの419行目です。「金商法上の虚偽記載等に対する責任についての企業の懸念・負担」という記載です。これは先ほどのスタートアップにおける開示作業負担ということではなくて、虚偽記載等に対する責任への言わば心理的負担ということですね。この2つを区別しないと、セーフハーバー・ルールにおいても、開示作業の負担というふうに混同してしまった解釈が生まれる危険があるというふうに懸念します。

    投資判断に重要な情報を開示することというのは、これは上場責任ですから、企業負担にも配慮しつつという表現が、何か開示作業負担であるというふうに解釈されると困るなというふうに思います。

    したがって、今回、概要の3か所と報告書案の1ページ13行目の表現というのは、いきなり「企業負担」と出てくるので、言葉足らずだと思いますので、報告書案の418行目から419行目のような丁寧な表現を使うのがよろしいかというふうに思います。

    私もディスクロージャーワーキング・グループのいくつかのシリーズに参加してきましたが、度々「企業負担」という言葉が出てきました。ですから、常に上場責任との関係で、その意味合いを明確にしながら取り扱うべきだというふうに考えます。

    以上です。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。それでは、大瀧委員どうぞ。

    【大瀧委員】

    報告案の取りまとめどうもありがとうございます。幾つかの論点において見解の相違等ございますが、そちらは脚注に記載していただいておりますので、全体を通して、おおむね賛同いたします。

    今後、報告書に基づき、関連法令等の改正を通じて制度化を進めていくことになると存じます。セーフハーバー・ルールにつきましては積極的な開示を促すことが主な趣旨と理解していますが、民事責任及び課徴金納付命令の免責規定を設けるということで、いま一度、投資家保護の観点から制度化に向けた手続の中で検討していただきたい事項がございます。

    セーフハーバー・ルールについては、真実であることを前提に、将来情報等の記述において、前提とした事実、仮定や推論過程、情報の入手過程を含む適切な開示に係る社内手続等を開示するとともに、確認書において、経営者等が開示に係る適切な手続の整備及びその実効性を確認している旨を記載することをもって、合理性が確保されていると認められるものとし、その場合において適用されるという立てつけであると理解しております。

    本報告案では、15ページ脚注47ではどのような体制整備が求められるか、16ページ脚注50では新規上場企業における社内体制への懸念、また、脚注51では重要性の考え方の明確化など、制度化に向けた懸念や意見が紹介されていますが、私が制度化に向けて検討をお願いしたい点は、将来情報等の前提、推論過程、開示に係る内部統制等が、適切に整備運用されている旨の開示及び確認書の記述が真実であるか否かという実質的な判断に係る一定の目線を明確にしていただきたいということです。

    昨今の不正事案のように、虚偽の売上高をベースとした業績見通しであれば、内部統制がそもそも機能しておらず、何らかの内部統制に係る開示、または確認書の記述があったとしても、それは真実ではなく、合理性が確保されていないということで、セーフハーバー・ルールは適用されないと理解しております。

    もう一つ、例を挙げますと、将来の業績見通しの記述において、会計監査人に対しては、監査を通すために保守的な業績見通しを提示する一方で、非財務情報において異なる前提を基に楽観的な業績見通しを記述するケースを想定します。異なる前提に基づく見積り情報を想定してもよいのですが、その記述の差に重要性があれば、会計監査人は監査報告書のその他の記載内容欄に重要な差異があると指摘すると思います。

    将来情報等に虚偽という概念は当てはめにくいかもしれませんが、このような記述は内部統制が有効に機能していれば通常は想定されず、監査人からの指摘も受け入れない状況ですから、経営者が故意に開示に係る内部統制を無効化し、記述しているものと想定されます。

    このようなケースにおいて私は合理性が確保されているとは思いませんが、こうしたケースを含め、合理性が認められるとの前提である記述が真実であるか否かの実質的な判断に係る一定の目線を明確にしていただけると幸いです。

    私からは以上です。ありがとうございました。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

    オンラインで御参加の松井委員、御発言ください。

    【松井委員】

    ありがとうございます。私も発言に際しまして、セーフハーバーについて主として意見を述べたいと思います。

    本報告書においては、少額募集制度であるとか株式報酬制度など、様々な選択肢の増加のほか、とりわけサステナビリティ開示基準の導入に際して、責任について、将来情報等の範囲、民事責任と行政罰・刑事罰の関係、それから、会社と経営者の責任の範囲など、多岐にわたる論点について詳細な議論を記述していただきまして、取扱いが明らかになったということで、大変意義があるものになったというふうに感じております。

    また、将来情報等と非財務情報一般の関係については、中期的にさらに議論を進めることができるのであろうというふうに理解しております。この中の将来情報等についてのセーフハーバーについて、このセーフハーバー適用の際の基本姿勢として、会社としては一定の閾値の下で重要性があると考えられる情報を集め、その中の何を取り上げて記載するかについて判断をするという一連の社内プロセスの下で、会社の実務部署及び経営者がそれぞれ違ったレベルで将来情報等の外縁を決定すると理解しております。

    また、そのプロセスを踏んだとしても、前提とされた事実等において、経営陣あるいは実務部署が考えもしなかったような事実というのが事後的に重要となり、書いていることと実現した将来の状態が大きく異なり、あるいは全く書いていなかった情報が出来するということもあり得ようかと思います。

    このような場合をにらんで、今般追加開示事項というものが整備されましたけれども、その追加開示事項の解釈や運用があるために、これを見て、将来情報等を記載するに当たっての前提となるアプローチが間違っていたではないかといったような事後的な責任追及がされないということが重要であろうと思います。

    法制化に当たり、444行目における将来情報等の合理性が確保されているという言葉がもし使われるということであれば、この言葉については、答え合わせをする段階の将来情報が合理的であったかどうかという話ではなく、将来情報等を生み出す時点で、当時の認識において合理性があると考えられたアプローチによって、その情報が生み出されているという場合も意味するのだと解釈すべきだと思います。

    先ほど、この報告における内部統制が無効化されるというようなことについての御懸念という発言がございましたけれども、追加記載事項とか確認書の記載事項の意義というのは、経営者がこの点について認識をしたということを明らかにするということであって、その報告書自体において虚偽を意図している、あるいは別の場所における積極的な虚偽に立脚して、つられて、こちらの報告書でも虚偽を書くというような場合には、合理性が確保されている場合には当たらないのはもちろんだと思いますけれども、その他の結果として間違っていたという場合には、ポジティブに記載された事項を虚偽としないということだけでなく、記載されなかった事項の取捨選択についても責任が問われないというふうに解釈上は運用していくことができるのではないかと考えているということです。

    以上です。よろしくお願いいたします。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。それでは、また会場に戻りまして、田代委員、どうぞ御発言ください。

    【田代委員】

    今回、この報告書をまとめていただきまして、ありがとうございます。この報告書につきましては、今、我が国の資本市場において重要な課題となっておりますリスクマネーの供給の裾野を広げるという点で、大きな意味合いがあると思います。

    そういった観点から、国内外の機関投資家を含めた潜在的特定投資家という表現のもと、これまでの国内プロ投資家と異なる投資家層まで裾野を広げることを目的に、いろいろな取組をしていらっしゃるという意味では非常に前向きで賛同いたします。ただ、これをサステナブルに実現することや、そして先ほども他の委員から指摘がありましたように、本当に資金調達が進むのかという検証も必要だと思います。

    もう一つは、裾野をサステナブルにさらに広げるためには、入り口だけではなく、継続的にどうやって情報開示をするかというところもポイントだと考えます。これは開示が進めばいいというものではなく、開示された情報を読み取り、その意味を理解するためのリテラシーの向上もセットでやらなければならないと思います。ですので、もちろん自主規制団体や業界、私どものような証券会社が、どのように継続的に分かりやすく情報を提供するかという点も、これからの大きなテーマだと思います。

    最後に、セーフハーバーについて、こちらは内外の機関投資家に対する積極的な情報開示をサポートするという目的で導入される観点が強いかと思います。これにつきましても、先ほどベストプラクティスという表現もありましたが、まだ普及までには時間がかかると思いますし、企業自体も手探りのところもあると思いますので、継続的にフォローアップが必要だと思います。最終的にはリスクマネーの供給によって、日本のスタートアップだけではなくて新分野の成長というのが目的だと思いますので、その効果検証というのが大切かなと思います。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。続きまして、藤本委員どうぞ。

    【藤本委員】

    藤本でございます。まず、報告書案の取りまとめ大変ありがとうございました。関係者の皆様に改めてお礼申し上げたいと思います。私のほうから、報告書案で目次に沿っていくつかコメントさせていただきます。

    まず、有価証券届出書の提出免除基準の見直しに関してですけれども、今回はいろんな議論がございましたが、投資家保護に一定程度の配慮がなされたものになっていると考えておりますので、現状の報告書の案の方向性に賛同いたしております。

    逆に、引上げ後の金額水準、それから少額募集制度の見直しについても様々な御意見があったと考えておりますが、まずは報告書の案に基づいた方向性で進めていただき、今後の運用状況を見て、また、特に投資家の方々の御意見を踏まえて、継続的にぜひ検討いただきたいと考えております。

    また、報告書案の脚注13のところにも記載いただいたとおり、会計監査人非設置会社の場合の監査報告書が添付されない書類が公衆縦覧に付されるということになります。この点については、改めまして投資家に対しても周知、啓発をいただくことが望ましいと考えております。

    それから、特定投資家私募制度の見直しに関してでございます。こちら脚注28に御記載があるように、スタートアップ企業への投資拡大につながるのかどうか、この点については必ずしも明らかではないような印象も受けております。

    しかしながら、裾野を広げようとする試みの方向性については賛同いたしますので、今後具体化を考える際には投資家保護に関する関係者の取組をぜひお願いしたいと考えております。

    それから、セーフハーバー・ルールが適用される情報の範囲についてでございますが、このワーキングの背景として、「はじめに」のところにも御記載いただいておりますけれども、企業戦略やリスク情報等の非財務情報の開示が拡充され、サステナビリティ開示基準の導入に向けた議論が進捗する中で出てきた話であると承知をしております。

    その対象となる企業については、サステナビリティ開示が求められる企業が対象となるべきではないかと考えておりますので、この点について明確化する必要があると考えております。

    また、情報の具体的な範囲については今後明確化が図れるものと思いますけれども、引き続き慎重な検討が必要だと考えておりますが、特に脚注49で言及いただいたように、合理的な最善の見積りを実施している場合にも、虚偽の記載等としてセーフハーバーの対象とされることに関しては懸念を持っております。

    そのため、今後、見積り情報の具体的な検討をするに当たっては、その点も含めて慎重に検討いただき、見積り情報を将来情報等に含めるのかどうかという点も含めて御検討いただきたいと考えております。

    また、セーフハーバー・ルールの適用要件に関しましては、先ほど来コメントがございますように、情報開示に関わる体制が整備開示されることによって、確認書と併せて将来情報等の合理性が確保されるということかと思っておりますけれども、脚注47のまた書きにこの記載事項の真実性のところでございます。この真実性の担保については引き続き課題の1つになると思いますので、先ほどコメントがいくつかございましたように、具体的な検討を進めていただければと考えております。

    それから、最後に、本ワーキング・グループの初回でも発言をさせていただきましたけれども、改めまして投資判断に資する企業情報の開示の在り方、その実現に向けた環境整備について、幅広く検討ということが諮問事項でも書かれております。あるべき企業開示とは何かという点について、金商法、会社法、統合報告、東証の適時開示の開示制度全般の問題として、全体を考えるべきではないかと考えております。

    特に今回、報告書案にも言及されているとおり、今後、有価証券報告書の記載事項の整理について議論をする予定とされておりますが、私としてもこの議論が有意義なものになることを期待しております。

    私からは以上でございます。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。続きまして、小林委員、どうぞ御発言ください。

    【小林委員】

    本件の取りまとめにつきましては御尽力いただきありがとうございます。内容としては、本ワーキングで議論されたことがおおむね反映されておりますし、異なる意見について注釈のところに載せていただいているので、フェアな案だというふうに判断します。

    その上で、既にほかの委員からも指摘がされていることですけれども、特定投資家私募制度の見直しにつきましては、そもそもこの制度がこれまで使われてこなかった原因もあまり明らかではないという前提で考えますと、今後どの程度新しい制度が使われるのか、あるいは、その制度の適用によって、どのようなリスクが認識されるのかということは丁寧に見ていき、必要に応じて制度の修正をしていく必要があるかと思います。

    それから、最後の点になりますけれども、必要に応じて有価証券報告書の記載事項の整理についても議論すると、今後これを行われるわけですけれども、これについては開示全体、今、藤本委員がおっしゃられましたように、企業開示全体を作成した企業、そして、投資家の幅広い意見を聞いて議論を進めていただきたいと思います。

    以上です。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。続きまして、樋爪委員、どうぞ御発言ください。

    【樋爪委員】

    ありがとうございます。事務局の皆様におかれましては、本ワーキング・グループでの議論を取りまとめていただきまして、厚く感謝申し上げます。私からは報告書案につき、3点コメントさせていただきます。

    1点目は、有価証券届出書の提出免除基準に関する意見でございます。届出書の免除基準について議論が行われた第3回の会合においては、私は欠席いたしましたので、議事録を拝見いたしましたが、確かに投資家保護の観点から5億円が望ましいとの声が多く、現段階では5億円とすることが1案と考えております。

    他方で、日頃スタートアップ企業と接しているであろうオブザーバーからの御意見は、10億円程度への引上げを望む声が強かったようにも見受けられます。

    確かに、2ページ目に記載されている諸外国の基準と比べて、5億円という金額は相対的に小さく、インフレや円安が進行している現状においては、5億円への引上げによって、概要に記載されているような喫緊の政策課題である非上場株式の発行、流通の活性化という本来の目的が達成されるのかという懸念も覚えます。

    そのため、この論点については、5ページの注釈で小さく触れるということではなく、本文において両論併記の形とした上で、スタートアップ企業の資金調達ニーズと投資家保護のバランスを図った上で、諸外国の動向も注視しつつ、継続的に検討するといったまとめ方も望ましいと考えております。

    2点目は、セーフハーバー・ルールの内容と適用要件についてであります。本報告書の記載は第2回会合の内容を踏まえたものであり、特段違和感はございません。

    1つ要望事項を申し上げますと、438行目から439行目に記載をいただいた将来情報等を記載するに当たり前提とされた事実、仮定及び推論過程や情報の入手経路や社内手続などについては、あまり細かく過度な開示要求とならないように御配慮いただけますと幸いでございます。

    3点目は、確認書制度の見直しについてであります。第1回や第2回の会合でも申し上げましたとおり、基本的には確認書の記載拡充は不要であるというのが考えでございますが、セーフハーバー・ルールを設ける上で必要ということでありましたら、これも要望事項にはなりますが、17ページに記載されているような簡素な記載にとどめていただきたいと考えております。

    報告案に対する意見は以上となりますが、この場を借りて1点だけ追加で申し上げさせていただきたいと思います。現在、金融庁様より企業内容等の開示に関する内閣府令の一部改正に関するパブリックコメントが募集されておりまして、その中に、第1回会合の場で御報告事項として紹介された人的資本開示に関する拡充が挙げられておりますが、これについては必ずしも検討プロセスが十分でなく、開示の意味や目的が伝わらないまま、開示事項だけが増えるといった印象を企業に対して与えかねないと懸念をしております。

    人的資本開示の拡充については、年明け以降の会合で、その要否や記載内容につき、その他の記載事項の見直しと併せて議論するということにはできませんでしょうか。御見解をお伺いできるとありがたいと考えます。

    以上でございます。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。最後に1点、御意見を伺いたいという点がございましたけれども、事務局から現時点で何かコメント等ございますでしょうか。

    【小長谷企業開示課長】  

    ありがとうございます。人的資本開示の拡充に係る内閣府令改正については既にパブコメをかけている段階ではございますけども、いただいた御意見を踏まえて、3月以降の議論を考えさせていただきたいと思います。

    【樋爪委員】

    ありがとうございます。せめて開示の意味とか目的について十分な御説明をいただきたく、金融庁様からの積極的な情報開示や意見発信にも期待したいと考えております。以上でございます。

    【小長谷企業開示課長】

    今、頂戴した御意見を踏まえまして、今回、開示府令で追加する開示事項の意味といったところの周知はよく徹底するようにしたいと考えております。

    【樋爪委員】

    ありがとうございます。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。

    続きまして、オンラインで御参加の飯田委員、加藤委員の順番で御発言ください。まず初めに飯田委員からどうぞ。

    【飯田委員】

    全体的に報告書の内容に賛成しております。何点かコメントさせていただきます。

    まず、5ページの131行目の辺りですが、継続的に検討していく必要があるという御指摘に賛成です。その際に、今回の報告書では、実態の調査としては3ページにあるような調査をしていただいたわけですけれども、これは考え方ということかもしれませんが、発行者側のコストとしては、届出書ないし有価証券報告書を原則継続して5年間は出さないといけないということに係る直接及び間接のコストもあるということも踏まえつつ、5億円という数字が妥当なのか、もっと10億円まで上げていくのが妥当なのかというようなことも考慮していただくといいのではないかなと思っております。これは報告書とは直接関係ないかもしれません。

    それから、関連してということですけれども、スタートアップ企業の資金調達との関係でいきますと、例えばピッチイベントについて、これが勧誘に当たるのか、当たらないのかというようなことについての線引き、ないし考え方の整理といったようなことは、SECの規則148だったと思いますけれども、それなんかを参考にしながら、企業内容等開示ガイドラインの2-12だったと思いますけれども、そこのあたりで少し整理を追加するとか、そういったこともあり得るのかなと思いました。それが1点目です。

    それから、若干細かい修正提案ですが、9ページの271行目のところですが、当該勧誘を理由としてと書いてあるところですが、間違いではないと思うんですけれども、直前の勧誘という言葉が大分上に遡るので、むしろそこは当該募集にしたらどうかなというふうに思いました。

    それから、あとはコメントだけですが、12ページのアメリカとイギリスの例を出した後に、375行目の辺りで日本の制度は責任が問われやすいということが書かれています。これは実体法のレベルとすれば正しい記述なんですけれども、例えばアメリカと比べれば、クラスアクションがあるか、ないかで全く違うわけでありまして、したがって、この評価もあくまでも実体法の要件のレベルの話をしているということだというふうには私は理解しています。

    それと関連して、この21条の2の要件、例えば重過失とか信頼の要件を入れるべきじゃないかといった御議論もあったと思いますけれども、そういった21条の2などの関連する民事責任の在り方に関しては、今後も継続的に中長期的な課題として検討をしていく価値が十分にある論点だったというふうに思っております。

    それから、最後ですけれども、セーフハーバーの、これも細かい話というよりかは、仮にこの改正が終わった後、どういう状態になるかということですけれども、恐らくこの条文が改正された場合であっても、民法709条の責任とか会社法350条や429条に基づく民事責任というものまで否定する効果までは恐らく発揮しない形で条文が作られるのではないかなと想像しています。

    その場合は、したがって、民法及び会社法の解釈次第ということになるわけでありますけれども、それはそういう改正なんだという理解をすべきということだと思います。ただ、普通というか、原則的に考えれば、多くのケースでは金商法のセーフハーバー・ルールの要件を満たすような事案であれば、民法とか会社法の場合でも、それぞれの要件の解釈次第ですが、責任が発生するというのは基本的にはないのかなというふうに思いますが、これもまた事案と解釈次第ということになると思います。

    私からは以上です。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。続きまして、オンラインで御参加の加藤委員、どうぞ御発言ください。

    【加藤委員】

    報告書案をまとめていただきありがとうございました。私も賛同いたします。私からは将来情報などを対象とするセーフハーバー・ルールが導入された後の開示実務の課題について1件意見を述べます。

    報告書案の13ページ注41にありますように、訂正報告書などの提出命令についてもセーフハーバーを整備することが提案されています。この点に異存はありませんが、セーフハーバー・ルールの対象となる情報の正確さについて、例えば投資家から何らかの懸念が示された場合には、上場会社が情報の修正や更新などを含めた対応を行うことが望ましい場合もあるように思います。

    例えば、スコープ3GHG排出量に係る定量情報は、今回のセーフハーバー・ルールの対象となる情報に含まれると考えますが、ある主要なサプライヤーによるGHG排出量に係る定量情報が不正確であったことが判明した場合、それがほかの上場会社、場合によっては複数の上場会社のスコープ3GHG排出量に係る定量情報の正確性への疑念につながる可能性があるように思われます。スコープ3GHG排出量に係る定量情報などは企業の統制が及びにくいからこそ、投資家から何らかの懸念が示された場合には、その懸念に対する丁寧な説明というものが望ましい場合があると考えます。

    私からは以上です。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。それでは、オンラインで御参加の黒沼先生、どうぞ御発言ください。

    【黒沼委員】

    ワーキング・グループで私が述べた意見のいくつかは報告書案に採用されていませんけれども、それらは少数意見として注に記載していただいていますので、報告書案の内容におおむね賛成いたします。

    特定投資家私募の見直しについて、私から見るところ、意見が分かれていた箇所があったと思うのですけれども、報告者案にその意見の分布が正確に記載されていないように思われるところは、やや不満の残るところです。

    ただし、特定投資家の裾野がなかなか広がらないという現状に照らして、また、特定投資家への移行の申出がなくても、説明義務や適合性の原則による保護が投資者に与えられることになるという点を考慮して、特定投資家向け私募の勧誘対象を潜在的特定投資家に拡大するという考え方は理解できるところですので、結論に賛成したいと思います。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。それでは、武井委員どうぞ。

    【武井委員】

    まず、すみません、今回のテーマは実はすごく難しいことがいろいろあったと思うのですけれども、まさに日本でリアルタイムで求められています、大きく言いますと経済成長戦略の観点から、金融庁さんのほうの所管分野でできることを、とてもスピーディーに、かつ見事にまとめられたものだと思います。なので、本当にお疲れさまというのも変なんですけども、とてもいい取りまとめを今回はしていただいていると思います。そういう意味で本当に感謝を、私が感謝も変なのですけれども、申し上げたいと思います。

    その上で何点かなのですが、まずセーフハーバーに関して、さきほど松井先生のおっしゃった点は実は大事だと思うので、ちょっといろんな考え方は注意していただければと思いますというのが1点目です。

    あと、2点目は、今年はお疲れさまなのですが、来年以降もやることはいろいろあると思っていまして、例えば、脚注の51の2つ目の何が重要な事項について虚偽記載なのかという考え方の整理であったり、あと、先ほども御指摘ありましたが、有報の記載事項の整理ですね。あと、さらにちょっと広げて言うと、今、会社法の改正なんかもリアルタイムで議論されていて、そこにおける会社法開示との関係性とか、来年以降もいろいろと何とぞよろしくお願いしますということでございます。

    あと、さきほど井口さんからのお話にもありましたけれども、今回の大きな特に有報絡みに関しては、非財務情報の開示を積極的に行っていくことで、企業価値の評価を前向きに高めていくということの好循環を起こすということが大事で、その観点から企業さん側の取組もそうですが、投資家さん側のリテラシーの向上も重要なのだと思います。立派な投資家さんの方もいらっしゃるのですが、もうあと1段、投資家さん側のリテラシーも向上する好循環になっているのかどうかは、来年以降もずっと今回の法改正を行った後も、注視していっていただいて、この好循環を続けていくということを見ていっていただければと思います。

    あと最後に、ちょっと細かい箇所で、役員報酬の箇所で技術的な細部のことですけれども、今回募集に当たらないということなのですが、同じことを募集でなく売出しでやっているパターンもあって、そういったものについても今回の同じ趣旨から売出しにも当たらないということなのだと思っていますので、その点も一応念のためコメントをしておきたいと思います。

    以上です。本当に大変お疲れさまでございました。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。それでは、オンラインで御参加の高村委員、御発言ください。

    【高村委員】

    神作先生どうもありがとうございます。今、先生もおっしゃいましたけれども、大変様々な意見がある中で、これまでの議論を本当に丁寧にまとめていただいて、神作先生の御指導の下で事務局の御苦労、本当にありがとうございます。

    皆様もおっしゃっておりましたけれども、本日の報告書案の基本的なところについては全く異論がございません。

    とりわけ、今回、私、セーフハーバー・ルールのところを中心に申し上げようと思うんですけれども、いろいろな国際的な動きはあるものの、ISSB基準に基づく開示、法定開示は確実に広がっているという中で、日本の資本市場がそうした投資家の関心にどう応えていくか、そして、日本の企業の競争力をどう高めていくかという意味で、しっかり対応した法制度をつくる議論を進め、取りまとめていただいたことを改めて本当にお礼申し上げたいと思います。

    私からはセーフハーバー・ルールの内容・適用要件ところで2点申し上げたいと思います。報告書案でいきますと14ページ以下になるかと思いますけれども、先ほど藤本委員が、脚注の49のところに関わって御発言されたところとも恐らく関わるんだと思います。あるいは前回、私、見積り情報との関係で、開示の基準との整合性をお尋ねしたと思いますけれども、それに関わるものです。

    例えば、見積り情報を1つ例にとりますと、ISSB基準に基づくSSBJ基準においては、見積りであることが明確に区別をされ、かつ、見積りを行うためのプロセスに重要な誤謬がなく、見積りの前提が合理的で十分な情報に基づいている、こうした条件を満たしている場合には、そもそも見積り情報については正確であるというふうに基準の下で定めていると思います。

    したがって、これらの条件を満たしていれば、そもそもそうした見積り情報は正確なものであり、虚偽記載の対象には該当しないという理解をしております。言い方を変えると、これらの条件を欠いている場合に虚偽記載に該当する可能性が生じる。

    今回の私の理解が正しいかということですけど、セーフハーバー・ルールの適用要件案というのは、開示の基準の基本的な見積り情報についての開示の基準の考え方に沿っての設定にされているというふうに理解をしております。

    もし間違っていたら修正いただきたいんですけれども、その上で、脚注49の御趣旨というのは、私、藤本委員は多分同じような御趣旨だと思うんですけど、49の御趣旨がそういう観点からもう少し明確に書いていただいたほうがいいようにも思います。脚注を変えるのか、本体に盛り込むのかというのはありますけれども、この見積り情報に関して言うと、少なくともこうした開示の条件で定められている見積り情報の特性を考慮したセーフハーバーの適用要件になっているということが明確になるとよいのではないかというふうに思っております。

    2つ目が、これは既にこれまで井口委員、田代委員ほか多くの皆さんおっしゃいましたけれども、今、一口で私、見積り情報1つをとってもですけれども、将来情報等というのは、実に様々なタイプ、特性を持った情報が関わってくる可能性があるというふうに思います。そういう意味では、このセーフハーバー・ルールの適用要件の該当性の判断基準をできるだけ明確化していくということが好ましいと思いますし、なかなか非常に多様な情報が含まれるということですので、実践の積み重ねの中で好事例の普及をしていく。

    少なくとも、田代委員がおっしゃいましたけれども、継続的なフォローアップが、こうしたセーフハーバー・ルールの要件あるいは要件該当性の基準等々について見ていく必要があるというふうに思っておりまして、こうしたフォローアップを今後しっかりしていくことをお願いをしたいというふうに思っております。

    以上です。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。ほかに御発言はございますでしょうか。それでは、清原委員、どうぞ御発言ください。

    【清原委員】

    どうもありがとうございます。今回の報告書案について、全般的に賛同するところであります。短期間にここまで取りまとめいただきまして、どうもありがとうございました。皆様のご尽力に感謝申し上げたいと思います。

    今まで委員の方から御発言がありましたけれども、いくつか付加的なコメントをしておきたいというところありますので、少し述べさせていただければと思っています。

    1つ目のところ、届出の提出免除基準の引上げのところですけれども、今回、5億円というところでとどまることについては賛同ですが、昨今の状況それから諸外国との対比を含めて、さらなる引上げについての再検討というのが必要ではないかということがありますので、今回の改正後の状況を踏まえつつ、できるだけ早期にそこの見直しについても御検討いただければというふうに考えるところです。

    それから、大きなところでいうと、セーフハーバーのところになりますけれども、セーフハーバーの中では、まず1点目、他の委員からも御発言がありましたように、セーフハーバーのルールとしては、過失要件を重過失に見直すということは今回は見送ったことに異論はありません。ただ、中長期とは言いながらも、この点に関連して本来議論しておいたらよいトピックというのはいくつかあると考えられますので、できるだけ先延ばしという形での中長期にならないように、できるだけ早期にそういったものについてもう一度取り組むという機会があるといいと考えています。

    ただ、SSBJ基準に基づく開示がスタートして、その状況を見ながら、ということになりますと、少なくとも3年とか5年後とかにはなるのだろうと思われます。けれども、ここはそれまでの準備というものは必要にならないのではないかと考えるところであります。

    次に、セーフハーバーの細かなところで言いますと、今回示されている合理性が確保されていると認められる場合というところについて、ここは抽象的な要件として適切と考えているのですが、その各論の部分、具体的には開示府令その他で具体化してくるのだと思いますけれども、そこのところを丁寧に議論して詰めていくところ、パブリックコメント経由になると思いますけれども、そこで適切な形に仕上がっていくことを期待したいと考えています。

    要件のうち大きなポイントになるのが、確認書の対象にもなっておりますように、開示の体制のところであります。開示の体制がどういうものかということ、ここがしっかりと有報その他で対外的に示されるということが非常に重要であり、かつ、どのような開示体制、またはどういう検討プロセスというものが適切と思われるか。適切性まではセーフハーバーの要件になっていないとしても、そこについてのグッドプラクティス、ベストプラクティスというものが蓄積できるような流れということを考えていくと、好事例集のような検討のところでそれを取り上げることができるような、そういった形での有報の記載事由の見直しがなされていくことが大事で、そういうことも併せて御検討いただいて、そこの中で、責任を問われる、問われないというよりは、むしろ責任を問われるような問題が生じないような、できるだけ投資家にとっての誤解を生じさせるようなものにならないような、投資家としてもそこは変動があり得るということがちゃんと分かった上で、企業のほうが責任を持って適切な開示に努めているということが伝わるような、そういった開示が促される法的な枠組みの整備というふうに進んでいくことを期待したいと考えております。

    今回、セーフハーバー・ルールのところで、要件としては入ってこないところですけれども、この記述の中にありますように、昨今の記述情報の開示、これが拡充している中でいうと、経営者の認識に基づく開示というものが非常に重要になってきていて、その意味でいうと、日本ではないんですけども、アメリカのオムニケア事件などの裁判例で、そういった場合にどういう場合が虚偽に当たるかという考え方を示されたりしたところがあります。我が国においても、経営者の判断が伴う、それに基づく開示に関して、どういった場合には責任が生じる、もしくは責任が生じない、その根拠というのはどういうところなのかということがより明確になるような、そういった議論が今後進むことが期待されるところです。それは具体的な要件、それを示しながら、それとの関係で今後精緻に検討していくことが求められていくのかなというふうに考えているところです。

    この報告案の記述の細かな文言のところになりますけども、10ページ目のところ、298のところに、ここでは「経営者の認識の記載」が求められ、とあるところについて、恐らくここは「経営者の認識に基づく記載」ということで、認識そのものを記載するというのはちょっと違うかなと思っております。表現の仕方のところですけども、少し御検討いただければというところでございます。

    今後、確認書も含めて、企業が開示にしっかり取り組んでおられるということが伝わるような運用がなされていくこと、そして、それを通じて投資家の信頼も確保されていくように実務が進展していくことが期待されるところであります。そういったことを最後に述べて、私のコメントとしたいと思います。ありがとうございました。

    【神作座長】  

    どうもありがとうございました。オンラインで御参加の阪委員、どうぞ御発言ください。

    【阪委員】

    発言の機会をいただきありがとうございます。これまでの議論をおまとめいただきまして感謝いたしますとともに、御提案いただきました内容について、全体として賛同しております。

    IIのセーフハーバー・ルールの考え方として、SSBJ基準によるサステナビリティ関連財務情報開示は財務報告の一部でありますので、財務諸表の場合と同様の考え方となっている御提案の内容に賛同するものです。

    1つ、これまでも御意見ございました「合理性が確保されていると認められる場合」に関連いたしまして、SSBJ基準では、高度な判断を要し、測定の不確実性を伴う特定の項目については、開示を作成する際の難しさを緩和するために、「合理的で裏づけ可能な情報」を用いることの定めが置かれています。この「合理的な裏づけ可能な情報」とは、報告期間の末日において企業が過大なコストや労力をかけずに利用可能な、すべての合理的で裏づけ可能な情報をいい、情報の網羅的な探索を実施することは求められないことが考えられる、との記載が基準にございます。これが求められる項目は、サステナビリティ関連のリスクと機会の識別、バリューチェーンの範囲の決定、予想される財務的影響、気候関連のシナリオ分析、スコープ3の温室効果ガスの測定、気候関連の物理的リスク・移行リスク・機会の開示の作成であり、こういった基準の内容も考慮いただいた上での「合理性」ということになっていると理解をしておりますので、賛同いたします。この規定については、作成される方々や利用者の方々も、こういう内容ということを理解して、利用もしていただけるとよいのかなと思っています。

    最後に、サステナビリティ開示については、持続可能な発展の方向に資金の流れを変えるということが目的であります。これらのセーフハーバー・ルールにも後押しされて、今後開示されてくる情報が、市場のマジョリティの投資家の投資判断に利用していただいて企業価値に反映いただくことが、結果的に基準における重要性の判断の閾値を変え、さらに開示が促進され、資金の流れを変えていくということにつながると思いますので、多くの利用者の方に投資判断に情報を利用していただくということを期待しております。

    私からは以上です。どうもありがとうございました。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。オンラインで御参加の永沢委員、どうぞ御発言ください。

    【永沢委員】

    発言の機会をいただきありがとうございます。

    最初に、報告書案を取りまとめいただきました関係者の皆様、ありがとうございました。多様なテーマについて、また、意見もいろいろとある中、どなたかがフェアという表現をお使いになっていらっしゃいましたけども、丁寧に報告書に反映いただいており、私も報告書全体に関しては賛同いたします。

    その上で、金融分野の消費者問題に取り組んでいる立場から、6ページから9ページにかけての特定投資家私募制度の見直しの箇所について、意見を少し述べさせていただきたいと思います。

    潜在的特定投資家の創設については、私も黒沼委員の御意見に近い立場ではあるのですが、時代も変わってきており、個人の中に、事業に成功して築いた資産を若いスタートアップや成長企業に提供できる人も増えてきていると感じております。

    また、スタートアップや成長企業の資金調達が日本経済の成長には不可欠であるということは私も賛同するところですので、報告書の8ページの236行以下の具体的に書いていただいております投資者保護策を講じていただくことを大前提として、潜在的特定投資家を追加し、特定投資家の対象範囲を拡大することには、消極的賛成という表現を使わせていただきたいと思いますが、賛成させていただきたいと思います。

    なお、昨今、投資詐欺が多発していることは皆さんもよく御存じのことと思います。その中で未公開株詐欺は比較的抑え込めてきているわけですが、この背景には、過去に未公開株詐欺があったときに、証券業界および日本証券業協会では、未公開株の勧誘については原則、個人にはしない、原則勧誘禁止を証券会社の自主ルールという形で定めていただきました。この対応が広く個人に知られていて、消費者啓発の現場では未公開株を勧誘されたら詐欺と思えとお話することができております。こういったことが功を奏してきたということで、未公開株詐欺の被害を抑え込めてきたと評価しています。ということは、この度の規制緩和は、悪質な事業者の投資詐欺に利用される可能性があるわけで、そういうことがおきないように、しっかりと一般個人投資家にも規制の見直しについて周知いただくと同時に、証券業界や日本証券業協会、当局の間で連携して対応を進めていただきたいと思っております。この点、特にお願いしたいと思います。

    それから、ほかの委員がおっしゃっていましたが、私も、どうしてこの分野の資金調達がこれまでいろいろな取り組みが行われてきたにもかかわらず、うまくいかなかったのか、その原因がよく分からないままになっていると思います。原因がよく分からない中で、投資家の裾野を個人に広げていくということについては、正直、ためらいがあります。ですので、この制度改正が妥当なものであったのかどうか、将来のどこかの時点で、定点調査にすべきなのかもしれませんが、確認検証をしていく作業が不可欠だと思います。制度のPDCAをしっかりと回していただくことをお願いしたいと思います。

    私からは以上でございます。ありがとうございました。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。本日御出席の全ての委員の方からコメント、御発言をいただきました。大変ありがとうございました。

    ここでオブザーバーの方から御発言をいただきたいと思います。オブザーバーの方で御発言の希望がございましたら、どうぞ御発言ください。それでは、日本ニュービジネス協議会連合会の永瀬さん、どうぞ御発言ください。

    【日本ニュービジネス協議会連合会】

    よろしくお願いいたします。私どもニュービジネス協議会連合会ということなんですが、全国約4,000社の会員企業がございます。その多くが地方企業だということと、私自身も新潟でベンチャーキャピタルをやっているものですから、地方創生の観点から発言をさせていただければと思います。

    本年、まずもって、少額公募1億円を5億円に広げていただいたことに対して、この御英断に対して大変な敬意を表します。

    ただ、その上で、現場の意見を含めますと、まだ5億円では足らないんだろうと思っております。また来年以降10億円以上に広げていただくことを希望したいのと、広げた後、これが運営しやすいように、有価証券届出書の免除、それから簡易版の設定であるとか、こういったところの運営面でもリアルに動けるような、そんな制度をつくっていただきたいと思います。

    それから、特定投資家のルールの規制緩和に関しましても、現状、スタートアップ企業が目指すべき市場として東証グロースがあるんですが、現状、100億円ルールということで非常に壁が高くなっております。

    一方で、東京プロマーケットが活性化していること、それから今年、福岡のプロマーケットが開設したこと。そして来年、札幌もプロマーケットを開設すること。いずれにしてもプロ投資家が売買をする市場でございます。インフラはできたものの、プレーヤーがいない、そんな状況にならないように、こちらの規制側に対しても動いていただけるとありがたいと思っております。

    私は現場で動いているものですから、規制緩和をお願いするだけでなく、緩和をいただいた上で好事例をつくっていくような、そんなことも御協力させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

    以上です。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。続きまして、日本商工会議所の岡本さん、どうぞ御発言ください。

    【日本商工会議所】

    お取りまとめ、ありがとうございます。また、本日は改めて意見を述べる機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

    商工会議所は地域の総合経済団体として活動しております。「強い地域経済」を作るためには、志ある投資家の民間資金を、新事業の創出、あるいはスタートアップの成長資金として供給していくことが何よりも重要であるとまず考えております。

    今回、有価証券届出書の提出免除基準を5億円に戻すという方向性を出していただきまして、誠にありがとうございます。我々はさらに諸外国並みのビジネス環境の整備に向けて、10億円への引上げを主張してまいりました。

    こうした声も踏まえまして、この点については「継続的に検討していく必要があると考えられる」と記載いただきました。制度の利用が進まない要因の1つは、調達額に比べて開示コストの負担が重いことだとよく言われますけれども、そこにあると考えております。

    せっかくの制度も使われないと意味がありませんので、今回の見直し内容を、この機会にぜひ、私どもも各地域で周知をしまして、証券会社、金融機関、事業会社と連携をして利用を進めてまいりたいと考えております。こうした動きの中で、具体的に開示コストが重いなどの課題があるという声が出てくる場合には、速やかに再度の見直しの議論をお願いしたいと考えております。

    いずれにしましても、利用者の声を踏まえまして、状況や課題を御報告、お伝えしてまいりますので、引き続き御支援のほどお願いいたしたいと思います。私からは以上です。ありがとうございました。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。それでは、日証協の森本さん、お願いします。

    【日本証券業協会】

    御指名ありがとうございます。

    既にほかの方々からも御発言ございましたけれども、委員の皆様による活発な御議論と、事務局を務められました金融庁の皆様による資料の御準備、報告書案の作成などに対しまして、心より敬意を表したいと存じます。

    情報開示をめぐる環境変化を踏まえて掲げられましたそれぞれの課題に対しまして、対応の方向性が示されたことは大変意義深いものだと思っております。本協会としましても、今般の見直しを踏まえまして、スタートアップ企業への資金供給促進などに向けて取り組んでまいりたいと存じます。

    それに当たりましては、先ほど永沢委員やほかの委員からも御指摘いただきましたように、投資家保護の観点も留意しながら、金融庁様をはじめとした関係する皆様と連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。

    私からは以上でございます。ありがとうございました。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。それでは、経団連の魚住さん、どうぞ御発言ください。

    【日本経済団体連合会】

    ありがとうございます。報告書案の取りまとめをいただきまして、大変感謝をしております。簡潔に意見を述べさせていただければと思います。

    まず、有価証券届出書提出基準の検討について、多くの方の御指摘があるように、5億円からさらに10億円という方向へ引き上げることが望ましいと考えます。

    この報告書案でも引き続き検討する旨の記載がございましたが、どのようにこれを検討していくか、スケジュールや検証方法、その評価軸など、もし現状でお示しいただけるものがあれば、お伺いできればと思います。ぜひ今後も検討を深めていただきたいと考えます。

    また、2つ目に、先ほど御意見のあった企業負担の表現について、適切に見直しをする方向はよろしいかと思いますが、サステナビリティ開示に伴う企業負担は、決して心理的な負担に限定されたものではありません。企業は、時間的にも手間的にもリソースを注ぎ込んで開示をしていくという実態があり、その負担の意味を適切に表現する形で報告書を最終化していただきたいと考えます。

    3つ目が、セーフハーバー・ルールに関する検討事項についてですが、先ほども御指摘がありました脚注49番の記載については、誤解のない表現にしてくださるようぜひお願いしたいと考えます。

    大前提といたしまして、SSBJ基準において既に認められている合理的な方法による見積り、すなわち、最善の見積りを行っている限り、当該見積り値と事後的に判明した確定値、これがたとえ乖離したとしても、それは虚偽記載に当たらないとの考え方の整理があると理解しております。こういったところが明確化されるように、ぜひ工夫をいただければと考えます。どうぞよろしくお願いいたします。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。それでは、続きまして、東証の青さん、お願いいたします。

    【東京証券取引所】

    東証の青でございます。今般の様々な見直しにつきまして、前向きな形で取りまとめていただきまして、大変ありがとうございます。

    特にスタートアップ関係のところにつきましては、なかなかこれまで取組が難しかった中で、しっかりとスタートアップ企業へ資金を供給していくという観点で見直しを行うという方向感を打ち出していただきましたので、関係者がこれをうまく活用していければ良いと思うところでございます。

    とりわけスタートアップに関しましては、数を増やすということだけではなくて、いかに大きく成長する企業を育てていくのかということが国の政策目的からすれば重要だと考えてございますので、私どもとしましても、今、グロース市場の見直しを進めているところでございますけれども、上場後も企業がしっかり成長していくことを考えますと、上場前の段階で高い成長性を有する魅力的な企業にしっかりとリスクマネーを集めるということと、資金供給者が必要があれば別の適切な供給者にどんどん入れ替わっていけるような、そういった流通の場が非常に重要と思ってございますので、各社が自社に適したタイミングで上場できる環境を整備することを進めていければと思っているところでございます。

    そういう意味で、特定投資家私募の制度見直しも、ぜひ実現していただくということでお願いできればと思っているところでございますけれども、私どもとしましても、上場ベンチャーファンドを活用するような制度見直しも行ったところでございますけれども、それに加えまして、東京プロマーケット、特定投資家向けの市場についても見直しを今後行っていこうと考えてございまして、現状のまま進むというよりも、よりよい形、経済的に意味のある形に見直していくという方向感で活用していきたいと思ってございまして、そのための努力もしていきたいと思っていますので、いろいろと御支援をいただきながら、資金供給機能ですとか流通機能の強化というものについて、上場前の段階でしっかりできるように動いていきたいと考えてございます。

    それから、セーフハーバーの関係につきましては、こうした見直しが必要だということは重々理解するところでございますけれども、11ページの324行目以降でお書きいただいておりますように、投資判断に有用な情報をボイラープレート的に書くのではなくて、しっかりと内容のあるものを書いていただくところが一番の趣旨と認識してございますので、そうしたところについて企業の方々にもしっかりと御理解いただくような形での打ち出し方をぜひお願いできればと思うところでございます。

    以上でございます。どうもありがとうございます。

    【神作座長】

    どうもありがとうございます。それでは、関経連の中島さん、どうぞ御発言ください。

    【関西経済連合会】

    御発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

    金融庁事務局の皆様におかれましては、過去3回の議論を取りまとめていただき、誠にありがとうございます。報告書の内容につきましては、これまでの議論がおおむね反映されておりまして、基本的には賛同するものでございます。

    今後、特にセーフハーバー・ルールにつきましては、結果として企業の積極的な開示を阻害することにならないよう、制度設計や運用面においても十分御配慮いただけるとありがたいというふうに考えております。

    年明け以降、有価証券報告書の記載事項の見直しなどの議論も進めていただけるものと期待しています。サステナビリティ情報開示に代表されますように、企業はこれから時代のニーズに応える様々な開示に対応していく必要があるというふうに考えておりますので、従来からの開示制度を一度しっかり見直し、作成者、利用者、監査人なども含めた関係者にとって、真に望ましい開示制度が構築されるということを望んでおります。

    私からは以上でございます。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。オンラインで御参加の会計士協会の方、どうぞ御発言ください。

    【日本公認会計士協会】

    発言の機会をいただきましてありがとうございます。

    まずは、様々な御意見を踏まえて報告書案を取りまとめられました関係者の皆様に御礼を申し上げたいと思います。全体としては方向性に賛同しておりますけれども、今後に向けてというところで幾つか述べさせていただければと思います。

    届出書の提出免除基準の見直しのところでございますけれども、企業の方の開示の負担と投資者の保護、このバランスに配慮された見直しということになっていると思っております。

    ただし、財務諸表に信頼性を付与するという役割を担っております私ども監査人といたしましては、会計監査人設置会社である場合と、そうでない場合で、公衆縦覧に供される計算書類の信頼性の水準にばらつきが生じてしまうということになりますので、この点は今後の課題になるかと考えているところでございます。

    続きまして、セーフハーバー・ルールですけれども、適用範囲というのが今後の論点になってくるということかと理解をしております。対象となる企業がどこまでかという点、それから、将来情報等の具体的な範囲は実務の現場で混乱が生じないように明確化をお願いできればと考えるところでございます。

    最後ですけれども、総論としましては、日本公認会計士協会として、有価証券報告書の記載事項の見直し、これは大変重要な課題だと認識をしています。関心を持って議論を注視させていただくとともに、様々な形で検討に協力をさせていただければというように考えております。

    議論に当たっては、あるべき企業開示とは何かという点を開示書類の今話題になっております一体化、さらには法令改正による一本化、そして開示のタイミングという観点から検討することが必要だと考えています。投資判断に当たっての必要性、有用性、情報の重複、効率性、企業の方の作成負担、様々な観点を踏まえることが、作成者、監査人、それから投資家の皆様、各ステークホルダーにとって、検討していくという意義のあることだというように思っているところでございます。

    私のほうからは以上でございます。ありがとうございました。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。オンラインで御参加のオブザーバーの方でほかに御発言の御希望はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

    様々な御議論いただき大変ありがとうございました。本日の報告書案については、全体としての方向性と内容については、大体御賛同いただいたものと存じますけれども、何点か御指摘や御要望いただいたと思います。

    伺っていて一番大きな問題だと思いましたのは、提出免除基準についてでございますけれども、報告書案の5ページ129行目から131行目に継続的に検討していくという旨の記載があります。魚住さんからも、継続的に検討していくということのもうちょっと具体的なイメージ、方向性、特に時間的な要素について御質問があったと思いますけれども、もし今の時点で事務局のほうからコメント、御回答がありましたら、お願いできますでしょうか。

    【小長谷企業開示課長】

    この報告書案を踏まえまして、次期通常国会に法律の改正案を提出することを予定しておりまして、まだ先のことでございますので、現時点でこの10億円の引上げの検討をいつ着手するかとか申し上げるのがなかなか難しいところでございますけれども、今、座長からもお話ございましたとおり、この点について多く御意見いただきましたし、また、この文脈離れて、様々な施策の効果について検証していくべきという御意見もいただいたところですので、その点は不断に行っていきたいと考えております。

    【神作座長】

    どうもありがとうございます。この点については両論併記ではなくて、報告書としてはやはり方向を出す必要があるかと思いますけれども、樋爪委員いかがでしょうか。御意見いただければと存じます。

    【樋爪委員】

    皆さんでいろいろと御検討いただいた結果と思いますので、結構でございます。

    【神作座長】  

    どうもありがとうございます。そのほか文言につきまして、企業負担をはじめとして、何人かの委員の方から具体的な御提言、御提案をいただいたかと思いますけれども、もし今の時点でお答えできることがございましたら、こちらも事務局からお願いできますでしょうか。

    【小長谷企業開示課長】

    文言につきましても複数の御指摘を本日いただいたかと思いますので、その点につきましては事務局内で改めて検討させていただければと存じます。

    【神作座長】

    どうもありがとうございます。委員の先生方から二度目の発言、何かコメント等がございましたら、お願いいたします。よろしゅうございますか。

    もしよろしければ、事務局におきまして、本日の御意見、御議論を踏まえて、改めてこの報告書案を見直していただき、各委員に改めてその改定された案文をメール等でお送りさせていただき、皆様からさらに御意見を頂戴したいと考えております。

    その上で、特段の御意見なく委員の皆様の御了解をいただけましたら、正式な取りまとめとして公表するということとさせていただきたいと存じます。恐縮ではございますけども、このような進め方でよろしいかどうか、御意見を頂戴できればと思いますけども、よろしゅうございますか。

    【神作座長】

    大変ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。今後の進め方につきましては、誠に僭越ではございますけども、私に御一任をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

    また、本ワーキング・グループにおける取りまとめの結果につきましては、今後、金融審議会の総会において御報告をさせていただくということとなります。本ワーキング・グループにつきましては、8月以降4回にわたって皆様から大変活発で建設的な御議論をいただきました。大変御多忙のところ、毎回精力的な御議論を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。

    ここで井上局長から御挨拶をお願いできますでしょうか。

    【井上局長】

    本ワーキング・グループにおきまして4回にわたり、座長の神作先生はじめ、委員の皆様方に精力的に御検討いただきましたことを、まずもって事務局代表して厚く御礼申し上げたいと思います。

    事務局といたしましては、今後報告に示された内容を踏まえまして、法律改正を含めた制度整備に取り組んでまいりたいと思います。

    また、本ワーキング・グループにつきましては、有価証券報告書の記載事項の整理等を御検討いただくために、来春以降も継続して開催してまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。私からは以上です。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。本日は報告書案の取りまとめについて御審議をお願いしたところでございますけれども、ただいま井上局長からもお話がございましたとおり、有価証券報告書の記載事項の整理につきましては、来春以降、引き続き本ワーキング・グループにおいて御議論をお願いしたいと考えております。何とぞよろしくお願いいたします。

    最後に、事務局から御連絡事項等がございましたら、お願いいたします。

    【小長谷企業開示課長】

    今、神作座長からもお話ございました来年の春以降のワーキング・グループの日程でございますけれども、時期が近づいてまいりましたら、皆様の御都合を伺った上で最終的に決定させていただきたいと思いますので、御案内をお待ちいただければと思います。

    【神作座長】

    どうもありがとうございました。

    それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。大変ありがとうございました。

    ―― 了 ――

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