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- 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第5回)議事録
金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第5回)議事録
日時:
令和8年5月18日(月曜日)14時30分~17時00分場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室議題:
- (1)開会
- (2)事務局説明
- (3)討議
- (4)閉会
出席者:
- 【委員】
-
神作裕之(座長)、井口譲二、岩井尚彦、上田亮子、大瀧晃栄、清原健、小林いずみ、阪智香、三瓶裕喜、
髙村ゆかり、武井一浩、田代桂子、樋爪謙一郎、藤本貴子、松井智予 - 【金融庁】
- 井上企画市場局長、新発田審議官、小長谷企業開示課長、繁本総務課長
- 【オブザーバー】
-
東京証券取引所、日本監査役協会、日本経済団体連合会、関西経済連合会、日本公認会計士協会、
日本証券業協会、法務省、経済産業省、財務省
議事録:
【神作座長】
それでは、定刻になりましたので、ただいまより、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの第5回会合を開催いたします。皆様、大変御多忙のところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日の会議におきましては、対面とオンライン会議を併用した開催とさせていただきます。また、ウェブ上でライブ中継をさせていただきたいと思います。
なお、議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定でおりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
会議を始めます前に、事務局から留意事項の御説明をお願いいたします。
【小長谷企業開示課長】
留意事項などを御案内させていただく前に、恐縮ですが、カメラでの撮影はここまでということでお願いいたします。
本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、オンラインで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際には、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から指名いただきます。対面で御参加の委員におかれましては、お名前のプレートを立てていただければ、座長から指名いただきます。御発言後は、お名前のプレートを元に戻していただくようお願いいたします。
【神作座長】
御説明どうもありがとうございました。
それでは、まず、会議の公開についてお諮りいたします。金融審議会議事規則第4条にのっとり、ディスクロージャーワーキング・グループの審議について、公開することといたしたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【神作座長】
どうもありがとうございます。御了解をいただきましたので、本日の会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせていただきます。
それでは、早速議事に移らせていただきます。
このディスクロージャーワーキング・グループでございますけれども、昨年12月に報告書を取りまとめていただきました。同報告書におきましては、有価証券報告書の記載事項の整理について、本年の春以降に審議を行う予定とされていたところでございます。
これを踏まえ、本日は本論点について、初めに事務局より資料の御説明をいただいた後、質疑応答及び討議を行いたいと存じます。
それでは、事務局の金融庁から、資料についての御説明をよろしくお願いいたします。
【小長谷企業開示課長】
それでは、事務局説明資料に沿って御説明いたします。1ページの目次を御覧ください。本日事務局から御説明する事項は大きく2点ございまして、1点目は有価証券報告書の記載事項の整理でございます。これに関連して、昨今の有価証券報告書の定時株主総会前の開示の状況ですとか、法制審議会会社法制部会で御議論いただいている、有価証券報告書と事業報告等の一本化についても言及いたします。
2点目ですが、法定開示書類のみならず、取引所規則に基づく開示や、各社による任意の開示も含めた情報開示制度全体についてでございます。
2ページを御覧ください。まず、有価証券報告書の記載事項の整理についてですが、昨年夏に開催された本ワーキング・グループの第1回会合におきましては、投資家にとって有用性が限定的であり、かつ、企業にとって負担感が大きい事項について見直しを行っていくべきではないか、あるいは、有価証券報告書と事業報告等との一本化などの議論の動向も踏まえつつ検討を行うべきではないかといった御意見をいただきました。また、情報開示制度全般についての課題として、任意開示書類も含む複数の開示媒体において重複が見られるなど、非効率な状況が生じており、あるべき情報開示について検討する必要があるのではないかといった御指摘もございました。
4ページを御覧ください。有価証券報告書につきましては、2003年以降、非財務情報を中心として記載内容の拡充がなされてきました。このスライドでは、それらを一覧的に時系列で記載しております。それぞれ、どういった記載内容の拡充・追加がなされたのかにつきましては、次のページ以降で簡単に御紹介いたします。
5ページを御覧ください。2003年の内閣府令改正では、米国における企業改革法の制定といった国際動向等も踏まえつつ、有価証券報告書に、「事業等のリスク」「MD&A」「コーポレート・ガバナンスの状況」の項目が新設されました。
6ページを御覧ください。2008年の内閣府令改正では、当時の公認会計士制度部会での御議論を踏まえ、有価証券報告書に「監査報酬の内容等」の項目が新設されました。
7ページを御覧ください。2009年6月に、コーポレート・ガバナンスをめぐる様々な課題について検討を加えた金融審議会金融分科会スタディグループ報告が公表されました。当該報告を踏まえ、2010年の内閣府令改正では、有価証券報告書の「コーポレート・ガバナンスの状況」の項目に、コーポレート・ガバナンス体制、役員報酬等、株式保有状況といった記載事項が追加されました。
9ページを御覧ください。2014年6月に閣議決定された日本再興戦略における提言を受けて、2014年の内閣府令改正では、有価証券報告書の「役員の状況」の項目に、男女別の役員数、女性役員比率といった記載事項が追加されました。
10ページを御覧ください。2016年のディスクロージャーワーキング・グループ報告を踏まえ、2017年と2018年に行われた内閣府令改正では、それぞれ有価証券報告書の、「対処すべき課題」の項目と「MD&A」の項目における記載事項が追加されました。
11ページを御覧ください。2018年のディスクロージャーワーキング・グループ報告を踏まえ、2019年の内閣府令改正では、有価証券報告書に、「監査の状況」「役員の報酬等」「株式の保有状況」の項目が新設されたほか、次の12ページを御覧いただきますと、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」「MD&A」における記載事項が追加されました。
13ページを御覧ください。ISSB基準が策定されたことなどを受けて、2023年1月の内閣府令改正では、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の項目が新設されました。
また、2023年1月の内閣府令改正では、14ページにございますとおり、女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金差異といった項目が追加されたほか、次の15ページにございますとおり、コーポレートガバナンス・コードの2度目の改訂なども踏まえ、取締役会等の活動状況や、政策保有株式の発行会社との業務提携等の概要といった記載事項が追加されました。
16ページを御覧ください。2023年12月の内閣府令改正では、諸外国の開示内容等を踏まえ、「重要な契約等」の項目について記載事項を追加しております。
17ページを御覧ください。令和5年度の有価証券報告書レビューにおいて識別された課題を踏まえ、昨年の内閣府令改正では、保有目的を政策保有目的から純投資目的に変更した株式の開示事項が追加されております。
18ページを御覧ください。SSBJ基準が策定されたことを踏まえ、今年2月の内閣府令改正では、時価総額が一定金額以上のプライム市場上場会社に対して、SSBJ基準に準拠したサステナビリティ情報の開示を義務づけることとしております。
19ページを御覧ください。本ワーキング・グループの第1回会合でも言及いたしましたが、今年2月の内閣府令改正により、人的資本に関する開示事項の追加を行っております。
20ページを御覧ください。ここまで御説明しましたとおり、2003年以降、有価証券報告書の非財務情報を中心に記載事項の拡充がなされてきましたが、他方で、企業のコスト削減や開示の効率化といった観点から、四半期報告書制度の見直しがされてきました。
具体的には、2012年3月期から四半期報告制度における記載事項の簡素化がなされ、さらに2025年3月期からは四半期報告制度が廃止されました。
22ページを御覧ください。ここからは、有価証券報告書の定時株主総会前の開示をめぐる状況について御説明いたします。
昨年3月に、株主総会前の適切な情報提供について、金融担当大臣から全上場会社に対して要請を行ったところですが、この要請を踏まえ、全上場会社に占める総会前開示を行った会社の割合は、2025年3月期に57.7%まで増加しました。
26ページを御覧ください。金融庁、財務局が実施した有価証券報告書レビューによると、今年の3月期の総会前開示は全上場会社の77%程度、また、プライム市場上場会社に限定すると90%程度と見込まれております。
同じく有価証券報告書レビューによりますと、2025年3月期決算会社のうち、総会の3週間以上前の開示を行った会社は1社、2025年4月期から2026年2月期決算会社では5社でした。
また、2025年4月1日から2026年5月15日までの適時開示資料によりますと、総会の後ろ倒しについて、議決権行使基準日の後ろ倒しによる定款変更を実施した会社は4社、今後定款変更を予定している会社は2社確認できました。
28ページを御覧ください。金融庁及び東京証券取引所におきましては、先月10日にコーポレートガバナンス・コードの改定案をパブリックコメントに付したところですが、その改定案の序文におきまして、現行法制下で一般化している実務運用からすると、株主総会開催日の3週間以上前の開示は必ずしも容易ではないとの認識を示しているところでございます。
こうした問題意識も背景として、法制審議会会社法制部会では、このスライドにございますとおり、有価証券報告書と事業報告等の一本化について御議論いただいているところでございます。
現在、会社法制の見直しに関する中間試案がパブリックコメントに付されているところですが、その補足説明においても、事業報告等と有価証券報告書の一本化を可能とすることによって、開示書類作成の負担を軽減するとともに会計監査の一元化の実現を可能にすることが、有価証券報告書の総会前開示に向けた株主総会の開催スケジュールの見直しのインセンティブを与えるための最も現実的な対応であるとの指摘もあったと記述されているところでございます。
開示書類の一本化及び会計監査の一元化の実現に向けて、金融庁としても、法制審議会会社法制部会での御議論に、引き続き貢献してまいりたいと考えております。
29ページを御覧ください。このスライドの左下にございますベン図は、中間試案の補足説明から引用させていただいたものですが、現在、金融庁及び法務省では、事業報告等の固有部分、すなわちこのベン図のBの部分を特定するとともに、両書類の開示事項の共通化を図るための検討作業を行っております。
今後、これらの検討結果を対応表として整理し、公表することを予定しております。この対応表は、現行法制の下で可能な一体開示を促進するとともに、法制審議会会社法制部会で御議論いただいている一本化の実現に向けた土台になるものと考えております。
こうした検討を通じて内閣府令等の改正が必要となることも想定されますが、そうした場合には、2028年3月期からの適用を目指して作業を進めていきたいと考えております。
次に、31ページを御覧ください。ここから先は、情報開示全体に関する御議論となります。
本邦の上場会社による情報開示は、法定開示、取引所規則に基づく開示、任意開示といった複数の体系で構成されております。それぞれの情報開示は、EDINET、TDnet、企業のウェブサイト等を通じて投資家向けに提供されておりますが、一般的に機関投資家においては、これらの情報をデータソースとして構築された情報ベンダーのシステムを活用しているものと考えられます。
32ページを御覧ください。任意開示書類である統合報告書を公表する会社数は近年増加傾向にあり、宝印刷D&IR研究所の調査・集計によりますと、昨年末時点で1,200社程度と言われております。有価証券報告書において、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されたことなどに伴いまして、法定開示書類との重複が生じていることが指摘されているところでございます。
33ページを御覧ください。本ワーキング・グループでは、臨時報告書と適時開示との重複解消を求める御意見もございました。両書類の記載事項には一定の共通性があり、また、両書類共にインサイダー取引規制における公表措置として定められていますが、開示項目は適時開示のほうがより広範なものとなっております。
次に、34ページを御覧ください。取引所規則で定められているコーポレート・ガバナンス報告書につきましては、コーポレートガバナンス・コードのコンプライ・オア・エクスプレインの開示媒体としての機能も有しているものですが、それ以外の部分に関して、有価証券報告書の「コーポレート・ガバナンスの状況等」などとの重複が指摘されることもあるものと承知しております。
36ページを御覧ください。こちらは御報告事項となります。先ほど14ページで御説明しましたとおり、2023年3月期から、提出会社及びその連結子会社が女性活躍推進法及び育児・介護休業法に基づき公表する指標のうちの、男女間賃金差異、女性管理職比率、男性育児休業取得率の開示を、有価証券報告書において求めております。
昨年の女性活躍推進法の改正により、労働者数100人超の事業主における男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が必須となりました。これに伴いまして、有価証券報告書におけるこれらの事項の開示も広がることとなりまして、3月決算会社の場合は、2027年3月期の有価証券報告書から適用されることとなります。
繰り返しになりますが、連結子会社についても開示を求められる事項ですので、従業員数の閾値の変更は、企業の開示実務には一定程度の影響が想定されるところでございます。
38ページを御覧ください。最後に、本日御議論いただきたい事項でございます。
1点目は、この20年余りにおける非財務情報の拡充について、どう評価するかという点でございます。2点目ですが、有価証券報告書の記載事項の整理につきましては、有価証券報告書の固有の開示事項、すなわち29ページのベン図におけるCの部分を対象として検討することとし、企業サイドが開示に負担感を感じている記載事項を特定し、それらの事項の投資判断にとっての有用性を確認した上で、海外の開示制度との比較等の観点も踏まえて検討していくこととしてはどうかと事務局としては考えておりますが、この点について御意見をお聞かせください。
3点目ですが、法定開示、取引所規則に基づく開示、任意開示間の重複も指摘される中で、情報開示のあるべき姿についてどのように考えるか、御意見をお聞かせいただければと思います。
なお、ここに記載されておりますとおり、見直し後の有価証券報告書の適用時期を2028年3月期からとしますと、本ワーキング・グループの次の報告書は、来年6月頃までには取りまとめることが望ましいかと考えております。
これを前提としますと、年内は有価証券報告書の記載事項の整理の方針について、そして年明け以降は開示書類間の重複関係といった課題への対応について御議論いただくというスケジュールを、事務局としては想定しているところでございます。
事務局からの御説明は以上でございます。
【神作座長】
御説明どうもありがとうございました。
それでは、これより委員の皆様からの御意見、御質問をお伺いする討議の時間とさせていただきます。
なお、御発言の順番につきましては、若干前後する可能性があろうかと存じますけれども、あらかじめ御了承いただければと存じます。
初めに、本日御欠席の加藤委員より御意見を頂戴しておりますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【小長谷企業開示課長】
それでは、加藤委員からいただいている意見書を代読させていただきます。
第1に、事務局説明資料では、有価証券報告書の記載事項の整理を、①企業が開示に負担感を感じている記載事項の特定、②当該記載事項の投資判断にとっての有用性の確認という2段階で進めることが提案されているが、この点に関して3点意見を述べる。
①と②が必要であることに異論はない。また、①と②の2段階のプロセスの明示が、検討作業の円滑化につながる可能性がある。しかし、①によって特定された事項についてのみ②を行うというプロセスを、厳格に遵守することが適切ではない場合もあるように思われる。有価証券報告書の各記載事項について、企業の負担感と投資判断にとっての有用性は様々である。仮に企業の負担感が強い記載事項であっても、投資判断にとっての有用性が高ければ、そのような事項は有価証券報告書の記載事項として維持されるべきである。そのような、投資判断にとっての有用性が高いが企業の負担感も強い事項を有価証券報告書の記載事項として維持する手段として、別の記載事項の整理、投資判断にとっての有用性は限定的であるが企業の負担感が低い複数の事項の簡略化などが考えられる。すなわち、企業の負担と投資判断にとっての有用性のバランスは、個々の記載事項ではなく、有価証券報告書の記載事項全体で確保される必要がある。
第2に、①の作業を行う際には、負担の内容を可能な限り具体化する必要がある。例えば、負担感の主たる原因が有価証券報告書の記載事項とされることに伴う公的なエンフォースメントの可能性にあるならば、有価証券報告書の記載事項ではなく、取引所規則上の開示書類として開示を求めるという政策判断もあり得る。
第3に、②の作業を行う際には、有価証券報告書の記載事項としなければ企業からの任意開示が期待できない情報であるか否かも考慮すべきである。任意開示の存在は、一定の情報については、企業側に開示を行うインセンティブが存在することを意味する。このようなインセンティブが十分ではないからこそ、有価証券報告書等の強制開示規制が存在するのであるが、有価証券報告書の記載事項の中には、有価証券報告書の記載事項とされて以降の開示実務の進展により、投資判断にとっての有用性が高いとの投資家の判断が確立しており、かつ、企業もそのような投資家の需要に対応することが、株価とファンダメンタルバリューの乖離を埋めるために有益であると認識しているため、任意開示に委ねても十分な開示がなされる可能性がある事項も存在するように思われる。ただし、このような評価をする際には、任意開示における開示事項の企業間比較の可能性を向上させる仕組みの要否が併せて検討される必要がある。
第2に、有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の関係を検討する際には、コーポレート・ガバナンス報告書は単なる開示書類ではなく、証券取引所が上場企業のコーポレート・ガバナンスの改善に働きかけるための手段となっている点にも留意する必要がある。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様方から、御意見、御質問等をお出しいただければありがたく存じます。どなたからでも結構でございますので、御発言の意思をお示しいただければと存じます。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
それでは、井口委員、お願いいたします。
【井口委員】
御指名ありがとうございます。また、御説明ありがとうございました。
38ページの御議論いただきたい事項に沿って御意見申し上げますが、最初の点につきましては、足元のサステナビリティ情報の拡充も含めまして、資本市場のニーズに応える形で非財務情報の開示が順調に進んできたものと考えておりますので、2点目以降について御意見申し上げます。
2点目につきましては、グローバルでも2つの法定の年次報告書を出しているというのは極めて少なく、日本くらいだと思っておりますので、資本市場の効率化の観点から、総会前開示も踏まえた有報への一体化の方向性に賛同いたします。
ただし、29ページの図のCの、有報の独自の開示事項の見直しについては、慎重に行うべきというふうに考えております。私は9年前の2017年頃から、このディスクロージャーワーキング・グループに参加させていただいておりますが、記載事項の追加、要求事項を追加するに当たりましては、企業と投資家の意見を踏まえ、慎重に検討された上で改訂されてきたと認識しております。
ですので、記載の見直しを検討する際には、その時の議論を振り返った上で、あと、現状の状況も踏まえた上で、なぜ、その情報の有用性が相対的に低下したかということを慎重に考える必要があるのではないかと思っております。
また、企業負担の点では、現状の負担ということではなくて、法制審議会で議論されているということもありますので、有報と事業報告等の一体化後の企業負担というのを想定する必要があるのではないかと考えております。
あと、3点目の情報開示の重複については2点申し上げます。
1つ目は、34ページのガバナンス報告書についてです。確かに有報と重なっているところはあるのですが、資料にご記載がありますように、ガバナンスコードへの準拠状況の開示媒体ということで有報とは目的が違うことに加え、任意も含めた委員会の設置状況や社外取の配置の状況の開示があること、また、委員会の委員長が社外か社内かといった状況の開示や、元CEOの顧問の就任状況の開示など、投資家のニーズを酌み取っていただいて非常に分かりやすく開示されているといった優れた点があります。また、こういった情報が東証さんのほうでデータベース化されているということで、機関投資家にとって、対話・議決権行使においても欠かせない開示媒体となっています。さらに、以前のディスクロージャーワーキング・グループでも議論されましたように、有報と異なりタイムリーに更新できるという利点もあると思っています。したがって、情報の統合ということに関しては慎重にやっていくべきと思っております。
情報開示の重複の2点目です。任意の統合報告書についてです。先ほど事業報告との関連で、日本では2つの年次報告書を出していると申し上げましたが、この統合報告書も合わせれば、3つも年次報告書を出すということになってしまっていると思っております。
また、統合報告書では、企業さんが出したくない重要なガバナンス関連、あるいは役員報酬、政策保有株などの情報が不足するといったことになっているため、企業の状況を把握するためには、現在、利用者は統合報告書と有報の両方を見ながら企業分析をするという、非常に非効率な事態が生じているというふうに思っております。
ですので、グローバルでも実践されておりますように、法定の年次報告書である有報と任意の報告書、ただし、ここでいう任意の報告書とは統合報告書ではなくて、例えばサステナビリティレポートや人的資本レポート、あるいはガバナンスレポートなど、テーマ別の報告書となりますが、このような2種類の報告書で、企業報告は基本的には構成されるべきと考えております。
現状の有報の開示情報につきましては、金融庁さんの開示の好事例集の効果もあって、事業の状況欄などは統合報告書の記載内容を移管する形で充実が図られています。一方、任意の統合報告書でも、開示が遅れておりますガバナンスの記載内容などは改善の余地があると見ております。
また、多くの企業さんが、有報の開示では、利用者のことを考えるよりも、むしろコンプライアンス的にちょっと書き込み過ぎているという傾向もあると思いますので、現在出していらっしゃる好事例集を生かして、分かりやすくコンサイズに記載するようなガイダンスのようなものがあればいいのではないかというふうに考えております。
今後、非財務情報分野に、将来情報などを含め、セーフハーバー・ルールが大幅に入るということもありますので、企業さんの有報へのハードルが下がりまして、一段と任意の統合報告書からの開示の移管というのが進むと期待しておりますが、企業さんへの引き続きの啓蒙活動というのも欠かせないというふうに考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、阪委員、どうぞ御発言ください。
【阪委員】
御説明どうもありがとうございます。発言の機会をいただきありがとうございます。
開示情報が増える中で、有価証券報告書と事業報告等の一本化と会計監査の一元化の実現は、作成者、利用者双方の負担軽減、また総会前開示に向けて必要なことであると思います。29ページのC部分を対象に検討を進めることに賛同いたします。開示の有用性を検討する上で、Bの部分の開示も関連すると思いますので、2点申し上げます。
一つは、事業報告は各産業の業法に基づいて開示されている部分がありますので、そのような財規になく業法に基づき開示されている固有の開示の扱いをどうするのかという点が1点目です。2点目が、附属明細書の扱いです。有価証券報告書の注記にも含まれている情報かと思いますので、附属明細書を含めての一本化も検討いただければと思っております。
次の点は、32ページの統合報告書などの任意開示についてです。これらの任意開示が普及してきたこと自体は望ましいと考えておりますが、負担は確かに増加しています。
有価証券報告書は、企業価値そのものを開示する媒体ではないものの、有価証券報告書においても価値創造のストーリーを開示する企業事例もあり、価値創造に関する情報ニーズは高いと感じております。
改めて、それぞれの開示における目的を明確にし、必要に応じて相互参照を利用し、負担を軽減していくことは有用ではないかと感じております。
最後に、36ページの開示に関して、子会社の範囲については、サステナビリティ開示基準の考え方と同様に、主要な利用者の意思決定に合理的な影響を与えると予想される情報を開示する、つまり、情報が開示されない、誤表示・不明瞭な記載があった場合に、主要な利用者の意思決定に合理的な影響を与えるかどうかで判断するという、重要性の判断が適用される考え方でよいのではと考えております。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、三瓶委員、どうぞ御発言ください。
【三瓶委員】
御指名いただきありがとうございます。まず最初に、この議論いただきたい事項の前に、大きな論点として2つあるかなというふうに思っています。
一つは開示媒体の在り方、これはもうちょっとストレートに言うと、紙媒体からの脱却ということも頭の中に入れておく必要があるだろうということです。
もう御承知のとおり、デジタル化が随分進んでいて、ウェブサイトで開示されている。また、情報ベンダーを利用している実務が投資家側にもあります。そうすると、その情報ベンダーがうまく情報を取り込みやすい形。とはいっても、法定開示の場合のファイリングということであると、過去資料を遡及的に閲覧するというときに、過去10年分を見ようとしたときに、まとまった10年分がすぐ手に入るのかどうかということで、こういったいろんな利用の仕方を考えて、どう整理していくのかというのが一つ重要だと思います。
もう1点は、開示のタイミングが情報価値を左右するということです。今、一体開示等の話がいろいろ出ていますけれども、その中では、開示の内容について重複があるとか何とかということがありますが、利用者からすると、新しい情報が出てくるタイミングというのは非常に重要です。
同じ内容が後から出てきた場合には、そこについてはやはり情報価値が下がってしまう。後から出てくるものについては、新たな何か補足情報であるとか、そういうものがあるからこそそれが重視されるのであって、そのタイミングについては、非常に利用者側からは大事なことなので、これも開示媒体の価値を左右するものだということです。
ただ、有報については、今、開示の早期化ということが言われていると同時に、ただ株主総会が後ろ倒しになると、何月に開示されるかというのは、実質的には6月末までに開示されないかもしれなくて、そうするとタイミングがどこに来るのかというのがまだ流動的な部分もあって、これはちょっと、今、議論を深掘りするときに非常に複雑化させている要因になっているなというのはあります。なので、複雑ではあるけれども、その辺は頭に入れて議論する必要があるのだろうと思います。
その上で、御議論いただきたい事項というところなんですが、1つ目のポイントですが、近年の非財務情報の拡充について、これは情報の有用性だけではなくて、非財務情報ですので少し幅がある、その中で、開示姿勢の差が歴然となります。ですから、発行体がどういうふうに資本市場と向き合おうとしているのかという、その姿勢を認識する上でも非常に有用であるなというふうに思います。
そして、2つ目のところで、投資判断にとっての有用性を確認するということを書いていただいています。これは非常に重要です。
よく企業側から、例えばこのディスクロージャーワーキング・グループももう何年もやっていますが、その中で、投資家からこの項目についての質問は一回も受けたことがない、だから使っていないのだろう、というような臆測が伝わることがあるんですけども、それは、書いてあるから、読んで分かっているのであえて聞かないということなので、質問しないから、それについて言及しないから読んでいないとか要らないというところは、大変誤解が起きやすい部分かなと思うので注意していただきたいなと思っています。
そして、その後に、海外の開示制度との比較というのがあります。これは当然、海外との比較というのは重要な部分があります。ただ、制度だけの比較ではなくて、制度の中でも、実際には海外の企業がどのように実態として開示をしているのか、ここの部分が重要だと思います。
これも以前のディスクロージャーワーキング・グループの中で、特に四半期開示の廃止をする議論のところであったと思うのですが、海外では強制的に開示を求めていないと。ところが、多くの企業が積極的にタイムリーに開示している実態があるという、その実態の比較も含めてしないと、制度だけで、海外はそんなことは求めていないよということではなく、実態としてどれだけ積極的に開示しているのかということも、両方併せて比較をしていただくのが議論に有効だというふうに思います。
そして、もう1個目のポイントで、法定開示書類と取引所規則上の書類で、29ページのようにこれも整理していただくと。29ページは金商法と会社法の書類ですけれども、有報と取引所規則上の開示書類もこのように比較していただくといいのかなと。その時に、またですけれども、開示タイミングを考慮することは重要だと思っています。
それ以外のところでは、任意開示書類というのをここでそんなに議論する必要があるのかなというのは、ちょっと私は思っています。
それと、まず議論は、29ページでいえば図のCの部分を対象としてということでよろしいかと思いますが、そのうちBの部分についても議論が必要になってくるのだと思います。このBの部分のときに、ちょっといきなり具体的な話で申し訳ないですけれども、例示されている中に、私が非常に重視しているもので例示されてないのがあるなと思ったので申し上げます。
事業報告に固有のものとして、「重要な兼職の状況」というのがあります。この情報が、例えば今だったら、有事の際に特別委員会を設置するというようなことがありますが、その時に特別委員会のメンバーになれるのかどうか、それは社外取の方の独立性が非常に重要になってくるので、この兼職の情報というのは非常に重要なんです。これが有報ではないことがあるので、事業報告のほうに行かなければいけない。
ですから、こういったところは実際に使っていますし重要なので、Bの議論をするときには、ぜひ入れていただきたいなと思っています。
あと、最後になりますけれども、34ページにありますコーポレート・ガバナンス報告書の部分ですが、先ほど井口委員もおっしゃっていましたけれども、これは書類というだけではなくて、コーポレート・ガバナンス情報サービス、これがデータベースとして非常に使い勝手がいいんです。私は長年使っていますけれども、項目数は徐々に増えています。そして、検索の機能も、充実してきています。
これは例えば企業との対話をするに当たって、その会社がどういう相対的な位置づけなのか、このデータベースを使うと、全体像がいろんな形の検索で見られるんです。なので、その企業はどういう位置づけにあるのか、それを踏まえて対話をするとかということにも大いに有効に使わせていただいています。
なので、そんな検索可能性であるとか、統計的な状況把握であるとか推移だとか、そんなことを見る上でとても有用なので、もちろん、有価証券報告書とのいろんな重複を減らしていくということは、必要ならばやる部分はあると思いますけれども、今申し上げたような充実した機能、利用価値というものを決して失うことがないように考えていただけたらいいなというふうに思います。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、田代委員、どうぞ御発言ください。
【田代委員】
ありがとうございます。まず、有価証券報告書と事業報告等の一本化ということ自体は反対ではないですが、それを3週間前開示とあまり結びつけない方がいいのかなとは思います。
先ほどご説明いただいたように、一本化によって3週間前開示を行うインセンティブ付けをするという位置づけだったと思うんですけれども、実態として、当社でも今のままで3週間前開示は非常に難しいですし、一本化したところで、多少の助けにはなるものの、やはり3週間前が難しいというのは、様々なアンケートでも提示されていると思います。
一本化が助けにはなるかもしれないですが、必ずしも3週間前開示に直結しないので、それを理由にすると、「何だ、3週間前開示は進まなかったではないか」という残念な結果になるのではないか、一方で、有価証券報告書の見直しと企業の負担を減らそうとすることは、それだけでも十分意義があると思いますので、そこを考えてもいいのかなと思います。
そういった観点から、法定開示と任意開示というものは、先ほどは一緒に議論しなくてもというお話があったと思うんですけども、それぞれ、もちろん同じ投資家、同じ利用者でも、学生、個人投資家、アナリスト、ファンドマネージャーによって使い方が違うと思いますので、有価証券報告書も十分必要ですし、それを充実させることによって統合報告書の重みが軽くなってしまうのも、残念な結果に終わるのかなと思います。
もちろん、セーフハーバー・ルールによりまして、統合報告書に書かれたものを有価証券報告書に記載しやすくなるということは非常に重要で大切だと思いますけれども、置き換わるものではないということもあると思いますので、そこはまた別に考えたほうがいいかなと思います。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、小林委員、どうぞ御発言ください。
【小林委員】
御説明ありがとうございました。まず、1点目は、任意開示と法定開示ですけれども、任意開示のほうは特定の異なる目的、誰をターゲットにしており、必ずしも法定開示でカバーできるわけではないので、それぞれの報告書の性質を考えて議論するべきであるとい思います。その意味では、このワーキングで深く任意開示について議論することに、どれだけ意味があるのかなと思います。それが1点目です。
2点目は当然、様々な開示の重複はできる限り減らすべき、それを減らすことによって事業会社の負担は減るわけですけれど、先ほど田代委員がおっしゃられたように、事業報告等と有価証券報告書を一体化することがイコール、3週間前開示のインセンティブになるかというと、必ずしもというよりは、ほとんどそれ自体は役に立たないのではないかと思います。実際には、有価証券報告書にかかる負担が非常に大きいということです。
ですから、有価証券報告書の開示内容をきちんと整理をし、負担感を減らすことが、総会前開示を促進する役に立ちますが、ただ、それだけですぐに総会前開示、しかも3週間前開示につながるという前提で議論するのは難しいのかなと。むしろ総会の後ろ倒しということも併せて、どういう選択肢があるのかということを提示していく必要もあるのではないかと思います。
最後の点です。有価証券報告書は、非常に長いです。機関投資家さんはしっかり読むと思いますが、一般の投資家さんが読むにはハードルが高いです。一方で、AIを使って要点を絞って読むということで有価証券報告書が一般投資家にとっても活用しやすくなると思います。そう考えるとデータとして有価証券報告書が存在しているということが前提になるのでこの点もふまえこれからの議論を進めることが必要ではないかと思います。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、大瀧委員、どうぞ御発言ください。
【大瀧委員】
どうもありがとうございます。38ページの御議論いただきたい事項に沿ってコメントいたします。
近年の非財務情報の拡充は、諸外国の開示を参考に拡充が進み、読み応えのある内容となっており、財務情報の理解が深まることにとどまらず、有価証券報告書提出会社を広く深く理解することに役立っていると思います。これまでの取組は、投資家から高く評価されていると考えます。
その一方で、非財務情報の拡充で有価証券報告書提出会社の作業負荷が増大していること、そして、有価証券報告書の株主総会前提出の要請に伴う提出の早期化との板挟みで、現状大変御苦労されている点も理解しております。
こうした現状を踏まえ、今後有価証券報告書における非財務情報の拡充及び有価証券報告書の提出時期については、実務に配慮した議論が必要であると考えます。加えて、現行の有価証券報告書の記載事項の整理を行うことは、適時適切な対応であると考えております。
事務局から提案されております2つの観点、有価証券報告書と事業報告等の一本化の実現と総会前開示の進展に向けた取組との整合性、及び海外の開示制度との比較を前提とした有価証券報告書の独自の開示事項を対象として検討すること、見直し後の記載様式の適用については、事業報告等の独自の開示項目等の見直しと同じ2028年3月期からとすること、との提案に同意いたします。
今後、有価証券報告書の記載事項の整理を行うに当たり、4点コメントいたします。
1つ目は、海外との開示制度の比較についてです。海外の制度と比較することに関しましては、日本の実務慣行やこれまでの検討経緯を踏まえ、当ワーキング・グループで内容を吟味し、海外の制度のうち、参考となる良い部分を取り入れるというスタンスが重要と考えます。
2つ目は、有価証券報告書の記載事項の見直しにおいて、非財務情報の拡充のために必要な財務情報が省略・簡素化され、財務情報の開示に関して内容及び公表時期が共に後退することのないようにしていただきたいということです。
3つ目は、株主総会開催の後ずらしについてです。既に制度として担保されている状況において、数社に限られているという現況に鑑みれば、現行の議決権行使基準日を決算日とする実務、すなわち決算日から3か月以内の株主総会の開催及び総会前開示を前提に、有価証券報告書の記載内容の整備に係る議論を行うべきではないかと考えます。
最後の点ですが、有価証券報告書の記載内容の整備においては、資料の2ページにありますように、投資家にとって有用性が限定的で、企業にとって負担感が大きい項目という視点が紹介されていますが、財務情報のように適時性が求められる情報かどうか、制度開示として情報開示を担保する必要があるかどうかといった視点もあるかと考えます。
次に、法定開示書類と取引所規則上の開示書類、及び任意開示書類の間の情報開示の重複に関してですが、相互参照を取り入れるという考え方があるかと思います。ただし、どの記述を主の記述とするかについては、当然、提出時期の早い書類が主たる記述となり、また、法定開示か任意開示かについては、制度的に開示を担保すべき内容については、エンフォースメント及び監査・保証の観点から、法定開示を主たる記述にする必要があると考えます。
その他、資料の個々の内容についてコメントいたします。
29ページの事業報告等の固有のものについては、列挙していただいている項目のほかに、主な借入れ先に関する情報もあると思われます。
32ページの統合報告書については、あくまで任意の書類ですので、現状何か法的に手当てするということではないと考えます。
33ページの臨時報告書と適時開示の重複については、資料のとおり一定の共通性はあるものの、臨時報告書は適切な情報開示の担保、一方で適時開示は広く情報開示を促す趣旨が強いため、それぞれの制度趣旨が損なわれることがない範囲で、重複解消に向けた議論が必要であると考えます。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして藤本委員、どうぞ御発言ください。
【藤本委員】
まず、事務局のほうでお取りまとめいただきまして大変ありがとうございます。全般的には今回の議論というのは、御指摘いただいているように、その時々の状況を踏まえて、どんどん情報が継ぎ足されているような状況でもあると思いますので、作成者の事務負担であるとか、あるいは利用者にとっても、様々な開示媒体も含めて、どこに何が開示されているのかという観点でも分かりにくさが生じているのではないかと考えております。
また加えて、今、法制審議会でも開示の一本化が議論されているという中で、投資家に対する重要書類として、有価証券報告書が重要な書類と位置づけられていると考えておりますので、ちょうど時宜を得てこういった議論ができるということに関しては、非常に有意義だと考えております。また、これは大変重要なテーマであると思っていまして、ぜひ、関係諸団体も含めて様々な御意見をお伺いした上で、ぜひこの議論をしていきたいと考えております。
それでは、御議論いただきたい事項に沿って、一言ずつコメントさせていただきます。
まず、非財務情報の拡充の取組につきましては、やはり投資家との建設的な対話を重視した観点から、中長期的な企業価値向上を促進するという意味では、この方向性については適切であったと思いますし、一定の進展があったと考えております。
特に国際的な情報の信頼性の確保という観点から、サステナビリティ情報に関しましてはISSB基準の整備なども国際的にはございまして、これと歩調を合わせた形で対応を進められてきたということを非常に評価すべきであると考えております。
一方で、非財務情報全体に関していうと、まだ実効性に関しての課題というのは残されていると思っておりまして、これは恐らく企業によって状況は異なると思いますけれども、必ずしも開示の充実が企業の意思決定や内部管理の高度化と結びついていないケースもあるのではないかということでございます。
本来であれば非財務情報というのは、経営戦略やリスク管理、KPIと有機的に結合されて報告されるべきものであると思いますけれども、どうしても開示のために何か作業をしていくというようなことにとどまってはいないかと。改めて、内部での経営戦略の策定であるとか、そういった戦略のレビュー、モニタリング、それから経営管理のプロセスなどと統合していき、それが十分に開示に反映されていくということが重要ではないかと考えております。ここの部分をしっかりやっていかないと、投資家の開示情報の意思決定を考えるときに有用性が担保されないというふうに考えております。
そういう意味では、情報の信頼性をどう担保するかということに関しましては、現在、コーポレートガバナンス・コードを議論されておられますけれども、今の原則でいいますと、4-3のところでも取締役会が情報開示に関する監督を行いましょうとか、あるいは、内部統制やリスク管理体制を適切に整備すべきといったことも取り上げられていますので、ぜひこれが、より浸透できるような形で働きかけをしていただけるとよいのではないかと考えております。
それから、2点目でございますけれども、有価証券報告書の記載事項の整理は、今御想定されているように、作成者と投資家それぞれから御意見を聞きながら進めるということだと認識しておりますけれども、やはり投資判断に有用なものであるということがまず大前提に来ると思っておりますので、その点を前提としまして、かつ、バランスの取れた議論をできればと考えております。
また、先ほどの資料、29ページ目のところでも、Cのところを検討していきましょうということでございますが、先ほどもコメントがございましたように、やはりAとBに関しましても含めて、全体像を確認しながら検討を進めることが必要ではないかと考えております。
また、事業報告等の独自の開示事項の見直しと同時期に適用というのは、これは賛同いたしております。
最後の点で、あるべき情報開示でございますけれども、任意開示書類もありますけれども、やはり投資家の皆様方が情報を見ていくという観点でいいますと、金商法、会社法、それから取引所の適時開示、統合報告、これら全体を含めて体系的に検討される必要があると思います。
そういう意味では、今回御指摘いただいた重複開示部分というのはできる限り解消していくような観点で、それぞれの開示書類の情報の有用性や効率性を検討いただくことが望ましいと考えております。
有価証券報告書というのは、まず、開示項目が定められていることによる比較可能性、それから、制度として信頼できるようなエンフォースメントを含む信頼性の前提というものがあるということで、投資家にとって非常に重要な情報であると思っておりますので、この有価証券報告書を中心に置きつつ、他のそれぞれの目的に即した制度開示書類や、あるいは任意開示としての統合報告が、それらも補完するような形で体系立てる必要があると思います。
いずれにしても、作成者の事務負担、それから利用者にとってシンプルかつ分かりやすい開示が実現できるように、議論が進められていくとよいと思っております。
私からは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
清原委員、どうぞ御発言ください。
【清原委員】
ありがとうございます。まず、御議論いただきたい事項の一番最初のところ、今までの非財務情報の開示の拡充というものの評価というところからなんですけれども、有価証券報告書の開示事項が拡充されてきて、本当に有報が充実した書類になってきたということは大変評価すべきだというふうに考えているのですが、どういう項目が開示として追加されてきたかというのを考えていくと、その時その時にやはり――ちょっと失礼があるといけないんですけど、若干場当たり的追加といいますか、本当に全体像として、この有価証券報告書というのは投資判断に重要な情報がしっかり開示されているだろうかというふうに原点に立ち返ったときに、出発点の段階で必ずしもそういうものとして組まれていなかったので、できるところから手を付けてやってきたというのが実情じゃないかというふうに思っています。
企業の側からすると、今まで求められていなかったものですから、その負担感というものを意識して、できるだけそういう負担感が増えないようにしてほしいというニーズが一方であるのは承知しているんですけれども、今出来上がったものとして、これが本当に投資判断において十分に開示項目、それから開示の実際の内容が充実したものとして胸を張って言えるのかといえば、そこまで行っていないんじゃないか。見直しの出発点で懸念として持っております。
近時の事例になるのです、ファイナンス自体は担当はしていなかったんですけれども、海外でエクイティファイナンスをされる会社さんが、英文のオファリング・サーキュラー、英文目論見書を作成されていて、ページ数ももちろん相当の分量がありますけれども、その記載内容、それと日本の国内での有報での記載内容、それから有価証券届出書ですとか発行登録書とかいろいろありますけれども、国内での開示と比べると、やはり相当大きな差が実際にある事例を見て考えるところがありました。
これは、過去に業務で主にファイナンスをやっていた人間として、非常に残念で、遺憾な事態と思っておりまして、記載項目を整理するというときに、「整理」という概念でいいんですけれども、減らすという意味ではなくて、必要な情報がしっかり開示されることが大事だと思います。有価証券報告書はファイナンスの書類じゃないというふうにお考えかもしれないんですけれども、やはりファイナンスになったときには有価証券報告書をベースに、参照ですとか組み込みですとか発行登録ですとか、それが出発点になるというふうなことを考えると、ファイナンスまで考えたときに、現状の日本の継続開示書類、有価証券報告書というのは、正直、凸凹しているなと。足りていないところもやっぱりあるし、やり切れていないで、ここまでで何とか、言ってみれば妥協的といいますか、折衷的にものになってしまっているところもあるので、本当はそこにもう少し踏み込む必要があったんじゃないかという項目があるんです。それを正面からなかなか議論しづらいので、皆さん発言されていないのだと思うのですけれども、投資家の方としても、本当だったらあの時あそこまで行っていれば、というものがあるだろうと私は想像はしています。
実際の開示書類で、ページが相当増えているような企業さんが負担が大きいとおっしゃるのも確かに分かります。ただ、ヨーロッパ、アメリカの開示書類、日本語よりも英文、文字も小さいですし、あのページ数、あの情報量と比べると、果たして胸を張れるのかというところもやはり本当は考えなくではいけないと思います。日本の企業でも海外での開示をしっかりされている会社さんというのは、できる能力はもちろんあるし、海外で大変だったけれども、そこに対応しておられたというのも実際ある。そういったことも踏まえて、開示制度全体を見直すというのであれば、原点に立ち返ることというのは非常に重要で、重要な情報がしっかりと、充実した開示がなされる。その時に、形式にとらわれているような情報については割愛するということ、それから、重複だとか事務的に時間がかかるもの、これを見直す、これはすごく大切だと思います。
でも、本当に必要なものにリソース、時間、お金をかけることが可能となるような法定開示制度の枠組み、ほかの開示書類との関係の整理という視点、こういったことを見失ってはいけないのではないか、出発点として考えるところであります。根本みたいなところにも常に立ち返りながら、足元を確認しつつ進めていただければと思います。
その中で、今まで、もし有価証券報告書の開示にやや企業が後ろ向きといいますか、躊躇していたことがあったとすると、ちょっとしたミスであっても、ちょっとした訂正であっても、やはり目立つし、あとは、こう言ってはあれですけれども、レビューをされる側の方からも、割りと細かな事を言う傾向が、少なくとも90年代は日本の官庁側にもあったということも含めて、企業サイドがすごく保守的になってきた背景もあったと考えています。
ただ、そういう過去は過去として措いてみると、少なくともこの10年以上、開示の充実と、実際に企業の開示されている内容も、量もそうですし内容も柔軟になりましたし、胸を張れる開示例が増えているのは確かですので、そういった細かなテクニカルなところで引っかかるという意識は一度おいて、本当に重要なところに皆さんの力が向かう、やっぱりそこに向かって進めるというような制度設計であり、かつ、当局がチェックをしたりするときの指摘の在り方についても、そういった観点というものをしっかりと方針として打ち出していただけば、企業さんが懸念なく、しっかりと前向きな開示に取り組めるのではないかと。そして、そのことによって、任意開示書類のほうに今まで流れがちだった柔軟かつ創意工夫のある開示というものが、本来のコアである有価証券報告書、継続開示書類としてのこの書類の中にちゃんと盛り込めるようになるかなと。また、企業においても、社内で、この書類はこの部署、この書類はこの部署というふうに分けるがゆえに、縦割りであるがゆえに重複があるし、不統一であるという点も見直される必要があります。あちらの書類で開示されているけれどこちらではないというようなものが、現在のところ実際には少なからずあります。一つの例でいうと、昨今改正があった重要な契約の開示に関して、ほかの書類では開示しているけれども有報では十分開示されていないという例が、少なからず見られるということがあります。そういった点、企業が発信する以上は、重要なものは統一的に一つの書類の中にしっかりと盛り込まれているという、そういったものが確保できていないということ自体の課題というのも、企業サイドにも改善を期待したいところですし、そういったことを可能とするような、有報も含めた制度設計の議論ができればよいな、と考えています。
有価証券報告書とともに臨時報告書、こちらについても今回検討対象に挙がっているので、適時開示と臨時報告書、この関係のところもコメントをさせていただければと思います。
これは前回、2022年の四半期報告のところの議論の中で、適時開示についての議論などもあったかと理解していますけれども、適時開示そのものが今現状ルールベースであるというのは確かで、プリンシプルベースに戻していく議論もかつて、その頃あったかと思いますけれども、今のままだとしても、少なくとも、短期間に、かつ企業も前向きに取り組んで、積極的に適時開示というものを充実してきているし、データベースも含めて構築されているということがあるので、これは生かしていければと。
それと重複するという意味で臨時報告書というものを考えるとすれば、今までなかった日本の制度としては、適時開示で開示した書類を臨時報告書に添付する形でも臨時報告上の開示と扱えるような、制度の構築というのも正面から議論いただければというふうには考えております。
全部が全部、適時開示を臨時報告書に載せるというよりは、むしろ臨時報告書が提出事由そのものを定めているので、それを新たにつくるよりは、適時開示であるものを利用できるという形ですと、両方の整合性の確保もありますし、重要なものというのがちゃんと適時開示の段階からも開示されるようになることもあるかと。
あと、適時開示のひとつメリットとして、企業側の方を考えると、東証の上場部の担当窓口の方に相談しながらドラフトをしたりということもあるかというふうに認識しておりますので、そういった意味で、やはり企業の開示実務の向上にも貢献してきた歴史的経緯もあるし、現状もそういう便利なところがあるということで、適時開示を生かしつつ、重複などについては簡便化・効率化を図れるような制度設計にしていくことがよいのではないか、というふうに考えているところです。
CG報告書のところに関しては既に御意見があったところですけれども、私の意見としては、コーポレートガバナンス・コードで遵守も含めて求められている内容と連動するものとしてのCG報告書そのものは有用だと考えておりますが、有価証券報告書で開示できる、もしくは開示したほうが望ましいものについては、CG報告書のほうで記載していたものも見直しをして、そこは任意で企業さんが書いてもいいんですけれども、そこはもう有報のほうに寄せていくということをしっかり考えていくことが適切ではないかというふうに考えております。
長くなりましたが、以上です。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
樋爪委員、どうぞ御発言ください。
【樋爪委員】
私からも38ページの御議論いただきたい事項に基づき発言をさせていただきます。
これまでの非財務情報の拡充の取組についてということですけれども、近年の企業経営の高度化や社会情勢の変化に伴い、財務情報だけでは捉え切れない、企業価値の源泉に対する重要性の高まりを踏まえれば、非財務情報の開示を拡充させてきたこと自体は、一定程度必要な取組であったと考えております。
他方で、既存の開示制度について十分な見直しが行われないまま、有価証券報告書をはじめ開示書類が肥大化した結果、企業、投資家双方にとって負担となっている側面は否めないかと思います。その意味で、今般開示の見直しを検討することは、時宜を得た、重要な取組であると考えます。
検討に当たっては、単に有用であり得る情報、あるいは誰かが使うかもしれないという情報を法定開示に積み上げるのではなく、制度開示として義務づける必要性や意義を十分に検証し、企業と投資家との建設的な対話に資する、真に意味のある開示制度としてという観点が重要であると考えます。
次に、2点目を一旦飛ばしまして、3点目のあるべき情報開示について意見を申し上げます。
まず、各開示書類の目的や役割を明確化し、その目的や役割の達成のために必要な情報を検証していくということが肝要であると考えます。
例えば有報であれば、投資家の投資判断に資する情報提供を目的とした書類であると理解しておりますが、有報に記載される全ての情報を株主総会の3週間前に必要と考える投資家が果たしてどれだけいるのか。例えば政策保有株式の状況など、特定の情報の早期開示で足りるという御意見も多く聞こえてきております。
近年、有報が、その本来の目的を離れて、政策遂行手段となってしまっている側面があるようにも思います。何でもかんでも有報に記載するということではなくて、法定開示、取引所規則、任意開示のそれぞれの目的達成のために必要な情報を、最も適切な媒体で開示するという方向性を明確にすべきだと考えます。
一方、もともと今回の議論は、企業の負担軽減と、それによる投資家との対話の充実を目的としたものであったと理解しておりますが、いつの間にか、有報と事業報告等の一本化や総会前開示ということが前提となっておりまして、企業にとっては、招集通知の期限までに事業報告等の内容も含む有報を提出することありきという、多大な負担増となる方向に進んでいるようにも感じております。
確かに一本化自体は、作成者にとってはありがたい取組なのですが、取引所規則や任意開示を含む開示書類の目的や役割を整理しないまま進めますと、結局は、各書類の内容を全て取り込んだ最大公約数的な書類となり、企業の負担軽減にも、また利用者にとっての有用性の向上にもつながらない結果となるおそれがあるのではないかと考えます。
さらに、総会前開示の観点で申し上げますと、もともと、既存の株主総会の時期を維持したまま3週間前に有報を開示するというのは、先ほどもございましたが、一本化が実現したとしてもなお、企業にとって相当に大きな負担であると考えます。
したがいまして、現実的には、株主総会の開催時期の後ろ倒しを検討する企業も少なくなくなるのではないかと思いますが、その場合、第1四半期決算作業に重なることになり、これもまた企業にとって多大な負担となります。
そのため、一本化や総会前開示の論点と併せまして、四半期開示の在り方につきましても、改めて真剣に議論する必要があるのではないかと考えます。ちょうど米国においてもSECが四半期開示を見直し、半期報告との選択制とする提案を行っておりますが、こういった諸外国の動向も踏まえ、広く開示制度全体の在り方を議論すべきであると考えます。
最後に、2点目の有報の記載事項の見直しについて申し上げます。
まずは、有報固有の開示事項を対象として検討すると記載いただいている点についてでありますが、企業の負担軽減と利用者の利便性向上という観点からは、有報固有の開示事項、29ページの図でいうCの部分のみでなく、事業報告等と共通のAの部分にも見直しを検証すべき項目があるのではないかと考えます。
したがいまして、やはり現行の有報の開示項目について、企業の作成負担が大きく、利用者にとっても有用性が高くない情報を広く検証すべきと考えます。その上で、仮に一本化が進むのであれば、本ワーキング・グループではCの部分を優先的に見直しをしていくということもあり得るのかなというふうに思います。
また、これは本ワーキング・グループの検討事項ではないかもしれませんが、事業報告等の固有部分、先ほどの図でBの部分ですが、これにつきましては、仮に一本化によって有報に取り込むのであれば、できるだけ整理・縮減する方向で検討いただきたいと考えます。
長くなりましたが、私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして岩井委員、どうぞ御発言ください。
【岩井委員】
本日は御説明ありがとうございました。私からは、近年の非財務情報の拡充についての評価、それから有価証券報告書等の記載事項の整理、及びあるべき情報開示の在り方、この3点について発言をさせていただきたいと思います。
まず、1点目の非財務情報の拡充についての評価ですけれども、国際的な動向を踏まえ、投資者との対話の充実を図ることを目的としたものとして一定の意義があるかと理解をしておりますが、必要となる情報の拡充が進む中で、事業会社の負担は、先ほど来出ておりますように増加の一途をたどっていると思ってございます。
開示の追加が行われる場合は、開示が必要な項目についてはどうしても不可逆的というか、拡充一辺倒となりがちということでありますけれども、足元の複雑な世界情勢において、グローバルで事業を展開している会社というのは、様々な課題に対して迅速な対応が必要となっております。
この五、六年を振り返っても、結局、パンデミックがあったりウクライナ戦争、関税の問題、イラン紛争等、毎年のように年初に大きな経済変動に見舞われているというのが実態で、これらへの迅速な対応を求められて、企業価値をしっかり維持もしくは拡大していくということが、事業会社にとってみると非常に重要なことだと思います。
いずれにしましても、開示の追加を行う場合には、既存の開示のうち重要性の低いものをやめるという形で、拡充一辺倒にならないように配慮をいただくようによろしくお願いしたいと思います。これが1点目です。
それから2点目に、有価証券報告書の記載事項の整理についてでありますけれども、事業報告書の見直しと併せて、2028年3月期から見直し後の記載様式を適用していくことを目指す、全体的な方向性に関しては異論はございません。
一方で、日本の3月決算会社が株主総会を6月に開催する場合、現行の法制下で株主総会の3週間前に有価証券報告書を開示するというのは、一部の会社さんを除いて、実務上困難と考えております。頂いた資料でも数社にとどまっておりますし、また、総会前に有価証券報告書の開示が進んでいるという資料が26ページにございましたけれども、総会の数日前に開示するということは、実質的にはほとんど意味がないのではないかと思ってございます。
実際にこのような開示で総会の議論が活性化されたという話も個人的には耳にしておりませんし、弊社の株主総会の議論を見ていても、あまりそういうことは感じられないというのが実態でございます。
無論、実質的な意味を持たせるように、一体改善に向けた議論がなされるということかと思いますけれども、この点、提示いただいた有価証券報告書、事業報告双方の独自の開示項目、図で言えばB、Cですね、これを検討するだけでは、総会の3週間前の開示を実現するための対応としては不十分であって、他委員の御発言にもございましたけれども、今後のサステナ開示も踏まえると、共通の開示事項、これを含めた抜本的な、根本的な見直しの検討が必要だと思ってございます。具体的には、例えば単独の財務諸表とか単独の計算書類に係る一連の開示については、既に連結が中心になって久しい中、不要ではないかと思います。
あと、もう一点付言すると、株主総会の後ろ倒しの動きについて言及がありましたけれども、これは各社さんのスタンスの問題かなとは思いますけれども、本来、株主総会は決算後できるだけ速やかに実施すべきではないかと思ってございます。
総会を遅らせることによって、結局これは過年度事項への対応というのが続くことで、本来やらなきゃいけない、次年度もしくは足元の企業活動に注力すべき時間というのが損なわれるということは、株主の皆さんにとっても望ましいことではないと思います。そのため、総会の開催時期を遅らせることを前提とした議論はすべきではないと思います。
こうした中で、事業会社としては、総会に向けて年度の決算業務、事業報告、有価証券報告書の作成、あと各監査対応、それから株主総会の準備、これを3か月以内に完了するために、相当高い実務負荷を継続しながら対応を余儀なくされているということでありますので、有価証券報告書の前倒し開示実現に向けては、事業報告も含めた抜本的な見直しが不可欠であるということを改めて述べさせていただければと思います。
最後ですが、3点目で、あるべき情報開示の在り方ということでございますが、すなわち法定開示書類とか取引所の規則上の開示書類、任意開示書類間の情報開示の重複の問題ということでございますけれども、これも事業会社の立場としては、企業が開示する尤度をもって記載できる統合報告書、あと決算説明資料といった任意開示というものが、情報利用者にとっても最も有用な情報を提供できるという認識であります。その意味では、重複を排除する検討を行う場合、企業の創意工夫が反映されるような任意開示の有用性というのも重視していただければと思ってございます。
法定開示や規則に伴う開示は、ともすればボイラープレート的な記載になりがちでもあります。利用者にとって真に有用な情報であれば、法定開示の拡充を反対するものではございませんけれども、充実した任意開示ができるのであれば、法定開示においてこれを参照するということも、事業会社の負担を軽減する上で考慮できるのではないかと思いますので、法定開示や規則開示における開示については必要不可欠なものに厳選する、もしくは参照形式で簡素化するという形で進めていただければと思います。
それから、最後ですが、任意開示でない法定開示と規則開示等の重複については、もともと制度趣旨の違いから重複が生じているものかと思います。一方で、統合しても支障がないと思われる項目も多いのも事実ですので、これらについては重複を排除して、一方の開示に寄せていくべきかと思います。それぞれの制度の趣旨に鑑みて、別個に残すべきかというふうに思いますけれども、こうした取扱いについて、棚卸し・精査を行うということが肝要ではないかなと思います。
長くなりましたが、私のほうからは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、上田委員、どうぞ御発言ください。
【上田委員】
ありがとうございます。私も38ページの御議論いただきたい事項に沿ってコメントいたします。
まず、第1点目です。近年の開示制度における、とりわけ非財務情報の拡充についてですけれども、これはグローバルな制度間競争、そしてさらにはグローバル投資家の視点を反映したものであるとして評価しているところでございます。
他方では、少し残念な話ではあるのですが、サステナビリティ関連情報というのは企業価値につながらないのではないかというところで、最低限の情報開示以上のプロアクティブな取組については消極的な姿勢とか、そういう意見を持つ企業経営者の方の声も耳にするところです。そのため、最低限のコンプライアンス的な対応さえしておけばいいというような会社もあるように感じています。この点、特に課題となるのが、開示義務の対象とならない時価総額5,000億円未満の会社だと思いますので、その辺りをどうするかというのが今後の課題ではないかと思っています。
この点については、金融庁さんのほうで取り組まれている有報レビューや好事例の公表などを含めて、課題を識別し、改善すべきところがあれば共有していくことなどは引き続きいただきたいと思うところです。
では、本日の本論と思いますが、第2点目についてです。
第2点目、会社法と金商法の開示の重複というのは、これは日本企業に特有の実務慣行でして、実際に大きなリソースがかかっているのではないかと思います。時間的にも厳しいものになっていると思います。
他方、非財務情報開示も高度化、深化が求められている中で、会社というのは一つのファクトしかないわけです。それにもかかわらず複数の制度体系における複数の開示が並立しているということは、これは発行者においてはもちろんリソースをたくさん使うということにもなるわけですが、投資者側にとっても、様々な情報を当たっていかねばならず、それぞれの開示の内容、ニュアンスの違いがあるのかというところも読む必要があるかもしれない。さらに言うと、監査人にとってはそれぞれをチェックしていく必要があるということで、効率性の観点から大きな課題であろうというふうに思います。したがって、このような観点から、現在進められている一本化の作業というのは、私は極めて有益であろうと思います。
その上で、どこに焦点を当てるかということですが、29ページにある、まずBについて。これは今、法務省と金融庁のほうで議論されているというところですけれども、その対応表については、できるだけ早期にこれが公表されることを期待しております。そうすると、当ワーキング・グループにおいてCのところを議論するというところについて、私としては賛同いたします。
他方では、そこの前提になっていますが、企業が負担感を感じている記載事項を特定して、その上で、になるのでしょうか、投資者の投資判断にとっての有用性を確認するというプロセスになっているかと思います。この点については、仮に負担感が企業に、発行体側にあったとしても、これがもし投資判断に有益な情報であるとすれば、市場の信頼性という観点からは、開示は維持される必要があるのではないかと思います。
したがって、最終的にどうするかというところは、投資判断における有用性というところを尊重いただけると、市場の信頼性というところにも、これを汚さないということにもなるのではないかと思います。
そして第3点目、情報開示の重複でございます。繰り返しになりますが、企業活動は一つしかないのに複数の切り口での開示がされるということになりますと、発行者側には多くのリソースの負担、情報利用者側は確認の作業の負担がかかりますが、まず1つ目、統合報告書についてです。
統合報告書はそれ自体一つの開示体系を構築していると思うのですが、日本企業を見ると、統合報告書を開示することが目的化というか、サステナビリティの開示のゴールのように見ているところもあるように感じます。
企業としては、開示にネガティブな情報というのも当然あるわけで、アピールしたい情報とともに、あまり強調する必要がないと考えているものもあるかと思うのです。そういう積極的に開示したくない情報も含めて、投資者に必要な情報を開示する媒体としては、やはり有価証券報告書の位置づけというのは大変重要であろうと思います。これを補完する意味で統合報告書を位置づけるということが、実務においてもこういう認識が広がることを期待します。
逆に言うと、有価証券報告書において有用な情報が全て開示されるのであれば、統合報告書というものはなくなってもよくて、むしろ、先ほど別の委員も同じようなことをおっしゃっておられたかと思うのですが、サステナビリティ報告書であるとか人的資本報告書のような、特定のマテリアルな情報のエリアについて深掘りする報告書という組合せでも、これはよろしいのではないかと思います。
次に、コーポレート・ガバナンス報告書についてですが、これはガバナンスコードのコンプライ・オア・エクスプレインの開示媒体という位置づけではありますが、そのコンプライ・オア・エクスプレインの取組を踏まえて、ガバナンスの実態開示というところにつながっているわけです。これは大変価値がある報告書だと思っています。
他方では、東証のウェブサイトを見ていかなければいけないというところでは、プラットフォームが様々というところは課題と思っています。
この点、もしEDINETへの掲載対象としていただけるとか、掲載期間を5年から例えば10年とかに延ばしていただくとか、さらに言うと、そこに参考書類としてコーポレート・ガバナンス報告書も掲載いただけるような余地があるとか、そのように少し法制度の見直しが必要なのかもしれませんが御検討いただくと、さらにプラットフォームの一本化というところになって、有報にひもづく形で開示が取れるのではないかと思います。
次に、臨時報告書です。私の経験を申し上げると、例えばM&Aに関わるときには、スケジュールの時間的余裕もなくて、作成文書も極めて多くて正確性を求められている中で、適時開示の書類を準備しつつ臨時報告書も用意するというような作業が発生するわけです。
適時開示については、東証さんと相談しながら、チェックしていただきながらということで進むのですが、臨時報告書はこれで大丈夫なのかなというふうに、若干不安を覚えるようなところもあるわけです。しかも、情報開示の量としては適時開示が充実していて、投資家も適時開示を利用しています。ということを考えると、昔は適時開示よりも臨時報告書という媒体が必要とされる時代があったのかもしれませんが、少し見直しについても検討いただけるとよろしいかと思います。
最後、この3点からは外れますけれども、3週間前開示についてです。
情報開示の在り方の整理というのは、3週間前開示の実務の課題の一つを解決するものであるとは思います。しかしながら、この情報開示の一本化が進んだからといって、3週間前開示につながるかというと、これはまた違う問題かと思います。恐らくは、総会日程の変更を含む決算とか人事とか株主総会の実務周りのスケジュールを含めた様々なフィジカルな見直しでありますとか、あるいは心理的な変更へのハードルをどうするか、こういったものへも取り組む必要があると思っていますので、そういった全体的な取組を期待するところです。
ただ、個人的にはそれほど悲観的ではなくて、恐らく上場会社において有力な選択肢にいずれなってくるとよいと思っています。
ただ、そのためにはやはり実務での定着があるとか、あるいは証券代行を含めたアドバイザーがこれに慣れてくるということ、投資家への評価とかこういったものがあってだと思いますので、ぜひ関係省庁及び関係諸団体を含めて、制度全体での取組、とりわけ議決権行使基準日の変更というところに対する実務の対応について等、実務を後押しするようなところについてもお取り組みいただきたいと思います。
長くなりましたが、以上でございます。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
ほかに御意見はございますでしょうか。
もし、武井委員、何か御発言ございましたらどうぞ。
【武井委員】
まず、開示事項の2つ目のほうの論点ですが、資料36ページにある今回例になっている事項のような、こういった細かいというか、従業員のグループ内のそこまでの情報をそこまで取るのか、しかもそれを5月6月に間に合わせるんですかという類の情報はほかにも何かしらあると思います。細かく状況をヒアリングなりしていただいて、Cの部分の棚卸しといったものをやっていくことは大事だと思います。
そのうえで一つ目のほうの論点ですが、いろいろ難しい論点が多々あると思います。前回のディスクロワーキングのときから提起されております、今の有報のいろいろ法的責任の論点。今回特に会社法の事業報告が、ある程度統合されることで有報のほうにやってくるという世界。その中で、今の法的責任のままで何が統合できるのかということを考えたときに、やはり法的責任の在り方ということも絡んでくるのではないかという気がしています。
前回のディスクロワーキングで、セーフハーバーは一部つくられました。まだ法改正が通っていないので、通った後の話になりますが。ただ、主観的要件の話、信頼の法理、因果関係の推定、損害賠償の推定など、金商法のほうが会社法よりもいろいろ上積みになっている箇所がまだまだある、その結果、法的責任が違う。私から見ると会社法の事業報告の法的責任のほうが欧米レベルの責任法制にまだ近いかなと思っているわけですけれども、欧米レベルよりもそこまで厳しいものを日本法が維持しているままでいいのかという点についてある程度メスを入れないといけないのではないか。有報にいろいろ書くとなっても、どうしてもその記載がボイラープレート化する懸念がある。また、ほかの任意開示ともリンクを張りましょうというアイデアが今日も幾つか出ていますけれども、リンクを張ることで、有報の法的責任の厳しいほうに全部なるのですかという論点。企業側は実態として、それならば有報に載せるとかリンクを張るのもやめようという、そういうディスインセンティブにはなってしまう懸念があるのだと思います。
あと、今回29ページの図のBの箇所についても、事業報告から有報にやってくるわけですけれども、Bが有報記載事項になることで、今までBは会社法上の責任だったのが、有報の厳しい責任にしていいのでしょうかという論点もあると。
事業報告から統合される事項の多くは、非財務情報系が多い。財務情報は厳しい責任のままだと思いますが、非財務情報に関して有報がどんどん増えてきている中で、平成16年の法改正で導入された当時の有報の、諸外国より厳しい法的責任のままで、本当に有報にいろいろな情報が書かれるのですかという論点です。この論点についてやはりどうしても意識して進めていかないと、なかなか、この統合されたものに対していろいろなバランスの取れた解が出てこないのではないかという気がしています。
その観点から、まず法改正なくできることとして、前回からも出ていますが進めていただきたいと、あるいは進めていただけると思っているのですけれども、「重要な虚偽記載」というものの解釈についてですね。これは法改正が通った後からだとは思いますけれども、金商法が書けと言っているから重要なのだという解釈になる可能性が裁判官の方を含めてあるので、そうではないというそこの解釈を明確にすること。損害賠償責任とかを含め、それを本当にトリガーさせる重要な虚偽記載とは何ですかという部分の考え方。この部分の考え方は、今の法改正が通った後かもしれませんけれども、整理していっていただくということは進めていただければと。これは法改正を経ないでやっていくべきことなので、その整理を行うと。
そしてそうした整理をした上でもまだ何か足りない部分があるかどうかという話をやっていくのだと思います。そういう意味で、重要な虚偽記載に関する考え方は、ぜひ、このワーキングがこれから続く中で整理していただいて、示していただくのが大事かなと思います。以上が1点目です。
2点目が、個人の役員の方の責任の相当な注意の解釈です。ここも金商法の固有ですけれども、会社法の事業報告とかの規律よりも厳しくなっていると。特に、有報が会社法の事業報告との統合を含めて、今度どんどん取締役会にかかるという時代の中で、本当に社外役員の方を含め、この有報の膨大な情報について、どういう時に法的責任を負うのかということを気にしてしまうと、有報の記載というのはどんどん保守的になっていきますので、相当な注意の在り方の解釈。ここもやっぱりきちんと示す必要があるのだと思っています。
有報については、今回の法改正で確認書制度もきちんと強化されます。有報が取締役会に付議されたからといって、繰り返しですけれども別に、社外役員の方を含めて、何か一言一句ミスがあったらすぐに法的責任になるとか、そんな話ではないはずです。しかし、これもやはりある程度不透明な解釈論の世界なので、さきほどの重要な虚偽記載の考え方と相当な注意の考え方。この二点は法改正がなくても一定の考え方は示せる気がします。
いろんな有報の法的責任に関する合理化を同時に進めていく中で、事業報告のほうから有報にBの箇所を含めてやって来るのであれば、有報の特に非財務情報系に関して、会社法のほうの事業報告の考え方をある程度逆に輸入するといいましょうか、そういう整理もあっていいのではないかと思います。
こうした点を含めての議論を、ぜひ、法務省さんとも調整しながら進めていっていただくことが大事かなと思います。そこら辺の法的責任が厳しいままだと、現場が事業報告と有報との一本化に対してディスインセンティブを持つという部分となります。やはりこのワーキングで、ある程度時間はかかるかもしれませんけれども、会社法改正も見据えながらやっていっていただくということが大事かなと思っています。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
本日御参加の全ての委員の方から御発言いただいたと思いますけれども、多少時間がございますので、2度目の御発言を希望される方、いらっしゃいますでしょうか。
それでは、阪委員、どうぞ。
【阪委員】
追加の発言の機会をいただきましてありがとうございます。ほかの委員から情報開示の在り方や検索可能性、有価証券報告書をデータとして捉える指定について発言がございましたので、それに関連して、日頃感じておりますことを申し上げます。
会計データは、世の中に存在する様々なビッグデータと比較しても、信頼性が極めて高いデータであると思っております。これは複式簿記という体系を持っていることに加え、上場企業については監査も行われているためです。また、企業取引や経済実態の裏づけを持つという意味でも、社会的に非常に重要なデータであると考えています。
私自身、過去10年以上にわたり、統計学やデータサイエンス分野の様々な学会で報告を行ってきましたが、その中で会計データが非常に大きな関心を持って受け止められてきたことを実感いたしました。私自身、長く会計分野にいたために、会計データが他分野にとって持っている価値というのは十分認識できなかったと思っています。
一方で、ビッグデータ時代において、会計データを分析しようとした際に、例えばEDINETからデータスクレイピングやバルク取得でデータを取得することは、不可能ではありませんけれども、多くの人々がそのように利用するようには設計されていません。
会計データは重要な公共財であると考えています。主たる利用者は投資家であるとしても、より多くの人々が会計データを利用できるようになることで新たな知見やインプリケーションが生まれ、多様なステークホルダーの意思決定を支えることにもつながると思っています。
もちろん、現在の仕組みは、XPRLを含めグローバルな制度基盤の上で運用されていますので、短期的に変更することは難しいと理解していますが、DXの進展は会計データとのインターフェースを拡張し、より多くの人々へのアクセス可能性や理解可能性を飛躍的に高める可能性を持っていると思っています。
私たちが目指すべきは、データ占有社会ではなくデータ共有社会です。これから開示が進むサステナビリティ情報を含む会計情報をいかに共有して、活用して、持続可能な経済社会の構築につなげていくかは大きな課題であり、そのためのデータ開示・利用の在り方についても中長期的な視点から御検討いただければと思っております。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】
貴重な御指摘ありがとうございました。
それでは、清原委員、どうぞ発言ください。
【清原委員】
ありがとうございます。2回目になりますけれども、先ほど武井委員のほうから貴重なご指摘があったところだと思っておりますけれども、やはり法的責任のところも考えないと、企業の方としての開示、前向きな姿勢というのはなかなか難しいというのはおっしゃるとおりです。ただ、法的責任のところについて、一度事務局の方に整理をお願いしたいのが、現状でも事業報告は有報の添付書類として提出されていますが、添付書類についても虚偽記載等の場合の法定責任は規定があるのですね。それは民事・刑事・課徴金のところで違いが少しずつあるので、そこは一度皆さんが共有し確認したうえで、事業報告の虚偽記載があった場合にも、金商法の虚偽記載の法的責任がかかっている部分があるということも踏まえて、それで、今度これを統合していったとすると何が変わるのかという部分を認識した上で、それならば問題はそんなに大きくないね、もしくは、それは大切だなという、そういった自覚的な選択という方向に進むように、議論が進めばと思う次第です。
それから、有報と事業報告の一体開示のところに関して、総会前開示と言いながら、一つまだあまり十分議論されていなかったかなと思う点についてコメントさせていただければと思います。
株主総会前に、会社側から、招集通知、参考書類、事業報告、それから計算書類が一体として株主に対して提供されて総会の開催へと向かうわけですが、有価証券報告書と事業報告、また財務諸表と会社法の計算書類との一体化の議論がある中で、参考書類の情報のところの関係でいうと、有価証券報告書との関係の整理というものは、今まで十分まだ議論されてきていなかったかなと思っております。
言い換えると、アメリカの例では、SECのレギュレーションの中で、株主総会前に開示されるものにアニュアル・レポートとそれからプロキシー・ステートメントがあって、それぞれ開示項目というのは違いがあり、その両方に分かれている違いというのはどういうことに基づいて、どういう関係になっているかということを考え、参照すると、他国の法制を参考にした上で、参考書類は会社法上のもので有報ではそこは手を触れなくてもいいんだとなるのか、もしくは、有報でもやはりそこのところにも少し手をつけたほうがいいのではないかとなるのか、ということを含めて検討するうえで参照できるのではないか。株主総会の前に有価証券報告書が開示されることが有用だということを主張する、考えていくうえで、この開示部分はやはり総会前で有用であり、それは既に有報に入っているということも含めて、全体を俯瞰したうえで理解が進むことが重要ではないかというふうに考えるところです。事務局の方には、少しお手数をおかけすることになるかと思うのですが、そういった議決権行使との関係での有価証券報告書の内容の使われ方ということについて、少し正面から検討するベースになる情報という点で、何か参考になるものを御用意いただけたらありがたい、という希望がありますので、ご検討をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【神作座長】
貴重な御指摘ありがとうございました。
松井先生、御参加いただいたばかりで恐縮ですけれども、もし本日の話題について御発言いただけましたら、どうぞ御発言ください。
【松井委員】
ありがとうございます。今回の内容につきまして、全般的に発言させていただければと思います。
非財務情報開示という制度が導入されて以降、有価証券報告書というものには、改正のたびに次々追加的に、様々な内容の情報が盛り込まれるという流れであったかと思います。
それぞれの改正自体は、投資家にとって有用な情報であるということや、一覧性が高いほうが便宜であるということに後押しされて法定開示を拡大するという形になってきたということでありまして、合理的だったかなというふうに思いますし、また、サステナビリティ開示はグローバルな投資家の投資行動の助けとなるというふうに、ターゲットとなる市場や投資家の層というものも、できる限り解像度高く議論されてきたのかなというふうに思ってきたところではあります。
今回のこの諮問の下で議論される会社法開示との一体開示であるとか、非効率な情報の開示の整理というのは、拡大してきた情報の部分をどの整理できればいいのかというような効率化の議論ということになりますので、そうすると、新しく盛り込む情報についてはそれほど議論をされない部分についても、どういう属性の投資家がどういう規模・内容の会社についてこれを重要だと思って臨んでいるのか、それが実際どの程度有用なのかといったような、より細かい考慮をしながら議論するということになってくるのかなというふうに思っております。
加藤委員の意見書にもありました負担感という御指摘もありますけれども、情報がなぜ重要なのかという制度の趣旨や、ほかの制度や官庁との役割分担で担える内容なのかといったような、様々な考慮要素というものも考える余地というのがあるのかなというふうに思っております。
この間、先ほど出てきた一覧性ということで、法定開示に全てを合流させるという流れがあったわけですけれども、開示された情報の用いられ方というのをもう一度考えるというフェーズであろうかというふうに思っております。
また、任意開示で行えば済む内容を法定開示にすることというのが、様々な副作用を生んだりといった点もありますので、実際に制度化するものの外縁というものを改めて真剣に議論することが必要であろうというふうに思っております。
簡単ではありますけれども、以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
2度目の御発言の御希望、ほかにいらっしゃいますでしょうか。
それでは、三瓶委員、どうぞ。
【三瓶委員】
2度目の発言の機会をいただきありがとうございます。少し大きな話ですけれども、度々、企業側の開示の負担感という話が出てきて、それは確かに、新たな開示であるとかが増えているので、あるだろうなと思いつつ、ただ、負担感があるから開示しなくていいということになるかというと、そこはやっぱり違うんだろうと思います。
やっぱり企業が上場しているということ、その前は、例えば会社が起きたときには限られた出資者がいて、それで事業をやっていたのかもしれない。そうすると、その人たちだけで合意したことで責任は全うできたかもしれないけれども、上場することによって不特定多数の投資者、株主がいるというところで、顔見知りの人々ばかりではなくて、そこでちゃんとどういうことをやっているのかということを開示していかなければ伝わらないと。そうしなければリスクを取って投資もしてもらえないという根本的なところがあるので、一旦上場したならば、そういったことは義務としてやらなきゃいけないわけですよね。
世の中がだんだんだんだん複雑化していく中で、新たな情報が必要になるということも、これもある種の必然であって、それに伴って開示項目が増えるというのも、ある種仕方のないことと。
なので、それが負担感ということにつながることはあると思うんですが、一方で、内部統制等をしっかりしていれば、ここでは本当はいろんな業務の見直し、これまでどおりにやっていくとどんどん負担感が増えるから効率化をしていくんだとか、そういったことを、開示部署とかが負担感を持ってやるのではなくて、会社全体としてそういった効率化等の見直しをしていくために、内部統制システムもあるはずなんですよね。何か、そういうのがちゃんと機能しているのかなというふうにも思います。
サステナビリティ情報の開示のときには、海外で、情報についての見積りとか、重要性の原則で範囲を考えるとか、そんなことによって効率化を図っている事例が幾つかありました。そういったものも含めて、やはり、どうやったらもっと効率的な開示ができるのか。その中には重要性の原則みたいなこともあって、さっきの36ページなどで言えば、どこまでが本当に、開示する・しないで影響があるのだろうかと。そういったことをきちんと検討した上で、結果的には十分な情報が開示されていて、それをすることによってインクリメンタルに負担感が増えていくということをできるだけ抑えるということを考えていく必要があって、その時に、複数の媒体で同じような情報が出ている場合に、どうして両方に開示しなきゃいけないのか、どちらかに寄せられるのだったら寄せていこうというようなことで整理をしていくのだろうなということで、あまり、現状維持バイアスというのはどうしても人間はハマりやすいわけですけれども、変えないと、それなりの楽さはあるわけですよね。だけど、変えるということはいろんなところで、まず最初に負担がある。負担感はもちろんあるんですけれど、でも、それはやっぱり変化を厭わず、非効率の蓄積がこれから先の負担をできるだけ増やさないようにするための、一つの出だしの苦労ということで考えていかなきゃいけないのではないかなというふうに思いました。
感想めいたことですけれど、以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
ほかに御発言を御希望の方、いらっしゃいますでしょうか。
もしよろしければ、最後にオブザーバーの方々から御発言をいただきたいと思いますけれども、オブザーバーの皆様で、御発言の御希望がございましたら、簡潔にお願いできればと存じます。いかがでしょうか。
それでは、経産省の坂本さん、どうぞ御発言ください。
【経済産業省】
発言の機会をいただきありがとうございます。経産省ではこれまで10年以上にわたって、開示の在り方について懇談会、研究会のほうを開催してきております。
31ページにお示しいただいていますけれども、これまでの議論の出発点というのがおおむね、開示制度が多岐にわたっていて、作成者として開示負担があるという部分と、利用者としてもどこを参照すればいいのか分かりづらい、使いづらいというような御意見に基づくものです。
2024年6月、2年前になりますけれども、企業情報開示の在り方に関する懇談会という中でお示ししていますものとしては、今御議論いただいています有報と事業報告等の一体開示に加えて、コーポレート・ガバナンス報告書であるとか、最終的には統合報告書のような任意開示の部分も併せて開示できるようなシステムが必要なのではないかというところで、報告書のほうを取りまとめております。
一方で、全てを1本の報告書にしてしまうと、これまで以上に、一つの報告書、開示物をつくるための負担が増えてしまうということで、全て同じタイミングに出すというのは難しいのではないかというのが、議論として出てくるのかなというふうに思っています。
かなり前、2015年4月になりますけれども、持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会というのを開催しておりまして、この中で、モジュール型開示というものを提言しております。こちらは先ほど申した、例えば事業報告、有価証券報告書、コーポレート・ガバナンス報告書、統合報告書のような内容を最終的には一つの開示物といたしますけれども、それぞれモジュールという形で分けた上で、準備ができた順に開示していくというような考え方になっております。
以前、サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループの中で、2段階開示という考え方を御検討いただいたと思いますけれども、これと同じような仕組み、3段階開示、4段階開示という形での開示をするようなことになるのかなというふうに思います。
併せて、開示のシステムとして、今31ページにお示しいただいていますけれども、EDINET、TDnet、コーポレート情報サービスといったところで開示媒体が分かれているというか、開示の入り口が分かれているということになるかと思いますけれども、それぞれから全ての開示物が参照できるような仕組みができてくると、そういった一体的な開示の仕組みというのがつくりやすくなるのではないかなというふうに思っております。
また、併せて、開示全体像ということで、今、アメリカのほうでも四半期開示の在り方が議論されているというふうに聞いておりますけども、併せて四半期開示の在り方というところも御議論いただけるのがいいのではないかなというふうに思っております。
続いて、開示項目についてです。こちらは、継続して投資家の方であったりとか上場会社さんと、開示の在り方について意見交換をしていますけれども、その中で、開示項目についても幾つか意見をいただいていますので、ちょっと御紹介させていただきます。
ほかの委員の方からもございましたけれども、今、連結財務諸表が中心となっている中で、単体情報の有用性が下がっている会社があるのではないかというような御意見をいただいているところでございます。
例えば、持株会社さんであったりすると、ほとんどが収益といっても受取配当ぐらいしかないような会社さんがあったとすると、会社さんの重要性に応じて単体情報の開示項目を合理化するというところを考えられるのではないかというような御意見をいただいております。
続いて、有価証券報告書内の類似する情報の重複といったところを合理化してもいいのではないかというような御意見をいただいています。例えば、一例ですけれども、ストックオプションの財務情報注記と、非財務情報の中でも新株予約権の状況というところ、記載されていると思いますけれども、その辺が内容として重複しているのではないかと。どちらか参照方式にするということもあるかと思いますけれども、そういったところであるとか、非財務情報の発行済株式、資本金の情報と、株主資本等変動計算書の情報の重複みたいな、そういったところを、今後、事業報告と有報が一本化された後の情報を基に、内容の重複というのを御検討いただくのがいいのではないかなというふうに考えているところでございます。
経産省からは以上になります。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、経団連の鈴木さん、どうぞ御発言ください。
【日本経済団体連合会】
経団連の鈴木です。発言の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。私も、御議論いただきたい事項に沿って発言させていただきます。
まず、1項目めについてです。近年の非財務情報の拡充については、投資家との対話の充実等の観点から、一定の意義があったと認識しております。
一方で、人的資本開示をはじめ日本固有の政策的要請にも対応してきた結果、開示情報が増大してきております。これは企業の実務負担の増加だけではなくて、投資家にとって必要な情報を把握、分析する負担を高めているという側面も少なからずあると考えます。こうした状況は、双方にとって必ずしも効率的な情報とは言い難くなってきているのではないかと考えます。
今後、非財務情報のさらなる開示拡充が想定される中では、欧州で言われるところのワンインワンアウトの考え方のように、新たな開示を追加する際には、既存の開示項目のうち情報性、重要性の低いものをやめるなど、開示内容全体の整理、効率化を併せて検討していくことが必要不可欠と考えます。その際には、米国や欧州といった主要な資本市場における開示制度見直しの動向も、十分に踏まえて検討していくことが必要だと思います。
次に、2項目めのCの部分について、まずは検討を始めるということについては、既に何名かの委員からも御指摘もありましたが、開示制度全体のバランス感を欠いた、いわゆる部分最適な議論に陥らないよう、十分な配慮が必要と考えます。
最後に、3項目めについて申し上げます。日本企業の実務においては、法定開示以外にも様々な任意開示があり、多数の開示媒体での対応が求められております。その結果、作業負担の増加に加えて、内容の重複や作成時期の集中といった課題も生じております。こうした実態を踏まえずに、単純な諸外国比較のみで議論を行った場合には、本質的な課題への対応につながらず、ひいては我が国の成長戦略の推進や、企業競争力の強化を阻害する懸念もあると考えます。
また、情報の利用者についても、国内外の個人投資家、機関投資家、既存投資家や潜在株主、債権者、さらにはセルサイド、バイサイドのアナリストなど、多様な主体が存在しております。こうした利用者が、各開示媒体をどのようなタイミングで、どのように活用しているかについても十分に把握した上で、EBPMの観点から開示実務全体を俯瞰した制度検討を進めていくことが重要と考えます。
その上で、あるべき情報開示の在り方としては、まず、各開示書類の役割分担を明確化していくことが必要だと考えます。同一内容の重複開示については極力回避し、例えば参照方式を活用する、あるいは書類間の整理を進める、そういったことによって開示全体の効率性、一貫性を高めていくことが望ましいと考えます。
加えて、開示項目の重要性は、利用者によって大きく異なります。企業側は、作成負荷が仮に高かったとしても、投資家が求める真に有用な情報というのはしっかりと開示していくべきだと思います。
ただ、企業のリソースには限りがあるため、開示に対してどこまでもコストをかけられるわけではありません。こうした点を踏まえると、特定の利用者のみが関心を持つものの大多数の利用者の関心が低い情報まで、一律に開示で義務づけるということは、利用者側、企業側双方にとって必ずしも効率的とは言えません。業種ごと、あるいは企業ごとのマテリアリティに沿った重要情報にフォーカスした開示となるよう、各開示書類のスリム化、すみ分けについて検討を進めるべきと考えます。
以上です。どうもありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、日本公認会計士協会の吉田常務、どうぞ御発言ください。
【日本公認会計士協会】
御発言の機会をいただきありがとうございます。日本公認会計士協会、企業会計担当の常務理事をしております吉田でございます。
以下、資料38ページの御議論いただきたい事項に沿ってコメントさせていただきます。
1つ目、非財務情報の拡充については、方向性として支持をいたします。一方で、現状ではSSBJ基準の導入も含めて過渡期にあるところ、開示の実効性と信頼性を確保する観点から、より実務と整合的な形での見直しと高度化が求められているというふうに考えています。
開示に関しましては、情報の重要性に基づくめり張りのある開示、それから、財務情報や経営戦略との関連性の明確化、そして、内部統制を含めた企業内の情報生成プロセスの高度化を促す制度設計が不可欠であるというように考えています。
本日の御議論の中でも、制度開示である有報に寄せたほうがいいのではないかという御意見であったり、一方で、制度開示を簡素化して任意開示を充実して参照を、というような御意見もあったかというふうに思います。いずれが適切かという点についてのコメントは、今日は控えさせていただきますけれども、私ども公認会計士という立場といたしましては、先ほど阪先生からも、会計データの信頼性の中で監査のところにも触れていただきましたけれども、こうした基盤整備の進展を前提に、保証業務を通じまして非財務情報の信頼性の向上に貢献していきたいと、そういう役割を果たしていきたいというように考えているところでございます。
次に、今回の検討の対象及び見直し後の適用時期のところでございますけれども、検討の対象につきましては、事務局の御提案の方向に賛成をしております。
基本的に、こちらのワーキング・グループでの検討の対象は、資料の中にありましたCの部分になるということで理解をしていますけれども、A・B・Cの分類の中でも多少のグラデーションがあるというふうに理解をしていますので、様々な立場の方の御意見を伺う中で、会社法との一体開示、それから制度の一本化というところを見据えて、こちらのワーキング・グループの議論と並行して、関係各省との連携についても適切に進めていただくということを期待しております。
私ども日本公認会計士協会といたしましても、開示のチェックリストなどを公表させていただいておりまして、開示制度、開示規則についても調査研究を進めておりますので、そういった部分でもし御協力できる部分があれば、尽力をさせていただきたいというふうに考えております。
最後に、あるべき情報開示のところですけれども、非財務情報の開示というのが充実してきた中で、開示全体の体系の見直しというのを考えなければいけない時期に来ているのかなというように思います。
手前味噌ではございますけれども、私ども日本公認会計士協会でも2021年に、「企業情報開示に関する有用性と信頼性の向上に向けた論点の検討」という文書を、特別委員会を設けて、今日の委員の中でも井口様や小林様に御尽力いただいたところでございますけれども、そういった文書を出させていただいて、開示書類の体系と情報構成、それから開示とガバナンスの連動、こんなテーマも含めて文書を公表しておりますので、今日はそちらも最後に御紹介をさせていただければというふうに思います。
私どもからは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、東京証券取引所の高橋さん、どうぞ御発言ください。
【東京証券取引所】
御発言の機会をいただきありがとうございます。
近年の非財務情報の拡充によりまして、投資家との対話が適切に行われる環境の整備というものは着実に進展してきているものというふうに考えてございます。私どもが投資家さんとお話をする中でも、そういった評価というのはあるのかなというふうに思っております。
そうした中におきまして、法定開示ですとか取引所の開示、それから任意開示の各種書類間で重複が生じていて、企業の負担感が増しているというような現状があるということで、そうした負担を軽減して、対話や情報発信の充実を、負担を軽減しつつも継続していくと。そのためにどういったことができるかという話かなと思っておりますけれども、必要な情報が、適切なタイミングで、必要なレベルの信頼感を持って、さらに分かりやすく提供される環境というものを、いかに効率的な仕組みで整えていくかというようなことが議論されていくのかなというふうに思ってございます。
取引所の開示についても話題になってございますけれども、私どもといたしましても、そうした観点から、全体の情報開示の中で取引所開示をどういうふうにしていくかといったことを考えていければなというふうに思ってございますので、引き続き議論のほうを勉強させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【神作座長】
どうもありがとうございます。関経連の中島さん、どうぞ御発言ください。
【関西経済連合会】
発言の機会をいただきありがとうございます。私からも幾つか意見を述べさせていただきます。
現在、金融庁、東証の皆様におかれましては、コーポレートガバナンス・コードの改定を進めていただいておりますけれども、その改定案の趣旨にも記載されているとおり、今後、企業は中長期的な企業価値向上に向けた成長投資によって稼ぐ力を高める、言わば攻めのガバナンスに取り組んでいく必要があると考えております。
その際、企業と投資家との建設的な対話は不可欠であり、対話と開示は不可分と認識しております。そうした観点から、真に必要な情報を重視する方向で、開示制度全体を、大胆かつ抜本的に見直していく必要があるというふうに考えます。
コード改訂に関する有識者会議の場でも、企業経営者のメンバーから、有報・事報等の一本化を含む制度横断的な見直しや、投資家にとっての有用性と企業実務負担の双方を踏まえた、開示制度への再設計の必要性について指摘があったと承知しております。今回、ディスクロージャーワーキング・グループにおきまして、こうした制度全体を視野に入れた議論が進められていることを、大変ありがたく受け止めております。
今回の議論は、単なる記載事項の削減や整理にとどまるのではなく、企業と株主、投資家との建設的な対話を促すという開示本来の目的に立ち返り、法定開示、取引所規則、任意開示の役割分担を再設計する機会とすべきと考えております。
米国におきましても、SECが近時、開示制度の合理化を通じて、企業が投資家にとって重要度の高い情報に焦点を当てられるようにする方向で検討を進めているものと理解しておりますが、こうした国際的な開示制度見直しの動向も踏まえ、これらを踏まえた議論となることを期待しております。
加えて、先ほど何名かの方からも御指摘、御意見がありましたが、あるべき開示制度を検討する上では、四半期開示の在り方についても検討が必要であると思います。
四半期開示につきましては、過去のディスクロージャーワーキング・グループで任意化の検討がされましたが、そこでは、任意化には、企業の開示に対する意識やカルチャーの改善が必要であるとの整理がなされました。
その後、株主総会前会議の進展をはじめ、企業開示を取り巻く実務や意識にも一定の変化が見られ、また現在、米国でもSECにより四半期開示を任意化し、半期開示との選択制が提案されております。
こうした環境変化や、諸外国の制度とのイコールフッティングの観点なども踏まえ、我が国においても、あるべき開示を検討する中で、取引所における四半期開示の取扱いにつきましても、任意化の方向性を再度検討すべきであるものと考えております。
そのほか、各論点につきましても何点か申し上げます。
まず、有報記載事項の整理に当たっては、経理の状況、具体的には連結・単体財務諸表の注記や、単体開示についても見直しを検討すべきだと考えております。
日頃、企業の声を聞いておりますと、経理の状況の中にも、投資家にとっての有用性が必ずしも高くなく、企業の実務負担も大きい開示情報があるように見受けられましたので、これらにつきましても、削除あるいは簡素化について検討すべきと考えております。
また、33ページの臨時報告書と適時開示の関係についてですが、事務局資料にも記載のとおり、適時開示は臨時報告書よりも開示対象が広く、企業実務上も迅速かつ柔軟な情報提供手段として機能しております。そのため、エンフォースメント手段の整備を前提に、将来的には適時開示への一本化も含めて検討してもよいのではないかというふうに考えております。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
ほかに御発言を御希望の方、いらっしゃいますでしょうか。
よろしいでしょうか。御発言の御希望がございませんでしたら、本日はこの辺りで終わらせていただきたいと思います。
それでは、最後に事務局から御連絡をお願いいたします。
【小長谷企業開示課長】
次回のワーキング・グループの日程でございますが、後日改めて事務局から正式な御案内をさせていただきます。
以上でございます。
【神作座長】
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。大変活発な御意見をいただき、誠にありがとうございました。
―― 了 ――
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