金融制度ワーキング・グループ(第1回)議事録

  • 1.日時

    平成28年7月28日(木)9時30分~11時30分

  • 2.場所

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【岩原座長】

それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまより「金融制度ワーキング・グループ」第1回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところ、朝早くからお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

この度、当ワーキング・グループの座長を務めさせていただくことになりました早稲田大学の岩原でございます。どうか宜しくお願いいたします。

初めに、当ワーキング・グループについてご説明申し上げたいと思います。

本年4月の金融審議会総会におきまして、金融グループ及び決済高度化の2つのワーキング・グループにつきまして、場合によっては両者を統合した上で存続させることとされたところでございます。今般、そのことを踏まえまして、当ワーキング・グループを開催させていただくことにした次第でございます。

皆様方から貴重なご意見をいただきながら、ぜひ建設的な成果を上げるべく審議を進めさせていただきたいと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。

それでは、恐縮ですが、カメラ撮影の方はご退室をお願いいたします。

(カメラ退出)

【岩原座長】

それでは、次に、当ワーキング・グループにご参加いただくメンバーの皆様の紹介を事務局からお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

事務局を務めさせていただきます信用制度参事官の井上です。よろしくお願いいたします。

それでは、座席順に委員の方をご紹介させていただきます。委員の皆様の右側から、岩倉正純委員でございます。

【岩倉委員】

よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】

翁百合委員でございます。

【翁委員】

よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】

加毛明委員でございます。

【加毛委員】

よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】

神作裕之委員でございます。

【神作委員】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

古閑由佳委員でございます。

【古閑委員】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

関聡司委員でございます。

【関委員】

よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】

田村直樹委員でございます。

【田村委員】

よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】

長楽高志委員でございます。

【長楽委員】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

永沢裕美子委員でございます。

【永沢委員】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

福田慎一委員でございます。

【福田委員】

よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】

舩津浩司委員でございます。

【舩津委員】

よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】

松井秀征委員でございます。

【松井委員】

よろしくお願いします。

【井上信用制度参事官】

森下哲朗委員でございます。

【森下委員】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

與口真三委員でございます。

【與口委員】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

次に、オブザーバーの方をご紹介申し上げます。

法務省民事局の竹林参事官です。

【竹林オブザーバー】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

財務省大臣官房信用機構課の日置課長でございます。

【日置オブザーバー】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

日本銀行金融機構局の林審議役でございます。

【林オブザーバー】

よろしくお願いいたします。

【井上信用制度参事官】

なお、事務局につきましては、時間の都合もございますので、お手元の配席表をもって紹介に代えさせていただきます。

【岩原座長】

それでは、続きまして、当ワーキング・グループの議事の取り扱いについてご確認をさせていただきたいと思います。

当ワーキング・グループは原則公開とし、議事録も公表させていただきます。従いまして、公表を前提としたご意見、ご発言をお願いいたします。ただし、個別企業のビジネス等に言及して議論をされる際に、競争上の利益への配慮から非公開を希望される場合には、予め事務局を通じてご相談いただくことといたしたいと存じます。

皆様、このような形で議論を進めることでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】

それでは、そのようにさせていただきます。

次に、私が万が一、会議に参加できない場合に備えまして、座長代理を神作委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】

どうもありがとうございます。それでは、神作委員、どうかよろしくお願いいたします。

続きまして、議事に移らせていただきます。議事次第にございますように、本日はまず事務局からご説明をいただきます。それでは、事務局から説明をお願いします。

【井上信用制度参事官】

ありがとうございます。改めまして信用制度参事官の井上でございます。よろしくお願いいたします。

お手元の資料のうち、右肩に資料2として「事務局説明資料」とある資料をご覧いただければと思います。

表紙をおめくりいただきまして、まず、今回のワーキング・グループでのご審議をいただくに当たり、これまでの経過と今後の検討についての問題意識をご紹介させていただきたいと思います。

さらに1枚おめくりいただきまして2ページでございます。これまでの金融審議会でのご審議から法改正に至るまでの経過を示させていただいております。一昨年の9月に麻生大臣より諮問いただきまして、まず、決済業務等の高度化に関するスタディーグループが設置され、その後、決済高度化と金融グループをめぐる制度のあり方についてのワーキング・グループでご審議をいただきまして、最終的には昨年12月に両ワーキング・グループで報告書をおまとめいただいております。この両ワーキング・グループの報告書を踏まえまして、国会に「銀行法等の一部を改正する法律案」を提出いたしまして、5月に可決成立させていただいたところでございます。

続いて3ページ目をご覧ください。このページは「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」の報告の概要をお示ししております。決済のワーキング・グループでは、主に4つの分野についてご提言をいただいております。1つ目が、フィンテックの動きなど、金融・IT融合に対応したイノベーションでございます。左上のボックスでございますけれども、この分野では、オープン・イノベーションを推進し、銀行のみならず多様なプレーヤーが競争的にイノベーションを進められるようにすることが重要との基本的な認識のもと、例えばブロックチェーンやオープンAPIといった事項とともに、法制面に関してプリペイドカードの表示義務、あるいはキャッシュアウト・サービスの可能化といった規制の見直しをご提言いただいたところでございます。さらに、決済をめぐる法体系のあり方として、業務横断的な規制体系の構築を検討すべきである、とされております。

2つ目が右上のボックスでございます。いわゆるホールセール分野の決済を巡る課題でございます。1つ目は、キャッシュ・マネジメント・サービスの高度化でございます。邦銀におけるサービスの高度化と、貸金業法の法適用の見直しなどについてご提言がございました。2つ目は電子記録債権でございます。地方自治体での活用に加え、記録機関にかかわらず、企業が自社の取引先銀行で割引を受けられるようにすることが重要であるというご提言をいただきまして、この部分については今般の法改正でも措置を講じさせていただいております。

左下のボックスが3点目の決済インフラ改革でございます。XML電文への移行、送金フォーマットの国際標準化、あるいは「ローバリュー送金」の提供を目指すべきことであることについてご提言をいただいたところでございます。

右下のボックスが4点目の仮想通貨でございます。仮想通貨については、G7首脳会議の合意等も踏まえ、マネロン・テロ資金供与対策及び利用者保護のルールを整備するようご提言をいただきました。具体的には、マネーロンダリング・テロ資金対策、または利用者保護の観点からの規制の導入が必要とされまして、このことについては法改正で手当をしております。

また、報告書では、以上のご提言に加えまして、一番下の部分でございますけれども、決済高度化に向けて戦略的取り組みを官民で推進していくための体制の整備を図るべきことと、その際には「決済システムの安定性と情報セキュリティーへの対応にも留意」しておくべきことが指摘されております。

次の4ページは、以上のワーキング・グループ報告書をまとめる形で決済高度化のためのアクションプランとして、決済ワーキング・グループでご指摘いただきました事項について、それぞれ、いつまでに検討を進めていく、あるいは成果を出していくかといった目標とスケジュールについてまとめさせていただいたものでございます。

さらにページをおめくりいただきまして5ページでございます。こちらは、金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ報告の概要でございます。このワーキング・グループでは、「金融グループの経営形態の多様化」、あるいは「ITイノベーションの急速な発展」といった環境変化を踏まえまして、金融グループをめぐる制度のあり方についてご審議をいただきました。ご報告いただきました内容は主に3点ございます。

まず1つ目が一番左側のボックスでございますが、「金融グループにおける経営管理の充実」でございます。金融グループの経営管理のあるべき「形態」は、グループごとにまちまちであるということを前提としつつ、グループとしての経営管理を十分に実効的なものとするため、持株会社が果たすべき「機能」を明確化すべきであるというご指摘をいただいたところです。

2つ目が、真ん中のボックスの、「共通・重複業務の集約等を通じたシナジー効果・コスト削減効果の発揮」とあるところでございまして、シナジー・コスト削減効果の発揮を図るため、グループ内の共通重複業務の集約等を容易化するということで、具体的には、例えばシステム管理業務や資産運用業務などのグループ内の共通・重複業務について、持株会社による実施を可能とすべきというご報告をいただいております。また、子会社への業務集約の容易化の観点から、各子銀行の委託先管理業務を持ち株会社に一元化することを可能とすることについてもご指摘をいただきました。さらに、グループ内の資金融通の容易化のために、グループ内の銀行間取引について、健全な財務状況の確保や、明確な取引ルールの存在等を前提に、アームズ・レングス・ルールの適用を柔軟化するようご提言をいただいたところでございます。

3点目が右側のボックス、いわゆるフィンテックの動きに代表される「ITの進展に伴う技術革新への対応」でございます。ここではIT分野のイノベーションを戦略的に取り込み、グループ全体での柔軟な業務展開を可能とするとの観点から、一つには、「グループの健全性への影響、優越的地位の乱用や利益相反による弊害のおそれがないこと等を条件にいたしまして、「金融サービスの向上に資する業務やその可能性のある業務」を行うための会社等への戦略的な出資を可能とする」こと。また、例えばシステム管理やATM保守などの業務について「グループ内外からの受託を容易にするために収入依存度規制を緩和する」ことなどについてご報告をいただいたところでございます。

以上のご提言に加えまして、このワーキング・グループでは今後の検討課題についてもご指摘をいただいたところです。一番下のボックスでございますけれども、「銀行業に参入する異業種グループに対する監督のあり方について、金融グループとのイコールフッティング・イノベーション促進との両面を視野に入れつつ、今後さらに検討を深めていく必要」とのご指摘」、あるいは、会社法との関係についても今後、検討を深めていく必要とのご指摘をいただいたところでございます。

以上、ご紹介させていただきました2つのワーキング・グループのご報告を踏まえまして、次の6ページにございますとおり、金融グループをめぐる環境変化、ITの急速な進展等を踏まえた制度面での手当として銀行法等の一部を改正する法律案を先の通常国会に提出させていただきました。この法律の内容は、先ほどご紹介させていただきました報告書の内容に沿ったものとなっておりますので、詳細は割愛させていただきますけれども、この資料のうち、一番左側と、その右側、左2つのボックスと、左から3つ目のボックスのうち、「ITの進展を戦略的に取り込み、金融グループ全体での柔軟な業務展開を可能とする」というふうに書いてある部分までが主に銀行法関係、その3つ目のボックスの下の部分の「決済関連サービスの提供の容易化」と右側の仮想通貨の関係のところは資金決済法等の関係でございます。

さらにページをおめくりいただければと思います。7ページでございます。先ほどご紹介させていただきました決済ワーキング・グループの報告では、法制面のほか、全銀システムなどの決済インフラの改革についてもご提言をいただいたところでございます。こうした制度面以外の課題について、実施状況をフォローアップし、フィンテックの動きが進展する中で取り組みを継続的に進めるという趣旨から、先月、6月8日に「決済高度化官民推進会議」を設置させていただいております。こちらの官民推進会議では、先ほど4ページでご紹介した「アクションプラン」に掲げられている事項のうち、法制面以外の13項目につきまして、森下先生に座長をお願いしつつ、官民の有識者、関係者の方々にお集まりいただき、フォローアップ、意見交換を進めさせていただいております。

続きまして、フィンテックに関する最近の取り組みをご紹介させていただきます。まず8ページでございますけれども、金融庁におきましては、昨年12月にフィンテックを活用した動きに着目した新たな取り組みといたしまして、フィンテックに関する一元的な相談・情報交換の窓口として「フィンテックサポートデスク」を設置させていただきました。このサポートデスクは、IT技術の進展が金融業に与える影響を前広に分析するとともに、金融イノベーションの促進を主な趣旨とするものでございまして、例えば具体的な事業・事業計画等に関連する事項をはじめとしたさまざまな点について幅広く相談を受け付けるとともに、一般からもご提案等を受け付けまして、積極的に情報・意見交換などを実施しております。

こうした取り組みを通じまして、金融庁としても実態・実情面をよく把握しながら取り組みを進めてまいりたいと思っております。

もう一つの取り組みが次の9ページにございます「フィンテック・ベンチャーに関する有識者会議」の設置でございます。この会議を設置しました問題意識・背景といたしましては、例えばフィンテックの動きが注目を集めている一方で、欧米等に比べ、我が国では先進的なフィンテック・ベンチャー等の登場がいまだ必ずしも実現していないという指摘がございます。そうした状況も踏まえまして、幅広い分野の人材の集積、連携の中で、フィンテック・ベンチャーの登場、成長が進んでいくような環境、いわゆるエコシステムをどのように整備していくか。あるいはフィンテックの進展が金融機関のビジネスにどのような影響を与えていくかといった点につきまして、資料にございますとおり、福田先生に座長をお願いしつつ、例えばIT関連の有識者の方々にもご参加をいただきながらご議論を進めていただいているところでございます。

次の10ページでございますけれども、今まで幾つかご紹介させていただきました会議体等につきまして、この取り組みと本金融審議会での検討の関係図を簡単にお示ししたものでございます。ご参照いただければと思います。

さらにページを11ページにおめくりいただければと思います。こちらでは、金融審議会の2つのワーキング・グループにおけるこれまでのご審議とご報告を踏まえまして、フィンテック等にかかわる金融制度の検討を今後進めていただくに当たっての基本的な問題意識、論点をお示しさせていただいております。

上から順にご紹介させていただきますと、まず、「フィンテック等の動きの中で、金融機関のみならず多様なプレーヤーが参画し、適切な競争やオープン・イノベーションを通じ、金融サービスのイノベーションが進んでいくことが重要である。」「同時に、オープン・イノベーションが進んでいく中で、取引の安全や利用者の保護などに向けて必要な環境整備を行っていく必要がある。」「また、フィンテックの進展等に伴い、従来の法制度では必ずしも想定されていなかったさまざまな金融サービスが出現してくることが予想され、それらに機動的に対応していく必要がある。その上で決済をめぐる法制度の全体像について検討していくと同時に、足下の問題にも機動的に対応していく必要がある。」「このため、実際の法制化の進め方については柔軟に考えていく必要があるが、足下の対応を進める際にも、決済をめぐる法制度の全体像・相互関係等を十分に踏まえて、それらの整合性を確保していく必要がある」といった点でございます。

以上でこれまでの経緯、あるいはこれまでのご審議や報告書を踏まえました基本的な問題点、論点をご紹介させていただきました。

続いて12ページ以降で「次回以降の検討に関する背景説明等」をさせていただければと思います。

さらにページをおめくりいただきまして13ページでございます。まず、決済に係る我が国の現行の法制度をご紹介させていただきます。左から順に銀行、資金移動業、前払式支払手段、いわゆるプリペイドカード業、貸金業の主なサービスと規制内容についてまとめさせていただいております。簡単にご紹介させていただきますと、現行、決済業務等をめぐる法体系としては「為替取引」、「預金の受入れと貸付け」を固有業務とする銀行に対しましては、銀行法による厳格な規制を及ぼした上で、それら銀行の固有業務の一部、あるいはそれらに隣接する業務を行う場合について、各種業務ごとに銀行法に比べて緩やかな規制のもとで業務を実行できる枠組が整備されているという状況になっております。

すなわち、決済業務につきましては、資金移動業ではそれまで銀行のみに認められていた為替取引について、100万円を上限に営むことができるとされております。そこについては登録制となっておりまして、100%の資産保全を義務づけることによって、銀行にかかる厳格な規制の代替としているところでございます。

続いて、その右側のプリペイドカード業でございますけれども、払戻しは原則禁止とされておりますが、その譲渡については規制せず、自家型発行者は届出制、第三者型発行者は登録制のもと、未使用残高の2分の1以上の保全義務など、銀行業に比べまして緩やかな規制となっております。

さらに、一番右側の貸金業でございますけれども、貸金業者については、業務の適正な運営の確保、及び資金需要者等の利益の保護を図る観点から、登録制の下、過剰貸付の禁止や、あるいは書面交付義務などといった各種の行為規制が設けられているところでございます。

こうした現行制度の状況を踏まえた上で、ページをおめくりいただきまして、14ページでございますけれども、論点の1つ目として、ITの活用をするなどとして規制領域をまたがるようなサービスが登場している中で、それらについての環境整備をどう考えるかという点でございます。ページの上のほうにございますとおり、ITの進展により規制領域をまたがるサービスの展開の余地が拡大しているわけでございますけれども、こうした方向性で決済サービスが発展しつつある中で、区々となっている現行の規制体系については、例えば、「事業者のビジネス選択にゆがみや制約をもたらす可能性」があるのではないか。あるいは、「規制の不整合が恣意的に利用されて、取引の安全性等が適切に確保されないおそれ」があるのではないかといった点が考えられるかと思います。

また、後ほどご紹介させていただきますが、現行の規制体系を前提といたしましても、登録業務を組み合わせれば免許なしに銀行と同様の業務を営むことが可能となっております。ITの進展に伴いまして、各種サービスの機能深化が大きく進むとともに、実際には決済サービスと融資業務とを組み合わせることにより総合的な金融サービスの提供が出現しつつありますが、現在の各業法別の法体系は、こうした新しい動きを十分に視野に入れたものになっているのか、という指摘でございます。

次の15ページと16ページは、今申し上げた点を少し具体的に図にしたものでございます。まず15ページの例でございますけれども、近年、登場・拡大しているサービスとして、サーバ型プリペイドカードのサービスがございます。こちらのサービスでは、例えば、事業者によっては、Eメールを使って、非常に幅広い加盟店で利用できるプリペイドカードのID番号を送付するということによって、事実上、送金サービスが可能となっているものでございます。

もう1ページおめくりいただきまして、16ページでございます。こちらは、「組み合わせ型のビジネスモデル例」でございますけれども、先ほど少し申し上げました、登録業務の組み合わせで銀行と同様の業務を行っているというビジネスモデルの例でございます。この例ですと、まず、プリペイドカードを発行いたしまして、利用者はこれを「アカウント」と呼ばれる預かりサービスで貯めておくことができます。その上で、例えば支払いに使いたい場合は、ネットモールでプリペイドカードとして決済で使う、あるいは個人間の送金にも使える、さらには金融商品のMMFの購入もプリペイドカードでできると。同時に、事業者のほうではネットモールも運営しておりますので、そこで集積されたビッグデータを使って、モール出店者向けの融資を行うことができると。これらの業務を組み合わせることによって、銀行とほぼ同様の業務を行えるということでございますけれども、現行の我が国の法制に照らせば、貸金業、プリペイドカード業、資金移動業、金融商品取引業というように全部、登録で営むことが可能となっております。

さらにページをおめくりいただきまして17ページでございます。論点の2つ目でございますけれども、「中間的業者に係る環境整備」でございます。フィンテックの進展に伴いまして、銀行等と利用者の間に立ってサービスを提供する中間的業者が登場しております。例えば、真ん中に図をお示ししておりますが、この場合ですと、銀行からの委託を受けずに、顧客と中間的業者の契約に基づき、銀行口座にアクセスしてサービスを実行する形となっております。具体的には、業者はウェブサイトを通じて顧客と利用契約を締結し、カードを発行いたします。その上で、顧客のスマートフォンなどを通じて、業者側からは、例えば、銀行の口座開設のサポートですとか、口座残高・入出金情報の提供を行う、顧客の側からは送金指図を業者に送る。さらにATMサービスの提供などが行われるというような仕組みになっております。これらのサービスの裏側には銀行がいるわけですけれども、顧客に相対しているのは、専らこの中間的業者となっているわけでございます。

我が国の現行制度では、こうした業務については「銀行代理業」、または「銀行の外部委託先管理」といったような規制の枠組があるわけではございますが、他方でこの例のように、中間的業者が、銀行からの委託ではなく、顧客からの委託に基づき主導的な立場に立ってサービスを展開しているような場合に、中間的業者を「銀行の代理業者」、または「銀行の外部委託先」として捉える規制、が業の実態と適合的といえるのかといったようなご指摘が決済のワーキング・グループの報告でもございました。

ページをおめくりいただきまして18ページでございますけれども、EUでは、こうした中間的な業者に対する規制の枠組が既に整備されております。こうした海外での対応を踏まえて、我が国における法制のあり方をどう考えるかという点でございます。現行の「銀行代理業」規制では、例えば、許可制で、営業所ごとに実務経験者を配置するような義務がございます。また、兼業についても承認が必要とされる。当該業者への規制に加えまして、所属銀行に対して指導義務ですとか、損害賠償義務もあるというような規制になっているところでございますけれども、多様なサービスが展開される中で、こうした規制内容が適合的と言えるのかというようなご指摘もございます。

以上のようなご指摘を踏まえまして、下のほうの検討課題といたしましては、例えば「中間的業者のうち、例えば銀行ではなく、顧客からの委託に基づき、主導的な立場に立ってサービスを提供する者等に係る法制のあり方についてどのように考えるか」といった問題。あるいは、「「銀行代理業」の規制内容については、銀行代理業者及び銀行の双方にとって過剰規制となり、オープン・イノベーションの妨げとなりかねないという指摘もあるが、どのように考えるか」といった問題があろうかと思います。

次に、ページをおめくりいただきまして19ページでございますけれども、先ほど少し触れましたEUの法制につきましてご紹介しております。EUの決済サービス指令に基づく法制の概要でございます。ごらんになっていただきますとおり、EUの決済サービス指令では、銀行、電子マネー事業者、決済サービス事業者を通じ、免許制や財務規制など、横断的な規制体系を構築しております。また、下の点線部分にございますとおり、情報提供義務や無権限取引に係るルールについて共通のルールを導入しております。このようにEUにおいては銀行、電子マネー事業者、決済サービス事業者、いずれの場合であっても、決済サービスを提供する以上は、水準は少し違うところはございますけれども、一定の基本的な枠組の中でサービスの提供が行われるような仕組みとなっております。

また、次に20ページでございますけれども、EUでは、先ほど申し上げました中間的業者に関する規制体系の導入というのも既に整備されているところでございます。中間的業者として観念されておりますのは、取り次ぐ情報の種類によって2種類ございまして、一つは左側のほうですけれども、送金など、決済の指図を決済サービス提供者に伝達する業者、もう一つのカテゴリーは右側のほうでございますけれども、決済の指図の伝達までは行わず、講座情報の提供、例えば残高ですとか入出金情報の提供を行うタイプの業者でございます。

こうした2つのカテゴリーに分けた上で、前者の指図の伝達を行うタイプの業者には、基本的に免許制といった形で財務要件を課している。後者の指図の伝達まで行わないタイプの業者については、そこまで厳格なものではなくて、登録制のようなもので財務要件は課さないといったような対応が図られているところでございます。

さらにページをおめくりいただきまして21ページでございますけれども、前半にご紹介させていただきましたフィンテックサポートデスクにおきましても、こうした中間的事業者に係る環境整備が必要なのではないかという声が寄せられております。具体的には、例えば「金融機関のシステムへのいわば「接続口」であるAPIを公開したような金融機関と連携して、サービスを提供することなどを検討しているけれども、現行の法制度には必ずしも適合する枠組がないことが銀行との連携・協働等の妨げとなっており、円滑なサービス展開等の障害となっている」というご指摘。あるいは、その下のボックスのほうでございますけれども、「銀行代理業者または銀行の外部委託先として整理した場合、委託元たる銀行から受ける指導・管理・監督等が過剰な負担となる懸念がある」といったような声をいただいているところでございます。

最後に、22ページ以降でございますけれども、こちらはこれまでご紹介させていただきました内容につきまして、金融審議会の決済のワーキング・グループの報告書の関連部分の抜粋を付けさせていただいております。こちらは議論の中で適宜ご参照いただければと思っております。

事務局からの説明は以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

それでは、討議に移りたいと存じます。先ほどの事務局からの説明で、11ページの検討に当たっての問題意識、及びそれ以降で、検討に関する背景説明のご紹介がございましたが、それに限らず、どなたからでも結構でございますのでご発言をいただきたいと存じます。いかがでしょうか。田村委員、どうぞ。

【田村委員】

よろしくお願いします。

11ページでお示しいただいた問題意識についてでございますが、基本的に私といたしましても全く同感でございます。皆さまご存じのとおり、近年、テクノロジーが急速に進歩する中、様々なプレーヤーが新しいテクノロジーを活用したサービス、あるいは新しいビジネスモデルで金融ビジネスの分野に参入して、私ども既存の金融機関と、もちろん競争もございますが、一方で新しいテクノロジーを活用するという意味で、既存の金融機関にとってもそうした新しいプレーヤーとの協働、オープン・イノベーションに取組む局面も非常に多くなっております。こうした中で、イノベーションの促進と利用者保護、この両面に目配りしながら必要な制度整備を進めていくことは、イノベーションの促進の観点からも、オープン・イノベーションの促進の観点からも非常に重要なことであるし、それが日本経済全体にとっても非常に有益であるというふうに考えております。

以上です。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

ほかに。福田委員、どうぞ。

【福田委員】

大変重要なご提案をいろいろいただいていると思います。金融に関する規制に関しては、常にイノベーションも含めた効率性の問題と、それからセーフティーネット、安全性という問題のトレードオフをどうバランスをとるかというのが常に難しい問題があり、これは従来からもうあった問題です。必ずしも両者は整合的ではなくて、トレードオフの関係があって、一方を強くすれば他方は多少犠牲にせざるを得ないということもありますけれども、いずれも大事だと思います。そういう意味では、効率的であれば全ていいのかというと必ずしもそうでもなくて、常にそれとのトレードオフの関係にあるセーフティーネットの問題に気を配りながら、どういうバランスをとった規制体系がいいのかということを考えていくということなのだろうと思います。

まず、効率性に関しては非常に公正な競争ということを維持するということが大事で、そういう意味では金融機関のみならず、関連する業務をやっているところとの競争条件というものを公正にしていくということ、これがイノベーションを考える上では非常に大事だということになってくるかと思います。

他方でセーフティーネットという問題を考えたときには、必ずしも全ての金融機関にイコールに規制を課せばいいというものでもありません。やはり決済システムに対する影響力の大きい、そういう意味ではシステミカリー・インポータントな金融機関というものに関してはより重めの規制があるでしょうし、あるいは大口の預金、たくさんの預金者を持っているようなところに関しては、当然、ある程度重めの規制を課せざるを得ないということはあるのだろうとは思います。

ただ、いずれにしても、何のための規制かというのを常に考えなければいけないと思います。やはり新しいテクノロジーがたくさん登場すると、形式的には今までのルールというのがかなり時代おくれになってしまっているということがあるとは思います。けれども、何のための規制をしなければいけないかという、もともとの理念は別に時代おくれになるわけでも何でもなくて、これはかなり普遍的なものだとは思います。そういう意味では、もともとの規制というのが何のためにあったのかという原点に常に立ち戻りながら、現在の状況にフィットするルール改正というのを行っていくべきだというふうに思っております。

以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。関委員、どうぞ。

【関委員】

ご説明ありがとうございました。

11ページの問題意識につきましては、イノベーションが進んでいるという認識と、それに応じた規制のあり方を検討するということについては賛同するもので、もちろん取引の安全とか利用者の保護ということも十分考えていく必要があるのですが、一方で、何のために規制するのかというお話が今もありましたけれども、その規制の目的と、それぞれの取引形態のリスクに応じた形で規制のあり方を考えなければいけないと思っておりまして、規制のありようによってはイノベーションを阻害してしまうおそれもありますので、そういったことについては十分な注意が必要かなと思います。

そういう意味で、私がまだよく理解できていないのが、例えば、EUの制度の例を説明されて、横断的な法制度ということを以前から議論なされていますが、それは何のために必要なのかというのはいまひとつよくわからないんですね。そのあたり、十分議論をしたいなというふうに思っています。

また、それに関連して、例えば13ページの日本の法制度の話であるとか、あるいは14ページの最後のところで、免許なしで銀行と同様の業務を営むことが可能となるとあって、その例はおそらく15ページ、16ページあたりなのかなと思うのですが、15ページにしても16ページにしても、それぞれ、例えば送金できる金額の大きさであるとか、一定の制限がかかった上でのサービスということで、銀行に許されているサービスとは大幅に違うものだと思いますので、同様の業務と言い切ってしまうのはかなり乱暴じゃないかなと思っております。

また、その後の17ページにあります中間的業者、これについては銀行代理業とか外部委託先の管理との関係で整理をする必要があるということは理解できるのですけれども、これについても日本の市場、利用者の状況等も踏まえて、規制が必要なのかどうか、ちょっと私は今の時点でよくわからないのですけれども、そのあたりも十分に議論していただければと思っています。

また、もう1点だけ、19ページにEUの制度の状況の表があります。ちょっと前にもありました。以前のワーキングでも質問したのですけれども、これ、例えば、免許って一言で書いてありますが、銀行でも電子マネー事業者でも決済サービス事業者でも免許の制度になっています。この「免許」という単語であらわされる制度は、日本の制度における「免許」と同じかどうかというのは十分吟味する必要があって、これもそれぞれのサービス形態やリスクに応じた制度とすべきであろうと思いますので、単純にEUの制度の表面的な話で考えるべきではないだろうというふうには思っております。

免許に限らず、ほかの制度についてもそうですけれども、とりあえずコメントは以上でございます。ありがとうございました。

【岩原座長】

ほかに。森下委員、どうぞ。

【森下委員】

ありがとうございます。

先ほど来、リスクに応じた規制が必要であるというふうなお話があったと思いますが、私もその点についてはまさにそのように思います。しかしながら、1つ注意しなければいけないのは、やはりアンバンドリング化されたり、あるいはITの利用が進んできたことによって、リスクのありようも少し変わってきている部分があるのではないかという点でございます。

例えば、中間的業者を規制するかどうかというようなこととの関係でも、例えば欧州におきましては、中間的業者が取引を仲介できるようにするために、口座番号ですとかパスワードをその業者に渡してしまう。そういうようなことによって、場合によっては口座保有者が想定した以上の取引がなされてしまったり、さまざまな情報がそういった業者によって、口座保有者の意図しないような形で使われてしまうというリスクがあるのではないかといったようなことが指摘されて、中間的業者に関する法制の導入につながったと理解をしております。

また、従来であれば銀行がしっかりとリスク管理をしていればそれで大丈夫だった。何かまずいことがあれば、利用者と銀行との間で決着を図ればよかったというようなことだったかもしれませんが、例えば中間的な事業者が入る、あるいはそれ以上にもっとアンバンドリングが進んでいくと、利用者の例えば資金移動取引がうまくいかなかったときに、誰が責任を負うのだろうと。利用者は誰に責任追及したらいいのだろうという、そういうリスク分担のあり方という観点でも、やっぱり従来にはなかったような問題が発生してくるように思います。

そういう観点からすると、EUの決済サービス指令というのは、全ての事業者に同じような規制を入れるというようなことを考えているわけではなく、リスクのありようが変わってきたので、あるいはプレーヤーが多様化してきたので、それによって、リスクに応じて規制を入れようという考え方だと理解をしておりますので、今後の法制のあり方を考えていく上でもいろいろ学ぶべき点はあるのではないかと考えております。

【岩原座長】

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。古閑さん、どうぞ。

【古閑委員】

21ページについて質問させてください。先ほど来、何のためにということが重要であるというお話が他の委員からも出ておりますけれども、例えば、この21ページに例として挙げていただいている、APIを公開した金融機関と連携したサービスの提供等を検討している場というほうですけれども、これは適合する枠組がないことで、なぜ銀行との連携、協働等の妨げになっており、何があるとその妨げというのがなくなるのかというところがよくわからなかったので、もう少し事情を詳しく教えていただけますでしょうか。

【岩原座長】

事務局、お願いします。

【井上信用制度参事官】

これは外部の方から寄せられた意見ということでございますので、私どものほうで解釈することの是非はあろうかと思いますけれども、基本的には先ほど森下先生からもご意見があったかと思いますけれども、仮に、例えば、APIを用いて銀行の口座情報を使うというような場合に、何か事故が起こってしまった場合の損失負担のあり方とかいうところがない場合は、業者としてどの程度の損害賠償責任を負うのかというところもはっきりしない。あるいは、利用者との間で損失の分担割合がどうなっているかということがはっきりしないということですと、なかなか参入に踏み切れないといった方もあるのではないかというふうに考えております。

【岩原座長】

よろしいですか。

【古閑委員】

はい。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょうか。永沢さん。

【永沢委員】

ありがとうございます。

私からは1点ございます。新しいお話ですので、全体像がよくわかってはおらないのですけれども、決済というのはどんな消費者にとってもかかわりなしに生活することができないわけで、例えば投資の世界のように自己責任というわけにもいきません。とりわけ丁寧な利用者保護、消費者保護が必要である分野であるということをお話しさせていただきたいと思っております。

イノベーションが進んで、新しいサービスがどんどんと提供されてきているわけですけれども、サービスの提供者や取引の相手方が資金決済法上の一体何業に該当するのかというのは消費者にはわからないわけですし、そのようなことを意識して日々の生活を送っているわけではありません。事務局からのお話を伺いますと、事業者がやっている事業の重み、先ほどリスクという言葉が出てきましたけれども、その影響度なり重要性なりをリスクというのでしょうか、それに応じて規制や利用者の保護のあり方というのを考えていただきたいと思っています。気づいたら穴があいていたようなことがないようにお願いしたいと思いますし、また、不測のことが起きないよう体制整備はもちろん大切ですけれども、不測の事態が起きたときに誰に責任を負ってもらうのか、誰にどのように責任を追及するのかというところがはっきりしているような体制である必要があると思いますので、そのような視点・論点もこれからの審議の中で設けていただきたいと思っております。

以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。松井委員、どうぞ。

【松井委員】

ありがとうございます。

今回いろいろ出してくださった論点を拝見して、今後、銀行法の考え方がどうなっていくのだろうかと少し考えてみましたので、意見を述べさせていただきたいと存じます。

従来、銀行法は、預金という金融商品を提供する金融機関があり、これを手がかりにして貸付け、決済など様々なサービスをパッケージとして提供している金融機関を事業規制の形で厳格に規制するという前提があったのだろうと思います。これに対して、今回ご提案いただいている内容、あるいは論点整理として出された内容を見ますと、例えば決済サービスであれば、ビジネスが進展していく中で、その機能は必ずしも預金という金融商品を媒介しなくても提供できる側面が出てきている。アンバンドリング化はまさにそういうことであるわけですが、そうすると、その機能を果たす際に、何をターゲットにして規制をかければいいかということが別の問題として出てきたわけです。従来であれば、預金という金融商品を取り扱うことを前提にして銀行という機関、すなわちエンティティーに着目した規制をかければよかったのですが、別の方法でもある機能を果たせるとなると、これまでとは異なる規制の手法が必要なのではないかと、こういうことになってきたのだろうと思います。

以上のような場合に銀行法の規制をそのまま適用すればいいかといえば、まさにこちらのペーパーにありますように、過剰規制になる可能性があるわけで、この観点から銀行法の体系が今、揺り動かされているのではないかということを一つ感じました。つまり、機能別の規制の必要性といったことに銀行法もさらされているのではないか、ということです。

もう一つ、中間的業者に関しましても、従来は銀行の業務というものがあり、それを外に切り出した場合にどのようにコントロールしていくかという観点から代理業というのは規制されてきたのだと思います。これに対して、サービスのベクトルが顧客のほうから向いてきて提供されるということになりますと、銀行の業務を切り出すという側面が外形的にはあるのですけれども、もともとそのイニシアチブは銀行の側にないので、そうするとやはり銀行というエンティティーを基礎とした規制ではなかなか難しいという感じがいたします。つまり、業者規制ではなくて、そうではない取引ルールのようなものが必要になってくる可能性があります。繰り返しになりますけれども、銀行法は取引ルールを前提にできている法律ではないわけです。しかし、今回の中間的な業者の規制というのは、ある機能が外から提供されたときに、業者規制ではどうも賄えないところがあるらしい。そうすると、銀行法で手当てするのかどうかという問題はありますけれども、仮に銀行法にそのような取引ルール的なものが入ってくるとなると、これは従来とはかなり違う発想が銀行法の中に入ってくるかもしれないわけです。したがって、このような取引ルール的な観点からも、今、銀行法の体系というのが再検討を迫られているのではないか。このような状況にあるのかな、ということで今回の論点を拝見しました。

銀行法の体系それ自体をどうするかというのは大きな話ですから、最初からそこにターゲットを絞るべきではないと思いますけれども、個々の論点を考えていく中で、それが銀行法の体系のあり方とどういう関係に立つのかということは、常に頭の中に置いておいたほうがいいかなと少し考えた次第でございます。

以上でございます。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょうか。森下委員、どうぞ。

【森下委員】

すみません、先ほど松井先生から取引ルールのようなものについても目配りをしなければいけないようになってきているのではないかというお話があったと思いますが、確かに従来の銀行規制ですとか、あるいは決済規制も、どちらかというと事業者が破綻したときにどうするかというような点に、まず重心を置いて、ただ、それだけではなく、当然、利用者保護ですとか情報提供などについても規制がされておりますけれども、中心というのはどちらかというと破綻したときにどうするかというような点にあったような気がするのですが、例えば、資料でお示しいただいた19ページのEUの規制、EUのものがほんとうにベストであるというわけではないとは思いますけれども、そこでは、さまざまな行為規制のメニューというのが置かれておりまして、こういったものというのは必ずしも破綻した場合にどうかというような観点からではなく、もう少し幅広い視野で決済サービスというのが円滑に行われるためにはどういったルールが必要かというような観点から置かれているもので、日本の従来の決済法制にはなかったような規制のメニューというものも含まれているのではないかと思います。

そういった意味では、規制の議論をするときに、従来の考え方をベースに、誰を規制のターゲットにするのがいいのかというような議論だけではなくて、リスクのありようが変わっているというふうに先ほど申し上げましたけれども、そういったようなものにも目配りをした上で、どういったメニューがほんとうに必要なのかを考えること、適用されるサービスですとか、そのサービスにおけるリスクに応じてフレキシブルな、柔軟な規制をかけていくこと、メニューとしてはいろいろ取りそろえた上で、業者やサービスによって不要なものは適用対象外としていくとか、そのような形の規制枠組みまで、短期的にではなくても、長期的には視野に入れて議論がなされていくことが必要なのではないかと感じております。

【岩原座長】

はい、どうもありがとうございます。

それでは、加毛さん。

【加毛委員】

ありがとうございます。

コメントと質問が1つずつございます。2つとも最初のほうで関委員がご指摘された点とかかわります。まずコメントは、森下先生のおっしゃったことと重なりますが、ヨーロッパ決済サービス指令は決済に関する横断的な法制度を設けているものの、横断的な法制度を設けることが必ずしも重い規制になるわけではないということです。例えば低額の決済のみを行う業者については、むしろ規制をかけないこととして、なるべく手数料等が少なくて済むようなビジネスモデルを可能にし、消費者・顧客の便益を図っています。少額の決済のみを行う業者であれば、たとえ破綻したとしても、顧客1人が失う金額は低額にとどまりますので、むしろ規制をかけないことが顧客のメリットになるという考え方をPSDは採用しているといえます。横断的な規制をかけることが必ずしも規制強化につながるわけではないということを確認しておく必要があるように思われます。むしろ、競争者間の公平性という観点から、抜け穴を作らない制度を構築することにはメリットがあるだろうと考えております。

次に質問は、配布資料の14ページについてです。ここでは銀行業務のアンバンドリングが進む一方でアライアンスも生じており、銀行と同様の業務を行う事業者が登場する可能性が指摘されています。その具体的な説明が16ページで示されているのですけれども、銀行と同様の業務を行うということの意味について確認させていただければ幸いです。銀行の機能として決済機能と信用仲介機能があげられますが、このうちの決済機能については必ずしも銀行が行わなければならないものではないように思われます。日本の法制度についていえば沿革的・歴史的な経緯で銀行法の中に為替取引が規定されたにすぎないので、銀行以外の主体が為替取引を行うことは必ずしもおかしなことではないように思います。

その一方で、アライアンスが進むというときに、16ページの図でいう融資サービスと預かりサービスの関係については、例えば銀行のように小口に預金者を多数かかえており、そこから預かったお金を融資していくという形態が意図されているのでしょうか。それとも融資サービスの財源は預かりサービスとは別のところから調達するのでしょうか。仮に後者だとすると、それは単に一つの事業体がさまざまなサービスを行っているに過ぎないような気がいたします。銀行と同様の業務というのが一体何を指すのだろうかということを疑問に思いましたので、お教えいただければと思います。

【岩原座長】

事務局から。

【井上信用制度参事官】

今の加毛委員のご質問、あと、さっきの関委員のご質問に共通するところだと思いますけれども、この16ページにお示ししているのは、プリペイドカードのアカウントサービスみたいなものを使うことによって擬似的に預金のようなこともできて、かつ、それを同時に別途融資サービスを貸金業みたいな形でやるということで、銀行の果たしているような預金、融資、決済というようなサービスを形式的にはできるということでございます。これがどの程度、銀行の果たしているような資金仲介機能を代替するかというところは確かに法制度との整合性を見ていかなければいけませんけれども、先ほどのサーバ型のプリペイドカード業のようなものですと、現行では半額供託という形になりますので、その残りの半額の部分を、ある意味、原資にしてといいますか、そういうようなことも理論的には可能であるというふうには考えております。実際それをやられるかどうかというのはまた別問題だと思いますけれども、制度の整合性という意味では論点になるかというふうに考えております。

【岩原座長】

よろしいですか。

ほかに。與口委員。

【與口委員】

今のご意見と似たような話になるのかもしれませんけれども、例えば15ページ目のところで、いわゆるサーバ型のプリペイドカードを用いた送金と決済というふうにあるのですけれども、こちらの場合に、確かに右の方から左の方へEメールで送付をするということについては、これは送金というふうに見えるのだろうと思うのですけれども、実際には右の方が加盟店で決済をしなければいけないということになると、当然それには手間と、ある種、場合によっては購入したそれを換金しなければならないためのロスも生じてくるというふうに考えると、わざわざそんな手間と労力をかけてこの手段を使わなければいけない、その経済合理性が本当にあるのだろうかと考えると、かなり特殊なケースのような気がします。そういう意味でいけば、業の実態というのでしょうか、実際に何が起きているのか、その規模がどの程度のものなのか、個人がたまたまそういう欲しいものがあったので、電子マネーで決済をした、みたいなものを規制に持ち込むというのは幾ら何でも乱暴ではないかなと思うので、そういう意味ではどういうところに業の実態があるのかみたいなものは踏まえた上でご議論いただくといいのかなと思うというのと、それから、大変恐縮ですけれども1点ご質問なのですが、17ページ目の中間業者に関する環境の整備の部分で、この顧客と間の中間業者において利用契約があるという表示があるのですけれども、この中間の事業者と銀行との間に何らかの契約ないしは何らかの約束事みたいなものが存在しないと、普通はこのようなことが起きないような気がしますので、そこがどうなっているのかがもしわかればお教えいただきたい。あるいは次回以降でもいいのですけれども、お示しをいただけると助かるということです。

【岩原座長】

事務局、お願いします。

【井上信用制度参事官】

そこはおっしゃるとおり、中間的業者の中にも銀行とちゃんと契約を結んでやっていらっしゃるところもあるというふうには承知していますし、逆に全くそういうことをやらないでもできないことはないということだと思います。それは確かに業の実態を整理する必要がございますので、次回以降改めて整理させていただければと思います。

【岩原座長】

よろしいですか。

翁委員。その後、神作委員。

【翁委員】

2つ申し上げたいのですが、1点目はもう皆様おっしゃっていることと重なりますが、やはりこれだけいろいろなビジネスモデルが出てきて、どんどん多様化をしているということで、従来型の、例えば13ページのような資金移動業、プリペイドカード業といった分け方では、もう既にレギュラトリー・アービトラージの問題はもう起こっておりますし、また、先ほど、それでは中間的事業者は銀行代理業かという投げかけがありましたけれども、これはもう全然種類の違う新しいタイプのものでございますので、やはり新しい考え方、ビジネスモデルがどんどん多様化し、同時に非常に急速でダイナミックに変わっていくことを前提に規制のあり方を考えていく必要があるというふうに思っております。

それから2つ目ですが、やはりイノベーションを生かしていくということが非常に重要だと考えておりまして、特に新しいいろいろな取り組みでは、データの分析とか、また、非常に新しいテクノロジーで安全性を確保しようというような、そういったビジネスモデルが出てきているということでございます。やはりデータ分析、テクノロジーやビジネスモデル自体が安全性や信頼性を獲得していく上での一つの要素になっている。ですから、そういったインセンティブというのはうまく活用していく必要があるのではないかと思います。単にどんな業者であるというデザインだけでなく、パフォーマンスというか、どういう形でテクノロジーを使い、データ分析を使って、取引の安全性などを確保しようとしているのかというところも見ていく必要があるのではないかというふうに思っています。

【岩原座長】

よろしいでしょうか。

ほかに何か。長楽さん。

【長楽委員】

2点ほど申し述べさせていただきます。資料15ページに「サーバ型プリペイドカードを用いた送金と決済」とあります。このスキーム図のようなEメールを使用した前払式支払手段の利用方法ですが、現在、個人間のギフト等として利用されているイメージがございます。贈り主が、贈り先のメールアドレス宛にID番号等をEメールし受取人がそのID番号等を入力して欲しい商品の購入等の支払いに利用するというものでございます。このスキーム図のようなサーバ型前払式支払手段の発行は個人間のギフトとして利用されていると思われる中、これがプリペイドカードを用いた商品の決済とか送金の一般的な例ということであれば違和感を覚えます。

次に資料13ページの「決済に係る現行の法制度」でございますが、先ほど関委員からお話がございました。銀行、資金移動業、プリペイドカード業、貸金業が並べてございますが、資金移動業について申し上げますと、一回当たりの送金限度額100万円という制約の中で、主として個人向けに小口の送金を行っている状況にございます。プリペイドカードは、主として個人が少額な商品の購入とかサービスの提供を受ける場合にその支払手段として利用されております。また、払い戻しができないという制限がございます。そういうことから、資金移動業、プリペイドカード業と、その他事業との間には利用の実態とかリスクの程度には大きな違いがあるのではないかと考えております。このような業務の実態とかリスクの程度等を十分に踏まえた検討をお願いしたいと思います。

以上でございます。

【岩原座長】

それでは、神作委員。

【神作委員】

ありがとうございます。

私も決済に関する規制に関しまして、特に今日お配りいただいた資料の17ページ、先ほども何人の委員の方からすでにご指摘があり重なる部分も多いかと思いますけれども、このページの論点を中心にコメントをさせていただきます。 決済について、そもそも規制がなぜ必要かということを考える必要があるということを多くの先生方からご指摘いただいていますけれども、私は決済については大きく分けて、特に最終ユーザーと申しますか、顧客の観点からすると2つの面で規制をする必要性が高いと思います。

第1に、決済についてはその専門性と技術性が非常に高いという点です。特に、一般の顧客にとっては自分の決済が実際どのように行われているかということについてなかなか理解もコントロールもできないということがあります。そのような顧客が安心して決済できるような仕組みと顧客保護の体系が求められます。

第2に、しかしながら、決済の場合にはファイナリティーの確保と申しますか、決済の安定性と効率性の確保が重要です。たとえば、決済したつもりだったけれどもまた、その決済が無効であり巻き戻すというようなことが頻繁に生じるようでは望ましくないという面があります。そのような意味では、決済については効率性を確保するという観点と、決済の安定性・確実性を確保するという観点もまた極めて重要であると思います。

以上の2点からすると、決済について規制する必要性が高いと思われます。そうすると、例えば1ページの絵に翻って申し上げますと、顧客と銀行との間にこれまでなかったようなタイプのサービスが登場してくるということは、まさに決済の効率性の向上、あるいはイノベーションの促進につながる可能性が大いにあり結構な方向であると思いますけれども、他方で顧客の保護という観点からすると、現行の規制に穴があることは否定できないと思います。顧客保護という観点からの検討も、先ほど述べたように必要です。もちろん、過剰な規制をすることは適当でなく、きちんと実態やリスクの所在を分析した上で検討していく必要があると思いますけれども、私は、例えば17ページに掲げられた論点は、今後の決済のさらなる安定性・効率性の確保という観点からも、一種のインフラ整備として非常に重要な論点であると思います。

それから、自分で調べるべきことかもしれませんですけれども、ご質問することをお許しいただけますならば、資料の20ページなのですけれども、EU決済サービス指令で、資産保全という点で、責任保険への加入義務があるかないかというところで決済指図伝達サービス提供者と口座情報サービス提供者とが分かれておりますが、この責任保険は一種の公的な保険制度であるのか、それとも業界団体で自主的にやっているようなものなのか、あるいは私的な保険、普通の保険会社等の保険の契約を締結しているのか、このあたり、責任保険が実際にどのような形で運用されているかについて、この機会に教えていただければ幸いに存じます。どうかよろしくお願いいたします。

【岩原座長】

それでは、井上さん、お願いします。

【井上信用制度参事官】

PSDII、第2次指令のほうの原文ですと、そこはprofessional Indemnity Insuranceというふうに書いてございます。ですので、基本的には民間の保険会社が提供するものだと思っておりますけれども、ちょっとその実態については調査の必要がございますので、次回ご回答させていただければと思います。

【神作委員】

ありがとうございます。

【岩原座長】

ほかに何か。福田委員、どうぞ。

【福田委員】

追加で意見表明を述べさせていただきます。まず非常に難しい制度改革だというのは、皆さんもいろいろご指摘のとおりだとは思います。ただ、かなりスピード感を持ってやるべき改革でもあるということは注意する必要があると思います。非常に難しい問題で、問題を起こすような改革をすべきではないのですけれども、フィンテックの進歩というのは非常に急速なスピードで進んでいて、我が国でゆっくり改革をやっているということは、これは大きな我が国の成長戦略という意味でも問題になるというのが1点です。

それから、もう一つは、この技術は今後もますます進展するという視点は大事だと思います。したがって、例えば現状でこういうことをやっていないから大丈夫だとかっていう視点はやっぱり不十分ではないでしょうか。今後もますます大きく技術が進展していくということもやはり見据えた形でいかなる制度改革が必要なのかという議論をしていく必要があるのではないかと思います。

追加で2点、表明させていただきました。

【岩原座長】

ほかにございますか。関委員、どうぞ。

【関委員】

非常に細かい点のコメントで恐縮なのですが、先ほどの長楽委員のコメントにもちょっと重なる部分があるのですけれども、15ページと16ページの資料で、念のため申し上げたいのですが、プリペイドカードを用いた送金とか、これは15ページですね。16ページには、プリペイドカードの発行のところから送金サービスとか資金移動という形で書いてあるのですけれども、自由に換金できないという性格があることから、プリペイドカードで送金ができるとか資金移動ができるという、この資料の表現はちょっと適切ではないのではないかと思っておりまして、念のために申し上げます。

【岩原座長】

井上さん、何かありますか。

【井上信用制度参事官】

これはある意味、技術の進展によって、従来、払戻しができないという形で規制の差別化がされていたプリペイドカードについて、さらに電子モールと組み合わせることによって多種多様な商品と事実上交換ができるというようなこともあわせて考えれば、15ページの図にございますように、そこでの決済にさらに利用できるということも考えればということでございますので、それは確かにビジネスモデルの進展等にあわせて新たに出てきた問題点ではないかというふうに我々としては考えております。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょうか。岩倉委員、どうぞ。

【岩倉委員】

2点ほどお話しさせていただければと思いまして、先ほど来、ほかの委員の方からもお話しいただいているかと思いますが、我々カード会社ですと、銀行法以外の資金決済法、貸金業法、こちらの法令のもとに業務を行っておるわけですが、結果として銀行同様の業務を行えているとはなかなか思っていない部分もございまして、また、お客様からした場合は、我々がご提供する簡便なサービスに利便性を感じていただいているお客様もいらっしゃると思っていますので、商品としては若干住み分けができている部分もあるかなと思っておりますので、どうような規制をというお話になってしまいますと、その辺の利便性が損なわれるような形というのは、消費者保護を図りつつの部分だと思っておりますが、なるべくご配慮いただければと思っている点が1点でございまして、あともう1点が、特に我々のカード会社なんかですと、これ以外の法令にも従っている。例えば割販法もございますので、全体的な体系もご配慮いただけるとありがたいなと考えております。

以上でございます。

【岩原座長】

ほかにございますか。古閑さん、どうぞ。

【古閑委員】

今の岩倉委員のご意見と重なるような意見になりますけれども、確かに見ようによってはお客様のほうから見ると、効果としては銀行が行っていることと同じ効果が得られるようなサービスというのが存在してきていることは否定しないのですが、それぞれビジネスモデルも違いますし、先ほど翁委員のほうからセキュリティーの問題とかもちょっと出ましたけれども、そういった要素も含め、どこで、どういった価値を提供しているかということとかも違っておりますので、お客様から見て効果が同じに見えるからといって一律の規制でいいのかどうかという観点もあると思います。まだどういったものを想定されているのかというのは全然わからないですけれども、そういったきめ細かいところが一律になってしまうことによってかえってお客様の選択肢をなくすことのないようにという点も十分注意を図っていく必要があるかなと思っています。

【岩原座長】

池田さん、どうぞ。

【池田局長】

今日の事務局資料の後半のほうに、いろいろと質疑が集中していまして、その中には大変私どもとしても今後検討していく上で考えていかなければいけない重要な点をいろいろご指摘いただいていると思います。12ページのところにあえて仕切り紙を入れているのは、この細かな話は次回以降、順次、詳細に議論をいただくつもりでいるからですが、あえて今日、背景説明ということでご説明をさせていただいたのは、私どもの問題意識を提示したかったからです。松井先生などからもありましたけれども、やっぱりIT技術の進展で色々なビジネスモデルが出てきている、今日色々出ているものは国内で行われているものだけではなくて、実は海外で行われている、行われつつある、あるいはかなり盛況になりつつあるものも含めて提示をさせていただいているつもりなのですけれども、今の銀行法ですとか資金決済法ですとかが必ずしも想定していないようなビジネスモデルがIT技術の進歩に伴って出現しているし、おそらくこれから更に出てくるであろうと。そういう中で、今の銀行法その他の法体系が色々なところで時代遅れになりつつあるということを幾つかの例で提起をさせていただいたと。

プリペイドカードについて換金ができる、できないという議論もありましたが、換金はできなくてもMMFが買える、あるいはMMFをそれで販売しているとなると、換金はできないけれどMMFをすぐに売ればキャッシュになるわけですね。だから、換金できるかどうかということをメルクマールに今の法制度を整備していること自体が、IT技術が進んで、瞬時にいろいろなものが動かせる状況で果たして意味のあることなのかどうかということが、かなり我々の法制の根底のところが問われているのではないかと。じゃあ、それをどう解くのかと言われると、我々がどういうことを考えているのか分からないと古閑さんから言われましたけれども、私どももまだ現時点で解があるわけでは必ずしもないので、ぜひ皆さんから色々お考え、あるいはアイデア等も伺いながら、我々も走りながら考えていきたい。

ただ、福田先生からあったように、大きいことを考えていくと同時に、今日の中間業者なんかはそういうところもあるのですけれども、足下でとにかく困っている、あるいははっきりしないから困っている、あるいははっきりしないがゆえに、法令の規制はひょっとするとないのだけれど、あるいは逆に、ないがゆえに法令根拠があるかどうかわからないけれど、提携しようとしている相手金融機関からはかなりいろいろな注文を受けると。それはその背後にいる監督当局の行いが悪いから、民間の方も心配されている面もあるかもしれませんけれど、やっぱりそれはどこまで銀行は何をすることが求められ、それと提携する人は何をすることが求められるということはある程度はっきりしないと、現実に提携というのはいろいろな疑心暗鬼の中で動かないというのが現実。これは足下の問題なので、スピーディーに解決していかなければいけない問題も同時にはらんでいる。意見交換をしながら進めていきたいと思っております。

【岩原座長】

ありがとうございました。

ほかに何かございますか。

特にございませんか。今、池田局長からお話がございましたように、今日は基本的な問題点というか、本ワーキング・グループで検討する問題意識をご議論いただいたわけで、資料の13ページ以下は今後、いろいろ皆さんに具体的に検討していっていただくということかと思います。13ページ以下は細かく議論すると、いろいろな問題があって、今すぐここで細かい議論をする必要はなくて、大きい問題意識だけ皆さんに今日はご意見をいただければそれで十分かと思いますが、何かほかにございますでしょうか。

ございませんか。ないようでしたら、少し早いようですが、討議を終わらせていただきたいと思います。本日のご討議にございましたように、昨年の審議会報告書では、決済業務に係る法制の整備等の課題について、さらに継続的な検討を行っていくべきであるとされており、当面、ワーキング・グループにおいては本テーマについてご審議をいただきたいと考えております。

また、今後、フィンテックのさらなる進展に対して法制面での検討の必要性が新たに生じた場合には、これらについても機動的に検討を行っていく必要があると考えられ、そういった場合には当ワーキングにおいて機動的に審議を行っていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

また、以前の金融グループ及び決済高度化のワーキング・グループにおいて出ましたいろいろな問題についても、さらに検討の過程で討議をする必要が出ましたら討議していただきたいと考えております。

よろしゅうございましょうか。

それでは、最後に事務局のほうから連絡事項等がございましたらお願いしたいと思います。

【井上信用制度参事官】

ありがとうございました。

次回のワーキング・グループにつきましては、夏休み明けをめどに開催したいと考えております。具体的な日程につきましては、皆様方のご予定を踏まえまして調整させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

【岩原座長】

それでは以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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