金融審議会第一部会(第32回)会合議事録

日時: 平成12年12月7日(木) 10時00分~12時20分

場所: 中央合同庁舎第四号館四階 共用第一特別会議室

○ 蝋山部会長

それでは、ただいまから第32回金融審議会第一部会を開催いたします。

まだ委員の方でお二人お見えになっていないんですが、お二人は大体遅れて来る確率が高いので、始めて構わないかと思います。

この第一部会は、9月以降、ワーキング・グループに議論を精力的にお願いいたしまして審議をしてきました。本日はこうしたワーキング・グループの議論の成果を踏まえて、年内に部会報告を取りまとめたいと考えております。3回予定しておりますので、お忙しいでしょうが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

お手元に議事次第が配付されております。初めにワーキング・グループからの報告、続きまして主な規制緩和報告についてということであります。

11月8日の部会で皆様から御意見をいろいろ頂戴しましたが、それを受けましてワーキング・グループにおきまして、保険を含めた主要株主の問題や規制緩和の問題について改めて議論をしていただきました。その検討結果及びそれに係わる資料を、皆様のお手元に配付してございます。この検討結果が部会の報告のベースになるものと私は考えております。

そこで、まず、この検討結果につきまして、今日は神田座長が海外出張で来られませんので、岩原委員から御報告をお願いし、皆様からの自由な御意見を頂戴したいというふうに思います。そして、その後、規制緩和3カ年計画再改定で「金融審議会において検討」とされました問題につきまして、少し時間を割いて事務局から説明を受ける、そして議論をするというふうに予定しております。

それでは、岩原さんからワーキング・グループにおける議論につきまして総括的な御報告、説明をいただき、続いて資料、検討状況及びWG報告というものにつきまして事務局から、少々時間を頂戴いたしまして説明を頂戴するというふうにさせていただきたく思います。

岩原さん、よろしくお願いいたします。

○ 岩原委員

ただいま部会長から御説明のございましたような事情でございますので、神田座長にかわりまして、部会から委託を受けましたワーキング・グループの検討状況について簡単に御報告させていただきたいと思います。

ワーキング・グループは、10月初めから、大体毎週1回のぺースで、9回にわたりまして、第一部会から委託されました、異業種参入に伴う銀行法、あるいは保険業法等の整備、他業禁止の緩和等について審議をしてまいりました。

そのうち、最初の2回は、当第一部会と合同で開催しましたことは御案内のとおりでございます。

その検討状況、結論を取りまとめました論点整理につきましては、この後、事務局より御紹介いただければと思います。私の方から申し上げると重複するだけでございますので、事務局からの御説明に基本的には委ねたいと思います。

ワーキング・グループにおきましては大変熱心な御討議がなされまして、多くの論点について具体的な方向性を打ち出すことができたように存じております。当第一部会では、それらを踏まえて御審議いただければと存ずる次第であります。

ただ、必ずしも十分な論議が尽くされたとは言い切れず、第一部会における今後の御議論に期待せざるを得ない論点も若干あることを、お断りしておきたいと思います。例えば、論点整理では、主要株主一般に対するチェックのあり方については、ほぼ方向観を出せたように考えておりますが、本ワーキング・グループのそもそもの検討課題でございました、事業会社が主要株主になる場合に、主要株主の資格の判断について特別の配慮が必要か否かという点については、なお議論の余地があるように思われます。

これに関連しまして、主要株主に事業会社がなれる、あるいは事業会社が支配株主になるということが、本報告がとっておりますバンキングとコマースの分離を維持する。そして、引き続き、銀行、保険会社の他業禁止原則や事業会社の株式保有の制限を維持するという本報告の立場との整合性といった問題、あるいは銀行持株会社の業務規制や株式保有制限をしている現行法との一貫性をどのように考えるのかといった問題については、なお議論の余地があり得るということで、神田座長も、第一部会での議論になお検討を委ねたいということを最終回で申し上げたところでございます。

また、中間報告の段階で当部会でいろいろ御議論のございました個人信用情報保護の観点から、異業種が銀行の主要株主になることの問題についてどのように考えるかという問題につきましても、まだ必ずしも十分に議論が尽くされたというわけではないように私は理解しております。

これらの詳細につきましては、この後、事務局から御説明をお願いしたいと考えている次第でございます。

大変簡単ではございますが、以上で報告とさせていただきます。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの総括的な岩原さんからのお話の内容も含めて事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○ 迫田信用機構室長

お手元に何種類か資料がございますけれども、32-1というふうに書いてあります縦紙、それから32-2という横紙、それから32-3という一枚紙、この3種類で最初に御説明をいたしたいと思います。

32-1の縦紙は、ワーキング・グループの検討結果について、11月の部会での議論も踏まえて神田座長が取りまとめられたものでございます。32-2は、各テーマにつきましてワーキング・グループにおいて論点を整理したもの、32-3というものは、ワーキング・グループの報告をマトリックス化してイメージしたものでございまして、ワーキング・グループの報告と一体をなすものというふうな性格づけであろうと思いますが、まず32-2、綴じてある横紙と、32-3の一枚紙というものをお手元に出していただきまして順次御説明をいたしたいと存じます。

まず、綴じてある横紙の2ページでございますけれども、「主要株主に関するルール整備について」というふうなことでございます。

主要株主の定義というところから始まっておりますけれども、「定義についての考え方」というところで見ていただきますと、まず最初の○で、「主要株主」とは、銀行の株式を一定割合保有し、銀行経営に影響を及ぼし得る者を言うというふうなところから始まっておりまして、2番目の○にございますように、その定義としては、諸外国の例にもあるとおり、持株比率に応じた段階を設け、段階的な規制とすべきであり、20%以上、一定の条件に該当すれば15%以上の保有に対しては、保有しようとする者の申請に基づく認可、20%未満5%超は保有者からの届け出といった持株比率に応じた段階的なアプローチとすることが適当である、というのがスタートラインでございます。

持株比率ということで言いますと、20、それから5というところに着目をするということで、一応のコンセンサスということだろうと思います。

20%以上の株主については、企業会計の実質影響力基準に該当する株主であるということ、それから、5%超の株主についても、日本の銀行の株主構造を前提とすると、相当な影響力がある場合が考えられるというのが考え方の背景であります。

また、岩原先生からもお話がありましたけれども、50%超の株主に対する規制については、現行の銀行持株会社に対する規制と整合的なものとすべきであるというふうなお話。

そして、最後に、主要株主の範囲を考えるに際しては、実質的な影響力も勘案することが重要であるというふうな御指摘もございました。

その具体的な対象範囲でございますけれども、20%以上の主要株主としての規制は、子会社等と合算したグループ単位での株式保有を対象とすべきである。グループという考え方を持ち込むということでございます。

それから、法人だけでなく、個人。それから、諸外国の例にもあるとおり、海外の株主も対象とすべきであるという御指摘もございました。

また、主要株主が投資ファンドのような場合についても対象とすべきである。この場合においては、参入時における適切なチェックや、立入検査等の実効性の確保について適切な対応が必要であるという御指摘でございました。

1枚おめくりいただきますと、2番、主要株主に対するチェックということでございます。主要株主に対するチェックを行う基準ということでございますが、諸外国の例、例えばイギリスのフィット・アンド・プロパー原則といったものも参考にしつつ、反社会性、あるいは公序良俗といった観点、さらには主要株主の財務面、あるいは経営方針といったものを中心にチェックすることが妥当である。また、その際に、株式取得に係る財源についてもチェックをする必要があるという御指摘。それから、主要株主だけでなく、銀行の経営者自身がその地位につくことについて適格であるかどうかを判断することが必要である。

また、執行役員についても、商法上の位置づけがなされたときには、同様の取扱いとすべきであるというふうな御指摘でございました。

また、いずれにせよ、主要株主や経営者に対するチェックに当たっては、判断基準の明確性にも留意すべきであるという御指摘がございました。

備考欄には、バーゼル・コア・プリンシプルの原則の3、4を掲げさせていただいております。

それから、3番の、主要株主に対する報告徴求、立入検査のところでございますが、ここのあたりは、11月8日よりも少し踏み込んだ話になってございますが、主要株主となった者については、その財務面の健全性等が基準に合致しているか等を継続的にモニタリングするといった観点から、報告徴求権限を規定することについての異論はなかった。報告徴求の内容、頻度等については、その必要性、あるいは株主の銀行への影響度の違い等を勘案した運用が望まれるというふうな御指摘がつけ加わっている訳でございます。

また、立入検査権限については、報告徴求権と一体的なものであり、子銀行等の経営悪化時等における最後の手段として当局が持っているべきであるが、主要株主に対し相当にインパクトが大きく、経営に影響を及ぼすおそれもあることから、特に必要な場合に限り立入検査を実施し得ることとすべきである。なお、監督当局としては、モニタリングや対話等といった監督上の手法と検査手法の適切な組合せにより、子銀行等の健全性を確保することが望まれる。

権限としてはあっていいけれども、その運用なり執行なりということについては相当の留意が要るというような御指摘であったように思っております。

検査権限があっても実効ある検査ができる体制の整備も必要であることに留意すべきであるという御指摘もございました。

4ページ目でございますが、主要株主が不適格と認定された場合の排除のあり方ということでございます。

主要株主が不適格と認定された場合には、認可の取消しや、独禁法にあるような株式処分、議決権の停止命令等が考えられる。また、より緩やかな対応として、主要株主の行為等が子銀行等の健全性確保の観点から問題がある場合には、その不適切な行為等の是正を求め得ることが望ましい。ここは大きく変わっているわけではございません。

5番が、主要株主との取引等に関する規制等ということでございます。20%以上の主要株主に対する融資については、審査態度、方法が他の融資に比べ甘くなるような点が問題であると考えられる。こうしたことから、主要株主に対する取引については、特定関係者との間の銀行に不利益な取引を禁ずるアームズ・レングス・ルールの対象にすべきである、というあたりは一歩踏み込んだ形になっております。

それから、20%以上の主要株主に対する信用供与等については、機関銀行化の弊害防止等の観点から、適正な量的規制を設けるべきである。このあたりも少し踏み込んだ言い方になっております。なお、子銀行等自身が自主的にリスクを管理し当局もこれをチェックすることを検討することが望ましいという御指摘もございました。

それから、人的関係ということでございますが、役員の兼職規制については、現在、銀行に対して課されている規制、つまり銀行の常務に従事する取締役は原則として他の会社の常務に従事してはならないということでございますが、これを引き続き維持すべきである。一方、主要株主の業務範囲については、規制しないことが適当であるということ。

それから、いわゆる独立性の話でございますが、子銀行等の事業親会社等からの独立性の確保や、事業親会社等の事業リスクの遮断については、独立性にもいろいろな視点があって、一律の規制を設ける等形式的に割り切れる問題ではない。例えば子銀行等の適切な業務運営に危害を与えることを避ける意味での独立性は守る必要があるが、シナジー効果が発揮され、かつ弊害がないような形でお互いの営業基盤を共有すること等については、特に規制する必要がないと考えられるということでございます。

それから、銀行経営悪化時の主要株主等の責任でございますけれども、ここもいろいろ御議論をいただいたところでございますが、諸外国においては、銀行経営悪化時において、持株会社等に支援を求める規定があり、我が国においてもこうした株主有限責任の原則の例外を設ける考え方をとることも理論上は可能であると考えられる。右の備考欄でございますが、例えばイギリスでは、15%以上の株主に対してコンフォート・レターというものの提出を求めているという実態がございます。

それから、銀行・保険会社にはセーフティネットがあることから、預金者、契約者全体に負担がかかり、さらには公的資金が使われる可能性があるため、主要株主等にも支援を求めることも理論上は可能であると考えられる。

それから、異業種の銀行保有が禁止されている米国では、持株会社と銀行が実質的に一体のものとして、銀行経営悪化時において、持株会社等に支援を求める規定がある。いわゆるsource of strength等でございますが、こうした規定を我が国に設けることについては、異業種の銀行保有が我が国では可能であること等を勘案し、異業種の参入障壁とならないよう、慎重に検討をすべきである。

ただ、50%超を保有する主要株主に対しては、コンフォート・レターや銀行持株会社に対する改善計画の提出の求め等のように、銀行経営の健全性確保のための措置を求めるなどの何らかの手当てを行うことが考えられる。また、20%以上の主要株主についても、これに準ずる手当てが可能か否かを検討すべきであるが、この場合においても、異業種の参入障壁とならないような配慮が必要である。

要するに、考え方として諸外国でもとっていること、あるいはセーフティネットの存在というふうなことから、株主に対してそれなりのものを求めるという考え方はできるのではないか。ただ、アメリカとは少し法制が違うので、アメリカ的なsource of strengthということについては参入障壁という問題があるのではないか。

ただ、50%超ということになりますと、ここは、銀行持株会社に対して現行の規定もあるわけですから、何らかのものはできるのではなかろうか。ただ、20%以上の主要株主ということになると、ここでパラレルに考えていいかどうか、特に参入障壁という点はどうかというふうな御議論が出ていたと承知をいたしております。

それから、7の退出ルールでございますけれども、主要株主の退出ルールについては、万が一、銀行業を廃業する場合においても、預金者保護、銀行の健全性確保等に配慮する必要がある。現在でも銀行の廃業については認可ということになっております。

それから、主要株主が株式の売却等により退出する場合については、銀行経営悪化時の責任が回避され、また、更なる銀行経営の悪化を招くことのないよう、主要株主としての参入時や退出時等における何らかの手当てが必要である。

最後、全般に関わる事項といたしまして、事前規制と事後規制との関係については、それぞれの実効性等を勘案しつつ、その規制のあり方について、個々の規制の間の相互関連性に留意して、全体としてバランスのとれた体系を構築すべきである。

諸外国の例にならい、無認可等の株式取得、虚偽報告、検査妨害等に対しては罰則を置くことが適当である。

ここまでが銀行に関してのひとくくりの話でございまして、一枚紙の32-3で、もう一回なぞっていただきますと、これは主要株主に関するルールのイメージということで、マトリックス化したものでございますけれども、左側に項目といたしまして、今、順次読み上げました項目とほぼ同じ順番で、各項目が並んでいるわけでございますけれども、右側に順次、現行の銀行持株会社に対しての規制、それから主要株主ということで、一つは50%を超えるというくくり、それから、20%から50%というくくり、それから、5%超で20%までというくくりという、三つの欄を右側にそれぞれつけてマトリックスを作ってみたものでございます。

例えば行政手続という観点で言いますと、20%以上というところでは認可、5%超から20%までということであれば届け出というふうなことからスタートしていいのではないかということでございます。

順次この流れで縦に追いかけていただきますと、次の、報告徴求、立入検査ということについては、これは5%超というところまで求めていいのではないか、権限としてあっていいのではないかというふうな、ワーキングでの御指摘でございまして、いわばいろいろな条件というふうなもの、あるいは、運用の仕方というふうなものについての留意すべきことというのがいろいろあるのではないかという御指摘は、本文の方で申し上げたとおりでございます。

それから、不適格な主要株主の排除というところで言いますと、ある種、これは法制技術論みたいなことでございますが、認可の対象にするのであれば、認可の取消しということで、株式の売却義務が発生をするのではないか。ただ、もう少し緩やかなやり方というふうなものがあるのではないかという御指摘もございましたので、そこはどういうふうな工夫ができるかというところが、50%超であれば、ほぼ銀行持株会社とパラレルに考えていいのではないかと思われますが、20から50というところはどうか、そこは、やや法制上の検討が必要ではないかというふうに思われます。

また、単体で5%超という欄でいきますと、認可ではございませんので、認可を取り消すことで売却というふうなことには即ならないものですから、どういうふうな形で株式売却なり議決権の停止命令というものがかけられるのか、あるいは不適切な行為等の是正の求めということができるのか、両方併せて法制上の検討が必要ということではなかろうかというふうに思われます。

それから、取引等に関する規制の欄でございますけれども、本文の方で申し上げましたとおり、20%以上ということであれば、ここはアームズ・レングス・ルールの対象になり、かつ大口信用供与規制について言えば、適正な量的規制を行うということでいいのではないかという御議論でございました。

銀行経営悪化時の株主等の責任でございますけれども、これも本文で申し上げたとおり、50%超ということであれば、持株会社とパラレルに考えることができるのではないか。ただ、20から50というところについては、そこはどうなのかというところは、法制上の検討が必要ではないか。

それから、本体、子会社の業務範囲規制等につきましては、持株会社以外は規制がないというふうなことでいいのではないかという、こういう一枚紙が、ただいま申し上げました横紙の、いわば一つのビジュアルにしたものということで、併せてワーキング・グループでも御議論になったものでございます。

それから、横紙の上で、「グループ(又は単体)で」と書いてございますとおり、グループということで20%を超えるということであれば、それが認可対象になるという考え方でいいのではないかというところも、特段、御異論はなかったものと承知をいたしております。

それで、綴じた横紙の方に戻りますけれども、6ページでございますけれども、保険会社についての検討というところがございます。ここは11月8日の部会以後にかなりの時間をとって検討をした結果が集約をされているものでございますが、銀行と保険会社では、取り扱う金融商品の商品性や決済システムへの関与の度合いにおいて違いはあるが、主要株主に対する規制のあり方に関しては、基本的には同様のものとすることが適当である。

銀行と保険会社については、その規制体系や、海外における主要株主規制を見ても基本的には同様であり、こうした点からも、それぞれの主要株主に対しては、基本的には同様の規制とすることが適当である。

右側に、IAISのコア・プリンシプルの原則の2と3を掲げさせていただいております。

保険会社には相互会社があるが、相互会社の社員や総代については、議決権が一人一個である等の点において株式会社の株主とは異なっており、これらの者に対して主要株主規制と同様の規制を設けることはなじまないと考えられる。しかし、保険株式会社には上記の通り主要株主規制は必要と考えられる。なお、総代に関し、適格性原則を義務づけることが適当かどうかについて、検討する必要がある。また、相互会社の取締役等についても、銀行等の取締役等に係る取扱いと同様の取扱いとすべきである。

相互会社への基金拠出者や劣後債、劣後ローンの出し手については、法令上株主や社員とは異なり保険会社を支配する権能はないが、事実上影響力を行使することがあり得ると考えられる。一般的に実質的な影響力を勘案することは重要であり、したがって、影響力を有する者に対する監督のあり方については、銀行等や保険株式会社を含めて検討する必要があると考えられる、ということでございます。

以上が、主要株主に関するルールに関しての記述でございます。

おめくりいただきますと、7ページから、銀行業における新たなビジネスモデルと規制緩和についてという項目でございます。

最初の項目は、利用者利便の向上、銀行経営の効率化の観点から検討すべき論点ということでございます。

現在は、ノンバンクCD等については、これらが銀行の営業所ではないことから預金の引出しが認められていないが、無人営業所、インターネットバンキングの一般化等、デリバリー・チャネルが多様化している中で、利用者利便の向上等の観点から、安全性確保等に留意しつつ、預金の引出しを認めることが望ましい。機密の保護や安全性の確保のため、こうしたCD等の設置、管理主体についても、銀行と同様に適切な業務の遂行を確保できるようにすべきである。必要な範囲でCD等の設置、管理主体に対する報告徴求、検査の権限を設けるべきとの指摘もあった。一般事業者が設置する多機能端末における預金の引出しについても、安全性確保や情報保護の必要性を踏まえて考えていくべきである。

それから、買い物の際、デビット・カードによりスーパーのレジ等で現金を受け取るサービス、キャッシュ・アウトについては、利用者利便向上の観点から評価できる。しかしながら、キャッシュ・アウトに関しては、顧客情報保護の観点や、カードの悪用やトラブル等による損害の補償を銀行を初めとする関係者がどのように分担するか等、慎重に検討すべき事項がある。

情報化が進展し、銀行業等においても経営の効率化がより求められる中で、銀行等の営業所の設置、位置の変更、種類の変更または廃止に関する認可性については、ネットワークとしての安全性の確保に留意しつつ、届出制とすることが適当である。

個人代理店主の交代に係る認可制や法人代理店の従たる事務所の規制、代理店の取扱業務の範囲等についても、柔軟な考え方に依るべきである。

後半の二つは制度のお話でございますけれども、柔軟な対応というふうなことが方向観として出されていたと存じます。

2番、顧客保護の観点から検討すべき論点ということでございますが、現在、契約内容の説明等に関し書面の交付を義務づけている規定等について、電子商取引等の促進の観点から、できるだけ電子的手段を利用できるようにすべきである。その際、書面による場合と同じレベルの説明、情報提供やトラブルの際の適切な顧客対応が確保されることとするなど、顧客保護の観点等に十分留意すべきである。

顧客基盤や経営資源の共有等によりシナジー効果を発揮することが異業種が銀行業に参入する上での主たるねらいの一つであり、これは経済的効率性を高めるものとして重要であると考えられる。

異業種との顧客の個人情報の共有に関しては、プライバシー保護等の観点から、適切に対応する必要がある。当面は、運用上の指針に従って、個人情報の保護を図るとともに、個人情報保護基本法制の検討状況等を踏まえ、適切に対応すべきである。

この部分が、先ほど岩原先生のお話にもありましたとおり、少し議論があったところでございますが、非常にいろいろな意見が出ておりますが、若干御紹介をいたしますと、一つは、企業のグループ内の個人情報のやりとりというものをどう考えるのか。それが、異業種が入った場合に何か違いがあるのかという論点、あるいは、個別同意をどうするのかといった論点といったものを軸に議論がワーキングでなされたわけでございます。その場合、グループかどうかというのは実は余り関係はなくて、むしろ同意があるかどうかということが重要なのではないかという御意見がありました。関連会社内、あるいは同一法人内でも当然にオーケーというふうなことではないのではないかという御意見。あるいは、別途の観点からの問題として、守秘義務の問題が非常に重要ではないかというような御意見もあったところでございます。また、個人信用情報というくくりよりも、より広いものを対象とした検討というのも必要ではないかという御指摘もあったところでございます。

それから、いろいろありますのは、一つは、法律ということになりますと、まず基本法がどうなるのかというところの見きわめも必要ではないかという意見、それから、第二部会でもいろいろ御議論をいただいておりますので、その辺の兼ね合いをどうするのかという形で一応の整理をしたというふうな感じになっているところでございます。

本文に戻りますが、金融業者、取扱商品に関する誤認防止のための対応等、顧客保護のあり方に十分に留意すべきであるというふうなこと。

3番といたしまして、新たなビジネスモデルの銀行業──貸出しに重点を置かない業務形態等について検討すべき論点ということでございますが、貸出しに重点を置かない新たなビジネスモデルの銀行等のリスク管理については、主に信用リスクを前提とした現行の自己資本比率規制が必ずしも十分に適合しない場合があるが、この問題については、例えば、金利リスク等それぞれの状況に応じたリスクを銀行が十分に把握し、当局もこれを適切に評価するよう努めていく必要がある。

これからの方向性としては、銀行の内部管理モデル等に基づく自主的なリスク管理を行うこととし、監督当局は、そのリスク管理体制、プロセスを審査するというあり方が望ましいということでございます。

それから、9ページ、4番、銀行及び銀行子会社等の業務範囲について検討すべき論点ということでございます。

マル1といたしまして、銀行及び銀行子会社等の業務範囲についての基本的な考え方ということでございます。

銀行及び銀行子会社等の業務範囲については、利用者ニーズの多様化等を踏まえ、銀行の自主性を尊重する観点から、規制の今日的意義に照らし不断の見直しを行うことが適当である。また、環境変化が急な中、銀行業が新しいタイプの金融サービス業に変貌するのを支援する観点から、収益源の多様化等を図るべきである。

しかし、現状において銀行の業務を全面的に自由化することには疑問があり、他業禁止の趣旨を踏まえて、検討すべき点が多い。銀行やその子会社が行う業務範囲に関しては、一つには監督当局が他業について監督することについての限界等の問題もあり、当面バンキングとコマースの分離の維持を前提とすべきである。

財務力やリスク管理が十分な銀行については、業務範囲の弾力化をより柔軟に図っていくという観点も必要である。その際、財務力の低下等により業務を縮小する際の顧客保護にも留意すべきである。

子銀行の業務範囲に関し、海外の子会社の業務範囲については、国際競争上の観点と銀行グループ全体としての財務の健全性の観点を踏まえて考えていくべきである。

それから、10ページ以降、少し議論が集中した部分でございますが、まず、法律解釈等についてのプロセスの改善というところでございます。

銀行の付随業務については法律に債務保証や両替業務などが例示されているが、例示された業務以外のその他の付随業務に該当するかどうかの基準を、当局が銀行業との関連性等に鑑みつつ示していくことが望ましい。

いわゆるノー・アクション・レターの活用は、技術革新や環境変化が激しい中にあって、銀行の業務範囲についての柔軟かつ迅速な取扱いを可能にし、また行政の透明性を向上させる観点からも前向きに取り組むべきである。

いわゆるノー・アクション・レターの活用については、当初の監督当局の負担も考慮し、法令解釈などについて先例としての価値を有する事項についての処理を優先すべきである。

マル3その他の項目のところで、銀行の付随業務についての考え方、それから、Excess Capacityについての議論といったものがなされておりますので、その辺の書きぶりがかなり変わっておりまして、銀行が本業を営むために必要な経営資源、本業を営む結果生じた経営資源を活用する業務には、本業との機能的な親近性が認められ、リスクについてもコントロール可能な範囲であることが多いと考えられる。付随業務の範囲に関しては、こうした本業との機能的な親近性、リスクの同質性、顧客利便等の観点を考慮することが適当である。

それから、銀行が本来業務を遂行する中で正当に生じた余剰能力、Excess Capacityについて、その活用は一般論としてもっともである、銀行法上新たな類型の他業である、等の議論があったが、もとより銀行は何でもできるわけではなく、他業禁止の趣旨や本来銀行にどのような業務が求められているのかといった観点に留意しつつ、その適切な範囲での活用を認める方向で検討すべきである。大体、こういうコンセンサスであったかと存じます。

銀行業に従属する業務を営む銀行子会社については、いわゆる収入依存度規制が原則90%以上で課されていることや、持株比率100%の子会社に限定されていることがあるが、独占禁止法の規制緩和も踏まえ、柔軟に対応する方向で検討するのが適当である。

一枚おめくりいただきます。最後のページでございますが、銀行子会社には銀行業に従属する業務と金融関連業務の兼営が認められていないが、両者の性格の相違や、銀行持株会社グループにおけるリスク波及度の相違等に留意しつつ、柔軟に対応する方向で検討すべきである。

銀行による事業会社の株式取得等の制限、現行上限5%については、銀行の財務の健全性を担保するとの制度の趣旨及び競争政策上の規制との関係等について留意しつつ、今後のあり方を検討すべき。

最後、5番でございますが、銀行の資金調達の弾力化について検討すべき論点。銀行の資金調達手段としての社債については、普通銀行の長期貸出の増加に対応する長期資金の調達手段の多様化や投資家保護等の観点から、一定の要件を付した上で、発行手続の改善の余地がないか検討することが考えられる。これについては、商法の規定との関係も整理する必要がある。

最後に、欄外でございますけれども、これまで銀行を中心にお話が続いておりましたが、保険についての論点でございまして、顧客保護の観点から検討すべき論点や、銀行及び銀行子会社等の業務範囲について検討すべき論点等における検討結果は、保険会社についてもほぼ同様に妥当するものと考えられる。

各論点ごとのテーマは以上のような感じで整理をされているところでございます。それをコンパクトにしたものが、32-1という縦紙でございまして、11月8日版と同じように、A、B、Cの3部構成になっております。

Aが、全体的な展望、総論というところでございまして、ここは余り大きな変更がございません。

IT革命の進展などの金融取引のインフラの変化を背景として、インターネット専業銀行の出現など、銀行業における新たなビジネス・モデルの構築の動きが加速している。

昨今、各種の事業会社、いわゆる異業種が自らの顧客基盤や店舗ネットワークの活用といったシナジー効果に着目して銀行業に参入する意向を表明している。このような動きは、21世紀に向けた金融の新たな展望の中で、顧客──消費者に優れた金融サービスを提供するとともに金融業の活性化にもつながるものであり、基本的に歓迎すべきことである。

このような銀行の業務形態や金融取引の変化は、決済コストの低下によるeコマースの促進や消費者利益の増加にかなったものである反面、顧客基盤の共有といった点については、個人情報保護の観点からの適切なルール作りが重要な課題である。

異業種の参入に関する論点としては、顧客基盤の共有の問題、顧客情報の流用の問題、営業基盤の共有の問題、機関銀行化、機関保険会社化の問題等が考えられる。

保険業については、顧客──保険契約者との契約期間が長期に及ぶこと、リスクを引き受けるビジネスであることに加え、契約内容が原則として変更されないという性質があることについて、保険業への参入を意図する者は理解することが重要である。この点を念頭において、保険分野についても異業種の参入に関する検討が必要である。

6番、単に異業種ということだけでなく、銀行等の主要株主が不当に影響力を行使するという弊害が問題となり得る。従来、日本ではそのような例が極めて少なく、特に規制する必要がなくて済んでいただけであり、バーゼル銀行監督委員会の実効的な銀行監督のためのコア・プリンシプルや、主要各国の検査、監督面における規制事例に鑑みても、銀行等と主要株主との取引をチェックする仕組みや株主資格そのものをチェックする仕組みが必要である。即ち、銀行と銀行経営に影響を与える株主の関係をどのように整理するかということが必要である。

保険会社についても、保険監督者国際機構の保険コア・プリンシプル等を踏まえつつ、基本的には銀行と同様のチェックの仕組みを検討することが適当である。

7、銀行業が新しいタイプの金融サービス業に変貌しつつある中で、銀行等の業務範囲や店舗等に関する規制については、銀行経営の健全性の確保や顧客利便の向上、預金者保護等の観点を踏まえ、これからの新しい時代に適合したあり方を検討していく必要がある。銀行等の他業禁止項目の見直しなどの規制緩和や銀行グループとしての業務範囲の検討に際しては、銀行業務に専念することによる効率性の発揮、利益相反取引の防止、他業の有するリスク回避などの他業禁止規定の趣旨を踏まえつつ、銀行業の収益源の多様化やワンストップ・サービスの提供による顧客利便の向上、銀行の国際競争力の強化などの観点から今日的な見直しを行うことが適当である。

それから、Bが、いわゆる異業種の銀行業参入に関するルール整備というところでございます。

1、銀行経営の健全性の観点からは、新規に免許を取得して銀行業を開始する場合に止まらず、既存銀行の相当程度の株式を取得して銀行経営に参画しようとする株主──主要株主について、取得時及び取得後を通じた適切な監督、検査が重要な課題である。

2、銀行業における新たなビジネス・モデルに即した規制を講じることが望ましい。また、個々の規制の間の相互関連性に留意して、全体としてバランスのとれた体系を構築すべきである。

3番以降が、少し横紙が変わったことに応じて変化をいたしておりますが、3番、我が国における銀行の株主構造を前提とすると、銀行経営への実質的な影響力行使等の観点から、5%超保有の株主から、主要株主として行政による何らかのチェックの対象とすることが適当である。そして、企業会計の実質影響力基準に該当する株主──20%以上保有。人的な関係や融資等の取引関係等を通じて重要な影響を与えることができる場合は15%以上については、5%超保有の株主よりもチェックの度合いが強くなるという段階的なルールを設定することが適当である。株式取得については、主要株主に課す義務として、5%が届け出、20%または15%が認可といった仕組みが適当である。

4、主要株主の適格性の審査基準としては、諸外国の例、イギリスのフィット・アンド・プロパー原則等も参考にしつつ、反社会性や公序良俗などの観点のほか、主要株主の財務面の健全性──株式取得に係る財源調達も含む、や経営方針等を重視すべきであると考えられる。また、主要株主だけでなく、銀行の経営者等についても同様の観点から適格性のチェックをすることが適当である。

それから、5番が、報告徴求と検査でございますけれども、主要株主に対する報告徴求については、主要株主の財務状況の継続的把握などの観点から、当局に権限を付与することが適当である。また、検査についても、報告の実効性を担保すること等の観点から、報告徴求と一体的なものとして当局に検査権限を付与することが適当である。しかし、検査権限の行使に関しては、子銀行等の経営悪化時など特に必要な場合に限り──特に必要な場合に限りの前に例示をさせていただいておりますが、特に必要な場合に限り立入検査を実施することとするなど、当局の権限の濫用が行われないよう留意することが必要である。また、実効ある検査ができる体制の整備も必要である。

なお、当局は、モニタリングや対話といった監督上の手法と検査手法の適切な組合せに努めることが望まれる。

6、銀行の主要株主からの独立性の確保の点は、独立性の意味するところが様々であり、例えば、銀行とその主要株主が営業基盤を共有することはシナジー効果の発揮の観点からは望ましいものであるが、反面、主要株主の経営悪化が銀行の営業基盤を危うくする可能性もあり、この観点からはリスク遮断に留意する必要があるなど複雑な問題である。

7番、銀行からの主要株主に対する融資などの取引については、現行の大口信用供与規制やアームズ・レングス・ルールなどを基本にしつつ、主要株主が影響力を行使することによる機関銀行化の弊害防止等の観点から、信用供与等について適正な量的規制を設定するなどの追加的な措置につき検討することが適当である。

8番、諸外国においては、銀行経営悪化時に、持株会社や主要株主に何らかの支援を求める措置がとられている。また、銀行、保険会社の破綻はセーフティ・ネットの存在により預金者、契約者全体の負担や、さらには公的な負担に結びつく可能性があるため、株主有限責任の原則の例外として主要株主に支援を求めることも可能であると考えられる。ただし、そのような措置をとる場合においても、異業種の参入に対する障壁とならないよう、留意する必要がある。

9番、諸外国の例も参考にしつつ、法令に違反して主要株主となった場合、虚偽報告、検査妨害等に対しては、罰則を課すことが必要である。

Cが最後のくくりでございますが、銀行業等における新たなビジネス・モデルと規制緩和。

1番、銀行の無人営業所やインターネット・バンキングの普及などデリバリー・チャネルが多様化する中で、利用者利便の向上の観点から、顧客情報保護や安全性確保等に留意しつつ、ノンバンクCD等での預金の引出しを認めることが望ましい。また、銀行の支店、営業所の設置などについても、認可制をより柔軟な規制とすべきである。

2、スーパーなどの小売店のレジ等でカードにより現金を受け取るサービス、キャッシュ・アウトについては、利用者利便の向上の観点から評価できるものの、顧客情報保護の観点やカードの悪用やトラブル等による損害の補償を関係者がどのように分担するか等、慎重に検討すべき事項がある。

3番でございます。金融取引において、書面の交付を義務づけている規定等については、顧客保護に十分留意しつつ、電子的手段をできるだけ活用できるようにすべきである。その際、書面による場合と同等のレベルの説明、情報提供を確保すること等が重要である。なお、個人情報の第三者との共有に関しては、プライバシー保護等の観点から、適切に対応する必要がある。

4、新たなビジネス・モデルの銀行のリスク管理については、現行の自己資本比率規制が適合しない場合があり、金利リスク等それぞれの状況に応じたリスクを考慮することが適当である。

5番、銀行及び銀行子会社等の業務範囲については、利用者ニーズの多様化や他業禁止の趣旨などを勘案しつつ、規制の今日的意義に照らし不断の見直しを行うことが適当である。銀行業が新しい金融サービス業に変貌しつつある中、財務力やリスク管理が十分な銀行については、業務範囲の弾力化を柔軟に図っていくという観点も必要である。また、ワンストップ・サービス促進の観点から横断的な金融サービスのあり方についても今後検討することが望ましい。

6、銀行法等においては付随業務として債務保証などが例示されているが、これ以外の業務が、その他の付随業務に該当するかどうかの基準が現在は示されていない。これを当局が提示し、行政の透明性を向上させるとともに、銀行等が新たな付随業務を開始することを容易にすることが望ましい。その際には、本業との機能的な親近性、リスクの同質性、顧客利便等の観点を考慮することが適当である。また、その過程などにおけるノー・アクション・レターの活用が検討されるべきである。

7、銀行等が本来業務を遂行する中で正当に生じた余剰能力──Excess Capacityについては、他業禁止の趣旨や本来銀行にどのような業務を求められているのかといった観点に留意しつつ、その適切な範囲での活用を認める方向で検討することが適当である。

8番、銀行等の従属子会社について、現在原則90%以上となっている収入依存度規制や親銀行の持株比率100%との限定については、見直しを検討するとともに、従属業務と金融関連業務の兼営等についても、柔軟に対応する方向で見直しを行うことが適当である。

9、銀行の資金調達手段としての社債について、銀行の長期資金の調達手段の多様化や投資家保護等の観点から、一定の要件を付した上で、発行手続の改善の余地がないか、商法との関係なども踏まえつつ、検討することが考えられる。

以上でございます。

○ 蝋山部会長

どうもありがとうございました。

これらにつきまして、おそらくたくさん御意見なり、御質問があろうかと思います。御自由に御発言いただきたく思いますけれども、整理の便宜上、報告でIとIIと分かれておりました。Iが、主要株主に関するルール整備、IIが、銀行業における新たなビジネスモデルと規制緩和、こういうふうに二つに分かれておりましたので、それぞれに分けて御議論をいただければ都合がいいのではないかと思います。

そこで、まずIの主要株主に関するルール整備というテーマにつきまして、御意見なり、御質問をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。

それでは、私の方から。

ちょっと聞き漏らしたのかもしれないのですが、例えば主要株主が、銀行の子会社あるいは銀行に従属する、例えばファイナンス・カンパニーに、資金の融通を自分のところにしろというようなことはどういう形でチェックするわけですか。銀行そのものは貸し出さない、しかし、銀行に従属する子会社が、ファイナンス・カンパニーが資金の提供をする、主要株主に。そういうようなところはどういうふうにチェックするわけですか。どなたか答えてください。

もう少し別なことを言えば、ここでは主要株主というのは、報告の中にも明示されているように、「グループまたは単体」でと定義されている。そうすると、株主の方ではなくて、銀行の活動を考える場合でも、当該銀行じゃなくて、当該銀行の直接影響が来るグループとして考えるというふうになっているんですか。

○ 迫田信用機構室長

そうですね、例えば与信サイドでの銀行グループという発想も当然あるわけですから、与信サイドを銀行単体だけでとらまえずに、子会社であれば銀行グループということでとらえて、それが授信サイドの誰に、どこまで大口で、限界のところまで信用供与をしていいかというふうなところでアプローチをするということですから、現行の銀行法でもおそらく与信サイドの銀行グループという発想はあると、それを前提にいろいろ考えていくということだろうと思います。

○ 蝋山部会長

わかりました。子会社のファイナンス・カンパニーを通じる様々なおかしな融資なんていうのは、これからは随分少なくなってくる、できにくくなってくると考えていいんですか。

○ 迫田信用機構室長

これは、実質の議論をいろいろ考えるようにとワーキング・グループで言われたときと同じようなことに、結局問題は行き着くのだろうと思うのですけれども、表面上の明確な、例えば親子の関係とかというようなことを超えて、何がしかの関係がある場合に、どういうふうなとらまえ方をして制度のループホールができないようにするかというようなことが、いわば実質的な影響力ということをちゃんと考えろという御指摘なんだろうと思うんですね。それと同じようなことで、どこまで我々のチェックの対象としていくかというのは、ある意味では、法律技術論の問題というようなものがくっついてきて、なかなかここまでやれば、これで完璧になるということには一足飛びにいかない可能性がかなりあるんじゃないかと思うんですけれども、いろいろ検討はしていかなくちゃいけないことだろうと思っております。

○ 蝋山部会長

岩原さん、どうぞ。

○ 岩原委員

その問題は、現行法ですと、銀行法13条の2の、特定関係者との間の取引がいわゆるアームズ・レングス・ルールに従ったものでなければならないということで、多分大部分はそれでカバーできるんだろうとは思うんですけれども、ただ、従来の日本の基準は、どちらかというと形式的な基準が強くて、実質的な影響力という範囲が必ずしもカバーされない嫌いがあったことは確かでありまして、その点で、例えばアメリカと比べますと、アメリカはその点が非常に広くなっておりまして、その点で、なお改善の余地があるのではないかということは議論をしまして、その点は留意されていると。今後改善がさらに期待されるというふうに理解しております。

○ 蝋山部会長

福間さん、どうぞ。

○ 福間委員

関連質問ですが、第一部会32-3に、「グループで50%超」あるいは「グループで20%ないし50%」とありますが、ここでいう「グループ」の定義がよくわからない。形式基準で決めるのか、あるいはさきほどから出ている実態的な持分把握方法をグループの定義にも使うということなのか。もう一つ、子銀行が株式公開を行うといった段階に来て、主要株主の実態的な位置関係は変わらないまま、形式的には持分がダイリュートするというような場合にどうするか。実態的な把握といってもなかなか難しく、例えば5%未満であってもファウンダーとして参加しているとか、設立後の経緯で実質的な地位を得るというようなこともあります。とりあえず「グループ」の定義の問題と、子銀行がIPOをやる前後の持分比率の異動の問題について、質問させていただきます。

○ 蝋山部会長

ただいまの点、いかがでしょうか。

どうぞ室長。

○ 迫田信用機構室長

それでは、まずグループの方についてお答えをいたしますけれども、横紙で言いますと、2ページのところに出ているわけでございますけれども、現行の銀行法でもグループという概念はございまして、株式会社という関係で追いかけていきますと、一番狭く言えば親子の関係というものに着目をして範囲を確定するという規定もございます。それから、親法人、子法人といって、50、40という、そこで限界を画している規定もございます。最も広く言って、いわゆる関連会社、20が原則になっておりますが、そこまでで外縁を画するというようなことが、現行の銀行法でもあるわけでございまして、会社という関係でグループというものを追いかけていけば、マックスで関連会社というふうなところまでの範囲というものでグループを形成するというふうなことで考えるということだろうと思っております。

○ 福間委員

ということは、20%と、ないし15%ということですか。

○ 迫田信用機構室長

はい。というのが、今の銀行法ということでございまして。

○ 福間委員

それをここで準用されると。

○ 迫田信用機構室長

ここで、グループというのは、会社同士の関係で言えば、それをイメージしているわけでございます。

○ 福間委員

なるほど。わかりました。

○ 蝋山部会長

どうぞ、能見委員。

○ 能見委員

あるいは、ちょっと違った話なのかもしれませんけれども、ここで主要株主というのが問題となるのは、銀行に対して株式を一定割合以上持っているために、いろいろ影響力を行使し得るという面と、それから、利害関係が大きいという面と、両方あると思うんですが、利害関係が大きいという面で着目したときに、例えば株式は、そんなにたくさん持っていないけれども、社債をたくさん持っているとか、そういう形で利害関係はかなり大きいという場合があり得るのではないかと思うんですが、そういうのはどういうふうに考えるべきものなのでしょうか。

○ 迫田信用機構室長

同じような論点は、実は保険のところで出ているわけでございまして、この横紙で言いますと、6ページ、9番、保険会社についての検討というところでございます。そこで一番下の○にありますとおり、ここでは、相互会社への基金拠出者や劣後債、劣後ローンの出し手というふうな書き方になっておりますけれども、おっしゃるように、株主といったものとは違うけれども、何か影響があり得るというふうな記述になっております。そこは、結局、この後に書いてありますように、一般的に実質的な影響力ということをどう勘案するかということなんだろうと思いますけれども、ここは、先ほど来出ているような話で、非常に難しい面が、正直申し上げてあると思います。株主という話で言いますと、かなり明確な感じで、何%以上であればとかというアプローチは可能かと思いますけれども、実質的な影響力というような部分を、法令上の制度に仕組む場合には、あいまいな形というのが過度にいきますと、当然それはあり得ないということになりましょうから、ある意味では課題として残されているというふうなことで、我々は受けとめているわけでございます。

○ 蝋山部会長

石橋さん、どうぞ。

○ 石橋オブザーバー

保険の方のお話で、関連しまして、そこについてあえて補足をさせていただければと思うんですが、今御説明いただきましたように、基金の拠出者につきましては、法的に株主と違って、立法の仕方とか規定の仕方がなかなか難しいとは思うんですが、直近の生保の例を見ましても、何らかの手当てが必要だということは私ども痛感をしておりますものですから、実質的影響力を持ち得ると認められるようなケースについては、何らかの手当てをぜひ御検討いただきたいと私の方からもお願いをしておきたいと思っております。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

しかし、こういう問題は、いわゆる事前的予防行政の問題と、事後的監視行政の問題と、どういうふうにうまくバランスをとって考えるんですか。大変、今までの迫田さんからのお話を伺うと、行政の判断に委ねられる部分が多分にあるように思いますね。そういう経験の中から、ある種、ルールとして明文化されるなり、慣行が定着するのかもしれませんけれども、ともかく行政に委ねられる部分が大変に多い。そのルールが成熟し定着するプロセスでは、いろいろな非難があって、非難する側の錦の御旗は、恐らく、大原則に反するじゃないか、事前的予防行政じゃないかと、こう言われたらどういうふうに答えますか。

○ 迫田信用機構室長

例えば実質影響力というような話をワーキング・グループで議論したときに、法律にする以上、予測可能性とか透明性とかというようなことは、当然求められるだろうということだろうと思います。それがどこまで、ある意味では法技術論も含めて追求をできるのかということになる。そこは、検討の課題というように申し上げたのは、法律に落とし込むときに、どこまで具体的に書けるのかと。それはもう、とことん努力をして、できるだけ明確なものという努力はしなくてはいけないだろうという趣旨で、とりあえず申し上げたのでございます。

○ 蝋山部会長

どうぞ。

○ 乾総務企画部長

今、両委員からお話しありました問題意識につきまして、今、迫田室長から申し上げましたように、6ページの一番下のところで、主要株主でなくても実質的な影響力を持ち得るということの問題意識を我々持っているわけでございます。繰り返しになりますけれども、ただ、そのことを、いわば法の中に取り入れて規制の対象──規制の対象になりますと、先ほどから御説明し、あるいはこれから議論が出てくるのかもしれませんけれども、報告とか検査ということがまた出てくるわけでございますけれども、そういう規制の対象になりますと、これは当局が公権力を行使してでも預金者の保護等のためにやらなければならないということになってくるわけでありますけれども、そういう対象となる場合に、よほど明確な基準でないと難しいだろうなという気がありまして、我々は、問題意識を持っているわけでありますけれども、そこのところをここに書いたということでございます。

そうした議論の中で、以前にも申し上げたことがあるかと思いますけれども、今回の提言の御議論をいただいております中で、横紙の3ページの中で、いわゆるフィット・アンド・プロパーのことを日本でもやったらどうかということが書いていただいているわけでありますけれども、とりわけ、3ページの上から三つ目の○で、経営者自身についても、適格であるかどうかということの問題意識を持っているわけでございます。

先ほどから御議論のあるような、実質的な影響力を持つものがある場合に、そのことを制度構築だけに負荷をかけてということになりますと、いろいろな問題点がやっぱり出てきて、慎重に検討をしなければならないのかなと思っておりまして、そうしたことを、いわば補完する意味でも、経営者自身がしっかりと自分の銀行のことだけを考えて行動するということは必要ではないかと。すなわち主要株主からのプレッシャーはもちろんのこと、社債権者、あるいは基金の拠出者からもお金を出してもらっている。しかしながら、それらの方々から不当な要求があったときに、それをはねつけるような、きちんとした判断ができるような人が経営者たるべきだということの考え方が、この中に我々期待をしているわけでございまして、そうした制度面と、それから経営者のこうした資質の面と、両方相まって適正な運用になっていければいいなと考えているところでございます。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

柳川さん、どうぞ。

○ 柳川委員

今の流れの議論に関係する話なんですけれども、一つは、事前規制の部分ですね。主要株主のチェックのところで、どこまで厳しくといいますか、どこまでチェックを、規制をやろうとするのかということだと思うんですね。後で御議論があると思いますけれども、後半に事後規制の部分が出てくるわけですね。そちらとのバランスが結局問題になるんだと思うんです。主要株主を、さっきの実質的なところで見るといったときに、ここで全てのリスクなり問題点を全部実質的なところで見ようとすると、やっぱり相当なところまで踏み込んでやらなければいけなくなるわけですね。そこのところを、実際問題として、例えば事後的なところで、最終的に、例えば退出するときに株主に負担が生じるというようなことになれば、そこの部分の、事後的な規制の部分でもってコントロールできる部分もあるわけでして、結局、主要株主に対するチェックという事前規制の部分で、どこまでをやろうとするのかというところの見きわめが、実際法律を作るときには重要になってくるだろうと思います。

それから、もう一つは、さっきの実質的な影響力というお話で債権の話とかが出てきましたけれども、細かい話ですけれども、影響力があったとしても、結局は利害が相反したり対立したりするようなことが生じる可能性がある実質的な影響力がある場合に問題になってくるわけでして、実質的な影響力があったとしても、利害対立がどのくらい生じるかどうかという部分も本質的には重要になってきて、そこの部分がどのくらい大きいかという判断も実質上は大事になってくると思います。

○ 蝋山部会長

ほかにどうぞ。原さん。

○ 原委員

でも、何か御回答なんでしょう。

○ 岩原委員

今の点でちょっと補足をさせていただきたいと思います。

○ 蝋山部会長

失礼。

○ 岩原委員

実質影響力基準の判断が難しいというのは、確かにそうでございますけれども、これはもう現行法でも、実質影響力基準というのは入っているわけでありまして、現に金融庁ではその御判断をされているわけですね。例えば、さっき私が申し上げました、特定関係者との間のアームズ・レングス・ルールの適用については、13条の2に基づきまして、銀行法施行令の4条の2の3項で関連法人等の定義をしておりますが、そこではまさに、財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる他の法人等がこれに当たるというふうに既に規定されているわけでありまして、現に既にやっていることでありますので、確かに難しいところはありますけれども、やれないことはないし、実際見てみますと、大体わかると思います。このような規定が入る前から既に監督当局では、いわゆる関連法人というのを通達ベースで規制しておりましたけれども、これも、実際に見れば大体判断がつくものであります。むろん一般論として言えば判断が難しいところがございますけれども、ただ、それはやれないことではないというふうに思っておりますので。確かに課題としては胸に置いておく必要がありますけれども、そんなに困難な問題ではないというふうに認識しております。

それから、柳川委員が御指摘になった点に関して言えば、おっしゃるとおりでございまして、実際影響力があるからという判断と、弊害が生じているかという判断は、恐らく、ほとんど表裏であろうと思いまして。まず、ここでワーキング・グループが提案している5%から着目していくというのは、別に、5%超の株式を持っていれば自動的に重要な影響力があって、そして問題が生じていると見るわけではなくて、まず、それだけの株式の所要があれば、実質的な利益相反行為等が起きている可能性があるので、その事実をまず届け出てもらって、その事実を調べて、もし、重要な影響力を行使して弊害が生じているようであれば、何らかの手段を考えていく、そのための手段にするということだろうと思いますので、まさに柳川委員の御指摘のような趣旨は、このワーキング・グループの報告の考え方の中に入っているのではないかと思っております。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

では、原さん。

○ 原委員

事後の話になって、そして、すごく単純で素朴な質問なんですけれども、経営が悪化したときの主要株主の責任の部分なんですけれども、こちらの32-2の資料では、4ページから5ページにかけて、いろいろなことが理論上考えられるという表現がしてあって、そして32-3、一枚紙の方で見ますと、それでも基本的には子会社の健全性確保のための措置の命令権ありという形で書かれていて、ただ、5%のところで、5%の場合は、超える場合というところはなしというふうに書かれているんですね。すごく単純に考えると、すごく大きい株主、20%とか50%とか持つのもあるかもしれませんが、例えば5%が20社そろうというようなこともあり得るように思って、そういう場合は、悪化時の株主等の責任というのはどんなふうになっていくんだろうと思うんですが、そのあたりの──全体を通して5%で分けるときの疑問として、5%で20になったときにどうするんだろうという、全体にかかわってのずっと疑問ではあったわけですけれども、特にここについてはどのようにお考えになったのか、聞かせていただきたいと思います。

それから、もう一つ、退出時のルールも何らかの手当てが必要と掛かれているんですが、それも具体的にはどういったことを御検討なさったのかお聞きしたいと思います。

○ 蝋山部会長

二つ質問がありましたけれども、室長よろしくお願いします。

○ 迫田信用機構室長

最初の御質問ですけれども、ひとつ、5%が20社というときに、20社の間に、例えば、さっき申し上げたグループというような関係がもしあったとした場合には、単体に見ると5%であっても、親会社が5%持ち、子会社が5%持ちといって、それで追いかけて、足して20を超えたりすれば、この表で言えば左側に入っていくというような頭で、まず我々は考えていたというのが一つございます。

それから、一方、主要株主に何らかの行為を子銀行に対してさせるというようなことになると、50%を超えるような主要株主であれば、主要株主が銀行に対して何かするということは、株主総会の世界で言えば、ある意味では単体でも容易にできるわけですね。それが、50%を下回っていくと、その者に対して何かやろうとしても、株主総会を通じて何か意思決定ができるかというと、それだけではなかなか難しかろうという意味で、ある意味では、50超と、それを下回るという部分では、少し考え方が違うのではないかというような部分も実はあるというあたりが一つあって、そういう感じで、マトリックスでとりあえずイメージを整理をすると、こういうふうなことになるのではないかという話が、ワーキング・グループの中での一つの議論の過程であったわけであります。

○ 原委員

でも、組み立てるときはそういう議論でもいいと思うんですけれども、責任をだれがとるとかというときには分散しちゃうんじゃないかなという気になるというか。一応、どういったところが参入してくるかというときに、やはりある程度グループ化をして入ってくるんだろうということは、全体の流れとしてはそうだろうとは思うので、現場としては問題はないのかもしれませんけれども、やっぱり、そこも言及しておく必要があるのではないかと思います。

○ 迫田信用機構室長

株を持っているその会社が経営が悪くなったときに、株主としてマイナスを生じるということは当然あるんだろうと思います。それを超えて、何がしか、会社の経営を立て直すために、何らか負荷をするというふうな、その対象として、どういう者が対象となり得るのかというふうなことでアプローチをしているということだろうと思いますけれども。

○ 蝋山部会長

どうぞ、岩原さん。

○ 岩原委員

まだそういう細かい定義まで詰め切った議論をしているわけではないわけですけれども、一つの考え方としては、さっきの実質的な支配、実質的な影響力があるものについては、そういった責任を一定限度で考えていくということになれば、原さんがおっしゃったような場合も、もし万が一、そういうような形で、本当に実質的な支配力を及ぼしているような場合であれば、一定限度の責任を考えるというような立法は考え得るだろうと思っておりまして。まさに、先ほど保険についても、そういう実質の議論はございましたけれども、それは今後の実際上の立法をしていくときに、どういう規定の仕方をするかという問題だろうと思っておりますが。

○ 蝋山部会長

退出時のルールという点についてはどんなことを議論したかという御質問もあったんですが。どうぞ。

○ 迫田信用機構室長

議論のスタートは、最初、ワーキングでは、参入時の規制みたいなところをどういうふうにチェックするかというふうな話で、むしろ議論が始まっていたわけですけれども、参入した後、退出ということも当然あるではないかと。その際にどういうように考えていったらいいのかということで、議論が途中から出てきたような感じだろうと思います。それで、この横表で言いますと、5ページにありますとおり、7番の退出ルールというふうなことになりまして、制度的に申し上げますと、右側の備考欄にありますように、例えば銀行の廃業ということでは、今は認可ということになっている。それから、銀行持株会社が持株会社でなくなる場合には届出という制度が一応あるということなんですけれども、そういうことで言えば、例えば最初の○にありますように、銀行を廃業に事実上なるという場合には、認可というふうな制度が今でもあるわけですから、そうすると、当然何らかの配慮というふうなものがあるという制度に、もう既になっているわけですから、そこは、そのときに考えるべき話としては、預金者保護であったり銀行の健全性確保であったりということになるのであろうというのが、最初の○に書いてあることでございます。

そうではなくて、株式の売却というような場合には、銀行としては、なお存在し続ける。銀行の経営が悪化する前に、何か、逃げてしまうということだってあり得るのではないかという問題意識が、2番目の○として書かれていることだろうと思います。そうすると、さらに銀行経営が悪くなってしまう、主要株主がいなくなって。そうすることになると、やはり、預金者についても影響が出るのではないかということになるとすれば、例えば参入するときに、認可対象ということであれば、当然行政と、認可が出るまでいろいろ対話が行われるわけですから、そのときに、銀行経営というものについてどういう考え方で参画をしていくのかということの、ある種のチェックということもできるのではないか。例えばそういうようなイメージで議論がなされたと思っております。

○ 蝋山部会長

では、高橋さんからどうぞ。

○ 高橋オブザーバー

やや技術的な御質問なんです。先ほど、3ページの2の主要株主に対するチェックというところで、乾部長から、経営者自身の適性が大事なんだというお話がございました。全くそのとおりだと思います。

それで、議論を混乱させて恐縮ですが、経営者という考え方が、やっぱり実質的な経営者といいますか、実質的に影響力を及ぼすという、先ほど出ていた議論が、この場合も考える必要があるんじゃないかなというふうに思います。

もう一つ、縦紙の方のお取りまとめの資料ですと、そのことが3ページの4に書いてありまして、下から2行目に、銀行の経営者等についても同様の視点と書いてある。私はこちらを読ませていただいたときには、この「等」というのは、経営者ということだけではなくて、実質的に経営に影響を及ぼすという観点でお書きになったのかなというふうに思います。そういう意味で、横長の3ページに経営者と書いて、その後に執行役員のことが書いていただいてあるわけですが、ここはもう少し実質的な影響力を経営に及ぼすという概念が含まれているのかどうかという点をお聞きしたいということと、それから、それと関連いたしまして、4ページに4というところがありまして、主要株主が不適格と認定された場合の排除のあり方と書いてあります。ここのところは主要株主のことだけ書いてあるんですね。今の、経営者あるいは経営に実質的影響を及ぼす役職員というのが入っていない。これは何かお考えがあって、そういうふうにされたのかということをお聞きしたいと思います。ほかの規定でできるというような御判断であれば、それを教えていただきたい。

もう一つ、縦長の方の、先ほど見ていただきました4のところには、排除の規定は書いてないんですが、どっちが正式な報告だか、よくわかりませんので、横長の方には書いていただいてある、この排除の規定というのも、やはり大事なことであろうかと思いますので、こちらにもそれを書いておいていただいた方がいいのではないかということでございます。

○ 蝋山部会長

いずれもまだ正式な報告書ではありませんから。最後に我々が報告書を作るのが正式になるわけで、実質的な経営者の概念というのは頭の中にあるんですねという確認と、それから、排除の問題をどうするかという点、室長お答えになりますか。

○ 迫田信用機構室長

紙に即して申し上げますと、銀行の経営者という部分のときに、私どもはいわゆる取締役というのをイメージをして書いておりました。銀行法の中では取締役というものを名あて人として幾つかの規定があると承知をいたしております。それに加えて、執行役員というものが、まさに世の中ではかなり出てきている。それが法律上どういうふうな位置付けになるのかというあたりというのは、商法での御議論というのが恐らく先行するんだろうと思いますけれども、そこで一定の位置付けというものができれば、その辺も含めて考えていくと、銀行法の世界でも。そういう考え方で、ここは書いていたということでございます。

それから、経営者の排除の方は、実は余り議論自体としては出ていなくて、そういう意味では、ここの検討結果の中には具体的には盛り込まれていないということだろうと思います。今の銀行法でも、27条でしたでしょうか、一定の場合には解任命令があることは承知をいたしておりますけれども、ワーキングの議論としては、余りそこは議論にはなっていないということだろうと思います。

○ 乾総務企画部長

今の後半の迫田室長の補足をしますと、主要株主と、それから取締役とは法体系が決定的に違うわけでありまして、主要株主は銀行の外ですから、何らかの根拠規定を置かないと規制ができないということであります。それに対しまして取締役は銀行の中の人なものですから、銀行法で言えば、行為が不適切であれば、先ほどのフィット・アンド・プロパーのような根拠が置かれれば、なおさらなんですけれども、どういうことをやっているんですかということでもって、24条の報告を求めることができたり、検査対象になったりとか、あるいは26条、27条のいろいろな処分というものもありますし、究極には、今、迫田室長が言いましたような取締役の解任命令もあるわけでございまして、取締役につきましては現行の体系の中で対応が可能かなということで考えて書き分けてあるということだろうと思います。

○ 高橋オブザーバー

その点はそういうことかなと思います。ただ、役員と執行役員ということだけでいいのかですね。アメリカ等は、もう少し──あるいはアメリカでなく、ほかの国でも比較的、実質的に判断できるような規定が入っているんです。また、これは蝋山先生に叱られるかもしれませんし、予防的云々という話になるかもしれないけれども、ここも形式的な経営者、あるいは執行役員ということだけではなくて、実質的な影響力を及ぼす者が、今の乾部長の説明のように、外の人だけではなく、中の人でも判断できるような余地があった方がいいのではないかと思います。これは質問ではなくて意見でございます。

○ 蝋山部会長

島上さん、どうぞ。

○ 島上オブザーバー

5%以上の出資者が主要株主ということになりまして、こういう、いろいろな意味での規制といいましょうか、ルールに入ってくるという点から、5%、10%、あるいは、要するに20%以下ですけれども、マイノリティ・インタレストとして参画していくという企業にとっての負担感ということから、ちょっと申し上げたいと思いますが、そういうマイノリティ・インタレストとして、出資者として入った場合にも、主要株主による報告徴求、立入検査という対象になってまいります。したがいまして、この報告徴求、立入検査は何を目的とするものかというのを、やはりもう少し明確にする必要があるんじゃないか。例えば、フィット・アンド・プロパーということでのフォローアップなのか、あるいは子会社の子の銀行の経営悪化時の責任能力を見るためにやるのか、あるいは、機関銀行化を防止する、あるいは、銀行の健全性をチェックするためにやるのか。そういう目的をもう少しきちんと明記する必要があると思いますし、また、報告徴求であるとか、立入検査ということも、その目的に合ったことでやるというあたりをきちんとしていく方がいいだろうと。非常に広い範囲内で報告徴求、立入検査ということになると、そういうマイノリティ出資者にとって非常に負担感があるというのが私の意見でございます。

○ 蝋山部会長

今の件はお答えいただかなくていいでしょう。今の御質問に、必ずそういう観点で、きちんとした、ファイナルな報告書案を御覧いただいて、もしもおかしな点があれば御修正を頂戴したいというふうに思います。

石橋さん、まだありますか。

○ 石橋オブザーバー

恐れ入ります。一言で。

これも保険の立場なんですが、1のルール整備、そして2の規制緩和という大項目ともに、資料の32-1の1ページの5番、ここで生命保険の特性としての長期性という言葉を入れていただいているということ、それに併せ、資料32-2の、先ほどから議論が出ております6ページと11ページで、銀行と同様の取扱いということを保険にも入れていただいていることについて、私の方から改めて謝意を申し上げたいということと、私の気持ちとしては、銀行と同様の配慮をしていただくとともに、それに加えて、生保の場合の長期性ということが加わるという意味合いをもって、ここのところの議論に加わらせていただいておりましたものですから、長期性という言葉を1のところで入れていただいたと。これはずっと確保をしていただきたいという思いを込めて、一言述べさせていただきました。

○ 蝋山部会長

それでは、Iのところに集中しましたけれども、IIのビジネスモデルと規制緩和についても御質問なり御意見があれば頂戴したいというふうに思います。いかがでしょうか。

原さん、お願いします。

○ 原委員

論点は二つということで、一つが株主の話で、もう一つが、個人信用情報の話ということで、個人信用情報について、質問というよりか意見という形になるんですけれども、述べさせていただきたいと思います。

御説明の中でも、いろいろな議論が出ましたということで、ただ、必ずしも主要株主に比べると、こういうふうにしましょうという確信的な方向性が出ているわけではないというお話だったんですが、全体的に気になる点で三つなんですが、一つは、お話の前提としては、個人信用情報保護の基本法が制定をされるということで、年明けの通常国会に出ると。それで、どういうふうな法律ができるかということを待つということがあると思うんですね。個人信用情報の保護については第二部会の検討にもなっていたので、第二部会がどういう結論を出すかというのも待たれていたと思うんですが、第二部会の結論の出し方というのは、新聞紙上で拝見する限りでは、どう言ったらいいんでしょうか、結論は流れたというふうな、私は受けとめ方をしているんですが、結論を出さないという形ですね。だから、基本法を待つということになっているかと思うんですけれども。ただ、それだと、年が明けて、恐らく夏以降というふうな形になってくるのではないかと。非常に遅いスタートになるのではないかということが気になっておりまして、ぜひ、この異業種の中でも、何らかの規定というんでしょうか、書き込みを私はやっていただきたいと思っております。

特に気になりますのは、基本法ができて、中に事業者の責務の規定がかなり強く入っているんですが、ただ、規制はすごく強いんですけれども、適用除外が大変多くて、正当な事業を妨げるものであってはならないとか、利益もある程度確保できなければならないというようなことが書かれていて、そうなると、結構、保険の業界からは、そこの適用除外へ私どもが入るとか入れてほしいというような御発言もあったりして、すごく強い義務規定ですけれども、適用除外が多い基本法だということを念頭に置いておいていただきたいと思います。

それから、二つ目なんですけれども、ワーキング・グループでポイントになったのは、やはり本人の確認、同意を求めるということと、それから、流用をしない、されないということでしょうというお話があって、そのとおりなんですが、本人の同意を求めるということも結構難しくて、基本法の原則五つ並んでいるんですが、その一つに、情報の最新性というのが求められているんですね。そうすると、最新のデータで本人の同意を求めるということは、かなりこれは難しい場面というところもありまして、言葉としては、確かに本人の同意というのはあっても、実態を伴っていくというのはかなり面倒くさい作業であるということですね。それから、流用しないというのも確かにそのとおりなんですが、こういった形で異業種が参入をしてくることだとか、子会社形式であるとか、いろいろあると思うんですが、グループというんでしょうか、その中でどこまでを流用とは認めない、ここから出ると流用と認めるというところの、範囲分けというんでしょうか、グループ分けも相当いろいろな議論をしておりますので、それも、本当にその1社の中の一つのセクションということであれば流用ということにはならないんですけれども、私どもはこれは流用とは思っておりませんよと言っても、外部から見ると流用になっている場面があるというようなことで、ここの整理も必要だと思います。

それから、3点目なんですが、非常に気になっていますのが、12月11日にテラネットという株式会社がスタートをしまして、このテラネットという株式会社なんですが、全国信用情報連合会ですか、全情連のところ、参加33団体あるんですけれども、サラ金、消費者金融の部分の個人情報──これはブラック情報という、例えば返せない情報みたいなものは、ある程度流して、貸し過ぎということを防ごうというのをやっていらっしゃるんですが、それだけではなくて、銀行の残高になるようなホワイト情報というものも情報として売買をしようと。たしか1件につき120円だと思いますけれども、情報商品としての売買を考えていて、それを銀行経営のローン、そういった会社に情報を流そうという形の株式会社が本格的に12月11日からスタートをいたします。そういうように、どんどん既成事実の方が先に進んでいて、私としては、最終的には、ここは金融審議会としての意見というのでしょうか、報告という形になると思うので、もう一歩踏み込んだ形での、時間が足りないのかもしれませんけれども、書きぶりはぜひしておいていただきたいというふうに思っております。意見ということで。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。ただいまの件は大変重要な件ですが、もう時間が余りないので、これもやはり我々として、今の原さんの意見を十分そしゃくした上で、前もって御相談してもよろしいですが、案文の中に取り入れる形で、この金融審議会第一部会としてのスタンスを明確にするのが一番得策ではないかというふうに思います。

○ 有吉企画課長

新聞のお話というのが出まして、マスコミに対する私どもの説明がやや不十分だったかもしれませんが、結論が流れて云々という先送り的なものではなくて、そこは問題意識を皆さん持っておられて、ただ、まさに基本法制という、しかも、おっしゃいましたように大変、中身としては結構幅広い、広範なものが出来そうである。ただ、細部というところが適用除外まで含めて今しばらく決まらないというところで、その基本法制の上に立つものなので、順序としてそういう形にせざるを得ないだろうという趣旨でありまして、全く空白になっているとか何とかという話ではないと思うという、その1点だけ。

○ 蝋山部会長

ありがとうございます。ほかにございませんか。

高橋さん。

○ 高橋オブザーバー

一番最後の11ページの5のところに、銀行の資金調達ということで、普通社債のコメントがございます。発行の弾力化といいますか、改善の余地がないかという御検討、これは、そういう御検討はされることは、もちろんそれでいいんですが、当然、銀行側の発行が便利になるということと同様、あるいはそれ以上に投資家保護ということ、もちろんお考えがあって書かれていると思いますが、投資家保護の規定という部分が重要だと思います。したがいまして、商法のみならず、証券取引法のディスクロージャーの規定等も含めて、投資家保護という観点が十分考慮されるようにお願いをしたいと思います。

○ 蝋山部会長

どうぞ。

○ 奥オブザーバー

これは要請でございますけれども、本日の報告におきまして銀行及び銀行子会社の業務範囲について御説明いただきました。ここで記述していらっしゃいますように、規制の今日的意義に照らして不断の見直しを行うことが適当というふうに書き入れていただいておりまして、銀行としては大変意を強くして、また、高く評価したいということでございます。

つきましては、御当局におかれまして、今後、いわゆる利用者利便の向上という観点、それから銀行の収益源の多様化、ひいては、国際的な競争力の強化という観点を踏まえまして、ぜひとも、ここに書いてありますような形での付随業務の判断基準の明確化と、それから、Excess Capacity活用の規制上の具体的な位置づけ、こういったものについての手当てを、可及的速やかにお願いしたいということ、それから、9月28日にも申し上げましたが、もう少し大きな、やや重い問題としての業界横断的な規制というものについての考え方、横断的な金融サービス規制のあり方というテーマに関しましても、来年1月から再開されると思われます金融審議会のテーマとしてぜひとも取り上げていただきたいということをお願いしたいということでございます。以上です。

○ 蝋山部会長

ほかにございませんか。

どうぞ。

○ 窪野大蔵省参事官

支店が届け出制になる場合に、一つ、預金者保護の観点から懸念のある分野がございまして、それは外国銀行支店でございます。預金保険法改正検討の際にも、現在の監督体制を前提にすると、外国銀行支店は預金保険の対象としにくいという状況でございましたが、仮に、外国銀行支店まで届け出制に移行しますと、本国で経営が悪化した銀行が日本で積極的に店舗展開をしまして、居住者から預金を集めて、それを本国に送金した挙げ句に破綻してしまったとすると、預金保険も対象でありませんし、国際的な破産法制で、日本で預金した人がどう手続へ入っていくのかという問題があります。この際外銀支店についてどういう監督体制にするのか、破産法制をどうするのか、預金保険の適用をどうするのかについて検討する必要があると思います。さらに言えば、アメリカの銀行の場合には、アメリカ国内の預金のみが優先権を持っているものですから、日本での預金は劣後で、真っ先に切り捨てられるものであります。このような外国銀行支店の預金は預金保険の対象でないとか、あるいは、アメリカの銀行の場合には一番先に切り捨てられる劣後性のものであることを預金者にも知らせていく必要があると思います。

ぜひ御検討いただきたいと思います。

○ 蝋山部会長

御注文として。

ほかにございませんか。

I、主要株主の問題、それから、II、新しいビジネスモデルと規制緩和。行政がどうしても中心になるというふうに思うんですが、やはり行政だけでは対処できない、いわば行政と当事者以外のところからのチェックがうまく効く、そういう環境をどうしても作っていかなければいけないだろうと思うんですが、今のような話を伺っても、やっぱりそういう感じを痛感するわけですね。そういうような観点は、今回の金融審議会のこの議論では余りできませんでしたけれども、新しい業種が、新しい銀行が、あるいは保険会社が、金融サービス業が登場したときにうまくいくためにも、やはりもう少し行政頼みでないメカニズムでどうしたらいいだろうか、そういうところを少し議論しておく必要があったのかなと思いますが、これは来年に回るのかな。

田中さん、何か言いたい。どうぞ。

○ 田中委員

蝋山先生のお話に力を得て、そのポイントで申し上げたいんですが、金融機関に従事している人の話と株主の話、まさに民間においてどういうプラクティスを積み重ねるかという話なんですが、例えば取締役について言えば、自己の能力を示さなければいけないということと、それから、自分をどうやって守るのかというテーマがあると思うんですが、例えば主要株主との関係で言えば、主要株主といったって、株主が全てではないわけですから、部分ですから、そこからもし異常な力が働くということになれば、自分を守るために幾つかのプラクティスを積み重ねられるわけですね。例えば融資委員会というものを作って、そこでちゃんと記録をとると。異常な圧力が入ることに対して抑制力を示すとともに、自分もやっぱり保護するという形でいけば、融資委員会というものは、実質上動かせるようといいますか、それが機能するようになるわけですね。今日のお話の中で、民間サイドからあたかも、ちょっと間違っているかもしれませんが、私の理解によれば、予防規制に近いことを実は期待しているんだというニュアンスが聞こえたんですが、私はこれはもう自分たちを守るために、プラクティスに磨きをかけるというのは物すごい重要な話であって、これはリーガルな枠組みではないので、これは蝋山先生に本を書いてもらうということで周知徹底させるべきだというふうに思います。

それから、株主の話なんですけれども、株主も、ここで見られるように、破綻に瀕した、あるいは実質上破綻した金融機関の株主になっているとえらいことになるわけですから、株主は金融機関の経営に対して当然厳しい視線で臨むわけですよね。最近の事例で言うと、オランダの銀行のABNRというのが、アメリカから、投資銀行業務から撤収するというんですが、見ると黒字なんですよね。かなり利益も出している。しかし、彼らの言っている議論は、リスクを排除した後の利益率で言うと、全然満足できないと。こんなことをやっているとやがて大きな赤字を作るようになるからというので、売り払って帰ってきちゃうわけですね。ですから、もちろん買い手があるといいますか、黒字を出しているんですから、新規に参入した人は買うでしょう。だから株主も、ここで出されている枠組みは私はこれでいいと思いますけれども、実際にはそんな株主有限責任ではないこともあるよなんていうふうに言われる。事実そういうこともあるんでしょう。そういうケースもあると思うんですが、とてもじゃないけど、そんなのはやっていられませんから、当然その前に経営に対して極めて厳しい視線を浴びせるということだと思うんですね。ですから、ビッグバン以降の金融を議論するときに、我々は、ビッグバン以前の経営的配慮とか、あるいはその時代に作り上げられていったプラクティスで、あまりこれからあるべき金融システムなり法的な枠組みを議論すべきではない。そこに引っ張られる過ぎるのはやはり問題だと。事前規制でなくて、事後でという話は、まさにそういう流れの中ですから、問題は、これはプラクティスの問題だと思いますけれども、株主サイドにおいても、それから、株主から経営を委託された経営者サイドにおいても、本来、もう相当積み重ねはあると思いますけれども、とかくこういう枠組みを作る議論になると、その話が吹っ飛んじゃうケースがあるので、もう少し、先生が言われたような実務の世界における問題の積み重ねの重要さというのは指摘すべきではないかと思います。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

まだまだ御意見はあろうかと思います。しかし、ワーキング・グループから頂戴したこの報告は、この第一部会での報告の基本になるところでありまして、何か伺いますと、毎週1回、延べ9回お集まりになったということで、私どもとして大変ありがたく思うわけであります。いろいろ多方面にわたる検討の成果を盛り込んでいただきました御報告、本当に感謝したいというふうに思います。

そして、今日の議論も踏まえまして、事務局とともに、これを取りまとめまして、次回の12日には「金融審議会総会への第一部会としての報告(案)」を作りたいというふうに思います。そしてその案につきましていろいろ御注文を頂戴いたしまして、今のような、田中さんの強調されるような基本的なスタンスが出ていないとか、個人情報についてもっと考えるべきである、きちっと指摘しておくとか、いろいろ御注文があろうかと思います。12日、それから15日と、2日間にわたりまして案を作りまして、21日の総会に提出したいというふうに考えております。

実は、予定されていたのは、高橋さんがさっきから言いたくてしようがない証券会社について、日本の伝統的な金融業の銀行、保険については触れられているが、証券については触れられていない。証券についてやっぱりちょっと触れてほしいと。余りにも行政依存型ではないかと思う──思わない節もありますが、高橋さんから、予定された時間は10分というふうになっているんですが、とても10分は差し上げられません。3分でお願いしたいというふうに思います。

○ 高橋オブザーバー

ありがとうございます。

今、蝋山先生におっしゃっていただいたとおり、証券業につきましても、不適性株主の排除、あるいは不適性経営者等の排除という規定が同様に必要であるということをお願いしたいと思います。

去年の暮れから今年にかけて、南証券事件というのがございました。6月に古い証券会社を、ある大株主が買収をいたしまして、自ら社長になって経営をした。先ほどの分類で言いますと、はるかに50%を超えている株主になって経営をした、こういう会社でございます。新聞等で報道されておりまして、詳しいことは申し上げませんが、実態のない会社の社債を不適法に発行して、多くの投資家に負担をかけた。あるいは顧客の資産を社長自らが持ち逃げをしていなくなってしまったというようなこと。あるいは分別保管の義務が守られなかった等々でありまして、この顧客に対する被害というのは非常に大きかったし、証券市場への信頼というものも大きく揺るがした事件でございます。

この人が、去年の6月に株主になり、経営者になったわけでありますけれども、実は、これは監督当局も御承知、私どもも知っておりました事件がこの人をめぐって、それ以前にあったわけでございます。その事件は、同じように、投信と称して大量の資金を集めた事件でございますけれども、その後詐欺事件になっております。

今、振り返ってみますと、大株主が変わった時、あるいは経営者が変わった時にチェックができれば、その実態については、少なくともこのケースは誰でもが知っていたと、こういうことでございます。法律上、それができたかというと、確かにいろいろな制約の中で難しかったかと思いますけれども、そういう問題でございます。先ほどの御議論のございました主要株主、あるいは経営者等の不適性なものを排除する、チェックするといったものを、ぜひ条件にも入れていただきたいということを申し上げたいと思います。

なお、事務局の方から配っていただきました資料の一番最後のところに、証券会社の参入要件及び主要株主に対する規制ということで、主要各国比較というのがございます。私どもが作らせていただきまして、事務局にお願いして配っていただいたものでございます。もう3分過ぎてしまいましたので、これについては御報告いたしませんけれども、イギリス、フランス、ドイツという、認可制、許可制になっている、免許制になっているところはもとより、登録制でありますアメリカにつきましても、その点に関する規定があるということを御覧いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。以上でございます。

○ 蝋山部会長

どうも大変時間をせかして申し訳ありませんでした。ごもっともなところも多分にあるというふうに思いますし、先ほど触れたように、法律に基づく行政以外の面でも、ああいう南証券事件のようなものがチェックできないか、そういうことも本当は考えなければいけない点ではないかというふうに思います。証券取引法という法律は、銀行法なり保険業法なりと大分違う面もありますけれども、今、御提示された資料等も十分に踏まえて、どこまで報告書の中で言及できるか、事務局の方で十分検討いただいて、案を次回には御提示させていただきたいというふうに思います。

残された時間、あと15分弱しかないんですけれども、規制緩和につきまして議論を進めさせていただきます。「規制緩和推進3か年計画(再改定)で「金融審議会において検討」とされている事項」、こういうのがあるものですから、中身は私はちょっとというふうに思いますけれども、審議会のことかなというふうにも思いますが、ともかく、こう言われたからにはやらなくちゃいけないのが霞が関の慣習でありますので、迫田さん、よろしくお願いします。

○ 迫田信用機構室長

おしかりをいただきながら御指名をいただきましたので。資料の右肩に32-4と付してあるものでございます。タイトルは部会長からおっしゃったとおりでございますけれども、これは一度、11月8日にお示しをいたしました、銀行への信託業務の全面的解禁、銀行の店舗に係る認可制度、銀行の法人代理店に係る店舗規制、信用金庫の従たる事務所の定款への記載、生命保険の構成員契約規制。1枚おめくりいただきますと、これは11月8日にはありませんでしたが、銀行等による保険商品の販売とその範囲拡大というふうなものがございます。

最初に戻りまして、銀行への信託業務の全面的解禁ということでございますけれども、普通銀行等による信託業務への参入というのは、平成5年4月から段階的な規制の緩和ということが行われているわけでございますけれども、都銀、長信銀等の本体での信託業務の兼営というのは認められていないというのが実情でございまして、それによりまして、この紙にありますとおり、普通銀行及び長期信用銀行本体での信託業務の全面的兼営について金融審議会等において検討を行い、結論を得るというふうな閣議決定がなされているということでございます。これを受けまして、私どもの方で各方面と検討、調整を今進めているところでございますけれども、まだきちっとした形で御報告をするというふうな段階には至っていないというのが現状でございます。この信託のお話については特に伺うべきことがあればお伺いをいたしたいと思いますけれども、次に行ってよろしいでしょうか。

○ 蝋山部会長

一応先へ進みましょうよ。

○ 迫田信用機構室長

それでは、次の、銀行の店舗、それから代理店、それから、同じような関連でございますが、従たる事務所の定款への記載というあたりにつきましては、先ほどの横紙の中で若干触れさせていただいているかと思いますが、基本的に店舗の認可制度というようなことにつきましては、柔軟な対応を図るというふうな方向で検討をするということで、御報告を最前させていただいたところでございます。この1ページ目の一番下に、生命保険の構成員契約規制というのがございまして、行革委員会の意見を最大限尊重し、金融審議会において構成員契約規制の在り方についての検討を行うというものでございます。

これについては何か御意見あればと思いますが。

○ 蝋山部会長

これは具体的にはどういう内容なんですか。

○ 池田保険企画室長

これは、企業が生命保険会社と募集の代理店契約を締結しまして生命保険商品の募集を行う場合に、その代理店と資本関係がある会社、執行を行っている会社と、あるいはそこと密接な関係を有している企業の役員、従業員に対しては保険募集を原則として禁止をしていると。企業が生命保険会社の募集代理店となったときに、従業員に対して雇用関係に基づいて圧力募集等が生じるおそれがあるということから、それを防止するという趣旨で、自分のところの役員、従業員、あるいは自分と関連する企業の従業員、役員には、募集を原則として禁止していると、そういう規制でありまして、構成員契約規制ということでございます。

○ 川原オブザーバー

一言よろしいでしょうか。

○ 蝋山部会長

どうぞ。

○ 川原オブザーバー

この件につきましては、損保業界としては、撤廃頂くことが長年の希望でございまして、ぜひこの方向で御検討いただきたいということを申し上げておきます。

○ 蝋山部会長

生命保険もどうぞ。

○ 石橋オブザーバー

時間がないところで恐縮ですが、そう言われますと、生損保の方の分裂という印象がございますが、今、池田室長御説明いただいたような形で、当該会社のところが代理店になりますと、その代理店の契約を結んだ保険会社の保険を売りたいというのは当然のことになってまいりますので、その結果、ほかの保険会社の商品が従業員さんのところに行き渡らなくなる。実際には販売ができなくなるという趣旨でございまして、個々のお客様の選択肢を狭めるということで、やっぱり難しい問題であるということを御理解いただきたいと、一言だけ申し上げます。

○ 蝋山部会長

金融審議会で検討するにふさわしいテーマだということになるのかもしれませんけれども、現在の段階ではその辺のところはどうなっているわけですか。いろいろ事務局のレベルでは、ある種の落としどころというのを考えておられるんですか。どうですか。

○ 池田保険企画室長

まさに金融審議会での御議論を踏まえてということではありますけれども、論点としましては、まさに圧力販売といったもののおそれという趣旨でありますが、そこをどういうふうに考えるか。あるいは、こういう形でルールを作っているということについて、他の形での規制するようなルールが可能なのかといったようなことが、従来議論のポイントだったと思いますが、この問題自体は、ここの規制改革委員会ではこの規制を特に取り上げるようになっていますが、実際のところは、多少、もうちょっと広く、保険の募集というもの、全般のあり方のような枠組みの中でどう考えるかということもあろうかと思いますので、この規制だけを取り上げて深めた議論をしていくのはなかなか難しいという面を感じておるんですけれども、物事の本質としては、そういう、広く募集一般というものの中でどう考えるかという性格も持っているものなのかなというふうに考えているところでございます。

なお、事務局として御報告なんですけれども、この問題について事務局を通じまして金融審議会委員各位ということで、全国生命保険労働組合連合会の方から意見が出されておりまして、この場をお借りして簡単にポイントだけ御紹介をしておきたいと思いますが。

このルールが緩和、撤廃された場合には、企業、代理店が手数料の獲得を目的として従業員に対し職制等を通じた圧力販売を行い、従業員が商品選択の自由を奪われることが大いに懸念される。実際このような消費者保護上問題があると考えられる事例が多数報告されている。日本の雇用慣行に鑑みれば職制等を通じた圧力販売という消費者保護上の問題は顕在化しにくく、これを解決するに際して事後的な規制は極めて機能しづらいものと考えられるということで、したがって、構成員契約ルールについては、生命保険商品の有する商品特性を勘案し、消費者保護のためのルールとして引き続き堅持していくべきであるという御意見が寄せられておりますので、御紹介をしておきます。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。原さん、消費者の観点から短く、今の点について一言言えばどうなるわけですか。

○ 原委員

この構成員の話は、規制緩和の話が出てきた当初からだから、もう5年ぐらいやっている議論ですね。それで、私どものところにも、今、御発言があったとおり、生保さん、損保さんそれぞれが御説明に見えられて、大変、どういうふうに解決を図ったらいいのかというのは、本当に苦慮しておりますけれども、やはり、今御説明があったように、保険商品の販売というのをどうしていくのかというところの基本線なんだろうと思います。まだ御説明に入っていませんけれども、銀行の窓販で保険商品を取り扱うかどうかというところの議論もまた出ておりますけれども、どういうことが圧力販売になるのか、対面で保険商品を買うとき、それがどういう勧誘の仕方だとかというのは、いろいろなやり方、疑問点というのは、今の保険商品の販売には感じている部分が多々ありますので、それの全体的な整理の中から私は結論が見えてくるように思っております。

○ 蝋山部会長

それでは、今、原さんから触れられました、最後の2ページ目の新たに触れられた点について御説明を簡単にお願いいたします。銀行等による保険商品の販売とその範囲拡大という点です。

○ 池田保険企画室長

この右側に書いてあることに関連いたしますが、銀行による保険商品の窓口販売につきましては、この5月に保険業法の改正が行われておりまして、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合に限ってという規定になっておりますが、銀行等による保険商品の窓口販売が来年4月から実施をされるという法改正が既に行われておりますが、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合というものの具体的内容については、内閣府令で定めるということとされておりまして、今後の規定にかかっているということでございます。

それで、この問題につきましては、平成9年のときに保険審議会、ここの前身でもありますが、保険審議会で報告が出されておりまして、2001年を目途に窓口販売を始めるということで、具体的内容についてはその報告では、一つは、銀行が、子会社、あるいは兄弟会社である保険会社の商品を販売する場合に限定をすると。それから、2番目に、具体的商品については、住宅ローン関連の長期火災保険及び信用生命保険について販売を認めるという二本立ての内容の報告が出ておるところでございます。これに対しまして規制緩和3カ年計画では、2ページ目の右にございますように、住宅ローン関連の長期火災保険及び信用生命保険以外の保険商品について販売対象とするか否かということ。それから、先ほども申しました子会社または兄弟会社である保険会社の商品に限定をしているということについて、この限定をどう考えるかということについて検討を行って12年度中に結論を得るという内容になっておるところでございます。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。ただいまの御説明からもおわかりのとおり、保険の販売という問題については大変長い歴史のある難しい問題だというふうに言えば、それで金融審議会で審議したということになるのかと怒られますから、やはりもう少し前向きにとらえなければいけないと思うわけですが、これは、しかし、思い起こしてみれば、金融審議会のこれまでで、ことし法律を作っていただきました金融商品販売法の一連の流れの中で理解されるべき議論、問題だったというふうに思いますね。これは金融商品販売法では元本のリスクということはちゃんと説明しなさいよというふうになりました。基本的に言えば、商品の内容をよく知ってもらって、フェアな競争で商品を販売するというのが金融商品の原則だと。普通の商品と同じだと思うんですね。そういう点で、独占禁止法なり、独占競争政策の限界があるとすれば、そうした現実があると思いますが、保険に限らず、金融商品をフェアな環境の中で、市場競争の中で利用者に買っていただくという、フェアな競争の場というものをどういうふうにきちんと整備するかということ、そこがなしに、いろいろ水争いで、どっちへいくかに軍配を上げても、私はうまくいかないんじゃないだろうかというふうに思うわけです。フェアな競争というのは、もちろん、おかしなことがあったときの救済措置というものも含むフェアな競争の場をつくる、こういうような問題をぜひ新しい金融審議会では、いわゆる日本版金融サービス法の一環として取り上げていただくということで、当面、行政改革委員会や規制緩和推進3カ年計画については、どこかでこういうことを必ずやるから、ちょっと待っていてほしいとか、あるいはここまでしかやれませんでしたとかということになるんじゃないかというふうに、私個人は思いますが、それでは済まないですかね。どうぞ、上柳さん。助けてください。

○ 上柳委員

蝋山先生の言われたのに大賛成なんですけれども、独占禁止法の考え方でも、なるべく自由にということですけれども、例えば先ほどの論点から言えば、優越的な地位を濫用してはいけないと、こういうふうにあるわけですね。これも最近破綻した生命保険会社では、被害相談を受けている限りでは、例えば地方公務員というか、学校の先生方が多くて、これは正当な競争でやられたんだとは思いますけれども、やはり働いているところから勧められると、何となくそれに入っちゃうということで、必ずしも保険商品を比較して選ばれたのかどうか疑問に思うようなところもあったりして、そういう意味で、銀行の窓口の販売でも、金融商品販売法なり、あるいは民法が予定している説明義務が本当にきっちり果たされるような販売であるのかとか、それから、もう一つ気になりますのは、大体、生命保険に入るときなんか健康診断をするのが多いような気がするんですけれども、例えばそういう情報が銀行の融資部門に簡単に流れるということでは、ちょっと困るかなとか思ったり、そういう意味で説明義務、情報提供、それから個人情報の問題、それから独禁法の政策の問題、あるいは、保険の場合は特に長期商品ですので、当座の手数料と、それから保険財産の方にどれだけ確保していくのかとか、そういう資源の配分の問題とかいろいろあると思いますので、やっぱり金融商品全体のいろいろなことが整備されないと、なかなか、私が生保さんにみずからするわけにもいかないし、損保さんにするわけにもいかないし、そういうことではなく、蝋山先生がおっしゃるような大きな枠組みが本当に必要だというふうなことは痛感します。

○ 蝋山部会長

しかし、課長、それではいけないのでしょう。どうぞ、何か。

奥さん、どうぞ。

○ 奥オブザーバー

生損保さんの真ん中に座っておりまして、今度は銀行の主張をさせていただきます。既に9月28日に、私どもの要望をお話しさせていただいております。改めて申し上げることもないのですが、大きな枠組みも大事とはいえ、やはり、保険審報告が出された平成9年から既に3年たっているということと、私どもも投信というリスク商品を販売してもう2年になるという事実を踏まえて、時の流れをどうお考えいただくんでしょうかということを、まず申し上げたいわけです。

窓販の対象になります具体的な商品につきましては、基本的に仕入先制限や、それから商品そのものにかかる制限というのが現在ありますけれども、それらが、もしないとしても、銀行がそういう商品を売る場合には、当然私どもは、自分のところのリスクをわきまえて売るわけです。我々のリソースやコンプライアンス体制、販売体制というものにつき、我々はもう既に2年間そういったことを考えながら投信を売ってきていると。その評価はいろいろありますけれども、逆に言われておりますのは、銀行さんは投信を売る気があるんですかということ。要するにリスクの説明に時間をかけ過ぎて、本当に売る気があるんですかというような、御批判とも、御声援ともとれるようなことを言われる中で、我々は整々とやってきているということ、これをぜひ踏まえていただきたいと思います。

それから、2年間の時の流れの中で、そういった商品を我々は取扱いを始めて慣れつつあるということに加えて、もう一つは、やはり、今お話のあった金販法というものが制定されています。そういう状況で、来年4月に保険商品の窓販をスタートするに当たっては、そういうことも十分わきまえてやらさせていただきたいということであります。

それから、具体的な商品についてこの場で申し上げるのもどうかと思いますけれども、あえて申し上げるとすれば、来年の4月というスケジュール感の中で、滑り出しの時点での商品のイメージは、やはり銀行業務と関連性、親近性の高い商品から始めるということになるかと思います。具体的な例としまして、トラベラーズチェックを売る際に、関連しました海外旅行傷害保険とか、それから、種々のローンにかかわってまいります債務者の返済原資、これが傷害等によって足らなくなった場合にそれを補てんする原資としての債務返済支援保険といったものがあるようでございますが、そういうものが具体的なイメージだということを、この場であえて申し上げたいということでございます。ぜひこの点を御検討いただきたい。生損保さんの間に立って、銀行の立場としてはそういうことで、あえてここで申し上げたいと思います。

○ 蝋山部会長

大変、どういうふうに言っていいか、金融審議会の第一部会の座長としてではなくて、審議会の委員として申し上げますけれども、今、奥さんが言われたような点、言いかえれば銀行の立場を離れて、利用者、保険を買う人、銀行の窓口で保険を買う人にとってみて、あるいは一般に保険を買いたいなと思っている人にとって、よりよくなるんですということを、今るるおっしゃったわけですね。ですから、そういうところがきちんと、何といいますか、確約といいますか、全銀協なり、なんなりに、ある種の準則なり、自主規制的な内容のものを公示されて、そして、一歩進むということであれば、私は、単なる水争いということを超えての、まさに金融商品販売一般についてのあるべき姿を先取りするような形で世の中にアピールしていただきたいなというふうに思うわけですね。そういうことであれば、恐らく、奥さんの両側にお座りの方も、川原さんも、石橋さんも文句を言えないんじゃないかというふうに思うわけです。今、必要な点は、それぞれの私的な利益と公共的な利益をどういうふうに合致させて、銀行ももうかるけれども、一般の利用者も得しますよという状況を作り上げるかというところだろうと思いますので、私の個人的な意見としては、今、御説明になったようなことを、より世間に納得していただくような形で、銀行の保険窓販というところに取り組んでいただきたいなと私は思っております。

投信の場合には、いろいろと証券会社の方からからかわれているようですけれども、やはりそれなりに新しいタイプの投信利用者を開拓したものだというふうに考えておりますので、大変私は個人的には成功されているというふうに思っております。

行政の方から何か。

石橋さん、どうぞ。

○ 石橋オブザーバー

すみません。簡単に。公的という立場から、あるいはお客様という立場から満足いく回答にならないかもしれませんけれども、一言だけ述べさせていただきますと、先ほど上柳委員の方から、銀行の優越的な立場からの問題という御指摘をいただきました。あえて、そこについての補足は避けさせていただきますが、その一つと、それからもう一つは、やはり生命保険商品の特性である、適正な引受機能の重要性ということ、それから、繰り返し申し上げておりますが、生命保険契約の契約の長期性と、こういう特性がある中で、本当に銀行が長期にわたってその責任を果たしていただけるのかどうかということ、あえて言えば、やっぱり疑問を呈さざるを得ないのではないかというふうに思っておりますし、また、お客様の立場から考えてみますと、生命保険の場合には、やはり、御存じのとおり年齢とか健康状態によって再加入ができなくなるというようなリスクがありますし、問題が起こった段階で、お客様がそれではほかへという状況が、ほかの商品とは違って、そんなにスムーズにいく問題ではないという点、ここは是非おわかりをいただければというふうに思っておりまして、今回のここでの議論が、事後救済、あるいは事後に修正をするというようなところに論点がなっておりますが、生命保険の場合には長期契約でございますから、その修正が効かないという問題、これは御契約者にとって、お客様にとって最大の難関であるというところになろうと思いますし、また、保険者の立場に立ってみても、長期契約ゆえの事後修正ということが、なかなか原則として難しいという点、ここのところをぜひ御理解を賜ればというふうに思います。

それから、投信の点でございますが、リスク商品であるということは、経営にとってのリスク商品ということは一緒かもしれませんし、お客様も一緒かもしれませんが、やはり危険選択といいますか、個々の御契約者の保険に加入いただけるかどうかということについての健康状態、あるいはモラルリスクということ、このチェックということは大変大事なところになってございまして、窓口に来られたお客様を見て、それが果たして判断ができるんだろうかどうかという点についても、併せ、我々、お客様の立場に立って考えるとき、また、社会的な立場に立って考えるときに大事なポイントではないかというふうに思っております。以上です。

○ 蝋山部会長

川原さん、どうぞ。

○ 川原オブザーバー

時間も過ぎておりますので、ほんの一言で済ませたいと思います。

奥さん言われたことは、やはり銀行業本業との関連性だとか、親近性、これがある商品、そういったところからスタートしたいと、こういったことだろうと思います。

それから、さらに言えば、比較的簡便なアンダーライティングで引受けが可能な、言ってみれば標準化された商品ということだろうというふうに理解をいたします。そういった観点で考えていけばよろしいのではないかというふうに我々も考えております。

一つだけ、それに加えまして、販売チャネルの健全性をゆがめることのないような形でもって、保険の窓販を考えていただくという視点も必要ではないかと考えますので、その点をちょっと申し上げておきます。

○ 蝋山部会長

いろいろ当事者の間で議論があって、私なんかとても入れない感じがしないわけでもありませんが、しかし、行政はまさに当事者でありますので、課長、どうぞ。

○ 樋口信用課長

私もなかなか──もちろん、最終的にフレームを作るということでございますので、皆さんの議論などを伺いながら、行政としてどうしたらいいかというのを、今真剣に考えているところでございます。そうしたときに、やはり、平成9年の保険審議会の答申の趣旨ということについては本質的な意味もあるというように思っております。同時に、部会長の御指摘にもございましたように、その金融商品販売法ができているんでということも事実でございます。その他もろもろの変化が起きているということは、現実にあるのではないかなと思っております。

そうした中で、いわゆる商品限定、それから子会社、兄弟会社限定というのを非常にリジッドに考えていきますと、来年4月から保険商品の窓販ということを言いながら、現実には何らの商品の販売も行われないというようなことが起こり得るわけでございます。そうしたことは、この前の保険業法改正の趣旨から見て、おかしいのではないかというような気持ちを少し持っております。同時に、やはり消費者保護の問題というようなことも当然否定できないわけでございますので、もう少し時間を頂戴して、来年の4月からぎりぎりどういった商品なりについて窓販を行えるようにできるのかということについて考えてみたいと思っておりますし、さらに、もう少し言いますと、まさに、部会長おっしゃいましたように、もう少し幅広い議論というのが本来必要なことがあるのじゃないかなというように思っておりまして、その辺についてどうするかということについても考えていきたいなというふうに思っておりますので、当面の来年の4月どうするかということにつきましては、また、もうちょっと私どもなりに勉強してみたいというように思っております。

それから、個別の3カ年計画の中で一番最初の、銀行への信託業務の全面的解禁ということにつきまして、さっき、さらっと次のところに移ったのでございますけれども、こちらにつきましても、今いろいろ議論をしております。信託業務、これは信託業法でいろいろな業務が書いてございますけれども、現在、信託業法で書いている業務というのをフルラインで行っておりますのは、いわゆる専業信託と外銀系信託というのが基本でございます。そうした中で3カ年計画におきまして、普通銀行、長期信用銀行本体での信託業務全面的兼営についてというふうにされているところでございます。

そういたしますと、信託業法の中を見てまいりますと、信託財産として土地定着物というのが入っていると。実はこれは処分型の土地信託というのがあるわけでございますけれども、こういうふうな世界ですとか、あるいは兼営業務の中には不動産売買の媒介というような業務がございます。これらが、いわゆる宅建業法、不動産関係というようなことでございまして、実はこの分野につきましても、いろいろな議論が行われております。そうした中で、一つ御紹介というんでしょうか、しておきたいことは、まさに銀行に対しての信託業務の取扱いについて検討をするに際しては、やはり銀行の影響力というようなことも考えた上で、銀行が不動産媒介業務等の宅地建物取引業に該当する業務を行うことのないようにすべきであるというような御意見が、実は各方面から、当審議会の貝塚会長に寄せられているというような状況もございますので、この辺につきましては、この場でお耳に入れておくということと同時に、こういったことも踏まえながら、この点につきましても、また、もう少し時間を頂戴して検討していきたいというように思っております。

それから、そういう意味で申しますと、保険の窓販につきましても、先ほど保険企画室長の方から構成員契約について生保労連の方から意見書が出ているということを御紹介しましたが、保険の窓販につきましても、生保労連の意見書が出ておりまして、やはり、いわゆる圧力販売の問題と。消費者保護上の観点からこの問題を考えるべきであるとかというようなことから、子会社、兄弟会社限定、商品限定というようなことについて留意をしてほしいと、そういった趣旨の意見書が寄せられていると、こんな状況でございまして、いずれにしましても、規制緩和3カ年計画に掲げられておりますこと、実はこのほかにも数多くございまして、私ども、事務的に整理をして、それなりに進んできたものもございますが、なお、まさに今日御紹介したように、引き続き検討を要するということがございますが、年内に行き着けましたところにつきまして、また改めて、何らかの形で金融審議会に報告したいというように思っております。以上でございます。

○ 蝋山部会長

この規制緩和推進3カ年計画、なかなか細かいところまで利害調整を完璧にしようとすると大変なわけですけれども、ただいま課長が言われたような形で、金融庁の行政手腕に大いに期待したいというふうに思いますし、金融審議会にそうした行政的な調整機能をゆだねるというのは、私はちょっと邪道ではないかというふうに思いますので、どうぞ適宜、随時御報告は頂戴したいとは思いますけれども、事務局の手腕に今後大いに期待したいということで、この問題、とりあえず今日のところはそういうふうに思います。

時間が、大分過ぎておりますけれども、本日、ワーキング・グループから御報告いただきました資料及び本日の部会における議論の概要につきましては、会議終了後12時半から予定されておりますけれども、記者会見をいたしまして私の方から公表させていただきます。

あと、12日に、もう一度さらにこのワーキング・グループの報告をもとにしました主要株主の問題、それからビジネスモデルの問題、我々の方の案文を御提示して、いろいろ御議論いただき、15日に再度それを練り上げまして、21日という形にもっていきたいと考えておりますので、どうか御協力いただきたく思います。

大分時間を過ぎてしまって申し訳ありませんでしたけれども、ありがとうございました。

事務局の方からどうぞ。

○ 樋口信用課長

次回の第一部会は12日、火曜日の14時、午後2時からこの会議室におきまして開催を予定しております。よろしくお願いします。

○ 蝋山部会長

不手際がありまして、特に高橋さんなんかには、用意された資料を丁寧に御報告いただく時間を差し上げませんでして、申し訳ありませんでした。いずれの折にかは負債はお返しするといたしまして、以上をもちまして本日の会合を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)

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