金融審議会第一部会(第28回)議事要旨
1. 日時: 平成12年9月12日(火)16時00分~17時40分
2. 場所:中央合同庁舎第4号館 共用第3特別会議室
3. 議題:
- 部会委員、事務局の紹介
- 部会長の互選等
- 最近の金融をめぐる問題について
- 自由討議
- その他
4. 議事内容
○委員等の紹介が行われた。
○委員の互選により、蝋山 昌一(ろうやま しょういち)委員が部会長に就任した。また、蝋山部会長より、神田 秀樹(かんだ ひでき)委員が部会長代理に指名された。
○事務局より部会運営要領、議事録の扱い等について説明があり、了承された。
○部会長より以下の提案がなされ了承された。
当部会にオブザーバーを置くこととし、その人選については部会長に一任すること。
当部会にワーキング・グループを置くこととし、その人選については部会長に一任すること。
○事務局より、今後の議論に向けて以下のとおり説明があった。
異業種参入問題に対する基本的な考え方について
新たな形態の銀行業に対する免許審査・監督上の対応(運用上の指針)について
○その後、自由討議を行った。主な意見は以下の通り。
○最後に部会長より、次回以降の審議について、まずは2回ほど関係業界や有識者からヒアリングを行うこととし、当面のヒアリング対象者の人選については部会長に一任する、との提案がなされ了承された。
(自由討議での主な意見)
◆多くの産業が銀行業に参入することによって銀行全体は活性化する。必要であれば、監督当局が事業親会社に対し、報告徴求、検査、排除の権限を持つということも論理的にはあり得る。その場合、監督当局の権限の濫用をチェックする手続きや消費者又は顧客による監督当局に対する措置請求等も考えられるのではないか。
◆預金を集めるだけ、運用するだけの形態の銀行も出てくることが考えられるが、そのような銀行に対しても従来型の銀行と同じように「運用上の指針」を適用する必要があるのか。
◆シナジー効果は、金融業の効率を高めることができる。「運用上の指針」は、大規模銀行を中心に考えていると思われ、地域に特化する場合や特定分野での参入にはなじまないのではないか。
◆今までの銀行とは異なる形態の銀行について、細かく整理して規制を考えていく必要があるのではないか。また、破綻した場合の措置についても、リスク規制のあり方や銀行の形態の違いと併せて議論していく必要がある。
◆銀行業に異業種が参入することの実質的なメリットは何か。異業種が銀行業に参入することにより、銀行像は今後どのように変わっていくのか。また、信用リスクを取らない銀行が存在する意義は何か。
◆規制緩和の流れの中で異業種が銀行業に参入することに異存ないが、事業親会社のリスク遮断が適正に機能するのか疑問である。集めた資金を自分のために利用することはないのか。
◆異業種参入のメリットとしては、一般に、事業親会社が自ら営む事業とのシナジー効果による収益機会があること、資金を集めて利用できること等が考えられるが、機関銀行化は「運用上の指針」で避けるべきものとされている。
◆国民のライフスタイルの変化(例えばコンビニの生活拠点化)やITの発達による銀行業の低コスト化等が重層的に認識されて、事業会社が銀行業に関心を持つようになってきたのではないか。
◆事業親会社の方が膨大な情報を持っていて、子銀行がそれを利用する場合等もあり、子銀行から見たメリット、発展の仕方に議論の重点を置いた方が良いのではないか。
◆銀行業への異業種参入の動きは、インターネット取引によって決済コストを抑えることができ、銀行から見ても管理コスト面で有利となる等のビジネスチャンスが背景となっている。監督当局は、銀行業の免許申請に際して、銀行のリスクマネジメント体制や競争力の審査をどのように行おうとしているのか。
◆リスク管理については、監督当局がマニュアルに従ってチェックしている。競争力の審査については、将来的な新規参入や淘汰は見通しにくく、判断は非常に難しい。
◆異業種参入で問題となるのは、今までのようにサイレントでない株主と銀行のその他のステークホルダー(預金者、預金保険機構等のセーフティネット、国、監督当局)との調整である。
◆現行銀行法は、銀行の事業基盤を店舗ととらえているが、ネットワークという新しい事業基盤を踏まえた上で、異業種参入のあり方等を検討していくべきではないか。
◆シナジー効果については、個人情報の保護の観点から、消費者が完全に納得することが前提である。新たに進出してくる銀行は、業務の一部を外部委託することも考えられるが、外部委託先に対する検査、監督権限についての検討も必要ではないか。
◆銀行業の将来的な収益源の多様化の観点から、どのような他業禁止の緩和が必要となるか、緩和の基準は何か等を議論し、幅広く銀行法の規定を見直す必要がある。
◆事業親会社と子銀行との間で障壁を作ることには限界があり、両者をある程度一体的なものととらえた上での検査等も検討する必要があるのではないか。
◆事業会社がITや自らの事業分野でのノウハウを活かして、銀行業務の特化した分野に参入する動きは、21世紀の金融の新たな展望の中で、顧客に優れた金融サービスを提供するとともに、金融界の活性化にもつながるものであり、基本的に歓迎すべきことであると考えている。
問い合わせ先
金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画部信用課(内線3561,3566)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。
金融審議会第一部会第28回議事次第
日時:平成12年9月12日(火) 16時00分~17時30分
場所:中央合同庁舎第四号館 共用第三特別会議室
- 部会委員、事務局の紹介
- 部会長の互選等
- 最近の金融をめぐる問題について(事務局説明)
- 自由討議
- その他
以上
金融審議会第一部会委員名簿
平成12年9月現在
部 会 長 | 蝋山 昌一 | 高岡短期大学長 | ||
部会長代理 | 神田 秀樹 | 東京大学法学部教授 | ||
委 員 | 岩原 紳作 | 東京大学法学部教授 | ||
岩村 充 | 早稲田大学アジア太平洋研究センター教授 | |||
上柳 敏郎 | 東京駿河台法律事務所・弁護士 | |||
大塚 宗春 | 早稲田大学商学部教授 | |||
京藤 哲久 | 明治学院大学法学部教授 | |||
リチャード・クー | 野村総合研究所主席研究員 | |||
高橋 伸子 | 生活経済ジャーナリスト | |||
田中 直毅 | 21世紀政策研究所理事長 | |||
能見 善久 | 東京大学法学部教授 | |||
原 早苗 | (財)消費科学センター事務局長・消費科学連合会企画委員 | |||
福間 年勝 | 三井物産(株)取締役副社長 | |||
柳川 範之 | 東京大学経済学部助教授 | |||
吉野 直行 | 慶應義塾大学経済学部教授 | |||
〔計15名〕 | ||||
関係機関 |
鮫島 正大 |
日本銀行企画室参事役 |
(敬称略・五十音順)