金融審議会第一部会(第29回)議事要旨
1. 日時:平成12年9月20日(水)14時00分~16時00分
2. 場所:霞ケ関ビル35階 東京會館ゴールドスタールーム
3. 議題:
- 有識者からのヒアリング
- その他
4. 議事内容
○ワーキング・グループのメンバー及び部会オブザーバーの紹介が行われた。
○事務局よりワーキング・グループの運営方針について説明が行われた。
○以下のテーマについて有識者からヒアリングが行われた。
- 「異業種による銀行業参入等における一考」
=親子間のあるべき姿について=
オリックス株式会社 福島啓修 投資銀行本部シニア・ヴァイス・プレジデント
阿部泰三 法務室法務チーム課長
- 「ネットワーク社会のプラットフォーム」
國領二郎 慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授
- 「異業種による銀行業参入等における一考」
(質疑応答・自由討議での主な意見)
◆銀行の事業親会社からの「独立性」が保たれることによって、必ずしも「健全性」が確保されることにはならないということは、必要条件か十分条件かという議論であり、「独立性」は、銀行の「健全性」を確保するための必要条件ではあるが、十分条件ではないと考えるべきではないか。
◆銀行業に参入し利潤を上げるための源泉としては、低コストで資金を調達できること、融資の際の審査能力が銀行より優れていること、の2点が考えられるが、銀行業への参入にはどのようなメリットがあると考えているか。
◆異業種から銀行業に参入する場合は、銀行という一定のルールの中で、いかに特色を出せるか、ということが重要であると考えている。また、銀行業参入のメリットとして、店舗を持たない業務形態がコストの削減につながることも考えられるが、究極には顧客基盤の共有化により、既存ビジネスと新規銀行ビジネスとのシナジー効果を高めることにあると考えている。
◆銀行が持つ融資機能には商売上の大きな影響力があり、銀行と事業親会社とのシナジー効果を考察する上で、この影響力をどの程度行使してよいものか、ということが重要なポイントとなるのではないか。
◆オリックス信託銀行は店舗がない銀行ということで、消費者窓口を総合的にコールセンターという会社に一本化しているが、そこでは、銀行、証券、保険、リースがそれぞれ遮断され、顧客情報は別々になっているのか。
◆銀行の共同店舗の規制などが、インターネットを想定していないことから、オリックスは自主的なルールとして、業種の違いを顧客が誤認しないように、銀行、証券、リースの商品を区分してホームページに掲載している。コールセンターでは、フリーダイヤルの電話や対応する社員は区別している。
◆既存の銀行は、銀行とは独立してあるべきものだ、という風土の中で今まで展開されてきたため、「独立性」というものに、あまり疑問を持っていないように思われる。
◆ルール(法律等)に対する考え方について、日本においては、一般的に「ルールにないことは、やってはいけないこと」と受け止められているが、一方で、「ルールにないことは、自由にやってよい」という法理も考えられるのではないか。
◆金融機関の合併の際、IT投資や新しい時代に即応するための巨額の投資を1社ではまかないきれない、ということが合併の理由として一般的に挙げられるが、新しいネットワークに対応するためのコストは、それほど大きなものとなるのか。
◆経済がシステム化していくにつれて、開発コストは極めて大きなものとなっており、強烈な規模の経済が働くこととなる。その点において、金融機関の合併は日本国内にとどまっていることに危惧を抱いている。一方、今後はシステム部分をアウトソースする企業が増えてくると考えている。
◆コンピューターシステムの不安定性、脆弱性によって、金融システムの安定が損なわれる危険性もあるのではないか。例えば、現在でもインターネット上には金融関連の様々な情報が無秩序に飛び交っているが、これをどう考えるか。
◆インターネットにより、誰でも情報発信できるということは、現在の日本の金融システムのように大手銀行の格付けが軒並み地に落ちている状況では、極めて危険である。インターネット上での風説の流布に関して、罰則の適用を検討することも必要ではないか。
◆インターネット上に「発信する自由」があることは、「発信する責任」もあることを確認しておかなければならない。システム全体の安定のためには、きちんとした監視が必要である。ウイルス情報の発信者に対してエンフォースできるかということには難しい問題があると思うが、かなり厳しい社会的制裁を受けることとなる。
◆日本の金融機関はIT化が遅れていると言われているが、どのような部分でどの程度遅れているのか。
◆例えば、日本における決済コストが高すぎるので、eコマースを行おうとする企業にとっての障害となっている。本当のニーズに応えたサービスメニューやマルチカレンシーの仕組み等において、かなり遅れているのが実態である。
問い合わせ先
金融庁総務企画部信用課
電話03(3506)6000(内線3561,3566)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。
金融審議会第一部会第29回議事次第
日時:平成12年9月20日(水) 14時00分~16時00分
場所:霞ケ関ビル35階 東京會館ゴールドスタールーム
1. 開会
2. 有識者からのヒアリング
(1)オリックス株式会社
福島 啓修 投資銀行本部シニア・ヴァイス・プレジデント
阿部 泰三 法務室法務チーム課長
(2)國領 二郎
慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授
(敬称略)
3. その他
以上
金融審議会第一部会委員等名簿
平成12年9月現在
部 会 長 | 蝋山 昌一 | 高岡短期大学長 | ||
部会長代理 | 神田 秀樹 | 東京大学法学部教授 | ||
委 員 | 岩原 紳作 | 東京大学法学部教授 | ||
岩村 充 | 早稲田大学アジア太平洋研究センター教授 | |||
上柳 敏郎 | 東京駿河台法律事務所・弁護士 | |||
大塚 宗春 | 早稲田大学商学部教授 | |||
京藤 哲久 | 明治学院大学法学部教授 | |||
リチャード・クー | 野村総合研究所主席研究員 | |||
高橋 伸子 | 生活経済ジャーナリスト | |||
田中 直毅 | 21世紀政策研究所理事長 | |||
能見 善久 | 東京大学法学部教授 | |||
原 早苗 | (財)消費科学センター事務局長・消費科学連合会企画委員 | |||
福間 年勝 | 三井物産(株)取締役副社長 | |||
柳川 範之 | 東京大学経済学部助教授 | |||
吉野 直行 | 慶應義塾大学経済学部教授 | |||
オブザーバー |
石橋 三洋 |
日本生命保険相互会社代表取締役専務取締役 |
||
奥 正之 | (株)住友銀行常務取締役 | |||
川原 尚 | 三井海上火災保険(株)執行副社長 | |||
髙橋 厚男 | 日本証券業協会専務理事 | |||
中村 芳夫 | 経済団体連合会常務理事 | |||
濱田 三平 | 中央三井信託銀行(株)常務取締役 | |||
森脇 邦剛 | 朝日信用金庫専務理事 | |||
関係機関 |
鮫島 正大 |
日本銀行企画室参事役 |
||
〔計23名〕 |
(敬称略・五十音順)
金融審議会 異業種参入に伴う銀行法等の整備・他業禁止の緩和等に関するWG委員名簿
平成12年9月現在
座 長 | 神田 秀樹 | 東京大学法学部教授 | ||
委 員 | 岩原 紳作 | 東京大学法学部教授 | ||
翁 百合 | 日本総合研究所主席研究員 | |||
八木 良樹 | (株)日立製作所代表取締役副社長 | |||
山下 友信 | 東京大学法学部教授 | |||
吉野 直行 | 慶應義塾大学経済学部教授 | |||
〔計6名〕 |
(敬称略・五十音順)