金融審議会第一部会(第30回)議事要旨

1. 日時: 平成12年9月28日(木)14時00分~16時00分

2. 場所:中央合同庁舎第4号館 共用第1特別会議室

3. 議題:

  • 有識者からのヒアリング
  • 自由討論
  • その他

4. 議事内容

  • 部会長よりワーキング・グループのメンバーに柳川委員を加えたことについての報告が行われた。

  • 以下のテーマについて有識者からヒアリングが行われた。

    • 「銀行業への異業種参入と銀行の業務範囲規制の緩和」
      株式会社住友銀行 奥 正之 常務取締役
    • 「生命保険業への異業種参入に関するルール整備ほか」
      日本生命保険相互会社 石橋三洋 代表取締役専務取締役
    • 「異業種による保険業への参入について」
      三井海上火災保険株式会社 川原 尚 執行副社長
  • 部会長よりワーキング・グループにおける検討課題について提案がなされ了承された。

(質疑応答及び自由討論での主な意見)

  • 異業種参入に関する論点としては、A顧客基盤の共有(ファイアー・ウォールの必要性、共倒れリスクの回避)の問題、B顧客情報の流用(プライバシー保護)の問題、C営業基盤の共有(事業親会社の店舗利用等)の問題、D機関銀行化・機関保険会社化の問題、等が考えられる。

  • 単に「異業種」ということだけでなく、銀行等の「主要株主」が不当に影響力を行使するといった弊害は起こり得る。従来、日本ではそのような例が極めて少なく、特に規制する必要がなく済んでいただけであり、バーゼル・コア・プリンシプルや主要各国の規制事例に鑑みても、銀行等と主要株主との取引をチェックする仕組みや株主資格そのものをチェックする仕組みが必要である。

  • 異業種が銀行等の親会社や主要株主となることを認める上で、主要株主に対する検査も必要であると思う。ここで問題となるのは、事業会社に対する検査の可能性、有効性、実効性が確保されるかということであり、これらに限界があるとすれば、他業からの進出にはある程度の制限を設けることが必要ではないか。銀行、金融機関の他業のコングロマリットができるような場合は、競争政策上の観点から、経済力集中へのチェックが必要ではないか。

  • 銀行とその株主との関係については、それぞれの銀行の歴史や規模によって異なるため一概には言えないが、現在ではその関係が希薄化しているのは事実であると思う。銀行の株主となる場合は、例えば10%の議決権を有する株主ともなれば、大きな影響を銀行に与えることとなり、十分なチェックを行う必要がある。

  • 一般に、生保業については、顧客との契約期間が長期であり、かつ、契約内容は原則として変更しないという前提であるため、なんらかの危機が生じたとしても即座の対応が困難である。事業会社がこのような生保業の特殊性をよく理解した上で生保業に参入する場合は、競争の促進等の観点から望ましいことと考えているが、そうでない場合には弊害が生じることも予想される。

  • 異業種参入の目的としては、顧客重視、顧客の満足といった視点もあるものと考えられ、異業種参入を基本的には肯定する立場から、いろいろとまずいことが起こらないようにチェックするシステムを確立することが必要ではないか。

  • 銀行は新しい業務から生まれる利益を増やしていく必要があり、その1つの切り口として「電子商取引」が考えられる。この場合においては、信用リスクと商取引上のリスクが重要であるが、特に、銀行が商取引上のリスクをどこまで負うことができるのか、どこまでが許される業務範囲なのか、ということについて、他業禁止の緩和の観点から検討を行う必要がある。

  • 各銀行においては、自らの財務基盤を安定させていく方策として、伝統的な銀行ビジネスモデルの変革や、銀行がこれまで蓄積してきた信用リスクのノウハウを「電子商取引」に活用する方法等について検討しているところである。

  • 異業種からの銀行業への参入には、大きなイリュージョンが成立しているのではないか。つまり、銀行業はエフィシェントマーケットとなっており、それほどは儲からないはずである。しかも、いわゆる商業銀行業務は人や設備等の資源が過剰の状況にある。

  • アメリカにおいては、トラディショナルな銀行ビジネスが低下していくことは当然であると考えられているが、日本の銀行もオーバーバンキングの状態にあることは明らかであると思う。

  • 制度上の論点としては、異業種参入の問題ではなく、銀行と銀行経営に影響を与えるステークホルダー(株主)との関係をどのように整理していくか、ということが重要である。例えば、リスク管理について、現行では株主に対する与信の取り扱いが不明確であり、当該与信を銀行の自己資本から控除する等の体系的な整理やメイン銀行等の実態の見直しを行わずして、異業種だけに制限を課すことは説得力に乏しい。

  • 「銀行業」の定義について、既存の定義を所与のものとせず、機能的なアプローチにより再整理を行う必要がある。主要株主や異業種参入に対する規制について、事後の規制の必要性は当然のことであるが、特に、事前の規制は必要最小限のものとすべきである。ただし、事前の規制については、現行法令上、必要最小限のものすらないことから、法制化に向けての検討が必要ではないか。

  • 他業禁止の緩和については、個別に何をやるかということではなく、全体としてのリスク管理がきちんとなされているか、ということが問題であり、「他業禁止」の今日的な意義を再整理する必要がある。

(部会で了承されたワーキング・グループにおける検討課題)

「IT革命」の進展を始めとする情報通信技術の急速な発達が、異業種による銀行業参入の動きを本格化させ、インターネット専業銀行の出現など、これまでにない新たな動きが見られるようになった。こうした状況の中で、銀行経営の健全性の確保や利用者の利便性、預金者保護などの観点を十分に踏まえ、

  • (1)異業種参入の動きと銀行法のあり方(銀行業に参入しようとする事業会社も含め、主要な株主等の不当な行為をどのように規制すべきか等)

  • (2)他業禁止の緩和等の考え方(銀行業等の固有業務、付随業務等は、銀行経営の健全性や利用者利便の向上等のため、いかにあるべきか等)

  • (3)保険業等との関連(銀行業に関する上記2つの検討項目については、保険業等にも当てはまる議論であるのか等)

についての整理・検討を行う。

問い合わせ先

金融庁総務企画部信用課
電話03(3506)6000(内線3561,3566)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。


金融審議会第一部会第30回議事次第

  • 日時:平成12年9月28日(木) 14時00分~16時00分
  • 場所:中央合同庁舎第四号館 共用第一特別会議室
  • 1. 開会

  • 2. 有識者からのヒアリング

    • (1)株式会社住友銀行

      • 奥 正之 常務取締役

    • (2)日本生命保険相互会社

      • 石橋三洋 代表取締役専務取締役

      • 三井海上火災保険株式会社

      • 川原 尚 執行副社長

      • (敬称略)

    • (3)質疑応答等

  • 3. 自由討論

  • 4. その他

以上


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