金融審議会金融分科会第一部会(第13回)議事録

日時:平成15年12月9日(火)13時00分~16時00分

場所:中央合同庁舎第4号館(9F)金融庁特別会議室

○ 神田部会長

それでは、まだお見えになっていない方もいらっしゃるようですけれども、時間になっておりますので、始めさせていただきたいと思います。

ただいまから金融審議会金融分科会第一部会、本日は第13回目の会合になりますけれども、を開催させていただきます。

皆様方にはご多忙のところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

いつものことでございますが、この会合の議事は公開となっておりますので、報道機関の方々などのために後ろの方に席を確保しております。また、いつものことで恐縮ですが、今日も3時間の予定で、大変盛りだくさんの内容になっております。

本日の予定ですが、お手元の議事次第にございますように、大体時間を3つぐらいに区切らせていただければと考えております。まず最初に、島崎委員から前回提出いただきました意見書、インサイダー取引規制に関する意見について簡単にお話をしていただきます。その後議事次第に入りたいと思うのですけれども、第1の柱として、年内の報告書の取りまとめに向けまして、この部会でこれまで検討してきました3本柱というもの、市場監視機能・体制強化、それから投資教育のあり方、そして投資サービスにおける投資者保護のあり方、この3つについて事務局に論点メモを準備していただいておりますので、これについて事務局の説明をいただき、最終的な検討に入っていきたいと思います。その後に、投資教育のあり方にも関係するのですけれども、岩原委員が座長をなさっておられます金融トラブル連絡調整協議会というのがございます。そこでの検討内容について簡単にお話をいただけると伺っております。また、本日はその関係もございまして、第二部会の委員でもあり、金融トラブル連絡調整協議会のメンバーでもいらっしゃる原さんと高橋さんにおいでいただいております。どうもありがとうございます。その点に関係なく、広くご発言いただければと思います。それが第1の柱で、ここまで全部を約1時間で済ませたいということでございます。

次の1時間が、ワーキング・グループからのご報告ということでございます。取引所のあり方に関するワーキング・グループ、それからディスクロージャー・ワーキング・グループ、それぞれ大変精力的にご審議いただいてまいりました。その審議経過についてご報告をいただいて、議論をしたいと思います。これが2つ目の柱であります。

最後の1時間程度は、証券取引法65条につきまして、銀行等への証券仲介業の解禁という論点を前回から議論し始めたところでございますが、その問題を検討させていただきたいと思います。本日は、この関係では、日興コーディアル証券の安倍秀雄常務取締役、それから水戸証券の小林一彦取締役社長、内藤証券の内藤誠二郎取締役社長のお三方に特にご多忙のところをおいでいただいております。どうもお忙しいところをありがとうございます。このお三方にご意見をいただくということを中心に、最後の1時間はこの問題を取り上げたいと思っております。

それでは、まず冒頭、議事に入る前になるのかもしれませんが、島崎委員から簡単にメモのご紹介と説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 島崎委員

それでは、インサイダー取引規制についてご説明させていただきます。私は、経団連で資本市場部会長を務めておりまして、現在、日本経団連ではインサイダー取引規制の明確化について検討を行っております。本日の日経金融新聞にも一部載っておりましたけれども、日本経団連といたしましては、12月16日の理事会の決議を経た後、正式に提言をリリースしていきたいと考えております。本日は、我々の市場部会での検討も踏まえた経済界の意見を説明させていただきたいと思います。

インサイダー取引規制につきましては、かねてから、規制の内容が不明確であり、そのために会社の役職員の株式売買等が過度に萎縮しているというご指摘がございます。この点については、この第一部会におきましても、証券実務に携わっておられる委員の方々からたびたびご発言があったところでございます。私どもが本年の10月に行った、我が国を代表する企業32社から回答を得たアンケートにおきましても、これは添付しておりますけれども、「重要事実について改善の余地がある」と答えた企業26社のうち15社が「重要事実とされている事項が不明確である」と答えております。こうした規制の不明確さを反映して、先般大森課長も言及しておられましたけれども、李下に冠を正さずといった事態が生じていて、多くの企業において役職員の法令違反を予防するため、保守的な株式売買規定を設けているというのが、いろいろヒアリングしての実情でございます。

次に、レジュメに沿いまして具体的な改善点、提言について若干ご説明させていただきます。第1が、バスケット条項の見直しでございます。バスケット条項につきましては、日本経団連のアンケートでも、「重要事実について改善すべき」と回答した企業25社中23社がバスケット条項の削除を求めており、企業の立場から削除の声が非常に大きいところでございます。その理由といたしましては、罪刑法定主義の観点から問題があることに加え、具体的に売買を阻害しているとの指摘が17社からなされております。バスケット条項を削除いたしましても、他の規定を活用すれば、規制の実質的なレベルを確保できるのではないかと考えております。

次に、考え方を明確にしていただきたいとしておりますのが軽微基準でございます。具体的には、子会社の解散、自己株式の取得・処分につきまして軽微基準を設けていただきたいと考えでおります。事業部門の廃止や新株の発行について軽微基準が設けられている一方、経済的には全く同じ意味を持つ子会社の解散、自己株式の処分・取得について軽微基準が設けられていないのは一貫しておらず、考え方を明確にし、わかりやすい規則として欲しいからであります。また、上場子会社などの業績予想の変動につきましては、親会社にとって、小さな上場子会社などの業績要素の変動があっても親会社側の重要事実とされており、非常に不合理な規定となっております。この点について考え方を明確化していただきたいと考えております。

第3は、事前相談制度の整備でございます。法律でいかに予見可能性の高い規定を置きましても、個別具体的な事例は多様でありまして、おのずとその予見可能性には限界があります。そこで、事前相談制度を新たに設置し、この事前相談で問題なしとされた場合には、刑事上、行政上の責任を問われないという事前相談制度を創設していただきたいと考えております。これに関しまして現在ノー・アクション・レター制度がございますが、あまり使われていないのが実態だと聞いておりまして、その実態の調査も含め、より使いやすい制度に改善していくことをお願いしたいと存じます。

次に、適用除外取引につきましては、現在、従業員持株会など、内閣府令で定められた限定した範囲でしか認められておりません。しかし、現行の内閣府令で定められた取引以外にも、あらかじめ投資顧問会社や信託銀行などに運用を委託している取引や、事前に作成した計画に基づく取引、さらには取引先持株会による株式の買い入れについては、恣意性が働く余地がありませんので、適用除外取引として追加していただきたいと考えております。

続きまして、ストック・オプションについて申し上げます。ストック・オプションにつきましては、会社の役職員の利益と株主の利益を一致させるという観点から、コーポレートガバナンス上望ましいとして、各社とも導入を進めているところでございますが、短期売買差益返還義務がこの普及を阻害している側面がございます。ご承知のように、ストック・オプションは、その行使と同時にその行使により取得した株式を売却するというニーズがあるわけです。そうしますと、6カ月以内の売買となりまして、短期売買差益返還義務の対象となります。そこで、少なくとも付与後6カ月を経過しているストック・オプションにつきましては、この短期売買差益返還義務の適用除外としていただきたいと考えております。

最後に、公表措置に係る12時間ルールの撤廃を要望したいと存じます。ご存じのように、現在、公表措置につきましては、2社以上の報道機関に重要事実を公開後12時間を経過して初めて公表となるわけでございます。しかし、来年2月から、東証のTDネット等への掲載をもって即時に公表となり、12時間ルールは実質的に形骸化することになります。その際この12時間ルールも撤廃してはどうかというのが提言でございます。

以上、現行規制の体系を前提として、インサイダー取引規制見直しに関する産業界のニーズを申し上げましたけれども、本第一部会では不公正取引規制のサンクションの強化、多様化の議論も進められております。規制を遵守する側にとりまして、規制の内容が不明確なままサンクションのみ強化、多様化が進めば、これ以上に保守的な運用がなされることになります。これは我が国の証券市場全体にとってマイナスであろうかと思います。経団連といたしましては、今るる申し上げましたけれども、現行のインサイダー取引規制の緩和をお願いしているわけではございません。お願いしているのはその明確化でございます。ご趣旨を理解いただきまして、インサイダー取引規制の見直しにつきましてご検討いただき、できるものから順次措置を講じていただきたいと存じます。よろしくお願いします。

冒頭申し上げましたけれども、日本経団連の手続といたしまして、12月16日の理事会を経まして、今の内容について文書で提言を公開していきたいと考えております。以上です。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

それでは、この問題は大変重要な問題だと思いますので、この第一部会でも議論していただかなければいけないと思いますけれども、本日はちょっと時間がございませんので、一応伺ったということにして、先へ進ませていただきたいと思います。

○ 島崎委員

ありがとうございます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、例の3本柱につきまして論点メモ、報告書案について、まず事務局からの説明をお願いしたいと思います。

○ 三井調査室長

資料1-1、「論点(市場監視機能・体制強化について)」というものについて、簡単にご説明させていただきます。

四角の中でございますけれども、我が国証券市場を、個人投資家も含め、誰もがより安心して参加できるものとするため、投資家保護のための諸規制の実効性を確保することがより重要となってきていることから、違反行為に対する新たな行政上のエンフォース手段を整備する必要があるのではないか。また、違反行為の被害者による民事責任追及のための規定につていも検討する必要があるのではないか。さらに、証券会社等に対する検査の実効性や効率性を高める観点から、現行の証券検査体制について見直しを行うべきではないかという問題点でございます。

まず、現状認識でございます。1つ目の○につきましては、今申し上げましたことと重複していますので、省略します。

2つ目の○です。そのターゲットとなる違反行為でございますが、不公正取引の禁止、ディスクロージャー規制、あるいはこれらも含めました投資家保護のための証券取引法上の諸規制でありまして、これの実効性を確保するということが大事ではないか。

2番目については、日米の訴訟なり摘発件数の差でございます。これにつきましては2つ目の○でございまして、2つの見方があるのではないかというご指摘があって、1つは、その差がエンフォースメントの差であって、日本はアンダーエンフォースメントではないか。それに対して一方の意見は、これはむしろ社会的事情、例えば違反行為自体が多い少ない、あるいは訴訟への抵抗感、あるいは訴訟社会かどうかということによって生じている面があるのではないかという2つの見方があるということでございます。

制度整備の必要性でございますけれども、まず課徴金につきまして、その導入がなぜここで議論になったかという点でございます。まず、刑事罰によって担保されているディスクロージャー違反や不公正取引について見ますと、刑事罰というのは、3行目ですが、対象者にとって法的・社会的に極めて重大な結果を伴うものであることから慎重に運用すべき、刑罰法規の謙抑性・補充性と呼ばれておりますが、こういう考え方が大原則としてありまして、それに沿って実務上も運用されているということから、刑事罰を科すには至らない、あるいは刑事罰を科す必要のない程度の違反行為について、その現状では適切な対応ができないのではないかということでありまして、ここの穴を埋めるものとして、行政上の課徴金あるいは反則金的な制度が必要なのではないか。

次の3ページの1つ目の○でございまして、証券会社などの禁止行為に対する違反行為に対しては、現在、登録取消または業務停止のみによって実効性の確保を図っているということでございますが、こういった業務停止等は関係のないお客さんにも影響を与える。諸外国等では、むしろこういう非経済的なサンクションではなくて、経済的なサンクションが使われているといったことも踏まえると、金銭的なサンクションが必要ではないかという問題意識であります。

3番目の問題意識でございます。真ん中でございますけれども、いわゆる事前規制から事後規制へということでございまして、ルールをあらかじめ定めて、それに対するエンフォースをきちんと行うという流れの中で、こういう課徴金制度を導入する時期になっているのではないかということでございます。

4番目でございますが、本来は罰則をもっと上げるということが望まれるのだけれども、現状はそういう状況にはないということから、代替的なエンフォース手段として課徴金を導入するということにも意味があるのではないかというご意見でございます。

対象となる違反行為でございますが、現状の証券取引法にある違反行為がまずベースとなるということで、考えられる違反行為として、インサイダー取引、相場操縦あるいは虚偽の風説の流布あるいは有価証券報告書の虚偽記載などのディスクロージャー違反、あるいは、作為的相場形成等の証券会社等の行為規制違反などが考えられるが、どうか。

4ページでございます。金額水準でございますが、「違反は割に合わない」という規律を確立するということで、規制の実効性を確保する観点から、少なくとも違反行為による利得を吐き出させるという水準である必要があるのではないか。

2つ目の○ですが、その違反行為は、証券市場への信頼という制度資本を傷つける行為であることに鑑みれば、課徴金の導入に当たっては、その水準を違反行為の抑止にとって十分な水準とすることが必須であり、厳密な意味での算出は困難という問題はあるものの「社会的損失」も考慮して課徴金額を決定することを考えるべきではないかというご意見がありましたが、どう考えるか。

その他でございますが、賦課手続につきまして、課徴金制度の運用に当たっては、その透明性が確保されることが重要ではないかというご意見。

それから、その次でございますが、法令解釈の一層の明確化を確保していくため、法令適用事前確認手続(ノー・アクション・レター)等の一層の活用を図っていくべきではないかというご意見でございます。

なお、あらかじめお断り忘れて恐縮でございますが、ここに延べられている論点は、前回までに出された意見をある程度機械的に順序を並びかえて整理してございます。

(2)でございます。民事責任規定の見直し、差止命令制度の改善の論点でございます。

1つ目の○でございますけれども、現行証取法上の民事責任の特例規定はございますけれども、ほとんど使われていないということでございます。

2つ目の○ですが、その理由として、例えばクラスアクションがないとか、あるいは違反行為の発見が難しい、あるいは立証の問題などがあるという指摘があります。これを踏まえて、5行目ですが、民事責任規定を実効性あるものとするため、一定の立法上の措置(例えば、重要な不実開示がある場合について損害額を推定する規定を設ける等)を行う必要がある。仮にそのような規定を設けた場合でも、被告側(不実開示を行った企業等)による反証は比較的容易であり、むしろこのような規定を設けることにより原告側と被告側の立証責任にバランスがとれるのではないかという意見がございました。これに対してどのように考えるか。

反対側の意見といたしましては、次の○でございます。被害者(原告)にとっての立証の困難性は証券取引法分野だけの問題ではなく、証券取引分野が特に他の分野より立証が困難とは思われない。したがって、単に立証の困難性を理由に挙証責任を転換してよいかどうか、証券取引の安定性といった観点も含めたバランスの取れた検討が必要ではないかというご意見もございました。どのように考えるべきかと。

その次に、差止命令でございます。証取法192条にあります裁判所を通じた差止命令制度は現在使われておりません。これをもっと積極的に活用するべきではないか。あるいは、「また」以下でございますが、米国の差止・是正命令に類似する制度、例えば行政限りでの差止・是正命令制度についても、日米の法制の差異などはありますし、あるいは場合によっては日本の違反行為の実情が同じか違うかといったことも踏まえた上で考えるべきではないかというご意見がありますが、どのように考えるべきかということでございます。

○ 大森市場課長

私の能力不足で、一番手間のかかる部分を三井室長に手伝っていただいているので、変なところで途切れて恐縮なんですけれども、以下ご説明させていただきます。

現在の監視委員会の基本コンセプトというのは、悪いことをしないように監督するコーチから、何が悪いことなのか、事実認定するアンパイアを切り離して独立して職権を行使すると。客観的な事実認定を担保する上で、この仕組みは依然として大変有効だと思っておりますので、ちょっとここには書いてございませんけれども、その課徴金とか差止命令といった制度を導入する場合にも、監視委員会が事実認定をして監督部門にそういったサンクションの発動を促すという枠組みは維持すべきではないかと考えております。

市場監視体制として最初に書いてありますのは、証券検査の主体が多過ぎるということであります。検査局、監視委員会、日銀、各証券取引所、証券業協会、内容も重複している。こういったことをどう是正していくか。

2番目が、少なくとも行政の体制については、監視委員会と検査局に分かれておりますのは、監視委員会誕生の経緯を引きずっているものにすぎませんし、またビッグバンを経て証券会社の財務を直接行政が把握する必要性も相対的に低下しておりますので、この際、当局としての検査体制を監視委員会に一元化してはどうかということでございます。

3番目は、やや行政内部の論点で恐縮でございますが、ディスクロージャーの審査、発行体の検査、訂正命令、そういった権限が財政金融分離の際に関東財務局に移管しているのですが、ばらばらになっていることの不都合な面もございまして、今回、監視機能・体制の強化と整合性がとれる形で見直してはどうかということでございます。

次が行政と自主規制機関の関係でありますが、諸外国にありますように、次のページでありますが、何でもかんでも行政が把握するというのではなくて、一定部分は自主規制機関に委ねて、それを検証するという形でもよろしいのではないか。さらには、自主規制相互間の役割分担なり合同検査といった形で受検する側の重複感を排除して、全体としての効率性を確保していくべきではないかということでございます。

証券業協会については、自主規制機関であり、店頭市場の開設運営者であり、業界団体でもあるという複合的な性格でございまして、現在のままでは利益相反のおそれがあるのではないかということで、JASDAQは取引所化して資本関係を希薄化していくという、NASD、NASDAQと同じ方向性にあるわけですけれども、いずれにしても自主規制と業界団体の利益相反の問題が残りますので、次の○にありますように、何らかの形で自主規制機能が独立して職権を行使できるような分離を考えていくべきではないかということでございます。

最後は、繰り返しになりますけれども、JASDAQの取引所化、これは後ほどのワーキング・グループの報告でも言及させていただきますけれども、その独立性をどう担保していくかということが、全体としての監視体制の論点でございます。

次の資料1-2が投資教育のあり方ということで、プレゼンをお願いした方々のご意見あるいはそれに対するご意見を順番に羅列してございます。ここに書いてはいないのですけれども、当然の前提として、日本では長きにわたって貯蓄促進が重要な政策目的で、経済全体として資本不足の時代には、政策的に重要と考えられる産業にいかにお金を供給するかが金融システムの課題ですから、そこで資金仲介の主役は当然ながら銀行であったわけです。資本が十分に蓄積された現在、個人にとってはライフステージに応じて可能な限り有利に運用したいという希望に応えていく必要がありますから、魅力ある多様な資産を的確な情報とともに提供する必要があるということだろうと思います。銀行のリスク負担能力が限界に来つつある中で、やはり市場中心の金融システムに再構築していくことが日本経済の発展にとって不可欠ですから、そのためには資金を供給する個人の意識変革をいわば政策として遂行していく必要があるのではないかというのが、そもそもこの議論を始めた問題意識でございます。

それで、1番目、2番目の○にありますように、世論調査では株式投資を行わない主な理由として「知識がない」ということが挙げられる一方で、学校教育において金融や証券に関する基本的知識を提供することが必要だという意見が多くございます。

その次は、依然として頻発する投資に係るトラブルは投資そのものへの意欲を萎えさせかねませんので、金融や証券についての基本的知識というのはこういったトラブルを防止する上でも有効ではないかということでございます。

次のページの投資教育の位置づけ、パーソナル・ファイナンス、生活設計の一部として家計管理、広く経済・金融教育の一環として位置づけていくべきか、あるいはこのような形では埋没しがちな投資教育を正面から推進すべきか。これは決して矛盾することだとは思っておりませんで、投資教育が業界の利益とか国の都合に応じて行われてはならないというのは当たり前のことですけれども、特に最近、公的年金への将来不安が高まる中で確定拠出年金の拡大など、個人が生活設計において否応なく多様な資産運用と向き合わざるを得なくなっておりますから、それを応援しながらあわせて貯蓄から投資への流れを加速するという冒頭申し上げたようなことが、効率的で安定的な金融システムあるいは実体経済の実現に寄与されるということを理解していただくということではないかと思います。

次から具体的なことが書いてありますけれども、有効な教材あるいはわかりやすい教え方というのは既に各証券団体、証券会社、NPOなどによって相当開発・蓄積されておりますが、各々がばらばらに活動するだけではなくて、資源やノウハウの有効活用を図っていく必要がある。そこで、3番目に書いてありますように、各団体と行政が連携して、揺りかごから墓場までというのがいいのかどうかあれですが、投資教育のスタンダードなモデルを作成して、優れた教材とかノウハウを共有して有効に提供していく体制を工夫すべきではないかと。例えば、学校においては、カリキュラムで小中高大の各段階において投資知識の到達目標を設定するとか、教える側の理解度、ノウハウを向上させるといった方向、あるいは社会人教育においても、世代や知識の水準に応じたセミナーの開催など、きめ細かな対応が必要と考えられます。このために各団体及び行政が適切に役割分担をして有効な遂行体制を構築していくべきではないかといった意見が、これまで当部会でいただいたものをまとめたところでございます。

その次の資料1-3が「投資サービスにおける投資者保護のあり方について」であります。これは、前回お示しした論点メモと基本的に同じでございまして、それに対して、前回こういう方向でいいのではないかということだったので、「ではないか」と書いてあったのが「である」になっているだけの違いでございます。したがって、当面、組合型の投資スキーム、民法・商法匿名組合、投資事業有限責任組合といった仕組みについて、一般投資家を対象にするのであれば、それは投資信託やSPC同様の投資家保護策が講じられるべきであるというのが当面の結論で、これまでこういう組合型の規制の少ないスキームを活用して新たな投資サービスを提供してきた事業者にとっては、規制強化になることへの抵抗感といいますか、自分だけはお目こぼしをといったメンタリティーはよくわかるのですけれども、投資家にとって経済効果が同じサービスは同じように保護するシステムを確立して、またその詐欺的な業者が出てきたら、それだけでその業界全体の信頼が失われてしまいますから、そういった者を排除するための手段を用意しておくことがみずからの事業を発展させる上でも必要であると認識していただくということではないかと思います。

ただ、前回も申し上げましたけれども、3ページ目の最後に書いてありますように、証取法にあまりなじみのない方にとっては、この法律の有価証券とか証券業という概念はやや違和感がありましょうし、証券取引法そのものが必要の都度累次にわたる改正でパッチワーク状態になっていることも否定できませんので、この審議会におきまして今後、これまで投資家保護策の講じられていない投資サービスあるいは新たに登場するであろう投資サービスについて、証取法を中心とした有効な投資家保護のあり方について、投資サービス法への改組の可能性も含めて、中期的な課題として検討を継続していってはどうかということでございます。

雑駁ですが、以上でございます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

次は、岩原委員から金融トラブル連絡調整協議会での検討内容についてのお話をいただけると伺っております。どうぞよろしくお願いします。

○ 岩原座長

ただいま大森課長からお話のございました投資教育、それから投資サービスにおける投資者保護の問題がいわば現場の問題として取り扱われ、そしてある意味では非常に参考になる例が提供されている場所として、金融トラブル連絡調整協議会という場があることを前回のこの部会において発言させていただいたところであります。今回、それを踏まえまして、金融トラブル連絡調整協議会で行っている活動がこういったことにいかにかかわっているかということをご紹介させていただきますとともに、また金融トラブル連絡調整協議会におきましても、そこで行っている活動をぜひ金融審議会で報告して、金融審議会での活動に反映させてほしいという要望が委員の間から強くございましたので、その点のご要望もさせていただきたいと思いまして、報告させていただく次第でございます。

お手元の資料1-4をご覧いただきますと、「金融トラブル連絡調整協議会の活動について」という資料になっております。おめくりいただきまして、資料1というのがございまして、ここで平成12年6月27日の金融審議会答申の抜粋がございます。この答申に基づいて金融トラブル連絡調整協議会が設けられたものであります。平成12年の金融審議会答申というのはまさにできれば包括的な金融サービス法をつくるということを目指して非常に精力的な活動をやったときでありまして、その結果、例えば金融商品販売法といった法律もできましたし、投資信託も投資信託及び投資法人法といったものに衣替えしまして、いわば幅広い投資対象をなるべく当事者保護の枠組みの中でとらえることができるようにという法改正がされたわけであります。その一環として、投資サービスに係るトラブル、顧客、投資家と業者との間の紛争をなるべく合理的な手続で解決する道をつくっていこうということで、この協議会がつくられたわけであります。

お手元の資料1にございますように、当時マル1からマル5までの課題を与えられて、金融審議会によってこの協議会の設置が提言されたわけであります。個別紛争処理における機関間連携の強化、苦情・紛争処理手続の透明化等々マル1からマル5までございまして、ご覧いただきたいと思います。

この5つの項目の実施を担保するとともに、業態の枠を超えた情報・意見交換を行い、金融分野における裁判外紛争処理制度の改善のために、消費者行政機関、消費者団体、業界団体、自主規制機関、弁護士会、そして金融当局の担当者がいわば任意の自主的な協議会として設置したのが金融トラブル連絡調整協議会でございまして、そのメンバーは次の資料2にございますとおりであります。今申し上げましたように、業界横断的、ある意味で行政機関横断的、そしていろいろな主体の方に加わっていただいてこういった問題を協力して検討していこうという、大変画期的な機関であると考えております。

そして、この協議会におきましては、平成12年9月に設置されたわけでありますが、それ以来現在まで既に23回の会合を行っています。次の資料3にその会合の様子、そこでどういったことが検討されたかということが記載されております。そこでは、非常に豊富な、まさに実務的な経験に基づいて、どういったことが投資サービスについて問題になり、トラブルになっているか、それについてどのようにして合理的な紛争解決のチャンネルをつくっていくかということが真剣に検討されてきたわけでありまして、その大きな成果の一つとしまして、昨年の4月に苦情・紛争解決支援のモデルというものを策定いたしました。これは、各業界団体あるいは消費者行政機関等それぞれにおきまして苦情・紛争解決のための手続をおつくりになっているわけでありますが、それについて、いわば望ましいベンチマークをつくって、それぞれの現在のADRと申しますか、そういう裁判外紛争処理機関が望ましいあり方とどういう点で異なっているか、より改善していく点はどういうところにあるかということをご検討いただくためのベンチマークとして、この苦情・紛争解決支援のモデルというものを作成したわけであります。

そのモデルに基づきまして、それぞれのADR機関において、みずからの機関の現状がどうなっているかということをご検討いただきまして、そしてそれに基づいてそれぞれの機関のあり方あるいは規則あるいは体制の見直し・改善を図っていただいている。現在そういう状態にあるわけでございます。

金融トラブル連絡調整協議会の活動の中から浮かび上がってきました問題といたしまして、一つは投資教育に係る問題がございます。実際、投資教育の不足からそういったトラブルがある面でこじれるとか、いろいろな問題が起きているわけでございまして、そもそもトラブルの発生そのものがそういった点から出てきているということがうかがえるわけであります。このADR活動をより積極的に行い、その中からそういった反省点あるいは学ぶべき点を抽出することによって、いかなる消費者教育が必要かということをそこから学び取っていって、そしてそれを今後の消費者教育に活用していただくということが大きい成果として期待されるところであります。

もう一つが投資者保護に係る問題でございまして、金融トラブル連絡調整協議会の協議におきましては、非常に具体的な投資サービスをめぐる紛争の問題が提起されております。その中で、例えば最近非常に問題が多発しており、深刻な問題として議論されましたのが、外国為替証拠金取引でございます。これは、はっきり言ってそういった投資取引を行うことの理解力等が十分でないと思われる方が外国通貨の売買の信用取引を行って、その結果非常な損失を被っているということが、最近非常に多発しているわけであります。ところが、外国為替証拠金取引というのは、現在の各金融に関する法制の谷間に抜け落ちているわけでありまして、証券取引法なり金先法、その他どれをとっても入ってこない分野になっている。中には規制を受けている業者が扱っている部分も若干はありますけれども、むしろ全くそういった法制の整備されていない分野、全く何らの業者に対するルールのない業者が扱っている場合が非常に多いということが明らかになっているわけであります。そして、いわばそういう各業態の谷間に落ちたところで紛争が起き、それに対する紛争解決のチャネルが全くないという状態に陥っていますし、それから法制による投資者保護が図られていないといったいろいろな問題が明らかになっているわけであります。

そういうものを見ていきますと、従来の縦割りの一定の分野を決めたいわば業法スタイルの投資規制法ではそういった新しく生まれてくる投資サービス等に対応できないということがそこに如実に示されているわけでございまして、まさに現在第一部会で検討されておりますような投資サービスに関するこういったルールの枠組みがぜひ必要である。しかも、できれば、そういった新しい投資サービスが生まれてくるごとに後追いで立法していくのではなくて、本来望むべくは、包括的な金融サービス法みたいな法制の整備がされて、むしろ新しいそういった投資サービスが現れても、自動的にそういった法制の中で投資者保護なり紛争解決のチャネルが用意されているという体制にあることが望ましいということが示されたのではないかと感じております。

以上でございます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、もう一つ、経済産業省の日下部課長から「投資家保護ルールとして証取法を適用する際の重要論点例」というペーパーを出していただいておりますので、お話しいただければと思います。

○ 日下部経産省産業組織課長

ありがとうございます。恐らく、先ほど大森課長からご説明のあった資料1-3の後ろに、経済産業省の名前で「投資家保護ルールとして証取法を適用する際の重要論点例」というものを配らせていただいております。

最初に、冒頭のボックスの中に、大森課長からご紹介のありました投資サービスに対する投資家保護ルールに関する論点案の抜き書きをしております。我々は、この金融審第一部会が再開されて以降、終わるたびにファンドの方々と議論を重ね、最初、正直申し上げて、先ほどちょっと大森課長からもご紹介がありましたが、有価証券規制の証取法にそもそも投資事業組合のスキームはなじむのかというところから議論が始まったのですが、ようやく投資家保護ルールを適切に講じることによってファンドの発展を図っていこうという方向に大分意識は変わりつつあるなと思っております。ただ、そのときにルールのつくり込みの仕方というのはとても大事でございますので、この金融庁からご提示がある論点案ということにつきまして、仮に証取法というアプローチでいった場合にこれぐらいは押さえておいていただければという点をちょっとご紹介申し上げたいと思います。関係者の中から相当いろいろなご意見が出たのですけれども、一応経産省として合理的な範囲内に絞り込んでご紹介申し上げたいと思っています。

1つ目は、1.で書いてございますが、投資事業組合について証取法の適用を行う場合にまず課題になりますのが私募の範囲でございます。現在、例えば中小企業等投資事業有限責任組合法、これは組合員数の上限を100人としております。したがいまして、例えば証取法の私募と公募の線引き、いわゆる非適格投資家50人、適格投資家50人という議論を簡単に当てはめてしまいますと、どうしてもはみ出しが出てきます。一方で、100人の枠の中で、今まで具体的なトラブルがなく、未公開株式投資をしているファンドについては健全に運営されてきたという事実、50人を超えるファンドもすでに存在していることについての実態をどう反映させていくのかということも大事かと思います。

それから、適格機関投資家の範囲の見直しという議論は、かなり出てきております。例えば、アメリカにおきまして適格機関投資家というのは、事業会社とか年金等については屆出が不要で、すべて対象になっているでありますとか、あるいは年収が多い富裕な個人は適格機関投資家の中に含まれているという実態もございます。したがって、合理的な範囲の中で投資事業組合の今までの実績を踏まえた新しい私募の範囲の設定をご検討いただければという議論でございます。

もう1点、次のページをあけていただきますと、他方で一般投資家から募集する場合の開示のあり方でございます。実はこれをやりたいという人は極めて少数なのですが、仮にやるとするならば、例えば継続開示のあり方についても、組合の持分自身が非常に流動性が低くて、なかなか転々流通する実態にございません。ですから、従来の証取法における継続開示のあり方とは違った、ある種新しい継続開示のあり方という議論も必要でしょう。あるいは開示内容につきましても、公開株式ではなくて未公開株式に投資を行っているようなファンドにつきましては、一般的な財務データというのはあまり投資家の判断には役に立たないというのが実態でございます。ですから、そうした開示内容につきましても、従来の証取法の開示内容とは一味違った工夫が要るのではないかと考えております。

3番目、税制の扱いでございます。現在、投資事業組合は、民法組合の特例ということで構成員課税になっております。これが非常に投資のインセンティブを高めるということでございますので、こうした投資家保護ルールをある種の別の法律の枠組みに入れたときに、こうした投資事業組合の持分の税制上の扱いは従前と変わらないというところを確保することも大事かと思います。煎じ詰めれば、証取法等の投資家保護ルールを適用すること自身については前向きに検討していくべきだと思っておりますが、投資事業組合の多様性に鑑みながら、現在の証取法上の投資家保護ルールを一律に適用するのではなくて、実態に合ったきめ細かな対応をしていただければということでございます。

以上でございます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、これまでご説明いただきました、資料番号でいうと1-1から始まって今経産省から出していただきましたペーパーまでを含めまして、ここで皆様方からご自由にご意見、ご質問をお出しいただきたいと思います。どの項目についてでも結構です。また、どなたからでも結構です。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。上柳委員、どうぞ。

○ 上柳委員

2点質問があるのですが、1つは資料でいいますと1-3の関係で、最後に「投資サービス法」という言葉が出ているのですが、既にご説明があったのかもわかりませんけれども、これは今まで語られている金融サービス法との関係といいますか、特に意識されて言葉遣いをされているのかどうか、伺いたいと思います。

それからもう1つは1-4の関係で、金融トラブル連絡調整協議会が精力的な議論をされているのは私も知っているつもりなんですけども、これはもともとのスタートは、まさに岩原座長からありましたように、法の谷間に陥る、あるいは金融サービスによって紛争解決のあり方があまりに差があるということではまずいのではないかといったことから、包括的あるいは統一的な紛争処理を目指していたのではないかと私は思うんですが、その方向に動いているのかということと、それから、さらに細かくなりますが、例えばモデルの中には、いわゆる資料提出の要求を規定にきちんと入れようとか、あるいは業者さんからいいますと、調査に協力する義務を決めようといった方向になっていると思うんですけれども、このモデルができて、その後業界の実態はいかなるものかということで、改善される方向にあるのでしょうかという点です。

それからもう一つだけ、最後に経産省の方からお話がありましたけれども、私はまだ寡聞なのですが、いわゆる投資事業組合法についても、私の仲間が、地方自治体から回ってきた相談のようですけれども、疑わしい例があるとも聞いていますので、詳細はまたお知らせしたいと思いますけれども、全くトラブルがないということではなかろうと。これはスキームができれば、必ずそれを悪用する人は出てくるのではないかということで、むしろ証取法についても前向きに適用を考えて、安心感を示すということも重要なのではないかと、これは意見です。以上です。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

それではどうしましょうか。大森さんから。

○ 大森市場課長

当然これまでの金融サービス法の議論を意識しておりますけれども、預金や保険まで含めてというよりは、投資という行為に着目して、さまざまな投資サービス、その名称とかスキームの形態を問わず、投資家にとって経済効果が同じであれば同じように保護されるべきですし、サービスを提供する事業者側から言えば、同じように規制に服していただく必要がある。そういった環境が整うことによって、名称とかスキームの形態を問わず安心して投資ができるようになるということが、貯蓄から投資への流れの加速にも寄与することになるのではないかという気持ちで申し上げた次第でございます。ただ、非常に実務的な情けないことを言って恐縮なんですけれども、こういったことを実際にやろうとしますと、大変なマンパワーを必要とすることになりますので、先ほど中期的な課題と申し上げたのは、そのような気持ちを込めてでございます。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

協議会関係で岩原委員から何か言っていただくことは可能ですか。

○ 岩原座長

では、一応私がお答えして、その上で、もし可能ならば居戸課長からでも補足していただくということで。先ほどの金融審議会答申の文書自体にございますように、先ほどの資料1の3の(1)、(ニ)というところをご覧いただきますと、「以上の結果、将来的な統一的・包括的制度も視野に入れつつ、既存機関の運用面での改善等、現時点で取り得る効果的な方策を早急に実施する」ということで協議会は発足したわけでありまして、まず現在の既に現場に存在するそういったADR機関を少しでもよくして、その中から、そしてそれぞれの機関の間のまさに先ほど申しました機関間連携とか協力関係とか、そういうことをよりスムーズにやっていって、その中でまさに実務にうまく合った形で可能になってくるならば、将来的にはそういった包括的な統一的ADR機関も可能なような道筋も考えていきましょうと。とりあえずはまず現在可能な現在のADR機関の向上から図っていこうと。そのために、それぞれたくさんあるADR機関を向上するために、まずさっき申しました望ましいベンチマークをつくって、それに合うようにそれぞれのADR機関に努力していただくということで始まったわけです。モデルをつくってベンチマークができ、かつそれに従って、少なくともルール等の面では各ADR機関がほぼそれに合わせるような形で改善を図っていただいております。まだ14年にできたばかりで、実務面でどこまで現実に向上が見られるかはこれからと思いますけれども、少なくとも参加していただいている各ADR機関はそれぞれ誠実に努力していただいていると理解しております。一応ベンチマークもできましたので、今後、よりさらにステップアップするために、おっしゃるような包括的な機関を含め、今後何ができるかというのはこれからさらに検討していこうというところでございます。

居戸さん、もし何かありましたら。

○ 神田部会長

居戸さん、よろしゅうございましょうか。

それでは、原委員、どうぞお願いします。

○ 原委員

私も金融トラブル連絡調整協議会のメンバーに所属して一緒に議論を重ねてきておりまして、今日の席で岩原先生から発言していただけるということで、連絡協議会の方でも、ぜひ金融審議会に上げて、どういう議論をしているかということをぜひこの場でもご報告していただきたいと申し上げておりましたので、今日岩原先生から発言していただけて大変よかったと思っております。

それで、私の方から補足というのは大変おこがましいのですけれども、金融トラブル連絡調整協議会ができたその発端については、金融審議会での平成12年のペーパーに出ているとおりです。ただ、私としては、ここに将来的なというのを書いたのは4年前なので、もう将来が来ていると感じているというところです。モデルができて、それぞれの業態間の移送ルールというのも定めて、ある程度ベンチマークになってきているという、第一段階のステップが大分そろってきたといった印象はあるのですけれども、これが実質どういう運用になっていくかというのは、まだちょっと1年から2年ぐらいのところなので、これからかと思っているのですが、ただ、飛躍的に何かが変化するという感じはちょっと今のところ見受けられなくて、もっと抜本的に横断的・統一的な紛争の処理の仕組みを考えていかないといけないのではないかという感じがしております。それは、先ほど上柳委員の方から出ました資料提出とか、調査協力とか、結果の尊重とか、このあたりがまだまだ実際に運用しても弱いのではないかという感じです。

それから、具体的に外国為替証拠金取引の話が出てきました。それから無認可共済のトラブルの話もありまして、各地の消費者センターへの金融トラブルの苦情の件数は倍々ゲームで増加しているというところが、消費者金融とは別にしてもありまして、何らかの有効な手だてを講じていかなければ、それも国民に見える形で講じていかなければいけない段階に来ていると考えております。ちょっとそのように補足して、これは金融サービス市場法の中の一つとしてこの苦情・紛争解決というものを位置づけるということも当初の議論であったかと思いますので、そのこともつけ加えておきたいと思います。

○ 神田部会長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。高橋さん、どうぞ。

○ 高橋(伸)委員

では、補足的に私も意見を申し上げたいと思うんですけれども、協議会自体は2000年の9月からスタートしておりますので、もう3年余り活動をしてまいりました。その中で、初期にやりましょうということで取り組んだ課題―岩原先生がおっしゃった、今何ができるかという問題-に関しては、ある程度やるべきことはやったのではないかという認識を持っております。ただし、投資トラブルの増加に対して協議会の活動が有効かというと、それは有効ではないようだという結論も残念ながら得てしまったところでございます。それは、業や法の谷間に落ちる商品をどうするかということについて、協議会の場で業界の方々と私ども中立委員とか消費者団体と議論をしても結論が得られませんので、これは金融審議会でやっていただきたいテーマということになっております。

それからもう1点は、各業界団体、自主規制機関も含めてなんですが、業界団体が苦情・紛争解決に対する取り組みをやっておられるのですけれども、その実効性という問題になったときに、かなり業界によってばらつきがある点です。規則だけ改定しても、実際には苦情の受け付けに留まり、紛争の解決までは乗り出さないといった機関が多数ございます。また、既に紛争処理のいわゆるADRのようなものを持っている業界団体でも、それが法定化されていないために、実質的には業界団体の限界といいますか、自主規制が働かないという問題が起きてきております。日本証券業協会のあっせん制度のように法定化しているものは徐々に実効性が上がっていますが、そうでないものに関してどうしていくかということに対しては、協議会で話し合っても解決できないというところにきてしまっております。

それから、投資取引ということで言えば、トラブルは増加していることは間違いないのですけれども、苦情・紛争処理機関が適切に対応できるかというと、まさに業や法の谷間に落ちてしまう取引がふえています。日本証券業協会のあっせん制度は、有価証券かつ日証協の会員であるという規定がついておりますので、例えば昨年から銀行の窓販が始まりました変額年金などは対象外です。証券会社が販売しても有価証券ではないから扱えないということになりますし、投信会社の直販の投資信託などというのもそこでは扱えない。一般の消費者から見ると、外国為替関連の外国為替証拠金取引等々も投資取引という理解なのに、これなどはどこの業界ADRにも持っていけない状況になっております。ですので、有価証券概念の拡大であるとか、自主規制のあり方であるとか、こういう論議はやはり当審議会で検討すべきだと思います。

先日、国民生活センターの方から「投資取引における消費者向け情報に関する調査研究報告書」が出ております。ご覧になられたかもしれませんが、2002年度の苦情で見ますと、販売形態別では訪問販売や電話勧誘販売などの不招請勧誘が投資取引トラブルの8割以上を占めているという結果が出ております。これにつきましては、2000年の金融サービス法に関する検討を行った金融審の作業部会でも、不招請勧誘をどうするのか、販売勧誘ルールをどうするのかということでかなり話し合いをしました。しかし、適合性の原則に関しては努力義務規定みたいな形にとどまった経緯があります。そこのところの問題が噴き出しているわけなので、金融商品販売法で販売勧誘ルールに関しての措置が今のままでよいのかということを含めて、これも金融審で取り上げていただきたいと思っております。以上です。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

また次々とやらなければいけないことがたくさんありそうで、大変ですね(笑)。ほかの委員からも……。それでは、島崎委員、どうぞ。

○ 島崎委員

資料1-1の4ページの課徴金の金額の水準のところで、もう既に議論されたのかもしれませんが、1点ちょっと確認させていただきたいんです。まず、一番上の○のところで、少なくとも違反行為による利得の吐き出しが必要ではないかということですが、これは現行の刑事罰の没収・追徴との関係がどうなのかという点と、それからその下の○のところで、「社会的損失」も考慮して金額を決めたらどうだということですけれども、これも現行罰金というのがあるわけですけれども、そのあたりの関係をちょっとお伺いしたいというのが一つです。

それと、課徴金の手続のノー・アクション・レターの活用の点につきまして、これは予見可能性の向上ということで、こういう形で活用していったらいいと思うんですが、さらに課徴金を課した事例とか、あるいは検討調査したけれども課さなかった事例、グレーのもの、こういうものについての公開というのですか、会社名まで出すかどうかは別にしまして、そういうことをすることによって、日本の場合には意外と判例というか、事例が少ないということがあるので、そういうものを公にすることによってこういうのに生かしていったらどうかなと思っているんです。これは意見ですけれども、前の2点は質問です。

○ 神田部会長

ありがとうございます。

では、前の方は三井さんからお願いします。

○ 三井調査室長

まず、利得の吐き出し、それから社会的損失と罰則・没収・追徴との関係でございます。その制度の前提としまして、なぜ課徴金が要るのかというところにさかのぼりまして、刑事罰しかないという類型の違反行為につきましては、刑罰の補充性なりあるいは謙抑性という関係からその刑事罰が科される部分というのはある意味では違反行為のごく一部の悪質なものである、したがってそこに至らないものというのは刑事罰では手が打ちようがないので課徴金が必要であるということから出発しまして、そうするとその真ん中辺は課徴金だけしかかからないわけですが、そのごく一部の悪質な事例については刑罰を追及していくということになる。そうすると、その刑事罰をかけるべきものについて課徴金をかけるかかけないかということでありまして、これは最初の10月の資料でご説明いたしましたが、外国では幾つかの考え方があります。アメリカ、フランス、イギリスは、制度としては二重にかける。ドイツはいずれかかける。途中から刑事手続に変わったり、刑事が途中で行政手続に変わったりという柔軟な制度をとっている。仮に二重にかける制度をとる型であっても3カ国で少しずつ違っていまして、アメリカは一切調整しないで完全にダブルでかける。フランスは罰金額から課徴金を引いてやるという制度があるということと、それから罰金の最高限度額を超えないという制限がある。イギリスは二重にかけるのですけれども、FSAのポリシーとして、そのどっちか片方で済ます、効率的な運用を目指すということを言っている。日本ではどのような制度があったかといいますと、交通反則金以前の制度は、いわゆる通告制度ということで、課徴金、反則金だけをかける。刑事罰へ行くものは刑事罰一本で処理をする。それから、独禁法は両方かけるという制度になっております。証券取引法については、まさにそこの点について法制局や法務省と今議論しております。

制度の立て方としてどちらが安定的かということなんですが、まず利得の部分につきましては少なくともペナルティーにはなり得ないということではありますし、諸外国の例を見ますと、利得と同額程度のペナルティーを別途取っているケースが多うございます。これは資料で紹介させていただきましたが、高額な課徴金の例としましてエンロン以下もろもろの事件がございますが、ほぼそこにあります民事制裁金課徴金額と同額のディスゴージュメントというのを別途取っておりまして、逆に言いますと、ディスゴージュメント、利得の吐き出し額にほぼ同じぐらいの額のラウンド数字または同額の課徴金を取る、あるいはインサイダーであればその1.5倍、2倍、最高で3倍取るとなっている。

したがいまして、憲法上の争点、これは日本でどうかというのは今後さらに議論を詰める必要はありますけれども、必ずしも諸外国では利得の範囲内でなければ二重の処罰に当たり憲法違反になるとは考えられておりませんで、それを上回るものについては憲法上の制約はないと考えていますが、今度は立法政策としてどの程度いただくのが実効性確保として適当かということがあるかと思います。安過ぎてもいけないんですけれども、高過ぎては当然いけないということになりまして、そこがどのぐらいか。おっしゃるとおり、利得についてもし刑事罰がかかれば、没収・追徴がございますので、そことの間の調整は必要だろうと思います。利得を取るための没収・追徴に対して、利得と考えて取る課徴金はダブルには取れない。ただし、先ほどの繰り返しになるんですけれども、利得と同額程度のペナルティーを海外では取っている例がありまして、その利得と同額程度のペナルティーは取りましょうという考え方であるとすると、没収・追徴とは調整しないことになろうかと思います。その場合に、利得ではない利得と同額程度の課徴金については、今度は罰金額との関係をどう考えるかをアメリカのように併科するかどうかという論点がございます。ちょっとややこしくて恐縮なんですが、そこについては、具体的な制度設計で、高くなり過ぎない、低くなり過ぎないということで、よく検討していこうと思っております。

○ 神田部会長

非常にプロフェッショナルな説明で、後からよく議事録を読んで考えないと、すっとなかなか頭に入らないかないかもしれませんが(笑)。よろしゅうございますでしょうか。きちんと検討しているということでございますので、またさらに議論を深めて、検討も深める過程でご意見を賜れればと思います。

時間も押しているのですが、最初の3つの柱は非常に重要な点が多く、ずっとこの部会で議論してきておりますので、ほかの委員からもご意見があれば、ぜひお出しいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。どうぞ、高橋さん。

○ 高橋(伸)委員

重ねての発言で恐縮ですが、投資教育のあり方に関して意見を申し上げたいと思います。

投資教育の必要性というのは新しい金融の流れに関する懇談会のときから検討課題にされていて、実は金融審議会で99年から2000年にかけても検討されました。私はそのワーキングのメンバーで、教育についてレポートしましたので、その辺を振り返りつつ、ちょっと違いに関して1点ご質問したいと思っております。と申しますのは、99年から2000年にかけての検討のときには、あえて「投資教育」という言葉は使わないで、「金融分野に関する消費者教育」とか「金融に関する消費者教育」という言い方で話を進めまして、報告書もそのようにまとまっていると思います。

当時の議論では、法制化するものとして金融商品販売法をつくることと、トラブルに関しては先ほどご紹介がありました協議会を作って検討するということと、もう1点、消費者教育に関しては、私としては金融庁がやるべきであるという主張をさせていただいたのですが、金融庁がまだ誕生したばかりで、マンパワーの点からも無理だということで、財務省・金融庁・文部省がいろいろ絡んでいて、日銀に事務局があります金融広報中央委員会がイニシアチブをとって、いろいろな機関とネットワークを組んで推進していくという流れになったわけでございます。

その際になぜ「投資教育」という名前を使わなかったかというと、日本人の場合には、まず金融商品に関して、自ら商品やサービスを主体的に選択するというスタンスがないわけで、教育としては、基本的な消費者教育として、まず主体的な意思決定を促すことが重要であると、投資教育以前の問題が非常に大きく取り上げられました。それから、市場における消費者の役割というものをどのように認識してもらうのかとか、リスクに対する教育をどのようにやっていくかとか、その辺を金融広報中央委員会に場所を移してここのところ2、3年議論してきています。まずそこが達成される必要がありまして、いきなり「投資教育」といわれると抵抗があります。去年の秋ぐらいからこの言葉が金融審の中でも出てきたと思うんですけれども、平成12年、2000年6月の報告との関連でどうするのかということは、ぜひ確認させていただきたいと思っております。そこが達成したのであれば、その先の投資教育というところに進めると思うのですが、私自身のここ3年ぐらいいろいろな方々と検討してきた理解で言えば、子供の小さいときに金銭教育というのは重要で金銭教育を通して消費者教育をすることもできます。それから、学校に行きますと、消費者教育というのは一つの学習課題になっておりますから、主体的な意思決定をするという意味での消費者教育をし、その上に金融経済教育を重ねていく。それができた人が初めて投資のノウハウ等を学べる。「投資教育」というのをどのように定義するかということなんですが、すでに社会人になった一般の方々が「投資教育」と言われたときには、金融経済の知識もさることながら、投資ノウハウみたいなものを非常に意識してしまうわけなので、言葉の使い方も含めて、もう一度整理していただけたらと思います。以上でございます。

○ 神田部会長

ありがとうございます。

○ 大森市場課長

今おっしゃったことを否定するつもりはまったくございませんで、金融広報中央委員会は前身が貯蓄増強中央委員会ですから、当然そういう考え方でやっておられるのだと思います。ただ、その中で、金融システムの将来ビジョンでも明確になっておりますけれども、市場機能を中核とした金融システムへ再構築していく、マネーフローを銀行預金貸出から市場を通ずるマネーフローに変えていくということが日本の金融システムひいては実体経済にとって好ましいことであるということが年々強く国策として意識されてくる中で、トータルの金融教育の中で投資という部分に力点を置いていくべきではないだろうかということで、議論を続けてきたということでございます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

要するに、高橋委員のおっしゃっているような趣旨は含まれているということでいいと思うんですが。

○ 高橋(伸)委員

すみません、一言だけ。

○ 神田部会長

どうぞ。

○ 高橋(伸)委員

非常にわかるのですけれども、国策として金融システムには改革が必要であるということが国民に伝わっていないことが最大の問題だと私は思っています。教育としては、そのビジョンの方を先に出して行うべきで、投資教育というのがひとり歩きしてもらっては困ると思っております。

○ 神田部会長

ありがとうございます。そこは、2ステップで、まず高橋委員のおっしゃるところをきちんと書いて、そしてその上で、次にようやく投資教育だということをわかるように書いた方がいいですかね。どうも重要なご指摘をありがとうございました。

○ 池尾座長

ビジョンは去年の秋に出しています。

○ 神田部会長

たしかに、どうも「投資」という言葉もわかりにくいですね、そう言われてみると。最初に上柳委員のご質問にもありましたけれども、金融サービス法という名前のもとでやってきました「金融」という言葉を使うと、今の高橋委員のお話もありましたけれども、やはり銀行や保険が含まれますね、日本語で言いますと。それで、今日のご説明、先ほど大森課長からご説明がありました1-3の最後の言葉で言うと、証券取引法というのを仮に改組して横断的な法制ということを考えた場合に、では銀行法も保険業法もなくして一本にしますかということもあり得る選択かもしれませんが、ちょっとすぐに現実的でもないですし、それから、繰り返しになりますけれども、エンフォースメントの方の議論との平仄から言いますと、やはり銀行・保険を除いた分野をまずとにかく横断的にするほうが重要ではないでしょうか。そうだとすると「投資サービス」という表現の方がふさわしいように思われるわけです。それは、イギリスで言えば1986年の方の金融サービス法がまさにそうだったわけです。ですから、そのあたりがまず目標になるのではないか。その後で、イギリスで言えば金融サービス・市場法という、そこまでいくのかどうかというのがまた次のステップとしてあるように思うのですけれども。他方で金融商品販売法は全部横断化していますし、高橋さんが今おっしゃったように、消費者サイドからすれば、まずベーシックなところがあって、それからそういう投資の分野があるということだと思いますので、その辺はよく整理しなければいけないと思います。

それからもう1点重要なことは、これは原委員が強調された点だと思いますけれども、恐らく仮に投資サービス法のような形に証券取引法を改組することができたとしても、ディスクロージャー、それから一般の市場取引型の不公正取引のルールというものは詳細にある程度つくっていくことができるのかもしれませんけれども、結局販売勧誘ルールのところとか、それからご指摘のありました苦情処理制度というんでしょうか、そういうところが伴ってこないと、トラブルがあっても、金融庁かほかの所か知りませんが、全部これを処理するというリソースはとてもじゃないけど大変なことですので、そうだとしますと、あわせて販売勧誘ルールと裁判外の苦情処理制度、イギリスで言えばオンブズマンという制度がありますけれども、そういったものも伴ってこないと、ただ間口を広げただけではなかなか実効性のある制度にもなりませんし、なかなか大変かなという感じがいたします。そういう意味では将来に向けてまだまだたくさん課題があると思うのですけれども、一つ一つこの部会でやれることはこの部会で進めていければと感じます。そんな感じでよろしゅうございますでしょうか。

それでは、次へ進ませていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

次は、2つのワーキング・グループからのご報告をお願いできればと思います。順序は、まず最初に取引所のあり方に関するワーキング・グループの検討状況につきまして、座長を務めていただきました池尾委員と、それから事務局からご説明をいただければと思います。よろしくお願いします。

○ 池尾座長

資料2-1をご覧ください。それで、詳細は追って事務局からご報告いただきたいと思いますので、私からは位置づけのようなことだけお話ししたいと思います。

めくっていただきますとメンバーの表がありますが、この場におられる黒沼委員とか吉野委員にも参加していただきましてワーキングをやったということで、その次のページに報告(概要)というのがありますので、それをご覧いただければと思います。それで、この取引所のあり方に関するワーキング・グループ自体は昨年の8月6日に公表された証券市場の改革促進プログラムを踏まえて設置されたわけですが、設置された後、昨年度は取引所のグローバルな展開に係る論点について審議をし、第一部会に報告をさせていただいたということです。その後少し休んでいたのですが、また仕事をしろと改めて言われまして、今回は国内市場の制度整備その他の課題に関して、4回にわたり検討を行いまして、大きく3つの点に関しまして結論を得たということで、このたびご報告申し上げたいということです。

1点目は、市場間競争の制度的枠組みということで、従来PTSと取引所の区別を価格形成機能の差で区別していたわけですが、そうではなくて、PTSにも取引所と同様の機能を認めるべきである。それから、グリーンシートというマーケットがありますが、それに関しましても、その健全な発展を促す観点から、証券取引上の位置づけを明確化した方がいいのではないかという、そうした点が市場間競争に係る制度的枠組みです。

もう1つは、取引所取引原則を見直して、最良執行確保といった形で制度を整備すべきであるということで、取引所取引原則の見直し、最良執行のあり方について、結論を一応得ております。

最後に、市場開設者のあり方に関しまして、自主規制のあり方等について検討を行ったということであります。

これら3項目に関します検討結果は次ページ以降に掲げられておりますので、その方向で必要な制度整備・検討が速やかに実現されることを期待したいということですが、次ページ以降の内容につきましては大森課長の方からご説明をお願いします。

○ 大森市場課長

結論は今、池尾先生にご説明いただいたとおりでございますので、背景を中心に簡潔にご説明いたします。

今年のこのワーキングは、平成10年の金融システム改革、日本版ビッグバンで市場間競争の枠組みをアメリカに倣って整備いたしまして、それが当初予期したとおりになっていないとすれば、それは制度の問題なのか、運用の問題なのか見きわめた上で、制度として改めるべきは改めていくと、一言で言えばそういうことでございます。

店頭市場を取引所市場と同等の市場として証取法に規定した。これは言うまでもなくNASDAQを意識したものでありますし、取引所集中義務を撤廃して、取引所外取引の場としてPTS(私設取引システム)を導入した。これも、アメリカにおいてインスティネットのようなPTSが取引所にとって脅威となるような存在になっている、それから未上場株のグリーンシートもピンクシートにおいて広範に取引が行われている、そういった米国の実情を意識しての改革でございました。まず、店頭市場はその後JASDAQと呼ばれて認知度は高まりましたけれども、元来証券会社の店頭での相対取引でございますので、機能面での制約がありますし、既存取引所と重複上場ができないので、どうしても取引所までの経過的な存在になってしまう。したがって、現在JASDAQが自身の取引所化によって既存取引所と重複上場しながら競争していこうという方向性は市場間競争に寄与するものとして評価できるのではないかということでございます。それから、PTSが先ほど池尾先生のお話にありましたように、価格形成方法を限定することによって取引所と差別化をするとともに、顧客から明示の指示がない限りは原則取引所で執行するということになっておりますことから、制度的に取引所取引が優遇されている。ここのイコールフィッティングを図らねばならないのではないかということでございます。

次のページ、グリーンシートについては、何と言ってもいまだ認知度が低いということで、先ほどお話がありましたように、店頭はJASDAQになって、当面制度としては空になるわけですけれども、将来的な店頭取引の受け皿の場として存置しておいても差し支えないのではないか。PTSについては、取引所と同様、オークションによる価格形成方法を認めて、取引量によって取引所の免許を取得していただく。そうなりますと、3ページにかけてございますように、公開買付規制等の適用関係、あるいは不公正取引といったことについても整理していく必要があるということでございます。

グリーンシートについては、証券業協会の規則で規定しておりますけれども、ちょうど5年前の店頭市場のように、証取法に明確に位置づけ、認知度をアップする、そして不公正取引規制の対象として投資家の信頼を高める、そういった手当てが必要ではないか。ただ、3ページの下から3行ぐらいにありますように、例えばディスクロージャーについての規制といったものは現行どおりとして、参入規制を高めることなく認知度アップを図っていく必要があるのではないか。このグリーンシート銘柄への投資を株式上場益がある場合に所得控除するといった支援税制も現在あわせて要請しているところでございまして、そういった措置とあわせまして証取法もきちんと規定をして、まず中小企業の一般的な資金調達手段として認知していただくべきではないかということでございます。

それから、4ページに市場間競争の姿とありまして、東証への取引の集中傾向という議論がかなりございました。市場参加者が流動性を求めたことの自然な帰結という側面がありますし、上場企業にとっても、東証以外での取引が成立しにくいために重複上場を見直すことから、一極集中が加速する循環構造になってしまっている。一方、市場間競争を促進するためには、有効な対抗勢力が存在した方が、東証自身も効率経営に向けた不断のインセンティブが働き、ガバナンス上有効と考えられる。こうした観点から、JASDAQの取引所化を契機に、JASDAQと東証以外の取引所との連携が重要という指摘、あるいはJASDAQを含む新興市場間の取引ルールの統一や統合を目指すべきとの指摘がございました。誰と誰が一緒になってという具体的な姿を推奨することは行政の任ではありませんけれども、こうした課題については、今後関係者間で、利用者利便を踏まえた前向きな検討が行われることが望ましいという形でまとめさせていただいております。

また、米国における非上場取引特権制度についての議論もございましたが、仮にこの制度を導入しても、なかなか地方取引所の活性化にはつながらないのではないかという意見が大勢でございました。

次に、関連いたしますが、取引所取引原則。仮に取引所とPTSの競争条件のイコールフィッティングを図るといたしますと、顧客が何も言わない限りは取引所だという証取法37条を見直しまして、それに代えて証券会社に最良の執行をしていただくという、37条のような規定あるいは最良執行義務がないというのは先進国では日本だけの状況でありますから、やはりそういう方向にしていくべきではないかということでございます。具体的には、6ページにございますように、下から2番目のパラグラフ、各証券会社が最良執行の方法についての方針・業務方法を定め、これを顧客に開示することにより透明性を確保する、その最良執行が行われているかどうか検証するために、価格、数量、執行時間等についての報告・公表を義務づけるといった形で議論が集約されております。

この背景には、大多数の投資家にとっては、取引所なかんずく東証において取引が執行されることに特段の痛痒を感じていないというか、それが投資家にとっても望ましい場合が多いであろうという現状を踏まえまして、証券会社にことさら新たな負荷の重い形の義務づけを課すのではなくて、何が最良かというのはそんなに単純な話ではありませんから、自ら方針・業務方法を定めた上で開示していただくといった義務の形でございます。したがいまして、6ページの最後にありますように、例えば価格のみに着目して事後的に最良の条件でなかったとしても、それのみを理由に証券取引等監視委員会から指摘されるといった性格の義務ではないということでございます。

最後のページは、先ほど監視体制の中で申し上げたことと重複しております。取引所ワーキングですから、取引所あるいはJASDAQを開設している証券業協会というものを想定して、検査の重複問題は、重複を排除して効率化していくべきである。それから、その機能が利益相反の可能性のあるものについては、組織としての分離を検討していくべきであるということが、このワーキング・グループにおいても提言されているところでございます。以上でございます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ここで池尾先生と事務局から今ご説明いただきました取引所ワーキングの検討状況のご報告につきまして、皆様方からご質問、ご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。どなたからでも。上柳委員、どうぞ。

○ 上柳委員

勘違いな質問なのかもしれませんが、横書きの5ページから6ページにかけてでしょうか、最良執行義務の考え方なのですけれども、事後的に評価して価格だけで例えば監督が執行されたり、あるいは損害賠償義務が発生したりするかどうかというのは私もよくわからないので、いろいろ、やや違うのかもわかりませんけれども、やはり基本的には価格の問題なのではないかと私は理解していたのですが、具体的にそのほかのことも考えて総合的にと言うと結局どういうことになるのかと。とにかくこういうことを考えるということを事前に開示しておけば済むとも読めるんですが、もし解説いただければありがたいです。

○ 大森市場課長

この話は元来非常にいわく言いがたいところがございまして、ご指摘の6ページの2番目のパラグラフに、「最良執行について、開示されている気配・取引情報に基づき、価格、コスト、スピード、執行可能性といった条件を勘案しつつ、顧客にとって最良の条件で執行する義務」と。例えば、大量のロットをなるべく早く売りたいということであれば、多少安くなっても仕方がないといったこともあり得ると思います。この問題は、市場間競争と言いながら、顧客が何も言わない限り取引所で執行するというルールになっておりますので、注文を受けた証券会社がPTS上に取引所よりも有利な注文が存在したとしても、顧客が言わない以上はそこに取り次ぐことはできない。取引所側からすれば、そういう制度であるがゆえに、取引所イコール証券市場みたいな状況になってしまっているのではないか。そういった義務といいますか、原則が先進国においては日本のみでありますし、証券会社が顧客のために複数の市場から最良の執行をする義務がないというのも日本だけでありますから、何とかそういった考え方は日本の市場においても導入すべきであると。ただ、現実には取引所なかんずく東証に執行をすることが投資家にとってそんなに不利益になっているといった実態にあるとは考えられませんので、そういった理念をどう現実と調和しながら導入していくとかということで、とりあえず考え方としてこういう形で整理をさせていただいたのですけれども、具体的な執行体制、何をしなければならないのかといったことは、今後きちんと検討していく必要があるだろうと考えております。あまり上手に説明できませんで。

○ 神田部会長

通常は価格ですよね。ですけれども、常に価格だけですというのだったら、名前も変えなければいけませんし、そうは言えない場合もあるでしょうということだと思いますけれども、そんなところでよろしゅうございますか。これも非常に難しい問題です。最良執行義務というのは、抽象的に言えば簡単なのですけれども、しかし、さらに詰めていただけるということだと理解いたします。

それでは、先へ進ませていただいてよろしいでしょうか。多少遅れがちで恐縮ですけれども、次に、ディスクロージャー・ワーキング・グループの方の検討状況について、座長の岩原先生と事務局からご説明をいただけると伺っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 岩原座長

それでは、ディスクロージャー・ワーキング・グループから報告させていただきます。お手元の資料2-2の2枚目のところに「ディスクロージャー・ワーキング・グループ」報告(概要)というものがございまして、これをご覧いただきたいと思います。

当ワーキング・グループも、この第一部会のもとに置かれまして、昨年は「証券市場の改革促進プログラム」を踏まえまして、ディスクロージャー制度について幅広い検討を行い、昨年12月にそのご報告をして、第一部会報告に盛り込んでいただき、かつ既に制度改正もしていただいたところであります。

当ワーキング・グループは、それに引き続きまして、ディスクロージャー制度についてのさらなる改善の検討を行ってまいりまして、この8月から10回にわたりまして精力的に毎週検討を行いまして、このような報告を取りまとめた次第でございます。

主な項目としては3つございまして、1つが目論見書制度の見直し、第2が公開買付制度の見直し、第3が規制緩和関係項目ということでございます。いずれも基本的に大きく言えば規制緩和でございまして、例えば目論見書であれば、それについて不必要に込み入った記載を要求しているものは、なるべく簡素化して、むしろ読みやすくした方が投資家にとってもかえって意味のある開示になるといったことで、そのような意味での整理をしたということでございます。

その細かい具体的な内容につきましては、この後、羽藤参事官からお話をいただきますのでそこには立ち入りませんが、その過程で非常に多くの項目を検討し、かなり多くの恐らく法律そのものの改正を含む提案をしておりますけれども、その過程ではさらにもっと大きい議論もして、かつ今後の課題も議論され、今後さらに果たすべきことがあるということを申し添えたいと思います。

その過程で、例えば目論見書、主に投資信託の目論見書の改善の検討をしたわけでありますけれども、そういう問題を考えていきますと、例えば目論見書というのは、現行法では発行者あるいは売出人が用意する文書による開示を規制することによってディスクロージャーを充実するということでありますけれども、実際の証券の販売の現場になりますと、そこのところで単に目論見書だけではなくて、現場の例えば証券会社が販売するときの販売用資料等がある意味では重要なディスクロージャーの内容となってきます。そういった点についても制度的に検討を図っていく必要があるのではないかといった問題意識も指摘され、議論したわけであります。それは広い意味で言えば金融サービス法的な問題にもつながっていくところでありまして、今後さらにそういった点も検討させていただきたいと思います。今後の課題といたしましては、例えば四半期報告書を実現すべきかどうかとか、あるいは英文の開示資料を認めていくかとか、さらに大きな課題が残っておりますので、検討していくことになるかと思っております。以上でございます。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

それでは、羽藤さん、お願いします。

○ 羽藤企業開示参事官

それでは、お手元の資料2-2でございますけれども、その後をめくっていただきますと、まず「はじめに」というところがございます。今、岩原座長からお話しいただきましたように、このワーキング・グループでは、8月以降、特に大きく2つの問題、目論見書制度の見直しと公開買付制度の見直しについてご議論をいただきました。それから規制緩和関係の項目についてもご議論いただいたわけであります。いずれも、一般大衆投資家に有価証券を取得していただこうという場合に、どのようなディスクロージャーを発行体に求めていくのかということは、現行の証券取引法上に所要の規定があるわけですけれども、片や目論見書は、まさしく文字どおり投資家が投資を目論むわけですから、目論見やすいように、わかりやすいようにこれを開示していただくということが課題となります。また、それから公開買付けは、公開買付けに応じるのがいいかどうかという判断を、これは投資家サイドがするのに当たって、どのような情報が開示されるべきであるかという観点から、基本的には先ほどもお話がございましたように、規制緩和ということ、特にコストを全体として下げていくという視点でこれらのものの見直しをさせていただいたものであります。

まず目論見書制度でありますけれども、幾つか細かい点も含めまして、項目が非常に多岐にわたっております。3ページ以下でありますけれども、「検討に当たって」というところの後段にございますように、今回の検討に当たっては、まず一つは、投資信託証券の募集形態等の特殊性を十分に踏まえて、投資信託証券に係る目論見書の記載内容や交付方法等についての改善について検討を行っていただき、そして投資信託証券以外の有価証券に係る目論見書の記載内容、交付方法等についての改善についても検討を行っていただいたということであります。中心は投資信託証券であります。

それから、マル2にございますように、目論見書のみならず、目論見書以外の方法による情報提供、先ほど岩原座長からも言及がございましたけれども、証券取引法が規制を行っている部分がございますので、その点についての見直しもあわせて議論していただいたわけであります。

5ページ目以降でありますけれども、例えば具体的には、5ページにございますように、記載内容を3部構成化するという形でめりはりをつけるということが重要ではないかとまとめていただきました。狭義の意味での目論見書の部分と追加情報の部分とに分けて、そして投資家に必ず交付しなければならない部分を狭義の意味での目論見書の部分とし、そのために必要な事項は何かということで、5ページ目の下のマル1のところに掲記しておりますけども、こういった項目を記載し、そして、6ページになりますけれども、追加情報項目は投資家からの請求に応じて交付するというアイテムとに分けて、ともしますと非常に大部にわたる目論見書のどこにポイントがあるのかというところがわかりにくくなっているという指摘もあるわけでありますけれども、こういう段階的な措置を講ずることによって、投資家サイドからも、目論見書についての読み方あるいは評価というものが、これまでに比べますとより円滑なものになるのではないかということをねらっているものであります。もう一つには、公衆縦覧項目です。これは、特別情報ということで、委託会社等の概況等を初めとして公衆に縦覧をするという形で提供するという、大きくこの3つの項目に分けて、そして交付の義務との関係でも、投資家から請求があった場合に渡せばいいということで、義務については請求がなければ免除されるという形で組み立てをしていただくということで提言をいただいているものであります。

先へ進めさせていただきますけれども、このほかにも例えば目論見書について、9ページに、既存受益者等に対する目論見書の交付義務の緩和とあります。要するに、同一種類の投資信託証券について継続的に募集が行われている場合に、その投資家が同意している場合には、その投資家に対して同じ投資信託の継続募集に係る目論見書の交付というものは、これを免除するということでのご提言をいただいています。

それから10ページに、同一世帯に属する投資家に対する目論見書の交付の特例というものがございます。アメリカでの投信の改革においても、同一のアカウント、Eメールのアカウントも含めて目論見書の交付については、同一であるということでの交付義務の免除を定めているものがございますけれども、我が国での実情などを踏まえまして、世帯として、複数の投資家が同一の世帯に属する場合に、約定が成立するまでの間に同意した場合には、その同意している方が属する同一世帯について、同じ投資信託の目論見書はその世帯に1冊交付すればいいという形で、目論見書の交付についての意見をいただいております。

このほかにも、11ページ目以降、販売会社に関する情報の目論見書への綴じ込みなどを可能としています。

それから、大きな論点として、先ほど岩原座長からお話がございましたけれども、目論見書以外の販売用資料の作成や使用についてルールを明確化すべきであるというご提言をいただいております。これは、19ページであります。現行の証取法の規定上も、有価証券の募集や売出しのために「目論見書と異なる内容の表示をしてはならない」という規定がありますけれども、この「異なる内容の表示」に該当するというものは矛盾や虚偽がある場合であるという点について整理をした上で、ここに書いてございますように一つのルールを明らかにしていくべきであるということでご提言をいただいております。

このほかにも幾つかの規制緩和関連の点がございますけれども、時間の関係もございますので、公開買付制度の見直しの方に移らせていただきます。

公開買付制度についても、基本的に現行の制度が投資家を保護するということで、公開買付けに係る情報の開示を定めている規制と、もう一つは、証券市場の秩序を維持するという意味で、ある意味ではディスクロージャーという枠組みを超えた取引方法についての規律を定めているという部分が今の証取法上の規制としてございます。したがいまして、全体を検討していただいたわけでありますけれども、特に後者の観点を中心にして、規律のあり方について根本的に議論をしていくにはなお時間がかかるのではないかというご指摘もございました。今回の結論といたしましては、まず基本的には、公開買付制度の趣旨として、支配権あるいは議決権という従前の制度の枠組みを前提としながら、その議決権のある有価証券ということで、現行の法制度上規制が過剰ではないか、あるいは十分なのかということから対象の有価証券を見直しするといったところがまず一つございます。

それから、26ページ、27ページですが、3分の1ルールと言われております、著しく少数の者からの株券の買付けについても、合計が3分の1を超える場合には公開買付けによらなければならないこととされている強制的な買付制度を定めているルールがございます。この点については、これを廃止すべきであるという指摘もありましたし、一方、企業の支配権の移動を伴うような相対取引というものは非常に重要な影響を及ぼすので、投資家への情報の開示あるいは株主の平等待遇という観点からは、これを引き続き維持すべきであるという意見もございまして、ここでは基本的には3分の1ルールというものについては維持しながらも、しかしこれまで3分の1ルールのもとで強制的公開買付けの手続を踏まざるを得なかったようなケースに関して適用の除外という部分を広げることによって、企業再編を迅速化あるいは手続を簡素化するということであります。例えば、営業譲渡によって株券を譲り受けるようなケースは、合併や株式交換あるいは吸収分割といったケースで、基本的には有償の譲受けには該当しないようなケースについて、公開買付規制というものが現行では適用されていないことになっているのですけれども、営業譲渡についても、例えばそれと同視していいのではないかといったご提言をいただいております。また、買付者とその特別関係者によって既に過半数の議決権を有する会社の株券を買い付けるようなケース、特別関係者を含めてということで、こういったケースにおいては適用除外の中に入れていいのではないかというご提言をいただいています。

一方で、公開買付けの手続に関しては、規制緩和という観点から、31ページでありますけれども、例えば公開買付けを開始する公告についてですが、現行は2紙以上の日刊紙による公告を求めておりますけれども、これは全国において報道する1紙以上の日刊紙による公告ということで十分ではないかといったご提言をいただき、あるいは電子公告によって公開買付開始公告を行うことを可能にするということが適切ではないかといったご提言をいただいています。このほかにも、テクニカルな点も含めまして、幾つかの規制緩和を中心とした観点でのご提言をいただいております。

37ページですが、規制緩和の関係の項目について、経団連をはじめとして経済界からご意見をいただいている点について検討を行っていただきました。具体的には、37ページにございますように、適格機関投資家について、現行では毎年7月いっぱいに適格機関投資家になるための届出手続をしていただいているわけでありますけれども、これを7月と1月とし、かつ適格機関投資家としての期間を1年から2年という形で延長するということで、適格機関投資家に一定の要件を満たす方々により一層入ってきていただくということをねらうものでもございます。

また、社債に係る「私募」の要件の緩和、あるいは38ページでありますけれども、募集や売出しに係る屆出要件の金額通算について、これを2年から1年に短縮することによって、過去に行われた募集又は売出しという点での制約をより柔軟にするといったご提言をいただいています。

このほかにも、有価証券届出書等の記載内容見直しなど、規制緩和ということで検討をいただきまして、ご提言をいただいたものがございます。

そして、今後でございますが、先ほど岩原座長からもございましたように、このディスクロージャーの制度を中心としましては、例えば四半期開示のあり方について、あるいは英文の開示といったテーマが、今後の宿題としても残っております。

本件につきましても、また事務局として案をつくりまして、引き続きディスクロージャー・ワーキング・グループで所要の検討をしていただきたいと考えておりますけれども、また改めて岩原座長をはじめとして各委員のご協力をお願いすることになりますが、どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げる次第であります。

事務局からは以上でございます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今ご説明いただきましたディスクロージャー・ワーキング・グループの検討状況につきまして、皆様方からご質問、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。それでは、上柳委員、原委員の順番で、どうぞ。

○ 上柳委員

質問です。後ろからになってしまいますけれども、37ページの転売制限に関する要件の緩和というところに書いてあることで、これは世界中で発行しているような場合なのでしょうか、券面に転売を禁止するということが書きにくいようなときには、券面に書かなくてもよくて、書面を交付すべきだということだと思うんですけれども、これはぜひ、さらにこの証券が転売していったときにも、最初の発行が少人数私募なりプロ私募だったということが後の投資家にも渡るようにしなければいけないのではないかと私は思っていますので、これは意見です。

それから、これも簡単にしますが、公開買付けのところで一つだけもし言わせていただけるとすると、この3分の1ルール、ペーパーでは26~27ページのところですけれども、こここの規制緩和というのはなるべく慎重にしていただいた方がいいのではないかと思います。今日の段階のものでは大体穏当な議論ではないかと思いますけれども、ここについてはいろいろ規制緩和についての強い要求もあるのではないかと予想しますが、この制度の根幹的なことではないかと私は思っています。

それで、一番大きな質問は、投資信託等に関する目論見書の点ですけれども、ペーパーでは12ページぐらいになりますでしょうか、民事責任の問題で、今回大きく言えば、必ず交付しなければいけない部分と、それから顧客が求めた場合のみに関する追加情報とに分かれるんだと思うんです。そうすると、多くのお客さんは、そんなにたくさん要らないから、まず基本のところだけいただいて、一番重要なことはそこに書いてあるはずですので、それで投資信託なり証券を買ったとすると、後に追加情報の方に何か虚偽があったことがわかった場合は、いわゆる目論見書に関する民事責任は追及できるのか、できないのかという質問です。

○ 神田部会長

では、今の点は羽藤さん、お願いします。

○ 羽藤企業開示参事官

いずれにしましても、現行の証取法の基本として、恐らく今の点については、現行法上も、虚偽の記載をする、そしてそれによって損害をこうむったということになりますれば、これは17条の責任がある、しかも賠償責任が転嫁されているということになるわけでありまして、このフレーム自体は変えていないということであります。ですから、今のようなケースにおいても、求めがあって、そして追加情報たりとも、これはむしろ求めがないことによって交付義務が免除されるということですので、求めがあって交付をするということになりますれば、当然交付義務のもとで交付しているということで、これは情報を与えている。そこが虚偽であるということであれば、当然のことながら賠償責任を負うという、この基本のフレームには変わりはございませんというか、そういうご提言内容でいただいております。

○ 神田部会長

どうぞ。

○ 上柳委員

逆にというか、追加情報の交付を求めなかった場合で、追加情報部分にだけ虚偽があったような場合は、これはその当該顧客は民事責任を追及できないんですか。

○ 羽藤企業開示参事官

これは、17条の解釈論との関係もあると思います。つまり、その交付を受けなかったわけですから、その顧客はその情報を用いないで有価証券を取得したことになりますので、基本的にまず因果関係があるのか、ないのかといった議論があります。ただ、いずれにしても、要件としてはこれは取得させたということに該当しますが、個々のケースにおいてまず今のようなケースを判断することが必要になってくると思いますので、基本的な点で言うと、全くその交付を受けないでその人間が取得をしたということになりますと、ややそこのところは難しいかもしれません。ただ問題は、恐らくいろいろなケースにおいて、例えば自分は要求したのだけれども、あるいは交付がなかったといったときの不交付においてとか、あるいは今のようなケースですと、友人はそのように取得し、そして自分はそこから見せてもらったのだけれどもといったケースにおいては、場合によっては損害賠償責任を問い得るケースにも該当するのではないかとは思います。

○ 上柳委員

これは多分解釈上はいろいろ考え方があり得るのかなと自分も思っているのですが、ただ、多分、追加情報を求めなくてそちらに虚偽があった場合には、その当該顧客は損害賠償請求できないとするとすれば、そうなるんじゃないかと思ったりするのですが、そうすると、例えば私などは、この新しい法律ができたときに、新聞紙上で、とにかく追加情報を読まなくてももらっておきなさいというアドバイスになると思うんです。これからの投資家教育として、それが正しいのかもわかりません。ただ、よく考えないといけませんし、最終的にはこの条文だけでやるのではなくて、岩原座長は用意周到にもおっしゃったのかもわかりませんが、別の角度からの切り込みも必要なのかもわかりませんが、責任が減るような規制緩和というのは私はあまりいやな感じなもので質問しました。

以上ぐらいにします。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

○ 原委員

用意していた質問もあるのですが、今の上柳委員がおっしゃられたことなんですが、ここは随分議論をしました。今回、規制緩和の議論の中で、目論見書をもっと軽くしたいということがあって、3部構成にして、本体目論見書と追加情報と公衆縦覧に供するものという3段階に分けたわけです。この追加情報が何になるのかというところでは、上柳委員がおっしゃられるような懸念というのは当然あって、かなり何度も何度も議論をしたということになります。私としては、先ほど羽藤さんの方からもおっしゃられたような見解というのも得ながら、少なくとも追加情報に何か致命的な情報が入らないようにということで、できるだけ本体の情報の方に、元に戻すと言うとおかしいですけれども、だから財務諸表みたいなものは基本的にそのままでまた元のところに入れるといった形にして、できるだけ基本的な情報が追加情報に回らないようにということの項目を一生懸命その次の段階としては整理をしたというところがあります。

あと、追加情報の方に何があるのかということを本体の目論見書の方にも必ず書くということもお願いして、そこはそのようになっているというところで、おっしゃられるような懸念が実際に運用段階に入ったときにどうなるのかというところは、できるだけ考えて作成したつもりはあるのですけれども、残ってはいるということは言えると思います。

それから、私の方で2点ほど追加的に意見を申し上げておきたいんですが、私自身はこのディスクロージャーのワーキング・グループに所属しておりましたので議論に参加しているのですけれども、積み残された課題というのを2つ感じております。1つは、ご説明の中にありましたけれども、要約目論見書ですとか、それから販売用の資料というものについての情報提供のあり方です。先ほどご紹介があったように、目論見書と異なる内容を表示してはならないという規定が書かれているという話なんですが、こういうのは当たり前のことですね。当然異なることをやってはいけないというのが当たり前であって、それで虚偽とか矛盾とかというご説明があったのですけれども、対消費者については、優良誤認といったことを非常に金融のこういう広告ですとか販売市場に感じておりまして、もっと踏み込んだ形で取り上げていただきたい。これは金融サービス市場法の中にも当然盛り込むべき内容で、先ほど高橋さんの方から、勧誘のところが今の手当てから非常に落ちているというお話がありましたけれども、私としても、このあたりは情報提供と勧誘という両方の側面を持つものですから、ぜひ踏み込んだ議論に進めていただきたいというのが一つです。

2つ目は、議論している最中に大変感じたのですけれども、いくら情報提供をこういう項目をやりましょうといっても、提供されている内容があいまいなものだったら全く意味がないということです。その意味では、非常に複雑なファンドですとか仕組み商品が増えてきている中で、今のやり方で本当にきちんと説明ができているのか、情報提供ができているのかということをたびたび思うというところがありました。それから、将来情報の扱いというのも、これは検討課題として残されているのですけれども、こういったものの扱いも、実際に将来情報というのがどういう形で提供されるのかということの実際の場面もワーキングで披露されたのでお聞きしたのですけれども、ちょっと驚くようなところがありまして、実際に提供される内容がどうかというところの吟味が必要かと思います。

それから、議論の中では、ファイナンシャルプランナーですとか、そういった情報を利用して一般の人への情報提供をしていらっしゃる方々ということの責務といったものについても話が出てきておりました。ですから、内容についての正確さといったところに踏み込んでの議論もまだまだ必要ではないかと感じております。それを意見として提出しておきたいと思います。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、こちらのほうの高橋委員、お願いいたします。

○ 高橋(厚)委員

この3部構成の話は、先ほど岩原先生のお話にありましたように、投資される方にとってもわかりやすい、理解しやすいようにものにするということ、またタイムリーに目録見書が得られる、そういう目論見書にしていくという観点であって、そういう意味では投信の普及に大変役に立つようなご報告であろうと思います。その観点で一つ、これは質問なんですが、先ほど、私の聞き違いでなければ、羽藤参事官が、追加情報を友人が持っているのを見せてもらって、それが虚偽であれば損害賠償できるとおっしゃったかと思いますけれども、そこのところはどういう法律上の整理になるのか。交付されなかった場合にでも、交付されなかった追加情報で損害賠償できるというのはちょっとどういう法制か、教えていただきたいと。

○ 羽藤企業開示参事官

これは必ずしも適切でない例示だったかもしれませんが、要するに、例えば、17条の要件に該当するかしないかで当てはめていったときに、虚偽の表示をしたものを、追加情報を使って取得させたというケースに該当し得るケースがあり得るかもしれないということであります。一般論化して今のようなケースで引かれると、確かに私も例えとしては適切でなかったかとは思います。基本は、まず交付をする、そして虚偽のものを交付する、それで取得せしめるというところの因果関係というか、行為要件がきちんとありますから、そこに合致するかどうかという判断が必要だと思います。

○ 神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。

岩原委員、お願いします。

○ 岩原座長

今、高橋委員と羽藤参事官との間で起きた問題は、まさに17条の民事責任をどう決めるか。特に、立証責任をどうするか。アメリカですとむしろ、たとえ直接交付しなかった資料であっても、市場に対する詐欺の理論によって、もしくはそれによって誤った市場価格が形成されて損害が生じたとすれば、それは賠償責任の対象ということになってくるでしょうから、そういうことも含めて、まさに今後、先ほどの市場監視機能体制強化の中の一部として今後検討していくべき内容ではないかなと思っております。もしくは、よかったら黒沼さん、補足してください。

○ 神田部会長

黒沼さん、どうぞ。

○ 黒沼委員

もう1点だけつけ加えておきますと、不交付の場合は16条の責任が生じ、交付した場合には17条の責任が生じ得る。それから、交付を求めなかった場合でも、場合によっては17条の責任が生じることもあるでしょうし、19条とか21条などの届出書の虚偽記載に基づく責任は生じますので、そちらの方で責任追及は可能です。あとは、どこでいっても因果関係の立証などが問題になりますので、それは市場監視強化のところでぜひ改善をお願いしたいところであります。

○ 神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。

それでは、東委員、どうぞ。

○ 東委員

質問なのですが、37ページの「適格機関投資家」に関する届出手続の緩和というところで、実は機関投資家の適格要件そのものの緩和という議論がおありになったのかどうか。と申しますのは、一般投資家のすそ野を広げるという意味で保護のあり方の議論を行っているわけですが、同時に、私募という意味でのプロの投資家をいかに育てるかというのがあわせて重要ではないかと思うわけであります。その意味で、ここの要件緩和の議論がおありになったのかどうかを伺いたいと思います。

○ 神田部会長

では、お願いします。

○ 羽藤企業開示参事官

これは、昨年の秋から12月にかけてご議論いただいたときに、まずその議論をお願いいたしました。そして、そのもとでベンチャーキャピタル会社とか事業会社の一部についても、この水準を下げたりとかということで拡大するということをご提言いただいて、手当てをこの春にいたしました。それを前提とした議論として今回は議論を引き続きお願いしたということなので、今回のこの秋の8月以降の議論の中では今ご指摘のような議論はございませんでした。これからのマーケットにおける適格機関投資家の参入の状況なども踏まえた上で、引き続きの検討課題だとは思っております。

○ 神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。それでは、まだいろいろとあるかと思いますけれども、時間も押しておりますので、このあたりにさせていただければと思います。どうもありがとうございました。

それでは、2つのワーキング・グループからのご報告とそれに基づく審議はこのあたりにさせていただきまして、今日の大きな3つ目の議題であります証券取引法65条についての議論に移らせていただきます。

今日は特別に3人の方々に来ていただいております。どうも2時間以上もお待たせしまして、大変申し訳ございません。

それでは、まずお3人のゲストの方からご意見を伺いたいと思います。順番は、日興コーディアル証券常務の安倍様、それから水戸証券の社長の小林様、そして内藤証券の社長の内藤様、この順番でよろしければ、順番にご意見を伺いたいと思います。

では、安倍さんから、どうぞよろしくお願いいたします。

○ 安倍日興コーディアル証券常務取締役

日興コーディアル証券の安倍でございます。発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。本日のテーマである証券取引法第65条について、銀行等への証券仲介業の解禁につき、当方の意見を述べさせていただきます。

まず、本日のテーマの証取法第65条の意義につき、私の考えるところを証券ビジネスに携わる立場からお話しさせていただきたいと存じます。

証取法第65条の趣旨は、利益相反の防止、銀行の過度の影響力の防止、銀行の健全性の確保などとされております。まず、利益相反の防止につきましては、例えば融資資金を回収するために証券を発行させるといったことが典型的な例であると思われます。一昨年ですが、ある大手の流通小売業の会社が破綻し、その会社が発行した社債がデフォルトになるという出来事がありました。社債の発行に際しましては、会社破綻時に投資家の立場に立って資産保全などを行う社債管理会社を置く場合があります。同社の社債の場合は主要取引銀行がその任に当たっていましたが、会社関係者の発言として、民事再生法申請の数日前に主要取引銀行が自行の行った融資に対する担保を回収しようとした可能性があるとの報道がありました。事実はどうであったのかは承知しておりませんが、銀行が社債管理会社という立場においてすらこのような問題が起こり得る可能性があるにもかかわらず、債権者という立場でその会社の債券・ボンドを投資家に販売したり、株式を勧誘販売した場合、何らかの利益相反が起こらないと言い切れるのであろうかと考えております。例えば、債券・ボンドを販売した後にそのボンドの発行者から融資を回収する事態が発生した場合は、どのように投資家の理解を得るのか、また融資をしている企業の株式を投資家に勧誘・販売した後に融資を打ち切るなどが起こった場合にどのような説明で利益相反がないと言い切れるのかという素朴な疑問が頭をよぎります。つまり、銀行という債権者の立場で証券業務を直接行うことが、構造的な問題として利益相反を起こし得る可能性があるのですが、一般投資家に対して利益相反は発生しないという説明をクリアにする必要があるのではないかと思います。

証取法第65条の趣旨のもう一つには、銀行の過度の影響力の防止があります。銀行が融資等を通じて持つ影響力や、資金の出入りを知るといった特別な立場を使って証券業務で対価を得るということが想定されます。このようなことがもし行われると、投資家の保護や利用者の利益が損なわれ、さらには証券市場のメカニズムまで壊してしまうことも考えられます。近年、銀行の影響力はなくなった、弱まっているとの意見もあるようですが、一昨年平成13年に公正取引委員会より「金融機関と企業との取引慣行に関する調査報告」と題するレポートが公表されております。その中で、1、中堅中小企業においては、金融機関は影響力を及ぼし得る立場にあることが多い、2、企業の約4割は金融機関からの要請を断りにくく感じており、金融機関が行った各種要請のうち、意思に反して要請に応じた企業は多数あるとの報告がなされております。今日でもなお銀行の影響力の強さを物語っている報告だと思います。

そのような中で、昨年来、銀行の資本増強策として株式の発行が一斉に行われたことは、まだ記憶に新しいところです。これも新聞報道になりますが、取引先への勧誘の過程で、業績の悪い子会社から融資を引き揚げないことを条件とした勧誘や、奉加帳方式で増資に参加させた可能性があるとの批判が新聞に書かれました。これは、明らかに銀行の影響力の行使や、特別な地位の利用の可能性を想起させるものだったと思います。何らかの影響力の行使や、あるいは影響力の行使とは言えないにしろ、銀行には資金の出入りを見られているので断りにくいといったことがあって株式の取得が行われたのだとすれば、投資家の利益に反していると思われます。また、融資の継続を条件とするようなことが起こった場合は、銀行の健全性確保という点にも問題が出てくるでしょう。さらに、このような形で証券市場に資金が入ってくることは、純粋な投資判断に基づかない需要を生じさせるため、証券市場の価格形成機能を歪めてしまうとこになります。何よりも、このようなことが起こる可能性があるとすれば、投資家の証券市場に対する信頼を損なわせることになると思います。

今申し上げた証取法第65条の趣旨に加え、相対取引を基本とする銀行業務と、不特定多数の投資家を対象として市場での取引を基本とする証券業務の間には、次のような問題を抱えていると思います。つまり、銀行が行う融資業務は、企業との相対で貸付条件等を決定できるものです。一方、我々の証券市場では、企業の資金調達においても、発行条件は万人に見られているとともに、プライシングの妥当性はオープンなマーケットで、証券の発行を直ちにマーケットで証明されるということになっております。相対取引で銀行が貸付条件を誤り不良債権を増加させてしまうことは、銀行自身のリスクであります。しかし、マーケットにおいて、例えば相対取引で決定した融資の条件を背景にしたミスプライシングがなされるようなことがあった場合は、投資家の利益が損なわれ、証券市場のメカニズムが壊されて、マーケットに対する信頼そのものをなくす可能性が出てくることにもなりかねません。

私としての結論を申し上げれば、1、銀行業務と証券業務の間には構造的に問題が発生しやすいこと、2、特に同一の法人の中で実質的に両業務を行った場合、そのようなことが起こり得ないということをどのようにして一般投資家に説明できるのかというところがクリアになっていないと思っています。クリアになり切らないからこそ、現在も証取法第65条が投資家の保護や利益を図り、我が国の金融証券市場の発展のために大きな意義を持って存在しているのだと考えます。

以上、総論的なことを申し上げましたが、個別の問題につき意見を申し上げたいと存じます。

銀行等への証券仲介業の解禁については、銀行の中で証券仲介業が行われるため、次に申し上げるような利益相反や銀行の影響力行使といった問題が発生する可能性が高いと考えます。銀行が証券仲介業を行った場合、例えば企業への融資業務を行う一方、その企業の株式や社債に関する投資アドバイスを投資家に行うといった利益相反があり、融資の回収を目的に投資アドバイスが行われれば、投資家や証券市場の信頼は大きく揺らぐことになります。また、現在銀行は保有株式につき自己資本の枠内に制限されることとなりましたが、今なお大量の株式を保有しており、かつその株式を売却したいと考えている状況と推察いたします。このような状況の中で銀行が株式ブローカーの仲介業務を行った場合は、自己の処分したい株式と顧客へのアドバイスとの間にも利益相反がないということをどのような形で説明できるのかという疑念が残ります。

さらに、銀行は、企業あるいは個人に対して資金の出入りを知り、かつ融資・住宅ローンなどを通じて優越的な立場にあることが極めて多く、このような立場が株式・債券等の勧誘・販売に全く影響を及ぼさないということがどのようにして言い切れるのかというところが大いに気になるところです。加えて、バックファイナンスを伴った証券ブローカー業務の仲介が行われるという懸念もあります。私としては、同一法人内で銀行業務と証券仲介業務を行った場合には、このような問題の発生を防止する策が必要だと考えます。このような防止策の十分な検討や有効な措置がとられないままに銀行等に証券仲介業を認めることには反対でございます。銀行等による不動産投信の取り扱いについても同様な考え方でございます。

次に、金融機関による市場誘導ビジネスとして、銀行等による公開アドバイス業務、引き受け証券会社の紹介業務についても一言意見を申し上げたいと存じます。公開アドバイスや紹介は証取法上の定義では証券業に該当していないものですが、これらの業務は実態として証券業務の重要な部分を構成する業務と考えられます。そして、これらの業務を同一の法人の中で銀行業務と一緒に行った場合、1、融資資金回収のための証券発行のアドバイスといった利益相反や、2、融資継続を条件とした公開アドバイス業務の採用要請といった銀行の影響力行使の可能性を否定できないのではないかと思います。したがって、銀行による当該業務の規制を含め、弊害防止のための措置を十分に検討すべきだと思います。弊害防止のための十分な検討や有効な措置がとられないままガイドラインへの明記といったことが行われた場合、投資家の保護や利益、さらには我が国の金融証券市場の発展において問題を生じさせるおそれが強いため、反対であります。

個人投資家のすそ野拡大のためにも、投資家からますます信頼を得られる証券市場をつくっていくことが、金融証券市場に携わる人間として最も大切との思いから意見を申し上げさせていただきました。もちろん、証券市場の発展を心から望む者として、以上申し上げたような懸念が払拭される場合にもなお反対とするというものではございません。少しでも当部会の先生方のご審議の参考になれば幸いでございます。

以上、大変ありがとうございました。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは続きまして、小林社長さん、よろしくお願いします。

○ 小林水戸証券取締役社長

水戸証券の小林でございます。本日は本部会におきまして意見陳述の場をいただきましてありがとうございます。趣旨につきましては、ただいまの安倍さんとかなりの部分が重複するかと思いますが、一応意見として述べさせていただきたいと思います。

証券取引法65条の趣旨は、銀行等の証券業務併営によるリスクを遮断することによって、預金者保護と利益相反の防止を図るとともに、金融機関による過度な経済支配の排除を図るという銀行業務の健全性確保、それと証券取引法上の観点からは、資本市場の健全な育成と投資家保護という点が挙げられると思います。この趣旨は昭和23年の法律制定以降何度かの法改正におきましても堅持されており、平成5年施行の制度改革法において銀行子会社の証券業が認められた際にも、証取法あるいは政省令において、弊害防止措置等の規定が設けられ、本条の趣旨を逸脱しない枠組みが現在整備されてきております。

さて、本部会における証券取引法65条についての議論は、個人投資家のすそ野拡大のための金融行政の重要なミッションとしての問題提起と承っております。しかし、銀行等への証券仲介業の解禁は、確かに投資家にとって窓口の拡大という点では大きな利便性向上が図られることは認めますが、本条や45条に規定する弊害防止措置等の趣旨に照らすと、利益相反の防止や、市場仲介者の公正な競争の確保といった点において問題があり、ひいては資本市場の健全な発展が阻害されることになるのではないかと考えております。また、証券仲介業の銀行等への解禁が民営化を進めている郵貯への解禁につながることにも強い懸念を感じております。

顧客口座を持つ証券会社のために銀行が仲介業務を行うことは、利益相反や健全性の趣旨とあまり関係がないのではないかという意見もありますが、仲介業とはいえ証券業であり、フィービジネスとしての営利目的等を持って行う以上、銀行業務との併営にこそ問題が内在していると考えます。

市場誘導ビジネスにおきましても、銀行と企業の融資業務をベースとした力関係、また情報量の蓄積を考えますと、事務ガイドラインの呪縛の是非は別としまして、45条のファイアーウォール、またアームズレングスルールなど、弊害防止等の趣旨は厳格に守る必要があると考えております。

いずれにしても、現行証券取引法上の趣旨と枠組みの中におきましても、証券子会社において証券業務が行え、かつ銀行・証券の共同店舗の規制緩和や、書面取り次ぎのガイドラインの明確化が図られており、これらの制度を有効に活用することが必要なのではないかと考えます。現行法のもとにおいてさえ銀行の証券子会社に45条違反が出ていることはまことに遺憾であり、あえて証券仲介業を並営することの意義は、単にビジネスニーズの側面が強いと思われます。

最後に、65条とは直接関係ありませんが、本部会において証券市場の活性化と個人投資家のすそ野拡大について、市場監視機能、投資教育のあり方など、さまざまな角度から議論がされております。我々証券業者も、市場仲介者としての指名を全うし、信頼の向上と個人投資家の拡大に努める所存でありますが、証券市場の活性化については、何と言っても発行体の努力、すなわち企業価値を高め、投資魅力すなわち株市の魅力を高めることと考えております。また、IR活動といった投資家に向けた活動についても期待したいところでございます。

私どもは、個人投資家を対象とした対面営業の上場株式の仲介業者であります。すなわち、我々の主たる商品は上場株式であり、まさに株式という商品の魅力を個人投資家に問われているというのが現状ではないかと思います。しかし、残念ながら、成長性あるいは利回りなどを見ても、投資魅力のある株式はごく一部しか見当たりません。端的に申しますと、約3,000銘柄が上場されておりますが、その発行企業の社長が、ここにインサイダー取引の問題がありますけれども、自分のポケットマネーで資産運用の場のために自社の株式をすぐに投資するかというと、残念ながら大多数の社長からは、正直なところもう少し様子を見たい、あるいは今は買えないという答えが返ってくるのではないかと思います。発行会社の社長でさえも自社株への投資を躊躇しているというわけですから、まして一般のアマチュアである個人投資家が積極的に市場に参加するのは難しい環境であると思います。

株式の魅力が問われている今こそ企業価値を高めることと、リスク資産であります株式に投資する投資家に対して税制面での優遇措置を講ずることが株式市場を活性化させる手段であるということを申し上げまして、私の意見陳述にしたいと思います。ありがとうございました。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは続きまして、内藤社長さん、よろしくお願いいたします。

○ 内藤内藤証券取締役社長

内藤証券の内藤でございます。本日はお呼びいただきまして大変光栄でございます。ありがとうございます。

日興證券の安倍さん、水戸証券の小林さんからのものとほとんど同じことになるかと思いますが、私なりに陳述をさせていただきます。

大手の銀行あるいは銀行グループにとりまして、グループ内の系列証券会社では物足りないというところと、この際、遅々として効果の出ない個人投資家育成策、増加策、これに貢献するあるいはさせるという大義名分がございまして、これに運用難にある預金のはけ口を活用するということで、銀行の活性化あるいは救済化を図ろうと目論む色合いの濃い議論だと私は認識しております。考えていただきたいのは、この機会にまず改めて65条の意義にさかのぼることではないかと思います。銀行の事情によるニーズからではなく、預金者と投資家、これは言い換えますと国民金融資産自体になるわけですが、国民のニーズ及び資金を必要とする主に中小企業のニーズに合致したインフラ整備なのかという議論でまずあるべきだと考えております。インフラという、その重要なポイントは、銀証間の公正な競争を担保できるのかどうかということがまず第一だと。答えを言いますと、既に優位な銀行にさらに優位性を与えるということで、担保できるわけはないというのが私なりの結論ではございます。2つ目に、銀証兼業で、果たして投資家に商品固有の市場リスクであるリスク商品、これ以外の銀証兼業から起こり得る不測のリスクから完全に遮断できるのかということでございます。この2つは、65条及びその土台でありますグラス・スティーガル法がなぜできたかという歴史的なことにさかのぼり、日本の現状と照らし合わせて検討していただきたいと考えます。何十年先かはわかりません。歴史は繰り返してはならないと私は考えております。

具体的に話を進めますと、ブローカレッジ業務につきましては、現在証券会社への書面取り次ぎの実効のほどはどうなっているのか、関心はあるのですが、あまり耳に聞こえて来ないのが実情ではございます。銀行または銀行員による個別の株式の売買勧誘行為、これには大反対でございます。問題点は多岐にわたると考えております。既に銀行には、大分減らしてきたとは思うのですが、まだまだ銀行保有の株式が多いのが実情でございますし、現在に至るまで、過去よりは減ったとはいえ、株式の持ち合いというのがまだ継続して、ときどき見かけられる。これは、銀行の企業への影響度がまだ相当残っているということです。取引先企業の株式を多く保有したままブローカレッジ業務を認可すれば、利益相反リスクが発生することは十分考えられます。特に経済から市況の激変時及び個別企業に何か変動がある場合、投資家との利益相反に対する力学がすぐに発生する、ますます発生するということになろうかと思います。さかのぼりますと、例えば私ども証券会社も、大昔でありますけれども、幹事を務める企業の株を個人や投信、あるいはさらには系列証券会社に特に大手証券などが押しつけた時代がございました。

もう一つは、顧客に対して融資とブローカレッジの両方を行わせ得るリスクは、顧客と銀行双方に発生すると思います。これにつきましても、例えばバブル期の特金、これが前科としてございます。銀行が企業あるいは個人に融資し、証券で運用を行わせた。バブル崩壊で不良債権ということになったわけでございます。これを今回銀行が両方やることに入り口を開くのかと私は危惧する次第でございます。顧客に対し、融資の見返りに投信を付き合わせる行為が既に行われていると仄聞いたします。これは、従来の銀行の慣行でございました歩合両建の変形であるのかと思います。銀行の貸付相手に対する優位性を利用したものであると考えます。これらは、銀行業務と証券業務の両方を持った場合の銀行のさらなる優位性であり、顧客のみならず銀行自体にもいずれ跳ね返ってくるリスクであると認識しております。

長年の間接金融重視と保護行政、さらに加えて預金という元本保証の安心感からくる銀行商品に対する信頼感が多くの国民に存在するのがまだまだ現実だと思います。一方、扱い商品がリスク商品ゆえ、顧客にとって損失をこうむる機会が多い我々証券会社とは、必然的に多くの預金者や投資家にとって信頼感に既に差がございます。銀行に証券業務を認めるということは、証券業務においても銀行優位のイメージを投資家・預金者相当に与え得ると考えます。これは、銀行にとって諸刃の剣であり、信頼が裏切られる局面では大きな混乱になり得るのではないかと、こういうことについても危惧いたします。現実に、協会ベースでは投信の苦情が増加していると聞き及んでおります。

引受業務につきましては、これは株式公開アドバイザリー業務についても銀行が行いたいとしていると伺うのですが、銀行自身による引受業務にも大反対でございます。ブローカレッジと同じことになりますが、これも融資業務に引受業務を付加することにより一段と企業支配力が強まるという弊害が考えられます。これにつきましても、先ほどと同じですが、依然多い保有株式との兼ね合い、それからブローカレッジ業務との兼ね合いと利益相反が大いに起こり得る土壌をつくることになると考えます。直接金融と間接金融の選択権はあくまでも企業に100%委ねるべきだと思いますし、そのために自由なインフラ状態にしておくべきだろうと思います。貸付の9割ほどを占める中小企業に対しましては、例えば優良企業は手の内に残しておいて、不良企業には証券会社へ誘導する、挙げ句の果ては融資を回収するという銀行エゴがないと言えるのかどうか、これは私にはわかりません。

以上、預貸業務のない者とある者の競争でありますし、これが果たしてビッグバンの精神というフェアということに合うのかどうか、私は大いに疑問を感じております。かつ産業界と個人投資家・預金者へのリスク増大、そして銀行自体のリスク増大にもつながることになるのではないかと考えます。

以上でございます。ありがとうございました。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

3人のゲストの方からのお話は、批判的というか、大反対といった印象も受けますけれども、証券業界全体として大反対と考えてよろしいのか、ちょっと高橋委員にコメントをいただければと思います。

○ 高橋(厚)委員

この問題は、65条問題として提起されたものですから、業界にとっては大きな関心がありまして、いろいろなところで、あるいはいろいろな機会に議論がされております。業界の多数意見は、今お聞きいただきました方々のご意見を含めまして、反対意見であったと思います。理由は、一つは預金者あるいは投資家が混同するという問題とか、融資の見返りに、あるいは銀行の影響力を活用しながら過剰な勧誘をする。それで預金者にとっても投資家にとっても十分な保護が働かなくなるのではないかといった問題が一つ。それから、仲介業を認めるということは、結局は銀行・金融機関にブローカレッジ業務を認めるということで、やがては65条の撤廃に結びつくのではないかという懸念。65条は、今なおその必要性があるので、そういうことに発展するということであれば、健全な市場の発達を困難にするのではないかといった点。それから、大きく分けますと3つ目は、来年4月から仲介業制度が施行されることになっているわけでございます。今は仲介業制度そのものの準備段階にあるということでありますので、その実現の前に、またその実態を見る前に銀行の参入を認めるのは時期尚早ではないか。そのようなことからの反対意見が多かったかと思います。

今の神田先生のご質問ですが、では業界が反対ということで一致しているかというと、必ずしもそうではありませんで、賛成意見もありました。賛成意見というのは、個人投資家の証券市場への参入を促進する。すそ野の広い証券市場にしていく、証券市場の活性化を図っていくためには、今銀行に預金をしている方々に証券市場に参入していただくということが大切なことである。そのためには、この金融機関の仲介業への参入というのは、むしろお願いしたいことではないかといった意見もあったかと思います。

それから、市場誘導ビジネスにつきましても、貸出業務と証券引受業務の利益相反をどうやって防止するかという有効な手段がないので問題であるという意見と、企業の資金調達手段を間接金融から直接金融へ移行させるという意味でメリットが大きいのではないかという賛成の意見と、両方の意見があったかと思います。

以上でございます。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

それでは続いて、事務局の方から、本件について若干資料を用意していただいていると思いますので、ご説明をお願いします。

○ 大森市場課長

資料3-1でございます。伝統的な議論をチェックしておくために、銀行子会社による証券業務参入を決めました平成3年6月の証券取引審議会報告のご説明をしようかと思ったのですけれども、今たくさんお話をいただきましたので、省略いたします。いまだに重要な論点もあれば、時代を感じさせるものもあるということだろうと思います。ただ、一つ一番上の前提となるビジネスモデルとして、「証券業:最終的に投資家がリスク負担。銀行業:預金者に安全性を保証し、銀行がリスク負担」と、これは今でもそのとおりなんですが、債権保全のために、貸出先企業の経営状況を把握し、株式を保有し、人材を派遣し、経営悪化時の金融支援などを行う。リレーションシップ・バンキングといいますか、池尾先生の言葉でいうと産業銀行モデルというものを前提にこのときの報告がまとめられております。

次のページは、それから10年以上たって、蝋山先生を中心に、神田先生、池尾先生、淵田委員にも参加していただいてまとめた将来ビジョンであります。金融仲介業についての前回の事務局からの問題提起に対しましては、唐突ではないかといったご批判をちょうだいいたしましたけれども、金融行政の流れとしてはそうは感じていないということを言い訳を兼ねてご紹介いたしますが、ここでは金融仲介機関の改革の方向性として3つ掲げております。

下線を中心に申しますと、第一に、仲介機関が、資金のコストを明確に認識し、資金調達者に要求する。リスクに応じたリターンをということで、市場を通ずる資金仲介では、市場の機能として自ずからリスクに見合った価格が形成されるため、この点は相対型の貸し出しに際して、より強く認識されねばならない。

第二に、仲介機関そのものの機能分化、専門化を推進する。銀行が貸出を組成するのは当然であるが、いったん取った信用リスクを、そのリスクに見合ったリターンを確保しないまま、いつまでもバランスシートに抱えていることが後知恵的に言えば不良債権問題であると言え、リスクを値付けして機関投資家など他の主体に転嫁することが望ましい。このため、長期的関係を前提としたリレーションシップ・バンキングから、貸出の組成機能、その証券化機能、証券化商品に伴う事務処理機能といった分化を促し、市場の価格形成やリスク配分のメカニズムを活用していくべきである。

第三に、仲介機関が、資金供給者である個人のリスク選好やライフサイクルに応じて、タイプの異なる多様な金融商品を提供することである。そのためには適切な比較情報が必要であるし、将来的には、一つの機関で預金、保険、投信、債券、株式など各種の商品を、少なくとも代理などの形で間接的に提供し得る体制が望ましい。次のページで、これまで、銀行、証券会社、保険会社(さらには郵便局)といった業態と、それを利用する個人顧客層の関係がある程度固定的だったとすれば、むしろ市場中心のマネーフロー構造に変革し、金融システムにとっての望ましい資金リスク配分を可能にする観点から、業態と個人の関係を流動化させるべきであろう。最後に、この3番目のワンストップショッピングというべき論点というのは、第二の機能分化という方向性と矛盾するものではなく、提供する商品による業態分業から、提供する機能による分業への移行である。また、多様な金融商品を提供するためには、証券化の推進が必要であり、そのためには貸出の合理的なプライシングが、貸出債権売買の流動性を高める前提になるという意味で、第一の方向性にも連動している。ということで、いずれにせよ、実体として餅屋は餅屋になることと、制度として禁止したままに置くこととは別ではないかということでございます。

これを受けて、翌月の証券市場の改革促進プログラムで、先ほどお話のありました銀証共同店舗、あるいは銀行の書面取り次ぎ、証券仲介業といったものを打ち出したわけで、今回の話もその延長線上にあるということでございます。

最後のページにプリミティブな絵をつけておりまして、上は中学校の教科書ですけれども、下は前回申し上げたことを図解したもので、右の方は、貸し手として中小企業の実態を熟知した銀行や信用金庫が、その企業を引受証券会社まで連れてくるということ。また左は、そうした企業に個人が資金を供給するために、銀行などの窓口で勧誘や相談に応じ、証券会社に口座を設けるということ。そういう業務であれば、先ほど証券会社の方からお話があったような弊害の懸念というのは相当に小さいのではないかと。

永易委員、後から反論があると思いますけれども、毎回失礼なことを申し上げますが、当部会の再開初回にそういったご提案をいただいた際には、気持ちはわかるけれども、やや朝令暮改ではないかと感じてそのままになっていたのですが、グリーンシート市場に新規参入した証券会社などが地銀あるいは信用金庫に対して提携を申し入れますと、やってみたいけれども、証取法65条があってという反応であるといった話をたびたびこの秋から聞きましたので、審議会はもはや業態間縄張り調整の場ではありませんから、こういったアイデアが金融システムとして有益ではないかと考えて提案させていただいた次第でございます。

証券会社のビジネスモデルとして、金持ちと優良企業を相手に堅実にやっていくやり方もあれば、デイトレーダーの欲求に真正面から応えていくやり方もありますけれども、ごく普通の中小企業が市場から調達する、そこにごく普通の国民が投資するためには、中小企業の実態を熟知した、また国民にとってなじみのある窓口である銀行が介在して証券会社まで連れてくるのが、既に存在している資源の有効活用ではないかと思います。内藤さんも反対だということだったのですけれども、内藤さんだったら大阪の地銀とか信金と組めばいいのだろうと思います。私も何人かのトップの方とお話しましたけれども、いずれも大変前向きで、むしろ大手証券より小回りが利いて中小企業への目線を同じくしている地場証券と組んでみたいという大阪の地銀の頭取は結構おられたりしますので、そういうものとしてご検討いただければと思います。

駆け足で恐縮でございました。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

この話は大変これから盛り上がって議論しなければいけないのですけれども、今日は時間の関係もありまして、次に板谷委員から紙を出していただいておりますので、恐縮ですが、手短にご紹介いただけませんでしょうか。

○ 板谷委員

証券会社の方3人からのご意見あるいは高橋委員からの意見もございますので、かつ私は紙を準備しておりますので、中身は紙をご覧いただければと思いますけれども、2、3点だけ簡単に申し上げたいと思います。

先ほどから皆さん、65条についてというのが何か事務局から示されているいつものタイトルなものですから、65条の議論から入る。これは基本だと思いますけれども、65条については、いろいろな方がおっしゃっているとおり、今日的な意義はあると私は思っております。アメリカにつきましても、グラス・スティーガル法を廃したと言われています99年のグラム・リーチ・ブライリー法のもとにおいても、結局は機能別規制が徹底されるという方向で進んでいるのだと思いますし、アメリカでも銀行本体で広範囲に証券業務を営むことについては慎重でありますし、実際、銀行本体で証券業が行われていないというのが実情であるということが、65条あるいはグラス・スティーガル法がもともと持っていた原点、これが今日的にも意義があるということの証左ではないかなと思っております。

それで、今回、証券仲介業ということでご提案があるわけですけれども、融資とその他のサービスでのタイイングインというのでしょうか、抱き合わせという観点から申し上げますと、金融機関が資本等で密接に関係のある証券会社、金融持株会社の傘下での兄弟会社であったり、その他資本の関係で密接な関係のある証券会社でございますけれども、その証券会社のために証券仲介業を営むということは、まさに銀行・証券分離規制が防止しようとしている利益相反であるとか、さまざまな弊害が顕在化するおそれはそういう場合にはとりわけあるのではなかろうかとい思います。その点について幾つか場合分けしながら、この拙劣なメモの中で書いております。

それからもう1点、先ほど高橋委員からご紹介のあったことですが、この証券仲介業につきましては、現在、来年の4月に開始されるということで、金融庁と証券業協会、あるいは実際に参入を考えておられる業者さんと証券会社との間でいろいろと実務上の詰めが行われており、さまざまな方がビジネスプランを立てて真剣に検討しておられるという段階だと理解しております。そういう方にとってみれば、この準備している段階でビジネスの重大な前提条件が変更になっているということで、市場の観点からしますと、せっかく多様な参加者が参入しようとするその矢先にその芽がつぶれることもあるのかなといった心配もしております。

いずれにいたしましても、やはり利益相反の問題、それから新しい仕組みが今始まろうという状況、そういう点も踏まえながら、慎重な議論をしていただければと思います。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、永易委員にやはりご発言いただきましょうか。何かえらい10年ぐらい前のような司会をしていて申し訳ありませんが・・・・・・。

○ 永易委員

大変びっくりいたしました。そういうご意見がダイレクトに出てくるかというのは、非常に私も意外感があります。10年前、65条そのもの、そういうことを議論するのであれば、言われたことはよくわかると。ただ、65条の問題を今回議論しているのではないということは大前提で理解していただきたいなという気がするわけです。証券とか銀行とかというのではなくて、トータルの金融システムが大きい形で変わろうとしているときに、そういう65条の原点、その精神というのは、全くなくなるということはないと思います。それは大事な点を突いてありますから。ただ、大きい時代の流れ、少なくともこの10年は着実に進んできたし、去年の蝋山先生の労作を見ても、銀行自体がそういう方向だなと私どもは感じているところであります。かつ、この前にも申し上げたけれども、株式投信等の動きを見ても、証券会社さんに迷惑がかかったのでしょうか。私は決してかかっていないと。それではなくて、どんどん新しいゾーン、8割の人が来ないと言われました窓口に、そういう人、銀行に来られている人の100%が買うとは言いません。ただ、そういう知るチャンスすらない大量の個人の富裕層というか、ミドルもありますから、私ども東京三菱で言ったら、口座を持っている数だけで1千万人いるわけです。しょっちゅう来ていただく人でも数百万人いらっしゃる。そのうちの何人の方が株式の世界、直接金融の世界、市場の世界に行っているのかということであります。

金融界としても、銀行としても、現実にリスク商品というのは非常に怖いわけです。ただ、もう大きなこの市場性の流れの中で、リスク商品というのは、今申し上げた投信にしろ、変額年金にしろ、さっきちらっと違う形で出た外貨預金、こういうものは大変なリスク商品なんです。これを銀行が売るというのは相当の方向転換なんです。このためには、前回も申し上げたけれども、これを理解していただくために、あのときは30分と申し上げたけれども、わからない人は1時間でも2時間でも質問があれば全部受けているわけです。かつ、いろいろな問題が起こっているといった発言がありましたけれども、その顧客の反応が変な場合には、さっき過重なリスク管理というのがありましたけれども、私どもはただいま現在そういう状態です。リスク商品に対しては過重な内部管理体制をしいて、極論すれば、一つも間違いを起こさないぞという覚悟でやっています。それでも3カ月たつと数件といったトラブルは起こっておりますけれども、それも十分な説明をしての上の話でありますので、それが本当にトラブルになったのはありません。もちろん、金を貸してこんなことをするなどは論外中の論外でありまして、万が一、例えば何かのリスク商品を売る場合に、個人の方がわかりやすいと思いますけれども、何か貸出がある場合には、基本的には売らないんです。売る場合には逆なんです。挙証責任が売る方にあるわけです。何でこの人には例えば住宅ローンがあるにもかかわらず、これを買いたいと言われるから売ったかと。それは、トータルのその人が持っておられる金融資産のポートフォリオから言って、ダイレクトはもちろんだめですよ、回り回ってもだめであるというところまでチェックしながらやっているわけです。それは、先ほどからるる申し上げていますけれども、大きな時代の流れ、それで大きな意味では貯蓄から投資の方にマネーが動かないと、日本がおかしくなるわけです。だから、そういう方向性で、うちは証券会社さんの商売を本当の意味で取りたいなどと思っておりませんし、衷心からそう思っています。商売を広げていく、大きな意味ではリスクマネーの方に、そういう大きい流れをつくる。それと、中堅中小企業も、そのステージに合った金融がつけられる。金融というのは大きい意味です。そういう流れに持っていくことこそ我々の使命ではないか。ただし、いろいろな難点があれば、いろいろ指摘していただいて、ではそれはどうすればクリアしていけるのかという方向で考えていただきたいと思います。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、大体予定の時間が近づいているのですけれども、何かあれば。どうぞ。

○ 安田委員

一応私どもも銀行でございますので。

○ 神田部会長

失礼しました。どうぞ。

○ 安田委員

現状の当社ですと、投信の半分以上は、人気のなくなったビッグという貸付信託からの振り替えになっております。これはやはり、先ほど永易さんが言ったように、確実に預貯金から資金が流れているという感じはいたします。何回も言って重複しますけれども、要するに一番大切なのは、投資家のニーズにいかに応えるか、それからどうやって市場へのアクセスを確保するかということであって、それ以外の投資家保護等で懸念とか不安があれば、それは的確にそこを手当てすればいいのであって、重複しますけれども、まず第一に大切なのは、我々がお預かりしているタンス貯金等々を証券市場へ振り向けるということではないかと思います。それから、信託銀行に限って言いますれば、ちょっと我田引水ですけれども、自分たちで株式運用も他人勘定を含めて幅広くやっておりますので、そういう点では株式等についてのご相談、あるいは誤解を招くような行動等は懸念がないのではないかなと考えております。以上です。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

今日はこの辺で終わってもいいかと思いますが、東委員、どうぞ。

○ 東委員

まず、方向性について決して反対するものではないというのが第1点です。ただ、結局マネーフロー構造を変えようというビッグバンの目的がなかなかうまくいかない。そこで今行われている議論というのは、構造が変わる前の状態、つまりオーバーローンの是正なりオーバーバンキングの是正を目指したときにうまくいかないので、その主体に是正の役割を担わせようという議論だろうと思います。ですから、そこについては多分効果は相当大きいだろうというのは理解できますが、効果が大きいということは、当然副作用もまたオーバーになるということになります。この副作用の遮断をどうやって担保できるか、そこの議論だろうと思います。ですから、個別の具体的な事例については、今までの議論でさんざん出ているわけでありますから、そこに対してどのような担保が取られるのかという点を検討する必要があると思います。なお、最後にいただいた資料3-3の図で一つ気になるのですけれども、上の図は、お客様を挟んで銀行と証券の両者が、バレーボールのコートで言うと、両方で球を打ち合っているように見えるのでありますが、下段の図は、お客様の前衛に銀行がいて、後衛に証券会社は回れと、このように見えてしまうんです。したがって、多分ここの絵のかき方の問題が、マインドとしても、この絵では賛成できない、という反応が当然出てくるのではないかという、そんな印象を持っています。以上です。

○ 神田部会長

絵のかき方をちょっと・・・・・・。上柳委員、どうぞ。

○ 上柳委員

これは、難しい問題がたくさんあるのですが、一つだけ条件的なことで私が危惧していますのは、いわゆる銀行での預金の出入りの情報、あるいは決済の状況についての情報の管理の問題で、これはほかの情報保護の問題ともかかわるのかもわかりませんけれども、私の見るところ、銀行が持っておられる情報で、活用されているかどうか知りませんが、ここが大変重要なところだろうと思うんです。私の考えでは、決済情報というか、預金情報を、例えば資金運用なり、とりあえずは仲介のようですけれども、その方にあまり使うというのは、同一企業の中であっても、私は疑問を持っておりまして、今回の仲介業の解禁がふさわしい段階かどうかわかりませんけれども、さらに広がっていくことも考えると、何らかの情報隔壁のようなことも考えるべきではないかと私は思っているので、ぜひその点もご検討いただきたいと思いました。以上です。

○ 神田部会長

どうもありがとうございます。

いかがでしょうか。予定の時間は過ぎているのですけれども、せっかくですのでぜひという方もいらっしゃるかと思いますけれども、ご意見はほかにありますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、今日はこのあたりまでということにさせていただきまして、次回さらに引き続き議論をお願いしたいと思います。

前回も申し上げましたように、できれば年内をめどに報告書の取りまとめということを目指したいと考えております。これは、ご承知のように、法改正にかかわるような提言も含め得るからであります。そういうことで申しますと、次回も多少ヘビーなスケジュールでのご審議をお願いすることになると思います。いずれにしましても、もうあと少しということでありますので、皆様方のご協力をいただければ大変ありがたく存じます。

それでは、事務局の方から連絡等をお願いいたします。

○ 大森市場課長

次回は12月19日金曜日午前という日程で開催させていただきたいと思っております。今日お示しした3つの論点につきましては、単に並べているだけというものですので、少し報告書の体裁を整えて、それをご審議いただくことと、最後の問題については、もう少し建設的な議論が可能になるような論点を準備させていただきたいと思っております。以上でございます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、これで今日は終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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