金融審議会金融分科会第一部会(第17回)議事録

日時:平成16年5月26日(水)10時00分~12時30分

場所:中央合同庁舎第4号館(11F)共用第一特別会議室

○神田部会長

それでは、予定の時間でございますので始めさせていただきます。

ただいまから金融審議会金融分科会の第一部会、本日は第17回目になりますけれども、の会合を開催させていただきます。

皆様方にはいつもご多忙のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

いつものことでございますが、議事は公開ということになっておりまして、報道機関の方々のために後ろの方の席を確保しております。

本日の予定ですが、前回には、今後の検討課題について幅広くご議論を行っていただきました。その際に、早急な手当てが必要であるとの指摘がなされました外国為替証拠金取引、これについての投資者保護のあり方について、本日は審議を進めさせていただきたいと思います。

本日は、この外為証拠金取引の現状等につきましてお話をお伺いするためにゲストとして何人かの方々に来ていただいております。順次ご紹介させていただきますけれども、まず矢野経済研究所上級研究員の白倉和弘さんでございます。どうもお忙しいところありがとうございます。それから、国民生活センター相談調査部長の島野康さんでございます。ありがとうございます。外為どっとコム特別顧問、酒匂隆雄さん。ありがとうございます。それから、豊商事取締役の古井智昭さんでございます。どうもお忙しいところありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

また、第二部会の委員でいらっしゃる高橋委員にもオブザーバーとしてご参加いただいております。

皆様には、いつものことですが忌憚のないご意見をご披露いただきますようお願い申し上げます。

それでは、いつも立て込んでいて恐縮ですが、お手元の議事次第に従いまして、まず「外国為替証拠金取引の現状」ということで矢野経済研究所の白倉さんに外為証拠金取引の概況についてお話をいただき、そして国民生活センターの島野さんに苦情とかトラブルの状況についてのお話をいただきたいと思います。

なお、今日はゲストの皆様方からお話をいただき、さらに委員の方々からご意見もいただくということで、大変申し訳ありませんが時間厳守ということで進めさせていただければありがたく存じます。基本的にはお一方15分程度ということでお願いできればありがたく存じます。

それでは、まず白倉さんからどうぞよろしくお願い申し上げます。

○白倉矢野経済研究所上級研究員

それでは、始めさせていただきます。

お手持ちの資料のナンバー1というものです。

まず、この外国為替証拠金取引という商品がどういう背景で日本国内に発売、販売されるようになったかということからお話し申し上げたいと思います。

以前から、香港あるいは欧米では証拠金を担保にレバレッジを効かせた外国為替取引という投資商品があったというふうに聞いておりまして、実はそれが日本にはなかったというのが現状です。ところが、金融ビックバン構想を背景に平成10年4月、新外為法が施行されたことを背景に、日本でも外国為替証拠金取引という商品が生まれる土壌ができました。この業界で言いますと事業会社の外国為替取引の業務の自由化、あるいは一般投資家の外国為替取引の自由化、資産運用の選択肢が拡大したと言えます。

そこでその同じ年の8月に商品先物取引会社、現在は業態転換をいたしまして証券会社となっている会社なんですが、外国為替証拠金取引という商品を日本で初めて販売いたしました。この年にこちらでは4社というふうに書いてありますが、「外国為替証拠金取引」商品というものを発売いたしました。

翌年から平成12年にかけましてそういった商品を発売する会社が急増いたしました。その中で証券会社の参入も始まりました。同時に、外国為替証拠金取引を専門に取り扱う、いわゆる業界の中では独立系というふうに言われておりますけれども、専業の取引会社というものも多く設立され、平成12年末までの累計の取り扱い会社数、これは私どもの調べですけれども41社という現状でございました。実に商品が登場して2年余りの間に約10倍の会社数に膨れ上がったということが言えます。

まとめますと、外国為替取引の規制緩和、自由化から生まれた新たな金融商品だというふうに言うことができるのではないかと考えております。

そこで、今度は業界の構造ですとか動向といったところを見ていきますと、まずこちらの方で顕在企業の業態別企業数という書き方をしております。私どもの調べによりますと、業態別で言いますとその下に書いてありますとおり、商品先物取引会社が47社、証券会社が20社、専業会社が69社、その他、これは投資顧問ですとか異業種からの参入ということで6社ほど、合計142社、これは今現在ということになるんですが、分かっているだけで142社あるという意味で顕在企業というふうな記述の仕方をしております。

この構成比を見ていきますと商品先物取引会社では全体の33.1%、証券会社では14.1%、専業会社では48.6%、その他が4.2%という構成になっております。

さらに、「その他の特徴」というところを見ていきたいと思うんですが、具体的に詳しい数字がつかみ切れていない部分がありますので定性情報でここでは記しておりますが、この142社のうちネット取引を進めている会社というのが全体の50%弱ほどあるというふうに見ております。それから専業会社では、小資本の企業が大多数を占めているという特徴もございます。それから短資会社との合弁会社、それから出資を受けた会社、あるいは投資会社からの出資を受けている会社というのも出ております。それから商社の子会社というような会社も専業会社の中には含まれております。

つまり、ほかの業種、投資会社からしてみると投資に値するような業界であると、成長性の見込める明るい業界であるという見方をされている、こういった結果から投資会社から出資を受けたり、あるいは短資会社との合弁、あるいは出資というような現状があるのではないかというふうに分析しております。それから、商品先物取引会社から独立をして興した会社というのもその専業会社の中に含まれております。

さらに全体を見ていきますと、参入企業が急増しているということが一つ大きな特徴です。それには証券会社の新規参入、それから専業会社の設立と、こういったところが背景にあるというふうに思われます。

下の図は、取引企業のフローということで簡単にまとめた図になっております。お客さんの多くは個人投資家です。一部法人をお客さんとする会社もあるというのが現状で、最近は法人向けにも商品を販売するという会社も少しずつ増えているような気がしております。そういったお客さんからの資金をインターバンクで取引をしている主に外資系の金融機関とつないで外国為替証拠金取引という商品を販売している、これが現状でございます。

さらに、「業界動向」という次のページになります。

平成10年に登場いたしました商品ですが、5、6年の間に参入企業、それから参入企業の質といったものが大きく変わってきております。それに伴いまして一般投資家の認知度、商品の認知度、企業の認知度、あるいは信用度というものも少しずつ高まっておりまして、市場規模、私どもで市場規模と言っておりますのは証拠金の預かり残高のことを言っております。この市場規模、それから口座数ともに拡大しております。

一方で競争も激化しておりまして、企業間での格差があらわれ始めていると。これはお客さんの数であるとか証拠金預かり残高の格差であるとかいったところにあらわれているような気がいたします。

他方で、苦情、相談件数も増加しているということが現状として挙げられます。

この業界の中で大きな出来事と申しますと、まず平成15年12月に任意の業界団体が設立されました。これは、いわゆる法規制といったものがないという現状から業界団体を設立してという動きがあってこういった結果となったというふうに思っております。

一方、企業の方で見ていきますと、株式公開を目標にするような企業、こういった企業もあらわれ始めているというのが現状でございます。

次のページにまいります。

今度は「商品の構造」ということについて簡単にご説明させていただきます。

いわゆる外国為替証拠金取引というのは、取引所取引ではなく顧客と取引会社との相対取引の商品であるということが大きな特徴です。

それから、インターバンク市場を利用し、少額の資金で取引額を想定元本としてレバレッジ効果を用いて取引するという特徴もございます。それから、差金決済というような大きな特徴がございます。

一番上の相対取引の項目の下に、どういった取引形態の仕組みがあるかというものを記しました。大きく分けて2種類ございます。1つは仲介業と言われる、IBというふうに言われておりますが、こういった形態とプリンシパル、投資家と契約をする会社の取引の2形態がございます。それから、取引形態とはちょっと異なりますが、最近では外国為替専業会社のプラットホームを導入して簡単に新規参入できるというような土壌もでき上がっております。新たにシステム開発をする投資コストが少なくて済むという現状から最近参入している証券会社にこういった形態が多いというふうに思われます。

下の図は、IBとプリンシパルの図をそれぞれ簡単に書いたものでございます。

次のページが「取引のフローチャート」ということで、IBとプリンシパルの取引をもう少し顧客と取引会社、それからカバー先である主に外資系の金融機関との取引フローということを図にしたものになっております。

次のページに移ります。

実際、この外国為替証拠金取引商品がどういう変遷で今現在に至っているかということを説明したものが6ページでございます。

1つは、まず特徴を申し上げますと、直物取引だということが大きい特徴になっております。それと、その「買い」と「売り」のどちらかでもスタートできる商品である。先ほども申し上げましたが、少額資金で取引額を想定元本としてレバレッジ効果を用いて取引することができる商品だと。

それから、これは各社の商品によっても変わってまいりますが、為替レート1円当たりの損益が想定元本の額で変わってくるという特徴もございます。

それから、金利スワップといったところも収益が見込める、あるいはまた逆の損失になることもあると。

それから最近ですと、これは商品ということではないんですが各社の取り組みということから24時間取引ができるようになった、ネット取引も可能になったということが言えます。それから小口化という傾向がございます。それから低廉化、多通貨化と書いてありますが、具体的にはその下の四角の表組になったところに記したとおりでございます。商品が販売された当初は最初の証拠金100万とか200万とかいうお金だったんですが、最近では10万円単位から預けることができるようになってきたということで小口化と。それから、ドル/円の取引だけで始めていたものが今ですとユーロ、ポンド、オージー、いろんな通貨で取引することができるようになってきたということで多通貨化と。それから、手数料といったものも引き下げということで各社がやっておりますので低廉化ということが言えるということで、商品登場から見ていきますと随分小口化されてきた、それから利便度も上がってきたということが言えます。

次のページで、この業界全体を数値的に把握してみようということで記したものが市場規模と口座数ということで記述いたしました。

先ほども申し上げましたが、口座数、それから残高が伸びていると申し上げましたけれども、下の図のとおり7ページには市場規模ということで証拠金の預かり残高の推移を記しました。次のページには口座数の推移を記しております。

どうしてこのように拡大してきたかと申しますと、背景としては長引く経済不況というものがあるんじゃないか、それから超低金利時代といったことも背景にあると思われます。それから、銀行のペイオフ解禁ということも控えているといったことから資金運用先として商品を選択し始めた、この結果大きくなってきたんではないかというふうにも考えられます。

それから、要因といたしましては、取引会社の努力もあると思いますけれども商品認知度が上がってきた、それから企業の信用度も上がってきた、それから、先ほど申し上げましたが利便が上がってきた、小口化されてきたということで投資家のすそ野が拡大されてきた。それから証券会社の参入というのも大きな要因になっているんではないかというふうに考えます。

この市場規模の算出の仕方につきましては、私どもが各社に取材協力ということでヒアリングを行いました。その結果プラス私どもの推計値を含みますけれども、このような形で市場規模というのを算出しております。同様に口座数についてもヒアリングを行い、私どもの推計値というものを加えております。

こちらで書いてあります2004年3月見込みというところの数字がございますが、こちらは昨年の6月現在に調査した時点の数字でございますので直近の確定値ということではございません。

それから、最後になりますが「業界発展のための課題」ということで、これがすべてではございませんけれども、考えられるところを少し列記いたしました。まず、所轄官庁の存在、法の整備、資産保全の確立、コンプライアンスの徹底、ディスクローズの基準、カウンターパーティの明示などが必要で、こういったところが業界の信用度、それから投資家保護につながってくるんではないかと、こういったところが明確にされていけば業界もさらに発展していくんではないかというふうに考えております。

先ほど申し上げましたけれども、かなり苦情、相談件数が増加しているということがあるのですが、実は商品自体に問題があるのではないというふうに考えております。この商品を扱う取引会社側の販売姿勢ですとか営業方法ですとか資産管理の方法、この点に問題があってそういう苦情、相談が多いんではないかというふうに考えております。

以上、取引証拠金の概況でございます。どうもありがとうございました。

○神田部会長

どうも、大変要領よくご説明いただきましてありがとうございました。

それでは、続きましてお隣の国民生活センターの島野さんからお話をいただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○島野国民生活センター相談調査部長

国民生活センターの島野です。

相談の概要みたいなことなんですが、最初に相談件数を申し上げますと、増えてきたといっても2000年度が4件、2001年度が41件ということで、2003年度が1,182件という苦情、相談が寄せられています。どこに寄せられているかというと、各地に消費生活センターというのがあります。東京都だと東京都消費生活総合センター、小さい市でも消費生活センターというのがあります。全国で500近くあるわけですがそこに相談を寄せる。そこの相談が国民生活センターに送られてくるというような仕組みがありますので、国民生活センター自身が受けたという件数ではありません。

それで、1,182件をどう見るかということなんですが、サービスやら商品を受けて苦情を持った、不満を持ったという人が消費生活センターにどのくらい持ち込むかということですと大体3、4%なんですね、毎年。国民生活動向調査という調査の中ではそういう結果となっております。昨年度はたまたま一番高くて、平成15年度は4.8%だったということですから、この顕在化した1,182件の裏には相当な苦情があるというふうに考えていいのではないかということであります。

消費生活センターというのは何でも相談ですね、ですから特に外国為替証拠金取引だけを受けているわけではなくて、内職商法は受けるわ、今一番多い架空請求を受けるわ、いろんなものの相談を受けている、その中の一つだということをまずご理解いただきたいということであります。

その業者の対応ですけれども、多分これは苦情なんで業者さんにとっては耳の痛いところだと思いますけれども、勧誘の段階では自宅訪問というパターンがかなり多いんですが、東京の業者が地方在住の高齢者などを勧誘して、1回も面談もせずに取引させるケースなんていうのもこのところ目立ってきているというようなことがあります。これはよく言われることですが、よいことばっかり強調してリスクは説明しないということがあります。企業側というか、業者側というのはそんなことはありませんよというようなことを言いますけれども、そういうことが多いということです。

私がこれ、あまり売れてないから皆さんあまり読んだことないと思いますけれども、この「論座」という朝日新聞のものに5月号に書いたんですが、そこの中でも急増する悪質商法というようなことで書いたんです。私個人のというか、私自身の誘引されたことをちょっと書いております。これは先物取引業者でありましたけれども、やっぱりリスクを言わなくていいのとこっちから言っても、いやそんなことはありませんという。私がたまたま空手をやっているもんですからその方から名簿が流れちゃっているか知りませんが、リスクがあるものを売ったりすれば、空手の先生なのに怖いですよというようなことを言ってリスクなんか全く言わない。

そういう耳の痛いところがあると思いますけれどもそういう業者もあるということで、あとは取引の仕組みですね。そういう相対取引、今ご説明いただきましたけれども証拠金取引だと、あるいは追証がかかるというようなこともほとんど説明しないということがあります。それから余裕の資金のない人ですね、そういう方に対して勧誘するわけです。絶対もうかる式ということ、あるいは株式というか、いろいろ投資の経験、知識がない人にもかなり強引な誘引をしているというのが勧誘の段階ではあると思います。

それから取引が始まってですけれども、かなり証拠金を入れる前にもう取引は開始しちゃうというようなのもあるわけですね。決済を仕切りといいますが、決済を申し入れても応じないというので、国民生活センターさんお願いしますというようなこともあります。取引の仕組みが分からないせいもありますが、終始その業者のペースで進められているということで、事実上管理下に置かれているというようなことも見られるということであります。

それから取引後ですが、精算金の支払いなんかの場合、精算金の支払いというのがかなり遅れるとか、分割になってしまうというようなこともあります。そして消費生活センター、あるいは国民生活センターが、そういう事業者に対してどうしているのかということを説明します。これは企画庁の時代ですが、昭和45年の5月4日に、知事に対する国民生活局長通達が出されています。窓口で受け付けた苦情に対しては、単に相手方に取り次ぐだけではなく解決に必要な情報を提供し、その次が重要なんですが、当事者の希望があれば斡旋案を提示するなど積極的に取り組み、その苦情が最終的に解決するまで見届ける必要があるというなかなかいい通達がされているんです。何らかの解決策を見出していこうということで斡旋などをしているわけです。いわゆる商品取引員以外、先ほどお話がありましたけれども、そういう独立系といいますか、そちらの苦情が大半であることは大半なんですね。8割以上そうだと思います。

苦情を申し出るその内容は本当にそうだったかどうだったかというのは神のみぞ知るみたいなところはありますけれども、そういうことが多くなされているということは間違いないと思いますが、双方の話を聞かないといけないわけですね。一方的なだけの話を聞いて処理するのはいけませんです。事情を聞きたいということで事業者にお話ししますと、そんなところ行けるかという会社はさすがに1つもありません。そういう業界もあります。国民生活センターというのは別に行政権限持っているわけでも何でもありませんので、ここでお話し合いでしましょうと言っても来ないというのもなくはないんですが、そのように応じないことはないです。

ただ、自分の非を認めるということはほとんどなくて十分な説明をいたしましたと、実際書面にもきちんとハンコも押してあるし署名もしてありますと、こういうような形で後々のトラブルになったときにということで証拠といいますか、そういう説明をしたというようなところの部分はかなりノウハウがあるかなというようなことを感じます。

それから、相談者が満足のいく金額で解決するかと、これはトラブルだから両方とも互譲しながら解決するということですから全く満足するということはほぼいろいろな面でなかなかないですが、低い水準というふうに、自分たちが思ったよりもやや低いなというところで渋々合意するというケースも見られるようであります。

それから、弁護士を立てたり訴訟を通じたりするという解決というのは、やはり相談者の負担が大きいというふうなところをやっぱりついているというようなところがあるわけです。センターの斡旋というのは斡旋というものの限界というのがありまして、その辺も承知しているのかなというような感じがする業者もなくはないということです。

それから業界団体さんで、先ほど最後にそういう業界団体、外国為替証拠金取引協会ですかね、そういったものが設立されたということで、資料4の方にも国民生活センターと何らかの合意がなされたみたいな書き方がされていますけれども、これは削除してほしいというふうに思います。合意はそういう意味の合意じゃなくて、情報交換しようということはもちろんあって、その協会、いろんな協会がだんだんだんだん発展して、投資者の保護という形で発展していって、ゆくゆくはどうなるかは分かりませんけれども、例えば法定されたというような格好になったときには“合意”ができると思いますけれども、必要な情報交換をやりましょうということです。

それで、以前にまとめた資料で恐縮ですがどのくらいの契約金額、消費生活センターに相談に来られる方はどのくらいの取引をやっているのかというようなので、3ページにございますが、契約金額というところの、この時点での平均金額は500万程度でありますが、かなり高額と思いますね。そして、それがどういう人たちかというと、無職といいますか、退職された方というのが32.4%であります。家事従事者が383件で30%ですね、そういう方が苦情を申し出られるという側面はあるかもしれませんけれども62%を占めているということであります。なかなかハイリスクな商品だということがなかなかまだ理解されないうちにいろいろそんなことで誘引されてしまうということが多くの問題だと思うんです。

そういうことで、我々は消費者へのアドバイスということで一般消費者はあまり手を出すようなものではないんじゃないかというようなことでアドバイスをしたわけです。いろんな不招請勧誘とかいろいろ言葉がありますが、自分でこれはリスクをきちっと分かって、なおかつという方々はそれなりによろしいんでしょうけれども、我々の相談現場から見ると強引にというようなことがやっぱり多いわけですね。生命、身体、財産にかかわることというようなことをよく言いますが、特に不可逆性といいますか、もう元に戻らない、高齢者などではお金を再び稼ぎ貯めることはできない、自分がその財産を営々として築き上げたものがもとに戻らないというような問題、お金の問題についてはいろんな規制が、規制緩和の時代だと思いますがそういう規制、いろんな形であっていいのではないかと思っております。今の金販法だけでどうなんだろうかということは、どういう形で規制するかということは皆様、先生方がいろいろご審議なされるとは思いますが、とりあえずそういうふうに思います。

現場からの報告ということで、やや耳が痛いところもあるかもしれませんけれども、現場からの報告ということで終わりたいと思います。

○神田部会長

どうも、貴重なお話をありがとうございました。

それでは、ここで委員の皆様方からご質問とかご感想とかを自由にお出しいただければと思います。まとまった制度のあり方についてのご意見は後ほどまた伺いたいと思います。ご質問あるいはご感想をということでよろしくお願いします。原委員、どうぞ。

○原委員

少し基本的なところでもう少し教えていただきたいと思うのですが、白倉さんですね、資料の2ページで3点ほどお聞きしたいのですけれども、顕在企業を把握して142社ということですが、潜在企業というのはもちろん数としてカウントはできないと思うのですけれども、どれぐらい潜在企業みたいなものがあると思っていらっしゃるのかということと、それからこの専業会社69社というのがありますけれども、これは以前何かの事業をやっていらっしゃったところが少し衣を変えて新規参入で入っていらっしゃるのか、それとも新たに立ち上げられた専業会社というふうになるのかというところが、もう少し聞きたいと思います。

それから、一番下の図で個人投資家が多いということなのですけれども、この個人投資家の男女別とか年代別というのが分かりましたら教えていただきたいと思います。

以上です。

○神田部会長

それでは、お答えをいただけるならその範囲でよろしくお願いします。

○白倉矢野経済研究所上級研究員

まず、1点目のご質問にお答えさせていただきます。

潜在企業がどのぐらいあるかということなんですが、これはまだ不明確な数字でございます。私どもの、私個人の意見に近いところがございますが300社から400社ぐらいあるのではないかというふうに見ております。業界の中では500社近くあるという方もいらっしゃいます。どこからその300とか400という数字が出てくるかということなんですが、業界の中でいろいろヒアリングをしております中でこのぐらいあるんではないか、人的なつながりがございますので、各会社さん同士で、そういうところからのヒアリングをもとにしていきますとどうも300社、少なくとも300社ぐらいあるんではないかという感触をつかんでおります。

それから第2点目、専業会社の構造というか、どういう立ち上げ経緯かということなんですが、この中にも少し触れておりますけれども、いわゆる商品先物の会社から独立をして立ち上げたという会社、それから、専業会社の中にいた社員が独立をしてつくった会社、こういった会社もございます。また、短資会社と、外為どっとコムさんはそういう会社なんですが短資会社との合弁会社と、それからこのような独立形態のベンチャー企業と言ってもいいんだと思うんですが、そういう会社の中で短資会社から出資を受けた会社というものも数社ございます。多くの会社は商品先物の会社から独立をされた方が立ち上げた会社というのが大多数を占めているというふうに見ております。

それから個人投資家の属性ということですが、これは全社からの数値を把握しているわけではございませんので、それが業界の数値かというと非常に不正確ということになろうかとは思いますけれども、各社によって対象ターゲットとする顧客が違っておりまして、例えば大きな特徴で言いますとインターネット取引をしているような会社ですと20代、30代のお客さんの比率が非常に高い、電話取引をする会社ですと50代以降のお客さんの比率が高い、こういったような特徴があろうかと思います。男女別の比率で見ていきますと、これも各社によってそれぞれ微妙に違ってくるんですけれども、どちらかと言うと男性の方が多い。その率がどのぐらいかというと、これはまだ計算していませんので申し上げることができません。

以上ですが、よろしいでしょうか。

○神田部会長

よろしいでしょうか。

ほかに。池尾先生、どうぞ。

○池尾委員

同じく白倉さんにご質問ですが、資料の最後のところで商品自体の問題というよりは販売方法とか資産管理が問題だと書かれていますが、こういう商品が存在することの社会的意義というのはどこにあるんだろうかというのがお伺いしたいことですが、補足しますと、私は一般的にスペキュレーションがよくないとかそういう考え方は持っていなくて、社会的にスペキュレーションというのは意義のある行為だというふうには思っているんですが、それを個人がやるという必要性が本当にあるのかということで、あるいは個人が為替についてヘッジをしなければいけないような必要性とか意義がどういうところにあるんだろうかということですね。もちろん個人は一切スペキュレーションをやってはいけないんだというのも変な話だというのは確かにそうだとは思うんですけれども、大衆商品としてこういうものが提供されなければいけない社会的な意義が全く理解できないというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○白倉矢野経済研究所上級研究員

無意味な商品ではないというふうに私も思っておりますし、今のご意見と同じように思うんですが、私個人的には、例えば外貨ということで見ていきますと外貨預金というものもございます。それから、外貨建てのMMFですとかそういった商品もございます。それから、いわゆる少額資金でというようなところで見ていきますと、例えば株取引でいいますと信用取引ですとか外貨、あるいは仕組みといったところから見ていきますと同じような商品というものがこの外国為替証拠金取引なのかなというふうに思っておりまして、そのいろいろな資産の増やし方の一つの商品だということでは非常に意義のある、全く新しい商品、日本では新しい商品、外国では、私が聞いているところでは20年も前からそういう商品があったというふうに聞いておりますけれども、やっと日本でもそういう商品が登場したと、資産運用の一つの商品としては意義がある商品なんではないかなというふうに思っております。

○池尾委員

ちょっと追加、意見みたいなことですけれども、ただ株式市場取引と同じだというのは、その定性的には同じかもしれませんけれども定量的には全然違うんで、株のボラティリティーに比べて為替のボラティリティーというのは、ボラティリティー自体のけたが違いますし、外貨預金の場合は基本的にレバレッジは効かせていないわけですけれども、ボラティリティーが株式なんかに比べて、為替なんて年率に直せば何千%と動くことだってあるようなものにさらにレバレッジ10倍かけてという商品が個人向けに必要な理由というのが分からないという、そういう意見です。

○神田部会長

ありがとうございました。

何か追加でありますか、よろしいですか、ありがとうございました。

それでは、高橋委員、それから上柳委員の順番でお願いいたします。

○高橋(厚)委員

島野さんにお伺いしたいんですが、あるいは白倉さんに補足していただきたいんですけれども、苦情が販売の説明義務とか説明が足りないとか、そういうことに集中しているというお話でそうだろうと思います。そうだろうと思うんですが、商品性そのものに、今の先生のお話に関係あるんですが、例えば非常にレバレッジが高過ぎる商品だったじゃないかとか、あるいは外貨が特定されない商品だったかとか、つまり商品についての問題というのはどんな問題があったのか、あるいは商品についての問題が全くないのか、その辺のところの実情を教えていただきたいと思います。

○神田部会長

よろしくお願いします。

○島野国民生活センター相談調査部長

商品自体の問題というより、販売方法等に問題があると思いますが、商品それ自体にも問題があるのではないかと思います。

個人が自分で本当に自分で行うのならいいんですが、受け身でやってくるというのでいろいろ問題があるんです。商品自体もそれが必要、個人にそういう商品が必要だろうかどうだろうかというのは疑問ですよね、そんな現物取引とか何とかというのに比べると危険性が相当高いということで、そういうことが資産運用だとか何とかということだと必要だという考え方もあるでしょうけれども。この商品について情報提供するときも個人へ販売する商品自体の存在理由についてその議論がややありました。商品自体がどうなんだと、国民生活センターで商品自体の評価判断を下すのは止めて相談の現状等を公表しよう、そこまでは今のところまだ言及できないだろうということで、今の勧誘の方が問題としたのででありまして、先生のおっしゃるようところまでは至らない、個人としてはちょっと商品自体に問題があるというふうに思っております。

○神田部会長

それでは上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

お2人に1問ずつなんですけれども、白倉さんの方に伺いたいのは、先ほど池尾先生の質問と重なるのかも分かりませんが、2ページのところに需要というので個人投資家が多いけれども法人もあるということで、どのような法人なのか、いわゆる貿易なり海外との取引をなさっていて、それのリスクヘッジをするような、そういう需要というのがどのぐらいあるのか、これは取引会社によって違うのかも分かりませんが、もしお分かりであれば教えていただきたいというのが1点と、それから国民生活センターの方に伺いたいのは、トラブルにあったら弁護士に相談するなどして司法の場で解決を図ることになるというふうに7ページに書いておられるんですけれども、この弁護士への引き継ぎというのがスムーズにいっているのかどうか、私弁護士なものでひょっとすると自分に不利益な質問をしているのかも分かりませんが、率直な実情を伺えればと思います。

○神田部会長

それでは、お願いします。

○白倉矢野経済研究所上級研究員

それでは、法人需要がどのぐらいあるかということでよろしいんでしょうか。

細かな数字は実のところまだつかんでおりませんので正確なことは申し上げられないんですが、実際に貿易会社が多く使っているというようなことを聞いております。銀行をどうしても介さないといけないんですが、そのときの手数料というのがこの取引会社を通してやると非常に安くなるというような、メリットがあるということも聞いております。コストを下げたいというような会社さんが取引をされているという実需の面での取引が多いと。ただ、最近はどういう取引をしているかというと、その実需以外のものもあるかもしれないというところまでしか私の方では今のところ分かりません。

○神田部会長

それでは、お願いします。

○島野国民生活センター相談調査部長

センターで解決というのは一番緩やかな和解だと思いますけれども、いろんな面で対立点がありますと、それ以上になりますと先ほどの局長通達を逸脱する部分があって弁護士法の72条との関係になってくる部分があります。ということでこれは弁護士さん、あるいは訴訟の場でしかないだろうといったときにどこにつなぐんだというと、個人の弁護士にはつなぐわけにはいきませんので、例えば単位会でやっている弁護士相談のところに行ってごらんなさいとか、あるいは消費者問題対策委員会というのが日弁連にありますが、その支部、その他これこれこういうところにあります。どこどこの弁護士会だとだれだれが今委員長になっていますからそこでご相談くださいとか、そういうつなぎ方です。その後どうなったかというところまではフォローはしていないわけです。そこまでであります。

○神田部会長

よろしいでしょうか。

それでは、時間の関係もありますので先へ進ませていただいて、またご質問、ご意見等を後でお出しいただければと思います。

それでは次に、同じく今日ゲストとしておいでいただいております実際に外為証拠金取引を取り扱っておられるお立場からということでご意見をお聞かせいただきたいと思います。外為どっとコム特別顧問の酒匂さんと豊商事取締役の古井さんにお話をいただければと思います。

それでは、また恐縮ですがお1人15分程度ということで、まず酒匂さんからどうぞよろしくお願い申し上げます。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

酒匂でございますが、まずはこういった外国為替を扱う業者の一人としてヒアリングにお招きいただいたことを大変感謝いたします。

それで1つだけちょっと明らかにしたいんですけれども、この議事進行あるいは皆様方から外国為替証拠金取引とおっしゃっていますけれども、実は我々は外国為替保証金取引と言っておりまして、業者によってこの呼び方が違うということだけをテイクノートとしておいていただれば幸いでございます。

実は、私自身もこの外国為替保証金取引の業務に携わってまだ1年でございまして、まだ勉強中でございます。私は1970年に銀行に入りまして、2001年に退職するまでの約30年間ずっと外国為替に携わっておりまして、外国為替しか私は知らなかったんですけれども、特に最後の十数年にわたっては東京外国為替市場委員会、それから日本フォレックスクラブという、実はこれも任意団体なんですけれども、こちらでいわゆるプロの銀行のディーラー、あるいは証券のディーラー、あるいは機関投資家等のいわゆるホールセールというか、そのプロの外国為替に携わっているディーラーの連中の教育、ルール決め、あるいは啓蒙に携わってまいりました。銀行を退職した後、ひょんなことからこちらのお助けをすることになったんですけれども、今までの経験を生かして個人レベルにどうやってそういった啓蒙をするかというのを考え、そしてやってまいりまして、今もやっているつもりでおります。

それで、先ほどある委員の方からご指摘がありましたけれども、個人レベルで外国為替をやる意義と言われましたけれども、要するに問題は個人が外国為替をやってその損失を被ったことによって社会問題になっているということが非常に問題があると思うんですね。それで、先ほど耳が痛いだろうというふうにおっしゃいましたけれども実は全然痛くありませんで、そういったことをやっているつもりもありませんし、むしろ個人レベルでも、いわゆる外国為替が非常におもしろいものだと、もうかるんだというそういううまい話にのってもしかして損害を被ったのであれば、個人のいわゆる投資家、あるいはそのレベルでもある程度責任があるんじゃないかというふうに個人的には思います。

つまり、もちろんだます方が悪いんですけれどもだまされる方にもそんなうまい話があるわけがない、銀行の1年定期預金が、普通預金ですか、0.02%、国債の10年ものは1.5%のときに倍になるとか20%、そんなものはないんですけれども、業者の巧みな言葉によってだまされて損害を被った、これが問題なんですね。

先ほど事例をおっしゃっていましたけれども私のところにもよく電話が来ます。恐らく委員の皆さんにもしょっちゅう電話がかかってくると思うんですけれども、ものすごく話がうまいんですよね。恐らくアプローチはほとんど同じだと思いますけれども、ぜひ後でその本を見させていただきたいと思うんですけれども、要するにものすごく話がうまくて、立て板にぱっと水を流すような話をして、もう嘘八百を言っているんですけれども本当かいなと思っちゃう。

よく昔、新興宗教がはやって、えっと思うような教養のある、知識のある、知性のある人がだまされてどうしたんだと。要するに催眠状態になっちゃう、私もえっと思います。私自身が為替に興味がありますので話を聞くんですけれども非常にうまいんですよね。ころりとだまされちゃう。それで、実は島野さんがお出しになりました国民生活センターに具体的に来た苦情について、ちょっと話をさせていただければと思うんですが、実は私のその資料の一番最後から2番目にある苦情トラブルの具体的な内容、実は先ほど耳が痛くないと言ったのは、外為どっとコムには苦情は全くありませんからでして、というのは勧誘しないからです。実はこちらの私どもの具体的な内容と、実はこの国民生活センターにまいりましたトラブルの内容が極めて似ていまして、もしお許しいただければこれちょっと引用させていただいてよろしゅうございますか。この具体的な相談でというところで。

○島野国民生活センター相談調査部長

外に出しているものなので構わないですよ。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

お手元の国民生活センターで先ほどお話しのありました具体的な相談例の4ページなんですけれども、「投資経験のない高齢者への執拗な勧誘、説明不足」、要するにこれはお年寄りに必ずもうける、もうけてみせる、やらせてください、と。それで高齢者の方は非常に優しくていらっしゃるから「私のようなひとり者のところへよくこうやって電話をくれるわね」と、じゃあしょうがないからちょっとやってあげようか、もうこれで終わりですね。

事例2「断定的判断の提供」、要するに外貨預金ですから何十%も金利がつくんですと大嘘をつく。それと多くの人は外貨預金とか外国為替とかスワップとか、こういった「外どうのこうの」という英語に極めて弱いからそこら辺の弱みをつく。

事例3の「仕切り(決済)回避」、要するに仕切りはその業者によって違うんでしょうけれども、実際に市場には捌かないで注文をのんでしまう悪徳業者が居た場合、つまり業者のもうけは客の損、要するに顧客が損をしたら業者がもうかるという仕組みになっていますから当然やりたくないわけですよね。

それから事例4、「説明不足、返還遅延」、これはもう最初から顧客にもうけさせるつもりが全くないわけですからそんなのやりはしない、事例の不実告示、説明不足も全く4と同じ。

事例6、不実告知、やっぱり無断売買してあたかも政府が認可しているだのどうのこうのという、非常に嘘八百を並べてだますという事例があるから個人レベルでだまされるということなんですよ。

私自身も先ほど申しましたようにしょっちゅう電話がかかってきますけれども、ほかにまだ言いますと、いや、もう介入がちょっと終わったらしいと、どうも100円切るかもしれない、これは10年に1度のいいチャンスだからやりましょうと、任せてくださいと、この倍になりますというふうに非常に射幸心をあおる、これは私が実際に私が聞いた例でございました。

それと、来年ご存じのようにペイオフが始まりますと。だから何かやらなきゃいけません、ペイオフと外国為替の取引は全く関係ないんですけれども、そういったことで今から何かしなきゃいけないという、いわゆる普通の無知な人に焦りを与える、あるいは外為取引をまだやっていないんですかと、はやっていますよと、金利は高いですよと、おもしろいよと、隣のおばあちゃんもやっていますよというふうに、あたかもその外国為替の取引をやらないことが流行遅れのように、非常にやはり射幸心をあおると。もちろん断りますよね、そうすると入れかわり立ちかわりいろんなのが電話してきてもうお願いしますよと、挙げ句の果てに上司が出てきて、いや、お客様厳しくていらっしゃいまして、何とかこの前はまいりましたよ、泣いていましたよと、どうぞあいつを男にしてやってくださいという泣き落とし、日本人はこれ非常に弱いんですよね。

それからこれもですけれども、たまたまお近くに来ておりまして、ぜひパンフレットだけ置かしてくださいと、ぜひ名刺だけ置かしてくださいと、こういうのにやっぱり日本人は弱くて、もうこれ家に入れたらもう終わりなんです。このように非常に同情を買ったり強引にやって取引を始めさせたらもう彼らにとってみればしてやったりと。

要するに、こういった事例を含めて被害者が出て今社会問題になっているわけですけれども、冒頭にだまされる方も悪いと言いましたが、これは大変お気の毒な話であってやっぱりだますやつが悪いんです。そのだますやつのいわゆる取っかかりというのはやっぱり強引な勧誘、これは自宅への電話、あるいは訪問を含めて、要するに勧誘なんですよね。要するにこういった勧誘、つまり取引の入り口である強引な勧誘をさせないためには今横行している電話勧誘を制限したらよろしいんではないか。

私がお配りしましたお手元の資料のとおり、実際に英国とか米国ではこういった電話とか訪問による勧誘を禁止して罰則規定がある、ところが日本には残念ながらまだない。ですから、まず入り口である勧誘、そういったものをある程度制限すれば相当被害が減るんじゃないかというふうに思います。

その後、業者として必要と思われる規制というのを資本金規制からずっと書きましたし、それから3ページ目に外為どっとコムが具体的に投資者側の観点で行っている措置というのを書きましたけれども、これは全く普通の常識的なことを提案し、それをやっているだけなんです。やっていない連中がいるから社会問題になっているということなんです。

それで、むしろ懸念いたしますのは、先ほどいわゆる委員の方からもご質問がございましたけれども、果たして存在意義があるのかと、個人レベルに為替をやらせていいのか、ということです。というのは、先ほどもちょっとございましたけれども、日本の低金利に非常にあえいでいる人がやはり金利の高い通貨に移したらどうかという考えは極めて当然の話だと思いますし、また特に富裕層において円資産だけを持っていることに対してのリスクを非常に考え出したということは、もう彼らは5%、10%の円高円安などは全く関係なく、単純に今持っている円資産をほかの通貨にシフトしたいという希望がございます。

それと、先ほどどうして法人がやるのかというお話がありましたけれども、これははっきり言って今1円取られている銀行への手数料が15銭で済む、個人でも銀行に行ってドルを買えばTTSで1円取られる、売ればTTBで1円取られる、要するに往復2円取られるというのが外国為替保証金取引をやることによって数十銭で済むというその低コスト、極めて強い経済的理由があると私は思います。

ですから、肝要なのは、為替は先ほどボラティリティーが高いというふうにご指摘がありましたが全くそのとおりだと思いますよ。ですからそのボラティリティーの高さ、いわゆる外国為替の難しさというのを顧客に対して十分に説明する必要があるというふうに思っていまして、実は我々外為どっとコムは昨年86回、今年はもう既に96回、恐らくトータルで250回にわたってセミナーを開く予定でおりますけれども、これに行ってはおやめなさいと、難しいんですと話しています。そもそもいらっしゃる方、私も何回もそのセミナーに行って講演をやりますけれども、前にいらしている方々がメモを持って、よくテレビに出る、有名な先生が来るから何かもうかる話をしてくれるだろうと思って来るんですけれども、私はやめなさいと、もうかりゃしないと、そもそも外為取引で一旗揚げようというようなことを考えているからだめなんだ、そうではなくて、国債が年率1.5%なんだから、じゃあご自分でいろいろ考えていろいろやって例えば年率5%、6%のもうけでいいじゃないですかという話をしたら、もう例外なくセミナーが終わった後目が覚めましたとか、損している理由が分かりましたということで非常に反応は強いと思います。

恐らく数十万人いらっしゃる個人の投資家のレベルにこういった啓蒙をするというのは、1回150名、200名のセミナーでは気の遠くなるような仕事だと思うんですけれども地道にやっていきたいと思いますし、それが我々業者の務めだと思います。

それで、先ほどのご指摘がありました例の自主規制団体ということなんですけれども、実は市場委員会もフォレックスクラブも自主規制団体です。非常にうまくワークしました。理由は、市場委員会においては地方銀行、都市銀行、外国銀行、証券会社といういわゆる業態の代表が集まって話をしてそれを下に持ち帰る、つまり全員参加しているんです。フォレックスクラブもその外国為替をやっている銀行や証券が全員参加している。ということは、任意団体でありながら全員が参加しているからルールを設定したらみんな守るんです。別に強制力はないけれどもみんな守る。

ところが、幾つか団体があるというふうにお聞きしましたけれども、果たしてその業界で大手と言われている人たちがやっているのかどうかということは、ちょっと例えが悪いんですけれども、野原がありまして1998年からある程度野球ができるようなグラウンドができたと。ところがルールも何もなくて子供たちがわいわいわいわい三角ベースをやるやつ、四角ベースをやるやつ、あるいはひどいやつはグラウンドの外にボールを投げて隣のガラスを割っちゃうと。そこに赤いユニフォームを着た子供たちが格好いいんですけれどもバッと来て一緒にやろうよと、こうやってここのグラウンドのおじちゃんからお墨付きもらったんだと、あたかも一緒に入らなきゃ野球やっちゃいけないというようなことを言う。そのほかに結構野球のうまい連中がそれ何なんだろうと言うけれどもそうなのかなと冷やかに見ていたんです。それで、その子供たち結構格好はいいんですけれども、どうも野球は知らないらしいと。聞いてみたらサッカーは結構うまいんだけれども、サッカーやりながら野球もやりたいということでワアワアやっている。じゃあルールどうするのと言ったら自分で決めると、審判どうするのと言ったら僕たち自分で審判するというようなことを言って、それじゃあだめなんですよね。

要するに、サッカーをやったときにイエローカードをいっぱい受け取った子供たちが野球もやりたいというふうに言っているような気がして、これは全く個人的な意見なんですけれども、このグラウンドが近い将来、いわゆる管理者がはっきりしてルールを徹底してちゃんと屋根ができて雨でもプレイができるようになって芝も張られてというふうになります。そのときには恐らくその赤ユニフォーム、青ユニフォーム、白ユニフォーム、みんな一緒になると思うんですけれども、やはり肝要なのはルールを守ってみんなで仲良くするということだと思うんですけれども。

ちょっとまだ言いたいことがあるんですけれどもちょっと時間でございまして、また後ほどご質問をお受けしたいと思います。失礼しました。

○神田部会長

大変ありがとうございました。

それでは、続きまして豊商事の古井さんからお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○古井豊商事取締役

私、豊商事の外国為替証拠金取引を担当しております担当役員の古井でございます。私ども豊商事につきましては、あらかじめお配りしましたペーパーをご参照いただければ幸いです。

外国為替証拠金取引に弊社が参入いたしましたのは、1998年11月10日でございます。ペーパーでも述べておりますように、この業務に入りました契機は、商品先物取引のほとんどがいわゆる国際商品でありまして、その価格形成に外国為替、特にドル円の相場変動が大きく影響している実態で、弊社の受託しております先物取引の大きなパーセンテージを占める一般投資家が大手商社等の当業者と対等に市場参加をするに当たって、外国為替を抜きにして考えられないという非常に片手落ちな市場というふうに私自身長く考えておりました。

1998年4月1日の「外国為替並びに外国貿易法」の施行により、これまでの両替制度、それから外為銀行制度が廃止され、外国為替取引が誰でも自由にできるという、これは非常に大きな転換点でありました。そのような流れの中で、弊社が英国最大の金融サービス会社のシンガポール法人との間で代理人契約を締結し、いわゆるIBという形で外国為替証拠金取引に参入いたしました。しかしながら、海外業者の代理人としての業務では利便性、特に取引の迅速性、それから資金移動にかかわる迅速性、そして取引コスト、顧客のニーズにこたえらないことが多々あることがわかりました。したがって、代理人業務を続けながら弊社プリンシパル国内完結型のサービスを開始すべく検討に入りました。1年余りの準備のもとで、2000年の7月25日よりインターネットベースの電子取引を開始いたしました。

このサービスを開始するに当たりまして、商品設計につき弊社で注力いたしました点につきましてはペーパーでも申し上げております。次のような点でありました。

それは、グローバルな視点での商品先物市場における規制の流れ、国内の商品取引情報における規制、あるいは取引所の規則、あるいは我々の長年培ってきました経験から導き出したものと言えます。

第1に注力しましたのは顧客資産の保全をどうするか、この商品は現在に至るまで何ら法規制がなされておりません。商品取引所法、証券取引法あるいは金融先物取引法などの枠外でありますので、顧客の業者に対する預かり資産が法的に守られていないということを指しています。弊社は、この商品の発祥地である英国あるいは続いて発展しましたシンガポールの例を見るまでもなく、本来あるべき姿として顧客資産の保全策を最優先課題といたしました。法的な定めがない限り信託法に基づいた信託財産とする以外に保全策はないという結論に達しました。多くの信託銀行との間で議論を重ねました。

最終的に、欧州系の信託銀行との間で特定金銭信託としてのスキームをつくり上げることができました。このスキームについてビジネス特許を申請するという考えが信託銀行側あるいは弊社の社内にもございました。しかしながら、この外国為替証拠金取引の健全な発展を目指すため、他の業者にも追随してもらうのが筋との意見が勝ちまして見送られております。

それから、次に注力いたしましたのは、顧客の市場変動リスクを管理可能とする方策はあるかという点であります。外国為替市場は24時間休むことなく変動を続けております。特に日本の夜間に価格が大きく動くことが多々あります。顧客は夜通し市場を見ているわけにはいきません。先物市場あるいは株式市場には、1日の最大値幅制限というものが定められています。外国為替市場にはそのルールはありません。そこで顧客がある程度リスクを計算してスタートできると、そういった方策を考えました。それがストップ・ロス制度というものです。新しい注文を取引プラットホームに入力するには必ずこのストップ・ロス注文を入れないと注文を受け付けないというシステムを採用いたしました。

続いて、公正な価格をどうするか。価格の公正さを実現するということは外国為替市場、すなわちインターバンク市場のメカニズムにより形成されているインターバンク市場の価格そのもので取引をしていただくということに尽きると思います。複数のインターバンク取引参加金融機関とリアルタイムの市場価格配賦業者の価格データを電子処理しまして、弊社の売り買い双方向のフォーム・クォートとしてプラットホームに常時提示できるような方式をとりました。

次に、両建ての禁止。グローバルスタンダードに基づき、顧客の契約残は市場の最終価格によって1日1回精算する、すなわちマークツーマーケット方式をとり追加証拠金方式を避けました。そして、顧客にとって何らメリットのない売り買いの両建てポジションを禁止しました。

次の5番目の点ですが、自己責任による取引の励行。取引は顧客自身のプラットホームへの入力により行われ、電話での対応は不可といたしました。この施策は弊社のマンパワーの軽減という意味合いだけでなく、顧客の取引に対する自己責任の励行をシステム面から求めるものです。また、取引の面だけでなく顧客の資産管理も自己責任でやっていただく、顧客の資産残高の一覧性をプラットホーム上で可能といたしました。また、顧客はその資産残高に沿って出金を希望する場合には自身で入力して出金指図ができる形になっております。

さらに営業面につきましては先ほどからいろいろご指摘がありますが、主要業務であります商品先物取引におきましても社内営業管理規則がございます。外国為替証拠金取引の営業においても、同じレベルの自己規制を自ら課しております。その骨子は商品説明の義務とリスク開示、参加者の適格性の確保、先ほどからご指摘のあるような高齢者の勧誘、そういったことにはこの社内規則により規制を課しております。本人確認、それから取引における自己責任の徹底。先ほどのお話のように相手を煙にまいて物事をやるなんていうことは我々の会社ではありません。こういう社内営業規則を決めておりますが、実際の顧客開拓は一定期間の紙媒体、その他マルチメディア経由のキャンペーンの後、インターネット広告を主としてマーケティングを行い、各地での勉強会を通じて商品説明を繰り返し、顧客の自発的な参加を促しました。

一方、2000年中頃から外国為替証拠金取引への各業態からの新規参入が相次いでまいりました。商品取引、証券、そして独立系、昨今では大規模なデータベースを伴う電子取引プラットホームによる業者は60社を超えております。電話対応業者は一般に知られている限りで70社を超えております。地方都市に本拠を置く中小の業者、さらにはアパートの一室を事務所とするような中小もあわせれば優に200社は超えると思います。電子取引のプラットホームも300万、400万で手に入るという世の中になっております。

このような乱立状態の中で、証券会社は金融庁の事務ガイドラインにより商品取引員は主務省である経産省並びに農林省の特定業務届け出のもとで監督があります。ある程度の監督官庁のチェックがあります。しかしながら、他の業態あるいは独立系と言われる専業業者へのチェックは法的な面では全くありません。この様相は、1980年代の初頭における金先物にかかわる取引所への上場前夜の混乱状態を想起させるものがあります。当時を振り返りますと、法規制が全くない中で投資家保護が顧みられることなく先物まがいの取引業者が乱立、極端な例では2つの私設先物取引所が設立されたという、無政府状態とも言えるような状態が続いておりました。投資家と業者のトラブルは枚挙のいとまがないほどの発生率となり、最悪の豊田商事破綻へと続いたことは記憶に新しいものがあります。この混乱は、商品先物業者団体の強い働きかけのもとで金先物取引所の正式設立まで続きました。弊社の会長であります多々良義成は、金先物取引所設立当時の業界のリーダーでありまして、当時の商品取引員協会長の立場であったわけですが、そのような渦中にありました関係上、この外国為替証拠金取引の始まった当初から混乱の到来を非常に危惧してまいりました。外国為替証拠金取引に参入している商品取引員を糾合し、自主規制団体の設立を目指すべく2000年2月に各社に呼びかけを行いました。総論賛成各論反対、なかなかまとまりませんでその時点では自主規制団体の設立には至りませんでした。

しかしながら、取引業者の乱立と悪質業者によるトラブル続出の中で自主規制団体の設立は本当に喫緊の課題となりました。昨年初頭から核となる商品取引員、証券会社及び外国為替業界の有識者の何名かを中心に、商品取引業界のみならず他業態を広く包含する自主規制団体、外国為替証拠金取引協会の設立に向けて動き出しました。設立準備委員会が組織され、定款、自主規制条項の策定が行われました。それらの定款、自主規制のもと外国為替証拠金取引業者並びに数名の外国為替、業界有識者を発起人とする外国為替証拠金取引協会が2003年12月10日に設立されました。

当初、会員20社によりスタートした外国為替証拠金取引協会は、厳しい審査基準のもとで本日現在2社新規の参入が承認され22社となっております。協会には各種委員会が設けてられております。特にここでご披露いたしたいのは自主規制委員会とヘルプデスク委員会の活動であります。

自主規制委員会では、自主規制にかかわる条項の策定だけではなく、口座開設、契約書の基本的な考え方についての会員のアドバイス、社内管理規程の必須項目にかかわるアドバイス等の活動を開始しています。

また、ヘルプデスク委員会は、一般投資家からの外国為替証拠金取引にかかわる各種問い合わせに対して回答、一般投資家からの苦情受付、トラブル解決についての専門家としてのアドバイス活動を行っております。このヘルプデスク委員会の活動は会員関連に限ることなく非会員と顧客の問題についてもアドバイスを行っております。先ほど国民生活センターからご指摘がありましたが、連携を取り合うというその合意につきましては言葉遣いが間違ったという意味でまことに申しわけございませんが、情報交換をするという意味でございまして、現実には国民生活センター、あるいは各地の消費者センターから21件の問い合わせといいますか、相談が参っております。それに誠意を持って答えております。

お配りしましたペーパーに添付いたしました表でございますが、ご覧いただきますように同委員会に寄せられました苦情では独立系と言われる専業業者がほとんどであります。本日発表いただいた国民生活センターに寄せられている苦情、相談の件数の多さに驚きを持って接していますが、もしそれらの苦情、相談に該当する業者の区分を行えば外国為替証拠金協会のこれらの区分が非常に正しいものというふうに証明されたものと存じています。

しかし、この苦情の内容が非常にゆゆしいケースが目につくはずです。例えば無断売買、仕切り拒否、出金拒否、出金遅延など、直接顧客の資産に損害を与えるケースが多々見られます。法規制の前提として一部の伝聞に基づく先入観にとらわれることなく実態の把握が一番重要かと考えます。

外国為替取引は、グローバルな幅広い参加者により市場が構成されたキャッシュ市場としてのマーケットフォーシーズによる最も公正な市場と私は理解しております。これは、その決済は国際ルールのもとで進められています。その取引の手法は定型化されたものはなく、OTC取引の自由闊達さを拠所として、柔軟性が取引の経済効果を高めていると思います。外国為替取引の健全な発展は多くの投資活動の効果と柔軟性を高めることに大きく貢献するものと信じています。

しかしながら、現状のままこの業界を野放しにすることは第二の豊田商事事件を引き起こす素地を温存するものと考えています。販売面での規制は金融商品販売法の適用、この4月より適用商品とされたことで大きく前進したと思います。しかしながら、業者の参入に対する規制は新しい法手当てが必要ではないかと愚考いたします。

先ほど、弊社の商品設計での留意点を申し上げましたが、法規制で欠かしてはらない項目は次の3つかと考えます。

それは、資本要件、最低純資産の確保、他の市場と同じように預かり資産に比例する純資産の保持義務あるいは顧客の保持するポジションに対するパーセンテージに基づく純資産の保持義務、純資産が数千万円で50億の顧客資産を預かるなどという事態は絶対に許されないと思います。必要純資産の算出方法はいろいろ考えられますが、しかしながら国際的に見れば法で定められた最低純資産額、それとあるいは預かり顧客資産の何%かどちからか高いものというのが一般的な常識であります。あるいは、取扱想定元本の何%という考え方もとっているところがあります。どちらにしましても、その預かり資産に関連する純資産の制定というのが必要かと思います。

次に、顧客資産の分別経理・保管・保全の義務付け。商品先物を含む投資商品のすべてにはこの顧客資産の分別・保管・保全の義務付けは必要なものと考えます。この外国為替証拠金取引にあっても同じことが言えると思います。

それからさらに重要なことは、財務状況の開示、一定の純資産保持、顧客資産の分離、分別保管とともに、その裏づけとしての業者の財務の健全性を開示する必要があります。第三者による監査報告つきの定期的な財務状況の開示が義務付けられなければ規制の意味がないと思います。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今お二方からいただきましたお話につきまして、先ほどのように委員の皆様方からご質問、ご感想をここでお出しいただきたいと思います。原委員、どうぞ。

○原委員

お二方にそれぞれお聞きしたいと思います。酒匂さんに3点なのですが、実際に一番最初に白倉さんからのご説明の中で大変参入事業者が増えているというお話があったわけですけれども、もちろんそれに比例して個人の取引も増えているということなのですが、どれぐらいもうかっているのか、私どもはやっぱり損をした話しか聞いていないのですが、個人でもうかっているような人がどれぐらいいらっしゃるのか。それから、やっぱり事業体としてもうかるからここへ参入していらっしゃると思うのですけれども、事業体としてのもうけのようなというのがどれぐらいあってみんな入ってきているのかというところをお聞きしたいと思います。

それから2つ目ですが、お話の中に業者のもうけが顧客の損になるという、こういう取引になってしまうというところがあって、2ページのところにそれを回避するために顧客のポジションを完全にカバーする体制ということで、利益が相反しないようにするためにカバー取引を実施しなかった場合ということで、もう少しここを丁寧にどういうことで回避をしていらっしゃるのかということのご説明をお聞きしたいと思います。

それから3点目は、実際にどっとコムではトラブルは大変少ないという、特になしというふうには書かれているわけですけれども、電話個別訪問による勧誘は禁止なさっていますが広告がかなり多いと、広告でこの取引に加わられる方が大変多いのではないかなと思っておりますが、広告についてどういうふうにお考えになっているかお聞きしたいと思います。

それから古井さんに1点なのですけれども、資料の5ページに電子取引プラットホームのお話を書かれているのですが、実際にいろいろとトラブルを見ていますとインターバンク市場につないでいないのではないかという、そういうような疑念を持たれているような取引もあるわけですけれども、そういったインターバンク市場へつないでいないのではないかというあたりについて、実際に業界の状況としてはどのようなことなのかお聞かせいただきたいと思います。

それから出金遅延ということが、これもトラブルでかなり起こっています、これについてもどのような状況でそういうことが起こっているのかについてお聞きしたいとい思います。

以上です。

○神田部会長

それでは、酒匂さんからお願いいたします。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

お答えいたします。

個人が果たしてもうかっているのかというご質問なんですけれども、あまりもうかっていないと思います。それで無茶をするなというふうに教育しているわけです。つまり、業者の甘い言葉に誘われて今日からあなたはプロの為替のディーラーなんていうふうな切り口で入ってくるからできないんですね。100万円投入して150万にしようというからもうからないわけです。ですから無理はおやめなさいというふうに教育しているわけです。広告のお話が出ましたけれども、確かに広告を非常にやっておりますが、これはセミナーにもいらっしゃいということと、どうぞいらして為替というのはすごく難しいものですよというふうな教育をやるために広告をしてお客様を集めているわけです。

実際、そのセミナーに来てもうけが増えるか、それは全く私には分かりませんけれども、先ほど申しましたように少なくとも多くの方々は目が覚めましたと、私もそうですかと、そんな無茶やっちゃいけないんですねと。我々は、とにかく私自身はレバレッジなんかおやめなさいと、元プロの私でさえ大変だというふうに理解している、あなた、アマチュアじゃ無理ですよというふうに啓蒙しております。

じゃあ、こんなにもうかるからいわゆる事業者が増えるというふうにご指摘なさいましたけれども、私が配付いたしました資料の最後にも書きましたように、確かに我々自身の口座数も過去1年で約3倍になり、その保証金も3倍になったということは、ほかの事業者も同じペースがどうかよく分かりませんけれども、そんなにもうかっているというふうな自覚よりも、むしろ外為どっとコムは手数料10銭取っておりまして、これは恐らく業界で高い方の部類だと思うんですけれども、要するにそれでも口座数が倍になり、預かり資産が3倍になったというのは、お客様から高いんじゃないのというお叱りは受けるんですけれども、少なくともそのお客様ご自身もあそこは高いけれどもよく教育してくれる、よくセミナーを開いてくれる、つまり安かろう、悪かろうという時代じゃないというふうにおっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。

ちなみに、外為どっとコムの決算状況なんですけれども、実は創業ちょうど2年でございまして、昨年3月は若干の創業の損が出ましたけれども、今年3月の決算で約16億の経常利益を上げております。

それから、出金遅延の問題がございましたけれども、私ども実は非常にユニークなシステムを持っておりまして、実は99%取引がインターネットで、しかもその年齢層が若干業界と違いまして大体30から35、預かり資産も実は非常に少なくて100万から120、30万、要するに多くの方々が小さな資本でおやりになって、しかもインターネットでやっておりますので若い方が多いんですけれども、そのユニークなシステムというのは、例えばお客様が出したいと言ったその日に出す、そういうインターネットを使う銀行を使っております。ですから遅延というのは全くございません。

○神田部会長

もう1点、原委員からのご質問で、顧客との利益相反を防止するためにポジションをカバーする取引をすべきだという点をもうちょっと分かりやすくご説明ください。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

失礼いたしました。

要するに、先ほど申しました業者の利益が顧客の損というのは、例えばずっとドルが下がっているときに例えばお客が買った場合、それをのんでしまえばいいわけですよね。つまり、インターバンクにいわゆる捌きますと当然ドルを売ったり買ったりしなきゃいけないんですけれども、何が起きているかというと、市場に捌かないで自分でのんでしまって、いわゆる競馬のノミ屋と同じようなことをやっている。少なくとも、我々は幾つかの大手の銀行を使って基本的にはポジションは全くゼロにするようにしています。ただこれは無理なんですね。つまり、お客様がおやりになったのを瞬間にそれは捌けませんから、コンピューターが売りと買いのネットを瞬間に計算をいたしまして、ディーラーが3人おりますけれども、そのディーラーがネットの数字をずっと瞬間瞬間全部捌いて、実は1日ほとんど2億ドル近くのネットの取引をやっております。ただ、ご指摘の我々のようにインターバンクに捌くとそういった問題はないんですけれども、一部のもしかしたら業者がそれを捌かないでのんでしまって、要するに我々がもうかると客の損、ということは逆に客がもうかると我々が損だからというんで市場に捌かないという現象は起きていると思います。

○神田部会長

ちょっと今のご説明でもなお一般の方には分かりにくいかもしれませんけれども、とりあえずよろしいでしょうか。

それでは、古井さんにもご質問あったと思います。よろしくお願いします。

○古井豊商事取締役

まず、私に向けられました質問、電子取引にかかわるつなぎということですが、ただいま酒匂さんが説明されましたように24時間ディーラーがスクリーンで、データベースで計算される弊社が被る為替リスクのバランスをチェックしております。そして、ペーパーにも書きましたが9万ドルを超えたバランスになったときに直ちにインターバンク市場のやはりこれも電子取引の形になっておるんですが、その電子取引を通じてカバーいたします。

それから、出金遅延ということでございますけれども、出金遅延という形のケースは私どもでは一切ございません。そのスクリーン各人が持っておりますといいますか、それはインターネットであったり、あるいは携帯電話であったりするわけですが、その画面上にあらわれた資金移動の指図に従いまして我々は直ちに顧客の口座に、直ちにといっても銀行の営業時間とかその他がございますので目先、我々のシステムでは翌日の朝そのあらかじめ指定された口座に資金を支払うことになっています。

それから、先ほどの話を私もちょっとお答えしたいんですが、事業体はもうかっているのかというお話でございます。私のところの、これで2000年から4年続けてきているわけですが、先ほどの酒匂さんのお話を聞きまして私はびっくりいたしましたけれども、それほど大きくもうかる仕事ではございません。現実にこれだけの多くの業者が参入しておるということは、それはのみ屋さんであるということに結論づけられると私は思います。それほどの大きなボラティリティーがない中で大きな利益を上げるということはほとんど不可能でございます。これはブローカーの仕事であってトレーダーではございません。その点をご理解いただきたいと思います。

○神田部会長

どうぞ、酒匂さん。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

申し訳ない、実は私、ご指摘のとおり16億と申しましたが、実はこれ手数料でございまして営業利益は申し訳ありません、3億でございました。そんなにもうかる商売ではないというのに合意いたします、失礼いたしました。

○神田部会長

それと古井さんに、ついでに、原委員のご質問で、顧客の方はもうかっているのかという酒匂さんのご質問だったんですけれども。ついでに。

○古井豊商事取締役

これは正直な話、顧客のかなりの部分、どうしてもドルを買うというパターンに出てくるケースが多いわけです。これは金利の動向からもそういうことが当然うなずけるわけでございまして、そうしますと顧客がもうかったかと言われますと2000年から2002年まで非常に大きくもうけました。そして、それ以降は非常にもうけている人のパーセンテージは少なくなりました。と言いますのは、円を常に円高というポジションで組んでいるお客が少ないということをあらわします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

原委員、何か追加でありますか。

○原委員

すみません、この電子取引プラットホームをやっていらっしゃるところは60社ですよね。ほかのところはやっていないわけですね。それで、ほかのところの事業者はどうなんでしょうということをお聞きしたかったのです。

○古井豊商事取締役

そういうことでございますか、失礼いたしました。

私のところがなぜこの電子プラットホームといいますか、インターネットシステム取引を選んだかといいますと、まず電話対応というのは過去のいろんな先物市場の経験から踏まえまして、先ほどの問題になっております営業面の問題とか、あるいは無断売買だとかいろんな問題を引き起こす素地を持っておるわけですね。したがいまして、あるいはこの外国為替の場合には取引所がございませんので、価格提示においてごまかされたとかごまかしたとかいう論議になるに違いないということ、そういった面を避けるために顧客の自己責任によって取引をする方策は何なのかという、それが電子取引であるということ、これは一方我々の取引のコストを低減する方法でもあったわけです。

現在、まだどういうことでしょうか、私は200社と踏んだんですが白倉さんが300、400とおっしゃっておるその大部分の中小業者はそういった電子プラットホームではなくて電話対応でやられているということで、非常に不正の起きる素地があるというふうに私は理解しています。

○神田部会長

よろしゅうございますか、どうもありがとうございました。

それではほかの委員、田中委員、お願いします。

○田中委員

手数料についてちょっと教えていただきたいんですが、先ほど酒匂さんの方、手数料10銭で業界の中で一番高いんじゃないかと言われたんですが、ほかの、このどっとコムは全部一律10銭なんですか、というのが1つと、それから他の会社の手数料体系がどんなものなのか教えていただければと思います。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

とりあえず最初の取引をするときは10銭でございますけれども、日中それの反対売買をなさるときはゼロにしております。ということは往復で5銭ですけれども、例えばこれを1週間、2日、3日とお持ちになるときはおっしゃるとおり売り買いともに10銭ずついただいておりまして、これはもしかしたら業界では高い方かもしれませんけれども、先ほど申しましたように少なくともお客様のレベルでは高いけれども安心して取引ができるとおっしゃっているというふうに自負しております。

他社に関しては、私はあまり興味のあるところではございませんけれども、5銭、3銭というふうにバーゲンしている方もいらっしゃるとは思いますけれども果たしてそれでペイするのか、先ほどインターネットに特化すればコストは安くなるというふうにおっしゃいまして全くそのとおりだと思いますけれども、先ほど申しましたように我々も99%実際インターネットではやっておりますけれどもやっぱり10銭ぐらいが、3億の経常利益が多いか少ないかはともかく健全ではないかというふうに考えております。

○神田部会長

よろしいでしょうか。

それでは上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

酒匂さんに1点伺いたいのは、ペーパーの中で2ページ目の真ん中あたりに顧客のポジションを完全にカバーする体制と書かれていたり、それに関連して3ページ目には日本国内に本支店を持つ銀行・証券にフルカバーするというふうにされているんですけれども、ここで特に日本国内に本支店を持つというところに何か意味があるのだと思うんですが、そこを教えていただきたいということです。これ外国につなぐと何か安く済んだりするんでしょうか。実情を教えていただきたいと思います。

それから、すみません、もう1問、古井さんの方に伺いたいのは、この協会をつくっていらっしゃるんですけれども、この協会の中ではお互いに他社なりに対して調査をかけるとか、立ち入りまではやらないかも分かりませんけれども、その相互監視体制がどういうふうになっているのかということを簡単で結構ですので教えていただければと思います。

以上です。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

まず私がお答えしたいと思いますけれども、別に東京にある本邦の居住者の銀行等とやらなきゃいけないという必然性は全くございません。外国為替は非常に地理的裁定が働きまして、シドニー、香港、東京、シンガポール、ほとんどレートは変わらないんです。ただ、どうして今のところ在日外銀の東京支店を使っているかと申しますと、彼らともインターネットでの取引をやっているんですけれども、システムが完全に100%いつも動いているということはなく、システムダウンというのはほとんど起きないんですけれどもやはり数秒つながらないというケースがございまして、やはり東京におります在日外銀の東京支店を使うことによってコミュニケーションが図れるということで、別に東京とやらなきゃいけないという必然性はございません。これにも書きましたけれども、いわゆる海外との送金、非仕向け、仕向けというのは非常にグレーだと思いますけれども、取引そのものは東京だろうがシンガポールだろうが全くあんまり意味がないというふうに私は思います。

○古井豊商事取締役

私の外国為替証拠金取引協会の会員間の牽制といいますか、そういったことについての質問だと思います。

まず、入会の段階で会員資格審査委員会というのがございまして、この資格審査委員会ではかなりのチェック項目が決められております。そして、そのチェック項目をクリアした人のみが全会一致で承認されて入会することになるわけですけれども、それ以降に不正あるいはトラブルを起こして会の我々の本来の目的から外れるような行動を起こした会員については会員資格の剥奪ということが行われます。これは、この会員資格審査委員会において常時他の会員からのアピールを受け付けることになると思います。ただ、我々がスタートしましたのは昨年の12月からでございまして、一つ一つ積み上げる段階でございますのでいろんな問題点はこれからも出てくると思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ほかにもまだご質問等があるかもしれませんが、時間も押しておりますのでまた後でこの次のところであわせてお出しいただければということで、できましたら先へ進ませていただきたいと思います。

次に、外為証拠金取引に係る論点について整理したものを事務局で準備していただきましたので、それについての説明をお願いしたいと思います。

○大森市場課長

それでは、資料5をご覧いただきながらご説明をさせていただきます。

「基本的考え方」の最初に、この取引の問題点についてどう考えるかとございます。先週、上柳先生はじめ消費者問題に取り組んでおられる弁護士さん方と懇談した際には、何人かの弁護士さんがこの取引は全面的に禁止した方がいいというご意見でございました。被害にあった方の救済に取り組んでおられるとそういうご意見になるのも分かりますし、本日は池尾先生からも個人にとってこれはどういう意味があるんだというかなり根本的な問題提起がございましたけれども、このペーパーでは基本的にはこの取引の存在を前提として業規制を課していくという前提に立っております。

多分、現在株式投資がばくちであるというなら随分時代遅れのことを言うなと言われると思うんですけれども、かつてのようにこの銘柄絶対上がります、うちで担いでいますからなんていう営業が行われていた時代には、その営業マンを信ずるかどうかはばくちに近いものだったかもしれませんし、また一般に証券取引より商品先物取引の方が限られた国民にしか認知されていないのは、やっぱりその担い手である業界の営業のありようと密接に関係をしているわけです。そういう意味で、現在無政府状態にあるこの外為証拠金取引に一定のルールを導入することによって徐々におどろおどろしいものでなくなっていくというか、普通の国民にとっての投資対象と考えられるようになっていくという、そういう最初の歴史的な段階に今あるんじゃないかと思います。

一方で、世の中にはナイーブな人たちを食い物にするのが性になっているというか、生業になっているような、そういう連中が存在するのも事実ですから、そういう連中にとっては別に外国為替でなくても証拠金のレバレッジ倍率まで想定元本の取引ができるようなものだったら原資産は何でもいいわけですから、モグラたたきにならないためには店頭デリバリティブの定義のカバレッジというのがなるべく広い方がいいんではなかろうかというのがその2番目の論点です。ただ、これはすぐにできるのか、今回はとりあえずこの問題について考えるのか、投資サービス法の議論なのかということも関係してくると思います。

また、今日冒頭から説明ありましたように、外為自由化の副作用として社会問題化していますのは専ら個人が被害にあうということですから、副作用への対策としての規制が新たな別の副作用を招かないためには個人を保護の対象にする、個人向け営業を規制の対象にするということでどうだろうかというのが基本的考え方の3番目に書いてあることでございます。

次の○の業者の適格性の確保というのは、その下の行為規制、財務規制とも関係しますが、ここでは入り口の手続という意味でございます。一般にその届け出、登録、許可、免許といった段階がありますけれども、前回証取法の提出の経緯についておわび申し上げましたように、現在の与党の法案審査におきましては基準の厳しい甘いには関係なく、行政当局の裁量を排する仕組みになっている必要があるというのがポリシーになっています。したがって、基準そのものが厳しくても甘くてもその基準への該当性を認識すれば裁量の余地なく参入を認めるという仕組みにしなければならないというのが現実でございます。

では、どの程度厳しい基準にするのかが次の行為規則、財務規制で、これらは先ほどのお二方のお話でもほとんど触れられておりました。お二方のお話を聞いていまして感じましたのは、審議会のような場に業界代表として出てきてプレゼンができるというのは業界の中でも最もレベルの高い部分だということですね。そこまで自信のない人というのは、あんまり厳しくされると生きていけませんというような陳情をされにくるわけです。もっと低い水準でやっている人は、そもそも行政に接触しようなんてことは端から考えないわけですね。審議会ですから、テレビだったら顔にモザイクをかけなきゃいけないような人たちは出てこないわけです。

ここに書いてありますその勧誘時の行為規制、それから顧客資産の分別保管義務、海外業者への媒介、最低資本金、それから自己資本規制比率、そういった論点というのは証券会社のアナロジーですぐ出てくる論点ですけれども、証券会社の場合はかなり長い間時間をかけて試行錯誤しながら形成されてきたものでございます。

例えば、自己資本規制比率は、平成2年に証券会社の財務状況を市場の価格変動リスク、取引先の信用リスク、業務リスク、そういったものの合計に対してその自己資本がどれだけあるかという比率をその監督の指標として導入をいたしました。平成10年のビックバンでは、顧客資産の分別管理義務というものを導入することによって行政による財務状況のモニタリングの必要性を相対的に減少させたと。あるいは最低資本金については、これはご承知のとおり当部会の結論として昨年の法改正でむしろ参入促進のために引き下げたというさまざまないきさつなり性格なりを持っているわけです。こういったルールを現在無政府状態にあるこの取引に対してどの程度課していくかということになります。

恐らくあまり異論がないと思われるのは、先ほど来お話が出ておりましたマンションの一室に電話とパソコンとプリンターを用意すれば始められてしまうというような、そういうことはできない方がいいんだろうということはあまりご異存がないんだろうと思います。若干今後の展開を先取りして申し上げますと、当部会で結論が得られれば立法作業をしまして、国会に提出して成立すれば来年のどこかの時点で施行してということになって、その時点ではこの法律の基準を満たしていなければこの商売をやっちゃいかんということになっているわけでございます。

したがって、当部会の結論を見て、現在この商売をやっている人たちは施行日までに要件を頑張ってクリアしようとするか、今日お見えになったような会社ははもうあんまり努力しなくても軽々クリアできるということかもしれません。逆にそのハードルが高過ぎて初めからあきらめるかどうかということになろうかと思います。ですから、この規制の基準の議論というのはどの程度初めからあきらめてもらった方がいいのかという議論でもございます。

それから、その他として当局の検査・監督体制というのは、今日お越しいただいているような会社の監督であればこれまでの金融行政監督業務の延長線上で違和感はないんですけれども、金融行政がこれまであまり相手にしたことがないようなタイプも相手にするのであれば相当心しておかなきゃいかんということだと思います。もっとも心してつき合わなきゃいけないような人は、もともとハードルを高くして除外してしまえばいいという考え方もあると思います。この辺は、貸金業者に対する基準が厳し過ぎるとかえってヤミ金がはびこるという構造と同じですのでなかなか微妙な問題だと思います。誰が検査するかというのも、この部会の結論として証券会社の検査というのは証券取引等監視委員会に一元化する方向になっておりますが、今例を出して申し上げた貸金業者というのは金融庁検査局が検査するというようなことになっておりまして、そういった行政の体制の問題も一つの論点でございます。

それから、お二方の話を聞いていてもう一つ思いましたのは、何が当局による規制で、何が業界による自主規制で、何がその個社の方針かということですね。酒匂さんの資料の中にロスカットという話が出ているんですけれども、オンラインで株の信用取引する場合には、追証が必要な状況に近づきますと投資家に判断の機会を与えないで自動的に手仕舞をしてしまう契約がほとんどでございます。相対だと当然どうしますかと聞くんですけれども、オンラインの場合には傷を広げてトラブルになるよりも一旦一方的にロスカットしてしまう方がいいという経験則に基づいてそういう選択肢しか投資家に与えていないわけです。

したがって、こういった問題というのはロスカットするか相場の反対を狙ってさらに深みにはまることを許要するかというのは個社の方針のような気もするんですけれども、池尾先生がおっしゃったように、その株式投資よりはるかにそういう局面に追い込まれやすい取引ですからどういうレベルの規制にするか、これは当然レバレッジ倍率というものはめいめいの判断で決めるのか、業界のルールなのか、それとも公的なルールなのかといったことにも関係してくると思います。

資料の下から2番目には、「自主規制機関のあり方」と書いてございます。幾つか実態として業界団体というのか、自主規制団体みたいなものも存在しておりますけれども、むしろ証券業協会とか金融先物業協会とか法律で設立手順あるいは根拠を、あるいは任務を定めているものの方が例外的であって、おおよそ実態として存在するものの機能を強化するために法律で後追い的に規定するというのが物事の普通の流れでございますが、法律に規定しても実態がついてこれないようだと何のために規定するのかということにもなりますので、現実的に考えていかなくてはいけないと思います。

その意味で、証券の投資者保護基金みたいなものもあった方がこの業界といいますか、取引をする投資者保護のためには望ましいことだとは思うんですけれども、書いたところでとてもその実態が着いてきそうにないなということでこの法律の論点ペーパーとしては挙げておりません。

最後に、業者の業務、財務の開示、これは豊商事さんの方からもお話がございましたけれども掲げております。

前回申し上げましたように、この外為証拠金取引というのは、神田先生の論文にもありましたけれども、こういうものが出てくるから包括的な投資家保護のための法制が必要ではないかという論拠の一つになっている一方で、現代の日本の法制の常識では直ちにそういったものをつくるのは難しいので、そういったものができるまで待つには被害が深刻過ぎるのではないかということで、まず先行的に議論してはどうかということで本日の展開になっておるわけですけれども、何もない世界にリスク商品のルールを導入するということはある意味投資サービス法の原形を議論するというような話でもありましょうから、そういう観点も含めて残り時間ご議論いただければと考えております。よろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

いつもらしい、大森さんらしいご説明等であったと思います。

それでは、今日は12時半までということで2時間半を予定しておりますので、残りの時間、皆様方から今大森課長からご説明いただきました論点についてご自由にご意見等をお出しいただければと思います。また、それに関連して4人のゲストの方々にももしご意見等があればご遠慮なく、時間は限られておりますけれどもご発言いただければと思います。

どなたからでも、どこからでも結構ですが、いかがでしょうか。原委員、どうぞ。

○原委員

恐縮です。この問題を去年から取り上げているものですからようやく金融審議会の場で検討していただけるということになりましたのは大変一歩としては評価をしたいと思っておりますが、どういう内容を仕組みとして持っていくかというところでは幾つか論点と、それから懸念というようなものを持っておりまして、1つは私どももこういう形での事業者規制というのでしょうか、望んでおりましたけれども、一方でこういう事業者規制が入ることでこういった取引にお墨付きを与えるということにもなるわけですね。金融商品販売法に入れ込んだときにもそういうような議論、意見というのも出てきました。お墨付きを与えてしまうというところをどういうふうに、池尾先生がおっしゃられたとおりで私も基本的にこういう取引に個人がかかわる必要があるのかというところは疑問に思っておりまして、もちろん市場の為替の取引でもうけるというようなこともあるのかもしれませんけれども、でも基本的に私は個人の取引では不要ではないかというふうな考え方を持っておりまして、一種お墨付きにならないように特段の配慮をお願いしたいというふうに思っております。

それから論点についてですが、○をつけて分類をしてくださっていますが、業者の適格性の確保というところで、参入規制のところが要件を定めてそこをクリアすればとりあえず今はみんな入ってきなさいというふうになっているというのは確かにそうですが、私としては退出をする、市場から退出をするルールのところをやはり厳格にしていただきたいと思っております。

これは単なる業務改善命令というところ止まりではなくて、やはり市場からも退出をしていただく、悪質事業者の場合はそのようなことも私はあると思っております。私どものところにもいろんな苦情とかというのが寄せられていますけれども、実際には求人情報を装って人を集めて、その人に外国為替証拠金取引を持ちかけている、それで損害を被っているという、訴訟になっているような案件もありまして、そういった非常に事業者として悪質性を感じられるようなものとか、退出のルールというところの明確化をぜひ図っていただきたいと思います。

それから行為規制のところですが、ここについては不招請勧誘の禁止、それから適合性の原則の徹底、それから、もちろん重要事項の説明義務ですとか断定的判断の提供の禁止ですとか、クーリングオフ規定ですとか、そういったようなものをぜひ盛り込んでいただきたいと思います。

それから、○として項目を立てて分類をされていないのですけれども、この取引独特の問題点、取引に内在する問題点というようなものがありまして、実際にインターバンク市場につないでいるのかどうかとか、それから利益相反になる場面をどうするのとか、それからロスカットのお話も今出ましたけれども、ロスカットの話ですとか出金遅延の話もあります。そういう取引そのものに内在する問題点というものをどのように解決をしていくのかということがもう一つ大きな分類項目としてあるのではないかと思っております。

また次回、次々回と論議が続きますのでほかの方にも譲りたいと思いますけれども、私としては今の業法レベルでの投資家というのでしょうか、この取引に参加する人の保護が図られるとは思っておりませんで、今の業法レベルをもっと強める、レベルアップをしていくということで対応をお願いしたいと思っております。

今回出されたペーパーの中にも自己責任の話が幾つか言葉として登場しておりまして、やはりこういった取引を自己責任という言葉だけで解決をしていくというところにも大変な懸念を感じておりますので、そのあたりの配慮もぜひお願いしたいと思っております。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ほかにいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋(伸)委員

オブザーバー出席ですけれども発言をお許しくださいましてありがとうございます。

日頃、金融トラブル連絡調整協議会の委員として国民生活センターや消費生活センターの相談員の方々と意見交換をしておりますが、このFXに関しては誇大セールス、強引な勧誘、リスク開示不足、無断売買、出金拒否、顧客資産の流用と何でもありの状況になっているというふうに思っております。時間の関係もございますので、販売勧誘の行為規制を中心に意見を述べさせていただきたいと思います。

ハイリスクな投資取引でございますから、販売勧誘規制を強化すべきであるというふうに思っております。金融商品販売法につきまして先ほど原委員からご意見がございましたけれども、金融トラブル連絡調整協議会の方でも、この問題は金融商品販売法だけですと元本欠損の説明さえすれば業者が責任を逃れてしまうようにとられる危険性があって、逆手にとられてしまうのでまずいのではないか、という議論になっております。

私自身は2点申し上げたいんですが、1つは、先ほど外為どっとコムの酒匂さんの方から勧誘には厳しい規制が必要だというご意見がありましたけれども、勧誘というのをどこまで含めるのかということに関してぜひ議論をしていただきたいと思います。酒匂さんのお考えですと、セミナーとか広告は勧誘に当たらないというふうに私はとれてしまったのですけれども、このペーパーに書いていただきましたような米国、英国並みの勧誘に対する厳しい法規制が必要だということになりますと、例えばイギリスの場合には電話勧誘、不招請な勧誘はもちろん禁止でございますし、そのプロモーション規制の中には広告とかセミナーとかというのも入ってくるわけでございます。私の認識としては酒匂さんのところが行っていらっしゃるものも勧誘に当たるというふうに考えておるのですけれども、もしそのあたりにつきましてご意見ありましたら後ほどお伺いしたいと思います。

個人攻撃するわけではないんですけれども、酒匂さんのところのどっとコムさんでは某大手経済新聞社とタイアップして、そこが信用補完するような形でセミナーをたくさん開催しているかのように一般の生活者からはとれるのですけれども、それが啓蒙である、教育中心であるというふうなご説明をいただきました。私自身が参加したことがなく、参加した人の意見しか聞いていないので誤解があるかもしれませんけれども、やめなさいということのためにだけセミナーを開くということはまずあり得ないというふうに思いますし、有名人をお呼びになるのも何らかの意図があるのだというふうに考えざるを得ませんので、それについてご意見ありましたらお伺いしたいと思います。

それから2点目は、適合性の原則に則った販売勧誘をしていただきたいということです。これもイギリスの場合ですと、例えばこういうハイリスクな取引をする場合にはもちろん、そうでなくもかなりかかっているんですけれども、ノーユアカスタマールールというふうなものがありまして、顧客の財産、知識、経験、それから投資目的等に合うかどうかというのを業者の側の方から判断をし、適合性証明書のようなものを発行しなくてはけないというルールがあるのですけれども、例えば今日ご出席の業者の方々はそういうことをやっていらっしゃるのか、あるいはそういうことの必要性についてどのようにお考えなのかについてご意見を伺いたいと思います。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、酒匂さん、せっかくですのでもし。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

次回のセミナーにぜひお呼びいたしますのでいらしてくださいませ。

おっしゃるとおり、勧誘と広告がどう違うのかというのは非常に微妙な問題だと思うんですけれども、少なくとも私自身はその外国為替の取引というのは極めて純粋な経済商行為だと思いますし、先ほど申しましたように低金利から高金利通貨に行くことも極めて自然の流れである、同時にその銀行に、よその銀行の悪口言うつもりは全くありませんけれども、360円時代と今の110円時代との手数料が全く同じというのも非常に不可思議だと思うんですけれども、そういうことに対して手数料軽減のために取引を外国為替取引業者とやるというのも極めて自然だと思います。

申し上げたいのは、非常にあくどい業者もいるんですけれども、やはりそういったニーズも含めて取引が増え、取引する方が増えて実際に被害が多数出ているということを考えて、少なくとも、ぜひ今度お呼びいたしますけれどもそんなに甘いもんじゃありませんよという話をしているわけです。別に有名人を呼んで客寄せパンダをやっているわけじゃなくて、お客様の方からの要望でこういった方からこういった話をお聞きしたいということをお聞きして、極めてまじめ、たまに野球の選手も呼ぶこともありますけれども、これは全く外為とは関係のない話なんですけれども、少なくともその啓蒙をやっているというふうに強く自信を持っております。

○神田部会長

ありがとうございました。

それで、高橋委員のもう1点の適合性原則というのを業者さんとしてはどのようにお考えかということについてもしコメントがあればいただきたいのですが。今の酒匂さんのお話からすれば、適合性原則というのは勧誘のルールですから勧誘をどう定義するかはともかく、勧誘はしていないということであればもちろん適合性原則は問題にはならないというふうに整理はできると、ロジカルに言えばですね。ただ、それはともかくとして、その相手方のその顧客の資産規模とか投資経験とかというものに抽象的にも配慮しなければならないとか、あるいはそれが十分でない顧客には勧誘してはならないというルールが少なくとも伝統的な証券の分野等ではルール化されて、業者ルールとしてですけれども、ルール化されているわけですけれども、その点についてどうでしょうか、酒匂さんと古井さんから、業界でどのような認識が持たれているのか、適合性という言葉ぐらいは電話かけてくる人は承知しているんでしょうかね、どうなんでしょうか。

○古井豊商事取締役

私どもの場合は、社内の営業管理規則によりまして適合性の問題、何項目かの項目を決めております。その項目にかかわる人についての口座開設は認めておりません。

ただ、1つ非常に大きな議論になっている点がございます。それは年齢に関する問題でございます。何歳を超えたらその人の、先ほどちょっと難しい言葉をいただきましたが取り返しのつかない状態になるというようなことという、そういう考え方もあるわけでございまして、ただ65歳とか70歳とかいうところで区切るのはどうかということが議論になっています。私自身も65でございますから、もうその種のことをやったらいけないのかと言われるとまだまだやりたいわけでして、そういうことになることになりますのでその点だけはまだ議論が進んでいますが一応年齢制限も設けております。

○神田部会長

ありがとうございました。

酒匂さん。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

私どもも、今豊商事様の方からもお話がありましたけれども、我々は証券会社並みに顧客の新規の口座開設に対して厳しい制限をつけておりまして、ちょっと年齢の件に関しては先ほど申しましたように我々は割合若い方が多いんですけれども、これもインターネットの商売が99%だということが原因だと思います。それと、先ほど部会長の方から電話についてと言われましたけれども、我々は電話の勧誘、あるいは電話の問い合わせもほとんどございませんで、すべてインターネット、あるいは郵送のいわゆる申込書で受け付け、それを審査してやっております。

○神田部会長

ありがとうございました。

今日ここに来ておられない業者さんに聞かないといけないですね。どうもありがとうございました。

それでは、上柳委員、それから黒沼委員の順番でお願いします。

○上柳委員

資料5の論点ペーパーの関係でぜひ加えてというか、書いてあるのかも分かりませんが強調していただきたいと思いますのは、ほかの委員からもありましたけれども、やはり不招請勧誘禁止のことと、それからいわゆるカバーと言うんでしょうか、実際に市場につないでいるかどうかのところのルールづくりが必要だと思います。これ被害救済にかかわっている弁護士から見ますと、本当にこの取引自体は禁止してもいいのじゃないかというふうに思っているところが本音ではあるんですけれども、仮に一定ルールのもとにということを考える場合に、やっぱりポイントはいわゆる証拠金取引ということの一つはリスクが高いというふうに一般的に言えるということと、それからその仕組みということから恐らくほかの一般的な金融サービス、一般と比べて特殊なとらえ方なりアプローチが必要なのではないかと思っています。

そういう意味で、不招請勧誘は私の私見ではすべての金融サービスに適用されるべきだと思っているんですが、特に必要性が高いということと、それから仕組みに着目して市場につないでいるかどうかというところをきっちりと見ていくと、これが恐らくいわゆる証拠金、あるいは保証金的な取引の一般的なルールに将来なっていくのではないかということも含めて、法律的に多分少なくともこの分野については今の2つの論点を導入して構わないというふうに議論ができると思いますので、そこのところを特にご検討いただければというふうに思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは黒沼委員、どうぞ。

○黒沼委員

まず、金融庁の方に教えていただきたいのですが、証券会社が為替証拠金取引に参入しているということですが、これは付随業務なのか、届け出業務なのか、承認業務なのかということをお伺いします。

それから、この取引の経済的な効用ということが一つのポイントになるかと思うのですが、外貨建ての金融資産を持っている人がそのリスクヘッジのために使うということは理解できますが、それならば金融先物取引所における取引でヘッジをすることが可能なのではないか。それが可能であれば、それ以外に認める必要があるのかどうかということです。これは意見になるのかもしれません。

第3点は、これは通貨を原資産とする店頭デリバティブ取引ではないかと思うのですが、従来こういう店頭デリバティブ取引は法律に規定がなければ賭博罪に該当するおそれがあると考え、そこで法律に規定したりしてきたわけですけれども、今回のものも法律に規定がなければ、いかに制度が整っていてもそういうおそれがあるというところから出発すべきではないかと思っています。もしご意見等があれば、教えていただければと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

少なくとも第1点目は金融庁へのご質問だと思いますが。

○後藤証券課長

本件につきましては、かつて通貨の売買取引の届け出ということになってございますけれども、先般のガイドラインの改定等によりまして、同じく届け出業務ではございますけれどもデリバティブズと同じような取引だという位置づけになってございます。ですから、付随業務ですとか承認業務ではございませんで届け出の業務という位置づけになってございます。

○黒沼委員

列挙されている業務のどれに該当すると考えているのですか。

○後藤証券課長

先生ご案内のとおり、34条の列挙されている中における第34条第2項第5号の届け出による業務という位置づけでございます。

○神田部会長

よろしいですか。ちょっと直物か先物かという細かい議論をしていくと法律的にはややこしくなりそうですね。金融先物取引法なんかでは別に2日後であれ何であれ将来の一定の時期というふうに書いてあるので、先物にあたると読もうと思えば読めるのですけれども、そういう細かい話はまた今後やらせていただく機会もあると思います。

そのほか、黒沼委員からの問題提起もありましたけれども、どうしましょうか、時間もだんだんなくなってきていますので、ほかの委員の方々からできれば幅広くご意見等があればお出しいただければというふうにと思いますけれども。

それでは、高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

こういう問題提起を見れば見るほど、やはりかねてからの投資サービス法とか金融サービス法という議論が大事だということが分かるような気がいたします。これを先行してやるということであれば、そういうものにつながるということをやはり十分認識する必要があるかなというふうに思います。

それから、全面禁止するかどうかというところなんですけれども、先ほどから効用もあるじゃないかという議論も出ておりますし、なかなか全面禁止をしても類似のものは多分また出てくると思いますし、先ほど大森課長からのご説明にもあったように一定のルールを認めて、その枠の中に取り込んでいくという、これはまさに金融サービス法の考え方になるんだろうと思いますけれども、そういうことで投資家保護を図っていくということがいいのではないかなというふうに思います。

そういうことでやりますから、当然非常に限定的な為替証拠金取引ということではなくて、それに、類似の取引というようなものをあわせて個別に具体的に出てきたときに対象にし得るような仕組みにしておく必要があるのかなというふうに思います。

先ほど、お墨付きを与えることになってしまうではないかという原委員等のご指摘もございましたけれども、規定をする以上は適合性の原則でありますとか、あるいは販売のルール等々、あるいは財務規制等々につきましてかなりしっかりしたものにしておく必要があるのかなというふうに思います。当然のことながら当局の検査、監督をどうするかという問題も踏まえて立法作業をされていただきたいと思います。

それから、自主規制の話がありました。今22社ですか、300あるいは500と言われる中で22社という参加のようでありますけれども、これが法律ができてきて絞られていく中でどういう体制になるか分かりませんけれども、法律で多分定められるであろう基準というのは最低限の投資家保護ということになるだろうと思います。先ほどいろいろ関係の方からご報告がありましたように、それ以上の基準を自分たちはやっているんだというようなお話がございました。ぜひ法律の最低の基準だけではなくて自主規制ルールとしてそれ以上の基準というものをむしろつくっていくような体制をとっていただくのがいいのではないかなというふうに思います。

ただ、その場合に強制加入にするのかどうかとか、あるいは強制加入できないとしたときに、そこに加入している会員であるということのステータスがどういうふうにその他の業者との差別化かができるかというようなことも踏まえてご検討をいただく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。それでは、木村委員、それから池尾委員の順番でお願いします。

○木村委員

外国為替証拠金取引の現状をお伺いして、何らかの措置、規制を行う必要性は十分感じたわけでございますけれども、この古井さんの資料の別添5に外国為替証拠金取引協会の外国為替証拠金取引ガイドラインというのが載ってございます。例えば、このガイドラインにあるような基準に、色々な参入規制を設けたものを行政当局が定めて、これをクリアした業者だけが取り扱えるような登録制を採用すべきではないかと思います。

それから、新しいルールの検討にあたりましては、不招請勧誘の禁止だとか、あるいは適合性の原則についてもしっかり規制対象に入れていくべきではないかと思います。

さらに、これもこれまでの議論の中で何回も申し上げていますけれども、証券取引法を投資サービス法に拡充をするという展望を持って検討していくべきであると思っています。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは池尾委員、どうぞ。

○池尾委員

先ほど既に1回発言させていただきましたが、ちょっと補足的な意見を述べさせていただきたいと思いますが、私は、リスクを取引すること自体については社会的に大きな意義があるというふうに思っておるんですね。ただ、その際の取引構造は重層的な構造であるべきだというふうに考えておりまして、言い方を変えますと、私は市場型間接金融主義者なので、端的な言い方をすると個人がそういう取引に参加するのは集団投資スキームのようなものを導管体として参加するというふうな構造がノーマルではないかというふうに思っておりまして、ただ、個人でどうしてもやりたいという人にやるなというふうなことまで言うべきではないと思っておりますので、本当に自発的に取引をしたいという人については取引の機会を与えていいと思うんですが、逆に言うと、したがってかなり厳しい広範囲にわたる勧誘規制というのを入れることが一つ必要だろうという話を考えていますということと、それからもう一つ、逆の面で適正な投資機会を個人に対して開くということが他方でないと、適正な投資機会が個人に対して十分に与えられていないということが実はプッシュしてしまっているという面があると思うんですね。

それで、この外国為替証拠金取引に関しても指摘がありましたように、銀行の為替取扱手数料が非常に高い、割高だという、そういうところの是正をすればおっしゃっている存在意義のかなりの部分が実はなくなってしまうという話になるわけであって、それは銀行業に対する競争政策とか、そういうところがむしろ不備だというふうな話になるんではないかということで、公正取引確保、投資家保護の政策はもちろん大事なんですが、それと同時にやはり競争的環境を確保するような面での取り組み、したがって、くどいですけれども、適正な投資機会が個人にちゃんと保証されるような体制づくりというふうなポジティブな面も同時に考える形で、悪いことを禁止するだけじゃなくていいことを促進するみたいな、そういう組み合わせが必要ではないかというふうに考えております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは西村先生、どうぞ。

○西村委員

問題点を2つに分けた方がいいのではないかというふうに思っています。1つは、いわばグレーなゾーンをより健全にするという部分と、それからもう一つ、先ほどありましたけれども詐欺的な行為をいかに避けるかという話とがあると思うのです。そのグレーゾーンより健全にするという話については非常にいろいろな議論があったと思うのですが、実は実際問題のかなりの部分はこの詐欺的行為を避けるという部分になると思います。

この詐欺的行為は事実上、無知、つまり知らないこと、を搾取するという行為が横行していることです。これは恐らくここで登録制、ガイドライン、いろいろなことを、つまりグレーゾーンを健全する非常にいいことをいろいろやっても、先ほどの大森課長の話じゃないですけれどもモグラたたきになってしまう。悪いやつはどこかへ行ってしまう、またそこで何かが起こってくるという形になると思うのですね。それを避けるためには、大元になるいわば先ほど言いました勧誘に関しての全般的な、商品全体、さっきの投資サービス法というのがありましたが、投資サービスに関する全般的な勧誘に関してのより広範なガイドラインのようなものが必要でしょう。それから、そもそもレバレッジが高い、非常にリスクの大きい商品というものがいわば無知な人に開かれているということ自体に危険が生じるわけですから、それについての検討なり何なりというのを考える必要があるのではないかというふうに思います。

その意味で、もちろん投資サービス法が必要だというのはまさにそのとおりなのですが、単純にお題目ではなくてやはりレバレッジの問題とか、そういったある意味では危険性が非常に高いものに、危険性そのものを自ら知らないで、そこにはまってしまうというようなことに関して何らかの歯止めをかける必要があるのではないかなというふうに思っています。

それからもう1つは、もうかります、もうかりますという勧誘があるわけですが、長期的に見れば、歴史的に見ればもうかっていないということであるならば、それを少なくとも最初に開示しろということを、これはちょっと半分冗談になるかもしれませんが、それを義務付けた方がよほど意味があるのじゃないかというふうに思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

もうかりませんと言い始めたら何も売れないでしょうし、これは昔から議論してきてはいるのですけれども……。はい、どうぞ。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

先ほどももうかっていますかというご質問に対してあんまりというのは、100万円を150万にしようと思ってやるからもうからないんです。ですから私が口を酸っぱくして言うのは、これも繰り返しになりますけれども、ほかの金融商品を見たらいかがですかと、要するにキャピタルゲインだけ狙って100万、150万にするというふうな取引をやるからもうからない、レバレッジを効かせるからもうからない、そうではなくて経済動向を見ながら、経済ニュースを見ながら例えば年率5%でも6%でも8%でも、財務省には失礼かもしれませんけれども、うまくマネージして国債の金利よりもそれだけ取れるんであればよろしいんじゃないですかということをやっているわけです。ですから、別にもうからないというよりはもうけよう、大変な大きなもうけをしようと思うから損する人が多いんで、それで啓蒙しているわけです。勉強をさせているわけです。

○西村委員

もうけるとここで言っているのは20%から30%の意味で言っていますので、要するに歴史的な結果といいますか、そういう情報を少なくとも顧客に対して開示するというようなことにすればかなりの部分今言った変な誘導が少なくなるのではないかというふうに思った次第です。

○神田部会長

ありがとうございました。

金融商品販売法のときに大変議論した点ですね。小さな法律なのかもしれませんけれども、その法律をとにかく作ったときの話がまた再燃しているようにも思いますけれども、いずれにしましても、ほかにいかがでしょうか。どうぞ、高橋委員。

○高橋(伸)委員

せっかくの機会ですので1点だけお伺いしたいのですけれども、酒匂さんのところは協会に加盟していらっしゃらないようですが、多分何か深いお考えがあって加盟していらっしゃらないと思うのですけれども、支障のない範囲でお聞かせいただけたらと思います。

○酒匂外為どっとコム特別顧問

先ほどもちょっと触れましたけれども別に深い理由も何もなくて、申しましたように私は、市場委員会、フォレックスクラブ、いわゆる任意団体でプロの連中と話をしてまいりましたけれども、今存在する幾つかのそういう団体にいわゆる大手──外為どっとコムが大手とは思いませんけれども──、非常にこの業界でたくさんやっていらっしゃる、むしろ我々含めて顧客に大変いい啓蒙を教育している方々の参入が少ないのではないかなというふうに思っております。ですから別に理由があってではなくてまだちょっと時期が早いのかな、と。先ほど申しましたようにいずれ赤ユニフォーム、青ユニフォーム、白ユニフォームが同じグラウンドで勝負をすると思うんですけれども、そのときは我々もその白ユニフォームで参加したいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、そろそろ時間になりました。本日は大変多様な、また重要なご指摘をいただきましてありがとうございました。

それで、前回のご意見として大森課長が先ほどおっしゃったことは私もそのとおりだというふうに理解しております。すなわち、この外為証拠金取引につきましては全体の投資サービス法、これも私などはぜひ推進していただかなければと思っていますけれども、そのスピード感とは別に、早急に投資者保護措置を講ずるべきであるというのがこの部会の基本的な考え方ではないかというふうに理解しております。

したがいまして、いつも大変せわしくなると何遍もご審議をお願いして恐縮ですけれども、6月中をめどに、6月はもうすぐなんですけれども、外為証拠金取引に係る投資者保護のあり方についての報告書の取りまとめと、これを目指して審議をお願いするというふうにさせていただきたいと思っております。具体的には、6月にこの第一部会を2度開催しませんと取りまとめまでいきませんで、あと法制化ということもあると思いますので、そういうスピードでやらせていただければと思います。

そうしますと、次回のこの部会では、本日いろいろお出しいただきましたご意見を踏まえて事務局の方でさらにそれを整理していただいて、要は論点整理みたいなものを作成していただいて審議を続け、先へ進めるという段取りを考えております。

そういうことで、いつもやるとなるとものすごく頻繁に忙しくなって恐縮ですけれども、どうかよろしくお願いいたします。

それでは、最後に事務局からご連絡ございましたらお願いします。

○大森市場課長

今、神田先生の方からお話しありましたように、役所の異動等の関係もあって恐縮でございますけれども、何とか今事務年度にこの問題については結論をおまとめいただけるように私どもとしてもきちんと論点を整理させていただきたいと思います。

次回の日程については、部会長ともご相談の上、改めてご連絡させていただきたいと考えております。それから、黒沼先生のご質問にきちんと答えていないんですけれども、非常に一言ですかっと答えにくいご質問だったものですから、ちょっとこれはお預かりさせていただきたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

4人のゲストの方々には、今日は大変お忙しい中を長時間おつき合いいただきましてどうもありがとうございました。また今後もお教えいただくこともあると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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