金融審議会金融分科会第一部会(第18回)議事録

日時:平成16年6月16日 10時00分~12時30分

場所:中央合同庁舎第4号館(11F) 共用第一特別会議室

○神田部会長

おはようございます。まだ若干見えていらっしゃらない委員の方々がいらっしゃるようですけれども、予定の時間ですので、始めさせていただきたいと思います。

ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の、本日は第18回目の会議になりますが、その会議を開催させていただきます。

いつもご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

いつものことでございますが、議事は公開となっております。報道機関の方々などのために後ろの方の席を確保しております。

また、前回に引き続きまして、本日も第二部会の委員でいらっしゃる高橋伸子委員にオブザーバーとしてご参加いただいております。よろしくお願いいたします。

本日の予定でございますが、先日成立し、公布されましたいわゆる証券二法の審議経過につきまして事務局からまず簡単にご報告をいただきます。その上で、メインは言うまでもありませんけれども、外国為替証拠金取引についてということになります。これにつきましては、事務局から論点を整理していただきましたので、それを説明していただきます。その後、皆様方からご意見をいただきたいと考えております。

なお、最初にご紹介させていただきますが、本日欠席されております木村委員と原委員から意見書をいただいております。それから、前回ゲストとして来ていただきましてお話をいただきました豊商事の古井さんからも意見書をいただいております。いずれも外為証拠金取引の規制のあり方についての意見書でございますので、お手元に配付させていただきました。

以上のようなことで進めさせていただきたいと思います。

お手元の議事次第に従いまして、まず最初に事務局から証券二法の審議経過についてのご報告をお願いします。

○大森市場課長

それでは、資料1に基づきまして、ごく簡単にご報告をいたします。

本日が会期末となる今通常国会に金融庁は5本の法案を提出いたしましたが、ここにあります証券二法と呼ばれた改正証券取引法と株券のペーパーレス化法が6月2日に成立をいたしまして、公的資金新法とその関連法が一昨日、成立の運びとなっております。残る信託業法も神田先生におまとめいただいた重要なインフラ整備法案でありましたけれども、残念ながらこちらは継続審議ということになっております。

この証券二法の審議の過程では、大半が銀行の証券仲介業務をめぐるものでございました。昨年は銀行抜きの法案を審議させておいて1年で何が変わったんだという反応は当然あるのですけれども、この仕組みを有効に弊害なく機能させねばならないという観点からの質疑が多かったと言ってよいかと思います。もとより銀行の影響力、優越的地位といった従来からの視点はありますけれども、大前提として日本の金融システムを市場を中核とするものに変えていかなければならない。

そのためには個人投資家のすそ野を拡大する必要があって、そのためにはチャンネルの多様化が有効であろうという認識は、ほぼ一致をしていたと思います。共産党を除く各会派が賛成という形でこの二法は成立しております。金融審議会の報告も熟読されて、質疑に臨まれた委員も多くおられました。

資料1の2ページ目、3ページ目が衆参の附帯決議、これは全会一致で決議をされておりまして、ただいま申し上げました銀行の証券仲介業における有効な弊害防止措置に加え、市場監視機能体制の一層の強化、あるいは機能別・横断的な考え方に立った投資家保護法制、これは衆議院の言い方で、参議院の方では投資サービス法を早期に引き続き検討せよという決議がなされております。

以上、簡単でございますが、ご報告させていただきます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今の大森課長からのご説明について、もしご質問等ございましたらお受けしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか。またありましたら適宜、随時お出しいただければと思います。

それでは、今日の本題になりますけれども、外国為替証拠金取引についての論点について事務局で整理したものを準備していただいておりますので、その説明を引き続きお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○大森市場課長

冒頭、部会長からご紹介ありましたように、本日は原委員、木村委員、ご欠席ですけれども、お二人から意見書を提出がされておりまして、これはかなり規制体系の根幹にかかわる論点を含んでおりますので、やや順番としておかしいんですけれども、私から簡単にご紹介をした上で、論点整理の方に移らせていただきたいと思います。

まず、原委員の意見書をごらんいただきますと、基本的な考え方として、非常に賭博性が高い取引であって、取引を望まない個人が巻き込まれないようにすべきであると。あるいは、既存の法体系、証取法などをイメージされているかと思いますけれども、その保護のレベルでは不十分であるという認識が示されてございます。

次に、業者の適格性として、登録制のもとでの退出ルールの厳格化・明確化といったご提案がございます。

特徴的なのは、次の行為規制として、この取引におけるレバレッジは何倍までとか、取引回数は1日何回までとか、これはロスカットルールを設けろという趣旨だと思いますが、そういった商品性そのものの規制が提案をされております。

ちょっと飛ばして次のページをごらんいただきますと、マル4の勧誘・販売規制として、勧誘には広告も含むとされた上で、不招請勧誘の禁止、一般紙への広告禁止、適合性原則の徹底、クーリング・オフといった提案がございます。

それ以外には、顧客資産の分別管理、最低資本金、自己資本規制、ディスクロージャー、そういった提案がなされております。

もう一つ、木村委員からいただいた意見書は、まず冒頭でこの取引の資産運用手段としての意義を認めつつも、その被害の実態、トラブルの実態にかんがみれば一定の規制が必要だという立場から提案されておりまして、原委員の提案との大きな違いを1つ挙げますと、木村委員の1ページの一番下の行に「商品性を踏まえた規制については、証拠金比率や最低証拠金額、手数料体系、ロスカットルールなどについて、顧客が誤認することのないよう、十分な説明義務を事業者に課すべきです」と書いてございます。要は、こういった事柄、原委員の意見書では商品性、商品のリスクそのものを規制によりミニマイズすべきであるとされているのに対して、木村さんの方の意見書では、商品性というのは当事者間の契約の問題であるという前提に立って、その中身を業者がきちんと投資家に説明をすべきであると、そういう構造になっているわけでございます。

それで、金融に限らず、新たな規制について審議会で検討する場合には、たいてい原さんのように消費者保護のために厳格な規制を求める消費者サイドの委員の意見と、営業の自由を主張する業者サイドの委員の意見が対立してしようがないので、事務局は足して2で割るようなたたき台をつくると両サイドから批判をされて悲しい思いをするというのが通例ですけれども、今回は物が物だけに事務局としてもかなりクリアに投資家保護というスタンスに立つべきだろうと思います。

ただ、毎回申し上げていますように、為替変動による影響を非常に受けやすいこの日本という国において、リスクヘッジなり資産運用の手段であるという基本は押さえておく必要があると思いますし、望ましいルールであっても、それを国が法律で強制することなのか、業界の自主規制なのか、それとも当事者間の契約によるべきものかという点は留意する必要があるんだと思います。

ちょっと前置きが長くなりましたけれども、資料2の論点整理の方に移らせていただきます。

最初のページの基本認識の前段の部分は事実関係でございますので省略をいたしますが、第2パラグラフの最後に、業者の不法行為責任を認めたそういった訴訟のケースというような記述がございますが、遠からず民事だけではなくて刑事事件として立件されるケースも出てくるようでございます。

第3パラグラフで、外為証拠金取引が先物取引と同様の性質を有するデリバティブ取引であるとの整理のもと、個人などの保護を必要とする者に向け、外為証拠金取引を取り扱う業者に対して、金融・証券先物取引に関するルールに倣って監督していくべきではないか。この部分がまさに、なぜこの第一部会でこの問題をご議論をいただいているかという背景でございます。

それで、前回の部会ではプロ同士の取引に行政が介入する必要はないので、規制の対象は個人向けの業者ではないかというふうに申し上げたんですけれども、なかなか私どもの中で検討しておりますと、個人に毛が生えたような小さい法人も被害に遭う可能性はあるのではないかといった議論もあって、「個人などの投資家保護を必要とする者を顧客として」とややあいまいな書き方にしております。

ただ、一方で小さな法人形態の、例えば輸出入業者であっても為替のプロとしてしっかりリスクを認識して取引しているという方もおられるでしょうから、こういった点は後ほどご意見をちょうだいしたいと思います。

第4パラグラフは、すべての投資サービスをカバーする規制は一朝一夕ではできないわけですけれども、為替を原資産とするものに限らず、証拠金のレバレッジ倍率の想定元本を取引するような性格のものというのは、機能別、横断的規制という投資サービス法の精神に照らしても同じように規制していくべきではないかと、前回申し上げたことが書いてございます。

次のページは業者の適格性でございまして、入り口で行政が適格性を認定する手続として、諸般の事情からなかなか登録制という以外の選択肢が考えにくいというのは前回申し上げたとおりですけれども、一定の資本、あるいは人的構成といった条件を満たせば、裁量の余地なく登録しますし、また満たさなくなればその裁量の余地なく退出、登録を取り消すということではないかと思います。

今日の議論のポイントの一つが、その次の業者に対する行為規制の部分だと思います。勧誘規制・広告規制の最初にあります適合性原則につきましては、これはちょっと以前ご紹介したと思いますけれども、先般、広く年金生活者などに日経225オプションのノルマ営業をやっていたということである証券会社、適合性原則違反による行政処分が行われておりますが、外為証拠金取引の被害の実態にかんがみれば、当然同様のルールに服するべきだと思います。

次の不招請勧誘の禁止、これが前回、複数の委員からご意見がありました。仮に導入するとすれば本邦初演になりますので、今後のこともありますので大いにご意見をいただきたい論点でございます。

よくイギリスの金融サービス法が引用されますので、資料7をごらんいただけますでしょうか。

不招請勧誘の制限として、業者は次に掲げる場合を除き、招請に基づかないリアルタイムの勧誘または誘因を行ってはならないとありまして、次に掲げる場合というのがかなり大きくなっております。すなわち、既に顧客関係にある場合、価格変動の大きいファンド商品等ではない場合、それからその商品が流動性を有する証券、または市場性を有する非レバレッジ商品である場合。ちょっとわかりにくいですけれども、これは逆に言いますと流動性、市場性のないレバレッジ商品は初対面の顧客に持ち込むといった行為が禁止されているということになるわけです。

ちょっと戻っていただきますと、日本でもやはりすべての投資商品・サービスに不招請勧誘を導入すべきだということには恐らくならないんだろうと思います。証券投資についてもなかなか一般の国民がその投資を躊躇する背景に、知識がないとか経験がないとかいうことがあるのであれば適切な勧誘というのは、個人投資家のすそ野を広げていく上で必要だろうと思いますし、また今国会では商品先物取引法の大きな改正が行われまして、その検討段階でも商品先物取引に不招請勧誘を禁止するのかどうかという議論があったと聞いております。結局、採用されなかったというふうに聞いております。

これが多分結構悩まれたであろうと思うのは、証券で禁止していないものを商品先物で禁止するのはバランスを失するという意見もあったでしょうし、そうはいっても現実の営業の実態を見ると証券会社よりも商品先物会社の方が問題が多いのは歴然としているではないかという意見もあっただろうというのが、想像に難くないわけです。

規制の必要性と規制対象になる営業実態の間には鶏、卵の相互関係みたいなものがありますけれども、いずれにしても外国為替証拠金取引については頼みもしないのに来るということはない方がいいのではないかと考えて、こういうご提案をさせていただいた次第でございます。

次に、・で4つほど掲げてございますのは、証券取引法やあるいは商品先物取引所法上に倣っておりまして、あまり説明の必要はないと思うんですけれども、2番目の迷惑勧誘というのは、不招請には当たらなくても夜遅く来るとか、押し売りするみたいな営業対応に注目をした見識です。3つ目の損失負担・利益保証の約束というのは、この取引でそんな約束する業者がいるのかという気もしますけれども、証券のアナロジーでは、いないとは断言できないので、書いてございます。4つ目の自己の名前や取引内容を告げないというのも、そんなことがあるのかと思われるのかもしれないんですけれども、現実にあるものですから、こういうのはペナルティを科す前提として認定すべき構成要件ということですので、可能性のあるけしからん行為というのは入れておけばよろしいということではないかと思います。

次に、広告について2行だけ書いてございます。前回も広告についてのご意見ありましたし、原委員の意見書にも広告についての言及がございます。

日本の法制では勧誘と広告というのは区別をしておりまして、勧誘というのは対面あるいは電話で対話する対応で行われるもので、イギリス金融サービス法でいうリアルタイム勧誘のことを意味しております。この部分、先ほども部会長とお話ししていたんですけれども、いずれ投資サービス法という議論をしていく過程では整理をしていかなければいけないと思うんですけれども、当面ノンリアルタイムの勧誘といいますか、広告においてもここに書いてありますように事実と違う表示、あるいは誤解を与えるような表示というのは当然に禁止すべきものだと考えられます。

前々回でしたか、ご紹介したような外貨預金と比べて有利な点ばっかり強調する広告というのも、よく読めばリスクもありますというようなことが書いてあるんですけれども、相当に問題含みだと思います。逆に言いますと、そういう問題含みの広告が現実に行われているがゆえに、先ほどのような一般紙への広告を禁止して普通の国民の目に触れないようにすべきだという発想が出てくるので、リスクを小さい字なんか使わないで堂々と説明していくという精神が大事なんだろうと思います。

以上が入り口の部分でございまして、次が商品性を踏まえた規制と書いてあります。冒頭、あえて原委員の意見書をご紹介しましたのは、この事務局のたたき台というのは、今申し上げたような入り口部分での勧誘・広告規制を設けるのであれば、それが遵守されればこの取引に関して最も深刻な問題になっている事態、例えばひとり暮らしの年金で暮らしているおばあさんがわけもわからないままにその資産を失ってしまうという事態は抑止されるはずですから、原さんの意見書にあったようなレバレッジ何倍までとか、取引は1日何回までとか、そういった商品性そのものを国が直接規制することはない方がいいんではないかという立場に立っております。

したがって、ここでいう商品性を踏まえた規制というのは、商品のリスクを投資家に認識していただくための規制という形になっています。木村委員の意見書と同じ立場に立っているわけです。

このページの後段の方に・が5つありますけれども、取引の仕組みを書面で交付をして説明をする。取引価格として売値・買値の双方を同時に示す。為替レートの変動によってどう損失が拡大していくかを、そういう道筋を説明する。それから、過去に顧客に提示した為替レートを開示する。それから、顧客と自己で取引を行う者、プリンシパルと言っておりますけれども、そのプリンシパルとの取引の媒介を行うイントロデューシング・ブローカー、IBの場合には取引の相手方となる業者及びその業務内容を明示するといったことを提案をさせていただいております。

そうではなくて、やはり商品性そのものを規制して例えば10倍超なんていうのはそれ自体違法商品だということにした方がいいのだという考え方もあろうとは思いますし、この点は基本認識のところで申し上げた純粋に個人向けの業種に規制を限るかどうかということとも関係してまいりますので、後ほどご意見を頂戴できればと思います。

最後の・の延長として、次のページに顧客と海外業者との取引の媒介を行う業者の問題、やや微妙な書き方をしておりますけれども、既に海外の業者のウェブサイトに直接アクセスで取引をやっている日本国民というのは現に存在をしているわけで、こういうのが日本の行政当局として何とも規制だ何だということに論理的にならないわけです。

ただ、直接アクセスするには英語もできないし、何か心配だということで投資家のために海外の業者との取引の媒介を行う国内業者が存在をしております。この場合の取引は、あくまで顧客と海外業者の間で行われますから、その媒介を行う国内業者というのは取引のきっかけといいますか、入り口の部分の橋渡しをするというような位置づけになるわけです。こういった業者に対しては、ここに書いてございますように自分が媒介している海外業者がどういうものなのか明示をさせて、仮に事後的に不適切なものであることが判明した場合には媒介業務を停止させるといったことが、論理的には考えられるわけです。ただ、この4ページの2行目、3行目に事件が発生したと書いてありますけれども、要は海外業者が夜逃げをしてしまったわけですけれども、不適切であることが判明した場合というのは、なかなか実際にはもう手遅れでいなくなっているというケースが多いと想像されます。これはそんなことを言っても理論的な解はない問題なんですけれども、どういう海外業者かというのはやはり、例えばアメリカの先物取引委員会、CFTCが監督しているような業者であればそこそこ信頼しても良いかもしれないけれども、途上国の何か聞いたこともないような会社だったら、やはりこういうのは自己責任で気をつけないとということなのかもしれません。

(3)のその他として顧客資産の分別管理については証券・商品先物同様に義務づけるべきだと思いますし、その場合の保管状況の開示も、為替のポジションをスクエアにするためにカバー取引を行っている場合には、カバー先における保管状況も含めて義務づけるべきではないかと思います。

その他として7つ・で掲げておりますが、最初の2つは当然のことだと思います。

3つ目の取引一任の禁止は、これは証券会社には投資顧問との兼業を弾力化するという形で緩和してきておりますけれども、この外為証拠金取引の場合には投資家本人の指示による取引しか認めない方がいいだろうという気がいたします。もちろん業者に外国為替証拠金取引の運用を一任したいという個人がいないとは言えないと思いますけれども、トラブルになった場合の業者の言いわけの材料は初めから封じておく公益の方が勝っているような気がしてこういう提案をさせていただきました。

それから、4番目の両建て取引の禁止というのも、これもやりたいという個人がいるなら気にしなくてもいいという考え方もあるかもしれませんけれども、この取引の場合は顧客にとって両建てにするメリットが論理的になくて、同一の通貨ペアで両建てにしてもスワップポイントの負担がかさむだけですから、だったら初めから禁止をしておいた方がいいんではないかということで提案をさせていただきました。

その下の3つは当たり前だと思います。

それから4つ目に財務規制でございますが、資本金は当然リスクバッファでありますが、そもそも一定の資本金を用意しないとこの業務を行ってはならないとすれば、現在行っている業者にとって、最低資本金というものを仮に導入するとすれば、その水準というのは相当にクルーシャルな問題だと思います。

昨日、ちょっと業者の方から聞いてびっくりしましたのが、金融審議会でこの問題の検討を始めたという報道を見て、最低資本金みたいな要件が出てくるらしいという報道を見た業者が、とてもそこまでクリアできそうにないというので、結構顧客資産を預かったまま夜逃げをしてしまうというケースが散見されるそうでして、そういう意味でも急いでやらなければいけないと思いますけれども。要は、ただあまり簡単に始めてみようと思わないような水準にしておく方がいいんだと思います。

次の5ページの2行目からカバー取引云々というのは、日本語として非常にわかりづらい日本語になっているんですけれども、要は先ほど申し上げたように為替のポジションをスクエアにするといいますか、顧客と利益相反にならないようにするためにカバー取引を行っている業者が多いんですけれども、これを法律上の義務にするかどうかという論点でございます。

要は、外為自由化の趣旨とか、あるいは仮にカバーしてもカバー取引先だって安全とは言えないということからすれば、100%カバーを制度として義務づけるよりも、業者本人が抱えるリスクに見合った自己資本を持っているかどうかということを証券会社のようにモニターしていく方式の方が望ましいんではないだろうかという提案でございます。

その他として、まず当局による監督の体制が書いてございまして、金融監督行政は預金金融機関で言えば金融庁本体で監督しているのは大手銀行だけでありまして、地銀とか信用金庫というのはすべて地域の財務局で監督しておりますし、地場証券も同様でございます。また、しばしば社会問題を起こす貸金業とか抵当証券業者というのはこれはすべて財務局で監督をしておりますので、この外為証拠金取引業者というのも直接は財務局で監督するというのが自然な流れであります。これは審議会の問題というよりも、何とか人手を確保して頑張りますと言うしかない私どもの体制の問題ではないかと思いますが。

ただ、検査については証券検査の一元化という議論を昨年していただきましたけれども、証券取引において顧客への勧誘に問題がないかどうかという検査のノウハウのある監視委員会に担当してもらうのが望ましいんではないかというふうに考えております。検査の結果として、違法行為とか財務状況が一定基準以下であることが把握されれば、当然業務改善命令とか停止命令とか、さらに原さんの意見書にあったように登録取り消し、退出、どういう場合にそういうことになるのかという可能な限り明確なルールを用意しておく必要があるだろうと思います。

それから自主規制がその次のパラグラフに書いてございまして、前回の2人の業者のゲストの方も言っておられましたように、幾つか自主的に形成する動きがあるようでございますが、前回の2人のゲストの間ですら足並みが一致していないように見受けられましたけれども、いきなり証券業協会のような単一の自主規制機関が自主的に結成されるだろうということはなかなか考えにくいと思います。この自主規制機関、法律上の枠組みは用意しておいて、既に結成されているものがその枠組みに適応するかどうか、仮に適合するのであればそこに加入しないよりはした方が投資家から信頼されるんでしょうし、また複数の自主規制機関ができるのであれば相互間で信頼性競争が行われるようなそういった姿を想定しておくのが現実的ではないかと考えております。

一番最後に技術的な問題でございますが、法形式でございます。この外為証拠金取引が金融先物取引と同じ経済実質を持って既に金融先物取引のルールを定めている法律がございますので、この法律の使える部分は使って、追加修正すべきはそうするという形で手当てするのが自然であって早いんではないかと思います。当然、この業の新法をつくるという選択肢も論理的にはあるんですけれども、次の事務年度では投資サービス法という議論も始まるので、そんな何年かしか持たない新法をつくるよりは、規制自体は急がれるわけなので、早くできる方法でやっていってはどうかと思います。

余裕があれば本当は投資サービス法の第一ステップとして証取法と金先法ぐらい統合したいんですけれども、最短コースで立法作業をして国会へ提出をして施行を目指していくということであれば、金先法の応急措置ということでいくのが一番早いのではないかと思っております。

以上、たたき台として何点か不備があることは自覚しておりまして、例えば罰則について具体的な記述がございませんけれども、罰則というのはすべての犯罪のバランスの中で位置づけられなければならないものですから、なかなか一つの役所だけで勝手に決め切れないということもありますし、最低資本金とか自己資本規制といいながら具体的な水準とか仕組みの記述がございませんのは、そこまで検討が進んでいないということでございます。むしろ本日いろいろ意見をいただいて、取りまとめに反映させていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにも資料がたくさんついておりますが、これはご参考ということでよろしゅうございますか。また必要に応じてご質問等があれば、そのときに説明していただきたいと思います。どうもありがとうございました。

私の認識を申し上げますと、今日はたっぷり時間があるということでございますので、あと残りの時間、今事務局から出していただきました論点整理。これはあくまでたたき台ということのご認識でいただいて結構と思いますけれども──につきまして幅広くご意見をいただきたいと思います。

ただ、幅広く何でもご意見を出していただくだけでという時間は多分ないので、できれば今日できるだけの審議をしていただくことによって、次回には何か簡単に言うとまとめられる方向を目指したいというところに大体今私どもはいるように思います。

普通であれば時間がありますので1ページ目から順番にいくと思うのですけれども、私もちょっと今大森課長のご説明をお聞きしながら感じたのですが、なかなか難しい問題もあるし、方向感としては多分そんなに議論しなくても同じであろうという面もありますし、いろいろありますので、もしお許しいただければ私の提案としては、まず最初に全体的にどこでもお気づきの点、特にそれぞれの委員の方々から見て重要と思われるような点をご自由にご発言いただくところから始めてはどうかと思います。

それである程度時間がたちましたら1ページ目から順番につぶしていきたいような点もありますので、そういう進行で何とか全体の審議をお願いできればというふうに思います。そういう進め方で始めさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

ありがとうございます。それではまず、全般的にどの点でも結構ですので、重要と思われる点、あるいはそうでない点、ご質問がある点、その他どうかどなたからでもご自由にご発言をいただけませんでしょうか。

どうぞ。

○田中委員

全般的な話として申し上げたいのは、外国為替証拠金取引そのものが何か問題があるということではないということです。現状、取扱い業者の一部が大部分のところでいろいろな問題があると。それをどう規制していくかということで当然考えられていると思うのですが、その点は強調したいと思います。

と申しますのは、外国為替証拠金取引をきちんとした業者がきちんとしたルールのもとで行えというのは必要なことではないかなと思います。そのときに、必要以上に規制を強めてしまって、正常なビジネスそのものができなくなるということに関しては、配慮する必要があると思います。一般的な話ということで、以上です。

○神田部会長

今の点は、意見書の豊商事の古井さんと同じ点のご指摘だと思います。私の言葉で言えば、商品自体が欠陥商品であるのではなくて、商品そのものが含んでいるリスクが他の金融商品と同じであるか、より少ないのですけれども、それはともかく、問題なのは売り方が悪いと。古井さんの言葉では、不法行為ということをおっしゃっている。今の田中委員のご指摘と同じで、確かにそこは商品自体の問題と売り方の問題とは時に混同されがちですけれども、認識自体についてはもちろんご意見分かれるかもしれませんけれども、今の点は重要な点だと思います。

ほかにいかがでしょうか。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

今の点なんですけれども、とことん言うとあまり認識は違わないのかもしれませんが、やはり商品性に問題があるといいますか、問題のある取引を起こしやすい商品類型であるということはやはり押さえるべきではないかというふうに思っているんです。

質問にもなるんですけれども、諸外国といいますか、例えばアメリカの商品取引委員会が何か最近、CTIという日本の業者をカリフォルニアの裁判所に起こしたというのがホームページに載っているという情報をいただいたんですけれども、それなんかの訴状を見ていますと、アメリカではお客さんについて一定の規制をしていて、個人では総資産を1,000万ドルを超えて保有する者、あるいは500万ドルを超えて保有し、かつ一定の目的がある。要はリスクヘッジの目的があるということで、要するに10億円であるとか、あるいはリスクヘッジの目的がある場合でも5億円以上の資産を持った方でないと参入できない。これは言い方によればもちろん適合性原則のところについて一定の基準を設けたということで、やはり勧誘の問題なのかもわかりませんが、このような規制を当局がしているということは、やはり商品性にかなり大きな問題がある。

あるいはドイツの連邦裁判所が2001年12月18日に外為取引のディー・トレーディングですけれども、これが隠れた債券取引であって賭博であるというような判決が出ているということを横浜国大の角田先生が書かれているようですけれども、私も詳細は調べられていないのでぜひ、あと1週間しかないかもわかりませんが、金融庁の方でも一定の調査をしていただければと思うんですが。

やはりそのように諸外国の規制当局がやっているということは、商品性の認識の問題ではないかというふうに思います。各論としては、原さんが言われるインターバンク市場につなぐと。つなぐということの意味が大変難しいんですが、また後で申し上げたいと思いますけれども、一定の証拠金比率なりレバレッジ効果の問題に規制をかけるとか、そういう仕組みのところでやるのか、先ほどのアメリカのようにやるのか、あるいはドイツのように賭博と認識してしまうのか、これは法的手法としてはいろいろあるかもわかりませんが、やはり商品性についての認識ということが出発点ではないかというふうに思います。

総論的な発言ですが、諸外国のことについてもし調査いただけていれば教えていただきたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

黒沼委員、どうぞ。

○黒沼委員

今の点に関連して1つだけ意見を述べさせていただきます。私は商品性そのものには問題がないとは、やはり言い切れないのであって、商品性そのものを問題として規制をするとこれは極めて難しい問題にぶつかって、規制が困難なので、今は商品性は置いておいて、ほかの面で規制を加えるというやり方は理解できます。

というのは、この取引は、私は実質先物と思っていたのですが、形式的には直物取引という位置づけがなされていますので、こういう取引はほかに幾らでも考えられるわけです。

例えば、今日の卵の値段を基準にして投資をし、証拠金だけを払う。明日の卵の値段が変動したら、それによって損をしたり得をしたりすると。こういうのは幾らでも考えられるわけで、その商品性に問題がないと全部言っていいかというと、これは非常に難しい問題になると思うのです。だからこの取引についても、商品性は全く問題がないということを前提に議論していいかというと、すこし疑問があるということだけ述べさせていただきます。

○神田部会長

非常に本質的に重要な点から議論が始まって……。

奥野委員、どうぞ。

○奥野委員

内容的にばらばらでもよろしいんでしょうか。

○神田部会長

結構です。

○奥野委員

わかりました。私から証拠金の保全に関して2点申し上げたいと思います。

まず1点目は、全般的にとらえ方という問題なんだと思いますが、あくまで顧客資産の保全ということにつきましては、不測の事態に備えるものという位置づけで考えるべきだと思っております。保全の措置というのは、機能する前提としまして、業者の健全性・適格性を確保する方策が必要であるでしょうし、あるいは勧誘や取引に当たっては適切な行為規制ということが敷かれて初めて意味するんだということで、繰り返しになりますが、顧客の資産の保全というのは、あくまで不測の事態に備えることだというような位置づけで考えるべきだと思います。

2点目はもう少し具体的な話になりますが、保全の方法ということで、原委員の意見にもありましたが、例えば信託の活用であるとか何らかの保証制度をつくるというようなことが考えられますけれども、実際にワークさせるために検討すべき点、非常に多いんじゃないかなと思います。

例えば信託方式ということを考える場合でも、受託する側から見ますと、要保全額のチェックであるとか、あるいは取引の裏にある個々の顧客のデータ管理というようなところでは多分手が届かないと思いますし、また対応が難しいんじゃないかと思います。

それから業者である委託者から、信用状況というようなことについても受託に際してこれは可否を判断せざるを得ないということも生じてまいりますでしょうし、その保全の方法といいましても、したがって多様なさまざまなケースを想定して複線的というんですか、複合的というんですか、こういったような形での検討をしていかないと機能していかないんではないかなというふうに感じました。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ちょっとすみません、今の点も非常に重要な点だと思いますが、今の点は一般論としてはあまり異論はないのではないかと思います。その前の点で、やはり田中委員の業者としてのお考えもぜひもう少し述べていただきたいと思いますので、若干整理させていただくと、上柳委員にちょっとお聞きしたいのですけれども、私の理解ではアメリカの考え方は、適合性原則であって、つまりリスクの高い商品というものはふさわしくない人に売ってはいけない。結果としてそういう商品は売ってはいけない。ですけど相手次第によっては例えば相手がプロの金融機関であれば全く商品性の制約は、一般論としては少なくともないので何を売ってもよろしい。ですから結果としては商品性の制約になりますけれども、それは商品に問題があるというよりは、相手との関係でリスクの高いものは売ってはいけませんと、そういうルールですよね。

その話とそれから賭博の話は、各国が抱えている難しい問題で、これはもう伝統的にどこの国にも賭博罪なり、呼び名はいろいろ違いますがそういうものが存在していて、そういう中でおよそ広い意味でのデリバティブ、外為、どこから先物か直物かという問題がありますけれども、を含めて数字の当てっこみたいなところがありますから、構成要件から言えば形式的には当たってしまうわけですね、どこの国でも。ですからそれは日本でも現に存在している問題なんですけれども、その問題は正当業務行為だとか法令行為だとか国によって対応は違いますけれども、社会通念ですとかそういう問題として一定範囲のものは許容されてきているという中で、やはりひどいものがあると賭博罪を発動すると。おっしゃったドイツのように。そういう余地というのはどこの国でも一般論としては残っているという話なので、ちょっと性質が違うと思うのですね。

それで前者の方を主として伺いたいのですが、どうなんでしょうか。およそある一定の商品のようなものはもう禁止と。相手がだれであれ。

そういうことまでということなのか。それは金融商品分野の常識にはちょっと反しますよね、どうなのでしょうか、そのあたり。

○上柳委員

ある意味で定義の問題のようなところもあって、それこそ部会長、金融商品というふうにおっしゃいましたけれども、金融商品として成り立ち得るのか、もう全然成り立たないのか、そういう切り分けもできると思うんですけれども、私はそこはさっぱりやはり程度の問題のように思っているんですね。ですから賭博性が極めて高い。そういう意味では賭博だって一定の要件のもとにやっていい場合があるわけですから、そういうふうに考えるものと、それからある意見では緩いものについては一定の適合性原則がかかればいいというものとがあって、それからまたその間あたりの商品規制をする場合でもその商品自体を全く禁圧する場合と、それからある程度商品の設計について制約を加える。例えばインターバンクにつなげるとか、あるいは先ほどの証拠金の保全の問題もありますけれども、これも商品性に一定の制約をかけるものではないかと私は認識していて、そこにはバリエーションがあるというふうに思っておるんですけれども、恐らくもちろん理論的にはどこまでが商品性の問題、あるいは禁圧の問題で、どこからかは勧誘の問題というふうに切り分けをするんでしょうけれども、ある程度、程度の問題なのかなという認識もしているんですが。

○神田部会長

厳密にいえば消費者とは何かという問題はありますけれども、これは主として消費者向けの場合ということでよろしいのですか。

○上柳委員

また消費者の定義とか、あるいは小さな会社かどうかという問題がありますけれども、それはそう考えていいと思います。ですから、いわゆるインター業者の場合はまた別の考え方があり得ると思うんです。

○神田部会長

その点について田中委員のご感触も一応伺いたいんですけれども。勧誘の相手というか、消費者向けにはそれを適合性の原則の中でルール化するかどうか別として、一定の商品はやはり売ってはいけない、勧誘してはならない。それはありでしょうか、主としてこの分野について。

○田中委員

現状は何もない状況で、いわば無政府状況みたいな状況を前提に皆さんは物事を考えられているのではないかなと思うんです。ちょっと論点がずれてしまうかもしれませんが、業者の登録というものを義務づけて、それでなおかつ適合性の原則にのっとった形での業務展開を行うという前提のもとで、この商品性がどうかというふうに考えた場合、商品性そのものに何か問題があるという議論はどこからも出てこないのではないのかなというふうに思います。

ですから先ほど黒沼委員が卵の例を出されましたけれども、あくまでも仕組みとしては同じかもしれませんが、やはり卵の持っている経済的な意味と為替とは違うんではないのかなと思います。ですからそれを例えで聞かされるというのは、適切ではないかなと思います。

○神田部会長

私もだんだんわからなくなってきました。どうもありがとうございます。おっしゃることはよくわかったつもりです。外縁の議論をし始めると、黒沼さんは非常にバランスのとれたご意見をおっしゃったのですけれども、結局定義するときも先渡取引と言ってしまえば何でもありですよね、おっしゃるように。しかし、数字の当てっこと見れば、もうアンダーライン・アセットというか原資産を渡すことはしないわけですから、現実問題としては差金取引みたいな定義をすればこれはもう何でもありということなので、そういう把握をするのか、外貨というか、為替というものが原資産なわけですけれども、そこのどこまでを今回対象にするかというのは、なかなか容易ではないですね。

そんなようなところが非常にコアな部分の一つとして非常に重要だとは思いますけれども、ほかにいかがでしょうか、どの点でも。今の点でもいいです。

東委員、どうぞ。

○東委員

この論点での業者を規制し、商品性については規制を原則かけないという考え方には、私は賛成の立場です。ただ、先ほどの例でありました卵でレバレッジをかけるというケースは別にしても、こういう性格の商品設計というのは実はそんなに難しい話ではないのではないかと思います。

そういう意味で、原委員のメモのようにレバレッジのかけ方の問題だと思います。商品性のどこに問題があるのかというと、現物買っている分には極端な損失は生じないんですね。結局、レバレッジのかけ方が非常に大きな影響を与えているんだろうというふうに思います。

先日の業者の方でも10倍のレバレッジをかけているわけですから、そういう意味で商品を規制しても別の原資産による商品が出てくるんだろうと思います。そういう意味では、出てきた商品に対して、個人に売るときの売り方というのは、やはりそれなりのルールが要るんだろうと思います。それを規制という形で適合性の原則上本当に縛るのか、あるいはそこをもう少しラフな形で切り分けて個人に認知させるのか、そこが重要だと考えています。では何が一番問題なのだろうかというと、私の認識ではそもそも投資元本以上の損失が出てくるのか、出てこないのかというのがそもそもレバレッジが効いているか効いていないかという境目だと思うんですね。ですからあとは何倍レバレッジをかけるかという点では、それは10倍でも50倍でもかけようがあるわけです。そういう意味ではそもそも投資元本を下回る可能性がある商品の売り方についてのルールは、もう少しはっきりしておくべきである、そんなふうな意見を持っております。

○神田部会長

東委員は、レバレッジ自体を規制するというのは必要ないとお考えですか、100倍でも1,000倍でも。ちょっと議論のためにやや極端な例ですが……。

○東委員

そういう意味では、要するにレバレッジを制限してしまうことの問題点が、やはり出てくると思います。つまり個人だからそれは禁止するというのは、これは少し行き過ぎだと思われます。投資家として個人が買いたければそれは買えばいいというのが、私の立場です。とはいえ、外国為替証拠金取引では、高齢の方が一番損をしているというケースが多く見られるわけです。やはり投資元本以上の損をするということの認識がどこまであるんだろうかというところは非常に心配になるとともに、そうした個人に対する売り方の規制で対処すべきだと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。ほかに。どうぞ。

高橋委員。

○高橋(厚)委員

私も今の点については東さんがおっしゃったように、あるいは田中委員の言われたように、商品性を限定するということが、さっき大森課長のご説明にもあったように法律で限定する、あるいは法律の根拠に基づいて限定するというのは現実に難しいだろうと思います。またそれが望ましいかどうかということがあります。むしろ適合性の原則、あるいはそういう商品であるというリスクの説明とか元本を割る可能性の説明が必要です。これは現に金融商品販売法がかかっていますからその説明義務があるわけですけれども、その説明義務をきちっとかけていく、さらに、この商品についてはもう少し具体的な説明義務を求めていこうというようなご提案になっているかと思いますが、そういう対応がいいのではないかなというふうに思います。

ただ、この中に自主規制ルールのことが書いてあって、自主規制団体として自分たちのグループの商品はこういう限定をつけるんだよということを信頼性の証として、さっき大森課長の説明で信頼性競争をやっていくんだということですが、それでいいと思うんですけれども、そういうときに元本割れしないとか、レバレッジが一定以上になっていないとか、そういう信用競争というのはあり得るんだろうと思います。法律で求めていく限界というのはやはり適合性の原則、あるいは説明義務をきちっとしていくということではないかなというふうに思います。

○神田部会長

島崎委員、どうぞ。

○島崎委員

前回の議事録を読ませていただきまして、業者の方からも今の状況についていろいろお話あった通り、短期間にこれだけの大きな市場になってきたということは、それだけのニーズがあるということだろうと私は理解いたしました。前回来られた方は、こういうところに来られて説明するだけあって、極めて模範的な業者である。一方では雲助のような業者もいて、そういう方が問題であるということだろうと思いますので、そういう意味では今の市場があるという前提でこれをどう規制していくかという考え方で進めるべきであろうと思います。

先ほど来、要はレバレッジを何倍にするか等々の話がありましたけれども、これはやはり投資した方が自分の損がどこまでいくのだろうかと、どこまでいったらこれをやめろというロスカットの問題だと思うのです。私ども企業でもこういうデリバティブをやっているわけですけれども、必ず損失限度額というのを決めています。それによって、オートマティカルにそこから撤退するということを決めているわけでございます。

こういうビジネスを実際にやっている当事者からしますと、ロスがかさむと元をとろうして倍をかけていく、倍をかけていくということはレバレッジをどんどん上げていくわけでございます。それが結局は財産を失うということになるんだろうと思います。

したがって、商品の特性を何か決めていくということについてはなかなか難しい問題があると思いますので、別なところでそういうことをきちっと規制していくようなところが大事なのではないのかなと思います。

この3ページのところに業者にいろいろな義務を課すということを書いておられますけれども、この中にロスカットルール等もありますが、逆にハイリターンでハイリスクだと、これを非常に望む方もおられる。これは個人とか会社とか関係なく、個人でも大会社よりも財産持っている個人だっておられるわけですから、個人と会社で分けていろいろ規制を考えるというのも、これは現実的ではないのかなと思います。

そのときに、それではこれだけのロスはありますよ、しかしどれだけのリターンがあるからどうぞということだと思うのですが、そのとき業者にどういう前提であればそういうリターンが確保されるのか、期待されるのかというあたりも、どういう説明をさせるのか。実際現実はどういうことになっているのかわかりませんが、最悪のケースはこれだけ損しますよということだけでなくて、その損を覚悟して投資をするというのは、それなりのリターンを期待して恐らくつられて投資する方がおられるかもしれませんけれども、そういうことを期待して投資するでしょう。そのとき、どういう前提で為替がどう動いて、どれだけのレバレッジをかけて、どうしたらこれだけのものが出ているんだというあたりまで説明しなければいけないのかなというのが、私の個人的な感触でございます。

○神田部会長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(伸)委員

オブザーバーですけれども、発言をさせていただきます。

私はやはり業者の適格要件、それと適合性原則、ここのところをきちんとするということに尽きると思っております。

説明義務も大事なんですけれども、こういうさまざまな投資取引の被害例を見ていますと、幾ら説明をしても理解できない人に対して、わかりましたと言うまで説明してしまう業者の態度が問題になるものですから、説明義務よりは、このような取引の場合にはやはり適合性原則を重視すべきだというふうに思っています。

その適合性原則が機能する大前提としましては、やはり業者に顧客情報の収集義務づけをするということが大事ではないかと思います。証券業の場合には、公正慣習規則の方で顧客カードを収集するということをやっておりますけれども、それも実は徹底していないという問題がありますが、少なくともFXの取引においては顧客カードのようなものをきちんと義務づけて、それをイギリスの適合性証明書のところまでいかないにしても、やはり個人にもきちんと写しを渡してどういう取引をしようとしているのかということも認識してもらうような形が必要ではないかと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

どうぞ、黒沼委員。

○黒沼委員

業者に対する行為規制について、さまざまな禁止が提案されているのですが、これらは罰則をもって担保することを予定されているのかどうか、お伺いしたいのです。

業者の行為規制について、証取法上は罰則はほとんどないのですが、投資顧問業法の方はかなり罰則が入っていますね。どちらのタイプにするのか。

それから私法上の効果といいますか、例えば書面を交付すべきところをしなかった場合に、投資者に契約の取消権を与えるとかなり効果が大きい。結局取引がなかったということと同じことにするわけですから大きいと思うのですが、そういうことはお考えなのかどうか。

もちろん消費者契約法による取消権はあるとは思うのですが、それよりももっと緩やかなというか、取消ししやすいような規制を加えるかどうかという点についてお伺いしたい。

○大森市場課長

説明の最後のところでちょっと言いわけを申し上げたように、現段階ではそこまで検討していないのが正直なところでございまして、もちろんその証取法のアナロジーでいえば、こういうのは行政処分の対象だとか、ひどい場合には登録取り消しだとか、あるいはもっと進んで刑事罰も対象にした方がいいんではないかとぼんやり感じることはありますけれども、すみません、そこまでまた頭を整理した上でご提案しているわけではないので、むしろそういったことも含めて意見をちょうだいしたいということでございます。

それから、不招請勧誘あるいは説明義務違反の場合の私法上の効果という論点もあることも承知しておりますけれども、ちょっとそこまで事務的に検討しているわけではありませんので、むしろご意見をちょうだいしたいということでございます。

○神田部会長

黒沼さん自身のご意見はどうですか。適合性原則に違反した場合の制裁のあり方は。罰則、あるいは今度の課徴金とか、あるいはもっと進んで私法上の取り消し……。

○黒沼委員

幾つかの不当勧誘については罰則をもって担保する方がいいのではないかと思います。

それから顧客の損害の回復という点では、私法上の取消権を与えるのが実は一番強力でして、例えば誤認をして取引をしたとかそういう因果関係なしに、一定の義務違反があった場合には顧客の側で契約を取り消すことができるというような規定を置くことが最も強力であって、しかも業者に義務を履行させる上で効果的ではないのかと思います。私自身、細かく検討したわけではないのですが。

○神田部会長

またそれは今後の課題だと思いますけれども、細かい検討は。義務自体にいわゆるここで議論している適合性原則というのが含まれるべきという感じですか。

といいますのは、適合性というのは非常にケース・バイ・ケースにどうしてもなります。高橋委員からご指摘のありました調査義務と裏腹を当然なしますので、そういうものを怠っても義務違反ですよね。ですから非常に抽象的に言えば義務違反にも、こういう表現はよくないかもしれませんけれども、軽いものから重いものまであるわけですよね。だからといって私も何か行政処分だけで対応できるかというと、ちょっと弱い感じも確かにするわけで、その辺のご感触をもし今日出しておいていただくと助かるのですが。

○黒沼委員

適合性の原則については、これを罰則で担保することはあまり現実的ではないと私も思います。

適合性の原則は、投資サービス法では柱となるような事柄だと思うのですが、外国為替証拠金取引を念頭に置いて適合性の原則を議論していくのは、ちょっと筋が悪いのかなと私は思っています。もちろん適合性の原則に沿った勧誘が行われることは当然なのですが、果たしてこの取引に適合性のある人は、投資の目的まで加味すると、いるのだろうかという点に、基本的な疑問がございます。

ちょっと話が飛んで申しわけないんですけれど、従来、証取法の適合性の原則というのは、法文上は知識、経験、財産の状況とあるのですけれども、本当はそれ以外に投資の目的ということが重要でありまして、それを投資サービス法の中に入れるべきだと私は思っております。ただし、ここでそれも入れて調査義務を課すとか、それを尽くさなかった場合には罰則だというふうにぎりぎりやっていくことは、この取引の規制としてはどうかなと思います。もっと事前の規制といいますか、形式的なところで切っていく方が好ましいように考えています。

○神田部会長

ありがとうございます。引き続き、またお伺いいただけるとありがたいです。もしアドバイスがあればよろしくお願いします。

○西村委員

すべて今外国為替証拠金取引という形になっているんですが、そもそもこの話のときは最後に投資サービス法という話があるわけです。そういうような大きく考えなければいけないという話だったと思います。先ほどもいろいろご意見がありましたが、その中で外国為替は卵と同じかという話がありました。私は外国為替も卵も量的な差はあるにせよ、質的には同じだというふうに思います。

そういうふうに考えますと、こういった証拠金を使ったさまざまな取引というのは、たまたま今外国為替という形の形態をとっていますが、それ以外についても同じようなことが起こる。もしくは証拠金まがいの取引というのが起こるということから考えると、例えば外国為替等証拠金取引という形にするというような形で広げるというか、ある程度大きくとるというような必要があると思いますが、お考えがあるのかどうかというのをちょっとお聞きしたい。

それからちょっとわからなくなってしまったのですが、ついさっき先物ではなく直物であるというお話をお聞きしました。とすると金融先物取引との類似性にかんがみ、金融先物取引法の改正を行うのが適当ではないかという話とちょっとどうそこがつながるのかよくわかりませんでした。そこについてもお聞きしたいというふうに思います。

○大森市場課長

最初のご質問は、要は原資産が為替に限らずレバレッジ倍率何倍という形で取引が行われるようなものはこの契機に規制対象とすべきではないかという提案を最初のページの基本認識の4番目のパラグラフで言わせていただいたつもりでございます。

それから2番目のご質問は、これはちょっとクリアに説明するのが難しいんですけれども、金先法自体がそんなにクリアに定義されていないというんでしょうか、ちょっと神田先生に言っていただいた方がいいのかなと思います。

○神田部会長

私も正しく答えられないかもしれませんが、2点目の方は私の理解は、悪く言うと日本の法体系の中で直物と先物の区分というのは十分整理されてはこなかったということだと思います。もうちょっと違った言い方をすれば、整理せずにも済んできたということだと思います。

グローバルに言えば、外為の世界では恐らく2日後渡しまたは3日後渡しぐらいまでが直物であって、そこから先が先物と区別することが実務上は多いと思いまして、2日は直物に入ると思います。

ただ、日本の法体系のもとでは現在の金融先物取引法の定義は、翌日以降であれば先物に該当します。翌日以降渡すものを先物と定義していますので、グローバルな意味では直物取引であったとしても、先物取引法上の先物で読めます。

ただし、第1回目のときに申し上げたと思うのですが、現在の金先法は上場物だけを規制する法律であって、そうでない店頭物については、取引所での相場を使うものだけという、もともと出発点がそういう立法をしていますので、したがって現在の法律では取引所の相場を使わないでOTCで行われるものというのはそもそも規制対象になっていないですね。

ですから恐らく伝統的に考えると、いわゆる先物というのは昭和63年に導入されました。ただ国債先物は昭60年なのですけれども、現渡しを可能とするもので。証取法改正や金先法ができた昭和63年に導入したときにどういう定義をするかということが問題になったのですけれども、そのときはまだ外為法がありましたので、外為取引の方の直物、先物というのがグローバルというか一般的な定義そのものはそのままにしておいて、日本は外為法の方でどっちみちカバーしていると。したがって証券と金融の部分をつくったときの先物の定義の仕方は、ほかにもいろいろ要素はありますけれども、今のコアな部分で言えば通貨については取引所取引に限定してではありますが翌日渡し以降のものは先物と定義したわけです。

しかし他方、原資産にも着目していたものですから、前回黒沼委員からのご質問があって後藤課長がお答えになったような、要するに通貨といえばいつ渡すものでも通貨は渡せると言えるし、卵と似た話ですけれども。他方、デリバティブと読めば翌日渡し以降のものはすべてデリバティブで今は読めているということなのです。

それがいいかどうかというのはまた別の話で、中長期的に投資サービス法ということで整理するときには、結局先物とは何か、直物とは何かというのも本当はしかるべく整理がなされるべきだし、その中で為替取引というものも、もともと先物外為予約などというふうに呼んできた商品と直物と呼んできたもとの線引きを全体の投資サービス法の中でどういうふうに整理していくかということは考えなければいけないし、その方向性を持って今回も対応しなければいけないということだと思います。ただ結論としては、現在の金先法で対応することは割とやさしくやれるというのでしょうか、法律的に、そういう面はあると思います。

ついでに、私ばかりしゃべって申しわけないのですが、第1点の方も非常に重要なご指摘で、私自身もいつも大学で授業をするときに先物に対する法規制のアプローチというか法制アプローチには大きく言って2つあるという言い方をしています。これは昭和63年のときに大議論した話なのですけれども、1つは直物の延長で考える。現物は何らかの理由で規制があるから先物も規制するという考え方です。これ当時は現先一体規制と呼ばれていたもので、金融はそういう分野が多いですね。証券は現物に規制がありますから、先物も規制があってしかるべきだ。あるいは当時で言えば、為替もそうで現物に規制があるので先物も規制があっていいでしょう。先物とは非常に私は広く定義していますけれども。

それに対して当時のアメリカの法制がそうですし、諸外国の法制もどちらかというとそちらの方が多いのではないかと言われていた話は、先物総合規制論などと当時は呼んでいたのですけれども、現物の規制の有無にかかわらず、先物は横断的に1つのルールの方がいいでしょう。それは原資産が問題ではなくて、私の言葉で言う数字の当てっこというか、変動する数字の当てっこである。法学部なら法学部の5年後の学生さんの数が何名ですかという当てっこをしていて、その数字がふえればその差額だけ私は払います。予想より少なければ私がもらいますというのでも立派なデリバティブで、変動する数字の当てっこであると。

そういうふうに考えますと原資産は何であれ、おっしゃるように卵であれ、通貨であれ、同じなわけです。ですからそういうことで言うと、商品先物の分野で言えば、商品の現物は別に民法、商法の世界であって、規制法は一般にはないわけです。しかし、これは先物の世界になると規制があるということなのです。結局アプローチとしては、日本の金融分野は証券の先物は証取法でということになりましたので、現先一体規制という形を形の上ではとっているわけですけれども、もし考え方を中長期的に原資産から切り離されたような形で機能的に整理していくんだとなると、これは大作業だということになって、相当大きな作業をしなければいけないということになると思います。

今回すぐには無理だと思いますけれども、多分中長期的にはあり得る考え方かもしれません。ただ、従来、当時からそういう議論もあり、私は個人的にはそういう議論に魅力を感じる方なのですが、やはり従来の日本は原資産というものに着目していろいろなことが連動していたという現実があるわけです。例えば税がそうですし、それから所管官庁も金融の所管官庁というのは1つでありませんので、やはり原資産に応じて例えばファンド物に見られますように、オブザーバーとしてご出席いただいていますけれども、いろいろな官庁が所管していたという現実もありますので、もう今から大分前ですけれども、当時はやはり原資産というものにある程度応じた形で法律もつくっていったという歴史があると思います。

これは過去の話かもしれませんけれども、ご指摘の点はあるべき法制を考える上では非常に重要な点だと思います。黒沼委員も最初にそのことをもう少し厳密な感覚でおっしゃったということだと思いますけれども、十分私どももこれは今後しかるべき場で議論、ひょっとするとこの部会の所管を越えているかもしれませんけれども、議論していかないといけないと思います。

○西村委員

今回は「等」入りますか、入りませんか。外国為替等証拠金取引の規制をするのか、外国為替証拠金取引を規制するのか、どちらに今回はなるんでしょうか。

○神田部会長

ぜひご意見を伺いたいのですが、西村先生はどうですか。

○西村委員

私はやはり「等」を入れるべきだという意見であります。非常に難しいということであれば仕方がないとは思いますけれども、そうしないともぐらたたきが続く可能性が非常に強い。

○神田部会長

それは原資産に商品と呼ばれているものまでも「等」で。商品というのは卵とか……。

○西村委員

そこは恐らく、私は法律家ではないものですから経済ですぐ考えてしまうものですからバイアスがあるかもしれませんが、そこはもちろん急に全部をやるというのは多分無理だと思いますけれども、できるだけ広く取り上げて、投資サービス法につなげるようなそういう見通しができるような形にしていただきたいというふうに思います。経済で見れば、法律では違うかもしれませんが、同じものは同じものとしか思いませんので、そういう形でお願いしたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは田中委員、どうぞ。

○田中委員

先ほどからいろいろと適合性の原則の話が出て、適用したらそもそもニーズがあるのかというような発言もあったかと思うんですが、今個人金融資産が1,400兆円と言われている中で、個人の方がいろいろな経験、知識、いろいろなことを考えられる投資家がどんどん出てきている。そういう中にあって、この外国為替証拠金取引の潜在的なニーズというのは非常に大きいと思います。

したがって、先ほど冒頭申し上げたように今の状況を変えるという面では業者の登録制、それから適合性のところをきちんと実効性のある規制を行っていくということをやる必要があると思うんです。

それを前提にして、ここからちょっと具体的な話をさせていただきたいと思います。まず第1点、不招請勧誘規制の部分なんですが、今の適合性のところをきちんと見ていくんだということが前提になった場合、明らかに適合されないような、老齢の方にこれを勧める業者は排除されるのではないかと考えます。そういう面で不招請勧誘規制を行う必要はあるのか。今現状、外国為替証拠金取引は非常に問題が多いからといって、一気にここまで規制するというのは、ちょっと現状ではやり過ぎなのではないのかなと思います。

また、行政規制のいろいろな細かいテクニカル的なところですが、例えばロスカットルールなど一律に義務づけるようなことというのは、これもいろいろな個人の投資家から今後出てくるであろうことを想定した場合、適合性のところがきちんと担保されている限り、この辺は何かルールで決めるというのもいかがなものかなと思います。

それからあと業者が過去に提示した為替レートについて開示するという部分ですが、これもどういうところまで考えられているのかわからないのですが、結構事務負担が大きくなってしまいます。そのあたりのことを考えると、まず大前提の業者の登録制、また営業に当たっての適合性というところを担保することによって、必要以上に何か細かいルールを決めるというのは、ちょっと今の出ているたたき台に関しましてはちょっと細かいことを決め過ぎてはいないかなというふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございました。話が各論に入り始めましたようですので……斎藤先生、どうぞ。

○斎藤委員

すみません、各論に入る前ですが、規制の基本的な方向性についてはほとんど違和感なく伺っていたのですけれども、ごく素朴な点で確認とか質問だけさせていただきたいと思います。

1つは、なぜ規制するかという考え方ですが、これは別に原資産である直物為替の売買を規制するというわけではない。ではそうすると次はネットポジションの取引だからいかんのかというと、それもないわけです。それだとほかに幾らもありますから。さらに、証拠金取引だからいかんのかというとそれも多分ないわけで、もしそれがいけないというのなら証拠金をゼロにすればよい。それでも同じ問題が出てくるわけですので、多分そうではない。そうすると大森課長がおっしゃったように、レバレッジがかかっているからいかんということで規制しようという考え方なのかというのが確認の第1点です。

それから2番目の問題は、カバー取引について、必ずしもポジションをスクエアにするということを強制はしない。それはカバー取引をやってもカバー先が危ないかもしれないというお話でした。もちろんそれはよく理解できるわけでありますが、この問題は顧客の資産の安全性という観点と、顧客との利益相反という観点との両方から考えることができますが、この2つが食い違うことはないんでしょうねというのがご質問の2番目です。

それから3番目は、先ほどから出ていますように金融先物取引法でそこを改正して網をかぶせるということなんですけれども、私は残念ながら金融先物取引法の詳細を知らなくて甚だ不謹慎な質問なんですが、金融先物取引法を使ったときに、その前の段階で言っている例えば業者に対する行為規制等、ここで掲げられているようなものを完全にカバーできるのかどうかということについてお伺いしたいと思います。

○大森市場課長

最初のご質問は、レバレッジだからいかんということではなくて、専ら勧誘の仕方の問題であろうと。もちろんレバレッジ型であるからリスクが高いというのはあるんですけれども、行政としてはそういう考え方に立っております。

それから2番目のご質問は、ポジションをスクエアにするということと、顧客と利益相反を起こさないということは矛盾しないんでしょうねというような同じことを別の言い方をしているということなのではないかと思います。

現実には相当の業者が100%カバーということで、そのカバー先も、我が社のカバー先は安心ですというような形で広告をしておられて、それはそれで結構なことだと思うんですけれども、国が法律で100%カバーというのを強制するのは現実にはなかなか難しいんではないかということで、むしろご本人の自己資本規制比率という形で提案をさせていただいたということでございます。

3番目は、まさに現在の金先法の規定をそのまま準用できるものもありましょうし、当然不招請勧誘のような本邦初演の試みをやるのであれば、その部分は必要に応じて追加をしていくということだと考えております。

○東委員

先ほどのところで、レバレッジを効かせる商品と先物オプションが同じような印象で語られていたのですが、やはりそこは少し違うと思います。私が先ほど申し上げた投資元本以上の損が出るというところからいくと、先物・オプションでも、買いは損失が投資元本の範囲内です。売る場合には、損失が元本を上回るリスクが生じる訳です。現状は、先物・オプションは大変変動性が高いから危険であるという、リスクが高いという認識で、実は取り扱っている業者自身も大変自己規制をしているんだろうと思のです。今回のケースでの投資家保護が重要というのはおっしゃるとおりだと考えますけれども、逆に市場への個人の参加を促すという意味で、いかに個人にリスクリターンのバランスを認識してもらうかが大切だと思います。かつて投信でリターンリスク度ということで5段階をつくってやったケースがあるのですが、結局今なくなりました。理由は何かというと、どうも5つに分ける基準が大変難しいということでした。どこで線を引くかが、非常に難しいと思います。そういう意味で先ほど私が申し上げたのは、一番個人の投資家にとってわかりやすい基準は何かというと、投資元本以上の損をするのかしないのか。ここに一つの線が引けるのではないかと思います。それを軸に、今度は適合性の原則に則って厳しい縛りをかける。そこは差をつけていいのではないかと思います。このようなことを踏まえて、買う側にとっての一番リスクリターンを理解しやすい線がどこなのかということを考えると先物・オプションは全部いけませんという議論にどうもなりかねない点は、逆の意味で大変心配だというふうにも感じます。

○神田部会長

ありがとうございます。

割と総論的なところではあまりご異論はないように思うのですね。何か商品そのものを一律禁止するというような話をしているのではなくて、やはり売り方が悪いと。業者の中に悪い業者さんがいるようであるということなので、顧客ももちろん、商品そのもののリスクがとれないような顧客には売るべきでないのですけれども、それと同時に業者のリスクというのもありますから、倒産するリスクだけではなくて不正行為、持ち逃げするとか出金しないとかそういうものも顧客がかぶるのではいけないので規制をしましょうというのは、恐らく斎藤先生の1つ目のご指摘についての基本的なところについてはあまり異論はないと思うのですけれども、問題はルールを具体化するときですね。

適合性原則の厳格化というと、具体的にそれがなかなかやはり動かないと結局役に立たないというか、それはこれから詰めればいいことだとは思いますけれども。ただおっしゃっていることは私も基本的にはそういうことで皆様方もそれほど違和感はないように思います。

それではそろそろという言い方も変ですが、大分コアの部分ご議論いただきましたので、今日の論点整理に従って一つ一つ確認というかご意見をいただければありがたいと思います。

まず、1ページ目の上の2パラグラフは不要ですので、3つ目のパラグラフです。

ここには1つは「外為証拠金取引が先物取引と同様の性質を有するデリバティブ取引であるとの整理の下」とか、それから下の方に「金融・証券先物取引に関するルールに倣ったルールの下」この辺はちょっと今も東委員もまさにご指摘いただきましたし、大部ご意見いただきましたので、真ん中に書いてある「個人などの投資家保護を必要とする者」という、個人向けに何か特別の規制をすべきなのか、「など」とちょっと広げるのか、逆に線を引くのは難しいという島崎委員のご指摘もありましたし、この点についてもし追加でご意見があればぜひ出していただきたいのですけれども。これは将来にも影響する話だと思います。投資サービス法とかを構想していく上でも。個人というのがカテゴリーなのか、「など」ともうちょっと広げたところがカテゴリーなのか、逆に島崎委員がおっしゃるように個人と法人というような区分は難しいのかですね。ご意見ありませんでしょうか。

昔、ホールセール・リテールWGで大変に議論をしたところ、プロ・アマと当時は呼んでいましたが。ただあのときのものとちょっと今回のは商品の系統も違いますし、将来的な中期的な視点の中で今回も対応するという態度が必要だと思いますが。

淵田委員、どうぞ。

○淵田委員

ここの表現、個人などの投資家保護を必要とするものとありますが、基本的に個人であれ、機関投資家であれ、投資家保護を必要としない人というのはいないはずなので、書き方自体がちょっとおかしいのではないかと思います。

投資家保護のレベルが人によって変わるということはあり得ると思いますけれども、投資家保護というのは基本的に必要です。

○神田部会長

おっしゃるとおりですね。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

昔の議論の蒸し返しかもわかりませんけれども、やはりホールセールとリテールの区別をしようとしたとき、基本的には難しいもので、一定の機関投資家そのほかの方々を除いて規制対象にするというようなことになったのではないかというふうに議論を記憶しているんですけれども、この取引についてもやはり原則、プロの方にかかると、個人、法人を問わずということではないかと思います。

ただ、ごく一定の人たちについて機関投資家なり一定の方々について外すということがあり得るのかもわかりませんし、それから適合性原則の適用については、もちろん顧客の性質なり属性によって変わってくるわけですから、おのずからうまくいくのではないかというふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

ほかにこの後、いかがでしょうか。

どうぞ、石橋委員。

○石橋委員

機関投資家の立場から一言言わせていただきます。

我々も投資家という立場でありますので、保護に値する立場であることは変わらないというふうに思っておりますが、ただやはりこれが神田先生のお言葉にありましたようにここから徐々に類似の商品に広がっていく前提で考えてまいりますと、やはりデリバティブというのはビジネスの場面で大変多様な利用の場面も多くなってきておりますので、規制を及ぼすということの逆の影響というものも出てくるということだけは頭に置いておかなければいけないというふうに思っていますので、どこがどうかというところまでは言えませんけれども、やはりそこのところも頭に置きながらの慎重な議論と対応がお願いができればというふうに思っております。

○神田部会長

ありがとうございます。

今の点で、ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、黒沼委員。

○黒沼委員

確認なんですが、個人などのというときにどういう範囲をとるかという問題は、取引ルールを及ぼす対象をどうするかということと、それ以外の行政による監督ということが入ってきます。取引ルール以外の行政による監督とは最低資本金とか登録制とかのことなのですが、どちらを念頭に置いているのか、それとも両者で分けるという考え方もあり得るかと思うのですが、その点はどう理解したらいいのでしょうか。

○大森市場課長

この文章は、取引ルールを念頭に置いて書いてございます。

○黒沼委員

機関投資家のみを相手にする者については登録は要らないということまでは考えていない。

○大森市場課長

逆に言うとそういうことですね、当然。

○神田部会長

今の点は難しいですよね。やはりある種、投資サービス法を構想していくときには、将来投資サービス法のもとでの業者というか、私の言葉で言うと規制の柔構造化を考えたときに、私はプロしか相手にしませんという人はおっしゃるようにそもそも参入規制も要らないでしょう、極端に言えばですけれども。そういう市場もあるかもしれないし。しかし他方、参入規制はあるけれども、行為規制のレベルで主としてそっちの方が今回はあれなのかもしれませんし、それはやはり方向が違っていると。将来の足を引っ張ってもいけないと思いますので、なかなか難しいです。

その点について、もしご意見があればいただきたいと思います。

どうぞ、上柳委員。

○上柳委員

やはり参入規制なり、あるいは登録なり、もっと緩い届出という意見もあるかもわかりませんが、そういう意味での対象ということでは私はやはりすべてのいわゆる金融サービスをやられる方が将来入ってくるべきだと思うので、広く考えるべきではないかというふうに思っています。

繰り返しですけれども、いわゆる勧誘が一番狭いかもわかりませんが、あるいは顧客との接触の関係の記述については、顧客の性質によってひょっとすると類型的には外れてしまう対象者がいるという仕組みになるのかもわからないなと思っています。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、次の段落にいかせていただきたいのですけれども、これは西村先生からもご指摘のあった、1ページ目の一番下ですが、「同様の性格を有する取引については幅広く規制の対象とすべきではないか」どこまでいくのかということがありますけれども、この点についてもし御意見があれば。ちょっと抽象的ではあるんですけれども。いかがでしょうか。

それではすみません、次のページにいかせていただきます。

2ページ目の一番上で業者の適格性確保で、今ちょっと議論がありました一定の資本、登録といったあたりですけれども、先ほどからご意見は断片的にはいただいておりますけれども、特に追加でご発言があればいただきたいのですが。

○西村委員

クラリファイイングクエスチョンですけれども、この場合、先ほどの重層的構造という話と重なるんですが、この場合、例えばプロといいますか、非常に大きな資金源を持っている者に対してはこれを適用しないということも入っているんですか、それともそれもすべてこの中に入る、外国証拠金取引と思われるものは全部ここの適格性の中に入るということになるんですか。

○神田部会長

今、ご意見をいただきたいのですけれども。

○西村委員

私は先ほど言いましたように、やはりさっきの個人にも関係するんですが、個人か法人かというのはあまり意味はなくて、結局資金量はどのくらいにあるか、リスクに対する対応度がどのくらいあるかということが本質的に重要ではないかというふうに思います。

そういう意味から考えれば、十分なリスク対応が可能な場合には、そういう市場に対してはできるだけ自由な形で新しい商品なり何なりが開発できるようなスタイルにしておいた方が、私はいいというふうに思います。

○神田部会長

ちょっと確認ですが、すみません。今は顧客側の話ですか、そうではなくて今おっしゃっているのは業者側の話でしょうか。

○西村委員

そういう顧客に対しては、業者に対して規制をかける必要はないという。

○神田部会長

わかりました。実は、業者側についても同じような問題があるのですね。

株式会社でなければならない、個人でも業者になれるではないかという問題はいずれ整理しなければいけない話です。

今の点について、追加でほかの委員の方々、いかがでしょうか。

それではちょっと先へ進むようで恐縮ですけれども、3.へいかせていただきまして、まず勧誘規制と広告規制で、勧誘規制については先ほどからいろいろ難しい点、特に違反の効果の場合はどうかというような問題が指摘されておりますけれども、適合性の原則、そういうものが抽象的にあるというのは、先ほど黒沼委員は、ちょっとなじまないというようなこともおっしゃったかもしれませんけれども、その辺が1つです。

それからもう一つは、いわゆる不招請勧誘というのはちょっと耳なれない言葉かもしれませんが、不招請勧誘禁止というのを個人あてなのかさっきの問題がありますけれども、するのか。禁止をする場合には必ず例外を決めなければいけないことになり、先ほどご紹介がありましたイギリスのルールのように例外を決めなければいけないと思いますが。規制するとしても、外為証拠金取引だけから始めるのか。それから、一律禁止しないまでも、さっき大森課長からご説明のありました下の方の4つの・にある2つ目、私がいつも挙げる例ですと、土日に電話するのはやめるとか。あるいは、夜中もだめとか。あらゆる商品について、そういうきめ細かいルールは日本は何もないのですけれども。あらゆる商品というのはちょっと言い過ぎですけれども。金融の部分でこういう部分から始めるのか、これはなかなか難しい問題なのですが、こういったあたりについていかがでしょうか。

先ほどから意見は分かれているということは存じ上げていますけれども。ぜひ追加でお出しいただきたいのですが。

どうぞ、島崎委員。

○島崎委員

ちょっと勉強不足なのでクラリファイしたいのですけれども、適合性の原則とは「顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして」ということで、これを見ると何となくわかるのですが、具体的にどういうことを意味するのでしょうか。先ほど来、高齢の方とか年齢の話も出ましたが、証取法の中での適合性の原則については、どういう基準でガイドラインをつくっていくという議論もされたのではないかと思います。ちょっと勉強不足なものですから、何かイメージ的に示していただければ参考になると思いますが。

○大森市場課長

実にごもっともなご質問だと思うんです。

一般論として今島崎さんがおっしゃったようなことを具体的にどうエンフォースしていくのかというのは実は極めて難しい問題でございまして、先ほど行政処分の事例があるというふうに申しましたけれども、その事例というのは実は初めて適用した事例でございます。

日経225オプションという相対的にハイリスクな商品を一定期間までのノルマを課すような形でその商品のそのリスクをなかなか認識するのが難しいんではないかと思われるような人も含めて販売しておったので、これは適合性原則違反だろうと、間違いなくそう言ってよかろうということで、監視委員会として勧告をして処分をしたということでありまして、逆にお年寄りだからリスクはわからないんだという前提に立つのもこれはまた実態に反することでありましょうから、なかなかガイドライン的なものがつくりにくくて、ケース・バイ・ケースの判断にならざるを得ないというのが現状でございます。

逆に言うと、さっきの田中さんの意見はあったんですけれども、適合性原則というものがそういう意味で有効に機能することが認定していくのがなかなか難しいということもあるものですから、不招請勧誘、頼みもしないのに来るなという形の方が、これは遵守しているかどうかが適合性原則よりはクリアなので、この商品に限って言えばこういったことも考えていいのではないかということでたたき台として出させていただいたということでございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

今おっしゃったように適合性の原則というのは非常に難しいのですよね。そもそも何かというのも。証券分野の伝統では存在することだけはかなりはっきりしているのですけれども。ただ先ほど黒沼委員もおっしゃったように投資目的が例えば入るのか入らないのかとか、そういうこともあります。それをやはり実際に適用するのが非常に難しいものですから、抽象論はあまり異論はないのですけれども。ですから不招請勧誘の禁止みたいなのを今課長さんがおっしゃったように、それを具体化するような、よりエンフォースしやすいようなルールであるとして理解する方がいいと思います。

どうぞ、高橋委員。

○高橋(厚)委員

不招請勧誘につきましては、今大森課長の言われたような考え方かなと思うんですが、そうだとしたときに、特に不招請勧誘を禁止する、あるいはさっき神田先生がおっしゃったようにさらに例外のケースを詰めていくというように規制をするということであるとすれば、そこの関連性というのは、すなわち、この商品はなぜ不招請勧誘を制限するのかというアンダースタンディングみたいなものはしっかりしておきませんと、今後いろいろ取引サービスを考えていく、あるいはこの商品もさっきの話でもう少し広く対象をしていくかというようなご検討もあろうかと思いますけれども、この商品につき不招請勧誘を禁止するという理由づけというんですか、考え方の整理はしておく必要があるだろうと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

上柳委員、手を挙げられましたか。

○上柳委員

適合性原則が実際どういうふうに適用されるかというのは、最終的には裁判所の判断ということになるのではないかと思いますが、ぜひ適合性原則違反については損害賠償責任があるんだということは明示すべきではないかというふうに思います。

それからさらに、適合性原則についての勧誘基準であるとか、あるいはどのようなお客さんについてはその再考を求めるであるとか、社内の基準をそれぞれの業者さんがつくるように、それをつくっていない場合については一定の刑事罰も含めるのかもわかりませんが、サンクションがあり得るという形ではないかと思います。

それから、不招請の勧誘はぜひ、この外国為替証拠金取引については導入していただきたいというふうに思いますし、そういう意味からいうと先ほど私の感じからいうと証拠金取引全体広げることも見定める必要もあるとは思うんですが、やはり立法事実といいますか、現に被害が起こっているということを考えると、少なくとも差し当たってというか、今回は外国為替証拠金取引に限ってきっちりした立法をすべきではないかというふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

田中委員。

○田中委員

先ほどの一部繰り返しになってしまいますが、今いろいろな問題が起きているというのは間違いない事実で、これは何とかしなければいけない。ただ、先ほどの登録制、それから適合性、大森課長の言われたようになかなか適合性原則に照らして行政処分をするというのは非常に簡単ではないということはわかりますが、今何もないところをきちんと、どんどん手当てをしていくことによってカバーできるところもあるわけです。それからあと今後、日本の社会で自己責任原則というものも同時に考えていかなければいけないかと思いますが、そのときに何か問題があるからすべて一つ一つルールで何かを縛っていくということでいくと、どこまでいっても自己責任原則というのが出てきにくいことになります。そのあたりを考えていくと、今日本のルールの中で不招請勧誘というものがないのに何故ここだけ、「急に」という言い方は不適切かもしれないんですが、何故ここだけ出てくるのかなという部分の納得性というものが私はちょっと感じられないということです。

○神田部会長

淵田委員、どうぞ。

○淵田委員

リスクのある商品を販売するということで、最低限、証券取引法で定められているレベルの規制を入れていくというのは、まず基本感としてあると思います。ですからこの2.の業者の適格性ですとか、4.の自己資本比率等の財務規制、こういうのは当然だと思うのですが、3.については証取法など以上の踏み込んだ規制を考えようという話なので、ある意味で無政府状態で大変なことが起きているからということで、証取法を越えた、かなり統制的なところまで一気に振り子を振らそうというような感じをちょっと受けます。

私は少なくとも今起きていることについてはかなり厳しく対処してもいいような気もするのですが、一方で証取法以上に厳しくすることの理由が、ハイレバレッジのものであるからということであると、ではそれ以外のハイレバレッジの商品ってありますよねということになると思うのですね。既にもう一般的に取引されているハイレバレッジの金融取引というのはあるわけであって、ではこっちも同じようにより厳しい規制にしなくてはいけないんじゃないかというような方向で何か議論が進むとしたら、ちょっと危惧されるわけであります。不招請勧誘にしても、私はこれは入れた方がいいようなケースはたくさんあると個人的には思います。

ただ、この辺の議論が今まで日本であまりされてこなかったような気がしまして、やや唐突で、ちょっと議論が尽くされているのかなという不安はあります。

○神田部会長

ありがとうございます。

申しわけありませんが、この問題は今日はここでちょっと打ち切らせていただいてと思います。と申しますのは、ホールセール・リテールのときも1年間議論をして結論が出なかったのですね。ですから、これ1週間で結論を出すのは大変難しいのですけれども、他方で、しかしこの外為証拠金取引についてはルールはつくらなければいけませんので、また個別にご意見は金融庁にいただいて、大森さんの方でもよくご意見を聞いて何とかしなければいけないということにさせていただきたいと思います。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(伸)委員

私はホールセール・リテールのときも委員だったんですけれども、そのときにもこの不招請勧誘の禁止というのはテーマとして出ておりまして、それとプロ・アマ論をやって、金販法では努力義務の販売勧誘ルールにとどまった経緯がございます。今回こういう被害が出てきましたので、私は不招請勧誘の禁止というのは、今回ぜひ取り入れていただきたいと思っています。

投資という、特にリスクの多い投資はその気にさせられてするものではなくて、消費者みずからが情報収集して主体的に判断してやるものだというのが一般的に私どもが消費者教育の場で行っていることなんですね。でも、まだ我が国ではそういう教育を受けていないで、無防備でリスクの高い取引に巻き込まれている方が多いというのが現状でございます。ですので、知識、経験のない人にハイリスクな、特にFXのような勧誘をすることを禁止すればかなり被害が防げると。これはホールセール・リテールのときにもその話は出ていたんですけれども、実際に被害が出ているわけですから、何とかしたいという思いはございます。

また、消費者トラブルの現状を見ていますと、商品先物とか外国為替証拠金取引にしても、ネット取引の場合はクレームが極めて少ないんですね。そこから見ていきますと、やはり取引の複雑さとかリスクの大きさというよりは、悲劇の原因というのは人的勧誘の部分にかなりあるのではないかというふうに思わざるを得ません。ですので、不招請勧誘の禁止を投資サービス法の前に一つのトライアルとしてやっていただきたい。

それからもう1点心配がありますのは、これをかけますと、では対面でなければいいのかということで、広告とか電子メールを使って、またセミナーなどをセットして執拗な勧誘がかけられるおそれがありますので、そこの辺も含めて不招請というのをどうするのか、半歩進めた議論をしていただけたらというふうに思っております。

前回も広告と勧誘をどう切り分けるかで問題提起させていただきましたけれども、例えば広告といっても単純な広告もあれば、商品勧誘のための広告もありますし、商品勧誘も具体的な商品の勧誘のためのものもあれば一般的な勧誘もあって非常にわかりにくいわけなんです。広告にセミナーなんかをセットしていくと、悪徳業者は催眠商法とかいろいろな手法を使ったようなものも考えるわけですので、例えば不招請といったときに何を意味するのかというところは、もう少し詰める必要があるのではないかと思っています。

それから電子取引の場合は被害が少なめだというふうには申し上げましたけれども、今までとこれからは私はかなり違ってくるのではないかと思っています。というのは、インターネットが大衆化して高齢者の方も大分今使われるようになってきておりますし、また業界の方も低廉なビジネス展開ができるということで電子を活用してということになりますと、電子を使って広告とか勧誘というものがまた新しい手法が出てくると思います。それの中には当然ながら不招請と言えるようなものが入ってくるんではないかと思われるんですね。ですので、時間がないところ大変恐縮なんですけれども、不招請勧誘はぜひ入れていただき、半歩進めた議論も同時にしていただきたいというふうに思っております。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

もう常にこれは対立して……。今回のものだけだと何とかあった方がいいように思いますけれども、ほかに波及されるとというような懸念もあるようなご発言の背景もあるように思いますので、これはなかなかやはり決着はつきませんで……。

ついでに今、高橋委員からの非常に重要なご指摘で、これも1年間議論して結論が出ないという広告規制の問題、2ページの一番下なのですけれども、そもそも広告と勧誘が今まで、先ほど大森課長のご説明があったような区分でいいのかというのは、投資サービス法を構想するときには当然考え直さなければいけない部分もあるとは思うのですけれども、もしこの広告規制について、今高橋委員のご意見をいただいたわけですけれども、ほかにございましたらお聞きしたいと思いますが。

島崎委員、どうぞ。

○島崎委員

今の高橋さんのお話、ごもっともな点が多いのですけれども、まず不招請勧誘の規制の問題につきましては、先ほど冒頭に大森課長からお話があったイギリスの例というのがかなり参考になるのかなということで読ませていただきました。

それから、これは必要だということ、さらに規制はこういうかけ方がいいのかなという感じを受けました。

それから広告規制については、過度になると実際に正常な営業のプロモーションまで規制がかかってくるので、そこは非常に慎重に考える必要があるのかなと。ですから事実と違うことを書いて広告するということについては当然禁止されるべきだと思いますが、いろいろな手段を使って云々というところまでは心配はあるかもしれませんけれども、過度にいくとやはり正常なビジネスに阻害要因になってくるのかなと思います。

やはりリアルタイムで電話を受けると、何回も私も経験ありますけれども、催眠状態になってくる。ですから広告であれば見てそこで判断もできるわけですし、一呼吸もあるわけですから、そこのところは分けて考えてもいいのかなと私は思います。

○神田部会長

どうぞ、東委員。

○東委員

先ほどの続きになるような話ですが、広告のときにもやはりはっきりと投資元本を下回るリスクがあるということを、具体的にどうするかという議論は残りますが、たばこの例のように、はっきり広告を見た人が認識できるようにさせておく必要があるのではないかと思います。

○神田部会長

できれば広告についても、多少やはり何かせめて考えたところぐらい、考え方ぐらい示したいと思いますけれども、時間の関係で難しいかもしれません。

すみません、先へ進ませていただきまして、3ページ目です。

これは冒頭からご意見をいただいておりますように3ページに書かれております考え方は、商品そのものを制約しようという考え方ではなくて、商品の内容を情報提供するということだと思います。そして、その情報提供の中でもこれでは多過ぎてちょっとというご意見もありましたけれども、3ページ目についてご意見ございませんでしょうか。

○高橋(厚)委員

先ほども申し上げましたけれども、考え方としてはこういう考え方がいいんじゃないかと基本的に思います。

非常に細かい点1つだけ言わせていただきますと、あるいは細かくないのかもしれないんですが、顧客に書面を交付するということになっているんですが、今いろいろなものが電子媒体でできるという方向で進んでいます。そういう流れの中で、あえてこの商品は書面というお考えで書かれたのかどうか、私はもう電子的な手段で知らせるということで十分対応できるんだろうと思います。

○上柳委員

私の基本的な考え方は、これは単なる説明義務ではなくて、やはりこういうことについて商品設計について一定の制約を加えるべきだと思っています。それをもう一度言わせていただきまして、その上での復活折衝ですけれども、少なくともロスカットルールとそれから証拠金比率については、行政が一定のものを基準を提示できるようにしておいた方がいいのではないかというふうに、実態的な規制をかけた方がいいと思います。

以上です。

○神田部会長

それも消費者向けによる場合の話ですよね、主として。ですから、結論はそんなに違わないと思います、そういう意味で。

私がちょっと1点気がついたのは、私はホールセール・リテールのメンバーではなかったので人づてに聞いていた話なので間違っているかもしれませんけれども、当時、もう一つこういう話で議論していたのは、アフターケア義務とか当時呼んでいたのですけれども、業者は売っちゃったらあとは私は知りませんよでいいのかと。その後、価値が変動することによって顧客が損するか得するかが決まるわけですから、追証とかいうのもちょうど表裏になるとは思いますけれども、その辺のところも、これもあまり義務を課し過ぎると業者にとっての負担にもなりますので難しいところですけれども、ここに一部出ているのかもしれませんけれども、検討事項かなという感じがいたします。

それでは、4ページへいかせていただいてよろしゅうございますでしょうか。前へ戻っていけないという意味では、決してありません。

一番上に書いてある話、顧客と海外業者との取引の媒介を行う業者。

ルールつくっても実効性あるかどうかともかく、しかしつくらないのも悔しいというのがあるような問題なんですけれども、何かご意見ございますでしょうか。

ここは、1つは高橋(伸)委員がおっしゃったようにインターネット取引はあまり苦情はないので、そういうのは特別な人ですよね、インターネット取引する人は。他方、ちょっと私も大森課長のご説明を誤解している可能性もあるのですけれども、その手のものについてはどこにサーバーがあるか知りませんけれども、日本法を適用するよというのが現在の一般的なルールで、向けられた基準と呼んでいますけれども、それは実効性はともかく、そこは建前として譲れない。そういう話だとは思いますので、大体そういう前提でルールづくりができるような感じはいたしますけれども、一番上のパラグラフの問題につきましては……。

どうぞ。

○上柳委員

ぜひこれは必要だと思います。

問題は、業務内容等のところの、これはどの程度説明させるのかということと、どの程度の根拠を持ってさせるのかというところが工夫のしどころだと思いますので、よろしくお願いします。

○神田部会長

よろしいでしょうか。

それでは次に(3)その他なんですが、最初のパラグラフは分別保管の話です。具体的にどこまでやるかというのは非常に難しい問題で、最初に奥野委員からもご指摘があったところですけれども、方向感についてはそれが1つ目のパラグラフであり、それから下の方に幾つか一般的な義務として・があります。先ほどのご説明では、取引一任契約とか両建て取引の禁止というのが一応原案というか、たたき台で出ております。このあたりまとめて(3)についていかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

この点も基本的にこういうことだろうと思いますが、ただ1つだけ、さっき大森課長のご説明があったんですけれども、両建て取引の禁止というのは、非常にこの中で違和感があるんですね。つまり、ほかのところで誤解させてはいけないとか、強制してはいけないとかというのがちゃんとあるわけで、両建て取引がいいなんて決して思いませんけれども、取引の形態をいけないというのは違うと思います。公正でないとか、一任も禁止ということではいいんですが、でき上がった契約が両建てでいけないというのは如何かと思います。ほかのところでひっかかることがあればいけないだろうと思うんですけれども、悪いとすればですね。

○大森市場課長

高橋委員のおっしゃるとおり、行為そのものを禁止するということがこの全体のたたき台の物の考え方からすれば、違和感があるというのはおっしゃるとおりだと思うんです。実際にウェブサイトでそのビジネスを提供している人たちの中には、両建てもお受けしますよと言っている人もいますし、うちは両建てというのはお客様のためになりませんからお受けしませんと言っている人もいて、よくよくこの取引について考えてみると、両建てを逆に売り物にしてお客にとってかえって不利になるというようなことがあるとすれば、ややこの全体からすると例外的かもしれませんけれども、初めからやめておいたらということでもいいのではないかということで提案させていただいたということでございます。

○神田部会長

ありがとうございました。さらに詰めて考えさせていただくということで。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

まさにそこのところなんですけれども、やはり両建ての禁止というのは、いわゆる疑わしい業者さんが言いわけに使うことでもあり、それから経済的にも私はあまり意味がないのではないかと思っていますし、それからいわゆる商品先物取引についての議論からも合理性がある規制だと思いますので、ここはぜひ自信を持って提示していただきたいと思います。

それからこれもくどいですけれども、区別管理についても、区別管理のまさに定義なりあるいはその監督方法が重要ですので、ここもぜひうまく工夫をしていただきたいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。分別保管のあたりは特にご異論はないと思いますけれども。繰り返しになりますけれども、具体的なところはちょっとまださらに詰めが必要です。

そうしますと健全性、4.にいかせていただきまして、財務規制です。

ここでは5ページの一番上の最低資本金規制。行政規制がある限りは何かそういうものがあると思います、その具体的な水準はともかく。

それからカバー取引を行う義務、そして自己資本規制比率という有名なのは銀行の方なものですからなかなかわかりにくいのですけれども、証取法にあるようなものですが、どちらかというとしかし相対のものですから、カウンターパーティーリスクが主ですよね。市場リスクももちろん、背後にはアンダーライング・アセットにはあるわけですけれども。

しかし、いずれにしましてもその3つがポイントだと思いますけれども、いかがでしょうか。

どうぞ、田中委員。

○田中委員

この点は非常に重要だと思いますので、ぜひこれは導入して、なおかつ自己資本規制比率の方も厳格に見ていくことが重要だと思います。

○神田部会長

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

これはひょっとしたら質問なのかもわかりませんが、カバー取引の義務も一定化して、かつ自己資本規制比率も導入すると。何か両立するわけですよね。多分問題は、カバ―取引をどこまで厳格にというのか、それこそ1分1秒、1円までやるのか、もちろん顧客との間の取引と、それからカバー先との取引の間にはタイムラグなりいろいろ取引単位の差とかもあるやに前回お聞きしたので、そこのところのまた工夫が必要だろうと思うんですが、それがしり抜けにならないような工夫が必要だと思います。

ですが、これ両方ともやるという趣旨なんですよね。カバー取引は難しいから自己資本規制比率で。

○大森市場課長

むしろ100%完全にカバーすることを国として強制するというのは難しいだろうということで、業者本人の自己資本規制比率という形で財務のモニタリングをしていかざるを得ないんじゃないかと。ちょっと日本語として非常にわかりづらい書き方になっていて恐縮ですけれども、そういう趣旨でございます。

○上柳委員

そうすると、例えば具体的にはやはり基本的には1日あるいは午前、午後ぐらいでカバーすべきだとか、そういう話になっていくんですか。あと最終売買単位以下はいいとか。

○大森市場課長

ご意見として伺っておきます。

○神田部会長

これはまだこれから詰めようというご意見をいただいて。ですからその辺もできるだけ厳格にカバー取引をするにもかけるべきだというお考えから、ある程度カバー義務をかけておきながら、自己資本規制でも補完的な関係がありますよね。規制自体のコストもあるし、エンフォースメントといった実効性を見るコストもあるし、それから実際の問題もありますね、効果というか。いろいろな業者側にもちろんかかる負担もあるし、ですからそういうことを勘案して詰めていかなければいけないことだと思います。

考え方として、どういう考え方で臨んだらいいのかというところをぜひ御意見いただければありがたいんですけれども。

どうぞ。

○上柳委員

本当に委員なのに他力本願になって申しわけありませんでした。

カバー取引をきちんとさせることが重要だと思います。とはいっても、技術的に一部分残る部分があるので、そこをそれこそカバーするために自己資本規制比率も必要だと思います。

○神田部会長

ほかにいかがでしょうか、よろしゅうございますでしょうか。

どうぞ、斎藤委員。

○斎藤委員

確認ですけれども、要するに基本的にカバーするということが前提になっていて、だけど今いろいろな制約があるから一定のアローアンスをとって、あとは自己資本比率規制で対処しようということなのか、むしろ積極的にネットポジションを持つことを容認しようということなのか、どっちなんでしょう。

○大森市場課長

そこも含めてご意見をいただきたかったということなんですけど。

○斎藤委員

前回参考人で来られた方の御発言の中に、基本的にはその会社の方はすべてカバーしていて、そうでないケースは一種のノミ行為だというご発言がございましたよね。それをどう考えるかということがちょっとひっかかっておりまして、お伺いした次第です。

○神田部会長

本当はまともな業者でしたら、業者自身の判断でそこは適正にすべき場合はカバーするはずですよね、顧客の取引であっても。

○斎藤委員

ただ、完全にカバーしていたらあまりもうかりません。そこはちょっと気になるところですね。

○神田部会長

ですから利益相反の話として整理するのか、リスク管理の話として整理するのかという点がありますね。ここはリスク管理の方で論点が整理されているのですけれども、利益相反の方の話が今のもうけの話と表裏にあるのですよね。ですからやはり両方の観点が恐らく要るのでしょうね、物事の整理としては。

どうぞ、田中委員。

○田中委員

この部分に関しては、個々の企業のまさにリスク管理という観点で、自己資本規制比率をきちっと見ていく必要があります。そうすれば、資本力のあるところでは多少アローアンスをとるかもしれませんし、とることができるようになるわけで、資本力がないところではもう100%実際はカバーしなければいけなくなる。そういう意味では、別にカバーを義務づけなくても自然カバーしなければいけないということで、実態面で安全が担保されるという面では、自己資本規制比率を導入することが良いのではないかなと思います。

○神田部会長

私も言い方が悪かったと思うのですけれども、そういう趣旨で先ほど申し上げたのに対して、斎藤先生のご意見はむしろ利益相反とかそっちの面の問題もあるというので全くおっしゃるとおりだと思いますが、両方の方からそれは整理していただくということでいいかと思います。

ほかにいかがでしょうか。もしよければ5.で、その他のところは特に絶対にご意見を承らないと困るということもないと思いますが、検査についてはこの文章では監視委員会が行うというようなことがとりあえずの現時点でのたたき台の文章になっておりますが、自主規制機関という問題もありますが、難しく議論すると大変ですけれども、とりあえずの感触でもあればお出しいただければありがたいと思います。

どうぞ、高橋委員。

○高橋(伸)委員

自主規制に関して、やはり数年前のホールセール・リテールのときにもかなり議論しまして、当然事業者というのは複数の機関、例えば業界団体などに加盟して信頼性を獲得する競争をするだろうという前提でいろいろなものを考えていたんですけれども、あれから数年たってみますと、特に苦情処理などのところを見ると、事業者が国に規制されるのが嫌だから自主的に頑張ったという形跡が、私は非常に少ないというふうに思っております。

その意味からすると、やはり海外のように国から規制されるのが嫌だから自主規制で頑張るというような風土がないところにこういう文言が出てきますと、役所は事業者の団体でやったくれたら楽だから、というふうにどうしてもとらえてしまうものですから、ちょっとこの書きぶりに関しては、何となく違和感がございます。

私はこの部会所属ではございませんけれども、個社に対して厳しくもろもろのコンプラアンスであるとか、苦情解決であるとかを義務づけると、それに対して個社でやるよりはみんなでやった方がメリットがいいよという形で自主規制の環境が醸成されていくことが望ましいと思いますので、「どう整理するか」という表現に関しては何となく上からの押しつけの感じがしますので、ちょっとそぐわないのではないかなと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

文章の表現についてはコメントありませんけれども、ただ自主規制で、ある程度より高い規制、より高い行為基準なり商品性の基準というのを求めていくというようなことはやはり期待をしていくということが必要なんじゃないかなというふうに思っています。

○大森市場課長

高橋伸子さんのおっしゃったことは一般論としてはわかるんですけれども、ほんの数カ月前から何も業界のことを知らないところから我々仕事を始めていますと、やはり行政の方、あるいは自主規制をやっている方から、この業者はこんなことをやっているみたいな話を教えていただきますと、行政という側から見ただけではわからないこともいろいろと、仲間内であるがゆえにそのやり口がよくわかっているみたいなそんなところもあって、やはり整備するという言葉はともかくとして、現にこの業をやっているがゆえに不適正な取引、あるいは不適格者をどう排除していくかという一定の機能は、こういう取引であるがゆえに大いに期待をしなければならんのではないだろうかという気はしております。

○神田部会長

ありがとうございます。

いかがでしょうか。

それでは、全般についてさらにご発言があれば承りたいと思うんですが、ちょっと私の方で、もしできれば東京金融先物取引所から太田委員にご出席させていただいているので、次のようなご質問をさせていただいたらどうかと感じます。

と申しますのは、最初の方でかなり重要な点ご議論をいただいたのですが、何となく私の感じでは、アメリカで商品先物取引所法というのをつくったときに何か似ているなという感じがするのです。

それはどういうことかというと、あれはバケットショップでこういう店頭物が非常に問題になったわけです。どういうルールをつくったかというと、商品先物取引はもう標準化した上場取引しか認めない。店頭取引禁止ですね、非常に強い。そして上場取引として取引所で取引をさせ、もちろん一般の顧客も含めてですけれども、そこへつなぐというやり方をとったのです。

これはほかの分野から見ると非常に異例なことでもあります。アメリカに非常に特有な、あの国というのは何か問題があるとそこをわっと規制しますから。投資信託も似ていて、問題があったために非常に実体的な厳しい40年法という規制をつくったんですけれども。アメリカの商品先物取引法の歴史というのは、少なくともできたときはそういうものなのですよね。

ですから何か先ほどからのお話を聞いていますと商品自体に問題があるのではなくて、売り方や何かに問題があるのだということを考えていきますと、例えば上場をするという方向に考えるとか、店頭を完全に禁止するというアメリカの商品先物とはまた話は別かもしれませんけれども、そういうこともあり得るのかもしれないとも思いますし、そういうことまでは考えないまでにしても、金先法の改正ということが技術的にも一番近いように思いますので、もしご感触があれば、そのあたりご自由に、今までのご議論についてのご感想でも結構ですので、ご発言いただけませんでしょうか。

○太田委員

私どもの取引所は、今の金融先物取引法のもとでユーロ円金利先物というような大きな先物取引をやっているわけでございますが、先ほど来いろいろなご議論がございますように平成10年に為替が自由化になって以来、自然発生的にといいますか、今日までこういう大きな取引の市場ができてきている。これは金融というのは本来そういうもので自然発生的にいろいろなものが出てきて、それがだんだん成長していくと。貸金業もそういう歴史だったと思います。

それに対して今まで何ら規制もなかったということで、私ども取引所としても、先ほど議論がございましたようにそもそもこの取引は現物取引なのか、金融先物取引として解釈でいいのかという問題もございましたし、明確になっていなかった。

それから、規制の方も金融当局といいますか、金融に限らずどの行政当局も明確な姿勢を示していなかったということで、関心は持っておりましたが、これについて私どもの取引所で上場するというようなことは従来は考えていなかったわけでございます。しかしながら、いよいよ商品のつくり方によっては金融先物取引としてちゃんと位置づけられるし、外国為替証拠金取引を取り扱われる方は金融先物取引業として位置づけるという。しかも、それを金融先物取引法の改正で行うというような動きがございますので、当然ながら金融先物取引の専門取引所であります私たちの取引所が、1つは公的なインフラとしてやはりきちっとやるという社会的使命もございますから、ここまで発展した市場を、マーケットを健全な市場としてやはり整備、育成していくということに関与していくべきではないか。そういう役割を果たす必要があるのではないかという基本認識を持っております。

そこでそういう基本認識のもとに、さて実際これを取引所取引として上場して標準化して非常に健全な、リーズナブルな商品として投資家に投資商品を提供するし、またいろいろな為替のヘッジのニーズにもこたえていくというふうにどうしたらいいかということを今、実は私どもの中の委員会で鋭意検討中でございます。

私どもが上場するとなりますと、当然のことながら信頼性も高いし、利便性も高いし、公正性も高いというような商品にしなければいけない。例えば証拠金の分別管理なんかも、これはもしやるとしますと、投資家ごとに全部日々、損益差金を加減算して管理しているとか、それから出金拒否なんか絶対起こり得ないようにしなければいけない。それからノミ行為といいますか、そういうものももちろん禁止でございますし、実際に自分が損益をしたレートが一体今日幾らなのかというようなこともちゃんと明確になりますし、そういうふうな商品に仕立てなければいけない。

かつまた、現実の皆さん方のニーズにこたえるためには、今私どもはそんな取引やっていないんですが、24時間の取引オープンにしなければいけない、マーケットにしなければいけないというようなこともございまして、非常に透明性の高いものにしなければいけない。そういうことで投資家保護もきちっと確保しなければいけない。

現在私どもの取引所の参加資格というのは、純資産が50億以上の業者に限っております。実際は、金先業の認可は今1億円なんですが、私どもの取引所の参加する方は大変高いハードルを設けている。

そういう参加資格の問題でありますとか、それからまた当然のことながら、私どもの取引所はカウンターになりますから、カウンターパーティーリスクもなくなるということで、投資家保護のみならず、健全な業者の方には大変いいシステムになるんではないかと思っております。現実に幾つかの業者の方々から、ぜひ取引所で上場してくれないかというふうな強い要望もございます。

ところが、2番目の問題としまして、あまり高いクリーンなマーケットをつくりましても流動性の問題がございまして、きれいな水に魚がすまないような状態が来ますと、せっかくこういうことを上場して健全なマーケットをつくろうということが達成できなくなる。ワーカブルでないといけないということでございまして、その辺のハードルの高さと流動性の確保と、そういうところもバランスを考えなければいけないかなということも検討の対象にしております。

さらに、これは私どもの取引所固有の問題でございますが、今のユーロ円金利先物取引は大手金融機関が中心でございますが、もし新しいこういう為替証拠金取引の参加者が入ってこられますと、例えば決済を相互にファイアウオールをつくるのかどうかという問題とか、業者の方が倒産されたときの損失負担を今の取引者にまでお願いするのかどうかとか、いろいろなそういう難しい問題もございまして、その辺も慎重に検討しなければいけないかなと思っております。

ただ、今後は次々と新しい金融商品といいますか、金融デリバティブ商品が当然出てくると思います。それはまさに日本が金融で経済発展させるという趣旨だろうと思うんですが、そういう次から次に出てくる、例えば一般的によくメディアにも取り上げられておりますが、天候デリバティブなんかもいずれ個人の方が扱うようになるかもしれません。こういう天候デリバティブというのは、やはり事業をやっておられる方々のリスクを軽減するという意味で社会的に意義のある商品になるでしょうし、さらに例えば環境問題の将来を考えますと、排出権取引なんかも環境保護の下支えになるときが出てくるかもしれません。それに対して、個人もいろいろな投資商品として取引されるというような状況も今後予想される、もう近々予想されると思いますが、そういう状況がありますので、金融先物取引として位置づけられるような商品については、やはり私どもは社会的な公的インフラとして健全にそういうマーケットを発展させていくという使命があると思いますから、積極的に検討もしていきたい。海外の取引所もそういう方向だと思います。したがって、積極的に検討はしていくというのが基本的な方針でございます。

したがって、るる申し上げましたが、結論としましては、現在のうちのスタンスは、この当審議会での意見の方向とか行政当局の規制のあり方を十分見きわめながら、現在検討中ということでございます。鋭意検討中というのは、前向きかつ慎重にということでございます。

こういうことで、私どもがもし上場できますれば、今こういう論点整理で細かくいろいろな問題点がありますが、こういうものを全部システムとして、一つの商品として解決できるんではないか。こういう取引所での取引を通じて個人の方が例えば取引をされれば、リテールとしてかなりの部分は解消できるではないかという期待も持ちつつ、鋭意検討中ということでございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、もうそろそろ時間なのですけれども、全般的に資料2、論点整理につきまして言い残した点等がありましたらどうか最後にご発言いただければと思います。

それではまず田島委員、それから淵田委員の順番にお願いします。

○田島委員

外国為替証拠金取引規制については、個別立法をされるんだと思っておりましたので、金融先物取引法の改正で対応されるということでちょっと驚いたことなんですけれども、早急な対応が必要とされていることでこれが一番手っとり早い方法であれば、これでやるのはいたし方なかろうというふうに思うところでありますが、ただその場合に金融先物取引法の法体系に縛られた枠の中での対応ということにならないようにしていただきたいという気持ちはございます。

と申しますのは、業者の行為規制違反について行政処分にとどまることではなく、違反行為によって損害が生じた場合の損害賠償の問題とか、あるいはそもそも契約の取り消し権を認めるといったようなこともきめ細かく検討した上で立法をお願いしたいというふうに考えております。

○神田部会長

ありがとうございます。

淵田委員、どうぞ。

○淵田委員

外為証拠金取引の問題の一つの教訓というのは、こうやって金融先物取引法の改正を行うのが適当という結論だけでいいのかなという気持ちもあります。

というのは、やはり教訓として最初の防衛ラインとなるべきだった金融商品販売法、これが機能しなかったと申しますか、一般事業会社等が行う外為証拠金取引については、平成16年4月になってようやく対象となったということでありまして、本来であれば当然金融商品として何らかの意味で、当初より網にかかっていたという姿が望ましかったのではないかと思うのですね。これはやはり金融商品販売法を議論するときの金融商品の定義、本来であれば非常に広い定義がありえたたと思うんですけれども、実際にはかなり限定的なものに仕上がってしまったというのが尾を引いているのかと思います。

特に、もし今回、本日議論になった卵まで含めるかどうかわかりませんが、外国為替等ということになるとしたら、将来的に金融商品販売法の対象商品の位置づけももう少し広目に直していくのが望ましいのでないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、高橋委員。

○高橋(伸)委員

金融先物取引所の方に確認という形でお願いしたいんですが、実は金融トラブル調整協議会の方に金融先物の業界団体の方が参加されています。金融先物に関してはいわゆるアマを相手にしていないのでほとんどトラブルはないですということでご説明をいただいているんですけれども、このFXが入ってくるということは、そこの参加業者がリテールでいわゆる一般消費者を相手にご商売をなさるということだと思いますので、当然ながら先ほどの自主規制ではないですけれども、苦情、紛争、解決に関してはそれなりの高い精度をつくってくださるところまでご検討いただいているのかどうか、確認なのですけれども、よろしくお願いいたします。

○太田委員

そこのところは実は私が直接お答えできる立場に本来はないんですが、当然のことながら、しっかりした自主規制機関は必要だと思います。ただ、今の金融先物取引業協会がそれを十分担えるのか、またその今の金先業界だけが自主規制機関として適当なのか、そういったいろいろな問題はまさに私ではなくて行政の方でご議論いただければいいと思いますが。

ただ、現実問題として、私は違う組織なんですがちょっと申し上げますと、今の金融先物取引業協会はたった9人でございまして、私どもが仮に上場したときに上場した商品を取り扱う業者に関するトラブル、そういうある程度優良な業者に限られますと金先業協会でもマネージできるかもしれませんが、一般のOTCの膨大な業者の方、もしそういう方々についてまで果たしてどこまで対応できるのかという現実の問題もございますし、その辺は財務局、それから監視委員会とかいろいろございますから、その辺との兼ね合わせでどういうふうな体系を構築されるのか、それはまさに一番実は行政の、私が言うのも変ですが、難しいところではないかなと思っております。

○神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。非常に重要な点です。

まだまだご議論をいただかなければいけないと思うのですけれども、予定の時間も過ぎておりますし、今日も2時間半お願いしましたので、このあたりということにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

それで今後なのですけれども、今日はご欠席の委員もいらっしゃいますので、ご欠席の委員のご意見も事務局の方でよく聞いていただく必要があると思いますけれども、できれば今日いろいろご意見いただいたものをベースに私の方で事務局と相談して報告書の案をおつくりしたいというふうに発言する予定になっていたのですけれども、ちょっと案まで出せるのかどうか。1年議論しても結論が出なかったようなところにもかかわる問題も多数ありますので、外為証拠金取引だけであれば何とかご提案程度はできると思うのですけれども。ご賛同いただけるかどうかは別として。それはやはり中長期的な視点の中でやらなければいけないということもあります。なかなか難しいと思いますけれども、そうもいっても何度も議論すればいいというものでもないと思いますので、限られた時間制約の中で何らかのたたき台を、報告書の案めいたものをお出しするように努力はしたいと思います。事務局の方でも先ほど打ち切った論点を含め、個々に委員の先生方にご相談に上がることもあると思いますので、その際にはご協力いただければ大変ありがたいと思います。

いずれにしましても、社会問題になっている分野であるということは否定できない事実だと思いますので、当然何らかの対応は必要で、この審議会の所管の範囲内ですべきことは迅速にするということが大事だと思いますので、そういうことで非常に時間が限られておりますけれども、そういう対応を考えたいと思いますので、ご協力をいただければありがたく存じます。

そういうことで、また次回お集まりいただくことになることとさせていただければと思います。

本日はこの後記者会見を行いまして、本日の模様等につきまして私の方から簡単にご紹介をさせていただきます。

事務局の方からのご連絡、よろしくお願いします。

○大森市場課長

ご連絡してあると存じますけれども、次回は6月23日水曜日、午前という日程で開催させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

本日の続きと、今日ちょっと岩原先生いらっしゃいませんけれども、ディスクロ・ワーキングの方の報告がまとまればその議論、さらには時間があれば次期事務年度における当部会の検討課題といったことまで含めてお願いできればと考えております。

○神田部会長

1週間後なのですけれども、すみません。そういう状況にありますのでどうかよろしくお願いいたします。

それでは、今日はこれで散会させていただきます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る