金融審議会金融分科会第一部会(第25回)議事録

平成17年2月8日

金融庁 総務企画局

午前10時00分開会

○神田部会長

おはようございます。まだ若干遅れて来られる方もいらっしゃるかと思いますけれども、時間になりましたので始めさせて頂きます。

本日は、金融審議会金融分科会第一部会の第25回目の会合になりますけれども、その会合を始めさせて頂きます。

皆様方には、いつもご多用のところお集まり頂きまして、ありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議は公開となっておりますので、この点をまずご了解頂きたいと思います。

それから、議事に入ります前に、2月2日に行われました金融審議会総会におきまして、金融分科会の下に引き続きこの第一部会を設置することとなりました。また、堀内金融分科会会長から、私、神田が第一部会長のご指名を受けました。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

そこで、第一部会長代理には引き続き私から淵田委員をご指名させて頂きたいと思いますので、一言申し上げます。

本日ですけれども、委員選任後初めての第一部会ということになりますが、多くの方は継続ということかと思いますけれども、メンバーにつきましてはお手元に名簿がございますので、お手元の名簿をご参照頂くということにさせて頂ければと思います。今後はこのメンバーにてこの第一部会のご審議を頂くことになりますので、引き続きどうか活発なご審議をよろしくお願い申し上げます。

それでは、カメラはここまでということで、退出をよろしくお願いします。

それでは、本日の議事に移らせて頂きます。本日は、前回は時間がほとんどありませんで議論ができませんでした「規制内容について(2)」というものを中心に、ご議論をして頂きたいと思います。事務局にはその先も準備して頂いていまして、その次に「集団投資スキーム(ファンド)について」という資料も用意して頂いておりますので、時間があるようでしたらこの集団投資スキームの方の議論にも進ませて頂きたいと思います。

それでは、お手元の議事次第に従いまして、まず事務局から「規制内容について(2)」についてのご説明をお願いします。

○大森市長課長

資料そのものは前回一通りご説明をいたしましたので、前回のご意見を踏まえて若干補足をさせて頂きたいと存じますが。

この第一部会は、長くお願いしておられる委員の皆様にとっては証券取引審議会の延長で、市場の制度は事実上ここで議論をして決めていくわけでございますが、ただいま部会長からご紹介がありましたように、現在、形の上では、金融審議会総会の下に分科会があり、その下に各部会が位置づけられるという三段重ねの構成になっておりまして、先週の総会兼分科会で当部会に関係する議論がございましたので、まず簡単にご報告をさせて頂きます。

1つには、金融システムというか制度の国際的な設計競争という視点で、先般さわりだけご紹介した改革プログラムの利用者利便を巡る記述がややナイーブではないかねというのに近いようなご意見とか、あるいは、現在の日本は制度間競争に劣後しているというご意見を頂きました。業者や取引所が国境を越えて活動をし、競争するのは当然ですけれども、一国の制度に不備がありますと利用者が不便ということにとどまらず国益を損なうという認識は私どももビッグバンのころから持ち続けているつもりですし、この投資サービス法という議論の出発点でもございます。

前回申しましたように、投資サービス法という議論は資金の出し手である投資者保護という観点からとらえられることが多いですが、出し手がいれば当然受け手もいるので、出し手と受け手をいかに円滑につないでいくか、そして、その仕組み・制度を日本の金融システムひいては実態経済においていかに有効に機能するように設計していくかという多角的な検討が必要だと思います。議論を始めるときにこの法律が日本の資本主義の基本法になってしかるべきだというようなことを申し上げましたが、かつては金融制度的にも日本の真似ばかりしておりました韓国がいつのまにか総合取引法なんていうものをつくっているのを見ますと、行政としては制度間競争という視点はいつも念頭に置いておく必要がございます。

一方、まだまだ業者行政を脱却しておらず消費者志向が不十分であるとか、消費者にとっての金融問題は投資分野に限られないといったご意見も頂きました。前者は、霞ヶ関の一般論としては、まだまだそのとおりだと思います。例えば原委員や高橋伸子委員はいろいろな審議会に参加をしておられるのでしょうけれども、事務局というのは大概業者と調整して落ちを決めてから全体の結論をそこに誘導しようとしますので、事務局にとって原さんとか高橋さんはいつだって最後に黙らせるべきおばさんという存在になるのですけれども、仮に当部会もそういうように運営していたとすると、恐らく先般も不招請勧誘の禁止なんていう結論にはなっていないのでしょうし、そもそもこの1年半で私どもから調整の結果こうしたいのですがという根回しを委員の皆様は受けたことがないはずでございます。高橋厚男委員はかつての私の上司なのですけれども、そういう人間関係にあっても水面下の根回しはいたしませんで、公開で行うこの場の議論がすべてでございます。私どもも中立な行司役を装うということはしませんし、金融制度は消費者保護という観点からのみ議論すべきものだとも思いませんけれども、業者の都合より消費者の都合が優先することぐらいは認識しております。

その意味で、後者の、なぜ投資サービス法かという論点はこれまでも何度かご意見を頂きまして、特に前回この投資サービス法という議論の構造を、機能別に高精度の横断化を図るとともに、この際、機能そのものについてもあわせて見直していこうという構造についての認識が委員によって若干異なっているように感じられましたので、もうちょっとだけお時間を頂いて議論を深めるための整理を試みたいと思います。

銀行法、証取法、保険業法というのが金融の三大業法で、それぞれ今国会で所要の改正案の準備をしておりますが、これらの業法は、銀行、証券会社、保険会社という業態の属性を規定しているというよりは、銀行業、証券業、保険業という金融サービス業の機能を規定していると言う方が正確でございます。ですから、銀行が投信を販売するとか、株式社債を含む証券仲介を行うのは銀行法ではなくて証取法の問題になりますし、同じく銀行が保険を販売するのは保険業法の問題でございます。どの名前の金融業態あるいは一般事業会社であっても、証券業を行うなら証取法、保険業を行うなら保険業法に規制をされております。

エンフォースメントの実務の話で恐縮ですが、私どもの監督局には、銀行課、証券課、保険課というセクションがあって、これも一見それぞれ銀行、証券会社、保険会社という業態の監督をしているように見えるのですけれども、銀行法、証取法、保険業法に基づくエンフォースメントを担当していると言った方が正確でございます。したがって、仮に銀行や保険会社がリスクの説明もせず適合性原則を無視して投信を売りまくるなんていうことがあれば、摘発するのは監視委員会で、行政処分を行うのは証取法の執行を担当する証券課ということになります。現実にはそこまで相互乗り入れしてルール違反をするといった事態にはなっていませんから、業法やそれに基づく監視体制が機能別に構成されていることも目立たないだけでして、現在でも異なる業法に基づく業務を行えば複数のセクションから監督されますから、明らかに複数ではあるが重複はしていないということでございます。

かつてビッグバンのころ、前回申し上げた証券業の専業義務の廃止を証券取引審議会で検討しておりましたら、私は事務局だったものですから、生保協会の会長会社さんが来られまして、我々はそっちに行こうとは思っていないのでこっちに来ないでくださいと言われたことがありましたけれども、それは証取審ではなくて保険審議会に行きなさいと言いました。石橋委員の名誉のために申し上げると、日生さんではなかったと記憶しております。証券業とは原則専業で行うべきものかどうかというのは証取法の問題ですが、専業でなくてもよいとした結果、保険業をどこまで行えるかは保険業法の問題でございまして、今回の貯蓄から投資に向けた基本的な制度基盤としての投資サービス法もこうした構造を徹底するものではあっても変えるものではないと思います。既に投資サービス法を先取りして最近に限っても監視委員会の守備範囲は広がっておりまして、これまで部分的にしか見てこなかった証券会社や取引所の財務であるとか、全く見ていなかった投信投資顧問、SPC、証券金融など、すべての市場仲介者、金融機関を含む証券仲介業者、投信を売る郵便局、外為証拠金業者、さらには開示している発行体といった具合ですけれども、投資サービス法のもとでは、およそ投資サービス業者であれば監視委員会が摘発をし、この投資サービス監視委員会の事実認定に基づく統一的なエンフォースメント体制が形成されるということではないかと思います。

こういう感じを実は持っていたものですから、前回の最後の池尾先生のご意見で、統一的なルールが形成されれば具体的なエンフォースメントは委任などにより分担しても差し支えはないのではないかというご意見だったと思いますが、ちょっと虚を突かれたような気がいたしまして、恐らく池尾先生は霞ヶ関とのつき合いも長いですし、大風呂敷を広げて収集がつかなくなるケースも見てこられたので、助け舟を出して頂いたということではないかと感じましたが、仮に直ちに完全な統一的ルールというものが形成できないとすれば、むしろエンフォースメント体制の方を委任などにより一元化していくのではないかというイメージを持っていたわけでございます。

こう言うと何か役所間の縄張り争いでいよいよけんかを売り始めたように聞こえるかもしれないのですが、そもそも投資サービス法において役所間の問題というのはそんなに大きなウェートを占めるものでもないと思いますし、仮に役所がまたがっていても、現在、経済産業省や農水省で所管しておられる事業を好き好んで金融庁が取り込みたいわけはないのであって、現に外為証拠金取引というのを所管したところで頭痛とめまいぐらいしかもたらしておりませんが、ただ、国としてはだれかがやらなければならないし、それ以外の投資商品サービス業全体を国の制度としてどう規定していくかということでございます。この統一的なルールとエンフォースメント体制の順序を仮につけなければならないとしてですけれども、これを決めないと先に進めないといったことではありませんが、前回ややというかかなり気になった部分ですのでご意見があれば頂きたいと思います。

そして、消費者にとっての金融問題は投資分野に限られないというのはまさにそのとおりであって、銀行業とか保険業という金融サービスの消費者への提供の仕方に問題があるならさっさとその業法を直せばいいということだろうと思います。かつて金融サービス法の議論を始めて金融商品販売法が生まれたのは、異なる業法を機能別に横断化しようとすると法制としては入口の販売部分しか横断化のしようがなかったという論理的な帰結であって、アメリカに金融サービス法という発想はないのに、アメリカ型の業態の役割分担法制を持っている日本がそれを見直してユニバーサルバンクに転換するということを決めたわけでもないのに、大きな構えで議論を始めたので、やや尻つぼみのような印象を与えてしまったのではないかと思います。当時と比べ現在では、横断化の範囲をすべての投資商品及び投資商品を提供する投資サービス業にまで拡大することが可能かもしれないし、また、必要になってきたということでこうした議論が行われているのだと理解しております。

すみません、長々と申し上げました。

資料は、前回はほとんど時間がございませんでしたが、頂いた意見を見え消しで取り入れておりますのと、資料1の5ページにエンフォースメントのあり方を追加しておりますのは、これ自体は大きな論点ですから後日改めて議論をお願いしたいと考えておりますが、現在の監視委員会の体制、機能、自主規制、業者自身のコンプライアンスといった問題は前回の続きのルールそのものと不可分な関係にありますからあわせてご意見があれば頂きたいのと、もう1つは昨年末に決めて頂いた課徴金の強化、継続開示への拡充という作業でやや壁に当たっているところがございまして、それを今日はまず開示参事官の方から説明をして頂くその導入という位置づけでございます。

では、引き続きお願いします。

○池田企業開示参事官

それでは、今、大森課長の方からございました、昨年、12月24日の当第一部会の報告でご提言を頂きました継続開示義務違反に対する課徴金の導入につきましての現在の私どもの検討の状況について、状況を報告させて頂きたいと思います。

昨年、12月24日の第一部会報告では、現在、ディスクロージャーについては発行開示だけが対象となっております課徴金制度について、我が国においても継続開示義務違反を課徴金制度の対象とすることは明白であり、このための法制面の詰めが早急に進められるべきであるというご提言を頂いておるところでございます。

資料の方は1-7という資料をお配りいたしておりますけれども、この1-7の資料の1枚目は全体的な資料でこの場でもご議論になった部分でありますけれども、2ページ目をご覧頂きますと、「継続開示書類の虚偽記載に対する課徴金について(案)」という紙をつけてございます。この資料に書かれておりますことは、この第一部会の報告を頂いて、現段階で金融庁が考えている継続開示義務違反に対する課徴金制度の概要を紙に落としたものであります。

ポイントをご説明させて頂きますと、証券取引法の課徴金制度、1に概要が書いてございますが、この2番目の○でございますけれども、現在の証券取引法上の課徴金における課徴金額というのは、違反行為の抑止に必要な水準として、ポイントとして、違反行為により生ずる経済的利得相当額ということに設定をされておりまして、この経済的利得相当額と設定することによっていわゆる刑罰との二重処罰の問題が生じないという、これは独禁法上の課徴金を巡っていろいろ議論されてきた法律の整理をベースに、経済的利得相当額と設定することでこの二重処罰の問題を克服しているというのが現状の制度でございます。この制度を前提として報告でご提言を頂きました発行開示の制度を継続開示に広げようとする場合にクリアしなければなりませんのが、この継続開示書類の虚偽記載によって生ずる経済的利得が何であって、それをどういうふうに計るかという問題を克服する必要が生じてくるわけでございます。

それで、2の1番目の○でございますけれども、この継続開示書類の虚偽記載によっていろいろな利得が生じてくるということは第一部会の報告でもここに掲げられているマル1マル2マル3というようなことで指摘を頂いておるところでございます。このうち、これを定量化していく必要が生じるわけですが、例えばこのマル2の中の、レピュテーションの上昇に伴う人材確保の容易化というようなことが書いてありますが、こういったものはなかなか定量化は難しいのだろうと、それから、マル3についても、こういう流動性が確保されるということによって生じる利得というのはなかなか計算が難しいということがありますけれども、逆に、このマル1にあるような、格付けの上昇による借入コストの低下ですとか、マル2の前半の方で、レピュテーションの上昇に伴う取引の拡大、こういったものについては一定の定量化が可能なのではないかというふうに考えてございまして、次の○のところにありますけれども、例えば格付け上昇による借入コストの低下については、格付けが一段階上昇した場合の資金調達金利の平均的な低下率といったものを使うことによって、こうした利得の株式時価総額に対する割合を算出することは一定的に可能なのではないかと。同様に、取引の拡大についても、上場前後の売上の平均的な上昇率を用いることによって利得の額を算定することは一定的にできるのではないかと。

こういったことで、この2つの利得を加えたものをある程度定量化が可能な経済的利得ととらえることができるのではないかと。こういう考え方に立って整理をいたしますと、課徴金額としては経済的利得相当額ということで、それは虚偽記載時の株式時価総額に今求めたような割合を掛け、それに虚偽記載の継続年数をさらに掛けると。現在の課徴金制度では除斥期間は3年になっておりますから、これは3年が限度という形になろうかと思いますけれども、こういった形で経済的利得の算定は一定程度可能なのではないかというふうに考えております。下に発行開示の場合のルールを参考に書いておりますけれども、社債の場合は発行額の1%、株式等の場合は発行額の2%、結論的にはこういうルールになっているわけですけれども、継続開示書類の場合もこの株式時価総額をベースに一定率を掛けることによって課徴金額の設定は可能ではないかというふうに考えているところでございます。

現在の状況としましては、金融庁としまして、現在、こういった案を内閣法制局の方にもご説明をし、法制面の詰めの作業を行っているところでありますが、これに対しましては、今申したような継続開示義務違反によって生じる利得というのは極めて抽象的、間接的であって、利得があるとは言えないのではないかといった指摘を頂いているところであります。これに対して私どもの方からは、発行開示の場合は資金調達という行為が伴いますので、利得の発生がより直接的に見えるということはあり得るといたしましても、結局その利得の大きさを測定する場合には統計的なデータを用いて算出するということにならざるを得ないのは現在の先ほどのことと同様でございまして、本質的に継続開示の場合と変わらないのではないかということを申し上げているところでございますけれども、必ずしも現段階でご理解を頂けていない状況であるということでございます。

それから、もう1つ、会社に課徴金を科すと結局のところ本来保護すべき株主の負担になってしまうのではないかといったご指摘も頂いておりますが、この点は発行開示義務違反に対する課徴金の場合にも存在している論点でありまして、発行開示と継続開示との間で基本的な差異はないというふうに私どもは考えているところであります。発行開示の場合でも結局は株主の負担になるという面はあるわけですけれども、会社の行為が取引の構成を害しているとすれば、この会社をコントロールしている株主にも一定の責任があるということは言えるだろうと思いますし、また、そもそも課徴金というのは違反行為を抑止するための制度なので、その導入により不適正なディスクロージャーが起きないようにすることによって、潜在的な投資家も含めた投資家全体の利益を保護するという目的で違反行為を抑止しようという制度であるというふうに理解をしているところでございます。

第一部会報告を受けました私どもの現在の法制面の状況は以上のような状況でございますが、金融庁としては、引き続き金融庁の考えについての説明に努め法制化に向けていきたいというふうに考えているところでございまして、引き続き委員の皆様のご支援を頂きたいというふうに考えているところでございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ここで一たん切って、ご議論を頂きたいと思います。あと、冒頭申し上げましたように、時間があれば次の資料にあります「集団投資スキーム」の方にも入りたいと思っています。

今ご説明頂きました大森課長からのご説明と池田さんからのご説明ですけれども、全体についてご質問等があれば最初にお受けしたいと思うのですけれども、今日ご審議頂くものは順番にやらせて頂いてはどうかというふうには感じておりますけれども、よろしいでしょうか。

○東委員

虚偽記載の件についてよろしいですか。

今お話し頂いた件なのですけれども、実効性で多少心配があると思います。といいますのは、格付けによる負担増なりそのメリットの額の問題が1つ、もう1つは、発行体が経済的利得を得たという裏側には投資家の損失があるわけですので、両者のバランスが悪いのではないかというふうに感じます。ですから、そういう意味では、1%、2%という議論と同様ですけれども、どれだけ掛目をつけるかということはなかなか難しいのですが、何らかのルールで時価総額の減少分に対して掛目をつけるというような、むしろ投資家サイドに立って、損失をどこまで反映させるかという視点も必要なのではないかと感じました。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

どうしましょうか、今の点を先に議論してもいいのですけれども、あまりこだわらなく、また今の点についても後でまとめてご議論頂くかもしれませんけれども、もし資料についてのご質問等がなければ。大きく言って3つのパートに分かれると思うのですけれども、資料1、そしてその参考資料として1~7までがあるのですが、その前置きになる部分というか、大森課長がおっしゃった、今なぜ投資サービス法かという、そこで言う機能的アプローチというものの持つ意味の確認みたいなところがあったかと思います、それから、2つ目がこの資料1に挙がっておりますものであります。ただ、資料1をご覧頂きますと、さらに、「1.規制の枠組み」、「2.行為規制などのあり方」、「3.エンフォースメントのあり方」とありますので、ここも順番にご議論頂いてはどうかと思います。それで、最後に池田参事官からお話がありました点は、投資サービス法の課題であると同時に、今目の前にもある課題という、そういう投資サービス法に行くまでの間にも解決しなければいけない課題として昨年末に提言を、ここで報告書をまとめて頂いたのですけれども、ちょっとそれの作業が難航しているというお話で、その点についてもあわせて皆様からご意見を頂ければと思います。そういうことで、前の方から行ければと思いますが。

原委員、どうぞ。

○原委員

大森さんからの発言がございましたけれども、せめてお姉さんと言ってほしかったなというふうに思っておりますが、いつも最初から最後まで発言しておりまして恐縮ですが。

この課徴金についてなのですけれども、ちょっと1-7となっているので時間が押してくると発言の機会を逸する――逸することはいつもないのですけれども、先に述べさせて頂きたいと思います。

実は私はワーキングにも所属をしておりまして、議論・検討に参加させて頂いているのですけれども、課徴金というのはやはり有効な措置だというふうに考えておりまして、発行時に引き続いて継続開示についても導入をぜひ図って頂きたいということで、そこは皆さん一致をしているところです。今日の資料を見ましても、海外でも継続開示について記載は課徴金を科すということになっていますので、海外はどういう経済的利得の計算というか算出をしているのかというところと、それから、素人の目で見ても、2枚目の2のところに幾つかの経済的利得の算定根拠というのが書かれているわけなのですけれども、なかなかその利得を探し出してくるところは大変なようには見えるのですが、実際に虚偽記載をして、投信にしろ、見せかけ、よく見えるということは、やはり顧客を大変そこに誤認誘導しているということで、非常に私としては、儲かっているという状況になるわけなので、法制局の方の経済的利得は発生していないのではないかという論理には全く納得できないというところですので、ぜひ工夫をして、海外の状況も調べられて、ここはぜひ突破をして頂きたいというふうに思っております。

消費者側としてはもうこれ以上の段階を考えていて、不当利得の吐き出しですとか、懲罰的賠償の考え方というようなところまで視野に入れているわけで、今日の午後も独禁法改正を今国会でということで消費者団体が集まって大きな集会を予定しておりますので、ぜひその場でも問題提起ということをして、今国会での成立というのを目指して頂きたいというふうに思っております。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございます。

それでは、1-7が出ましたので、できればこの1-7を先にご議論頂ければと思います。

島崎委員、高橋委員の順で、島崎委員、お願いします。

○島崎委員

2つ質問というか確認があります。

ここの継続開示書類の記載によってマル1マル2マル3のそういう不当利得というか事態が発生すると。ここの継続開示の虚偽記載によってこのマル1マル2マル3が起こったかどうかというこの因果関係をどういうふうに確認するのかという点が1つ。

それともう1つ、さっき原委員からお話がありましたけれども、懲罰的な課徴金というか抑止力という観点からした場合に、どのぐらいの負担になるのかという具体的な数字をもってお話し頂くとわかりやすいので、今、私が説例を言いますので、それでちょっと計算したらどうかと思うのですが。

例えば時価総額が1兆円の会社で、負債が3兆円あると、直接金融で1兆円で、間接金融で2兆円、この会社が継続開示虚偽記載によって格付けが2ノッチ上昇したとした場合に、この計算式でいったら、最大3年ですか、株式2%ということになりますと、その会社はどのぐらいの金額になるのかちょっと説明して頂くと割とわかりやすいかなと思うのですけれども、何か計算したものがあればちょっと教えて頂ければと思いますけれども。

○神田部会長

ありがとうございます。それは、高橋委員にご発言頂いてから、必要な範囲で事務局の方でもしやれることがあればお願いしたいと思います。

○高橋(厚)委員

私も課徴金の話なのですが、法制局と今は難航していると、特に経済的利得をどう把握するかということだということで難航しているというご説明がありました。まさに原委員がおっしゃったように、この課徴金の制度というのは一体何なんだということを考えますと、市場の信頼をどうやって回復するかという大きな問題に対応した、特に一般投資家が安心して市場に入ってこられるための措置ということだったかと思います。そうだとしますと、投資家が損害を受ける、あるいは期待はずれになるというようなことを回避するということがこの課徴金の最大の目的だったかと思います。

そういうふうに考えますと、発行開示と継続開示では何ら違うところはないと思います。投資家のサイドに立ちますと、発行開示と継続開示では何ら違いはないというふうに思います。もちろん法制でありますのでそれが経済的利得ということで説明できるということは必要だと思いますけれども、経済的利得を計算することが本質ではなくて、そういう説明のもとに継続開示においても発行開示とバランスのとれた制度を導入するということこそ投資家の市場に対する信頼回復という要請にこたえられるのだというふうに思います。もちろん、今、島崎委員がおっしゃったような点はいろいろ試算して法制局と戦って頂きたいと思いますけれども、本質は発行開示と同様の信頼を投資家に対して回復するということにあるということで、ぜひ法制局に対する説得を続けて頂きたいというふうに思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

今まで出されたうちで事務局の方でもしご発言があれば。

○池田企業開示参事官

いろいろご指摘を頂きまして、原委員からありました海外ではどうしているのかというところですが、我々も当然に海外のことは調べているのですけれども、正直申し上げて利得が何かというような議論がはっきりと論じられているようなものというのが存在しているわけでは必ずしもない状況なのです。したがって、すぐにそこのアイデアから何かを持ってきて今のようなところが詰めれる状況ではないと思っていますが、ただ、先ほど高橋委員からもありましたけれども、この部会でもご説明をし、第一部会報告にも記載をされていますけれども、米、独、仏、英それぞれにおいて、少なくとも発行開示と継続開示で考え方に差を設けているという例はないというのはご指摘のとおりかと思っております。

それから、島崎委員からあった具体的な数字ということでありますけれども、この辺については、結局、統計的データをとるにしてもどの数字を使うか、それから、先ほどありましたけれども、掛目みたいなものを使うのかどうか、そういったものによって変わってまいりますので、現時点において具体的水準について法制局の方と詰めた議論が進められる状況になっているということではございません。統計データをもとにそこで整理をするということになれば、数字的なものは、データのどこの数字をとるかというところは詰めていく必要がなおあるということだと思いますので、現時点でお尋ねの点について確たるどの水準になるという状況に相談が進んでいるという状況ではないということを申し上げます。

○神田部会長

ありがとうございます。

この1-7についてはいかがでしょうか。

小島委員、黒沼委員の順番でお願いします。

○小島委員

私は初めてこの会合に出ます。かつていろいろな審議会に顔を出したことはあるのですが、非常にフランクな議論で驚いています。それはエスプリ豊かな大森課長の個人的資質によるものか、あるいは霞ヶ関全体の空気が変わったのか、内心大変関心があることですが、大変感銘を受けております。

課徴金のことについてこれまでの皆さんの議論を知らないので、あるいは不規則発言になるかもしれませんが。ちょっと考えますのは、例えばこれは超ミクロで議論してはいけないと。要するに、企業が虚偽の報告で情報を開示して利得を得たと、それをどうするかということも1つありますが、これは1件、2件ならいいけれども、こういう事件が継続して、しかも数が多くなりますと、先ほど高橋委員がおっしゃったように、システムそのものに対する信頼、システムというか公共的なインフラに対する信頼そのものに対する毀損が生ずるわけですね。むしろそれが一番の長期的に制度の重要な問題だと思うんですね。そうだとすると、そういうものが抑止できるのはどうなのかと。ミクロで得た経済的利得に対応してそれを後で取り戻す、奪い返すというのだったら、これはひょっとしてこういうことをやってもばれないかもしれない、ばれなくて利得を持っている人もいるかもしれない。あるいは、やって、ばかなやつで利得が得られなかった、しかし虚偽のことはやったというケースもあるかもしれません。しかし、そういうものが繰り返し起こるということが仮にあるとすれば、それはシステムに対する信頼を毀損するというよりももっと高次の重大な影響があるので。ですから、積み上げてきな技術的な計算ということで法制局と議論をするのではなくて、やはりこのシステムの1つの理念とかそういうもので、同時並行でそういうものを重視する必要がどうもあるのではないかと。

あらゆる市場制度というか民主主義もそうですけれども、虚偽の情報を出して選挙民を誘導する、これは民主主義という制度そのものに対する犯罪であって。例えば学歴詐称で辞めた代議士もいますね、これは、本人の利得と、それからどうなるかということもあるかもしれませんが、制度そのものが民主主義そのものである。それから、裁判における偽証罪というのは、みんな不利だったら黙秘権があるわけで、それ以上にそれを意図的に偽証して損害を与えるということに対しては処罰が厳しいわけで。アメリカの場合は、インサイダーの取引で得たその10倍、20倍の処罰を受けた証券会社のトップもいたんですよね。それは抑止ということで効果がある。

なぜ抑止をしなければいけないか、それはシステムに対する基本的な信頼が揺らいだら、要するにそれは特定の投資家であり特定の企業の問題を越えたその国のあり方、制度そのものの根幹であって、恐らくこれから、銀行関係もそうですが、金融面でのいろいろな犯罪というのが非常にふえる時代です。人を殺したり刑事的なそういう単純なやつは因果関係がよくわかるので、厳しい処罰も多くあったり、議論は比較的これまでの積み重ねがありますが、新しい形のこういうシステムに対する犯罪というような影響が結果的に出る問題に対しては、1つの理念をしっかり議論して、その中で技術的に計算ができるかどうかと。現実に利得がなかったとしても、それは罰するべき問題ではむしろないかというように個人的には感じているのですが、世論というのはいかがでしょうかね。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、黒沼委員、どうぞ。

○黒沼委員

この問題は既に第一部会で報告が出されておりまして、手を離れた問題とも言えるのですけれども、せっかくですから一言申し上げたいと思います。

課徴金額が違反行為によって生ずる経済的利得相当額とされていることについては、私はなお理論的には不満を感じるところであります。今日のご説明では、二重処罰の問題をそれによって克服しようとしているんだという説明がなされておりましたけれども、諸外国の例を見ても経済的利得相当額を超える制裁金を課している国もあるわけでして、そこでも二重処罰と抵触しないとされていることは過去の第一部会における審議過程でも資料等によって明らかにされているところであります。ですから、この点はそもそも問題にはならないはずです。

それから、経済的利得相当額にこだわるべきではないという点は高橋委員のご発言のとおりでありまして、違反行為の抑止効果を考えるならば、それを超える額を課すべきであるというスタンスは当然であろうと思います。

課徴金を課すと株主の負担になるということですが、株主の利益と投資家の利益が対立し得ることは実は幾らでもあるわけでして、その場合に、今回は投資家の利益を保護して、それによって継続開示制度の信頼性を確保しようという政策判断をしたわけですから、これも特には問題にならないと思います。

蛇足ですけれども、日本にはクラスアクションがないので日本企業のディスクロージャーは信用できないというような意見をときどき聞くことがあります。責任の賦課という威嚇なしにディスクロージャーの信頼性は確保できないという意味であります。クラスアクションは一朝一夕にできるものではありませんけれども、違反行為の抑止という点で課徴金制度はそういった民事責任を補完する機能が期待されているはずであります。発行開示違反については課徴金制度が適用されるけれども、継続開示違反には適用されないというのであれば、日本企業の発行開示は信用できるけれども継続開示は信用できないということにもなってしまうわけであります。そのようないびつな状況を一刻でも早く解消するように、継続開示に係る課徴金制度の導入に全力を尽くしてもらうようにお願いしたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今野委員、どうぞ。

○今野委員

今、黒沼委員がおっしゃったことと全く同じことを言おうとしました。確かにどう考えても経済的な利得相当額で済むのであれば、たぶんほとんどのケースが発覚されないまま通過してしまうのではないかと思われるので、それだったらば見つかるか見つからないかはわからないけれどもともかくやってみようという、また、誘発するインセンティブにもなるのではないかと思います。株主保護の観点からということであるならば、やはりきちんと抑止力になるようなことをしないと意味がないのではないかと思っております。それが1つです。

先ほど小島さんは、大変優しい方なので、大森課長のご発言を、エスプリが利いた、大変感動したとおっしゃいますが、そのエスプリという言葉は正しく言い換えると「セクハラ」というべきではないかと思っております。私どもの今一番人気のサービスは「セクハラホットライン」ということで、日本の大企業さん既に400社余りが加入しておられますが、先ほどのご発言をきいて今日私は帰りに金融庁さんにもぜひクライアントになって頂けるようご提案に行こうと思いましたのでよろしくお願いします。高橋委員がああいう呼ばれ方をされるとするならば、今後私はどのように呼ばれるのかと心配しております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、すみませんが、資料1-7につきまして、課徴金の問題ですけれども、さらにご意見があればぜひお願いしたいのですけれども。

どうぞ、池田さん。

○池田企業開示参事官

先ほど小島委員の方からありましたしっかり理念を持つべきだというご指摘は肝に銘じてまいりたいと思いますが、一言だけご説明させて頂きますと、私ども金融庁としましては、昨年10月来起きた一連のことについて、まさに小島委員がおっしゃったように、証券取引法上のディスクロージャー制度の信頼を揺るがしかねない事態であるという認識に立って、11月16日に発表しました対応策の中でこの継続開示への課徴金の導入についてもこの第一部会でのご審議をお願いするという形で掲げてやってきたものでございまして、そういう高い理念の下でやっている中でご指摘のあった非常にちまちました技術論をやっていなければいけない自分が歯がゆくはあるのですが、そういう現実もございますので、引き続きどうかよろしくご支援を頂きたいというふうに考えております。

○神田部会長

ありがとうございます。

岩原委員、どうぞ。

○岩原委員

内閣法制局による審査というのは、本来は法技術的な問題についてのチェックをするということのはずでありますが、そこにおいて先ほど池田参事官からご紹介のあったような理由でいわば法律論のような形で当部会が提案したこの課徴金の制度がブロックされてしまっているということは非常に情けないことであり、法律家として私は恥ずかしい思いがしております。

法的な問題については先ほど黒沼委員からおっしゃって頂きましたので繰り返しませんけれども、二重処罰の問題、その他について、現在第一部会が提案している課徴金の制度が憲法その他の点において問題があるとは全く思えません。そもそも利得の範囲に抑えれば二重処罰の問題が起きないということ自体、そういう考え自体、本当にそんなに根拠がある考えなのかということで非常に疑問を持っておりまして、さらに言えば、日本の刑事処罰のあり方そのものの問題にもつながっていくのかもしれませんけれども、とにかく多くの委員からご指摘がありましたように、実効的にディスクロージャーその他証券取引法によって市場の信頼を守るためにこういうエンフォースメントの制度が必要なわけでありまして、海外と比べましてもそれは合理的な範囲にとどまっている制度だと思います。そういったものが法技術的な理由ということでブロックされて実現しないというのは極めて残念なことであり、現在事務局の方でご提案頂いておりますここの具体的な制度の考え方も、考えられる合理的なエンフォースメントの内容に少なくともなっていると思いますので、ぜひこれを実現して頂きたいと思っております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかに課徴金制度についていかがでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか。

どうもこの部会でのご意見は、前からそうだったと思いますけれども、考え方としてはかなりはっきりしていて、それを制度に実現するときに、経済的利得、ディスクロージャーに関して言いますと発行開示義務違反というところから出発したものですから、今それを継続開示義務にもまずとにかくできるだけ早く持っていこうということで作業をしているわけですけれども、もう1度大きな議論をし直す必要があるというのは繰り返しご指摘頂いているとおりですので、その意味では投資サービス法を議論していく中では経済的利得にとどまっているという制度は見直される必要があるというのは大方の皆様方のご意見で、その基本にあるのは、結局、何のために課徴金制度というものを設けるのかと、そういう整理になるのかと思います。

したがって、そういう大きな流れの中で今具体的な作業があるわけですけれども、部会の委員の皆様方からはそういう意見が出たということをもって池田さんには頑張って頂くということでよろしゅうございますでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、それ以外の資料1の論点につきましてご意見を頂ければと思います。ちょっと時間の関係もありまして、資料1で言いますと1、2、3とあるのですが、まず規制の枠組みということで、参考資料で申しますと1-2、1-3は本来業務・付随業務・兼業業務の範囲ですが、1-4は行為規制についての整理ということなのですけれども、まず1-3の本来・付随・兼業業務といったあたりですけれども、これはご参考ということなのですけれども、投資サービス業を担った場合というのでしょうか、この辺の考え方はいかがでしょうか。それから、失礼しました、ちょっと私が間違えているかもしれないのですけれども、1-4の中に参入規制の概要もありますね、1-4には販売・勧誘も入っているものですから、題名がそうなっているのですけれども、資料の1-4の2枚目が参入規制になっています。

そんなところで、販売・勧誘については次の2.の行為規制というのですか、「プロとアマ」というところでまたあわせてご議論を頂いたらどうかと思いますので、まず、参入とか、あるいは本来業務・付随業務・兼業業務、あまり問題はないと思うのですけれども、こういうあたりについて投資サービス法を議論していく上で留意すべき点があるかどうかについてもしご意見があればお出し頂ければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

どうぞ、池尾先生、お願いします。

○池尾委員

多くの皆さんはもうご存じのことだと思いますが、金融に関する考え方というかアプローチの仕方としてマートンの言い方を借りると、ファンクショナルパースペクティブとインスティトゥーショナルパースペクティブという、機能に則して考えるという見方と組織と言いますか日本風に言うと業態を軸に考えるという考え方とがあって、現在の金融論の主流はファンクショナルパースペクティブで、金融という問題は機能に則して基本的に考えていく方が整理がつきやすいということだと思うんですね。私も常にそういうふうに言っているのですけれども。ただ、組織形態というのがすべて機能に従ってくれるのであればいいのですけれども、必ずしも組織のあり方というのが機能に従って編成されるとは限らないという問題はやはり残っておりまして、したがって、組織アーキテクチャーをどう考えるかという、あるいはどう設計するかという問題のレベルというのがやはり残っているように思うんですね、あるいと思います。

それで、この1の「規制の枠組み」のところも資料を見てきて、例えば3ページ目のところに、抵当証券、変額保険、ずっとざらざらと並んでいるわけですけれども、ちょっと議論が外れるというか拡散してしまうかもしれませんが、投資サービス法を考える際のキーワードは「横断化」と並んで「柔軟化」ということだと思うんですよね。それで、柔軟化ということで、具体的に投資サービスなり投資商品をある程度類型化してとらえるということが必要になってくるのではないかというふうにちょっと漠として考えております。

では、どういう類型化をするかということを考えたときに、ボラティリティーの問題もあるのですけれども、結論的に言うと、ちょっと雑駁ですけれども、大体元本が保証されていて、リスクが収益率の範囲内というか、収益率で言うと収益率が0%以上で変動するという場合と、元本毀損のリスクはあって、だけど最大の損失は最初の投資額の範囲に収まる、つまり、収益率で言うとマイナス100%の範囲以上で動くという場合、3番目に、いわゆる追証を求められる可能性等があって、収益率で言うとマイナス100%を超えるというのか下回るというのか、そういうマイナス200%、300%というふうな収益率も実現しかねないというそういう商品とは違うだろうと。

最初の投資額を超えて損失が膨らみかねないような商品について言えば、私の発想だと、不招請勧誘は認めないというふうなことだと思うんですね。それと、元本は一応確保されていて、収益率は最低でもゼロというふうな場合は違うわけですが、ここに並んでいる商品で同じカテゴリーに入っている場合でも、今申し上げたような3つすべてが入ってくるというケースがあるわけですね。例えば商品ファンドだと元本確保型というのが一方で、最近は低金利なのではやっていないので全然売れていないですけれども、元本確保型商品ファンドというのがあるわけですよね。そういうものともちろん元本の毀損のリスクを負うのだけれどもリターンを狙うタイプというのがあるわけですね。デリバティブ預金なんかに関してもそのつけ方によって収益率がどの範囲で変動するかというのは大きく変わってくるわけで。

したがって、こういう表題でどうすべきかという設問の仕方はそういう意味ではちょっと不適切だという。これは明らかにインスティトゥーショナルアプローチで書かれているというふうに私は思いまして。だから、私が言った漠として考えているのがいいかどうかはわかりませんが、非常にリスクが高いような場合と中ぐらいの場合とかなりリスクがあると言っても抑えられているケースとか、それで規制内容がどう変わるかという形の議論の方が経済学者にはわかりやすいといいますか、そういう感じがしたというのが印象ですが。

それからもう1つちょっと別の、2のところになりますから後で言った方がいいですね。では、後にします。

○神田部会長

ありがとうございました。大変貴重なご指摘だと思います。私どもが貯蓄とか投資とかという普通の言い方で言うと、第1類型が貯蓄と俗に呼んでいる類型で、第2と第3の類型が投資と呼んでいる類型で、それはまさに機能的に把握し直してそこから物事を整理すべきだというのは誠にそのとおりだと思いますけれども、いかがでしょうか。今は資料1の2ページ目から3ページ目、そして4ページ目あたりに幾つか、既に法律があって、ある商品が並んでいるのですけれども、そこのところを投資サービス法との関係でどのように考えていくかということについてのご発言です。

田中委員、どうぞ。

○田中委員

今の資料で、2ページ目の下の方に「他の投資者保護を目的とする法律との関係」というのがあって、この網掛けのところで括弧して「同じ法律に同様に規定されるべきかどうかは別として」と括弧書きで書いてあります。この文に関しては多分事務局の方でも苦労されたのだと思うのですが、本来望ましいあり方としては、これは同じ法律で同様に規定されるというのがいいのではないかと思います。もともと国の方針としても「貯蓄から投資へ」ということを考えた場合、何を一番重要だと考えなければいけないかという点で言うと、投資者が安心して投資できるというのが重要であると。この過去のいろいろな経緯で、監督官庁が違う、あるいは縛られている法律が違うということが過去にあったといたしましても、投資者の方からすればあくまでも何に投資をするかというのが一番重要なのであって、その経済的な中身が同じものであれば同様な法律できちんと縛らなければいけないというふうに思います。

また、先ほど池尾委員の方から言われた期待収益で分ける、確かにそういう3つの分け方というのは極めて合理的でいいというふうに思いました。ただ、その半面、期待収益というのはあくまでも計算上の期待収益であるわけで、これが本当の期待収益にとどまるかどうか、一応商品設計の段階では元本保証という建前になっていると、ただ、例えば顧客勘定等の分離ができていないとか、あるいは何らかのヘッジを行うようになっていくけれども、そのヘッジをする手段が100%確立されている、決済リスクがゼロになっているものではない、こういったような場合、設計の段階では元本リスクであっても実際にはそうならない可能性もありますので、そういう意味では、先ほど言った期待収益及びそれを担保するための仕組みがどうなっているかというところまで踏込んで見ないといけないというふうに思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

では、高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

2ページ目の括弧に関する今の田中委員のご指摘に全く同感でありまして、同一の法律ということで1つの横断的な枠組みということが検討されているのだと思います。投資家にとってわかりやすいという田中委員のご指摘はそのとおりだと思いますし、また、一方、前回、池尾先生の方からいろいろご指摘のあった新しい商品のイノベーションの促進や投資家の理解のしやすさという意味でも同一の法律ということで、1つの枠組みの中でつくられているということが必要かなと思います。もちろんその中で、ここにもご指摘がありますように、流動性の状況でありますとか相手がプロに限られているとかいろいろな要件で弾力的な対応になるということはあり得るだろうと思いますけれども、1つの法律という理解をすべきだと思います。

それに関連して、大森課長から冒頭のご指摘があり、前回の池尾先生のコメントに関係する点でありますけれども、今の点と同様で、投資家にとってのわかりやすさ、あるいはイノベーションの促進ということからしますと、エンフォースメントが1つのところに集約されているということは大事なことで、エンフォースメントあるいはもう少し広く監督と言ったらいいのかもしれませんけれども、集約されているということが前提であると理解をしております。投資家にとってのわかりやすさということに加えまして、例えば新しい商品を開発しようとするときに、どこに相談に行っていいのかわからない、あるいは複数のところに相談に行かなければいけないというようなことが、たとえ法律体系が一応の整理はされていたとしてもやはりそれは障害になるのかなと思います。そういう方向を少なくとも目指して検討をすべきではないかというふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

どうぞ、石橋委員。

○石橋委員

先ほど同じ業界筋の委員からのご指摘で、できれば同じ法律に一本でというご指摘もあったということについて、私自身は、何度もこの前から申し上げさせて頂いておりますとおり、やはり具体的に消費者保護を図られるということが大事だということの中で、保険について言わせて頂きますと、繰り返しですけれども、商品認可というのはどう見ても保険業法の中でつくられてきて、あと、販売等の場面についてもできれば同じ法律の中で筋を通しながら消費者保護を図っていくということが1本の販売まで貫かれる1つの規制だというふうに考えます。

ここの括弧で入れて頂いた意味というのは、「投資サービス法という言葉があるとすれば、投資サービス法の中で1本に入れるかどうかこの議論は別にして…。」という意味合いで理解をさせて頂いておりまして、一般的な議論として同じ法律の中でカバーしきれればいいという単純な話ではないということだけ、ちょっと言わせて頂ければというふうに思ってございます。

○神田部会長

ありがとうございます。

今、2ページ目、3ページ目は、多分、事務局のメモの整理は業の整理を今ここで議論していて、ただ、先ほどからのご意見は投資商品というか投資サービス法の対象にするというような話で、もちろんそれは相互に密接に関連いたしますので、先ほどから何人かの委員の方からお出し頂きました意見はそのままご議論を続けさせて頂ければというふうには思いますが、メモのつくり方は、ここは業ということのメモでできているというふうに思います。

ほかにいかがでしょうか。

原委員、どうぞ。

○原委員

前回は項目列挙的な発言で最後が終わっておりますので、少し丁寧にというふうに思います。

池尾委員がご発言になった規制の枠組みの分け方ですけれども、私もやはり大前提としては、池尾委員がおっしゃられたように、元本保証プラス・マイナス・アルファ、それから、元本をマイナス100%の範囲に限られるもの、それから、証拠金取引なんかはそうですけれども、追証を求められてマイナス100%を下回る可能性がある、こういう大きな3類型ぐらいには分けてすべての規制の枠組みを考えていくべきであろうというふうには考えております。

まず参入規制なのですが、前回の私の質問に対してはやはり個別の商品類型ごとに登録をとったり許可をとったり認可をというふうに分けるというふうにおっしゃられたので、かなり業法的な観点というのがまだ残るというふうに思うのですが、今日の資料1-4で配られた中の「参入規制の概要」というところで述べられている項目なのですが、非常に日本的な感じがしておりまして、ヨーロッパ型と言うとあれですけれども、イギリスや何かの、それから、EUもそうだと思いますけれども、コンプライアンスとかそういった観点というようなことも必要ではないかというふうに思っておりまして、金融先物取引法を見ると役員等の適格性ですとか人的構成要件というような言葉は出てきていて、それから、禁固刑以上の刑の処分から5年以上経過していることというようなあたりは入っているのですが、何かもう少し参入規制のところにコンプライアンスとかガバナンスとかこういったことを、抽象的な表現になるかもしれませんけれども、そういった事業体でないと市場に登場してきてもらっては困るというふうに思っておりますので、少しそういう範囲を広げて参入のところは考えて頂けないかというふうに思います。

それから、行為規制については、本来ならば2番目の行為規制などのあり方についての議論になるのかもしれませんが、ちょっと資料1のつくり方を見ると、行為規制などのあり方は5ページのところに書いてあって、ホールセールとリーテイルとプロ・アマの区分の話だけなので、販売・勧誘についてはこの規制のあり方のところに入っているので、そこについて前回とちょっとダブるかもしれませんけれども意見を言いたいと思います。

1つは、池尾委員がおっしゃられたように、3つの商品類型を分けて、その上に場面と言うのでしょうか媒体を3つに分けて、1つが広告、2つ目がファクスとかホームページですとかそういった形である、人は介在していないけれどもある程度直接的な形で届く情報というのがあって、3つ目が電話とか訪問とか直接的な勧誘というふうに場面を3つに分けられるのではないかと思います。それにプロ・アマの議論と新規か継続かという議論と私募なのか公募なのかというところが重層的に重なり合ってくるのではないかというふうに考えております。そういう整理が第一段階としては必要だということが1つです。

2つ目なのですが、内容的なところなのですけれども、私もいろいろな業法を少しずつ見させて頂いているのですが、非常に消費者の視点から見ると、古いと言ったらおかしいのですけれども、表現が非常に古めかしいという感じがしておりまして、直接消費者の視点から見ると、もう少し違う切り口というかとらえ方というのがあるのではないかというふうに考えております。基本的には消費者契約法が2001年からスタートしておりまして、断定的判断の提供とか不利益事実の不告知、不実告知については契約の取消、消費者に不利な条項ということについては無効というようなことが消費者契約法にはかけられております。消費者契約法は消費者契約全般にわたるものですから、これにプラスアルファをするということを内容としては考えて頂きたいというふうに思っておりまして、金融先物取引法の方で広告についての規定を、重要事項の表示をすべきことと優良誤認するような広告の禁止という二段階構えの規制を入れてくださっていますけれども、広告についてはそういう位置づけ、不招請勧誘の禁止ということも商品類型から考えると当然出てくる商品群というのがあると思いますので、こういったものを明確に位置づけて頂きたいと思います。

それから、実際にこの販売・勧誘の中の一体どこに入れたらいいのかというところになるのですけれども、最初の販売・勧誘の段階もそうですし、途中での助言行為のところもそうなのですけれども、実際に例えば販売員の方々による、例えば生命保険の乗換えもそうですし、証券の売買もそうなのですけれども、手数料体系とかその販売の方々たちのノルマのようなもの、そういうものが販売とか勧誘行為にバイアスをかけているという場面は多々ありまして、こういったことは実際に断定的判断の提供の禁止ということを言っただけではなかなか実効性が上がらないというところが現場を見ていて感じるところなので、こういった行為にバイアスをかけるようなものについてどういうふうに判断をしていくのかということも論点の中では考えて頂きたいというふうに思っております。

またちょっと途中でほかの方のご意見の中で述べさせて頂くかもしれません。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、今、4ページの(2)のマル2の行為規制、5ページ目の大きな2番の行為規制、主としてホールセール、リーテイルあるいはプロ・アマ、このあたりに入ってきたと思いますので、この4ページ、5ページは時間の関係で事務局から読み上げはなかったのですけれども、今の原委員のご意見をよりよく理解するためにも私が読ませて頂きたいと思います。

4ページの下の方、(2)のマル2からですので、ちょっと中途半端な読み方になりますが、「行為規制については、証券取引法や証券投資顧問業法を基本としつつ、投資商品の内容や現行の業法の内容に応じて、規制内容に一定の柔軟性を持たせること(いわゆる『業規制の柔軟化』)が考えられる。このうち、マル2については適合性原則の位置づけ、広告も含めた販売・勧誘行為の整理、助言責任の明確化について議論を深めるべきであるとの意見があったが、これらについてどのように考えるか」――この点について、今、原委員はさらに先のご意見を言って頂いたわけです。「このほか、参入規制に関連しては、自己資本規制や商号制限、行為規制に関連しては――行為規制の方にだんだん議論の重点を移させて頂きたいと思いますが、『取引所取引原則』についての考え方やクーリング・オフなどについてどのように考えるべきか。」。

次のページに行かせて頂きまして、(3)で、「以上のほか、どのような点に留意して検討を進めるべきか。例えば、『外国証券業者に関する法律』についてどのように考えるべきか。」というのがあります。

次の大きな2.で、そういった議論、その他も含めてですが、「1.における議論を踏まえ、行為規制についてどのような検討を行っていくべきか。」ということで、(1)と(2)が挙がっていまして、(1)が「『ホールセールとリーテイル』ないし『プロとアマ』の区分」ということで、「規制対象が拡大するなか規制の適切性を確保する観点から、かねてより議論を行ってきている『プロとアマ』の区分についてさらに検討を進めるべきではないか。」――これが資料1-5で、これは今までの議論ですが、それから、1-6が参考資料になりまして、「ディスクロージャー及び勧誘規制が適用の中心となると考えられるが、どのような規制について『プロとアマ』の区分を適用すべきか。また、具体的な区分の基準についてどのように考えるか。」――ということで、1-6が参考資料ということになります。

その下の(2)の読み上げは省略させて頂きますけれども、これらの点に関連してご意見をぜひ積極的にお出し頂ければありがたく思います。

いかがでしょうか。

池尾委員、どうぞ。

○池尾委員

プロとアマの話なのですが、それに関連して、投資サービス法の議論を始めたときに、1回目のときに同じようなことをちょっとご質問したと思うのですが、受託者責任ルールの明確化のような話はどういう位置づけになってくるのだろうという。プロとアマを区別するのはいいのですが、プロとアマの関係をどういうふうにするのかという議論はやらなくていいのだろうかというのが私の疑問としてありまして。

というのは、市場型の取引を拡大していくといっても、金融技術その他が高度化し、取引内容が複雑化している中においては、市場型の取引の拡大といってもそれは直接金融というよりはいわゆる市場型間接金融になるわけですよね。そうすると、狭い意味でのマーケットで取引をするのはプロが中心になると思うのですが、逆にエージェンシー関係が重層化するというようなことが起きて受託者責任の問題はすごく重くなるはずだと思うんですよね。だから、プロと認められればある種自己責任を問えるということで規制がかからなくなるというのはいいのかもしれませんが、その半面としてやはり受託者に対する責任のようなものは重く要求されるとかというそういう構造が必要なような気がしていて、プロとアマを区別した場合にその両者の関係をどういうふうにするかというふうなのは投資サービス法の議論の中でどういう位置づけになるのだろうかというのを、1回目のときは法学者の方はどういうふうにお考えですかとたしかご質問をしたと思うのですが。繰り返し同じ質問ですが、いかがでしょうか。

○神田部会長

ありがとうございます。

法学者の方、いかがでしょうか。

○黒沼委員

受託者責任の問題は重要ですが、それは投資サービス法の問題ではなくて、機関投資家等の背後にいる投資者と機関投資家との間の私法的な、プライベートローの問題、あるいは、それを規律する組織に関する法律の問題として処理すべきではないかと個人的には考えます。

○神田部会長

ありがとうございます。

ちょっといろいろな局面があるので、どういうふうに言ったらいいのでしょうかね、私の感じでは黒沼さんのおっしゃったことと矛盾はしないとは思うのですけれども。受託者責任というのは、投資サービス法の中で言えば、業者ルールとしての投資サービス法ということを考えるのであれば、その業者ルールとしての業者に対する行為規制の基本になるべきものだと思っています。それをより具体化すると、例えば勧誘のときにはこういうルールです、そのほかにもこういうルールですということになってくるのであって。ですから、紙の上には確かにそういう言葉はあらわれていないのですけれども、できれば紙の上にもそういう言葉をあらわした方が池尾先生のご意見も一層明らかになると思います。

黒沼さんがおっしゃったことは、例えばですけれども、1つの機関投資家が他人からお金を預かって運用する場合には当然受託者責任を負うわけですけれども、その機関投資家が例えば生命保険会社であれば、今の法制度で言えば、まず私法上の受託者責任になるかどうかというところはそこで議論されなければいけない。これは、私法上は保険契約ということになるのですけれども、信託銀行であれば信託契約になりますので、受託者責任は私法上は信託法に基づいてやるということになります。

それを超えて、さらに、先ほど石橋委員がおっしゃったように、保険業法あるいは信託業法がそういう保険会社とか信託会社に対して業者ルールとして受託者責任を課すべきかということは議論の対象になり、新しい信託業法では私法上の受託者責任に加えて業法上の受託者責任を明確に課すことにしているわけですけれども、それは、先ほどの話に戻ってきますけれども、そこで議論されているものが保険取引であり信託取引であるから今はそちらの方の業法になっているのですけれども、ここの投資サービス業ということであれば、投資サービス業者に対して受託者責任が業者ルールとして、課せられるという言い方がいいのかどうかはわかりませんけれども、そういうことが行為規制の基本になると思います。ただ、もちろん行為の類型によってすべてに受託者責任という名の下で語られているものがそのままになるかどうかは別ですけれども。考え方としてはちょっとその点は多分資料につけ加えられてしかるべきものだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

それでは、その点はまた事務局にもご検討を頂いてまた岩原先生に見て頂くということにして、先へ進ませて頂くことにさせて頂いてよろしゅうございますでしょうか。

いかがでしょうか、今、原委員からご指摘がありましたような点、すなわち4ページの下のあたり、それから、ホールセール、リーテイル、プロ・アマについて、なかなか難しい問題なのですけれども、基本は柔軟化していくということだとは思いますけれども、何か留意すべき点等でご発言があればぜひお願いしたいと思うのですけれども。

田中委員、お願いします。

○田中委員

プロ・アマにつきまして私の方から1つ意見を申し上げたいと思います。

昨今、金融技術もどんどん進んできて、いろいろな商品が出てきている。それから、日本の投資家の方も金融資産をたくさん持たれている方も出てきて、また、いろいろな投資経験あるいは投資技術に関しても非常に精通されている個人の方もどんどん出てきている。そういう中にあって、この規制のあり方が非常にきつい、非常にハードルが高すぎると。例えば昨今の外為証拠金取引の被害をどう防ぐかというような観点からだけ考えて、個人に対して自己責任というものをなるべく問わなくても済むような形で考えていくと、結果的に日本国内でいろいろな新しい金融商品のマーケットが育たなくなってくるという弊害が出てくると思います。そういう面で、過去5年前、10年前にプロ・アマの議論がされたと思うのですが、それと、また、世の中、マーケット状況はどんどん変わってきているということを前提に考えるべきだと思います。

その考え方に当たっては、個人の方が自分はプロとして扱われることを望んでいるような場合、これに関してはプロとして扱えるようなスキームにすることが必要だと思います。そのときに、プロとして本人が認定され、なおかつ投資の自己責任がとれるというものに関してのその認定の仕方というのは議論があるところだと思いますが、それによってこのプロとアマの区別というのはつけていくべきではないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

では、原委員、それから高橋委員の順番で。

○原委員

簡単に1つ、私が発言を落としていたことであれなのですが。

適合性の原則についての徹底ということはぜひ図って頂きたいと思います。資料1-4にありますけれども、「適合性の原則」という項目は立てられていても、今は証券取引法と金融先物取引法にこういう規定があるということなのですが、書かれている内容は非常に抽象的なレベルにとどまっていて、実際に金融商品販売法のときにも適合性の原則の導入を言いましたけれども、勧誘と販売方針の策定とその公表というところに委ねられて、その結果については金融オンブズネットでも調査をいたしましたけれども、各業態とも惨憺たる有り様で、非常に抽象的でほとんど機能していないということなので、今回は明確に適合性の原則を入れるということと具体化を図って頂きたいと思っています。

今、田中委員からご発言があったところなのですけれども、実際に証券取引では適合性の原則というのが入ってはいるのですが、トラブルになったりすると、私が扱ったというのでしょうか苦情で来たのは、十数年ぐらい前に取引の経験があり、非常に損をしてしまってもうこりごりだというふうに思っていて、もう二度と近寄るまいと思っていたところを訪問と電話勧誘で預けてしまい非常にまた大きな損をしてしまって、それをトラブルということですから申し出ているのですけれども。それは、実際には「投資経験あり」という分類をされて、「投資経験あり」というふうに見なされてしまって、非常に解決が困難になって、ご本人としては非常に不本意で、確かに十数年前にやっていたけれどもそのときもよくわからなくて非常に大損をしてしまったわけだから、私は経験はあっても実際にそれを「経験あり」というふうに言われるのは非常に不本意であるというふうな話もありました。

ですので、ぜひ明確な具体化と、それから、実際にいろいろな販売・勧誘、適合性の原則のところでも、立証責任、立証負担が一体どちらにあるかということを考えると、やはりこれも過大に消費者・利用者側に負わせるのではなくて、私は明確に事業者の側が負って頂きたいというふうに考えております。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、こちらの高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

参入規制のところなのですけれども、事務局のペーパーの4ページのさっき神田先生に読んで頂いたところの前のマル1というところで、「事前規制における行政裁量を制限するため、登録制とする」というふうに書いてあります。いろいろ歴史的な経緯もあるかと思いますが、今、新しく制度を検討するときに、「登録制」という前提で考えなければいけないのか、もっと広くいろいろな可能性も含めて検討の道は開いた方がいいかなと思います。登録制とするとしても、少なくとも、さっき原委員も触れられたのですけれども、その参入に当たって、形式的な要件だけではなくて、経験とか識見とか評判とかそういうようなものがきちんと判断できるようなそういう形のものが必要な分野もあるだろうと思います。「投資サービス業務の内容に応じて要件を明確化し」と書いてあるように、その業務の内容によるものだとは思いますけれども、そういう必要があるものについてはそういう判断がされるんだということができる仕組みがいいのかなというふうに思います。

それから、プロ・アマの関係で、前に一回EUの規定の関係でご質問をしたことがあるかと思うのですが、プロ・アマの判断が、株なら株のプロ、債券なら債券のプロというふうに判断するのかどうか。そういう特定分野ということではなくて、この人はプロなんだ、あるいは自分はプロなんだという、全体としてのプロ・アマというような整理がいいのではないかと思いますので、その点について一言発言したいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

プロ・アマで2つ、前回申し上げたことなのですが、業者が説明をする場合というか顧客に情報提供をする場合のプロ・アマの基準と、それから、現在の基準では、証券取引法で言いますと、公衆縦覧型というか証券の発行者がおよそ一律に世の中に向かって――公募と言っていますけれども、ディスクローズする、それが免除される――私募と言っていますけれども、そういう基準なのか。発行取引の場合は直接目論見書というのもあるのですけれども、目論見書も若干制度が去年変わりまして、一部は請求がなければ一律交付はしなくてもいいというものもできているのですけれども。業者の方の話をするのであれば、現在の金融商品販売法は、個人であっても、私はいいと言えば説明義務はないのですね、そういう意味では個人もプロになれるという制度としては一応つくってあるわけでありまして。ですからそのあたりを……。

ヨーロッパの伝統はどちらかというと業者が顧客に対してというところでプロ・アマを議論しますが、これに対してアメリカでは、日本の証取法のように、私募か公募かという、もうこれは一律やる話ですので、カテゴリカルに決めておかないとどうしようもありません、どこかに線を引かなければいけない。そういったものは、今後、投資商品が幅広くなっていくのに応じて両方を柔軟化していかなければいけないという課題だと思いますので、両方についてご意見を頂ければありがたいと思います。

どうぞ、お願いします。

○藤沢委員

まさに今おっしゃったことを申し上げようと思っていまして、プロ・アマの議論が2つに分かれているということを感じたので。

申し上げたかったことは、まさに金融サービス法の中にあることを改めてお願いしたいと思った次第です。要するに、本当に貯蓄から投資へというものを推進したいのであれば、この業者側から見たプロ・アマの議論においては、投資家を育成するという意味で、あくまでもきちんとした最低限のルールは必要、適合性の原則は必要ですけれども、さらに成長を目指す人間に対してチャンスを与えるという意味では、あまり厳しいルールをつくってしまうのではなくて、やはり販売サイドの人間がある程度判断をするという、今の融資と同じですけれども、ある程度の投資家の成長性を見て判断をするという目線が必要ではないかと。それは今の金融サービス法の中に既に入っているということで、私はそれでいいかと思いますけれども。

もう1つ、少し議論が戻ってしまうのですけれども、最初に出ましたその3分類に関する話なのですけれども、非常にどの投資家から見てもわかりやすい考え方であると思うのですけれども、1つやはり懸念しますのは、先ほどどなたか委員の方がおっしゃいましたように、さまざまな金融手法というもの、金融技術というものが内在してしまって、表面的にはほぼリスクがないように見えるものであっても、担保をだれがしているのか、仕組みでしているのか、金融機関自体がしているのか、発行体がしているのか、受託者がしているのか、非常に普通の投資家からは見えないものがありますので、その辺の担保手段というものをよく勘案した上でのこの3分類というのを考えていかないと、結局的には、よくわからない投資家にとってはわからないままでものが進んでいくという危険性があるのかなということを一言申し上げたかったということです。

ありがとうございました。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、太田委員、どうぞ。

○太田委員

コメントといいますか、2点だけ申し上げたい。

さっき、元本を毀損するかしないかとか、そういう視点がいいというご意見があったのですが、それは1つの見方かもしれませんが、必ずしも私は適切ではないと思います。例えばデリバティブなんかについては元本がないものもございますし、そもそも先物とかそういったものは現物の取引のリスクを軽減するヘッジのために発達してきたわけです。だから、現物取引とヘッジ取引を両方すればもともとそういうリスクがないわけですし、例えば為替証拠金について申し上げれば、ニュージーランド債とかカナダ債とかそういうものを証券会社はかなり販売されていますけれども、そういうものの為替変動をヘッジするために証拠金も同時にやるという場合もございます。単純にそれぞれの取引が元本を毀損するのかしないのかとかいうほど、事は簡単ではないのではないか。株式投資だって元本を毀損するのは非常に一般的なことです。だから、それは1つの見方かもしれませんが、そういう切り方をしますといろいろな取引の自由度を阻害することになりますし、かえって複雑になるかもしれません。その辺はよく注意をして頂きたいと思います。

それから、参入規制のことで1点、先ほど業者がその業務に精通しているかどうかという話がございましたけれども、例えば今の金先の関係諸法令にそういう要件もございますけれども、現実に何をチェックするかといいますと、かつてそういう業務の会社に勤めていたことがあるかどうかぐらいのことでして、実際は、抽象的できれい事に過ぎている感じがありまして、あまりそういうものに信頼性は置けないのではないかと。だから、気休めといいますか、言葉は悪いのですけれども、そういうことでならいいのですけれども、実際はほとんど実効性はないと私は思います。だから、その辺はどの程度のきつさで参入規制をやるかという問題に戻るわけですけれども、もし実効性を上げたいのであればもっと他のことを考えないと意味がないと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

本当は論点3というか次の方にも今日は入れればと思っていたのですが、今ちょっと思いまして、大森さんのご感触も伺ったのですけれども、説明と議論が分かれない方がいいと思いますので、論点3の「集団投資スキーム」につきましては次回にご説明とご審議をお願いするということにしたいと思います。したがいまして、今日は引き続きご意見をお出し頂いて、あとはエンフォースメントで、先ほど課徴金についてはご意見を頂きましたけれども、それ以外の点につきましてもしご意見があれば頂ければというふうに思います。

そういうことで、プロ・アマの点、それから、最後の方の、藤沢委員と太田委員からご指摘のあった、1つは仕組み商品みたいなものですね、こういうものに対してどういうふうに考えていくのかということがあったかと思いますけれども、いかがでしょうか。

東委員、どうぞ。

○東委員

プロ・アマ議論の根っことして、まず金融商品をどう分けるかという点については、私自身は先ほど池尾先生がおっしゃった3分類、つまり、元本保証、有限リスク、無限リスクという、こんな分け方でいいのではないかとまず思います。大事なのは、それを投資家、消費者にきちんと伝えることがまず第一で、次は、投資家、消費者がそれを認識し、理解できることだろうというふうに思います。先ほど来、適合性の原則の議論があって、言葉は従来からあるし、行われているのですけれども、必ずしもその程度の区分けがはっきりしていません。もう少し消費者のリスク許容度という形で反映させるような線引きでのプロとアマという考え方があるのではないかというふうに思います。そういう意味では、プロは限りなく自由にやればいいというふうに思いますし、アマは限りなく保護すべきだろうと。問題はそのグレーゾーンをつくるかどうかという、これはまた別の議論ではありますが、そんなふうに考えています。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。最後におっしゃったプロ・アマの区別のところをもうちょっと言って頂けますか。真ん中のグレーゾーンはどうすればいいのですか。

○東委員

そういう意味では、リスク許容度でランク分けをするかということになろうと思うんですね。提供される金融商品によってリスクの幅が先ほどの元本保証、有限、無限とそれぞれ三層にあるわけですので、そこに適用させて投資家側、消費者側を分けるかというような意味合いなのですけれども。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、お願いします。

○水上委員

ファンクショナルアプローチという話が出ましたけれども、先ほどの3分類で、その3つに分ける背景というか考え方はしっかり立てておいた方がいいと思うんですね。投資サービス法を入れていくときに何でファンクショナルアプローチが必要かということは、私はこの会は初めてなので以前そういう議論はされているかもしれませんけれども、要は、金融商品それぞれのリスクリターンといったものは複製が可能であって、それはいろいろな商品性の中で達成し得ると、そういう状況としてとらえていく、技術的にもそういう可能性はかなり広がっていくという、そういう金融構造になっていくわけなので、そこではやはりリスクリターンに着目して、いろいろな形でその複製されるものを統合的に、横断的に、柔軟化して対応し得る、そういう可能性を追求していくというか、そうでなければすべては監督技術が先に立って、監督技術が制約要因になって、それですべて全部が決まってしまう。

したがって、今回の議論の組み立て方も、ペーパーを見ますと、最初に規制の枠組みを議論して、行為規制などのあり方を議論した上で、その後でエンフォースメントについて考えていこうというのは、道筋として非常に正しいと思うんですよね。ですから、それぞれのリスクリターンに着目して、具体的に類型化して分けることについて、実態上はかなり難しいというのは当然のことなのですけれども、我々が今からやろうとしていかざるを得ないことは、そういう方向に向かって考え方をつくって、それにどのような形でそのエンフォースメントをしていくことが可能かという、そういうことが大事だというふうに思っていますので、当初の問題意識を矮小化することなく、いろいろな議論を最初にここでやっておくべきだと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、小島委員、どうぞ。

○小島委員

実態を詳しく知らないのでナイーブな理念論になると思いますが。

皆さんが議論していらっしゃるリスクの点ですが、こんなにずっと言われている貯蓄から投資へというのは、要するに、リスクテークする風土をいかにしてつくるか、それを具体的にシステムとしていかに受け止めるかということが最大のポイントだと思うんですね。なぜそうかというと、要するに、消費者や投資家が損をしても当たり前、しかし、損をする度合いが事前に的確に判断できるような仕組みになっているかどうかということがポイントだと思います。リスクテークをしなければ日本の経済、社会、技術の新しいフロンティアが開かれていかないわけですからリスクマネーは確実に必要であって、しかし、どういう程度のリスクがあるか。

安心して投資ができるというご指摘もありましたが、安心の中身ですね、これはリスクがどの程度あるかと、それについての評価が的確に行える、したがってこの分野はこの程度とこの可能性という判断あるいは決断ができるかできないか、そのためにリスク度が高ければ高いなりに判断できるための情報提供なりそれが当然必要なのでしょう。ですから、一番重要なのはやはり個人もリスクを……。

日本の社会はリスクがないような社会に設計されてきましたので、今一番社会的に必要なリスクという問題に対しての理解がまだ日本の社会では十分醸成されていないですよね。だから、それは、これから継続的に日本の経済社会がチャレンジしていかなくてはいけない、追及していかなければ新しい分野であって、そういうリスクをどう評価するか。リスクにはいろいろな種類があると思うので、そのリスクにチャレンジする人がリスクテーカーであれ投資家であれ、それは個人でもいいのですが、そのときに安心というものは、8割ぐらい失敗するかもしれないけれども、成功した場合にはそれ以上のリターンがあるというものなのか、あるいはほとんど失敗しないけれどもリターンが少ないのかという、そのリスク評価が制度として、あるいは、商品、いろいろな規制の体系として、どのぐらい安心して客観的に確信を持って投資家が評価できるようにするかというところが最大のポイントではないかと思います。おっしゃるとおり、その区分けはどうするかとか具体的な点ではなかなか難しいのでしょうが、基本的にはそういう流れの中で位置づけるその発想が個々の規制なりルールを決めるときに一番のポイントではないかというような感じがいたします。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(伸)委員

オブザーバーでございますが、発言をさせて頂きます。

先ほどのリスク許容度でランク分けをするというお話から、少し意見を申し上げさせて頂きたいと思います。投資家側をランクづけするということももちろん必要だとは思うのですけれども、これは実はその数年前のホールセール・リーテイルのワーキングのときにもかなり行き詰った経緯があります。やはりこれだけでやっていくのは無理だというふうに思います。やはり抱き合わせで金融商品・投資商品そのものをランク分けするということをしないと、自分に合った商品かどうかということを投資家自らが判断できないと思いますので、商品性に関するランクづけをわかる形で一般の方々に知らしめるという方向が必要だと思います。それは先ほど池尾先生がおっしゃった3分類だと思うのですけれども、その3分類をいかによくわからせるかということが2番目の問題だと思います。

それからもう1つ、投資商品の場合には販売者の問題というのが私はかなり大きいと思っています。本来は、投資というのは人に勧められてするものではなくて、本人が主体的な判断によってやるものだというふうに思うのですが、現実には投資をするというような体制にない方が販売・勧誘によって思わぬ商品を買って損害を被っていくということが現実に起こっているのだと思うのですね。適合性の原則どころか、説明をすればリスクは移転するという考え方のもとに、うんと言うまで説明をしてしまう。これが実際に販売現場で行われていることだと私は思います。まさに販売者が本当にプロで相手の適合性を判断できる販売者なのか、あるいは販売手法だけに長けてマニュアルどおりに売っている販売者なのか、販売者のランクというのもかなり今はばらつきがございます。参入・行為規制の発展系として販売者の資格に関して投資サービス法ではきちんとした規制をすべきだと私は思っております。

以前からずっと一般消費者が販売・勧誘によって老後の生活設計商品として利用している変額年金のトラブルのことを申し上げてきているのですけれども、まさに変額年金の販売者資格試験というのは、以前に大きな被害をもたらした変額保険事件のあの変額保険の試験とほとんど変わらないのです。その試験に2002年に合格した銀行員が変額年金を販売しているという状況ですので、そういう状況だと問題は起こるべくして起こると私は思います。販売者の問題もきちんと位置づけることが必要ではないかと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

東委員のお話と合わせますと、どういう感じになるんですかね。つまり3種類という意味が、出資した元本は、少なくとも一番わかりやすく言えば受け取った人がということになりますけれども、だれかが保証をしていると、もちろんその人の信用リスクは負うでしょうけれども。

それからもう1つは、出資したお金そのものが返ってこなくなるところまでの有限リスクというふうにおっしゃったのですけれども、第3分類がそれを超えて、池尾先生が追証等というふうにおっしゃったように、さらに供出しなければいけない。業者と顧客の関係を考えますと、相手がプロであればどれであるかすら説明しなくていいということだと思うのですけれども、アマの場合には、無限リスクというものは、およそ勧誘してはいけないという話なのか、3種類のどれかということを少なくともきちんと説明してください、説明をすればその後はちょっといろいろとあるでしょうけれども個人にも売ってよろしいという、そこら辺も顧客に分類があるのか。

そして、今、高橋委員がおっしゃったことは、販売者の方は第1類型のものしか売ってはいけない販売者がいるのではないかという話で、第2、第3分類あるいは第1、第2までは売っていいけれども、第3は売ってはいけないと、こういうふうに販売者の方を分けていってはどうかという、そういうご指摘だったと思うのですけれども、このあたりは。

原委員、どうぞ。

○原委員

販売者の問題については私の方は2回目に意見を申し上げたときにも話しましたのでぜひお願いしたいと思いますが、それも含めてなのですが、契約締結後の不公正取引についての規定をぜひ設けて頂きたいというふうに思っております。資料の1だと2ページのところの(1)のマル1のところに「資産運用・助言業務の関係」ということで整理をされていて、そして、資料1-4のところで、資産運用について各事業体でどのように規制がかかっているかということが入っているのですが、実際に契約締結後に行われる不公正取引で損失を被る場合というのも大変多いということです。やはり一般的な原則として、契約締結後も顧客に対して信任義務を負うというものを設けて、そして具体的な義務を課す、これは積極的な義務として先ほどきちんとした情報提供をしなければいけないのではないかというふうなことがありましたけれども、きちんとした情報提供、それから、特段の状況における注意喚起のような義務がかかるし、それから、不利な解約の禁止とか、この契約締結後の不公正取引について、資産運用だけにとどまらず、もう少し一般原則と具体的にやるべきこととやってはいけないということについて規定を入れていって頂きたいというふうに思っております。

そこで、その販売員の問題についても、実際に当初の販売・勧誘の場面での販売の問題もありますけれども、契約締結後においても販売・勧誘の方との接触は別に投資顧問業に限らずいろいろな形であるわけですので、ここも私としてはかなりブラックボックスのような感じがしておりますので、今回を契機に整理をして頂きたいと思います。

以上です。

○神田部会長

不公正取引とおっしゃったのですけれども、それは不公正内容のものですか、それとも昔議論したときの言葉でアフターケア義務というのがあって、例えば冷蔵庫を売った人が後からその冷蔵庫に欠陥があることに気がつけば回収するとか、それは法的な義務なのかどうかはともかくとして、そういう議論がありまして、金融というか投資商品についても、それはただ売ったら売りっ放しでいいのかというような議論はしたことがあるのですが、今のお話は売った後に利益相反取引みたいなことがあるというそういうイメージなのか、あるいは、昔の言葉で言う、アフターケアという言葉がいいのかどうかはわかりませんけれども、当然継続的な投資信託なんかであれば報告というか運用報告書が送られるということはそれに含まれるわけですけれども。

○原委員

両方ですね。

○神田部会長

それでは、田中委員、どうぞ。

○田中委員

先ほどから出ておりますリスクの類型の1、2、3に関して、1つ私のコメントなのですが。

今、議論をいろいろとお伺いしていますと、本当にリスクの絶対量とか絶対的な尺度が世の中に存在するかのようなことで皆さんは議論されているのですけれども、私からするとそうなのかなと。いろいろな商品の仕組みなどで、いろいろなところに受け渡し絡みの要素が入ってくると思うのですが、その受け渡しをだれが担保するのかというようなことによって、一見元本保証のように見えていても実際は全然そうではないというものは幾らでもごろごろしていると思います。それに対してどういうふうに考え方を入れればいいかというと、的確な判断ができるその判断基準、物差しを統一しておかなければいけないと。

例えば今の証取法であればいろいろな取引に関して証券会社サイドの方はいろいろなものが決められているということが言えると思うのですが、法律などが、あるいは官庁が違っていたりすると、そのあたりのところの見落としが仮にあったりすると、表面上は元本保証であったとしてもそうでない可能性が出てくると。そういう面で、繰り返しになってしまいますが、この金融商品に対しての規制というものは同一の規制でないと、結果的にはいろいろなおかしなことが起こってしまうということが言えると思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

では、岩原委員、池尾委員の順でお願いします。

○岩原委員

全く今までの皆さんの議論から前に戻ってしまって大変恐縮なのですけれども。

2ページの(1)の業務の範囲についての基本的な考え方、特にマル2の「他の投資者保護を目的とする法律との関係」のところをさっきからずっと考えていたのですけれども。この2ページの下から3行目、網掛けの中の「同等の規制に服することが適当である」ということで、私もそうだと思うのですけれども、現実の実務で問題になっているのは、例えば現在ですと投資のアドバイス業務をやっていますと、証券の商品だけでなくて、当然、商品先物あるいは不動産関係の投資商品等についてもアドバイスをする、そういう全体として投資家の人にとって最もよい商品のアドバイスをするというのが本来必要であり、現実にそういうことが求められていると思うのですけれども、現行法ではそれが結局は各縦割りの業法で、兼業承認を受ければ可能なことになっているとは思うのですけれども、実際上はそういう兼業承認なんかの手続きの谷間に落っこちてしまって、なかなかそれが柔軟に行われていないという問題が起きているように思うんですね。そういったことを解消していく方向にしなければいけないのではないかというように思うのですけれども。そういう意味で、商品でも縦割り、特に原資産商品による縦割りというのをいかに改善していくかというのは具体的に求められていることではないかと思います。

そういう観点からしますと、最初に大森課長が前回の池尾委員の発言で議論されました、規制法をどういうふうに分類するかという問題と、規制法の内容がどういうふうになるかということと、その規制の執行者、監督者がだれかという問題は、決して簡単な問題ではない。既にさっきの商品先物あるいは不動産投資商品と証券については、現在は規制当局者は分かれているわけですよね。ここに書いてあることは、結局、さっき大森さんが本来は規制当局者は同じ規制であれば同じ当局者の方が望ましいと言った形に現在は少なくともなっていなくて、結局縦割りになっていて、それが兼業承認等の形で実際のアドバイス業務をやる上で問題になっていると。

その上のマル1のところを見ますと、証券については、ラップ口座を例に、むしろ証券会社と証券投資顧問業者をいわば一体化するというような考え方が示されているのですけれども、これはある意味で言うと、私は商品ごとに分けるのではなくてサービスごとに規制を分けていく、例えば販売ですとか、アドバイスですとか、あるいは仕組みを、商品をつくるとか、そういう形の方向に行くのかなと思っていたのですが、ここの書き方を見ると、むしろ証券を扱うということでアドバイスと販売を一体化するということに少なくともなっている。これは下手をすると逆にある意味での商品による縦割りの結果にもなりかねない面もあるように思っていまして。かつて証券投資顧問業法をつくって原則専業制にした認可業者については、これはある意味でアドバイスというサービスについて、純粋にそれで利益相反なんかの問題が起きないようにということでこういう仕組みをかつてはとったのだと思っておりまして、ある意味で言うと、この考え方はむしろサービスごとに機能的に規制をしていこうという考えでできていたものを、下手をするとこれはまた商品が縦割りごとになっていくことになりかねない面もあるという懸念をちょっと持った次第です。

むろん、ここに書いてあるように、複数の業を兼業した場合の利益相反等の防止によってそれをうまくやっていけるということなのかもしれませんけれども、そもそもこういったサービスによって機能的に規制をしていくことに分ける方向に行くのか、それともこういう商品ごとに各規制当局が異なってそれぞれが相互乗り合いをしていくようなことになるのか、そこら辺の基本的なイメージをどのように考えるのかという問題があるような感じがします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、池尾委員、どうぞ。

○池尾委員

もう時間が来ていますから結構です。

○神田部会長

よろしいですか。ご遠慮なく。

○池尾委員

では、一言だけ。

金融財政の一元化の議論をしているときに、別の場ですけれども同じようなことを言ったことがあるのですけれども。この金融サービスをなぜ横断化すべきかというのは、要するに、現代で言う投資というのはポートフォリオ投資だからだと思っているんですよね。だから、ポートフォリオの対象になるようなものは同じ土俵にないと、それは税制規制ルール等について投資行動を歪めることになるので望ましくないということだと思うんですね。だから、そういう意味では投資のリスクとかリターンをポートフォリオベースで考えなければいけないというのは当然のことは当然のことだと思うのですが、ただ、逆に、そうであれば、例えば外国為替証拠金取引について不招請勧誘を課しても何の弊害もないと思うんですよ。外貨預金をしているからヘッジしたいという人は、別に無差別に電話をしてもらわなくても外貨預金をする際にアドバイスとしてヘッジ手段はこういうものがありますよと紹介してもらえば済む話ですから。だから、ポートフォリオを組んでいく際に組成能力の差とかそういうものを考慮したような形でこういうルールというのは多分設定されていけばいいんだということで申し上げていたということであります。

○神田部会長

ありがとうございました。

ちょっと予定の時間を越えましたので今日はこのあたりにさせて頂きたいと思いますけれども、今日はまた先へ進んだご指摘を多数頂きましてどうもありがとうございました。今日のご指摘も十分に踏まえまして、先へ議論を進めていきたいと思います。

今日は論点3の資料につきましてはご説明を頂く時間もとれませんで大変申しわけありませんでしたけれども、次回に引き続き議論をさせて頂きます。

この後、記者会見を行いまして、本日の当部会の模様について私からお話をさせて頂きます。

最後に、事務局の方からご連絡をお願いします。

○大森市場課長

本日は私の発言に不穏かつ無神経な言葉があったことを深くお詫び申し上げます。あえて言い訳をしますと、ほかの審議会ではどのような位置づけであれ、当部会ではそうではないという文脈でございました。

次回の第一部会は3月3日(木)の10時で予定をさせて頂いておりますので、よろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、本日はこれで散会いたします。

午後12時06分閉会

サイトマップ

ページの先頭に戻る