金融審議会金融分科会第一部会(第27回)議事録

平成17年3月16日

金融庁 総務企画局

午前10時00分開会

○神田部会長

おはようございます。それでは、時間になりましたので、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第27回目の会議を開催させて頂きます。

皆様方には、本日もご多忙のところお集まり頂きまして、ありがとうございます。

会議に先立ちまして、いつものことではございますが、本日の会議は公開とさせて頂いております。この点をご了解頂きたいと思います。

本日ですが、まず、前回資料をお配りさせて頂きましたけれども、追加のご議論というかご説明を含めて、今日に延期になりましたお手元の「規制内容について(3)」というものについて議論をお願いしたいと思います。私は前回ちょっと言い方がよくなかったかもしれませんが、これは全く議論していないということではございませんで、一度議論して頂いたものを皆様方からいろいろご意見を頂きましたので、それを盛り込んでいわゆるバージョンアップしたものでありまして、それにつきまして今日まずもう一度ご議論をお願いしたいと思います。それから、続きまして、これは新しいものということになりますけれども、資料自体は前回には配布しておりませんで、今日新しく「ルールの実効性の確保(エンフォースメント)について(1)」というこのテーマについてご議論をお願いしたいと思います。そういう順序で議事次第に従いましてご審議をお願いします。

それでは、事務局から「規制内容について(3)」、これを説明して頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○大森市場課長

世間では相変わらずいろいろなことが起こっていますけれども、とりあえず今日は続きをお願いしたいということで、これまでの議論を踏まえて追加したのが網掛け部分でございます。

投資サービス業の類型の中で、例えば引受というのは重要な機能ですけれども、それは発行体との関係であって、引き受けたものを販売する段になって一般投資者との関係が生じますし、あるいは自己売買も市場にとっては重要な機能ですけれども、それは投資サービス業者が大きな一般投資者になっているということで、そういう意味で一般の投資者に対する販売勧誘等や資産運用・助言業務が規制の議論としては重要で、それぞれが、現在、証取法と投資顧問業法に規定されているのをカバレッジの広がった投資サービス法においてどこまで一般化するかというのが中心になると思います。

3ページの3の「参入規制」は、予見可能性のある登録制という点にはこれまであまりご異論がなかったと思いますが、業務の性質に応じたハードルという、いわば当然のことを若干ブレークダウンして書いてございます。

その次の「受託者責任」は、制度的に自由化が進むほどに重要なルールになるわりに、私法を含む法体系全体の中で扱いが必ずしも判然としていないということで、ポストビッグバンの1つの論点になりまして、2000年の改正では投資信託の運用者について手当をされました。投資商品を販売するとか運用するということ自体が元来かなり微妙な仕事ですし、かつ、この受託者責任は、4ページの上の注にございますように、アメリカでは具体的ケースを解決する判例法として形成されてきたものですから、成文法の業者ルールとして一般化しますと何だか当たり前のことを言っているようにも見えます。

ただ、最近では、取締役が会社法の忠実義務を果たしているのか、あるいは反しているのかが大論争になっているわけで、日本でもこの先ますます裁判で決着をつける社会になってくるのでしょうし、私法は相変わらず判然としていませんので、裁判の拠り所という意味からも、また、裁判に至らない行政的エンフォースメントの拠り所という意味からも、この受託者責任を投資サービス法でどう位置づけるかは重要なのだろうと思います。この場合、だれが何をしなければならないかではなく、どういう業務だから何をしなければならないという決め方になるので、典型的には、資産運用において、プル-デントマンとしての注意義務とか顧客への忠実義務といったもので、逆から言いますと、資産運用は受託者責任をしっかり果たすほどリターンが高まるので受託者責任が重要だと言われるのですが、受託者の努力とリターンが連動しない場合、例えば預金などはどう考えるかということがあります。

ここでは、まず、販売業者は、証取法に誠実公正義務がありますので、投資サービス法の販売業者にも横断的に義務づけてはどうかと。4ページのマル2の資産運用・助言業者も投資顧問業法の受託者責任を投資サービス法で一般化してもいいのではないかという提案をしております。マル3は、さらに、受託者責任から派生する適合性原則、最良執行義務、顧客に対する説明・書面交付義務などについて、ここでは資産運用業者に対する最良執行義務という例を挙げておりますけれども、投資サービス法でどこまで一般化するのが望ましいかということでございます。

次の(2)は、前々回、投資商品のリスクの性質、元本保証か元本の範囲内での損失可能性か元本以上の損失可能性かに応じて投資者保護の度合いを整理してはどうかという議論がございました。現状はもっと複雑だというご意見もありましたけれども、国民にとっては大変わかりやすい考え方ですから、もう少し議論を進めてはどうかと思います。

5ページのこの3分類ですけれども、マル1では、元本保証の例として、国債を挙げておりまして、恐らくこれまで証券外務員資格のない郵便局員が販売してきているのはリスクの性質を反映しているという言い方もできると思います。その下に3つ、貸出債権を担保とともに小口化した抵当証券は貸出先の返済能力や担保価値に依存していますが、保証会社が元本を保証しております。とはいえ、大和都市管財事件のように保証会社がつぶれてしまいますと元も子もなくなると。ただ、銀行だってつぶれてしまいますと元本が預金保証されないという世界に来月から入ることになりますので、これはセーフティーネットの程度の差で説明するのかどうかということでしょうか。外貨預金につきましては、もう五、六年前でしたか、大阪のある地銀の頭取さんから、旅行会社と提携して円高になったら海外旅行で使ってもらう外貨預金が人気ですなんて言われて結構感心したのですけれども、あまりそういうリスクヘッジの仕方は一般的ではないかもしれないですね。その下の、満期まで保有すれば元本は保証されるが、中途解約すればその限りではない商品もたくさんございます。その上の文章の3行目以降にありますように、金融商品販売法で言う元本欠損とは、販売後、いずれかの時点で欠損が生じるかどうかだとされておりますので、ただいま挙げました例は、国債も含め、金販法上は元本保証とは言えないと解釈されております。

当然ながら典型的に元本保証とは言えないのがマル2の株式や投信であって、ご承知のとおり、金販法にはリスクの説明義務、説明しなかった場合の損害賠償責任や損害額推定規定が置かれております。

マル3は元本以上の損失可能性の例としてデリバティブを挙げておりますが、自動的にロスカットされる契約になっている場合や、ヘッジ目的、組み合わせ商品になっている場合はどう考えるかということで、商品取引所法には、リスクがマックスどうなっているのかの説明義務、説明しなかった場合の損害賠償責任規定がおかれております。

次の(3)の「公衆縦覧型ディスクロージャー」について証取法は、金販法流に厳密に言えば元本保証ではないのですけれども、ほぼそれに準ずる、6ページの注の部分ですけれども、国債、貸付信託受益証券、政府保証債などは適用除外しております。一方、証取法の有価証券ではない投資商品は、譲渡を禁止しているからディスクロージャーは相対でよいということになっております。ディスクロージャーが公開か相対かは、単に相手の数が違うというだけではなくて、公開することによってその質が担保されるわけですから、公募するなら公開が望ましいと思いますが、譲渡が制限されているからそれには及ばないという場合もありましょうから、その線引きの問題でございます。

その次の(4)の「プロとアマ」はこれまでより若干ブレークダウンしておりまして、文章は正確に書いてあるのでややわかりづらいかもしれませんが、アメリカではどのような場合に私募としてSEC登録が免除されるかを規定しているのがレギュレーションD規則501-508で、自衛力認定投資家、リスクを理解できる投資家が対象であれば免除されるということになっております。日本では適格機関投資家が金融機関と保有有価証券100億円以上の会社で、かつ届出をしたものに限られておりますので、法人の範囲としても個人を含んでいないという意味でも、アメリカよりかなり狭くなっております。

注のEU指令は何回か前のセッションでご紹介いたしましたが、日本よりは適格投資家の範囲がかなり広くなっております。資料にございますSEC規則の144Aというのは、こうした私募証券についてだれが転売してもよいかを規定していまして、この転売できる人の範囲がほぼ日本の適格機関投資家と同等になっているのですが、入口の募集時点でのプロの範囲に差があります。この範囲を広げることが望ましいのではないかという総論にはこれまで異論を頂いていないと認識しておりますが、具体的にどの程度広げるのかとか、広げるとした場合に定義に該当する者に自発的に届け出てもらうのか、届出は不要で拒否権を留保しておくのかというオプト・イン、オプト・アウトという論点もございます。このプロ・アマ区分は有価証券届出書を免除されるかどうかというディスクロージャーの問題として規定されておりますが、元来ほとんどの行為規制は業者と顧客の情報の非対称性を埋めるためのものですから、行為規制全般にこの区分を及ぼすというのがEUの新指令でございます。

7ページのマル2にありますように、誠実公正義務、情報提供義務、適合性原則、書面交付義務などにつき、プロかアマかを考慮して細則を定めるとされております。これ自体はそんなに目新しい考え方でもなくて、先ほど申し上げた最良執行義務、来月から日本でも始まりますけれども、明らかにプロ同士でしか行われないような取引は除外しております。行為規制はコストですから、コストをかける必要のないところにかかっていれば副作用であって、投資サービス法の基本原則としてどう考えるかということでございます。このEUの方向性に倣うのかどうか、倣うのならどの程度か、オプト・イン、アウトという同じ論点がございますし、注の一番下にありますように、イギリスでプロとアマの間にセミプロ、専門知識を有する一般顧客というカテゴリーがあるのも参考になると思います。

次の「適合性の原則」は投資サービス法においても一般化すべしというご意見を頂いておりますが、カバレッジの広がった投資消費の販売のみならず、資産運用・助言にもかかってくるとすると販売の場合とどう違うかで、ヨーロッパでは資産運用・助言を行う場合の適合性とは販売を行う場合に、必要とされる知識、経験のほか、財務状況、投資目的を勘案することだとされているようですが、そうなると先ほどの受託者責任とも重なってくるので、どっち側から整理していくかという面があると思います。

次の「広告規制」はやや微妙な論点で、外為証拠金取引に際しては広告において、何が言ってはいけないことなのか、何が言わなくてはいけないことなのかという、新しいタイプの規制を導入いたします。これを投資サービス法で一般化するのか、それとも基本的には業者の見識に委ねるのかということでございます。また、何が勧誘で何が広告なのかというのは1対1かどうかで考えてきておりまして、Webサイトに表示するだけなら広告で、電子メールやファクスは勧誘といった類型化の必要性も議論があると思います。

次の「手数料開示」も、義務なのか商売のやり方なのかという議論の構造としては同じでございます。

最後に、「不招請勧誘」の禁止の範囲というコントラバーシャルなテーマが残っておりまして、公平に見て、外為証拠金の議論では、商品の属性というよりは営業の実態から導かれたと言ってよいと思います。無差別に電話や訪問勧誘しますと大変人件費がかかりますから、たまたま興味を示したお客を食い物にしないと経営が成り立たない、そういう経営なら最初から断念してもらった方がいいということでございます。荒っぽく言いますと、業者の方は自らの本業に波及しないのならしようがないかという気持ちがあって、金融審議会だから当事者不在で短期間で決めたという面があったと思いますけれども、投資サービス法においてはどうしましょうかということでございます。

「その他」、行為規制をめぐってのご意見があれば自由にお願いしたいと思います。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

網掛けの部分がいつものように皆様方のご指摘を受けてバージョンアップさせて頂いた部分ですけれども、かなり多くの重要な点が含まれておりますので、今ご説明頂きました点につきましてご質問、ご意見をお願いしたいと思います。どなたからでもどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

幾つかあるのですけれども、やはりこの行為規制を考える場合には、今までにはどういう問題が起こってきたのか、あるいは、その辺について裁判所なり法理がどのように発展したのかということを踏まえることが大変重要だと思います、もちろんこれからの新しい商品がどのように出るのか、あるいは新しいビジネスモデルがどのように出るのかということも考えるわけですけれども。そういう観点から言うと、いろいろルールが決まることと裏腹といいますか、それが違反あるいは守られなかったときにどのように制裁措置があるのか、あるいは消費者から言えば救済があるのかというところが大変大事で、1つだけ挙げるとすれば、例えば7ページの下の「適合性原則」のところですけれども、ここはやはり前の金融商品販売法のときにも若干議論がありましたけれども、これに違反があった場合には取り消しあるいは損害賠償責任を負うというような民事的な効果、つまり、消費者が自分で事後に救済する手立てがあるということを明確にするということがこのルールに魂を入れるということで大変大事なのではないかと思います。

あと、これはいろいろ議論があるところだと思いますけれども、8ページの(8)の不招請勧誘ですけれども、私の考えとしては、不招請勧誘というのはそれこそ原則禁止にして、その上でそのほかのルールなり、あるいは例えば自主規制機関がそれなりの手立てをつけられているようなものについてはその禁止を解除していくという方向で、それこそ我々が今想定していない、あるいは排除されるべきと考えるような商品なりサービスが、あるいは悪徳商法が排除できるような工夫が必要かと思います。

最後にしますけれども、この説明義務のところはいろいろ言いたいことがありまして、ただ一言で言いますと、いわゆる無理やり要約すると、ワーストシナリオを告知すればよいというようなことだけでは少なくとも今までの裁判例なんかから見ると不十分なのではないかというふうに思います。私がいつも引かせてもらうのは東京高裁の平成8年11月27日の判決ですけれども、そこでは、金融商品というのはあくまでもリスクとリターンの組み合わせであるから、利益やリスクに関する的確な情報の提供や説明を行う、それで投資家がこれについての正しい理解を形成した上で、その自主的な判断に基づいてその取引を行うかどうかを決することができるように配慮すべき義務、これを説明義務と言うという定義になっておりますので、私の考えとしては、例えば今のような包括的な義務を決めた上で、さらに類型的にサービスあるいは取引の状況に応じた細かいルールを決めるというのが適当なのではないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

今日の分野についてはかなりきちんとした考え方が示されれば消費者トラブルが減ることが大変期待されるところでありますので、私としては、ちょっと長くなりますけれども、考えてきたことを述べさせて頂きたいと思います。

大前提として金融商品販売法が既に制定をされているわけなのですけれども、やはり機能しているとは言いがたいということを言っておきたいと思います。4つの場面についてなのですが、ちょっと今日のレジュメに必ずしも沿っていなくて恐縮ですけれども、1つは適合性の原則の徹底というところです。ここは3つに分けて考えておりまして、その3つに入る前に顧客調査のルールについての規定が要ると思っておりまして、これは個人情報保護法がスタートいたしますので、どういった調査方法をとるのか、情報管理、本人情報への開示ということについての規定が要ると思います。その後に3つなのですが、大前提としてベストアドバイス義務というのを努力義務でかけて頂きたい。2つ目に、一般原則として適合した商品を販売しなければならないというのが今までの適合性の原則の考え方ではありますけれども、これプラスその人に合わない商品は販売しないというような考え方もとり得るのではないかと思います。3つ目は、特殊な原則として置いて頂きたいのが、一定の顧客にはどんなに説明を尽くしても販売はできない不適合な商品群というのがあるのではないかというふうに、適合性の原則については思います。

それから、2番目のジャンルなのですが、勧誘・販売に係るルールのところですが、今日は少しブレークダウンして頂いてわかりやすくなりましたけれども、ここも3つのジャンルに分かれて、1つは広告類ということで、ここは表示規制がかかるということになると思います。2つ目が、ダイレクトメールとかファクスとかEメールとかですね、特定の個人に入ってくる情報ですが、人は接触しないけれども勧誘に当たる部分ですね、ここは表示規制をかけてオプト・アウトの方式、拒否をするものにはもう届けないという形をとって頂きたいと思います。3つ目が、今日の資料の不招請勧誘のところに出ておりますけれども、電話とか訪問による勧誘の部分ですが、ここは投資サービスということを考えるとやはりリスクがかかわる商品群ということになりますので、私としては、原則禁止をして、その中で自主規制がかかるとか、特殊なものについては解除するという方向を目指して頂きたいと思います。それが2つ目のジャンルです。

3番目なのですが、不適正な勧誘と販売についての禁止の規定を設けて頂きたいと思います。この中を2つに分けて思っておりまして、1つが、正確な認識を歪める行為として、不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知、判断力不足の悪用を入れて頂きたいと。2つ目の類型としては自由な意思を妨げる行為ということで、執拗な勧誘、威迫、不退去、監禁、その他の迷惑類型ということで、これは消費者契約法プラス金融商品ということで考えて頂きたいということになります。

4番目なのですが、この説明義務についてのところですけれども、これは金融商品販売法でもリスクにかかわるというところで重要事項の説明義務がかかっておりますけれども、当初、金融商品販売法を検討している段階から、リスクにかかわるだけではなくて、商品の仕組み、手数料、こういったものについても重要事項として説明をして頂きたい、それから、説明方法については、今は電子媒体が随分使われておりますけれども、やはり書面を原則として頂きたい、それから、きちんと消費者が理解をしたかどうかという理解確認まで含めての説明義務として構成をして頂きたいと思います。

それから、触れてはいないのですけれども、消費者から見ていて思いますのは、苦情とか相談の窓口をぜひ設置して頂きたいと考えておりまして、これが規制内容の中に入るのかどうかはちょっと何とも言えないのですけれども、意見としては述べさせておいて頂きたいと思います。

それから補足的に2つなのですが、参入規制についてですけれども、事業者を登録制にすることを原則として、あとはその商品類型ごとの登録ということになると思うのですけれども、実際にどういう事業者が登場してくるかわからないわけで、私としては、調査権限というのでしょうか、あまりおかしな事業をやっているところには調査に入れるというような権限も含めて検討して頂きたいと思います。

それからもう1点は、運用ルールのところについての規定というところで受託者責任の話が入ってきておりまして、これは私も前回申し上げたところではあるのですけれども、ここの充実は望みたいと思っておりますけれども、今回挙げられている助言と言われているものの範囲をどこまで考えていらっしゃるのか、投資顧問業は当然入ってくると思いますけれども、それ以外の例えばアナリストですとか情報分析をする人というようなところまでありますので、どこまでの範囲をその中に取り込むかということについても検討を尽くすべきだと思います。

それから、大変素人の考えで恐縮なのですけれども、これまでも、公正誠実義務とか善管注意義務、忠実義務、そういった多くの義務が課せられていて、本来このことがやられていればトラブルなんて起こらないではないかと思うのですけれども、具体的にはこの善管注意義務とか忠実義務とか公正誠実義務というのは今までどのように担保されていたのか、この言葉をそのまま使うことで確実に運用ルールのところできちんとした消費者、投資家への義務が果たされることになるのかということもあわせて検討して頂きたいと思います。

最後に、上柳委員がおっしゃられたように、すべて、消費者、利用者側から見ると、賠償責任も含めてどういった形でエンフォースメントが構成されるかということが大変大きな問題だというふうに思っておりますので、それとも絡めて検討を尽くして頂きたいと思います。

大変長くなりまして恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。大変重要な点を整理してご指摘頂きましてありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

今、論点になっている点から先に申し上げますと、不招請勧誘は原則禁止というご提案がありました。今の現状から見ていろいろと勧誘で困っている人がいるではないかという前提のお話だったと思うのですけれども、ただ、その話にもあったように、適合性原則というのは非常に大事な原則で、これをもっと充実していくというご提案、さっき大森課長からご説明があったところでもそれの見直しということが入っているので、適合性原則というのはこの投資サービス法の非常に大事な一般原則として考えていくべきだと思います。

そういうことがされるという前提で不招請勧誘の禁止を原則にするという考え方は一体どういうことなのかなということなのですが、そもそも勧誘というのはまさに新しい商品あるいは新しい仕組みというものを一般の消費者あるいは機関投資家に知らせるということで、投資家にとって情報提供ということであり、まさに投資家サービス、消費者サービスの非常に大事な切り口だと思います。そこに問題があるとすれば、適合性原則が守られていないとか、あるいは断っても断ってもまた来てしまったというようなことでありまして、そのことと不招請勧誘というのを同時に論じてはいけないだろうと思います。

先ほどご説明がありましたように、証拠金先物取引について議論がありましたときも、まさにその時期の営業の実態ということに鑑みて、新しく適合性原則というものを入れていくにしてもその担保は十分でないだろうということで、特にこの商品というものに、あるいはこの営業というものに限定して導入されたというふうに記憶しております。一般原則として不招請勧誘の禁止というものを入れていくということにつきましては、適合性原則との関係の理論的な説明が不十分ではないかというふうに思います。証拠金先物取引のときの議論にあったように、非常に例外的で特殊なケースで必要だというような議論があるいはあり得るかと思いますけれども、一般原則としては、適合性原則で対応すべきことではないかというふうに思います。

それから、今、発言の機会を頂いたので、そのほかの点についても若干感想を述べたいのですが。リスクの3分類の提案がありました。前回議論がありましたように、リスクの度合いに応じて規制の対応が違ってくるという考え方は、新しい投資サービスの規制を柔構造にしようという、基本としてそういう考え方によるものだろうというふうに思いました。ただ、これをここにありますように機械的に分類をして規制を変えていくということでは、ここに既に問題点やいろいろな疑問点、検討すべき点というのが挙げられておりますけれども、その分類をいたしましたときにどの分類に入るかというのは大変難しい問題でありますし、現実にそれがワークするかというのはなかなか難しいと思います。それに加えまして、これは前回何人かの委員からご指摘があったように、内在するリスクというのは果たして把握できるのかということがありまして、最初の問題と同じことかもしれませんけれども、本質的なリスクというのを見出すというのはなかなか難しい点があると思います。

それからもう1つは、こういう形でマトリックス的に規制をするということになりますと、いわば形式的な分類で規制をしていくことになりますと、商品を開発する段階で偏りが生じ、規制の少なく見える商品をつくる、あるいは形式的にそういう方に移していくということになってしまう。金融商品の開発の中立性が歪むということがあるのではないかという気がいたします。リスクに応じた規制とするという基本的な考え方は大事な考え方だと思いますけれども、こういうような形で分類をして取り入れていくのではなくて、例えば特にレバレッジの高いものに対して規制を置くとかというようなことでこの考え方を活用していくということがいいのではないかというふうに思います。

それから、参入規制のところは、今、原委員が調査権限というふうにおっしゃったのは大変示唆に富んだご提案だと思います。形式的な基準での登録で、一定の要件を満たせば登録するということではなくて、その参入に際して実質的な判断ができるような仕組みというものが必要だろうというふうに思います。なお、この点に関しては、これは文章の意味なのですけれども、「登録制とする」というふうに書いてあるのですが、原則登録制とするということであって、業務の内容とか商品の内容によっては認可制などのものがあるということをしっかり業務ごとに判断していくんだというふうに、そういう意味で原則としてと書いてあるかと思いますが、その点はもし違っていれば教えて頂きたいと思います。

それからもう1つ、広告の規制のお話ですが、これも先ほどの議論と同様、消費者に対して、どういう創意工夫で商品を説明するかという問題だと思います。そのサービス精神は期待しないで全部一定の規制の下に置いてしまうというのがいいのかということで、むしろ虚偽であるとか、矛盾であるとか、してはならない禁止すべき点を規定した上、それ以外は自由に創意工夫が生かせるというような仕組みとどちらが消費者のためになるかというようなことを考える必要があるのではないかというふうに思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、お隣の田中委員、どうぞ。

○田中委員

先ほどから何人かの委員の方から、個人の投資家の方が被害に遭わないようにきちんといろいろな規制を業者に課して万全の対策をとっていこうという趣旨の発言があったかと思うのですが、その趣旨そのものに関してはまさにそのとおりで納得いたします。ただ、その一方で忘れてはならないもう1つの観点があるのではないかと思います。現在、この「貯蓄から投資へ」というのは大きな国の政策になってございます。今回ここで投資サービス法の議論をいろいろとしているわけですが、これはまさにそういう大きな流れを促進する、あるいはその前提条件をつくるということであると私は理解しています。

つまり、投資サービス法というものをつくることによって、きちんとした投資商品を、安全性の高い投資商品というものを確立していく、従来は証取法から漏れていたものもすべて網羅して、投資商品というのはきちんとした法律の下で、きちんとした行政の下で担保されているという形をつくる、これによって今まで投資になじみのなかった個人の方が投資をしていくというのをつくらなければいけない。現在、投資が貯蓄に偏っているというのは安全性、信頼性が欠けているという部分があるからです。また、それと同時に、日本の国民の方々の投資商品に対しての意識が不足している、正確に理解すればどんどん投資に対しての関心を持つべきところが、情報、知識が不足しているので行われないという部分があると思うのです。したがいまして、この投資サービス法を導入すると同時に、投資の信頼性、安全性というのを確保するとともに、適切な啓蒙活動あるいは勧誘活動というものが不可欠になると思います。

したがいまして、冒頭申し上げた被害を出さないということできちんと対応するという考え方そのものは極めて重要である一方、本来、知識や情報を提供することによって適正な投資判断をして頂くという側面を著しく阻害しないように気をつけなければいけないと思います。そういう面で、具体的には不招請勧誘のところ、これに関しての考え方というのは極めて難しい要素が入っていると思いますので、一方的な議論で何かを考えるということではなくて、バランスをとって考えなければいけないというふうに考えます。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、太田委員、石橋委員の順番でお願いします。

○太田委員

今の高橋委員に必ずしも反対する意見ではないのですけれども、広告規制と手数料の開示及び不招請勧誘は、現在、改正金融先物取引法だけに規定されているわけですが、なぜ金融先物取引法だけに規定されているのかということなのです。投資サービス法のような一般横断的な法律をつくって投資家保護を図り、よいマーケットをつくって貯蓄から投資への流れを促進しようという政策趣旨が求められているのであれば、原則として、広告規制も手数料開示も不招請勧誘も全投資商品にかけるべきだと思います。もしそれが不都合であるならば、個別に、その解除する理由を明確にすべきではないかと思っています。

広告規制については、金先法に書いてある程度のことは皆さんがご心配になるようなものではないと思いますし、手数料については、外国為替証拠金取引については今年の7月から規制がかかるということで、今、手数料引下げ競争がOTCで始まっているようでございますが、表面上は手数料ゼロというような商品をつくって、実際は為替の差益を鞘抜きするとかスワップポイントについての鞘を抜くとかということで、外面的には手数料はゼロという商品で投資家を釣るような行為も行われているようですので、やはり手数料はちゃんと開示させることが必要ではないかと思います。そうでないとせっかく投資サービス法を制定することに意味がないと思います。どうしても不招請勧誘が不適切な場合は、商品ごとにその理由を明確にすべきではないかと。

例えば、先ほどから問題になっており、私も必ずしもワーカブルではないとは思いますが、元本保証か保証でないかという区分けは一つの考え方なので、少なくとも元本保証でないものは不招請勧誘をかけるとか、そういう論理性がないとこういう3分類をする意味もないと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、石橋委員、どうぞ。

○石橋委員

私も不招請勧誘について、一言お話しさせて頂きたいと思うのですが、

まず第1に、証拠金取引のときにこの議論があったと思いますが、高橋委員が言われたとおり、私もそのときの理解は、限定的な形で証拠金取引あるいはそれと同等のものについてのみ不招請勧誘を入れていくというような流れであったのではないかというふうに理解をしております。また、一般的にこの不招請勧誘について申しますと、商品あるいはサービスのお客様へのアプローチ・アクセスを制限するということについてどういうふうに考えていくのかということについては、やはり慎重に検討すべきテーマだというふうに思っております。

むしろ、どちらかと言えば、基本的なアプローチとしては、まず原則可とする中で問題的に多いようなもの、あるいは例外的な形でそういうものを具体的に何をもって不可とするかというようなアプローチが一般的ではないかと私は理解しております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

種橋委員、どうぞ。

○種橋委員

従来、これまでの議論で行われていた中におきまして、私の理解は、元本が毀損する恐れのない商品が貯蓄商品、また、一方で、元本毀損の恐れがある商品につきましては投資サービス法の適用対象であります投資商品、というような議論がなされていたのではないかと考えておったわけでございます。今回、先ほど来お話に出ております「金融商品の商品分類」というところで3分類に分けておられますけれども、この中で若干私の気がついたところを申し上げますと、資料1-7というところで3分類の明細が記載されておりますが、この中にデリバティブ預金というのが2つ目の「投資元本までのリスク」がある商品として取り扱われております。ただ、この「デリバティブ」及び「デリバティブ預金」という定義・概念は非常に幅広いものが入ってくるという実態でございまして、一言では言い切れないものだと思います。

例えば、その中には変動の範囲が利息の範囲内に収まるものというのも多々あるわけでございまして、そういうものにつきましては要するに預金の元本が保証されるという形になるわけでございます。このような商品についても投資商品として扱うのは適当ではないのではないかという気がいたします。

2つ目に、外貨預金等の外貨建金融商品につきましては以前にも議論があったわけでございますけれども、その性質は円建ての商品と異なるものではないのではないかと考えます。本来、円建ての金融商品と同様に考えて、外貨ベースで元本が保証されておりましたら、これは貯蓄商品という扱いでいいのではないかと考えます。

3つ目に、中途解約等に伴う違約金や手数料というのは、本来、商品の元本自体の価格変動とは異なるものだという分類をすべきではないかと思います。したがって、投資商品か否かを判断する基準とは別に考えまして、これはあくまでも金融商品全般を対象といたしました金融商品販売業者に重要事項の説明義務を課します金融商品販売法の議論と考えるべきではないかと思っています。

それから、不招請勧誘のところでございますけれども、ここにおきましても、先ほど来、石橋委員をはじめとした方のご発言にありましたように、私自身も基本的なところにつきましては、やはり不招請勧誘の条項をかけないと問題のあるような商品にのみ不招請勧誘を網掛けすべきではないかというふうに思っております。また、銀行法とか保険業法等におきまして既に行為規制チェックが働いているようなものにつきまして不招請勧誘をかけることの必然性があるのかどうかと感じます。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、藤沢委員、どうぞ。

○藤沢委員

もうかなりたくさんの先生方からご意見が出てありまして、大変勉強になるお話を伺っていると思いますが、その中で私も一言だけ申し上げさせて頂きたいのがやはり今回の貯蓄から投資へという範囲の中で、考え方の中で、投資家保護と投資家教育、田中委員もおっしゃいましたけれども、このあたりのバランスというのをよく考えておかなくてはいけないのではないかということを感じております。保護というものが全面に出すぎることによって投資家が学びチャレンジしていくというその機会を失わせるようなことがこの法律の中で起きてきてしまっては非常に残念なことではないかと思っております。

その流れの中で、不招請勧誘につきましても、すべてを原則的にというのは確かに大切なことではありますが、実際の今の新しいビジネスを見ておりますと、代理店制度などがスタートしまして、全く別の業態の方が、例えば、非常に極端な話ですけれども、牛乳宅配、野菜宅配をやっていらっしゃる方が同時に保険であるとか金融商品の勧誘というものを始められる可能性というのが、既にもう議論が始まっている状態です。では、そのように野菜を届けたときのそれは不招請勧誘なのかというのは非常に微妙な問題もありますし、やはり投資家教育ということを考えると最初はコミュニケーションということが大切で、それが不招請勧誘であるかないかという判断というのは非常に難しい問題が起きてくると思うのです。

では、その場合に適合性の原則などをどのようにそこにかみ合わせていくかということ、そして、先ほどの商品の分類に関しましても、それであれば、そのどの分類までであればある程度オーケーとするかというところになってくるかと思うのですが、その分類に関しても一言申し上げさせて頂きますと、元本が保証されているもの、元本範囲内のリスクがあるもの、元本以上のリスクがあるものという分類なのですけれども、何人かの委員の先生方がおっしゃいましたように、内在しているリスクの担保というのをだれがどのようにやっているかということは非常に難しいものがありますので、私がもしこの分類を少し変更するというふうに考えるのであれば、元本以上の欠損があるのかないのかのこの2つの分類でいいのではないかと。基本的には、元本保証があるといいましても、先ほどおっしゃいましたように、銀行が破綻した場合はそうではありませんし、それから、すべてのものにおいてリスクがあるということを私はきちんと理解して頂く必要があると思いますので、あえて分類するのであれば元本の範囲内もしくはそうでないという大きな分類の程度で考えるべきではないかというふうに考えております。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

たびたびで恐縮です。いろいろな方々からご意見を頂きまして、大変興味深くお聞きしました。簡単に4点だけ追加でお願いしたいと思います。

不招請勧誘の禁止については、外国為替証拠金取引特有の、そのときだけの議論と承知していたという発言だったのですが、もちろん外国為替証拠金取引というものは緊急避難的に何らかの対応をとらなければ被害が拡大しているということがありましたから入れましたけれども、ただ、不招請勧誘の禁止ということは、先ほど大森課長から商売のルールとしていかがなものかというお話もありましたけれども、それに加えて、神田先生から、適合性の原則を徹底していくと不招請勧誘の禁止ということにもたどり着くということで、私は、必ずしもこの議論というのは矛盾していなくて連動した中で考えられると思っておりますので、ぜひ検討を尽くして頂きたいと思いますし、今の金融先物取引法の改正とあわせて内閣府令とかそのあたりの準備もなされていますので、言葉だけではなくて、もう少しこの内容に踏み込んだところで何を考えたらいいのかということを検討して頂きたいと思います。

2点目なのですが、高橋委員からご意見が出ておりましたけれども、広告については、私は1時間でも2時間でもしゃべることができるぐらい材料があるのですが、実際には、大変活字が小さいという基本的な問題から、非常に有利誤認しやすいというのが金融広告の特徴です、私自身は「消費者のためになった広告コンクール」(日本広告主協会主催)の審査員というのを20年ぐらいやっていて各分野を見させて頂いているのですけれども、非常に金融分野は有利誤認しやすい、特に金利表現を使って、それを強調しての表現というのが大変多いという特徴があります。それから、手数料などの基本的な情報、必要な情報というのが書いていないとか、ばらばらに書いてあるというようなところがあって、一括表示は必ず必要だと思っておりまして、広告の分野では、創意工夫で自由にというのはもちろんあるのですけれども、情報としてはそこで完結をしなければいけないというのが大原則なので、一方的な有利な情報だけが掲載されるということはやはり原則あり得ないと考えて頂きたいと思います。それから、実際の場面では、広告に載せたことによっていかにもその商品が世の中に流通していて認められているかのように使われている場合というのも大変多くありますので、この規定はきちんと入れて頂きたいと思います。

3点目なのですが、種橋委員の方から外貨預金の話が出て、円建て商品と同様でいいのではないかというお話だったのですが、私としては、やはり為替リスクとか手数料を考えると、かなり消費者には預金というイメージと実際の商品内容とが違うというところがあって、ここは私としてはリスクのある商品に入れて頂きたいと思っております。

以上ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。過去の議事録を見ていましたら私はしゃべりすぎているので、今日は絶対に何もしゃべらないと覚悟して来たのですけれども、ちょっと今名前が出ましたので一言だけお許し頂きたいと思います。

私の理解では、外為証拠金取引のときの私の考え方で皆様方と共有させて頂いたかどうかはご異論があるかもしれませんけれども、不招請勧誘と適合性原則との関係というのは、適合性原則というのが守られていれば不招請勧誘禁止は不要であるという理解なのです。なぜなら、適合性原則の中には、ふさわしくない人にはふさわしくない商品を売ってはいけないというのが含まれているからなのです。ですから、外為証拠金取引の例で言いますと、例えば寝たきりのお年寄りにある種のレバレッジの高い証拠金取引というのは売ってはいけないはずなのですね、適合性原則からいって。しかし、適合性原則が守られないというか、あるいは違反が、これは上柳委員が最初におっしゃったことですが、ちゃんとエンフォースされないということであるとすると、そういう分野がある場合には適合性原則の違反を未然に防止するためにいわば事前ルールとしての不招請勧誘禁止というものも置かざるを得ないし、また、置く必要があるでしょうと。ですから、あくまで基本的な考え方は適合性原則なのです。それが100%守られていれば不招請勧誘禁止というのは要らないはずのものなのです。ですから、その関係をどういうふうに考えるのですかという意味で不招請勧誘禁止ルールというのは適合性原則を具体化した事前ルールであると申し上げたつもりです。それが必要な分野があって、それが外為証拠金取引ですと、そういうふうに整理したつもりだったのですけれども。ちょっとその点だけ補足させて頂きます。それ以上は今日は私自身は控えさせて頂きたいと思います。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、東委員、それから高橋委員、お願いします。

○東委員

2つありまして、1つは1ページ目の「業務範囲」のところで、その「ポートフォリオの対象となり得る投資商品」とありますが、このポートフォリオの対象となり得ない投資商品というのは実はないのではないかと思います。ポートフォリオとは何かということを示すのでなければ、むしろ「投資商品」という単語だけで十分ではないかというのが1つ目であります。

2つ目は、先ほどの商品3分類の議論でありますが、私自身は、実際に分けることの難しさは十分承知の上で、限りなくこの方向で努力をすべきだろうと考えています。実際に分類することが難しいと思われますのは、5ページのマル3のところの「元本以上の損失が生ずるおそれ」の例として「先物、オプション」とあります。実は、「先物、オプション」が元本以上の損失を必ずしも生ずるとは限りません。つまり、オプションで言えばコールであれプットであれ、買う分にはそこで限定されています。売る場合にだけ限りなく損が出てくる可能性が出てきます。現実に先物、オプションを分けていこうとするときに、そう簡単ではないということはあろうかと思います。ただ逆の意味で、オプションはみな危険だという認識を持ってもらうこともまた大変間違った方向だろうと思います。

したがって、先ほど来出ている説明義務と言うときのリスク・リターンあるいはその教育という意味で、いかに本当のリスクとリターンとの関係を知ってもらうかということが最大の投資家教育ではないかと思います。限りなくリスク・リターンのバランスを認識した上で投資家に投資行動をとってもらうというのが、本来の貯蓄から投資への流れだろうというふうに思います。そういう意味では、リターンについては広告なり何なりが多くありますので、ここではあえてリスク側だけを書いているというふうに理解をしているわけです。できればそこのバランスも含めてリスクをどう消費者、投資家に認識してもらうかという最低の切り口として、ぜひ商品分類を工夫して頂ければというふうに思います。

以上であります。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、高橋委員、どうぞ。

○高橋(伸)委員

私も今の東委員と同様のご意見を申し上げようと思っていましたので重複する部分は避けさせて頂きますが、やはりリスク・リターンをきちんと知らせるということが原則だと思います。勧誘につきまして、先ほど来、複数の委員の方々から、投資家サービスあるいは消費者サービスの大事な切り口なのだというふうなご説明がありまして、また、投資者保護と投資家教育のバランスというようなお言葉もあったのですが、教育というものをどう定義するのか、投資家教育というものをどういう定義でおっしゃっているのかお伺いしたいです。少なくとも投資をしたいかどうかの判断を利害関係のある相手から受けるといい、というのは一般的に考えにくいことだと思うのですね。勧誘というのはまさにメリットを説明し、もちろんデメリットも説明するのでしょうけれども、それを教育というふうに位置づけられてしまいますと投資家保護という考え方とはかなりかけ離れてくるのではないかなと思いまして一言申し上げました。

○神田部会長

ありがとうございました。

では、斎藤委員、それから水上委員、お願いします。

○斎藤委員

既に議論が出ていますけれども、この5ページにあります投資商品のリスクに応じた分け方です。先ほど来ご議論がありますように、私も、確かにリスクとリターンのプロファイルをきちんと説明するということが基本なのであって、その個々のポジションについて、元本保証があるか、あるいは元本割れするか、あるいは元本以上の欠損が出るかという分類は意味があると思うのですね。ただ、それを、国債はそうだとか、株式がそうだという、個別の商品に当てはめるというのはあまり意味がないと思います。例えばデリバティブでもヘッジに使っている場合は、場合によっては最終的なキャッシュ・フローを全部確定してしまうこともできますので、そういうケースはもしかしたらマル1に該当するかもしれないわけであって、そういう個々のポジションの性格に応じてこういう分類をするなら意味があるけれども、それを国債とか株式といった商品で分類してもあまり意味がないのではないかという、そういう感じがいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、水上委員、どうぞ。

○水上委員

お話をいろいろ伺っていて1つ思いますのは、ミクロの話とマクロの話がかなり混同してしまっている点です。訴訟がいろいろな形で行われているないしはトラブルがあるというのはミクロの問題としては非常に重要であり、投資者にとっては生活とも関係してくるので、そこをどういうふうに救済するかという問題意識は非常に重要だと思います。ただ、一方で、何点かご指摘もありましたけれども、貯蓄から投資への流れや、資料の中でも何回か同じような形で登場してくるフレーズとして「市場型間接金融」という言葉がありますが、それは何を意味しているかというと、やはりマーケットというのは本来プロの世界であって、一般的に素人である個人がマーケットに触れると大火傷をするという、そういうことなのだろうと思うのですね。

我が国はやはり銀行制度でやってきているところがあって、マーケットに直接触れるという機会もなく今まで来られたというのはある意味では幸いだったかもしれませんけれども、金融システムの安定化とか年金社会の構築といったことを考えた場合にはやはりマーケットを活用していくしかない、そこで出てきた考え方として市場型間接金融というのがあるので、いわゆる機関投資家を有効利用しましょうということですね。能力のある人たちを使ってマーケットにアクセスしましょうということです。マーケットというのは個人が直接触れて大火傷するということで規制をかけてしまうとマーケット自体が消滅してしまうので、そこは機関投資家ないしは機関化現象の中でこういった問題にどう取り組んでいくかというのがまず第1のポイントとしてあるわけです。

したがいまして、前回も確か池尾委員から指摘があったと思いますけれども、受託者責任というのはそういった意味では個人との関係で非常に重要なポイントになってくるわけです。今回、資料で整理して頂いていますけれども、私の観点というか重要視しているのは、システムとしての受託者責任というのが果たして十分に果たされる形になっているかということです。もしもシステムとして、一つひとつのケースではいろいろと法的な対応で可能だろうと思いますけれども、重層構造化してエージェンシー構造が複雑になっていく中で、システムとしての受託者責任というのがどれだけ担保されるかということがあって、それは先ほど原委員が少しおっしゃられた、受託者責任というのは全体としてどういうふうに担保されているのかということにも結びつくことだと思います。仮に受託者責任がそこで担保できているのであれば、恐らくその機関投資家はプロであるはずなので、公衆縦覧型ディスクロージャーにおけるプロ・アマの議論も、受託者責任を果たし得るというところでプロとみなし得ると理解されます。したがって、適格機関投資家の範囲の拡大に関しては、これは運用サイドの問題もあると思いますけれども、どちらかというと企業のファイナンスサイドの要請が強いと思いますので、プロとしてやりたいと思う人は申し出て頂いて、自己責任でやって頂くという整理でいいのではないかと思います。

そこから翻って、では、この投資サービス法というのは一体だれを守るのかというふうに考えた場合、かなり限定されてくるのではないかというのが私の考え方です。いわゆる個人を対象として考えたときに、一般的には、先ほど申し上げましたように、機関投資家を有効利用しましょう、市場型間接金融を使って我が国の金融システムを強化していきましょうという流れなので、それがまず第1。

次に、受託者責任の枠外でトラブルに直面した方々に対してどうするかという問題がある意味で非常に重要な問題にもなってきているということです。そのポイントは、本人がやりたくないと言うのに無理やりやらせるというのはもってのほかというのは当たり前のことなのですが、インターネット等を通じて主体的にかかわりたいと思う世界がすごく近づいてきている情報環境に対して我々はどういう手当ができるかということが大事なのだろうと思うのです。前は、向こうに非常に魅力のあるジャングルみたいな島があって、泳いで行くには大変だったのでだれも行っていなかったけれども、どうやら最近は瞬間移動でジャングルに入れてしまう。そのときに無防備で入ってしまうと大変なので教育が一部関係してくると思うのですが、それ以上にインターネットでクリックしていって吸い込まれていった場合、それをどう考えるべきか。適合性原則で対応するということであれば、それは1つの考え方だと思いますが、少し流れを整理して、いわゆるプロとアマの線引きの話になってしまうのかもしれませんけれども、本来法律の中で守られるべき、ないしは配慮されるべき対象が現実にはどういった方々で、どういう情報環境にあるのかということを整理しないと、対象となる個人がさまざまなので何か議論が偏るような気がしてなりません。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

もう1つ今日はテーマがあるのですけれども、今ご指摘頂いた点も大変重要だと思いますし、大森課長からのご説明でもプロ・アマの部分のご説明もお手元の資料では6ページ~7ページにありましたので、既に一度はご意見を頂いているところではありますけれども、このプロ・アマについてもしご意見があればぜひお出し頂きたいのですけれども。とりわけ公衆縦覧型の情報提供、ディスクロージャー制度と証取法では呼んでいるそれにおけるプロ・アマ、公募・私募と言っていますけれども、それと相対というか顧客と相対する人が情報提供をする場合のプロ・アマ区分、現在は金販法なんかの方がわかりやすいかもしれませんけれども、1つの線引きがされているわけですけれども、業者ルールの場合にどうかということなのですけれども、もしご意見があればぜひお願いしたいのですが。

黒沼委員、どうぞ。

○黒沼委員

6ページのマル1のプロ・アマと7ページのマル2のプロ・アマの関係なのですけれども、6ページのプロ・アマというのは、これはどういう商品を売ってよいかという観点からの切り分けでありまして、公衆縦覧型のディスクロージャーが本来は必要だけれども、一定の場合には、すなわち、相手がプロであれば取引力があるし、情報に精通しているのでそれは必要ない、そういう観点から決められているものです。それに対して後者の場合には、これはプロもアマも買える商品についての売り方の問題です。アマであればきちんと説明し情報提供をしなければならないが、プロであれば勧誘規制に差を設けるということだと思いますので、前者と後者のプロ・アマの基準というのはやはり別であって、別々に考えて頂きたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

田中委員、どうぞ。

○田中委員

このプロとアマの議論も投資家保護という観点で厳しくこれを考えていってしまった場合に発生する現象として、本来、自分の意思でいろいろな金融商品に投資をしたいと思っていても、この規制が厳しかったりすると国内では買えないと、そうすると、金融資産を持たれている個人あるいは小さい機関投資家なども海外ですぐにそういう商品が買えるということになりますと、どんどんそういう資金が海外に逃げていってしまう、海外の方で投資行動が行われる、本来であれば日本でそういう新しい商品の金融マーケットができてもいいところができなくて、どんどん日本の金融市場が空洞化してしまうというリスクがありますので、この辺を議論するときには、投資家保護という観点と同時に、その辺の金融市場の空洞化というものをあわせて考えなければいけないと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

私の誤解かもわかりませんが、あえて先ほどの水上委員のご意見にちょっと違和感があるのですけれども。私もいわゆるここで言うプロ的な市場とアマチュアがかかわってくるときとで一定の切り分けをしなければいけないと、でも実際にはどこで切り分けるのかは難しくて、金融商品販売法のときは結局業者間取引だけプロとしてしまったというところがあるのですけれども、そういう事実については認識しておるつもりですけれども、ただ、今回の投資サービス法というのはやはりまさに市場型間接金融であってもそういう業者さんたちと消費者との接点のところを大きくとらえようとしていると、そういう意味ではアマチュアが基本的には対象なんだというふうにとらえた方が私はいいのではないかと思います。

一方、プロの人たちについては、極端に言えば、もう自由にやって頂いて、どんな商品でもどんどん開発してもらえばいいと、そこはある程度野放し的になってもいいというところまで言い切れるかどうかは別なのですが、そんな雰囲気がありまして、だけど、それが一方的に勧誘されたり、あるいは誤解を招くような形で広告されたり、あるいは押しつけ販売があってはいけないと、場合によっては一般的なアマチュアも自分の方からそれこそインターネットそのほかを通じてこちらから寄っていく場合にはそれはあり得るかもわからないけれども、そういう感じがしておりまして、この法律の基本的なターゲットはどこなのかというところはちょっと違和感がありました。

ですから、つけ加えですけれども、不招請勧誘の禁止ですが、これも原則禁止をするというのがいいのではないかと私は思っているので、具体的にはそれなりのルールが整備されているところについてはどんどん解除されていくのだろうとイメージしています。今ここに出てきていらっしゃる方が扱っている商品を全部解除するかどうか保証せよと言われるとこれは私の権限ではありませんけれども、考え方として、新しい商品なり自由に開発された商品についてはまず危ないなと疑った上で対処していくというのが消費者を安心させることになるのではないかという発想です。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、佐々木委員、どうぞ。

○佐々木委員

ほとんど皆様がおっしゃるとおりなのですけれども、インターネットを活用するということがやはり大きく考えられる商品というか、勧誘の仕方や広告の仕方というところでインターネットの活用というのが非常に大きく考えられるとすると、この中の表記でも、ホームページは広告、ファクスは勧誘というふうに書いてあるのですが、当然ながら電子メールの使い方だったり、さまざまな、複雑な、インターネットとアクセスしたのは個人だからこちらから勝手に行ったわけではないとしても、そこから先、どこまでが勧誘と広告との境なのか、では、一回登録してメールがどのぐらい頻繁に行ったらどうなのか、あるいはそこにどんなことが書いてあると広告と勧誘との境なのかみたいなことは、かなり具体的にこのインターネットでの場面想定をしながら議論をする必要があるのではないかなということを今感じておりますということだけです。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

繰り返し指摘されておりますけれども、今、佐々木委員がご指摘の点はイギリスで非常に議論されて、区別はつかないということで、2000年の法改正のときに広告と勧誘をあわせてファイナンシャル・プロモーションという概念に統一したのですね。日本でそういうことができるのが望ましいのかというのも大きな課題だとは思いますけれども。

よろしいでしょうか。

発行会社というか資金調達をするお立場から、島崎委員、何かもしございましたら。ご無理にということではございません。

○島崎委員

先ほどの5ページのところの区分のところでございますけれども、私どももいろいろな投資を実際に行っていますし、こういう金融商品を扱っているわけですけれども、特にオプションについては、先ほど斎藤先生もおっしゃったわけですけれども、企業としてやっているオプションというのはやはりヘッジのためのオプションということで、ですから、むしろ元本を担保するためのオプション行為というのがあるわけなので、ここのところはそういうところで整理されたらいいのかなということ。

それから、この3つの分類ということになると、ちょっとマル1マル2の切り分けのところが要るのかなという感じがします。ですから、確かに国債であっても、国がつぶれることはないかもしれないけれども、実際に元本保証と思っていたものでも元本が毀損するケースもあるわけなので、ここのところは3つよりも2つの分類で、元本以上の損が出てくるものとそうでないものという分け方が分けやすいのではないかと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

3分類を提唱して頂いた池尾先生は本日はご欠席ですので、また次回以降に補足等をして頂けると思いますけれども、そろそろ次のテーマに移ってもよろしいでしょうか、それとも、このテーマは大変重要ですので、追加でもしご発言があればぜひ。

それでは、高橋委員、どうぞ。

○高橋(伸)委員

すみません、一言だけ申し述べさせて頂きます。

先ほど来、貯蓄から投資への流れとか金融市場の空洞化というふうなお話が出ております。これもわからないのではないのですけれども、やはりビッグバンの反省に立って私たちはこの法律を整備すべきだというふうに思っております。

それはどういうことかというと、まさにビッグバンのときには、消費者保護は必要と言われながら市場の活性化の方が先ですねということで、規制緩和をどんどん進めたわけですよね。その結果、消費者が安心して市場に参加しない、集団投資スキームとか市場型間接金融と言われながらやはり消費者がそこに参加しなかったということに対して、今いろいろ私たちは考えていかなければいけないと思っております。もう実際にいろいろな被害が発生しているわけですし、あるいは、やはり怖いから近づかないという人たちに対して一般消費者が安心して参加できる仕組み、ルールができるのですよというのが今回の改革プログラムにある投資サービス法の打ち出し方ではないかなと私は思っております。

ですので、対象は、上柳委員がおっしゃいましたように、あくまでもアマチュアが対象のものであると。だけどもう1つ気をつけて頂きたいのは、プロの取引であってもそのバックにアマチュアがいる場合ですね、我々個人投資家の資金であったりするものを運用するものに関してはやはり厳しい規制をかけていくと。この2点だけ、確認なのですけれども、よろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。

それでは、太田委員、どうぞ。

○太田委員

一般的な問題ではないのですが、資料1、8ページの一番最後の「その他」に取引所取引原則についてちょっと触れられているものですから1点だけ申し上げたい。

現在のOTCの外国為替証拠金取引の中で、私設取引所みたいな形態のビジネスモデルで運営しておられる方々が見受けられるわけです。それで、7月から施行される改正法では、このいわゆるPTSと言いますか、私設市場に対する規定が書かれておりませんで、法のけん欠状態になっているわけです。証取法ではPTSは一定の場合に、認可を条件にして認められているわけですが、かたや商品取引所法ではこういう私設市場は認めていないわけです。かかる実態の私設市場みたいなものをどうしていくのか。もともと取引所も競争すべきだということでPTSが認められているのだと思いますが、今のOTCの外国為替証拠金取引における実態は、法に定められた状態ではなくて行われています。証取法のような規制で行くのか、商品取引所法のような考え方で、先物については私設市場を認めないのか、その辺は新法のときに整理をして頂ければと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

今の点は市場というものをどういうふうに考えていくか非常に重要な点ですので、この論点4の後で、エンフォースメントの次の課題として、できれば多少議論を頂きたいというふうに予定しております。

それでは、島崎委員、藤田委員、その順番でお願いします。

○島崎委員

プロ・アマのところでちょっと、私の感想というか、実務的な面からの感想を申し上げたいのですけれども。

実は、つい最近、個人の投資家向けのIRというのを日本の8都市でやりまして、機関投資家向けの投資説明会というのは内外で年に二、三回やっていますけれども、初めて個人の投資家とずっと接しまして、株主総会では当然株主が来て接しますけれども、投資家さんが来ていろいろ話をしました。来た方は、50歳、60歳以上という方が大体7割以上でして、非常に自分の資産をどのように運用するかということについては関心が高い。我々の株式を持っておられる方が3割ぐらいで、あとは当社の株を持っておらずにそういう話を聞きたいということです。出てきた質問も、機関投資家から出てくるような質問と同じようなものが出てくるということで、そういう方はかなり意識も高いし専門的なものも持っておられるのではないのかなと思います。だから、個人が一概にアマかどうかということを申し上げたいわけですけれども。

そのときに私が感じましたのは、先ほども東さんから話がありましたけれども、その投資商品のリスクというのはどの程度あるのか、株式でしたらはっきりわかるわけですけれども、非常に最近は複雑な仕組みの商品が開発されていますので、そういうものはきっちりとそれの説明責任というか広告を、それに対してリスクは大きいけれどもリターンがどれだけあるのかということを判断するそういうものをきちんと提供するということが大事なのではないかという感じがいたします。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

淵田委員、どうぞ。

○淵田委員

まず不招請勧誘につきましては、前回の外為証拠金取引のときの議論では諸外国の事例などのご紹介の資料があったかと思うのですが、その記憶では原則禁止という国はなかったように記憶しておりまして、リスクの高いものについて限定的に導入されているケースが欧州であったかと思います。アメリカにおきましてはドゥーノットコールリストというのがあるようですけれども、これは金融かどうかという区別ではないと思いますし、また、その目的も投資家保護といった観点ではないので、もしも日本が全金融商品に不招請勧誘を原則入れるといったようなアプローチをすると極めて特異な姿になってしまうような気がしまして、日本がなぜそうしなければならないのかということの理屈づけが必要になってくるのではないかと思います。ちょっと違和感を感じている次第です。

それから、何度も話題になっている5ページの元本保証があるなしの議論ですが、素朴にこういうふうに分けることがどの程度の意味を持つのかというところが、分けてどういういいことがあるのかちょっとよくわかりません。例えば元本保証があるマル1マル2の区別は必要ないのではないかという議論がありましたが、確かに、例えば国債などでは、これは元本保証がされているかどうかということよりも、別な法律できちんとこのあり方といいますか国債とはというものが規定されていて、別途、普通の社債のようにディスクロージャーを要求されなければならない商品ではないといったような違いからディスクロの有無というのが来ているのだと思うのですね。また、マル2に分類されるもので普通の株式とベンチャーキャピタルのようなものを同列にこの箱に位置づけることがどの程度の実態的な意味を持つのか、社債だってトリプルAからジャンクまであるわけで、非常に性格の違うものを同じ箱に入れてみたり、性格の同じものが違う箱に入ってみたり、そういうケースも生じると思いますので、今までご指摘がありましたけれども、こういうふうに分けることにどの程度の意味があるのかなということをちょっと疑問に感じておりますので述べさせて頂いた次第です。

○神田部会長

ありがとうございます。

どうぞ。

○水上委員

一言というか二言になるかもしれませんけれども。

1つは、先ほどの高橋伸子委員のお話ですけれども、プロの取引であってもバックにアマチュアがいることに配慮が必要だという点に関しては私もそう思っていて、だからこそシステムとしての受託者責任というのは非常に大事なのですということを申し上げたわけです。もう1つは今のリスクの3分類の問題と関係するのですけれども、ポートフォリオの組成能力のある人は、恐らく先ほど島崎委員が言われたような、かなり投資知識の高い人で、持っている資産も実際にかなり高額なのでしょう。そういった方々というのは、恐らく今前半でいろいろと議論になった方々とは多分対象が違うのではないか、ポートフォリオという観点で組成能力がある人たちと、そうではなくて、何か売りつけられるとか、吸い込まれて買わされる、その中にはポートフォリオ的なものを買わされる場合もあるかもしれませんけれども、両者はかなり違う個人という存在であるということを念頭に置いて考えて議論をしていかないと、少し道筋がずれていかないかなというか、要するにバイアスがかかりすぎてしまうということを気にしているということです。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、そろそろ次のテーマに移らせて頂いてよろしいでしょうか。これまでのところで何かございますか。

よろしゅうございますか。

そうしたら、次のテーマに移らせて頂きたいと思います。どうもいろいろ貴重なご指摘をありがとうございました。次は「ルールの実効性の確保(エンフォースメント)について」ということです。これはこの部会でも既に1年半前というかエンフォースメントの複線化ということでご議論頂いて、その成果は完璧ではないものの既に法改正に取り込まれております。今度は投資サービス法というものを構想する際のエンフォースメントのあり方ということでのご議論を頂きたいということでございます。

それでは、事務局からの説明をお願いいたします。

○大森市場課長

一昨年も、今、神田先生からお話がありましたように、なかなかこういう話というのは所詮行政内部の役割分担にすぎないという印象を与えてしまうせいかあまり盛り上がらないのですけれども、日本では監視委員会が独立して事実認定をし、認定された事実に基づいて金融庁が行政処分などの監督を行い、さらに私どものように制度を企画するという役割分担になっております。

前回の見直しも監視委員会の事実認定の範囲を拡大するということで、私どもはこれをもって日本市場の現実に即したSECだと称しているのですが、一般に日本版SECと言うときは、事実認定のみならず、業者の監督や制度の企画を含めた総合的な市場行政機関をつくるべしという意味合いがございます。これに対しては、コングロマリット化の一層の進展が予想される中で、特定の金融行政分野だけ分離・独立させることへの懸念とか、かつて行政が、金融再生委員会、金融監督庁、大蔵省、金融企画局と分立していた時代になかなか連携が大変だったという思い出もあるものですから、消極的に対応してきているところでございます。

この監視委員会、霞ヶ関の常識からすると、例外的なペースで人員をふやしておりますが、あるべき水準からはまだかなり遠いと思います。日曜日の日経新聞にインサイダー取引特集があって、監視委員会の体制は強化してきた、しかし違反件数はふえていると書いてありまして、何で逆説の接続詞でくっついているのかなと思ったのですが、体制を強化してきたから摘発件数がふえてきたのであって、この4月から課徴金制度が施行されますと、これまで刑事事件としての立件は断念してきたようなケースもカバーされるようになります。究極的には、アメリカのSECのように毎日摘発しておりますと、慢性的証券不祥事状態に投資家が愛想をつかして去っていくというのではなくて、ルール破りは割に合わないという規律が確立するということだと思います。

2ページにごたごた書いてありますけれども、監視部門のみならず制度の企画や業者の監督も英米に比べると話にならないほど人が足りないというこの文章を書いた人のフラストレーションを反映しておりまして、確かに時間外取引で企業支配なんていうことが起こると、このたびの応急手当だけではなくて、前回いろいろ意見を頂いたように、日本の資本主義における経営権の移動に金融制度としてどう対応していくかという問題意識を直後から例えば池田君と話をしたりしているわけですけれども、なかなか人手がなくてすぐには対応できないということもございます。

資料2はそのほかにもいろいろ行政組織内部のことが書いてありますが、要は、これまでの経緯を引きずっていて整理されていない面があるということで、投資サービス法という制度的整備が行われるならそれに合わせて執行体制も整理していく必要があろうということでございます。

(2)の「関係省庁との連携強化」というのは、例によってやや遠慮がちに書いてありますけれども、根拠法や監督官庁が分立していても市場とか投資サービス業者を監視する力があるのは現実には監視委員会ということであろうと、それをどう考えるかということでございます。

3ページの2の「市場監視機能の強化」、特に課徴金についてはこのところ毎回怒りのご意見を頂いておりますが、昨年の改正で導入した新たな機能をどう拡充していくか、また、ここに掲げた以外の必要な機能があるかどうかでございます。ちょっと始める前に神田先生とお話をしていたのですけれども、この改正を当部会で議論しておりました際には「行政による是正命令」という検討項目がありましたが、現実のニーズが考えにくいということで断ち切れになっております。現行証取法には行政が違法行為の是正を裁判所に申し立てるという制度がありますが、全く使われておりません。先ほど言及した大和都市管財という抵当証券会社は行政が裁判所に商法に基づく会社整理を申し立てたという珍しいケースですが、市場においてもそうしなければ違法状態を是正できないケースというのは今後出てくるような気がいたしますので、その意味で裁判所を介さなくても是正できるという制度は引き続き検討の余地があるのだろうと思います。

3の「自主規制機能」についても、一昨年末の第一部会報告を踏まえ、証券業協会では自主規制部門と戦略部門を分離いたしまして、高橋委員はもう証券業界としての戦略には関与しないという体制になっております。この論点も理論的な正解は恐らくなく、各国とも試行錯誤しているようで、自主規制機関相互間とか行政との間の役割分担も必ずしも判然としておりません。たまたま、先週、UKFSAのマーケットディビジョンのディレクターと話をしていまして、彼女は、UKがこうなっていて、全米証券業協会がこうしているのだが、日本ではどうですかという、その関心事の大半が日本で言えば自主規制マターなのですね。逆にイギリスのTOB制度の質問をすると、私の担当ではないのでわかりませんと言われたりしてなかなかかみ合いません。

ただ、今般、SECは、自主規制機関の内部組織にまで踏み込んだ新規制案を公表いたしました。4ページ~5ページにかけてで、この問題意識は一昨年の当部会と同じですが、役員の半数以上は社外だとか、自主規制やガバナンスに係る業務は委員会の設置を義務づけて、その委員は全員社外だとか、執行とガバナンスの分離とか自主規制と市場運営の分離とか、自市場上場の手続とかをかなり詳細に定めております。また、今後の自主規制のあり方として、マル2の ii 、5ページには、現状維持から、自主規制を廃止して、SECがすべての機能を担うという両極端の間に、利益相反を防ぎながら効率的に執行していくためのさまざまなバリエーションが示されております。元来この問題はニューヨーク証券取引所の元理事長の常軌を逸した巨額報酬に端を発しているわけですが、投資サービス法の世界ではこれまで以上に多様な投資サービス業者が登場してきますから、業界としてどう律していくかということもありましょうし、取引所も大阪に続いて東京証券取引所が自市場上場をしようという中で、ますます上場会社のガバナンスの手本にならなければならない状況でしょうから、こういったSECの試みを参考にしながら検討する必要はあるのだろうと思います。

その次の「投資サービス業者のコンプライアンス強化」というのはややビッグバンの精神に反するようなタイトルですけれども、まず行政は個々の業者のコンプライアンスにどういう構えでいるべきかというそもそも論があろうかと思います。かつての縄張りは守るから行儀よくやってくれという行政へのアンチテーゼとして、基本的には信頼されるもされないも自己責任、自業自得で、ルール違反が事後的に発覚したら厳正に対処しますというスタイルの行政をどう考えるかですね。先ほど高橋伸子委員からビッグバンへの反省と言われるとちょっと私も心穏やかでない感じはするのですけれども、また、その定見があるわけではないのですが、アメリカでは、とりわけエンロン以降、コンプライアンスが競争力の源泉だという考え方が一般化していますし、SECの仕事ぶりもルールを厳格に当てはめるというよりはかなり柔軟に相手によかれと思って大人の仕事をしているというのか、さっきの原委員の言葉で言うと、まさに適合性原則とか誠実公正義務というのが生きるような仕事をしているというのか、そこまで言うと褒めすぎかもしれないのですけれども、うらやましく感じることがございます。監督行政の姿勢はともかく、ここに書いてありますように、業者がコンプライアンスを意識せざるを得ない仕組みを制度として組み込むかどうかというのは検討の余地があることだろうと思います。

また、最後のページですが、事業再編などで法人格が継承されないので処分できなくなってしまうというのは実際には結構ございまして、急いで事実認定して合併前に駆け込み行政処分をしているなんていうのはいかにも不合理ですから、何とかしなければと思います。それ以外にもエンフォースメントについてのご意見を何でも頂ければ幸いでございます。

ちょっと駆け足でしたが、以上でございます。

○神田部会長

どうもすみません、急がせてしまいまして。私の時間配分がよくなかったのでお詫びしますけれども、要領よくご説明頂きましてありがとうございました。

それでは、残りの時間、今頂きましたご説明、資料2及びその参考資料等の関係について、ご質問、ご意見等をお願いしたいと思います。どなたからでもよろしくお願いいたします。

田中委員、どうぞ。

○田中委員

3ページ目の一番下の「自主規制機関の機能強化」に絡んでなのですが。この投資サービス法導入によって、投資家から見て投資商品というのは非常に信頼性の高い安全なものにしなければいけない、それを達成するためには自主規制機関の以前の段階で行政サイドの方も1つの例えば投資サービス庁みたいなところで既存の監督官庁を越えてやられるのが本当は望ましいのだとは思うのですが、それと同時に、この自主規制機関に関しましても、ここの書きぶりですと「自主規制機関間の連携等」と、いろいろな自主規制がたくさん複数あって、そこがそれぞれ自主規制を行っていると、そういうのが想定されるような書きぶりになっているのですが、この自主規制サイドの方もできるだけ同じ基準、同じ尺度で規制されるようになるのが望ましいというふうに考えます。より具体的に言えば、現在、証券業協会には自主規制会議があるわけなのですが、これをベースにいろいろな現在既存の各業界の自主規制といったものが統合されて、投資サービス商品そのものに関して1つの自主規制機関で規制されるというのが投資家サイドから見て非常に安心できる体制になるのではないかというふうに考えます。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

これはこの場での議論かどうかはちょっとよくわからないのですけれども。前回、証取法の改正で立会外取引をTOBの対象にするというときにちょっと申し上げたつもりなのですけれども、いろいろな規制緩和が進んでいる、あるいは情報通信技術が発達している中で、法律の趣旨を著しく逸脱するような行為というのは、今回もそうだったということで法律改正をするわけでありますけれども、法律改正で後追いをしていかなければいけないということでいいのかという疑問であります。著しく法律の趣旨を逸脱しているようなことに関して、先ほど大森課長の言われた趣旨がそういうことなのか私はよくわかりませんけれども、SECの対応がうらやましいというふうにおっしゃった。これは、もちろんその判断が公正なものである、あるいは法の趣旨に適っているんだということをしっかり判断するような場というものはあるいは必要かもしれません、また、予測可能性というものを害するようなことであってはいけないと思いますけれども、法律の趣旨の著しい逸脱というものに対して対応できるような仕組みが必要なのではないかというふうに思います。ちょっとこのエンフォースメントという場での議論には適当でないかとも思いますけれども、関連してそういう感じがいたします。

それから、2ページ~3ページにかけて書いてあるところで、今後は関係省庁との連携強化が重要だと、こういうふうに書いてあります。この意味がはっきりしないのですけれども、例えばいろいろな各省庁にまたがる投資サービス商品があったとして、当然それぞれの行政に基づく行政監督というものがあると思いますけれども、それが投資サービスとして、投資商品として利用されるという部門については、ずっと今まで何度も議論がありましたように、横断的なルールの投資サービス法ということで一本化して、それで対処していく。したがって、ここはエンフォースメントのことが書いてあるかと思いますけれども、エンフォースメントはもとより、監督等もすべて一元化したところで同じ基準で行われる、そのことが新たに参入しようとする一般投資家のために非常にわかりやすい、安心して入ってきて頂けるということになるだろうと思いますし、新たな金融商品を開発していくイノベーションという観点からもそのわかりやすさということが必要だと思います。でありますので、関係省庁の連携強化はもとより重要だということでありますけれども、その意味は投資サービスというものの監督あるいはエンフォースメントで連携強化するということではなくて、そのほかの行政課題との関係もあるだろうから連携強化が重要だというようなことであれば納得できるのですけれども、ちょっとこの意味がはっきりしないという点でやや疑問に感じましたので申し上げたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

今野委員、どうぞ。

○今野委員

この10年の大きな試練や痛みを経験して、今改めてまた貯蓄から投資へと向かおうとする新たな潮流は本当によく理解できますし、評価もできます。そういう時期にこうした法規制をいろいろ見直して整備していこうということ、これもとても大事なことだと思います。ただ、私のような立場からしますと、こういう場で語られているこの次元、このレベルのことと、具体的に一般の消費者、個人投資家たちが経験している、経験した投資行動の現場の出来事とは、本当に非常に大きく乖離しているように思えます。ですから、こうした高い次元での議論も大事ですけれども、もう少し現場で何が起こっているのか、今それがどのように変化しているのか、していないのか、そういう現場感覚を持ってこういう大切な問題を語って頂くということが大事なのではないかなと思っております。

幾らこういう法規制を整備しても、証券会社内部のモラルとかコンプライアンスが大きく私はまだ欠如していると思っております。会社としては改善しようという動きや努力はしておられると思いますが、でも一般の投資家が接触するのはもっと窓口の方たちですし、そういうところで起こっていることが投資家にとっては問題なのです。納得できないことが多くても、結局は社内で非常に組織的な責任回避とか、場合によっては隠蔽というような体質が根強くあるとするならば、一個人としてはどんなに努力しても太刀打ちできるものではありません。結果的には泣き寝入りするしかないというような現状があると思っております。そういう日常の現場でのこと理解して頂いた上で政策を語り合えたらいいなと思っております。ですから、こういう場にださせて頂いて私も感謝しておりますが、その半面、まだまだ現場にはこういう改革の波は届かないなという無力感も半分は感じておりますので、その点をご配慮頂けたらうれしいです。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ご指摘の点は、審議会と現場のギャップみたいな、審議会での審議の限界みたいなところのご指摘だと思いますけれども、できれば、将来は、今の現場感覚のお話をどなたかに来て頂いて伺うとか、本当にギャップがすごくあるということであればそういう機会を考えてはどうかというふうには感じますけれども。どうもありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

何点かございます。今、現場感覚のお話が出ましたけれども、今日のペーパーの2ページにも金融サービス利用者相談室というのが早ければ7月から設けられるということで、これができることで、現場に近い意見というのでしょうか、相談とか苦情とかというのが寄せられるので、これを活用するということを私は今の現場感覚という意味では期待しております。

その意味からしますと、ここで集められた情報をどのように政策へ生かしていくかという道筋をきちんとつけて頂きたいと思っておりまして、比較で大変恐縮なのですけれども、国土交通省で自動車の不具合情報というのを2000年の三菱自動車のリコール隠しの後にスタートさせているのですが、大変膨大な情報が寄せられているのですが、現状としてはそのまま積んであるというようなところがあって、やはりもったいないというような感じがしておりますので、ここを活用するということと、それから、自主規制機関の中で苦情とか相談についての窓口をおやりになっていらっしゃいますけれども、ここも、金融トラブル連絡調整協議会はございますけれども、こういった自主規制機関で受けつけられる相談、苦情部門との連携とか役割分担も考えて頂きたいと思います。それが1点です。

2つ目なのですが、人員のことが出ていて、大変少ないというのが一致しているところで、ここでもいろいろな政策提言をしても実際に本当にその運用になったときに実効性が上げられるかということをいつも懸念しながら検討しているというような状況なわけで、今回、独占禁止法が改正になって公正取引委員会の人員とかそういったところの強化もできないかなと思ったりしておりますけれども、あわせて、日本版SECと言うのでしょうか、それに向けての人員とか体制の拡充というのはぜひ、これは政府全体になると思いますけれども、強めて頂きたいと。独占禁止法の関連で言えば、課徴金制度の強化については引き続き検討して頂いた上に、不当利得の吐き出しについても検討を深めて頂きたいと思っております。それが2つ目です。

3つ目なのですが、今日はとても簡単に3行しかないのですが、3ページに「民事責任規定の整備」が書かれています。ここについては、販売・勧誘のところから見ますと、損害賠償ですとか契約無効とか取消とか、こういったところも含めて内容の充実を図って頂きたいと思います。

最後ですが、一番最後にコンプライアンスの話が出ておりまして、5ページに「投資サービス業者のコンプライアンス強化」というところが書かれているのですが、実際に参入規制のところについてイギリスの金融サービス法と日本の場合とを比較すると、非常に欠落しているのがこの部分ですね、コンプライアンスとかガバナンスですとか人的要件の部分が大きく欠落しているという印象を持っておりまして、やはりここの充実というのは今回の投資サービス法でも大事な観点ではないかと思っております。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

今、原委員が、日本版SECの方向を目指して体制の強化というふうにおっしゃったのですが、そのおっしゃったことの真意はどういうことかなと思いながら伺ったのですけれども。SECを目指すというときに、アメリカのSECというのは当然銀行監督とか保険監督とは別な機関になっているわけですね。日本の金融庁というのはそれを一体でやっているという形になっているのですが、強化というのは本当に必要だと思います。監督、監視、あらゆるものが今は足りないと思います。その強化すべきは、人員をふやすということと同時に、その権限も、発行体も含めて市場を利用する者に対する権限をふやして対応できるような体制がいいと思いますが、そのときに日本版SECという議論で証券監督、市場監督だけを切り離したらいいのか、あるいは今の金融庁を強化するという形で銀行監督、保険監督というものも持ったまま総合的な金融監督機関として、イギリスのタイプであろうと思いますが、そういう形にしていくのかというのは検討すべき点だと思います。特にコングロマリットとかそういうものが出てくるときに市場監督、証券監督だけを切り離した方がいいということで日本版SECが議論されるとすれば、少し状況が違うのかなという感じがいたします。

○神田部会長

ありがとうございました。

斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員

この4番目の「コンプライアンスの強化」ですけれども、これは非常に大事な論点だと思うのですが、その手段として公認会計士の監査を使うということについてちょっと私は疑問を感じます。要するに、公認会計士の監査というのは財務諸表の作成・開示にかかわるものであって、確かに広い意味ではコンプライアンスに関係しますけれども、ファンドの運営に関するコンプライアンスとはかなり性質が違うものだと思うのですね。もちろん今言われているような内部統制に関するレビューみたいな議論は、これは役に立つかもしれませんけれども、あまり一般的な意味での公認会計士監査に期待しすぎない方がいいなという感じはいたします。あまり大所高所の議論でもありませんし、会計士の方がいると営業妨害だと怒られそうな話ですけれども、ちょうどいないみたいなので一言。

○神田部会長

ありがとうございました。

小島委員、それから上柳委員、よろしくお願いいたします。

○小島委員

だんだん各論に入ってくると難しくなってしまうのでしょうか、ちょっと漠然とした考え方と問題意識みたいなものをお話ししたいと思いますが。

きっかけはいろいろ、今回は立会外取引のあれが非常に大きな議論のインセンティブになっていると思うのですが、あれはあれでいいのでしょうが、考え方としてはそのグレーゾーンの問題ですね、あれは法の精神に著しく反する、著しくの程度が真っ黒けの違法に近いものなのか、あるいはほとんど白に近いものなのか、グレーのゾーンというのが非常にあるわけですね。基本的にはある程度後追いで法的な対応をすることも仕方がないと。事前的に全部あらゆる可能性がない仕組みにするということはどういうことなのかと。網の目をどんどんどんどん細かくするわけですが、最終的にこれではまだ穴が開いているということで、ビニールシートを被せてしまって酸素が通らないようにしようとするということは、あらゆる事業、ミクロの事業体のイノベーションといいますか、あるいは制度としての市場のイノベーションというか、そういうダイナミズムそのものも殺してしまうことがあって、それは程度の問題であり、あるいは、少なくともコンプライアンスについてはもう既にできている法律に反する、つまりブラックを徹底的に抑止できるということが第一義的に重要であると、そのために何をしたらいいかと。

これは、ブラックでも違反してこの程度の処罰しか受けないというのは、非常にグレーゾーンに対するモラルの面では落ちるわけですね。ブラックは、本当にこれは採算が合わないぐらい厳しく罰せられるあれであり、しかも非常に検挙される確率が高いとなれば抑止されて、自ずとグレーゾーンに対する考え方、それは自主規制機関が徹底的に議論をしながら、常時議論をしながら、その考え方を一般にディスクローズするということによって資本市場に関係する人たちすべての教育効果といいますか、社会監視の空気ができるわけであって、初めからすべて後追いの法律措置はもうだめなんだということで網の目をつぶしてしまうということですと、要するに本来の資本市場のダイナミズム、活性化、それによってそこから生まれるリスクに挑戦するような資金の供給、それによって生まれるいろいろなベンチャー的なスピリット、そういう社会全体のダイナミズムも殺してしまうので、その辺はしっかり議論して具体的な問題のやり方として考えてほしいと思います。

とりわけブラックのところが放置されて、あるいは十分チェックできないような状況でグレーゾーンについての規制論議が先に走ってしまうと、これは要するに本末転倒になるのではないかと。なぜ資本市場が大事かということを時代的な視点で確認しながら、これから各論についていろいろそれに照らしてご議論を頂ければありがたいなと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

この行政体制の関係なのですけれども、私は、やはり、少なくとも現状よりも独立した体制がつくられるべきだというふうに思っています。例えば行政組織法の8条ではなくて3条的なもっと独立したところで横断的に監督していくという体制がつくられるべきだと思います。そうすれば、多分、横断的に監督するという方も正当化されますし、刑事訴追の主体になれるかどうかはいろいろ研究課題だとは思いますけれども、少なくとも民事事件の原告になるとかということで、もっとその権限が強くなるそういうことが正当化できるのではないかと。逆にこれからどんどん金融庁は強くなっていくと思いますので、今は安心して見ているつもりですけれども、これが横暴なことにならないようにという意味でも独立的な機関になるべきだと思います。

加えて、そのときに、まだ定見はないのですけれども、そうした場合には、場合によってはいわゆる企画・立案部門はそこのところからは離れると、確かに効率は悪くなるのかもわからないのですけれども、あまり1つの機関に強力な権限を与えるという権力分業的な観点からも少しそんな感じを持っております。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

黒沼委員、どうぞ。

○黒沼委員

「市場監視機能の強化」についてなのですが、課徴金制度の拡充を図っていくとともに、課徴金を被害を受けた投資家に分配する制度を設けるべきではないかと思います。アメリカではサーベンス・オクスリー法によって民事制裁金を吐き出しによる金額に加えて、被害を受けた投資家に分配するルールを作成できるようになったと聞いています。それができないのであれば、あるいはそれと同時に、投資サービス法の制定をきっかけにして、いわゆるクラス・アクションの導入についても真剣に検討して、この分野から先鞭をつけてもらいたいと考えます。

○神田部会長

ありがとうございました。

そろそろ時間ですが、高橋委員、どうぞ。

○高橋(伸)委員

すみません、オブザーバーなのに3度目の発言で恐縮です。

先ほど今野委員の方から投資行動の現場とここでの議論の乖離というお話がありましたけれども、私も常々そのようなことを感じております。私自身は現場をいろいろ歩いているわけなのですけれども、その中で申し上げれば、洗練された投資家というのは、直接投資の部分、株式とか債券投資のところではかなりいい行動をしておられると思います。トラブルの現場に上がってきているものというのはまさにビッグバンや今回の貯蓄から投資の流れで推進しようとしている市場型間接金融の部分なのですね。つまり、よくわからない方がよくわからない商品を買っているというのが現状ではないかというふうに思います。

ビッグバンのときに神田先生がたしか国会の場で「投信というのはカプセルに入った薬のようなものだ」というふうにご説明されたのをちょっと思い出したのですけれども、そのカプセルに入った薬の成分がよくわからないまま、また、理解、納得できないまま買っているという現状、それから、そういうものを買うときに、薬であれば、あるいは医療であればインフォームドコンセントとかセカンドオピニオンというものが必要であるのに、そうでなくその投資の利害関係のある相手から勧められるままに買っていて起こっているトラブルが大変多いということだと思います。

私は変額年金保険の話を随分してきましたけれども、ついに身内に及びまして、今月、80歳になる父が銀行から定期預金を解約させられて変額年金に入る事件が起きました。保険証券が届いて初めて気がついた、でも、本人は全然保険に入った感覚はないし、リスクの説明は一切受けていないということだったのですね。アメリカの方でも2月ぐらいからNASDも動き出して、高齢者への変額年金勧誘の問題を検討しているようですけれども、とにかくそういう被害の現場をきちんと押えることと、その被害救済をきちんとやりながら政策に生かしていくということをお願いしたいと思っております。7月に利用者相談室が立ち上がることに関しては歓迎しておりますけれども、そこで苦情を申し立ててくる方々は斡旋をしてくれることを期待しているのだと思うのですね。ですから、その辺のこともセンサー機能としてきちんととらえて頂いて、投資取引に関してだけでも横串を通して頂いて、変額年金なり、投資信託なり、証券なり、株式投資なり、みんな投資型のものは一箇所で苦情・紛争処理ができるような仕組みにしていかないと被害の救済ができないと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

木村委員、どうぞ。

○木村委員

短く申し上げたいと思いますけれども。

2ページの大幅な体制強化と組織の再度の再編というのは私も必要だなというふうに考えておりますけれども、行政改革の方向からいきますとそろそろ金融庁も打ち止めではないかという話も聞こえてきますので、どこまで体制強化を図られるのか、そういう見込みをもって組み立てをしていかないとここだけの話になってしまうのではないかという心配をしております。

それから、一番最後の「金融経済教育」、これも非常に大事だというふうに思います。既にこれは試験的に行われているような報道もされておりますけれども、関係する文部科学省との連携もきちんととりながらやっていくべきであろうというふうに考えております。

以上です。

○神田部会長

それでは、藤沢委員と吉野委員、すみませんが時間が過ぎていますので手短にお願いいたします。

○藤沢委員

申しわけありません、一言だけなのですけれども。

重複することもあるかもしれませんが、この議論をする中で私はどうしてもお願いしておきたいことがありまして、やはりどんどん手法とかが多様化していく時代に、細かく、細かくルールをつくっていくということは現実的ではないと感じています。そして、利用する本当に何もわからないと言われている投資家、消費者の方々を守る方向というのは2つあると思うのですね。1つはやはり事前のルールによって守り、安心を持って頂くという方法がありますけれども、先ほどからも出ていますように、事後にきちんと自分の損失というものが評価され、ある程度の損害賠償を出してもらえることができるとか、訴訟がもっと簡単にしやすくできるとか、何かがあったときにその後きちんと厳しく罰して頂いて自分をもう一度救って頂けるという事後の仕組みというものをやはりここで一度議論すべきではないかと。先にどんなに予測をしても、なかなか事前にルールというのは今現在難しいですし、先ほどありましたように、ビジネスのイノベーションというのを私はかなり阻害していくと思います。それは投資家のチャンスというのも阻害していくと思います。ですから、何かがあったときにきちんとその方々を救える法制度もしくは金融裁判所みたいなものがあってもいいのかもしれない、そんなことを一度議論して頂けたらというお願いです。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

吉野委員、お願いいたします。

○吉野委員

もう時間も過ぎているところで申しわけないのですけれども。

先ほど大森課長からお話がございましたように、市場監視機能の強化であるとか自主規制機能の強化というのは1年半前にも議論したことでございまして、そこと今の時点における状況の変化は、投資サービス法という形で範囲を広げて考えた場合どう考えるかと言うことかと思います。先ほど来出ておりますように、行政機関としていろいろ分かれているところをどういうふうに統一的に、横断的にルールを定めていくかという観点は、自主規制機関でも同じようなことがございまして、マーケットの違いであるとか業者団体の違いであるとかいろいろルールが違うところをどう統一的にやっていくかということかと思います。一方、私どもは既に国際間でもそういう自主機関の連携という形で情報交換を行うサーベランスの団体もできておりまして、そういった点では示唆に富むようなこともございます。自主規制機関の連携とか情報交換とかと言った機能というものは、やはり行政機関の連携強化と同じような形の対応が必要であり、これが信頼性確保につながってくることではなかろうかと感じているところです。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

まだまだご議論がおありかと思いますけれども、予定の時間を7分ほど過ぎておりますので、私の進行が不手際であったことをお詫びいたしますけれども、引き続きのご議論とさせて頂きたいと思います。

どうもありがとうございました。

本日はこのあたりにさせて頂きたいと思います。

なお、この後、記者会見を行いまして、本日のこの部会の模様について私からお話をさせて頂きます。

最後に、事務局からのご連絡等がございましたらお願いいたします。

○大森市場課長

例の時間外取引につきましては、私どもは直後からまっとうではないが違法ではないと表明しておりまして、また、そういう前提でまっとうではないことを真似されると制度が崩壊しますので、応急手当の法改正をしようとしておりますが、現行法でも違法だという意見が根強くございます。ただ、行政当局が違法だと言うことは監視委員会が摘発して刑事告発するという意味ですから、法律の文言を越えた実質解釈というのは軽々に行うべきではないのだろうと思っております。

次回の日程は、今月は3回もあって申しわけございませんが、3月30日(水)の10時ということで予定させて頂いておりますので、また確認の連絡をさせて頂きます。よろしくお願いします。

○神田部会長

これで散会します。どうもありがとうございました。

午後12時09分閉会

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