金融審議会金融分科会第一部会(第31回)議事録

平成17年5月27日

金融庁 総務企画局

午前10時00分開会

○神田部会長

それでは、予定の時間が来ておりますので、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第31回目の会合を開催させて頂きます。

皆様方には、いつもご多用のところをお集まり頂きまして誠にありがとうございます。

会議に先立ちまして、いつものことでございますが、本日の会議も公開とさせて頂きますので、その点をまずご了解頂ければありがたく存じます。

前回の部会におきまして、投資サービス法についての審議を続けるに当たり、法形式としては、販売・勧誘規制などについては、保険や預金を含む金融商品全体を展望した議論、言ってみれば金融サービス市場法を展望した議論と言ってもよろしいかと思いますが、そういう議論が望ましいというご意見が多く寄せられたように感じられます。このようなご意見を踏まえまして、本日はこの金融分科会の第二部会の委員の皆様方にもオブザーバーとして参加して頂いております。このことをまずご紹介させて頂きます。

なお、古市委員、太田委員から意見書という書面を頂いておりますので、お手元に配付させて頂いております。

それでは早速ですが、本日の議事に移らせて頂きます。

本日は、これまでの議論をもとに中間整理というのでしょうか。議論のたたき台という括弧書きがついておりますけれども、そういう名称をつけて事務局で資料を作成して頂いております。そこで、これについて審議を進めさせて頂きたいと思います。

それでは、事務局からの説明を最初にお願いいたします。

○大森市場課長

「中間整理(議論のたたき台)」という控え目のタイトルにしておりますのは、この1ページにありますように、投資サービス法の議論を始めてから上場企業のガバナンスを問われる事態が相次いで、経営権移動のルールとか、敵対的買収への防衛策とか、またその防衛策などが株主保護上疑義がないことをどう担保するかとか、さらに担保すべき取引所などの体制といったテーマが生じてきまして、役所の事務年度中にすべてをきれいに整理し尽くすのは難しそうだというのが一つございます。

また、投資に関する法制が分立していたり、監督官庁が異なるといった事情は国民にとっては知ったことではないので、可能な限り一元的なルールに再構成するのがわかりやすく、望ましいというのが議論の出発点だったのですが、この発想を進めていくと、ある金融商品が投資なのか、貯蓄なのか、保険なのかも普通の国民の側からすれば、余り本質的な問題でないということになります。他人のリスク・リターンを評価してお金を投じる投資に対して、典型的な保険は病気になるとか、事故に遭うとか、自分の潜在的リスクに備えてお金を払うものですが、貯蓄という性格もあるから逆ざやで苦労されるわけですし、運用次第でリターンが変わるなら、投資になります。投資商品である変額保険も元本またはプラスアルファの保障型になると、定期預金や定額保険に近づいてきまして、要は、顧客にとってどういう金融商品が欲しいかということであって、その金融商品の法律的、経済学的属性までは知ったことではないということだと思います。

というわけで、前回、お手元の横長のポンチ絵が7枚組ございますが、最初のページにありますように、投資サービス法という構想が顧客への販売・勧誘ルールについては、すべての金融商品をカバーする、ただいま神田先生からもお話がありました金融サービス・市場法に進化し得ると提案いたしましたところ、いきなり当事者になってしまった専門委員の方以外からは、もっともであるというご意見だったと認識しております。

本日から参加された委員の皆様は、なぜ今ごろそんな当たり前なことを言い出したのかと訝っておられるかもしれませんが、それはやはり投資サービス法という議論が、第一部会の守備範囲を前提に組合型投資ファンドや外為証拠金取引といった流れの延長で行われてきたからだと思います。しかし、大蔵省の業態別行政組織に業態別審議会があった時代ならともかく、今や金融審議会部会の第一とか第二というのは役割分担の符号にすぎないので、第二部会で銀行や保険業法を担当しておられる委員にご参加頂いて議論を続けてはどうかということで、会長、分科会長、第二部会長ともご相談させて頂いたところでございます。

このたたき台は、基本的にはこれまでの資料に基づくもので、これぐらいのレベルのことをまとめて頂きますと、役所の次期事務年度から作業に取りかかることができ、作業しながら、またこの拡大部会にお諮りしていくことを想定しております。ところどころに論点という四角でくくったものがございまして、これがこれまで議論が途中になっていたり、もう少し意見を頂いた方がよいのではないかと考えられたものですから、この論点をわたり歩くようにご紹介させて頂きますが、お気づきの点は何でもご意見を頂きたいですし、また次回までの間に事務局にお寄せ頂いても結構でございます。

やや、記述が実務的かもしれませんけれども、まだ表現の細部を詰めるといった段階でもないのだろうと考えております。

そこで、最初の論点が3ページ、投資サービス法の制定に当たって勘案すべき要素として、このほか存在するものとあって、どのほかか説明を省略するとわからんと言われそうですが、大抵の金融制度改革の背景として指摘されるようなことが、その前段に書いてございます。貯蓄に比べ、投資を疎んじて遠ざけるメンタリティーがあって、遠ざけられてもしようがないと思わせるビジネスの現実もあるので、安心して市場に参加できる世界における制度基盤として構想されているわけですが、同時に日本のやや大げさに言うと資本主義のルールを定めることになります。

息子がお父さんに資本主義のイロハを教わると、お父さんの方は世の中金がすべてじゃないとか、若者らしくないなとか、かみ合わないのがこの国の資本主義なので、こういう世界における投資サービス法と商法の役割分担は、これまで余り突っ込んだ議論が行われてこなかった論点だと思います。

法の目的や目指すべき効果というのは、かつてのビッグバン改革ではやや夢を語り過ぎたかなという気持ちがありまして、投資サービス法をつくっても、それだけで貯蓄から投資への流れが直ちに加速はしないでしょうが、実体経済の動向とか、人々の意識や行動にフィットすれば大変大きな意義を持つのが金融制度改革だと思います。今期が空前の増配ブームなのは、実体経済動向の反映という面もあるでしょうが、会社とは株主に報いなければならないものだという経営者の意識を急に高める出来事に起因している面もあると思います。こういったことがあると、インフラとしての投資サービス法もそれだけ生きてくるということだと思います。

次の論点が5ページでございまして、ポンチ絵の2ページとあわせてご覧頂けますでしょうか。投資商品の定義については、単に分立している現行法制を足し算していくだけでは、救いようがなくごたごたしてしまいますので、ポンチ絵の中央にありますように、概念を大括りし直すことで、投資家保護上もイノベーションという観点からも有効ではないかということでございます。

集団投資スキームの持ち分がアメリカの投資契約に相当する包括定義で、これでも読めなければ、政令指定で対応してはどうかということでございます。もちろん、法律レベルでのイノベーションの余地の大きさは、安全運転したい業者にとっての高橋厚男委員がいつもおっしゃる、予見可能性の乏しさにつながる面があろうかと思いますけれども、予見可能性の乏しさは、行政との対話などによって補えるでしょうし、中には自己責任で解釈して、トラブルになれば裁判で決着するぐらいの業者が出てきた方が、金融システムの活力が増すということも言えるかと思います。

この論点の6ページにかけまして、これも何度もご意見を頂きましたが、他省所管ないし共管の法律との関係の整理とあります。このたたき台の作者は礼儀正しいものですから、他省の法律を金融庁の法律と同列に書くことに、これまで一貫して遠慮しているのですが、これまでの委員の皆様からのご意見は同列に扱ってこその投資サービス法というものだったと理解しております。他省から参加されている皆様、いつもフラストレーションを感じておられるかもしれませんが、金融審議会が筋論をまとめて、その後、私たちがそれに従って調整するときに、「わかりました、後は金融庁でよろしくお願いします」と言っていたのでは、一国民としてはともかく、担当課長としての職責を果たしたことにはならんのだろうなということぐらいは、私ども想定の範囲内ですので、金融審議会としては筋論でまとめればよいと思います。

次は、8ページの投資サービス業は、証取法と投資顧問業法の統合が一つの柱でございますが、証取法では勧誘が明示的に規定されておりませんので、かつては特定銘柄の大量推奨販売などが行われましたし、それが問題になると、今度はすべてお客様のご判断とか、総合証券会社に言ってもオンライン取引を進められるといったこともあるようです。オンライン取引は急速に拡大しておりますけれども、相場のどんな局面でも自分の判断だけで投資できる人は、とりわけこの国では全国民から見れば一握りにすぎなくて、アメリカですらITバブル崩壊の過程では、オンライン取引比率が急激に低下したそうでございます。

その意味で、普通の国民にとって市場への導き手の助言というのは大切で、投資顧問業法上の助言と証取法の販売の前提として行われている勧誘の概念は明確に整理するというか、そろえていく必要があると思います。

次が11ページ、参入規制の登録要件ですが、ポンチ絵の方でいいますと3ページの右上からご覧頂けますでしょうか。これが参入規制の柔構造化で、広く投資商品を販売、保護預かりするなら、現行の証券会社と同等、保護預かりを行わないなら自己資本規制は不要、委託を受けて行うだけなら、証券仲介業並みに最低限の財務規制だけというものでございます。その下の行為規制も受託者責任を根底に据えて、顧客の属性に応じた柔構造化ということになっております。たたき台の文書の方に戻りますと、参入規制、これはご承知のとおりビッグバン改革で一度整理して、新規参入が大いにふえましたが、そのときにはコンプライアンスなどは業者の自己責任、プアなコンプライアンスで顧客の信頼を失えば自業自得という前提に立っておりました。

その後、エンロンなどを契機に高度なコンプライアンス体制の構築が競争力の源泉だという考え方が強まって、昔はコンプライアンス担当者というと、営業とか企画で使えそうにない人が並んでいたのですけれども、かなり様変わりしてきたと思います。

ただ、体制をつくって、決められたルールを守るだけなら、そんなに難しいことではなくて、幾つかの有名な不祥事を想起して頂くと、経営を揺るがすようなコンプライアンス上の問題は、大抵それまでの規範意識の外側で発生してしまっております。それだけに、登録要件としてコンプライアンス体制を課すとすれば、意味のある仕方で課さねばならないということだと思います。

次の12ページが受託者責任で、投資サービス法の販売勧誘に善管注意義務を規定するといったことが書いてありまして、以下、本日ご欠席ですので、今週号の「週刊東洋経済」の池尾先生のコラムから引用します。

受託者責任に関することを書いておられるのですが、「取引の複雑化とともに、市場型金融といっても仲介者の役割は大きくなり、特に投資家保護のための受託者責任の明確化とその徹底が求められている。しかし、金融業界からは理想論扱いされるのが現状だ。商売の現実はそんなきれいごとではないというのだ。受託者責任の全うは理想論ではなく、基本の基本である。日本が受託者の基本的な責任を全うすることを、青臭い理想のようにみなしている国であれば、市場型金融の本格的な拡大が起こらないのは当然だ。現状は自業自得と言えよう」。

以上でございます。

次の13ページもまた、池尾先生の投資商品のリスクの性質に応じた行為規制という、途中まで議論していた話で、元本割れ商品なら、勧誘・助言の説明義務を強化するとか、外為証拠金と構造を同じくするハイレバレッジ商品は、同じく不招請勧誘を禁止するといった議論が途中になっていたかと思います。

次の集団投資スキーム、ファンドについては、村上ファンドだとか、確定申告のトップがサラリーマンのファンドマネージャーだったので世間の関心は高まっておりますが。16ページに、他省共管法律を特に掲げているのは、先ほどの投資商品と同じ事情でございます。

ポンチ絵の方は、次の4ページで、一般法として横断的に届出、登録、資産の分別管理、運用者資格、受託者責任、投資家への報告義務などを規定するとしておりまして、投信法とSPC法は、上乗せ規制など、かなり精緻につくって税制特例も含めて国民に定着しておりますので、ここでは特別法という位置づけにしておりますが、引き続き検討ということでございます。

残りの市場のあり方とエンフォースメントについては、当部会では、これまで私たちからお示しした考え方にそれほど大きな異論も頂いておりませんので、論点の数も少なくなっておりますが、先物のMTF(私設取引システム)をどう考えるのかという問題提起が、本日ご欠席ですけれども、太田委員からございました。個人投資家を相手に、事実上、外為証拠金取引の私設取引システム類似のものが、何の規制もなく提供されているので、こういった事態に対する方向を金融審議会として示すことが必要ではないかという、もっともなご指摘ですけれども、私設取引システムという概念が全世界的に売りと買いを突き合わせるということですので、それを前提にしますと、業者みずからリスクをとるシステムは含まれないということになってしまいまして、何かいいアイデアがありましたらお願いいたします。

18ページの株式上場制度について、冒頭申し上げましたように、上場企業のガバナンスが問われる事態が続いているのは、金融行政が置くべき力点の変化を象徴しているように感じております。株式を公開していながら、特定の上司の顔色しかうかがっていないとか、組織的に投資家に莫大な損失を隠すといった企業への対応の枠組みはあるのですけれども、運用は様変わりしております。

1年前、これは例ですけれども、東証マザーズに上場している宅建業者が免許が更新されずに営業できない状態になっているのを、監理ポストにいる投資家に注意喚起すべきではないかとの私たちの指摘に対し、管理ポストというのは、事実上、死んでいる企業を入れるところですというのが、当時の東証のレスポンスでした。今や監理ポスト指定というのは日常茶飯事になって、そこから上場廃止に至ることもあれば、もとに戻されることもありますが、監理ポスト指定と投資家の反応は必ずしも一致しておりません。市場と対話しながら、どう規律を維持していくかが取引所にとって大変難しい課題になっておりまして、不正の当事者が監視委員会に摘発されるのは当然ですけれども、上場廃止の影響を受けるのは不正の当事者ではなくて株主になりますから、どういう基準に基づいて判断をしていくのか、判断していくことが市場規律の維持として望ましいのか、取引所に再検証を求めております。

カネボウをめぐって、金融庁vs東証といった枠組みで報道されるのは残念なことで、市場行政と自主規制は、論理的に対立するはずがないのでございます。

こうした、いわば不祥事系の話よりも、ニッポン放送争奪戦の方が市場行政や自主規制に問いかけていることが多くて、敵対的買収への防衛策が講じられるなら、それを株主保護上疑義のないものにするのは、公開の場を提供している取引所の設置になります。これまでの取引所の上場企業へのガバナンスは、経営上起こったことはディスクローズしてくださいということだったのですが、上場企業の経営体制、取締役会の構成などが株主を守れるものになっているのか、保身経営者の過剰防衛を許さないものになっているのかまで踏み込んでいかねばならない客観情勢だと思われます。

一方、私たち市場行政の側に問いかけているのが、次の19ページのディスクロージャー制度で、以前も申しましたように、包括的かつ柔軟に公開買付制度を仕組み直すことができれば、この手続の過程で買収者と対象企業の対話も行われ、個々の企業が株主保護上、疑義のある防衛策に依存する必要が低下しますし、あわせていささか経年劣化している大量保有報告書制度も再検証していくということになります。

今日も若干時事問題に傾斜した説明になっておりますが、ポンチ絵の方は5ページで、市場の制度としては前段に取引所上場商品の拡大、ディスクロージャーとしては、先ほど申し上げた公開買付制度などに先駆けて、今、岩原先生のワーキングで検討して頂いている重要な課題がございます。

以下、最後までポンチ絵の方に基づいていきますと、次の6ページ、エンフォースメントの最初が私たちの体制の強化になります。投資サービス法をきちんと立法できる体制とか、投資サービス業者をきちんと検査・監督できる体制は当然ですけれども、ここ数回繰り返し申し上げております上場企業への対応、先週来だけでも小田急とかニチイ学館ですか、きのうは本間ゴルフ、そういった具合なものですから、開示の窓口である財務局や取引所、場合によっては監視委員会や監査審査会と連携して過不足なく対応していく必要がございます。

その下の機能強化は、継続になっております課徴金に加え、民事責任規定について、最近は偽造、盗難、キャッシュカードで持ち切りですけれども、当然、投資サービス法においても重要な論点になりますので、行為規制に違反した販売・勧誘や、前回原委員からご意見のあった無登録営業などにつき、検討していく必要があろうと思います。

右上の自主規制機関については、現在でも法律上は証券業協会は幾つあってもいいですし、元来、自主規制は業界の実情から形成されますので、投資商品や投資サービス業の法制度の一元化にあわせて、実態として統合しなければならないことにはなりませんが、例えば、ホールディングスみたいな組織があるとか、ADR機能の窓口が一本になっているとか、機能強化のための取り組みの余地があると思われます。

その下の取引所の自主規制部門のあり方は、日本の資本主義において果たすべき役割がさまざまな観点から急激に高まっているので、どういう体制でその役割を果たしていくのか、まずは取引所の認識を求めているということでございます。

これも、金融庁vs東証みたいな構図で報道されておりますが、やはり論理的に対立するはずはないと考えておりますし、あわせて当然ながら、先ほど申し上げたように、監視委員会などを含む市場行政体制との的確な役割分担を確立していく必要がございます。

以上の論点のうち、企業買収のルールと上場企業のガバナンス向上のための取引所の役割及びその役割を果たすための体制につきましては、もろもろの事件が続いておりますので、自民党でも議論が行われているということを申し添えます。

ポンチ絵の右下にイギリスに倣って金融経済教育、なかんずく投資教育を法律的に位置づけてはどうかということがございます。訓示規定ではあっても、今後運動を盛り上げていくための契機になるのではないかと考えております。

最後のページは繰り返しになりますが、今事務年度であと何回かご議論頂いてまとめられれば、投資サービス法の立法作業とその執行体制の整備に入っていけると考えております。立法作業のプロセスで出てくる具体的な課題や今回の整理で引き続き検討すべきとされた課題については、恐縮ですが、夏休み後といいましょうか、また議論して頂くという展開を想定しておりますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

いつもの大森課長さんらしいご説明を頂きました。

今日は、この「中間整理(議論のたたき台)」というものを初めて皆様方にお示しさせて頂いての1回目ということですので、次のようにお願いしたらどうかと思います。

まずは、この資料あるいは今のポンチ絵も含めて、またご説明について、ご質問があればお受けします。そして次に、全体についてのご意見かあればお受けして、そしてあとはどこからでもというのもちょっとどうかと思いますので、前の方から進んで、ただ関連すれば後ろへ行って頂いても結構ですというようなことで、ご審議を頂いてはどうかと思います。言うまでもないことですけれども、今日、全部ご審議頂くことは全く考えておりませんので、引き続き次回以降にご審議を頂くことを考えたいと思います。

また、今日は第1回目ということもございますので、お手元の中間整理の表現ぶりとか文章、てにをはについてのご意見は、まだこれは文章として確定しようとしている趣旨ではないと思いますので、そういう細かいご意見よりも、内容についてのご意見、それからスタンス、そういったものについてのご意見を頂ければありがたいと思います。

それではまず最初に、今のご説明、資料等について、ご質問がおありでしたら、もちろん後でまた出して頂いても結構なのですけれども、まずそれをお受けしたいと思いますけれども。オブザーバーの方も含めてでございますけれども、どなたからでもよろしければお願いいたします。

古市委員どうぞ。

○古市委員

先ほどご紹介頂いたとおり、意見書をつけさせて頂いております。

質問ということなので少し。前回B-1、B-2という紙が出されてきて、B-2については展望だというふうなお話があって、そこの議論があった。ところが今回、「はじめに」というところでB-1のところがなくて、B-2が出ています。中のてにをはの細かいところは別とはいいながらも、5ページのところに、どちらかといえば将来の形ですけれども、銀行法や保険業法といったところについても、一元化することについて検討を行うべきであるというような表現もあって、これらがどういうことなのか、少し頭の中がこんがらがっているところがございます。

私の整理だと、今の大森課長のご説明も、最後のページも、少し不明な点があるので、この中間整理(議論のたたき台)というものの位置づけ、実質的なポイントが、今、私の理解でいいのかということを質問させて頂きたいと思います。

つまり、今回の中間の6月末までの議論だと思いますけれども、その中では従来から議論してきたとおり、貯蓄から投資への流れに沿って、投資商品──投資商品の定義というのはいろいろあるということで十分議論をしてきたと考えていますけれども、それに対して、投資サービス法のあり方についての考え方を整理した上で、立法化に進んでいくのだということ。その後、7月以降なのか、一定の投資サービス法の実施状況や、また我々従来から主張してまいりましたけれども、預金だとか保険だとか、それぞれの業法別での規制の徹底の仕方だとか、改善の仕方だとか、その商品の特性だとか、その辺を踏まえた上でもう一度その次の段階の金融サービス法というところの是非も含めて、そこに新しい投資サービス法に一元化することを含めてオープンに議論していきましょうという2段階で行くという理解でいいのか。

それと、これも大森課長はっきり言われたので、あえて確認する必要もないかとは思いますが、当然、ロジックの流れとしては、そういった流れの第2段階の一定期間置いた後の議論の中では、当然、保険に関して言えば我々民間保険会社よりも圧倒的に大きい保険契約者数を持っている共済だとか、簡保も含めて議論の対象となっていくということか。ステップ論と、それから範囲論について、前回のB-1、B-2、それから今回の書きぶり、それから大森課長の今のご説明、とりわけ一番最後の、今後の7月以降、それから7月以前、ここのあたりの整理がわからなかったので、部会長にどういう位置づけかというのを教えて頂けたらと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

部会長にと言われてしまったのですが(笑)、説明者である大森課長にお願いします。

○大森市場課長

すべてクリアなように説明したつもりなのですけど。一体、何がわからないと言っておられるのかが、ちょっとよくわからなかったのですが。

○古市委員

言葉の定義について余りこだわらないということはあるのですが、全体として、例えば「はじめに」のところでも、投資サービス法(金融サービス・市場法)という表現があります。そのさらに先の矢印の中に、投資サービス法(仮称)というのがあります。6月末までの段階で目指すものというのが何なのか。

そういう意味では頭が悪いのかもしれませんけれども、恐らく大森課長のおっしゃっているのを自分なりに理解するのは、ここの少なくとも一番上の部分の3段階ありますけれども、1段目と2段目の間の販売とか勧誘ルールについては、展望という定義は別として、今回の6月以降の法律、立法の中には入れないということで、その先に展望という、定義は別ですけれども、そこを別の議論の場でニュートラルに議論していくという整理でいいのか、ということでございます。

○大森市場課長

わかりました。

この第一部会で議論をしてまいりましたのは、当然、投資商品及びそれを提供する投資サービス業のあり方ということで、中身のある話として役所の事務年度としてまとめようとしているのは、そういう意味での投資サービス法でございます。

当然、純粋な保険、あるいは純粋な──すなわち狭義投資サービス法に含まれないような保険商品、預金商品、そういったものの国民に対する販売・勧誘の仕方というのは、まだ議論していないわけですから、当然これからの話になりますけれども、先ほどの私の説明で申し上げましたように、国民の側からすれば、ある金融商品が投資なのか貯蓄なのか保険なのかというのは、余り本質的な問題ではなくて、どういう商品が欲しいかということでしょうから、その議論を発展させていって、前回、2つのパターンをお示しいたしましたけれども、こういうシルクハット型みたいな形にした方が、国民にとってわかりやすい、望ましい制度だということであれば、そうすればよいというのが展望ということになります。

ですから、こういう経緯だから、証取法的な世界を他の金融商品に機械的に適用しようとかいう話では全くなくて、それぞれの金融商品の特質に応じたルールを決めればいいというだけのことでありまして、そのルールというのは、国民に対する接点の部分では一元化されていることが望ましいのではないかというのが、前回、専門委員の方以外のほぼすべての皆様のご意見だったと私は理解しております。

○神田部会長

ちょっと私からも1点申し上げます。補足になるのかどうか。私も理解が間違っているかもしれないのですけれども。

これまで第一部会の議論というのは、例えば12月に報告をまとめ、法的な措置というか、法改正が必要なものについては年明けの国会に法案を提出する、あるいは外為証拠金のように、夏に報告をまとめて頂いて、秋の臨時国会に法案提出という、比較的具体的なことをご審議頂いてきたのですね。

今回は、ちょっと性質が違いまして、投資サービス法といったようなものを構想するための基本的な考え方というか、ロジックみたいなものを、そういう意味ではちょっと抽象度の高いというところで今回はおまとめ頂きたいということでご審議をお願いしているわけでして、6月か7月か、いずれにしてもおまとめ頂いてから、例えばすぐ秋の臨時国会に法案ができるという性質のものでは──早い方がいいとはいえ、ちょっとそういう性質のものでは到底ないというふうに私は理解しております。

すなわち、抽象的に理屈を取りまとめた次には、それを具体化するようなご審議あるいは検討、これは行政の方での検討の方が大きいのかもしれませんけれども、場合によってはここでのご審議を含めて、そういうものを頂かないと、すぐ法案をつくるというところへは行かないのではないか。もちろん、それに何年もかかっては困るとは思いますけれども、それはともかくとしまして。

そういうことでありますので、ちょっと従来と審議の性質が違うと思うのです。すなわち、今回は考え方、理屈をまとめるのであって、まとめたから法律が1つになるのか、2つになるのか、今までの法律がどういう影響を受けるのかということについては、すぐ直線的にそこは結びついているわけではなくて、具体化していく中でどういう形になるのかが決められていく。そこで、基本的な考え方としては、これまでの第一部会でご議論頂いた中では、おおむね名前はともかく、投資サービス法といったような名前の法律で、資本市場分野というのでしょうか──を横断的にカバーするようなものはつくれるのではないか、またつくるべきではないかというようなイメージはあるのですけれども、その具体像よりも、なぜそういうことを構想しなければいけないのかという理屈のところを今回はおまとめ頂きたいということなのだと思います。

したがって、それを金融商品の販売・勧誘という観点で見ますと、先ほど大森課長は消費者から見ればということでおっしゃいましたけれども、私がよく言う言い方で言えば、例えばということですけれども、ふさわしくない商品をふさわしくない人に売ってはいけないと。こういうルールは恐らく銀行の商品であれ、保険の商品であれ、投資商品であれ、同じだと私は思うのですけれども。ただ、理屈を今回ご整理頂きたいので、時間がなければそういう理屈の部分も含めて展望というか、今後、検討ということもあり得ると思うのですけれども。

仮にそういうことだとしますと、そういう理屈に照らして、次に現状のそれぞれの販売・勧誘ルールが、今言ったようなルールになっているのか、なっていないのか。なっていないとしたら、何か正当な理由があるのか。あるならそれでいいですし、なければ合わせましょうということになるでしょう。これを横断化と呼んでいるのですけれども、そういった検証というか、そういうプロセスが次に出てくると思うのですね。それで、それを経た次に、さらにもし改善するとすれば、改善する具体的な姿として、古市委員ご指摘のような法律の形みたいな話が、次にさらに出てくると、そういうことではないかと思います。私が発言して時間をとって申しわけありませんけれども、ちょっと今回のご審議は、今までの第一部会とはちょっと性質が違って、理屈のところをちょっと抽象的におまとめ頂くことをお願いしているということにできればさせて頂きたいと思います。

もちろん、それの持つインプリケーションというのは、当然、人によって違うかもしれませんけれども、あるでしょうから、そういう意味ではそういうことも念頭に置いた抽象的な理屈の整理になるという点は当然あるとは思います。十分にお答えになっているかどうかわかりませんが。

○古市委員

ありがとうございました。

そういう意味では、先生のおっしゃったとおり、必ずしもその一本の法律にまとめていくわけではないというような、それも含めてなんでしょうけれども、しっかり時間をかけてやっていくということと、抽象的な議論について進めていくのだといったところについては理解いたしました。

ただ、抽象的な理解を進めていく中でも、当然、実務だとか現実というのは踏まえた上で、時間をじっくりかけてということをぜひお願いしたいと思います。

ありがとうございました。

○神田部会長

ほかにご質問は。

田中委員どうぞ。

○田中(浩)委員

質問させて頂きます。

資料集の2ページ、投資サービス法の想定範囲というこの資料なのですが、先ほど大森課長から説明があった中で、金融商品販売法というものもこの投資サービス法の中に含めて、幅広くカバーしていくという説明がなされたわけですが、消費者の方から見て、安心して投資できる環境をつくるというのは重要なことだと思います。その意味で、特に販売・勧誘に関する規制が最大のポイントになるかと思います。

この図をそういう観点で眺めてみますと、この黒枠のところが現在の想定されている範囲ということだと思います。それに対して点線部分があり、この図を眺めてみると、ちょうどその商品ファンド法、不動産特定共同事業法のところが、実線ではなくて点線になっています。

今までの趣旨を考えると、この販売に関する規制の部分ですね。点線の下の半分。これは実線の中に含めた方が、今までの理論の趣旨にかなうのではないかなと思っております。そういう面で、ちょっとそこのところのご説明をお願いしたいと思います。

○大森市場課長

抽象的には申し上げたと思いますけれども、資料をつくった人が遠慮しているだけということだと思います。委員の皆様方の意見は、当然、どこの役所が所管していようが、投資商品は投資商品だという意見だったと思いますので、他省の所管であったり共管になっているものを同列に表現することを遠慮しているだけということだと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

ほかにご質問はございませんでしょうか。

それでは、またご質問は後で関連して出して頂いても結構ですので、全体についてのご意見がもしありましたらお願いします。

上柳委員どうぞ。

○上柳委員

全体というか、特に「はじめに」のところにもかかわるのかもわかりませんけれども、やはり今までの議論の流れもあって、私はそうだというふうに理解しているのですけれども。やっぱり究極的には消費者なり、あるいは利用者、もう少し経済の先生方の言葉だと市場ということになるのかわかりませんけれども、そこのための改革であると。要するに、ルールがわかりやすく透明的であって、かつ私が大事だと思うのは、書かれているルールはきっちりと守られるということ。絵にかいたもちではなくて、書かれていることはきっちり実質があるのだよと。もし、その書かれていることが不足があるようであれば、また各界の意見、消費者の意見を聞いて、それで改正していけるような、そういう構造であるべきだと思います。

そういう意味では、できれば「はじめに」のところで、そういうふうに利用者あるいは消費者に向けての我々が検討している、さらに神田先生のお話だとこれからも検討が続くということのようですけれども、そのときの基本視点のようなものが入ればなと思っています。そういう意味では、私はやっぱり究極的には裁判でクラスアクションであるとか証拠の問題であるとか、あるいはさまざまな民事効規定ですね。それから行政の方もきっちりしてもらって、消費者を向いて、例えば課徴金手続はもちろんですけれども、これを究極的には被害者救済、被害者に分けるということまでつなげていくというようなことが、一番の肝要なところだと思うのです。

それを考えると、今申し上げたようなエンフォースメントの観点から言えば、恐らく対象商品も他省官庁の管掌であれ、あるいは保険、あるいは銀行取引であれ、変わらないはずで、そこの共通ルールとしてわかりやすいようにやっていくということで、先ほど大森課長、シルクハットのようにと言われましたけれども、つばのところが余り薄くては意味がないわけで、なるべくそれがホットケーキだと2段階になりますし、鏡餅だと、余りややこしくて、さっきの「わかりやすく」とは離れるのですが、何となく分厚いようなものにしていくという姿勢をもう少し示す──これからの意見を聞いてやるということだと思いますけれども──というふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、原委員、高橋委員の順でお願いします。

○原委員

全体的な構成というところからの意見を述べたいと思うのですが。投資サービス法から金融サービス・市場法ということでの検討に進んだということで、その点は、ぜひその方向で横断的、包括的な法制ということを目指して頂きたいと考えております。

私自身は98年から金融の規制改革に合わせて、日本でのこういった金融分野にかかわるルールをどういうふうにつくったらいいのかにかかわってきました。ですから、これまでの流れというのは、やや投資サービスのところだけに偏っていたように感じておりましたので、今回、きちんとした本道での議論が始まるということを大変期待しております。

大変、私が検討するに際して参考にしていますのが、イギリスの金融サービス・市場法なのですけれども、ここに述べられている理念が4つございまして、皆さんご存じの方はおわかりで大変恐縮なのですが、市場への信頼の確保、金融消費者の啓発、消費者保護、金融犯罪の軽減ということが、イギリスの金融サービス・市場法の理念ということになっておりまして、私もぜひこういった理念、考え方の整理のもとに、法制化を目指して頂きたいと思っております。

そういう意味から言うと、2点感じているところがありまして、1つは保険とか預金とかということが今回検討に入ってきておりますけれども、預金については、多種多様な金融商品を販売していらっしゃる、金融デパート化をしておりますので、当然、ここに入ってくると考えておりますし、保険については、今、ペーパーも出されたりしておりますけれども、私としては、金融商品、金融サービスという意味では、大森課長がおっしゃられたことと同じように考えておりますので、ぜひその同じ枠の中に入って頂きたいと考えております。

その意味からいいますと、ポンチ絵の1ページの絵なのですが、これはシルクハットなのかなと思うのですけれども、投資サービス法が真ん中にあって、足を伸ばして販売・勧誘ルールというところに銀行と保険がかかわっているわけなのですが、まず、構図としては、金融サービス・市場法というのが頭にあって、その下に銀行法なり、投資サービス法なり、それから保険業法なり、それから他省庁にまたがる商品ファンド、商品先物、それから不動産特定事業とありますけれども、他省庁にまたがるものもすべて入ってくるという形の構成にして頂きたいと思っております。それが1つです。

それからもう一つは、販売・勧誘ルール等というふうにくくられていますけれども、「等」の中に何が入るのかよくわからないのですが、販売・勧誘の場面だけではないと考えておりまして、今、適合性の原則のところの強調は神田先生からなされましたけれども、実際に販売・勧誘の部分だけではなくて、取引の中に入っての、先ほど池尾先生のご紹介ありましたけれども、受託者責任というのでしょうか、契約締結後のルールというところも、私はこの金融サービス・市場法の中で十分検討されるべきことだと考えておりますので、この販売・勧誘ルール等というだけでは、非常に矮小化をしていると思っております。

その商品とサービスの範囲を広げることと、それから販売・勧誘ルールだけにとどまらないということの2点を強調したいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、高橋委員どうぞ。

○高橋(厚)委員

大変難しい、広範にわたる議論だったと思いますが、よくまとめて頂いた案として提案されている、全体としてそういう印象を持っております。

その中で、全般についてということでありますと、「はじめに」というところに書かれている目的なのですけれども、この議論をしてきた目的の一番大きなことは、繰り返し主張されておりましたように、間接金融から直接金融という大きな流れの中で資本市場を整備していくということであったかと思います。やはり、こういうたたき台として、あるいは論点整理としてまとめる以上、もう一回その認識をきちっとしておく必要があるのかなというふうに思います。

それから、それを実現する手段として、ここで十分指摘されておりますように、消費者あるいは利用者の保護ということが欠けることのないように、幅広く対象としていく、それは一番大事なことだと思いますが、それと並んで、このレポートの各論のところでは、いろいろ触れられておりますけれども、新しい商品の開発、イノベーションというものを十分活性化していく、そういう市場にしていくということも、並んで大きな目的だったかと思います。そういう目的を明確にするということが必要なのではないかと思います。

それから全般に関係することでありますけれども、共通化していく、横断化していくというときに、何が投資商品かという議論が求められるわけであります。先ほど大森課長の説明では、この「はじめに」の資料の2ページ目にありますように、「集団投資スキームの持分(包括定義)」というところがあるというご説明だったように思います。あるいは、この取りまとめのペーパーの4ページでは、下から2行目に「別紙のような定義が考えられる」と書いてありまして、私は別紙が落ちているのではないかと思っていろいろ探したのですが、どうもこの別紙の「集団投資スキームの持分」ということを意味しておられる、あるいは「その他政令で定める」というところがあります。この議論は、途中でも何度もありまして、個別の例示列挙をするもの、個別の列挙に包括的な定義による限定を必要とするもの、そしてそのほか包括的な定義と、こういう3点の整理によって包括的な横断的な法制化をしていこうということであったと思います。

そうだとしますと、この包括的な部分につきましては、定義がきちっと示されているとこが必要であろうと思います。大森課長のさっきのご説明では、「リスク・リターンを評価してお金を投ずる」というご説明がありました。一つの定義かと思いますけれども。そこの点、必ずしもハウイ基準にこだわるということではございません。いろんな考え方があると思いますけれども、そういう全体を通ずる定義というものを明確にしておくことが、今、各委員からもご議論ありました、大森さんからも説明がありました、他省庁にまたがるもの、あるいは今定義のないものをどう取り組んでいくかということについても、きちっとした答えが出るのだろうと思います。そういう意味では、定義が、ここに(包括定義)と書いてあるのが、これから包括定義をここに書くのですよという意味であれば、その原案を早い段階に書いて頂き議論させて頂きたいと思います。

そうした上で、各省にまたがるものにつきましては、確かに大森課長からご説明ありましたように、この紙のこの原案の書き方は、非常にそこはあいまいになっておりますし、これを共通化しようとしているのかどうかもよくわからないような書き方になっているのですけれども、これは大森課長、さっきのご説明で非常に明確に金融審議会としては、きちっと考え方を示していくというご説明がありましたので、個別の修文については申し上げませんけれども、ぜひそういう形で整理をして頂きたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

淵田委員どうぞ。

○淵田委員

今、高橋委員からもお話しあったことと関係しますけれども、法律の段階でどう書くかというのは別としまして、この抽象度の高い中間整理の段階としましては、やはりどこかでもう少し、そもそも投資商品というものはこういうことを考えているという、考え方のようなものが明示された方が、混乱は少ないかなという気もしています。別紙は、定義といっても、今まであった限定列挙プラス政令指定という構図自体は余り変わっていなくて、ただ集合投資スキームが入りましたので、いわゆるハウイ・テストの分野はカバーし得るのだと思います。

ただ、アメリカでもハウイ・テストだけですべてが整理されているわけではなくて、ファミリー・リゼンブランス・テストというのでしょうか、すなわちそもそも売り主とか買い主がどういう動機で取引をしているのかとか、あるいはどういう売り方がされているのか、あるいは一般投資家がこれを投資として合理的に期待しているのか、それからほかの法規制で危険が減ぜられているのかどうかといったことも重要な要素になっているようです。この辺は、昨年11月に黒沼委員からもご報告がありましたように、米国法からの示唆としては、法的形式よりも経済実態で判断するアプローチがあるということです。投資家の目にどう映ったか、投資家の期待が基準となっているということが特に重要だと思います。他の業法によって規制されているから、投資商品としないということは、必ずしもよくないのではないかというご指摘は、黒沼委員からももう既にあったわけであります。

そもそも投資商品というのは何であって、なぜ投資サービス法で規制しなければならないのかということ、事前の予想をつけやすくするためにも、文章をもう少し書き込んだ方が、いろんな方に納得がいくのかなという感じがいたします。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。全体的なご意見はございませんでしょうか。

よろしゅうございますか。では、また後で個別のご意見を頂くときにはあわせて頂いても結構ですので。

それでは、前の方から順番に行きたいと思います。

先ほど大森課長からのご説明では、ところどころ、例えば最初は3ページになるのですが、論点と称して囲みがある部分があります。そこについては、さらに少しご意見を頂くと、この中間整理が書きやすくなるということで考えているものであります。

ただ、それ以外の点につきましてもご意見はおありかと思いますので、先ほどは時間の関係で、この論点とポンチ絵を中心にご説明頂きましたけれども、前の方から行きたいと思います。ただ、「はじめに」あたり。既に今、全体として頂いたご意見にも関係すると思いますので、最初の3ページあたりぐらいまで。3ページ目には最初の論点があるわけですけれども、その論点を含めて3ページ目の投資サービス法の対象範囲と書いてあるものの前まで、総論みたいなところになるかと思いますけれども、ご意見があればお出し頂きたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

よろしいですか。それではまた戻って頂いても、もちろん結構ですので。

それでは、3ページ目の「 I 投資サービス法の対象範囲」ということで、3、4、5ページまで行きまして、いわゆる投資商品の範囲ですね。5ページ目から6ページ目にかけて論点がありますけれども、それも含めまして、これも今、高橋委員と淵田委員から既にご指摘は頂いておりますけれども、いかがでしょうか。

では、黒沼委員、木村委員の順番でお願いいたします。

○黒沼委員

投資商品の定義については、既にお二人の委員からご意見があり、それと重なる部分もあるかと思いますが、今日は、集団投資スキームの持ち分について包括定義を設けて、それですくえないものは政令指定をするというようなご説明がありました。

以前の議論では、個別列挙と包括定義を組み合わせるということでありまして、個別列挙あるいは政令指定ですくえないものを包括定義で拾うという考え方だったと思うのですが、その考え方と今日の考え方と違っているのではないか。

集団投資スキームの包括定義はもちろん必要ですけれども、それ以外に、集団的な投資を行わないような個別の投資契約というのもあり得るわけで、それについての包括定義を置くべきではないかと考えます。

○神田部会長

ありがとうございました。

では、木村委員どうぞ。

○木村委員

たたき台ですけれども、ちょっとなでる程度の意見にしかならないと思いますけれども。

4ページの第2パラグラフの4行目「縦割りの業法が金融イノベーションを阻害することのないような法制を目指すことが必要である」、これはこういう理解で私はいいと思うのですけれども、その縦割りのすき間をねらってさまざまな投資商品が出てきたと。むしろ、そういうことでイノベーションが進んだ部分もあるのではないかなと思いますけれども、そこら辺、質問みたいな形になりますけれども、どう考えたらいいのかなということです。

それから2点目ですが、5ページ目の第2パラグラフの下の方に、「銀行法や保険業法についても、販売・勧誘等に関するルールなどについて投資サービス法と一元化することについて検討を行うべきである」ということも基本的には理解するところなのですけれども、銀行、保険まで含めた金融サービス法を展望するということであれば、やはり銀行、保険における販売実績あるいは顧客のニーズを分野ごとに十分検討をして、投資サービス法の検討を進めていくべきではないかなと。

私自身、余りフォローしていないのですけれども、保険商品の販売・勧誘のあり方に関する検討チームで販売実務の実態も踏まえた検討が行われていると聞いておりますけれども、例えば保険商品を投資商品もベースにした厳格な販売規制を適用することになりますと、消費者の利便性に多少影響が出てくるのではないかなというような思いがあります。私もたまに海外出張に行くのですけれども、その際、成田で海外旅行傷害保険に入るのですけれども、例えばあの場面で厳格な書面交付だとか、念入りに説明されていると、逆に迷惑かなというようなことでございまして、投資サービス法におけますこの販売・勧誘などの規制が、単純に銀行あるいは保険分野等に適用されることになるような検討プロセスは必要ではないかなということと、労働組合としては、職場の実態を踏まえた議論もして頂きたいなというふうに考えております。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

若干、質問の点もあったかもしれませんけれども、縦割りの業法が金融イノベーションを阻害することのないようなという表現は、今日は表現ぶりは余り議論してもしようがないのですけれども、おっしゃっているような趣旨を意味するつもりで書いているわけではないということだと思います。

つまり、抽象的に言うと、例えば業法不在の分野というのがあって、そこで商品が開発されるというのは、果たしてイノベーションの促進なのかという話で、これはこれまでも議論されてきましたけれども、主としてはプロ・アマというか、ホールセールとリーテイル。ホールセールとかプロの世界というのは、もともと業法は不要とは言いませんけれども、そんなに強い規制は不要な世界であるのに対して、リーテイル、一般消費者向けに商品を売る世界というのは、およそ業法がないというところで、それをイノベーションと呼ぶわけにはちょっといかなくて、そういう話だと思いますので、表現ぶりの問題かとは思いますけれども、ご趣旨はそういうことだと思います。

それでは、ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○町田委員

投資商品の範囲ということで、そのことの関係で申し上げます。

「はじめに」という先ほどの議論で、銀行とか保険の商品を販売・勧誘の全体にどうかけていくかといった議論とも関係しているのですが、銀行の預金商品の実態とか、あるいは利用者との関係から少しご紹介しておいた方がいいかなという点を申し上げたいと思います。

縦で割るか、横軸を入れるかと、これはいろいろな考え方がありますし、また、例えば預金で言えば、多くの委員の方からご指摘のように、多種多様な預金を開発して販売してきた中には、投資性の強いものもあるということは事実でありますので、こういった考え方の中で整理をされてくるということについて、私どもは180度対峙しているわけではありません。まず、そのことを申し上げておきます。

先ほどの図で、販売・勧誘ルール等が銀行と保険の全体にかかっていること、それから資料集の2ページで、投資サービス法の想定範囲の図がありますが、銀行業を融資、為替、預金という分け方で、やはり預金全体に黒枠がかかっています。

現実の銀行預金は無利息の法人性の当座預金、あるいは今回ペイオフ対応の個人向けの無利息決済預金、あるいは最近非常に利息が少ないということで、むしろそっちのご批判を頂いていますが、一般的な普通預金とか、こういったものが預金の大宗を占めております。銀行預金の利用者が銀行に何を求めているのかというのは、もちろん投資性あるいは利息をたくさん欲しいといったことがありますが、かなり大宗の部分はそれを安全に便利に利用する、そういうことを求めておられると思います。

それから、例えば普通預金であれば、子供から高齢者の方まで、どなたが適合かというよりは、むしろ犯罪収益口座ではないことを示す本人確認を前提に、多くの方に利用して頂いております。私どもに対する利用者からの要望とかクレームというのも、数の上では圧倒的に不便だとか、銀行で待たされるとか、それからATMをもっと便利にしろというものでございます。従って、利用者が何を求めているのかといった観点も今後の議論では必要かなということを申し上げたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、岡内委員。

○岡内委員

対象範囲に関連しまして信託の状況のご説明をさせて頂きたいと思います。今の預金の話と似たところもあるかと思いますけれども、信託のプロダクトとして出てきた信託受益権について投資性のあるものはございます。有価証券、あるいはみなし有価証券の信託受益権につきましては、やはり投資家保護の観点から、適切な規制がかかるべきであり、これはある部分は、先般の業法改正等にも盛り込まれております。そういう意味では縦のベースでの必要な規制はできていると思います。

ただ、それをどういうふうに横でくくるかということにつきましては、信託というものは非常に広いものがあり、いわゆる投資性のない信託受益権も中にはございますので、その辺についてどう考えるかというのはご配慮頂きたい点でございます。

ここの中間報告整理のペーパーでいきますと、一番最後に別紙がついておりますが、この別紙を拝見しますと、商品とサービスに分かれておりまして、サービスについては下から2行目に信託契約の締結というのがございまして、ここについては横の箱書きで、信託業法等との関係について引き続き検討ということで記載して頂いているわけですが、商品については上から4行目で信託受益権ということで一つにくくられております。信託受益権は信託契約の締結と切り離して考えるものでなく、更には非常に投資性の強い受益権とそうでないものもございますので、この辺の線引きもどういうふうにお考え頂くのがいいのか、これはある意味縦横の関係になるのかもしれませんが、ご検討をお願いできればと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

上柳委員どうぞ。

○上柳委員

前に発言されたお二人の方に反論というわけではないのですけれども、やっぱり考え方としては、大きくは例えば信託にしても、それから保険にしても、あるいは銀行取引についても対象になっているということの上で、バリエーションがあるというふうに受けとめればいいのではないかというふうに思います。

例えば、適合性原則について見ましても、これはそれこそ商品のリスク・リターンの程度に応じて、例えばほとんどの方に勧めても構わないということにもなるでしょうし、逆に同じような名前がついていても危険度が高ければ、招請勧誘、適合性原則それから説明義務の程度の高いということになるので、この対象範囲ということであれば、またちょっと話をつけ加えてしまいますけれども、黒沼委員もおっしゃったように、包括的に考えていくということでいいのではないかと思うのですね。

いずれにしても、利用者の視点から見ていくということは大事で、それでいいますと、例えば最近ですと市民運動として、ボランティアでお金を集めて、それを環境保護とか、そういうNGO活動に融通をするというような活動があって、これはまた私はもう一つのというか、市民サイドから見た新しい金融の流れだというふうに重要視すべきで格段の配慮が必要だと思うのですけれども、いずれにしましても、広く共通ルールを定めて、そこに程度に応じた、あるいはそのリスクに応じたルールをどのように構築していくかということなので、やっぱり広くということについてはコンセンサスがあるのではないかと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、東委員どうぞ。

○東委員

範囲の議論で、2つここに文言があって、金融商品と投資商品というこの2つをどこで切るかということだろうと思います。

先ほどシルクハットの議論でも、従来の商品ということではなくて、極端に言うとノーリスク・ノーリターン、これは明らかにここで言う投資商品ではない。それ以外のリスク・リターンの程度をどこで切るかという議論なのではないかと思います。ですから、いわゆる貯蓄、投資という対象商品としてみたときのリスク・リターンを、ここまでは投資商品として考えましょうというところの線をどう引くかがポイントで、私の理解では、限りなく有リスク・有リターンというものは投資商品というふうに考えるべきではないかと思っています。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがですか。

原委員どうぞ。

○原委員

すみません、一言だけです。包括的に規定を置いてほしいというふうに言いましたので、言い尽くしてはいるのですが、ご発言の中にちょっと一言ずつという感じがしておりまして。

保険についてなんですが、今、保険課で保険検討チームというのを設けて、販売・勧誘ルールのところについての見直しをしております。重要事項の説明義務、告知義務違反、告知義務のルール、それから適合性の原則、広告のあり方というふうに並行して検討しておりますので、ぜひここともリンクをして頂きたいというのが保険です。

それから2つ目は銀行なのですが、これまでの銀行と今後の銀行で随分違ってくるというところが、先ほどの町田委員のご発言の中でちょっと欠けているように思いまして、これまでの銀行だと不便だというのが苦情だということでしたけれども、これから多様な商品を扱われる中で、もういろいろな苦情が散見してきているという状況と、それから過去をさかのぼっても、変額保険ですとか、融資絡みとか、団体信用保険とか、このあたりの苦情は多発していたわけで、やはり少し認識が違うのではないかと思います。

それから信託は、これまで余り消費者に身近ではなかったのですが、最近の信託は信託銀行ですけれども、遺言ですとか、そういったところで業務が消費者への非常に身近なものになってきておりますので、ぜひ同じ枠の中に入って頂きたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

野村委員どうぞ。

○野村委員

本日から参加していますので、ちょっと議論が読めていないところもあるのかもしれませんが。先ほど来から何度か言及がありましたので、実は保険課の方での保険販売に関する研究会の取りまとめをやらさせて頂いております関係で、ご紹介だけさせて頂きたいと思います。

今現在、保険業界におきましては、損保、生保の業界の販売の実態を伺った後、海外における保険販売規制のルールの研究、それから消費者問題としてどのような問題が起こっているのかということのヒアリング、さらには労働組合の方々の販売の実態から見た問題提起などを伺った後、さらには昨今、生命保険業界で生じました詐欺無効関連の行為についてのフォローアップといったようなことをいろいろヒアリングベースでさせて頂いて研究をささせて頂いているところであります。したがって、そこでの知見等もここに加えて頂くということは大変ありがたいことだと思っております。

十分検討させて頂いた上で、その成果をなるべくつなげさせて頂ければと思っておりますが、1点だけ気がつきましたのは、やはり先ほど座長の方からもありましたけれども、金融商品というものを販売するときに、極めて最低限共通して要求されるようなルールというものは何か浮かび上がってきているような感じのところがありまして、必ずしも保険の投資性の高い変額年金保険とか、あるいはデリバティブと共通性の高い損害保険商品というものだけに切り分けをすることなく、保障性のある商品についても、その消費者の方が求めているニーズに適合的な形で販売をするといったようなプリミティブなルールというところは、かなり共通性のあるものとして認識できるのではないかというのが、今現在、研究している中で得られている知見ということでご紹介させて頂きたいと思います。

○神田部会長

どうも、大変貴重なご紹介を頂きましてありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

ほかに。それでは、高橋委員どうぞ。

○高橋(伸)委員

投資サービス法(金融サービス・市場法)について、対象を可能な限り幅広くとるということに関しては、もうぜひこれで推し進めて頂きたいと思っております。

それで、さらに風呂敷を広げる話で恐縮なのですが、ポンチ絵の「はじめに」のところ、資料集の投資サービス法の想定範囲というところの表ももう少し幅広くとって頂きたいと思っております。

その幅広くという点ですけれども、個人や家計が投資になかなか向いていかない理由はいろいろあるのですけれども、例えば住宅ローンでリスクをとり過ぎているから投資にお金が回らないのも日本特有の事情としてございますし、あるいは郵貯、簡保など国営の金融が直接金融へのシフトを阻んでいる面もあると思います。それから、共済に関しては、無認可とか根拠法のない共済に関しては保険業法の方に取り入れる手当てをしたのですけれども、制度共済についても、金融という面から見ますと、家計や個人にとっては選択肢の一つということでは同じですね。

ですから、遠慮している図をつくるご担当者には申しわけないのですけれども、絵だけは、なるべく広くとって頂きたいと思っております。郵政民営化がどうなるかというのは、現時点ではわかりませんけれども、仮にそれがどっちの方向に向いたとしても、一般個人にとっては、郵便貯金、簡易保険は金融商品であり、運用の対象でございますので、その辺も含めた大きな絵の中で論じていくことをお願いしたいと思います。

そういう意味では、私は保険業界とは意見を異にすることが多いのですけれども、今日のペーパーの中で、古市委員が制度共済とか簡保のことを論じていらっしゃいますので、ここでは珍しく意見の一致を見たなというふうに思いました。とりあえず大きく広げて、今ここを検討している、というのがわかる形で、今後の議論を展開して頂きたいと思っています。

ゴールを定めるというのはなかなか難しいと思うのですけれども、ビッグバンの当初から議論に参加してきた思いからしますと、これから頑張ってある種の形が出てくるのが2年後ぐらいだとしますと、まさにビッグバンから10年たつわけです。いろいろ経過措置はあるのでしょうけれども、2010年ごろには、かなり消費者から信頼される金融法制の姿が描けるといいのではないかと思います。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今松委員どうぞ。

○今松委員

今回から議論に参加させて頂きましてありがとうございます。

やはり、今まで一部会、二部会ということで、どうしても二部会の中でどういうふうな議論というのが、こちらは十分にそれを知る努力をしていなかったこともあるわけですけれども、ある意味、金融コングロマリットであるとか、あるいはそもそもサービスそのものが非常に複合化している中で、共通ルールというか、まさに金融サービス・市場法という視点からのとらえ方ですね、ここについて前々からやはり議論等々されていて、やはり二部会の中でもそこをより深めてほしいという議論があったように、私も感じているわけです。その点で言うと、販売・勧誘、これについては前からある程度金融商品の販売法ということで、不完全ではあるけれども、あったわけですが、それをより広めた形で進めていく。

それと、やはり市場等のこれは大森課長からもありましたけれども、やっぱり市場そのものが非常に信頼されていないという仕組み、つまりこれは主として言えば、証券取引法であるとか、ほかの法律がどこまで十分に機能していたのかというところの問題があったのだと思います。それを証券取引法を改組し、ある意味では大胆な形での問題提起、その中で市場をそこで定義し、その中での市場でのより効率と透明性を高めていく。その中に当たり前のことながら、銀行等々で扱う商品等々についてのいろいろな仕組みでのところも銀行、保険、こういう構造として、よりこれまでの議論の中でもありましたけれども、このシルクハット型がより広がる形での、ある意味包括的なものになっていって、もちろん銀行法なり、保険業法等々、これはこれとして存在するということは当たり前だと思いますが、そういうふうな議論の広がりですね、これを今、議論の中でも皆さん期待されているところはあると思いますので、この論点整理の中で、よりそれを抱負化していくというか、そういうふうなことで期待をしております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、岩原委員お願いします。

○岩原委員

今、第二部会の方は怠けているというおしかりを受けたところなのですけれども、それとの関連で、さらに作業を複雑にするのは趣旨ではなくて、これは将来考えて頂きたいということではあるのですけれども。

先ほどの資料集の2ページの絵を見ますと、銀行法等の中で、銀行業については預金についてだけ販売についての規定がこの実線の中に入って、融資、為替は入っていないわけですね。ところがさっきご指摘がありました、例えば変額保険ですとか、そういったものはいわば変額保険と融資の一体商品として販売されて、まさにそのところの勧誘・販売のあり方が非常に問題になったわけで、この融資の部分等についても、本当はそういう顧客に対する説明というのは、大きな問題としてあり得ると。ただ、それを投資サービス法という枠内で法的なルールをつくっていくのがいいかどうかは、これは問題だとは思うのですけれども、融資等に関する──為替も本当はあると思うのですが──顧客に対する説明等のルールについては、今後ぜひ検討が必要であるし、お願いしたい、これはむしろ第二部会の仕事かもしれませんが、それを申し上げておきたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。どうも第二部会のような気がいたしますけれども(笑)。いずれにしても、大変貴重なご指摘でありがとうございました。

ほかに。原委員。

○原委員

住宅金融公庫が段階的縮小になって、住宅ローンを民間の金融機関がほとんど担うということになりましたので、やはり家計から見ると融資の部分は大変大きいと思っております。今、貸金業の方も貸金業懇談会というのがスタートしておりまして、私としてはこちらの分野は統一消費者信用法の制定というのを15年、20年ぐらい前から消費者側としては発言をしてきておりますので、あわせてご検討頂きたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

どうぞ。

○根本委員

私も今日から参加させて頂いたので、今までわかっていない点が多いかと思うのですけれども、投資商品の範囲というか、サービス法の対象範囲についてですけれども、先ほどからもちょっとほかの委員の方もご指摘があったのですが、預金とか通常のデリバティブと関連しない預金とか保険について、これはちょっと点線の下のような形になっていて、厳密な意味で投資商品ではないというような扱いではあるのですが。確かに市場リスクとか、市場価格がついてなくて、変動がないという意味ではそういう分け方ができると思うのですが、一方、信用リスクというのも当然あるかと思いまして、国債に対して、例えばペイオフが解禁された後の銀行、金融機関の預金というのは、相当な信用リスクがあると思いますので、このあたりできれば含まれる方がいいのではないかというふうに、まだ本当に非常にプリミティブな考えなのですけれども、ちょっと思いました。

あと、保険に関して高橋委員もおっしゃったように、これは質問なのですけれども、やはり制度共済というのも、非常に消費者とのアクセスのポイントが大きいところだと思うのですけれども。一方、ディスクロージャーというのは、余り進んでいないところが多いですし、コーポレートガバナンスとか、そういったものも働いていないところが多いので、できれば議論の中に含まれる方が望ましいのかなというふうに思いました。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

この部分につきまして、いわゆる投資商品の部分ですね。何か今日から第二部会の委員の方々が来ておられるので、なかなかこれまでの議論がひょっとするとわかりにくい面があろうかと思いますけれども、そういう意味では、今の根本委員のご発言を伺って、ずっと議論に参加しておられる方には繰り返しになるかもしれませんけれども、私なりの理解を申し上げさせて頂きたいのですけれども。

考え方としては、先ほど東委員がおっしゃったように整理できれば理想的だと、私なども感じるのですけれども、今日の絵のかき方は、ちょっとこのポンチ絵の1ページ目は、冒頭の古市委員のご質問に対して申し上げたことに関連するのですけれども、投資サービス法ということで議論してきており、販売・勧誘ルール──「等」が何かというご指摘ありましたが──等について、この点線のように「展望」しますと、その部分については、むしろ金融サービス・市場法と呼ぶ方がふさわしいのではないかというので、そこは括弧書きになっているのだというふうに私は理解しています。

それから、証券業協会の方の高橋委員の触れられたことで、別紙というのが中間整理の一番最後についていまして、これをご覧頂きますと、名称が例えばイギリスで86年にファイナンシャル・サービシーズ・アクトというのができて、金融サービス法と訳しているのですけれども、中身はインベストメント・サービシーズというか、インベストメント・ビジネスという言葉を使い、インベストメンツという言葉を使ってまして、投資サービス法とむしろ訳すべき法律だったのです。投資商品というか、金融商品というのは、なかなか名称の問題としては難しいのですけれども、ここでご覧頂きますとおわかり頂けますように、これは先ほどの高橋委員を初めとして、淵田委員、黒沼委員等のご指摘にも関連しますけれども、投資商品の上半分でいいますと、どう定義するかというようなこともあるのですけれども、どこまで含まれるかというような頭で書いてありまして、下の方の点は、そこの言葉で言うと、「投資サービス法における取扱いや銀行法、保険業法等との関係につき引き続き検討」という、そういう段差がついているというのでしょうか、そういうのが現在の資料のつくり方だと思います。

そういうことで言うと、投資商品の定義はこれまでも随分議論してきたのですけれども、もうちょっと書いた方がいいというご意見が先ほどから出ていて、全くごもっともだと思うのですけれども、なかなか書けないのですよね。というのは、裏からは定義しやすいのです。つまり、投資サービス法で投資家を保護すべきものとか、投資サービス法の対象となるべきものと、これは言えるのですね。でも表からそれは何ですかと言われたら、投資の対象となり得るものとしか言いようがなくて、それは確かにブレークダウンすれば、ハウイ基準だとか、ファミリー・リゼンブランス基準だとか、いろいろあるのかもしれませんが。

ですから、理屈の上で言うと繰り返しになりますけれども、東委員がおっしゃったような形での整理ができれば、それが理想だとは思いますけれども、しかしさらに何かうまく書けるように、淵田委員のご指摘だったと思いますけれども、工夫はさせて頂きたいと思います。

そして最後に、これは一番重要な点だと思うのですけれども、これまで縦か横かという議論がありましたが、縦か横かが本質的ではないのだと思います。ここでは横断化という名のもとで、すなわち投資サービス法制定という名のもとで、何を議論してきたかという、その議論の中身が大事だというふうに思っており、そういうことでこの第一部会も議論してきたはずです。それで意見が分かれているのかどうか、私はいつもわからないのですけれども、過去、部会で何度も申し上げてきたことですが、どうも投資サービス法というと嫌われるようでして、嫌われる法律をつくってもしかたがないのでありまして、もっと好かれるというか、「あ、そういう法律ができるのだったら、自分もその中に入って、そこで投資サービスを提供したいとか、投資商品を開発したい」とか、そういうふうに思われるようなものをつくらないと。何かつくっても、「それは私は入りたくありません。私の部分は結構ですから、ご遠慮願います」ということを言われるようでは、幾らここで、仮に数の上で多数の委員の方と私が自己満足しても、これはしかたがないと思うわけであります。

したがって、やはり投資サービス法構想というのは、金融サービス・市場法のもとで議論するにせよ、やっぱりもっと好かれる法制にしなければいけないというのが大事だと思いまして、これは今日初めていらっしゃる委員の方もいらっしゃいますので、その点をちょっとすみません、司会進行の権限濫用でしゃべり過ぎていますけれども、ちょっと感想として持ちますので、申させて頂きます。

ほかに、投資商品の部分、よろしゅうございますでしょうか。

それでは水上委員。

○水上委員

「中間整理」をサポートする観点から申しますと、本日の議論の中で、一つ出てきていないキーワード、この第一部会で議論している中でよく使われていた言葉なのですが、ポートフォリオという概念があると思います。基本的な発想というのは、やはりポートフォリオとして考えていこうということがあったと思うのですね。したがって、いろいろな金融商品が多様化していきますけれども、それをいろいろな組み合わせをつくることによって、いろいろなリスク・リターンをつくることができるわけですから、それによって、便利性も高まっていくと思います。

したがって、そういうところを注目していきましょうということで、そのメリットを享受するために、そういったポートフォリオに組み込まれることができるような商品については、販売・勧誘などの行為規制に関しても平準化していった方が組み込みやすいし、実際、それによって利便性が上がるということだと思うのですね。

それで金融商品とか、ポートフォリオを組成するに当たってのサービス、こういったものをできるだけ使いやすい環境にしていこうということが、一つ重要なポイントとしてあったと思いますので、そういう形でのご理解を頂ければと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、差し当たり次に進ませて頂きたいと思います。もうちょっとやっておかないと次回が大変だと思いますので。6ページの2の投資サービス業というところです。これは9ページの6~7行目ぐらいまでということになります。論点としては8ページ目に、販売・勧誘と資産運用、助言について以上のように考える場合、勧誘行為と助言行為をどの関係をどう整理すべきかというのがご意見をさらに頂きたい点として事務局からは提示されています。

しかし、この論点を含めて、その他の点でも結構ですので、ご意見を頂ければありがたく思います。いかがでしょうか。

和仁委員どうぞ。

○和仁委員

ちょっと論点からずれるのですけれども、先ほど神田先生の方からも、好かれる投資サービス法というお言葉がありました。私も今日からなので内容をきちんとフォローできていないのですが、販売・勧誘のあたりにおいて、やはり投資サービス法が販売・勧誘する方に対して、セーフ・ハーバーをある程度与えるということを正面に打ち出した方が、好かれる投資サービス法になれるのではないかと思います。

この中では、営業という言葉はもう使わないようにしようとか、そういうことが書かれており、販売・勧誘と資産運用、助言というところもありますが、それ以外にも、例えば紹介という言葉も、最近、サービス業の中に入ってきますが、こういう業務を一体どうつかまえるのか。その上でどういう同じルールで皆、売っている方はサービスを提供している者が間違いを起こさない、トラブルを起こさないようにすることができるか、業者に対して投資サービス法がつくられるということはこの点でメリットがあるのだということを、どこかで示した方がよろしいのではないかなと私は思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

行為規制の部分だとは思いますけれども、どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。論点についてはご意見は頂けませんでしょうか。勧誘と助言との関係。

それでは、また後日ご意見頂いても結構ですので、先へもう少し行けそうになってきましたので。それでは、9ページ目の「 II 規制内容」のうちの1が基本認識、2が業務範囲、3が参入規制と、この辺は体系になっております。そして11ページ目に論点と上がっております。この辺まで、すなわち11ページの行為規制の前あたりまでいかがでしょうか。

どうぞ、高橋委員。

○高橋(厚)委員

基本認識についての記述がありまして、基本的にはこういうことだと思いますが、それらに対する規制については、規制緩和を推進していくというふうになっている。これはプロに対してというのは一つの例示であって、もう少しいろいろな議論があったと思います、少人数であるとか、いろいろな議論があったと思いますが、そういうものに対して規制緩和すると。

一方、投資家保護を強化する観点から、「所要の規制を追加する」というふうに書いてあります。この考え方は、これだけ見ると、規制の追加というのが投資家保護だという前提になっておりますね。それはそういうことではない。もちろん、追加すべき規制、議論の上で追加すべきものは追加していく、あるいは横断化していく。いろいろなことを議論してきたわけですが、それはいいのですが、規制を追加すれば投資家保護が強化されるというような書き方は全く違うと思います。

投資家の保護の観点からも、以前にも議論がありましたように、規制とコストパフォーマンスの関係もあります。あるいは規制緩和をすることによって、投資家はわかりやすさを増すというようなことで、投資家保護に資するということもあるだろうと思います。全体として、そんなことをここで考えているわけではないと思いますけれども、この表現は誤解を招くのではないかと思います。

それから参入規制のところで、これは論点にも出てくるのですけれども、コンプライアンス体制に留意すべきということが書かれています。それは非常に大事な点だろうと思いますけれども、もう一つ、私も申し上げたつもりですし、何人かの委員から発言があったのは、経営者の資質といいますか、どういう人が参入を求めているのか、どういう人が経営するのかということをしっかり見ていくべきではないかという議論であったかと思います。この登録要件の中に、コンプライアンス体制の留意とあわせて、経営者の資質というものが確保できる体制になっているかどうかということを追加をして頂いたらいいのかなというふうに思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

原委員どうぞ。

○原委員

9ページから10ページの最初あたりになるわけですけれども、やはり9ページに書かれているプロとアマと、2つに分けて、プロは規制緩和、アマは所要の規制の追加というふうに書いてあるのですが、まだ十分にこのプロ・アマ論は検討を詰めていないと思っておりまして、こういった二分的な書き方、今、高橋委員からもちょっと出ましたけれども、私もそのようにも感じておりますし、このプロとアマについての議論は、再度お願いしたいと思っておりまして、特に、ヨーロッパの例を紹介なさって、財産基盤とか、経験性とか、本人の意思とかがありましたけれども、それだけではないという感じを持っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

それから参入規制のところなのですが、10ページ、11ページに書かれていて、今回、財務の健全性とか、コンプライアンスの実効性という言葉が入ってきましたので、ぜひここの部分はお願いしたいと思いますが、私ども、金融オンブズネットという消費者グループで私どもが考える金融サービス・市場法ということで検討を進めているのですが、ここについては適格要件として幾つかを考えております。法的地位に関する要件、財産基盤に関する要件、緊密な関係に関する要件、適合性に関する要件、コンプライアンス体制に関する要件、コーポレートガバナンスに関する要件というのを盛り込むべきでありますし、認可事業者のために、特定の役割を果たす者の適格要件ということで、これは雇用されている方、契約関係にある方についての規定というものも必要ではないかと思っております。

それから、参入規制と裏腹になりますけれども、退出について、市場から退出して頂きたいという事業者が出たときに、その退出についてどのようなルールを定めておくかということも重要ではないかと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

もしよろしければ、もう一つ進めさせて頂きまして、4の行為規制ですね、11ページから。これは論点も多数ありますので、今日とても全部やれないと思いますけれども、11ページ行為規制、(1)基本認識、(2)投資家保護規定の拡充、そしてその中で、大森課長からも池尾先生の論稿というのでしょうか、ご紹介ありました12ページの上に論点、受託者責任ですね。そして12ページの方には広告の規制、その他、その上あたりに適合性原則その他もありますけれども、12ページの下ぐらいまでの範囲でいかがでしょうか。

なお、12から13にかけて次にしたいと思いますので。12ページの下までということで。

田中委員どうぞ。

○田中(浩)委員

12ページの真ん中辺にある、「このほか」と書いてある、「各種の手数料の開示についても義務づけを行うなど、投資家保護の強化を図るべきである」という箇所。この点なのですが、ここに書いてある趣旨というのは非常によくわかります。しかしながら、この手数料というものがかなり明示的になされている投資商品もあれば、現実には手数料という概念がなかなか受け入れられないといいますか、明示できない投資商品もあるということで、この導入に関しましては、かなり技術的なところも含めて慎重に議論しませんと、それが実際には回らない。回らないということは、そういう本来潜在的なニーズが仮にあったとしても、ビジネスとしては成り立たなくなって、国内では何もビジネスが行われなくなります。

その一方で、海外で同じビジネスがどんどん行われていて、資金がどんどん流出して、日本の市場の空洞化が起こってしまうという危険性がありますので、この部分の取り扱いは慎重にして頂きたいと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、上柳委員どうぞ。

○上柳委員

12ページの論点のところの受託者責任の問題ですけれども、もう今日は先生が雄弁に語られているので、つけ加えるとあれかもわかりませんけれども、ここは大変大事なところで、例えばですけれども、今、信託法の改正が行われていますけれども、いずれにしても法律の枠組みから見ると、いろいろなバリエーションのある商品なり、仕組みができてきている中で、特に業として、あるいは金融商品として、そういう法的な仕組みが使われるときの問題点というのは、この投資サービス法なり、あるいは金融サービス・市場法にゆだねられるところは大きいと思うのですね。

ですので、やはり基本的な基本規定をきっちりと置いて、さらにその具体的な商品にどういうふうに当てはめていくのか、まさにどういうときに、どの程度の責任が発生するのかというのは、いろいろ難しいところはあるのですけれども、やはり基本姿勢はきちんと示す必要があると思います。

○神田部会長

どうもありがとうございます。

原委員どうぞ。

○原委員

ここについてなのですが、一つは、12ページの手数料の話が出たのですけれども、ここでちょっとおっしゃっている手数料というもの範囲というのでしょうか。私どもは、例えば、投資信託商品を買うと信託報酬ということで、手数料と思っているわけですけれども、その部分については金融商品販売法を制定する議論のときに、重要事項の説明義務がかかりましたが、ここはリスクに係る重要事項というふうになって、手数料は特に重要事項とはされなかったのです。当初、念頭にあったのは信託報酬のようなものであったのですけれども、今は、もう一歩進めておりまして、例えば銀行が変額個人年金保険を扱う場合、保険会社からどのような手数料をもらっているのか、そういったようなことも明らかにしてほしいと考えておりますけれども、ここで書かれた手数料というのは、ちょっとどこの範囲までをおっしゃっているかというのを明らかにして頂けたらという感じがしております。

それから、12ページの下から6行目のところに、「金融商品販売法を統合することが望ましい」と書かれているわけですが、そのまま統合するというのは、私としては非常に適合性の原則の部分では勧誘方針の策定・公表にゆだねることになってしまっておりますので、やはりきちんとした見直しをした上での統合ということをお願いしたいと考えております。

それから、受託者責任のところについては幾つか項目を考えております。情報提供の義務、それから公正な取り扱いをする義務、継続的な注意義務、これは適合性の原則がずっと確保されているかどうか、それから苦情にきちんと対応する義務というようなことを考えておりますので、ぜひこの受託者責任、それから契約締結後のルールについての具体化を今後の議論で図って頂きたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

手数料については、こういう考え方がどうかという中で、逆に田中委員のようなご指摘があれば、原委員のご指摘も出てくるので、そういうことも含めてご議論頂ければという趣旨だと思いますので。

田中委員どうぞ。

○田中(浩)委員

ちょうど今、私もなじみにくい商品があるとかいう、ちょっと抽象論だったので具体例で申し上げますと、例えば投資信託の場合ですと、販売手数料が幾らというのは、販売会社と運用会社のところで決まっておりますので、これは明らかにできます。

それから、例えば株の委託手数料であれば、最初からお客様に注文を取り次ぐに当たって、0.何%頂きますというのは開示できます。それに対して、デリバティブ預金のようなもの──お客様に対しては、こういう条件で年率1%ですというのを提示しますけれども、実際は、その中に組み込まれているデリバティブのいろいろなプライスだとかを考えると1.8%余の運用ができると。でも、それを0.8%は収益として、その運用機関がもらって、お客様には1%を出すとします。

そのときに、販売手数料を明示しろといった場合、その0.8というのを出すのですかということになるわけなのですが、でも今私が申し上げた1.8で運用できるはずだというのも見込みであったりして、実際には確定できない推定値であって、実際にお客様からお金を預かって運用した結果、0.5%しか埋まらなくて、実際には逆ざやになるというケースもあるかもしれないし、実際には5%で回って、4%が収益という形に落ちる場合もあります。

こういうふうに手数料という概念がなじむものと、なじまないものがあるということでございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、高橋委員どうぞ。

○高橋(厚)委員

12ページの下から2つ目のなお書きの「なお」と書いてあるパラグラフなのですが、ここに「元本以上の損失のおそれがある」、あるいは「元本以上の損失」という言葉が使われています。これはここだけではなくて、今後、何回も出てくるところなので申し上げておきたいのですが、元本以上の損失というのは、元本までの損失を当然含むわけでありまして、投資商品で元本までの損失のおそれのないものというのは、むしろ逆にほとんどないのです。多分、これは元本を超える損失ということの書き間違いだろうかと思いますが。

私がコメントしたいのは、そういうことを言いたいのでなくて、これから何度も出てくるのですけれども、損失が元本を超えるかどうかというだけのことで基準を決めていいのかというところなのです。大森さんの説明にもあったと思いますけれども、投機性の高いもの、あるいはハイレバレッジのもので、その要件の一つとして、こういう元本を超える損失かどうかという判断というのはあり得るだろうと思いますけれども、単に元本を超えるようなものかどうかというだけで、いろいろなルールを定めていくというのは、言ってみれば単純過ぎるのかなというふうに思います。

これは随分議論があったのですけれども、その商品の設計というのは、本当のところがどれだけ投資家はリスクを負っているかというのは、なかなかわかりにくいところがあります。それをリスクが元本を超えるかどうかというだけで判断するというようなことを前提として制度を設計するのはいかがなものかという感じがいたします。

ハイレバレッジのもの、あるいは非常に投機性の高いというようなものを取り上げて、一定の追加的な規制を求めていくという考え方はあり得るのだろうと思いますけれども、その中身はもう少し細かく考えて設計をしていった方がいいのではないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

今の点は、今日初めていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんので、ちょっと補足させて頂きますけれども、従来は、今日ご欠席の池尾委員の有名な「3分類論」というのが提示されまして、それをベースに議論してきておりました。それは今、元本という言葉で表現されたのですけれども、今日の案もそういう表現が使われています。要は投資家が出資した投資した額を100なら100とすると、その100が棄損するというのが、ここで言う元本欠損のおそれがあるという第1類型。100は戻ってこないおそれがあるというのが第2類型。そして、しかし100を失うのに加えて、さらに追加で払わなければいけないというのが、第3類型。予想外と言っていいのかどうかわかりませんけれども、投資したものが戻ってこない。それを完全に失うというのと、それ以上にさらに払わされるという場合は、第2類型と第3類型として分けて考えた方がいいのではないかという、そういうご議論をしてきました。

今、高橋委員のご指摘は、そういう議論も踏まえた上で、表現の問題もともかく、すべていわば第3分類というところだけを書いていくというのは誤解を招くのではないかという、そういうご指摘になると思います。

東委員どうぞ。

○東委員

2つ申し上げたいのですが、1つはプロ・アマの議論なのですけれども。どう分けるかということの難しさは重々承知の上で、とはいえここに書かれていますように、プロは自由に、アマはそれなりの保護をというベクトルの違いを明示するということは、大変重要なのではないかというのが1点です。

もう一つは、今出ました元本のお話なのですが、これもどこまでリスクがあるのかを事前に把握するというのはそのとおりで、大変難しいと思います。ですから、通常は90何%は元本までのリスクにとどまるといったところで評価なり、表現をすることが多くなるわけです。とはいえそういう表現をしてでも、投資家あるいは消費者にリスク・リターンのバランスを説明する。あるいはどういう設計のもとに、この商品をつくって売ろうとしているのかという説明義務は、販売側にあるのではないかと思っています。それが、ややここでの論点とは違いますが、投資家教育というところにもつながるはずです。市場をみる上での尺度として、リスク・リターンが機能し出すのではないでしょうか。その意味でも、ここに書かれています考え方は大変重要なのではないかと思っています。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

高橋委員どうぞ。

○高橋(伸)委員

手数料についてでございます。

投資商品において、販売業者、運用業者等に消費者が間接的にでも払うことになるコストに関しては、消費者にとっては非常に重要なことですので、できる限りわかりやすく表示することを義務づけて頂きたいと思っております。消費者が理解、納得の上で投資商品を選択できるということが重要だと思います。

現在も、例えば投資信託に関しては、かなり詳細に表示されるようにはなっているのですけれども、それが自分の運用利回りにどう影響するのかに関しては、なかなかわからない現状がございます。

それから、いわゆる金融商品の製販分離が進む中で、例えば変額年金保険につきましては、保険会社の直販よりは、銀行とか証券会社による販売が主流になっているわけでございます。変額年金保険の多くは、まさに複数の投資信託を組み込み、さらに債券を組み込んでいて、投資信託の中にはファンド・オブ・ファンズのようなものも含まれています。複雑に手数料が入り組んでいるものが多いのですけれども、これに関して見やすく表示していくことは必要だと思います。

それともう1点は、例えば変額年金保険について申し上げますと、販売関係費用、運用関係費用、それから保険関係費用のような形での表示です。保険業法上、明示することになっていますから明示しているのですけれども、例えば銀行から商品を買った場合に、銀行の担当者に、私は幾ら払っているのかということは、残念ながらわからないわけなのですね。

ここがどうして重要かといいますと、製販分離によって、例えば銀行は、1社の変額年金保険ではなくて、複数の会社の変額年金保険商品を扱っていて、どれを販売するかによって販売業者が受け取るフィーが違うわけです。販売業者に関してベストアドバイス義務を課すと同時に、手数料を開示させることが大事だと思います。そういう意味での販売手数料の問題です。

ですから、手数料が安ければいいということではなくて、高くても、ベストアドバイスの義務を守ってこれだけのことをするということが書いてあれば、消費者は納得してその商品を購入するということがあると思います。現在は、手数料開示が不十分なだけでなく、この手数料を払ってこの人が私にどこまで契約後に面倒を見てくれるのかが全くわかりません。いわゆるメーカーである保険会社と、自社商品を販売する銀行なり証券会社とで、どういう業務委託契約が結ばれているかということも開示されておりません。そうしますと、やはりコストについての納得性は低いということになると思います。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは時間がまいりましたので、今日は1回目ということでありますので、12ページの下までとして頂きまして、次回はここから始めさせて頂きたいと思います。

なお、ご意見等はさらにいろいろあると思いますけれども、どうか個別に私でも結構ですけれども、事務局の方にお出し頂きましたら、ありがたく存じます。そしてまた、必要に応じて次回の席上配付資料ともさせて頂きますので、もし書面等でお出し頂ける場合には、ぜひ事務局にお出し頂ければと思います。

それでは、このあたりにさせて頂きまして、最後に事務局からのご連絡をお願いいたします。

○大森市場課長

では、次回の日程を早急に調整させて頂きますので、よろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

本日は、これで散会いたします。

午後12時02分閉会

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