金融審議会金融分科会第一部会(第33回)議事録

平成17年7月7日

金融庁 総務企画局

午前10時00分開会

○神田部会長

おはようございます。予定の時間になりましたので、まだ遅れていらっしゃる委員の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、始めさせて頂きます。ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第33回目を開催させて頂きます。

皆様方には、いつもご多用のところをお集まり頂きましてありがとうございます。

いつものことでございますが、議事は公開とさせて頂いておりまして、報道機関の方々のために後ろの席を確保しております。この部会では、前々回それから前回におきまして、中間整理(議論のたたき台)というものについてご議論を頂きました。そして、まだ十分議論ができなかった点もあろうかと思いますが、そういった残された論点につきましてご意見がおありの場合には、書面で提出を頂きたいということでお願い申し上げました。本日までに、多数の委員の方々から非常に活発なご意見を提出頂きました。どうもありがとうございました。

そこで、本日は、前回までのこの部会の場でのご審議と、書面で提出頂きました皆様方からのご意見を踏まえまして、それを盛り込んだつもりでございますが、中間整理案というものを用意させて頂きました。

そこで、それのご確認を頂き、できれば、本日33回で7月7日の七夕でもございますので、切りのいいところで最終的なご審議として、前回ご議論頂きましたディスクロージャー・ワーキングの報告と合わせて、この部会の報告で一たんの区切りをつけて、さらにその先の議論へ進むと、そういうことを目指させて頂ければと思います。

なお、書面でのご意見でございますが、9名の委員の方々から大変活発なご意見書を頂きましたので、お手元に配付させて頂いております。

以上のような状況でございまして、それでは、早速お手元の議事次第に従いまして、まず事務局から中間整理(案)につきまして、各委員からちょうだいいたしましたご意見とあわせてご説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○大森市場課長

今、部会長からもお話がございましたように、前回以降も多くのご意見をお寄せ頂きありがとうございました。極力、文章に反映させるべく努めておりますが、今日は意見がまとまる範囲でまとめようというセッションでございますので、あまり忠実に文章に反映させると、かえってまとまらないかもしれないご意見は、それなりの反映のさせ方になっているかもしれないことを、まず申し上げておきます。

また、今日もさまざまなご意見を頂くと思いますが、あくまで私たちのその事務年度が区切りを迎えるがゆえの中間整理ということで、引き続き夏休み明けに議論をお願いいたしますので、今日の議論を踏まえた修正の細部については、信頼して頂けると助かります。

それでは、網かけの変更箇所を順次簡潔に申し上げます。

4ページは、利用者保護と金融イノベーションという論点でございます。縦割り業法の合間を縫って怪しげな金集めが行われていては、いつまでたってもこの国で投資が市民権を得られないというのが議論の出発点なのですが、イノベーションとは、そもそも法律のすき間を縫うものではないかというかなり根源的な意見がございました。

これは、やはり何のためのイノベーションか、外為自由化の結果として、証拠金取引を考案するのもイノベーションでしょうが、業者がもうけるためではなく、投資する人のためになるイノベーションでなければならないだろうという観点からの作文になってございます。

次は、7ページでございます。預金や保険を含むすべての金融商品の販売、勧誘などに関するルールの一元化を展望することにつき、金融商品としての性格や現在の業務の実態を踏まえつつ行うという、当然のことが書いてございます。参考にすべきだという意見をかなり頂きましたイギリスの金融サービス市場法が、投資商品からすべての金融商品に対象を拡大した際も、性格に応じて適切にモディファイしているわけでございまして、投資商品の論理を投資商品ではないものに無理やり当てはめるなどという展開になるはずがございません。ただ、当てはめられないかどうかというのは比べてみないとわかりませんので、比べないまま独自の完結した業法という世界のままだと、業法そのものや、あるいはその周辺に独自のといいますか、ときとして普通の国民に理解しがたい哲学が形成されたりして、それが国民のためのイノベーションを損なっているのではないかという見方もあるので、今後冷静に比べて見ていきましょうということでございます。どうも最近私たち、各方面から反発とか対立とかいう報道が多いのですけれども、一緒にどう国民に貢献していくのか考えていきましょうという気持ちでございます。

次、9ページは、今後ますます多くの国民が市場参加する上で、重要な導き手の助言について当初現在の投資顧問業法というものを基本に考えておりましたところ、フィナンシャル・プランナーのような、より一般的な助言業務も登録制にしてはどうかという意見がございました。その一方で、そこまでしなくてもよいというご意見もありしまして、これは勧誘と助言の関係同様、引き続きの検討課題ということでございます。

その次、12ページの参入規制につきましては、これを満たさなくなれば退出しなければならいわけですから、確認的な記述でございます。

次の13ページ、受託者責任を具体化した義務の内容の再検討というのは、先ほど申し上げましたように、検討のカバレッジの拡大に伴い、金融商品の性格の違いに応じて内容を再検討するということで、加えてこの受託者責任については、製販分離の進んだ集団投資スキームにおいて、特に留意すべきとの意見がございました。

その次の14ページの記述が、ややごたごたしておりますのは、多様な意見を反映しております。適合性原則の担保の仕方や広告規制、説明義務の内容は、商品のリスクの程度を踏まえて検討していくべきで、リスクの程度として元本保証という場合には、提供者本体の信用リスクや手数料を含めた実質ベースで考えるべきとの意見、また元本を超える損失のおそれがあれば、不招請勧誘を禁止すべきだとの意見がある一方で、それは外為証拠金取引に限って導入したのであって、今から個人投資家を増やさねばならないときに、情報提供の期待が失われるべきでないといったご意見もございました。

ここは、また引き続き議論していかなければならないですし、私たちの頭も整理されていないので記述がごたごたしておりますが、どうも普通の商品を買うときには、行きたい店に行って欲しい物を買うわけですが、金融商品だと受託者責任とか適合性原則とか、当たり前のことを何で言わなくてはならないのかとか、百貨店とか専門店かといった元来消費者が選択する話が、金融の場合は供給サイドで激論になるのはなぜなのだろうという感じは常にございます。もちろん、金融業の役割の重要性とか微妙な利益相反の可能性ということもありましょうが、金融業も金融商品を販売して食べていかなければならないということもあるでしょう。

この部会は、これまで割合プラクティカルで、不招請勧誘の禁止といったテーマも長年、消費者保護VS営業の自由という構図で神学論争が続いていたわけですけれども、外為証拠金取引の議論においては、この営業実態ではしようがないということで、比較的すんなりまとまったわけでございます。したがって、今後営業実態が信頼されてくれば、またルールの見直しということもあり得るわけで、要は未来永劫のルールではなくて、実態に即してプラクティカルに考えていくということではないかと思います。この点は、後ほど出てまいります業者の民事責任の追及のしやすさといったこととも裏腹の関係だろうと思います。

次の15ページのプロ・アマは、米のこまごました基準を参考にするだけでは、なかなか具体的な議論にこれまでなりませんでしたが、利用者による理解のしやすさへの配意という意見を頂いております。

次の16ページのファンドは、実に多様化しておりますので、販売に当たって必要な情報開示の義務づけとしております。

18ページは、これはもう問題意識は同じでございまして、ファンド・オブ・ファンズとか、変額保険に組み入れた私募投信などは実質個人に公募しているので、ディスクロージャーが必要という意見でございます。

次の21ページのディスクロージャー制度一般につきましては、前回ご報告しましたワーキングの報告に沿って検討を進めるべきということと、企業会計審議会で議論されております財務報告の内部統制の有効性に関する経営者による評価と公認会計士などによる検証のあり方について記述しております。

次、23ページのエンフォースメントにつきましては、前回議論がありましたのと追加でご意見を頂いております。最初のパラグラフで書いております金融庁内の体制の整理というのは当然として、省庁をまたがる問題についてはルールを策定、執行する主体は分立していても、ルールそのものを横断化していくことが先決だという意見と、逆にルールに違いがあっても体制を一元化、委任みたいな形があり得るのでしょうか、一元化していくことが望ましいという意見がございました。

次、民事責任についての25ページには、団体訴権や行政に対する措置請求権を検討すべきとの意見を頂いております。

その下の自主規制機関につきましては、改めて加入の義務づけとか、紛争解決に当たっての一元化あるいは自主規制機関そのものの統合を進めるべきという意見を頂いております。

次の26ページには、自主規制と行政や日本銀行まで含めたエンフォースメントの適切な役割分担という記述が加わっております。

なお、話題になりました東証のといいますか、取引所の自主規制体制につきましては、今後の金融審議会での議論に備え、東証として有識者から成る特別委員会を設置して検討されるということでありますので、この金融審議会の再開後に、また吉野委員から報告をして頂くということになろうかと考えております。

最後に、こうした措置は金融庁だけではできないことも多く含まれておりますので、可能なものから総合的、有機的に組み合わせて体制強化を図るべきことと、金融経済教育につきましては、金融経済教育懇談会の方でかなり議論をして頂き、論点整理をして頂いておりますので、それも踏まえて法律上の位置づけを検討すべきである、とりわけ学校教育が重要であるとの意見がございました。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今のご説明を踏まえまして、これからご審議を頂きたいと思います。そこで、ちょっと審議をどういう順番にしたらいいのか、いまだに若干わからないところはあるのですけれども、やはり前の方から行くというのが基本だと思います。そして、今、大森課長からご説明頂きました前回以降、前回のご審議プラス前回以降、個別に今日配付させて頂いておりますけれども、頂きましたご意見を盛り込んだバージョンアップが、お手元で言えば網かけ部分ということになりますので、主として網かけ部分をご確認頂くと。しかし、それにあわせてその前後についても、ご意見がおありの場合には頂くと。大体そういう感じでいきたいと思います。

そういうことで申しますと、まず最初、網かけ部分がありますね。4ページですけれども、3ページまでが「はじめに」ということになっております。3ページの下が投資サービス法の対象範囲ですが。その前まで、1、2、3ページまでで何か追加でご意見等ございますでしょうか。

田中委員、どうぞ。

○田中委員

この3ページ目のところで、「英国金融サービス・市場法においては」ということで、「市場の信頼確保」、「公衆の理解の向上」、「消費者の保護」、「金融犯罪の削減」と、この4つのポイントが目的として掲げられており、今回この日本においても、これを基本認識として考えるというふうに書かれているのですが、この2番目の「公衆の理解の向上」というところに関して、この審議会でもきちんと認識する必要があるのではないかなと思います。

前回、欠席した折、資料を出させて頂いたのですが、今日本の国民の中で投資に対する認識が不足しています。株式投資をなぜしないのかという理由で、知識がないからという答えが一番多いというのが現状でありますので、そういう面ではやはり我が国においても「公衆の理解の向上」というポイントが非常に重要なポイントになるかと思います。

この場合、この3番目の「消費者の保護」との兼ね合いで、あまり消費者の保護というものに力点を置き過ぎてしまいますと、この公衆の理解の向上という部分に差し障りが出てくる可能性があります。もう少し具体的に申し上げますと、消費者の保護というものが前面に出過ぎてしまうと、消費者の方が投資情報を吸収するという部分が、非常に難しくなってしまうということもありますので、この点に関しては、きちんと認識する必要があると思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、次へ進ませて頂きまして、投資サービス法の対象範囲という、時計数字というかローマ数字の I ですが、4ページの網かけ部分、どこまで行けばいいのかちょっと微妙ですけれども、7ページの「投資サービス業」の前が「投資商品」ですね。投資商品、3ページから7ページまで網かけ部分を中心にご確認頂ければと思いますが、もちろんそれ以外の部分について、さらにご意見ございましたらよろしくお願いします。いかがでしょうか。

それでは、また戻って頂いても結構ですので、次が「投資サービス業」ということで、7、8、9ページ、10ページまでで、網かけ部分は9ページの上にちょっとありますけれども、9ページの下の方ということになります。この投資サービス業について、いかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

9ページの上のちょっとの方なのですけれども、修正がありまして、これは書面取り次ぎの話だと思います。前のバージョンでは、証券仲介業務に一本化すべきであるとなっていたところを、販売・勧誘業務に一本化すべきであるという、単に言葉の整理かなとも思いますけれども、書面取り次ぎでありますから、実態からすれば、仲介業務の方に整理する従来のバージョンの方がわかりやすい、読みやすいかと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

今の点ですが、ちょっと細かい話もあるのですけれども、ここの表題が「販売・勧誘」という(2)ですけれども、8ページですけれども、投資サービス業をもう少し戻って頂きますと、7ページの一番下で、今回の分類はマル1が販売・勧誘、マル2が資産運用・助言、マル3は資産管理と、こういうふうに、あとマル4マル5は要検討事項と、こう整理されていますので、ちょっと書き方なのですけれども、上位概念で書くと販売・勧誘と。ただし、例えば今の何がいいかわかりません、例えばブローカレージとかも含めて、投資サービス業としては販売・勧誘業というカテゴリーをつくるかどうかというのは、当然秋以降の検討事項でありまして、今回頭の整理ということで言うと、一つのくくりとしてはマル1になるという趣旨なのですね。

ですから、具体的に今存在している類型で書くのがいいかどうかというのはあるとは思うのですけれども、ちょっと考えさせていただければと思います。

大森課長からございますか。よろしゅうございますか。

○大森市場課長

はい。

○神田部会長

ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

それでは、とりあえず先へ進ませて頂きます。10ページの下の II 、規制内容、1.基本認識、業務範囲、参入規制ぐらいまでで一遍切りましょうか。12ページの3.参入規制、4.の行為規制の前までです。あまり網かけ部分はありませんけれども、いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。ちょっと、私も自分の意見を言うのはどうかと思いますけれども、1点だけ、今までときどき申していた、10ページの下から始まる基本認識の、11ページですけれども、「この際、基本的な方向性としては、」に3つポツがありまして「ことが適当である」とあるのですけれども、できれば、皆様方のご賛同が得られればですけれども、「基本的な方向性として」の次に、例えばですけれども、「規制の柔構造化を図ること、すなわち」、「柔」で柔らかいという意味ですけれども、柔軟化でもいいですけれども、何かそういう言葉があった方が、それはこれまで基本的にはご了解が頂いていると思っておりますので―気がいたしますけれども。よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。

そのほか、では先に進ませて頂きます。4.行為規制、12ページの下から15ページまでですね。網かけがありますのは、13ページ、そして先ほど大森課長からご説明がありました14ページということであります。いかがでしょうか。

原委員。

○原委員

14ページの不招請勧誘の禁止規定について、修文というのでしょうか、追加の文書をお願いしたいと思います。大森課長からも、非常に事務方としてもどのように整理をしようかというところであるということですとか、神学論争になっているとは思わなかったのですが、神学論争っぽいというようなお話も頂いたのですが、私としてはちょっと追加の文章をお願いしたいと思っておりますのは、2カ所にありまして、1つは、ちょっと真ん中あたりになって恐縮なのですが、真ん中のこの網かけの2行目のところに「元本を超える損失のおそれがある場合を中心に」というふうに書かれていますが、これでは対象範囲が非常に狭くなるというふうに思っておりまして、基本設定で3分類が採用されるのかどうかはちょっとわからないのですけれども、元本欠損を含む、元本の欠損のおそれも十分検討の対象に入れて頂きたいというふうに思っておりますので、元本欠損のおそれがある場合、そして元本を超える損失のおそれがある場合と、2つを並記して頂きたいと思います。

それから、「他方」以下、今回ペーパーで、太田委員が出された意見を中心に、不招請勧誘の禁止規定について、あまり厳しくしないでほしいということの理由がかなり書かれているわけですが、なぜ不招請勧誘の禁止が必要かについての理由がほとんど書き込めていないので、私としては「中心に」と「不招請勧誘の禁止の義務づけを検討すべき」のこの間に、以下のような文書を入れて頂きたいと思います。「損害を被ったとして、苦情になっている場合の大半が不招請勧誘を契機に起こっていることから、また適合性の原則も徹底しているとはいえず、不招請勧誘の禁止の義務づけを検討すべきである」ということを理由として明記して頂きたいと思います。

なぜ、この2つについて入れて頂きたいかということなのですが、元本を超える損失のおそれというふうになると非常に限られてしまうということです。外国為替証拠金取引は、これに当たるとは思いますけれども、それぐらいで、これまで過去消費者トラブルで問題になった変額保険、ワラント、EB債、日経平均リンク債ですね。こういったデリバティブのものですとか、変額年金保険ですとか、私どもは、ハイリスクな商品というふうに呼んでいるわけなのですけれども、実際には、元本を超える損失のおそれという、商品だけで規定するのではなくて、どんどんどぶにお金を投げ込まされるような状況という感じですね。未公開株取引もそうなのですけれども、どんどんどんどんお金を出されていって損失をする。だから、その損失というのは元本そのものという感じになってしまって、元本を超えるという定義になると、かなりのものが外れてしまうのではないかという懸念をしておりますので、ここについては消費者トラブルの実態から、もっと幅広い商品性については規定を置いて頂きたいと思っております。

それから、2つ目なのですが、理由については今申し上げたとおりです。それから、外国為替証拠金取引が非常に社会問題化して、特別な場合だったので、不招請勧誘の禁止規定を入れたという表現ですが、私は審議に参加をしておりまして、実態はそうではなくて、当面ばんそうこうで手当をしたという応急処置的な処置だったというふうにとらえておりまして、いずれこういった金融取引の場面では、金融取引のプロとアマの場面では、きちんと規定を入れるべきであるというふうに、あの審議の結末はあったというふうに考えております。

ですから、社会問題化していたのは、外国為替証拠金取引という取引だけではなくて、不招請勧誘という、そういう行為自身が社会問題化していたという認識で、今回のリフォームトラブルが多発しておりますけれども、これも根本は不招請勧誘というところに根っこがあります。ですから、ばんそうこう的な手当であったということが正解なので、やはりここの書きぶりも、そのように検討し直して頂きたいと思います。

それから、私自身ペーパーを出しておりますけれども、理由をちょっと明記していなかったので書きづらかったというところ、事務局としては書きづらかったかと思いますが、不招請勧誘の禁止規定というのは、適合性の原則を徹底すればいいのではないかというご意見もありますが、適合性の原則を徹底していくと、不招請勧誘の禁止にたどり着きますし、それから販売勧誘の一般的なルールを徹底をしていくと不招請勧誘にたどり着くということで、私としては両方から帰結をする考え方だというふうに考えております。

とりわけ、適合性の原則については、商品先物においてもその規定がありますし、証取法でも規定がありますが、ほとんど機能しているとは言いがたいです。金融商品販売法では、勧誘方針の策定・公表にそれが委ねられましたけれども、これも実態としてはほとんど機能していない。金融オンブズネットでは、勧誘方針の策定・公表されたものをチェックいたしましたが、チェックをした結果、それでPBCAが回っていくだろうというお話ではあったのですが、全く無視をされているという状況にあって、ここも機能していないわけですので、適合性の原則の徹底のところも抜本的にきちんと機能するように規定を入れて頂きたいし、不招請勧誘の禁止規定も明確に入れて頂きたいと思っております。

私が、ちょっと大森さんがこの業態の特徴のような話をなされたのですが、私自身、皆さんも家庭に帰られたら電話とか訪問とか、それからネットで非常に多くの勧誘を受けていらっしゃると思うのですね。それは、ほとんどやっぱり自分自身の平穏な生活とか、プライバシーの侵害だというふうに思って辟易としていらっしゃるのだとういふうに思っているのですが、なぜ金融分野に限ってだけ、私どもはこういう商売をやらせて頂きたいというふうにおっしゃるのか、大変理解に苦しむところです。ぜひ検討を尽くして頂きたいと思います。

長くなりましたけれども、以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。今の点につきまして、ほかの委員の皆様方、いかがでしょうか。

どうぞ、太田委員。

○太田委員

私は、意見を提出しましたので、そこで大体言い尽くしているのですが、付け加えたいことの1つは、今の原委員の発言は大変ミスリードするものだと思います。前回の審議会の議事録をきちっと読んで頂きたいと思うのですけれども、基本認識としましては、為替証拠金取引については、今、社会問題化しているから、パッチワークかどうかは別にして、手当をしたということであり、これは事実です。だから、どういう受け止め方をされるかは、それぞれあるでしょうけれども、一般的認識はそういうことだったと。したがって、不招請勧誘を一般的に入れるかどうかは、もう一度その時点で、きちんと議論するという理解だったと思います。

それから、私は元本を超えるとか、超えないとかということに限らず、不招請勧誘がいいという立場もとっておりません。要するに、その辺は、貯蓄から投資へという流れの観点などと、全体的にバランスをとって頂きたいということです。そもそも元本を超えるものとか超えないものとか、私は前も意見で申し上げましたけれども、そういうふうな単純な仕分け方はなかなか難しいのではないか。ヘッジニーズの場合もございますし、したがって、そういう観点ではなくて、本当にそういう勧誘方法として厳しい規制を入れることが、社会的に必要かどうかということを議論して頂きたいということです。

私は大変危惧をしますのは、この審議会の意見が、どんどん規制強化の方に流れていくような雰囲気がございまして、やはりその辺は、この投資サービス法の全体の理念といいますか、色々な考え方がございましょうから、バランスをとって議論していくべきではないかというのが私の基本的な立場でございます。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、ちょっとまとめて、あと。すみません、田中委員と高橋委員のご意見を伺ってから原委員、よろしくお願いします。

○田中委員

前回この不招請勧誘の禁止を導入した経緯に関しては、先ほど太田委員が言われたように議事録を見ていただければ一目瞭然なので、これに関してはコメントいたしません。

先ほど私が申し上げたように、投資者、この消費者保護という概念と、この投資の理解を深めるというのは、ある面で非常に相反する部分がありますので、この辺の兼ね合いを考える視点が重要だと思います。消費者保護というのは重要ではあるのですが、それだけ見てしまうと全体がおかしくなってしまうと、そこのところを強調したいと思います。

それから、外為証拠金のところで、不招請勧誘をこれまで導入しているのですが、そのときにイギリスの法律の考え方というものを参考にしています。そのとき1つのポイントとして、既に顧客との間に信頼関係がある場合、これは例外とされるというのがイギリスの法律ではあります。このあたりに関しても、何らかの形で導入するに当たっても、やはり既に信頼関係がある顧客との関係というのは、これは例外とすべきではないかなというふうに思います。

以上です。

○神田部会長

それでは、高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

ただ今の田中委員の発言のようなことを申し上げようと思ったので、それは繰り返しません。また、太田委員の発言と同様に、元本を超えるというだけで区別すべきではなく、本部会においてもそのような意見が多かったと思います。ただ、この表現は、元本を超える損失のおそれがある場合を中心として考えるものであり、むしろ非常にリスクの大きいもの、あるいは変動の大きいものの例示として取り上げていると思います。

あと、田中委員の意見や配付され東委員の意見書でも、アマの投資家を過保護にすべきではないという議論が展開されております。アマの投資家を過保護にするということではなくて説明責任、ディスクロージャーの強化により対応していくことが大事だと思います。そのような意味から、適合性原則の究極のところが、不招請勧誘の禁止だという先ほどの原委員の説明でありましたが、むしろここのペーパーにありますように適合性原則が徹底されない場合に、補完的なものとして検討されてきたというのが経緯だったかと思います。

最後は蛇足でございますが、先ほど大森課長の説明で、この神学論争は消費者保護VS営業の自由というご説明だったかと思いますが、少なくとも私の理解は、消費者保護VSいかに投資家あるいは消費者に情報を提供するかという、別の意味での消費者重視だと思います。その点は実は、このペーパーにはきちんと書かれておりまして、不招請勧誘の原則禁止により投資家に対する情報提供の機会が失われるという問題が指摘されており、非常に大事な点であると思っております。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、原委員、先にご発言希望されますか。

では、上柳委員、先にどうぞ。

○上柳委員

すみません。

不招請勧誘のところですけれども、かなり議論してきたので十分かとは思うのですけれども、ここの14ページの書きぶりを見ますと、やっぱり何かよく見れば「なお」ということで、不招請勧誘についてはこういう議論があったと。それについて、さらになおという意味で「他方」ということがあるというふうに、私なんかは読むことは読むのですけれども、何となく分量から言うと「他方」以下の方が長いので、このポイントを小さくしてくれとは言いませんけれども、私の理解が正しいということで、自分なりに納得しているところですけれども。

ただ、先ほど来、田中委員あるいは今の高橋委員のご発言もありましたけれども、例えばこのイギリスのマル1からマル4の分類で言うときに、公衆の意識の向上と、それから次の消費者保護が何か対立するような、これはもう全く私の理解とは違っておりまして、日曜日に皆さん、ゆっくりされているところにいい商品が出ましたということで、それこそ不招請で電話がかかることが、これが公衆の認識なり、あるいは消費者教育の手段なのでしょうか、私は全然違うと思うのですね。太田委員からもバランスの話がありましたけれども、まさに私はこの投資サービス法のバランスというのは、一方で商品開発はなるべく自由に、あるいは旺盛にできるようにすると、そういう意味でのイノベーションを図って、だけれども公衆との接点のところには、基本的な開示であるとか説明責任を果たすことで商品を説明していけばいい。何も無理やり買いたくもない、あるいは聞きたくもないという人のところに押しかけて行くとか、そういうことではないということで、まさに商品開発の自由と、それから勧誘あるいはエンフォースメントのルールが、そこがバランスがとれているというふうに思っております。そういう意味での消費者保護でありまして、無理やり何か情報提供をするという考え方は、全くとられないというふうに思います。

○神田部会長

わかりました。

それでは、原委員、どうぞ。

○原委員

すみません。

1点は、ちょっと上柳委員から発言してくださったので、簡単に3点なのですが、1つは、やっぱり商品性で分ける元本保証、元本欠損のおそれ、元本を超える損失のおそれとありますが、なかなかこれにぴったりした形の不招請勧誘の禁止というのをどういうふうに入れ込んだらいいかというのはわからないので、私としてはやっぱり秋以降トラブルの実態を見て、そのトラブルの実態がうまく取り込めるような形で、この商品性のところは検討していただけたらと思います。

それから、2点目なのですけれども、この不招請勧誘の禁止というのは、わざわざ日本は法律の中に入れ込まなければいけないわけですけれども、諸外国は頻繁にこういうことをやっているという状況にあるのでしょうかというか、やっぱりもともとそういうことはあまり行われていない国では、こういう規定が必要もないわけですし、頻繁な国では何らかの手当ということも考えられるので、少し海外の状況がどうかというところを、秋以降また資料を頂きたいと思います。

それから、3つ目なのですが、この適合性の原則の話なのですが、実際には、この適合性の原則に合っていたかどうかということを判断するのは非常に難しいわけですね。トラブルになった場合に、訴訟に行ってどうであったかということを争ったりしているわけなのですが、そういった訴訟に加えとか、それから消費者センターにトラブルを持ち込む人は全体の5%だというふうに言われていますので、その後ろに大変多くの苦情とか、不満を抱えた層がいるということを考えると、適合性の原則を徹底したからということだけでは、私は解決をしない、原則禁止をするという、やっぱりすっきりした販売勧誘ルールが一つ必要だというふうに考えます。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、高橋委員、どうぞ。

○高橋(伸)委員

関連して、不招請勧誘の禁止に関してでございます。

情報提供との関連が言われているのですけれども、自己責任原則の大前提としてのその情報提供の大切さというのがございますけれども、ここでいう情報提供というのは、求めれば正しく十分にそういう情報が提供されるということだと私は理解しております。ですので、求めていない人のニーズを喚起して、優良誤認を誘うようなセールストークというのは、広い意味でいえば情報提供なのでしょうけれども、投資サービス法を考えていく上での情報提供とは少し違うのだろうと思っております。

それから、イギリスのFSAの金融サービス市場法における公衆の理解、知識の向上、これに関しても、事業者によるセールスとか販売勧誘ということを言っているのではなくて、この中身はまさにファイナンシャル・エデュケーションのことを言っているわけなのですね。学校教育とか社会教育で、どういうふうに公衆の知識を向上させていけばいいかの話だと私は理解しておりますので、消費者教育であるとか消費者保護という言葉を、あまりここの会議で独自に解釈するのはやめるべきではないかと思っております。

昨年6月に消費者基本法が施行されておりますけれども、そこできちんと消費者保護なり、消費者教育ということが定義されているわけなのですが、どうもここでお話を伺っていますと消費者を教育することが消費者教育であり、消費者を保護することが消費者保護であると、何か非常に原則から離れた解釈がされているように思います。そのような議論は、私は生産的ではないと思います。

東委員の意見書では、過保護の定義をクリアにしていらっしゃいまして、リスクを取らせるなとか、損をさせないということではなくて、きちんと自己のリスク等々、投資者判断ができるようにするのが消費者保護である、そうでないものは消費者過保護だときちんと整理されているのですけれども、どうも今流れている議論は、それとは違うものであるというふうに思っております。FXの勧誘に関しては、実際のセールスの現場では、やりながら勉強しましょうみたいなセールストークがかなり使われまして、勧誘と学習ということを混同されるような不適切な勧誘もかなりございました。

それから、昨日、国民生活センターから、高齢者に多い個人年金保険の銀行窓販に対するトラブルの発表がございました。本日、朝日新聞なども一面で報道しておりましたけれども、まさに訪問販売の問題です。それから不招請ではないのだけれども、銀行で本人確認のために来てほしいというふうに誘って、それで預金を解約させて変額年金保険を契約させる。こういうふうなケースが横行しているわけでございまして、そういう実態にかんがみて、不招請勧誘の禁止は今後も議論していくべきだというふうに思っております。

もう1つは、やはり行政機関でも、電話勧誘とかそういう勧誘に関しての警告を出していらっしゃるのですね。今私の手元にあるのは農林水産省の海外商品先物取引ですけれども、海外商品先物とか先物についての勧誘への警告を出していらっしゃるのですけれども、取引するつもりのない人は、あいまいな返事をせずに断りましょうとか、悪徳業者は必ずもうかるようなごとく勧誘したり、何度も何時間も粘りますとかと書いてあるわけです。そういうふうなご認識があるのであれば、そういうことはもともとやめて頂いた方が、行政の負担を減らす意味でも有効だというふうに思っております。以上意見として申し上げました。

○神田部会長

ありがとうございます。

さあ、どういうふうにしたらいいのかということでございますが……。

淵田委員、どうぞ。

○淵田委員

やや論点を整理した方がよろしいかと思います。今の話を聞いていますと、そもそも不招請勧誘の禁止の目的が何であるかについて、複数の考え方が、絡み合っているようです。すなわち、投資家保護という目的と、プライバシーというか平穏に暮らす権利を保つという目的、この両方のことが言われていたと思います。

後者の議論であれば、これは金融商品だけの問題ではないと思います。前者の投資家保護ということが目的としますと、その場合、今投資家保護が十分に確保されていない部分があるとすれば、不招請勧誘に一番の原因があるのか、それともほかの部分に原因があるなのかということを次に考えなくてはいけないと思います。

先ほどトラブルの7割でしたか、不招請勧誘が原因になっているという調査のご紹介がありました。ただ、その中身を良く見た場合、不招請勧誘が本当にトラブルの原因になったのか、それとも何か商品の属性とか他の要因がより関係していたか注意する必要があると思います。例えば今事例として挙がったのは、銀行における個人年金販売ですとか、あるいは海外商品先物といったようなことでしたが、これらはいずれも現行の証券取引法上の投資家保護が及んでいない分野です。まずその点に問題があるのではないでしょうか。今回投資家保護を図るために、別に不招請勧誘の有無ですべてを決定しようとしているのではなくて、投資サービス法という形で、商品の対象範囲を広げ、かつ受託者責任等もきちっと明記することによって、さまざまな面で投資家保護についての制度を整備しようとしているわけですね。ですから、全体に整備を進める中で、どの部分にどの程度のレベルの規制がプラスアルファで必要かどうかを総合的に考える必要があると思いまして、不招請勧誘だけに何か焦点が当たった議論が、しかもあまり実態についての検討がされないまま、やや抽象的にされてしまうのはどうかなと思います。先ほど原委員もおっしゃいましたように、実態を踏まえて本当に何がどういう点で問題なのか、どうしてもここの不招請勧誘が必要なのかどうかも含めて、今後、議論を深めていく必要があるのではないかと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

いずれにしても、今後もこの問題は継続してご審議して頂くということになると思いますので、1つには大森課長自身も先ほどおっしゃって頂いたように、ちょっとこのパラグラフをずっと読むとすごい長くて、読んでもわかりにくいということもあろうかと思いますけれども、他方、上柳委員がおっしゃったように、2つ意見があったとして一方は3行で、一方は8行ぐらいあるということもあるのかもしれません。

そうですね、原委員がおっしゃった1つの案は、原委員が最初の方におっしゃったようなこと、つまり不招請勧誘禁止義務づけのご意見からの理由、それを前半の方に書き加えて、そしてもう1つ、最後に今後海外の状況やトラブルの実態等を踏まえて引き続き検討をするという、今、淵田委員が最後におっしゃったことですけれども、そういうようなことにするとなると、この「なお」という、「元本を超える」という部分の表現も再検討しなければいけませんけれども、「なお」という部分は改行した方がいいでしょうね。それで読みやすくなるとは思いませんけれども。恐らく実質の話をしますと、この部会で不招請勧誘の禁止のあり方についての意見の一致は、現時点ではないと言うとちょっと言い過ぎなのですけれども、意見の違いがあるということだと思います。

ただ、むしろ私の感じでは、これまで第一部会の司会をさせて頂いて、例えば消費者保護とか、あるいは先ほど消費者教育という話もありましたけれども、消費者保護について共通の理解がないかというと、それは必ずしも違って、むしろ東委員が書いて頂いたような意味での消費者保護ということについては、もちろん意見の違いはあるものの、それなりに貯蓄から投資へという流れの中での消費者保護という表現を使う場合には、それは何を意味するかということについては、比較的私の感じではこの第一部会においては、幅の中におさまっているという感じがしております。

あともう1点、こういう分野で非常に難しいのは、外為証拠金取引はそうですけれども、やはりとんでもないことをしている業者がいるのですね。それで、ところがそれがわかれば、それはもうやめていただかないわけにはいかないわけでして、そういう話と、それを悪徳業者というふうに呼ぶ場合があるのですけれども、その場合は手段は何でもとにかくやめて頂くことが目的なわけですから、そのために一番効果的な手段を使わざるを得ない、そういう意味ではそれを緊急措置というふうに呼んでも決しておかしくないのだと思うのですね。

しかし、他方でそのルールがそのままほかの分野にもいくというのも、これも変な話でして、そういうところを考え方の整理とともにやっていかなければいけないというところに、恐らく難しさがあるのだと思います。適合性の原則というのも、本来のルールだけを言えば、売ってはならない人に売ってはならないという原則です。ふさわしくないものをふさわしくない人に売ってはいけないということですから、これまでもご指摘もありましたように、それが守られていれば不招請勧誘の禁止は要らないはずですよね、というか守られるはずですよね。ですけれども、やはり適合性の原則というのは、それをエンフォースするのは非常に難しい。これはどこの国でもそうでして、今後ということでいえば、でもそこはやはり実態を見て商品を見ないと、そう簡単には先の議論はしにくいということではないかと思います。

そういう非常に難しい分野でもある一方、消費者保護のニーズも高い分野だとも思いますので、引き続きこの部会では重要なテーマとしてご議論頂きたいと思いますけれども、今日のところは、七夕でまとめさせて頂きたいと思いますものですから、今日お出し頂きました意見を踏まえた修文ということを、先ほどのような点を中心に考えさせて頂きたいと思っております。

いかがでしょうか。ほかにこの論点について、ご意見があればお出しいただければと思いますけれども。

それでは、ありがとうございます、先へとりあえず進ませて頂きます。よろしいですか。

(3)と(4)いかがでしょうか、15ページまでですが。

それでは、すみません、また戻って頂いても結構ですので、次の III の集団投資スキーム(ファンド)について、網かけがありますのは16ページ、それから先ほどのファンド・オブ・ファンズ、18ページですね。19ページの上2行目までということになります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、とりあえず先へ進ませて頂きまして、19ページ、 IV 、市場のあり方についてですが、19ページ、20ページ、そして21ページは網かけはありますけれども、これは前回のディスクロージャー・ワーキングの報告を踏まえた文章の調整ですので、そして22ページの上までですが、いかがでしょうか。

それでは、先へ進ませて頂きまして、22ページの V 、ルールの実効性の確保(エンフォースメント)であります。22ページ、23ページあたりに網かけがあり、24ページ、そして25ページのところは若干網かけがございます。そして26ページにも、またいろいろと網かけがありまして、27ページの上2行までにわたっています。いかがでしょうか。

田中委員、どうぞ。

○田中委員

これは意見ではなく質問なのですが、23ページ目のこの網かけの「ルールに差異があっても、エンフォースメント体制を一元化していく」というのが、ちょっと具体的にどういうことを指しているのかわからないのですが、説明して頂きたいと思います。

○大森市場課長

現状として、経済的な実態が類似する投資商品であっても、根拠法が異なっているとか所管省庁が異なっているという問題をどうするかという場合に、なかなか霞が関の常識で言いますと、そういった仕事を1つの役所に集約するということが直ちに起こるということが考えにくいので、むしろルールそのものの中身をそろえていくということが先決なのではないかというのが、池尾先生を初めとする頂いたご意見であったのに対して、「ルールに差異があっても」というような書き方は、あまりよろしくないかもしれませんが、根拠法なり所管省庁というのは異なったままであっても、エンフォースメントの体制、具体的には例えば監視委員会というような例を出すのがわかりやすいと思いますが、そういったところに一元化していくのが望ましいというご意見の両論並記ということでございます。

○神田部会長

それでは、池尾先生、どうぞ。

○池尾委員

今の箇所ですが、前回発言したことを、こういう形で整理して頂いたのだと思うのですが、私が舌足らずだったせいかと思いますが、ちょっと趣旨とは違う整理になっているので発言したいのですが、世間的な常識というか相場から言うと、大学の教師というのは理想論を言っていると。もっと言うと大学の教師というのは世間知らずだから、理想的なことだけ言っているというのが通り相場かもしれませんが、私はもう10年来、金融制度改革の議論にかかわっておりますので、もはや内部ではあり得なくて、すれっからしみたいなところがあって、あまり理想的なことばかり言えなくて、最低限確保するべきことは何かの確認をしっかりしておいた方がいいだろうということを趣旨で、最低限、我々がこういう形で議論して、今の段階で最低限確保すべきこととして確認しておくべきことは、ルールの横断化、一元化を図るということだと。それに加えてエンフォースメントの体制をどうするかという点については、もう少し議論の余地を残しておいてもいいのではないかという趣旨なのですね。

最低限実現すべきことに対して、逆に最大限ないし理想的な状態は何かと聞かれたら、私だって別にルールも投資され、エンフォースメントも投資された体制が望ましい、望ましいという判断であれば別に何の異論もないわけでありまして、淵田さんの意見書にも、戦術的判断としては同意できるが理想も大切でしょうということが書かれていますが、全くそれは私自身もそういう点については異論はなくて、したがってここの整理では、何か対立したある意見があって、一方で他方の意見があるということで、両論並記的に対立した意見があるというふうな形で整理されていますが、対立ではなくて、少なくとも私個人の理解としては、最低限確保すべきことと、本来的に望ましい姿ということについて指摘があったというふうなことだと思うのですね。

したがって、ちょっとくどいですが繰り返させて頂きますが、最低限確保すべきことはルールの一元化、横断化であると。さらに加えてエンフォースメントの体制の一元化まで行ければ、それはすばらしいことだと思うけれども、そういう順序だと。

先ほど田中委員からも質問がありましたが、だからそういう意味では、まずエンフォースメント体制の一元化というふうにおっしゃっている方は多分いないと思うので、だから、ちょっとルールの差異があってもというのは、ご説明がありましたからわからないことはないのですが、やややっぱりミスリーディングだというふうに思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

では、高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

池尾先生のおっしゃるとおり、今の文書の後段のところが非常にミスリードだと思います。池尾先生もおっしゃったように、望ましい姿が何かというところは、多分本部会では共通した考え方だったかと思います。前回申し上げましたので詳しくは、もうこれ以上申し上げませんけれども、それが本部会のコンセンサスだとすれば、この報告書はどういう性質のものかということを考えたときに、まさにこれからの市場のあり方、市場の望ましい姿をここでつくっていこうといった性質のものでありますので、ぜひ望ましい方向をきちんと書くべきではないかと思います。

例えばこの報告書の中で、いろいろな箇所にあるのですけれども、例えば4ページの修正箇所、さきほど大森さんから説明もありましたが、下から2つ目のパラグラフに、業法が縦割りであることから、これをまたがるような金融商品の開発に支障を来す、あるいは異なる金融商品の販売をする場合にはその都度、行政手続を要したりすることを極力避けるというようなことが書いてあります。

また、投資家が安心して市場に参入できるためには、ルールをきちんとわかっていなければならないということが、この投資サービス法の目的だったかと思います。そういうことを前提として考えますと、やはりルールもエンフォースメントも一元化するということが、基本的に望ましいことであり、またそういうことをしっかり打ち出すということが、この報告書の使命ではないかなというふうに思います。

それと関連するので、最後の26ページの「その他」のところに、「以上の措置については、早期の実現に困難が予想されるものもあることから」云々というセンテンスがあります。これは、もちろん簡単にできることではないという難しさというものは理解するつもりでありますけれども、こういう報告が出れば、その実現というのは、やはりその報告書の線に沿って、できるだけ対応していくということが基本でありますので、あえて早期実現が困難なものがあるということを報告書の中に触れる必要はないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございます。

ちょっとついでに、てにをはで申し上げますと、今、高橋委員に言って頂いた早期実現の3行目のエンフォースメントの「ス」が「ズ」になっているのて、「ズ」を「ス」にちょっと修正して頂きまして、それで池尾委員と高橋委員にご指摘頂いた点につきましてはいかがでしょうか。そういう趣旨に文章の変更を考えたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

どうぞ、はい。

○翁委員

先ほど神田先生が、11ページのところで「基本的な方向性として柔構造化を図る」というお話をされたのですけれども、こことルールの横断化、一元化との関係というか、それについて確認をさせて頂きたいのですけれども、既存のいろいろな法令とか規制とかそういったものがありますが、そういったものも関係が明確になって、一つの法律に全部書き込むわけではないけれども、それを包括的に一元化していく、そういう方向を目指すというそういう意味で、柔構造化を、横断化、一元化というのは十分踏まえているというふうに理解すればよろしいのでしょうか。

○神田部会長

基本的には、そういうことだと思います。もうちょっと、従来使っていた表現で言いますと、現在資本市場というか、投資サービス取引全体をカバーする法律がないが、すき間はある。業者ルールのない分野が多数あるのですね。しかもその分野が広がっている。ですから、その場合には埋めるということが1つ横断化という意味に含まれる。

それから、もう1つは、そのばらばらと言うと聞こえが悪いのですけれども、現在存在している幾つの法律でレベル間が違うのですね。したがって、横断化するというのは、レベルをそろえるということもあろうかと思います。

そして、さらにエンフォースメントについて言えば、それをエンフォースメントする体制ももちろん違うわけで、そこは池尾先生のおっしゃったことにも関係しますけれども、体制まで横断化が可能かどうかという話は別途あるにせよ、つまり池尾先生の言葉では理想論であるに過ぎないかもしれませんけれども、そういう可能性も含めて議論はしてきたということなわけです。

それで、柔構造化とか柔軟化という話は、そういう横断的にカバーする業者ルールというものを構想したときに、その中身を例えば具体的に投資サービス業者の業の範囲はどうしましょうか、あるいは参入の規制は何がいいでしょうか、登録制でしょうか何制でしょうか。あるいは財務規制という現在の証券取引法でいえば、自己資本規制というのがあるのですけれども、そういうものが必要な場合と必要でない場合はどうでしょうか。あるいは、もうちょっと市場ルールの方でいえばディスクロージャールール、これが例えばどういう形のものである、プロ・アマの線引きはどうでしょうといった場合に、恐らく投資商品の内容に応じて非常に流通性の高い、今までの例えば上場株式のような場合と、あまり流通はしないけれども、やはり投資家に売られるものについて、この法制でカバーされるようなもの、アメリカで投資契約などでもできたものはそれに当たると思いますけれども、そういうものとの間では、一方では伝統的な公衆縦覧型ディスクロージャーというのでしょうか、発行者開示主義と我々言っていますけれども、そういうものが従来の枠組みでいいのかもしれませんけれども、他方では業者が販売するときに、そこでディスクローズしなさいという、そういうやり方もヨーロッパはそれに近いのですけれども、いろいろあるのではないか。そうだとすると、その中身は今回はそこまでは議論に入れていませんけれども、秋以降具体化していく中では議論をしたい。柔軟というのでしょうか、柔構造というのはそういう意味でありまして、広げる以上は柔軟にしませんと、うまい規制というか規制目的を達成するようなルールはできないのではないかという、そういう考え方なのですね。

ちょっと文書として、確かに十分にあらわれているかどうかという問題はあろうかと思いますけれども、趣旨はそういうことです。基本的にはおっしゃったことと整合的だと思います。

それでは原委員、それから鮎瀬さん、どうぞ。

○原委員

恐縮です。よろしいですか。

ほかのところにもつながりますが、今1つエンフォースメントについては、発言されたご本人、池尾先生の方から少しちょっとこの表現はというふうにおっしゃられたので修文になるかとは思いますが、一元化というのはすごくストレート過ぎるのかもしれませんが、消費者から見れば、各省庁違っているレベルの消費者保護レベルでは困りますし、やはり消費者へのわかりやすさという点からも、効果としてはやはり同じようなものがかかるべきだというふうに思っております。

それは意見なのですが、質問というのでしょうか、少し考えて頂きたいと思ったのが、25ページに広告規制を担保するために団体訴権と、それから行政に対する措置請求権の話が加わっているのですが、この団体訴権については現在国民生活審議会で検討が終わったところで、消費者団体に消費者契約法に基づく不当条項と、それから不当な勧誘に基づいての差し止め請求ができるという法律が、来年の国会に上程をされるということで、今審議が終わったところになります。ですから、広告だけに限らず、そういった不当条項とか不当勧誘も、私としては問題を含める形にして頂きたいと思います。

それから、その上に例えば「投資サービス業者が元本を超える損失のおそれがある投資商品を」という、この4行分なのですが、ここは私は元本を超える損失のおそれがある投資商品となるとかなり限定をされるので、もう少し一般的な形にしておいて頂いて、今、特定商取引法を改正をして、行政罰とそれから民事効と組み合わせる形での規定の置き方ということが始まっておりまして、私も今回できるこの法律にも行政罰と民事効、損害賠償請求とか、組み合わせるような方策ということの検討が、もっと明確にわかる形で打ち出して頂きたいと思っております。

それから、損害賠償請求にとどまらずに、不当利得の吐き出しについても、実際に行政が受け皿になって、不当利得を一たん徴収して、それを被害者に分配をするとか、いろんな試みも各国で行われているようですし、そのあたりの記述もぜひお願いしたいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは鮎瀬さん、それから嘉治委員の順番でどうぞ。

○鮎瀬幹事

ありがとうございます。

今回26ページの上の部分で、「より効率的なエンフォースメント体制を構築する観点から、一昨年、当部会においても検討を行ったように、行政、自主規制機関、日本銀行などの役割分担について引き続き検討を行っていくべきである。」という記述が追加されておりまして、これに関連しまして一言発言させて頂きます。

今回追加されました記述からは、日本銀行に言及がなされております趣旨が必ずしも明確ではないように思いますけれども、一昨年12月の当部会の報告書を読ませて頂きますと、日本銀行の行っております考査に関連しました記述がなされておりますので、本日も日本銀行の考査の点を中心に申し述べさせて頂きます。

日本銀行は御存じのように日本銀行法に基づきまして、決済システムの安定の確保を通じて信用秩序の維持に資するという役割を担っておりまして、必要に応じていわゆる最後の貸し手として適切に機能を発揮することが期待されておるところであります。

こうした機能の発揮に備えながら、金融システムに対する信認を確保するために、金融機関の経営内容ですとか業務の状況を的確に把握する必要がございまして、その手段として私ども考査を実施しております。この点も、また日本銀行法におきまして規定されているところであります。

もとより私ども中央銀行は、金融市場の中で日々金融政策を運営しておりまして、活発に金融業務を行っている市場参加者でもありますので、日本銀行としましては、そうした立場も踏まえまして、先ほど申し上げました金融システムの安定確保といった問題のみならず、この場で議論されておりますような日本の金融資本市場の機能の強化ですとか、あるいは活性化といったことを図る、あるいは金融システムをより高度化していくということも大事な課題と考えておりますし、そうしたことについて金融機関との間で問題意識を共有しましたり、あるいは問題解決の方策をともに探っていくという上でも、私どもの考査、モニタリングといった活動は重要な役割を果たしております。

ただ、先ほど申し上げましたように、日本銀行が行っております考査といった活動は、日本銀行法に基づきます中央銀行としての機能を適切に発揮していくための活動でありますことをご理解頂きたいと考えておりまして、今回、委員方から示されてきております書面でのご意見を拝見いたしましても、投資サービス法のエンフォースメント体制との関係で、行政と自主規制機関の役割分担といったところはご意見にあるようでございますけれども、日本銀行との役割分担というところまで、直接言及されているご意見は見られないように存じます。

そのようなことで、私ども日本銀行が目指しているところも投資サービス法と同じではございますけれども、中央銀行としての業務、立場というのは、ややそれとは一線を画しているということでございます。

なお、日本銀行としましては考査を実施するに当たりまして、考査先の事務負担といったところにも引き続き配慮しながら、そういった活動をやってまいりたいと考えていることを最後に申し添えさせて頂きます。

長くなって恐縮です。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、すみません、嘉治委員、それから高橋委員どうぞ。

○嘉治委員

ありがとうございます。

先ほど、池尾先生のお話を伺っていて急に思いついたことですので全く見当違いかもしれないのですが、何が金融商品を買うことをディスカレッジするかというと、その商品をだれが管轄しているかによって言われることが違うということではないかと思います。

そうであるとしますと、エンフォースメントのところで統一されていれば、買っている本人にとっては、もしかしたら十分かもしれません。23ページの網かけのところを見てみますと2つの考え方があるという書き方になっておりまして、これはすんなりと読めたのですけれども、「ルールの横断化や一元化を図って行くことが先決との意見がある一方、」というところをいま一度見てみましたところ、そもそも横断化や一元化という言葉の定義がよくわからなくなりました。これは、一つの法律のもとにすべての金融商品と思われる商品を包括的に取り込むということなのでしょうか。ご見解が何度か示されておりますように現状、理想に近づけるのがむずかしいとすると、エンフォースメントの方から一元化するというか、つまりだれに聞いても違う答えがかえってくることがなくエンフォースメントの時点で判断が統一されていることが先でも良いのかということを考えました。

○神田部会長

ありがとうございます。

横断化、一元化がわかりにくいのは、翁委員のご指摘とも共通するところだと思うのですけれども、今の嘉治委員がおっしゃった点については、元の文章は反対なのですね、意味は。おっしゃっている実質は違和感はないのですけれども。

どういうことかと言いますと、前の方で言っている横断化、一元化というのはルールの中身は同じにしてください、ですから、ありていに言えば、省庁が違っても同じ答えをしてください、それが前半で言おうとしていることなのですね。ですから、いずれにしても、ちょっとここの文章は、私の感じでは池尾先生と高橋委員―私から見て左側の高橋委員が、さっきおっしゃった線を踏まえて、ちょっとわかりにくさは翁委員からもご指摘もございましたし、今、嘉治委員からもご指摘がございましたので、文章はいずれにしても、もうちょっと少なくともわかりやすくしておいた方がいいとは思っております。

高橋委員、ございますか。どうぞ。

○高橋(厚)委員

25ページの団体訴権あるいは行政に対する措置請求権について書かれておりますけれども、先ほど原先生からお話がありましたように、国民生活審議会で議論されている案件だと承知をしております。前、一回申し上げたかと思いますが、こういう話は証券あるいは市場ということではなくて、民事訴訟のあり方あるいは民事責任の分担というような大きな問題だと思いますので、ここでこういう形で市場のルールとして取り上げるのではなくて、まさに原先生もちょっと触れられましたけれども、国民生活審議会で方向が出ている、あるいは方向が出ようとしている段階だろうと思います。そういう全体の中でのあり方をどう適用していくかという話であって、そういう作業に先行して市場の問題として検討すべきではないと思います。

それから、先ほど日銀の方がおっしゃった点については、私もこの文章を見て若干違和感があって、確かに日本銀行が市場の安定とか、そういうことに果たす役割というのは非常に大きいだろうと思います。ただ、ここではエンフォースメントという切り口で書かれておりますので、この中で日本銀行を位置づけるというのは、なかなか難しいのではないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、お隣、佐々木委員どうぞ。

○佐々木委員

本題とあまり関係のないささやかな言葉のことです。

20ページの「株式上場制度」の中の、上の段落の真ん中辺なのですけれども、「一方、上場したベンチャー企業のなかには、上場後、架空増資や粉飾決算が」というところ、ここでベンチャーと言わなくてもいいのかなと思って。「上場した企業の中には」でいかがでしょうか。

○神田部会長

ありがとうございます。それで結構だと思います。そのようにさせて頂きます。

そういうことで申しますと、ちょっと戻りますが、証券業協会の高橋委員からご指摘頂いた26ページの「早期の実現に困難が」というのも確かに不要ですよね。ですから、もしよろしければここも削除して「以上の措置については、可能な措置から総合的・有機的に組み合わせ、エンフォースメント全体としての強化を図るべきである。」と、よろしければ、そういうことでよろしいですかね。そういうことにさせていただければと思います。

それでは原委員、どうぞ。

○原委員

今、高橋委員から発言が出ましたので、少し丁寧に状況というのでしょうか、このようになっていますということを補足しておいた方がいいかと思いますが、一、二分ということで恐縮です。

今の内閣府の国民生活審議会で検討しておりますのは、消費者契約法に基づく不当条項と不当勧誘についての差し止め請求についての検討ということで、消費者契約法を内閣府が所管をしているからということで、実際にはこの後、公正取引委員会の景表法それから経済産業省の特定商取引法と、この差し止めで消費者団体に団体訴権というふうに検討が進むことになっております。

それが省庁への広がりですが、一方では、差し止めだけではなくて、損害賠償請求ですとか、不当利得の吐き出しにまで中身を深めていくべき、クラス・アクションも含めてですが、深めていくべきだという検討とありまして、全体的に国民生活審議会で検討したことが核になって、縦にも横にも今手足を伸ばしているというような状況にあるというのが実態ですので、ぜひ金融分野でもと。

市場ルールとは別という話でしたのですが、もともとはこの話は規制改革から出てきておりまして、規制改革で市場ルールの整備が大変大切だということになって、そこで消費者とか消費者団体を機能させるにはどうしたらいいかということが、団体訴権の検討の出発点なので、ここは発信地のようなところになるのだと思いますので、ぜひ検討を尽くして頂きたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

今の論点は、いずれにしてもあれですよね、審議会も縦割りになっていてよろしくないのかもしれませんけれども、審議会の間での競争も必要だと言うと表現がよくないと思うのですけれども、この第一部会はこの第一部会の観点から必要なロジック、正しいと思われる、あるいはあるべきロジックを示すということだと思いますので、今の原委員のご指摘も踏まえて、高橋委員のご指摘も踏まえて、ここの文書はもうちょっと書けるかどうかということで検討させて頂ければと思います。

ほかにいかがでしょうか。

上柳委員、それから太田委員の順番でお願いします。

○上柳委員

25ページの、まさに今の広告のところですけれども、ぜひこれこそ先ほど来イギリスの分類でいうと、2つ目の公衆の理解の向上にダイレクトにつながるところだと思いますので、広告というのは、これからますます大事になると思います。そういう意味でルールをきちんとすることが、あるいはエンフォースメントも必要であるというふうに思います。

この民事責任のところについては、いろいろ利益の吐き出しであるとか、あるいはクラス・アクションであるとか、私は言いたいこといっぱいあってペーパーも出させて頂いたのですが、あまり追加の方はなかなか通りそうもないので削除のお願いなのですが、25ページの1行目から2行目にかけて、例えば損失のおそれがあるというところは、先ほど原委員からもご指摘ありましたけれども、できれば削って頂いて、秋以降きっちり議論をするというふうにしていただければというのが1つ。

2つしかありませんけれども、もう1つは、24ページの下から2行目のところから、「民事上の効果の付与については、民事法制の原則を修正するものであることから慎重な検討が必要である」と、こういうご指摘があって、私の理解としては民事法制ではなくて、今は民事法の考え方あるいは裁判所が判断している民法の考え方というのは、本当にどんどん変容してきていて、例えば適合性原則違反で損害賠償請求を認める、適合性の原則違反だけで民事損害賠償が認められるのだという判例がたくさん出てきておりますので、少なくとも民事法は変わってきているというふうに認識をしております。ですので、ここは削られるといいのですが、ただ、ここに書いてあるのは民事法制ということで、多分法制局そのほかとの関連があるのかもわかりませんけれども、もうそうであれば「民事法制上の検討が必要であるが」とか、もう少し緩めて頂いて、今民法の考え方あるいは裁判所の考え方も含めて、これに抵抗しているのだというふうに誤解がないようにして頂ければというのがお願いです。

○神田部会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

淵田委員、どうぞ。

○淵田委員

先ほど26ページのエンフォースメントにおける複数の機関の役割分担ですが、ここに日本銀行と入っているのは、考査の目的は別だということは皆認識していると思うのですけれども、一昨年の議論を思い起こしますと、例えばそこで行われていることの実態が、プラクティカルに考えると、かなり共通な部分があるのではないかという議論だったと思います。共通な部分があるのであれば、できるだけそこは合理化していってはいかがかというような議論ではなかったかと思います。そこで、そういう趣旨でここに入っているのだと思います。

具体的には、例えばオフサイト・モニタリングなどでしたら、日銀がネットワークで集めている情報を、ほかの自主規制機関も必要に応じて共有できるようにするとか、オンサイトで調べることの一部も共同でやるなりといった工夫はできるのではないかということで、ここに「日本銀行」という言葉が入っているのではないかと私は解釈しました。そうであれば、別に違和感はないのではないかと思います。

あと、もっと抽象的なことを申しますと、そもそも目的が違うといっても、いろいろな目的を個々の金融当局の間で役割分担していても最終的に目指す高次の目的は同じなはずでありまして、例えばマネタリーポリシー、ファイナンシャル・スタビリティー・アンド・オーダー、それからプルデンシャル・レギュレーション、それからインベスター・プロテクションと、いろんな目的があっても、結局、これらの目的を達成することで目指そうとする高次の目的は一緒なわけですね。例えば、アメリカを考えると、FRBがマネタリーポリシーとプルデンシャル・レギュレーションを、SECがインベスター・プロテクションを担っていますが、英国は、BOEはマネタリーポリシーだけで、FSAが基本それ以外を全て担当しています。日本においても、今申した4つの機能をだれがどう分担するかについて、将来的には柔軟に考えていかなくてはいけないと思っております。これは当部会の議論とはちょっと離れておりますけれども、エンフォースメントの役割分担を考える場合、そういう観点も今後重要になるのではないかという印象も持っています。

○神田部会長

ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

失礼しました。太田委員、先ほど上柳委員の次でしたね。どうも大変失礼いたしました。

○太田委員

私が専門委員なものですから、あまりしゃべらない方がいいのかもしれませんが、23ページの網かけの省庁をまたがる問題の点なのですけれども、私は取引所の一員として、商品先物取引所の方とか証券取引所の方とかともお話しする機会があるものですから、ここで「一元化」という言葉が、非常に意欲的といいますか使われています。しかし、実際問題として一番問題なのは、色々な商品、それは農業品もあれば工業品もある。また、厚生労働省が主管する商品もありまして、それぞれのルーツなり、商品特性があって、色々な法益なり行政目的が認識されて省庁は存在しているわけでして、何かそれを一元化することが、何でも一緒にすればいいというのは非常に奇異に感じまして、問題はそういうことよりも、前回のときに経産省とか農水省の方からもご意見がございましたけれども、また先程ほかの委員がおっしゃったように、柔構造化を踏まえ、規制のレベルをさや寄せすることが大事だと思います。具体的にそういう調整努力をすべきだという書き方の方が現実的でありますし、実際にワーカブルだと思うのですね。一元化とか、どこがエンフォースメントするかというよりも、むしろエンフォースメントの結果として、内容が大体同レベルである、あるいは予測可能性があると、そういうことが問題なのであって、もう少し現実的に、金融庁と各省とが調整努力をして頂くとか、そういう方向でこの文章を書いていった方が、早く投資家の方々に役に立つと思うのです。もともと舌足らずの文章なのですけれども、もう少しそこは練った文章にして頂いた方がいいと思います。

皆さんの共通の意見は、そういうことではないかと思うのですね。ここは断定的に書いてあって、それは理想論かもしれませんが、何でも一元化すればいいというのは、何でも合併したり省庁を統合したらいいという、そういう単純な話ではないと思います。もう少し、わかりやすく現実的なアプローチを書いて頂きたいというのが私の希望でございます。

○神田部会長

ありがとうございます。

ちょっと今の点について、まず現実的な話をどの程度書くかというのが非常に重要で、おっしゃっているところの実質はそのとおりかとも思うのですが、今回の中間整理はあまり現実的な話をすべてにわたって書くというよりは、考え方というかロジックのレベルでの文章、そういう意味ではわかりにくいということもあるかもしれませんけれども、抽象的と言った方が正確なのかもしれませんけれども、というレベルでほかの箇所も含めて整理できればというのが1つございます。

それから、今おっしゃったこととの関係で、ここでの言葉を使わせて頂くと、エンフォースメント体制を一元化すべきであるというご意見をお述べになった委員の方も複数いらっしゃるのですね。それは事実だと思います。ただ、それがこの部会の意見であるというふうには報告書に書けるかというと、そういう状況にはないのではないか、抽象的なレベルにおいても、ということもあると思います。

したがって、もとの文章になっているのですけれども、先ほどから池尾委員を初めとして頂きましたご指摘も踏まえて、この部分については、もうちょっと表現は変更して、それは結果として太田委員がおっしゃったような意味でのわかりやすさというのも高まるというような表現にさせて頂き、その先の議論は秋以降ということにさせて頂くべき箇所ではないかという感じがいたします。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

今の太田委員の意見でありますけれども、神田先生からも説明があったので、もうこれ以上つけ加えることはないのですけれども、各省にいろいろなそれぞれの行政目的があるから、法律あるいはエンフォースメントは別ではないか、だから、規制のレベル間をそろえることが投資サービスの目的ではないかということであれば、それは全然違うと思います。まさに、いろいろな行政目的がありますから、各省で所管する分野、産業政策だとか国土交通があると思いますけれども、市場や投資商品という切り口では共通なものがある、あるいは横断的なルールにしていこうということでありますから、それは理想論だと指摘されるかもしれませんが、昨年来、本部会の目指すところは、1つの法律、投資サービス法という横断的な法体系を目指すものであったということを、やはり認識すべきではないかと思います。

○神田部会長

それは、池尾先生のおっしゃった最低限というところですよね。ここの言葉で言うルールの横断化、一元化の方が、それを意味しているのですけれども、ちょっとわかりにくいというご指摘を頂いていますので、ちょっと文章に工夫をさせて頂きたいと思います。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、和仁委員、失礼しました。

○和仁委員

すみません。

先程上柳委員からご意見があったのですが、外為証拠金の判決なんかを見ていますと、裁判所は変わりつつあるというよりは、裁判所が混乱しているというところがあります。地裁レベルで凄まじい判決が出て、高裁レベルでそれを直している感じです。外為証拠金取引は賭博なので無効だという議論をやったり、あまり知識がないまま、知識がない弁護士がやっているうちに地裁レベルで変な判決が出ている感じです。結論はいいのだけれども、理論づけがおかしなことになっていまして、それを高裁で一生懸命直しているという印象です。私はこのままでよろしいのではないかと思います。それで、修文の必要性ですが、24ページの下のところは、このままの方がいいのではないかなと思います。

それから、もう1点は、これはちょっとご確認というか教えて頂きたいのですけれども、エンフォースメントということで、民事責任と課徴金があるのですけれども、この部会では刑事罰によるエンフォースメントというのは、最初から考慮の対象外ということでやられているのでしょうか。業者に一番効くのは刑罰規定なのですね。効果を考えるのであれば、秋からそういう議論をされるのであれば、刑事責任ということも入れて考えるのが悪徳業者に対して一番効くのではないでしょうか。もちろんそのやり方が新商品の開発等に対して物すごいネガティブ・インパクトをもたらすというのは私も重々承知しておりますけれども、そこの議論はなされたのでしょうか。これは、単に自分の知識の確認だけなのですが、よろしくお願いいたします。

○神田部会長

これは、やはり第二部会の委員の方々には途中から参加して頂いているものですから、どうしても議事録等を公開していてもわかりにくいと思うのですけれども、第一部会の従来の考え方は、エンフォースメントというものの複線化という表現を使っておりまして、民事、行政だけではなくて、当然のことながら刑事面というのも重点を置いています。

ただし、従来の認識というのは、むしろ従来業者の場合には行政処分という対応が可能なのですけれども、例えば相場操縦ですとかインサイダー取引ですとか、こういうものの場合には民事があり刑事があり、かつあえて言えば民事の一部として損害賠償だけではなくて、差し止めもあったりしまして、もうちょっと厳密に言うと、相場操縦については民事責任の明文の規定が証取法にはあって、インサイダー取引についてはなくて、ディスクロージャーについてはあってということも言っていかなければいけないのですけれども。しかし簡単に言うと、刑事一本で運用してきたのではないかと。それが一方では抑止力になる反面、刑事責任を追及するというのは、やはり極めて限られたケースになりますので、過去20何年で何件というふうに見た場合には、果たしてそれでちゃんと証券取引法が守られているのかという、エンフォースされているのかというと、やはりイエスとは言いにくいのではないかと。そこで、複線化ということで、民事あるいは課徴金というのでしょうか、そういうことを議論してきたという経緯があります。

したがって、刑事も重要だということに認識上変わりはないのですけれども、むしろ刑事だけに頼り過ぎてきた。業者の場合には行政的措置がありますからいいのですけれども、そういう部分は複線化していかないと、やはりエンフォースメントのレベルは上がらないではないかというのが、この部会の従来の流れなのですね。今、それを2年間ぐらい議論して、既に課徴金制度を導入したりしてきているものですから、今回は延長の部分で課徴金のさらなる検討ということと民事責任の部分が、投資サービス法との関係では前へ出ているという、そういう位置づけになります。ですから、今の点はなかなか、もしどこかへ書ければそれを書いた方がわかりやすいですよね。現在ですと、26ページの6.その他の4行目に「以上のほか、引き続き行政、刑事、民事上の手段によるエンフォースメントの強化のあり方について検討を行うべきである。」ということで出ておりますので、従来のこの部会はそういう趣旨でございます。

それでは、どうぞ。どちらから行きましょうか。先に今松委員、そして上柳委員でよろしいでしょうか。

○今松委員

これまでも一部会での議論がどうなっているのかというところを、ちょっとここは教えて頂きたいのですけれども、25ページ以降の自主規制機関のところで、自主規制機関の機能強化、これはそのとおりであるし、そこに書いてある投資サービス法という形、なった場合には、それぞれ今までの日証協以外のところも同じような機能を強化していくと、そういうことになると、このくだりのところは、これはそれでわかります。

それで、その後の海外のあり方というか今までの議論ですね。イギリスの場合には一本化したと。アメリカの場合には、いろんな形でより規制がというか自主規制の機能が高まるような、独自性の高まるような、これは今いろいろやられている議論ですけれども、今までのこの一部会でのここを書くに当たっての、二部会から入ってきたので、ちょっとここのところ議論があれなのですけれども、投資サービス法で一本化されて、例えば先物であるとか、ほかの投資サービス規制法、これも一本化した場合に、この自主規制としてのあり方ですね。これをある程度については一体化するのがいいのか、それとも個別、今のそれぞれのところをより強化していく方が望ましいのか、このあたりの議論というのは、もちろん26ページの最初のところにありますように、日本における自主規制機関のあり方について引き続きですから、これからの検討課題になるのだろうと思いますけれども、どういうふうな議論潮流になっているのか、ちょっと教えていただけますか。

○神田部会長

これも、ちょっと私も正確ではなかったら申しわけありませんけれども、私から簡単に理解を申し上げますと、これまでのこの部会では、投資サービス法を構想したときに、自主規制機関のあるべき姿がどうかということについては、恐らく3つぐらいポイントがあって、苦情処理も入れると4つになりますけれども、その第1のポイントは、自主規制機関の役割というのは、より重要になるであろうという、そういう認識が強いと思います。

それから第2に、では投資サービス法になった場合の自主規制機関というのは、例えばということですけれども、現在の証券業協会が投資サービス業協会となって1つだけできるというのがいいのかどうかというのは、これはこの部会では、その組織が1つか、3つか、4つかというのではなくて、やっぱり機能強化という、その機能を充実させるためにどうしたらいいのかということが恐らくまず議論されるべきことであって、その結果としては、例えば幾つかの組織があって連携をするという姿もあるでしょうし、1つという姿もあるのかもしれません。そういう形というのは後からついてくるもので、あるべき機能を果たすためにはどうしたらいいかという議論になるでしょう。それが2つ目ではないかと思います。

それで、3つ目は、この加入義務づけということでありまして、ここは難しいところですけれども、自主規制機関というものが重要だという考え方に立てば、これは加入を義務づけるということも、十分検討に値する考え方であるというのが3つ目です。

苦情処理も入れれば、そこに書いてある話が4つ目ということになります。

なお、25ページの一番下の数行から26ページに書いてある話のうち、御存じのようにアメリカの話はごく最近の話でありまして、ですから、こういう話も踏まえてのご検討は、今後この部会でも引き続き行って頂くということで、この中間取りまとめ、中間整理という今日の段階では、この程度の表現にとどまるのかなということであります。よろしゅうございますでしょうか。

では、上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

先ほどの和仁委員のご発言で、後半の方の刑事の問題は私も同感で、ただ、刑事というのはそれこそ法制上の検討が大変必要なところだと思うので、だけれども検討を続けていくことは必要だと思いますが、前半の方で判例の読み方とか、ましてや判例の動向の読み方というのは、なかなか難しいということで、私は私のバイアスで読んでいるのかもわかりませんけれども、少なくとも外為証拠金以外でも、高等裁判所が地方裁判所の判決をひっくり返して適合性原則違反で損害賠償責任を認めたというのが、私今手元に持っているの2つあります。大阪高裁の平成13年1月31日、これは外国のものですけれども、投資信託、それから、東京高裁の平成15年4月22日で、これは日経平均オプションですけれども、これも地方裁判所では投資家が負けましたけれども、高等裁判所では投資家あるいは消費者の方が適合性原則違反ということで損害賠償が認められているということで、ここは少なくとも客観的に見ても大分流動している部分だと思いますので、やっぱりあまり慎重とか原則修正というふうに断定されると私としては抵抗があるところで、ご検討をお願いしたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。法律の専門の方で議論して頂きたいところですが、ちょっと時間がありませんので、私も言いたいことがないわけではないのですけれども、ちょっと今、和仁委員と上柳委員のご指摘を踏まえて、もし多少表現を変えた方がいいかどうかということを検討させて頂きたいと思います。

原委員、どうぞ。

○原委員

ほかの点で大変恐縮ですけれども、25ページの4の自主規制機関の中に、苦情処理・あっせん、それから紛争解決のことが書かれていて、自主規制機関の中に整理をされていますけれども、消費者側から見ると、この苦情処理・あっせん、紛争というところは大変大きなポイントになるというふうに思っておりまして、いずれ金融オンブズネットでも提言したいと思いますが、もう章立てをしているぐらいの項目ということもありまして、私としては少なくとも改行して頂いて、「また」以降というところですよね。もうちょっとめり張りがあって、これはポイントだと、自主規制機関として取り組むべきポイントであるということを明確に出して頂きたいと、最低限の修文ですけれども、お願いしたいと思います。

○神田部会長

確かに「また」が2つあるので、改行はさせて頂いた方が、文章としてもいいと思います。

どうぞ、失礼しました、川本委員、お願いします。

○川本委員

すごく小さなポイントで恐縮ですけれども、自主規制機関のところの大事なポイントと思いますけれども、2行目の「根拠規定が投資サービス法とし」でなくて「根拠規定を」ですよね。すみません。

○神田部会長

ありがとうございます。ちょっとそういう箇所は、若干ほかにもあるかもしれません。ありがとうございます。「は」かもしれませんね、「を」ではなくて。「は」です。

ほかに、どうぞ鮎瀬さん、どうぞ。

○鮎瀬幹事

何度もすみませんが、先ほどの淵田委員からのご発言をちょうだいしましたので、1点だけ補足させて頂きますけれども、1つは、まず公示の目的は、私どもの金融システム安定のための活動と投資サービス法と同じだという、淵田委員おっしゃられるとおりであると思います。ただ、金融システムの安定といったような大きな枠組みの中で、中央銀行にどういうファンクションを与えるかというのは、これも淵田委員ご自身おっしゃっておられましたように、非常に大きな問題だと思いますので、ちょっとこの場でご議論頂いている事柄とは外れるところなのだろうと。これは淵田委員、ご自身もおっしゃってくださっているところだと思います。

それでは、私どもの活動の中での得られたデータとか何とかというのを、いわば副次的に投資サービス法のエンフォースメントにご活用頂いていくというところは、それは考えられないことではないと思いますが、ただ、具体的な仕組みを考えていくに当たっては、私ども日銀法上の守秘義務ですとかそういったものもございますので、法律上、金融庁さんの方には必要があれば要求を頂き、情報をお渡しするというのが日銀法にも定められておりますけれども、自主規制機関との関係等では、日銀法上の問題といったものも出てくるのだと思います。ただ、副次的な意味では私どもの活動が、ひいては投資サービス法のエンフォースメントにご活用頂くというところは、私ども全くそのように反対するものではございません。ただ、それもあくまでも副次的なという意味で、私どもとらえていただければと思いまして、やはり投資サービス法のエンフォースメント体制自体の役割分担というところに、日本銀行が位置づけられるのは、先ほど高橋厚男委員からもおっしゃって頂きましたが、少し私どもとしては違う面があるかなというのが、私どもの気持ちでございます。

何度もすみません。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、予定の時間もまだあるのですけれども、あと27ページの「おわりに」については多分ご異存ないと思いますので、ちょっとてにをはが何かあるかもしれませんけれども、そうしますと、今日も大変活発なご議論頂きまして大変ありがとうございます。

そこで今後なのですけれども、ちょっとこれから修正とかを考えたいと思いますが、今日のご議論を踏まえて私が現時点で認識している箇所を申し上げます。ただし、その修正とか変更の内容については、今ここですぐ口頭で申し上げてご確認頂くということは時間的に不可能でしょうし、また適切だとは思われません。

それから、てにをはについては、先ほど川本委員から助けて頂きましたように、そういうようなことは多分ほかにもあるかもしれませんので、もう一度全体を読ませて頂きます。

そういう意味では、修正、変更というものがあるわけですけれども、それをまたご確認頂くためにもう一度明日お集まり頂くというのも、ちょっとどうかとも思いますので、そういうものが一応委員の皆様方には、今日変更が済めばご確認は頂くようにしたいと思いますけれども、お集まり頂くというか、もう1回集まるということは省略させて頂いて、秋以降への議論へということで、その意味で私の方にご一任を頂くという形で、今日もし終わらせていただければという感じがいたしております。

そういう観点から、私の把握しております点を前の方から申し上げます。細かいてにをはは省略させて頂きますけれども、前の方は、ずっとありませんで、それで、ちょっと細かい点は省略させて頂きます。大きな点としては、14ページの不招請勧誘禁止の部分ですね。それから、20ページの佐々木委員ご指摘の点は、そこは「ベンチャー」を取ります。

それから、23ページの先ほどのルールの横断化、一元化の部分。

それから、ちょっと細かい点でしたけれども、上柳委員、和仁委員からの間でのご議論がありました、24ページから25ページの第1パラグラフ。それから、団体訴権等が書いてある第2パラグラフ。それから、引き続いて25ページの4.の根拠規定「は」か「を」かはともかくとして、それを含めて、そしてその下の苦情処理の部分、これが改行という程度かとは思います。

そして、26ページの6.の最初の3行ということで、あと私の個人のあれで大変申しわけありませんけれども、11ページでしたかね、基本的な方向性というところに「柔構造化」というものを入れるという表現を出しておくということかと思います。

以上の部分プラス、あと、てにをはを含めて今日のご審議を踏まえて、ただご意見が違う部分もありますので、できるだけちょっとそこのときに共通する部分を書くのか、秋以降にという雰囲気で書くのか、意見もあった、意見もあったと書くのかといういろんなやり方があろうかと思いますけれども、基本的には今お手元のものをベースにしながら頂きましたご指摘を踏まえた内容に変更というのでしょうか、修正を試みさせて頂くということにさせて頂ければと思っております。

それで、あと時間との関係で申しますと、形式的には大変恐縮でございますが、もしお認めいただければということではありますが、そこの部分は、私にご一任を頂くと。ただ、それは公表する前に、委員の皆様方にはご確認の意味を含めてお送りさせて頂くなり、そういう工夫をさせて頂きたいというふうに感じておりますけれども、そういうことにさせて頂いてもよろしゅうございますでしょうか。

どうぞ、高橋委員。

○高橋(伸)委員

今の方針に関しては異存ありません。

1点だけ追加をさせて頂きたいのですが、26の「その他」のところでございます。金融経済教育に関して、私の意見書と木村委員の意見書の意見が追加されております。木村委員の「この際」という意見のところで、学校教育において金融経済教育が行われることが重要であるとの意見があったと書いてあるのですが、ご本人の意見では「きちんと」ということが重要で、行われることの重要性は2000年の金融審答申に示されておりまして、既に文科省と金融庁さんが一緒になって着手しているところでありますので、ちょっと誤解があるといけないと思いました。

修文としては、例えば「金融経済教育については」という、私の修文の前に入れて頂いて、「きちんと」というような意見が必要なのであればそういうふうに入れて頂いて、そして、金融経済教育に関しては、こうこうこうという記述でいかがかと思います。学校教育に重要であるとか社会人教育、高齢者にどうすべきかということに関しては、金融経済教育懇談会の論点整理の方に細かく書かれておりますので、むしろそちらが後ろに来た方が座りがよいのではないかと思います。

懇談会の委員として、一言申し上げました。

○神田部会長

ありがとうございました。それでは、今の点は、ちょっと追加で考慮させて頂くことにしまして、先ほど何となくお顔を拝見したらうなずいて頂いている方が多かったように思いますので、大変恐縮でございますが、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。それでは、それと前回ご議論頂きましたディスクロージャー・ワーキンググループの報告とあわせて、この部会の報告という形に今回はさせて頂きます。

もう1点、追加でございますが、この中間整理におきましては、公開買付制度や大量保有報告制度のあり方について、今後さらなる検討を行っていくということになっております。これらについては、専門的な検討をした方がいいというふうに考えられますので、この部会に下に、公開買付制度等ワーキンググループというのを置かせて頂いて、そこでの検討をお願いするということを考えたいと思いますけれども、お認め頂けますでしょうか。ありがとうございます。それでは、そういうことにさせて頂ければと思います。ワーキンググループの座長につきましては、部会長指名ということが慣例となっているようでありますので、本日ご欠席ですが、岩原委員にお引き受け頂きたいということで、ご内諾は頂いているようであります。

なお、ワーキンググループの人選等につきましては、これも慣例により部会長にご一任頂くということになっているようでございますので、そういうことで進めさせて頂いて、またワーキンググループの議論を踏まえて、この部会でもご審議を頂くということにさせて頂きたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。それでは、大変活発なご議論頂きましてありがとうございました。今日は、貝塚先生、堀内先生にもご出席頂いておりますが、堀内先生、何かもし一言ございましたら。よろしゅうございますか。貝塚先生、よろしゅうございますか。

どうもありがとうございました。本日も、この後記者会見を行いまして、この部会の模様についてお話をさせて頂きます。この部会ですけれども、昨年の9月28日に会合を再開させて頂いて以来、14回の会合を重ねてまいりました。また、途中からは最後の方ですが、第二部会の委員の皆様方にも委員になって頂きました。投資サービス法ということについての中間整理ということで、今回はこれまでと違い抽象度の高いというか、理屈のところでの取りまとめということをお願いいたしたわけですけれども、皆様方の大変精力的かつ活発的なご意見、ご議論を頂きまして、そのおかげで今回、中間整理を取りまとめることができるに至りました。大変ありがとうございました。この場をかりて厚く御礼申し上げます。

それでは、最後に事務局の方からご連絡等がありましたら、お願いします。

○大森市場課長

事務局からも、精力的なご議論頂きましたことを御礼申し上げます。加えて、本日も含め、これまでの私の説明に不穏当な発言があったかと思いますが、お許し願いたいと思います。

中間整理において引き続き検討すべきであるとされた課題につきましては、引き続き議論を頂ければと考えておりますが、次回こちら側の顔ぶれも変わっているかもしれませんけれども、神田部会長とご相談の上、また通知させて頂きますので、よろしくお願いいたします。

○神田部会長

それでは、また皆様方には引き続きご審議をお願いするということになりますので、どうか引き続きよろしくお願いいたします。

本日は以上で終了させて頂きます。どうもありがとうございました。

午後12時00分閉会

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