金融審議会金融分科会第一部会(第34回)議事録

平成17年10月5日

金融庁 総務企画局

午前10時01分開会

○神田部会長

おはようございます。それでは、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第34回目の会合になりますけれども、その会合を始めさせて頂きます。

皆様方には、いつも大変ご多忙のところをお集まり頂きましてありがとうございます。

本日の会議でございますが、この7月に「中間整理」を取りまとめさせて頂きましたが、それ以来初めての会合となります。本日から、秋の陣というのを再開させて頂くことになるかと思います。

なお、議事は引き続き公開とさせて頂いておりまして、報道機関の方々のために後ろの席を確保しております。今までどおりであります。

それでは、議事に入ります前に、本年7月の第33回第一部会以降の専門委員に異動がございましたので、簡単にご報告させて頂きます。

まず、交代された委員からご紹介させて頂きます。

西川茂樹委員にかわり、鈴木久仁委員でございます。

よろしくお願いいたします。

それから、古市健委員にかわり、花岡浩二委員でございます。

それから次に、今回新たに就任された委員をご紹介させて頂きます。日本共済協会において基本問題委員会委員長を務めていらっしゃいます、今尾和実委員でございます。

どうぞよろしくお願いいたします。

それから、事務局の方も異動がございましたので、その点につきましては、三井市場課長からご紹介を頂きます。よろしくお願いいたします。

○三井市場課長

この7月に市場課長を拝命しました三井でございます。よろしくお願いいたします。

では、私の方から事務局の者を紹介させて頂きます。

部会長を皆様方からご覧いただきました左手、総務企画局三國谷総務企画局長でございます。

細溝審議官でございます。

畑中審議官でございます。

河野監督局参事官でございます。

坂本検査局総務課長でございます。

居戸証券取引等監視委員会総務検査課長でございます。

柚原監督局証券課長でございます。

それから反対側、右手でございます。松尾投資サービス法令準備室長でございます。

少し遅れておりますが、中江総括審議官。

飛ばしまして、妹尾参事官でございます。

大森信用制度参事官でございます。

池田企業開示課長でございます。

保井保険企画室長でございます。

新川市場業務室長でございます。

小滝市場課企画官でございます。

次に、財務省でございますけれども、左手の方をご覧頂きまして、石原信用機構課長でございます。

金京機構業務室長でございます。

それから、今回から制度共済関係の担当官庁の方がオブザーバーとして参加頂いておりますので、本日参加のオブザーバーの方々を建制順にご紹介させて頂きます。左右行ったり来たりいたしまして、恐縮でございます。

右手でございます。厚生労働省の篠原地域福祉課長でございます。

農林水産省の田辺商品取引管理官でございます。

同じく、村井経営・組織対策室長でございます。

それから反対側でございますけれども、経済産業省の市川産業資金課長でございます。

同じく、宮本商務課長でございます。

それから、中小企業庁の小林創業連携推進課長でございます。

それから、行ったり来たりで恐縮です。右側ですけれども、国土交通省、石塚不動産市場整備室長でございます。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今新しくご紹介頂きました皆様方も含めて、このメンバーで審議を再開させて頂きたいと思います。

本日の予定でございますが、大きく分けて3つございます。

第1点ですけれども、「中間整理」についての意見募集というのをいたしまして、その結果が出ておりますので、事務局から説明をして頂きます。

それから第2点ですけれども、投資サービス法(仮称)とでも呼ばせて頂きますが、に関する主要論点(案)についてでございます。「中間整理」において、今後検討すべきであるとされた課題等につきましては、これからこの部会でご審議を頂くということになります。つきましては、主要論点の案というものを、事務局において作成して頂きましたので、それについて説明をして頂きます。

そして第3点といたしまして、本日は再開後の第1回目ということでございますし、新しくメンバーになられた方もいらっしゃいますので、皆様方から投資サービス法(仮称)の主要論点等について、幅広く、ご自由にご意見を頂きたいと思います。それを踏まえまして、次回以降は、論点ごとにと言うのでしょうか、具体的なご議論に入って頂きたいというふうに思っております。

以上の順序で進めさせて頂きたいと思いますので、お手元の議事次第に従いまして、まず最初に、事務局から「中間整理」に関する意見募集の結果についてのご説明をお願いします。

○三井市場課長

それでは、お手元にお配りしております資料、たくさんございますが、議事次第の次に資料1-1、それから資料1-2、それから一番最後に大変分厚いもので資料(「中間整理」に関する意見書)という3種類のものがございます。この一番にあります資料(「中間整理」に関する意見書)というものが、皆様方から寄せられた意見書そのものでありまして、それを私どもなりに要約してみたのが2つ目にある資料1-2という、意見書提出者一覧という表題紙がついており、2枚目に四角で囲った資料の中に、要旨とそれから提出された団体あるいは個人の方の名称の入ったものでございます。

これだけで29ページほどある資料でございまして、本来であればこれをご説明すべきところなんですが、時間の制約がございますので、それを資料1-1で、その資料1-2の要旨をさらに説明用に短くしたものを使ってご説明させて頂きますが、これは私どもの判断で大変短く、詳細な皆様方の意見を端折って書かせて頂いておりますので、十分に言葉の足りないところがあるかと存じます。疑問あるいはご意見ありましたら、原典をご参照頂きまして、さらに今後のご意見を賜れればと思います。

それでは、資料1-1、「中間整理」に対する主な意見という紙を使ってご説明させて頂きます。

「中間整理」につきましては、平成17年9月2日から先月末の30日まで、ホームページ等を通じて意見募集を行いました。消費者問題関係者、放送関係者、学識経験者、業界関係者等、あるいは金融教育関係者などから、幅広いかつ多様な層から合計97件のご意見を頂いております。それにつきまして、項目別に分けてご説明いたします。

総論でございますが、「中間整理」のうち基本的な方向性、それから投資サービス法の理念・目的に関するものであります。

すべてを読み上げる形ではなく、かいつまんで説明させて頂きます。説明が飛びますので、ご容赦頂きたいと思います。

1つ目でございますが、利用者保護の前進に取り組むものとして一定の評価ができるということですが、消費者被害救済の項目が欠落しているということで、イギリスの金融サービス・市場法を参考に、その消費者被害救済について実効性のある措置を講じるべきであると。

それから2つ目の丸でございますが、特に2つ目の丸で言いますと、「仮に」の2行目からですけれども、中小企業の金融の円滑化に資することを基本に検討すべきであるといったこと。

それから3つ目の丸ですが、投資家保護以外に、過度な規制によって投資家の自由な選択及び市場参入を阻害すべきでないということで、その最後の行ですが、多様化するニーズに応じた金融商品・サービスの提供を可能とする制度とすべきであると。

それから4つ目の丸ですと、利用者利便、それから国際競争力の向上に資するような制度ということを言われています。

それから次の丸、下から3つ目の丸でございますけれども、一元化につきまして、投資信託委託業者と投資顧問業者の規制の一元化といった、そういう業態別行為規制を横断的に整理していくということを評価しておられて、最後、速やかな法制化を要望すると。

それから、最後から2つ目の丸ですけれども、投資商品を横断的に規制対象とする投資サービス法について、引き続き検討することは必要という、ややニュアンスの異なる意見。

それから最後でございますけれども、次のページに行っていただきまして、上のところでございますけれども、多様化するニーズに応じた金融商品・サービスの提供を可能とする点、それから適正な利用者保護、それから公正・効率・透明な市場の構築を目的として証券取引法を改組し、投資サービス法を制定するという点に賛成と。

それから、最後の丸ですけれども、「中間整理」で示されている概要・趣旨は支持するということで、ニュアンスの濃淡はありますが、全体としては支持される意見が多かったという印象を受けております。

各論にまいります。

投資サービス法の適用対象範囲、 I .でございます。

全般的ですけれども、まず1つ目の丸、金融商品を幅広く定義する包括的規定が不可欠であると。

それから2つ目の丸ですけれども、包括的な定義を置いて、それでまずいケースは、最後の行で、例外的に除外するという方式。

それから3番目。これは保険との関係で、2行目ですが、投資性商品と保険商品のように類似性が低い商品に対する規制を一元化することについては、十分かつ慎重な検討が必要であるというご意見。

それから、次の項目。預金、保険、共済、信託でございます。

1つ目の丸、変額保険・デリバティブ預金について、投資サービス法の規制対象とすべきであると。

それから2つ目の丸ですが、預金。これについては、最後から2行目ぐらいですが、元本保証が太宗であることを踏まえて、投資性の有無につき慎重な検討。

それから3番目、保険でございますが、既に保険業法の枠組みのもとで保険事業の特性を踏まえた消費者保護ルールが十分に整備されているということで、最後の行ですが、それぞれの金融商品の特性を十分踏まえて検討すべき。

それから4つ目の丸ですが、協同組合が行う共済事業。営利を目的としないで、共助を通じて組合員の生活を守ることを目的として営まれていることに留意すべきであるというご意見。

それから、次のページでございます。一番上、信託でございます。営利目的でない、自己資産の管理とか贈与を目的とする信託、公益信託という、投資目的と言えない類型があるといったご意見です。

シンジケートローン。規制対象外とすべきというご意見。

それから、デリバティブ取引。商品先物取引、海外商品先物・オプション取引も、消費者の目から見れば利殖を目的とする投資行為であり、投資サービス法の規制対象に含めるべき。これは、多数のご意見を頂いています。

2つ目、商品先物取引については、商品調達・在庫調整・資金調達といった重要な産業インフラである商品市場に関するものであり、改正商品取引所法のもとで商品市場の健全な発展を図っていくべきである。

あるいは3つ目、デリバティブについて、中小企業も含めて広範に利用されている実態を踏まえて、慎重に検討すべき。

最後の4つ目、国際的な整合性についても考慮すべき。

それから、 II 番目の規制内容でございます。

行為規制です。1つ目の丸で、対象範囲拡大とあわせて参入規制についてもさらに強化するとともに、不招請勧誘の禁止、適合性原則、説明義務などの、最低限の行為規制を盛り込むべきであるというご意見。

それから2つ目、勧誘・販売等にかかわるルールとして、適合性原則(ベストアドバイス義務・不適合商品の勧誘禁止)、それから、広告・勧誘規制、不適正な勧誘・販売の禁止、説明義務を整備すべき。

3つ目ですが、ややニュアンスが異なりまして、規制による便益と負担のバランスを考慮して、規制によるコスト増、過重な規制による効率性や革新性の向上の妨害により、利用者利便を低下させることのないようにすべきである。

それから4つ目、不招請勧誘の禁止について消極的なご意見。

それから最後ですが、過剰な弊害防止措置や業務範囲規制について見直すべきであるというご意見。

それから、プロとアマの区分でございますが、2方向の議論がありました。

投資家保護規定の適用されないプロは、機関投資家に限定されるべきであるという、狭くとらえる意見。

それから2つ目については、プロとされる範囲を拡大する。あるいは、プロに対する行為規制や私募の要件とされる転売規制を大幅に緩和して、自由度や効率性を高めるべきというご意見がございました。

それから、 III .集団投資スキーム(ファンド)でございます。4ページをご覧頂ければと存じます。

1つ目の丸です。一般投資家に販売するファンドについて、投資家保護の実効ある規律が必要であり、ファンドの届出・登録、運用者の資格要件等の規定を整備すべきというご意見がございます。

それから2つ目ですが、ベンチャーファンドについては、過剰規制に対して懸念するご意見。

それから3番目、プロ投資家、外国人のみを対象とするファンドについては、規制不要とすべきご意見。

それから4番目、運用者の資格要件について、不動産信託受益権を投資対象とするものについては、今度は不動産に関する相応の知識を要求すべきであるというご意見。

それから5番目ですが、NPOバンク。これは、出資に対して利子や配当を払わなくて出資を譲渡することを制限している、あるいは、脱退や解散時の払い戻しについて出資の価額を限度としているというふうな特色があるので、投資とは言えないのではないかということで、適用対象外にすべきというご意見。

それから、商品ファンド。読ませていただきますと、より柔軟なファンドの組成が可能となるよう運用制限を緩和すべきとの意見があると。一方で、仮に商品ファンドが投資サービス法において規制される場合には、その商品性、既存業者の継続可能性、商品市場に対する政策が阻害されないようにすべきであると、こういうご意見でありました。

最後の不動産特定共同事業法は、十分な投資家保護がされておるということから、投資サービス法による規制対象外とすべきというご意見があります。

それから、 IV .市場のあり方でございます。

1つ目の丸ですが、消費者の方を向いた市場という側面から、取引所情報の消費者への開示・提供、不透明な市場(取引システム)の改善を検討すべきである。

それから2つ目、投資証券についても、上場されているものについては株式同様、大量保有報告制度の対象とすべきであるというご意見。

それから3番目、排出権。仮に将来取引所の取引の対象とするのであれば、石油製品や原油等と同様、産業インフラとしての機能を十分に発揮させる市場で取り扱うべきであるというご意見でございます。

それから、 V .ルールの実効性の確保(エンフォースメント)についてです。

市場行政体制です。

1つ目の丸ですが、幅広い金融商品を対象とした漏れのない制度にふさわしい組織が監視監督機能を担う必要があり、国家行政組織法第3条に規定する独立行政委員会として金融サービス委員会を設立して、監督、監視を行うこととすべき。日本版SEC、CFTCの設置等により、市場監視機能を強化すべきである。

それから2つ目、次の5ページ、最後のページでございます。従来よりも広い対象について新たな参入規制を設ける趣旨であれば、登録事務が発生して、行政の肥大化を招きかねない。投資家保護についても、「小さな政府」の実現を大前提として検討すべきである。

それから3つ目、エンフォースメントの強化については、その重要性に配意しつつ、費用対効果を慎重に検討し、金融・資本市場の効率性を損ねないような枠組みにすべきであるというご意見でした。

それから、民事責任規定でございます。

金融商品販売法については、適用対象を拡充するだけでなく、同法とは別に行為規制を拡充すべきである。

それから2つ目、不招請勧誘をした場合に、取消権等の民事効の付与、適合性原則違反に対する損害賠償義務・取消権・無効等の民事効を設けるべきである。

それから、クーリングオフ、契約取消権、損害賠償責任を明確にする必要がある。

それから、自主規制機関でございます。方向性の違った議論がありまして、自主規制機関の役割を十分に果たしていくため自主規制機関への加入を義務付けるべきであるという一方で、自主規制機関として機能させるためには商品の特殊性を踏まえた組織や人材等の整備が必要であるということから、その取り扱いは慎重に検討すべきというご意見がありました。

いずれも、項目別に1つずつ掲げていますが、これに対するウエートというのは、かなりそれぞれによって異なっております。意見書提出者一覧をご覧頂ければ多様な方からご意見を頂いていますし、原典をご覧頂きますと、この今の資料1-1で1項目で整理していたものに対して、1つの団体または個人からの意見にとどまっているものもあれば、多数の方から同様の意見を頂いているものもあります。そこの点につきましては、ご関心ある部分につきまして、ぜひ一度原典をご覧頂ければと存じます。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

時間も限られておりますために、十分に原典に沿ったご紹介はできませんけれども、事務局の方でうまくまとめて頂きましたので、その点を中心にご紹介を頂きました。また、原典等につきましては、後ほどご覧頂ければと思います。

それでは、今の事務局からのご説明につきまして、皆様方からご質問あるいはご意見等がございましたら、ここでお出し頂きたいと思います。ただし、この部会で今後議論をしていくべき主要論点については、この次にご議論頂きますので、それについてのご意見は、この後で出して頂くということにしたいと思います。今回は、今ご紹介頂きました「中間整理」に対する主な意見について、ご質問あるいはご意見がございましたらお出し頂ければと思います。

どなたからでも結構でございますが、いかがでしょうか。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

この範囲でということで。今日は分厚い資料を頂いて、たくさんの方からの意見が出されたことがよくわかりましたけれども、この資料(「中間整理」に関する意見書)というのは、これはこれも含めて公開されるということでよろしいんでしょうか。と言いますのは、資料1-2の後ろの方だけさっき見ておりましたもので、個人の方であるとか消費者サイドからの意見がそれほどないのかなというふうに、私ちょっと思っておりましたので、若干きつい言葉かもわかりませんが、ミスリーディングなまとめなのかなと思ったんですけれども。今日の資料を見ますと、たくさんの方から出ているのがよくわかりますので、これも含めて公表されるのかお伺いしたいんですけれども。

○三井市場課長

まず、上ページとそれ以外の公表についてでございます。

今日席上にお配りしている資料は、傍聴者あるいはマスコミを含めて資料が欲しいというご要望があれば、この意見書も含めてお渡しする予定でございます。

それから、ウエブページの掲載については、サーバーの容量がございますので、どの程度のものを掲載するのかというのはテクニカルなことで今後調整する必要がありますが、可能性としては、全体の意見書というのを直ちに載せるのは、現在のうちのキャパシティでは無理かもしれません。したがいまして、プレス、マスコミ、あるいは傍聴の関係でお渡しするというのが、当面はこちらについてはメインになる可能性が高いと思います。

○上柳委員

コンピュータも大きくして頂いて、載せて頂きたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

原委員、どうぞ。

○原委員

一番最後に膨大な資料をつけて頂いていますので、それを見れば大体の意見は把握できるかと思うのですが、最初に、「中間整理」に対する主な意見ということで、30ページにまとめてきて頂いたものを見たときに、消費者団体と事業者団体との構造的な格差みたいなものを、改めて実感したという感じがいたしまして。事業者団体は、非常に緻密に意見を出されてそれが丁寧に紹介されてありまして、実際には消費者団体は、当初は消費者問題関係者のような一くくりにされておりまして、今回表に誰が意見を出したかというペーパーをつけられたので、かなり消費者側も意見を出したということがわかるようにはなりましたけれども、このこと1つを見ても、大変な構造的な格差を感じたというのが実感です。

それから、補足でということでお願いをしたいのですが、私が所属している金融オンブズネットでの提言というのを、この分厚い資料の142ページからつけさせていただいていますが、その中でかなり大きく力を注いで検討したもので、まとめの中にちょっと入っていないものがございまして、1つは、金融消費者教育というものを総則の中に位置づけて頂きたいという。これは、よく消費者側の自己責任だとかそういったことを言われたりしますけれども、やっぱり何か問題が起きてからということではなくて、金融の消費者教育の必要性はずいぶん言われていたわけで、「中間整理」では「その他」と一番最後のところに、終わりにですか、書かれておりましたけれども、私はやはり総則のところに金融消費者教育を位置づけるべきだと思っております。

それから2つ目は、契約締結後のルールが大変大きい項目と思っておりまして、契約締結後のルールについても、一番大部のものの160から161ページのページを割いて、消費者側が望む契約締結後のルールということで項目を立てております。そして、苦情・紛争の扱いということについても、この大部なものの162ページからページを割いて書いておりますので、1年近くかけて論点の前半部分ぐらいまでしか整理はできなかったのですけれども、消費者側の意見としては大変大きなものなので、金融消費者教育、それから契約締結後のルール、苦情・紛争の扱いについても、この「中間整理」に対する主な意見のところに追加をお願いしたいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、高橋委員。

○高橋委員

質問なんですけれども、パブリックコメントは当初取らない方針というふうにお伺いしていたんですけれども、急遽当局のご判断の変更があったということについて、どうして取るようになったかという経緯と、これをどう今後の検討に活用していくのかということについて、ご説明を頂きたいと思っています。

膨大な資料を短期間におまとめ頂いたわけなんですけれども、原典を見ないと詳細はわからない状態の中で、この主な意見の主なというのがどういう―数的なものなのか、分量的なものなのか、その辺もちょっとわからないまま主な意見を頂いているわけなんですけれども、そこも、その方針も含め、お答え頂きたいと思います。

○三井市場課長

経緯でございますが、先ほど原委員がおっしゃった百数十ページよりもう少し前ぐらいからです。百三、四十ページぐらいから以降、消費者団体の関係者、それから金融教育の関係者、それから弁護士、それから個人の意見が多数あります。ですから、全体で言うと多分、この厚さで言うと6割ぐらいがそういった方々のご意見で、それ以前が業界なり団体の方が主に占めているかと存じます。

それで経緯ですが、7月7日だったと思いますが「中間整理」がまとめられました。それで、8月、9月、意見募集なりパブリックコメントをしていたわけではございませんが、金融庁にはさまざまな方々から、ファックスなりお手紙という形で、この「中間整理」に関する意見が出始めておりました。その中には、専門的な法律家であるとか専門的な立場からのご意見もありまして、これはひょっとすると、こういう意見を広くお聞きすると、我々が見落としていたような、あるいは事務方として今後検討しなければならないような、そういう課題を頂ける可能性もあると考えた次第です。

片やパブリックコメントは、例えば役所が出すルール等の制定に際して行われる正式な手続きでありまして、金融審議会という審議のプロセス―これはまさに民意、民間有識者の代表者がお集まりいただく場でございますので、そういうところがやる手続きという位置づけではございませんが、多々頂きつつあるご意見を拝見いたしまして、今後残された課題が、この金融審議会、「中間整理」後の課題がたくさんありますので、そこの審議にもしかすると参考になる可能性があるのではないか、あるいは、それと同時並行的に、制度設計の事務的な検討をしていく際にも参考になるのではないかということから、あえて意見募集をさせて頂きました。

それで、その結果が以上でございまして、今日の会議の便宜、私の説明の便宜ということで、言わば読み上げ原稿的に説明の便宜として資料1-1をつくらせて頂きましたが、これはオフィシャルな要約ではございません。あくまで原典に書いてあることの方が、実際の制度設計なり全体の感じはビビッドにわかろうかと思います。

その意味で、まさにこの議論、この審議会の議論の参考にしつつ、もちろん委員の方々のご意見をベースに、今後残された課題、具体的な制度設計についてのご議論を賜れればと思います。

以上でございます。

○高橋委員

ありがとうございます。

それで、要望なんですけれども、確かにこの膨大な資料を読めばどういう意見が出たかということはわかると思うんですけれども、次回以降の議論を生産的に進めるためには、今日主要論点は頂いているんですが、これは特に今の意見を意識したような形ではないと思うんですが、事業者側の意見と非事業者側の意見と分けるとか、この論点に関しての賛成と反対と中間的な意見と分けるとか、そういう整理をしていただかないと、幅広い意見をここで反映して討議したことにはならないと思うんですけれども、そういうお手数はとって頂けるんでしょうか。

○三井市場課長

今後の資料作成におきまして、その論点が浮かび出るような資料について、工夫していきたいと思います。

○神田部会長

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

では、とりあえず先に進ませて頂きまして、これだけ多くの方から、個人の方も含めて、ご意見を頂きましたので、これをどうすればより活用できるか、ここでのご審議の参考として最大限活用できるかについては、引き続き事務局と一緒に考えさせて頂きたいと思います。

どうもありがとうございました。

それでは次に、投資サービス法(仮称)をめぐる主要論点(案)につきまして、事務局からの説明をお願いします。

○三井市場課長

それでは資料2、投資サービス法(仮称)をめぐる主要論点(案)という資料をご覧頂ければと思います。

1番上の紙には、1、2、3、4と行って10までの項目が並べてありまして、2ページ以降、「中間整理」の一部分とそれから問題提議というものがついております。それで、全体的には、とりあえずここでその他を入れて10項目にまとめますが、これは実は「中間整理」では、非常に多様な幅広い論点について、さまざまなご意見をまとめております。それをすべてを論点にいたしますと、時間的にも、あるいはやや議論のしにくさということもあろうかと思いますので、投資サービス法をつくっていくに当たって、事務的に、とりあえず試みのグルーピングとして、大くくりをさせて頂きました。もちろん、これに論点は限られるわけではございませんので、いろんな観点から、これにとらわれずご議論頂ければと思います。その意味で、あくまでこの議論の便宜のたたき台ということでございます。

全体として、投資サービス法の目的、対象範囲、集団投資スキーム、開示規制、業規制、行為規制、プロ・アマの区分、自主規制機関、民事責任、その他というふうに大きく分類してございます。

1枚おめくり頂きまして2ページ、法目的でございます。

「中間整理」についてはもうご案内のとおりでございますので、詳しい読み上げ説明等は省略いたします。証券取引法を改組して投資サービス法を制定する。それから、その目的、英国ではこうであるということが書かれております。したがいまして、論点でございますが、投資サービス法の適用範囲であるとか、個々の規制の仕組み、規制内容、程度、深度、幅を検討するに当たりましては、投資サービス法の目的との関連が問題になると思います。したがいまして、この投資サービス法の目的についてどのように考えるかということであります。

これは、この論点だけが独立してあるというよりは、各論との関係で、その相関関係として考えて頂ければと思います。誤解を恐れずに申し上げますと、例えばその法目的、いくつかのものが立てられ得るところでありまして、利用者保護は当然のこととして、例えば市場機能の健全な発揮であるとか、市場の健全な発展であるとか、さまざまな法目的というのがあり得ますが、その組み合わせ、あるいはそれぞれの目的の間のバランス重視をどう考えるかとかといった点があろうかと思います。

それから、次の3ページでございます。投資サービス法の対象範囲でございます。

総論でございますが、「中間整理」では可能な限り幅広い金融商品というふうに提示いたしまして、例えばということでマル1マル2マル3。金銭償還可能性とか、それから資産や指標などに関連して、より高いリターン、あるいは経済的効用を期待して、リスクをとるものといった試みが立ててあります。それから、デリバティブ取引については、原資産を問わず対象とすべきである、こういったものも含みます。

これに関しまして、投資サービス法の目的との相関関係で、投資あるいは金融商品の範囲を具体的にどのように考えていくのかということが問題になろうかと思います。まず、全体としての総論としての対象範囲。

それから、次の4ページでございますが、その中で「中間整理」においても課題として残っている部分が掲げられていますけれども、まず1つ目のポツでは、デリバティブ、抵当証券、信託受益権、投資性を有する保険・預金など、可能な限り広い金融商品を対象とすべきであるということがあります。それから次のポツで、「銀行、保険会社といった業態に係わらず、投資商品の販売等に関する一般法として、その行為規制を業態を問わずに適用することが適当である。」と述べております。片や3つ目のポツで、「銀行法や保険業法についても、販売・勧誘等に関するルールなどについて投資サービス法と一元化することについて検討を行うべきである。」ということで、ここは「すべき」ではなくて「検討を行う」となっています。それから4つ目ですが、この検討に当たっては、「預金・保険といった金融商品としての性格や現在の業務の実態を踏まえつつ行う」と。

ということで、論点でございますけれども、預金・貯金・保険・共済・無尽・信託について、これを取り扱う業法等が他に存在しておりますけれども、こうした投資サービス法について、これらの商品の取り扱いをどのように考えるかという論点があるかと存じます。

それから、次の各論でございますけれども、(3)デリバティブ取引、5ページでございます。

「中間整理」では、先ほどの中にありましたように、デリバティブについては幅広く見ているということでございますが、現行法で投資家保護のための規制が課せられていないデリバティブ取引も含めて、その規制対象とするデリバティブ取引の範囲をどのように考えるか、あるいは、そのデリバティブ取引については現在金利・通貨の一部、あるいは商品等などについて、現在規制が既に存在する法もございますが、そういう現在既に存在する法律との関係をどのように整理するかということがあります。

テーマが変わりまして6ページ、3.集団投資スキーム、いわゆるファンドでございます。

これもご案内のとおりでして、基本認識としては、4行目ですけれども、ファンドに対して届出または登録、それから横断的であるということと、それから規制内容については柔構造、柔軟性を持たせるということであります。

それから、具体的な提案として、ファンドの届出・登録、それから次の資産管理、分別保管等、それから運用者の資格要件、それから4つ目、受託者責任・利益相反防止する行為等の規制、それから5番、運用報告、それから「中間整理」、資料の3で実物をお配りしていますけれども、「集団投資スキーム」の定義案というものを別表でお示ししておりますように、包括的な定義をおいてはどうかと、こういう提案が「中間整理」でされております。

ということで、論点でございますが、集団投資スキームに関する仕組み規制の適用範囲について、こういった「中間整理」を前提に、具体的にどのような範囲というふうに整理していくか。「中間整理」の別表において、包括定義の規定ぶりが示されていますけれども、これによりますと、各種組合によるスキームのほか、株式会社、持分会社、有限責任中間法人、信託によるスキームも含まれるという整理でございますが、これについて具体的な整理をどのように考えていくか。それから2つ目ですが、既存のファンド法制との関係をどう整理していくかという論点でございます。

それから8ページ、4.開示規制であります。

「中間整理」におきましては有価証券(投資サービス)をその性質及び流通性に応じて分類して、その分類ごとの開示規制のあり方を体系的に再整理するという考え方が示されています。もう1つは、プロ・アマ規制のあり方に対応して、機関投資家の範囲の拡大、プロ私募の要件とされる転売制限の柔軟化についての検討がされるということ,それからもう1つは、投資サービス法と証券取引法以外の業法との関係がどう整理されていくかを踏まえて、その他の開示規制との整理・統合についても検討していくということが述べられています。

したがいまして、論点でございますが、投資商品にはその性質に応じ、株式や社債のように発行体自体の信用力にその価値を置くものと、それから投資ファンドやABS―アセット・バック・セキュリティのように、発行体の保有する資産をその価値の裏付けとするといったものに大別できるかと思いますが、いずれにしましても、その商品の性質に応じて、どのような開示規制を行っていくか。

それから2つ目でございますが、投資商品のその流動性に着目すれば、証券取引所に上場されることにより流動性の高い流通市場を持つもの、それから上場されていないもの、さらには譲渡性が制限されていることなどにより流通の可能性に乏しいものなどがあるということでありまして、流通可能性の乏しいものについて、公衆縦覧型の現行の証取法の開示体系、そういうことを免除するといったことが考えられますが、具体的にどのような開示規制の整備を行っていくかということが挙げられます。

それから3番目、適格機関投資家の範囲の拡大について、どのように考えるべきなのかということがあります。

9ページ、5.業規制であります。

「中間整理」におきましては、参入規制について、原則登録制、こういうことで、観点としては財務の健全性、コンプライアンスの実効性、経営者の資質、フィットアンドプロファーなどが挙げられています。

その具体的な参入要件については、例えば段階的な柔軟な構造様式ということが述べられていまして、例えば証券会社に対応する幅広い投資商品の勧誘・販売、保護預かりを行う業者は、現行証券会社と同等の参入規制。それから2つ目の類型として、流動性の低い商品のみを勧誘・販売して保護預かりを行わない業者、あるいは顧客資産を預からない投資顧問業者というのは、2番目の類型としてやや軽い参入規制とする。それから3番目の類型として、証券仲介業のような、そういったものについては、最低限の財務規制等の一番緩やかな参入要件とするといった、そういったことが示されております。

それから、大きな2つ目のポツでありますけれども、発行者自身による販売・勧誘、直販行為について、業者ルールの規制対象とすべきであるということが書かれています。

それから3番目でございますが、販売・勧誘、それから資産運用・助言、それから資産管理といった大きく3つに大別されると思いますが、これを一体的な規制とすべきであるということが書かれております。

したがいまして、考えられる論点として1つ目、業務内容に応じた参入規制のあり方、参入規制の段階化について、具体的にどのように整理していくのか。それから2つ目、発行者自身による販売・勧誘行為、いわゆる自己募集に対する規制のあり方について、具体的にどういうふうに考えられるかという論点が考えられます。

それから、6.行為規制でございます。

「中間整理」では、10ページ1つ目のポツでございますが、証券取引法、証券投資顧問業法等の証券関連法の規制をベースといたしまして、対象となる投資商品を規制する既存の業法の規制を勘案して、整理・統合いたしまして、機能的・横断的に再構築するといったことが書かれています。

それから2つ目、受託者責任を具体化した義務ということについては、適合性原則、最良執行義務、価格公表義務など、こういった証券関連法で定めている義務について内容を吟味して、横断的な整理を行う。

それから3番目、適合性原則をいかに担保していくか、あるいは広告規制の内容や書面交付・説明義務の内容、エンフォースメントの手段について、こういった3つの、元本欠損のおそれがあるかどうか、元本を超える損失の恐れがあるかどうかというふうな分け方があるのではないかということで、これは検討が続けられるべきである。

それから、不招請勧誘の禁止については、これは引き続き検討中とされるものです。

論点ですが、そうしますと例えばということでございますけれども、各論として以下のようなことが考えられます。あるいは、不招請勧誘について適用する商品の範囲をどのように考えるかということが、例示的に検討課題に挙がっております。

全体的には、商号規制、標識の規制、広告規制。販売・勧誘について、説明、クーリングオフ、不招請勧誘、適合性の原則、損失補てん、その他虚偽情報・断定的判断の提供、作為的相場形成等の禁止行為、最良執行義務。それから、資産運用・助言の面では、善管注意義務、善良なる管理者による注意義務、それから忠実義務、利益相反の禁止・防止。それから、資産管理面での分別管理義務といったことが考えられますが、これにとらわれずご意見頂ければと思います。

それから12ページ、7.プロとアマの区分でございます。

アマに対しては投資家保護を拡充して、プロに対しては規制緩和をするという方向性であります。それから、その区分については、明確な基準が必要であるというものと、それから、「一方」の後ですけれども、アマとされる投資家がその選択に応じてプロとなるというあるいはプロがアマになる、こういった選択肢を用意するといったことが示されています。

ということでありまして、論点ですが、プロ・アマの区分の具体的な基準についてどう考えるか。その際、個人についてプロの対象に含める、あるいは含め得ることとするのかどうかという点が、論点としてあります。

それからもう1つは、その基準を定めるに当たっては、2つ目のポツですが、知識・経験であるとか、保有資産残高であるとか、その他のいろんな切り口があるかと思いますが、実務上どのようにそれを実効性あらしめるようにするのかということとの相関関係で考える必要もあろうかと思いますが、いかがでしょうか。

それから3番目、アマがプロとして取り扱われる選択肢、あるいはプロがアマとして取り扱われる選択肢を設けることについて、具体的にどのように考えるべきか。仮にもしこれを認める場合には、その基準や手続きについてどのように考えるかがございます。

それから13ページ、8.自主規制機関についてでございます。

1つ目のポツでございますが、業法別に差異があるという自主規制機能ですけれども、投資サービス法を根拠規定として、証券業協会といった代表的なものをベースにして、その自主規制機関の機能の強化を図るべきであるということが整理されています。

それから、自主規制機能の実効性を高め、投資家が安心して市場に参加できるようにするために、加入義務付けについて、これは検討を行うべきである。

それから3つ目、投資サービス法とやや切り口が違う点でありますが、「中間整理」に書かれていたこととしまして、NYSE―ニューヨーク証券取引所は、「上場に向けて、自主規制部門を独立性の高い非営利法人として切り離すとの発表を行った。このような国際的な流れも踏まえ、日本における自主規制機関のあり方について引き続き検討を進めるべきである。」という記述もありました。

といったことから、各業法上の自主規制機関の機能の同等性をどのように確保するのか。あるいは、その自主規制機関の加入義務付けについてどのように考え、あるいはどのように実施するのか。3つ目、それはNYSEの3つ目のポツに対応したものとして、自主規制機関のあり方についてどのように考えるかということであります。

14ページ、9.民事責任規定であります。

金融商品販売法を内容の見直しを行って、投資サービス法に統合すべき。それから、あと行為規制については、「民事上の効果の付与については、民事法制の原則を修正するものであることから十分な検討が必要であるが、エンフォースメント充実の観点から、投資サービス業者が投資商品を販売する場合の行為規制や未登録業者による販売・勧誘行為などについて民事上の効果を付すことの是非について検討を継続すべきである。」と書かれていますが、現行の金融商品販売法の内容の見直しや行為規制についての民事法上の効果の付与について、具体的にどのようなアイデアなり整理を行い、どのようなことを規定にしていくかという論点でございます。

ということで、その他、「中間整理」にはこれ以外にも多々いろんな論点が書かれていたと思いますが、とりあえず試みにこのようなものをつくるということをお示しいたしました。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

今、三井市場課長からご説明ございましたように、資料2は本日皆様方にご意見を頂くためのたたき台のようなものというふうに、ご理解頂ければと思います。

それで、資料3として「中間整理」の本体をご参考までに配付させて頂いております。したがいまして、この部会ですけれども、「中間整理」をおまとめ頂きましたので、今後この「中間整理」をベースに具体的な立法と言うんでしょうか、投資サービス法―仮称ですけれども―の立法に向けてのご審議を頂くということになります。そういう観点から、事務局の方で、主要論点としてこういう点が考えられるのではないかというものを、ご審議頂きやすいようにまとめて頂いたのが資料2という位置づけになります。

したがいまして、ご審議頂くべき点は、資料2にある点に限定されるわけでは決してありません。しかし、他方において「中間整理」というものがございますので、その「中間整理」を具体化していくというプロセスに我々はこの秋置かれているという、こういう点もございます。

ということで、本日はあと残りの時間、この資料2につきまして、皆様方からご自由にご発言を頂きたいと思います。それからまた、冒頭申し上げましたように、今後当部会で審議を進めていくに当たっての注意点、あるいは資料2以外の点でも結構ですけれども、こういう点を中心に時間をかけたらどうかというようなご意見等、ご自由にお出し頂ければと思います。

再開後第1回目ですので、特に資料2の例えば1番から順番にご意見を伺うというようなことはいたしませんので、どの点でもお気づきの点を皆様方からご自由にご発言頂ければと思います。

なお、人数もだんだんふえてきておりますので、全員の皆様方からご意見をお出し頂くのは、時間が足りなくなることもあろうかと思います。したがいまして、もし意見を言いそびれたとか、あるいは言うつもりだったけれども機会がなかなかうまくタイミングがなかったという場合には、その後で結構でございますので、私なり事務局の方に、前もそういうことを申し上げたことがあろうかと思いますけれども、ぜひ意見をお寄せ頂ければと思います。この場で記録には残りませんけれども、委員の皆様方からのご意見として、またその次の会にご紹介させて頂くなりして進みたいと思います。何しろ会合は1回2時間でございますので、かなり頻繁に開いたとしても限界がありますので、そういうやり方で、会合外でも皆様方からのご意見を事務局あるいは私の方にお寄せ頂ければありがたく存じます。

以上を前置きといたしまして、それでは皆様方からご自由にご意見をお出し頂ければと思います。

田中委員、どうぞ。

○田中(浩)委員

この事務局の方でつくられました主要論点に関しまして、2点ほどコメントさせて頂きたいと思います。第1点目は投資サービス法の目的、第2点目の方は、プロとアマの区分、これに関してでございます。

まず最初に、投資サービス法の目的のところで、先ほど原委員の方からも言及されてはいるんですが、今我が国の方の金融情勢を考えたときに、貯蓄から投資へということが大きな課題になっているわけです。それに対して、今日本の個人の方々が、投資そのものに関して十分な知識を持ち合わせていないという現状もあります。したがいまして、このイギリスの英国金融サービス・市場法の規制の目的の中の2点目に、「公衆の理解の向上」というのが入っているわけなんですが、我が国の投資サービス法においても重要な理念として、この「公衆の理解の向上」というものをぜひ入れるべきではないかなというふうに考えます。これが第1点目です。

第2点目は、プロとアマの議論なんですが、このプロとアマのところに関して、先ほど説明がございましたように、アマに関しては投資家保護ということをよりきちんと行う、それからプロに関しては、規制緩和という説明であったわけですが、このプロとアマというのを二者択一という概念でとらえるのは、非常に無理があるのではないかなと。

運用を業としているきちんとしたプロフェッショナルが運用されている、本当の機関投資家というものと、その対極に普通の個人の方というアマの方がいる。だから、現実には、その間の中間のいわばゾーンがあると思います。

現実に、このアメリカあるいはイギリス、あるいはEUの規定などを見ても、その二者択一というよりは、3分類とか4分類に実際はなっているわけですので、このあたり、このプロとアマの考え方というのを、二者択一ということではなくて、中間層の取り扱いも考えていく。

その中間層という意味では、形式的には機関投資家ではあるのだけれども、本当にその十分な機関投資家としての素質、経験がある場合と、そうでない場合があるということがありますし、あるいは個人の方でも、十分な財力があり、また経験があって、十分、プロの方のカテゴリーとして議論した方がいい方もいる。そういう面で、中間層の取り扱いというものを念頭に置く必要があるのではないかなと思います。

このプロとアマの議論というのは、それ以外の項目の、この論点整理でいうところの開示規制ですとか業規制、行為規制、こういうところを議論する場合においても、プロとアマのこのカテゴリーというのは重要ではないのかなというふうに思います。そういう面では、この順番では7番目で議論されておりますが、これはなるべく早いところで議論された方が、問題の整理としてはいいのではないかなというふうに考えます。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

いかがでしょうか。

どうぞ、池尾委員。

○池尾委員

今の田中委員のご意見に関連いたしますが、私は経済学をやっているせいもありますけれども、資本市場法制の整備の目的というふうに言われると、それは市場機能の確保だろうというふうに思うんですね。資本市場の場合は特に、公正な価格形成を軸とした市場機能の確あるいは向上を図るというのが基本的な目的だと思うんですね。そのために何が必要かということで、投資家保護が必要だとか、不公正取引は防止しなければいけないとか、特に直接誰が損もしていなくても、いわゆる市場阻害行為―マーケット・アビューズは、やっぱり許してはいけないとかですね、そういう話が、市場機能の確保という大目的から派生的に規定されるというふうな形になるんじゃないかというふうに思うんですが。

それに関連して、市場というもののとらえ方として、やはり、資本市場というのは非常に重層的な構造を持ったものだ、厚みと深みが本来あるべきものだというふうにとらえた方がいいということで。要するに、平板にマーケットというのはとらえるのではなくて、やはりそこには重層的な構造があって、一番ハイエンドのところでは、それこそ本当のプロフェッショナル同士が金融技術の粋を尽くして取引をする、そういう世界というのがなければならないというふうに私は思っていてですね、そこに関しては、ほとんどほうっておけばいいというか、余計なお世話をする必要はないんだけれども、そういう本当のプロが技術の粋を尽くしてやるような場、そこには個人なんかむしろ入れないということ。

そこから、田中委員もおっしゃいましたけれども、ある程度グラデュアルに。ローエンドとかハイエンドという言い方はちょっと語弊を招くかもしれませんが、一般の金融知識の乏しい個人が参加するようなマーケットというふうな形でですね。

層があると思うんですよね。その層に合わせて規制のあり方を考えるというのが、ずっと言ってきた柔軟化ということの中身ではないかというふうに思うんですよね。だから、資本市場を立体的な重層的な構造を持ったものとしてとらえて、その構造を、本当は連続的に変化するのかもしれませんが、田中委員もおっしゃったように、それを3つか4つぐらいのレイヤーに分けて、それに応じて規制の体系を考えるというのが、繰り返しになりますが、柔構造化、柔軟化ということではないかと。

その場合、一番ハイエンドと言っていいのかどうかちょっとさっきも言いましたけど、どっちがハイでどっちがローかというのはわかりませんが、そのプロ同士が粋を尽くしてやるところはもうほとんど自由競争の世界にして、それに対して逆のところは、今よりももっときちっとした投資家保護の体制を組むというですね、そういうめり張りみたいなものが欲しいなというふうに思います。

それから、ちょっと長くなって申しわけございません、その際、プロというのは形式基準で切るのではなくて、やっぱりその形式基準で一応分けた上でも自動的にプロと見なされるのではなくて、やっぱり、本人がプロとして扱ってほしいというふうに言ったときに初めてプロになるというふうな形で。逆に、私は、形式基準から言うとアマなんだけれども、プロとして扱ってほしいと言えばプロとして扱うというふうにはしない方がいいんじゃないかという、そこは、非対称性があっていいのではないかというふうに考えています。

○神田部会長

ありがとうございました。

田中委員からご指摘があった2つの点、目的それからプロ・アマというのは、今池尾委員からもご指摘のように関連する話ですよね。市場を重層的にとらえるときには、参加者で切っていくということになると、プロ・アマ論になると思いますので、したがって、今日のペーパーとの関係とか目的の点、それからプロ・アマの点、せっかく両委員からご意見頂きましたので、それに関連するご意見があれば、ここでお出し頂けませんでしょうか。

根本委員、どうぞ。

○根本委員

目的のところなんですけれども、利用者保護と並んで、三井市場課長もおっしゃっていた市場の発展とか活性化とか、国際競争力強化とか、そういう観点はぜひ入れて頂くといいと思います。実際ここにいくつか入ってはいるんですけれども、やはり利用者保護のためにいろんな規制を新たに加えるということは、非常に目に見える形で実現されるんですけれども、その一方、規制コストを下げるというようなところは、なかなか具体的な目標みたいなものが立てにくいのかなと思いますので、ぜひご配慮お願いしたいなと思います。

例えば、今回の法律の目的として不整合な規制を統一化するという、あるいは、金融の融和に関して、類似商品の規制を統一化するということがあったと思うんですけれども、その場合、多分その関係者の方が懸念されるのは、非常に厳しい方に統一化されるということかと思うんですけれども、その際には、そのプロフェッショナルな市場においてはむしろ軽い方に合わせるとか、問題がなければそちらに検討するとか、そういったこともあっていいのかと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは吉野先生、どうぞ。

○吉野(直)委員

今のに関連してなんですが、やはりマーケットを構成するものはやっぱり3つあると思う。1つは提供者に対するものと、それからそれを利用する購入者と、それからそこの間で取り引きされるその市場ということだと思いますが、その場合も、この中にもありますけれども、市場もこれまで金融商品とそれから不動産とか住宅という実物と違うということになっていたものが、やっぱり技術の発達でほとんど金融商品になり得るわけですから、やっぱりその中で取り引きされるものというのは、可能な限り幅広いものを含めて頂きたいと思います。

それから、ほかのご意見もございましたが、グローバルな市場として、日本でこの投資サービス法があることによって、日本の市場でいろんな金融サービスが、アジアの人たちもここで取り引きするというようなふうになって頂きたいと思いますので、そうするとやっぱり諸外国とのいろいろな整合性ももし考慮できれば、ロンドン、ニューヨークも含め、そういうものを含めた形で、いろいろここでグローバルに取り引きできるということにしていただければと思います。

それからあとは、わかりやすい法律でなければと。やはりグローバルになればなるほど、海外の人もこの市場に入ってくると思いますので、複雑ではなくて、ある程度外から見える体系というのが必要ではないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

すみません。ちょっとプロ・アマのところですけれども、この中にも原先生や高橋先生のように金融サービス法をつくったときからいらっしゃった方がいらっしゃるので、議論を覚えていられると思いますけれども、プロという場合に、先ほど池尾先生は、プロは本人がプロとして扱ってほしいというのをプロとして扱えば良いのではないかということをおっしゃいましたけれども、まず、事故が起こるとプロはみんなアマと扱えということを言い出すという人間のが本性でございますので、それは、私はおかしいなと思います。

次に、金販法でも、プロとアマをどうやって区切るかということに関しては、非常に議論がございました。1つ申し上げたいのは、確かにプロとアマというのは、金融機関を皆さんプロの代表とされますけれども、自分自身がプロとして行動する能力を持っているだけではなくて、お金を払ってプロの人を連れてくる能力がある人、そういう人もプロと扱っていいのではないかということです。自身としては、新しい取引、危険な取引かもしれませんが、取引に入るに関しては、プロを雇うことにより、自分としてきちんとリスクマネージメントをやれる人であれば、それはプロとして扱っていいし、また本来やれる人もやはりプロとして扱っていいのではないかということがございます。

それから、アマの議論ですけれども、これも前も申し上げたと思いますけれども、ある一定の人をアマとして差別していくというか、そういう人たちに対する販売・勧誘に対して厳しい規制をかけるということについては、いわゆる無能力者制度との関係で問題がありということを、金販法を議論した際に法務省からオブザーバーで出てこられた方がおっしゃいました。そういう側面もあるということをお考え頂きたい。

もう1つ論点として、救済のところにちょっと絡むのですが、クーリングオフ等の救済の話も出ているんですけれども、金販法がなぜ契約の無効という構成を取らなかったかというと、金融取引の裏には他の金融取引が沢山つながっていきますから、頭のところで契約が後でひっくり返されると、もう取引の安定性というのが害されます。そこをどう考えるべきかという論点も含めて、ご議論頂きたいと思います。

最後に、今吉野先生からご意見がございましたけれども、グローバルな観点はいいんですが、グローバルでやったときに、では外にいるやつをどうやって捕まえて規制をかけるかという問題が残ります。インターネット等で、当然招請勧誘も行われますし、金販法も基本的には域外適用ありという解釈を堂垣内弁護士がしておられますけれども、しかしながら実際に実効性のある規制というのはどうしたら実現できるのか。もちろん、規制監督当局が協力しておやりになるのは必要なんですけれども、やはり限界はあるでしょう。いわゆる外から来るやつに一体どうやって規制をかけるのか。あるいは逆に、日本の市場には関係なく海外で変なことをやっているやつを、一体どうやって取り締まるのか。要するに、日本から発信して海外で活動している人たちの問題ですね、ここもどうするのか一緒に考えて頂きたいと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ちょっと最後の点は、重要なご指摘だと思いますけれども、その前の方でおっしゃった点は、前に何人かの委員から出された意見と共通だと思いますので、いわゆるプロ・アマ、あるいはこの投資サービス法の目的に関連して、さらにご意見があればお伺いしたいと思います。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

プロとアマの分け方、今和仁委員もおっしゃったようにずっと議論してきたんですけれども、やはりグラデュアルというか、段階的になっていることは間違いがないと思うんですが、ではどこで線を引くかというと本当に難しくなってきて、2分論なのか3分論なのか、それ以上なのかということになってきて、いろいろ混乱してきているのではないかと思います。

それで、私の整理として、やっぱり2つに分けるしかなくて、そういう意味では個人はプロにはなれない。プロというのは法人。個人以外で、典型的には機関投資家だけだろうというふうなふうに考えています。

それで、ではその中間的なところをどういうふうに対処するのかというのが、まさに、業界の方々からはあまり評判がよくないようですけれども、まさにそれが適合性原則であって、資力あるいは投資意向に基づいて、あるいは経験に照らして勧誘していこうと。これはもちろんまた、狭義の原則と広義の原則とがあるわけですけれども、そういうところで調整できるような仕掛けになっているんだと思います。

それから、今度はプロ‐プロの方で、池尾先生の方から野放しというか、あまり規制しない方がいいというようなことで、私もそう思いますけれども、ただ、すごいスピードで回される方にとってはハイウエイが必要なように、道路があちこちでばらばらになっていたり、その規格がばらばらになっていたら、それは困るんですね。ここはまさに、投資サービス法が広く、それこそ今までいくつかの法律にまたがっていたり、あるいはいくつかの省庁にまたがっていたところを共通化して、右から左までずっと走っていけるようにすると。それこそ世界の裏側まで走っていけるようにするということなんで、ここがまさにプロの人たちのための今回の改革であろうというふうに思います。

ということで、なかなか立案は難しいんだろうと思いますし、この場で議論を進めていくことは必要なものですけれども、ぜひ事務局の方では大胆に、あまり早く案を出すとたたかれて大変だというふうに思っておられるんだとは思いますけれども、大胆に出して頂いて、もちろん私も文句は言いますけれども、大胆に仕事を進めていくというふうにして頂きたいなと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。文句は、私も文句を言う方が得意なのですけれども(笑)。なかなか全部を大胆というわけには……。法律つくる方にはプレッシャーがありますので。ちょっとその辺もご配慮頂きたいと思うんですけれども。

はい、どうぞお願いします。

○今松委員

今の上柳委員のところと若干かかわるんですが、やっぱりより幅広くとることで、つまり総論のところあるいは「中間整理」にありますような、そこで、ある意味では今まで漏れていたというか、非常に法律の間のすき間にあったところ、これはある意味、アマにとってはいろんな形で消費者保護というものが欠けていたところにあると思うんですけれども、その点でこの法律というか、今出している「中間整理」等々の方向性、これをより明確にというかわかりやすくしていくということが、これは消費者の側から見ても非常にプラスになっていくと思います。

それと、やはり池尾先生がおっしゃっていたように、市場というか、今のやっぱりどういう機能的にやっていくか、あるいは効率的にやっていくか、その中でやはり市場の信頼性という意味、これはやはり国際的に見ても欠けていたというか、そこだろうと思います。その点で言えば、やはり明確にこの投資サービス全体を包括し、それが公正かつ適正、それでまず透明な形でやられている市場という、その仕組みがまず、そこのところにかかわる点が明確になってくれば、まずそれを基にして具体的にどう議論していくかというものの第一歩になってくると思います。やっぱり、そういう形での議論というものが必要であろうと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

ちょっと論点を明らかにして頂く意味で、上柳委員と田中委員にちょっとお聞きしたいのですけれども、上柳委員のおっしゃる2分類というときに、アマに分類された人について、オプトアウトいう言葉を使わせて頂きますけれども、私はプロになりたいという道は認められてしかるべきなんですか。もうそういうことは、選択の余地はなしと。法で線引きして終わりということですか。

○上柳委員

そうですね。もう個人はプロになれないというふうに割り切った方がややこしくないんじゃないかと、今思っています。

○神田部会長

金販法もさらに改正する必要がある。金販法は、説明しなくていいと言えばそういうオプトアウトを認めないというご意見ですか。

○上柳委員

ですから、例えば説明の義務であるとか、あるいはその適合性原則を通じての調整はあると思いますけれども、全体のカテゴリーを分けるわけではないというふうに思います。

○神田部会長

「中間整理」でちょっと気をつけなくてはいけないのは、相対のですね、販売・勧誘の局面のプロ・アマの線引きと、それから公衆縦覧型の今の適格機関投資家と呼ばれているカテゴリーにおけるプロ・アマとの線引きとは、違えて考えてしかるべきではないかという、その線引きの基準そのものですが、そういう問題提起がありましたので、それぞれにおいて2分類なのか3分類なのかということは考えた方がいいと思いますけれども、ちょっと論点を明らかに今日はさせていただきたく思います。

それで、田中委員にお聞きしたいのは、田中委員がおっしゃった中間層についてのルールは、どうあるべきだというふうにお考えなのかということなんですけれども。

○田中(浩)委員

なぜこういう話をするかという背景を説明いたしますと、日本の個人の投資家の方でも、非常に財力があり、それから投資経験、そういう知識・能力がある方がいらっしゃるわけなんですが、ここでこのアマの定義を非常に厳しくしてしまって、いろいろなその商品の勧誘というのが国内でできなくなると、どういう状況が発生するかというと、富裕層の、財力のある個人の方というのは、直接海外の方に行って、海外でその資産運用を行う形になると。また、そういうふうな流れが今でもあるわけなんですが、それがどんどん加速してしまうと。そういうことになると、国内の金融市場というのが非常に空洞化する懸念が拡大してくるという背景があって、こういうことを言っているわけなんです。

それで、具体的にどういうような想定をしているかと言いますと、アメリカだとかイギリスの例ですと、ある程度金融資産がある、収入だとか金融資産がある、それから、本人の意志で一般のアマとは区別されたいと、そういうカテゴリーというのが存在するわけなんで、同じように日本でもそういうのを設けることによって、区分できるのではないのかなというふうに考えています。

○神田部会長

分類は、プロとアマは、両端はこれは法律で決めると。それで、真ん中の中間層については、原則は、例えばアマかもしれないけれども、選択によってオプトアウトしてプロになれると、そういうようなイメージでよろしいでしょうか。

○田中(浩)委員

イメージで、そのときにそういう考え方として、プロとアマというふうに線を切ってそう入れるのか、あるいはもともと最初から、その中間層というものを入れるのか。私も、ちょっと法律をつくる立場にないんで、最初から中間層というものをつくっておいた方が、実務的には、我々から見ると非常に何かその方がわかりやすいように思うんですが。いずれにしても、それが実際にワークできるような形にしていかなければいけないというふうに考えています。

○神田部会長

もう1点だけすみません、中間層というのは主として富裕な個人が念頭にあるいうふうにお考えでしょうか。

○田中(浩)委員

はい。

○神田部会長

わかりました。

○田中(浩)委員

すみません。主としてそうなんですが、それと同時にやはり機関投資家というカテゴリーでも、本当にその中央の、本当に100%どこから見てもプロだと言っていいカテゴリーと、一応法人形態はあり、また運用資産もそれなりにある。ただ、現実にはそれほどその運用ノウハウなり経験がないという法人もございますので、やはりこのあたりもやっぱりきちんと考えなければいけないんじゃないかなと。その意味では、両方考えております。

○神田部会長

ありがとうございました。ちょっと論点を明らかにする意味でうかがいました。ありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

プロ・アマ論についてと、それから目的のことについてなんですが。

プロ・アマについては、今中間層の話が出ていますけれども、中間層というものの存在が日本でどれぐらいあるのかというと、まだ私としては、少し不安定な層ではないかという感じがしております。

それで、先ほど上柳先生から適合性の原則のお話が出ましたけれども、7月に最高裁の判例で、適合性の原則と助言の義務についての判決が出ておりますけれども、ああいった層の人たちが、田中さんがおっしゃるような中間層になるんだろうというような感じはするのですけれども、あれぐらいの層がどれだけちょっと日本の中にあってですね、きちんと分類したグルーピングになるのかなというのは、やや懸念を持っておりまして、そういう意味では適合性の原則とか助言というものとあわせて、プロ・アマの2分論という段階ではないかというのが、私の感想的な、今までの意見を聞いていての意見です。

それから、投資サービス法の目的についてですが、多くの方々から意見が出されましたけれども、この2ページのところにイギリスの金融サービス・市場法の理念が参考になるというところをですね、大変強く私もそのように思っております。金融サービス事業者との間に情報等の格差のある金融消費者を保護し、金融サービス商品を利用する金融消費者が、市場で自己決定できる基盤を確立すること、並びに、金融消費者が信頼するに足りる市場を形成することということを、目的として明記をして頂きたいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

はい。どうぞお願いします。

○今尾委員

共済として、どういう立場で発言して良いのか、議論がかみ合わないと困るなというふうに思っているのですけれども、今のプロ・アマの議論で、田中さんから「中間」という話がありましたが、「中間」という整理をしていいのかどうか。プロ・アマの概念と合うのかどうか、よくわかりませんが、協同組合組織については、プロ・アマとの関連でどう整理するのかという部分が、あろうかと思います。

意見書の62ページで出ておりますけれども、事業を利用するために出資して協同組合組織をつくって、そこで事業をやる、その構成員は、プロなのかアマなのか。個々人を見ればアマだというふうに思うのですけれども、例えば商品をつくるときに、そこの自治権の中で商品形成の意見を述べることができる。こういう協同組合としての自治運営原則があって、そういう機会があればですね、そこのところはプロ・アマという概念整理とは違うのかもしれませんが、何らかの配慮が要るのではないかというふうに思います。

プロ・アマの議論の中で整理すると本論の議論が非常に整理しにくければ、別の切り口からでも構いませんけれども、その点だけ、金融庁の方で検討をよろしくお願いします。

○神田部会長

ありがとうございました。

従来の一部会では、今おっしゃっていたような点は、プロ・アマとも関連しないわけではないんですけれども、主としてプロ・アマではなくて、仕組みの形態の方。組合という形態で物事をするときに、それはどうなのか。そこで事業が行われる場合はどうなのか。ある種の投資ファンド的な活動が行われる場合はどうなのかと、そういう方で整理をしてきましたので、ご指摘も踏まえて、今後ご議論をお願いしたいと思います。

どうもありがとうございました。

プロ・アマと目的以外の点でも、もちろん結構でございますので、いかがでしょうか。

高橋委員。

○高橋委員

引き続き、目的とプロ・アマのところでご意見申し上げたいと思います。

まず、目的のところなんですが、この2ページ目の冒頭に「適正な利用者保護を図ることにより」と、こういうスタートをしているのですけれども、これは金融改革プログラムの利用者という考え方を受けたものだと思います。それで、しつこくて大変申しわけないんですが、金融審議会、今期がスタートしたときから、この利用者は何を示すんですかというようなやり取りをさせてきて頂いているんですが、その場合では、非常に幅広い利用者を示すんだというご説明を頂いております。

ところが、今回の整理を見ていきますと、例えば4ページのところで「証券取引法以外の法律による投資家(利用者)」と、こういうふうに出てきてしまうわけで、やはり、何か利用者ということが何を指しているのかというのが、こういう表現を見ると、私としては非常にわからなくなります。ですから、やはり利用者なり投資家なり投資者なりですね、あるいは国際的に見ればコンシューマーという言い方の方が整合性があるかなというふうに思っているんですけれども、それについてもきちんと定めないと、目的を置く、そしてその内容を充実していくということが、非常に難しいのではないかなというふうに思っております。

私自身は、今回の投資サービス法兼サービス情報については、やはり消費者保護のためのルール作りをしっかりすることと。なぜならば、消費者利益をないがしろにすると、消費者の金融機関や事業者への不信感を助成して、最終的には金融市場の地盤低下になってしまうと。公正な金融市場の発展のためには、消費者と金融機関双方が納得できるルールをつくりましょうということだと思っております。そういう観点からいきますと、ここに利用者と書かれながら、後で何か投資家という言葉も出てくるし括弧書きの利用者も出てくるし、あるいはほかのものを適用すれば投資者という言葉も出てくる状況の中で、少し整理して、共通認識を持ってお話を進めて行きたいというふうに思っております。

それで、プロ・アマにつきましては、先ほど来議論がありますその中間をどうするかという問題は、私も、6年前のまさに第一部会のデジャビューだなと思いながらお話を伺っております。ただ当時と比べますと、まあ当時も集団投資スキームを一般のですね、アマの方たちの中で先ほど田中委員がおっしゃったような富裕層が活用していくようなことも念頭にあっただろうと、私は思っているんですけれども、そこのところをきちんと定義しなかったために、今いろんなトラブルが変額年金保険を初め起きているということがあると思うんですね。ですから、この収入があり金融資産がある、ここまでは合意するんですが、本人の意志、目的というものに適合しているかどうかということによって、この中間層をどうとらえるかというところに大きな議論の余地があると思っております。ですから、販売界の問題にも関連しますけれども、意志のない人をその気にさせて、でも実際は自分は理解、納得していなかったということでトラブルが発生してしまうので、ここのところをきちんと議論して行きたいと思っております。よろしくお願いします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、花岡委員どうぞ。

○花岡委員

今までの議論をよく踏まえずに初めて出て、ご意見申し上げるのも恐縮なんですけれども、我々生保業界におきましても、利用者が安心して入れる保険制度、これを構築すると。それで、なおかつそれに向かったいろんな意味での改革をしていくということについては、全くやぶさかではないと言いますか、そういった機会において、今回こういう議論をして頂いているということも、大変ありがたいことだというふうに思ってございます。

ただ、私どもとして申し上げておきたいところが1点ございまして、1つリスクというものをどうとらえるかということは、よくご議論いただきたいなと。

生命保険が本来有しておりますリスクというものは、加入者が、具体的には被保険者ですね、これが死亡とかあるいは長生きするとかといったことによって出てくる経済的損失というものを保証すると。リスクとして見なしてそれを保証すると、こういう制度だと。一方で、大方の投資商品とか金融商品といったものは、拠出者が拠出したお金といったものが毀損してしまう、もしくは拠出したもの以上のロスをこうむると、こういったものがリスクとなっておると。ではこのリスクの違いということは、よくご議論頂く必要があるのではないかなと。そういったリスクの違いを着目して、おのずとそういうご議論の後出てくるルールなり結論といったものは、違うものになる可能性も多いと思うんですね。そういったものを、一くくりの法律でつくる必要があるのかどうかというところも、実は大事なところだと思うんです。そういう選択をするということもできるでしょうし、そうじゃないという選択をされている国も、現実に諸外国にはあるわけでございますので、そういったリスクに着目したというところにおけるご議論は、ぜひして頂ければということでございます。

あと、基本的に加入者が安心して入れる制度をつくるということは、私ども大変重要な経営課題だと思っておりますし、それは今現在保険業法のもとでも、具体的にどういうような形で運営されているかということについては、さらに見直しが必要である部分も大いにあるというふうに、重々認識してございます。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

先ほど田中委員にちょっとお聞きしたように、花岡委員、今日からかもしれませんので大変恐縮ですが、ちょっと論点を明らかにする意味でご質問させて頂きたいのですけれども。今のご説明がありました、例えば前の方におっしゃった保険事項の発生によるリスクを、今保険リスクと呼ばせて頂きますけれども、後の方でおっしゃった拠出額がどうなるかというのを投資リスクと仮に呼ばせて頂きますと、保険リスクと投資リスクを両方兼ね備えた商品に、消費者なり利用者なり投資家なりが出資をする、お金を出すというもの、例えばですけれども、そういうものはどういうふうに考えているのですか。あるいはその保険リスクが2割で投資リスクが8割、そういう商品についてどういうアプローチを……。

○花岡委員

高橋先生がおっしゃった変額年金に触発されてちょっと発言してしまったんですけれども、加入者の動機というものがどの程度あるのかということになってくると思うんですね。確かに変額年金の要素として、拠出した保険料に対するリターンというものを期待して加入されるご契約者って多々あると思うんです。なおかつそのリターンといったものがマーケットの運用成果に応じて変わってくると、こういう要素があると。それで、変額年金がほかの商品と違うところはそういうところでございまして、ほかの商品におきましては、拠出した保険料に対していくら返ってくるかというのは、あらかじめ契約時に定まっておるわけでございまして、それは現実にご契約の段階で加入者にもきちっとディスクローズしておるわけでございます。それは約定のものにもなっておるわけでございまして、そこにおいて、変額年金とそれ以外の商品とは全く違っておるというところはございます。したがって、ここにおける投資商品の中に、変額年金というものが対象になるのではないかというご議論は、ご議論頂く必要があるんではないかなというふうに感じてございます。

○神田部会長

保険リスクか投資リスクかではなくて、どういう約束をしているかという方がキーポイントだというお考え……。

○花岡委員

そもそも規制を考える上において、保険料に対してリターンなのか、そうじゃなくて何を動機として入っているのかということですよね。要するに、自分が死亡したときの経済的損失というものを期待して入っているのかというところにおいて、同じ規制というものは無理があるんではないかということで申し上げているんです。

○神田部会長

ちょっとわからなかったのは、普通に国債を買う場合でも金利は約束されていますよね。

○花岡委員

もちろんイギリス型のように、投資サービス法ではなくてサービス・市場法みたいに全部くくってしまうという、そういう結論もあるかと思います。ただその場合は、リスクに応じたご議論は必要ではないのかなということなんですね。

○神田部会長

リスクの方はよくわかったのですけれども、ちょっと約束の方がよくわからなかったものですから。いや結構です。どうもすみません。論点を明らかにしていきたかった趣旨です。ありがとうございました。

○花岡委員

初めてで。

○神田部会長

そうですね。

○花岡委員

今までの議論を踏まえずに大変乱暴なご意見を申し上げましてすみませんが。

○神田部会長

いえいえ、とんでもございません。

○花岡委員

そこのところはご容赦頂けませんでしょうか。

○神田部会長

そんなことは……。どこがポイントかを明らかにさせていただきたかったのです。どうも大変ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

そうすると、ちょっとあれですね、先ほどから出ています中間層問題というものについては、原委員からどれほどいるのでしょうかというご指摘もありましたので、ある種実証問題なのかもしれないとすれば、多少数字なり実態なりの推測というのはできると思いますので、いろんな計数がありますので、多少その辺は試みてみましょう。そして、これは高橋委員がおっしゃったことですけれども、中間層についてのルールづくりというのがあり得るということになれば、さてそのルールは何かという話で詰めるということになりますかね。

それで、かりにもしその中間層が不要だというのでしょうか、あるいは必要がないということになれば、2分類ということに恐らくなるんだとは思いますけれども。

ちょっと、まずその実態というものを計数である程度ですね、アベイラブルな統計その他でどの程度推測可能なものなのかという作業を、多少事務局の方でも可能だと思いますので、ちょっと私も含めて検討させて頂きたいと思います。

田中委員、お願いします。

○田中(直)委員

投資サービス法が対象としている現象だと思うんですが、道路なんかに一番近いのかなとは思っているんですけれどもね。もし道路にF1のドライバーが入っているようだと、それから一方でリアカーとか人力車も一斉に乗り合わせた場合に、問題は非常に複雑になります。混雑の問題がありますし、それから交通事故の問題があるんですが。

この金融も同じく、事故の問題もあるし混雑、要するに規制によって本来経済スピードで行けるものが行けないという状態が起きるという問題があって、それで、一般的にそのどこの、途上国のみならず先進国においても交通規制というのはどうするのか、あるいは特別な道路をつくって、例えば高速道路をつくってそちらに入ってもらうとかですね、いろいろあると思うんですが、もし投資サービス法がリアカーもそれから超高速で移動することを前提としたようなものも一緒に何かカバーするというのは、それはやはり混雑防止、経済効率の面でも問題ありますし、一方で事故防止という話との関係においても、これ問題が非常に多いだろうと思います。

交通の分野では、専門家ではありませんけれども、普通に雑誌に出ているような話で言いますと、ITSという仕組み。要するに、混雑と事故という、この例えば2つをどうやって解消するのかというのを、いろんな仕組みがありますが、移動の自由をある特定の範囲においては制限して、しかしそこからは移動の自由で行ってもらう。例えばターミナルをどうするとか、ターミナルとターミナルとの間をどういう原則で結ぶのかとかですね、そういう話は、交通の分野では出ているわけですよね。

多分金融の分野でですね……。我々は投資の目線で経済現象を見ざるを得ません。働き終えた後20年は勤労時において拠出したもので、個人的であれ社会全体であれ生きていくわけですから、投資社会のルールをつくらなければいけない。だけど、それはそうなんですが、一方で拠出したものがやっぱり高い収益を生むような運用ができるようなマーケットを用意しておかないと、それはこの投資社会の利用者すべてにとって大変不都合がおきますから。

だから、事故が心配だからといってスピード規制をやれば経済速度で走れない車。やっぱり問題が起きる。それで、それはいろんな社会がありますから、先ほど来出ているように、国際的にもキャピタルマーケットはいろんな仕分けになっていますし、発行者に対する規制もそれぞれ、非常に厳しいところも少し緩くしているところも出てきているようですから、だから、そういう市場環境差を前提として考えればですね、日本だけで一律の法律ですべての車両を何かやるというのは、相当無理があるんだという前提を、やっぱりまず置くべきではないかというふうに思います。

ですから、F1ドライバーの存在というのも、やっぱり世界で2番目の経済大国ですからね、F1ドライバーなんかいないだろうという話はそもそもないわけでして、そこはやっぱりいるというふうに思います。

でも、いろんな知恵が出てきているようですから、ターミナルまでは自由度は制限しても、ターミナルから先は移動の自由は100%確保するというようなやり方だってあるわけで、最初にリアカー、人力車を前提としたので全部つくってしまうというのは、私は日本の社会においては無理があるんだと思っているんですけれども。

○神田部会長

ありがとうございます。

池尾先生がおっしゃった点とも関連すると思うのですけれども、市場の重層化と言うのでしょうか、どういうふうに線を引いて行くかで、そこについて、もしさらにサジェスチョンをいただけるとありがたいのですけれども。

例えばということで申しますと、その金融商品によっても違ってくるのかなと思われるわけです。今の田中委員のおっしゃったことで、例えばプロ向けの車線を1本つくると。プロはそこをばっと飛ばして走れますというときに、アメリカの例で例えば申しますと、一番悩んだのは、私募ということを例にとって言いますと、プロだけの私募の市場というのをつくった144のAと呼ばれているものですが、その時に、では普通の上場株ですね、普通株式はどうするのだと。プロだけの市場があっていいのか。他方で上場市場というパブリック、一般投資家の市場があって、ダブルになってもいいのか。結局あのときのSECの資料を見ますと、よくわからない。したがって、やはり一般の上場株式については、プロの市場というものはやめにしましょうという言い方をしているのですね。

だけど他方、では社債等については、完全に閉じた世界での、今の田中先生の例でいうとF1専門の車線があるわけですよね。しかし、一般の普通株式については、少なくとも上場株については、それは価格形成とかそういう要素があるのでやめましょうということを言っているわけですね。

それで、もうそうだとすると、そこはやっぱり商品によって違ってくるのか、エクイティものと、ラフに言うとですね、それから債券のようなものとで違えてくるのか、またABSとかそういう仕組み商品によって違えてくるのか。基本的な考え方というのは、私も今のご指摘や池尾先生のご指摘もあって、そう分類していくという考え方でということだと思うのですけれども。

その時、単にプロ・アマだけでは切れないという話ですよね。市場の方にもう少し着目をした分類というものを考えなければいけないということだと思います。何に着目してその辺の絵を書いていくのかというのは、そろそろ決めていくというか、ご審議して頂きませんと、最後なかなか法律には書けません。今のままの線でよければ、今のままを踏襲すればいいのですけれども、多少変えた世界をつくっていこうということであれば、そういうご審議も今後必要になるとは思います。

どうもありがとうございました。

ほかの点でも結構でございますので、いかがでしょうか。

野村委員、どうぞ。

○野村委員

ちょっとプロ・アマから話が離れてしまって恐縮ですが、先ほど花岡委員の方から既に個別業法によって規制されている商品について、投資サービス法とのどのような折り合いをつけていくのかという問題提起があったかと思います。

それで、今日の中間論点整理に対する次の課題というペーパーでも、4ページのところに「他の業法等のある投資商品の取扱い」という論点が提示されておりまして、ここは非常に、今後もう少し詰めていかなければいけない点ではないかなというふうに考えております。

これも、私ももともと二部会の方の委員だったわけですが、この投資サービス法の議論に参加するようにというふうに命ぜられたのも、こういった問題点が背景にあるかということは承知しているところであります。

そういう中で、私は個人的には、やはり例えば先ほど出てまいりました変額年金保険と、いわゆる投資商品として販売されておりますほかの商品との間で、極めて類似性が高いものについては、同じルールに服すべきであろうというふうに思いますし、預金としての形式があっても、デリバティブ等に関しては、やはり一元的な規制に服するべきなんだろうということは、基本的に同意しているところでありまして、かつてシルクハット型という形でご提示頂いたモデルに基本的には賛同しているものであります。

ただやはり、問題として残りますのは、例えば保険を例にとって考えますと、いわゆる保障型の商品に対する保険業法上の販売規制というのは他方に残るわけでありまして、そうしますと例えばパーセンテージ、先ほど部会長の方からもありましたが、たとえ2割であったとしても保障性の部分が残っているような場合については、その保障性の部分についての業法規制と投資サービス法の規制が二重にかかるのかどうかという問題が、どうしても残らざるを得ないんだろうというふうに思います。

今の業態規制の中でいきますと、どうしても保険という商品性を残すことによって、さらに投資性の商品を販売せざるを得ないという状況があるわけでありますから、そういった意味において、逆に今度は規制をかけることによって、イコールなそういう競争環境になるのか、あるいは保険という部分を残すことによって、一部分過度な規制がかかることになって、イコールな競争環境を維持できないという問題が残るのかどうかということがあろうかというふうに思います。

これに関連する根本的な問題は、実は監督当局の監督のあり方というのにもかかわってくるんだろうというふうに思いますが、今は業法ごとにそれぞれの商品、業態体系の形で、監督体制が組まれているわけでありまして、それに対して他方で投資という観点のくくりを持って、何らかの統一的な規制ないしはエンフォースメントの機構というものを考えていくということになりますと、この2つの監督の部局がどういう動きをするのかということについても、今後詰めて頂く必要があるのかなというふうに思います。

釈迦に説法で恐縮ですけれども、イギリスで投資サービス法、市場法ができあがりましたときには、監督当局それ自体のあり方も大きく変更しているわけでありまして、そのあたりのところまで含めて、法制化とともに監督体制についても、なるべくイコールな形で監督を受け得る体制をつくれるのかどうかということも、ご議論頂く必要があろうかなというふうに思っております。

すみません、長くなりました。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

大変重要な点だと思いますので、例えば今の点ですけれども、関連してもしご意見があれば、ほかの委員からもお聞きしたいと思います。

鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

今野村先生からお話があったことの関連の意見ですが、今のお話で保障型ということになりますと、実は損害保険というのは商品的にはほとんどそういった性格の商品が多いわけでして、いろいろ、変額年金の問題もございましたけれども、要は商品の特性によってかなり異なってくる、中身が異なるがゆえに、お客様との関係も異なってくるということになろうかと思います。したがって、今のお話のとおり、やはり商品特性に合わせた、それを踏まえた論議を進めていくとことが非常に重要なことではないかなというふうに考えております。

特に、損害保険の場合は、保険という一言ではなかなかくくれないと言いますか、補償内容が多岐にわたるというようなこともありますので、もっと率直に申し上げると、投資という言葉とは非常になじみにくいという性格があるというふうに思っておりまして、ぜひそこのところを踏まえた論議を進めて頂きたいと、このように思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

どうぞ。

○原委員

お話が、今回のこの法律の範囲のところに移ってきていますけれども、投資サービス法(仮称)で今回提案をされていてですね、この仮称がとれて投資サービス法というのになるのか、それとも金融サービス・市場法というものになるのかという、その法体系の枠組みをどういうふうにするのかというところとも絡んでくるのではないかと思います。

それで、おっしゃるように、仮称がとれて投資サービス法になってしまうとですね、投資サービス法と保険業法と両方の規制を受けるというような構造になってしまうかと思いますが、私自身としては「中間整理」、今年の4月から預金・保険も入れた形での金融サービス・市場法という、全体的な体系のところに進むべきだと思っております。

それで、保険商品の特殊性については、今回のパブリックコメントの29ページのまとめの中に、損保業界と生保業界と在日米国商工会議所が意見を述べていらっしゃいましたけれども、私ども消費者から見ると、金融商品という点では同一の商品です。ですから、参入それから販売・勧誘、契約締結後のルール、苦情、紛争、こういったところは、私は同じ理念のもとにあるべきだと思っておりますので、法律の体系を金融サービス・市場法として、それぞれに、保険業法とか個別の業法があるという体系を目指して頂きたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

関連でございます。

先ほど損保の方からもご発言ありましたけれども、損害保険業界にしろ生命保険業界にしろ、これからイノベーションでどんな商品が出てくるかわからないわけですから、保険だから特殊だという言い方はなしにして議論を進めた方が、生産的ではないかというふうに思っております。

それから、変額年金保険に関してなんですけれども、販売実態を見ていますと、あるときは保障だと言いあるときは投資型年金だと言い、何かうまく使い分けておられるんですけれども、どうもやはり中身を見ると、私は明らかに集団投資スキームの商品であるというふうに判断しております。

でも、もちろんアメリカから輸入のような形で上陸してきたわけなんですけれども、アメリカにおいても、もともと保険業法だけで販売しようとしたものに関して証券規制をかけなければいけないという、長年のですね、20年ぐらいですかもっとですか、の議論はした挙句に、今二重規制しているということがあるわけですよね。その間の状況を見ますと、やはり保険会社は、今日本の会社がやっているように死亡保障をつけたり、何かいろんな保障をつけることによって保険だ保険だって言おうとしたんだけれども、結局裁判で違うよという結論が出て二重規制になっているわけですから、その辺の歴史を、私たちはやはり学んでですね、二重規制でいくのか、あるいはもういっそのことイギリスのような金融サービス・市場法の形にいくのかという議論で、この問題をやっていくべきではないかなというふうに思っております。

それともう1点なんですけれども、私は今変額年金は集団投資スキームの中に入れて考えたいというふうに申し上げたんですけれども、今回の論点で3として集団投資スキーム(ファンド)が出ているのですが、これは結構第一部会で以前議論を重ねたにもかかわらず、報告書の中では割にシンプルにまとまってしまっているというところがあるんですね。でも、まさに金融ビッグバンの新しい金融の流れ、こんなときにも、まさに市場型間接金融商品をこれから日本にどう普及していきますかという話だったと思いますし、現在投信の窓販であるとか変額年金の窓販であるとか、そういうものが盛んに政策的に誘導されるような方向にあるということは、やはりこの集団投資スキームを一般の方々、一般の方々の中でも、さっき申し上げたように富裕層も含めて、どういうふうに普及していくのかということが、大きな問題だと思いますので、この集団投資スキームに関しましてはですね、議論を深めてほしいと思っております。金融審で道筋をつけないまま、業界の方に投げるようなことがあってはならない部分だというふうに、私は思っております。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

野村委員、どうぞ。

○野村委員

すみません、私はちょっと言葉足らずで、誤解があると困りますので1点だけ申し上げますが、私も基本的には規制を後退させるというつもりは全くありません。今ようやくシルクハットになったというところでも、かなりの一歩だと思いますが、その上でさらにもうちょっと整合性のある形での、可能な限り統一的な形の規制を目指すべきだという趣旨で発言したつもりでございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、黒沼委員、それから岡内委員の順番でよろしゅうございますか。

○黒沼委員

保障性のある商品についての販売・勧誘等に関するルールの問題でありますけれども、ここでは投資性に着目して販売・勧誘ルールをかけようというのではなくて、投資性のない商品であっても、いわゆる金融商品ですね、金銭を拠出してそれを運用して、約定していたものであるかどうかにかかわらず何らかの成果を分配すると、そういう目に見えない金融商品について、共通する販売・勧誘ルールがあるのではないかという点から、広く保険やあるいは預金についても同じルールを適用すべきではないかということが、「中間整理」で言われていたわけです。

それで、保障性から生じる販売・勧誘に関する特別のルールがほかにあるのかということを、まず検討すべきでありまして、そういうルールがあるために、保障性の商品を売るときにそれが競争を阻害する要因になっているのであれば、その点は考慮しなければならないだろうと思います。

ただし、もしそういうルールがあるとすれば、それはまさに商品の特性からきているわけで、例えば保険を売るときに告知義務についてのルールがあるとか、あるいは損害保険を売るときに重複保険についての告知の義務があるという話は、これはその商品の特性からきているわけで、その点で例えば説明の負担がふえたとしても、それは仕方のないものであって、それによって公正な競争が阻害されるということにはならないと思うんですね。ですから、その点をきちんと区別して議論をすべきだと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

○岡内委員

以前に申し上げた縦横の規制の話と繋がることですが、いわゆる縦で既に業法でいろいろ規制がある世界で、投資の部分とそうでない部分がある。その投資だけに限るのか限らないかという問題があるわけですが、投資というのはやはりその中でも一番重いファクターで、そのリスクを認識してとるかしないでとるかとか、損が出るか出ないかとかいうことがありますので、利用者の保護ということで言えば、ここが一番重要な点ではないかと思います。

1つの業態が扱っている商品の中には、投資性があるものとないもの、あるいは強いもの弱いものがあり、そこに着目すると、ちょっと後退だと言われるかもしれませんが、やはりひとつ投資性ということに着目するとすれば、現在の業態別の規制で、かえって縦による規制であるがためにアンバランスが生じているようなことがあれば、それは横で統一的に揃えるべきであろうと考えます。

一方で、1つの業態で扱っている中で、投資性がないもの、それから従来からそういうことで利用されてきているものについては、そういう商品特性に即した規制のあり方というものがあってしかるべきではないかと考えております。

ここでまとめて頂いております3ページから4ページにかけての投資サービス法(仮称)の対象範囲につきましては、その商品のリスク特性、商品特性に着目した形での整理を、ぜひご検討を頂きたいと思います。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

商品の特性に応じたという議論があるんですけれども、具体的に我々「中間整理」で投資に関する行為規制ということで議論しているのは、具体的には例えば説明義務であり適合性原則であり、不招請勧誘の禁止であると思うんですね。いずれも扱う人、顧客あるいは消費者の状況と、それから商品との相関で説明義務の内容が決まったり、あるいはまさに適合性原則がそのとおりですので、ということで、その法律的には適合性原則なり説明義務という概念自体が商品の特性に即応できるという、そういうそのツールなんだろうというふうに思います。

それで、私は不招請勧誘についても、原則不招請勧誘の禁止をすべきだというふうに言っているんですけれども、それでもやっぱり商品なりあるいは取引の実情に応じてそれを解除する場合を考えていますので、いずれにしてもその商品の特性に応じて対応できるんですよね。

それから、さらに言えば、最近出なくなりましたけれども、今までの縦割りの法律を横に見る場合でも、説明義務なり適合性原則のところについてはかなり似たような規制がされてきているわけで、それを共通化するということは全然無理ではないというふうに思います

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

川本委員、どうぞ。

○川本委員

私も二部会から移ってきておりますので、4ページの「他の業法等のある投資商品の取扱い」は非常に大事だと思っております。その際、これからこの部会で、目的を議論し、範囲を議論し、要件を議論し、プロとアマの区別を決めていくと思うのですけれども、くれぐれもできあがった法律の結果、現場の方たちに資格試験ばかりになってしまうというような事態は避けて頂きたい、と思います。法制度として一定の投資サービスにかかわる行為を行う者に試験を課すのであれば、それをきちんと法令と書くべきだと思っております。

○神田部会長

ありがとうございました。

○今野委員

先ほど田中委員がおっしゃったF1ドライバーと自転車、リアカー。あれは大変わかりやすくて、私も全くそのとおりだと思います。その上で、そのようにいくらその規制とかルールが配慮されてつくられたとしてもですね、それが業務の現場でその意図通りに行われるか、そのあたりが私はいつも問題だと思いながら伺っております。実際には、なかなかその現場では本来の目的が果されないというのが、現実問題としてあると思っております。

F1は多くの人たちがまばたきもせずしっかり見ていますので、その現場で何か起きようと見落されることはありませんが、リアカーとか自転車の場合は観客がいないので、いくら一生懸命クラクションを鳴らしたとしても、そのF1の騒音にかき消されて、誰にも知ってもらうことができません。トラブルが起こっても一個人対組織でなかなか聞き入れられず、結果として機能しないということが、現実にあります。したがって、私もF1レーサーに対しては思い切った自由というのでいいと思いますが、またリアカー、自転車に対しては、きめ細やかな現場での配慮をすべきと思っております。

○神田部会長

ありがとうございました。

どうぞ、原委員。

○原委員

たびたびで恐縮です。2点ですが、1つはですね、黒沼委員から勧誘・販売等にかかわるルールのところで保険のお話が出ましたが、この分厚い資料のまた153ページから159ページについて書いておりますので、また後でご覧になって頂きたいと思いますが、保険については、保険契約にかかわる特則ということで、ベストアドバイス義務と保障、保障にかかわる特則を盛り込むべきだということで提案をしておりますので、ぜひそれをプラスということでお願いしたいと思います。

それから、不招請勧誘の禁止規定については、29ページもあるまとめの中にかなりですね、分量が割かれておりまして、事務方としては大変苦労していらっしゃる論点だろうと思いましたけれども、不招請勧誘の禁止規定は、消費者相談の現場からは必ず必要と言われておりますので、ぜひ盛り込むことを検討して頂きたいと思います。

それで、金融オンブズネットでも、適合性の原則の中で一般原則として勧誘の禁止ということで、不適合商品の勧誘の禁止という規定を設けておりますし、もう1つ、販売・勧誘の一般的なルールのところでも広告類と非人的勧誘、このダイレクトメールとかEメールですが、それと人的勧誘とに分けて、人的勧誘はオプトイン方式をとるということで、実際に不招請勧誘の禁止ということが実現するような形で項目立てをしておりますので、参考にして頂きたいと思っております。

それから、1点まだ全く出てきていない論点で、大変気になっているのは自主規制機関についてなのですが、自主規制機関はこの資料2の13ページのところに論点として挙げられているのですが、私もパブリックコメントのまとめを見ていても感じたのですが、イメージしていらっしゃる自主規制機関が皆さんばらばらだという感じがして、1つはやっぱり業界団体を自主規制機関と思って書かれている方と、それからですね、まずこの3番目のところにあるように、新たな独立性の高い非営利法人のことを自主規制機関と考えて意見を書かれたというような方とありまして、まずその自主規制機関の定義ですね、どういうものを意味するのかというところを明確にしないと議論が混乱するのではないかと思います。

それで、意見の、四角の囲みの中の2つ目に、自主規制機関への加入の義務付けの話が出ていますが、これは大変難しいところがありまして、苦情とか紛争の解決をこの自主規制機関に委ねるとすると、消費者側としては、既存のこれまでのADRというのが、事業者側がテーブルにつかない、それから資料を出さない、それから結果が事実でもその結果を尊重しないという、大変消費者側としてはトラブル解決には困難な局面をいつも迎えるわけですけれども、出された結果については片面的拘束力を設けたいと考えていて、結果拘束をしたい。そうするとですね、自主規制機関に加入義務付けると、結果拘束は恐らくできないというふうに思っていますので、結果拘束を尊重すると、自主規制機関へは任意加入。ただ、任意加入だけれどもほとんどの人に入って、まあ全部入ってもらいたいということなので、その加入をですね、どういう形で加入のインセンティブを高めればいいかというようなことにもなるのではないかなと思っておりますので、どちらをとるのか検討を尽くして頂きたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

大きなテーマですけれども、またそれも検討して頂きたいと思います。

そろそろ時間になっておりますけれども、もしさらに発言がございましたらお出し頂きたいと思いますけれども。よろしゅうございますでしょうか。

今日も、再開後初回にもかかわらずと言うべきでしょうか、大変貴重なご意見を多数頂きまして、どうもありがとうございました。非常に難しい問題がたくさんありまして、これから大変ですけれども、今後は、今日の主要論点(案)の事項を中心にご審議お願いしたいとは思います。繰り返しになりますが、必ずしもこれに限るということではございませんので、今後の検討において、さらにその法制化へ向けて必要と考えられる事項が出てくれば、それについてもご審議をお願いしたいと思います。この場以外でも、繰り返しになりますけれども、ご意見をぜひお寄せ頂ければありがたく存じます。

それでは、本日の審議はこのあたりということにさせて頂きたいと思います。

この後記者会見を行いまして、当会の模様につきまして私からご報告をさせて頂きます。

最後に事務局の方から連絡がございましたら、お願いします。

○三井市場課長

皆様、本日は精力的なご議論頂きまして本当にありがとうございました。

委員の皆様方におかれましては、本日のご議論を踏まえ、今後多岐にわたるご審議をお願いすることとなろうかと存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

次回の第一部会につきましては、10月20日の午前10時から、お昼までの2時間程度の予定で開催させて頂きたいと存じます。議事内容につきましては、追って開催通知と同時にご連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。また、その後の予定につきましては、2週間に1回程度の部会を開催したいというふうに考えております。場合によっては、それ以上の頻度のこともあるかもしれませんが、ご多忙のこととは存じますが、なにとぞよろしくお願いいたします。

事務局からは以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

今後ちょっと開催の頻度が高まるかもしれませんけれども、どうかご協力頂ければありがたく存じます。

それでは、以上をもちまして終了とさせて頂きます。どうもありがとうございました。

午前12時01分閉会

サイトマップ

ページの先頭に戻る