金融審議会金融分科会第一部会(第37回)議事録

平成17年11月10日

金融庁 総務企画局

午前10時01分開会

○神田部会長

それでは、予定の時間になりましたので始めさせて頂きます。ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第37回目の会合を開催いたします。

皆様方には、いつもご多忙のところをお集まり頂きまして大変ありがとうございます。

いつもどおり議事は引き続き公開とさせて頂いておりますので、報道機関の方々などのために後ろの方の席を用意しております。

なお、今日は若干部屋が狭いためにいすが小さくなっておりまして窮屈な配席になっております。1つの机に3人お座り頂くことになっておりまして大変恐縮ですけれども、その点お許し頂ければと思います。

本日は、立岡委員、ご欠席の予定と伺っておりますが、から意見書を頂いておりますのでお手元に配付させて頂いております。

本日の予定ですが2つありまして、前半部分で取引所のあり方についてのご審議をお願いしたいと思います。それから後半では、ディスクロージャー制度についてのご審議をお願いしたいと思います。前半の取引所のあり方につきましてですけれども、まず東京証券取引所代表取締役専務の吉野専門委員から、自主規制業務のあり方に関する特別委員会報告書を踏まえた対応等についてご説明を頂けると伺っております。したがいまして、それをお願いいたしまして、続きまして事務局から取引所のあり方について説明をして頂きます。その後、皆様方にご議論、ご審議をお願いするという形で進めさせて頂きたいと思います。

それでは、早速ですが、吉野委員からのご説明、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○吉野(貞)委員

私だけちょっと広いところに座らせて頂きまして、恐縮でございます。私にこの部会で説明の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。時間も限られておりますので、早速本題に入らさせて頂きます。

本日は、資料を2つ用意させて頂いておりまして、今、部会長からお話しがございました特別委員会報告書を踏まえた対応等についてと、その下には私どもで設置をいたしました自主規制業務のあり方に関する特別委員会報告書の全文を添付させて頂いておりますが、専ら前半の部分の要約版でご説明をさせて頂きたいと思います。

私からは大きく3つの項目についてお話を申し上げたいと思います。第1は、自主規制の意義についてでございまして、既に皆様第一部会の委員の方々はご承知のことでございますが、簡単におさらいをさせて頂こうと思っております。第2に、今申し上げました既に議論を終えております自主規制業務のあり方に関する特別委員会の報告の概要についてご説明を申し上げたいと思います。そして最後に、その報告を受けて、私ども東証がこの自主規制機能強化のための組織体制のあり方についてどう考えているか、この辺についてご説明を申し上げたいと思っております。

それでは、表紙をおめくり頂きまして1ページ目をご覧頂ければと思います。

ここには、言わずもがなことを書いてございますが、おさらい的になりますがちょっと説明をさせて頂きますと、自主規制機関による自主規制は、現場主義の要請から、市場に密着した自主規制機関が法令を補完するために市場の実態に合わせて自らルールをつくり、実効性を確認しながら、きめ細かく微調整させていくことができるという面を持っております。こうした自主規制機関による規制は、行政官庁による公的規制によってのみでは十分に期待し得ない優れた面を有しているものと認識をいたしております。

そこで、証券取引所の自主規制機能でございますが、個人投資者が証券市場に安心して参加できるためには、取引所の市場が公正で信頼できるものでなくてはならないというものがございます。そのためには、まず効率的で安定性のある取引の場を提供するという使命がございます。このことにつきましては、先般システム障害によりまして売買停止の事態を生じさせたことは、市場利用者を初めといたしまして多くの方々にご迷惑をおかけいたしまして大変申しわけなく思っているところでございますが、現在、再発防止に向けて全力で取り組んでいるところでございます。

こうした市場の提供という使命に加えましてもう一つ大事な使命がございますが、それは市場に最も近い市場開設者自身が自主規制機能を発揮いたしまして、市場の公正性、信頼性の確保を図ることでございまして、投資者が証券市場へ参加する上で不可欠な要素ということでございます。自主規制機能は、市場運営と密接不可分な市場開設者としての機能の根幹でございまして、市場についての一種の品質管理機能であると考えております。

言い方を変えますと、市場の規律を保つという、市場開設者が本来的に持っている機能に着目をいたしまして、それに法的な裏づけを与えて活用することによりまして、実効的かつ効率的な証券市場規制を実現しようというのが現在の自主規制の制度であると考えているところでございます。

次に、先般、設置をいたしまして審議を終えております東証における自主規制業務のあり方に関する特別委員会の報告の概要についてご説明を申し上げたいと思います。

この特別委員会の設置は、ご案内のとおり本年6月13日に証取法151条に基づき、私どもが金融庁に提出をいたしました報告書の中に述べておりまして、市場における内外の環境変化などを踏まえまして、東証自らが自主規制機能を的確に果たしていく上でどのような組織体制が望ましいかについて、有識者の方々に客観的かつ透明性の高い議論をして頂くために東証の取締役会の諮問機関として設置をしたものでございます。この特別委員会におきましては、いわゆる組織論の議論の前に東証の自主規制業務の現状を検証いたしまして、それに加えまして東証がこれまで以上に自主規制機能を適切に発揮をいたしまして投資者や社会一般の期待にこたえていく観点から、株式上場後も見据えつつ、今後我が国の市場規制分野において市場開設者として果たすべき役割、すなわち自主規制に係る機能論についてご審議を頂いたところでございます。そして、この機能論を踏まえまして、海外の事例なども参考にしながら社会一般から期待される機能や役割を独立的かつ実効的に発揮していくためにどのような組織形態が望ましいかについてご審議を頂いたところでございます。

次のページに移らさせて頂きまして2ページ目でございます。

特別委員会におきましては、従来から自主規制業務と呼ばれてきました取引参加者、つまり証券会社を中心とする取引参加者に対して規制的効果を及ぼす売買審査、考査に加えまして、上場会社に対して規制的効果を及ぼす上場審査、上場管理も自主規制として位置づけたわけでございます。その上で、売買審査・考査に対しましては、市場における違法行為の摘発には一定の効果を発揮しているものの東証独自の処分が少ない、多くは行政による処分の追随にとどまっているというような指摘がございました。独自処分を視野に入れた体制構築などを通じまして、ますますの機能強化を期待するということでございました。

また、上場審査・管理につきましては、上場会社の行うディスクロージャーの信頼性確保やコーポレート・ガバナンスの充実といった、新しい時代の要請に対する対応が後手に回り気味であると現状に対する批判もちょうだいをいたしました。その上に立って、つまり投資魅力の高い銘柄の提供に努めつつも、新しい時代の要請にタイムリーにこたえていくことなどを通じて、一段の機能発揮を期待するとされたところでございます。

このように貯蓄から投資へという政策課題実現のためには公正で信頼性の高い市場に対する期待が急速に高まっているということでございまして、市場規律確立のために必要な場合には、かつては法律、行政など公的規制または個々の上場会社・取引参加者などに委ねられてきた分野につきましても、公的規制と相まって東証が自主規制機関として一層の役割を積極的に果たしていくことが望まれると報告書の中ではされております。

一方で、東証も市場運営という事業を営む企業体である以上、企業体としての利害と市場開設者として確保すべき市場の公正性との間に生じ得ると考えられる利益相反問題と無縁ではいられないとされました。考えられる利益相反の内容として大別すると3つございました。取引参加者、それから上場会社、それから株主と大きく3つの分野に分かれてこの指摘が行われております。

1つ目は、取引参加者との関係でございますが、取引参加者の注文獲得に有利な規則の制定・改廃や法令違反等に対する処分・措置ということが挙げられました。それから上場会社との利益相反の問題では、上場会社の獲得に有利な規則の制定・改廃や上場廃止等の措置の問題、それから株主との利益相反の問題では、株主利益の向上を図り、あるいは特定の株主の利益を図ることを目的とした規則の制定・改廃や規則運用、さらには自主規制業務の財政的基盤を危うくする過度な配当、それから予算削減などが考えられるとされました。しかし、これらの利益相反から生じる懸念に対しては、証取法上の目的達成のための監督官庁による監督、特に大株主との利益相反から生じる懸念に対しては、証取法上の主要株主規制が有効な対策として機能することから、利益相反の弊害排除のシステムは、現状においても一応は整備されているとされたところでございます。

3ページをご覧下さい。

しかしながら、東証の自主規制業務に対します期待が急速に高まりつつある中で、上場による利益相反の拡大が懸念されている現在、東証は自ら利益相反の弊害を排除し、市場の公正性を自律的に確保するような仕組みを整備すべきであるとされたところでございます。

以上、ご説明していきました東証の機能論につきましての分析を行った上で、そうした機能を果たす上にふさわしい組織形態についての審議が行われました。自主規制業務の公正性確保のための遂行体制のあり方、すなわち望ましい東証の組織形態については、海外の上場している証券取引所の例などを参考としながら、自主規制委員会強化案、それから委員会等設置会社案、3番目に自主規制監督会社案、それから4番目に自主規制業務会社案、それから第三者機関案の5つの案に絞って検討をするということにされました。組織形態の選択におきましては、利益相反の防止に効果的な防止策がとられていて自主規制業務の独立性が高いと評価されると同時に、適切なファイアーウォールを前提としつつも、自主規制部門と市場運営部門との間における情報の共有、それから連携が容易で自主規制業務の実効性が高い組織であることが重要でございますが、この2つは二律背反的な関係を持つものでございます。

次のページに移らさせて頂きます。4ページでございます。

独立性を完全なものとしようとしますと、第三者に自主規制業務を委ねるということになりますが、その場合には自主規制のメリットでございます、すなわち市場に最も近い現場主義による機動的かつ実効性の高い規制、それから法令違反の未然の防止、それから適正なコスト配分とコスト軽減効果などの相当部分が失われることに加えまして、上場審査、上場管理業務も第三者に委ねるのであれば、東証が自立した会社と言えるか否かも疑わしいという指摘もございまして、東証が自主規制業務を行わないことになるマル5案、つまり第三者機関については不適当とされたところでございます。

また、1番目の案でございます自主規制委員会強化案につきましては、権限と責任の面で限界があるり、3番目の自主規制監督会社案は、2案にございます委員会設置会社のいわゆる自主規制委員会強化をして委員会設置会社と同等に位置づける案と1つの類型と整理することも可能であるということがございまして、2案の委員会等設置会社案と4案の自主規制業務会社案を比較検討することが適当であるとされたところでございます。

この比較でございますが、2案の委員会設置会社案と4案の自主規制業務会社案を比較検討した結果、いずれの案におきましても委員会や取締役会を特定の利害関係者などから独立した判断を下すことができる独立性の高いメンバーを中心に構成することで自主規制業務を監督する機関の独立性を確保することができることや、必要な経営資源の確保の観点では大きな差異はないとされたところでございます。一方で4案の自主規制業務会社案では、自主規制部門と市場運営部門との間の業務上必要な情報共有や連携が難しくなるなど、自主規制業務の実効性確保の面から明らかに劣るということ、そして持ち株会社設立に伴い多額の移行コストが発生すると同時に、現行証取法での実現可能性に疑問があることなどから、これらを総合すると2案であります委員会等設置会社案が優れているという結論でございました。

したがいまして、特別委員会の結論といたしましては、委員会等設置会社案の枠組みの中で、自主規制機能を従前に発揮していくための具体的な措置・工夫を講じることが適当とされたわけでございます。

また、その特別委員会の報告書の最後の部分では、東証が委員会等設置会社案を採用する場合の幾つかの留意点が示されております。これは4ページの下段のところに記載のとおりでございます。

次のページ、5ページをご覧頂ければと思います。

私ども東証では、先月25日の取締役会におきまして、この特別委員会の報告を受けまして審議を行いました。今後は、関係各方面のご理解を得ながら、この報告の内容に沿った組織改革を早期に実現できるよう必要な対応を検討することを決議いたしました。詳細なスキームは今後検討していくことになりますが、委員会等設置会社への移行による自主規制業務の公正性確保のための遂行体制につきまして、現時点におきまして検討している概略をご説明いたします。

ここでは左側に現行の組織体制、右側に委員会等設置会社に移行した後の組織体制を図示いたしております。委員会等設置会社に移行する目的は、東証がより独立的で、かつ高い実効性を維持しながら自主規制機能を発揮していくためでございますが、移行に際しましては、特別委員会の報告書において留意すべきとして掲げられた事項を考慮いたしまして、次のような方策により自主規制業務の独立性を担保してまいりたいと考えているところでございます。

まず第1に、取締役の機能として併存しておりました業務監督機能と業務執行機能を明確に分離をするということでございまして、取締役会の監督機能を強化をいたしまして、あわせて取締役会におきます独立性の高い取締役、すなわち独立取締役の比率を高め、できれば過半数といたしたいと考えているところでございます。

次に、取締役会が有する最高規制責任者、東証では、既に一昨年の金融審の議論を踏まえまして昨年の春からこの最高規制責任者というのを設置いたしておりますが、これに対する監督権限を自主規制委員会に委任をいたしまして、自主規制委員会は独立取締役で公正することによりまして監督の実効性を担保いたしたいと考えております。

取締役会は、自主規制業務の執行・決定権限を自主規制委員会の監督を受けることを条件に、最高責任者(CRO)に委任するということでございまして、これによりまして最高規制責任者の執行する自主規制業務に対しては、委員会設置会社の法定委員会でございます監査委員会と、それから自主規制委員会からの二重のチェックが働くということになりまして、公正性がより評価をされるものと考えているところでございます。

このように現行法の枠組みの中で独立性の高い自主規制委員会による自主規制業務の公正性確保のシステムを整備することによりまして、法律及び行政による監督の仕組みと相まって利益相反の弊害を一段と防止できるものと認識をいたしております。

特別委員会の審議におきましてもご指摘を頂きましたが、東証がとのような組織形態を採用するかはあくまでも手段でございまして、問題は中身でございます。今後敵対的企業買収の防衛策など、めぐる上場会社との利益相反の懸念など、自主規制業務の果たすべき役割が問われている案件が増加することが想定をされております。こうした中で、東証がこれまで以上に自主規制機能を適切に発揮をいたしまして、高い公共性に対する投資者や社会一般の期待にこたえて、利便性、公正性、信頼性の高い市場を提供していくことができるかということがこの問題の本質であり、委員会等設置会社に移行することによりまして、この問題に適切に対応することが可能になると私どもは考えているところでございます。

私からの説明は以上でございます。お時間頂きましてありがとうございました。

○神田部会長

吉野さん、どうもありがとうございました。

それでは、続きまして事務局から取引所のあり方についてのご説明をして頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○三井市場課長

それでは、資料1、取引所のあり方についてという資料、それからその次に取引所のあり方についてという関係資料の2つを並べてご覧頂ければと思います。行ったり来たりして説明することになろうかと思います。それでは、字の書いてあります「資料1」と四角で囲ってある中間整理における指摘と、こちらからご説明いたします。

この2つに分かれまして、上半分は自主規制機関としての取引所のあり方、それから下半分は投資サービス法制定、これは法律が横断化、包括化するということに伴う取引所の取引範囲がどうなるのかという論点であります。前半の自主規制機関としての取引所のあり方についての記述ですが、かいつまんで申し上げますと、3行目ですけれども、イギリスは自主規制機関がFSAに統合された。それから米国においてはこの4行目ですけれども、SECからコンセプト・リリースが公表されたと。その次ですけれども、NYSEは上場に向けて自主規制部門を独立性の高い非営利法人として切り離すとの発表を行ったということを受けまして、この日本における自主規制機関のあり方について引き続き検討を進めるべきであるということが書かれています。

それから、下の半分は投資サービス法で、その投資サービス法上の取引所というのは幅広い商品の取扱いが可能となると、利便性を高めるべきであると書かれております。

資料は、縦書きの説明資料を説明しながら行ったり来たりご説明をさせて頂きます。

次の2ページ、ご覧頂ければと思います。

論点を簡単にこのページに整理しています。後ほどその背景、事実関係等を説明しながら再度説明いたしますが、大きく分けて5つの論点を掲げています。上の4つが自主規制機関としての取引所のあり方でありまして、その3と4のところで組織形態あるいは上場との関係が論点として掲げていますが、その前提として1ですけれども、自主規制機能というのをどのように考えるのかということと、それから2つ目で、取引所は今会員組織と株式会社組織の2種類が認められていますが、自主規制機能といった場合には両方共通する議論ですが、2番目については、そのうちの株式会社をとる形態について営利性と公共性のバランスをどう考えるかということと、それから3番目は、株式会社でありますと、それについて営利性との関係でどう考えるかということを踏まえて、組織形態についてどう考えるかというものがあると。それから、4番については株式会社ですので上場ということがあり得る今法制でなっていますが、それについてさらに議論することがあるかどうかということであります。それから5番目が投資サービスの関係であります。

1枚おめくり頂きまして、3ページにまいりたいと思います。

それでは、まず1番目の論点、自主規制機能の位置づけでございます。現行法上の整理をここで最初にごく簡単に申し上げます。

現行法上、条文は割愛しますけれども、公共性、透明かつ流動性の高い取引の場を安定的に提供するということで、公正な価格形成を実現すると、こういう趣旨で、公共性が高いということから免許制、あるいは自主規制ルールの変更については行政当局の認可事項となっています。

(2)でございますが、現行法上は、法律上明確に取引所が自主規制権能を行使しなければならないということになっていまして、そういう行使することがきちんとなされることが免許の要件になっております。

参考の1ですけれども、売買等の規則の制定をしなければならないことになっていますし、その規則が次のポツですが、公正、円滑な取引と投資者保護のために十分でなければならないことが要件になっています。

それから、3番目で、自主規制規則に違反した場合の制裁の規定を持っていなければならないということであります。それから4番目として、取引上、自主規制機関として会員に対してそういうルールに対する違反があるかないかを検査、考査、調査すると、こういうことを定款で定めていなければならないことになっています。こういった自主規制関係のルールの変更についてはその行政機関の認可が要ると、こういう仕組みになっています。

参考2でございますが、アメリカの証券取引所法を拝見しますと似たような構成になっているということが見てとれます。

次のページ、4ページでございますが、参考の3、英国、これは日本とは違った歴史になっていまして、むしろそれまで自主規制機関として活動していたSIB(証券取引委員会)等の様々な組織を統合してFSAという公的な機構ができたと、こういう経緯があります。

こうした事実関係に限らないのですが、それで論点でございますけれども、取引所の自主規制機能をどのように位置づけるかということでありまして、これまでの議論をごくごく簡単に誤解を恐れずに整理しますと、前々前回ご議論もありましたように、取引所が法律上の授権を受けて、行政当局の監督のもとで、いわば行政、上から来たいわゆる自主規制という行政の一部代行的な役割を果たすという成立を有するという考え方と、それから逆に取引所が会員が自分で自治を行うと、こういう考え方から出てきた下からの自主規制と、こういう2つの考え方があって、これをどのように考えていくのかというご議論がありましたが、それに限られず一体どのように位置づけていくのかということ、これは現行法前提とせず、いかにあるべきかということからご議論頂ければと思います。

それから、2つ目のポツですが、現在取引所が行っている、自主規制と言われている業務には上場審査・管理、それから売買審査、売買取引審査、それから取引参加者への考査といったものがあるということになっていますが、その取引所の自主規制機能をいかに考えるかということとの関係で具体的にこういう業務内容をどのように位置づけていくのか、整理していくのかといったこともご議論頂ければと思います。

それから、2つ目の論点でございますが、以上は会員組織、営利組織、株式会社組織にかかわらずということでございますが、今度2つ目は株式会社形態の取引所については、平成12年の証券取引法の改正において株式会社形態が認められています。現在、証券会員制法人というと、株式会社という2つの法人形態が選択可能となっていますが、この際の金融審議会における整理を簡単に箇条書きに整理しましたものが5ページでございます。

まず、非営利の会員制組織としての取引所については、会員が同質的であって、おおむね共通の利害を有する場合には会員制組織とすることが、取引コストの低減や簡便な意思決定につながると。こういうことからその会員制組織として運営されてきたと当時整理しています。そして、その後の環境変化として、会員制の同質性が希薄化した、あるいは巨額のシステム投資の必要が出てきた、あるいは諸外国でも会員組織でない取引所が出てきたといったことを挙げた上で株式会社化のメリットとして意思決定の迅速化、資金調達、それから取引所のガバナンス向上と、そしてそういったことを全体として市場の効率性、利便性が高まっていくのではないかといったことが書かれておりました。

(2)ですが、さらに平成15年の証券取引法の改正におきまして、取引所間の提携等ができるように株主ルールを見直して、それから取引所持株会社制度といったものが導入されております。こういった中で昨今ですけれども、様々な議論を非常に単純化して整理したものですが、(3)で、株式会社としての営利性と取引所が有する公共性との関係につきまして、以下のような議論があろうかと思います。これに限られるものではございません。

1つ目のポツですが、取引所の株式会社化により、営利性を追求する局面において、公共性の高い自主規制機能を遂行する主体としての取引所と、取引所の株主や上場企業との間に利益相反の生じるおそれがあるのではないかと。それから、取引所には、自主規制機能の遂行に加えて、流動性の高い取引の場を安定的に提供するという社会使命というものがあるのではないかと。それから3番目として、その取引所が公正・透明な市場を維持して投資家の信頼を高めていくと、こういうことはその3行目ですけれども、一般企業が高品質の商品・サービスの提供を行うことによって中長期的に収益を上げていくというのと同様、営利性と公共性というのは運営の仕方によっては両立し得るものではないかと、こういうご議論があるかと思います。これに限られるものではありませんが、次の6ページ目の論点で、証券取引法改正、12年、15年の議論と、その後の状況変化、昨今の議論などを踏まえまして、株式会社化された取引所が有する営利性と取引所の持つ公共性の関係あるいはその間のバランスについてどのように考えるかという点についてご議論頂ければと思います。

それから、3番目、組織形態でございます。15年12月の金融審議会の第一部会報告では、ここで言いますと3行目ですけれども、他の業務から独立して行われるよう担保すべきであるということで、その次の行、資本関係のない別法人、それから親子・兄弟法人、それから同一組織内の別組織という3つの例を挙げまして、最後の行ですけれども、自主規制の現場の品質管理といった側面も踏まえて検討される必要があるとされております。

ということで、この3類型について、以上の2つのそもそも論を踏まえてどのように考えるか、その際でございますが、現場の品質管理といった側面を踏まえると書かれていますけれども、今度はもう一つの取引所のあり方についてという参考資料をご覧頂きたいと思います。

様々な取引所があるということなのですが、1ページから4ページは細かい条文等ですので飛ばして頂きます。5ページは、今ご説明申し上げたことを簡単に整理していまして、これも割愛させて頂きます。

6ページ、それからその次のページの7ページをご覧頂ければと思います。証券取引所の概要ということで、現在東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、ジャスダックという6つの取引所を表の形でまとめたものがございます。個々の内容の説明は時間の関係で割愛させて頂きますけれども、東京一番左、それから例えば福岡、札幌の欄をご覧頂きますと、例えば上場会社数であるとか、あるいは下から2つの取引高や売買金額などをご覧頂きますとかなり差があります。地域との関係の問題もあります。

ということで、また最初の縦長の文章の紙に戻りますが、取引所を取り巻く環境や市場の開設者が非常に各取引所によって異なるという点、それからもう一つは、市場の開設者が自らの市場をどうデザインしていくかということが当然民間の組織として存在するということからそういうものが各取引所によって異なり得るかもしれないということが例えば考えられるわけでございますけれども、こうしたことと制度設計についてどのようにしていくことになろうかということが第1点、それから後が第2点、それから「また」以下ですけれども、これらの3つの類型は方形式上の組織形態によって分類したものであります。法人格とか法人とかなのですが、それぞれについて具体的な制度設計や運営の仕方によって、現実的な機能の発揮のされ方が異なり得るということに当然なると思いますので、この3つの類型の議論をするに当たっては、ここは例えばということで考慮すべき具体的な制度設計や運営についての試みの案、たたき台でございますけれども、こういった項目についてもあわせご議論頂いてはどうかということでございます。

その3つのうちの一つが「例えば」ということですが、同一法人内の別組織ということで、例えば委員会などを同一法人の中に置くといった場合には、その構成員の独立性や任免の方法、あるいはその権限、例えば自主規制機能一般に対する監督権とか、あるいはもっと包括的な規則制定権であるとか、あるいは一般的な監督、日常的な自主規制業務の執行とか、様々なレベルの権限があり得るわけですけれども、どのようなレベル、内容の権限にするのかどうか、あるいは取締役会との関係をどのように位置づけるのか。あるいは2つ目の○ですけれども、自主規制業務の執行部門について、例えば委員会等設置会社におけるCEO(執行役)に相当する担当役員(CRO)の設置を義務づけるのか否かどうか、あるいは仮に義務づけた場合にCROにいかなる権限を付与するのかどうかと。それから次のページ、7ページでございますけれども、市場運営部門と規制部門との間の情報交換についてファイアーウォールを設ける必要があるのではないか、あるいはその以外の論点もあるかもしれません。

それから、2つ目の類型として、親子・兄弟法人に自主規制業務を行うという別組織、別法人格の組織を置くとした場合でございますけれども、現行の証取法は最初に説明しましたように、これは非常に形式的な話ですが市場の開設という観念が、取引所の開設者が様々な業務を行うということになっていますので、自主規制機能と他の市場運営業務というのが一体として1人の法人格者が遂行するという条文になっていますけれども、これを別法人でできるようにするということは、これはテクニカルなことですので、まず分けてできると法律上書く必要があるのではないかということであります。

自主的なことは2つ目の○以下でございますけれども、そうしますと市場開設機能を複数の法人格で分担して、例えばグループ形態も一定ではない複数のグループ形態があり得るという場合には、それぞれの業務についてその権限、責任の所在を法律上整理していくという必要があります。したがいまして、それに対してまた行政上の免許あるいは認可といったものもその役割、権限分担との関係で整理していく必要があると思いますので、それについてどのように整理していくのがよろしいかというのが2つ目の○であります。

3番目ですが、その自主規制機能を担う法人、例えばこれを自主規制法人と位置づけた場合に、先ほどは法人間の関係の整理でございますが、具体的に自主規制法人にいかなる権限、深さ、レベル、あるいは範囲、内容を与えるのか、あるいはそれとそれ以外の運営部門との間の関係ですね、その監督関係にあるのかどうかとか、こういった関係の整理が必要だと思います。

それから、4つ目ですが、自主規制法人の財政基盤や人材をどのように確保していくのかということについてもご議論頂ければと。

それから、グループ内ですので、人事交流、情報交換というのが通常の企業ですと行われていますけれども、これについてファイアーウォールを設ける必要があるかどうか、あるいは設けるとした場合にどのような整理の仕方をするのかどうか。

それから、最後でございます。資本関係のない別法人が自主規制業務を行うという場合には、その法人格は別であるということからすると、仮に法制上の整理をする場合には以上の、先ほどの真ん中のものと同じような論点があることに加えまして、この場合はほかの最初の2つに比べて質的にも独立性が非常に強いものになるということがありますけれども、片や市場機能と他の市場運営機能の統合する仕組みが自動的には出てきませんので、どのような仕組みで統合するということを考えるべきかどうかといったことがあろうかと思います。

それから、4つ目の論点でございます。これは取引所が上場する場合について、株式会社形態に限った話でございます。現在の証取法でございますけれども、有価証券の上場に関しましては、原則として届出制、取引所が認めたものを役所に届け出るという仕組みになっていますが、取引所が自らの市場に上場するという場合には、自らの上場適格の審査を自らが行うことになりますので、その審査の公正性・中立性を確保する観点から行政当局の承認が必要であるという仕組みになっております。

ということで論点でございますけれども、取引所の上場につきましては、上の2つはメリットとして資金調達と、それからガバナンスということが掲げられていますが、3つ目はマイナス点として、利害関係者が増える、特に株価を意識した経営をするということでより一層営利性を追求することになるということから、自主規制機能と利益相反のおそれがより高まるといった懸念が示されておりますが、その取引所の上場に際しての行政庁の関与について現行の方法があるとして、それをどう維持することに限らず、変えることも含めてどのよように考えていくのかということであります。

(2)ですが、取引所の株主の地位が一部の者に集中することについて、現行法上は主要株主規制が置かれております。1つ目のポツで50%を超える議決権というのは、原則持てないということになっています。例外は取引所間でグループを形成する場合ですが、2つ目が20%以上50%以下の議決権保有する場合には、行政当局の事前認可が必要な仕組みになっています。

マル2取引所について、世界的な再編が進む中で、取引所の自主規制機能と特定の株主との利益相反の可能性についても意識されるということになっていまして、例えばアメリカのニューヨーク証券取引所が持株会社を上場したいということで、いろいろな組織再編も含めた提案をしておりますが、その中に特定の株主に議決権を集中させないような方策の導入が検討されております。そういったことから、外国では株式の集中に制限を加えようとする動きが見られておるということでございます。

そこで、先ほどの資料集の方の資料の1-5をご覧頂きたいと存じます。8ページでございます。

横長の絵でございまして、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の組織改革案というものであります。一番上にNYSE Group Incというのがあって、その下にNYSE、ニューヨーク州のリミッティッド・ライアビリティー・カンパニーでありまして、その下に右左で、左側に市場運営会社、それから右側に自主規制会社というのをぶら下げると、こういうものでありまして、証券取引所としてSEC、行政機関に登録するのは真ん中のNYSEのLLCであるということであります。上場するのは一番上の営利・公開株式会社と書いてあるNYSE Group Incでございまして、この株をニューヨークに上場すると、そしてこのNYSE Group Incの定款において10%を超える議決権の行使はできないということを定めると、これはデラウェア会社法に基づく会社として考えているようでありまして、このような議決権制限株式というのが会社法上合法的にできると聞いております。

それから、一番下の右下にある自主規制会社ですけれども、これはアメリカの法制度のもとで、ニューヨーク州の会社法に基づいて、会社法というか司法条の非営利法人という位置づけでつくると聞いております。

それから、この際ご説明いたします。資料1-6、これは今の論点と直接関係するわけではありませんが、ロンドンにつきまして、これはそもそもの自主規制のあり方と、それから自主規制権能の内容という最初の論点、1番目の論点に関係する資料でございますが、ぜひちょっとここであわせて説明させて頂きます。

金融サービス機構(FSA)という準役所でございますが、ここから右の監督という左にもう一つ黒い太い線が下に向いていますが、その左に点々で囲まれた四角の中にマル1とあります。一般企業のLSE、ロンドン証券取引所の略ですが、への上場について、新規上場の承認・審査、それから上場管理、こういったことが書いていますが、一言で言いますと、役所であるFSAが上場申請をしてきた企業について上場適格があるかどうかという、そういう上場審査を役所が行って、それで承認されたもの、それが一種の上場候補者になりまして、そこからロンドン証券取引所株式会社ですけれども、その上場したいというものをピックアップして上場していくということになります。

それから、次のページで資料1-7、これはむしろ先ほどの3番目の論点で別会社にした場合の収益というか、財政基盤をどのように考えていくのかという非常に細かな制度的な論点の中の一つに参考資料として掲げていますが、右側のNYSEの円グラフをご覧頂きたいと思います。真ん中の矢印、上向きの矢印の上に※が書いてあって、規制関係(Regulatory Fees)113.3、これは100万ドルの単位になりますので1億1,133万ドルになるのですが、330万になるのですけれども、この規制関係でFeesというのが、下にありますように会員規制料、それから市場監視料、その他と、マル1マル2マル3から構成されています。そして、会員規制料というのはニューヨーク証券取引所の会員証券会社の収入に対して一定割合を課金していると。それからマル2の市場監視料というのは、スペシャリスト、非スペシャリストという会員の頭数に応じて課金していると。その他という人は、例えば申請手数料があったりと言われています。

それから、いわゆる制裁金というのはその他の収入、投資及びその他というところに入っているということでありまして、こういったものが規制関係の財政的な基盤になっているということであります。

それから、11ページも簡単にご説明させて頂きますが、これは先ほどの主要株主ルールを簡単に整理したものです。5%を超えたところで届け出をしまして20%以上になったときに事前承認を受けるという場合の認可基準がここにありますように、取引所の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないことということと、それから2つ目が公共性に理解と、それから3番目が社会的信用ということであります。50%超の場合の保有禁止というものであります。

それから、12ページ、これは最後のページでございますが、海外の取引所の主要株主規制、これは一つ一つの説明は省略させて頂きます。以前もお出ししたことがある資料でございますが、アメリカの欄の(注)が以前に出した資料では書かれておりませんでした。その定款で書くことができるという点でございます。

もとの資料に戻って頂きまして、9ページ、投資サービス法との関係ですと、対象範囲ですが読ませて頂きます。投資サービス法に改組されることに合わせて、取引所における取引の対象範囲を見直す必要はないか。その際、現行法上、有価証券の上場が届出制である一方で、デリバティブ取引については承認制となっており、両者が混在していることについてどう考えるかと。以上でございます。

重ねてでございますが、会場が狭いことをおわび申し上げます。

それからもう一つ、スピーカーの調子、マイクの調子が悪うございまして、音量は最大になっておるのですが聞き取りにくいという苦情が寄せられていますので、ご発言の際、大変恐縮ですが、マイクにお近づきになってご発言頂ければと思います。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

マイクに近づいて頂くか、マイクを近づけて頂くか、私も気をつけたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

事務局からは大きく5つに論点を整理してのご説明を頂きました。吉野委員からのご説明、それから事務局からの説明、いずれについてもというか、両者あわせまして皆様方からご質問、ご意見をお出し頂きたいと思います。どなたからでも、またどの点についてでも結構です。よろしくお願いいたします。

田中委員、どうぞ。

○田中(浩)委員

いろいろな論点がまとめられているのですが、1つ私の方から論点というか、1つの考え方ということで、できれば追加して頂きたいと思う点があります。

それは、各取引所間の自主規制機能の連携についてというようなことなのですが、この資料にございましたように、今日本国内には証券取引所が6つございます。本日東京証券取引所の方の考え方を説明して頂いたわけですが、それ以外にも取引所は5つ存在します。証券市場の実態を踏まえますと、大阪証券取引所、ジャスダック証券取引所はかなり大きなウエートがあるかと思います。先ほどのご説明で自主規制機能の実際の業務は何かといった場合、この用意して頂きました資料、4ページ目の真ん中よりちょっと下のところで3つの業務が書かれているわけなのですが、上場審査・管理、それから売買審査、取引参加者への考査、この点に関して、例えば98年の証取法改正以降、取引所間競争と言われているわけですが、この各取引所の自主規制機能の考え方、規制の仕方にばらつきがありますと、この上場審査のところで、先ほどの利益相反のところでこのバーを下げてしまって本来市場に出すのは不適当だと思われるような企業が出てしまうというおそれも出てきます。このあたり、この各取引所間での審査体制、管理体制のばらつきというのはない方が望ましいと思います。

それから、2番目の売買審査をやる場合におきましても、作為的相場形成の防止という観点から考えた場合、重複上場しているケースを考えると取引所間だけでの、自分の取引所だけ見ていればそれで管理できるかというとそうではないと思います。取引所間での協力が必要であるということと、それから3番目の業務の取引参加者への考査、これは基本、この取引参加者というのは各取引所で大体重複しておりますので、効率性の観点からいってもそれぞれの取引所が個別に行うという必要もないだろうと思います。そう考えますと、冒頭申し上げましたように各取引所間での自主規制の連携のあり方という観点も検討する必要があるのではないかなと思いました。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

根本委員、どうぞ。

○根本委員

吉野委員に1つご質問したいのですけれども、委員会設置会社の移行による自主規制業務の独立性強化というところなのですが、この仕組みによるとかなり独立性は強化されると思うのですが、委員会設置会社のある意味抱える限界というのか、現在の十分でないところということも一つの制約要因になるかとも思われるのですが、例えば指名委員会とか、あるいはダブルチェックする監査委員会とか、こうした委員会が完全に本当の真の意味で独立した取締役で構成されるのかというところとか、あとどういう方が自主規制委員会のメンバーになられるのか、社外の方が監査とか審査とかの社内の方に匹敵するほどの十分な知識とか経験をお持ちになるのか、そのあたりの実効性ということをちょっとお伺いしたいのですが。

○吉野(貞)委員

それでは、私からお答えいたします。

今ご指摘のところはもっともでございまして、器はつくっても中身をどう構成するかによって随分その中身は変わってくるよと、こういうご指摘だろうと思います。特別委員会でもまさにそういうところが議論になったわけでございまして、特に私どもでは今のガバナンスでも取締役が12人おるのですが、そのうち7人の方が社外ということでかなり先端を行っていると考えております。委員会設置会社の場合は、社外の取締役を見つけることに非常に苦労しているのというのが現実の姿であるようでございますが、東証では、社外を既に過半数にしているということです。その中で社外という概念ではなく、利益相反の問題を考えますと、独立した取締役で構成していこうという考え方を持っております。それで、次のテーマはどういう人がいるのですかということでございますが、まさにこれが大きな課題でございまして、具体的なイメージが全部でき上がっているわけではございませんが、、今のところそういう独立した、どこにも利益、利害を有さないような独立取締役の方をいかに構成していくかというのが大事なポイントだという報告書の指摘を踏まえまして我々がこれから考えていかなければならないという認識をいたしているところだということございます。よろしゅうございますか。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、翁委員、お願いします。

○翁委員

今の点に関連して、根本委員のご質問とも関連しますが、そうすると独立取締役というような位置づけで中立的な人を探してこようとすると、かえって専門性というか、市場の機能、様々に専門的になってきていますけれども、そういったことに対してどういう判断ができるのかという点が懸念されるのと、あともう一つは、この論点の最初のところにございますけれども、そもそも自主規制機能につきまして行政の一部代行的な役割を果たすという性質を有するという考え方と、それからもう一つ、取引参加者による自治を発現する性質のものであるという考え方と2通りあると思うのですけれども、こういった点については、この特別委員会でどういった議論が行われてこういった組織が適当であるという判断になったのかという点をちょっと教え頂きたいと思います。

○神田部会長

これも吉野委員、よろしくお願いします。

○吉野(貞)委員

2つ今ご質問がございまして、1点目は専門性について、取締役で専門性ある方がいらっしゃらない、どうなるのだというご指摘だろうと思うのですが、実はおっしゃるとおり、専門性と両面備えている方がどのぐらいいらっしゃるかというのはなかなか難しい部分があると思うのですが、委員会の構成の中には、我々は実務の点で専門性をお持ちの方を例えばオブザーバーとか、そういう形で参画を頂くことを考えております。委員会設置会社として委員の構成は当然取締役でなければならないという話でございますが、それだけではカバーし得ない場合についてはオブザーバー参加もあり得るということで考えております。

それから、2番目の、行政の一部代行的な部分と、それから自然発生的にできた規律との議論でございますが、これは実は正直申し上げて二面的な側面を東証の場合は持っておりまして、一番始めは歴史的に見ますと自然発生的に自分たちのルールをどうやってつくるかということから始まって自主規制ルールができ上がってきて、それがだんだんマーケットの大きさと社会的影響の大きさからそれが法的な規制の一部を代行するという形に変質している部分もあるということでございまして、恐らくこれは両面あるということだろうと私は認識をいたしております。

以上ですが、よろしゅうございますでしょうか、翁委員。

○神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。難問で、しかし非常に重要な点だと思いますけれども。ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、島崎委員。

○島崎委員

吉野委員のお話頂いた点で質問と、それからもう一つ一般的な話なのですけれども、今吉野委員の5ページの図を見ていますけれども、基本的に私こういう形かと思いますが、やはりお2人今ご質問ありましたように、この組織、仕組みの基本は自主規制委員会というのがどれだけ実際に機能するかということだろうと思います。私ちょっとご質問は、この自主規制委員会の独立取締役というのが常勤なのか、非常勤なのか、これは恐らく非常勤を考えておられるのではないのかなと、ちょっとその辺のところと、それからいろいろ管理・監督をするという場合に、専任のスタッフとかそういう人をきちっと常設するのか、それからそういうことをしなければなかなか日々の自主規制について管理・監督を実際やっていくということは、絵でかけばそのとおりだけれども実際には難しいのかなという感じが一つするわけで、そこのところを一つお願いしたいと思います。

それからもう一つこれ、ちょっと話変わりますが上場の話になりますけれども、上場のメリットをいろいろここに、先ほど説明、三井課長から話あった8ページ目のところです。取引所の上場についてと、この5ページの吉野委員の組織運営の形態というのは、この上場ということを頭に置いている話なのかどうかということをちょっとご質問したいのと、その場合に、取引所が上場した場合に資金調達方法の多様化・円滑化、取引所のガバナンスの向上、一方我々が懸念するのは利害関係が多様化してくる、いろいろ第三者の一般の人が入ってくるというようなことは一つ利用者としては懸念されるわけですが、このまず取引所のガバナンスというのは上場しなければ向上しないのかどうか、私はちょっとそこはおかしいのではないかということが一つ。それから資金の調達方法の多様化・円滑化、いろいろ非上場でも資金の調達というのはいろいろな多用な方法があると思うのです。これはどういうことを考えて、東証は考えているのかもしれませんが、事務局のメモなのでどうなのか、実際私も企業経営していて必ずしも上場することがこういうことにつながってくるかどうかということはいささか疑問があるのでご質問しているのですけれども、お願いします。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、吉野委員からお答えできるところをお答え頂いて、あとは事務局から。

○吉野(貞)委員

島崎委員の私に対するご質問は3つだったと思いますが、委員は常勤かどうかということでございますが、勤務上形態がどのようになるかということまですべて想定をしておりませんが、ただ、今まで私どもでは委員会というのを幾つか持っております。取締役会の諮問委員会として市場運営委員会ですとか、当然今も自主規制委員会という公益的な方を過半数委員としてお迎えして運営しておりますが、この頻度というのは今は正直申し上げてあまり回数が多くないというところがございますが、これからは、相当頻度を高くしていかなければならないだろうと考えております。したがって、その勤務形態が月1回来ればいいのかどうかということになるとそうはならないだろうと、案件によってはいろいろ議論しなければならないという場面も出てこようかということでございまして、ただそれが常勤か、非常勤かと、どちらの形態に当てはまるかということはちょっとはっきり申し上げられないところがあるということであります。ただ、今委員会の開催頻度よりはるかに多くなる頻度であろうと想定をいたしております。

それから、事務局はどうかとというのが、2番目のご質問だったと思いますが、これは事務局を置かないととても機能しないだろうと思います。何も手足を持たない中で、これは委員会だと言ってもそれはなかなか機能しにくいということもございます。これは特別委員会の中でも同様のご指摘がございました。適切な事務局体制を講じることが必要であるというご指摘も頂いておりまして、そういった面ではそういうものを対応していく必要があると認識をいたしております。

それから、この組織形態で上場というものを考えているのかどうかというご指摘が3番目にご質問であったと思いますが、当然先ほどご説明した中で、上場後も見据えつつ組織形態のあり方を検討して頂いたということでございまして、当然ながら上場後も考えた末での委員会設置会社への移行を考えているということでございます。

私に対するご質問は以上だったと思いますが、よろしゅうございますか。

○神田部会長

ありがとうございます。

三井課長、特にありますでしょうか。特段ないですか。特に事務局の方はいいということです。伝統的には、やはり上場というのは資金調達が圧倒的にやはり手段も多様化しますし、容易になるということなのですけれども、昨今は環境変化が激しいものですから、上場しなくてもおっしゃるように資金調達の手段が多様化していますので、資金調達という目的だけのために上場するかどうかというのはかつてに比べると環境が激変しているということなのではないでしょうか。

○島崎委員

すみません、このガバナンスの向上というのは上場ということと関連してくるのでしょうか。私は必ずしもそうじゃないのではないかなと思って質問したのですが、それはいかがでしょうか。

○神田部会長

どうぞ。

○吉野(貞)委員

私ども経営計画の中でこの上場というものを目指す目的をいろいろ掲げてありますが、ガバナンスの向上というのを私どももその一つとして挙げております。それは、私どもの取引所の使命というのは極めて公共性の高い使命を担っているということで、株主の面からも様々な方から注視される、そういうところに身を置くことがいわゆるガバナンスの向上に資するのではなかろうかという面もあるということでガバナンスの向上という項目を掲げているという経緯がございます。

○神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございました。

それでは、ほかの委員の方、黒沼委員、どうぞ。

○黒沼委員

取引所の上場に伴う問題について、事務局がご用意されたペーパーに挙げられている論点についての問題なのですが、取引所の上場について、私は平成12年の改正で株式会社形態の取引所が認められたときにある程度予想していた、想定していた問題ではないかと思います。その当時は5%超の株式保有を禁止するという方策がとられたわけです。ところがその後、取引所ワーキングの審議を通じてこの5%超の株式保有禁止を外して、それにかえて主要株主ルールを入れたわけであります。その理由としては市場による規律をきかせる、市場によるコントロールをきかせる方がむしろガバナンスは向上するのだという議論がなされておりました。私は、その当時ちょっと朝令暮改ではないかと思っていたのですが、いろいろと事情を聞くと5%超の禁止を入れた当時の海外のルールがその当時、例えばロンドン証券取引所などで撤廃しているという事情もあって、それも参考にしたのだと聞いて納得したわけであります。

今回、さて上場するかということに当たって、さらにまた海外の状況を見て、ニューヨーク証券取引所では10%を超える議決権の行使ができないようにするようだ、それを参考にして考えてはどうかというご示唆だと思いますが、私は余りにも政策が変転し過ぎるのではないかと思っております。やはりこれについてきちんと考え方を定めて当たるべきであって、海外の情勢が少し変わってきたからまたルールを変えようというのはおかしいのではないかというのが1つ。

もう一つは、そうはいっても上場に当たって取引所の公共性にかんがみて議決権に制限を加えるのではあれば、これは定款によってそれを達成するのではなくて、法律によって決めるべきではないかと思います。それは、現在取引所のルールの中でも上場会社に黄金株の発行を認めるとか、黄金株を発行している会社の普通株の上場を認めるかということがまさに問題となっていて、取引所が自主ルールの劣化についてどう対応するかが問われているときに、取引所自身は自ら定款で議決権の制限を設けて企業買収の脅威にさらされないようなルールを設けておくというのはいかにもおかしいのであって、もしそういう制度を前提とした上で議論がなされるとすると、かえって取引所の自主ルールに対する機能を阻害するのではないかと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

なかなか難しい問題が多いとは思いますけれども、一部会では一度、二度と審議はしてきたところですけれども、現状を踏まえてまた今回も必要なことはするという方向での検討を引き続き行わせて頂きたいと思います。

1点だけ私から確認させて頂きたいのは論点の5ですね、投資サービス法制定関連では、言うまでもないのですけれども、この取引所はそこで取引の対象範囲というか、要するに上場の対象になる商品というものは当然広がるという頭で考えておりますので、先ほどの三井課長からのご説明の論点の中には、最後届出制のものや承認制のものやというのがありましたけれども、デリバティブの場合はもともと先物というのはコントラクトとして内容そのものを承認してから上場するというやり方です。そこで、デリバティブとそうでないものが、そういう点での違いがあるというのは私などはいいと思うのですが、つまりデリバティブは何も定義せずに商品はないので、商品性を決めて初めて商品になるわけですから、上場の対象になる場合ですけれども、いずれにしても投資サービス法で商品が広がりますので、それに対して当然のことですけれども取引所の取引の対象になると、上場の対象になるということでございますので、もしご意見があれば伺いますけれども、特に問題はないと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

どうもありがとうございました。それでは、今日頂きましたご意見を踏まえてさらに先に進ませて頂きたいと思います。

それでは、今日2つ目のテーマに移らせて頂きます。ディスクロージャー制度についてであります。これにつきましてもまず事務局からのご説明をお願いします。池田さん、お願いします。

○池田企業開示課長

企業開示課長の池田でございます。

お手元に資料2としてディスクロージャー制度という資料と、それから多少厚めな関係資料という2つをお配りしておりますが、資料の方は適宜ご参照頂くといたしまして、主としてこの資料2に沿いましてポイントをご説明させて頂きたいと思います。

まず、ディスクロージャー制度の問題につきましては、当第一部会の夏の中間整理の際には、例えば四半期報告制度のあり方ですとか、財務報告に係る内部統制の整備のあり方ですとか、あるいは公開買付制度等のあり方についても検討課題として掲げられておりました。これらについては現在企業会計審議会ですとか、あるいは当部会のもとに置かれております公開買付制度等ワーキング・グループなどの方で鋭意関連の検討審議が行われているところでございまして、これらについてはまた改めてご審議頂くことがあろうかと思います。

本日は、論点整理の中で掲げられていた論点の中で、特にこの冒頭に書いてございます投資商品の性格に応じたディスクロージャーのあり方ということで、特に投資サービス法制との関連ということでは関連性が特に強いものであると考えておりますので、この問題を取り上げてご議論を頂きたいと考えているところでございます。

冒頭、この問題についての中間整理に書かれている指摘を掲げてございますが、投資商品の性格に応じたディスクロージャーのあり方について、この夏までディスクロージャー・ワーキング・グループというところで審議が行われておりましたけれども、その報告に沿ってさらに詳細な検討を進めるべきだということとされておりました。

以下資料は、このディスクロージャー・ワーキング・グループ報告の関連の要旨と、それに関連する論点をその後に並べるという形で整理をさせて頂いております。

ディスクロージャー・ワーキング・グループの報告の基本的な考え方、発想は、投資サービス法制のもとで法律の対象になってくる投資商品が非常に包括的、多様になってくる。そうした状況の中で投資商品、規制の対象になる投資商品が様々な性格のものが入ってくるというときに、そうした投資商品の性格に応じてディスクロージャーのあり方を考えていくという、従来に比べますと柔軟化した開示制度の枠組みを考えていく必要があるのではないかということでございます。

その関連でまず1番目として、有価証券の性質に着目した開示制度ということでございまして、ディスクロージャー・ワーキング・グループの報告では、従来有価証券として伝統的に存在しています株券とか社債券といいましたいわゆる企業金融型証券、これに対して最近拡大を見せておりますファンド、あるいはABSといったような資産金融型商品というものはかなり性格を異にするということで、この2つの分類ごとに開示規制の整備を検討していくべきではないかということでございます。

それで、その中で、特に企業金融型証券との比較において、資産金融型証券については、開示内容としては資産内容に関する情報や運用者・運用サービスの内容に関する情報をよりきめ細かく提供させていくという考えを示すと同時に、一方、開示の手続については、より柔軟な手続の活用について検討していくことが適切ではないかという問題意識が提示されております。

以下論点ですが、まず有価証券を性質に応じて企業金融型証券と資産金融型証券に分類して、その分類ごとに開示規制を整備していくということについてどう考えるか。その際、企業金融型証券との比較において、資産金融型証券の開示規制の整備についてはどんな点に留意する必要があるか。マル1で開示情報としての内容として充実させていくべきものがあるか。他方、2ページ目のマル2で掲げてございますように、例えば米国などを見ますと、ABSなどについては、法定されている四半期報告の提出にかえて、例えば配当時(月次)に受託銀行が作成しているサービシング、あるいは分配に関するレポートをこうしたものにかえて提出するということで代替の手続を認めているという例がありまして、こうしたより柔軟な手続を活用するということについてどう考えるかという論点があろうかと思います。

それから、2番目に、今度は有価証券の流動性に着目した開示制度ということでございます。ワーキング・グループ報告の要旨の1番目のポツを見て頂きますと、有価証券は流動性に注目しますと、1つは証券取引所に上場されて流動性が極めて高い流通市場を持つ有価証券というものがございます。それから上場はされていない、したがって流動性の高い流通市場というものが必ずしも存在していない有価証券というものがあると思います。

さらに、とりわけ最近増えているいろいろな各種のファンドのようなものの中には、その商品性、あるいは契約の内容等によって譲渡性というものがそもそも制限されているというようなことで流通の可能性自体が相当に乏しい、そうした有価証券というものも存在をしていますし、今後投資サービス法制が包括的な規制をしていく場合にはこういったところが従来以上に増えてくる可能性があるだろうという認識をしているわけです。

そうした中で下の方の論点を見て頂きますと、まず有価証券の中でも上場有価証券など流通性の高いものについては、より頻繁にかつ密度の濃い投資情報の提供が求められるのではないか。これは冒頭申し上げました四半期開示の問題ですとか、財務報告に係る内部統制の整備の問題もこうした性格に着眼している部分もあるのだろうと思います。

それから、論点の2としまして、一方で非上場の有価証券、これも有価証券を公募という形で発行しておりますと、その後、継続開示義務、有価証券報告書の提出が義務づけられるわけですけれども、過去に一度有価証券を公募により発行したとしても、その後時間が経過し、有価証券の所有者数が減少していって流通性が乏しくなってきているという場合にも継続開示義務が残り、それが発行者に過度の負担となっているケースがあるという指摘があるところでございまして、こうした場合の継続開示義務の免除要件の範囲の拡大についてどう考えていくか。

下に現行制度の例を書いてございますが、例えば参考の方のマル1で申しますと、有価証券を50人以上に公募という形で発行しますと開示義務が発生しますが、その後、その有価証券の所有者が25名未満になるまではずっと継続開示義務が発生してくる、この辺の要件が厳しいのではないかという指摘が従来あるところでございます。

それから、論点の3は、先ほどご説明しました流通性がもともとかなり制限されているという類の有価証券についての問題でございますが、現在の開示制度は有価証券を公募した場合には有価証券届出書という書類を提出し、投資家には目論見書という書類を与えると。それから、その後定期的に有価証券報告書あるいは半期報告書といった開示を行うと。これらの開示書類は私どもの方で公衆縦覧をしているということになります。いわゆる公衆縦覧型の開示制度がとられているわけですが、これは基本的には有価証券に流通性があって、かつ所有者が多数に及ぶということで投資者に広く投資機会が存在して、そのことを考えたときに誰でも投資情報をすぐに入手できる、公衆縦覧という形で入手できるということが有価証券の円滑な流通に資すると、そうした考え方に立っているのだろうと考えますが、そもそも流通性が乏しい有価証券で所有者数もある範囲に限られていて、かつその相手が特定できるというような場合には、こういう公衆縦覧を行う必要性は総体的には乏しくて、むしろ相手がわかっているならばその人に直接定期的に情報を提供する方が開示が徹底できるのではないかと考えられるところでございまして、こういうむしろ公衆縦覧型開示よりも直接開示型の開示の方が適しているのではないかという指摘があるところでございまして、こうしたことをどう考えるかということ。

それから、この関連では開示制度の主たる目的とは離れてくるわけですけれども、こうした取扱いをすることが結果としてこのファンド等の行動を見えにくくする、公衆縦覧はないということで、見にくくするという結果を招くという議論があり得ようかと思いますが、こうした点についてどう考えるかといった論点があると思います。

それから、3番目は、開示規制の柔軟化に向けた一般ルールの整備ということで、従来必ずしも証券取引法上明確な規定が存在していたものでもないのですが、実務上の不都合を解消するために解釈上、あるいは実務上対応してきた運用がございます。

例として4ページ目の冒頭に書いてございますが、会社の役員、従業員等に対してストックオプションを付与するような場合、あるいは会社を発起人設立をする場合の発起人に対する情報提供の場合、あるいは従業員持株会で株を持つという場合の取扱い、こうした場合には一定の要件のもとに開示規制の免除を解釈上、実務上行ってまいったわけですが、こうした点について、投資情報を有価証券を取得しようとする投資者が既に入手している、あるいは容易に入手することが可能であるという場合で一定の要件を満たすようなときには開示規制の対象から除くといった枠組みの整備をしておく必要があるのではないかという問題意識でございます。

それから、4がプロ・アマ規制の関連で、現在の開示制度に存在しておりますいわゆる適格機関投資家の範囲の拡大の問題でございます。現在適格機関投資家、いわゆるプロ、開示上のプロということではこの四角の枠の中でございますが、有価証券に対する投資に関する専門的知識、経験を有する者ということでここに4つ掲げてございますが、金融機関あるいは投資信託委託業者等、それから資本金5億円以上のベンチャーキャピタルで届け出を行って頂いた方、それから事業会社については有価証券報告書を提出頂いている事業会社で、保有有価証券が100億円以上であるといった方で届け出を頂いた事業会社の方を適格機関投資家として指定をしているところでございますが、この適格機関投資家の範囲の拡大についてどう考えるかということでございます。

それから、この拡大との関連で、こういうプロに売る場合に開示義務を免除する条件として転売制限というものが設けられておりますが、この柔軟化についてどう考えるか、他方適格機関投資家の範囲を拡大させていくとしますと、むしろ転売規制の厳格化が必要な部分もあるのではないかと考えますが、こういった点についてどう考えるかといった論点があろうかと思います。

それから、5のところでございますが、発行者概念についてという、やや制度の考え方の整理の問題ということかとは思いますが、開示規制の中では発行者という概念が非常に大事な概念で、なぜなら開示義務というのは基本的にこの有価証券の発行者に課されるということでございまして、この発行者を誰ととらえるかで開示義務の主体が決まってくるということがございます。それで、伝統的な株とか社債とか、こういった有価証券については誰が発行者かというのは自明なわけですが、最近登場していますいろいろなファンドですとかABSとか、こうしたものになってくるとだんだん誰が発行者だかわからなくなってくる。かつ、今後かなり包括的に投資商品というものが定義されたときにいろいろなものが発生した時に、どれを、どの方を発行者ととらえるかという一般的な考え方を整理しておく必要があるのではないか。この点についてディスクロージャー・ワーキング・グループでは、開示に必要な情報を確実に入手して提供できる者というものを発行者として定義し、開示義務を負わすということを基本に考えていくべきではないかということが示されております。

6ページで、基本的には現在もそういう考えを基本に、ただこれは個々に有価証券ごとに指定をしているわけですけれども、これを一つの一般的な考え方として整理していくということについてどう考えるかということかと思います。

下にちょっと例として掲げてありますが、例えばADR、いわゆる預託証券、アメリカでいうADRのようなものですが、こうしたものはADRの発行ということ自体が問題になるわけではないので、その裏づけになっている有価証券、この株の発行者という方が一番投資情報はわかっているわけで、その方を発行者としてとらえておりますし、投資信託の場合も基本的には委託者の方を発行者としてとらえているわけですが、ただ、下のマル3にあるように特定目的信託の受益証券ということになってきますと、委託者だけではなかなか十分な情報がわからないということで、このようなものについては原委託者と受託者と両方を開示義務者として発行者としてとらえているということでございます。

それから、6は証券取引法以外のいろいろな業法で開示規制が定められています。それとの整理の関係でございます。ディスクロージャー・ワーキング・グループの報告では、投資サービス法制と証券取引法以外の業法の関係がどのように整理されていくのかを踏まえて、他の開示規制との整理・統合についても検討していく必要があるとされておりますけれども、この辺についてどう考えていくかということがあろうかと思います。

それから、最後にその他として掲げておりますが、ディスクロージャー・ワーキング・グループでは、例えば有価証券の取引形態が多様になってきているという現在の状況を踏まえて、募集・売出しという概念についても再整理を検討していく必要があるのではないかという指摘がございました。

具体的な例として論点1のところに書いておりますが、今、有価証券の売出しというのは証券取引法上は、2行目にありますように均一の条件で50名以上のものを相手方として有価証券を売り付けるという行為があります。この均一の条件でという要件が入っておりまして、これの解釈から例えば取引所有価証券市場における売買については、この均一の条件に該当しないという解釈をしてきておるわけですが、例えば最近取引が盛んになっておりますいわゆるPTSにおける上場有価証券の売買ですとか、あるいはグリーンシート市場での売買ですとか、こうしたものにおける売買の取扱いについて明確化していく必要があるのではないかということでございます。

それから、最後、論点の2でございますが、現在の証券取引法で虚偽のある目論見書、あるいは関連する資料を使用して、募集または売出しの形で有価証券を取得させた場合には、そこに虚偽記載があった場合には証券取引法上の損害賠償責任の規定が存在をしておりまして、具体的には故意、過失についての挙証責任が転換をされるというような規定が設けられております。

こうしたルールについて、虚偽記載のある資料を使用して募集または売出しによらない、例えば先ほどの例で少人数の人にだけ売るという場合に、現在の規定ぶりからしますと、この規定が適用されずに挙証責任の転換規定が適用されない規定になっておって、そのことについては問題があるのではないかというご指摘を従来から頂いているところでございまして、こうしたことについてどう考えるかといった論点があろうかと考えております。

説明は以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、残りの時間、今池田課長から頂きましたご説明につきましてご質問、ご意見をお出し頂きたいと思います。論点幾つかありますけれども、いつものように特に順番ということはつけませんで、お気づきの点からご質問、ご意見をお出し頂ければと思います。どなたからでも結構です。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

それでは田中委員、どうぞ。

○田中(浩)委員

それでは、今説明を受けました点に関して5点ほどちょっと意見を申し述べたいと思います。

順番に、まず3ページ目のところの論点2になるのですが、この継続開示義務の免除要件の範囲の拡大についてですが、現在、先ほど説明がありましたように開示義務の免除要件というのはかなり厳しいものでありまして、これは諸外国と比べても非常に厳しい。この結果として証券市場で資金調達をしようとする場合に、一旦公募をやってしまうと、その後の継続開示義務が重いということで躊躇してしまうというようなケースもあるかと思います。そういう面でここの免除要件の緩和というものはグローバル基準で考えて見直すべきではないかと思います。これが第1点目です。

それから、第2点目は同じページの、現行の開示制度に関して流通性がないケースについてです。この場合の考え方なのですが、流通性がないケースにおいては、この公衆縦覧によって情報をすべて出すということは必ずしも必要ないのではないかと考えます。この論点の中でこの最後のところに、「結果的にファンド等の行動を見えにくくするとの議論があり得るがこれをどう考えるか」ということが指摘されておりますが、ここの趣旨というのは、多分上場株を組み入れている場合、経営権の取得等に関して昨今新聞等でも話題になっているのでそのあたりのことを踏まえての指摘かとは思うのですが、現在、大量保有報告という形できちんと報告されておりますのでそれで十分ではないかなと考えます。

それから、3点目の方は、4ページのプロ・アマ規制のあり方についてです。前々回の議論でこのプロ・アマのことを議論させて頂きましたが、投資家サイドとしてのプロ・アマのところで申し上げましたように、それと同じ考え方をこのディスクロージャーのところでも適用すればいいのではないかなというふうに考えます。その上で、この適格機関投資家を拡大した場合の転売制限の厳格化、確かにこの厳格化ということも考える必要はあるかと思うのですが、いたずらに厳格化をやってしまうと、この市場そのものが本来拡大すべきものも拡大できなくなってしまうということもあり得ますので、実務を踏まえた上でそれぞれ個別に慎重に判断すべきだと考えます。

それから、4点目は、6ページの「6.証取法以外の業法における開示規制との整理」についてです。これも、前回、投資サービス法の範囲をどこまで、どう考えるかという議論で申し上げましたが、消費者サイドから見て、消費者の方の観点から見て非常にわかりやすい、統合された、あるいは整合性のある基準が必要かと思いますので、この点に関しては消費者の方の立場から見た観点が必要かと思います。

それから、最後になりますが5点目、「その他」のところで有価証券の取引形態が多様になってきているのを踏まえて有価証券の売出しの概念を見直す必要があるのではないかとされています。まさにこれはそのとおりだと思います。ただ、ここでちょっとPTSにおける上場有価証券の売買についてということで、先ほど池田課長の方からはこのPTSというのが非常に盛んになっているとご説明があったのですが、IT技術がどんどん進歩していろいろな形態が出てきてはいるのですが、現実にはPTSによる売買というよりも、それ以外のところの売買量の方が圧倒的に多いという現状を踏まえて、必ずしもここでの見直しというのはPTSに限らず、もっと幅広くすべきではないかと考えます。

長くなりましたが、以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。それでは、佐々木委員、どうぞ。

○佐々木委員

情報の公開に関してなのですけれども、ベンチャーキャピタルのようなものが含まれていた場合に、ベンチャーキャピタルが投資している先というのは非上場、未公開の会社があるので公開内容によっては投資した会社の持っている株の価格だけでなく、実際のその時点での評価額や投資した金額などがすべて公開されるということになってしまうのでしょうか。そうすると、それが公衆閲覧できる情報として公開されると仮になった場合には、プラスに働くよりもマイナスに働くことが多いのではないかと考えるのですね。未公開企業からすると投資をして頂いて前に進もうとしているときに、自分たちの今の身の丈が全部公に、通常なら明かされないものが明かされていくというのもあまり都合のいいものではない場合もあるのではないかと考えると、公衆の縦覧開示について、ベンチャーキャピタルに関しては、私としては投資先の企業名だけで十分で、それ以上のところは必要ないのではないかと考えております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

今の点は、池田さん、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

それでは、ほかにいかがでしょうか。岩原委員、どうぞお願いします。

○岩原委員

先ほど田中委員がご指摘になりました中で、資料2の6ページの6証券取引法以外の業法における開示規制との整理について、これが投資サービス法を考えていく上で一番大事な点ではないかと思います。確かに開示のあり方が証券取引法における開示と、例えばそれ以外の商品ファンド法ですとか、不動産特定共同事業法等におけるディスクロージャーのあり方とでは現行法上はかなりの違いがあります。先ほどご説明がございましたように、証券取引法は基本的には目論見書を中心に開示して、あとは公衆縦覧という体制になっておりますが、商品ファンド法等におきましては販売契約成立前の概要書面の交付義務、成立時の契約内容書面の交付義務、それから広告規制という形をとっておりまして、それ以外に継続開示に当たるものとしては運用報告書の交付義務、それから業務・財産の状況を記載した書類の備え置き及び顧客による閲覧といったような体制になっているわけでありまして、証券取引法におけるディスクロージャーとかなりの違いがあります。

ただ、一方で今日お話がございましたように、証取法上の開示についてもいろいろと改革が図られていて、特に資産金融型証券につき、またとりわけ譲渡性のない証券については公衆縦覧をむしろ免除するというような方向、あるいは目論見書を中心にした開示につきましても先般の証取法の改正で13条5項が設けられて、ある意味で言うと目論見書以外の形でのディスクロージャーに対する規制に踏み込んだような形で、販売資料とか、あるいはそれ以外の、アメリカなんかでも労働省における開示の内容をSECがチェックするといったようなことも問題になっているようでありますので、そういった方向をとっていきますと、ある面でいうと商品ファンド法等の規制の体系にある面近づいていくところがある、確かに商品性を考えていきますとその方がフィットしているところもあるように思いますので、もし投資サービス法が一元的な、横断的なディスクロージャーに関する法規制を設けるということであれば、こういった商品ファンド法等における開示のあり方と多分ある面統一したもの、近づいていったものを統一したルールとしてつくるということが考えられるのではないかと思いますし、またそれは一つの望ましいあり方でもあると思うのですが、その点について投資サービス法をつくるときにどうお考えなのか、そこまでは行かないで、それは別の法律であるものは別の法律のディスクロージャーの体系として残すという生き方で行くのか、それとも先ほどの田中委員のようにむしろ消費者サイドから見れば横断的なディスクロージャーの体系にしていくべきだと考えるのか、事務局のお考えを伺えれば大変幸いに存じます。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは。

○池田企業開示課長

事務局のこの段階できちっとした考えを必ずしも述べられるというか、非常に難しい問題だと思いますけれども、1つは先ほどの説明でも申しましたけれども、そもそも投資サービス法制というのがどういう形で組み上がるのかということを見据えて考えなければいけないと思います。他方、ディスクロージャー・ワーキング・グループでご検討頂いたときの視点はまさに今岩原委員がおっしゃったように、いずれにしても証券取引法の中、現行の枠の中を見ても譲渡性が乏しいというようなものも出てきているので、今ご指摘頂いたような形で諸般の見直しが要るだろうと、そういうことをしていった場合にはかなりの部分発想が似てくる部分があるだろう。そうしたものを有価証券の投資商品の種類ごとにいろいろな箱をつくっておくことによって投資サービス法制下でのディスクロージャー制度としては柔構造を持った制度ができるのではないかということかと思います。その上で最終的に法制度自体をどう整備するのかというのは恐らく最終形の投資サービス法制自体がどう整理されるのかを見て整理をするということではないかと思うのですが、ただ考え方としてはまさに今岩原委員がおっしゃったような問題意識を私どもも共通のものとして持って検討を進めてきているということが言えると思います。

○神田部会長

松尾室長、どうぞ。

○松尾投資サービス法令準備室長

今岩原委員ご指摘は、例えば運用報告書のあり方等につきましては、むしろ投資サービス法における業者に対する販売・勧誘ルールのあり方という点にかかわる問題でございますので、この点につきまして公益性といいますか、販売・勧誘ルールの問題として、当部会におきまして今後ご議論して頂きたいと思っております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

なかなかディスクロージャーは難しい問題が多くて、あるいは専門的な点も多いと思うのですけれども、今日出ている範囲は、伝統的な表現で言えば発行者というものを決めて、それをどう決めるかという問題提起もありましたけれども、その発行者が作成をした情報というものを間接的に公衆縦覧という形で流す、そして、目論見書というのが直接投資家に渡すと、こういう仕組みでのディスクロージャー制度でありまして、開示というのは情報の提供を法が強制する制度のことを言うのですけれども、これとは別に従来からご議論の多い業者が直接投資家、消費者に対して説明義務、あるいは今松尾室長からお話がありましたが販売・勧誘ルール、販売・勧誘を行う際に一定の情報の提供を義務づける、説明義務というのはそういうことですけれども、というものがありますので、両方の局面があって、今日の話題の中でも直接目論見書を渡していくというようなのは結局具体的には業者が渡すわけですから重なってくるのですね。それで、恐らくプロ・アマの話も前回、前々回でしたか、ご議論頂きましたように、プロ・アマというのを3分類あるいは4分類にした場合でも、それぞれのフェーズによって今日のような開示制度も、ディスクロージャー制度の局面、それから販売・勧誘のような業者が直接顧客と向き合う局面における場合、それからあのとき4つフェーズというのでしょうか、事務局のペーパーで出ていたと思いますけれども、そういうことで「柔」と、柔らかいという柔ですけれども、柔構造化していく作業というのが今後行われると思います。その中で岩原委員ご指摘の点につきましても、今池田課長からもお話がありましたけれども柔軟にというか、適切にというか、絵をかいていければ、他の業法にあったようなルールともよい点は取り入れてというような形になるのではないかという、そういうことだと思いますけれども。抽象的に申し上げるとそういうことだと思います。

原委員、どうぞ。

○原委員

4点お願いしたいと思っております。

ディスクロージャー・ワーキングにも所属をしておりまして、大変このあたり難しいということは承知しているのですが、重複する意見もあるかと思いますが、消費者側の意見ということでお願いしたいと思います。

1つ目は、岩原委員とか田中委員から出された統一的な開示のあり方、ディスクロージャーのあり方ということを、不動産特定共同事業法ですとか、商品ファンドとか、今例としては出ましたけれども、ぜひそれは消費者としても統一的な開示のあり方を重ねてお願いしたいと思っております。

それから、2つ目なのですが、実際には目論見書以外のいろいろな情報が消費者側には提供されていて、広告ですとか、それから要約目論見書ですとか、それからちょうどその中間になるような商品情報のようなものですね、こういうものが大変たくさん提供されておりまして、これらも包括的に念頭に置いた形で検討を進めて頂きたいと思います。先ほど松尾室長が、これは販売・勧誘ルールの方でも検討しますということ発言をされましたが、確かに要約目論見書ですとか、それから広告についてはそちらでの検討になるかと思うのですが、運用報告書については、私としては契約締結後のルールということを今回明確に打ち出して頂いて、契約締結後のルールの中で検討して頂きたいというのが2点目です。

それから、3点目なのですが、2ページです。この資料2の2ページの2のところなのですが、この有価証券の流動性に着目した開示制度についての項の真ん中のポツなのですが、ワーキング・グループ報告の要旨の真ん中に、当該情報の有用性に比して、発行者に過度の負担を与えかねないので非上場の有価証券については同様の開示を求めることまでしなくてもいいのではないかという論調の紹介がされているのですが、こことうまく重なるかわからないのですが、今大変未公開株の苦情というのが増えています。未公開株なので上場されていないと、ですから開示されている情報も乏しいのだというような形で、単なる業績が伸びるだろうとか、そういう形での情報が提供され、それを鵜呑みにした消費者側の被害がここ最近非常に増えてきているということを懸念しておりますので、この非上場のものについてもどういう情報開示をかけていくのかについては慎重な検討が必要かと思っております。

それから、4つ目は、最後のところに有価証券報告書の虚偽記載について損害賠償責任を負うことの立証の挙証責任の話が紹介をされているのですが、ディスクロージャーのワーキングでは、ここのところですね、こういった虚偽記載については有価証券報告書の継続開示も含めて課徴金の制度というのを導入してきているわけです。課徴金の金額はまだパーセンテージも低いですし、もう少し活用をするというのでしょうか、この課徴金制度の活用と、そしてもっとプラスアルファして不当利得になるようなものが被害をこうむった人に還元をされるような仕組みというようなことについて、これは多分エンフォースメントの検討のときにも重なるかと思いますけれども、視野に入れておいて頂きたいと思っております。

以上、4点です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

市川さん、どうぞ。

○市川経産省産業資金課長

すみません、オブザーバーで失礼いたします。

既にご指摘のあった点でございますけれども、適切なディスクロージャーは、その市場の信頼性確保のために必要であるというのはもちろんなのですが、その方法についてはディスクロージャーに係りますコスト、これを考慮して投資商品の特性に応じた柔軟な制度とするということが重要だろうということが我々伺っているお話でございます。

具体的には、現在投資サービス法で、投資商品は必ずしも流通性を前提としないものというような定義づけが行われるように考えられておるわけですけれども、先ほどもお話しがございましたけれども、そうしますとその情報を公衆縦覧するという現在のルールを改めまして、いわゆる相対での開示で十分なケースというものも多くなるのではないかと考えておるわけでございます。実務に携われている方からもその流通性が低い投資商品につきましては、現行のような公衆縦覧による情報開示の必要性はないという意見を伺っております。

先ほど佐々木委員からもご指摘ございましたし、あるいは本日ご欠席の立岡委員の意見書が配られてございますが、ここにも載っておりますけれども、ベンチャーファンドの情報開示ということにつきましては、仮に投資先のベンチャー企業に関します情報が公衆縦覧されますと、例えばですけれども、収益がすぐに上がらないことが多いベンチャー企業に対しまして、ちょっと言い方はありますが例えば信用不安につながるのではないかといったような懸念もあるとのことで、これらファンドの出資持ち分はそもそも譲渡が制限されていることが通例ということでございますので公衆縦覧しないといった配慮が必要という意見をお伺いしているところでございます。

くどいようですけれども、このベンチャーファンドの点につきましては、一昨年12月のまさにこの部会の答申におきましてもその一定の配慮をすべきという旨が位置づけられていると存じておりますが、ベンチャーファンド関係者の方からはそういうことがまだ実現していないということで若干心配の声が上がっているというようなこともお聞きしております。また、ディスクロージャーの内容に関しましてもいろいろとご留意頂ければという議論があるということをご紹介させて頂きます。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、東委員、どうぞ。

○東委員

3点申し上げたいのですけれども、1つは1ページ目の有価証券の性質というところです。投資商品の特性として元本までのロスのリスクなのか、あるいはそれを上回るのかというときに、同じディスクローズでいいのかという点です。さらに、今度はプロ・アマの議論になるのですが、元本を上回るようなリスクのある投資商品あるいはサービスを、アマに販売をしていいのかという点です。ディスクローズの問題か、販売規制の問題かになると思いますが、そこは一つディスクローズとしてのありようの切り口になるのではないかと思います。

それからもう一つは、資料の4ページ目のプロ・アマ規制の中の適格機関投資家の範囲の拡大についてです。私は従来からもっと範囲は拡大すべきだと考えているのですが、とりわけ参考の中のマル1のプロ私募制度という中のさらに事業会社のところで保有有価証券、2年連続して100億円という、この縛りはあまりにきついと思います。現状を踏まえてもベンチャー企業の育成のためのファンド、あるいはエンジェルの少なさが日本の課題と言われているわけですけれども、実は現実にエンジェルになりそうな方というのは、IPOで公開をしてきた企業の経営者なりというのが非常に多かろうと思います。そういう意味では縛りとしてはいかにもハードルが高い。これではなかなかプロの投資家あるいはベンチャー企業育成という意味では十分ではないのではないかと思います。

それから、3点目は意見というより私自身も実は悩んでいるのですが、ファンドのディスクローズのあり方でございます。1つは、ファンド・オブ・ファンズのディスクローズをどこまで遡及するかというところであります。商品の多様化の中では相当ファンド・オブ・ファンズが組成されてくることだけは間違いないわけですし、原資産は様々なものが出てくるだろうと思います。そこのディスクローズをどこまでするのかという問題です。

次は、ディスクローズのコストとの兼ね合いです。この場でもよく出ましたラーメンファンドや映画ファンドなどのディスクローズのありようをどこまで行うのかという点です。ここもまたコストとディスクローズの内容との兼ね合いになるのですけれども、極めて小口であれば簡便なディスクローズでも許容するのかどうかであります。横断的なルールで少額を調達するファンドに対して大変厳しいディスクローズを課すというのも、これまたコストと合いません。ここをどう整理するかというところがポイントになるのではないかと思っています。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

6ページの6の、先ほど田中委員のおっしゃいました消費者の視点から見てわかりやすい整合性のある基準が必要というご意見に賛同でございます。例えば、私募のファンドを複数組み込んで個人投資家に運用のポートフォリオを決めさせたりスイッチングをさせるような商品、代表的なものは変額個人年金保険というものがございますけれども、そうしたものが投資サービス法の中に組み込まれる場合に幾つかの懸念がございますので少し意見を述べさせて頂きたいと思います。

変額年金の場合には、解禁された当初は目論見書の交付義務もなく、その運用開示規制がないに等しい状況で実は90年代販売が始まったということでございます。2002年に銀行に販売が解禁されるときに、私募のファンドについても公募並みの規制がディスクロージャーが必要だろうということで、保険業法に細かく書き込んでいったという経緯がございます。これが今回投資性を有する商品ということで投資サービス法に組み込まれることには大いに賛成といいますか、ぜひそうして頂きたいと思っているのですけれども、中身が私募のファンドが多数組み込まれているわけですが、それで逆にディスクロージャーが弱くなることがないようにということを希望しております。私募はコスト的なメリットが消費者にも及ぶものであると思いますけれども、証取法以外の法律で規制されているこういう商品が入ったときに、従来の有価証券の規制ですと漏れてしまうものがあるのではないかと心配しているわけです。ですから、公募か私募かとういうだけではなくて、消費者保護がきちんと図られるような基準づくりというものを望んでおります。

変額個人年金について言えば、発行者に関しても非常にわかりにくく、ファンド・オブ・ファンズもかなり入っておりますし、運用に関してもエディネット上での公開がございませんので、この辺もほかの商品ときちんと合っていくと、こういうルールになることを要望したいと思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

心配というか、そういう意味で申し上げたいのですけれども、性質によってディスクロージャーの程度の要件を分けるというのは、一般論としては私もよくわかりまして、例えばマンション1戸しか持っていないファンドが大きな会社と同じような開示規制に係るるというのは何となくおかしいというのはよくわかるのですけれども、だけど実際に境界をどこに引くのかということで言えば、それが株式会社と名前がついていようがファンドということであろうが、あるいは市川さんの方からお話しありましたけれどもベンチャーということであろうが、運用して人さまからお金を預かって運用していくという意味から見ると基本的には同じような気がするのですね。ですので、もちろん切り分けのところが工夫が必要だということではあるのですけれども、やはり原則は一つの規制でやるべきだと思います。ここは若干危険なのですけれども、ということを考えたときに現在の開示のやり方、特に書式、そのほか含めて、それが全部合理的なのかどうか、これはよくわからなくて、だんだんネットといいますか、エディネットでやられるようになっているので手間暇が少なくなっているのか、かえって大変なのかよくわかりませんけれども、事務上の工夫というのは必要かとは思いますけれども、何かあまり例外を広くするような、あるいは2種類、あるいは3種類の規制にするようなことはやらない方がいいのではないかというのが私の感じです。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員

今の論点なのですけれども、投資商品の特性、性格に応じたディスクロージャーのあり方を使い分けるということは、私は基本的には大事だと思うのですね。というのは、ご指摘の事業のファンドのようにボーダーがあいまいなケースはもちろん考えなければいけない論点ですけれども、投資家から見て企業の評価と典型的なファンドの評価では、インタンジブルの持つ意味合いが全然違うわけですね。したがって、企業のパフォーマンスと、それからファンドのパフォーマンスというのは、やはり性質が違ってくると思うのです。それを混同しますと、場合によっては、一方ではファンドのディスクロージャーが非常に時代おくれになるという可能性もあって問題であると同時に、他方では逆に企業のディスクロージャーに対して非常に変なバイアスを与えるということがございます。ですから、そこはきちんと概念としては整理して頂きたいと私は思っております。

それ以外の例えば先ほど来議論がありました説明義務とかそういう手続面では、私はこれは証券取引法のケースであれ、商品ファンド法のケースであれ、できる限り統一的なルールが設けられることが望ましいと思っております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。大体ご意見は頂けたと考えてよろしいでしょうか。ちょうど時間になりつつありますので、どうもありがとうございます。

本日も大変貴重なご意見を多数頂きましてありがとうございました。このディスクロージャー制度の方につきましても、本日頂きましたご意見を踏まえてさらに先に進むということをさせて頂きたいと思います。

それでは、ほぼ終了の時間になりましたので、本日の審議はこれまでとさせて頂きます。この後、記者会見を行いまして、当部会の模様につき私からご報告をさせて頂きます。

最後に、事務局からのご連絡等をお願いします。

○三井市場課長

次回、11月24日、木曜日の午前10時から2時間程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、これで散会いたします。

午後12時00分閉会

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