金融審議会金融分科会第一部会(第21回)議事要旨

1. 日時:平成16年11月19日(金)10時00分~12時10分

2. 場所:中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • ○  金融先物取引法の一部を改正する法律案等について
  • ○  EUにおける投資サービス法制について
  • ○  米国における投資サービス法制について

4. 議事内容:

○  事務局より「金融先物取引法の一部を改正する法律案等について」説明

○  神作裕之教授より「EUにおける投資サービス法制について」説明

○  黒沼悦郎教授より「米国における投資サービス法制について」説明

○  主な説明の内容

【EU及びドイツ投資サービス法制についての説明】

ドイツ証取法では、「市場で取引し得る、株式または債務証券に類似するその他の有価証券」はすべてが有価証券定義に含まれる。そのため、市場で取引し得る以上は、有限会社、合資会社の有限責任社員たる地位も含まれると解されている。なお、投資会社及び外国投資会社の持分は、有価証券であることが明定されており、集団的投資スキームに対する持分権は国内外を問わず、またそのファンドが金融商品に投資しているかどうかにかかわりなく、一律に金融商品となる。

ドイツ証券取引法のデリバティブは、「基準となる原資産の価格変動に応じ、当該デリバティブの価格が変動するもの」と一般的に定義されており、このことにより、我が国の証券取引法と異なり、金利やその他の指標、商品、外国通貨等を原資産とするデリバティブも証券取引法上のデリバティブとして定義され、それらを他人の計算で売買し、あるいは媒介することと等は証券業にあたるとされる。

EU投資サービス指令では、プロとアマの区別について非常に詳細な規定を置いており、プロの中でも、当然プロとされる類型と、申し出によってプロとされる類型、さらにプロにされても、アマとして扱ってくれるように要請することができる手続をはじめ手続および効果について詳細に規定されている。

EU及びドイツにおいては、有価証券の定義自体は一般的な開かれた定義規定を設け、金融市場、金融技術と急速な変化に対応しようとしている。また、証券仲介業者と市場に対する規制を根本的に整理し直す一方、投資判断に重大な影響を及ぼし得る、投資助言とか財務分析、証券分析を投資サービス業務に加えた点が大変興味深い。

ドイツでは、公法・私法にきれいに分けられない資本市場法という分野においては、一定の規制目的のために、私法的な規律、刑事法的な規律、あるいは行政法的な規律、これらを総動員して、エンフォースメントを高めていくという考え方が強く、これらの混合から成る資本市場法は、従来の公法・私法のいずれかに分類できない現代的な法律であると理解されている。

【米国における投資サービス法制についての説明】

米国には投資サービス法はない。しかし、連邦証券規制がその役割の一端を担っている。周知のように1933年証券法、1934年証券取引所法の適用範囲を画する「証券(securities)」の範囲は広い。銀行・保険を除くと、投資商品は証券と先物(futures)に分類でき、それらは連邦証券規制または連邦商品先物規制のいずれか、または双方の規制に服する。

米国の最高裁判決で、農業共同組合が資金調達の目的で募集した約束手形が、ファミリー・リゼブランス・テスト(family resemblance test)=類似性の基準により証券のうちの一つである「ノート」に当たるという判決がなされている。我が国でも病院債、学校債のように、債権をペーパーである債券として売るような動きがあるが、これはアメリカ法に引き直して考えてみると、公益目的の適用除外に当たらないのであれば、「ノート」に該当する可能性がある。

アメリカの証券の定義やその解釈からは、法的形式よりも経済実態で判断するということが示唆されるように思われる。この場合に、投資家の目にどのように映ったのか、あるいは投資家の期待がどのようなものであったのかということが重要であり、契約の内容はどうだったのかということよりも、投資家がどういう形で勧誘されたのかという点が重視されているわけである。

米国の集団投資スキームの規制から、日本法への示唆を得るのであれば、○○ファンドと呼ばれるような集団的投資スキームは、すべて同様の規制に服させるのが適当ではないかということである。また、何をもって集団投資スキームとするかということについては、定義を工夫し、かつ適用除外を設ければ、適切妥当な範囲に適用を制限できる。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000(内線3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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