金融審議会金融分科会第一部会(第23回)議事要旨

1. 日時:平成16年12月24日(金)10時00分~12時00分

2. 場所:中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • ○  第一部会報告(案)について
  • ○  対象範囲・定義方法について(2)
  • ○  規制内容について(1)

4. 議事内容:

  • ディスクロジャー・ワーキング・グループ座長及び事務局から「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けて」(第一部会報告(案))について説明。

  • 「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けて」(第一部会報告(案))が審議され、第一部会として承認された。

    主な意見及び質疑は以下のようになっている。

    課徴金の性格については色々な考え方があると思うが、利得金額を超えるものについて、引き続き早急に検討を行っていく必要があると思う。もちろん、不利益処分なので内容等はしっかりしたものにする必要はあるが、現在考えているスケジュール感等あれば教えて欲しい。

    • 本部会及びディスクロージャー・ワーキング・グループでのご指摘を踏まえて法制面の検討を早急に進めてまいりたい。なお、ただ今ご指摘のあった経済的利得を超える部分を含めた課徴金については、全般的な課徴金制度の見直しが必要になる。各制度との整合性も考えつつ最大限の努力をしてまいりたい。

    4つの論点のうち、コーポレート・ガバナンスに係る開示の充実の部分についてはスケジュールが明確になっているが、その他の部分については明記されていない。この部分についてもぜひ早急にお願いしたい。特に課徴金制度のあり方については、消費者としても関心が高い。不当利得の吐き出しだけでなく、抑止力の観点からも不当利得を越える部分の検討をお願いしたい。

    親会社情報の開示について、対象となる財務諸表は何か。仮に問題が起きた場合、親会社単独で明確になるような事例は少ないのではないかということを危惧している。ディスクロージャーの充実と内部統制の充実とは次元が違う。内部統制の議論は必要だが、統制のための統制になってしまってはいけない。企業のディスクローズに対する信用は大前提であり、それに違反した場合には、それ相当のペナルティーが与えられるという組み合わせが重要なのではないかと考えている。

    • 親会社情報の開示は商法上の決算書類を考えており、今後、商法上でも連結決算の取扱いが議論になろうが、当面、現在の法制では単体決算を開示することとなる。ただ、その場合でも、開示会社である子会社を中心とした連結決算は当然に開示される。それ以上に、自身が開示会社ではない親会社にまで、証券取引法上の連結決算作成に伴う膨大な決算作業を要求することについては、その費用や時間等の点から難しいと考えている。

  • 事務局より「投資サービスの範囲・定義方法について」説明

    主な意見は以下のようになっている。

    経済産業省、国土交通省、農林水産省の管轄の商品もほとんど同じように広告され、消費者に提供されている。その意味では、同じ法律体系の中にあるべきである。特に商品先物は、非常に多くの一般の消費者により取引が行われているという日本の特殊な事情を考えると、他の国がどうであれ今回の投資サービス法の対象にして頂きたい。

    医療債と学校債については、業界が両方とも経済情勢の中でなかなか厳しい状況にあり、問題もいろいろ起こってくる可能性が高いものと思うので、法律、政令指定という方式で投資者保護の措置をして頂きたい。

    統一的な枠組みの中に現在投資家保護の対象となっていないもの、あるいは他省庁あるいは他法令の対象で保護されているようなものを取り入れていこうという方向が、基本的に投資家の保護、金融イノベーションの促進という観点からもプラスとなるものと考える。また、LLP等については、定義としては、日本版のハウイ基準のようなものを設けそれに該当するものはすべて投資サービス法の体系の中で投資家保護、市場のルールの規制を受けるようにし、規制の適用は弾力的になされるような仕組みを基本とすべきではないか。

    いろいろな投資商品を対象に加えるということについては全く同意見であるが、それにしては証券取引法をベースにした色彩がやや強過ぎるのではないか。いろいろな投資商品を含めて対象にするのであれば、みなし有価証券という修補で拡大してきた証券取引法が本当に一般法として有効なのかもう一度検討する必要があるのではないか。むしろ、現物とか先物とか、あるいはデリバティブは一つのくくりとして考えるといったことも必要になってくるのではないか。

    商品先物取引について、国民生活センターの方で年間の苦情相談件数が7,000件を超えるという異常な事態になっている。被害もアルツハイマーの高齢者に対する勧誘のようなかなり問題のある取引が行われているということであるので、投資サービス法の対象商品にして、不招請勧誘の禁止、適合性の原則を入れていかないと、まだまだ被害は拡大する状況にあると考える。

    来年の5月施行となる改正商品取引所法の中で勧誘に関する規制について抜本的に強化されることとなっている。適合性の原則についても既に商品取引所法の中で規定されており先日ガイドラインという形で、勧誘規制の中身をより具体的に示しその強化が図られており、むしろ商品先物取引に関連する商品取引所法の規制は、取引にまつわるトラブルが多いということを念頭に置いてむしろ証券取引法上の勧誘規制よりも厳しい規制を導入しようとしている。

    デリバティブというのは、原商品が何であれ、投資商品として考えるというスタンスが基本的に好ましいと考えているが、例えばカタストロフィー・ボンドのような商品が実際に存在しており、損害保険的なものに関しては、デリバティブ商品で極めて近い機能が実現できようになっている。デリバティブは投資商品だと位置づけて規制の対象にするときに、保険の機能との類似性の点についての整理は必ず必要になるのではないか。

    デリバティブについては、原商品により監督官庁がいろいろと違っている。10年前、20年前の、だれでも商品の違いというものが認識できた時代ならばそれでよかったが、金融商品という言い方をすると、デリバティブが内蔵されていて、原商品が何であるかは全く構わないという状況になってきている。これからは投資商品というものが行政のところで同じ基準で見られているという安心感を消費者に与えられるかどうかが極めて重要な問題になってくると思う。

    ハウイ基準は、証券の一類型である投資契約に関するものであり、証券法の対象となるかどうかを判断する基準はその他にもいくつかある。例えば既に証券として並んでいるものと非常に似ているものであれば、それは証券になるといったファミリーリゼンブランス-家族的類似性の基準-といったものもあるし、パートナーシップ、LLP、信託といったものについてはまた別の基準で判断されている。

    証券取引法の体系について、共通の理解を持っておく必要があると思う。日本の証券取引法は、有価証券の定義、発行者開示の規定とあり、その後で証券業規制や不公正取引の規定がある。例えば有価証券関連のデリバティブについて言えば、現在の証取法の体系から言えば、証券業のところで定義され、発行者開示制度に服すというところは外れており通常の有価証券とは違う形で整理されている。

    個別列挙と包括条項を組み合わせる場合、新しい商品が出てきたときに、個別列挙に挙げるのか、それとも包括条項で賄えるものであればそのままにしておくのかという判断の基準が不明確となってしまう危険性がある。投資者保護を必要とするような態様をうまく包括条項に書き込めば、原則として包括条項に該当するものは投資商品とし、あとは、必要があれば投資商品に該当するものであっても、こういう場合には除かれるといった包括条項のもとでの適用除外を整備していった方が明確ではないか。

    デリバティブ取引は、金利リスクとか為替リスクといった金融取引の過程で直面するさまざまなリスクを当事者間で再配分しより最適に近いリスクの分担を実現するといった機能を果たしている。デリバティブ取引全般に対する規制については、市場の機能や効率的な資源配分といった観点を十分に織り込んで検討する必要があると思う。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000(内線3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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