金融審議会金融分科会第一部会(第25回)議事要旨

1. 日時:平成17年2月8日(火)10時00分~12時00分

2. 場所:中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題:

  • ○  規制内容について(2)
  • ○  集団投資スキーム(ファンド)について(1)

4. 議事内容:

  • 事務局より「規制内容について(2)」の説明。

    • ディスクロジャー関係についての主な意見は以下のとおり、

    継続開示に対する課徴金について、格付けによる負担増とそのメリットの額の問題や、発行体が得た経済的利得と投資家の損失に関する考慮のバランスが悪いのではないかと思う。課徴金額の算定方法について時価総額の減少分に対して掛目をつけるというように、投資家サイドの損失をどこまで反映させるかという視点も必要なのではないか。

    法制度上経済的利得の計算方法は重要なものであると思うが、経済的利得を計算することが本質ではなく、本質は、継続開示について、発行開示と同様の信頼を投資家に対して回復することにあるので、ぜひ法制局に対する説得を続けて頂きたい。

    課徴金の議論は超ミクロで議論してはいけない。企業が虚偽の報告で情報を開示するようなことが繰り返されれば、それはシステムに対する信頼を毀損するというよりもより高次な重大な影響があるので、技術的な計算ということで議論をするのではなくて、システムの1つの理念というようなものを重視する必要がある。個人的には、現実に利得がなかったとしても、それは罰するべき問題ではないかと思う。

    諸外国の例を見ても経済的利得相当額を超える制裁金を課している国もあり、二重処罰については問題にはならないはずである。違反行為の抑止効果を考えれば、経済的利得相当額を超える額を課すべきであるというスタンスは当然である。また、課徴金を課すと株主の負担になるという考えについても、今回は投資家の利益を保護することにより、継続開示制度の信頼性を確保しようという政策判断をしたわけなので、特には問題にならないと考える。

    二重処罰の問題、その他について、第一部会が提案している課徴金の制度が憲法その他の点において問題があるとは思えない。多くの委員から指摘があったように、市場の信頼を守るためのエンフォースメントの制度が必要であり、事務局の提案の内容も海外と比べても合理的な範囲にとどまっている制度であると思われるのでぜひこれを実現していただきたい。

    投資サービス法の「横断化」、「柔軟化」のためには投資商品を類型化する必要がある。類型化の仕方として、商品ファンド、抵当証券、変額保険、信託受益権といった投資商品毎ではなく、元本が保証されていてリスクが収益率の範囲内のもの、最大の損失が投資額の範囲に収まるもの、投資額以上の損失が生じる可能性のあるものといったようにリスクの内容に応じた規制を行うべきである。

    投資サービス法により法律体系が整理されても、そのエンフォースメントが一つのところに集約されていないと、業者が新しい商品を開発し販売しようとするときに相談する先、投資家がその取引で相談する先が不明確になってしまい法律を整理した意味がなくなってしまう。投資サービス法を考えるときにエンフォースメントを集約するということについてもあわせて検討をすべきである。

    改正金融先物取引法では不招請勧誘の禁止の規定も設けられたが外国為替証拠金取引以外にも同様の規制を設けるべきリスクの高い商品はあるので投資サービス法ではその区分を明確に位置づけ、必要なものについては同様の規制を行っていただきたい。

    業者ルールとしての投資サービス法ということを考える上で受託者責任というのは、行為規制の基本になるべきものである。例えば生命保険会社が他人からお金を預かって運用する場合に私法上の受託者責任で十分であるのか、それを超えて、保険業法等といった業者ルールとして受託者責任を課すべきなのかというのと同じ問題で投資サービス法の場合にも十分議論すべきことである。

    5年前、10年前にもプロ・アマの議論がされたが、その時からマーケットの状況はどんどん変わってきており、投資技術に非常に精通している個人投資家も出てきているので、プロとして扱われることを望んでいるような場合は、個人でもプロとして扱えるようなスキームにし、取引の自由を妨げることのないようにすべきである。

    ヨーロッパの伝統としては、業者の顧客に対する説明義務というところのプロ・アマが問題になるのに対してアメリカや日本の証取法では私募か公募というところでプロ・アマの基準が問題となっている。今後、投資商品が幅広くなっていくのに応じて顧客への説明義務におけるプロ・アマ基準と公募・私募のプロ・アマ基準の両方を柔軟化させ適用していく必要がある。

    貯蓄から投資へというものを推進したいのであれば、販売サイドの人間が投資家の成長性を見て判断をするという目線が必要ではないか。また、元本に対するリスクの大きさによる分類法は、非常に分かりやすい考え方であるが、金融商品が複雑化し、表面的にはほぼリスクがないように見えても、商品に内在するリスク、例えば、担保を仕組みでしているのか、金融機関自体がしているのか、発行体がしているのか、受託者がしているのかによりリスクは大きく変わってくるので、担保手段というものも勘案した上で分類の仕方を考えていく必要がある。

    先物取引等は現物の取引のリスクを軽減するヘッジのために発達してきたものである。現物取引とヘッジ取引を両方すればリスクがなくなるので、例えば外国為替証拠金取引について言えば、ニュージーランド債とかカナダ債とかの為替変動をヘッジするために外国為替証拠金取引も同時にやるという場合もある。単純に元本に対するリスクの大きさといった切り方で規制を行うと取引の自由度を阻害することになる。

    日本の社会はリスクがないような社会に設計されてきたので、今一番社会的に必要なリスクという問題に対しての理解がまだ日本の社会では十分醸成されていない。それは、これから継続的に日本の経済社会がチャレンジしていかなくてはいけない新しい分野である。投資サービス法を考える上での最大のポイントは、制度や規制により投資家が多用な商品のリスクを客観的に評価でき安心して投資ができるようにすることであると思う。)

    販売の現場では、適合性の原則どころか、説明をすればリスクは顧客に移転するという考え方のもとに、顧客が「うん」と言うまで説明をしてしまう。まさに販売者が本当にプロで相手の適合性を判断できる販売者なのか、あるいはその販売手法だけをマニュアルどおりに売っている販売者なのか、販売者のランクにかなりのばらつきがある。販売者の資格に関しても投資サービス法ではきちんとしたルールをもうけ販売者のそのようなランクが投資家から認識できるようにすべきである。

    投資アドバイス業を行う際には、証券だけでなくて、商品先物あるいは不動産関係の投資商品等といった投資商品全体を対象として投資家にとって最もよい商品のアドバイスをすることが求められているが、現行法ではその商品が縦割りの業法で規制され、兼業承認の制度についてもその手続きが柔軟に行われておらず、投資アドバイス業務をやる上での障害となっている。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000(内線3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る