金融審議会金融分科会第一部会(第28回)議事要旨

1. 日時:平成17年3月30日(水)10時00分~12時00分

2. 場所:中央合同庁舎4号館11階 共用特別第一会議室

3. 議題:

  • ○  ルールの実効性の確保について(1)
  • ○  市場のあり方について(1)

4. 議事内容:

  • 事務局より「ルールの実効性の確保について(1)」の説明。

    • 主な意見は以下のとおり、

    実効性の確保のためには証拠開示が必要。金融庁や証券監視委員会の収集証拠の利用や、業者過失、因果関係についての推定規定の導入も考えられないか。保険ではクーリングオフ規定が設けられているが、損害賠償責任を求める場合には立証責任が障害となるため、商品内容によっては、例えば変額個人年金保険なんかを導入の手がかりにクーリングオフ規定の設定ということも検討して頂きたい。

    立証責任の問題やクラス・アクションについては、証券取引法の分野だけでなく司法制度全体の問題として検討すべきことではないか。また、現在自主規制機関への加入は任意となっているが投資家が安心して仲介業者と接触していくためには、自主規制機関への加入を義務付けるべきである。

    現在の金融庁の監督、そしてエンフォースメントの体制は十分なものであるとは言えず、それを補うためにも自主規制機関を整備していく必要がある。自主規制機能を持っているものは日本証券業協会のみであるので、それ以外の金融分野についても自主規制機関は必要であると思うし加入に関しても強制とするのが望ましい。

    金融トラブル連絡調整協議会に参加している団体のほとんどが自主規制機関もどきの事業者団体で会員に対する強制力はなく、消費者としてはそこに相談すると逆に裁判に行くまでの時間がかかってしまうという問題も出ている。これらを日証協のあっせん制度のように法定化していくのか、そうするのは非効率だからイギリスのオンブズマン制度のように一元的に管理していくのか、金融庁の利用者相談室のあり方と含めて議論をして頂きたい。

    基本は業者自身がコンプライアンスの体制をきちんとつくって、それが実効的に機能しているかどうかを監督当局がチェックするというものであると思う。ただ、その際に業者の規模を考慮して金融サービス業における多様なビジネスモデルの展開の障害とならないようにする必要がある。

    公務員の定数削減の流れの中で増員は無理ではないかという意見もあるが、政府全体を見渡すと、時代の変化とともに不要になっていながら既得権に守られて維持されているようなポストも存在するのでそのようなものを見直して整理していけば、監視委員会に振り向けられる定員というのも必ず確保できると思う。

    ドイツでは、変額保険年金は保険関係規制にとどまっており日本もそうするべきだという意見があったが、私の認識では、ドイツというのは公的保険制度の改革でこれから変額年金の市場が活性化する状況にある。そのような国を例にとるのではなくやはり米英のように既に導入されて、被害の状況をみてきちんとした規制されている国を参考にしながら考えていくのが適切ではないか。

  • 事務局より「市場のあり方について(1)」の説明。

    • 主な意見は以下のとおり、

    現在日本でのマーケット・メイクでの取引は全体の0.2%程度、MTFに関しては、0.02%程度であり、ほとんどないに等しいものである。これが今後拡大していくのかということに対しては、答えはノーだと思う。日本の投資家には証券取引所のオークション制度がもっとも受け入れられているからである。マーケット・メイク及びMTFについて、アメリカと日本では、制度の成り立ちやマーケット構造が異なっており、アメリカがこうだから日本もこうすべきだとかという議論は現実の状況から乖離したものだと思う。

    米英におけるガバナンス規制は、法律で基本的なことを定めて、証券取引所のルールが具体的な規定を設けている。一方、日本では証券取引所のルールでガバナンスの規制が十分なされていないので商法自体の方でいろいろ決めざるをえず、法律が社外取締役等を強制することとなってしまう。それが適当なのかというような批判も出てきており、なかなかガバナンスのルールの形成が進まないこととなっている。

    外国為替証拠金取引については、かなりのウエートを占めた私設市場が存在しているが、今度の改正金先法では、MTFの規定がされていない。証券取引法では1%を超える場合にはMTFに証券取引所の免許取得を要請する規制になっており、商品取引所法ではMTFは認められていない。また、証取法でも、いわゆる先物取引とかオプションについてはこういう私設市場は認めていないことから、外為証拠金取引についてのMTFの取扱いについて議論して頂きたい。

    さまざまな投資商品が出てきてそれを投資サービス法の枠の中に取り込んでいくことを考えると、これらの商品について、MTF等を含む市場的な取引を活用できた方が良い。海外では電子的な取引システムで現物の債券から金融先物、商品先物、エネルギー等、多様な商品等が取引されるようになっている。なかには賭博ではないかという市場もあるが、経済的な効用があるのであれば、日本でも円滑にこのような商品等を取引する市場を導入できるような法的な枠組みが必要だと思う。

    親子上場の問題については、単にディスクロージャー、あるいはフェアな取引ということだけではなく、子会社のガバナンスがきちんと機能するかという観点で検討する余地があるのではないか。

    中小企業というのがもっとグリーン・シートや地方市場などを活用してある程度企業価値というものが、投資家に明確にわかるような状況を作っていく必要があるのではないか、そういう意味で、地方取引所の議論についてもう少し地域金融機関と併せてどのような活用があるかというのを一度考えてみて頂きたい。

    今、巷の金融トラブルは、外国為替証拠金取引から舞台を移して生命保険の支払いの問題、変額年金の販売、そして未公開株への電話勧誘が3大トラブルとなっている。IPOブームに乗じて悪質な業者がかなり出てきている状況で、中にはマルチ業者が違法に販売に関与しているということが実際に起こっている。グリーン・シート制度に関して一般の方々にもっと周知することで制度自体もよくなっていくし、未公開株をめぐる被害も減るのではないか。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000(内線3614)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る