金融審議会金融分科会第一部会(第40回)議事要旨

1.日時:平成17年12月7日(水)10時00分~12時00分

2.場所:中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題:○  論点整理について

4.議事内容:

○  論点整理について事務局より説明

  • 主な意見は以下のとおり

包括的な投資家保護と投資家の責任について明文化する方向に進んでいることについては評価していきたい。過度な保護規定が業の新たな展開を妨げるのではないかとの懸念を示す向きもあったが、最近の学者の研究などによれば、長期的に見ると投資家をきちんと保護し、それが明文化され、実効性を高めていることが、実は金融・資本市場の発展を支えているということがかなりはっきりした統計結果として示されているという報告がある。

長期的に見て日本の投資社会は厚みのあるものにならなければならないが、そのために、投資成果は金融事業者の企業成長に依存するという点に視点を置くべき。金融サービスの充実のためには、不確実性についてのモデリングとリスク解析の能力が不可欠だが、金融事業者の企業成長なくして、そのような基本的な投資はなされない。一般投資家については、金融環境において的確な判断をできる能力を備えることが重要であることから、層を厚くし、切磋琢磨、仲間内でのチェックが働く仕組みを社会で持つことが重要。

日本の金融業が海外で活躍していく場合にいろいろな面でやりやすい制度としていただきたい。金融商品に関しても新しいものが割合出やすくなるようにして、日本の金融業において、いろいろな新しいイノベーションが可能となるようにしていただきたい。取引所に関しても、どのような戦略で日本がアジアの中心となっていくかというような、グローバルな視点を持つべき。

商品の対象範囲の考え方は、基本的に大括りにして列挙型として、迅速性や柔軟な対応のために行政判断を効かせられるような設計にしようということが中間整理段階のまとめだったにもかかわらず、今の取りまとめの中では範囲だけの指定となっていることから、後者の部分である行政判断のルールに透明性をもたせるべき。

適合性原則の考慮要素として「投資目的」を追加することは適当と考えるが、表現としては「投資目的」よりも「投資の意向」とした方が適切ではないか。適合性原則のエンフォースメント面で民事効を定め、一定の推定規定や損害賠償規定を設けることを考える必要があるのではないか。エンフォースメントについては、行政による規制と司法による規制が車の両輪であることから、その両方に配意した構造になるべき。

適合性原則の考慮要素に「顧客の理解力」を追加する考え方は理解できるが、実務上の対応は非常に困難であると考えられるため、導入に関してはより慎重に議論すべき。プロとアマの区分に関しては、アマからプロに移行するにあたり、簡潔な手続と明確な基準を規定するべき。また、プロと認定された場合は、適合性原則の適用を明確に除外すべきであり、そのために、プロと認定する基準としてある程度高いバーを設けるべき。

プロとアマの区分について、一般投資家に移行可能な特定投資家の例に、地方公共団体や政府関係機関等が挙げられているが、このようなプロを雇う能力のある者に対して取扱を緩和すると、販売・勧誘の際、相手がどのカテゴリーに属するかが非常にわかり難くなってしまう惧れがあり、あくまで特定投資家として扱うべきではないか。

適用除外に関する行政の裁量性を狭くすることは重要な論点。投資サービス法の規制を適用しなければならない、すなわち、近代市民法の原則を修正しなければならないのは、著しい情報の非対称性や交渉力の差がみられる場合に限定されるのではないか。このような考え方を踏まえると、適用除外の基準として、(1)投資家がプロか、(2)投資対象に関する情報上の問題がどの程度深刻か、(3)資金運用者の裁量の幅や最終的投資を行う人間の能力がどの程度か、の3点ぐらいに整理できるのではないか。

取引所の組織については、各取引所が業務の内容などに応じて複数の選択肢から最適な体制をとることが可能となるように制度的な担保をすることが必要。自主規制委員会は自主規制業務を監督するための機関として位置づける必要があり、法律においてその位置づけを明確にすることが独立性の観点からはより望ましい。

市場で行われた悪質な行為の被害者救済という観点から、自主規制機関の位置づけをもう少し明確にすべき。その上で、事業の育成を図る業界団体とは別個に自主規制機関は設けられるべきであり、特に苦情紛争にかかわる部分については横断的に一つの自主規制機関が解決に当たる仕組みにしていただきたい。

以上

問い合わせ先

金融庁 総務企画局 市場課
電話 03(3506)6000(内線3619)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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