金融審議会金融分科会第二部会会合(第15回)議事録

日時:平成16年1月16日(金)16時00分~17時55分

場所:中央合同庁舎第四号館9階 特別会議室

○ 堀内部会長

それでは、ただいまから金融審議会・金融分科会第二部会の第15回目の会議を開催したいと思います。

大変長いこと空白があったわけで、大変久方ということでございますけれども、多数お集まりいただきましてどうもありがとうございます。

なお、本日の会議は公開とさせていただいておりますので、その点ご了解いただきたいというふうに思います。

それから、議事に入ります前に、一部の委員等の変更がございましたので、ご紹介申し上げます。成川委員に代わりまして委員をお引き受けいただくことになりました、木村裕士委員です。

○ 木村委員

木村でございます。よろしくお願いいたします。

○ 堀内部会長

どうぞよろしくお願いします。

それから、金融審議会の会長、金融分科会長及び金融分科会の委員の方々につきましては、この第二部会にもご自由にご参加いただけることになっておりまして、これは金融分科会議事規則第7条によることです。本日は金融審議会長でいらっしゃいます貝塚先生にもご出席いただいております。よろしくお願いいたします。

それでは、カメラ撮りの方はそろそろおやめいただけますでしょうか。

それでは、本日の議事に移らせていただきます。本日は、お手元の議事次第に沿いまして、保険に関する検討についてご審議いただきたいというふうに思います。

まず、生保、損保それぞれの保険事業の現状と課題につきまして、斎藤委員、角川委員からそれぞれご説明をいただきまして、続けて保険に関する主な検討課題(案)ということでございますが、これを事務局の方からご説明いただきたいというふうに思います。そしてその後に、ご説明いただいた後に、皆さんでご審議いただきたいというふうに思います。

それでは、まず斎藤委員からお願いいたします。

○ 斎藤委員

斎藤でございます。お手元の資料に沿ってご説明申し上げます。少々早口でのご説明になりますけれども、ご容赦をいただきたいと思います。

まず、資料の1ページ目をごらんください。こちらは、我が国における今後の高齢化を予測しましたおなじみの資料でございます。生命保険業界にとっての意味合いは、保障性商品の対象人口がさらに減り続ける一方で、年金、医療、介護商品の対象人口がふえていくということでございます。

2ページでございます。こちらは諸外国と比べまして我が国の生命保険市場が成熟している状況を示しております。日本は既に世界最大規模の生命保険普及国でございます。

3ページをごらんください。こちらは民間生保の保険金支払い額と社会保障給付額とを比較した資料でございます。平成13年度は民間生保合計で14兆3,000億円余りの保険金等をお支払いしております。これは社会保険から支出をされました額の23%に相当する金額でございます。特に遺族保障分野では3兆4,100億円余りをお支払いしておりますが、これは同じ分野の社会保障給付の74%に相当をいたします。

4ページをごらんいただきたいと思います。こちらは新契約の推移でございます。平成14年度はピーク時の平成3年度との比較で、約46%の減少でございます。一方、件数につきましては、医療保障や個人年金などの生存保障分野の新契約件数の増加によって底堅く推移をしております。

次に、5ページでございます。こちらは解約失効の推移でございます。最近、やや落ち着いてまいりまして、平成14年度はピーク時の平成9年度と比べて29兆円減少しております。平成15年度は上期にややふえたものの、通期で見ますと前年並みに落ち着くものと見込んでおります。ただし、依然高水準ではあると認識をしております。

6ページをごらんください。こちらは保有契約の推移でございます。平成8年以降は解約失効や保険金支払いなどによる契約の消滅が新契約高を上回る状態が続いておりまして、保有契約はピーク時より21%減少しております。これが逆ざやと並び、業界の最大の問題でございます。

このような中、今月より、日本郵政公社が民間生保の主力商品であります定期付終身保険に該当する商品の発売を開始しております。これまで簡保は養老保険等の貯蓄型が大半を占める一方で、民間生保は死亡や入院に備える保障型が中心でございまして、販売商品の構成が大きく異なっておりました。しかし、今回の新商品は市場の縮小が続く死亡保障分野のみならず、成長市場であります医療保障分野へも本格的に進出するものでございまして、民間生保との直接の競合という意味で、簡保の大いなる変質をもたらすものでございます。

過去10年、簡保の資産はほぼ倍増しておりまして、このペースで増加し続けますと、あと4年で民保全社合計の規模と同じになってまいります。厳しい経営環境の中、保有契約を毎年減少させております民保に対しまして、簡保は国家保証などの事業特典を背景にしてシェアを増加させてまいりましたが、今回の新商品によって一層民業を圧迫することを懸念しております。

7ページをごらんいただきたいと存じます。こちらは、大手生保10社の決算概況通知でございます。生命保険本業でのフローの収益状況を示す基礎利益は、平成14年度大手10社合計で1兆9,900億円余りという水準でございます。それから、表の2段目にございますとおり、キャピタル損失が平成14年度は前年度を上回る、約1兆5,800億となっております。

それから、表の下の方にございますとおり、平成14年度の逆ざや額は、1兆1,670億円であります。この巨額な逆ざやは、長期にわたる政策的な超低金利が大きく原因をしております。

実質純資産につきましては、主として株価の上昇等によって、15年度に入り増加に転じております。

8ページをごらんいただきたいと存じます。こちらは民間生保全社のバランスシートの状況でございます。平成15年度の上期に入りまして、実質純資産と合わせてみますと、平成14年度をボトムとして健全性がかなり回復してきております。この資料にはございませんが、大手10社の不良債権比率は0.91%という水準でございまして、その大部分が担保・保証・引当で保全されていることを考えてみますと、不良債権の影響については極めて限定的と考えます。

9ページをごらんいただきたいと存じます。生保各社は経営体力のより一層の強化に向けまして、従業員数や拠点数を大幅に削減する等経営効率の向上に取り組んできております。

続いて、10ページをごらんいただきたいと存じます。こういった経営効率向上の取り組みの結果、平成14年度の事業費は、平成4年度と比べ、約19%の減少となっておりまして、昭和63年度とほぼ同水準となっております。

11ページをごらんいただきたいと存じます。こちらは1999年以降の業界の主な提携・再編の状況を示しております。各社それぞれ経営の独自性を発揮しているところでございます。

12ページに入ります前に、以上を踏まえまして、生命保険業界の今後の課題につきまして、意見を申し述べさせていただきたいと思います。この部分は特に資料を用意してございません。

まず、制度面でございます。第一に、平成18年4月以降のセーフティネットのあり方について、保険契約者の保護等の観点からご検討をお願いしたいと考えます。

第二に、公正、公平な競争基盤が整備されますよう、無認可共済に関する問題についてご検討をお願いしたいと考えております。

第三に、特別勘定の資産保全、アウトソーシングのための基盤整備等につきましてご検討をお願いしたいと考えます。

次に、総合規制改革会議で平成15年度中に結論を得ることとなっております銀行の保険販売につきまして、最近の新聞等で盛んにその方向性が伝えられておりますので、私どもの考え方を申し上げたいと思います。

銀行の保険販売につきましては、保険業法275条におきまして、「保険契約者等の保護にかける恐れが少ない場合として、内閣府令で定める場合に限る」とされております。この考えに基づきまして、これまで生命保険分野に関しましては、住宅ローン関連の信用生命保険、個人年金保険等が認められ、銀行により販売をされてまいりました。この背景には、預金者にリスクが及ばないよう、本来の銀行業務に関連性の高い商品にとどめていくという考え方もあったというふうに理解をしております。

この取り扱い商品の制限を外し、保障性商品をも取り扱うことにつきましては、多くの問題をはらんでおりますので、この点を十分に踏まえ、極めて慎重な検討をお願いしたいというふうに考えます。

まず、指摘させていただきたいことは、個人年金等と異なりまして、保障性商品につきましては、銀行業務との関連性がなく、今、申し上げました預金者保護の観点から問題が生じ得ますし、一方各種調査の結果によりましても、利用者側のニーズもほとんどないという状況でございます。また、保険は10年単位で結果が見えてくるものでございますが、個人年金等についてでさえその解禁から1年余りしか経過しておらず、弊害の規模を見極めるには時期尚早と考えます。

また、銀行による保障性商品の販売は、保険業法のいう保険契約者等の保護上、極めて大きな問題をはらんでおります。保障性商品は保険金の不法取得を図るモラルリスク対策が肝要でございまして、いわゆる危険選択を水際で営業職員が何度も面接をする段階で効果的に行ってきております。一方、銀行の販売において同等に水際で、モラルリスクを見極めることは、手数料が目的なだけに、極めて期待しにくいことと思います。この結果、モラルリスクがかなりの規模で発生することが懸念され、引受会社の健全性への影響や保険契約者間の公平性が著しく損なわれるなどの恐れもございます。

また、特に取引先企業に対して優越的な地位を利用した不適切な販売が大いに懸念されるわけでございますが、この場合、年齢の経過とともに再加入が難しくなる性格の商品なだけめに、事後救済の困難さを伴う契約者被害の発生の可能性が高いというふうに考えます。

加えて、保険販売により入手をした医療・健康情報が銀行業務とリンケージして利用され、例えば取引先への与信面に影響を与えることが生じるのではないかというような心配もございます。

現在、生命保険業界全社の営業職員数は約28万人でございますが、銀行員で生命保険の販売資格である募集人登録をしている数は既に40万人にも上ります。一般の来店の規模は1店当たり1桁の募集人数であるのに対し、大手銀行ではこれが数千人から1万人以上という規模に達しております。ちなみに、このような規模で生保販売に直接銀行本体が乗り出している国の例は見られません。いわば、超大規模代理店が既に出現しているわけでございますが、顧客に対しての影響力のみならず、超大規模代理店として引受保険会社に対しても絶大な影響力を行使し得ることとなります。

生命保険商品では実態として募集人に契約締結の代理権というものを与えておりません。個々の契約をお引き受けするということは、引受保険会社自身がモラルリスクや医的選択を踏まえて最終的に判断をいたします。個人年金につきましては、モラルリスクの心配はほとんどございませんので、引受の最終判断は引受保険会社が行うものの、銀行を含む募集人が販売した時点で事実上取引が成立いたします。しかし、保障性商品につきましては、引受保険会社本部の判断が極めて大きなウェイトを持ってまいります。ここにおいて、超大規模代理店たる銀行が引受保険会社に対し影響力を発揮し、自己の顧客について医的選択の緩和等の圧力を加える懸念がございます。これによって、契約者間の公平性が崩れ、効率的な相互扶助機能が大きく劣化する恐れがございます。

保障性商品につきましては、個人年金と違って、少子高齢化等の構造的な問題によりまして、先ほどもご説明しましたとおり、そのマーケットが縮小しております。この点、個人金融資産において、その保有の拡大が見込まれます株式を銀行が取り扱うこととは大きく異なるものでございまして、約40万人もの募集人を投入してこの分野に進出することが利用者が特に望んでいるという状況にない中で、国民経済的にいかなる意義があるのか大いに疑問でございます。

なお、海外の事例を申し上げますと、欧州は制度として商品の制限はしておりませんが、実態として保障性商品のウェイトは1桁台前半のパーセンテージと、ほとんどネグリジブルという状況でございます。

一方、北米では、カナダではいかなる商品でも銀行が販売することは禁止されておりまして、米国でも預金者保護、そして保険販売の専門性等の観点から、銀行自身が販売できるのは個人年金どまりとなっております。こうした背景には、アメリカにおきまして、保険商品の販売時の顧客説明の義務につきまして、ある大手生命保険会社で邦貨にして3,000億円にも上る損害賠償事例が発生し、その後も似たような事例が相次いでいるということもあるのかと思います。つまり、保険について、引受でなく販売だけだからリスクはないというものではないという考え方かと思います。

総じて言えば、制度上も実態上も、我が国の現在の状況は個人年金の販売が開始されたことによりまして、海外のレベルと既に同じといってよろしいかと思います。銀行による保障性商品の販売の意義をワンストップショッピングに求める向きもございますが、弊社の新契約ベースでは、店頭来者で成約に至った件数は零点数%と、1%にも満たない状況で、消費者が決してワンストップショッピングを望んでいるものとは思えません。

このように、ワンストップショッピングのメリットが明確でない中で、銀行の保険販売の対象商品の拡大を行うことは、メリットに比べ弊害が極めて大きくなると考えられ、公益の均衡を著しく欠くものと思います。

したがって、現在までの実施状況が最大限のものでありまして、さらなる対象商品の拡大は行われるべきではないと考えます。

最後に、12ページをごらんいただきたいと存じます。社会保障にかかる財政が逼迫する中で、自助努力手段としての生命保険の果たすべき役割はますます大きくなると思われます。生命保険は最小のコストで将来の不確実性に備えられる唯一の手段でございまして、国民の安心と豊かで安定した社会づくりのために不可欠なインフラであると考えます。

生活設計、生活保障の核となる生命保険事業に対するお客様の期待が高まる中で、今後もお客様の負託に応え、より一層の努力を行っていきたいと考えております。

以上をもちまして、私の発表を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、角川さん、よろしくお願いいたします。

○ 角川委員

角川でございます。損害保険事業の現状と課題につきまして、資料に沿ってご説明申し上げます。

資料の構成でございますけれども、1ページから9ページに現状を、10ページから15ページに課題を記載してございます。

まず、資料の1ページ目、損害保険業界の概要をごらんいただきたいと思います。会社数でございますけれども、本年1月1日現在の損保の会社数は、国内が29社、支店形態など日本に進出している外国会社が25社でございます。国内会社29社のうちで5社が外資系ということでございます。

次に、損害保険の場合、代理店扱いでの販売が全体の9割以上を占めておりますけれども、その数は32万3,000店、真ん中に記載してございます。また、代理店などで募集に従事する者は164万2,000人となっています。

事業規模ですが、一般企業の売上高に該当いたします元受正味保険料は8兆9,000億円、また、総資産は30兆円といった規模の業界でございます。

種目別に申し上げまして、最もウェイトが高いのが自動車保険40.5%でございます。自賠責保険を含めますと、全体の54%が自動車関連の保険で占められております。

保険の普及率は自動車保険が71%、建物の火災保険49%などとなっております。

続いて、2ページと3ページ。元受正味保険料の推移でございます。3ページの右下をごらんいただきたいと思います。全保険種目合計での元受正味保険料の推移でございます。自由化による料率競争、また低金利が続く中で積立型商品の販売が不調ということもございまして、97年から以降5年間連続の減収となっております。しかしながら、2002年度において0.8%の増収となっております。

なお、元受正味保険料と申しますのは、元受保険から収入した保険料のことでございます。解約返戻金等は差し引いてございます。

4ページをごらんいただきたいと思います。代理店数と募集従事者数の推移でございます。10年前と比較いたしますと、代理店の数は、14万店減少しております。これは、損保各社が自由化による料率競争への対応の1つといたしまして、収益性の低い代理店の統廃合を行ってきたことなどによるものでございます。

一方、募集従事者数の方をごらんいただきますと、2000年に生命保険会社本体が損保会社の代理店となることができるようになったこと、また2001年、銀行窓口における保険販売が解禁されたということもございまして、10年の間に、58万人の増加でございます。

5ページをごらんください。世界各国の損害保険業規模の推移でございます。ここ20年以上にわたりまして、世界では第2位の規模、米国に次いで2位の規模、そういったマーケットであることをご承知いただきたいと思います。

次に、6ページをごらんください。こちらは損害保険会社の決算概況の推移でございます。正味収入保険料が、一番上ですが、伸び悩んでいる中で、正味支払保険金は、全体として増加傾向にございます。各社とも経営全般にわたる効率化に取り組んでおりまして、保険引受にかかる事業費、3番目でございますけれども、こちらは着実に減少しているということはごらんいただけると思います。なお、2002年度の正味収入保険料、これは自賠責保険の政府再保険が廃止されたという特殊要因がございまして、7%の増収となっておりますが、特殊要因を除きますと1.6%の増収ということでございます。

7ページをごらんください。規制緩和、自由化の進展を中心といたしまして、私ども損保業界の最近の動向をまとめたものであります。損保業界は自由化が急速に進展し、保険商品、販売チャネルが、大きく変化してきております。中でも保険料率の自由化、特に資料の98年の制度関係のところをごらんいただきますと、そこに算定会料率使用義務の廃止ということが記載してございます。これは、2年間の経過措置を設けて実施されたわけでございますけれども、私どもの経営に大きな影響を与えております。

具体的に申しますと、企業向けの商品では料率競争が激化し、さらに商品開発の自由度が高まったことに伴いまして、個別の企業のニーズに応じたオーダーメイド型の商品の提供が一般化することとなりました。

一方、家計向けの商品におきましては、価格面を含めた新商品の開発競争という形で競争が進んでおります。例えば自動車保険で申しますと、96年、日米保険協議の合意を受けまして、リスク細分型自動車保険の販売が認められまして、外資系など通信販売による新規参入が相次いでおります。既存の損保においては人身傷害補償保険の導入、各種補償内容の充実・拡大を図ることで対抗したわけでございますけれども、一部補償内容の拡大についてはその後損害率の上昇として、先ほどごらんいただきましたような形で収益に影響するものとなっております。また、商品付帯のサービスにつきましても、従来からのサービスに加えて、レッカー車の出動などのロードサービスがほとんどの会社で実施されるようになっております。このような自由化による料率競争、サービス競争の激化に伴って、各社の収益率が圧迫されるのは必至ということで、効率化が各社の大きな経営課題となっております。

また、2001年には代理店制度の自由化が実施され、代理店手数料が自由化されています。これをきっかけに独自の代理店制度を導入し、貢献度や業務能力が高い代理店を優遇するなど、代理店の自立や質の向上を志向した販売網の整備が各社で進んでおります。

次に、8ページをごらんいただきたいと思います。この資料は、損保業界の再編の動きをまとめたものでございます。算定会料率の使用義務が廃止されまして、料率競争、独自商品開発競争、サービス競争が激化するのに伴いまして、経営の効率化が各社の大きな課題となっております。実際に自由化が始まりますと、単なる保険料の引下げ競争よりは、むしろ商品開発力の差が会社の業績を左右するといったこともございまして、競争力確保のための商品開発力の向上の必要性が高まっております。

商品開発には、システム対応など多額の投資が必要になります。一方で、効率化が大命題である損保各社にとって、その負担は大きく、また単独では継続的な投資負担に耐えられなくなると考える会社が出てくるのも当然でございます。こうした背景のもとで、各社が再編に向けまして一斉に動き、資料の右にごらんのとおりの再編・提携が行われたということでございます。

次に、9ページ、私どもの販売チャネルの多様化ということをごらんいただきたいと思います。損保の場合、代理店による販売が全体の販売の92.6%を占めております。代理店のうち、保険の代理店だけを行っている専業代理店は、資料にございますように17.2%。また、例えば自動車ディーラーのように、他の事業を行っている副業代理店は82.8%となっております。

続いて、直接販売という販売方式でございますが、この中には直営社員による販売や、通信販売などが含まれております。全体に占める割合は7.2%でございます。ブローカーによる販売、これは全体では0.2%ということです。なお、右の参考のところに記載してございますけれども、損害保険の代理店は、損害保険会社を代理して保険契約を締結する権限を有しているということでございます。契約の締結権限を有していない生命保険の営業職員や、ブローカーとはそこが違っております。

以上が、損保事業の現状でございます。

引き続きまして、主な課題についてご説明を申し上げます。10ページは損保のセーフティネットの見直しについての私どもの案でございます。現行制度と書かれた図のところをごらんいただきたいと思います。現在の損保のセーフティネットは、損害保険会社が破綻したときに損害保険契約者保護機構が救済保険会社に資金援助をすることで、救済保険会社の出現を促す。このことで救済保険会社が破綻保険会社の契約を引き継ぐことで、契約の継続を確保し、これによって契約者の保護を図るということでございます。

損保の保護機構は、98年に設立されました。損保業界ではその1年半後の2000年5月に、第一火災が破綻し、さらに、2001年11月には大成火災が破綻しています。この2社の経営破綻を経験する中で、私どもでは、保険契約の継続を確保することよりも、保険事故が発生した場合に支払われる保険金を確保することの方が、損害の補てんを機能とする損害保険の契約者保護上重要であるという認識を持ったわけでございます。と申しますのも、現行制度では補償割合90%となっておりますが、例えば自動車事故で人を負傷させたといった場合に、契約者が高額の賠償責任を負うことも珍しいことではございません。これに対する保険金10%の削減ということでございましても、契約者にとって相当な負担になるということでございます。

こうした問題意識から、日本損害保険協会、外国損害保険協会は合同でプロジェクトチームを設置し、新しい制度の枠組みを検討し、昨年3月に報告書をまとめたものでございます。新制度案のイメージといったところに記載してございますけれども、損害保険会社の経営破綻後、一定期間経過後までに発生した事故については、保険金が100%支払われることを保証する。その間、契約者が十分な補償を提供する新たな保険契約に再加入するということを念頭に置いたスキームを考えたわけでございます。

損害保険も多様化しております。保険期間が長期の保険など、保険契約の継続を確保することが望ましいというものもございます。こうした種目については、特別な取り扱いをすべきではないか、またそうした取り扱いが破綻保険会社の契約者の自己負担のあり方として適当か、広く議論を行う必要がある。こういった提言も行っております。

私ども損保業界では、今回の検討結果に基づいて検討がなされるよう、要望してきております。契約者保護と契約者の自己責任とのバランス、また将来にわたる制度の安定的運用の確保といった観点を踏まえまして、支払保証制度の見直しを早急に実現していただくことを望んでいるわけでございます。

11ページ、12ページに報告の概要を記載させていただいております。

次に、13ページをごらんいただきたいと思います。この資料は、自然災害リスクへの対応のための責任準備金のあり方について業界で検討し、昨年7月にとりまとめた報告書の概要でございます。自然災害リスクにつきましては、世界的に大規模な自然災害が増加している傾向にある一方で、我が国においては、火災保険などで自然災害を担保する商品が増加しておりまして、加えて住宅ローン関連の火災保険が増加し、商品の長期化が進むなど、将来に発生する自然災害への備えが課題となっていること。これが検討の背景にございます。

報告書では、責任準備金による自然災害への備えをより有効なものにするために、普通責任準備金、異常危険準備金の追加的積立などを今後の選択肢として列挙しております。なお、これらの実現に向けては、データの整備を始めといたしまして、さまざまな実務的課題がございますので、こうした課題を踏まえまして、実現可能なものとしていく検討を行っていく必要があると考えております。

続きまして、14ページをごらんください。無認可共済問題について記載させていただいております。共済には大きく分けて根拠法のある共済と根拠法のない共済とございます。いわゆる無認可共済でございますけれども、この根拠法のない共済、無認可共済の中には、実質的に不特定の方を対象としている共済がございます。これにつきましては、保険業法に違反する可能性があることから、損保業界として問題意識を持っているということでございます。根拠法がなくて、監督官庁も存在しない共済制度には、情報開示がなされていないケースが多くございます。また、破綻した場合に備えるセーフティネットもないということです。実質的に不特定の方を対象に募集行為を行っている場合には、消費者保護上問題となる可能性があるということでございます。私どもといたしましては、消費者に被害が発生しないよう、事前の対策を求めていくこととしております。

最後に、15ページの盗難防止の取組みをごらんください。ここ数年、自動車盗難が急増しているということがございます。損保業界では官民合同での盗難防止の取組みを行ってきたところであります。また、自動車盗難以外にもピッキングによる家屋侵入、カード犯罪の増加など、社会問題となっております。

こうした犯罪との闘いに、私どもの業界としても少しでも寄与したいという思いから、10月7日を、盗難防止の日と定めまして、昨年から全国的な取組みを展開しております。

私の説明は以上でございますけれども、先ほど斎藤さんの方から銀行の保険窓販についてお考えを述べておられますので、私からも若干触れさせていただきたいと思います。

私どもといたしましては、全面解禁には反対ということでございます。少なくとも時期尚早であろうと考えております。私ども、従前より申し上げているところでございますけれども、銀行という特別な地位、すなわちお客様に対して大変強い影響力のある立場、こういったことを利用した販売に対する懸念からでございます。一次、二次とこれまで余りそうした懸念がない商品で実績を積んでいただいておるわけでございますけれども、果たして一挙に拡大して大丈夫なのか、お客様保護上本当に問題がないのか、この点を含めまして、本件については、慎重にご議論いただきたいということでございます。

以上でございます。どうもありがとうございました。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして、事務局よりご説明をいただきたいと思います。

○ 安居保険企画室長

保険企画室長をしております安居でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

事務局の方からは、2つ資料を用意させていただいておりまして、1つは検討課題(案)という3枚の紙と、それから、参考資料という1つづりがございます。これから、事務局といたしまして本部会でご検討いただいてはどうかと思う課題につきまして整理したこの検討課題の案というもの、基本的にこれは読み上げる形で進めさせていただきたいと思います。若干、今、ご発表いただきましたものと重なる部分がございますけれども、その点はご容赦いただきたいというふうに思います。また、折にふれて、参考資料というのを使ってまたご説明を加えていきたいというふうに思います。

それでは、この「保険に関する主な検討課題(案)」というものでございますが、大きく3つございまして、1が保険商品の販売のあり方。1ページめくっていただきまして、2とありますのが、保険会社のガバナンスのあり方。その下あたりですか、3とあります、保険契約者等の保護のあり方、3本立てでつくっております。では、順に読み上げて進めさせていただきます。

1.保険商品の販売のあり方

(1)保険商品の販売チャネルの将来展望

a.保険商品市場の動向や保険会社の多様化(生損保相互参入、外資系保険会社の参入)を踏まえ、保険商品の販売チャネルは今後どのようになっていくと見込まれるか。特に、欧州で一般的な銀行等の販売網を活用した販売や、国際的に広がりが見られるインターネット等を通じた通信販売など新たな販売チャネルのメリットとリスクについて、どう考えるか。

b.保険仲立人(ブローカー)を通じた販売は、米国や英国においては主要チャネルの一つとなっているが、我が国では平成8年の制度導入以降、未だ揺籃期にある。この販売チャネルの今後について、どう見るか。

c.保険商品を取り扱う代理店のうち、関係企業グループ内の企業やその従業員の保険を取り扱う「機関代理店」は我が国に特有のものと言われるが、こうした機関代理店の合理性、問題点や将来性について、どのように考えるか。

すみません、参考資料の方をちょっとごらんいただきたいと思いますが、参考資料の方の1ページ目、生命保険の分野での各種類別の新契約の件数と金額の表でございます。先ほど斎藤委員の方からご説明ございましたとおり、全体としては厳しい状況にございますけれども、中でも上の方にあります終身保険でありますとか定期付終身保険、以前に比べて件数、それから金額ともにやや減ってきているという状況にございます。ただ、その一方で、やや下の段、その他の保険でございます、例えば医療保険・ガン保険でありますとか、介護保険、これはどちらかというとふえてきてございまして、そういう意味では生存中のリスクに対応したような保険というのはむしろ市場が拡大しているというのが読み取れると思います。

次のページを見ていただきますと、これは損害保険の方でございますして、これは本当に先ほどのご説明と重なりますけれども、全体としては、一番下の欄ですけれども、マーケット自体はまあまあ、やや減少しているような状況にございます。ただ、数字では必ずしもあらわれませんが、それぞれの中で非常に多様な商品が出てきているというのは、特に平成10年の、先ほどのご説明にもありました算定会制度の改革以降目立った傾向だというふうに思っております。

その次のページ、3ページを見ていただきますと、これは生命保険の方の販売体制についてのグラフが書いてございまして、一番上のグラフは営業職員の数の推移を書いてございます。これは、見ていただきますと、すぐにおわかりのとおり、ずっと減少が続いているという傾向でございます。真ん中、一方、代理店の方も代理店の数という意味では、法人代理店は若干ふえているんでございますが、個人の方は減っていると。その一方、代理店が使っている代理店の使用人の数、折れ線グラフでございますけれども、それは若干ふえている傾向にございます。先ほどのご説明にもちょっとございましたけれども、平成13年から14年にかけて代理店使用人が40万人ポンとふえておりますけれども、これは銀行の窓販が始まった影響でございます。

一番下でございますが、そうはいっても現状を見ますと、営業職員の方が売ってるものがものすごく圧倒的に多いと。直接販売でありますとか、代理店のものも若干ございますけれども、圧倒的に営業職員の方がたくさん売ってらっしゃるというのが現状でございます。

次の4ページ目を見ていただきますと、損害保険の方でございますが、これも先ほどのご説明のとおり、代理店は整理統合が進んでだんだん減ってきております。募集従事者を見ましても、こちらの方は8年か12年かけて若干の減少ですが、そこからまた銀行窓販が始まったことの効果で非常にふえている。その下は販路別の正味保険料の推移を見ておりますけれども、代理店が90%を超える非常に大きなポジションを占めております。仲立人が、平成8年に始まっておりますけれども、非常にまだ小さいポジションになっているというのが現状でございます。

では、すみません、また検討課題の方に戻って読み上げを続けさせていただきます。1ページ目の真ん中あたり。(2)でございますが、保険商品の販売規制のあり方

a.保険商品の販売チャネルの多様化や金融商品販売法の施行等の業態横断的な規制の動きなどを踏まえ、今後の保険商品の販売規制のあり方について、どう考えるか。

b.銀行等による保険商品の販売規制については、「規制改革推進3か年計画(再改定)」(平成15年3月閣議決定)において、規制の緩和に関する検討を行い、平成15年度中に結論を得ることとされているが、保険契約者の利便性の向上の観点や銀行等の影響力に基づく不適切な販売といった弊害の懸念等も踏まえ、どのように考えるべきか。

c.保険商品の販売については、自己契約規制や構成員契約規制といった、保険商品の特性を踏まえた特有の規制が設けられているが、こうした規制の合理性や見直しの必要性をどのように考えるか。これらのほかに見直しを検討すべき販売規制はないか。

すみません、また資料の方を見ていただきますと、5ページですが、非常に簡単にですけれども、保険商品に係ります現在の主な販売規制についてまとめてございます。大きくわけまして2つございまして、1つはその保険業法に、例えば一番上にありますとおり、登録を受けた者しか保険募集をしてはいけませんといったような規制、その他保険に着目した規制というのがございます。

その一方で、最近、その下の2つでございますけれども、むしろ横断的な規制、金融商品に横断的な規制、ないしはそれよりも広い規制、ないしは包括的な消費者保護という観点からの規制ということで、金融商品の販売等に関する法律ないしは消費者契約法に基づく横断的な規制というのも出てきているのが現状でございます。

次のページを見ていただきますと、規制改革推進3か年計画、昨年3月28日に閣議決定したものでございますが、その中で保険商品の販売規制にかかるものが2つ、上記の記述がございまして、1つは、銀行等による保険商品の販売規制の更なる緩和というものでございまして、先ほど申し上げましたとおり、平成15年度中に結論を得、所要の措置を講ずるということになってございます。それから、もう1つは生命保険につきまして、基本的には法人代理店がその構成員といいますか、その従業員に対して生命保険を売ってはいけないという規制がございます。それが構成員契約規制でございますけれども、これにつきまして、見直しの検討を進めろという旨が書いてございます。

それでは、また急ぎ足で本当に申しわけありませんが、検討課題に戻っていただいて、次のページの方に進みたいと思います。2としまして、保険会社のガバナンスのあり方というのが大きな次の話題でございます。

(1)保険会社のガバナンスに関する論点

a.外資系保険会社の進出や業態間相互参入による保険子会社の設立により、保険株式会社の中には一人株主の会社も少なくないが、こうした場合でも保険契約者の利益が経営に適切に反映されるガバナンスの仕組みにはどのようなものがあるか。

b.相互会社においては、社員たる保険契約者の利益に合致した経営を確保するための装置として、総代会、評議員会、契約者懇談会等の様々な機構が設けられているが、これらの役割や実態について、どう考えるか。また、近年国際的に見られる相互会社の株式会社化の動きについて、どう評価するか。

c.平成15年の保険業法の改正等により保険会社についても委員会等設置会社制度が導入されているが、その活用についてどう考えるか。また、外部からの経営者の規律付けの観点から、市場における保険会社間の競争やこれを支えるディスクロージャーの役割について、どう考えるか。

またすみません、行ったり来たりして申しわけありませんが、資料の8ページを見ていただきたいと思います。皆様よくご承知のとおり、保険会社につきましては、相互会社と株式会社という2つの形態がございまして、左の方を見ていただきますとおわかりいただけますとおり、保険会社につきましては、生命保険で7社今相互会社がございますが、実は、大部分の29社が株式会社の形態でございます。それから、損害保険会社の方は、以前は相互会社もございましたけれども、現在は29社全部が株式会社と。外国保険会社は除いておりますけれども、そういうような状況になってございます。

それでその右側ですが、そのうち、保険株式会社の株主数というのを調べてみますと、生命保険会社ですと7割が、損害保険会社でも5割弱が株主が1人という状況でございまして、そういう意味ではガバナンスを考える点で、よくこの点を頭に置いておく必要があるだろうなというふうに考えております。

それから、2枚めくっていただきまして、資料の10ページの方でございますけれども、もう一方、相互会社の方でございますが、相互会社につきましては、企業の所有者と保険契約者が一致しておりますので、一人株主、ですから株主の影響が強すぎるという問題は生じないわけでございますけれども、それに対していわゆる典型的なコーポレートガバナンスの問題であります経営者と所有者の間の利益相反といったような問題をどうハンドリングしていくかという問題は見込みます。特に相互会社では、必然的に収益が小口化いたしまして、それからまた株式会社のようなテイクオーバーの可能性もないということで、どういう形でガバナンスをきかせていくかというのが常に問題になってまいりました。

そこで、いろいろな、これまでの歴史的にいろいろなものを、いろいろな装置を考えてございますけれども、ぱっと見ていただいたらおわかりのように非常に複雑な構造になってございまして、少しその各装置の役割を考え直してみる必要がないか。また、真ん中に点線で囲っておりますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、委員会等設置会社の制度も入っておりますけれども、今のところこれは活用されている状況にはございませんで、そういったものも含めてもう一回考え直してはどうかというのがここでの問題でございます。

それでは、また検討課題の方に戻っていただきまして、真ん中あたりで、(2)総代会のあり方。

a.総代会が相互会社における社員自治機能をより適切に発揮できるように、これまでも、総代の構成上のバランスへの配慮や選出方法に係る透明性向上、契約者懇談会との連携等の運営面での工夫などの改善が図られてきているが、現状の総代会が果たしている機能について、どのように評価するか。

b.相互会社の最終意思決定機関として多様な保険契約者の利益を代表するべき総代会について、さらなる機能強化のための工夫は考えられないか。

先ほど見ていただきましたとおり、相互会社についてはさまざまな装置がありまして、もちろん、その中で非常に大切なのは総代会でございまして、これがいかにきちんと機能していくかということを確保していく必要があるわけであります。去年成立いたしました保険業法の改正におきまして、予定利率の引下げということに決まったわけでございますけれども、そこでも相互会社の機関意思決定としては総代会がやるということでございますので、総代会の役割というのはますます重要なものになってきていると思われます。

そこで、資料の方の12ページを見ていただきますと、平成13年6月にこの部会におきまして作成いただきました「生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告」という中でも、真ん中、ここに書き抜いてありますとおり、総代会制度の充実というのがございまして、こういったものの中でも必ずしもすべてが実現されているわけでもございませんで、もう一度改めて総代会、一体どういうふうにしていったらいいのかということをご議論いただいたらどうかというふうに考えております。

それでは、また検討課題の方に戻っていただきまして、2ページの真ん中から下あたりでございます。3.保険契約者等の保護のあり方。

(1)自然災害リスク等に係る責任準備金の積立ルール等の整備。これはやや技術的な部分で申しわけありません。

a.損害保険分野では、市場の発展により保険が担保するリスクの量は拡大しているが、他方で近年大規模な自然災害が増加しており、多額の保険金支払が必要となる事態も生じている。こうした中で、保険会社による充分なリスク管理を確保する観点から、適切な責任準備金の積立ルールのあり方について、どう考えるか。また、同様の観点から、国際的に展開する再保険取引に係る会計処理ルールについて、一層の明確化・適正化が必要と考えられるがどうか。

b.生命保険分野では、近年急速な拡大が見られる変額年金保険について、保険会社が年金支払開始時等における元本保証を提供するものが少なくない。こうした場合についても、保険会社における十分な責任準備金の積立てが必要であり、積立ルールの整備が求められると考えられるがどうか。

c.これらの他に、適正な責任準備金の積立ルールの確立が求められる分野はないか。また、責任準備金以外の準備金について、積立ルール等を見直すべきものはないか。

資料の方ですと13ページ。多くの先生方には釈迦に説法かもしれませんけれども、保険会社の貸借対照表を絵にしてございます。この中で、保険会社のソルベンシー、健全性というときには、資本の部を中心としたソルベンシーの問題というのが非常に重要なんですが、その一方で責任準備金といわれるものが負債で大きなポジションを占めておりまして、これをいかにきちんと積んでおくかということも実は非常に重要なんだということを一言言いたかったためにつくった資料でございます。

もちろん、保険各社では自分たちのアクションのチェックも受けましてきちんと責任準備金は積んでいるはずでございますけれども、そこはきちんとした共通のルールをつくって、積立が不足しないようにやっていく分野というのもあるのではないかというのが、ここの認識でございます。

検討課題の方に戻っていただきまして、3ページ目の上あたり。(2)保険契約者保護制度の見直し。それから、(3)の無認可共済への対応と、これそれぞれ、先ほど斎藤委員と角川委員からご説明がありましたので、ざっと読み上げて終わりたいと思います。

a.保険契約者保護機構制度は、保険会社が破綻した際にその保険契約の移転等に対して資金援助等を行うことにより、保険契約者等の保護を図る仕組みである。このうち、生命保険会社の保険契約者保護機構については、平成15年の保険業法の改正により、平成17年度までの3年間の措置として、政府補助も含めて5,000億円の財源が用意されている。平成10年の制度創設以降の運用状況や、保険監督手法の充実、保険会社の破綻処理法制の整備等も踏まえ、平成18年度以降の財源措置のあり方を含めた保険契約者保護機構制度の見直しについて、どのように考えるか。

b.現行の保険契約者保護機構制度は、他の保険会社への移転等により保険契約の継続を確保することで保険契約者を保護することを基本としている。他方、保険期間が短期である自動車保険等の損害保険については、保険契約の継続よりも、破綻後の一定期間について保険金の支払いを確保する方式の方が適当であるとの指摘があるが、どう考えるべきか。その際、損害保険会社も長期の貯蓄性商品を取り扱っていることや、医療保険等のいわゆる第三分野商品は生命保険会社も取り扱っていることについて、どのように考えるべきか。

(3)無認可共済への対応

a.特別な根拠法に基づかず設立された任意団体で共済事業を行う、いわゆる「無認可共済」については、これまで自発的な共助を基礎とするものであり、その契約者を保護するための規制は基本的に必要ないとされてきた。しかし、近年こうした事業の規模や形態が多様化しており、消費者保護の観点等から規制を求める声があるが、これについてどう考えるか。

b.仮に、規制が必要とする場合、どのような規制が適切か。保険会社の保険商品と同等の商品を広く多数の者に提供するような無認可共済が出てきており、一部では保険会社との競合が見られることも踏まえ、保険業法による保険会社の規制との関係をどのように考えるべきか。

いろいろ資料をつけてございますけれども、私の方からの説明としては以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、これまで生損保からの委員のご説明、それから事務局からのご説明いただきましたが、これを踏まえまして議論したいと思います。ご意見、ご質問等がございましたら、ご議論していただきたいと思います。いかがでしょうか。

どうぞ、木村委員。

○ 木村委員

新人でございますので、まず、私ども労働組合の立場としましては、勤労者の立場ということもありますが、委員の名簿等を見ておりますと、一般消費者代表という肩書の方が余りいらっしゃらないというような感じがしますので、消費者に近い立場でこの議論に参加をさせていただきたいというふうに思っております。

3点ばかり、今の時点でのご意見を申し上げたいと思います。

1つは、窓販の関係でございます。今、銀行の窓口でいろいろ選んで契約できる保険がふえるというのは、ワンストップショッピングということで、その部分を見れば消費者側のメリットの1つになるというふうに思います。また、銀行の収益回復にもつながるのかもしれません。

ただ、一方で大きな懸念もございます。連合では、労働相談ダイヤルという相談窓口を設置しているのですけれども、ここには組合員とか組合からいろいろな相談が持ち込まれてまいります。その中に、銀行の方から、3月決算は何が何でも赤字にするなと言われた経営者が、労使交渉の末、ようやく妥結をした一時金の支払いを繰り延べてほしいというような提案を組合にしてくるといったこともございました。また、連合が行いました調査によりますと、金融機関から雇用調整に関して何らかの関与なり圧力があったかということを聞きますと、従業員数100人未満の企業では十四、五%あったというふうに答えておりますし、従業員数10人未満の零細企業ですと、40%ぐらいがそういうことがあったというふうに答えておりまして、銀行の持つ圧倒的な影響力なり圧力というものがうかがい知れるということでございます。すべての銀行がそういうことではないというふうには思いますが、報復措置を恐れて口を閉ざしているということもあり得るでしょうから、潜在的にもそういう話はまだまだあるのではないかというふうに思います。

これを考えますと、何が何でも全面解禁ありきという議論を進めることには若干異論といいますか、反対せざるを得ないということでございます。

議論を進めるに当たりましては、その現状の把握を十分にしまして、先ほども現状と課題ということをご説明いただきましたけれども、きちんと問題点を明らかにしつつ、必ず光と陰、メリット、デメリットがあるわけでございますから、それを明らかにしまして、デメリットを極小化することが可能かどうか。あるいは消費者にさらにいいサービスが提供されるようになるかどうか。あるいは将来にわたって、この銀行も生保も損保も競争力ある事業モデルが構築されるようになっていくのか、展望を持ちつつ、先のスケジュールも明示しながら、できればステップを踏みつつ、その各段階でメリット、デメリットを検証しながら慎重に進めていくことが必要ではないかというふうに思っております。

銀行の圧力販売とか融資抱き合わせの販売とかいったものをどう防ぐかということも考えなければならないし、罰則規定の強化とか、あるいは行政の日常的な監督機能の強化もあわせまして議論をしていかなければならないのではないかというふうに思っております。

今、貸し渋り、貸し剥がしホットラインというのが設置をされておりますけれども、金融庁の中に銀行による保険の圧力募集を受けたというような顧客からの訴えを受ける匿名のホットラインをつくるなどのさまざまな工夫が必要ではないかというふうに思います。それから、銀行自身もこの募集や事務などの保険業務全般を消費者サイドに立ってきっちり遂行できる体制もできるのかどうかも含め、議論を進めていくべきではないかと思います。

それから、消費者保護の観点からは、これはもう少し大きな話になってしまいますが、あらゆる金融商品を対象とします包括的な金融サービス法を制定するといったことも議論に値するのではないかというふうに思います。

もう1点は、保険契約者保護制度でございます。この見直しにつきましては、やはり契約者保護の視点を最優先にすえて議論すべきというふうに思います。例えば財源問題を入口にした見直し議論では、本来の趣旨に沿う制度にはならないのではないかというふうに思います。ただ、この契約者保護ばかりに重点を置けばいいかといいますと、この見直しがペイオフの後に実施されることになるだろうというふうなことも考えますと、必要以上にこの保護的なものになってもどうかと思いますし、保険会社にとっても契約者にとっても、あるいは監督指導する行政にとっても甘えを許すような制度であってはならないというふうに思います。消費者が保険会社の経営状態をどうなってるんだということで関心を持つようになって、一定の自己責任のもと、自分でしっかり判断して商品なり会社を選ぶことができるように、あるいは、一方で、消費者に選ばれるための一層の経営努力を保険会社に促すような仕組みになるように、そして結果として契約者保護にきっちりつながるよう検討すべきではないかというふうに思っております。

今、公的年金の議論が一方で盛んに行われておりますけれども、保険というのは国民が安心なり安定のある生活を営む上で最後の頼みの綱でもございますし、生活の支えであるというふうに思います。この保護制度というのは保険契約者が安心して加入し続けられるように見直すべきというふうに考えております。

それから、無認可共済につきましても、連合としましては、こういう共済を含むあらゆる金融商品が、金融庁が一元的に監督指導していくべきというふうなことを言い続けてまいりましたが、ただそういう望ましい姿を期待する一方で、現実に共済の理念を逸脱したマルチ商法まがいの無認可共済などが問題を起こして社会問題にまでなっているという現状を考えますと、やはり無認可共済問題は喫緊の課題として議論をしっかりしていくべきだというふうに考えます。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

どうぞ。

○ 永易委員

東京三菱銀行の永易でございます。

今回、銀行窓販等の規制緩和というのがとても大きなテーマになっておりますので、銀行界の意見を申し述べたいと思います。

斎藤委員とか角川委員、木村委員、いろいろ難点といいますか、特に木村委員の方は銀行そのものの圧力がかかるという発言をされましたけれども、その点につきましては、1つ1つご説明申し上げたいところですが、今回は本部会でございますので、ワーキング等でその件については触れさせていただくという形にさせていただきたいと思います。

本題の方でございますけれども、私ども銀行といいますか、いろいろなことをやっていていろいろなことを言われるわけでございますけれども、着実に規制緩和が進んでいるのは事実でございまして、私どもが提供する金融サービス商品の幅、これは着実に広がっているというのは紛れもない事実でございます。

ご高承のとおり、投信の販売等は平成10年12月、5年前でございますが、あれから5年たつわけでございますけれども、株式投信に関しましては13兆円ぐらいのロット、これは全体の4割ぐらいなんですね。このぐらいのシェアを持つに至っている。

ただ、ここで申し上げたいのは、株式投信市場もそれにつれて大きくなっております。したがいまして、証券会社さんのマーケットを取ったということではなくて、市場の活性化、投資活動の拡大、こういうところで大いに貢献できたのではないかというふうに思っているわけでございます。

保険商品に関しましては、先ほどお話ありましたけれども、13年4月から徐々に解禁されて、14年10月、ここでも拡大されたわけでございますけれども、依然として商品は個人年金中心ということで非常に限定されているということでございます。

一方、お客様のニーズの方でございますけれども、これはご高承のとおり、多様化、高度化しておりまして、法人、個人を問わず、ワンストップショッピング、この実現による利便性向上への期待、ご要請、こういうものは非常に強いものがございます。

14年10月、先ほど申し上げました、ここで解禁が認められました個人年金保険でございますけれども、これはちょうど1年になりますけれども、1兆7,000億。先ほどの表にもちょっと出ておりましたけれども、銀行の窓販が保険商品の販売にあたりましても、有力なチャネルになることを実質で示していると思います。特に、先ほど出てきた変額年金保険でございますと、これでマーケットが一気に膨らんだということはいえると思います。

実際は引受の保険会社さんとも非常に協力関係がございまして、実際の従業員の教育ですね、実際販売する人の教育、資格の取得、根幹体制の整備、こういうところではご協力をいただいて、しっかり取り組んでいるつもりでございます。

したがいまして、苦情等は大きなものは出ておりませんし、非常に適切に販売させていただいているものというふうに考えております。

実際、お客様のニーズというのは、少子高齢化とか個人のライフスタイルの多様化を受けて、非常にライフステージ、これに応じた金融商品の提供を求められているわけでございます。こうしたニーズに応えるためには、やはり運用性商品だけではなくて、保障性商品、先ほどちょっと出てまいりましたけれども、このあたりも非常に重要な要素ということでございます。

したがいまして、販売チャネルと競争促進、それと顧客利便の向上、こういう観点から、ぜひ本部会並びに保険の基本問題に関するワーキング等において、この問題につきまして十分ご審議いただきまして、ぜひ早期に全面解禁、これをお願いしたいというふうに思っております。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございますか。

では、原委員、どうぞ。

○ 原委員

先ほどは木村委員でしたでしょうか、消費者側の委員がというふうなお話があったのですが、今、肩書が大学の名前になっていますけれども、以前消費者団体に所属しておりまして、今も金融オンブズネットという消費者グループを組織して活動をしております。消費者という観点から意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。

今回のいろいろな課題というのは、これまで私どもの方でぜひ取り上げてほしいというふうに言っていたものが、すごくブランクが空きましたけれども、ようやく取り上げていただいたという、かなり網羅的にたくさんの項目が挙がっていますので、ワーキング、どれぐらいの時期、どれぐらいの回数、頻度をかけてというのがまだ発表にはなっていないのですけれども、ぜひ精力的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

内容については、ここに掲げられているものについてはすべてやっていただきたいというふうに思っておりますけれども、2つほど強調しておきたいというふうに思っております。1つは無認可共済についてなのですが、手元に持ってきたのですけれども、各地の消費者センターに寄せられた無認可共済のトラブルというのが、国民生活センターのパイオネットに収集されているのですけれども、これを情報開示の請求をかけて出していただきました。おととしの4月から去年の6月までということで、1,200件のトラブルが寄せられています。

内容的には2つに分けられていて、1つはやはりマルチですね。販売方法に問題があるというマルチタイプのもの。それから、2つ目は、共済を掲げていらっしゃる組織の弱体性、財政的な弱体性だとか、情報開示の不十分さだとか、そういったところによっているかと思うんですけれども、給付の段階になって思っていたものと違ったとか、追加を要求されたとか、破綻をしてしまったとかというようなトラブルが寄せられています。ただ、この後者の方のトラブルについては、これは共済といっても長期にわたるようなものについては、まだ給付の段階に至っていないので、潜在的な苦情というのでしょうか、そういうものがかなり含まれているのではないかという。まだ表に出てきていないけれども、将来的に相当大きな問題になってくるのではないかというような、少し、このボリュームの多さを見ますと感じておりまして、ぜひ早急にその対策をとっていただきたいというふうに思っております。

また、先日の新聞報道にも内容的なところまでちょっと踏み込んで、対象者の特定というところをどのように考えるのかというところが非常に難題だというふうに掲載されていたんですけれども、ぜひそのあたりも強力に踏み込んで、検討していただきたいというふうに考えております。

それから、2つ目は、銀行での窓口販売の拡大ということなのですが、保険会社の方、それから銀行の方、それぞれご発言があったのですが、私はいずれのご発言にもちょっと不十分さを感じています。生命保険とか損害保険の会社からすれば、消費者側にいろいろなチャネルを通じて販売をしていくというのは1つの道としてあると思うんですね。それは、販売員を通じてでもあるでしょうし、それから通信販売もあるでしょうし、銀行もあるでしょうしと、いろいろなチャネルの多様化ということが、やはりこれからの流れの中ではもうそれは出てくるということになって、保障性の生命保険だけ、ではなぜ販売しないのかというところになると、なかなか理由として難しいというようなところがあるかと思います。

ただ、ご発言の中にあったように、圧力販売の話とか苦情だとか教育だとかというような話のところでは、私自身も懸念というようなものは持っているわけですけれども、ただそれは販売をやめるということではなくて、そのあたりの手当がまだ不十分であるということだというふうに思っておりまして、実際に複雑な生保商品が出てきておりますので、そういうことがきちんと説明ができるようになっているのかとか、それから、長期の契約になるけれども、それに対応できる体制がとれているのか。それから、個人情報の遮断ですね。預金のところと、それから保険のところでの情報の遮断が適切に行われているのか。それから、苦情がきちんと拾い上げられる体制になっているのかですね。これについては、もちろん銀行でも苦情相談窓口ですとか、それから銀行協会ではよろず相談所を設けていらっしゃいますけれども、必ずしもこれが、今、金融トラブル連絡調整協議会で各金融機関の苦情を取り扱うモデルをつくったところですけれども、果たして、モデルはできましたけれども、どこまで機能しているのかというところではまだ課題を抱えておりまして、そういう意味では、そういった苦情とか紛争の解決の仕組みであるとか、それから木村さんの方でおっしゃられたもっと全体的な包括的、横断的な金融サービス法の制定の議論ということですね。この中に不招請勧誘の問題ですとか、そういった情報の遮断ですとか、適合性の原則とか、こういうものを盛り込んだ形のものを制定をしていくと。これは、ここは、第二部会ですけれども、第一部会では投資サービス法というような今概念を検討していらっしゃいますけれども、そういった動きとも合わせて、規制緩和後の消費者保護のルールというところを定める時期に、今来ているのではないかというふうに考えております。そういったところの手当を十分していただきたいと思っております。

あと、セーフティネットのあり方ですとか、それから総代会の意思決定のあり方というようなあたりは、ぜひ検討していただきたいと思います。

それから、長くなって大変恐縮なんですが、この後はワーキングに移るというふうに思うんですけれども、多分3か月、4か月、集中的におやりになると思うんですが、全く議論が外に見えてこないというところを非常に懸念をしておりまして、これは予定利率引下げのときも申し上げたんですけれども、あのときはワーキングもない形で決着というところになりましたけれども、やはりこの生命保険、それから損害保険の話というのは国民にとっては大変大きな関心事ですね。やはり8割から9割の方が加入していらっしゃるということになりますので、ぜひ国民に見える形で議論を尽くしていただきたいというふうに考えております。

長くなりましたけれども、以上です。

○ 堀内部会長

どうぞ、高橋委員。

○ 高橋委員

事務局にご質問させていただきます。

まず、今後の検討の時間配分についてお伺いします。いずれも重要な検討課題でございますが、限られた時間の中でどのように割り振っていくのかについてご質問したいと思います。

銀行による保険販売や構成員契約規制の件は、昨年3月に規制緩和推進3か年計画の中で示されている課題ですが、さかのぼりますと、毎年3月に年中行事のように先送りされてきていると私は認識しています。時間切れで先送りとか、あるいは座長と事務局に一任というのは民主的ではないと思いますので、当部会でプライオリティーをつけて、ワーキングに検討依頼をすべきだと思います。その点、どのようにお考えなのか。もし腹案がおありであれば、この場で示していただいて検討したらどうかと思います。以上が1点目です。

2点目ですが、検討課題は保険業法や銀行法の枠組みの中での検討で十分であるとお考えなのかどうか、お伺いします。また、当部会のみの検討でよいというふうにお考えなのかもお伺いしたいと思います。

といいますのは、以下、意見でございますけれども、銀行が保険を販売することに関しましては、顧客情報、個人情報の保護の問題がございまして、この点は金融審議会では特別部会の検討マターになっているわけですね。また、第一部会では銀行の株の販売に関して検討しているわけですが、銀行がさまざまな金融商品の販売を行うということに関して、各部会でばらばらに検討するのではなく、銀行業のあり方の問題として検討すべきと思います。

さらに言えば、銀行が自賠責保険を販売するかどうか知りませんが、もし販売すれば自賠責制度部会に関わってくることです。セーフティネットも今後議論していくと思うのですが、銀行が各種の金融商品を扱いますと、預金保険の対象のもの、投資者保護基金の対象のもの、契約者保護機構対象のものが混在し、消費者側からすると大変わかりにくくなります。この辺の整理をどうつけるのか、消費者保護の立場からきちんと検討すべきだと思います。販売勧誘ルールの整備こそが、保険の販売チャネルの規制緩和の前提条件であると思うのですけれども、現行の部会構成で行うのなら、ワーキングでの検討結果を部会に上げ、各部会の検討を金融分科会に上げて、責任ある議論をすべきです。1つめの質問とも絡みますが、時間の制約の中でどのようにお考えなのか、事務局の考え方をお聞きしたいと思います。

3点目、最後ですけれども、現状認識についてお伺いします。検討課題のペーパーの1の(2)bに、「保険契約者の利便性の向上の観点」と「弊害の懸念」という表現がございます。私は、保険に関する検討をしていく上で大事なことは、消費者利便ではなくて、消費者利益の実現の方向を目指すべきだと考えているのですけれども、「消費者の利便性」についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

それから、銀行においては既に個人年金保険の販売がされていますが、銀行の保険販売はよく窓販、窓販というふうに言われます。ワンストップショッピングとあいまって、窓販というと「こういうものを買いたい」と消費者が自分の方から銀行に出向いてアドバイスを受けながら買っていくようなイメージがあるのですけれども、私が承知している限りでは、変額年金保険等は窓口で販売されているというよりは、銀行による渉外という形で、まさに販売勧誘ですね、顧客や消費者の家への訪問中心で行われていると認識しております。そうした販売の実態を踏まえた議論をしていく必要があると思うのですが、金融庁として変額年金保険が解禁されて以降、今までにそういった弊害の実態調査をやられているのかどうか、お伺いします。

それから、弊害が出ているとすれば、どんなことが出ているのかなど、検証されていることがあれば、教えていただきたいと思います。

以上でございます。よろしくお願いします。

○ 堀内部会長

事務局の方、議論の進め方やタイムスケジュールについて、ご説明いただけますか。

○ 安居保険企画室長

まさにワーキンググループにつきましては、これからどういうふうに進めていくのかにつきましても、皆さんとご相談していく問題だと思っておりますので、我々の方から何か決めつけるようなものは全然ございませんけれども、事務方として漠然と思っておりますのは、金融庁の通常の事務のサイクルが夏までで落ち着きますので、夏までの間に一通りの議論をしたいなと思っております。ただ、もちろんそれは非常に広範囲な議論もございますし、どういうふうになるかは、今後の皆さんとのご相談になります議論の進行状況によると思いますけれども、とりあえずこれから半年かけて、今申し上げたような話題、論点について一通りの議論をしていただけないかというのが、非常に大ざっぱなものでございます。

そのうち、特に規制緩和関係のものにつきましては、先ほど申しましたとおり、閣議決定で一応15年度中にその結論を出すというふうに書いてあったり、ないしは検討すると書いてあったりするものですから、そういったものにつきましてはできるだけ早くやって、そのタイミングに間に合うように努力をしたいなというふうに思います。ただ、これももちろん議論がどうなるかは、今の時点では予断を持って申し上げられませんので、そこは我々としてはそう思っていますけれども、どうなるかはちょっとわかりませんとしか申し上げられません。特にそういう意味では腹案はございません。

あと、なかなか難しいですが、検討課題が保険業法とか銀行法の枠内でおさまる問題として考えているのかどうかということですけれども、銀行法とか保険業法の枠内でおさまるかどうかというのは、それはその結果の問題でございまして、別にその範囲で議論せよというふうに思っているわけでもございませんし、それも議論の、先ほどもちょっとご説明しましたとおり、むしろ横断的な規制の動きというのもありますので、まさに議論をしていただいた結果として、それが銀行法ないしは保険業法に対してだけで済む話なのか、それとももう少し大きな、ないしは別の場というのも考えなくてはいけないのか。それは本当にこれからの議論の方向であろうかと思います。

ただ、ワーキンググループは基本的にはその保険の問題について取り扱うということでございますので、そういう意味では、非常に抽象的ですけれども、ワーキンググループの取り扱う問題の限界というのはあろうかというふうに思います。ただ、そこで足りない、それでは全然おさまらないということであれば、また第二部会に報告するなり、ないしはもっとほかのフォーラムを考えるなりというのは、今後の問題としてはあり得るだろうというふうには思っています。

それから、利便性の向上とその消費者利益の関係は、すみません、私もよくわかりません。ただ、ここで言っていますのは、利便性というのは、先ほどちょっとご説明ありましたけれども、ワンストップショッピングでありますとか、そういった意味で非常に便利だろうと。消費者にとって非常に便利だろうというのは一つの利益なのではないかということで例示として挙げさせていただいているわけで、より深いご考察がございましたら、またぜひともお伺いしたいなというふうに思います。

それから、最後、窓販の実態につきましては、多少こちらの方でも調査をしておりますけれども、ちょっとこの場で子細を申し上げるのは時間の関係上、申しわけありませんが、また機会を改めましていろいろご報告をしたいというふうに思います。

すみません、以上です。

○ 堀内部会長

それから、ワーキンググループの検討状況について、逐次情報を出してほしいというようなお話ありましたね。それについてはどうですか。

○ 安居保険企画室長

これも大変難しいご要請なんですけれども、つまりワーキンググループというのは基本的には非公開というのが一応原則になっておりまして、これは難しいんでございますが、今回、金融庁の記者クラブの方から広報室の方に、ワーキングが非公開であるのはそれはそのとおりかもしれないけれども、進行状況について少しブリーフィングをしてくれというお話がございまして、皆様のご了解がいただけましたら、私の方から簡単なブリーフィングをすることによって、少しでも情報を開示していきたいというふうに思ってございます。

そのほか、何かさらなる工夫といいますか、サジェスチョンがございましたら、いろいろ教えていただければ検討してみたいというふうに思います。

○ 堀内部会長

いかがでございますか。ほかにご質問、ご意見等ございますか。

どうぞ、和仁委員。

○ 和仁委員

今の高橋委員のご意見と似たようなところもあるのですけれども、きょうここで今議論されていることというのは、要するに保険を銀行が窓口で売るのは、それは自分たちの既得権益を侵すものであるかどうか。ごめんなさい、ちょっと露骨な言葉を使いますが、そういう議論と、片や消費者保護をどう考えるんですかという問題と、それから保険会社をこれからどうやって育てていく、健全にするのですかと、3つごった混ぜで議論しているのですよね。

1番目の問題と、それから2番目の問題、ことに2番目の消費者保護の問題というのは、実は横断的規制の話であって、これは私は銀行による株の販売とかその辺と一緒にまとめてやった方が、横断的制度目的に合致すると思うのですよね。原委員や高橋委員も金販法のときのワーキンググループで、ご一緒しましたけれども、そのときもそのような議論で進めていたと思います。実際の結果は非常に不満足な結果のものですけれども、同法はある程度の役割は果たしていると思う。

やはりそこで問題を、どこで何を議論するかということの割り振り方で少し考えた方がいいのではないか。下手すると違う話とか、違う方針が出てしまうということが出てこないかなということが心配です。

それから、もう1つ、保険商品の販売チャネルの将来展望ということなのですけれども、1の(1)のaのところで書いてあるのですが、外国の保険会社による保険販売というのをどうお考えになっているのかというのをはっきりした方がいいと思うのですね。今、日本では日本の居住者が外国の保険会社、日本では免許を持っていない保険会社と契約をするということについては、総理大臣の許可を得なくてはいけないというのですが、この分野でいわゆるプライベートバンク・インシュアランスという言葉で結構保険が売られています。

なぜそういう保険が売られているかというと、基本的にニーズはお金持ちです。非常にすごいお金持ちです。何が必要かというと、先ほどの斎藤委員のアンケートの結果とは違って、相続税対策です。要するに、相続のときに大金持ちだと株を物納で出さなくてはいけない。でも、株を出してしまえば相続人である自分の子どもたちや親戚は自分の事業をコントロールできない。では、どこからお金を取ってくるか、調達してくるか。ここで外国生命保険の直接販売が出てきます。

そういうことを考えますと、やはり外国保険業者による勧誘のやり方というのも、そろそろ外国証券業者に関する規制等の見地と同じような形で、要するに日本にいる保険契約者の方から、自分からやりたいと言ってきた場合に関してはそれは勝手にしてかまわないというやり方での規制を少し緩めるということも考えてもいいのではないか。

何でこういうことが起こっているかというと、要するに日本の保険会社というのはある程度画一的な商品を売らざるを得ないわけで、特別なニーズがある人のための個別設計した商品まで手間をかけてやっていられない。保険ブローカーが活躍されているようですけれども、やはり外国保険業者の活動についてどうしましょうかねということをある程度、昔ながらの条文だけで対応できるのですかというところまでつめて少し考えていただきたい。ことにこのような保険はインターネットで結構売られていますし、それから海外にツアーで行って、そこで何か検査を受けて、そこで契約するというのも売られています。その辺をちょっと考えたいなということが1つです。

多分、保険契約者の保護ということからいえば、顧客層を分けて議論した方がいいのかなという気もしております。

それから、もう1つは、保険契約者等の保護のあり方のところに絡むのですが、再保険についてはぜひ検討していただきたいと思います。今の保険会社は再保険すればそこで責準を減らすことはできる形になっていますけれども、かなりレーティングとの関係で低いところに出して大丈夫なのかと感じています。実際に保険会社は格付け機関の評価によって、再保険をどこに出すかとかいうことを考えておられるようですが、健全な保険会社であるためには、再保険に出したらどうなるのかというところがもう少しはっきり見えるような形での規制をかけた方がよろしいのではないか。

それから、3つ目は、これはまた私が自分でやっている分野の話なのですが、保険会社がいわゆる付随業務でいろいろな取引をやってらっしゃるわけですけれども、保険以外の変なリスクを実は抱え込んでいるのではないか。UKFSAにはこのことを調べたレポートがありますけれども、要するに商品取引のリスク等異種のリスクがデリバティブ商品で保険会社に飛ばされてきているのではないか。そういうことについても、喫緊の課題にはなっていないということですけれども、将来起こったときにどういう方針で考えるべきかということは詰めておいた方がいいのではないかと思いますので、その辺ももし可能であれば、ご検討いただければと思います。

以上、3つでございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかに。どうぞ、川本委員。

○ 川本委員

ありがとうございます。

まず最初に、感想を申し上げますと、今、和仁さんがおっしゃったように、きょうは何か業界利益のぶつかり合いのようで、古い時代の審議会を拝見しているような感じがいたします。審議会はやはり第三者機関としての中立的な意見を述べるところであって、本会も本来の姿に脱皮していくべきなのではないだろうかという感想を持ちました。

感想を申し上げた上で、きょうの議題についての個人的な意見を申し上げたいと思います。銀行の窓販については2つございます。一つ目は、私は顧客の視点と消費者の選択から考えて、銀行の窓販は好ましいものだと思っております。これはシンプルに消費者にとって多様性がふえて、特に供給者側の競争が促されれば、それは自由経済として非常にいいことだということであります。

きょうのご議論を伺っていますと、銀行の窓販に反対するご意見は消費者ニーズの調査をなさった結果だとありました。もちろん消費者ニーズの調査はとても大切だと思いますけれども、消費者は見たことがないものは欲せないと思いますので、消費者ニーズの調査に余りにも頼りすぎるというのはちょっと危険なのではないかなと思いました。

また、銀行の圧力販売というお話が出ましたけれども、それをおっしゃるなら、生保の売り方が本当に適切だったかという論点について十分に検討されていたのかということはやはり議論されるべきでありますし、ここについては、保険に限らず、銀行に限らず、消費者リスクを軽減する制度を整備するという論点から議論すべきだと思います。

それから、必ずこういうご議論ですと時期尚早だというご意見が出ますが、どうなったら機が熟したのかということは決して議論がされないので、明確にすべきと思い、その点もちょっと懸念をいたしました。

2点目、銀行の窓販について好ましいと思う理由として、販路が広がるということで、保険会社の各社によって窓販のニーズは違うと思います。いまや業界は一枚岩ではないはずで、多様な商品の市場が広がる可能性を求めていらっしゃる会社もあるはずでありますので、どの商品を売っていいとか悪いとかを決めつけるのは、各社の経営戦略や消費者の選択の幅を狭めると思います。保険会社も銀行もコンプライアンスの中でコスト効率を考えてそれぞれの戦略をとっていかれればいい話ではないかと思います。

今後の議論に向けて、私は、特にディスクロージャーの充実に向けての検討をしていただければと思います。特に生命保険会社は各社ごとの死差・費差・利差のディスクロージャーがないというような現実もあり、郵貯簡保の改革が俎上に乗る中、民間保険の方が本当にディスクロージャーのルールが進んでいるのかというと、消費者にとってはよくわからないところでありますので、ディスクロージャーは進めていただきたいと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

どうぞ、羽田委員。

○ 羽田委員

業界の議論が優先していた感じがするんですけれども、外資系の損害保険協会として申し上げたいと思うのは次のようなことです。実は、先ほど私が手を挙げないでいる間に川本委員が、私が申し上げたいと思ったことをほとんど言われてしまったんですけれども。

時期尚早とかいろいろな懸念を考えて足を動かさないというよりも、基本的には銀行の窓販、銀行による販売は全面的な解禁ということを前提にして、お客様にいろいろなルートによる販売、いろいろな商品の販売、当然自由きままにやるわけではありませんので、適切な弊害防止措置をつくった上で、そういう方向で持っていくのが、少なくとも銀行による保険販売の基本だと思います。

細かいことはワーキンググループで多分検討されるでしょう。大前提としては、基本的には全面的な解禁ということをぜひ行っていただきたいと思います。

実は、この意見はおととしの3月のこの審議会でも申し上げたんですけれども、そのときにも同じことを申し上げましたけれども、それから既に丸2年が経過しております。そういう中で、2年間ずっといろいろ見てきたのですが、状況はとまったままです。その前に一昨年の10月に一部解禁は行いましたけれども、それ以降目立った進展がないわけです。そういう中では、やはり先ほど申し上げたような基本方針のもとに、いかに弊害を防止するかということを主眼にやっていくべきではないかと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

よろしゅうございますか。ほかに。

いろいろご意見いただきまして、非常に参考になったというふうに思います。

今、お話がありましたように、ここで事務局の方から案としておまとめいただいている主な検討課題につきましては、保険業界にとっては当然のことながら、利用者・消費者にとっても非常に重要な課題ばかりでありまして、これらを可及的速やかに検討する必要があるだろうと思います。この金融審議会第二部会としましては、きょうのご意見を参考にした上で、当部会の下にあります保険の基本問題に関するワーキンググループで、これらの問題を検討していただくということをお願いしたいと思います。

当然のことですが、私としてはワーキンググループの議論にあらかじめ締め枠を設定するべきなどとは考えておりません。本日、いろいろご意見いただいたようなことからも、当然そこできちんと議論していただきたいと思います。特に私の個人的な考えでは、包括的な利用者・消費者保護のあり方と保険業法にかかわる規制の関係などについて皆さんで議論していただく必要があるのではないかと思います。いずれにしましても、第二部会としては、ワーキンググループにご検討をお願いするということを、ご了承いただきたいと思いますが、それはよろしゅうございますか。やや形式的なことで大変恐縮でございますけれども、よろしくご承諾いただきたいというふうに思います。

どうもありがとうございます。

それでは、そういうふうに進めさせていただきたいということでございますけれども、このワーキンググループにつきましては、3年前に設置されまして、平成13年6月の金融審議会第二部会報告として、「生命保険をめぐる総合的な検討に関する中間報告」をおまとめいただいたという経緯がございます。今回は改めまして、包括的にご議論を再開していただくということでございますので、ワーキンググループのメンバーを若干変更することを考えております。

座長につきましては、本日、急遽風邪ということでご欠席になられました山下友信さんにお願いしたいということで、ご本人からは内々ご了解いただいておりますので、山下さんは既に前から座長でいらっしゃいましたけれども、引き続きワーキンググループの座長をお願いしたいということでいきたいと思います。

それから、そのほかのワーキンググループの人選や運営の細目につきましては、先ほど情報開示の必要性に絡んで、何事も座長一任はあまりよくないというお話があったばかりですけれども、早速で申しわけないんですが、山下さんと私で少し相談させていただくということでご了解いただきたい。

先ほど、事務局の方からお話がありましように、検討の経緯についてはその都度記者レクで可能なかぎり詳しく説明することで、情報開示に対応するということでございますので、それで進めさせていただきたいと思いますが、いかがでございますか。よろしゅうございますか。

どうもありがとうございます。それでは、そういうふうに進めさせていただきます。

ワーキンググループのメンバーとか今後の開催予定につきましては、先ほど安居さんの方から少しご説明ありましたけれども、本格的に決まりましたら皆様方にご連絡差し上げたいと思います。

それでは保険事業に関する検討については、本日のところはこれで一応おしまいということで、次に事務局よりリレーションシップバンキングに関するアクションプログラムの進捗状況につきまして、簡単にご報告いただきたいと思います。

上野さん、お願いします。

○ 上野銀行第二課長

銀行二課の上野でございます。よろしくお願い申し上げます。

私の方からは、残された貴重なお時間でございますので、簡単にリレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進捗状況について、これまでの経緯と今回の進捗状況の概要を中心といたしましてご説明を申し上げます。

まず、このリレーションシップバンキングのあり方に関しては、昨年1月からリレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループということで、堀内部会長に座長をお願いいたしまして、ご審議をいただいた上で、この金融審の分科会の第二部会で昨年3月に「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」という報告をとりまとめていただいたところでございます。

これに基づきまして、昨年3月にリレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムを金融庁が公表いたしました。その後の進捗状況につきまして今日はご説明を申し上げます。

ご説明に使います資料は、右の上に15-4と書いてあるもので、一番最後にあるかと思いますが、その資料を使いまして、簡単にお話しをさせていただきたいと思っております。さらに詳しい資料は後ろの方についておりますが、本日は、15-4という1枚紙の表紙、それからその後に「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの進捗状況について(ポイント)」とございますが、そのポイント紙の最初の4枚、これを使いまして、きょうは簡単にご説明させていただきたいと思います。

まず、最初の鏡の紙に沿って簡単にご説明いたしますが、これまでの経緯でありますけれども、金融庁が公表いたしましたアクションプログラムに基づきまして、各金融機関が機能強化計画を昨年の8月末までに策定をしていただいて提出をいただいております。その概要につきましては、昨年10月に私どもより公表させていただきました。

そのプログラムにおきましては、中小企業金融の再生に向けた取組みにつきまして、まず金融機関ごとに半期ごとの進捗状況を公表すると。次に、各業界団体においてプログラムをとりまとめまして公表すると。最後に、金融庁におきまして、アクションプログラムに記載されている施策の進捗状況、それから金融機関の取組み実績をとりまとめまして公表するということが書かれてございます。また、その進捗状況につきましては、必要に応じまして金融審議会にご報告をするということになっております。

こうしたことを踏まえまして、各金融機関は11月末までにそれぞれの取組みの進捗状況につきまして私どもにご報告をいただき、その後公表をされております。それから、各業界団体におきましては、昨年の12月26日に地銀協、第二地銀協で公表を行っていただいておりまして、また、本日でございますけれども、全国信用金庫協会と全国信用組合中央協会が公表を行っていただいているところであります。金融庁におきましては、本日、施策の進捗状況、それから金融機関の取組み実績についてとりまとめまして、この金融審議会・金融分科会第二部会にご報告を行うとともに、公表をするということにしたいと思っています。

以上が経緯でありますが、次のページ、ポイント紙に沿いまして、残されておる時間が限られておりますので、簡単にご説明いたします。

このポイント紙のこれまでの経緯というところは、今、ご説明したことと同じであります。

一番下に参考と書いてございまして、報告提出金融機関数とありますが、618の金融機関、それぞれの業態ごとに数が書いてございます。これは昨年11月末、進捗状況のご報告をいただいた時点に存在しております中小地域金融機関のすべてということでございます。

次のページにいっていただきまして、その私どもの今回の公表の柱は2つございまして、まず施策の進捗状況。それから、2つ目は金融機関の取組みについてということでございます。

施策の進捗状況と申しますのは、アクションプログラム全体の施策の進捗状況でございますけれども、ここでは基本的には当局の行いました新たな施策の進捗状況を中心に簡単にご説明をいたしております。後ろの方の資料でかなり詳しい資料がついてございますけれども、ここでは割愛させていただきます。

ここにプログラムに掲げられております施策の主な進捗状況は以下のとおりであるということで、ここでは6つ主なものを挙げておりますが、当局がやったものといたしましては、「産業クラスターサポート金融会議」の立上げ等、各種の会議の立上げ。それから、(3)、(5)にございますけれども、取引先企業の支援業務に係る銀行法上の取扱い等に関するガイドラインの改正、あるいは(5)のお客様への説明態勢、それから相談苦情処理機能についてのガイドラインの改正、こうした事務ガイドラインの改正。それから、最後に、計画の公表というようなことを挙げております。

それから、3番目の、つまり大きな柱の2つ目でございますけれども、金融機関の取組み実績につきましては、各金融機関ごとにご報告をされたわけでございますけれども、私どもの方でそれをとりまとめまして、簡単にその傾向について以下述べております。私ども、大ざっぱな印象で申し上げますと、まだこの進捗状況というのは去年の4月から9月までの半期についてのものでございますけれども、その中で項目によってはほとんどの金融機関で既に実施されているものもございます。他方で、今後さらなる取組みが期待されるものもございますけれども、そうしたものにつきましても、一部の金融機関において積極的な取組みが見られるようになってきているのではないか、このようにとらえております。全体としては、中小企業金融の再生に向けた取組みが着実に進んできているのではないかなと考えております。

以下、項目ごとに簡単にご説明いたしますが、最初の(1)、この項目はアクションプログラムの項目に沿っておりますけれども、創業・新事業支援。ベンチャー支援ということでございますが、これにつきましては、その次のページをちょっとめくっていただますと、「産業クラスターサポート金融会議」への参加、これの活用ということがすべての銀行、あるいは半数以上の信用金庫で行われている。あるいは、企業育成ファンドの組成・出資、このパラグラフの一番下でございますけれども、そうしたことを行ったという金融機関もございます。15年度上期、6か月間の実績については、ここに例えば政府系金融機関との協調融資91件、76億円等の実績を書いてございます。

それから、(2)でございますけれども、取引先企業の経営相談・支援機能の強化というところの中では、2つ目のポツ、ちょっとご注目いただきたいんですが、要注意債権等の健全債権化ということで、いわゆるランクアップを各金融機関が企業を選びまして支援をしていく、ランクアップのための支援をしていくということを1つの目玉としてアクションプログラムに掲げられております。これにつきましては、ここに書いてございますように、担当部署の設置増強など、体制整備がほとんどの金融機関で図られておりまして、この詳細につきましては、別紙2というところにつけております。ちょっと詳しくご説明する時間がないんですが、これを見ますと、全国の中小金融機関が大体2万7,300社の債務者を支援の対象として選びまして、そのうち債務者区分が上昇した、ランクアップしたものが2,209ございまして、8.1%程度のランクアップ率になっているということでございます。

それから、(3)が早期事業再生に向けた取組みでありますが、これは最初のポツをごらんいただきたいんですが、企業再生ファンド、デッド・エクイティ・スワップ、これは債務の株式化でございますが、あるいはDIPファイナンス、つまり再建中の企業に対する運転資金の供給、こうした先進的な手法の活用によって積極的な動きが見られる。あるいは、RCCの信託機能や産業再生機構や中小企業再生支援協議会の活用、こうした取組みが出てきているということが挙げられます。

次のページをめくっていただきまして、参考といたしまして、企業再生ファンドの組成・出資、あるいはデット・エクイティ・スワップ等につきまして件数・額を掲げております。

それから、(4)でございますが、新しい中小企業金融の取組みの強化ということで、ここは中心は担保・保証に過度に依存しない融資に取り組んでいただくということでありまして、ここではスコアリングモデルの活用、あるいはローンレビューの徹底と書いてございます。注目すべきは財務制限条項、これは財務指標が一定の水準を達成できない場合に金利等の融資条件が変更されるという特約をコベナンツとよく言うんですが、そういうものをあらかじめ結んでおいて、担保・保証を基本的にはとらないと、そういう融資のやり方でございますが、こういったものを活用した取組みというのも図られてきております。

参考でデータを書いております。

さらに、(5)でございますけれども、地域貢献についてもほとんどの金融機関でディスクロージャー誌等により情報開示を行っておられるという状況でございます。

以上が、簡単でございますが、概要の説明でございます。

その後に、別紙1といたしまして、主な特色ある取組みということで、銀行とか信用金庫という業態と、さらにどこの財務局の管轄のものであるかということをお示ししております。個別の銀行名、金融機関名等は書いてございませんけれども、こんな取組みがありますということで、私どもとしましては特色ある、非常に特徴のある取組みではないかなというものを掲げております。お時間の関係でちょっとご説明は割愛させていただきたいと思っております。

私どもといたしましては、アクションプログラムに掲げられている施策の確実な実施を図るということで、金融機関の取組み実績を引き続き半期ごとにフォローアップいたしまして、その機能強化を確実に図っていきたいというふうに考えております。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

いろいろご意見いただきたいところですけれども、ちょっと時間がございませんので、ぜひとも何かご意見ということでありましたら1件ぐらいお受けと思いましたが、よろしゅうございますか。報告資料をごらんになっていただきまして、また別の機会にご意見いただければというふうに思っております。

恐縮でございますけれども、ちょっと議論を割愛させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

それでは、時間が予定より過ぎておりますので、本日の審議を終了させていただきます。

なお、本日の部会の運営につきましては、この後、事務局の方から簡単に記者ブリーフィングをしていただきまして、ご説明いただくことになっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

それでは、事務局の方で何かご連絡ございますか。

○ 乙部信用課長

次回の日程は未定でございまして、部会長ともご相談の上、改めてご連絡させていただきます。

○ 堀内部会長

それでは、以上をもちまして本日の審議を終わらせていただきます。

どうもありがとうございました。

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