金融審議会金融分科会第二部会会合(第16回)議事録

日時:平成16年3月31日(水) 16時00分~17時06分

場所:中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室

○ 堀内部会長

それでは、ただいまから金融審議会金融分科会第二部会の第16回目の会議を開催いたします。

本日は、皆様ご多用中のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

なお、ごらんになってわかりますように、本日は会議を公開とさせていただいておりますので、その点、あらかじめご了解いただきたいというふうに思います。

本日は岩原委員、辻山委員、和仁委員がご欠席でいらっしゃいます。

それでは、早速ですが、本日の議事に入らせていただきます。お手元の議事次第に従いまして、保険の基本問題に関するワーキング・グループからの報告についてご審議いただきたいと思います。

当部会では、1月の16日に開かれました前回の会合におきまして、「保険商品の販売のあり方」、「保険会社のガバナンスのあり方」、それから「保険契約者等の保護のあり方」といった保険に関する主な検討課題について審議するということを決定いたしました。

ただ、検討するに当たりましては、かなり実務的、専門的な問題も多いため、保険の基本問題に関するワーキング・グループにおいて検討をお願いし、その検討を踏まえた上で、この第二部会としてその問題をさらに議論していくという、そういうスタイルをとったわけでございます。

今般、今申し上げました課題の一つであります銀行等による保険販売規制の見直しについて、保険ワーキング・グループの報告が取りまとめられましたので、本日はこの報告書の案についてご審議をお願いしたいと思います。

審議のやり方ですけれども、まず、事務局の方から審議経過を簡単にご説明していただいた後、ワーキング・グループの報告書を読み上げていただきます。その後で、ワーキング・グループの山下座長のほうからコメントをいただいた上で、皆様にご審議をいただきたいと考えております。

それでは、まず事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。

○ 安居保険企画室長

事務局からご説明いたします。

審議経過につきましても、お手元の報告の中に簡単に記載してございますので、右肩に第二部会16-1と書いてある資料でございますが、これを読み上げる形で進めさせていただきたいと思います。

銀行等による保険販売規制の見直しについて、保険ワーキング・グループにおける検討の部会への報告。

1 .はじめに

本年1月16日の金融審議会金融分科会第二部会において、銀行等による保険販売規制の見直しが保険に関する主な検討課題の一つとされ、保険の基本問題に関するワーキング・グループにおいて検討することとされた。

これを踏まえ、保険ワーキング・グループにおいては、本年1月以降、これまで8回にわたり検討を重ねてきた。検討は、商品の提供者や利用者等の関係者から広く意見を聴取するなど、幅広い観点から行われた。なお、保険ワーキング・グループの開催状況は別紙のとおりである。

保険ワーキング・グループは、これまでの検討を踏まえ、銀行等の保険販売規制の見直しに当たっての基本的な考え方や論点の整理を行った。保険ワーキング・グループとしては、本報告を踏まえ、今後、行政当局においてさらに実務面での検討も深め、適正な販売規制の見直しを行うことを求めるものである。

2 .銀行等による保険販売についてのこれまでの経緯

保険募集を行う者については登録制とされており、登録拒否要件に該当しない限り保険募集人となることが認められているが、銀行等及び証券会社については、過去において保険募集をその業務とすることは認められていなかった。

その後、各般の議論を踏まえ、証券会社については平成10年の証券取引法改正により、本業以外の業務範囲が大幅に拡大され、保険募集を業務とすることが認められた。また、銀行等については、平成12年の保険業法改正により、保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合に保険募集を行うことが認められた。

その後、銀行等による保険商品の販売解禁は、以下のように2度にわたり行われてきている。

平成13年4月、住宅ローン関連の信用生命保険、長期火災保険、債務返済支援保険(信用生命保険については引受保険会社が子会社または兄弟会社である場合に限る)、及び海外旅行傷害保険の販売が解禁。あわせて信用供与の条件として保険募集を行う行為等を禁止する弊害防止措置が設けられた。

平成14年10月、個人年金保険、財形保険、年金払積立傷害保険、財形傷害保険の販売が解禁。住宅ローン関連の信用生命保険に係る引受保険会社の限定を解除。あわせて保険商品を購入しないことが他の取引に影響を及ぼさないことの顧客への説明等の弊害防止措置が設けられた。

銀行等による保険販売規制の見直しは、これまで、それに伴うメリットとデメリットとを比較考量し、必要な弊害防止措置を講じた上で行われてきたところである。

今回の見直しに当たっても、銀行等が販売できる保険商品の範囲の拡大のメリットと、これに伴う弊害の懸念を踏まえ、検討する必要がある。

3 .メリットについて

銀行等が販売できる保険商品の範囲の拡大については、以下のようなメリットがあるとの意見が出された。

(1 ) 銀行等の参入により販売チャネルの多様化が進めば、消費者がアクセスできる保険商品の選択肢や商品に関する情報が増え、利用者利便の向上が期待できる。

(2 ) 販売チャネルの適切な競争を通じて販売システムの効率化が進めば、保険料の低廉化により利用者利益の増進につながり、また、保険市場の拡大も期待できる。

(3 ) 販売チャネルの多様化は、各販売チャネルの特性を反映した利用者のニーズに適合する商品開発の促進につながり、市場の発展にも資する。

(4 ) 銀行等が販売できる保険商品を一部に限ると保険市場全体の商品構成をゆがめることにつながる。また、販売できる商品の規制に合わせるためのループホール的な商品が出てくるおそれがある。

(5 ) 少子高齢化など保険業を取り巻く環境が変化している中で、保険会社においても、国民のニーズに適合した商品開発や効率的な販売体制の確立等、変化に対応したビジネスモデルの構築が求められている。こうした観点からも販売チャネルの多様化が必要である。

4 .懸念される弊害(デメリット)について

他方、銀行等が販売できる保険商品の範囲について、特に保障性の高い商品を含め拡大する場合には、以下のような弊害や問題点があるとの意見が出された。

(1 ) 銀行等は強力な販売力を有している。特に融資先に対しては極めて強い影響力を有しており、圧力販売が行われるおそれがある。

(2 ) 銀行等が保障性の高い商品を販売する過程で入手することとなる健康情報が、融資判断に流用されるおそれがある。

(3 ) 銀行等は保険商品の販売を行うのみで保険の引受けを行わないため、不当に保険加入しようとする者の第一次選択がおろそかになるおそれがある。また、現在の販売チャネルで行われているようなアフターケア等が十分に行われないおそれがある。

(4 ) 銀行等が、その強力な販売力を背景に、引受保険会社のリスク管理能力を超えた保険販売を行うことや、保険会社を実質的に支配したり系列化することにつなるのではないか。

(5 ) 不良債権問題の終結に向けた取組を行っている等の現下の状況では、銀行等は本来の業務に徹するべきではないか。

(6 ) 保険会社の主力商品である死亡保障商品や自動車保険の市場が縮小または伸び悩みの傾向にある中で、新たな販売チャネルが既存の販売チャネルに与えることとなる影響についても考慮する必要がある。

5 .考えられる弊害防止措置

弊害については、これをどのように防止するか工夫をする必要があるが、検討すれば以下のとおり。

(1 ) 銀行等による融資先への販売

銀行等が保険商品の販売を行うことの弊害として、特に強い懸念が示されたのは、銀行等が融資者としての影響力に基づき圧力販売を行うことである。圧力販売については、銀行等にその意図がない場合であっても融資先は圧力を感じるおそれがあるとの指摘があった。また、保障性の高い商品について圧力販売が行われた場合には、事後的な救済は困難であるとの指摘もあった。

なお、圧力販売については、抱き合わせ販売(融資の条件として保険販売を行う行為)が既に禁止されており、それで十分に対応できるとの指摘があった。また、そもそも自由であるべき契約を事前に制限することについては慎重であるべきとの意見も複数出された。

次に、同じく銀行等と融資先との関係の問題として、銀行等が保障性の高い商品を販売する過程で入手することとなる健康情報が融資判断に流用されるのではないかとの懸念も示された。

これら各般の指摘を踏まえた上で、保険ワーキング・グループにおいては、銀行等が販売できる保険商品の範囲を保障性商品まで認める場合、新たに認められる商品については、従来の抱き合わせ販売の禁止に加えて、圧力販売につながるような融資先に対する保険販売を禁止することが適当であるとの意見が大勢を占めた。

以上の考え方を踏まえ、保険販売の規制の対象となる「圧力販売につながるような融資先」の具体的な範囲については、圧力販売の懸念を排除しながら、一方において過剰な規制とならないよう、実務的な問題も含め、行政当局において、さらに検討を深めることを求めたい。

(2 ) 適切な情報管理

情報管理については、銀行等が保険販売業務を通じて得た情報を銀行等の融資業務等との関連においてどう取り扱うかという問題と、逆に、銀行等の融資情報や決済情報を保険販売業務の関連においてどのように取り扱うかという問題とを区分して考える必要がある。また、後者については、さらに融資情報の場合と決済情報等の場合とを区分して考える必要がある。

まず、保険商品の販売によって得られた健康情報の融資判断への流用という問題については、圧力販売につながるような融資先に対する保険販売を禁止する措置により、問題は相当程度解消されると考えられるが、いずれにしても健康情報については厳格な管理が必要となる。

一方、融資情報については、圧力販売につながるような融資先に対する保険販売を禁止する措置を的確に実施するため保険販売の際に利用する必要があり、適正な手続やコンプライアンス体制の整備が必要である。

また、その他の情報の取扱いについては、非公開情報保護措置(保険販売業務とその他の業務の間で顧客の同意なく非公開情報の流用を禁止する措置)一般の問題であり、例えば預金、決済等の業務で得られた顧客情報については、顧客の同意なく保険販売に用いられることがないよう、適切に管理することが求められる。

(3 ) 銀行等の保険販売と保険会社等への影響

銀行等の保険販売の拡大による保険会社等への影響、具体的には引受保険会社のリスク管理能力を超えた保険販売を行うことと、保険会社を実質的に支配したりすることの懸念や、既存の販売チャネルに及ぼす影響についての懸念が指摘されている。

こうした懸念については、圧力販売につながるような融資先に対する保険販売を禁止する措置を講ずることにより相当程度緩和されるものではないかと考えられる。また、一方において、販売チャネルの多様化というメリットの享受という面もある。

なお、保険会社が特定の銀行等に保険商品の販売を過度に依存することや、銀行等が特定の保険会社の商品のみを販売することは、リスク管理のあり方や利用者利便の向上等の面から、適切ではないとの指摘もある。一方、保険会社が銀行等とどのような提携をするかは、基本的には保険会社の自主性や経営上の選択の問題であるとの指摘もある。これらの指摘も踏まえ、何らかの対応が必要かどうかについて、実務面も踏まえた検討がなされる必要があると考えられる。

(4 ) コンプライアンス体制の確立について

銀行等における保険販売業務が適切に行われることを確保するとともに、各般の弊害防止措置を有効に機能させていくためには、コンプライアンス体制の整備や苦情・紛争処理体制の活用が重要な課題であり、今後、例えば銀行等の各営業所に保険商品の販売についてのコンプライアンス責任者を設置するといったことも含め、適切な措置を講ずる必要がある。

6 .基本的方向性と実施時期

保険ワーキング・グループにおいては、契約者や国民全体にとっての利益の増進という視点から、銀行等において原則としてすべての保険商品を取り扱えるようにすることが適当であり、その際には以上のような弊害防止措置が適切に講じられることが前提となることとする意見が大勢を占めた。

実施時期については、メリットの実現を目指す観点から、できるだけ早期がのぞましい。その際、銀行等での販売体制の整備や弊害防止措置手続の確立等のための準備期間を設ける等、円滑な実施を図る必要がある。

以上を踏まえ、銀行等による保険販売規制の見直しについては、本報告後、例えば1年後から段階的に行うこととし、新たな弊害防止措置の実効性をモニタリングしながら、遅くとも本報告後3年後には、銀行等において原則としてすべての保険商品を取り扱えるようにすることが適当であるとの意見が大勢を占めた。今後は行政当局において本報告の趣旨を踏まえ、速やかに適切な処置を講じるよう期待する。

7 .その他考慮すべき事項

その他、銀行等による保険販売規制の見直しに関して、以下のような意見も出された。今後の施策の展開に当たって十分考慮するよう求めるものである。

既存の弊害防止措置に加え、行政当局においても銀行等による保険販売の適切な実施をモニターするため、例えば銀行の貸し渋り、貸しはがしホットラインのような仕組みを導入するなど監視、監督の強化を図るべきとの意見があった。また、保険会社の経営の健全性の確保のため、行政当局の監督体制のさらなる充実を図るべきとの意見もあった。

消費者保護に関して、金融商品に関する消費者教育についての施策の充実や、消費者に対する情報提供の充実が必要との意見があった。特に、銀行等の大規模な代理店については、顧客のニーズに応じた商品説明の充実を図る必要があるとの意見があった。また、保険契約の乗り換えの不当な勧誘等の防止を徹底することや、苦情処理体制や裁判外紛争解決手続を充実、活用することが必要との意見があった。さらに、金融商品の販売、勧誘についての横断的なルール整備を検討すべきとの意見もあった。

今後、金融について異なる業態や業務の融合が一層進展していくこととなれば、金融機関が他の業態の金融商品の販売を行うことにより、自ら新たなリスクを抱えることになっていくことも考えられ、そのような変化も視野に入れたリスク管理体制を検討していくことも必要になるのではないかとの意見もあった。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、この報告書案をおまとめいただきました山下座長にコメントをお願いしたいと思います。

○ 山下座長

座長を仰せつかっておりました山下でございます。

銀行等による保険販売につきましては、保険審議会の時代から議論が行われてきておりますが、今回のワーキング・グループにおいても規制の見直しによるメリットや弊害について、さまざまな観点から非常に多様な意見が述べられました。

検討に当たりましては、関連する論点が非常に多岐に及んでおりますことから、商品の提供者や利用者等の関係者から幅広く意見を聴取するとともに、ワーキング・グループのメンバーの皆様方には各論点について精力的にご議論をいただきました。非常に多様な意見が出されまして、これをいかに公正に集約し論点の整理を行うかに私としては苦労をいたしました。ワーキング・グループでは計8回にわたりまして検討を重ね、基本的な考え方や論点の整理を行ったわけでございます。

その結果、銀行等において原則としてすべての保険商品を扱えるようにすることが適当であり、その際には適切な弊害防止措置が講じられることが前提となるということなどの内容のワーキング・グループとしての結論に至りまして、先ほど読み上げていただいた報告書として取りまとめたものでございます。

この報告書のポイントでございますが、もう先ほどの読み上げで全体の構成はご理解いただけたかと思いますが、1ページの「はじめに」に続きまして、2のところで従来の経緯をまとめまして、2ページ、3ページで幅広い意見が出た、そういう中でメリットについて、それから弊害というか、あるいはデメリットというものについて、どういう意見が出たかということを整理したものでございます。これらの意見の整理をいたしまして、考えられる弊害防止措置というのを4ページ以下、5のところでまとめております。これは(1)、(2)、5ページの(3)から6ページの(4)の大体4点に及んでおります。そういう弊害防止措置のあり方を検討した上で、6が結論的な部分でございまして、基本的な方向性と実施時期ということをまとめてあります。

この内容は、書いてあるとおり、銀行等において原則としてすべての保険商品を取り扱えるようにすることが適当であり、その際には弊害防止措置が適切に講じられることが前提となるというのが結論です。

議論していく過程の中で、規制を緩和する方向に向かうべきであるというのがワーキング・グループの委員の皆様方の大勢であったかと思います。ただ、その際、その規制を大幅に緩和する際に、どういう条件が満たされるべきかについては多様な意見がありまして、それを集約した結果がその弊害防止措置のところで検討したような方向だということで、そういう措置をとれば、すべての保険商品を取り扱えるような方向に進むのが適当であろうということになったわけでございます。

それからもう1点の結論、基本的方向性と実施時期の部分では、実施時期の点について、早期のメリットの実現とともに円滑な実施を図る観点から、段階的に実施し、遅くとも3年後にすべての保険商品を取り扱えるようにするという意見として集約させていただきました。

この一定の期間を置くことになりますが、これは先ほども6ページのところに書いてございますように、いろんな弊害防止措置については、その内容を決定していく、その準備期間が要りますし、それから、やはり非常に新しいことを始めるわけでございますから、あらかじめ予想したような弊害というものがどういうふうに生じるか、あるいは予想もしないような弊害が生じるかと、そういう実際のモニタリングをする必要もあるであろうということで、遅くとも3年後という期間を置くということで、その意見が委員の皆様方の大勢を占めまして、それを報告書として取りまとめさせていただいたものでございます。

弊害防止措置の内容につきましては、適切な措置を行政当局において講ずるように期待すると締めくくっておりますが、弊害防止措置の基本的な方向性については、5のところで基本的な考え方を示したつもりでございますので、この方向に沿って検討をしていただけるものと信じております。

以上が座長としてのコメントということでございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまご説明のありましたワーキング・グループの報告書につきまして、ご質問、ご意見等を伺いたいと思います。ご自由にご発言いただきたいと思います。

斎藤さん、どうぞ。

○ 斎藤委員

まず、ワーキング・グループにおきまして、生命保険事業の将来に大きな影響を与えます問題につきまして、8回にわたって集中的にご検討をいただけましたこと、山下座長を初めとして委員の皆様に敬意を表させていただきたいと思います。

その上で、本件につきましては、1月16日の本部会におきまして、私から保障性商品への拡大は認められるべきではないという旨の問題提起をさせていただきました。

改めて問題意識を申し上げますと、保障性商品につきましては事後的な救済が困難であるという面が強く、銀行という特殊な地位、影響力を有する販売チャネルが導入されることによって、さまざまな弊害が生じるおそれがあるということでございます。一方で言われております利用者利便の向上という、その実態が明確でないメリットと比較考量したときに、保障性商品にまで販売対象とすることには合理性が認められないのではないかということでございました。

また、生命保険、特に保障性商品の本来的な機能は多数の保険契約者の方々を健全な保険群団として構成し、その中で相互扶助機能をワークさせていくということにございます。こうした特性と生命保険契約が極めて長期にわたるというものであることから、保険会社の引受責任がいかに全うされるのかという点を慎重に考慮することが肝要でございます。こうした特に保障性商品の普遍的な機能について、銀行がこの商品を取り扱うことによる保険会社に与え得る弊害を考えますと、これを認めるべきではないというものでもございました。

今回の報告を拝見いたしますと、弊害防止措置の実効性が検証されていない現段階で全面解禁の方向性が打ち出されておりまして、私どもが申し上げてきたことと相違する結論となっており、多くの重大な懸念が残るものでございます。その内容につきまして4点ほど申し上げたいと存じます。

まず、5の(1)に記載がございます「銀行等による融資先への販売」につきまして、圧力販売につながるような融資先に対する保険販売を禁止するというアプローチがとられております。具体的な範囲につきましては、実務的観点を含め、当局の検討にゆだねられておりますけれども、その検討に当たりましては、先ほど申し上げました私どもの問題意識も踏まえて、弊害を可能な限り100パーセント生じさせないという前提に立って、適切なご判断をしていただきたいと存じます。

2点目は5の(2)に記載の「適切な情報管理」、特に健康情報についてでございます。これは社会通念とも照らし、本人の同意の有無にかかわらず、一切の流用を不可とすべきと考えております。これに対する実効的な制度の確保、また専門性の確保や圧力販売の潜脱防止という観点から、銀行において専従者による販売体制を構築することが不可欠であると考えます。

3点目は5の(3)に記載の「銀行等の保険販売と保険会社等への影響」についてでございますが、ここはまだ本日の報告書の中では具体的な内容が示されておりません。この点は個々の保険会社と銀行との間の経営上の選択の問題に過ぎないというご意見もあるようでございますが、長期の保障性商品の特性や現行の保険契約者保護の枠組み等を考えますと、個々の会社同士の問題に過ぎないとは決して言えない問題をはらんでおります。したがいまして、この点についてぜひとも実効性のある措置を講じていただきたいと存じます。保障性商品への販売対象の拡大は、この点についての制度整備が必須であると考えます。

4点目は6に記載の「基本的方向性と実施時期」についてでございます。「遅くとも本報告後3年後には」とされておりますが、ただいま述べましたような引受リスクの観点からの措置がとられることをも含め、今回組み立てられる弊害防止対策が有効に機能するかどうか、十分にモニタリングを行う必要がございます。こうしたモニタリングの結果、弊害防止対策の十分な実効性が確保されていることが確認できないのであれば、拙速にすべての保険商品を販売対象とするべきではないと考えております。いずれにせよ、今後、慎重に確認し、見極めていくことが必須であると考えます。

私からは以上とさせていただきます。

○ 堀内部会長

ほかに。それでは木村委員、どうぞ。

○ 木村委員

この報告の案でございますが、基本的な方向については賛成をするという立場から、改めて、弊害防止措置についてお話をさせていただきたいと思います。

結果として、利用者にとって使い勝手が悪くなるような規制を課すことのないようにすべきであるということを、これまでも意見として申し上げてきましたが、再度ここで申し上げたいと思います。

販売を禁止する融資先の範囲を決める実務的な検証にあたりましては、利用者利便向上の視点を大事にしていただき、銀行窓販によるメリット、デメリットを十分に検証した上で制度設計をすべきであると考えます。

それから、銀行は保険の窓販においては圧力販売をしていないとおっしゃいますが、公取委のアンケートや連合のヒアリングによれば、やはり潜在的なものも含めて銀行の圧力はあるという結果も出ていますので、特に弊害が懸念されます中小零細企業や事業者等に対しては、実質的な不利益を被ることがないように、十分な工夫をしていただきたいと思います。

今申し上げましたことは、ここに記載されている内容でありますが、改めて確認の意味を含めて意見を申し上げさせていただきました。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございましょうか。鈴木さん、どうぞ。

○ 鈴木委員

規制を緩和していくべきとの基本的な流れにつきましては、本当に理解できますし、ワーキング・グループの皆様のご苦労に感謝いたしたいと思います。

その上で、保険の基本問題に関するワーキング・グループの報告書を拝見しておりますと、銀行等ということではありますけれども、保険商品の販売を行うことの弊害として、融資者の立場から圧力販売を行うのではないかとの懸念が非常に強く取り上げられております。

私は中小企業金融に携わる信用金庫に籍を置く立場から、このことについて意見を申し上げたいと存じます。

私たちにとりまして、融資、いわゆる貸出金は主要な販売商品であり、融資は借りていただくものでありまして、貸してあげるというものではないと、こういう融資に対する取組姿勢を我々は持っているつもりでございます。信用金庫は融資を受けるお客様に対しまして決して高い位置に立った営業を行っているというふうには考えておりません。営業地域が限定されている信用金庫におきましては、仮に高圧的な融資姿勢というものが見られたといたしますと、すぐに町の評判と申しますか風評が立ちます。それは既に、私どもにいつでもはね返ってくる問題ということになる。そういったことをまずご理解いただきたいというふうに存じます。

その上で、特に信用金庫におきましては、このような地域性を持つと同時に、会員性、中小企業専門性という性質も有している協同組織金融機関でございます。信用金庫が融資を行うお客様は会員と会員外に分けられますけれども、いわゆる個人ローン等に代表されますように、融資額700万円以内のご融資先以外についてはすべて会員であるということが条件となっております。

会員と申しますのはイコール出資者でありますから、大半の融資利用者の方は信用金庫に対していわゆる議決権を持つ会員としての一側面を持っておられます。信用金庫の会員は融資を受けている利用者である前に信用金庫の組織そのものでございまして、地域において共存共栄、いわば共生の関係にございます。

以上申し上げましたことをご理解いただければ、信用金庫のような協同組織金融機関にありましては、融資者としての影響力に基づく圧力販売はもとより、融資先が圧力を感じるおそれがあるとの懸念はないと、こういったことがご理解いただけるのではないかと思います。

したがいまして、融資先企業経営者、融資先の中小企業経営者への販売禁止規制ということをもしお考えでございましたら、信用金庫の会員に対しましては優位的地位による圧力販売の懸念がないということを申し上げさせていただきまして、この会員をその対象外として除外していただきたいというふうに存じます。

○ 堀内部会長

ほかにご意見等ございますでしょうか。はい、どうぞ、羽田委員。

○ 羽田委員

意見というか、感想を申し上げたいと思います。

8回という大変な議論を重ねてこの報告書ができたという、その大変な苦労をしたということは非常によく分かりますが、この報告書を見ますと、最終的には今から3年後に原則としてすべての商品を解禁というふうになっております。これは今からちょうど2年前になりますが、2年前の3月のこの第二部会で私はできる限り早く前倒しに全商品の解禁をということをお願いしました。しかし、それから数えると5年という月日になります。5年というのは印象ですけれどもいかにも長いという気がします。別の言葉で言えば先送りというんですか、そういうことがまた行われるということは非常に残念な気がします。

それから、細かいことはあえて申し上げませんけれども、この問題についてあちこちでいろいろな議論がされております。もちろん作業部会以外に、外野と言ったらこれはまずいんでしょうけれどもいろいろなところでいろいろな議論がされている。しかしながら、私が見るにはほとんどは後ろ向きの議論です。つまり、やるべきでないという理由をあれこれ考えているとか持ち出しているという、そういう気がします。

本来やるべきことは、前向きにどうしたらできるかということを考えるのが本来の物事一般の姿だろうと思います。そういう意味で、3年となっておりますけれども3年を待たずにできる限り前倒しに全面解禁をお願いしたいと思います。

それから、段階的解禁ということですけれども、どうしてもということであればそれもできる限り前倒しで行っていただきたい。かつ、その段階的解禁の時期とか内容とか方法については、透明性を確保した上で行っていただきたいと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

どうぞ、角川委員。

○ 角川委員

銀行窓販につきましては、これまで私ども損保では、銀行の影響力による弊害を防止するためには、この影響力というものが表面化しにくいところから、事後的な行為規制では難しく、現行の商品規制を継続すべきであり、拡大には反対、と申し上げてきたところでございます。

今回の報告書では、弊害防止措置につきまして、融資先に対する販売を禁止するという事前規制でまとめていただいておりまして、事後的な行為規制では難しいとの、私どもの主張も採り入れていただいたものと、一定評価しているところでもございます。

しかしながら、弊害防止措置の具体的な内容につきましては、今後、当局においてご検討いただくということでございますが、私どもといたしましては、分かりやすくて、明確で、かつ、実効性のある措置でなければならないと考えております。

また、実施時期につきましては、3年後までに全面解禁ということでございますけれども、最も大切なことは、いかに弊害防止措置の実効性が担保されるかということであると、このように認識しているところでございます。

私どもは、この新しい弊害防止措置をとられる場合でも、モニタリング等の結果により、その実効性が確保されていないということであれば、たとえ3年後であっても、全面解禁をするべきではないと考えております。報告書もそういった趣旨で書いていただいているものと認識しているところでございます。

以上でございます。

○ 堀内部会長

はい、どうぞ、永易委員。

○ 永易委員

ワーキング8回ということで、私も後半戦は参加させていただいて、これをまとめるのは本当に難しいなという感じはひしひしとしていただけに、座長初め事務局の皆さんのご苦労も本当多大だなという印象がございます。本当にありがとうございましたというのが1点であります。

ただ、ワーキングでも随分主張させていただいたんですけれども、先ほど、木村委員の方からもございましたけれども、私ども銀行界としては圧力募集の実態はないということをずっと申し上げてきたわけであります。圧力募集というのであれば保障性も貯蓄性も変わらないわけです。現実に、もう私どもは個人年金保険というのはずっとやっていて、これは現実に問題は全く起こって──全くと言ったらちょっと語弊あります──ほとんど起こっていないということはもう立証済み、モニタリング済みだと思いますので、これは現行規制の枠組みで十分だと考えておりました。ただ、ワーキングの結論として、融資先への一部になるとは思いますけれども、販売規制ですね、しかも事前、これはまことに不本意であるということは、意向表明はさせていただきたいとは思います。ただ、全体感ということがあるでしょうから、こういう結論でございましょうが、早期見直しを、まだ入ってもいないのに早期見直しというのはちょっと変ですけれども、お願いしたいなということであります。

これに関連して、これもワーキングで申し上げたことでありますけれども、事前規制の場合に非常に問題になるのは、これも木村委員がおっしゃったこととやや重複しますけれども、実務的に対応可能なものにしていただかないと、現実には非常にまずいことになるということであります。例えば構成員契約規制ですね。これはお客様から見ても極めて違和感のある形の事務フローになりますし、売る方からいっても事務的には極めて負担が重いわけです。こういうものに今度の規制が重なって非常に実務的に回らないということでは、本当のねらいというのは全く実現しないというふうになってしまいますので、これについてはぜひ今からご当局等が考えられることだと思いますけれども、よろしくお願いします。

もう1点、これは、その3年ということでございますけれども、6ページのところに書いてありますとおり、「遅くとも」というところをぜひ実現していただきたいということであります。私どもも、もう既に3年間、保険販売の実績を積んでおるわけでありまして、この保障性のフルラインが入ってきたとしても、販売体制の整備までには1年はかかりません。これはもう圧倒的に自信があります。ただ、弊害防止措置等のモニタリングが必要であるというのが大勢の意見でございますので、私どもはこれは弊害は出てこないと信じておりますので、そのモニタリング次第ということになりましょうが、ぜひ3年というのは、この時代の流れ、大変長いですよね、ぜひ3年後とは言わずに、可能な限り前倒しで解禁をお願いしたいということであります。

以上です。

○ 堀内部会長

ほかに。それでは、高橋委員、どうぞ。

○ 高橋委員

私はワーキング・グループのメンバーでもございますが、今回の検討を振り返り、3点ほど発言させていただきます。

1点目です。長年の懸案でありました保険の販売チャネルの拡大、その中でも銀行による販売という重大な課題がこのような形で大きく前進する道筋がついたこと、そして、前倒しを前提にした期限の明示が行われたということにつきまして、座長の山下先生並びにご当局のご尽力とご英断あってのことと、委員として、そして消費者として感謝申し上げます。

本部会で、当案が承認されましたなら、金融庁として速やかに制度整備に取り組んで、さまざまな横やりに屈することなく、時代の流れに即した形で保険制度改革を進めていただくことを希望します。

2点目は報告書案の中身についてです。

検討回数の多さに比べ、非常にコンパクトな報告書になりましたことについて、一抹の不安を持っております。行政の裁量の余地が大きいまとめ方になっているというふうに感じております。

また、事業者を中心に幅広く意見聴取を行った結果、消費者保護のための制度整備についての検討時間が足りなかったと思っております。短い時間の中で検討課題を幾つか出させていただきました。報告書案にはその他の意見ということで、一部書き込んでいただいておりますが、今後のことがございますので、この場をお借りして多少追加的に意見を申し上げたいと思っております。

今回の販売チャネルの拡大措置によりまして、消費者へのマイナスの影響として懸念をしておりますのは、不正販売の横行です。2つのケースを想定しております。

1つは、死亡保障等の市場では乗り換えセールスが盛んになるのではないかという点です。欧米に比べまして、我が国はその点での消費者保護が手薄だと感じております。とりわけ他国に比べまして仕組みが複雑な保険商品が多く、消費者が既契約を十分に理解していない現実がある中で、新商品の販売攻勢を多数の業者からかけられることによりまして、経済的な損失をこうむる可能性があるということです。

もう1つは、銀行のような巨大な代理店が出現することや、保険会社がそうした代理店に乗り合うということを現行の保険業法は想定していないと思います。フィービジネスとしての不正、つまり消費者の利益よりも販売業者の利益が優先されること、以上の点を防ぐ手立てを講じるべきだと思います。

英国ではベストアドバイスルールや手数料開示などの措置を講じておりますし、米国では厳しい乗換規制であるとか、銀行による保険販売には一般の保険販売よりも上乗せの規制がかけられております。我が国でも相応の販売者責任を問えるような制度整備を行って、不正販売を抑止することによって消費者保護を図っていただきたいと思っております。

最後に、意見の3点目になりますけれども、僣越ながら、この場をお借りしまして保険会社並びに銀行に対して申し上げたいことがございます。

今回、ワーキングの議論の中で、銀行による保険販売の大きな目的であります保険料の低廉化というものが進まない、消費者にとって弊害ばかりが目立つ事態になるのではないかというような懸念が複数の委員から意見として出されております。端的に言いますと、保険会社と銀行が結託して消費者を裏切るかもしれないということでございます。

この点につきましては、消費者側が金融消費者、保険消費者として監視を強めていくということも必要だと思いますし、そういうことも行われると思いますけれども、両業界におかれましては、保険業、銀行業に対する国民の信頼付託にこたえるいい機会として、今回の解禁措置をぜひ受けとめていただきたいと思っております。先ほど来、保険業界のほうからはモニタリングというお話が出ておりますけれども、蛇足ながら、保険会社として販売チャネルに合った保険商品を主体的に開発し、懸念されるような銀行の窓口には保険商品をおろさない、そういう主体性を持った選択をぜひ行っていただきたいと思っております。全面解禁といっても、消費者としては全部の保険会社が銀行を通じて販売を行うというふうには考えておりません。銀行で販売をしたくない保険会社は販売しないことをもって販売している会社と競っていただくと、それを消費者が見て選択をする。消費者にとっていい市場が形成されることを期待しております。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにご意見等ありますか。

今までのところで、事務局とか座長は何か特にご意見ありますか。これは誤解ですとかいうような、そういうようなものはありますでしょうか。

○ 山下座長

いえ、座長としては、今、多数いただいたようなご意見はワーキング・グループでも出たものでございます。そういうご意見をすべて集約して報告書にまとめたつもりでございます。

○ 堀内部会長

はい、今松さん、どうぞ。

○ 今松委員

どちらかというと感想めいたことになるんですが。

まず、こういう形で金融機関における保険販売のルールづくりというのが一歩前進といいますか、そういうことについては基本的に支持したいと思います。それで、それが利用者利便というところに本当の意味でつながるという、そういう形での、これから先、これが金融庁において行われることについては、そういう形では期待したいと思います。

ただ、やっぱり一連のこの議論といいますか、中でありますのは、これは保険会社に対しても当然そうですけれども、銀行もそうです、両方とも、果たしてどこまで国民から十分に信用されているのかという問題、これがやはりあるんじゃないかと思います。

つまり、これまでの消費者から見て本当に保険会社というのはどこまで信用できるのと、あるいは銀行も同じだろうと思います。圧力販売というところでは、銀行はそういうことはないというふうにおっしゃるわけです。それはそうなんでしょうけれども、と思われる、あるいは黙っていても圧力というふうに感ずるということは、これはやはりあるだろうと。だとすれば、やはり基本的に銀行の経営というのが、当然これまでいろんな問題があって、その中でどこまで消費者あるいは融資を受ける側に立った形での経営というものを進めていけるのかと。これは単に紙にあらわれてくるところではなくて、経営そのものがそういう形で基本的な姿勢というものを示していただくということで、やはりそれがこれから先、こういう保険販売等々を進めていく際の基本的な前提になってくるんだろうと思います。

それと、これは7ページのところにあります、ちょうどこれはこれから先の問題として重要だろうと思うんですけれども、銀行を含めた金融グループ化というのが進んでいく中で、単に保険商品だけではなく、ここにありますようにいろんな商品が、当然バラエティーというものを持ってきます。そうしますと、その中で、まさにここにありますように、リスク管理というものを、それぞれ、じゃあ分別した形でやられているのかどうなのか。保険の場合は単に取り次ぎだということになるわけですけれども、それ以外の商品、あるいはそのグループ内に保険会社を子会社として抱えている金融グループも出てくるわけです。そうすると、そういう中での扱い等々を含めて、さらに、もう1つは、そこでの情報管理ですね。これはアメリカ的な経営でいえば同じ中では情報が共有していくということがあるようですけれども、日本で、じゃあこれから先、この情報管理の問題についても指摘されていますけれども、これをどう確立して構築していくのか。これは個人金融情報、今、特別部会での議論とも重なってくると思うんですけれども、こういう点についての議論ですね。これはこれからさらに深めていく必要があるだろうというのは、そういうふうにちょっと思っておるところです。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございましょうか。原委員、どうぞ。

○ 原委員

ワーキングにも時々参加をさせていただいて、議論も聞かせていただいておりましたので、8回という大変な検討を重ねられて、こういう結論ということで、この方向性自体は支持いたしますけれども、私としては最大の不満があります。

私としては、この銀行での保険商品の窓口の全面解禁がなされるときには、やはり横断的、包括的な金融サービス法が制定されるべきだというふうに考えていて、それが今回のこの報告書の中では、その他の考慮すべき事項の中の1つの項目の中の2行ぐらいのセンテンスにしか納められていないというところに不満を感じております。

今回のところは圧力販売の部分と、それから個人情報の遮断のところには目配りをきかせようということにはなっておりますけれども、消費者側から考えると、それだけではない。実際に変額保険の被害というものが10年前にありました。このときには保険会社と、それから銀行と、両方がやはり責めを負うべきところがあったというふうに思っています。今回、ワーキングに参加している限りでは銀行側と保険側の両者が相対立するような形で意見を述べ合っていらっしゃいましたけれども、実際にその販売の場面になったときには両者が結託をするということもあり得るわけで、そういうことを考えたときには、もっと横断的、包括的なルールが検討されるべきではなかったのかということが1つです。

それから2つ目は、銀行側の委員の方から、対応はもうほとんどとれているというようなお話があったのですけれども、一つ金融商品販売法に基づく勧誘方針を取り上げても、銀行が持っていらっしゃる、掲げていらっしゃる勧誘方針は非常に抽象的、そして項目数も少ないもので、これで生命保険商品を販売できる体制になっているのかというのは、外からうかがう限りではやはり見えない。それから、実際の生命保険商品のトラブルでは、告知義務違反トラブルが大変多いわけですけれども、このことにどういうように対応しようとしていらっしゃるのかというところもよく見えないということがあります。それから、昨日のワーキングで意見を出しましたので盛り込んではいただきましたけれども、苦情処理体制や裁判外紛争解決手続の充実というところも、これも銀行だけではなく、保険会社もともに考えていただきたいということで。私としては、まだまだ課題が幾つもあって、今後やはり真剣に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

1つ目は両方が結託をする場面というところで変額保険の被害の話をしました。2つ目は今あるその勧誘方針などの不備を申し上げましたけれども、3つ目としては、今回議論を聞いていて強く思ったのは、一番最初の販売をする場面のところだけに着目をして検討していらっしゃるように見えたことです。生命保険の契約というのは大変長期にわたるものです。例えば高橋委員の方から乗り換えの話ですとか手数料のフィーの競争の話とか出ましたけれども、そういうものですとか、それから、消費者側からすると適切な保険を提供されているのかということで相談をしたいというような場面も出てくると、そういうときに、販売をしたところと、それから保険を引き受けた保険会社と、どういう責任分担をとられていくのかという、販売責任とか商品設計の責任とかあると思うのですけれども、そのあたりも最後までちょっとよく見えなかった、ワーキングの中で検討していても見えなかった部分で、懸念を持っております。そういう意味で言いますと、やはり透明性ですとか公正さのところでは、まだまだ私は検討を尽くすべきいろんな課題が残っている。それが行政の方で今回、最後の詰めは、おやりになるということではありますけれども、やはりそこは透明性とか公正さを図る形で検討を尽くしていただきたいと考えております。

何度も繰り返しになりますけれども、私は第一部会の方では投資サービス法の制定の議論ともあわせて金融サービス法の制定をぜひお願いしたいと申し上げておりますし、総会の場でも申し上げました。保険商品の銀行窓口全面解禁と同時に、やはり金融サービス法制定の検討に着手していただきたいというふうに思っておりまして、決して「その他」ではないということを申し上げたいと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございます。

何かコメントありますか、事務局の方は。特にありませんか。よろしゅうございますか。いかがですか、ほかに何か意見等はありますか。

皆さんからいろいろご意見いただきまして、どうもありがとうございます。今、皆さんからいろいろのご意見を拝聴した私の印象でございますけれども、何人かの委員のご意見では、保険の販売の問題だけではなくて、もっと大きな投資家保護、あるいは消費者保護にかかわる問題がまだ残されているようです。これは今後も検討を続けていかなければならない問題ではないかと思います。しかし、報告書案全体の方向性に関しては、皆さんはほぼ賛成しておられると受け取りました。

今日、報告書案について何らかのリザベーションを置かれた方もいらっしゃいますが、本日の審議は公開されておりますし、それから、ご意見は議事録にとどめられますので、そのようなご意見があったという記録は残ります。委員から提起された問題点については、行政当局も厳しく受けとめて、今後、いろいろな形で、早晩、検討していただけるものと信じております。

そういうことを踏まえまして、本日、ワーキング・グループから提出されました報告書の内容につきまして、第二部会として了承することにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なしの声)

○ 堀内部会長

ありがとうございます。

それでは、そのようにさせていただきます。第二部会として、この報告書をご了承いただきました。

次に、部会としての報告書の取扱ですけれども、ワーキング・グループの報告書の冒頭に、前書きとして当部会としてのコメントを付記した上で、第二部会としての報告書としたいというふうに考えております。

そこで、私のほうで僣越でございますけれども、当部会としてのコメントを前書きのような形で用意いたしましたので、非常に簡単なものでございますけれども、これを安居さんのほうから、読み上げていただきます。お聞きいただいた上で、ご了承いただきたいと思います。

○ 安居保険企画室長

ゆっくり読み上げます。

本年1月16日、金融審議会金融分科会第二部会は、(1)保険の販売のあり方、(2)保険会社のガバナンスのあり方、(3)保険契約者等の保護のあり方、といった保険に関する主な検討課題について審議することを決定し、保険の基本問題に関するワーキング・グループにおいて検討を行うこととしたところである。

今般、課題の一つである「銀行等による保険販売規制の見直し」について、保険ワーキング・グループから報告があり、当部会においてこれを審議した結果、当部会の報告として了承することとした。

当部会としては、行政当局に対し、本報告を踏まえ、速やかに所要の措置を講ずるよう求めたい。

以上です。

○ 堀内部会長

この前書きは非常に簡単なものですけれども、さらに何か付け加えたり、あるいは修正したりする必要があるとお感じになっている方々はご意見をいただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。

(異議なしの声)

○ 堀内部会長

やや形式的でございましたけれども、ご了解いただいたということにしたいと思います。前書きをつけた上で、ワーキンググループの報告書を部会としての報告書にするということにいたします。よろしゅうございますでしょうか。

(異議なしの声)

○ 堀内部会長

それでは、そうさせていただきます。

それで、この会議の後に記者会見がございますけれども、その場で、今の前書きをつけたものを第二部会の報告書として公表させていただくということにさせていただきます。

それでは、最後になりましたが、次回の日程等を安居室長のほうからご説明いただきたいと思います。

○ 安居保険企画室長

次回の第二部会の開催につきましては、部会長ともご相談の上、改めてご連絡をさせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

事務局からは以上です。

○ 堀内部会長

蛇足ですけれども、要するに我々が了承した報告書は、行政の方々にいろんなことをお願いするということになっております。先ほど何人かの委員からご意見が出ましたように、利用者利便性を向上させるという観点から行政をきちんと進めていただきたいというわれわれの希望を是非重く受け止めていただきたいと存じます。蛇足ですけれども、このようなお願いをつけ加えて、本日の会議を終了させていただきます。

どうもありがとうございました。

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