金融審議会金融分科会第二部会会合(第22回)議事録

日時:平成17年1月14日(金)10時00分~11時40分

場所:中央合同庁舎第4号館 9階特別会議室

○ 堀内部会長

それでは、ただいまから金融審議会金融分科会第二部会の第22回目の会合を開催いたします。皆様、どうも本日はご多用中のところご参集いただきまして、ありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会合は公開ということでございますので、何とぞご了承いただきたいと思います。それから、本日は片田委員、神田委員、山下委員、島上委員、辻山委員がご欠席でいらっしゃいます。

それでは、本日の議事に移らせていただきます。本日の議題は、銀行代理店制度でございます。

前回の部会におきまして、既に非常に活発なご議論をいただいたところでございますけれども、それを踏まえまして、さらにご議論いただきたいということで、本日の部会を開催いたしました。一応、これまでのいろいろな議論の経緯がございますので、事務局と相談しまして、お手元に銀行代理店制度見直しの論点についてという紙を配らせていただきました。

配付資料の1は、これまでの議論の経緯等ということで、今後の金融システムのあり方の基本理念における金融仲介機関、とりわけ銀行代理店の位置づけについて、事実関係やこれまでの議論の経緯を簡単に整理してあります。

平成14年7月の金融審議会の答申では、中期的に展望した我が国金融システムの将来ビジョンにおいて、利用者の利便性の向上、金融商品に対するアクセスの改善の観点から、一つの金融仲介機関で多様な金融商品を、直接的ではないにせよ、代理店などの形で間接的に提供することを可能にすべきという提言が示されております。

金融商品の販売チャンネルを多様化するための規制改革については、前回も事務局から説明がありましたが、これまでに多くの皆様のご努力によりまして、こうした金融審議会の中期ビジョンに沿った形で進められていると私は考えております。銀行代理店制度につきましても、昨年の3月に大幅な規制緩和を行うことについて閣議決定が行われております。

それから、配付資料の2でございますけれども、これは前回の部会においていろいろご議論いただきました。その論点を事務局サイドで整理していただいたものでございます。審議におきましては、金融機関の創意工夫によるビジネスモデルの展開、それから金融サービスの過疎地におけるライフライン・バンキングの確保、高度かつ複雑な国際取引への対応、国際的な競争力確保といった観点から、100%出資規制あるいは専業規制は撤廃した方がいいのではないかということで、皆様のご意見は基本的な方向で一致していると私は判断しております。

それから、預金者保護、決済システムの安定性などを確保するため、銀行法に銀行代理業を正面から位置づけた上で、一定の行為規制を課しつつ適格性を求めるという考え方も、前回のご議論の経緯の中では基本的に了解されたと理解しております。

ただ、具体的に制度設計をしていくということになりますと、留意点としましては、代理店はライフライン・バンキングという過疎地における金融サービスの提供から非常に大規模なホールセール取引まで、多様な活用方法が考えられるものですので、それに対して余り一律な規制を課すことはなじまないのではないか、より柔軟な規制体系をとるべきではないかという意見が出されました。

それから、留意点の2番目としては、代理店として、たとえば大規模な事業会社が位置づけられて、相対的に小規模な金融機関の代理店になるというような場合に、事業会社が実質的には銀行業務をコントロールする可能性はあるかと思います。そういう状況があり得るということを考えた上で、適切なルール、規制が必要ではないか。それから委託元の銀行が代理店の管理・監督を行うべきであるというような点を、きちんと留意しておく必要があるのではないかと考えます。

それから、資料の3番目につきましては、前回部会において各委員にいろいろお出しいただいた意見を踏まえまして、事務局が法案を作成するための具体的な制度設計に必要な論点、ないし視点を事務局と相談した上で策定したものでございます。

本日は、この3番目の論点について、より突っ込んだ議論をしていただきたいと考えております。もちろん、この論点以外についてもご意見があればいろいろ出していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、まず資料の銀行代理店制度見直しの論点につきまして、事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。

○ 三井信用制度参事官

それでは、第二部会22-1、銀行代理店制度見直しの論点についてという縦長の資料をごらんいただきたいと思います。

この資料は3部に分かれていまして、1ページ目が1.経緯等でございます。それから、2ページ目が代理制度見直しの基本的枠組みということで、ここが前回の議論を整理した部分でございます。3枚めくっていただいて、その5ページ目に3.具体的制度設計についてと、こういう3つのセクションに分かれてございます。

1につきましては、事実関係の整理でございますので、読み上げさせていただきます。

1.経緯等

情報通信技術の発展、利用者ニーズの多様化等を踏まえ、インターネット専業銀行、コンビニエンス・ストア等の店舗網にATMを設置し、主として決済サービスの提供を行う業務形態など、新たな形態の銀行業が出現している。また、インターネットバンキング、テレフォンバンキングなど、銀行へのアクセスチャンネルも多様化している。

このような動きの中、当審議会は、平成14年9月、「中期的に展望した我が国金融システムの将来ビジョン」において、市場メカニズムを中核とした複線的金融システムに変革し、望ましい資金・リスク配分を可能とする観点から、「金融システム全体を見たときに、資金提供者である個人のリスク選好やライフサイクルに応じてタイプの異なる多様で魅力的な金融商品が提供されることが重要である。…将来的には、経営の健全性を配慮しつつ、少なくとも代理などの形で間接的に提供すること」と答申した。

最近の金融制度改革においては、このようなビジョンに沿って、銀行の営業所の設置等のいわゆる店舗規制が認可制から届出制に規制緩和されるとともに(平成14年4月1日施行)、証券仲介業の創設(平成16年4月1日施行)及び銀行等に対する同制度の解禁(同年12月1日施行)、信託契約代理店等の創設(同年12月30日施行)など、金融商品の販売チャンネルの多様化・拡充が図られてきている。

銀行代理店については、従来から銀行の100%子会社に限定するとともに、専業義務を課すことにより、銀行法上銀行店舗と実質的に同一視すべきものとして規制してきた。

一連の規制改革においては、銀行代理店も銀行店舗と同様に、認可制から届出制に改められるとともに、金融機関代理店制度の創設等が行われてきたが(平成14年4月1日施行)、100%出資規制、専業規制により実質的に銀行店舗と同一視した規制体系を維持したままでは、機動的な代理店設置が難しい、多様な顧客ニーズに十分対応できないなど、十分に活用されているとはいえない状況にある。

こうした中で、上記中期ビジョンに沿って柔軟で戦略的な店舗・営業戦略において代理店制度を活用できるようにするとの観点から、昨年3月19日に閣議決定された「規制改革・民間開放3か年計画」において、「銀行代理店制度については、金融機関の健全性や決済システムに与える影響等の観点を踏まえつつ、資本関係規制等の制度の見直しを行うこととし、平成16年度中に検討を行い、措置する。」こととされたところである。

1枚おめくりいただきまして、2.代理店制度見直しの基本的枠組みで、前回のこの部会におきます議論について、簡単に要約をさせていただきました。

1つ目、私どもからいたしました検討状況についての説明でございます。

1.で述べた経緯等を踏まえ、今後の銀行代理店制度については、100%出資規制や専業規制により代理店を銀行店舗と同一視してきた現行の枠組みを改め、銀行と顧客との間に立って銀行のために金融商品の販売や金融取引を取り持つ―その仲立ちをするというか、取り持つ行為を営業として行う者を、銀行代理業(仮称)として、銀行法上正面から位置づけ、より自由で柔軟な制度とすることが適当ではないかということから、参考のところでは、前回の配付資料の抜粋でございます。論点といたしまして、現行規制、出資規制、専業義務それから業務範囲の規制を大幅に緩和するなり撤廃すると。

2つ目の丸で、円滑かつ安全な決済システムの維持、金融機関の健全性の確保等のための制度の改正として、銀行代理業者に対して、行為規制として顧客への説明義務、それから誤認防止措置を講じる義務、それから分別管理義務、それから利益相反防止、これは利益相反の行為を禁止するといった規定を設けるということ。それから開業規制として、一定の人的構成、財産的基礎、それからシステムや体制の整備といった要件を求める。そういった論点をご提示して、ご議論いただきました。

そこでの議論でございます。基本的には出た議論に沿いまして、簡単に短く要約させていただいています。要約のうまくない部分、不適切な部分もあろうかと思いますが、大体1つのご意見につき二、三行を目標に短くしたものでございます。基本的方向性と、それから具体的制度設計における留意点に分けて整理いたしました。

基本的方向性、(1)の方でございます。

店舗戦略は銀行の経営戦略の根幹であり、金融機関の創意工夫による新たなビジネスモデルを展開できるよう、規制緩和・規制改革を進めていくべきである。

2つ目のポツです。銀行代理店について、100%出資規制や専業規制を撤廃すれば、店舗運営のコストを抑えつつ、利便性を確保する有益な手段となり得る。

3つ目のポツです。今後、金融サービスの過疎地等におけるアクセスを確保する必要性が社会政策上も重要になるため、銀行代理店制度について抜本的な規制緩和を行うことにより、これを基礎的銀行サービスへのアクセスを確保する手段として活用することが考えられる。

次のポツでございます。海外の金融機関によって行われている取引が、現行の銀行代理店に係る100%出資規制や専業規制などが障害になって行えないなど、現行規制が日本の金融市場が海外に比べて遅れている原因となっていると指摘されている。

それから次のポツ。銀行代理店を銀行法上認知して、100%出資規制や専業義務等の規制を緩和するという方針は、従来から規制改革会議で十分議論して決めたものであり、着実な実施が求められている。ここは「重い腰を上げた」というご指摘をいただきましたのを「着実な実施」と書いていますが、御意見があれば改めます。

それから、その次のポツ。日本では、銀行店舗は減少が続いているが、アメリカでは、過去20年間で銀行の数は大幅に減少している一方で、営業店は増加している。これは、米国では代理店制度などの活用により低コストで効率的な店舗運用が行われてきているからと推察される。金融サービス提供に関する国民にとっての利便性向上、とりわけ過疎地のキャッシュアクセスポイントの確保の観点から、柔軟な銀行代理店制度は有力な手段であり、規制改革を進めていく必要がある。

(2)の具体的制度設計における留意点

行為規制や参入規制等の具体的な制度設計に当たっては、過疎地における金融サービスのアクセスポイント(ライフライン・バンキング)から、大規模なホールセール取引やデリバティブ取引等の国際的な業務まで、多種多様な活用方法が考えられることから、一律の規制ではなく、業務内容、規模等に応じて柔軟な規制体系とすべきである。

2つ目のポツです。柔軟な規制の仕組みとしつつ、お金を扱うのであるから、資金の分別管理その他不当な扱いが行われることのないよう、押さえるべき点は押さえる必要がある。

次のポツです。銀行代理店による金融取引の結果は、銀行本体に帰属することから、銀行業務の健全性の観点からのチェックは当然必要であり、代理店を利用した様々な形態の取引はできるようにしつつ、銀行代理店に対し、銀行を経由しただけではなく、直接に規制、監督するようにするという考え方は、合理的かつ適切である。

一番下のポツです。銀行は、預金、貸出、為替といった固有業務のほか、付随業務を行っているが、付随業務は免許等を必要とせずに営みうること、両替等の簡易な業務もあることから、付随業務のみを代理して行う者に対しても代理業者規制を課すことについては疑問がある。

次のページの一番上のポツです。巨大な代理店ができると、巨大な事業会社が小さい金融機関の代理店という形で実質的に当該事業会社が金融業務を行うような結果になる可能性もあることを踏まえて、適切なルール・規制が必要である。

銀行代理店の業務において事故が起こった場合においても預金者や金融システムが保護されるよう適切な対応が必要である。大数の法則で処理されるようにというふうなご指摘だったと思います。

それから、最後のポツです。配布資料に述べられている項目(行為規制(顧客説明、誤認防止、分別管理、利益相反防止)及び開業規制(人的構成、財産的基礎、システム・体制の整備等))はいずれも重要であるが、特に業務運営における厳格性が重要であり、委託元である銀行が代理店をきちんと管理・監督できる体制がしかれていることが必要であるというふうに整理いたしました。

1枚おめくりいただきまして、前回の議論を踏まえまして、法制局等関係の当局とも議論しながら、当方としても法案の作成の準備をし始めております。その過程で、ここでご議論いただき、我々の今後の作業の指針をいただくためにご議論いただきたい事項として、私どもなりに部会長と相談いたしまして、抽出しました論点を簡単にまとめさせていただきました。これを読みながら、かつ説明を補充してつけ加えさせていただきたいと思います。

まず、その具体的制度設計について、本日の当部会における論点の(1)基本的考え方でございます。

過疎地等におけるライフライン・バンキングの提供拠点といった小規模の代理店からホールセール的な複雑ないし国際的な業務を行う大規模代理店まで多様で幅広い形態を想定し、柔軟で使いやすい制度を構築する必要がある。

それから、円滑かつ確実な決済システムの維持、金融機関の経営・財務の健全性の確保に配意する必要があるということに集約できるのではないかというふうに、まず考えてみました。

それで、具体的な制度設計でございます。(2)の適切な業務遂行の確保でございます。最初の2つのポツ途中までで1つの固まりでございます。それを補充するものとして、その3つ目、4つ目のポツがあるという前提で説明いたします。

1つ目のポツは、銀行代理業者の人的構成、実際にはそこの重要人物の知識・経験であります。それから、2つ目のポツは、きちんと決済が行われることを確保されるための体制であります。その2つをなぜここに掲げたかと申しますと、そのもととなる銀行の参入規制というのが大きく分けて2つの要件から成っています。その銀行免許を受けるための要件として、1つ目はきちんとした人的構成とか知識・経験の体制がしかれている必要があるというのが1つ目であります。

2つ目がしっかりした分厚い財務内容であります。財務内容につきましては、一番下の行から始まります5つ目のポツで書いていますが、代理店が何をするかといいますと、お客さんから預金を預かって、銀行にそれを渡す、あるいは銀行からお金を引き出してお客さんに渡す、あるいはお客さんから送金依頼を受け取って、確実にどこかの銀行に送金を取り次ぐというか、所属というか委託元の銀行を通じて、確実にどこかにお金を送り届けるという一番基本的なサービスをすることになろうかと思います。それから、もちろん融資を取り次ぐであるとか、その他付随業務を取り次いでいくといった業務があろうかと思います。

ということで、確実にそこがきちんと行われるということを考えますと、業である以上、いかなる業であっても人的構成というのは通常要求しているわけでございますが、それに加えて銀行業の持っている決済システムを担うということから、きちんと一定の処理が行われる、お金が取り扱われるということを確保しているということは、代理業者についても共通するものではないかと。

片や、財務内容については、銀行が預金債務を引き受けて、元本保証をして返すという約束をする一方で、リスキーな貸し付け―リスキーなというか、そのリスクを包含した貸し付けを行うということに係るクッションである手厚い自己資本であるとか、一定の財務内容を持つということが想定されていると考えますと、代理業者は自己で預金債務を引き受けないということを考えると本質的な、いわゆる適格性の要件ではないのではないか。

ただ、ただし書きがつきます。お客さんとの関係で、途中で事故が起きますと賠償責任が起きますので、そのための一定の資力が必要であるのではないかとか、業務がきちんと継続される必要があるということから、例えば債務超過であるとか事業が行き詰まっているということでは円滑な業務が遂行できないわけですから、そういったミニマムな点は別といたしまして、本質的要素として、銀行のような財務要件は必要ではないのではないかということ。これが、この最初の5つを整理してございます。

ということで、最初の2つ、人的構成が1つ目で、2つ目が体制であります。零細な代理店を念頭に置きますと、特に人的構成というイメージがしっくりするかもしれません。代理店主が1人で、その人が最低限度の預金の引き出しとか送金とか、せいぜい個人ローンの申し込みの書類の取り次ぎなどを行うといった、最も零細な過疎地での提供を念頭に置きますと、その代理店主が例えば元銀行員で銀行業に精通しているというふうなイメージで考えますと、その人がきちんと、まず知識・経験があって業務が遂行できると。

それから、もう一つは、例えばお金が必ず銀行に届くのかどうかというのは、いわゆるコンピュータシステムという意味ではない業務の手順といいますか、お客さんから受け取ったお金がどのような形で銀行につながっていくのかとか、どのように業務遂行をしていくのかという業務の手順、仕組みという意味でのシステム体制というのがきちんと整備されていればいいということになろうと思います。

片や、都会で大規模で複雑な、あるいは国際的な業務を行う代理店というふうに考えた場合には、それ相当に預金あるいは融資あるいはデリバティブ、それぞれの専門性のある業務に応じた専門家がいたり、そのラインが分かれていたり、ガバナンスを管理する組織があったりということで、重構造な体制が整備されていく必要があるのではないかと、こういうふうに考える次第であります。

ということで、ちょっと読ませていただきますと、銀行業務を適切に遂行するためには、業務の種類・態様に応じて、一定の知識及び経験等の人的構成が確保されている必要があるのではないかということと、預金口座を介した決済手段の提供は為替取引を行うため、決済システムの安定性の確保の観点から、代理店の規模や業務の種類・態様に応じた様々なレベルの体制があり得ることを前提としつつ、オンライン処理も含め、必要な体制整備が行われている必要があるのではないかということで、注意書きでございますが、今申し上げましたように、規模については、例えば、過疎地の零細規模の代理店か、ホールセールの大規模代理店か等々。それから業務の種類・態様につきましては、例えば、少額の預金の預け入れ・払い出し・振り込み等に限定したものか、あるいはある程度大規模な資金決済も行うのか、あるいは融資の取り次ぎを行うかといったレベルがあると、こういうふうに考えられます。

3つ目のところですが、上記のような的確な業務遂行のための体制や人的構成は、多様な形態での代理店参入を前提とすれば、個人代理店か法人代理店か、あるいは取り扱う業務の種類・内容に応じて決まってくるものであることから、これらを例えば登録とか許可とかいった参入規制の要件にする際には、多様な形態に応じて様々なレベルのものとするかどうかということで、「レベル」という言葉をここで使わせていただいています。

そのレベルということをちょっと片隅に置きながら、次のポツを読ませていただきますと、一方で、体制や人的構成は、量的な差異であり、例えば、業務遂行能力としての知識経験は、リテール、ホールセールといった類型によって異なるものの、同一類型の中であれば、お金を取り扱うという業務の質的な面では同じという考え方についてどう考えるか。これは、ちょっとわかりにくい文章で大変申しわけございませんが、例えば預金の払い出しや受け入れという業務を例に考えますと、例えば5万、10万の受け入れ、払い出しから1億、100億といった預金の受け入れ、払い出しまであるわけでございます。こういったものに対して、例えば100万円以下の預金の取り扱いしかしないところは、届出制ですと。100万円から1,000万円までは登録制ですと。1,000万を超える預金であれば、例えば認可制ですと。こういう制度を構築することに対して、法制局等の法律化との議論の中では、預金のこの払い出しなり預け入れといった業務であることには変わりがなくて、そういうものに対しては、銀行法は大規模なメガバンクから中小な銀行まで、同じ文言で同じ免許制をひいていると。小さい銀行なら届出制で、大きな銀行だったら特許制という意味ではないと。こういうことから、そこは質的な類型の違いではなくて量的な違いだということで、参入のバーの差があるのではないかと。

したがって、免許制が届出制になってくるという類型が変わるのではなくて、例えば人的構成であれば、人的構成にどういうレベルの、どういう手厚い人員を要求するのかというレベルの差として法令に書くべきではないかと、こういうふうな指摘もあるところでございまして、なお検討を要するとこでございます。そのことをこの2つで掲げたつもりでございます。ご議論いただければと思います。

それから、最後のポツですが、代理店は(後述の事故の際の顧客への責任の点を除けば)預金債務を自ら引き受けるわけではないこと、代理店には多様な形態のものが想定されること等を踏まえれば、代理店自身に対し高度の財産的基礎を要求する必要性は高くないのではないか。説明を省略します。

それから、その次は別の事項になります。代理店の行為の法律効果は銀行に帰属することから、委託元の銀行の財務・業務の健全性を確保する観点から、銀行は、代理業者に対するモニタリング、定期的な業務監査など、適切な管理・監督を行いうる体制・権限を整備する必要があるのではないか。具体的には、例えば銀行代理、銀行窓口業務の委託契約などにおいて、銀行が一定の業務内容、種類、実施方法について指導したりとか、あるいは場合によっては指図をしたりとか、あるいは現金の管理状況について、場合によっては、現金監査をしたりとか、代理店に不正があるという疑いがあるときなんかに備えて、一定の場合は銀行がその代理店に、いわゆる銀行が支店にやっている支店検査のようなものに入るようにするとか、そういったことを契約上定めていただく必要があって、それを代理店業の行為規制なり制度の中で行政がチェックするという仕組みが必要なのではないかと、こういう問題意識であります。

その次のポツ、代理業者には幅広い分野からの参入が可能となるため、例えば、大規模な事業者である代理業者自らが実質的には委託元の金融機関に代わって重要な意思決定に介入し銀行業務を行うという、いわば銀行業の免許制を潜脱する事態を防止する措置を講じるべきではないか。例えば、委託元の銀行が代理店を適切にコントロールできる関係を担保するような委託契約や業務体制、ここはちょっと今のと重複いたします。更には、経営判断や融資の決定など重要な意思決定は委託元の銀行本体が行うことを求める必要があるのではないかということでございます。

特に経営判断までアウトソースするというのは、例えばドイツの法令などを見ても、それはアウトソースできないという考え方に立っていますし、イギリスのFSAのハンドブックなどを見ましても、その経営判断であるとか、あるいは取締役の自己取引の承認―これはドイツでしたかね、ドイツとイギリスとごっちゃになっているかもしれませんが、重要なそういう取締役会の決定事項みたいなことまでアウトソースできないとか、そういうルールが明確にございます。特にその融資の判断なり、あるいはもう少し幅広い概念かもしれません、銀行が大きなリスクのエクスポージャーにさらされるような取引とか業務判断というものについては、銀行が責任を持てるような仕組みになっていなければいけないということで、代理店が勝手に危ないところに貸し付けてしまって、それを銀行がどんどん押し付けられるという事態があってはいけないということでございます。

それから、次の兼業の点でございます。他業を兼営する場合には、他業が銀行代理業に支障がないこと、安全な決済システムの維持といった公益を害しないこと等が前提になるのではないかということで、これは過去の法令でも前例がありまして、例えば暴力団との関係があるものははねられるであるとか、あるいは一定の風俗であるとか反公益的な産業については、その兼営は認めないと、こういった例がございます。貸金業法でも例がございます。

それから、それに加えまして、次の顧客保護の利益相反防止と関係するんですが、例えばということで、ここは他業がどんなものであっても、例えば預金口座の開設の申し込みを取り次ぐであるとか、少額のキャッシュアウト、一定の金額、5万、10万のキャッシュアウトを何かやるといって、大きな利益相反が起きるということはもちろんなくはないんですけれども、融資に比べるとはるかに少ないでしょうし、片や融資ということに着目しますと、この部会でも、あるいはワーキンググループでもたくさんご議論いただいたような抱き合わせ販売であるとか種々の弊害防止措置というものが必要になってくるかと思います。

そういった観点から、例えば銀行が通常にアームズ・レングスで貸しているような状態まで禁止することではないんですが、過剰に貸し込みすぎているような企業あるいは経営不振に陥って通常の取引形態を超えて融資額がかさんでいるような場合に、そこが代理店になることがいいのかどうかといった問題があるかと思います。そういった点について、そういう抽象的かつ実質判断を伴うものの兼業規制のあり方というものについて、法制的にはなお検討を要するところでございまして、ちょっとここの点については引き続きご議論させていただきたいと思います。

それから(3)顧客保護、今のところとちょっと話がやや重複していて異なることでございますが、顧客保護の観点から、銀行代理業者に対し、説明義務―これは金融商品いろいろなものを提供する際に、その内容の説明であるとかリスクの説明でございます。それから誤認防止、本業である他業の業務としてやっているのか、銀行代理業を仲介業としてやっているのか。それから分別管理、銀行のために扱った顧客の資金は、自己の営業の過程で保有する資金とは分別して管理すると。分別管理には具体的に金銭なのか、そうでないのかといろいろレベルがございます。ここについてはまた後述いたします。それから、利益相反の防止というものの法令上の義務づけが必要ではないかというふうに考えております。現行ですと、銀行にはこういう体制を求めるとかそういう措置を、銀行はこういうことを防止するような措置を講ずることを求めるというふうな規定でございますが、直截に種々、例えば信託業法であるとか証券取引法のように、端的にこういう行為規制をかけると、こういうことを念頭に置いております。

ここの利益相反防止でございますが、代理店しかやっていない場合でももちろんあり得るわけですが、代理店が銀行代理業以外の本業がある、かつ、その本業との関係で委託元の銀行と金融取引、例えば典型的には融資でございますが、受けていないということであれば、余り問題は起きないなと思うんですが、受けているケースももちろんあり得ると思います。あり得て、それが通常のレベルでアームズ・レングスに何ら問題ない取引まで禁止するというのは問題ではないかと思いますが、そのような禁止される筋合いのないような通常の融資活動のもとにある融資先の一般事業者が銀行の代理店になったと仮定しまして、その場合、銀行と代理店事業者には一定の損得勘定がございます。その損得勘定を考慮する結果、お客さんに損害を与えるような銀行代理業務取引を行うとか、あるいは代理取引の結果、銀行に損害を与えるような取引を行うということが理論的には存在し得ると。極力そういうことが存在しないように、種々の業務規制をするということも考えられますが、極力自由にしてというふうになると、そういう場面が出てくることも考えられますので、基本的に柔軟かつ自由な制度にするということの表裏一体の問題として利益相反防止を、今のようなものを一般的に直截に禁止するというふうな規定を一つ、具体的にどういう場合にそれが適用されて、どういう場合には自由にできるのかということを法令レベルあるいはガイドラインも含めて明確にしていくということを今、想定して検討しております。

それから、次のポツにまいります。

前に述べましたとおり、代理店自身に対しては、高度な銀行のような財産的基礎は求めないと、これは多様な形態での柔軟な規制体系にするということを前提にするとこうなるということですが、さはさりながら顧客保護の観点から業務遂行に当たって、事故等により顧客に損害を与えるという事態があり得なくはありませんので、そういった場合に備えて、例えば他法令の例などでよく導入されているものとして、営業保証金という制度がございます。こういった方法により、一定の財産的な裏づけを確保するということは必要なのではないか。もちろん、これは供託の方法をとったり、あるいは銀行の保証をとったりとか、いろいろ柔軟な裏づけの方法はあると思いますが、そういったものが必要ではないかと。しかも、その水準は多様な形態の代理店の活用が見込まれることから、業務内容、資産規模等によって段階的なものにするとともに、過度に高い水準なものとならないように配意すべきであるということは当然ではないかというふうに考える次第でございます。

それから、3番目の顧客保護でございますが、代理業者が顧客に与えた損害を賠償することが困難な場合を想定して、顧客保護を図る観点から、証券仲介業制度、信託契約代理店制度における委託元の証券会社、信託会社の損害賠償責任規定というのがございます。具体的には、お客さんが代理店の過失で損害を受けたという場合に、もちろん代理店に資力があって賠償をしてくれれば代理店から弁償を受ければいいんですが、たまたま代理店が倒産したりとか資力がないという場合には、その委託元の信託会社や証券会社から賠償を受けるという規定がございます。もちろん代理店と委託元の証券会社、信託会社との間では、悪い方が悪い程度に応じて損失を負うということになっていますので、あくまでお客さん保護のところに限られるわけですが、そういうのと同様の責任の明確化、規定を置いてはいかがかと、こういうふうな趣旨でございます。

最後のページですが、信用金庫、信用組合等の協同組織金融機関につきまして、金融機関代理店制度は、今禁止されているということを前回ご説明いたしました。このような制度をきちっと位置づけていく上で弊害防止措置も採るわけでございますので、禁止する理由もありませんし、むしろ過疎地における基礎的な銀行サービスの提供をしっかり拡充していくという観点から、むしろそういう地域金融機関にこういう制度を活用していただくことはより望ましいことでもありますので、幅広く預金取扱金融機関全体について、こういう代理店制度が同様の制度として使えるようにしていってはどうかと、こういう論点でございます。

駆け足で恐縮でございますが、以上、論点の説明をいたしました。

それから、横長の資料については中身は説明いたしませんが、資料の所在だけを説明させていただきます。

最初から、ほとんどは前回配布資料と同じでございます。最後の10ページ目から3枚ぐらい、これもこの10ページの前半は前回と同じものでございます。その「代理業」という言葉を使うというのは日本が特異なようでございますが、お客さんと銀行のインターフェースになる業務、要するに銀行の窓口業務がアウトソースされたりとか、外部に受託されるというものはどの国にも存在いたします。フランスが若干私、狭いというふうに前回は説明いたしましたが、よく調べてみますと、フランスも銀行取引仲介人というのが実際にいて、それが預金の取り扱いもしているようでございますので、フランスにおいても他国と同様にそういったものが制度上、認められているということであります。

追加いたしましたのは、11ページ目以下に、例えばアウトソースする場合の考え方みたいな、基本理念みたいなものが、例えばイギリスとかドイツであるとか、あるいは今私が説明しましたフランスの銀行取引仲介人というものの条文の翻訳が一番右の欄でございます。左のニューヨーク州銀行法というところにあります、この趣旨は、送金業者というのがあるということでございまして、日本は為替業務というのは銀行の独占業務であるというふうに従来から言われていまして、当たり前だというふうにみんな思っているんですが、諸外国を見ますと、送金業というのは預金の受け入れとは違った規制を受けている国が多々ありまして、典型的にはアメリカでございますが、預金の受け入れをしない送金業者というものがありまして、資金決済の一翼を担っているということでございます。

以上、簡単でございますが、説明を終わります。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまご説明のありました銀行代理店制度見直しの論点につきまして、ご自由にご発言いただきたいと思います。どういう論点でも構いませんので、いかがでございましょうか。

では池尾委員、どうぞ。

○ 池尾委員

予想される活用形態は非常に多様なので、したがって一律的、機械的規制はなじまないと。活用される実質に応じて多様な柔構造の規制をすべきだというのは、考え方としてはそのとおりだとは思うんですが、他方、余りアクティビティーの内容に立ち入って規制をするということは、反面非常に煩雑になるし、それから私の発想だと、やっぱりアクティビティーそのものに何か規制を加えるということは好ましくないというのがあると思うんですよね。

だから、私としては、代理を頼む銀行に責任と権限を負わせれば、代理店そのものに対する規制というのは、かなり一律のものでも実は構わないのではないか。代理店そのものに対する規制の内容は、基本的には一律のものを想定して、零細例外規定ぐらいはもちろんあってもいいと思いますから、本当に1つでないですけれども、細かく段階的に分けて、何かここまでだったらこうだよというふうな仕分けは、ちょっと逆効果になるような感じのところがあると思うんですよね。

だから、ポイントは、要するに銀行に対する自己資本比率規制なんかの考え方がそうだというふうに私は理解しているんですけれども、基本的に自己責任でやってくださいと。ただ、自己責任をまっとうできる財産的根拠等があるかどうかは、ちゃんとチェックさせていただきますと。自己責任をまっとうできる自己資本等があれば、それは大きなリスクをとってもいいんだけれども、自己責任をまっとうできる財産的基礎等が欠けているのにリスクをとるようなことはやめてくださいというのが基本的な規定の考え方で、直接アクティビティーの内容に立ち入って注文をつけるというやり方は、古い規制のフィロソフィーだというふうに思うので、この場合も今申しましたように、代理店そのものに対する規制はむしろ簡便なものにして、利用する銀行に対して権限と責任を明確に求めて、監督当局としては、その銀行がそうした権限と責任をちゃんと行使できる体制があるかどうかをチェックすると、新BIS規制の第二の柱の考え方ですけれども、銀行自身がそういう権限と責任をちゃんととれる体制があるかどうかを監督当局がチェックするというふうな形が好ましいのではないかというふうにご説明を聞いていて感じました。

以上です。

○ 堀内部会長

三井さん、何かお答えはありますか。

○ 三井信用制度参事官

おっしゃるとおりであるというふうに考えつつ、実はううとうなりましたのは、ちょっと繰り返しになって恐縮なんですが、銀行の体系がメガバンクから地域金融機関の一番下まで、同じ免許制を同じ条文のもとでやっていると。本当に委員のご指摘のとおりでありまして、自己資本比率規制もいわゆる比率規制でございまして、同じ公式を基本的に当てはめるような形で、小さいところには小さいもので済むと、そういうふうな仕組みが構築されているという法体系を法制局で、その条文を目の前にううんと言って、要するにこれを届出制だとこういうことがやっていけなくて、登録制になると1つやっていいことがふえて、許可制になるとさらに2つやっていいことがふえてと、こういう仕組みというのは今の銀行法の体系からはかなり異質だねと、こういう指摘を実は法律家の議論で受けていまして、かつ前回の議論では、多様な段階的な仕組みがあった方がいいと、こういう議論が多かったと思いますので、その間で実は担当者、私どもうんうんうなって、どこまでできるかというのを今トライした。そういう意味では努力の限界がこのぐらいではないかということでございまして、そこはかなり努力しても、例えばある程度シンプルなものにならざるを得ないところがあるものとして、その一つの例として、参入規制も業務の種類によっていろいろ段階的なものにすることはできなくて一律のものになるし、例えば利益相反というものも、こういう業務をやるなら新しい利益相反行為としてこういうのを禁止するというよりは、一般的にお客様に被害を与えたり銀行を害するような、そういう一種、二重の立場を利用した行為というものを一般的に禁止した上で、何か特殊な事情があれば例外なものを置いていくというふうな規制体系になっていくのではないかという問題意識はございます。そういう意味ではおっしゃるとおりだと思います。

○ 堀内部会長

今の池尾さんのご意見を考えますと、多様で柔軟な規制というのは、必ずしも行為規制といいますか、業務について直接規制を加えなくても別の方法があるではないかということを示唆されていると思うんですね。例えば、これから議論されると思いますが、顧客保護の方からいろいろ枠をある程度定めていくという方法もあり得るだろうということかと思いますので、これは検討の課題だと思います。

ほかに何かいかがでございましょうか。

はい、どうぞ。和仁委員。

○ 和仁委員

基本的な考え方というのは、今の池尾委員のおっしゃったとおりだろうと思います。多分私のコメントに対しては、後から岩原委員から厳しいコメントが出ると思いますが、私の気の付いた点をいくつか述べさせていただきます。

まず、今のお話を伺っていると、代理店制度というものが非常に重いものになってしまうのではないでしょうか。法制局を相手にして議論をされるので大変なのはよくわかるんですけれども、法的な考え方というより、マーケットで何が一番適切なものなのかということからお考えをいただきたい。法的にいろいろ規制しようとしても、法律どおりにものは動かない。利益相反は非常に厳しく禁止されていて、それについて理論的にああでもない、こうでもないという想定問答をやるよりも、一遍市場にやらせてみて、それで事故が起こったら、そこで考えるといえばアプローチも考えて良いと思います。

問題は、私、同じことを何回も言っているんですけれども、ここでご説明を聞いていてよくわからないのは、銀行業の代理店業務なのか、銀行のやっている業務の代理店業務なのか、ここがこんがらがっていて、どっちの話をされているのか不明ということです。銀行業の代理業務ということであるならば、ある程度の規制がかかるということはやむを得ないと思いますけれども、付随業務の方に関しては、余り規制をかける必要がないのでないかということが考えられます。もちろん、委託元である銀行がちゃんとガバナンスをきかしているということは必要ですけれども、それを外れて、それ以上に銀行の業務そのものについて、どのぐらいの規制が必要なのかということを議論するのは疑問です。殊に付随業務のところに関し、昔の規制というのは銀行業に関する代理店規制だったのが、どこかの時点で銀行の代理店業務規制になってしまって、要するに銀行業以外のものを含むという形になってしまって、非常に変なことになってしまっています。

もう一つは、ここで考えなくてはいけないのは、長くなりますけれども、銀行という業務自身、本来の銀行業というのはもう余り将来性がない、申しわけないですけれども将来性がない業務になりつつある。だから、リレーションシップ・バンキングの推奨なんかをやっていらっしゃるわけですけれども、そのような方向に向けて銀行が伸びていくために、彼らの合理的な運営をするためには、一体どういう形で適切な経営体系をとらせるようにするかということを頭に置いて考えるべきなんですが、きょうのお話だと、何か法律論だけで法律家の議論で割り切ってしまっていて、本当にそれでいいのかということがあります。

それから、さらに一つ、銀行業の方の代理業務なんですが、例えばコンビニにおいて公共料金を支払っていますけれども、あれは為替業務ですよね。そこまでカバーされるんでしょうか。もし代理店業務を、先ほど送金業のお話がありましたけれども、銀行法上の為替の規定というのははっきり言って破綻しています。うまく定義できない。それをなぜコンビニでお金が払えるのかと、あれはもう決済をやっているわけなんですけれども、しようがない。では、そこのところも規制をかけなくていいのかという話があるわけですよね。そこまでカバーできるようなことをお考えになっているのか、まだ考える余地があるならそこまで規制を考えていただきたい。代引きでも同じですけれども、宅急便業者が倒産したときに一体だれが責任を負うのか。一般の人はみんな、払った人は一応宅急便業者に払ったんだから、それで支払いは済んだのだろうと思っていらっしゃいますけれども、実際にお金の流れを見ていると―ごめんなさい、宅急便業者が危ないという話ではないのですが、宅急便業者のところで資金が滞留して、それから銀行の方へ支払われるということになると、まず宅急便業者の預金口座に一度入金していますけれども、別に分別されているわけでも何でもない。利用者の保護については、かなり長い間議論はされているんですけれども、やっぱりうまく結論できない。では、今度代理店規制をかけて、そこのところをどうしますかという話が出てくるわけで、この制度の便利さを否定することは誰にもできないと思うんですね。でも、法的整理の点は今のままでいいのでしょうか。そこのところで規制をかけるとなるとどうすべきか。やはりそういうふうな現実的なアプローチをしていただきたいというふうに思います。

あともう一つ、ライフラインとしての銀行代理店というのは、これは必要だということは、前回も岩原委員がおっしゃっていたとおりだと思います。確かに金融機関がだんだん大型化していく。地銀とか第二地銀の合併をどんどんエンカレッジしていくということで、大きな銀行にしていく。そうすると、やはり経済的な合理性ということから支店をどんどん廃止していかなくてはいけない。そうすると、個人の代理店というのを活用していかざるを得ない、それは必要だと思います。でも、その場合でも考えなくてはいけないのは、余りにも規制をかけ過ぎて、代理店になる人に負担がかかり過ぎないのか、そういうことに対して代理店をやっていいですよと参加者が出てくるのではなくて、できればやりたくないというような、そういう形になっていくというのは非常に問題なのではないかと思っています。

それからもう一つ、先ほどドイツの規制をひいて、要するに経営判断や融資の決定など重要な意思決定は、委託元の銀行本体が行うことを求める必要があるのではないかというお考えがありましたけれども、これは本当にそうなんでしょうか。要するに、殻としての銀行ということだって、場合によっては考えられてもいいのではないかと思います。池尾先生がさっきおっしゃっていたような、要するに損害が発生しないような形での自己資本の充実とか、そういうことを考えればいいのであって、企業というものは常に、必ず自分の中で意思決定をして、ガバナンスを効かしているものでなければならないのでしょうか。要するに、判断機能はほかのところが持っていってもいいのではないですか、アウトソースしてもいいのではないですか、損害が発生しないシステムをつくればいいのではないですか、ということも選択肢として考えられてよろしいのではないのかなと思います。

最後に、顧客保護のところで営業保証金のことをおっしゃっていますけれども、営業保証金というのは実務上何の意味もないと思うんですよ。というのは、要するに企業が事故を起こしたときに営業保証金なんてわずかな金額でしかあり得ない。投資顧問業法とか、営業保証金を納めろという規定になっていますけれども、でも、やる人たちにとっては、もう、へとも思わない金額なんですよね。逆にその金額を大きくすれば、これは参入障壁になってしまって、またこれはうまくいかない。要するに、顧客保護といった場合に、営業保証金を持ち出すのは余りいい議論ではないと思います。何か私もいい考え方が今出てこないので、何とも申し上げられないんですけれども、営業保証金というのは余りいいアイデアではないと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにはどうでしょうか。ご意見、ご質問でも構いませんけれども。

はい、どうぞ。宮山委員。

○ 宮山委員

具体的な制度設計の論点の4番目の最後の、協同組織についても認めるべきではないかと、こういうことについてちょっと信用金庫業界としてお話をしたいんですけれども。

この要望を出したのは信用金庫業界なんですけれども、その背景にあるところは相互扶助のネットワーク化ということなんですね。具体的に申し上げますと、3年前のペイオフの一部解除があったときに、1,000万を超える定期預金を持っていらっしゃるお客様向けに、信用金庫同士で預け替えできる仕組みを作りました。その際、信用金庫業界では当然ながら、現行法の枠組みの中でその仕組みをつくったわけですけれども、そうしますと、かなり不自由な手続の面があったんですね。今般のようなこの金融機関の代理店が、信用金庫業界にも、協同組織金融機関の中にも認められるとすると、この複雑な手続をとらなくともお客様のニーズにかなりこたえることができるということなんですね。

こういう、いわば協同組織金融機関のコラボレーションといいますか、信用金庫業界は、ふだんから協調と連帯ということを言っているわけでございますけれども、お客様に向けて、相互扶助という協同組織の特性の具体化がよりできるのではないかというふうに思っております。これはまた今後、他の業態との連携ということを考えることができ、お互いの得意分野を生かしながら、地域のお客様の利便性をより高めていくということにもつながると思いますので、協同組織金融機関の社会的使命にも合致すると、こういうことでございます。ぜひ一つご検討を前向きにお願いしたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがですか。

岩原さん、どうですか。

○ 岩原委員

何か最初から何か言わざるを得ない雰囲気にさせられてしまいました。

池尾委員、和仁委員のご発言は、要するにご懸念として、この事務局から提案されているような銀行代理店制度の案だと、規制が重いものになり過ぎるのではないかという基本的なご懸念かと伺いました。この文章だけ見ると、こういうふうな規制になりますよということが書いてありますから、そういう印象が非常に強くなるのかもしれませんけれども、問題は具体的にどういうような類型の代理店について、どういうような、規制が必要になるのかということを考えていく必要があるかなと思います。

そういう意味で申しますと、まず池尾委員のご指摘にあった、アクティビティーそのものを規制することは適切でないという、そのアクティビティーとして、どういうものをお考えなのかが恐らく一つの論点かなと思います。今回のご提案で、アクティビティーに関する規制として提案されておりますのは、(3)の顧客保護の中の説明義務、誤認防止、分別管理、利益相反の防止、こういった点ではないかと思います。

私の感じでは、ここに書かれているようなこと、説明義務や誤認防止あるいは資金を直接代理店が預かったときの分別管理、これはやはりやらざるを得ないことではないか。お客さんが誤解したり、あるいは預かったお金、資金を流用されたりということがあってはならないことは確かでありまして、そのような点につき銀行が代理店の行為をちゃんとコントロールしているかというところを見る。これは当然まずやるべきですけれども、そのほかに代理店レベルにまでそういった分別管理をチェックすることを法律上規制する必要があるかというのが多分ご懸念だと思うんですけれども、資金の流れ等を見るためには、代理店の方に対して検査をするといったことも必要になると思いますから、その限りでの規制は必要かなと思います。

恐らく一番池尾委員がご懸念になっているのは、利益相反の防止が入っているところではないかと思います。確かに利益相反の防止ということになりますと、非常に幅広い規制が考えられるようになるのかもしれません。ですから、これはまさに具体的にどういった代理店について、どういった利益相反を抑えようとしているのかという点が問題なんだと思います。ですから、単にこれだけ書いてしまうと、すべての代理店の行為について利益相反が事細かくチェックされて、それが実質的な、いわば業際問題に絡むようなことまで考えられるようなイメージを与えるのかもしれませんけれども、恐らくそういうことをお考えになっているわけではないんだろうと思います。さっきの例で挙げられましたように、いわば機関銀行的になってしまって、関係者にだけ融資が行われるなど、融資判断を代理店の方ですることによって銀行に直接損害を与えたり、あるいは顧客に直接損害を与えるような利益相反行為を防止しようという趣旨だろうと思いまして、そういう趣旨で入るのであれば、これはあり得る規制ではないかと思います。

まさに、この代理店がどういう使われ方をするかにかかわってくるわけなんですけれども、前回申し上げましたように、場合によっては非常に巨大な代理店ができて―これ、さっきの和仁委員の御指摘とちょっと絡んでくるんですけれども、銀行を事実上代理店の方が支配して、入れ物として銀行を使って、代理店の方が実質的に銀行業務をやるというような場合を考えますと、そういった融資等について、むしろ代理店が、いわば機関銀行的に銀行を使うということが起こり得ますので、そういう場合は少なくともチェックする必要があるのではないかと思います。

アメリカでも、銀行が内部関係者等に対して融資することについては、国法銀行法の23条のAやBで、非常に厳しい規制が行われていますし、バンキングとコマースの分離は非常に厳格に、今でも維持されているわけでありまして、そういう形での銀行の安全性等を守るための最低限のチェックは必要であって、そういうことが実質的に危惧されるようなタイプの代理店については、それを抑えることができるような規制は入れておく必要がある。しかし、それがそれ以上に幅広く、一種の業際問題的なところまで含めたことまで考えて、手とり足とり行為規制をするというようなことを考えるのは、それは妥当でないということではないかと思っております。

それから、それと関連して申し上げれば、従来、銀行というのは原則として固有業務と付随業務しか行えないという業務規制を受けているわけですけれども、それに対してこの代理店というのは、業務規制を外して他業ができるというようにしようとしているわけであります。そしてまた銀行は、主要株主規制という形で株主の方からのバンキングとコマースの分離が問題を起こさないようなチェックをしているわけであります。銀行の安全性確保のための他業禁止や、主要株主規制等による機関銀行化の防止といった最低限の銀行の財務の健全性確保等のための規制が、代理店を使うことによって破られるということがないようにしていただきたい。そのための最低限の利益相反の防止の規制というのは、やはり私は必要ではないかと思っております。

そういう観点からしますと、和仁委員のご指摘の銀行を箱に使ってなぜ悪いという主要株主規制とか銀行法は要らないということになるのではと危惧されます。財務の一定の比率さえ守っていれば、どんな銀行の扱い方をしてもいいという考えに立つとすれば、確かに和仁委員おっしゃったような行き方までいける。それも一つの考え方かもしれませんが、そこまでの考え方をとることは、少なくとも現在の銀行法の考えからはかなり大きく出ることになりますし、世界的に見てもそこまで銀行を自由に使っていいという考えがとられているとは、私は考えてはおりません。

ただ、和仁委員のご指摘の中で、固有業務と付随業務の問題は、本当に銀行業務として安全性を守らなければならないのは何かという問題と絡むわけで、固有業務が本来守るべきものであって、付随業務については同じに考える必要はないという御指摘は、私も賛成であります。

決済の問題、コンビニの決済、これは非常に大きい問題で、本当は銀行規制というより、決済としての安全性確保のための、むしろ決済システムに関する独自の規制を考えていくのが筋だと私は思っているんですけれども、それはちょっと今ここで全部それを取り上げるのはいかがかという感じがしております。銀行の固有業務についての代理店制度の規制という範囲で考えればいいのではないかと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

では池尾さん、どうぞ。

○ 池尾委員

別に反論するつもりはなくて、おっしゃっていることは、表現ぶりはちょっと印象は違うかもしれませんが、私が言っていることとそんなに違うレベルの内容のことを実はおっしゃっているわけではないと思うので、そういう意味で反論する必要はないと思っているんですが、ただ、ちょっと2点だけ補足というか補充をしておきたいと思うんですが、ちょっと私がアクティビティーと申し上げたのは、この資料の言葉で言えば、3枚目の具体的制度設計のところのページの真ん中の注のところで使われている業務の種類、対応というふうなことの意味でアクティビティーという言い方を使った感じで、だから、ここまでの業務、むしろ業務範囲と言った方がいいかもしれません。こういう業務がやりたければ、こういう条件を満たせとか、さらに別の業務をやりたければ、こういうことをしろとかいうふうな規制のやり方はあんまりよくないだろうという趣旨で申し上げたので、説明義務とか誤認防止とか分別管理は、それは私も当然やるべきだというふうに思うんです。

ただ、2番目ですが、やはり利益相反のところについては、ちょっと考え方が少し違うかなという気はします。というのは、例えば銀行がある個人なり企業を代理店に選んで、その代理店が利益相反を起こして、それを依頼した銀行が損をしたと、それは銀行の自己責任ではないかと。なぜそんなことまでわざわざ防止を考えてやらなければいけないんだというのが私の発想で、それは、そういうことで自分自身が損をしないように銀行がちゃんと管理をし、そう思っていても損をしたら、それは自己責任としてちゃんと引き受けるという体制があればいい話であって、利益相反が起こって、銀行が損をするということを事前に心配してあげる必要はそんなにないのではないかと。それに対して、顧客に損を与えた場合については、もう少し心配する必要は当然あると思うんですが、その場合も説明義務、誤認防止義務、分別管理で対応できる範囲はかなり広いだろうし、それから代理店を使った銀行に責任をとらせるという仕組みがあれば、銀行自身が利益相反の可能性について配慮して代理店を選択するというメカニズムがある程度働くはずなので、そういう意味で、利益相反防止については、必要性がそれほど深刻に大きいのかなというのが、ちょっとそこがニュアンスというか考え方が違うかもしれない、そういう感じです。

以上です。

○ 堀内部会長

では、ほかの皆さんも意見を出していただきたい。

○ 岩原委員

私も池尾先生と考え方はほとんど違わないと思うんですけれども、利益相反により、銀行の自己責任だけでは済まなくなって、決済システム等に、脅威を与えるような被害を生じさせるようなことがあってはいけないという意味で申したわけです。アメリカでかつて問題になったのは、フォードが実質自分の子会社として銀行をつくりまして、フォードが行っております自動車信用の道具としてそれを使い、しかも当該銀行を通じて中央銀行の資金や決済サービスを利用して行ったという例があります。さっきの和仁さんの銀行が自主的な経営判断をしなくていいかどうかという問題につながってくるんですけれども、いわばそういった他業態に支配された銀行が、サウンドバンキングの原則を逸脱するような形で中央銀行信用等を利用したり、あるいは決済システムを利用するようなことがあってはいけないので、そういう点についての利益相反のチェックは最低限必要ではないか。ですから、かなり極端な場合を考えて申し上げたつもりです。

あともう一つの顧客との利益相反は、ワラントですとか、あるいは変額保険ですとか、そういう形で現にいろいろ問題が起きています。顧客への説明義務で一体どこまでそれがカバーできるかという問題とかかわってくると思いますけれども、中には極端な場合には、社会問題化するようなことが起きることもあり得ますので、その点の最低限のチェックは必要かなということであります。

以上です。

○ 堀内部会長

ほかにいかがですか。

和仁さん、一言ありますか。

○ 和仁委員

ちょっと1つだけ釈明させていただきますと、私が経営判断や融資の決定など、重要な意思決定を、必ずしも委託元の銀行本体が行うことを求める必要がないのではないか、そこのアウトソースの可能性も考えていいのではないかと申し上げましたのは、別に機関銀行という言葉がひとり歩きしているところもありますけれども、別の業態、要するにそれを専門にするところにアウトソースすることだって可能性として考えられていいのではないかと。一番いい例は、子会社に銀行しか持っていないホールディングカンパニーを考えていただいた場合、基本的には銀行を持ち株会社レベルで決定していれば、下の銀行というのは別に決定する必要がないのではないかと、そういうことを考えておりまして、ちょっと岩原先生と私の間で、この辺のところで描いているモデルに差があると思います。私が申し上げたのは、要するに頭からだめだというふうな考え方で決めつけるのではなくて、もう少し柔軟に書いておいた方がいいのではないかということが一つ。

それからもう一つは、すみません、これはパブリックコメントに回るんでしたっけ。この新しい代理店制度に関して。それともいきなり法案で出てしまうのでしょうか。

○ 三井信用制度参事官

もちろん……

○ 和仁委員

というのは、先ほど私が申し上げましたけれども、昔は銀行業の代理店という考えで議論されていたのが、途中で銀行の行うあらゆる業務の代理店業務という形になってしまったので、そこの移行過程のところで、金融業界は必ずしもその変化に気がついていなかったということがあります。実際には、付随業務のところですけれども、代理店としてはもうできないよということを認識していない金融機関が、かなりあります。従ってどの代理店業務が規制されるのかということの周知徹底というのをちょっとお願いしたいと思うんです。今度は緩める方向ですから、あんまり問題は以前に比べればないと思いますけれども、パブリシティーの方に対する配慮をお願いいたします。

○ 三井信用制度参事官

パブリックコメントにつきましては、特に今回あるいは場合によってはさらに何回か、さらにもう一回とか、ここで御議論いただくということの気持ちはそういうところにございます。

法案そのものにつきまして、パブリックコメントに出す、出さないというのは今の立法プロセスや与党の関係で、例えば与党の承認する前の法案というものをパブリックコメントをするのはどうかとか、政府と与党の関係で微妙な問題がありますので、そこはよく与党と相談しながら、あるいは法案提出の元締めである内閣府総務官室であるとか内閣総務課の判断を仰いで、我々としてはそれに従って行動するということになってこようかと思います。

したがいまして、法案提出前に法案の要綱なり法案でパブリックコメントをするか、しないかということについてのコメントは差し控えさせていただきたいし、なかなか私の独断では決められないということですが、この問題を特にかなり、この文章を透かして見ると、法案を見る人が―もう特に和仁委員はこれを見ただけで法案の条文が浮かんでおられるので今のようなコメントをいただいたと思うんですが、というねらいも込めてここでやや、通常ですと法案作成時期にこういう審議をすることが必ずしも多くないかもしれません。大学の先生は試験中ですし、お忙しい方に来ていただいて非常に申しわけないと思うんですが、さはさりながらこういう問題ですので、ぜひよく具体的な制度設計に立ち至って、閣議決定はもう済んでいることではありますけれども、ご議論いただいて、しかも、これは公開で議論いただいていると、そういうことを酌んでいただければと思います。

○ 堀内部会長

それでは原委員、それから川本委員の順でお願いします。

○ 原委員

前回ちょっと途中退席をしたものですから、きょうの議論で、初めてこの場でお聞きするということだったものですから、皆さんのお話、大変興味深く聞いておりました。

私自身としては、顧客保護のところがやはり一番気になるところで、ここに掲げられている説明義務、誤認防止、分別管理それから利益相反の防止というところは必ず必要と思うんですが、営業保証金というものがどれほど役割を果たすかどうかと、どこまで重要かというお話はあって、私自身も営業保証金よりはその下の段落に掲げられている代理業者に業務を委託した場合の銀行の責任というところを、もう少し具体的、明確化したものを示していただきたいと考えております。

参考資料でつけられた海外の状況も、ちょっと私、条文を丁寧に見ていないので何とも言えないのですが、まだ何かいろいろ工夫があるのではないかなと思うのですけれども、今回の資料の中ではちょっとまだ見えないので、どういった工夫がされているのかというのがあれば、それもあわせてご教示いただけたらと思います。

それから、なぜここにこだわるかということなんですけれども、銀行とそれから消費者とトラブルになるケースというのはかなり多くあるんですが、その場合よく言われるのはやはり消費者側、利用者側の注意義務の不足ということをよく言われる。例えば、銀行の中に設置してあるATMで現金を引きおろしたと。現金が50万円おろしたのに49万円しかなかったというようなことに気がついて銀行に苦情を言うと、「機械だから間違いをするはずかない」とか、「おろした場で確認をしない本人が悪い」とか、そこで例えば50万円を数えるなんてことはよほど危険でとてもできないことを、数えなかったご本人が悪いとか、そういう言われ方ですとか、それからつい最近は、コンビニのATMではお金を送金をするとふつう210円手数料がかかると。ところが、そこのATMのところには手数料の表示がなかったので、無料のサービスかと消費者の方が思ってしまって、実際送金したところ210円の手数料がかかったと。これを一応、ちょっと相談というか苦情という形で銀行に申し出たら、「そのようなことはない」と、「手数料は必ず掲示してあるはずだ」と言うので、コンビニに来てもらったら、確かに手数料の掲示がなかったんですよね。そうすると、銀行側の言い分としては、「うちのお客さまであれば当然210円の手数料がかかるというのをご存じのはずであろう」と、こういう言い方をされたんですね。

ちょっと2つの大変ちょっと卑近な例を申し上げましたけれども、感じとしては、こういう感覚というのは、やはり銀行と消費者のトラブルの中には何か横たわっている感じがしておりまして、私自身としては今回こういう形で代理店というところの制度が拡充していくことで、やはり銀行の責務というところが一体どこにあるのかのやはり具体化・明確化というのは、もっと検討を詰めていただきたいと思っています。

以上、意見です。

○ 堀内部会長

それでは、川本委員。

○ 川本委員

総論といたしましては、加速度的に規制改革が進んでいくことに感銘を受けております。ただ、そもそもこれはこれまでも継続的におこなわれてきた店舗規制の緩和、すなわちチャンネルの多様化の一環だと位置づけられます。事実として、銀行の経営陣が自由度を得るわけですから、当然のことのように銀行に責任が発生するということだと思います。諸外国を見ても、代理店の業務は銀行がコントロールし得る範囲内だと思いますので、代理店に銀行の経営の神経が通っていることが大原則なのではないかと私は思います。

そういう意味で、顧客の保護という観点から一番大切な、賠償責任ということについての銀行の責任の明確化というものを図るべきであって、営業保証金に銀行の保証をつけるという方向性ではなくて、銀行の賠償責任規定をきちんと書くという方向性の方が好ましいのではないかと思います。逆に代理業者の参入規制について、常識的なものは必要と思いますけれども、人的構成とか財務内容というもので非常に厳しく縛ることは自由度が損なわれるので避けるべきなのではないかと思います。

以上です。

○ 堀内部会長

どうぞ。

○ 種橋委員

今回、報告書に書いておられるように、幅広い主体によるさまざまな形態での代理店が考えられます。したがいまして、決済システムの安定性確保また利用者の保護、あるいは委託元の銀行の財務業務の健全性の確保という観点からは、代理業者の業務の適切な遂行を確保するということが不可欠であると考えています。その意味では、代理業者に対して委託元の銀行が適切な管理・監督を行うことが必要であるという認識でございます。

また、先ほど来、議論になっております代理店の規模、業務の種類、対応に応じてさまざまなレベルの体制があり得るという考え方につきましては、ある程度実態に即して見れば必要なものと考えております。今後、具体的な要件、ルール等の検討が進められると思いますけれども、その際にも実務面に十分配慮されますとともに、透明性の高いものにしていただきたいということをお願いしたいと思います。

以上でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでございましょうか。

渡辺委員、どうぞ。

○ 渡辺委員

私は、きょうは証券業協会の理事という立場で来ていますので、ちょっと一言発言したいんですが、私も前回欠席をいたしまして、今初めて議論をお聞きしたんですけれども、先ほど利益相反のときに余り業際的な問題には入らない形のということで、私も全く同感でありまして、証券会社なりほかの金融諸形態、保険とか何かにつきましても、一般的な参入規制といいますか、一般的な条件を満たせれば当然銀行の代理店になり得るということが前提だと思いますけれども、その利益相反なり何なりの規制の仕方につきましても、余り業際的な観点にならずに最終的な消費者の安全といいますか、業務の安定的な遂行ということで整理をしていただけたらいいなというふうに思って、とりあえずそれだけお願いしたいと思います。

○ 三井信用制度参事官

たくさんご指摘いただきましたが、一点ちょっと私の説明の中で説明漏れ的なものがあったと今のご指摘の中で1つ気がつきましたので補足説明をさせていただきます。

幾つかの組み合わせなんですけれども、仮にということでございますが、制度設計上、その銀行代理業務を、例えばということで現在、ある地銀が幾つか実際にやっているビジネスモデルを前提に考えるということでございます。例えば、銀行のOBを過疎地の店舗として代理店をつくってもらう、個人・法人両方あり得ますが、その銀行のOBで、ある程度年配の方が銀行を退職されて、退職金も活用されながら銀行代理店店舗をつくると。それで銀行からはアウトソースを受けて代理業を行うと。店主は1人で、実際にサポートする要員が1人、これは元銀行員ではないです。それから保安要員は全くただの保安要員という、2人または3人で1つの店舗をつくる。これは今は100%出資規制と専業規制がありますので、店舗はすべて銀行がつくった不動産、動産でございまして、もちろん法人であれば出資金は全部当該銀行から出ているというものでありまして、事実上、外見から何から代理店主の給料以外はすべて通常の支店出張所と同じというものであります。

仮にそれがさらに過疎地で採算が悪いということで、今回の規制緩和後の仮定の話でございますが、例えばいろいろな地元の企業であるとか複数の協同組織金融機関などと乗り合いで出資して、1つの建物の中でいろいろな小売りなんかもやる中で、1つブースをつくって代理店ブースをつくると。そこで銀行の預金の受け入れとか払い出しであるとか送金であるとか、一般的な通常の個人向けの金融サービスはそこで全部発注ができる、お金も受け取れる。それから融資の申し込みはできると。ただ、融資の審査は銀行の支店に書類が送られて審査を受けるということになるかもしれない。というのは、代理店主は1人しかいませんので、そこがいろいろ調査するという手間も時間もとれないということで、送られると。当座預金の開設の申し込みはできますけれども、当座預金の開設に当たっては、銀行は通常、種々の財務内容とか事業内容、将来性の審査をいたしますので、そういうのは代理店主は銀行員であったのでかなり土地勘がある、自分の地元であるということで、場合によってはこういう企業があるよということで支店につないだり、あるいは代理店にアプローチした企業から申込書を銀行の支店に回す。実際には、その支店の審査部門がチェックして当座預金の開設を認める、あるいは融資の決定を行うということですが、実際の手形帳は代理店側から事業所がもらって、資金の決済なんかも代理店を通じて行うことができると。こういったことが実際に行われているわけですが、そういうものが仮にこの規制改革後、兼業の形であるとか出資が乗り合いであるとか、さらに出資のないようなところがやるというふうに仮定した場合に、ここであるような行為規制なり参入要件をかけてどうなるかというと、まず最初の人的構成は文句なくオーケーであります。それから、その次の例えばシステムですけれども、必ずしもオンラインにつながっている必要があるかどうかというのはクリティカルではなくて、きちんと現金が届いているかとか、帳簿がきちんと管理されているかと、恐らくこれは銀行員だった人ですから銀行の書類帳簿、種々の証票類であるとか現金のチェックについては遺漏なくできるということでしょうし、退職金をもらってつつがなくお務め上げた方であればできないはずはないということになるでしょうから、2番目も全くオーケーであるということになろうかと思います。それから財産的要件はないと。営業保証金のところは、仮に退職金が自宅建設に使ったり子供の教育資金に使って全く使ってなかったとしても、これは銀行保障でいいということですが、ここはきょう議論があったところですので、引き続きそういう制度を入れるかどうかについては引き続き議論するということで、もちろん営業保証金がなければそういうものは要らない。

ただし、この人が何かお客さんに損害を与えると損害賠償責任は負います。ただ、個人なので賠償資金が限られているかもしれないという場合は、もし代理店が例えば資力がないという場合には、お客さんは委託元の銀行に賠償請求ができるということになると。

それから、先ほどのページの次のページに行きまして、例えば銀行は代理店について、時々はちゃんと業務が遂行できているかなというのをチェックしなければいけないんですが、臨場する必要があるかどうかというのはロケーションであるとか取引量に応じてくるかと思います。

それから、融資のところは今のモデルですと通常、銀行が最終的な判断をしていると。ただ、前さばきは代理店がかなりしているということになるかもしれません。だた、実際の判断は銀行の方で行いますので、現状は変わらないということになります。

その次の説明義務、誤認防止、分別管理ですけれども、説明、誤認のところは仮にブースをつくるということであれば全く問題ないですし、ブースがないにしてもきちんと説明はするという義務がつけ加えることになる。それから、その利益相反なんですが、ここは若干私の説明が足りないところがあったんですけれども、今のケースですと融資判断というのは銀行本体がしています。例えば、かつて業際問題的なものがあった、例えば抱き合わせ販売であるとか、株を買うときにバックファイナンスを銀行がつけるという利益相反の問題は、ここでの場面は委託元の銀行とそれから業者の問題です。例えば、代理店が証券業をやっている、あるいは代理店が保険業をやっているという場合にもし問題になるとすれば、それは代理店と保険とか証券の問題ではなくて、委託元の銀行との問題です。現状は銀行と保険・証券で資本関係が切れていれば、特段の利益相反防止措置はございません。アームズ・レングスであるということになりますから、今のケース、OBかもしれませんけれども、OBであっても、きちんとその人が志を持って、一定の銀行から利益供与を受けているとか、今、法令で規定されているような密接な関係がないということでありますと、独立のアームズ・レングスの関係になりますので、銀行とそれから証券業者とか保険ということとの、もし問題がない限りにおいて、代理店と保険証券との利益相反の問題は現状、これまで言われてきたような議論の枠の中には入ってこないということになります。

したがって、一般的な利益相反、一般的な忠実義務とか善管注意義務とかというころ合いで見たような、利益相反があるかないかという問題になりますが、融資判断を銀行が行うという場面では、代理店は基本的にはお客様に取り次いでいるというのが融資のプロセスになりますので、そうすると、実際にその人が代理店を持って法律行為を実行しているということになるのは預金の受け入れとか払い出しになります。預金の受け入れ、払い出しというのは定型的な約款に基づいて金利も銀行が決めていまして、そして払い出しの手順、時間、そのタイミング、その他すべて銀行のルールに従ってやっているものですから、恐らく代理店主の裁量で何か悪いことをするというのは非常にしにくい分野の業務だと思いますと、一般的な利益相反として、その概念はあったとしても、具体的に想定されるものはさほどない可能性があります。というのが1つの今ある代理店というのを、この規制改革した後に当てはめた場合の一つの零細店舗の例として想定されるということではないかと思います。

ということで、もちろん今の説明はこれまで出た議論をどうこういうものではなくて、単に最初に説明しておけばよかったという反省でございますが、ちょっと補足でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございます。

いかがでしょうか。

どうぞ、高橋委員。

○ 高橋委員

時間がないところをすみません。消費者視点から2点ほど申し上げます。

1つは、銀行と消費者に関しては、先ほど原委員からもご意見がありましたけれども、社会問題化している事件等も含め、いろいろあるというのが現状だと思います。今回の銀行代理店制度に関しては、消費者のニーズがどの程度あるのかについて、疑問に思っています。消費者としては現在ないものをイメージすることはむずかしく、制度に対してまったく声が出ていません。今まで利用者利便という言葉が頻繁に使われて規制が緩和されてきたわけですけれども、この件については消費者ニーズというよりは、あまり出店費用をかけずに収益源を確保したい銀行側のニーズが非常に強い印象がございます。また、郵便局のユニバーサルサービスとの関係がどうなるのかが、非常に気になります。

今回、論点ペーパーで顧客保護という言葉がきちんと出ております。いろいろな場面で利用者利便よりは消費者利益なり消費者の権利保護をきちんとやっていただきたいと申し上げてきました。顧客保護を第一に進めていただかないと、せっかく制度はつくったのに一般消費者のニーズがなくて余り利用されないということもあると思っています。

2点目は、銀行代理店制度とは少し離れますが、2年続いた当分科会は今回が最終回だと思われるので、一つだけ気になっている点をご質問させていただきます。

それは、銀行による保険販売です。窓販の解禁を昨年の3月に決めたはずです。全面解禁を3年以内とし、できるだけ前倒しでやっていくということ。それには当然ながら弊害防止措置をきちんと講じ、段階解禁はその弊害がチェックできる商品の販売からやってみたらどうかというのが、この部会の結論だったと思います。

その後、ここでは全く議論しない中で、いろいろな報道がされております。生命保険協会の協会長の方からは、全面解禁はノーであるという反対声明も出ている状況です。それで、審議会としてどうするのかが、非常に気になるわけでございます。生保業界としては、弊害防止措置がきちんと講じられていないからノーと言っていますけれども、金融庁として弊害防止措置をどのように検討しているかについて、審議会に御報告していただきたいと思っております。安居保険企画室長が退席されてしまったので、どなたか代わりにお答えいただきたく、よろしくお願いいたします。

○ 堀内部会長

ご質問というか、論点の第1番目の方はいいと思いますが、2番目の方はどうですか。事務局で今、答えられますか。

○ 細溝企画課長

今まさに以前、第二部会で出していただいた結論をもとに、まさにこれは保険窓販の際の弊害防止措置をどう講じるか、どういう商品をどういうふうに売るのか、それで、その際にどういうことを注意しなければいけないのかといったようなところを今、詰めておるという状況でありまして、審議会答申をそのまま実行しようというふうに今努力をしておるという状況でございます。まだ関係者と調整がついていない、そういう状況でございます。

○ 堀内部会長

どうもありがとうございました。

よろしゅうございますか。

○ 高橋委員

そうしますと、審議会の出した方向性に沿ってすべてが進んでいるというふうに解釈してよろしいですね。ありがとうございます。

○ 堀内部会長

我々の部会はいろいろ報告書として様々な問題提起をしていますが、それらの提案が常に100%我々の思うとおりに実現するとは限らないわけです。これは政治、行政との兼ね合いですから、少し我々としては粘り強く建設的と考える意見を言っていく以外に方法はないのではないかと思います。

それでは、時間がまいりましたので、いろいろまだご議論あろうかと思いますけれども、少しまとめさせていただきます。これまでも既に事務局の方からご説明がありましたけれども、大分以前からこの問題は議論されてきましたし、閣議決定も既になされています。そういう段階で我々がさらにいろいろと意見を申し上げるということですから、やはり法案策定の過程で、我々の意見を反映させるよう、事務局に尽力をお願いしたいと思います。

前回と今回、二回にわたって貴重なご意見をいただきましたけれども、それらを踏まえて論点整理という形に取りまとめて、それでご当局に活用していただくことにしたいと思いますが、取りまとめに当たりましては、時間的にもちょうど先ほどどなたかご指摘がありました、委員の交代時期でございますので、これは私の責任で取りまとめさせていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

それで、きょう出ましたご意見の中で、非常に重要な点が幾つかあったと思いますけれども、とくに行為規制に関する書き方が、この事務局と私で用意したこのメモでは、まだ制約的すぎる形との印象を与えるというご指摘がありました。しかし、いろいろ議論していただくと、顧客保護という観点で見ると、それほど委員の間に判断の違いはないとも思われます。この問題は非常に重要ですが、同時に微妙でもあります。そこで、ちょっと事務局と私の方で相談させていただいて、このまとめ方も少し工夫してみたいと考えています。

それから、何よりもやはり銀行の責任をもっと明確にした方がいいということは、実はこのメモにも書かれていることではございますけれども、その辺はやはり皆さんの間でかなり共通した認識として出されているという点はあったと思います。ですから、この意見を引き取られていただいて、その点の書き方も工夫していきたいと考えます。

それから、もう一つは代理店に対するさまざまな保証のための責任を求めるというよりは、今言いましたのが、銀行の責任あるいは顧客保護の立場に立った透明なルールを明確にしていくと、こういうふうに取りまとめていってほしいという意見も強かったと思いますので、その点も、既に書いてはありますけれども、もう少し明確になるように工夫してみたいと考えております。大体そういうふうな形で取りまとめさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

それでは、そういうことにさせていただきたいと思います。

それで、きょうはこの後、記者会見を行いまして、会合の模様等を簡単にですけれどもご紹介させていただきますので、よろしくご了解いただきたいと思います。

それでは、最後に事務局の方から。

○ 増井総務企画局長

恐縮です。

それでは、事務局を代表いたしまして、先ほど来お話がございましたように、現メンバーで第二部会、本日をもって一応一区切りということになります。2年前の平成15年の1月以来、11回にわたりまして精力的なご議論をいただきました。勘定してみますと、その間7つぐらい報告をいただいたのではないかと思っております。私どもは、その報告を踏まえまして、そういった基本的にその趣旨に対しまして報告の内容を実現していくように今後とも努力をしていきたいと思っております。

また、この当部会だけではなく、ワーキングにご参加をいただきました委員の先生方にも、このワーキングの方はテーマによっては大変短期間に集中的にご審議をいただきました。大変私どもとしてはありがたかったわけでございますが、ご迷惑な部分もあったかと思いますが、この点につきましても心より御礼を申し上げたいと思います。

今後ともいろいろな形で、また金融行政についてご指導、ご鞭撻をいただきたいと思います。そういったこともお願い申し上げまして、これまでこの2年間のご審議をしていただきましたことに対して、事務局から御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

○ 三井信用制度参事官

それでは、事務的な点でございます。

今メンバーの任期中の開催はなかなか日程上、難しい状況でございますが、いずれにしましても改選後になることも含めまして、次回の開催につきましては、改めまして大臣その他幹部とお諮りした上でご連絡させていただきますので、ご了承願えれば幸いでございます。

事務局からは以上でございます。

○ 堀内部会長

それでは、長時間どうもありがとうございました。本日の会議を終わりたいと思います。

どうもありがとうございました。

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