金融審議会金融分科会会合(第1回)議事録

日時: 平成13年2月22日(木)15時00分~17時06分

場所: 霞ヶ関東京會館「ゴールドスタールーム」

○ 有吉企画課長

それでは、ただいまから第1回金融分科会を開催いたしたいと思います。

本日は、皆様、大変御多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

本日は、分科会といたしましては第1回目の会合ですので、分科会長と分科会長代理をお決めいただくということになります。そこで、それまでの間、私、企画課長の有吉でございますが、当面の議事の進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず最初に、当分科会のメンバーでございますが、全体の名簿をお手元にお配りしております。御覧いただければと思います。

分科会の委員は、金融審議会のメンバーが分属するという形で参加していただいておりますので、既にさきの金融審議会の総会の場で皆様御紹介いたしましたので、本日は先般の金融審議会の総会に御出席されていない方につきましてだけ、この場で御紹介申し上げます。

蝋山昌一委員でございます。

○ 蝋山委員

蝋山です。どうぞよろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

また、金融分科会におきましては、今後、専門委員の方々にも御参加いただくということにしていたしております。その専門委員の方々でございます。

御紹介いたしますが、まず、井口武雄委員でございます。

○ 井口委員

井口でございます。よろしくお願いいたします。

○ 有吉企画課長

宇野郁夫委員でございます。

○ 宇野委員

宇野でございます。

○ 有吉企画課長

山本惠朗委員でございます。

○ 山本委員

山本でございます。

○ 有吉企画課長

なお、あとお二人、奥本英一朗委員、それから長野幸彦委員にお願いいたしておりますが、本日は御欠席でございます。

また、事務局につきましても、先般の審議会総会で御紹介しておりますので、省略させていただきます。

なお、国会の関係等で事務局の者が、あるいは途中で中座するケースもあろうかと思いますけれども、御容赦願えればと思います。

次に、当分科会の分科会長の選任をお願いいたしたいと思います。分科会長は、金融審議会令第5条の規定により、委員の互選によるということとされております。事務局で幾人かの委員にお伺いいたしましたところ、蝋山委員に金融分科会会長をお願いしてはどうかという御意見がございましたが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○ 有吉企画課長

それでは、御異存ございませんようですので、蝋山委員の御承諾を待って分科会長就任をお願いいたしたいと思いますが、蝋山委員、いかがですか。

○ 蝋山委員

それでは、お受けいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 有吉企画課長

どうもありがとうございます。

蝋山分科会長は、分科会長席のほうにお移りいただければと思います。

ここで、しばらくの間、カメラ・記者が取材のために入室いたしますので、少しお待ちいただければと思います。

〔カメラ・記者入室〕

○ 有吉企画課長

それでは、蝋山分科会長より一言ごあいさつをいただき、またその後の議事を蝋山分科会長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

○ 蝋山分科会長

蝋山です。金融審議会金融分科会の分科会長という仕事をお引き受けいたしました。一言あいさつをしろというのがト書きにありまして、それをつい先ほどちょうだいしたものですから余り準備していないんですけれども、恐らくこの金融審議会の金融分科会は、相当これからの道筋は山あり何ありで難航するんではないかと思います。そういう想像をしております。個人的な利害関係から言えば、この会長を引き受けないほうが私にとってのウェルフェアは改善するというふうに思うわけですけれども、しかし、日本人の一人として、今の現実の金融問題の様々な重みと、それから問題の難しさを考えてみると、それに少しでも挑戦することができる機会があるということは、肝に銘じて、この挑戦しがいのある仕事をやってみようというフラ気もやる気も出てくるわけでありまして、その辺のところを個人的にはどういうふうにバランスさせてこの会を運営させていただくのか、皆様方の御協力も得ながらやっていきたいというふうに思います。

御承知のように、金融制度調査会から金融審議会になり、またさらに今回の拡大された金融審議会のもとでの金融分科会は非常に長い歴史があるわけでありまして、そういう長い歴史のよさを吸収しつつ、いわばよどみを排しながら、この会の運営に協力させていただきたいというふうに思います。やや抽象的な言い方で申しわけありませんけれども、今後のこの会の進行その他、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

まず、規則といいますか、会の組織を少しちゃんとしなくてはいけないわけでして、初めに、分科会長代理を指名するということがございます。金融審議会令第5条によりますと、分科会長代理は分科会長が指名するということになっております。私からは田中直毅委員に分科会長代理をお願いしたいというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。田中さん、どうですか。

○ 田中委員

自由に発言させていただくということで、はい。

○ 蝋山分科会長

私、東京におりませんで、今日も気候の加減でしょうか、急に暖かくなったせいでしょうか、冷たい雪と暖かい空気のバランスの中で濃霧が発生しまして、汽車が少しばかり遅れました。そういうこともあろうかと思いますので、その際には、田中さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。

しかし、そのほかのケースについては、できるだけ田中さんの自由な発言を抑制しないようにしたいというふうに思います。どうぞ、田中さん、よろしくお願いいたします。

それでは、田中さんに分科会長代理をお願いするということにいたしまして、続きまして、事務局から、この金融分科会における今後の審議につきまして、御説明をちょうだいしたいというふうに思います。

まず最初に、乾総務企画局長から、あいさつと今後の審議についての問題意識といったものを、15分程度というふうに伺っておりますけれども、説明をいただきたく思います。よろしくお願いします。

○ 乾総務企画局長

総務企画局長の乾でございます。委員の先生方には、大変御多用のところ御参集いただきまして、ありがとうございました。また、今回新たに専門委員の方々、5名の方々に御就任いただきまして、ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。

この金融分科会は、前回の総会で御説明いたしましたように、新しい金融審議会になりまして新たに設けられた組織でございますけれども、金融審議会の中で金融全般を扱う非常に重要な分科会であるというふうに私ども認識しているわけでございます。先般の1月29日の総会におきまして、この金融審議会全体に対しましての諮問ということでございましたけれども、これにつきましてはお手元の分科会1-2という資料、「金融分科会における今後の審議について」というものを御覧いただきたいわけでございますが、ここにございます「諮問」と申しますのは、昨年の2000年8月4日の金融審議会におきまして、新しい金融庁が発足いたしましたときに諮問をさせていただきました内容でございます。それを引き続きこの金融審議会にお願いすることにしたわけでございます。

その際、1月29日の総会におきまして、今後における審議の視点というので6項目をお示ししたわけでございますが、ここに書いてございます「審議の視点」4項目は、その6項目のうち当金融分科会にかかるものを再度ここにお示しをしているわけでございます。

先ほど蝋山分科会長もお触れになりましたけれども、現在の日本の金融をめぐる状況は非常に難しいものがあると。したがいまして、この金融分科会で御検討いただくべき課題というものも非常に重いものがあるわけでございまして、まさに今後、この金融分科会でどのようなテーマを取り上げ、審議をしていくかということを本日御議論をいただきたいと思うわけでございますけれども、まず、その御議論のたたき台といたしまして、私どものほうから、ここ数年における金融システム、あるいは制度についての議論の歩みと申しますか、その経緯、そして現在、我が国の金融が抱えている課題等につきまして整理した上で、私どもとしてこういうテーマを御議論いただければありがたいと思うものを、まず問題意識を申し述べさせていただきたいと思います。

それでは、まず、これまでの経緯等でございますけれども、さかのぼりますと、平成8年11月にいわゆる「日本版ビッグバン」ということで、2001年、本年でございますけれども、平成13年までにフリー、フェア、グローバルの理念のもと我が国の市場がニューヨーク、ロンドン並みの市場となって再生することを目指すという方針のもとで、投資家、資金調達者の選択肢の拡大、あるいは仲介者サービスの質の向上及び競争の促進、それから利用しやすいマーケットの整備、信頼できる公正・透明な取引の枠組み、ルールの整備といった抜本的な市場改革の目標というものを掲げまして、そうしたものを当時の金融制度調査会、あるいは証取審、あるいはその後の金融審等を通じて御審議をいただきながら、国会に法案を提出し、逐次それが実施に移されてきたわけでございます。平成10年に金融審議会になりましてからも、今申しましたこの金融システム改革後の市場の姿を念頭に、横断的な利用者保護を図るとともに金融イノベーションの促進を図るという観点が大きく打ち出されまして、そうした観点から、機能別、横断的法制の具体化が検討されました。その結果といたしまして、昨年、SPC法等の改正による一般的な集団投資スキームの整備と金融商品販売法の制定によるすべての金融商品を横断的に対象とした利用者保護の法制の整備が図られたわけでございます。また、金融システムの再生・安定のための各般の政策努力も行われまして、いわゆるペイオフ解禁を見据えて、金融システムの安定性確保のために預金保険制度、そして金融機関の破綻処理制度の整備がなされたわけでございます。さらに、証券市場関係につきましても、証券取引所の株式会社化、企業内容等の電子化等のための制度整備がなされたわけでございます。

また、金融庁といたしましては、金融審議会での御検討も踏まえまして、市場インフラの観点からは、現在、証券決済システムの改革のための法制化に、これは法務省と共同で取り組んでおります。そのほか、昨年来御審議をいただきました、いわゆる異業種による銀行業参入の動き、インターネット専業銀行出現の動きに対応しまして、主要株主に関するルール整備、あるいは新しいビジネスモデルに対応した規制緩和につきまして御議論いただきました内容を、現在、法案として準備を行っているところでございます。

このように、ここ数年間、金融制度調査会、証取審の御議論を経まして、着実な制度整備が図られてきたというふうに考えておりますけれども、しかしながら、我が国の経済・金融を取り巻く環境はますますその変革のスピードが加速している状況にございます。1つには、IT革命と言われますように、情報通信技術の進展が目覚ましくて、高度かつ複雑な金融技術の出現を初めとしまして、金融の姿を大きく変える起爆剤というものが日々起こりつつあるということでございます。

また、市場の面から見ましても、情報通信技術の進展も相まって、経済取引、金融取引のグローバル化が大きく進展しておりまして、大量の資金がより利便性の高い市場を目指して、国境を越えて瞬時に移動するという状況にございます。こうした傾向もますます加速化するものと見込んでいるわけでございます。金融システムにつきましては、経済活動の基盤をなすものであると同時に、産業に対して必要な資金供給を円滑に行うものでございますけれども、今後また高齢化社会の到来の中で、国民の資産運用ニーズの多様化・高度化にも応えていく必要があるというふうに思っております。

そうしたことから、これまでの金融システム改革の理念も踏まえまして、私ども、金融庁といたしましては、我が国市場のさらなる改革を推進することによりまして、市場中心の、市場オリエンティドな金融システムにおきまして、国際競争力を有する市場を実現していく必要があります。また、これとともに、金融仲介機能をめぐる根本的、または総合的な問題につきまして、金融システム改革がほぼ完了する、平成8年に提言しましたシステム改革がほぼ完了し、21世紀がスタートいたしましたこの時点で、いろいろな課題の適切な見直しを行うことによりまして、市場と金融仲介という両方のシステム間の競争等も通じて、全体として金融システムの安定性の確保、利用者保護に配慮しながら、効率的で国際競争力のあるシステムの実現に努力していきたいというふうに思うわけでございます。

そこで、私どもからの考え方のたたき台でございますけれども、今の資料の真ん中に「審議事項と部会設置等」というふうに書いてございますけれども、部会を3つ設けることとしてはいかがかと思うわけでございます。

1つ目の部会では、もっぱら市場システムにかかるテーマを扱うということでございます。この市場につきましてもう少し申し述べたいと思いますけれども、直接金融市場たる証券市場につきましては、これはリスクテイクとリスク分散に優れておりまして、間接金融から直接金融への流れの中で、今後ますますその役割が大きくなるべきものだというふうに考えているわけでございます。金融システム改革の中でも、そうした考え方に基づきまして、投資家保護ルールを定めた上で自由な取引ができるように様々な市場間競争が進められていく必要があると。この整理を行った上で、もう御記憶にもございますように、取引所集中義務の撤廃、会計開示制度の見直し、あるいは株式売買委託手数料の自由化等の幅広い項目につきまして、具体的な改革を実施したところでございます。

それで、最近のこの動き、先ほども申し上げましたように、インターネット、ITの急速な発達、それからグローバル化の進展という環境の変化が一層推進しているわけでございます。インターネットの普及率は、我が国でございますけれども、99年末時点で 300人以上の企業において既に88.6%の普及率と、世帯でも19.1%の水準と。それから、利用者数も 2,700万人に及ぶということになっているわけでございます。こうした事情を背景に、いわゆるインターネット証券の口座数も2000年9月末には 133万口座に達しております。それから、株式につきましても、クロスボーダー取引という観点から見ますと、我が国の東京証券取引所での委託売買に占める、株式代金で見た外国人投資家の比率というのは、最近45%から50%で推移をしているということで、ますますこういうマーケットにおける国際化というものが進んでいるわけでございます。

こうしたマーケットを取り巻く環境のもとで、市場間競争がますます激化しております。この1年ちょっとをとりましても、登録基準見直し後の店頭市場、あるいはマザーズ、ナスダック・ジャパン等、新興企業向けのマーケットの開設と登録、そして上場企業等をめぐる競争の激化が進んでおります。また、システム改革法で整備されました取引所外取引でございますけれども、PTSというものが新たに発足いたしまして、既に6つの証券会社がPTSの認可を取得しまして、取引の活発化の動きが見られるわけでございます。また、取引所の合併・提携に関しまして、国境を越えた形での提携というものが進んでおりまして、具体的には、例えば東証からニューヨーク証券取引所、それからフランスを中心とするユーロネクストによるグローバル・エクィティ・マーケットの構想もございますし、ナスダックの日・欧・米3市場の構想も進んでいるところでございます。先ほど申しましたPTS市場、それからオンライン証券も次々とその動きが出てきているわけでございます。

以上のような目まぐるしく変革が行われております市場に対しまして、行政上の課題というものも数多くあるわけでございますけれども、こうしたマーケットのインフラを整備するという観点から、必要な枠組み、ルール整備を進めていくことが必要であろうというふうに考えております。そのときの目的は、言うまでもなく、競争促進と投資家保護ということ、そして取引の公正・円滑化ということであろうと思います。そうした観点からいろいろな施策を進めまして、個人投資家の育成の実現等、いろいろな政策目的を達成していきたいというふうに思っているわけでございます。

ややブレークダウンいたしました私どもの念頭にあります課題といたしましては、第1に、金融取引のグローバル化に対応いたしまして、自国に拠点を有しない外国証券業者による証券取引所への直接参加を相互に認めるというクロスメンバーシップの問題というのも課題に上がっていくのではないかというふうに考えております。第2に、やはりこのグローバル化に伴いまして、海外取引所の端末といいますか、そうしたものを我が国に設置することを、外国有価証券市場とのかかわりをどのように証取法上整理していくかという問題も検討を迫られている課題であるというふうに考えております。さらに、これは言うまでもなく、情報化の進展によりまして、いろいろな情報が氾濫する中で、欧米の制度とのハーモナイゼーションも踏まえながら、必要十分な情報を投資家に提供するという観点から、ディスクロージャー制度の検討というものも必要になるというふうに考えております。それから、4番目に、インターネットサービスの進行する中で、インターネットを利用した不公正な取引──インターネットの場合に発信者がわからないという問題があるわけでございますけれども、それを利用した、風評等を利用した不公正な取引というものにどう対応していくかということも考えていかなければならないというふうに思っております。そして、5番目に、IT化に伴いましてECN、いわゆる電子取引市場が発展しておりますけれども、このシステム改革法ではPTSというものを導入したわけでありますけれども、アメリカではさらに進んでということになるんでしょうか、ATSという概念でもって整理をしているようでございまして、現在の我が国のPTSが証券取引所とのPTSとの差を価格形成機能の高さ低さで区分している制度を見直していくかどうかということも問題になるのかなというふうに考えているわけでございます。

次に、2番目に、金融仲介システムにかかる問題についての問題意識、2つ目の部会で御審議いただければというふうに思っているわけでございますけれども、これにつきましては、少し上の審議の視点に書いてございます「21世紀における利用者利便と経済の効率性向上に資する金融システムの整備」、それから「金融機関監督の国際的な潮流と我が国の対応」ということにも関連するわけでございますけれども、1月29日の総会で大久保参事官のほうから、1月16日に発表されましたバーゼル委員会の見直しの第2次パブリックコメントにつきまして詳しく御説明申し上げ、また御意見をいただいたわけでございますけれども、このバーゼル合意の基本的な考え方というのは、金融機関というものがみずからリスク管理を行うことによってその金融機能の発揮に努めるよう努力する必要があるという観点から、いろいろなリスクの把握、計測の緻密化が行われているわけでございます。2年半前に金融監督庁が発足いたしましたときから、私どもも金融機関に対しまして適切なリスク管理ということを強く求めてまいったわけでございます。金融機関の持つリスクというのは、言うまでもなく、信用リスク、それからマーケットリスク、それからオペレーショナルリスクというものがあるわけでございますけれども、この最近のと申しますか、バブル崩壊後の我が国の金融機関の金融行動を見ておりますと、バブル崩壊によって、1つはリスクテイク能力が低下したということがございますけれども、金融機関というものはリスクを取って金融機能、仲介機能を発揮していくと。また、それによって収益を上げていくということが金融機関の使命でございますけれども、その観点から見て、ややシュリンクと申しますか、そういう傾向が見られ、そのことが我が国の金融をめぐる諸問題として指摘されている幾つかのポイントの中の1つになっているわけでございます。私ども、この信用リスク、マーケットリスク、オペレーショナルリスクという金融機関が抱えるリスクにつきまして、金融機関がみずから適切なリスク管理を行って、金融仲介機能の回復といいますか、発揮が十全に行えるよう、これは金融機関自身の努力を求めていくわけでございますけれども、そうした観点から、先ほど申し上げましたバーゼル合意というのは大きな示唆に富むものと考えておりますけれども、行政といたしましても、金融制度の面から、金融機関がそうしたリスク管理を適切に行うための制度整備というものがあれば、それは行政としても整備をしていく必要があるだろうというふうに考えておりまして、この点につきましても御議論をいただければと思っております。具体的なテーマといたしましては、銀行の資金調達手段としての社債につきまして、金融債を参考としながら、もっと発行しやすいものにするというふうなことも具体的な課題として出てきましょうし、また最近、独禁法の世界で、いわゆる銀行の株式取得制限というものがあるわけでございますけれども、これの見直しの動きも進んでいるわけでございますが、この問題につきましても、銀行法の立場からも、銀行がどのように株式を取得し、あるいは子会社を持ちという中で、リスク管理を行っていくという観点からの検討を進めていく必要があるというふうに考えているわけでございます。

以上がリスク管理の問題でございますけれども、もう一つは、国民のニーズに応えた金融インフラの整備ということでございまして、この2つ目の部会で、金融インフラの整備といたしましてどういうことが考えられるか、そしてそれについてどう取り組んでいくかを御議論いただければと思います。私どもが持っております問題意識といたしまして、例えば、信託というものでございまして、この信託を国民全体の金融インフラとして信託機能の充実を図っていくという観点から見直す必要があるのではないかというふうに考えているわけでございまして、大正11年にできました片仮名の信託業法につきまして、じっくりと時間をかけて勉強していければなというふうにも考えているわけでございます。

第二部会の第3番目でございますけれども、保険会社をめぐる総合的な検討ということでございます。保険会社につきましても、この五、六年間、次々といろいろな改正が行われてきたわけでございます。直近には、保険相互会社の株式会社への転換規定でございますとか、更生特例法を保険相互会社にも適用するという法整備が金融審議会の答申を得て行われたわけでございます。そうした中で、保険会社、とりわけ生命保険会社でございますけれども、収益全体で見ますと相対的にはなお黒字基調で推移しているわけでございますけれども、いわゆる逆ざや等によりまして厳しい環境にあるわけでございます。そうした点も踏まえまして、この保険につきまして、保険会社をめぐるいろいろな課題につきまして、総合的な検討に早急に着手をしたいというふうに思っているわけでございます。世情は、よく保険会社というと、予定利率の問題がもっぱら議論に上るわけでございますけれども、そうではなくて、保険会社をめぐる総合的な問題につきまして、この金融審議会でも検討を進めていっていただければというふうに考えるわけでございます。具体的には、資本基盤の充実でございますとか、新商品の提供の問題、あるいはディスクロージャーの改善やガバナンスのあり方などの総合的な取り組みにつきまして御審議いただければと思います。なお、保険の問題につきましては、この後、信用課長からより詳しく御説明をさせていただきたいと思います。

次に、国際的な観点を踏まえました金融機関監督ということでございますけれども、1月29日の総会でも申し上げましたけれども、バーゼル合意を踏まえまして、今後、リスク計測につきまして、より柔軟かつ精緻なものとするよう提案がされているわけでございますが、こうしたバーゼルの考え方を今後の金融機関の経営にどのように取り組んでいかれるべきか、また、金融当局としてこのバーゼル合意を今後の金融監督の手法にどのように取り込んでいくかということを問題意識を持って勉強していきたいというふうに思うわけでございます。

今度は部会の3つ目、特別部会ということでございますけれども、ここでは昨年12月末の金融審議会の総会における御提言を踏まえまして、金融分野における個人情報保護等のあり方につきまして御審議をいただきたいというふうに考えております。これまで、この金融分野における個人情報保護につきましては、まず個人信用情報の保護のあり方について議論がされてきたわけでございます。金融機関等の与信業者が、与信判断に当たりまして顧客から個人信用情報を収集するとともに、信用情報機関を通じて他の与信業者が収集した情報も利用しているということで、この取り扱いにつきまして不適切な取り扱いも一部に見られ、プライバシーや個人の権利保護の侵害に対する懸念が高まっているわけでございます。そうしたことから、適切な保護措置を講じるということがこの審議会でも御意見をいただいているわけでございます。他方、顧客基盤の共有によるシナジー効果、新しいビジネスモデルという観点からは、個人のプライバシーを保護した上でどのようにこれを共有していくかという観点も認識をする必要があるわけでございますけれども、これにつきましては12月の総会でも御提言いただきましたけれども、現在、内閣におきまして個人情報保護システムの中核となる基本法制の確立に向けて、通常国会に向けての法案提出が準備されているわけでございます。基本法の施行に当たりましては、主務大臣が所管業界の個人情報の取り扱いの実態を勘案して監督上のガイドラインを示すことが想定されておりますけれども、こうした点を含めまして、金融庁の所管する事業による個人情報保護のあり方につきまして、基本法制との整合性に配意しながら、総合的な検討を行っていただきたいというふうに考えております。

なお、個人情報に限りませず、金融分野におきまして利用者保護を適切に図ってまいりますことは重要であるわけでございまして、この特別部会における審議のほか、この一部会、二部会におきましても、市場ルール、取引ルール、業者ルールの整備を通じまして、利用者保護の観点も十分念頭に置いた御審議をお願いしたいと思っております。

以上、長くなって申しわけございませんでしたが、私からの問題提起とさせていただきます。ありがとうございました。

○ 蝋山分科会長

どうもありがとうございました。ただいまの乾局長のいわば施政方針に対応するようなお話を補足する内容の説明を3人の方からお願いしたいというふうに思います。そして、その後、皆様方から全体についての御意見をちょうだいするという予定にしております。

まず、保険関係につきまして、信用課長のほうからよろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

信用課長の樋口でございます。皆様方のお手元に分科会資料1-3、「関係資料」というものがございます。これに基づきまして、順次御紹介したいと思っております。

まず、保険をめぐる諸問題ということで、この総合的な検討に早急に着手をお願いしたいなということを、今、私どもの局長より申し上げましたが、今日は第1回ということでございますので、私のほうから若干最近の保険業法の改正、あるいは保険業の現状といったことにつきまして、お時間をちょうだいして御紹介したいと思います。そこで、金融審議会でございますので、どちらかと言えば制度論中心ということで、お手元の資料の「1.最近の主な保険業法等の改正について」と、この紙を中心に御紹介したいと思っております。

まさにここに書いてありますように、いろいろな改正をしてきておりますが、今日、この席にいらっしゃいます先生方のお力も借りて制度設計してまいりましたので、もし私の説明に至らない点がありましたら教えていただければと思っております。

そこで、まず、1に「保険業法(平成8年4月施行)」と書いてございます。我が国の保険業の歴史、当然明治時代までさかのぼるわけでございますけれども、明治の中頃に保険業法という法律ができまして、その後の大きな改正と言われておりますのは、実は昭和14年に保険業法の改正がございます。この平成8年の保険業法改正というのは、いわばそれ以来の改正というふうに言ってもいいのかと存じますけれども、その改正点、主なものをそこに1から6番まで書いてございます。

まず、標準責任準備金制度というものを作ったわけでございます。これは、生保の通常の個人向け保険というんでしょうか、変額保険といったものを除いた、そういった保険について、保険金支払いのための最低限の積み立てということで、この準備金制度を作ったということでございます。そして、この計算の基礎となっている1つが、いわゆる予定利率というようなことでございます。

それから、2番目が、「相互会社に関する規定整備→総代会に関する規定整備等」と書いてございます。これは、それまでの保険業法におきましては、社員総会についてのいろいろな具体的な規定を置いて、保険の総代会につきましてはこれを準用するという形をとっておりましたけれども、御存じのように生命保険会社は、大きな会社でございますと社員数が 1,000万人を超えるというような極めて多数な状況になるというようなことから、総代会について社員総会と区分して規定をする必要があるというようなことで、総代の選任のあり方、あるいは議決権のあり方といったものを定めたという、いわゆるガバナンスの規定整備でございます。

それから、次に、保険金等の支払能力の充実の状況に係る基準、ソルベンシーマージン基準でございます。これを導入したということで、これは保険会社の健全性維持のため、このソルベンシーマージンを指標として経営改善を求めるというようなことでございますが、後ほど御紹介するように、早期是正といった体系だったものにはまだ至っていなかったということであります。

次が、保険の契約者保護基金の創設、いわゆる破綻処理のセーフティーネットの発足でございます。これは、破綻会社から救済会社へ保険契約を移転するときにこの基金が資金援助を行うという、これは会社によります相互援助制度でございます。この基金につきましては、保険会社の参加の義務ということではなかったわけでございます。そして、ここの特徴は、いわゆる受け皿会社がない場合というのはやや手の打ちようがなかったということで、実は平成9年に日産生命が破綻をいたしまして、このときは生保業界各社によりましてあおば生命というのを作ってこの保護基金というものを使用したわけであります。

5番目が生・損保の相互参入。これは子会社方式で相互乗り入れということで、いわゆる損保系生保、あるいは生保系損保といったようなことがここから出てきたわけでございます。

そして、6番目が、保険商品・料率についての届出制の導入ということで、これまでは一律認可制でありましたが、保険契約者保護に欠けるおそれの少ないものについて、いわゆる届出制が導入されたということでございます。

それから、この保険業法の改正のときに削除されたということで書いていないんでございますけれども、いわゆる予定利率でございます。これまでの、これ以前の保険業法によりましては、大蔵大臣の行政命令による保険金の削減、あるいは相互会社における社員自治による定款の定めに基づく保険金削減を、これを可能とする規定がございましたが、平成8年のこの改正のときに削除されております。そういうふうなことで、現在は保険会社が破綻をしまして保険管理人の管理下に置かれた場合に変更可能ということが、この平成8年の段階で残ったということであります。

次に、2番が持株会社の解禁ということで、平成10年3月施行の法律で、保険持株会社設立が解禁をされまして、後ほど簡単に御紹介しますけれども、このスキームに乗りまして、フランスのアクサという会社と日本団体生命が持株会社を作るといったことが行われております。

それから、3番目が、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律、いわゆるシステム改革法でございます。ここに5項目ポイントをあげてございますけれども、1番が早期是正措置の導入ということで、ソルベンシーマージンを基本的な指標としまして、第1区分から第3区分の体系を構築したということでございます。それから、2番が保険契約者保護機構の創設。この場合は、初めに御紹介した保護基金から進化をいたしまして、全ての保険会社に加入を義務付けると。そして、引き受け保険会社があらわれない場合については、機構みずからが保険契約の引き受けという機能を持ったということでございます。それから、3番目、料率算出団体が算出する料率の使用義務の廃止。これは、実は損保の関係でございますけれども、いわゆる自算会、損算会という料率算出団体がございまして、この料率の使用義務があったんでございますけれども、これが廃止をされたと。この辺からマーケットの活性化、あるいは競争の促進が進んだと。そして、これがまた、生保、いわゆるさっきの子会社形態なりを通じた影響も出てきているということでございます。それから、4番目が業務範囲の拡大ということで、このとき、銀行と同じように保険会社につきましても投信販売が解禁されてございます。それから、5番目が、保険・銀行間の子会社方式による相互参入ということで、一昨年の秋から保険会社が銀行を子会社にできる。昨年の秋から、銀行が保険会社を子会社にできるというような制度改正が行われております。

それから、昨年の保険業法、それから金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律でございます。昨年6月から施行されております。まず1番が、相互会社から株式会社への組織変更手続の改善ということで、これはいわゆる相互会社が株式会社化するときのもろもろの手続の見直しでございます。これに則って現在いろいろ進んでいる話もあると承知をしております。それから、2番目が、相互会社への会社更生手続の適用。それから、3番目の──この辺少し関係しているんでございますけれども、保険契約者等の保護のための措置として、保険管理人の権限の強化、保険契約者保護機構の見直しというものがございます。これにつきましては、会社更生法、更生特例法の体系というのは株式会社を前提としているということで、相互会社への適応を可能として、さらに保険固有の領域についての手当をしたということでございます。実は、ここで債務超過など破産の原因たる事実が生ずるおそれがある場合には、裁判所に更生手続の申し立てをするという仕組みが入りまして、この管財人の更生計画の中で予定利率の変更が可能となったというような変更もございます。それから、4番目が保険商品の銀行等における販売の解禁、いわゆる保険窓販と言われているものでございまして、これは本年の4月から住宅ローン関連の火災保険など、生命保険商品も含めた手当が行われているということでございます。

以上が制度的な変更でございます。以下はポイントだけ御紹介します。

次が、生保会社の最近の経営状況でございます。直近でございますと、一番右側に12年9月期の上半期報告──生保会社の決算は1年1回ということでございまして、上半期の状況報告ということでございますけれども、お手元にありますように、保険契約等のデータというのは、その大勢を占めます個人保険とか個人年金といったような事柄でありますけれども、新規契約というのが一番右側の対前年増加率、増加率ベースで御紹介しますと 2.5%の増加ということに転じてきております。それから、解約等というのはマイナス 2.3でございますが、やや減少傾向も出てきているというようなことから、全体の保有契約高、12年度上半期 1,728兆円ということで、引き続き減少傾向ではございますけれども、その割合というのは小さくなってきているということが見ていただけるのかなというように思っております。

それから、3番、主な保険会社の決算の概要ということで、そこにございますように、各社の保有契約高、あるいは利益、公表逆ざや額、ソルベンシーマージン比率というものが出ております。この中で、注1にございますように、逆ざやとは何かということでございますけれども、保険契約の場合は契約が長期的なものであるということから、リスクバッファーとしまして、いわゆる三利源と呼んでおりますけれども、費差、死差、利差といったリスクバッファーを持っているわけでございます。そこで、そこにありますように、保険契約を分けてまいりますと、逆ざやの定義がございますが、利差損──三利源のうちの利差について損が発生をしているものというもので、かつ費差、死差と加えてもマイナスという保険契約のこのマイナス額の合計額が、いわゆる業界の各社の言っているところの逆ざや額でございます。この金額が上の表の真ん中にございますが、14社計で1兆 5,640億円というようなことでございます。一方で、さっき言いましたように、ほかの分野でのバッファー、あるいはほかの収入もあるわけでございまして、そういったことから利益が計上されてきているということでございます。

それから、次の主な生命保険会社の提携関係等でございます。個別のことは省略をいたしますけれども、これは12年以降発表されているようなもの、主なものは拾ってございます。例えば、上から3つ目の日本団体生命とアクサというものがございます。これは、さっき言いましたように、アクサと日本団体生命が保険持株会社を作ったと。制度整備の結果でございます。さらに申し上げますと、商法の世界の株式交換制度というものを使いまして、保険持株会社のもとでこの2つの保険会社が置かれているということでございます。それから、例えば、下のほうでいきますと、朝日生命、東京海上といった例、あるいは太陽生命、大同生命といったところにございますように、こういった場合には「株式会社化」ということが書いてございます。これは先ほど御紹介しました保険業法改正によります株式会社転換規定の見直しといったことも活用しまして、相互会社が株式会社に転換したいという意向を有しているというような承知をしております。

それから、次が、生保のセーフティネットでございます。さっき御紹介しましたように、現在、生命保険契約者保護機構というスキームでございますが、そこにありますようにその機構のもとで保険会社が破綻した場合、責任準備金の保証と一定のスキームがございます。現状はトータル 9,600億円の資金規模というのを持っているわけでございます。それで、このうち 5,600億円を超えますと国による財政措置が可能ということになっておりまして、その右上の四角で囲っておりますような状況等を見ながら、この補助金の交付というのが可能となっているということでございます。

それから、最後のページが、破綻した保険会社の一覧でございます。上から3つ目の第一火災海上、これは損保会社でございますけれども、あとは生保会社でございまして、初めにお話しした日産生命以降、東邦生命、それぞれが掲げてあるということで、日産生命の場合は、右側にありますような保護基金の資金援助、それ以降は保護機構の援助というふうな形になってきているということでございます。

以上、駆け足で保険をめぐります制度の変遷、あるいは保険業の現状といったことを御紹介しましたが、私どもとしましては、まさにこの3月に入りましたら速やかにこの部会などでも御審議をしていただいて、可能な限りよい制度というものを作ってまいりたいというように思っています。よろしくお願いをいたします。

以上でございます。

○ 蝋山分科会長

ありがとうございました。

続きまして、ややまだ長くなりますが、調査室長から、個人情報法等の関係についての御説明をお願いします。

○ 棚橋調査室長

調査室長の棚橋でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、私のほうから、先ほど局長から説明のございましたうち、特別部会で御審議をお願いと申しますか、テーマとしては継続的に御審議をお願いしたいと思っております個人情報保護問題について、今の信用課長の御説明で使いました資料の次のページ、7ページをお開きいただければと存じます。

まず最初に、7ページのところにヒストリーをまとめてございます。個人情報の保護、言いかえればプライバシーの保護の一環でありますが、これにつきましては、国際的に1980年にOECDのほうで8つの原則が示されました。それを踏まえまして、各国のそれぞれの国情に応じて制度整備が図られてきているわけでございます。日本の場合は、昭和63年に国の行政機関が保有する個人情報については法律ができたわけでございますが、民間部門については全く法律がない状態で現在に至っているわけでございます。

そうした中で、1987年、今から10数年前に、金融情報システムセンターのほうで一つの指針をおまとめになりました。これが現在貸金業を除くおおむねの金融機関、保険会社等も含めました金融機関が準拠しているものであると承知いたしております。

一方、行政側の対応でございますが、98年、これはまだつい最近でございますが、98年に当時の通産省と大蔵省銀行局との共同の私的懇談会を設けまして、先ほど局長から説明のありました、いわゆる個人信用情報に限り議論をし、報告書がまとめられたところでございます。この報告書を受けまして、金融審議会のほうで通産省の審議会と合同でこの問題に関する作業部会を設置し、議論を引き続き深めていただきました。その中間整理がこの99年7月6日というところにございますが、今から2年前の夏に中間的な整理を公表したところでございます。一方、99年、一昨年春の通常国会におきまして、住民基本台帳法改正の法案協議がございました。その際に、我が国においても個人情報全般についてきちんとした法制化を図るべきであるということが国会での議論の過程を経まして決まりまして、それで内閣官房のほうにタスクフォースができまして、11月9日には個人情報保護検討部会が中間報告を公表し、さらに引き続き法制化に向けて検討をなさいまして、昨年6月にはこの基本法制に関する大綱案の中間整理が公表され、パブリックコメントに付された後、昨年秋、10月11日に大綱が取りまとめられたところでございます。これに関する資料はこの後8ページからつけてございます。後ほど簡単に触れさせていただきます。

一方、金融審議会のほうの動きでございますが、この99年7月6日の中間整理の後は、個人情報全般に関する法制化の動きを見守る必要があるということで一時休止をいたしておりましたが、昨年秋に第二部会のほうで御検討をいただきまして、報告書をお取りまとめいただいたところでございます。

一方、昨年秋におきましては、異業種参入問題を第一部会で御検討いただいたわけでございますが、その審議の過程でも、銀行とその親会社、あるいは関連会社との情報交流について御議論がございました。そういうことを踏まえまして、昨年暮れ、12月21日の総会におきまして、今後の検討の進め方についてのお考えをお取りまとめいただいたところでございまして、これは後ほど資料で御紹介をいたします。

そして、現在まさに内閣官房のタスクフォースにおきまして、この基本法についての立案作業が進められておりまして、今、佳境に入っております。私ども金融庁のほうもいわゆる法令協議という形でいろいろと相談を受けているところでございます。それで、今のところの目標でございますが、来月中旬を目途にいたしまして、この法案の閣議決定及び国会への提出の予定になっております。なお、現在のところ、仮称でございますが、法律の名前は「個人情報の保護に関する法律」という形になります。

それでは、8ページをお開きいただきまして、今御説明いたしました、昨年秋に取りまとめられました大綱のサマリーでございます。お時間の関係がございますので逐一は御説明いたしませんが、まずそこの大きな「2.基本原則」というところがよく言われる基本法に当たる部分、いわゆる理念を盛り込んだ規定でございます。これはまさに何人たりとも守るべきと申しますか、守るよう努力すべき中身と御理解いただければと存じます。

一方、3のほうは、これは特定のと申しますか、民間の事業者を対象といたしまして、法律上の義務がかかります。これは単なる訓示規定ではなくて、主務大臣に監督権限が与えられますので、守っておりませんとペナルティがかかることになります。それで、1)から次の9ページに行っていただきまして8)まで、8つの義務がかかります。もちろん、義務の程度はそれぞれ濃淡がございます。いわゆる努力義務にとどめるものと強制的な義務になるものとございますが、今見ている感じで申しますと、特にこの基本法と申しますか、一般法できちんとしようとしているのが第三者提供の制限の問題でございます。この辺は、先ほど御紹介しましたとおり、昨年の金融審議会第一部会においても議論になったと承知いたしております。

そして、最後の9)でございますが、こうした民間の事業者に対して義務がかかるわけでございますが、そうしたコンプライアンスをより高めると申しますか、あるいはもっと言えば、個人情報保護についてのレベルを高めていくという趣旨、それから何と申しましても、いろいろと苦情が生じますので、その苦情の処理をきちんとしていただく必要があると。消費者保護の観点からきちんとしていただく必要があるということで、認定団体制度というものをこの一般法、基本法では定められます。これは、事業者団体を想定いたしておりますが、そうした団体が申請に基づいて主務大臣の認定を受けることによって、苦情の処理をしていただく、あるいは個人情報保護取扱指針と言っておりますが、いわゆるプライバシー・ポリシーについて業界としての何がしかのルールを定めると、そういったことを想定しているものでございます。

それでは、10ページのほうに行っていただきまして、一番上に「5)主務大臣の指示等」という記述がございます。この個人情報取扱事業者の義務につきましては、その実効性を担保する観点から、主務大臣は報告徴収権、それから助言、あるいは改善指示といった行政指導権の明文の規定が置かれます。一方、助言、あるいはこういった改善の指示といったものに従わない場合で、かつどうしてもやはり個人情報保護上放っておけないという場合には改善・中止命令を出すことができる旨、規定が置かれる予定でございます。

「6.罰則」のところを御覧いただきますと、今申しました主務大臣の命令、すなわち行政処分違反につきましては刑事罰が課されます。

それでは、最後に11ページを御覧いただきたいと存じますが、これが先ほどヒストリーで御紹介をいたしました昨年暮れの総会でお取りまとめいただいた文書でございます。局長からも説明がございましたので重複は避ける意味で簡単にさせていただきますが、最終段落を御覧いただきますと、「以上を踏まえ」ということで、基本法制の各規定との整合性の確保や、全体としての実効性確保に配意しつつ、従来議論の対象としてきた個人信用情報にとどまらず、およそ広く金融分野における個人情報の保護・利用に関しまして、基本法制の立案作業の進捗状況を見ながら、法制上の措置その他の必要な措置について検討を進めていくべきと、こういうことでございまして、したがいまして、私どもといたしましては、予定どおりいけば来月の中旬にはこの基本法案が閣議決定されますので、それを踏まえましたらなるべく早く、部会のほうの審議を開始させていただければと思っております。

以上でございます。

○ 蝋山分科会長

ありがとうございました。

最後に、企画課長のほうから、この部会の構成やそれぞれの規則なり、あるいは会議の公開の問題につきまして説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○ 有吉企画課長

事務的なことですが、分科会としてお決めいただかなければならないということで、2点でございます。

1つが、先ほど局長のほうから御説明した、資料1-2の絵で御覧いただくと一番よろしいかと思いますが、第一部会、第二部会、そして特別部会、この3つの部会の設置ということを御提案いたしたいということでございます。なお、金融の基本問題に関するスタディグループは、前回の総会において金融分科会のもとに作っていただくということが決まっております。

もう一つが、分科会資料1-1、1ページでございますが、議事規則でございます。これもお決めいただく必要がございます。案でございますが、これは御覧いただくとわかりますが、部会の分もあわせて同じルールでという形になってございます。それで、この中で特にポイントといいますか御留意いただきたいのが、会議の公開の話と議事録の作成と公表の話、4条と5条にあるものでございます。これは、前回の総会でもお諮りしてお決めいただいたものと全く同じ扱いで御提案いたしております。1つは公開でございます。審議の透明化の観点から原則として公開できるということでございますが、運用上は原則として会議の公開を実施するということでお願いできればと思っております。ただし、もちろん率直な意見の交換とか、あるいは意思決定の中立性が損なわれるというようなこと、あるいは混乱を生じさせるおそれといった場合は、それぞれ分科会長、部会長の御判断で非公開とできるということでございます。そして、具体的な公開の方法といたしましては、総会でもお諮りいたしましたように、会議場の都合もございますので、当面は当庁を担当する記者クラブに所属する記者で各社1名とし、実施後の状況を見つつ、一般への公開も検討していくこととしたいと思います。傍聴に当たっては、もちろん事前に御登録をいただくということを考えておりまして、この辺、後ろの席を確保したいと思っております。

議事録の公開につきまして、議事要旨をインターネット等で公表いたしまして、節目節目で議事録をまとめて公表するといったことにしていただいておりますが、会議自体を公開にすることでもあり、議事録についても会議の都度、事務的に作業が完了次第、原則として直ちに公開していくと、こんな形でお願いしたいと思いますので、以上、よろしくお願いします。

○ 蝋山分科会長

ありがとうございました。

ただいま随分長く時間をちょうだいいたしましたけれども、分科会の基本的な議論の方向についての局長からのスタンスの説明、それを補足する資料の説明、さらに細かい点では、議事録の公開に至るまでの議事の進行の仕方、部会の設置等々、いろいろございました。これからしばらくの間、時間の許す限り、皆さん方から御自由に御議論を、ただいまの事務局の説明を踏まえてお願いしたいというふうに思います。どなたからでも結構です。

浜さん、どうぞ。

○ 浜委員

ありがとうございます。あるいは総会のときの議論を若干なぞるような感じになるかもしれません。その点はちょっと恐縮でございますけれども、この金融審議会全体、とりわけこの金融分科会がそうだと思うんですが、ここでの議論の現状密着性といいますか、現状適合性というのをいかにして確保していくかということを考えていくことが必要かなということを、今の御説明を伺いながら非常にそう思ったんですが、何を言いたいかというと、要するに、金融システムをめぐる状況というのは、ここでいろんな特定の問題、特別の問題について議論している間にも時々刻々とどんどん動いていくわけでございますよね。それで、今、いみじくもまさに不良債権問題がまた大きなホットなトピックなり、そして直接償却をどんどん進めるという大きな方針が出たわけです。これはなかなか英断だと思いますけれども、こういったことが動いていく中で、こういう問題に……という状況が動いていくということにどういうふうにここでの議論の密着性を確保していくかということなんでありますけれども、とりわけ、例えば、この第二部会では、金融機能の向上に関する諸問題を議論するんだということになっていますから、動いていく金融システムの実態とのかかわりを意識して常にやっていかなければいけないんだと思います。もちろん、一々全てのことについてここで議論してやっていくということはできませんけれども、このオン・ゴーイングな議論をしながらも、状況に対してきちんとしたレスポンスができることがやっぱり必要だと思うんですね。だから、特定のテーマについてあんまり突っ込んで議論をしているうちに、現状からすごくここでの議論が遊離してしまうということにならないようにするにはどうするかということを、やはり皆さんで考えなければいけないんではないかと思います。

例えば、こういう不良債権処理の新たな方向性とかそういったことについて、もちろん集まって議論するということはできませんけれども、それこそパブリックコメントではないですけれども、各委員にこの問題についてどういう考えを持っているかということを例えばEメールで聞くとか、これは全く思いつきでありますけれども、そういったような形で、現状にレレバントな部分を取り込んでいくということを突っ込んだ議論をしながらも工夫していく必要があるんではないかなという感じを持ちました、ということでございます。

○ 蝋山分科会長

ありがとうございます。大変重要な問題提起をされたというふうに思いますが、もう少しフォローしてもらいたいと思うんですけれども、乾局長の説明では、必ずしも現状密着度は強くないと、こういうふうな御批判をお持ちだというふうに理解してよろしいわけですか。

○ 浜委員

端的に言えばそういうことでございます。そうですね、やっぱり一連のお話を聞いている中では、そういうところを感じ取ることができなかったということは言えると思います。もちろん、そういう発想が全然おありでないというふうには思いませんけれども、そこがあればやはり具体的な文言としてそういうところが前面に出てくるほうが、この日本社会全体としてもこういう審議会というもののレレバンシーを実感できるんであろうというふうに思うところでございます。

○ 蝋山分科会長

どうも率直にお答えをちょうだいしてありがとうございます。ただ、この問題、非常に基本的にこういう審議会がいかに現実の問題に取り組んでいくかという点で非常に重要なんですね。今までは、どちらかと言えば、こういう議論で審議会をやってきたというふうに思います。どういう議論かと申しますと、確かに現実にいろんな問題が起きている。そして、それを一つ一つ行政は行政として処理していくけれども、それを流れる大きな流れというのは一体どっちなんだろうか、どういう方向なんだろうか。それなしに現実の問題を一つ一つ処理するということは非常に危険ではないだろうかと。ですから、大きな流れを踏まえて、その大きな流れを実現させるような議論と、それから提言をしていこうじゃないかと。こういうようなスタンスで私としては金融審議会の第一部会ですがやってきたつもりです。なかなかそこのところは、そういう点では、一見したところ、現状密着度が薄いということで、記者会見その他で始終たたかれてきたという経験もあるわけですけれども、それがいいか悪いかはまた別です。この新しいメンバーシップになって、新しい金融審議会金融分科会ということになったわけですから、改めてその辺のところは議論することが必要だというふうに思います。

ただいまの点について、御意見ございませんでしょうか。

池尾さん、どうぞ。

○ 池尾委員

私は、今、蝋山分科会長がおっしゃったスタンスをセコンドしたいというふうに思います。確かに、いろんな問題が次々出てくるわけで、それに対してあるどこかのレベルで対処していかなければいけないという必要性はあるわけですし、それから、現実から遊離していいのかと言われたら「それはいけない」というふうに答えるしかないわけですけれども、私としては、できるだけ骨太な議論をしたいなというふうに思っておりまして、いろいろな問題が出てきて対応せざるを得ないからということで、振り返ってみると、過去10年とかはかなりパッチワーク的なことをやってきたんではないか、日本国全体としてやってきたんではないかというふうな気がいたしておりまして、もう少し基本アーキテクチャーのようなものを議論して、その上に立って今後の実際の諸問題に対処していく、むしろそういう対処のプリンシプルを議論するというのがこのレベルの委員会の役割ではないかなというふうに思っています。

○ 蝋山分科会長

それでは、少し時間がないようですので、ただいま浜さんと池尾さんと私のも含めて、クイック・リスポンスだけ。余りこだわらなくて結構ですから、クイック・リスポンスだけ。

○ 乾総務企画局長

先ほどの浜委員の御意見、私どももごもっともだというふうに思っておりますし、そういう方向の御議論というものがこの金融分科会で行われることを私どもエクスクルードするものでは全くないわけなんですけれども、ただ、今、現実の問題につきまして、まさに日々動いておりまして、さっきおっしゃった問題ですと、私どもの監督局というところですね、私も昨年6月まで監督の仕事をしていたんですけれども、やや個別の問題等に対応して血の出るような感じで実は仕事をしておりまして、それについての基本的な考え方の御議論をしていただくということも非常に私は大事だと思いますけれども、やや行政のほうはそうした問題に対して待ったなしでやらなきゃいけないような状況もございまして、それと同じペースでこの金融審議会でそういうことを御議論いただくことがどうかなと。他方で、ちょっと私の先ほどの説明があれだったかもしれませんが、池尾先生おっしゃったような基本的な流れの問題についての指針のようなものを審議会としてお示しいただきたいなという気持ちのほうがより強かったものですから、あえて先ほどはそういう点に触れなかったんでございますけれども、議論をエクスクルードするものではないと思っております。

○ 蝋山分科会長

はい、どうぞ。

○ 浜委員

今、お三方言われたことに基本的に全く異論はございません。現実密着性を高めるということと骨太の議論をする、大きな流れを考えていくということは全然矛盾しないんだと思いますね。今、乾局長言われたように、もちろんその場その場で現実にそれこそ血の出るような、しかも時間のない問題をここで議論をしなければいけないと言っているわけではなくて、事後でもよろしいですから、この問題についてこの委員たちがこういうことについて意見を持っている人だと思われているから選ばれているはずなわけでございまして、事後的にでもよろしいですから、どういう考えを我々は持っているのかということを皆さんのところにお届けするチャンスを作ったらどうかなと。これはちょっと具体的な工夫という話でありますけれども、逆に骨太な議論、大きな方向性を定めていくというためにこそ、やっぱり現実に動いている問題とのかかわりで議論を、少なくとも問題意識的にはそういう姿勢で議論をしていかないといけないんではないかなというふうに思います。

○ 蝋山分科会長

どうぞ。

○ 乾総務企画局長

今、大変貴重な御意見をいただきまして、私も基本的に浜委員のおっしゃったことには同感でございまして、この場で議論をするかどうかというのはまさにこの審議会でこの後御議論いただきたいわけでございますけれども、せっかくこういう方々に委員になっていただいておりますので、そうした浜委員御指摘のような問題につきましても、ぜひ何らかの形で御意見を伺っていきたいというふうに思っております。

○ 蝋山分科会長

今まではいろんな形でその都度事務局の側である種の審議会でのテーマについて個別に御意見を伺うということは……。しかし、もう少しそれを大きなフォーラムにして、そしてITの時代ですから、意見を交換できるような場をこの分科会として持ってもいいではないかという浜委員の御提言だというふうに思います。そういう点で、そういうことが可能かどうか少し、有吉さん、考えてください。それで、事務局が「とても無理ですわ」ということでしたら、浜さん、考えましょう(笑)。

ほかに、あるいはこれに関連したことでも結構です。御意見なり御感想があれば、お願いいたしたいと思います。

岡部さん、どうですか。

○ 岡部委員

やや具体的な問題で、事務局のほうから提起されました保険の問題なんですけれども、こういう具体的な話でもいいでしょうか。

○ 蝋山分科会長

もちろん結構です。

○ 岡部委員

破綻が相次いでいるとか逆ざやの問題が深刻であるとか紙面には連日出ているわけですが、生保の問題を考えるに当たって、したがってどういう枠組みでこの問題に対応しなければいけないかという議論はこの場でも深めなければならないんですけれども、基本的な問題として忘れてはならないのは、やっぱり生保と銀行とは違うと。預金と生命保険は違うということは基本認識としてある必要があるんではないかと思います。したがって、金融システムに間接的な影響はもちろんあるわけですけれども、直接的な担い手ではないわけですし、それから預金者保護が求められているわけではないということであれば、この枠組みを作るに当たって、できるだけ公的資金というような形の負担は小さくすると。つまり、保険契約者とそれから保険会社のリストラ、合理化努力などを通じて問題を解決するのが、あるいは相互法の支援の枠組みを活用するというのがあくまで原則でなるという立脚点が必要なんではないかと思います。

そういう発想からいくと、8年の改正で削除されてしまいました予定利率の引き下げというのは、これはある意味で、これは当局が命令するというのは変な話ですけれども、自主的にそういう形で対応できれば、その枠組みを保てる一つの役割を果たすのではないかというふうに思います。したがって、この問題についてもタブー視せずに、予定利率の引き下げ問題というのも考えていかざるを得ないのではないかと。もちろんそれがこれまでの保険業法にあったように大蔵大臣の命令というような形になるのは、これまたいかがなものかという感じがするわけですけれども、そういう形で保険会社と、それから契約者の問題として対応して、私利を国民の税金などに持ってこないように、できるだけする枠組みが必要なのではないかというふうに思います。

○ 蝋山分科会長

ありがとうございました。岡部さんは第二部会のメンバーに目されている……。そういう今の御提起になったような問題は、この金融分科会の第二部会で議論しようと……。

○ 岡部委員

ああ、そうですか。

○ 蝋山分科会長

いやいや、しかしですよ、しかしぜひこういう分科会でも、あるいは総会でもそうした基本的な問題と非常にかかわりある具体的な問題ですから、ぜひ御発言いただきたいというふうに思うわけです。

池尾さん、どうぞ。

○ 池尾委員、

今出た部会という話ですが、ここで書かれている第一部会、第二部会、特別部会という3つを設置すること自体には異議はなくて、これで結構だと思うんですが、第一部会というのがマーケットを扱って、第二部会というのはインターメディアリーを扱うという切り分けは、非常にオーソドックスといえばオーソドックスで、その点では受け入れられやすいというふうには思うんですが、逆にいいますと、非常にオーソドックスだなと。オーソドックス過ぎる切り分けの仕方という感じもしているんですね。名前はなくなったけれども、証券取引審議会と金融制度調査会が再建されたのかなというふうな感すらあって、私たちというか、蝋山先生なんかと私も少し今後の大きな流れということで考えてきたのは市場型間接金融というふうな話であって、マーケットとインターメディアリーとすみ分けるものだったり、大々的に対立するものというふうに考えるんではなくて、マーケット&インターメディアリーで補完的な存在だというふうな形で考えていくのがこれからの金融のシステムを考える際の基本的な視点だろうというふうに思っているんですね。結論で言えば、これで結構ですが、そういうマーケットとインターメディアリーが逆だったり、対立するものだというふうな形でない、補完的に全体としてのアーキテクチャーを考える機会をいろんな形で確保していただきたいというのが要望です。

○ 蝋山分科会長

首藤さん、どうぞ。

○ 首藤委員

今の池尾委員の御意見に全く、完全に同意をしたいと思います。特に、例えばインフラの問題ですけれども、市場インフラと国民のニーズに応える金融インフラというものをなぜ別々にしなければいけないのかと、私は全く理解できないわけです。例えば、この両方の問題は年金の問題とか、あるいは投資信託的な問題とか、そういったこれからの個人の資産選択、あるいは資産形成の問題と非常に密接に関連していると思います。ですので、こういった本当に金融システム全体の根幹にかかわるような議論というのは一体どういう形で行われるのかというのが非常に疑問ですね。それが1つです。

それから、もう一つは、ここで幾つかの審議事項が上げられております。各部会ごとに。それぞれ非常に重要な問題だと思うんですけれども、この審議の優先順位というのは一体どういう形でつけられるのだろうかということと、これだけで今の金融システムの問題を果たしてその問題点というのが議論できるかどうかということをもう一度考える必要があるんではないかなという気がいたします。

以上です。

○ 蝋山分科会長

今、首藤さんが言われた後半の部分については、まだ話はないわけですね。総会とか何かでも議論していないわけですね。ですから、これはある程度の行政機関としてキャパシティーの問題もありますので、ある程度の案はあるわけですね、金融庁のほうで。その点について、有吉さんのほうから。

○ 有吉企画課長

この部会というのは、理念でもって、トップダウンに分けていくという、プレゼンテーションにもなっているようにも見えるのですが、現実的にはオペレーショナルな面からも考えています。つまり、こういう項目とかトピックがあるので、それをグルーピングして御議論いただくにはどんな部会体制がいいだろうかという、やや機能的なところで考えています。ですから、部会の構成を世の問題を全てこういう形で整理して議論したいのだという風に考えられると、ややそれは買いかぶりというか、そういうところがございます。そこが1点でございます。

この中で、私どもとして提言というんですか、お願いしたいのは、我々として待ったなしというんですか、課題があります。保険の問題の議論がございますし、また第一部会での、証券市場・マーケット関係のものについても、現実に世の中動いている中でルールとか仕組みについてどうも手当されていない部分があるので、これをできるだけ早くやらなければいけないということもあります。そこで、先ほどの浜委員のお話といいますか、要はそういう現状に即応した制度整備としてやはりどうしてもやっていかなきゃいけないところがあるので、これはぜひお願いしたいと思っております。また、金融機能向上というふうに広くとっておりますが、具体的には、社債とか株式保有という問題も出しておりますが、これは例えば商法の会社法の改正とか、あるいは独禁法の改正という中で、これらも実は早急に、金融の立場から考えて、金融法の中で整理していかなきゃいけない、こんな状況にあります。そして、バーゼルなんかの議論にしてもしかりということでありますので、ここに出ておりますのは、私共行政の立場からして制度的に手当というんですか、何かしなきゃいけないと。それはもうぜひお願いしたいという項目が何点ということでございます。

それと、また他方、もう少しそれ以外に、いわばトップダウン型のアーキテクチャーというお話、それも我々はやはり21世紀の冒頭に立って、全体のアーキテクチャーはどうだということを考えていかなきゃいけないと思っております。何らかの形で我々も議論しなければいけないし、審議会でもお願いしなければいけないと思っております。

実は、そういうことを考えて、ただいきなりどうだとポンと放り出すということにはなかなかいかないだろうということで、実は、前金融審議会の中で金融問題に関するスタディグループというものを組みまして、少し基本的な問題意識とか論点の整理とかいうものを割合と若手の先生、池尾先生にも御指導、蝋山、貝塚両先生にも御参加いただいて、少し今発掘していると。それをどんな形で皆様のレベルに上げて議論していただくかというのは、また今いろいろと考えていると、そんなところでございます。お答えになりましたでしょうか。

○ 蝋山分科会長

わかんない(笑)。私の理解するところは、3つの部会が、第一部会、第二部会、特別部会と。特別部会は、今、室長御説明のように、これは非常に特別部会としてお仕事をお願いしなくちゃいけないということははっきりしている。問題は、第二部会と第一部会で、恐らく私の推測としては、第二部会のほうが先行するのではないかと。中でも、恐らく、保険会社をめぐる総合的な検討ということがありますが、保険会社の問題というものが大変、行政としてアージェントでこの審議会での提言を期待しているものではないかというふうに思います。国際的なBIS規制との絡み、バーゼル委員会との絡みというのももちろんあるでしょうし、それから社債の問題とか持株規制の問題とかということも具体的に、これは相手方のパートナーがどういう動きをするかということをにらみながら動いていくような、そういう話ではないだろうかと。そして、金融機能の向上に関する諸問題として、具体的には片仮名信託法を何とかしたいという御要望が行政の側としてはあるようです。果たしてそれがどれぐらい浜さんの言う現実密着性の点でどうなのかということはややまだ共通の理解が得られるかどうかクエスチョンマークはつき得るような問題ではないかなと。ほかにももっとアージェントな問題があるのかもしれません。しかし、ともかく今、取捨選択をすれば、保険会社をめぐる総合的な検討ということを第一に、パートナーの動きを見ながら、銀行社債、発行する社債の問題はもちろん、規制の問題を考えていこうと。こういうことではないかというふうに思います。その結果、どれだけこういう議論に、第二部会の議論にどれだけ金融庁の人的資源を割くことになるかに応じて、次に第一部会の問題というものが出てくるということであって、第一部会の、やや現状のほうが、取引所間の競争とかグローバル化とかという現場の動きのほうが先に出てきて、我々の審議会の議論は追随するような形になるかもしれない。そんなふうに思います。ただ、これは現実の動きがどんなふうになるかにものすごくよるわけでありまして、柳沢さんが直接処理を断行するということをどれくらい政治的に可能かどうか、まだ問題は残るかと思います。それが済む中では、恐らく不良債権の処理のためのというか、市場をちゃんと作らなきゃいけない、こういうような話になってくると思いますね。そういったときに、三木さんでしたか、東京三菱の頭取は「市場がないから」というようなコメントを日経の夕刊に発表されていたと思いますが、そういうような問題は恐らく今後状況によってはあっと出てくると。そういう中には、それに応じて我々は、浜さんの言うように、密着型で骨太の問題としてそういう問題も急いで取り上げなければいけないということになるかもしれないというふうに思っております。これはしかし、事務局と相談しての話ではなくて、分科会の会長として、あるいは個人として想像している話です。間違っているかもしれません。

宇野さん、どうぞ。

○ 宇野委員

現状に密着し過ぎている者からちょっと発言したいと思いますけれども、40年生保業界で働いておりますし、昨年協会長をやってから4社ほど破綻しておりまして、悲劇的な十字架を背負っております。その立場からお願いしておきたいのは、先ほどの池尾先生の意見と全く一緒でございまして、今の世の中というのは、非常にテクニカルなことから物事を処理するという観点があると。これでは生保は救えないという感じを私、強く希望したい。単純に申し上げまして、生保というのは、30年、40年の事業なわけですね。ですから、目先の利益だとか目先のファッショナブルな動きとか、そこに目をとらわれていたら全体を見失ってしまうということが基本にございます。ですから、素朴に言いますと、まず今の窮状の中で、一番立て直す最初の動作というのは、生保産業というのは理念を持ち、価値観を持ち、使命感を明確にするということだろうと思います。そのことをしっかりとまずしておかなければいけない。そうでなかったら審議会という意味がないというふうに思います。

実は、昨年、永田町で生保の勉強会をやったとき、私、「生保産業というのは社会保障制度を補完する民営の制度である」と恐る恐る言いましたら、政治家先生から、「会長、その言葉は取り消せ」と言われたんですね。「あっ、舌禍事件を起こしたかな」と思ったんですが、先生方はまことに私、そのときに感銘を受けたんですけれども、国家による社会保険制度は破綻すると。ナショナル・ミニマムでなければやっていけないと。これは本当に二、三の先生がおっしゃいました。それをやはり自己責任の世界に持っていかなければいけないけれども、これを担うのは生保産業であると。ですから、「補完的機能なんて言うな。国家の社会保障制度を支える二本柱とこれからは言え」と、こうおっしゃいました。実は、そのことは立派なんですけれども、そのためには強い生保、健全な生保、最後まで責任を全うする生保という、そういう強い使命感を生保業界で高めなければいけないと思うんですね。その場合には、やはり私どもは、私も40年勤めておりますけれども、歴史に学ぶという視点を失ったところに今日の悲劇があるんではないかと私は思います。

ですから、ぜひお願いしたいのは、やはりこれまでの大蔵行政の中で、私は、過去最大の大蔵行政は、純保険料方式、責任準備金を純保険料方式で積めという、あの骨っぽい制度が戦後の健全性を作ったと思うんですけれども、やはりその観点から今の金融庁でもずっと作業が行われておりますけれども、例えば責任準備金を随時見直すとか、自己資本を積むとか、引き受け体制を明確に作り上げるとか、それから生保の長期性と会計原則の調和を図るということを、ファッショナブルな空気にとらわれずに考えてほしい。実は、今時価会計といいますけれども、時価会計は、はっきり申し上げますと、逆ざやを容認する会計制度です。そういうことを真っ正面から取り上げなければいかん。

それから、先ほど岡部委員がおっしゃいましたような問題、問題を問題として真っ正面から見据えて逃げないというのが最大の安全ネットでございまして、やはりそのためには早期に是正するということでございます。早期に是正するには、破綻に至るまでに何らかの、予定利率も含めた何らかの方法を考えるという、そういう骨っぽい──これは池尾先生の意見とちょっとすれ違っていますけれども、骨っぽい姿勢も必要ではないかなというような、そんな感じが私しておりまして、ぜひそういう観点からの御検討をぜひともお願いしたい。

私、よく思うんですけれども、えてして規制緩和とか自由化とかそういうことが言われますけれども、規律のない自由化なんていうのは、こんなのは放らつと一緒でございますし、倫理観のない資本主義なんて拝金主義と一緒でございまして、生保というのはその対極にある産業ですから、そのような倫理観だとか、そういうことを前提とした骨っぽい議論をぜひお願いしたいと思います。

ちょっと池尾先生の意図と脱線したかもしれませんけれども、池尾先生、悪かったら……。

○ 蝋山分科会長

ありがとうございます。

太田さん、どうぞ。

○ 太田委員

話をむし返して大変申しわけありません。部会の話です。これを拝見していると、今、蝋山先生おっしゃったように、比重を比べてもしようがないんですが、第一部会と第二部会というのはかなりの比重差がありそうだという気がします。それから、緊急性とか何とかという意味でも、先ほどおっしゃったようにあると思います。第一部会の先ほどの局長の説明を伺っている限りでは、割合技術的な話の部分が結構多いなと。ビッグバンの証券改革、蝋山先生がおやりになっていた、あそこでかなりの方向性というのはもう出てしまっているわけで、これをどうフォローするかという、そういうような感じに受け取れてしようがないんですが、だとすると、こういう第一部会、第二部会の分け方というのは余り生産的ではないのかなという気がするんですが、どんなものでございましょうか。

○ 蝋山分科会長

会長が答えるそうです。

○ 貝塚会長

勝手なことを申し上げるということですが、金融制度調査会というのは、かなり初めの時期は非常にはっきりとした制度的な課題があったんです。それが、だんだん金融がグローバル化して、外の世界が猛烈に早く動くときに、課題の設定というのは私は技術的にはかなり難しいと思うんですね。そこのところを、私が言うと自己否定になりますから、やや無理して分けたという面がないわけではないんですね。したがって、私はちょっと話として言うべきことではないかもしれませんが、やっぱり重要なことを先行させてやるという精神でやっていったほうが、多分いいんじゃないかと。そこのところ、部会をどういうふうに分けるかという制度的な話は別として、そういう形で実質的に運営したほうが今の段階ではいいように思うんです。事務局のほうの御意見は違うのかもわかりませんけれども、私はそういう感想を持ったということだけ申し上げておきます。

○ 蝋山分科会長

有吉さんからも一言あります。

○ 有吉企画課長

これをぱっと見てしまうと、何か第一部会は1つで第二部会は4つですねと、そういうようなことなんですよね、何となく見た感じが。ここである程度、2年間ぐらいにわたってやる中で、現在、私どもとして見えているテーマというものを出しておりまして、それは第二部会でこれ4つをまとめて一緒に議論するということではないと思います。それはちょっと我々のほうも無理だと思います。ただ、練ったときに、相互に関連しているような委員の方々をある程度、つまり金融分科会で全部まとめて常に御議論ということもあるんですが、多分それをやると頻度としてとてももたない。ある程度分けてやっていただかねばならないと。その中で、テーマを考えていって、そのまとまりというぐあいにして、ボトムアップとトップダウンみたいなまとまりとどういう経緯かということで分けてあります。ということが1つ。

それで、第二部会においても、具体的に進め方として、恐らく最初、保険会社ということが中心になりますし、事実問題、保険会社といっても相当骨太の部分とテクニカルな部分がございまして、テクニカルな部分というのは従来でもやりましたけれども、ワーキンググループみたいな形である程度突っ込んで議論をしていただかなきゃいけないということになろうと思います。また、中身的に信託とかといった場合についても、実は相当長期的、基礎的なところで勉強を始めなければなりませんので、ある程度例えばものが来たときそれをどうやって、場合によっては独立させても別に構わないと思いますし、そこは余り、もちろんある程度メンバーを考えて適切な人でグルーピングしたいんですけれども、余り理念先行にして切り分けるということも余り現実的にオペレーショナルな観点といったものではないのかなという、そういう意味で考えておるというところでございます。

○ 蝋山分科会長

片田委員、どうぞ。

○ 片田委員

この部会の持ち方の問題ですけれども、お役所のことですから他の省庁のことを余り参考にするというわけにいかないのかもしれませんけれども、今、そこに岩原先生おられまして、私と岩原先生、法務省の法制審議会の関係のお仕事をしております。今度、非常に大きな改革が行われまして、従来は法制審議会という本委員会がありまして、その下に民法部会、刑事法部会、司法部会というふうに基本六法のような部会があって、その下にさらに分科会があり、ワーキンググループがあるというふうな形だったんですが、今回、法制審議会、本審議会1本で、そこにその都度必要なワーキンググループを作ると。例えば、最近の例で言いますと、会社法制のためのグループ、それから中間法人というものが今議論になっていますけれどもそれのグループ、あるいはマンションの区分所有の関係の法整備をしなきゃいかん、個々のグループごとに、個々の問題ごとにワーキングチームを作りまして、サンセット方式で期限を切ってやっていくというふうな方法をとっておるわけでして、そのほうが世の中の流れ、非常に多様な問題に対応できるし、あるいは緊急度が上がると。その都度小グループでやっていくわけですけれども、そういうふうなこともあるんではないかなと。参考にしていただければと思います。岩原先生、どうでしょうか。

○ 蝋山分科会長

御指名がありました。岩原さん、どうぞ。

○ 岩原委員

片田さんに御指名いただいて、大変光栄でございます。法制審議会ではときどき意見が違うこともあって、なかなか厳しいことも承っていたんですけれども、今日は御指名いただきまして、大変光栄に存じます。

確かに、法制審議会のほうはやり方を変えまして、審議会全体の形式的なものとしては総会1つで、そのもとに直接その下に各問題ごとに部会を作って、そしてその課題が一つ終わればそれでスクラップ・アンド・ビルドをしていくという体制になっているわけです。そういう意味では、法務省の法制審議会のあり方というのは、一つの新しい行き方かなという感じはします。

ただ、こちらの金融分科会のあり方も、確かに形としては第一部会と第二部会で、何となく先ほどのお話ではないですけれども、証取審と金融制度調査会を思い出させるような感じになっていますが、恐らく中での運用は多分工夫していただいて、法務省に近いような形で、この下の恐らく丸のところがそれぞれ実際的な機動部隊になっていますね。そこで課題ごとに取り上げていくということになるのではないかと私は理解していまして、多分、事務局のほうでもそうお考えになっているのではないかと。そういう意味では、私はこの御提案のやり方でいいのではないかと思います。その中で、先ほどからいろんな御指摘のありましたような、宇野委員の骨太なことから、池尾委員の御指摘のありましたような大きい流れのことも考えていくという必要があるように思います。

私の印象としては、個々の現在必要な当面の問題については、さっき樋口課長が御指摘になったように、かなりこの中で制度的な問題は取り上げられるようになっていると。その中で、どちらかというと取り上がっていないというのは浜委員が御指摘になった問題かもしれませんが、私もあれがある意味で言えば一番重要な問題だと思っておりますけれども、余りにも現実につき過ぎているだけに扱うのが難しいので、直接ここには上げられていないのではないか。それは、ほかのいろんな形で、多分委員の意見を反映されて、検討していっていただけるんではないかというふうに思っております。

あと、池尾委員が御指摘になったもっと大きい流れをという点は、確かに少なくともここに書いてあるだけではなかなかどれだけ反映されているかわかりにくい感じはしますので、さっき有吉課長がスタディグループのほうでそういう大きい方向は考えてくださるというふうに何かおっしゃったように伺いましたので、多分、今後そういうような形で考えてくださるのではないか。私としては、かつて大蔵省時代に検討したような金融サービス法のような、かなり骨太なことも今後とも継続的な課題として考えていっていただけたらありがたいというふうに思っている次第であります。

以上です。

○ 蝋山分科会長

ありがとうございました。

高橋さん、どうぞ。

○ 高橋委員

3点申し上げたいと思います。

1つは、議論の進め方についてなんですけれども、制度的に手当が必要なものがあるというお話なんですけれども、それに関しては、多分、当局のほうでその法制化の点とかでいろいろスケジュールを持っていらっしゃると思うんですけれども、議論を効率的に進めるためにも、スピード感を持って取り組むべきという意味からも、我々にもそのスケジュールをある程度、次回ぐらいに出していただきたいというのが1点目のお願いでございます。

それから、2つ目は、議事録の公開についてなのですけれども、ちょっと申し上げにくいことではあるんですが、業界の方々がお入りになる会議の議事録というのは、当局に先立って流れてしまうということはもう今までずっと繰り返されてきたことなのですけれども、今回、そのルールに関して、よいとするのか、その辺の取り決めが私は必要ではないかというふうに思っています。その喫緊課題なんかも含んでいて、新聞に先に書かれてしまうとか、それで議論の流れが戻ったりということを何度か経験してきているわけですね。新聞社の方はファイヤーウォールがあって入っていらしていると思うんですけれども、業界の方にしても、例えば伝統的の業界のほうには流れているけれども、新規の方とか外資とかは流れていないという不公平感を持っていらしたり、我々の議論にもいろんな影響を与えてくることでもありますので、いろいろ今日も多分録音していらっしゃると思うんですけれども、それに関して何らかのルールというのは私は作ったほうがいいのではないかというふうに思います。

それから、3点目は、先ほど岩原委員も委員の意見は反映してもらえるんではないかということもありましたので、先ほどの生保問題ですね。宇野委員のほうから大演説がおありでしたけれども、これは大変喫緊の課題ですので、私も幾つか出させていただきたいと思います。

それで、新聞報道では、生保の健全性の基準を厳しくするために、当局がそのソルベンシーマージンの見直し等をなさるというような報告がされておりまして、その細かい中身はわからないのですけれども、今報道されているところを見る限りでは、今回、逆ざや問題には全く踏み込んでいないと。つまり、ソルベンシーの分母の中で予定利率リスクというのを99年4月に多少厳しくしましたけれども、それをどうも直すという部分が触れられておりませんので、この問題をどうするんですかというところが非常に気がかりでございます。それで、既契約の予定利率引き下げの御要望というか必要性の御意見もあったんですけれども、やはりその逆ざや問題というものを議論していく上では、利差だけではなくて費差、死差の問題というのを同時に議論していかなくてはいけなくて、先ほど資料の説明の中で、現在言われている逆ざやは利差のマイナス部分を費差で埋めたものだということなんですが、もともとの保険は三利源でございますので、利差、費差、死差というのは別々に計算されていたんですね。それが90年代の前半に逆ざや問題が表面化してきたときにそれをプラス・マイナスしちゃおうというふうに制度が変えられてきたという経緯があると記憶しております。ですから、この予定利率の引き下げ問題を例えば金融審でやる場合には、その費差とか死差の開示がないと国民の理解は得られないというこの大前提に立って議論を進める必要があると思いますので、本格議論に先立ちまして意見を述べさせていただきました。

以上です。

○ 蝋山分科会長

ありがとうございます。真ん中に提起された問題はやや、ややこしい問題なので、あんまりルールというのを作るの僕好きじゃないので、どうぞ勝手にやってくださいということなんですが、どうしましょうか。では、有吉さんから。

○ 有吉企画課長

まさに従来のやり方でやっていったときに、出ている人、後ろに座って、言ってみればアクセスのある人とない人の差があると。そして、それがまたやや不透明だということで、基本的にできるだけ公開の方向で行きましょうという、これが一つでございます。

それから、公開によって、新聞記者含めて少なくともそういう一つのアクセスの経路をあけるとは言っても、記者の人が報道してくれるとは限らないし、してくれないかもしれないということでありますので、できるだけ議事要旨、-議事録というのは物理的にどうしても時間がかかりますので-、議事要旨を従来よりも最近はちょっとかなり詳し目に書いております。それで、従来よりも早目に、ターンアラウンド、できるだけ早くやろうということで、前回の総会の分も含めて、かなり昔に比べるとよくなっているんではないかと思います。ただ、議事録については、皆さんの発言のチェックもありますし、私のしゃべり方なんていうと、要するに後で起こしてみると日本語になっていないものですから日本語になるようにしなきゃいけないということで時間がかかりますので、そこはちょっと物理的にどうしようもないところがあります。なかなか私どもとしてはそれ以上はできないということがございます。

○ 蝋山分科会長

公開の問題については、公開をするということを原則とする限りにおいては、本来はだれでも参加できるというのが公開なんですね。それが基本だというふうに思うんです。しかし、関心のある人はだれでも、来るものは拒まず。しかし、キャパシティに限界がありますので、先ほど触れたように、クラブで、1社一人で、事前登録でというコントロールをしている。「なぜ記者クラブなんですか」というような話になってくれば、またまたこれややこしい話になってきます。しかし、それはそうせざるを得ないだろうと。もう一つは、関心の度合いというのは、どうしても業界の方々は非常に関心が強い。ある程度の費用は惜しまないと。もしかしたら、そこに大きな価値のある情報が含まれているかもしれない。できるだけ我々はそういう情報を生み出そうとしているわけですから、したがってどうしてもそこで差が生じるというのはまずいというふうに、それはよくわかります。がしかし、ないよりは少しはあったほうがいいかなと。できるだけ可能な限り、我々は業界の代表とか企業の代表とかということではなくて、いわば公益を代表する形で、公益と目されるものを代表する形で参加しているわけですので、とられるメモとか、そういう点もぜひその点を忘れずに、処理して、お使いいただきたいというふうに思います。私個人の原則は、問われれば何でも答えますということです。私の意見はこうだった、会の議論はこうだったということを、問われれば何でも答えます。だから、どこへでも行きますと。時間が許す限りは。もちろんキャパシティには限界がありますが、そういう原則でこれまでやってきております。それは、恐らく参加される方々、一人一人で公益というものをどんなふうに理解されているかによって違うと思いますので、差はあるかとは思いますが、私は個人的にはそういうふうにしております。

まだまだ議論が尽きないかと思いますが、一番初めに浜さんから大変重要な問題を提起されまして、具体的なフォーラムの組成については次回までに何か考えます。無理でしたら、私設フォーラムを作ってもいいかなというふうに思っております。私のメールアドレスを浜さんにお渡ししますので。

それから、タイムスケジュールにつきましては、あるいはターゲットについては、いつ頃どういうことを考えているのか、次回には何かできますか。分科会としての、テーマごとに、何とか可能な限り、高橋さんの最後の御質問のところ、お応えしたいというふうに思います。

今後の細かないろいろまだまだあるかと思いますが、事務局から可能な限りうまく、ひとつ御連絡させていただきたいと思います。

その前に、部会を3つ設置することに関して、いろいろお考えはあるかと思いますが、今日の議論を踏まえて部会の運営をうまくやっていきたいというふうに思っておりますが、ともかくこの部会を具体的に、この3つの部会を発足させたいことを御了解いただき、その部会長をこの場で指名させていただきたく思います。前もって事務局のほうから当然お願いはしているかと思いますが、特別部会の部会長には倉沢先生、よろしくお願いいたします。それから、第一部会の部会長には、本日御欠席ですが、神田秀樹さんにお願いしたいというふうに思います。そして、第二部会長には、こういう方面では恐らく大ベテランであろうと思いますので、福井委員によろしくお願い申し上げたいと思います。

これらの部会の部会長といろいろ御相談含めまして、メンバーの選任、あるいはより細かな、具体的な事務の内容については部会長とも御相談の上、私と事務局で行わせていただきたく思います。その点、お許しいただきたく思います。

また、議事規則とか原則として公開する、公開の具体的な仕方は、先ほど申し上げたような点であるということも御了解いただきたく思うわけであります。

以上、最後にがたがたと申し上げましたけれども、部会の設置と部会長と、それから公開の仕方、今後の部会の進め方、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

○ 蝋山分科会長

では、ひっくるめて、一括御承認をいただいたものとさせていただきます。ありがとうございました。

やや相変わらずの乱暴な議事進行で、議論は大変興味深く今後の分科会、あるいは部会の運営に反映させなければならない非常に貴重な御意見をちょうだいいたしましたが、やや形式を欠いたところがありまして、お許しをいただきたいと思いますが、どうも私がこういうことをやりますとこうなりがちであります。今後もこういう形式を少しはみ出すところが多々あるかと思いますが、お許しいただきたいというふうに思います。

最後になりましたが、今日の会の模様につきましては、この後、記者レクを行う予定にしております。

また、今後の日程等につきましては、事務局より後日調整の上、御連絡をさせていただきます。

どうも本日はお忙しい中お集まりいただきまして、活発な御議論をちょうだいしまして、ありがとうございました。

これにて散会いたします。

(以上)

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