金融審議会金融分科会第二部会(第3回)議事要旨

1. 日時:

平成13年4月25日(水)14時00分~15時40分

2. 場所:

中央合同庁舎第4号館10階 共用第1特別会議室

3. 議題:

  • 保険ワーキング・グループにおける検討状況

  • 自由討議

4. 議事内容

  • 保険の基本問題に関するワーキング・グループにおける検討状況について、山下座長より報告があった。(配布資料参照)

    (自由討議での主な意見)

    • 生命保険会社の抱えている問題がどの程度深刻なものなのか。国民の消費生活に生命保険会社の財務状況が相当程度影響を与えているのではないかと考えている。

    • 逆ざや解消という話は、保険契約者にとってはまさに保険金を値切られるという話。今どの程度のことが生命保険会社に起きていて、今後中長期にわたって保険契約者がどの程度のことを覚悟しなければいけないのかというのは、先行きについての消費者の確信を回復する上でも、やはりメッセージとして必要。

    • 逆ざやが大変だと言ってもその逆ざや額さえ十分に公表されていないような状況で、契約条件の変更の論議をするのは非常に難しい。やはり今の問題というものを業界なりアクチュアリーなどの専門家がきちんと一般論として一般の方に分かり易い形で示してもらうということが非常に重要。

    • 広く保険契約者に不利益を甘受していただかなければいけないという制度を仮に提案した場合、やはり今の生命保険業界がどのような状況になっているのかということについて国民的にコンセンサスを得ることが必要であり、そこの説明は必要になってくると思う。

    • ディスクロージャーについては、現状の開示は非常に不備な点が多いので、これは大いに改善して欲しいし、また改善の余地もあると思う。将来がどうなるかという見通しを明らかにするというのは、一種のシナリオテストなどを行って色々な過程を経た上での予測をしていかなければならないものなので、技術的にも非常に難しい問題があるが、なお一層の努力が必要。

    • 将来の予測が出てきたときに、それを前提にその状態をどう評価し、それに対してどのような政策的な対応をするかという、大きい方向性を示さないとやはり保険契約者に不安が残るのではないか。国としての見通し、対応及びその結果についての確たる態度を示していくことが今後重要になっていくと思う。

    • この「検討状況」で保険契約者の不安が解消するかどうかは、多少覚束ないというところがあると思う。これは、今持っている問題をどの位改善をしていくのかという改善の度合いが必ずしもこの提言の中では見えないということがあると思う。

    • 経営努力の中で今の逆ざやをどこまで解決できるのか、その解決策はしっかりやれているのかという判断チェックをしてあげることが保険契約者にとって重要。その上で、経営の努力でここまでできるというところをしっかり詰めた上で、国レベルで何か特別な措置を採るべきかという判断をする必要があるのではないか。

    • 倒産に至る前に再建する道を開くということができれば、真の意味での保険契約者保護に繋がるのではないかと思う。これまでの破綻事例を見ても、破綻前に手が打てていれば、破綻による契約条件の変更よりもより軽い状態での移行が行われたのではないかということは申し上げられると思うし、これが延いては生命保険業界の信頼の回復にも繋がってくるのではないかと考えている。

    • 更生特例法によって処理する方がフェアではないかという意見が非常に強くある。更生特例法の枠組みにおいて、業界負担なり公的負担なりの保護をどういう形でするのかということを明確に議論すべきである。また、仮に更生特例法よりも契約条件の変更の方が保険契約者にとって良いというようなことがあるならば、その根拠となる数字を出していただきたい。これも明確にしないといつまでも議論が空回りするような気がする。

    • ディスクロージャー誌には、比較的どうでもよい内容は沢山書いてあるが、我々が欲しい情報が非常に少ない。あまり知られたくないところは知らせないようなディスクロージャーの姿勢があるのではないかという疑問さえ抱かせるような点がまず改善されるべきである。その中でどの程度の問題点があるのかが明らかになっていくのではないか。

    • 仮に予定利率の引下げのスキームを作ったとしても、本当に経営者が予定利率を引き下げた方が良いと考えて行うだけの勇気があるのかが疑問。結局は更生特例法に行くのではないか。それなら、むしろソルベンシーマージン比率を更に厳しくし、それでチェックをして早期是正措置に早めに持っていくというような方向性が考えられるのではないか。

    • 生命保険については、積み残しの課題が多くてどれも解決しておらず、それが積み重なってきていると思う。消費者から見ると生命保険全体の課題というのをどうやって解決していくかという方向性を出していただきたい。

    • 契約条件の変更については、消費者からすると「自由に変更できる」という契約ではないはず。契約条件の変更の際に、総代会の決議や保険契約者の異議申立てなどの形で保険契約者の意思の確認をとるとしても、総代会を消費者側の意見の総意というようには見ていないし、異議申立てもどのような同意の取り方をするか、大変難しい課題があると思っている。保険契約者にとっては、何故自分達が予定利率を引き下げるという形で負担をしていくということがまず第一に来てしまうのか、経営者の責任というのはどうなのかということが疑問。

    • 「検討状況」では、ディスクロージャーについて、一般の保険契約者向けに分かり易い形での開示を図っていくということが出ているので、是非それは実行していただきたい。ディスクロージャーがはっきり分からないから週刊誌や新聞の記事などの分かり易い記事に目が行ってしまうというのも確かだと思う。

    • 法律的に原則で言えば、更生特例法でいくのが本来の原則に合っているだろうが、破綻を待って更生特例法で処理する場合と、予定利率を引き下げて早く手を打つ場合とでは、どちらの方が社会全体のコストあるいは保険契約者にとっての負担が重いのか軽いのか、あるいは非常に広い目で見てどちらの方がフェアなのかということを考える必要がある。

    • 仮に契約条件の変更を行うとした場合の方法は色々あり、それぞれ一長一短がある。一番ドラスティックで一番効果を発揮する方法に、特別法で契約条件を変更するという方法があると思うが、これは劇薬なので、まず憲法違反だということが当然出てくると思うし、政治の世界でそのような決断ができるのかという問題もあると思う。ある意味で言えばこれは国民全体にとっての政治の問題なので、本当に政治の世界が責任をとって、国民のために本当にどちらが良いのかということを考えた上で決断するのなら、それも一つの行き方だと思っている。

    • 逆ざやの問題を解決しようと思えば、更生特例法的なアプローチでこれをくぐり抜けていけば制度論的には何も矛盾なく行けると思うが、現実の問題を絡めて見た時にこの更生特例法というプロセスを経るうちに一体その現状のシステムがどこまで痛んでしまうのか、結局将来我々が描いた望ましい姿の最小限のものにまで行き着かない可能性があるのかというところは、吟味をする必要があると思う。そこは、相当程度途中でシステムが痛んでもギリギリ目が残って将来の望ましい姿に繋がるという確証があれば、それは途中でショックセラピーを経てでも行けるのではないかという確信を持って良いと思う。そこの吟味がどうしても必要。

    • 仮に更生特例法的プロセスよりももう少し前の段階で保険契約者の納得を得ながら事前に処理する方法があるとして、そのようなアプローチが制度論的にも必要だということになった場合には、恐らく保険契約者の納得を得るためには、業界にいる方々がこれが最大限だと意識している範囲のディスクロージャー以上のディスクロージャーが必要ではないかと思う。また、保険契約者の負担というだけではなくて、経営者の負担とか、出資をした方々の負担とかをノータッチで通り過ぎて良いのかという問題も吟味する必要があると思う。

    • 契約条件の変更について更に検討される場合には、例えば対象となる保険会社であるとか、対象となる保険の種類などについて、差別的な取扱いがないよう配慮をしつつ検討すべきである。

    • 保険商品の届出制については、「検討状況」に方向性がある程度出ており、方向性としては好ましいことだと感じている。ただ、この方向性の実施をできる限り前倒ししていくという姿勢が必要。企業向けの保険については、当局のケアーをできる限り早期に減らすかまたは無くして、企業の自己責任をもう少し強めに要求しても良いのではないかと思っている。

    • 保険商品の届出制については、生命保険の場合は契約の長期性により、事後的な救済で全てカバーされるということになってこないケースが多々あることから、審査について全て外すということについては、後々のことを考えると一概には言い切れないのではないか。

(以上)

問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局信用課(内線3564,3571)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。


(資料)

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