金融審議会金融分科会特別部会(第4回)議事要旨

1. 日時:

平成13年5月17日(木)15時00分~17時10分

2. 場所:

中央合同庁舎第4号館9階 特別会議室

3. 議題:

  • 事務局説明
  • 自由討議
  • その他

4. 議事内容

  • 事務局より別添資料に基づき、今後の主要検討分野(案)について説明が行われた。

  • その後、自由討議が行われたが、その際の質疑応答、主な意見は以下の通り。

    なお、本日提示された主要検討分野について、今後審議を深めていくということで了承された。

(質疑応答及び自由討議での主な意見)

  • 前回(第3回)、消費者団体からのヒアリングの際の説明の中で誤解を招くおそれがある発言があったので次の通り訂正をさせていただきたい。すなわち、「個人信用情報に限り、個別法が必要であり、それ以外の金融分野の個人情報については個人情報の保護に関する法律の適用で足りる。」旨発言があったが、その趣旨は、消費者団体の説明者にも確認した結果、与信判断のために利用する個人情報にとどまらず、預金の受入、投信商品販売等に伴い、適合性原則に基づき、個人顧客から収集する情報等をも含む概念として「個人信用情報」という言葉使いをしたものである。

  • 「個人信用情報」とは何かという問題は、旧大蔵・通産両省合同の懇談会以来議論されてきているが、法制化するとしても、その定義が明確でなければ難しい。過去の検討を踏まえると、信用供与の判断に利用される個人情報と考えられる。因みに、米国のクレジットビューローの提供する個人信用情報は、法律により雇用判断にも利用することを認めており、この場合の「信用」は、返済能力の判断というよりも、社会的な信用という意味合いと考えられ、現在の我が国の信用情報機関とは事情が異なる。

  • 別添資料4-1中の「主要検討分野(案)」の1、2以外にも検討分野が存在するのではないか。例えば、購買履歴の取扱い、異業種参入を踏まえたルール整備などが挙げられる。また、別添資料4-3の「検討事項(案)」については、OECD8原則を念頭に置くと、データ取扱者が説明責任を負うことを検討項目に追加すること、透明性の確保は、単に本人の事後的関与で一括りとするのではなく、アクセス権やコントロール権という法的権利として構成してもらいたい。

  • 購買履歴の取扱いは、まさに別添資料4-1中の「主要検討分野(案)」「1.金融取引に係る個人情報の同一企業内での多目的利用及び同一グループ内での複数企業による共同利用に関するルール」に含まれるものと理解している。銀行のインターネット専業支店におけるいわゆるバーチャルモールの決済サービスの提供などは、ITの活用により、特定個人の購買履歴情報と銀行の決済情報を容易に結合しうるという意味でこの検討分野に含まれてくるのではないか。

  • OECD8原則の「責任の原則」は個人情報の取扱い全般についての諸原則の遵守に関する説明責任ということだが、説明責任を事業者に課すか否かの検討は、別添資料4-3の「検討事項(案)」における2.(2)の「個人情報の収集に当たっての留意事項」の一環として位置づけられるのではないか。

  • 別添資料4-3の「検討事項(案)」の「2.(3)利用目的、共同利用する者等利用の態様に応じた同意取得の方法」は、利用目的の変更の仕方や、情報がどう利用されるのかという、利用目的の特定に当たっての括りの問題、グループ会社の範囲をどう捉えるか、及び同意の取得方法の問題といった様々な検討項目を含んでおり、(3)として一つに集約することには無理があるのではないか。

  • 上記2.(3)の趣旨は、「主要検討分野(案)」の1.の対象となる個人情報の取扱いに対しては、個人情報の保護に関する法律案において本人の同意が原則として義務づけられているものであるが、その具体的な同意取得の方法に係るルールについては、一つのやり方を一律に課すというのはいかがかと考えており、そこで例示的に挙げた利用目的等何らかの物差しを設定した上で、保護の見地から必要なルールの軽重をつけるべきではないかということである。

  • グループ会社の範囲自体についても、当部会における議論の対象と考えている。その際、個人情報の保護に関する法律案では、事業者サイドにとって最も手間のかかる本人同意を必要とするのが「目的外利用」と「第三者提供」のみであることを勘案し、個人信用情報にとどまらない金融分野における個人情報の取扱いのうちで、(1)同一企業内での第一義的な利用目的以外での利用と(2)グループ内での共同利用を主要検討分野としてはどうかと提案したものである。なお、グループ利用といった場合、広義に捉えれば、資本系列の有無を問わず、複数の事業者が一定の契約に基づき恒常的に個人情報を共同利用する場合ということになるのではないか。他方、ルールが事業者にとってワーカブルであることも重要な要素であり、ルールの内容の検討に当たっては、両者の比較衡量が必要と思われる。

  • EU指令第7条(f)の規定は、事業者側の正当な利益は狭く解され、個人情報の保護が優先されるのではないか。

  • 同条(f)但し書で比較衡量の対象となっている、本人の利益について、第1条第1項では「自然人の基本的な権利及び自由、特にそのプライバシーの権利を保護しなければならない。」とされている。但し、実際の運用を調査していないので、条文以上のことは説明できないが、確かにプライバシーの保護の重要性は認められるものの、規制によって事業者の正当な利益が不当に妨げられないことを考慮することも重要ではないか。

  • 主要検討分野の切り出し方について意見を述べると、個人情報の保護に関する法律案は、業規制的な縦割りの構成になっており、主務大臣が各所管業界について監督を行うこととなっているが、情報の性質等によって個別分野の検討を進めるとすると、対象となる業者の範囲が金融業界以外の業界にも及ぶ場合が想定され、金融庁単独での法律に基づいた執行は不可能になる。このような場合、政府部内での調整が必要になるのではないか。

  • 金融機関のみで構成するグループについては、金融庁単独での関与が可能であるが、確かに、個人情報の性質による切り分けでは、ご指摘の問題があることは確かであり、カバーできない業界も存在するであろうから、今後よく検討していきたい。「個人信用情報」に関する検討は、経済産業省と共同で行うこととしており、法制化するとすれば共管法となろう。

問い合わせ先

金融庁総務企画局企画課調査室
電話 03(3506)6000(内)3526
本議事要旨は暫定版であるため今後修正がありえます。


(資料)

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