金融審議会総会(第17回)・金融分科会(第5回)合同会合議事録

日時: 平成15年1月31日(金)16時31分~17時34分

場所: 中央合同庁舎第四号館(9階)金融庁特別会議室

○ 大藤企画課長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから金融審議会総会・金融分科会合同会合を開催させていただきます。

本日は、皆様、ご多忙のところご参集くださいまして、ありがとうございます。また、各委員におかれましては、金融審議会委員へのご就任をお引き受けくださいましたことを重ねてお礼を申し上げます。

それでは、まず、総会としての審議を進めさせていただきます。

申し遅れましたが、私は、総務企画局企画課長の大藤でございます。

本日は、1月25日の委員選任後、初めての総会でありますので、会長及び会長代理をお決めいただくこととなりますが、それまでの間、私が議事の進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、まず最初に、審議会の委員の皆様をご紹介させていただきます。

なお、委員の皆様の名簿をお手元にお配りしておりますので、適宜ご参照ください。

それでは、本日ご出席いただいている委員の皆様をご紹介申し上げます。

委員の皆様の右側の方から、まず、池尾和人委員でございます。

今松英悦委員でございます。

岩原紳作委員でございます。

翁 百合委員でございます。

貝塚啓明委員でございます。

片田哲也委員でございます。

川本裕子委員でございます。

神田秀樹委員でございます。

斎藤静樹委員でございます。

島崎憲明委員でございます。

高橋伸子委員でございます。

田中直毅委員でございます。

辻山栄子委員でございます。

成川秀明委員でございます。

西村淸彦委員でございます。

原 早苗委員でございます。

福井俊彦委員でございます。

淵田康之委員でございます。

山下友信委員は途中からご出席の予定でございます。

和仁亮裕委員でございます。

なお、本日は、嘉治佐保子委員、関 哲夫委員、藤田太寅委員、蝋山昌一委員がご欠席されております。

本日は、金融分科会との合同会合ということで、金融分科会の専門委員の皆様にもご出席いただいております。

石原邦夫委員でございます。

奥本英一朗委員でございます。

長野幸彦委員でございます。

三木繁光委員でございます。

なお、本日は、横山進一委員がご欠席でございます。

続きまして、当審議会の事務局のメンバーをご紹介申し上げます。

皆様方から向かいまして、私の左側の方でございますけれども、高木金融庁長官でございます。

佐藤検査局長でございます。

五味監督局長は用務で少し遅れております。

新原証券取引等監視委員会事務局長でございます。

細見総務企画局参事官でございます。

財務省より、日野大臣官房参事官でございます。

谷口大臣官房信用機構課長でございます。

また、幹事として、白川日本銀行理事でございます。

次に、皆様方から向かいまして、私の右の方でございますけれども、藤原総務企画局長でございます。

増井審議官は用務で少し遅れております。

三國谷総務企画局審議官でございます。

恐縮でございますが、大久保総務企画局審議官、羽藤企業開示参事官は用務で少し遅れてございます。

次に、河野信用課長でございます。

岡本金融危機対応室長でございます。

山沖調査室長でございます。

なお、竹中金融担当大臣には、途中からご出席いただき、ご挨拶等をいただく予定になっております。

以上でございます。

それでは次に、当審議会の会長の選任をお願いしたいと思います。

会長は、金融審議会令第4条第1項の規定によりまして、委員の方々の互選によることとされております。事務局で幾人かの委員にお伺いいたしましたところ、前体制で会長を務められた貝塚委員に引き続き会長をお願いしてはどうかとの意見が多うございました。いかがでございましょうか。

それでは、ご異存ございませんようですので、貝塚委員のご承諾を待ちまして会長就任をお願いしたいと思いますが、貝塚委員、いかがでございましょうか。

○ 貝塚委員

お引き受けします。

○ 大藤企画課長

どうもありがとうございました。

それでは、恐縮でございますが、貝塚会長におかれましては会長席の方へお移りください。

それでは、貝塚会長よりご挨拶をいただき、以後の議事を貝塚会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 貝塚会長

私は、前から金融関係の審議会はやっておるんですが、今回、またお引き受けすることになりまして、金融の行政は、ある意味では、場合によってはかなり深刻な状況もあり得るということで、この審議会はいろいろな形で相当複雑な問題に対応しなくてはいかんという時期が依然として続いているということではないかと思いますが、何分にもよろしくお願いいたします。

それでは次に、会長代理を指名させていただきたいと思います。

金融審議会令第4条第3項によりますと、会長代理は会長が指名するということになっております。私からは、引き続き片田委員を会長代理に指名させていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。

それでは、よろしくお願いいたします。

それから、あとはやや事務的なことになりますが、議事運営についてですが、お手元に配付させていただきました議事規則に則り、引き続き今後とも行って参りたいと思います。

また、会議は原則として公開としたいと思っておりますが、これは以前のとおりでございますが、よろしゅうございますでしょうか。

それからあとは、金融審議会というのは、平たく言えば持株会社、株をあまり持っているかどうかは知らないんですが、上部の機構で、その下に幾つかの審議会といいますか、分科会がありまして、部会がございまして、現在、総会のもとで設置されておりますのは、いわゆる自賠責、自動車損害賠償責任保険制度部会、それから公認会計士制度部会の2つの部会がございますが、この部会はそのまま引き続き設置するということにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、引き続き2つの部会を設置することとして、私の方で事務局とご相談の上、これらの部会の委員の選任等、具体的な事務につきましてはそれを始めさせていただきたいと考えておりますが、よろしゅうございますでしょうか、この2つの部会の発足ということでございますが。

どうもありがとうございました。

それから、この会合は金融分科会との合同会合でございまして、総会と分科会と両方でございまして、実を言うと、ここで私の仕事はとりあえず中断ということで、金融分科会の方へ移るという、これは手続上そうなっております。

○ 大藤企画課長

それでは、恐縮でございますが、金融分科会の議事に移らせていただきます。

本日は、金融分科会といたしまして、委員選任後、初めての会合でございますので、分科会長をお決めいただくこととなります。分科会長は、金融審議会令第5条第3項の規定によりまして、委員の互選によることとされております。事務局の方で幾人かの委員にお伺いいたしましたところ、本日ご欠席されていらっしゃいますが、前体制で分科会長を務めていただきました蝋山委員に引き続き金融分科会長をお願いしてはどうかとのご意見がございましたが、いかがでございましょうか。

それでは、ご異存ございませんようですので、後日、蝋山委員のご承諾を得た上で分科会長就任をお願いしたいと思います。

また、金融審議会令第5条第5項の規定により、分科会長が分科会長代理を指名することとなっておりますので、追って分科会長より指名をお願いしたいと思っております。

続きまして、議事運営についてですが、お手元に配付させていただきました金融分科会議事規則に則り、引き続き今後とも行ってまいりたいと存じます。

また、会議は、審議会と同様に、原則として公開としたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。

また、金融分科会のもとに、引き続き第一部会、第二部会、特別部会を設置することとし、これらの部会のメンバーの選任等、具体的な事務につきましては、今後、蝋山分科会長とご相談の上、行わせていただこうと思いますが、以上、よろしゅうございますでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、以上で金融分科会の議事を終了し、ここで総会・金融分科会合同会合に移らせていただきます。議事につきましては、貝塚会長からお願いいたします。

○ 貝塚会長

それでは、総会・金融分科会の合同会合の議事に移らせていただきます。

ここで、竹中金融担当大臣からご挨拶をいただくことになっております。しばらくお待ちください。

〔竹中金融担当大臣 入室・着席〕

竹中金融担当大臣がお越しになりましたので、ここで大臣からご挨拶をいただきたいと思います。どうぞお願いします。

○ 竹中金融担当大臣

竹中平蔵でございます。何か随分お待たせしたみたいで、大変申しわけございませんでした。金融審議会総会、それと金融分科会の合同会合、お集まりの皆様方に心からお礼を申し上げます。

たまたま今日、例の政府の4演説がありまして、総理が施政方針演説、私も経済演説をさせていただいたところであります。総理からの話にもありましたし、私も申し上げましたけれども、日本の経済は、構造改革を更に加速させなければ十分に潜在成長力を高めていけないような状況にある。その中で、やはり金融再生に対する期待というのは非常に大きなものがあります。そのためにも、昨年の10月に決定しました「金融再生プログラム」をどのように実行していったらよいか、それに関連する非常に幅広い議論を専門家である皆様方にお願いしているということでございます。さまざまなワーキンググループがございます。分科会がございます。それを束ねる総会がございます。それぞれにおいて非常に、ある意味で日本の進路を選択する重要な政府としての意思決定の要に諸先生方はいらっしゃるわけでございまして、ぜひとも思う存分その知見を発揮していただいて、その上で我々なりにしっかりそれを受けとめて、経済の舵取りをしていかなければいけないというふうに思っております。

また、個人的にもよく存じ上げている先生方が非常に多いものですから、さまざまな形で、辛口のことも含めまして、ぜひご助言をいただきたいと思っております。何卒よろしくご審議をくださいまして、ご指導くださいますようにお願い申し上げます。ありがとうございます。

○ 貝塚会長

どうもありがとうございました。

それでは、カメラの方は退出をお願いいたします。

続きまして、「金融再生プログラム」の進捗状況につきまして、事務局から説明があります。よろしくお願いします。

○ 岡本金融危機対応室長

金融危機対応室長の岡本でございます。お手元の資料で横長の大きな紙、「『金融再生プログラム』の進捗状況(平成15年1月31日現在)」、この紙に従いまして、現在のこの「金融再生プログラム」の進捗状況につきましてご説明させていただきます。

既に、当審議会におきましても、「金融再生プログラム」及びその実施作業スケジュールを定めました「作業工程表」をご説明させていただいておるところでございますが、この「作業工程表」に沿って、各項目について着実にその実施を図ってきておるところでございます。

お手元の資料は、既にご説明させていただいておりました、この「作業工程表」、これに、これまでどのような形で対応してきているか、実施をしてきているかというところを、この黒帯で示したものを加えさせていただいたものでございます。順次ご説明させていただきます。

まず、一番上の中小企業金融でございますが、これにつきましては、この再生プログラムの公表後、直ちに各施策を実施しておりまして、例えば、一番左の方でご覧いただきますと、中小企業再生をサポートするRCC信託を活用したスキームの創設、あるいは、いわゆる貸し渋り・貸し剥がしということに対応いたしまして、金融庁・財務局にホットラインを創設しておりますが、そこで得られました情報を検査・監督で活用する体制を整備いたしまして、そういった情報を随時活用するといったこととしておるわけでございます。

この中小企業金融の真中の年内に対応した部分をご覧いただきますと、中小企業貸出信託会社の検討を開始ということで、当審議会の信託ワーキンググループにおきまして、この信託業法の問題等々の検討を行っていただいているところでございます。

中小企業金融の一番右のところでございますが、中小企業貸出計画未達先、いわゆる公的資金の注入を受けております銀行は中小企業貸出計画を出しているわけでございますが、それが未達の場合、特に重度の未達の場合には業務改善命令の発出を検討するということにされておりまして、そうしたことでしっかりと対応していくこととしております。

なお、14年9月期の中小企業貸出の状況の報告を受けた中で、特に、実は(株)みずほホールディングスが大変大幅な未達になっております。そして、それにつきまして銀行法に基づきます報告を受けたところでございますが、体制が不十分であったということで、本日、業務改善命令を(株)みずほホールディングスに対して発出をしております。あわせてご報告させていただきます。

次の項目、大きな帯の特別支援でございますが、これにつきましては、年内に対応のところをご覧いただきますと、特別支援を受けた金融機関の事業計画をモニタニングしていただく、また、不良債権問題処理全般にわたってのチェックをしていただくということで、金融問題タスクフォースを年内に立ち上げておりまして、先般、1月22日にその第1回会合を開かせていただいております。

また、新しい公的資金制度の検討開始ということで、これにつきましても当審議会におきましてワーキンググループを設置していただき、検討を開始していただいているところでございます。

特別支援の中では、一番右のところで、特別支援を受けた金融機関に対します検査官の常駐的派遣、また管理会計上の勘定分離の具体的仕組みの整理といった項目、これにつきまして現在検討を行っておりまして、工程表どおり、年度内にそういった考え方を整理するといったことで鋭意作業をしておるところでございます。

次の大きな項目の企業再生でございますが、これにつきましては、政府で産業再生機構設立の法案が国会に提出されたところでございます。また、金融庁関係におきましても、RCCにおける企業再生機能の強化といったことで、RCCにおきまして考え方等々を整理いたしまして公表するといったことで、各項目について既に年内に対応がなされているということでございます。

次の資産査定の厳格化でございます。一番左の方に書いておりますが、DCF的手法の採用、また引当金算定における期間の見直しについての検討ということで、これは、「金融再生プログラム」公表後、早速、公認会計士協会で特別チームを設置していただきまして、また、当局との連絡協議会を設置いたしまして鋭意検討を行いまして、そのずっと右をご覧いただきますと、12月26日に検査マニュアルの改訂案を取りまとめて、パブリックコメントに付しております。このパブリックコメントを経て、年度内に検査マニュアルの改訂を行うということにしております。

また、真中の年内に対応したところでご覧いただきますと、例えば、大口債務者に対する銀行間の債務者区分の統一ということで、これは、部内の体制を整備して、15年1月からの検査で適用する。また、再建計画検証チームというものを検査局内に設置をいたしまして、再建計画自体の厳格な検証といったことでチームを立ち上げております。また、自己査定と金融庁検査との格差の状況を11月に公表させていただいておりますが、今後、そういったことで自己査定の是正が十分になされないといったような場合につきましては、行政処分の強化を行うといったことを内容といたします事務ガイドライン、これを12月10日に改正して公表しております。

また、資産査定の厳格化で残された課題の中では、一番右でございますが、担保評価の厳正な検証ということで、これは、現在、実態調査の上、考え方を整理しておりまして、まとまり次第、主要行に要請をする。また、特別検査の再実施ということで、これは1月27日にその検査の実施の予告を公表しております。

次に、自己資本の充実でございますが、これは、繰延税金資産の問題につきまして、その厳正な評価、監査を要請するということを直ちに行っております。

また、繰延税金資産の算入上限について金融審議会で検討を開始していただくということで、当審議会にワーキンググループを設置いただき、この検討を開始していただくこととしております。

また、年度内に残された課題といたしましては、第三者割当増資についての事務ガイドラインの整備ということで、これは部内で検討を行っておりまして、年度内にその整備を行うこととしております。また、自己資本比率に関する外部監査の導入ということで、公認会計士協会と詰めを行いまして、業務報告書の様式の見直しといった手続を年度内に行うということとしております。

次に、ガバナンスの強化でございますが、これにつきましては外部監査人による厳正な監査の要請。

また、年内には、早期是正措置の厳格化、また「早期警戒制度」の活用といったことを、事務ガイドラインを改正いたしまして、12月にその改正・公表を行っております。

また、一番右でございますが、公的資本注入行に対するガバナンスの強化の観点から、優先株の普通株への転換の諸条件についてのガイドラインの整備、また健全化計画未達先に対する業務改善命令の考え方、また責任の明確化等につきまして、現在、ガイドラインの整備を部内で鋭意検討しておりまして、これにつきましても年度内に対応するといったことで現在鋭意作業を行っているところでございます。

また、最後に、中小・地域金融機関の不良債権処理につきまして、「リレーションシップバンキング」のあり方を金融審議会でご検討いただくということで、これにつきましてもワーキンググループを設置していただき、先日の第1回会合、第2回会合と開いていただいておりまして、これは、年度内を目途にアクションプログラムを策定するということで進めております。

以上、「作業工程表」に沿いまして、これまで各種項目を着実に実施してきておりまして、残る年度内に対応の予定の各施策につきましても、工程表に沿ってしっかりと対応していくということで現在作業をしております。

以上でございます。

○ 貝塚会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局の説明について、あるいはその他の金融行政に関する事項について、この機会に皆様からご意見、ご質問があれば、どうぞご自由にご発言ください。会長としては、新しくメンバーに加われた方がかなりおられますので、その方のご発言を優先したいとは思いますが、どうぞご自由にご発言ください。

今日出ておられる新任委員の方は、「この先生」と言うとあまりあれですが、今松委員、翁委員、川本委員、島崎委員、辻山委員、西村委員、淵田委員、和仁委員ですが、我々前から所属している人間は、比較的、再生プログラムの説明を前に聞いておりますので、多分途中までのプロセスは存じているわけですが、どうぞご自由にご発言ください。

一番聞きやすいというのは、西村さんは私の昔の同僚なもので、西村さん、もし何かご質問、あるいはご感想でも、何でも結構ですが。

○ 西村委員

今まで外から金融審議会の様子をお伺いしていまして、実際に内部でこういう形で中で見せていただくのは初めてですが、外から見ていてよく分からなかった点をお聞きいたします。中小金融機関の不良債権処理と、それから、この中小企業金融との関連がどうなっているのか、その辺をもう少し教えていただければというふうに思います。それと産業再生との関連ですね。

○ 貝塚会長

かなり難しい質問だと思いますが、中小企業金融というのは、再生プログラム上どういう位置付けになっていて、そして「リレーションシップバンキング」というのは、多分その中でワーキンググループがあるわけで、そのあたりの、それから産業再生との関係。

どうぞ。

○ 岡本金融危機対応室長

それでは、私の方からちょっとご説明させていただきます。

中小企業を対象といたしました不良債権という意味におきまして、まず、今回のこの「金融再生プログラム」自体は、基本的に主要行を対象にしたものでございます。主要行におきます不良債権の処理をしっかりやっていただく。そういった中で、当然、不良債権の中には、中小企業を債務者といたします不良債権があるわけでございます。そういったものを含めまして、主要行におきまして不良債権処理を進めていくわけでございますけれども、他方、例えば、不良債権処理をオフバランス化する過程で、中小企業の債務者とする不良債権がRCCに売却をされる。そういったような場合に、ただ、RCCにおいて直ちに回収を行うといったようなことが果たしていかがなものかといったような観点から、例えば、その中小企業の中で、もちろん、これは再生可能性があるものに限られますけれども、そういったものにつきましては、RCCの信託を活用して、中小企業の再生の努力を促すと、そういった仕組みをあわせて入れるといったようなことが、この「金融再生プログラム」の一番上の、この中小企業金融といったようなところに盛り込まれております。

他方、今度は金融機関のサイドといたしまして、中小金融機関、この問題につきましては、一番右下に書いておりますように、先程申し上げましたが、「金融再生プログラム」自体は主要行を対象としておりますが、「リレーションシップバンキング」のあり方といったことで、この中小・地域金融機関の不良債権処理をどのように進めていくか。これにつきましては、別途、こちらの方でご検討いただいて、その上でアクションプログラムを策定すると、こういった運びを考えているところでございます。

○ 西村委員

私ばかり発言して申し訳ありませんが、2点お伺いしたいのですが。1点は、「リレーションシップバンキング」についてです。「リレーションシップバンキング」は、必ずしも中小金融機関だけではない問題ですね。それがどういう形でこういう問題の中に組み込まれているのかというのが1つお聞きしたい点です。もう一つは、DIPファイナンスの問題です。実は、実際に使われているケースというのは非常に少ない。中小企業金融のところで具体的に、何らかの対策として、このDIPファイナンスを有効に使うというようなことを考えていらっしゃるのかどうかと、この点についてお聞きしたいと思います。

○ 貝塚会長

いかがですか。

○ 岡本金融危機対応室長

中小企業金融、今、DIPファイナンスのご指摘がございました。これにつきましては、そういった、いわゆる再生手続に入る中で、そういったDIPファイナンスの使い勝手をよくするために、例えば、ちょっと左側の特別支援のところで、それに対する保証制度の創設といったようなことを中小企業庁の方で既にやっていただいておりまして、より使い勝手をよくする。これは中小企業に限られるわけではないんですが、そういったことをやることにしております。

また、例えば、再生が見込まれる中小企業、これが、RCCにその債権が売られた場合に、その再生を後押しする仕組みといたしまして、そういった債務者に対する、例えば、信用保証制度ですとか、政府系金融機関の融資ですとか、そういったものをあわせて行うことによりまして、中小企業の再生を後押しする仕組み、金融の仕組み、こういったものも全体としては行っているといったようなことがございます。

○ 貝塚会長

ほかに。

ただいまのご質問は、「リレーションシップバンキング」というのは再生プログラムの一番最後の方にちょっと書いてありまして、私が説明するのもあれかな。一番最後に、主要行とは異なる特性を有する「リレーションシップバンキング」という、そういう一応位置づけになっていまして、ただ、その異なる特性というのはどういう意味で異なるかというあたりは、これは、かなり議論すると、それほど単純な話ではないというのは私のやや個人的な感想ですが、何かもし金融庁の方で補足される点がありましたら。

長官、ではお願いします。

○ 高木金融庁長官

いずれにしても、ワーキングをつくって、広く、これから大至急、3月末までにアクションプログラムをつくるところまでいかなければいけませんから、これから、もう議論を始めていますけれども、大至急、幅広く議論をしていただこうというふうに思っております。

○ 貝塚会長

ほかに。どうぞ、ご自由にご質問。

どうぞ、今松委員。

○ 今松委員

二、三なんですけれども、1つは、この検査官の常駐的な派遣、今これを検討されているということですが、現実、この3月期等々を控えて、早急にやるという形で動いていると思ったんですが、その検討状況等々についてひとつ教えてください。

それと、あと、この「金融再生プログラム」ができて以降、いろいろ金融機関等々の中でも動きが出てきていて、最近は妙手とか奇策とかいろいろ言われていますけれども、すさまじい増資等があるわけです。それ自体、いろいろ評価はあると思うんですけれども、例えば、みずほの場合ですと、繰延税金資産をこの際やめてしまうとか、いろいろありますけれども、そのあたり、大臣、そういう点についてどういうふうにそれ以降の評価を見ているのか、ちょっと一言話してもらえれば。

○ 貝塚会長

では最初に、検査官の常駐について何か。

○ 佐藤検査局長

検査局長でございます。

ここにございますように、一番大きな紙のところにちょっと書いてございますように、「銀行法、商法等の関係にも留意しつつ、具体的な実施方法について整理し、必要な対応等」というような書き方になってございまして、これは、そもそも、例の特別支援を実施した金融機関に対して、言ってみれば、ガバナンスを補うといった趣旨かなというふうに存じますけれども、日本の法制度のもとで、この検査官の派遣というのは、銀行法の書き方からも推測されますように、銀行の健全かつ適切な業務の遂行というようなことで、それをチェックするために、必要があるときに派遣することができると、こういう書き方になっておりまして、銀行の側に検査官の受け入れにつき受忍義務があるということで、強い権限になっておりますものですから、逆に、ある程度目的等について限定的に書いてあるということがございます。それから、商法の方では、要するに、株式会社のガバナンスのあり方について取締役会等の規定があって、そういったこととの整合性をにらみながら、特別支援を受けざるを得ないような銀行について、どういうふうにしてガバナンスを強化していくのかといった問題設定なのかなというふうに思っております。これは、確か、この工程表の方に記載があったかと思いますけれども、「具体的な実施方法について年度内に整理し、必要な対応策をとる」ということで、年度内に整理ができればということで今現在作業をしておるということでございます。

○ 貝塚会長

それから、もう一つのご質問はかなり微妙な質問だと思いますが、では、担当大臣から直接、最近の金融機関のいろいろな動きといいますか、その辺はどういうふうに評価されておるかということを。

○ 竹中金融担当大臣

今日は予算委員会がないので、質問に答えなくていい日かと思っていたのですが、私の大学時代の同級生である今松委員から質問をいただいてしまいました。

再生プログラムの根底にあるのは、16年度にはこの問題を何とか終結させるようにということで、その問題の解決を図る。しかし、不良債権処理の主役は金融機関でありますから、そういう我々の政策の枠組みづくりを受けて、いろいろ活発な動きが出てきているというのは大変やはり注目すべき重要な方向であるというふうに思っております。これは、まだいろいろなプランが発表されている段階で、それぞれ非常に詳細な計画というのはこれから詰まっていくことでありますから、我々としては、とにかく金融機関にぜひ頑張っていただきたいという立場で様子を拝見しているというのが正直なところでございます。

また、その場合に、ぜひともこういう方向で実現してほしいという意味で、記者会見で私は申し上げたんですけれども、3つのSの視点でやっていただきたい。1つはストラテジック(strategic)な動きか。つまり、合併にしても何にしても戦略的なものなんだろうか。もう一つはサウンド(sound)、健全なものなのか。要するに、将来の利益を非常に無秩序に、タコ足的に食べているようなものではないか。そういうものではないような形であってほしい。3つ目はシンシアー(sincere)なものか。誠実なものか。例えば、銀行の優越的地位に基づいて増資を求めるとか、もちろんそんなことはないと私は確信をしておりますけれども、そういうことがあってはいけないわけで、ストラテジックか、サウンドか、シンシアーかと、そういう点を常にチェックしながら、銀行には頑張って改善をしていっていただきたいと、そのような立場で、今、我々も注目して見ているところであります。

○ 貝塚会長

ほかにどうぞ、ご質問、あるいはご意見あるでしょうか。翁委員、あるいは川本委員、島崎委員、辻山委員、淵田委員、和仁委員というのは、新任委員ですが、もし何かあれば。

島崎委員、どうぞ。

○ 島崎委員

ちょっとプリミティブな質問かもしれませんけれども、先ほど中小企業の金融のところで、(株)みずほホールディングス、大幅に未達という話がありました。どのぐらいの目標で、どのぐらい未達なのか。それで、ちょっと数字の規模感が分からないのであれなんですけれども、教えていただきたい。それで、業務改善命令を発出したとありますけれども、どのぐらいの期間で、どういう形でそういうものを改善させることを発出したのかというあたりをひとつ教えていただきたい。

もう一つは、この「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」を設けて、ホットラインから出た情報でいろいろ改善しているということですけれども、企業でも、スピークアップ制度とか、そういうことでいろいろな意見を取り入れて改善していくということですけれども、具体的に、それでは、11月29日から3カ月間でどのぐらいの件数の情報があったのか、その辺が分かればちょっと教えてください。

○ 貝塚会長

ただ今のことについて。

○ 岡本金融危機対応室長

まず、最初の(株)みずほホールディングスに対します業務改善命令でございますが、(株)みずほホールディングス、14年度の中小企業貸出、前年度よりも100億円増加をさせる。実は、100億円というのは全体の規模からいくと非常に小さい数字でございますが、なかなか需要が低迷している中で、前年度よりも少しでも増加させるという計画でございましたが、14年9月期におきまして、前年度末比約5兆円のマイナスといった形になっております。各行とも需要が非常に低迷している中、あるいは大企業グループのリストラ等々があるといったような事情の中で減少しておるんですが、その中でも非常に大きな未達であったということでございます。これにつきましては、業務改善命令を発出いたしまして、まず、計画を今後出していただいて、足元、15年3月期に向けての取組み、またその新しい15年4月以降の新年度に向けての取組み、こういったものを出していただいて、今後それがきちんと履行されていくか、フォローアップをしていくといったような形になろうかと思います。

また、ホットラインでございますが、10月に開設いたしまして、今、これまでのところ、財務局も含めまして、全体で415件の情報が寄せられております。

○ 貝塚会長

ほかにご質問、あるいはご意見。どうぞ、ご自由に。

辻山委員。

○ 辻山委員

繰延税金資産の問題ですが、ここに厳正な評価ということが書かれていますが、会計の問題として考えますと、これは、厳正な評価が必要であるということと同時に、繰延税金資産のそもそもの額が制度的に大きくならざるを得ないという二面があると思うのですが。つまり、無税償却の範囲が制度的に狭い。そのために、もし無税償却が許容されていたならば、この繰延税金資産というのは、端的に言うと、現金で残っている部分というふうに本来は解釈できるんですけれども、この辺の無税償却についての検討といいますか、今後のプランはどのようになっていますでしょうか。

○ 貝塚会長

この点、いかがですか。

では、増井審議官、お願いします。

○ 増井審議官

「金融再生プログラム」の中にも実は入っておるのでございますが、私ども、無税償却の範囲の拡大というのは昨年の税制改正要望で出させていただきまして、そのほかにも、繰戻還付についてもお願いしておるのでございますけれども、そういう意味で要望を出させていただいたのでございますが、結果として、与党の方の税調などで引き続き検討という形になっております。したがいまして、そういう意味で、私ども、まだそれ自体は実現しておりませんけれども、要望として、引き続き要望してまいりたいというふうに思っております。

○ 貝塚会長

再生プログラムの中に入っておるわけですね。

○ 増井審議官

入っています。

○ 貝塚会長

ほかに。

川本委員、どうぞ。

○ 川本委員

ガバナンスの強化の項目についてお尋ね申し上げます。年度内に対応というところに、ガバナンスの強化の項目として、普通株への転換の諸条件についてという株主権の行使についての考え方。下に、業務改善命令の考え方という監督権のあり方についての考え方を書いていらっしゃると思いますけれども、ということは、年度内に、この株主権と監督権のあり方について、何らかの結論を出されるという理解でよろしゅうございますでしょうか。

○ 貝塚会長

今の点はいかがですか。

○ 岡本金融危機対応室長

現在資本注入を行っております、この優先株につきまして、あるいはその転換権行使につきましては、実は既に、当時の金融再生委員会で一つの考え方が示されております。また、健全化計画を各行に提出していただいて、それをフォローアップしていくわけでございますけれども、それが達成されていないといったことに対しましては、監督権の行使といったことで、これまでも実は一定の考え方が示されて、公表されております。

ただ、そういった中で、例えば、普通株への転換権の行使につきましては、現在のガイドラインをもう少し明確化できないか。また、監督権の行使のあり方につきましても、既に考え方が示されておるんですが、必ずしもそれで十分なのかといったような観点から、そこをあわせて検討いたしまして、いずれにしましても、この優先株、資本注入を行っております金融機関に対しましては、一つは監督権に基づきます監督権の行使、また、そういった、いわゆる株主としての立場としての権利の行使といったもののあり方を一体としてこの機会にもう一度見直して、整理をして、年度内に公表したいというふうに考えております。

○ 貝塚会長

あとあまり時間がございませんが、この点はぜひともということがありましたらどうぞ。あるいは新しい委員の方、ご質問は。

高橋委員。

○ 高橋委員

再生プログラム以外でも、その他のことでも構いませんか。

○ 貝塚会長

構いません。

○ 高橋委員

最近、新聞、テレビ、週刊誌等で頻繁に報道されています生命保険の既契約の予定利率引き下げの検討状況についてお伺いしたいと思います。

1点目は、引き下げ手続中の解約停止についてでございます。私は、金融審議会第二部会及び作業部会のメンバーとして当時検討に加わったのですけれども、司法手続によらない条件変更時に解約を停止するということはできないというのが当時の結論だったと思うんですが、今回、金融庁案では、これができるとしておられますので、このできるとしている根拠をお示しいただきたいということです。仮にできたとしてなんですけれども、金融庁が生命保険会社に対して解約停止を命じた場合に、それが契約者の段階まで法的拘束力が及ぶのかどうか、この点もお伺いしたいというふうに思います。

それから、2点目は、なぜ今そのような検討を行っているのかということに関してお尋ねをしたいと思います。金融審は2001年の春、夏にこの問題を検討しまして、9月にパブリックコメントを募集したわけなんですが、賛成7%ということで、9割以上の反対で見送った経緯がございます。ナローパスでやるとしても、その重要なポイントというのが3つありまして、1点目は、先程申し上げました解約停止を発動しないということでした。2点目は、個々の契約者に変更後の条件、保険金の削減状況とかを個別に知らせて、それから契約者集会を開くという点でございました。3点目は、仮に予定利率引き下げとなったときも、その後、その保険集団維持のために早期解約控除のようなものはかけないと、これがあったわけなんですが、現在報道されております金融庁の原案では、この3点、いずれも全く違う方向に動いております。予定利率引き下げの手続をワークするためということなんですけれども、現在、この時期になぜ急いでこれをやらなければいけないのか。ほかにもいろいろな問題がある中で、少なくとも2001年から検討していないでいて、急に始まって、金融審議会にもかけずに、全く内容の異なる予定利率引き下げというのを行おうという案が出ているようなのですけれども、事実関係は分かりませんが、ご説明いただきたいと思います。

以上です。

○ 貝塚会長

藤原局長。

○ 藤原総務企画局長

金融庁案という今のお話でございましたが、そういうものはまだできておらないわけでございます。なぜ今、こういう予定利率の問題が検討されておるかということについてでございますが、ご案内のように、今年の3月末をもちまして、現在、生保に対してとられておりますセーフティネットというのがもう期限切れになるわけでございまして、それについてどういうふうにするのかということを、昨年末以来、いろいろ検討してきたわけでございますが、その検討の過程におきまして、単にセーフティネットの検討だけでは済まないのではないか。そこは予定利率の話もあわせて検討すべきではないかというようなご議論がございまして、現在、そういうことも踏まえまして与党の中でご検討を始めたばかりでございます。したがいまして、巷間言われておりますような金融庁案というのは存在しないわけでございまして、私どもが与党の指示に基づきまして論点を整理して、こういうことが問題になるという基本的なペーパーを出したわけでございまして、今後、与党の中でもっと突っ込んだといいますか、掘り下げた議論がなされるところでございます。

○ 貝塚会長

この問題は、今、局長が、まさに今、ある意味で進行中というのかな。私は、記者会見用のメモがございまして、生命保険の問題を含め、金融審議会の今後の審議予定は未定であるというのが一応、ですから、要するに、まだ案として何ら成熟した段階ではなくて、ただいま、多分、与党の金融委員会ですか、そこで議論がなされている最中ということで、金融庁の側は、もちろんそこでオブザーバー、ないしは多少の意見を述べておられるということはそうなんですが、という段階であるということで。

○ 原委員

いいですか。

○ 貝塚会長

どうぞ。

○ 原委員

1点、高橋さんのご意見に私も補足で感想的なところなんですけれども、生保の予定利率の話は、金融審議会にかけられて、一応議論をしたという経緯があります。

それから、前回の金融審の最後のときも、セーフティネットの議論を、これも検討しなければと言いつつ、なかなか検討が進まずに、3年間の暫定で、ちょっと先に延びてしまう。それから、ペイオフ後の決済性の預金についても本当は議論しなければいけなかったのが、どんどん先延ばしになっていて、もうぎりぎりでの結論の出し方というところがあって、せっかく金融審議会がありながら、それで、また今回、新しくいろいろな方も入ってきていただいて、これだけのメンバーがそろっていらっしゃって、ぜひこの場を私は活用していただきたい。金融審議会に私は所属しておりまして、ここの本体よりも新聞報道で知ることというのが結構あって、今回の生保の予定利率引き下げの話も、新聞報道で、与党がどう動いているというようなあたりから聞こえてくるというようなところがありまして、ぜひ本質的な、基本的な議論というのは、消費者側、利用者側もぜひ議論には参画をしたいというふうに考えておりますので、こういった場を活用していただきたいということをつけ加えさせていただきます。

○ 貝塚会長

担当大臣、何かありますか。

○ 竹中金融担当大臣

いろいろと私たちの方から、本当にこういうことを議論していただきたいということをたくさんお願いしたいと思っておりますので、あまり忙しくするなと後からおっしゃらないように、むしろぜひ一つお願い申し上げたいと思います。新聞等々の情報の話ですけれども、これは、今日、記者の方々もいらっしゃいますけれども、記者の方々は記者の方々なりに一生懸命取材して、時々、私も聞いたことがないような話が新聞にはたくさん出ます。これは、新聞の場合は、やはりできるだけいろいろ先走って書きたいという気持ちもあるでしょうから、その点はぜひ、やはり問い合わせていただきたいと思いますし、今の政府の情報というのは、かなり詳細にいろいろなホームページに出ております。その意味では、直接アクセスしていただきたい。このこともちょっと、むしろあわせてお願いを申し上げます。

○ 貝塚会長

ちょっともう予定の時間になりましたので、今日は、新しく委員が選任されて、かなりメンバーが変わられたということで、その意味で最初の総会と分科会を開かせていただいたということでございまして、あるいはほかにまだご意見はいろいろあるかと思いますが、今日は、とりあえず、以上のところで総会及び分科会を終わりたいと思います。

本日はどうもありがとうございました。

以上

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