金融審議会「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」(第13回)議事録

1.日時:

平成25年1月15日(火)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○藤本信用制度参事官

ワーキング・グループの開催に先立ちまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。資料として2つ配付しております。右肩に資料1と書かれておりますのが、報告書の素案でございます。その下に資料2がございまして、金融機関の秩序ある処理の枠組みを図にしたものでございます。ご確認をお願いいたします。

○岩原座長

よろしいでしょうか。それでは、ただいまより「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキング・グループ」第13回会合を開催いたします。皆様、お忙しい中、また足元の悪い中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

本日の議事に移らせていただきます。本日、第13回は、報告書の素案について議論をいたしたいと存じます。まず、報告書の素案の概略について、事務局から説明をお願いいたします。

○藤本信用制度参事官

右肩に資料1とある報告書素案の表紙をおめくりいただきます。

1ページ目でございます。「はじめに」として、今回の検討の背景等について触れております。

最初が、「外国銀行支店に対する規制」でございます。

1ページをおめくりいただきまして、2ページでございます。「参入形態・業務範囲」について書いております。(2)の三、四行上に、外国銀行支店の健全性を確保するため、支店形態でのリテール預金の受入れや本店への回金を含む資金の運用等について、信用秩序の維持の観点から、免許付与の審査基準」等を明確化することについて記述しております。

(2)の「自己資本比率規制・早期是正措置」については、支店形態のものについては、必ずしも、現時点では慎重に検討する必要があるのではないかとしております。

(3)でございますが、「資産の国内保有命令・国内保有義務」がございまして、平時の国内保有義務につきましては、外国銀行支店のビジネスモデルが多様であること等に鑑みまして、引き続き将来的に検討することが適当であるとしています。一方の資産の国内保有命令、緊急時、危機時における保有命令につきましては、3ページの右上でございますが、現在、命令違反に対する罰則が十分かという点がございまして、これを引き上げることが適当であるとしております。

(4)「利益準備金規制」でございますが、現在は利益が上がればその10分の1、10%を20億円に達するまで準備金として積み立て、国内に保有する義務がかかっておりますが、これを利益が上がろうが上がるまいが、20億円に相当する資産の国内保有義務をつけてはどうかとしております。

「流動性規制」でございますが、金融機関グループ全体としての流動性規制という観点も重要でございますが、最近、主要国におきまして、支店レベルでのホストカントリーにおける流動性規制のあり方について見直すという提言も行われている例がございます。そういうものも踏まえて引き続き検討ということです。

「預金保険制度」につきましては、ビジネスモデルや内部管理態勢が相当程度多様であることから、将来的な課題として引き続き検討していきます。

4ページでございますが、「更生特例法の適用」としては、当局による更生手続等の開始の申立て権、保全処分の申立て権を付与してはどうかということでございます。

(8)でございますが、預金者等に対しては、外国銀行支店の預金が預金保険の対象外であることの説明を、義務づけてはどうかとしております。

次に、「大口信用供与等規制」でございます。国際的な基準に比べまして、「信用供与の範囲」が、5ページでございますが、幾つか対応する必要があるということでございまして、コミットメントラインの融資未実行残高分やインターバンク取引、金融機関預け金などを対象とすべきではないか。ただ、5ページの下でございますが、幾つかございます。かえってリスクを高めるもの等については、適用除外にする必要があるのではないかとしております。6ページにわたって記述しています。また、デリバティブ取引、公募社債、トレーディング勘定、その他のものにつきまして、信用供与の対象にすることが書かれております。

7ページでございます。「与信側及び受信側合算の対象範囲」でございますが、受信側について連結財務諸表の作成が義務づけられているものについては、その範囲まで拡大することが適当である、あるいは、名義分割や迂回融資等による規制の潜脱を防止するための規律を設けてはどうかとしております。

(3)、グループ内の与信でございますが、諸外国においては、グループ内は適用除外にするという制度であったわけですが、最近の議論としましては、グループ内の与信についても一定の規律を設けるべきではないかという、国際的な論調になってきているわけでございます。我が国は、一定のグループ内与信についても規制の対象となっています。引き続きそれを維持して、諸外国の国際的な議論を踏まえていく必要があるとしています。

7ページから8ページにつきましては、信用供与額はどのような数値にするかを書いておりまして、(5)でございますが、受信側グループの場合、我が国の場合は自己資本の40%という、国際的な標準の25%に対しますと相当緩いものとなっておりまして、これを25%に引き下げることが適当ではないか。

あるいは(6)でございますが、「やむを得ない理由」で超過するときには、個別具体的な事案に即して適用除外にすることができるような制度とすべきではないかとしています。

(7)でございますが、外国銀行支店形態で進出しているものに対する大口信用供与規制については、現行の制度を前提とすると、実態に即した対応とは言いがたいのではないかとしています。

9ページでございます。「金融機関の秩序ある処理の枠組み」として、最初に、リーマンショック後を踏まえた国際的な議論の定義について書いております。

10ページに参りまして、(2)の2段落上でございますが、今回の措置の対象は、金融業を全体とすることが適当であるとした上で、具体的には、ここに書いてある諸点を踏まえて、金融監督の及ぶ範囲を参考にしつつ、その範囲を決めるべきであるとしています。

「認定の手続」は、金融危機対応会議の議を経て、内閣総理大臣が認定するということでございます。

「措置の内容」でございますが、また後で図などを用いて説明しようと考えております。

11ページの真ん中に、今回のいろいろな措置を発動する上で必要となる法的な枠組みについて触れております。例えば真ん中ですが、「債務超過でない場合における株主総会等の特別決議等に代わる許可による事業譲渡等」や、(4)に書いております「早期解約条項の発動の停止」という手段が必要になるのではないかということです。

12ページでございます。「破綻処理のための費用」として、流動性のための費用、資金調達は、預金保険機構が政府保証を付した上で、資金調達できるようにする。仮に、もしも損失が生じた場合には、業界の事後負担を原則とすることが適当であって、例外的な場合には政府補助も可能とすることが書いてあります。最後の段落に、費用負担についてはできるだけ客観的な数値をベースに計算するとしつつ、いろいろな、そこに書いておりますような点を加味した上で検討することが適当であるとしております。

(6)でございますが、国境をまたがった処理については、海外当局等とよく連携をとっていく必要があるとしております。

次に、4でございますが、「我が国金融業の更なる機能強化のための方策」で、「銀行等による議決権保有規制」でございます。13ページの真ん中、②の上のあたりでございますが、「現行規制の枠組みを基本的に実施しつつ、地域経済において資本性資金の供給が真に必要とされる場合において、銀行等の健全性確保に留意しつつ」、柔軟に行えるようにするという考え方に基づきまして、②でございますが、現行規制5%を維持することが適当である。

14ページに、例外について、より柔軟に行うことを可能にすることになっておりまして、最初は、組合形式で、議決権は形式的には持っているけれども行使しない場合に、現在は10年という期限がついていますが、それを撤廃してはどうか。それから「事業再生(の途上にある)会社の議決権の取得・保有」については、保有を認めてはどうか。ただ、14ページの「ベンチャービジネス」の2行上でございますが、「銀行等以外の第三者が関与する案件で、銀行等の出資を織り込んだ事業再生計画が策定されているもの」は、銀行本体が持つときにはこういった制限をかけてはどうか。ベンチャービジネス会社につきましては、引き続き銀行等の投資専門子会社を通じてということでございますが、その定義を、例えばサービス業等にも当てはまるように拡大する、あるいは例外とする期間を延長するとしています。

15ページは、引き続き、「地域経済の面的再生事業会社の議決権の取得・保有」を認めてはどうかということで、3段落目、「このため」として、地域経済の面的再生事業会社、そういう面的に再生するための事業を行う会社であって、事業の集約や再構築を行うものにつきましては、銀行本体で所有の場合は15%未満、投資専門子会社を通じての場合は40%未満を認めることが適当であるとしております。そのほか、「事業承継に伴って所有・保有する議決権」については、投資専門子会社を通じて5年間認めてはどうかということでございます。さらにデット・エクイティ・スワップについては、現行の制度のたてつけが、すぐに売却しなさい、1年を超えてはいけませんということが基本でございますが、これを16ページで、10年に延長してはどうか。「信託勘定で取得・保有する議決権」については、適用除外にしてはどうかとしています。

次の、「外国銀行の業務の代理・媒介」でございますが。国内の企業が海外に進出をして、現地の金融機関と取引をしたい。ただ、それはいろいろ現地の言葉の問題、あるいは金融規制の問題、法規制の問題などもありまして、独力で外国の銀行とおつき合いをするのが困難なことについて、国内の銀行が現地において、現地の金融機関との間を媒介・代理をすることを認めるということです。

17ページの右下でございますが、海外の金融グループを日本の金融グループが買収する場合に、子会社範囲規制、業務範囲規制があって、買収の手続に参加できない、あるいは手間がかかる場合がありますので、これを一定期間、適用除外にすることになっております。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、まず外国銀行支店に対する規制について、ご意見を承りたいと思います。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

1点だけ、少し気になる点がございまして、書き方ですが、(3)の「資産の国内保有命令・国内保有義務」で、現時点において、資産の国内保有を法令上一律に義務づけることは適切でないことを、ある意味断定的に書いたすぐ後に、(4)の「利益準備金規制」で、「国内保有を義務付けることが適当であると」来てしまうのが、もちろん趣旨が違うので、私はこれが両立しないとは全く思っていないのですが、ただ読んだ人には非常にここはわかりにくいと感じまして、具体的な修文提案までは練れていないのですが、例えば、(3)の「現時点において」云々のところに、「資産の国内保有を次に述べる最低資本金規制にかわるような規制を超えてまで」などと書いた上で説明したほうが、よりわかりやすいのではないかと思います。

○岩原座長

はい。よろしいですか。

○藤本信用制度参事官

(3)と(4)に若干そういう印象があることを踏まえまして、少し修文を考えてみたいと思います。

○岩原座長

それでは、お願いします。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

前回、欠席しておりますので、重複になったら恐縮です。

外銀支店規制については「引き続き検討することが適当」という結論になっている箇所が幾つかあるのですけれど、その場合に何を考慮して今後検討するのかを、もう少しはっきり書いていただきたい。また、なかには「引き続き検討する」理由が私には理解できなかった箇所があるので、以下、確認をお願いできればと思います。

一つ目として、今ありました(3)の「資産の国内保有命令・国内保有義務」ですが、国際的な環境に照らすと適切でないという、「国際的な環境」は一体何を指しているのかを、もう少し具体的に書いていただきたい。また、もう一つの理由として、外銀のビジネスモデルが多様であることを挙げられているのですけれども、ビジネスモデルは多分いつまでたっても多様なので、それをもって検討を続ける理由には、なかなかならないのかなと思います。多様であることを理由に、例えば経過期間を設ける、という結論であれば理解できるのですけれども、ビジネスモデルが多様であることを理由にしてしまうと、では一体何を検討するのかということになるのではないでしょうか。

あと、5番目の「流動性規制」についても「引き続き検討することが適当である」と述べられているのですが、他方で、自己資本比率規制については「慎重に検討」するというネガティブなトーンですよね。流動性規制も自己資本比率規制も、バーゼル上は金融機関グループ全体をベースにした規制であるにもかかわらず、流動性規制についてだけ、なぜ外国銀行支店に対する規制を「引き続き検討することが適当である」になっているのかが、よく理解できなかったので、お教えください。

それから、6番目の「預金保険制度」ですけれども、資産の国内保有義務の議論とリンクさせて「引き続き検討していくことが適当である」と結ばれているのですが、若干違和感があります。ここは審議の過程でもご議論があったと理解しているのですが、預金保険は小口預金者の保護が目的ですし、資産の国内保有義務は、破綻した金融機関の残余財産のうち国内債権者の取り分をどれだけ確保できるのかという分配にかかわる問題だと理解していますので、その両者のリンクがどうなっているのかは、ここだけ読んでも理解しにくいように思いました。

また、預金保険については、審議の過程の中で、大口預金が多い外銀の場合、実効的な預金保険料率と実際に保護される預金とのバランスがとれない、という議論があったかと思いますので、そのこともあわせて検討課題として書くべきではないかと理解しています。

最後に、これは書きぶりにかかわることですので、最終的には事務局にお任せしたいと思いますが、外銀支店に対する規制については、全体的に見ると、預金者は自己責任で対応することが原則になっており、そこはほかの国内金融機関の預金とは違う世界ですので、そのことは、たとえば前文などできちんと示したほうが、一般の人にはわかりやすいのではないかという気がいたします。

以上です。

○岩原座長

はい。では、藤本さん、お願いします。

○藤本信用制度参事官

最初に2ページ、3ページの「資産の国内保有義務」について、国際的な環境に照らすということは、国際的に活動している金融機関について、資産をある国が処理の過程で囲い込みをして、各国がそうすることによって、かえって危機が深まったのではないかということもあり、そういったことを制度として一律に整備することは、必ずしも適当ではないのではないかということでございます。

それから、ビジネスモデルは今後ずっと多様だから、どうしようもないのではないかということでございます。今回、ビジネスモデルと同様に、内部管理態勢をいろいろヒアリングしたところ、それもやはりビジネスモデルと同じように多様でございました。そこで、2ページの真ん中で、支店形態でのリテール預金の受け入れや本店への回金を含む資金の運用等について、審査基準を明確にして、日常の監督における着眼点を明確化していき、そうした中でいろいろ銀行と当局で対話をしていく中で、何らかの方策が見出されるかもしれないというものでございます。

3ページの「流動性規制」でございますが、おっしゃるように、例えばバーゼルⅢの考え方からしますと、金融グループ全体として、一定のストレスのもとであっても安定的な流動性が確保できるという考え方があるわけでございます。ただ、最近一部の主要国の当局において、金融グループ全体とはいってもホストの国において何らかの流動性があったほうが、金融危機といいますか、危機的な状況を防止する、あるいは対応することができるのではないかといった論調があるものですから、そういうものを踏まえて「引き続き検討」ということです。

自己資本比率と流動性規制は、同じようなものだといえば同じようなものなのですが、流動性の場合は、帳簿上の話だけではなくて、現に流動性を持たなければいけないという性格がある規制でありますので、少しそういうことも踏まえて「引き続き検討」としているわけであります。

預金保険の話で、国内資産保有義務とセットなのか、セットではないのかということで、実は前回もいろいろ議論があったわけでございます。理論的に言うと、セットだという考え方もあり得ます。預金保険制度を安定的に運営していくに当たっては、国内にある一定の資産を保有させた上で、それを引き当てにすることも考えられます。逆に、預金保険制度に入っていなければいないほど、一般の倒産処理手続で預金者は取り戻さなければいけないこともありますので、かえって国内資産保有義務の意義が増すのではないかという議論もあると思います。いずれにしろ、国内資産保有義務については一律に課すのはどうかということでありまして、預金保険制度を外銀支店に課すことを引き続き検討というのは、それだけの理由ではありませんが、いろいろ意見がある中で、国内資産保有義務があるから安心だという側面はないことにはならざるを得ないということを、述べています。

預金保険制度のあり方といいますか、外国銀行支店はビジネスモデルが多様だということと少し関係あるわけですけれども、どのようなものを対象として、どのように保険料を課して、どのようにそれが適用されるかは、一つの論点であるとは思っています。ただ、今回これを見送ったのは、外国銀行支店との関係で、どうしても制度が預金保険上の仕組み方などの点で暗礁に乗り上げたわけでは必ずしもありませんが、引き続き検討するに当たっては、そういう制度のあり方、どういうものを対象にすべきかを、当然のことながら考えていく必要があると思います。

でき上がったものについて自己責任が重視されるものになっていることは、おっしゃるとおりであります。それがもう少し明確になるようなものを書くことができるどうか検討する必要があると思ったところです。

以上です。

○岩原座長

小野委員、よろしいですか。

○小野委員

今ご説明を聞いて大変よく理解できたのですけれども、それをここの文章から読み取るのはなかなか難しいような気がしますので、そこだけご検討をいただければ。

○岩原座長

それでは、藤本さん、修文をよろしくお願いします。

ほかに。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

先ほど、大崎委員からも出ましたけれども、「利益準備金規制」のところで、国内保有を義務づけることになっているのですが、20億円を積み立てれば預金者保護に十分、とはとても思えないです。そもそも利益準備金規制は預金者保護の観点から20億円でよいとは到底思えないことがあって、さらにその前の部分で、国内保有義務化に関して実効性についてもさまざま問題があると書いています。そうすると、果たしてこれを義務づける意味が本当にあるのかと、疑問を持ちます。それについての理由づけを書いていただきたいのが、1つ目です。

もう一つ、「預金者等に対する情報提供義務」で、外国銀行支店の預金が我が国の預金保険制度の対象外であることを書くことは、ぜひ必要であると思うのですが、説明義務とすべきかどうかはともかくとして、預金者に対して、実際にもし当該金融機関が破綻したときに、どのようなスキームで預金者の債権、権利が確保されるのか。例えば外国の銀行の預金保険制度について、当該銀行のカバーされている預金保険と注にありますが、それについて最小限の説明をしていただくようにしたほうがいいのではないかと思います。義務とすべきなのかはともかくとして、預金者へ情報提供の一部にそういうものも入れるべきではないかと感じました。

以上です。

○岩原座長

はい。藤本さん。

○藤本信用制度参事官

3ページの「利益準備金規制」ですが、例えば日本に銀行を設立して銀行業を始めます。免許の審査をするのですが、20億円が最低資本金となっています。では、我が国の銀行で20億円がどのような意味がどこまであるのか、それで十分かという点はあるのですが、そういうものは必要だという制度になっています。外国銀行支店の場合は、そこが非常に緩和されているという認識を持っておりまして、もうかったらその10分の1を積んでいきます。それで20億円に達するまで積む。その20億円が最低資本金のレベルと同じものだろうと思っています。現実の状況を見てみますと、これはもしかしたらもうかっていないのか、どうなのかわからないのですが、必ずしも20億円に達しているところが多数というわけではないようでございまして、せめて国内銀行を設立するときの最低資本金レベルのものは積んでもらうといったものでございます。どれだけ実効性があるかとか、一体どういう形態で積ませていくか、現在も利益準備金は国内に保有させているわけでございますが、それを前提として保有規制を設けてはどうかということです。それを越えて、平時から資産の国内保有義務を課すことは、今回そこまではいきませんでした。

4ページの「預金者等に対する情報提供義務」で、脚注に4がございますが、こういうものも含めて説明させることが適当ではないかという趣旨でございます。

○岩原座長

家森委員、よろしいですか。

ほかにいかがですか。和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

遅刻してまいりまして、すみません。

一番問題になっていたのは、日本にある外国銀行の支店が、インターネットなり何なりで預金を集めて、それを全部本国に回金してしまって、本国で運用するというビジネスモデルは、いかがなものかということでした。あるいは逆に、そのような海外本店への回金を認めることにより、海外でもし本店で破綻が起こったときに、日本の支店で問題が起こるのではないかというお話を、最初のころはしていたと思うのですけれども、今の法制度、要するに外国銀行支店の受け入れた預金を本店に回金することについての規制は、入らないという考え方でよろしいのでしょうか。

もう一つは、それについては預金者の保護の(8)番の情報提供義務のところだけで、全部とは言いませんが、ほとんどカバーされている、あとは自己責任ですよということでよろしいのでしょうか。

その関係で、(8)で列挙されています事項に関して申し上げますと、ある銀行で問題になったのは、その銀行が運用している外貨での運用を、日本円に換金して即お客さんに払い戻せるのかが、問題になったように記憶しているのですけれども、そういう意味でのウオーニング、要するに、通知払いの預金のようにお金が返ってくるものではない、決済のシステムその他の関係でも、円に換金されて戻ってくることについては時間がかかることも、あわせて説明しておいたほうがよろしいのではないか。そういうことはあまりあってほしくはないのですけれども、前回ご当局からそのような指摘を受けた経験もございますので、その点もお考えいただければと思います。

1点が質問で、1点は、追加でこういう文章を入れたらどうだというコメントを入れさせていただきました。

○岩原座長

それでは、藤本さん。

○藤本信用制度参事官

全く変わらないのかということについては、2ページの(2)の上に、諸外国ではリテール預金は現法に限るなどの規制をとっているところがあるのですが、我が国の場合は、WTOで国際約束をしており、我が国は開けた市場ということでありまして、そういう制度にすることは困難であろうということです。そうした中で、WTOで認められている信用秩序維持の観点から、何らかの免許の審査や日常の監督ができるのではないかということを書いております。

具体的にどうするかにつきましては、監督局から。

○岩原座長

どうぞ。

○有泉監督局銀行第一課長

具体的なところでございますけれども、今の段階で明確にこうするとはっきり決まっているわけではないのですが、いずれにしましても、もともとこれは回金も含めまして、外国銀行の支店の資産運用と申しますか、そのリスクはどうなっているのかについては、一つのやり方としては、先ほど小野委員のお話もありましたが、国内資産の保有義務というやり方もあり得るのですが、他方で、国内の支店、外国銀行の支店のビジネスモデルが多様であること、あるいは内部管理態勢も相当程度差はありますので、監督サイドでむしろ例えば預金といってもホールセール的な預金もありますし、リテール的な預金もございます。あるいは本支店勘定の中でそれが出ていっているのか、入ってきているのかということもあるかと思いますし、例えば委員から今お話があったように、どういった通貨で預金をそもそも受け入れているのかという面もあろうかと思いますので、今申し上げたようなことを勘案しながら、きめ細かく見ながら、監督サイドで例えばそういったいろいろな要素を見ながら、そういった回金などについて、個々のそれぞれの外国銀行の支店の実情を踏まえながら対応をとっていく。その中で、先ほど小野委員のお話の中でもありましたけれども、例えば外国銀行の支店との対話を行っていく中で、ある程度こういった方向でという姿が、もしかしたら将来的にはもう少し具体的に出てくることもあろうかと思いますけれども、いずれにしても和仁委員のご指摘との関係で言えば、監督当局としてもそこは引き続き問題意識を持っておりますし、報告書案の中でも、例えば免許付与の審査基準として法令上どう対応していくか、あるいは既存の外国銀行の支店の日常の監督における留意点として、どのように考えていくのかを、具体的に今後明確化していくということかと思っております。

○岩原座長

和仁委員、いいですか。

○和仁委員

それは個別の銀行ごとにそういうルールが出てくるという考え方ですか。それともガイドライン、監督指針にそういう考え方を反映されるということですか。

○有泉監督局銀行第一課長

将来的には監督指針で、そういった留意点も含めて我々の考え方を明らかにしながら、あとは、その中で個別の銀行支店とやりとりをしながら考えていく問題だと思っております。

○和仁委員

わかりました。

○岩原座長

よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。

森下委員、どうぞ。

○森下委員

(7)の「更生特例法の適用」に関する点ですけれども、外国銀行支店が破綻した際に、国内にある外国銀行の本店名義の資産などを手続の対象とできるかどうかは、実際には国内債権者がどこまでの財産を当てにできるかということの関係で大事な点だと思うのですが、お書きいただいているところですと、当該外国銀行支店に係る、外国銀行に対する更生手続、再生手続、破産手続開始の申立権や保全処分とお書きになられていますので、手続の対象としては外国銀行全体を対象とした手続を開始する余地を、少なくとも日本の法制上は認めておく、必ずしも支店単位ではなくて。その上で、外国の管財人その他と協力等をしながら、適宜調整を図っていくことが、ここでベースとしてお考えになられていることかと理解しましたけれども、私はそれがいいと思うのですが、そういった理解でよろしいでしょうか。

○岩原座長

はい。藤本さん。

○藤本信用制度参事官

そこは少し難しい話ではあるのですけれども、基本的に対象はエンティティーとしての外国銀行でございます。一方、例えば我が国で更生手続や再生手続などを外国の倒産手続と並行して走るときに、一体我が国においてどの範囲のものができるのかは、論点があるところではありますが、そういった我が国の倒産手続と外国の手続との関係という大きな枠組みの中で、可能な限りのことをやっていくということだと思います。

○森下委員

ありがとうございました。

○岩原座長

はい。ほかに。よろしいですか。

吉野会長。

○吉野金融審議会会長

今の(7)の、実際に破綻したときに、現行ですと預金保険機構がそこに随分関与していると思うのですけれども、そのために、預金保険機構は通常から名寄せとかさまざまな預金の動きを見ていると思うのですが、外国銀行が破綻したときに、そのようにスムーズなある程度システムの状況とか、それから資産も、外国の資産と国内の資産でどういう配分で国内の預金者に戻されるかも、おそらく国によって違うと思いますので、破綻したときに具体的にどのように進めていくかは、もう一つ論点としては必要ではないかと思いました。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

(7)の前提として、(6)の「預金保険制度」に外国銀行支店を入れるという前提であれば、預金保険機構が常日ごろから外国銀行支店と接触をして、破綻の際には預金者表を提出してもらって、預金者のためにいろいろな手続を進めていくことが整合的だったかと思うのですが、そこは引き続き検討ということでして、今、吉野会長がおっしゃったことも踏まえて、今後検討していくということだろうと思います。

資産でございますが、日本である倒産手続が発して、基本的には日本にある財産が一応とまるといいますか、保全されて、もちろんその後、日本の管財人のような人と外国の管財人のような人が協力をし合っていろいろ調整をしていくということです。外国の資産からまた日本の預金者が資産をもらおうといったときには、全世界で債権者がより衡平的に扱われるよう手続が進められていくということではないかと理解しております。

○岩原座長

山本委員、どうぞ。

○山本委員

今、吉野会長のご発言は私もそのとおりだと思いまして、この「引き続き検討する」が、まさに引き続きに検討されて、すぐに結論が出るのであればそれでいいので、その間に破綻が起こらなければそれでいいと思うのですけれども、現実にもし破綻が起こった場合に、今、藤本さんが言われた預金保険機構の役割は、結局、管財人がやることになると思いますので、少なくとも名寄せとか、管財人がすぐに対応できるようなシステムが整っていないと、リテールをやっているようなところがいきなり倒れて、そこに入っていって、何十万人とか何百万人の口座についてそれを調べて、場合によっては外国倒産手続で預金者にかわって債権届け出をすることも、管財人が行うことになると思いますので、その対応は現実にはなかなか難しいところになると思いますので、そのあたりは運用の問題だと思いますが、そういう円滑な対応ができるような配慮はぜひお願いしたいと思っております。

○岩原座長

はい。よろしいでしょうか、藤本さん。

ほかに何か、外銀支店関係でございますか。

特になければ、次に「大口信用供与等規制」につきまして、ご意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

報告書の文の流れを教えていただきたいのですが、7ページの(4)の「信用供与等の算出方法」で、具体的には8ページになりますが、まず第1段落で説明があった後、第2段落で「基本的には保守的に考えることが適当である」と出てくるわけですが、これは上の「第三者による保証等は一切考慮していない」云々を、結局、保守的に考えることが適当なので、現状維持しますということなのかが、1つ目です。

2つ目は、その次の文章が変だと思うのです。「オフバランス取引に係る算出方法について」とあって、それが「信用供与等の算定方法の定めはないが」に続くと思うのですけれども、これはかかり方が、日本語として多少直したほうがいいかなということです。

もう一つ、内容に関することですが、(5)の注の11に、自己資本の内容が国際的には見直されるという記述があるのですが、報告書では自己資本の何%にするかが大問題になってきたのですが、その自己資本を何にするかに全く触れず、注だけで触れたままにしておくのは、やや変です。自己資本を今後、例えばコアTier1にするのだというような議論が、もし変えるなら要るのではないかと思うのです。現状のTier1、Tier2を足したもので、これからもこの規制はいくということなのかについて、ご説明いただければと思います。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

まず、8ページの「基本的には保守的に考えることが適当である」は、当面、現行の制度を維持するという意味であります。

その下の日本語問題ですが、オフバランス取引は全く今規制対象となっていないので、法令上何で算出するかという定めが、六法を読んでも書いていませんといったようなことを言っております。ではどう書くかというと、自己資本比率規制の信用リスク相当額の算出方法を書きますということを、表現したかったのですが、必要に応じて表現ぶりは直そうと思っています。

8ページの注の11でございますが、IMFからは、Tier1またはコアTier1とすべきという意見は出ているわけでございます。今後、国際的な標準も別途バーゼル委員会のグループで検討されていますが、そういうものがまだ実はまとまっておらず、ここでもどういう検討状況かを申し上げる段階にないものですから、そちらはそちらで多分コンサルテーションなど一定の手続に付されると思いますので、まだどうなるかわからない状態です。この報告書上は、現行の自己資本を前提としてご議論いただいています。

○岩原座長

よろしいですか。

ほかに。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

細かいことですけれども、幾つか、例示でも構わないのでもう少し具体的に書いてほしい点があります。一つは、インターバンク取引のところで、適用除外とする事項の中に、「資金決済等に係る短期エクスポージャー」という言葉があるのですけれども、この短期は、どれぐらいの幅を考えていらっしゃるのか。例えば日中なのか、たしか審議の過程では、欧米は日中を指しているという資料があったように記憶しているのですが。意見申し上げた意図としては、インターバンク取引も原則規制対象とすると言いながら、こういう表現があると、一体どこに境目があるのかが、わかりづらいということであります。

2点目として、7ページ、「与信側及び受信側合算の対象範囲」の最後の段落で、「名義分割や迂回融資等による規制の潜脱を防止するための規律を設けることが適当である」とありますが、この「規律」とは一体何を指しているのかが、わかりづらいです。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

5ページの下から3行目の「例えば」として、短期エクスポージャーですが、より実態をよく確認して、必要な限りにおいて規制が入るようにするということだろうと思います。日中なのか、オーバーナイトなのか、もっとなのかにつきましては、まだ国際的なバーゼル委員会における議論も定まったものがなく、今、要は戦っているところですので、どのようなものにすべきかを、ここに明示すべきかどうかも含めて、少し検討させていただきたいと思います。

7ページの(3)の上の段落の「また、加えて」ですが、迂回融資とか脱法的なもの、あるいは潜脱的なものは許されませんという趣旨の規律を、法令上設けることが可能かどうかを、今探っているところでございます。一応この規制は、与信側はこの人です、受信側はこの人です、信用供与はこの人ですと、細かく書いているわけですが、細かく書けば書くほどそれを逃れる、何かをして逃れることは可能となるおそれが拭い去れないところもございます。それに対応して、更に細かく書くことには限界があるものですから、より一般的にそれを潜脱するものについては規制違反ですということを明確化するような規定を、法令上置ければなと考えています。

○岩原座長

よろしいですか。

ほかに何かございますか。

ないですか。

ほかになければ、次に進ませていただきたいと思います。

「金融機関の秩序ある処理の枠組み」につきまして、議論をしたいと思います。まず事務局からご説明をお願いいたします。

○藤本信用制度参事官

報告書素案では9ページから10ページ、11ページで、10ページに、「措置の内容」があります。それを図の形にしたのが資料2でございます。事務局資料の表紙をおめくりいだきたいと思います。資料は2枚組になっていまして場合分けをしております。

右下に1ページと書いていて、上に(1)とあるものですが、「債務超過でないことを前提」とした措置です。左端に、預金保険機構がいます。それが監視をすることとします。何を監視するかは、四角に入っておりまして、金融機関を監視します。金融機関は理念的にといいますか現実にといいますか、システム上重要な取引をやっていることとしています。下に書いてありますが、一般の業務をやっています。それぞれの取引の裏には、カウンター・パーティがいます。下の場合にも預金者・保険契約者があります。ここが風評なのか、格付の問題なのか、あるいは国際的な金融環境なのか、何か問題が生じて資金調達に困難を来したということでございます。そこで真ん中で、流動性供給がなされることになっておりまして、これをなす主体は預金保険機構でございます。預金保険機構が流動性供給をして、システム上重要な取引について、約定どおり履行させて、取引の縮小・解消を図って、右のシステム上重要な取引が、時系列にしているのですが、システム上重要な取引が左に比べると少し小さくなっています。下の一般の業務については、約定どおり履行します。こうした金融機関はどうなっていくかということですが、右端でございますが、自力で再建することも考えられますし、第三者の支援、スポンサーなどの支援を得ることもありますし、事業を再構築することも考えられると思います。事業の再構築としますと、事業の譲渡とか資産の売却、次に「優先株式等の引受け等」と書いていますが、預金保険機構が優先株等の引き受け等を行って、資本を分厚くする手段も考えられます。

1ページおめくりいただきまして、2ページ目、(2)でございます。「債務超過等の場合」で、等とは何かといいますと、債務超過のおそれがある場合や、支払い停止、あるいは支払い停止のおそれがある場合でございます。同じように、左端に預金保険機構がおりまして、この場合は経営権・財産管理処分権を預金保険機構に専属させます。流動性供給も行い、危機に瀕した金融機関に対してそういうことを行いまして、システム上重要な取引は、右に行きまして、事業譲渡等をブリッジ金融機関、受け皿金融機関に対して行って、右上ですが、必要な資金援助を預金保険機構が行う。そのほか事業譲渡等が行われた後のものは、太線の矢印が下に行きまして、一般の業務が残るということです。預金・保険契約につきましては、預金保険制度、保険契約者保護機構等の既存のセーフティーネットでカバーされます。既存の制度はいろいろ多様な方式があるわけですが、少し図を簡単にするためにこのように書いています。最後に残った一般の債権は、倒産処理手続等によって清算等が行われて、場合によっては資産、事業の処分が行われたり、清算が行われたりするといったものでございます。これが報告書素案でいいますと、10ページ、11ページに書いているようなものでございます。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明や報告書の案文につきまして、ご意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。

山本委員、どうぞ。

○山本委員

3点コメントですが、11ページのところですけれども、11ページの真ん中の少し上のところの黒ポツが幾つかあるところですが、黒ポツの上から3つ目ですけれども、これは前から申し上げていることですが、倒産手続の申立て、強制執行等への対応の「対応」の意味ですけれども、私自身はこれが倒産手続を停止する、あるいは強制執行等を停止するという意味であるとすれば、それは現在の枠組みではなかなか難しいだろうと思っていまして、将来的にはこういう行政的なものを完結した一種の倒産処理、破綻処理の手続として構築するということは、論理的には不可能ではないと思いますけれども、今の報告書の考えでは、そういうことにはなっていないので、それを前提にして倒産手続等をとめるということは、なかなか難しいのではないかと思っています。

ただ、この「対応」というのはかなりばくっとした言葉で書かれていますので、もちろん裁判所にそういう手続の申立てがあったときに、監督官庁から、こういうような秩序ある処理の手続が行われていますというような情報提供であるとか、あるいは、こういうことが行われているので、直ちに倒産手続等を開始すべきではないというような意見を述べるという形での対応措置というのはあり得て、それは特段の問題はないのだろうと思っています。

そもそも私の理解では、こういう倒産手続の申立てとか強制執行等への対応というものが、欧米等でもし不可欠であると考えられているとすれば、アメリカ等ではこういう申立てに対して一定の法的効果が、裁判所の判断を介在させずに一定の効果を発生させる、オートマチックステイとかいわれるような、そういう効果があるので、申立て自体を効力をとめないといけないという部分がかなり強くあるのに対して、日本はそういう法的効果が発生するのは、いずれにしても裁判を介在させますので、裁判を介在させずに効果を発生するということはないと理解していますので、そういう意味では、そこの裁判所の判断に一定の時間がかかる。こういう措置が何十時間という単位で行われるということを前提としたときに、現実にはそういう強い措置がなくても、先ほどのような一定の裁判所と行政との間の連絡とか、あるいは意見の表明というところで、現実には対応はできるのではなかろうかという印象を持っていますので、私としては「対応」というのは、そういうふうに理解しているのですが、その限りにおいては、この「対応」という文言、あるいは表現自体には反対はしないのですけれども、ちょっとそのあたりはクラリファイいただきたいというのが第1点です。

それから第2点は、その黒ポツの下から2つ目のところで、これは完全に文言の問題なのですが、ここでは「外国銀行支店に係る倒産手続」になっていますけれども、これは先ほど森下委員からのご指摘があったとおりで、前の部分では「外国銀行支店に係る外国銀行についての倒産手続」ということですので、これは前のところと整合性を保ったほうがいいのではないかと。

最後は、11ページの一番下の段落のデリバティブの関係のところで、一括清算法についてはいいと思うのですが、破産・民事再生・会社更生についての法的効果を生じないという部分の文言なのですけれども、全面的に反対するということではないのですが、前に私はこういうような効果についても、更生特例法で対応する余地があるのではないかという発言をしたのですが、そのときの前提は、こういうものについての、先ほどご紹介があった2つ目の図のところでの、システム上重要な取引の切り分けというのが、法的倒産手続と並行して行われるという場合があることを前提として、破産法等の効果をとめる必要がある、それは更生特例法で対応することが考えられるのではないかということだったのですが、現在の提示されている枠組みというのは、基本的には倒産処理が行われる前に、この切り分けが行われて、システム上重要な取引というのは、別の法人格に移されてから倒産手続が行われるという仕組みですので、それを前提とすれば、こういう破産法等で対応する必要性というのは、私にはないように思われて、かえってこれを書くと誤解を与えるのではないかという気もするので。

そういう意味では、あっても空振りということなのかもしれませんけれども、あえて書く必要があるのかなという印象を持っているということです。

以上です。

○岩原座長

藤本さん、どうぞ。

○藤本信用制度参事官

ご指摘の点は、非常に理解できますし、この話というのは非常に重要な話だと思っております。

最後に伺った破産法、民事再生法、会社更生法の効果を生じないようにするかどうかというのは、そういうことが結局、ポンチ絵のほうですと2ページ目ですが、事業譲渡等が整然と行われて、私がこの資料に書いたとおりになって、何の混乱も起こらず、まず事業譲渡がきちんと行われて、それから法的処理だという、私の考えているお膳立てどおりに物事が進むということがあるのであれば、おっしゃるとおりだと思います。

一方、危機的な状況の中で、時間も限られている中で、何が起こるかわからない、ただ金融危機の波及はとめなければいけない。そうしたところで、このポンチ絵によると事業譲渡等がちゃんと行われているはずだったんだけどなといったことを、どのくらい考えるかということだろうと思います。

債権者からの倒産手続の申立て、強制執行等の対応につきましても、これは多分ここら辺にいらっしゃる方は、何か、それは多分大丈夫でしょうと、そんな倒産処理手続が勝手に走ることは常識的に考えられないですよねと、みんな、そうかなと思うのですが、ほんとうに危機的な状況において、そういうことが心配しなくていいのか。まさしく危機的なときのためのもので、もしかすると思っていたように段取りが、何時何分に何をしてというのが進まないかもしれないような状況で、どこまでの手当てをするかということとも関連するということでありますので、先生とも引き続き相談していきますし、関係省庁とも、残された時間はありますけれども、よく調整していきたいと思っております。

○岩原座長

いかがでしょうか。

では、小林さん、どうぞ。

○小林法務省民事局参事官

先ほど山本委員から、措置の内容のうち「倒産手続の申立て、強制執行等への対応」ということの意味内容、外国銀行支店という用語の意味内容、それからデリバティブ取引と倒産手続との関係の三点について、ご発言がありましたが、私どもも同じように考えております。

藤本参事官のお話は、非常にせっぱ詰まった状況の中で、思っていたような段取りにいかないこともあり得るのではないかというご指摘だったと思いますが、今回用意されている2枚のペーパーのうち1枚目のペーパーによれば、債務超過等に至る前に前倒しでできる手を打っていこうという仕組みですので、その仕組みも含めて総合的に、せっぱ詰まったことにならないように、全体としての仕組みが運用されていくのではないかと考えているところです。

○岩原座長

では、三井さん、どうぞ。

○三井総務企画局参事官

もちろん、せっぱ詰まった事態にならないようにするというのが、この法改正の提案の目的でありまして、そうならないよう、最大限努力をするということかと思いますが、例えばということで、固有名詞は申し上げられませんけれども、夜中のある時点では、このままいけば平穏に事業譲渡ができて、破綻する等混乱する事態となるおそれはないだろうという目算があった状況が、その後状況が二転三転した後、明け方にはチャプター・イレブンの申請があったというようなことも過去もあったわけでございまして、日本の休みの日の間に二転三転するということは、今後においてもやっぱり想定しておく必要はあるかと思います。

確かに、実効的な破綻法制が、もちろん各国において協調して導入されていくということは、そういったことを防ぐために非常に重要なステップだと思っておりまして、おっしゃる意味では確かに確率的には減る方向に働くとは思われます。

しかしながら、やはりこういった法律が導入された以降、諸外国の状況を見ますと、やはり最大限の警戒をしなければならない状況というものは変わっていないところでありまして、そういったことへの備えは、やはり必要なのではないかということを一言申し上げたいと思います。

○岩原座長

この点に関して、ほかに何かご意見ありますか。よろしいですか。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

その点そのものに関するものではないかもしれませんけれども、事故が起こるのは外国銀行の支店であり、外国会社の日本における子会社なのです。それについての手はずが、今回の破綻処理手続でちゃんとできるのでしょうかというのが、私は非常に不安に思っております。

確かに更生特例法等で申立て権を金融庁が持つということは、それは全然異存はないのですけれども、そこでもう一つ考えなければいけないのは、こういう外国銀行支店とか、その海外における債権者というのは、日本のことを知らないで訴訟手続をとってくる可能性は非常に高い。それと、今、議論してきている破綻処理との関係をどうバランスをとるかということを考えると、1つには、やはり今、藤本さんたち、三井さんたちがおっしゃっているように、ここでちょっと倒産法、あるいは一括清算法について黙っていてもらうという、そういう強行的な規制が必要なのでしょう。

でも、その手続を発動するための手続が慎重に行えるようになっていれば、それはそれで許されるのかなとも思います。倒産法だけが全てを支配する世界ではないでしょうと思いますし、日本の裁判所は多分このような状況では、金融庁がまずやることをお手並みを拝見して、その後で入ってくるというほうが楽ですし、多分それに従ってくださると思いますが、やはりとどのつまりはどうするかという見地から、こういう規定は入れておく必要があるのではないかという感じはいたします。

○岩原座長

ほかに、よろしいですか。

それでは、小林さん。

○小林法務省民事局参事官

1点だけ、補足をさせてください。行政上の措置と、裁判所の倒産手続が連携すべき場面は、とりわけこういった金融機関の破綻処理の場面ではあり得ることだと思っておりまして、そのことを否定するわけではありません。

今回の取りまとめの資料で言えば、「対応」の意味内容に何を盛り込むかであり、その点は、山本委員からもご指摘あったとおりと考えております。

○岩原座長

よろしいですか。

井上委員、どうぞ。

○井上委員

今、図を使ってご説明をいただいたところからしますと、法的な破綻処理の手前で、システム上重要な取引が切り分けられて事業譲渡等されることが、システム上のリスクを避ける意味で非常に重要なポイントだと思うのですけれども、これは、報告書案では、10ページの末尾から11ページにかけての記述につながっているのだろうと思います。ここでは、切り分けられるシステム上重要な取引が「金融システムの安定を図るために不可欠な債務等」と表現されているのですけれど、どういう取引をどういう視点から切り分けるのでしょうか。システム上重要かどうかで決めるのだということなのかもしれないですが、もう少し具体的にここを記述していただいて、あるいは膨らませていただいたほうが、わかりやすいのかなと感じました。

図に基づくご説明からすると、非常に重要なポイントであるような印象を受けたわりには、報告書上はややさらりと書かれているような印象でしたので、その点について、もう少し工夫ができないのかなという趣旨です。具体的にどう書くとよいかについて、今ご提案できないのですけれども、そう感じました。

以上です。

○岩原座長

藤本さん、いかがですか。

○藤本信用制度参事官

この措置は、危機が市場を通じて伝播する、あるいは市場取引におけるカウンター・パーティに対する信頼が失われてしまって、市場の機能が停止するといったようなものにならないようにするものでございます。そういった金融市場といったものを基本にするということでありますが、個別具体的な措置において、危機に瀕した金融機関が有するシステム上重要な取引が、どういうものになるかといったことは、若干予見できないこともありまして、「金融システムの安定を図るために不可欠な債務等」というふうに書いているところでございます。

イメージとすると、市場取引ということでございますが、ちょっと限定するに、ここまでだということまで書き込むということが、果たして適切かどうかということで、こういう表現ぶりにしているところです。

○岩原座長

では、森下委員、それから小野委員、翁委員、お願いします。

○森下委員

ただいまの点ですけれども、実際のフローで考えた場合には、何がシステム上重要な取引かどうかということの個々の具体的な認定というのは、預金保険機構が実際に行う管理処分手続の中でイニシアチブを発揮して判断をしていくという理解なのでしょうか。

○藤本信用制度参事官

そこは金融危機対応会議の議を経て、内閣総理大臣が認定するに当たって、ある程度のものは決めることになると思います。

ただ、実務的にどの取引、この取引といったときには、預金保険機構が経験等を考慮して、実際にこれは移すとか、移さないとかといったことを決める局面が出てくると思いますが、行政的な枠組みとすると、そこで一定の判断をするということだろうと思います。

○森下委員

確認ですけれども、処理が必要かどうかを認定する前提としては、当然ある程度、こういったシステム上重要な取引がある、という大枠は、審議の対象にはなるけれども、必ずしもそこにフィックスされたもの以外は全く処理の対象となし得ないということではなくて、実際の処理の過程で、ある程度フレキシブルな判断の余地というものが預金保険機構に残されるというような形を想定されているという理解でよろしいでしょうか。

○藤本信用制度参事官

実務的には、そういうことになろうかと思います。

○岩原座長

それでは、小野委員どうぞ。

○小野委員

1点、書きぶりに関するお願いになるのですけれども、破綻処理のための費用として事後負担を原則とすることが適当であるという点については、審議の過程で事前徴収と事後負担のどちらがよいか何回か議論した結果、こういう結論になったと理解しています。私自身、事前徴収の要素がある程度入ったほうが望ましいという考えでしたけれども、その1つの論拠というのは、今の話で言いますと、システム上重要な取引を行っているカウンター・パーティというのは、取引が約定どおり履行されるので、制度にフリーライドしてしまうではないのかということだったかと思います。

ただ、にもかかわらず、事後負担を原則とすることが適当であるという結論に至った背景には、実務上、事前徴収が難しいという判断があったからだと思います。その点について、脚注でも構いませんので、ちゃんと書いていただければというのが書きぶりに関するお願いになります。例えば、今のお話では、事前に何がシステム上重要な取引に該当するかを特定することが難しいということでしたが、そうすると事前徴収の算定のベースとなる取引自体の把握が難しいので、事後のほうが望ましいというのは1つの理由になり得るのかなと思います。

いずれにせよ、審議の過程で、事前徴収というオプションも検討したのだけれども、こういう理由で引っ込めましたということも、示していただきたいということです。

○岩原座長

藤本さん、いかがですか。

○藤本信用制度参事官

何らかの記述を。多分その理由だけではないと思いますが、いろいろ考えてみたいと思います。

○岩原座長

それでは、翁さん。

○翁委員

ご質問させていただきたいのですが、今回債務超過でないタイミングでも危機対応ということで、こういった措置をとるということになりますと、従来の監督政策ということとの整合性というのを、これからどういうふうにとっていくのかということを教えていただきたいのですが。

今までの早期是正措置とか、そういったものについて、例えばアメリカなどでは早期是正措置自体を、シグナルとして遅いので見直す必要があるという議論もあるのですが、早期是正措置と今回のこういった措置との組み合わせでいくのか、それとも早期是正措置自体を直していくのか、それとも早期是正措置ではなく、早期警戒制度のようなもので、こういったものを見ていくのか。

例えば預金保険機構の機能などについては、事前に立入検査とか、そういったこともタイミングとしてあり得るということになりますと、そういった監督政策の危機、経営が悪化した場合の監督の考え方というのを、そこも変えていくという可能性があるのかどうなのか、そのあたりについてのお考えがありましたら、教えていただきたいと思います。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

債務超過でない場合の措置でないことを前提とした措置を考えるに当たっては、基本的に銀行の監督の枠組みというのは前提とした上で、それと、具体的にどこと結びつけてこれを発動するかということについては、明らかにしていません。

それは、何と言いますか、若干環境依存的なと言いますか、金融危機の状況に市場全体と言いますか、金融システム全体がなったときに、必ずしもそういう個別の監督上の枠組みのタイミングでいいのかどうかとか、そういうのも必ずヒットしなければいけない、トリガーが引かれなければいけないのかどうかといったこともありまして、一応これは独立のものとして構築しているものであります。

一方で、何か早ければ早いほど未然にいろいろな措置が打てるのではないかということも考えられますが、一応預金保険機構が何か監視を行って、その監視下で金融機関の経営に何らかの介入をするということでありますから、それはそれで、あまり早くするのもどうかという、ちょっとバランスをどうするのかというのは非常に重要な点であります。したがって、そこは、この措置独自のものとして、一体いつ介入するかというのを決めていくということなのではないかと思います。

そういう全体が整って、いろいろ細則とか何とかができた後で、じゃあ銀行の早期警戒とか、あるいは早期是正といったものについて、何らかの見直す必要があるのか、ないのかというのは、また次の段階でもちろん考えていって、いろいろ相乗的にいいものにしていくということではないかと思います。

○岩原座長

よろしいですか、翁さん。

○翁委員

その点はよくわかりました。やはりこういう問題は、事前にはなかなか難しいというところはよくわかるのですけれども、やはり事後的なアカウンタビリティーというか、そういったものがきちんと確保できることを、気をつけていくことが重要かと思いますので、その点もよろしくお願いいたします。

○岩原座長

ほかに何かご意見等ありますか。大崎委員。

○大崎委員

私、やっぱり今回の報告書の中でも、この3の秩序ある処理の枠組みという部分は、大きな目玉とでも言うべきものではないかと思っておりまして、書いていただいてありますとおり、国際的に合意された主要な特性とか、あるいは国際的な議論を踏まえつつ検討したことは、もちろん事実であるわけですけれども、海外、特にイギリスとかアメリカでの検討がシステム上重要とされるようなごく一部の金融機関に、ある意味偏り過ぎた、しかもそれについては非常に重装備な検討になっているのに対して、日本での検討はもっと、いわば幅広いものを見据えつつ、かつ例外的な場合には政府補助も可能とするとかいう文章も入れていて、もちろん国際的な流れを踏まえつつであるのだけれども、別にアメリカのまねをするとか、イギリスのまねをするとか、そういうものではないものに、今、書いてあると思うのです。

このことは非常に大きな意義があると思っておりまして、12ページの(6)のところで、国際的に情報共有等を図るということも書いてはあるのですけれども、ぜひ日本発のこういう制度のアイデアとして、今この紙を英語に訳しただけで、どこまで英米の人たちをインプレスできるかどうかというのはともかくとして、具体的な制度の骨子が固まってきたぐらいから、ぜひこれを海外に輸出するぐらいのことでやっていただければと思う次第です。

○岩原座長

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

今の大崎先生の意見に全く同意なんですけれども、やはり最後の大切なところは12ページの(6)のところに集中するのだろうと思います。今回のシステムが、監督官庁ができる限りいろいろなことができるような道をつけておくという、そういう意味での規制だと承っておりますが、それはそれとして、荒っぽいことはできる限り避けて、なおかつ秩序ある破産をやっていこうと思うのですが、思い返すべきなのは、日本輸出の倒産で海外に金融危機が起こったということはないということです。全部外から来ているのです。何回も申し上げますが、欧米のレギュレーターはシステミックリスクを輸出するということに、多分十分頭が回っていなかったのだろうと思うのですけれども、やはりシステミックリスクを輸出しないために、どういうシステムを、それこそ国と国との間でつくるのか考えるべきだと思います。

FSBが頑張っていられることはわかるのですが、ここで論じられているのは1国で何とかシステムを作ろうということを議論しているわけであって、世界レベルで何かやろうということではない。アメリカを最初のころに、世界同時革命論と言ってからかいましたけれども、アメリカの考え方も結局は各国そのもの独自の破綻制度を設けろと、アメリカにならえと言っているだけの話であって、別にそれで全部うまく統合されるとは考えていない。

だから、そこを統合するような破綻システムを考えていくために、ぜひ金融庁が今後頑張っていただきたいと思います。

具体的に何を言いたいかと言うと、例えば日本の制度であるならば、預金保険が海外の当局あるいは海外の管財人に対して情報を提供するということも考えていただきたいと思います。リーマンのときは、各国にある子会社の管財人が、それぞれの独自の利益を主張してしまって、収拾がつかなくなってしまい、監督官庁もどこまで情報を教えていいかよくわからないという状況が発生しましたので、むしろそういうよううな情報の共有システムの構築、あるいは管財人といいますか、破産手続を担当する公的な人たちが、ほかの国の破綻処理について、同じグループに属する会社のほかの国に所在している金融機関の破綻について情報が得られる、そういう情報を共有する、そのような開かれたシステムを、ぜひつくっていっていただくための礎として、まず今回の改正を位置づけていただければと思っております。

以上です。

○岩原座長

藤本さんから何かありますか。

○藤本信用制度参事官

そういうのも踏まえまして、例えば預金保険機構がいろいろな管財人ですとか、あるいは再生債務者等にもなれるとか、いろいろな場合に応じて、いろいろな活躍ができる余地があるような法制にしたいと思っております。

○岩原座長

ほかに何かございますでしょうか。

森下委員。

○森下委員

リーマンの破綻の際には、アメリカのレポートなどを見ますと、証券会社のさまざまなリテール、あるいはホールセールの口座を比較的スムーズに移転することができたというようなことが書いてありまして、他方で、イギリスの場合はかなりお客さんの資産の返還に手間取ってしまったということで、その後、法改正もしていると思うのですけれども、我が国では、預金の場合には金月処理を可能とするような枠組みもありますし、保険の場合には保険契約を移転するという枠組みもあると思うのですが、証券会社の破綻の際に、お客さんの資産の迅速な変換というための枠組みというのが、今の日本の法制度のもとで十分整備されているのでしょうか。

今回システム安定を図るために不可欠な取引については移転をすることが認められることになると思うのですけれども、大多数のお客さんの口座がなかなかうまく処理されない、認識が誤っていたら正していただきたいのですが、倒産手続の中で様々な手続を経てからでないと、顧客資産を返還していくことができないということですと、秩序ある処理はなかなかうまくないのかなと思います。場合によっては、そういった顧客口座などをスムーズに移転するための枠組みも検討されてもいいのではないかという気がいたします。

あと1点、和仁委員から、一旦金融機関が破綻してしまうと、情報がなかなか提供されなくなったというお話があったかと思いますが、これもリーマンで非常によく指摘されていることでして、それとの関係で、これは以前ここの場でも申し上げたかもしれませんが、イギリスなどの法制ですと、例えばデータですとか、顧客情報ですとか、コンピューター上のシステムですとか、そういったようなものを提供している業者は、早期解約条項の発動の停止と同じような考え方でして、破綻したことをきっかけにサービスの提供を停止してはいけないというような法律上の規定を入れることも検討されています。

また、協力して情報を提供し合うということは大事だと思うのですが、その協力の前提として、情報提供や継続的なサービス提供についての法的な義務があれば、管財人、外国管財人も法令上そういった義務があるので、情報は提供しますということを言いやすいのかなという気もしまして、そういった部分については、多少海外の法令なんかを参考にしつつ、ご検討をいただくこともあってもいいのかなと思います。

○岩原座長

何かありますか、藤本さん。

○藤本信用制度参事官

証券会社の場合の、顧客財産を返却するということについては、今回の文脈で捉えたらいいのかどうかということはありますが、処理ですとか再建といった関係から非常に大きなポイントだと私どもは考えておりまして、それを、いざというときにそれが迅速に行われるようにする手だてというものを、実務ということになるかもしれませんが、検討はしているところです。

今回の法制で、制度整備でどこまでそういう顧客財産といったことについて考えるかということはありますが、何かそういうものが今回の処理のネックにならないように、必要最低限の社振法に関する手当てですとか、そういったものについては考えていく必要があると思っています。

あとは、いろいろなデータサービスですとか、コンピューターサービスですとか、何かそういうものを提供している業者との契約関係ということでありまして、これは、いざといったときに、そういう契約が解消されないようにすることができるのかどうか。多分民事再生の中に入っても、多分それは個別具体的に、あるいは会社更生の中でも個別具体的に、例えば金融の例ではありませんが、飛行機が飛ぶためには機内食とか何かは出さなければいけないよねとか、そういう個別具体的な判断になるところもあります。一般抽象的にそういう義務を課すことが果たしてほんとうにいいのかどうかという点もあると思いますが、よく考えていきたいと思います。

○岩原座長

よろしいでしょうか。

それでは次の、最後のテーマに移りたいと思います。「我が国金融業の更なる機能強化のための方策」について、ご意見等がございましたらお願いしたいと思います。

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

1点だけですが、15ページの地域経済の面的再生、事業会社の議決権取得・保有のことについてですけれど、この5%ルールの例外をどういうふうにするかというのは、随分いろいろ議論がこのワーキングであったことは、皆さんご記憶のとおりでありまして、私なんかも中堅中小ということに加えて、上場ではないというような条件も要るのではないかみたいなことを申し上げたのですが、面的再生事業会社というのは、どうもお話を伺っていると、いろいろな例えば同じ事業をやっている複数の会社を統合して一本化するとか、そんなようなことも念頭に置かれているみたいなので、これについて、ここで対象を中堅中小企業に限定した上でというふうに、あまり決めつけてしまうのは、かえって機動性を欠くのかなという気もするのですが、これはいかがなのでございましょう。

次の中堅中小企業の事業承継というのとは、大分問題が違うのかなとも思ったのですが。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

ここは結局銀行本体で持つものと、投資専門子会社で持つものを区別しております。中堅中小企業の枠にはまらないもので議決権を保有するという場合には、投資専門子会社で行うことがリスク管理の観点等から適切なのではないのかということで、このようにしているところではあります。

本体で持つ場合も、中小企業に限定するというよりも、それを少し広げて、中堅といったものも含めるようにしているという面もありまして、そこら辺で、地域において資本性資金の供給が必要とされているという側面と、銀行の健全性というところのバランスをとっているということで、ちょっと投資専門子会社を通じる場合と銀行本体で差別化をしているということでございます。

○岩原座長

よろしいですか。

翁委員、どうぞ。

○翁委員

質問でございますが、14ページの下から5行目で、本体が持つ場合の要件として、銀行等以外の第三者が関与する案件で、銀行等の出資を織り込んだ事業再生計画が策定されているものとすると書いてありますけれども、この関与というのは、具体的に事業再生計画というその時点で関与するということなのか、それとももう少し広い意味でのサポートを含む関与なのでしょうか、とりあえず再生計画のところに関与していれば、それでオーケーとするという考え方なのか。ちょっとこれだと読み取りにくいので、お考えを教えていただければと思ったのですが。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

この第三者としてイメージしておりますのは、各県にある中小企業金融支援協議会ですとか、あるいは事業再生ADRでしたり、あるいは企業再生支援機構だったりするわけです。そうした案件というのは、そこでできる計画自体にいろいろなものが盛り込まれているということだと思います。

それを点だと考えるのか、どうなのかということだと思いますが、点の場合もあるとは思うのですが、普通はいろいろな関係者が関与して、その再生に向けた計画ができていくということですので、点ではあるのですけれど、実際上は線と言いますか、並走していろいろなことが行われるということなのではないかと思います。ですから、実際上はあまり区別がないということではないかと思います。

もちろん、時系列からすると、どこかで計画ができて、そこに出資が入っていると出資ができるということですので、そういう意味では点なのかもしれませんが、ただ、その計画自体は何か並走していろいろつながるものですから、という状況ではないかと思います。

○岩原座長

ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。

松井委員、どうぞ。

○松井委員

本来これは大口受信規制のところでお話を伺うべきだったのかと思うのですが、面的再生のお話の中で、統合一本化等も含め、持ち分を高めていくということを可能とするというお話に全体としてなっているわけですけれども、一方で、7ページの受信側合算対象の範囲について、潜脱防止規制を設けるとなっておりまして、与信者が受信側の親子会社関係等またはそれに類似する関係について、悪意である場合に受信が規制されるわけですけれども、これと、面的再生事業会社等における統合一本化などの際の受信規模について、先に大量に融資をして、その後その会社が統合されるという場合というのも出てきたりするわけなので、どんなふうに調整するのかについて、調整の整理の仕方みたいなことを少し教えていただけないかと思いました。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

基本的に5%ルール、議決権保有規制は非常に厳しい規制でありまして、投資先の一般事業会社の議決権の5%までとなっています。大口信用のほうは、銀行の自己資本の25%までということになっています。ほとんどの場合、重ならないとは思うのですが、おっしゃるように、重なる場合が出てくることは排除はされません。そのときは大口規制は守っていただくということになろうと思います。

ただ、面的再生かどうかはちょっと離れて、一般事業会社が合併が行われて、それで大口信用供与等規制の25%を超えてしまったといったときには、やむを得ないということで、一定期間そういう規律を排除するということも、大口のほうで可能としております。そういうことを通じて、2つのちょっと目的が違う規制のバランスをどこでとっていくかということだろうと思います。

○岩原座長

家森委員、どうぞ。

○家森委員

3点質問します。1つ目は、事業再生会社の議決権の取得・保有ですけれども、今回新たに銀行業本体についても認めることにするということで、だたし投資専門子会社との差を設けて、その差は、「例えば」と書いています。こういう何か特別な条件がある場合に限るという差異が、これからも残るということですか。

それから2つ目は、事業承継に伴って取得・保有する議決権ですが、今回これで緩和をするのは、投資専門子会社だけということになるみたいですけれども、銀行とか、信金とか、協同組織金融機関とかについて、本体でこういうことをする必要性というのはないのだろうかという点です。限定をするというふうにしても、本体はなぜ解禁できないのかというところです。

それから3つめに、16ページのところの最後、第1行目に注の21というのがついていて、DESについての議決権のところで、10年延長することが適当であるということの理由づけが説明されていますが、その注で計画が合理的である場合に、検査マニュアルにはそんなようなことが書いてあるということです。これもDESで認めるのは、こういう計画があって、さっきの事業再生のところと同じように、何かそういう条件をつけるということを意味している注なのかという、その点を教えていただけたらと思います。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

まず14ページの、事業再生の途上にある会社で銀行本体と投資専門子会社の違いというのは、おっしゃるように銀行等以外の第三者が関与する案件で、計画に盛り込まれているというところであります。

それから、事業承継ですとか、あと、ちょっと明確には書いてないですが、ベンチャーも投資専門子会社を通じてということに限定しております。協同組織金融機関からは、そういう子会社をつくるリソースというのがないのですという要望もいただいていることを、この場でもご披露したと考えております。しかし、やはり本体で持つときには、相当のリスク管理体制ですとか、リソースというものが、かえって重要だということにもなっておりまして、子会社をつくるリソースが十分でないような状況で、本体でそういう管理がどこまでできるのかどうかという見方もあるかなということで、今回は投資専門子会社を通じてということにさせていただいております。

それからデット・エクイティ・スワップの計画といいますのは、先ほど16ページの脚注の21といったようなものですが、これは金融機関と貸出先企業との間で、その経営改善計画をつくるという、一般の貸し手と借り手が計画をつくるといったような、今行われているデット・エクイティ・スワップをするに当たって行われているものが行われれば、それでいいとの趣旨です。14ページの銀行等以外の第三者が関与する必要は、必ずしもないといったような整理にしております。

以上です。

○岩原座長

家森さん。

○家森委員

すみません、事業承継に伴って取得する議決権のところで、もう1回。例えば、この事業再生の途上にあるところについては本体で認めるわけで、普通に考えると、事業再生しているというようなものは結構リスクが高くて、事業承継というのは、例えばタイミングであるとかというようなことから考えると、リスクでこちらのほうが明確に大きいとは、ちょっと考えにくいケースもあると思うのですけれども、それでも禁止するということについて、もう少し説明していただけますか。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

この事業承継については、非常に現場ではニーズが高いという意見がある一方で、こういうことを銀行の、特に本体が行うことが、どれだけ意義があるものなのかという、あるいは、そういうことが果たして一金融機関ができるのかというような意見も出されました。今まで全くこういうことをやっていないこともありまして、一応リスクを分断するとの位置づけの投資専門子会社から始めてみてはどうだろうかということで、これに限定しているという趣旨であります。いろいろな考え方はあると思いますが、そういうことで投資専門子会社を通じる場合に限っているところであります。

○岩原座長

ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。

小野委員、どうぞ。

○小野委員

すみません、今の議論に関してなのですけれども、おっしゃっていることは何となく理解できたような気もするのですけれど、この報告書全体として、銀行本体でも保有を認めるが、その許容範囲は投資専門子会社とは違うというものと、投資専門子会社を通じてしか保有を認めないものがあり、その両者を切り分ける理由、根拠が何なのかというのを、前文なり何なりに書いていただけると、何がこっち側で、何があっち側なのかという整理がつくと思うのですけれど。

○岩原座長

藤本さん。

○藤本信用制度参事官

前文になるか、どこかはわかりませんが、その考え方をどこまで説得的に書けるかというのはありますが、頑張ってみたいと思います。

○岩原座長

ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。

鳥海さん、どうぞ。

○鳥海国際銀行協会ディレクター

別の論点になりますけれども、16ページ、17ページにございます外国銀行の業務の代理と媒介について、コメントを申し述べたいと思います。報告書の書きぶりについては、特段私どもは意見ございませんけれども、それから前回のワーキング・グループの会議で申しました意見要望につきましても、ここの場で繰り返すことはいたしませんが、ぜひご検討いただきたいと存じております。

ただ、今後の運用について、ご参考までに申し上げさせていただきたいのでございますが、この外国銀行の代理業制度は導入されましてから4年が経過しておりまして、この間、私どもの会員銀行について申し上げますと、15銀行程度が海外の25先前後について認可を頂戴しております。4年間でこの数字でございまして、それぞれの認可に要する期間というのが、おそらく6カ月前後かかっているものと存じます。

そうしますと、今回国内の銀行さんを想定して、海外の資本関係のない銀行と提携を認めるのだということになりますと、おそらくこのままでいきますと、同じぐらいの審査期間が必要になるということになってしまうと思いますので、円滑な制度運用ということを考えますと、ぜひ認可のプロセスのさらなる円滑化、スムーズな運用というのを、ぜひ要望したいと考えておりますし、その意味では、現在この制度につきまして、監督指針とか検査マニュアルみたいなものにおいて、特段の言及がないと理解しておりますので、こういった申し上げましたような論点も含めて、その監督指針、検査マニュアルの中で、ぜひ運用のさらなる効率化というのをご検討いただければと思っております。

○岩原座長

よろしいでしょうか。

それでは、本日は大変活発なご議論いただきまして、まことにありがとうございました。時間も参りましたので、本日の審議は終了させていただきたいと存じます。

事務局におかれましては、本日いただきましたご意見を踏まえまして、報告書案の修正も含めてご検討をいただきたいと思います。

次回、第14回は、本日の議論を踏まえて、事務局において修正していただいた報告書案について確認の上、報告書を取りまとめたいと考えております。

それでは、事務局から連絡等がございましたら、お願いいたします。

○藤本信用制度参事官

次回の日程につきましては、皆様のご都合を踏まえながら、座長と相談の上、別途ご案内させていただきます。

以上です。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3566、2753、3962)

サイトマップ

ページの先頭に戻る