金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」(第3回)議事録

  • 1.日時:

    令和2年10月21日(水)17時00分~19時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室

金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」(第3回)
令和2年10月21日
  
【神作座長】

それでは、定刻となりましたので、ただいまより銀行制度等ワーキング・グループの第3回会合を開催いたします。

皆様、御多忙のところ集まりいただき、誠にありがとうございます。

本日の会合も、前回に引き続きオンライン開催とし、一般の傍聴は「なし」とした上で、メディア関係者の皆様には金融庁内の別室において傍聴いただくこととしております。

それでは、早速、議事に移ります。

本日は、まず事務局より、本ワーキング・グループにおける検討課題のうち、銀行が保有するノウハウや人材、技術などを活用した地方創生への貢献との関係で、銀行(本体)が営む付随業務や、子会社・兄弟会社が営む従属業務などについて、国際競争力の強化との関係で、外国子会社・外国兄弟会社の業務範囲規制について、また、一般事業会社が保有する銀行の在り方に関連して、銀行主要株主規制について説明を聴取いたします。

次に、ローソン銀行の山下代表取締役社長より、一般事業会社が保有する銀行を代表して、そのビジネスと、利用者利便の向上や、地域の社会経済への貢献の状況などについて御説明いただいた上で、全体についてメンバーの皆様に御討議いただくという流れで進めさせていただきます。

なお、討議に当たりましては、資料2にございます「本日討議いただきたい事項」を、適宜、御参照いただければと思います。

それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

【端本信用制度参事官】

それでは、資料1に沿って説明いたします。

まず、1ページ、目次ですけれども、神作座長から御紹介いただきましたとおり、今回の討議事項は、銀行(本体)付随業務・従属業務、2つ目として、海外子会社・外国兄弟会社、3点目といたしまして銀行主要株主規制ということでございます。

3ページ、4ページは、検討の視点といたしまして、第1回会合におけますメンバーの主な御指摘事項を整理させていただいております。

4ページを御覧いただきまして、銀行主要株主関連のところでございます。まず、1つ目の丸ですけれども、一般事業会社が銀行業に参入してから約20年の歴史の中で、どのような問題があったのか見てみるべき。それから、2つ目の丸でございます。プラットフォーマーによる優越的地位の濫用に留意する必要がある。それから、最後の行でございます。セーフティーネットや破綻処理の在り方などを含め、幅広く考えていく必要がある。このような御指摘をいただいております。

続きまして、5ページ、これも神作座長から御説明いただきました、今回の検討課題の文脈でございます。銀行(本体)の業務範囲規制につきましては、銀行が保有するノウハウや人材、技術などを活用した地方創生への貢献という文脈で御検討いただきたいと思います。それから、外国子会社・兄弟会社の業務範囲につきましては国際競争力の強化という観点、銀行主要株主規制につきましては先ほど申し上げた観点から御討議いただければということでございます。

続きまして、7ページを御覧いただきまして、銀行(本体)の業務範囲でございます。銀行(本体)は、固有業務、付随業務、法定他業等以外の業務を営むことが禁止されております。この付随業務、黄色くシャドーがつけてある部分ですけれども、まず、法律に規定のございます各号列記業務といたしまして、債務保証等の伝統的な業務から始まりまして、2019年に一番左側の保有情報の第三者提供業務が追加されております。監督指針において、その取扱いが明確化されておりますその他の付随業務ですが、約20年前、2000年代初頭から、コンサルティング、ビジネスマッチング、M&Aに関する業務等ができるということが明確化されておりますけれども、2018年に人材紹介業務が追加されております。

続きまして、右下の従属業務((4))会社というところでございます。ここは、いわゆるバックオフィス業務を子会社で営むことができるということでございますけれども、本体で営む業務をアウトソースしていることから、一番左側の(注2)のところにございます、銀行本体との一体性を収入依存度規制で確保するという仕組みになっております。

次の8ページでございます。こちらは、銀行等が行うコンサルティング業務やビジネスマッチング業務等の具体的な事例になります。取引先企業に対する経営相談、支援機能の強化の観点から、固有業務と切り離して行う場合も付随業務に当たるということが監督指針で明確化されております。

続きまして、9ページになります。付随業務の考え方ですけれども、一番上の(1)の2つ目のポツです。銀行等が本来業務を遂行する中で正当に生じた余剰能力、エクセスキャパシティーについては、その適切な範囲での活用を認める方向で検討すると、こういう考え方でこれまでの制度ができているということでございます。この考え方をベースにいたしまして、地方創生等への貢献という観点から御討議いただきたい事項は後ほど御説明いたします。

10ページ、次のページに参ります。こちらは、先ほど御説明いたしました、いわゆるバックオフィス業務である従属業務についての規制になります。先ほど申し上げたとおり、本体との一体性を確保する趣旨で、従属業務は、銀行(本体)から切り離して子会社等で営む場合は収入依存度規制が設けられております。

具体的には、青く囲ってあるところですけれども、左側、まず自行グループのみにバックオフィス機能を提供する場合は、自行グループからの収入が総収入の50%以上。続きまして、右側、②のところです。複数の銀行グループにバックオフィス機能を提供する場合は、複数のグループからの収入の合計が総収入の90%以上という要件がかかっております。また、収入をカウントするグループの範囲は子会社・兄弟会社までとなっています。

これらの要件につきまして、銀行グループ間でシステムやバックオフィス業務を共同化し、業務効率化を図るという近年の流れとの関係で見直しの必要がないのかという論点がございます。後ほど説明させていただきます。

次の11ページは、銀行持ち株会社の共通・重複業務になります。銀行持ち株会社の共通・重複業務は、一番下の経緯のところにございますとおり、2016年に解禁されておりまして、あらかじめ認可を受けることが要件となっております。共通・重複業務の具体的内容は青く囲っている上の部分ですけれども、グループの銀行等の資産運用業務、信用供与の審査業務から、福利厚生、事務用物品の購入・管理等と幅広くなっております。この業務の一部につきまして、認可プロセスを合理化できないかという論点がございます。

続きまして、13ページからは、海外子会社・兄弟会社の業務範囲の論点に移ってまいります。左側、銀行・銀行持ち株会社が外国金融機関を買収する場合でございますけれども、外国金融機関本体については特段の制約はございませんが、その外国金融機関が子会社等を保有する場合は、原則5年間の猶予期間中に、その子会社の業務範囲を我が国の銀行法の定める業務範囲に合わせていただく。そして、当局の承認を受ければ、その猶予期間を延長できるという仕組みになっております。

右側、買収不可と書いてあるというところは、金融関連業務会社を直接買収する場合でございまして、例えばリース、クレジットカード会社などがこれに当たります。リースやクレジット業務のみを行う場合は問題ないのですけれども、これらの会社が一般事業を併せて営む場合は買収は認められないということに現行制度はなっております。

次の14ページでございます。当該制度がつくられました2012年、13年辺りと比べますと、主要行の経常収益の外国比率は大きく増加しているということが左側で見てとれると思います。国際競争力の観点により配意した制度とする観点から、見直しの余地はないのかという論点がございます。

続きまして、16ページ、3つ目の討議事項の銀行主要株主規制になります。左側が事業親会社を頂点とするグループの場合、右側が銀行持ち株会社を頂点とするグループの場合でございます。事業会社を頂点とするグループにつきましては、事業親会社について主要株主としての規制がございますが、銀行の兄弟会社となる一般会社につきましては銀行法上の業務範囲規制や財務規制が適用されません。これが規制のイコールフッティングの議論の背景の一つとなってございます。

続きまして、17ページを御覧いただきまして、一般事業会社と銀行持ち株会社の違いをより詳細に見ていただきますと、議決権50%まで取得するという点では共通ですが、その後、50%を超える部分ですけれども、一般事業会社の場合は保有する銀行の業務改善計画の提出命令の対象となるわけですけれども、右側、銀行持ち株会社につきましては、これに加えまして業務範囲規制、財務規制等が適用されますが、併せまして一番下のところのポツでございます。金融システムに混乱が生じるおそれがある場合のセーフティーネットは手厚く整備されているという面も、一方でございます。

次の18ページになります。こちらは、一般事業会社による銀行業への参入事例でございます。主要株主規制が創設されてから約20年間の参入事例ということで、本日、プレゼンいただきます山下社長の経営されるローソンもこの中に入っております。

続きまして、19ページは、銀行主要株主規制の経緯といいますか、考え方になります。まず、1つ目のポツの最後の2行目辺りです。顧客(消費者)への優れた金融サービスの提供、決済コストの低下によるeコマースの促進、さらには金融業の活性化につながるものであり、基本的には歓迎すべきことであるという考え方が整理されています。

その上で、4つ目のポツの2行目の後半辺りから、「だが反面」以降でございます。主要株主の経営悪化が子銀行等の営業基盤を危うくする可能性もあり、リスク遮断に留意する必要があるという留意事項が示されております。

それを踏まえまして、20ページでございます。こちらは監督指針になります。今、申し上げたリスク遮断の観点は、2つ目のポツ、事業親会社等の事業リスクの遮断の観点というところで、(2)免許審査及び免許付与後の監督上の主な着眼点といたしまして、①のところです。「なお」以下、当該方策には、最低限、以下の項目が含まれている必要があるということでございまして、まず、イ.事業親会社等の業況が悪化した場合、当該事業親会社等に対し、支援、融資等を行わないこと。それから、ロ.の1行目の後半辺りです。事業親会社等に起因する種々のリスク(シナジー効果の消滅、レピュテーショナルリスク(風評リスク)等に伴う株価の下落・預金の流出、取引先の離反等)をあらかじめ想定して方策を講じること。それから、最後のニ.の2行目辺りになります。青字にしているところです。銀行主要株主認可に係る審査の過程において、子銀行の経営に影響を及ぼし得る事業親会社等の業況について確認するということが明確にされております。

最後に、23ページで、ここ20年間の環境変化の一例を御紹介させていただきたいと思います。左側、1995年当時と2019年の株式時価総額のトップ20を比べたものがございます。いわゆるビッグテックやデジタルプラットフォーム提供者の影響力が増しているということがお分かりいただけると思います。それから、右側でございますけれども、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律というものが成立いたしまして、現在、経産省において、その具体的な制度設計が行われているという状況を御報告させていただきたいと思います。

続きまして、資料2に沿いまして、本日、討議いただきたい事項を説明いたしたいと思います。

まず、1.(1)付随業務でございますけれども、ポイントだけかいつまんで申し上げますと、①のところでございます。今日の社会経済の状況を踏まえれば、優越的地位の濫用や利益相反取引の防止の観点に留意することは前提とした上で、銀行(本体)等がそのノウハウや人材、技術などのリソースを活用して地方創生等に資する業務を営むという観点。それから、2つ目のパラグラフ、「他方」の部分の2行目の後段辺りです。営む業務が預金者や金融システムの安定に及ぼし得るリスク、こうした観点も踏まえまして、次のパラグラフになります。例えばというポツのところですけれども、銀行(本体)が自行用に開発したソフトウエア、アプリケーション等を第三者に販売していく業務、あるいは営業職員が渉外業務の際に、併せて高齢者の見守りサービスなどを行うこと。このような、いわゆるエクセスキャパシティーを活用して行う業務をすることを要件の一つとするという考え方についてどうかというのが、まず1点目でございます。

それに関連いたしまして、②でございますけれども、銀行グループが地方創生等に資する業務を、グループ全体としてシームレスに営むような制度設計としてはどうかということでございます。すなわち、本体、子会社、兄弟会社が一体となってこういう業務を営めることにしてはどうかということで、例えば人材紹介、あるいは人材派遣の文脈で考えますと、2つポツがございますが、本体につきましては人材紹介を行う。その上で、子会社では人材派遣、地域の高度人材の人材派遣を営むというような形で制度設計してはどうか。こういう形で、シームレスに制度設計していってはどうかという方向性についてどう考えるかというのが2点目でございます。

それから、③、「このため」以降の最後の2行になります。その外縁を明確化し、機動的、柔軟に拡充できる枠組みとすることについてどう考えるか、これが3点目の論点でございます。

続きまして、従属業務と共通・重複業務でございます。

まず、従属業務につきましては、3ページの頭を見ていただきまして、従属業務の収入依存度要件につきましては、グループから受託する場合、90%以上という数値基準がございます。これが銀行・銀行グループの業務提携や、資本提携を通じたバックオフィス機能の合理化、効率化を阻害することがないよう、50%以上という基準まで緩和することについてどう考えるか。それから、その収入のカウントは、イの最後の2行でございます。グループとして捉えている収入依存度規制について、関連法人までカウントできるようにしてはどうかということでございます。

それから、②銀行持ち株会社の共通・重複業務でございますけれども、下のパラグラフのところでございます。少なくとも福利厚生に関する業務等々につきましては、規制の合理化を図るという方向についてどう考えるかということでございます。

続きまして、2.外国子会社・外国兄弟会社でございますけれども、3ページの一番下のパラグラフの辺りです。銀行・銀行グループが買収した外国金融機関が保有する子会社につきましては、猶予期間、現行5年となっておりますけれども、4ページの冒頭に参りまして、一層円滑な国際業務展開に資する観点から猶予期間を10年間に延長することについてどう考えるか。

それから、(2)で、リース業等、金融関連業務を買収する場合には、「こうした中」というパラグラフの最後の2行になります。同様に、買収後10年に限り、10年間の猶予を設ける仕組みにしてはどうかということでございます。

最後に、銀行主要株主規制の論点でございます。2つ目のパラグラフの3行目辺りから、一般事業会社が保有する銀行は、利用者に相応の便益をもたらしてきたと考えられる。また、実態として事業性融資は広く取り扱っていないなど、提供している銀行機能は限定的であり、一般事業会社が保有する銀行が、少なくとも現在までの間に、それら以外の伝統的な銀行にはない形で課題を顕在化させたとは言い難い。こうしたことを、踏まえまして最後の2行でございます。現時点において、銀行主要株主としての追加的な規制を課す必要は必ずしもないと考えられるが、どう考えるか、これが1点目でございます。

5ページ目、これは今後の留意点ということでございます。先ほど申し上げたデジタルプラットフォーム提供者の話、文脈で、(1)(2)、2点、提示させていただいております。(1)ですけれども、デジタルプラットフォームを含む影響力の大きい主体が銀行業も組み合わせて提供する場合、銀行主要株主規制に関して留意すべき点についてどう考えるか。(2)デジタルプラットフォーマーのマスアダプション、サービスが短期間に普及するという特性も踏まえて何か留意すべきことはないか。この2点だけ例示で提示させていただいておりますけども、これ以外にも検討すべき観点、視点がございましたら御指摘いただきたいと思います。

最後に、規制のイコールフッティングの観点からの課題への対応ということで、2つ目のパラグラフでございます。「これに関して」以下でございます。以下の点を踏まえれば、現時点において制度的な対応を行う必要は必ずしもないと考えられるが、今後は、2.のデジタルプラットフォーマー等々の観点に留意しまして、必要に応じて随時対応を検討していくという方向性、考え方についてどう考えるかという点がございます。

それから、6ページ目、再掲とさせていただいております。機能別・横断的な将来の金融規制体系を見据えた留意点が、もし、この3つ討議事項、あるいは論点に関してございましたら御指摘いただければということでございます。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、ローソン銀行の山下社長より御説明をお願いいたします。

山下社長、どうかよろしくお願いいたします。

【山下参考人】

ありがとうございます。

今、事務局の方から、非常に過分な御紹介を頂戴してしまいました。一般事業会社が保有する銀行の代表というよりは、先ほどの資料の18ページにありましたように、最も新しく銀行の免許を付与された銀行として、今日、お話をさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

現在、新型コロナウイルスの影響で、世の中のいろいろな構造の見直しが入っている。その中で、今後の成長であるとか、もしくは地域経済の復興ということについて金融機関として何ができるのか、それが今の規制で何が制約になっているのかということの見直しを、この場で議論されているものだと承知しております。

現在、デジタル技術の進展が、金融とその他の産業との間の壁をほとんど溶かしてしまっているというのが実態ではないかと思います。結果としては、金融をめぐる競争というのは、過去にはないほどの形で非常に激しさを増しております。一方で、お客様の視点からしてみますと、銀行の話と、銀行ではない、銀行の外の話との区別がほとんどつかなくなっているのではないかということが実感としてございます。銀行の中の人たちも、また、銀行の外の人たちも、お客様に対して提供する価値というものがポイントでありまして、お客様の利益を守ること、その提供の価値が同じだったらば、同じルールの下で競争することが適切ではないかと考えている次第でございます。

こうした中で、私ども新しい銀行としての視点、もしくはローソン銀行の目指すモデルというようなことをお話しさせていただきまして、何らかの御参考になればと考えております。

早速、本文のほうに入っていきたいと思います。

本文、2ページ目のところに、私が考えております一般事業法人が銀行を保有することの意義を簡単にまとめてございます。

上のほうに箱が2つございまして、一般事業会社が銀行業に入ろうという決断をするときに、普通の銀行が銀行ビジネスをするのとは若干違うのではないかという見方があります。左側のほうに書かれておりますところ、本業の広範な顧客基盤や接点の活用というのは、つまり、お客様のニーズがそれぞれの事業の本業の中で見えている、それが金融ニーズとして捉えられる、こういう大きな契機があると思います。それから、右のほうでございますけれども、近時のテクノロジーの変化、特にデジタル化の進展が、お金というものを一般の情報と区別しない形に変えてきています。その中で、大変大きな変革が起きやすくなっていると考えている次第でございます。

お客様の立場からすれば、生活のシーンの中で金融サービスの提供を受けることができれば大変大きなメリットにもなりますし、そのサービスを提供しているサイドからすれば、お客様の満足度を上げることでロイヤリティーを上げることもできるでしょうし、本業への副次的な効果ということも期待できるのではないと思っています。

また、デジタル技術の進展がお金を情報に変えたというのは大変大きなポイントではないかと考えていますが、自社グループの経済圏を構築するに当たりまして、商品やサービス、その商品の裏に必ずついてまわるのがお金の流れです。そのお金の流れを情報として管理していく、そして利用していただくお客様のニーズを把握して、パーソナライズした御提案を差し上げる、これが一つの経済圏を構築することにつながっているように考えています。従来は、グループの外側の金融機関、金融機能に依存してきた事業会社が、それを自分のグループの中に取り込んでいくということについては、ごく自然な流れかと思います。本業で持つ広範な顧客基盤とデジタル技術の進展がそうした動きを後押ししておりまして、各グループではプラットフォーム化や経済圏の構築を目指しているように思います。

3ページ目と4ページ目を御覧ください。少しビジーな表になっております。ここは、一般事業法人が有しております、いわゆる新たな形態の銀行を取り上げて、簡単にサマライズしたものでございます。情報については、各行の開示資料によります。

それぞれをキャラクタライズするのに、幾つかに分けています。1つはメーカー系、それから流通系、金融系、そして通信系と分類をしております。これは、別に決まったことがあるわけではないんですけれども、一応、そういう形でカテゴライズしてみました。これらの多くは、先ほど事務局から見せていただいた資料にもありますように、2000年以降に設立されて、インターネットを中心とした業務を展開していらっしゃいます。

個別の案内よりも、特色をお話ししたいと思います。5ページを御覧ください。5ページ目に、一般事業法人による銀行参入の類型という形で、非常に典型的な各行を取り上げて、そのキャラクターを紹介しております。

まず、事業法人系のソニー銀行さんですけれども、顧客基盤であるとか、商品のラインナップについては非常に独自色があって、逆にメーカーであるソニーさんとのコラボレーションというよりは、ソニーのブランドの共有、そしてグループ事業の多角化と整理をしたほうがいいかと考えました。商品としては、住宅ローンであるとか、外貨預金といったところに非常に特徴を持たれた銀行さんです。

その次の2つ、緑で書かれているのが流通系ですが、1つはイオン銀行です。イオン銀行さんは、流通の基盤の上に金融機能をのせていく体制になっています。銀行以外にも、クレジットカード、保険といったものをお持ちでいらっしゃいます。これは、消費の場からお客様の生活を多面的に支えるという形で、お客様の生活全体の面倒を見ていくという形での取組になります。

セブン銀行さんも、その点では類似の印象を持たれるかもしれませんが、ATMを中心としたサービスを展開されています。また、収入の基となるお客様というのは、実は個人のお客様ではなくて提携金融機関からの手数料収入が中心になっています。これが特色かと思います。

それから、通信のところについては、auじぶん銀行さんを挙げております。携帯キャリアのauさんのグループとして、携帯のお客様のリテンションをグループとしての大変大きな戦略目標として掲げられています。そういうお客様のリテンションを機としながら、現在では、お客様の基盤をだんだん広げられて、住宅ローンで特色のある商品を展開されていらっしゃいます。

このようなところが大きなポイントではないかと考えております。

6ページ以降で、私どもローソン銀行の事業のコンセプトを少しお話しさせていただきたいと思います。

7ページに内容がございますので、御覧いただけますでしょうか。7ページのところに記載してございますように、私どもローソン銀行は、ATMの事業を中心に、ローソンというコンビニの中のATM事業をやっていた会社の事業を引き継いで発足した銀行でございます。現在、左にありますように、1万3,000台以上のキャッシュポイントを持っていたり、その前には2億人以上のお客様が立っていただき、それから120以上の金融機関と直接提携を結ばせていただいています。これから信金さんが加わることで、来年には400を超える金融機関と直接提携の関係になります。こういうところに新たに銀行としてのライセンスを頂戴しまして、新たな事業領域への展開を考えてございます。

その次のページに移ります。8ページでございます。ローソン銀行のコンセプトは何なのかというところでございますが、左側にローソン銀行の保有資産と、それから当行の機能と分けてございます。ローソンがコンビニとして持っている資産としては、リアルのお店のネットワーク、国内1万4,500のお店がございます。それから、36億人のお客様に来ていただいております。それから、皆さん、もう御案内かもしれませんが、Ponta会員というのは7,000万人を持っている。これがローソングループとしての資産だと考えています。

そこに、私ども銀行としては、ATM並びに金融機関と結んだ決済ネットワーク、これを19年にわたって運営してきております。それから、1万3,500台という数字がございますけれども、こういうポイントと、金融機関さん120とお付き合いがある。

この2つを、ローソンの保有資産と当行の機能を掛け合わせた後で、私どもが目指すビジネスモデルとしては、今までは直接保有してこなかった個人のお客様に対して、商品としては、自分たちの商品と、それから提携金融機関さんから御提供いただく商品を提供していきたいと思います。このチャネルとしては、コンビニの店舗、ATMのネットワーク、さらにその上を走るプラットフォームの構築、これを通じたチャネルを想定しております。

全国に展開しております店舗を通じて多数のお客様と接点を持っていくという点、それから、日本国内のほとんど全ての金融機関様と提携させていただいている点が我々の強みになると考えています。ただ、私どもは、既存の金融機関が持っていらっしゃる事業領域に入っていくつもりはございませんで、同じ土俵で闘うつもりはございません。お客様と金融機関の間に立って両者を取り持つ、その接点にあると考えています。つまり、その接点の役割自体が我々の新しい銀行としての役割、期待値だと考えております。新たな金融サービス仲介をそういう形で展開できればいいと思います。これが、私どもの考えている将来的なビジネスモデルでございます。

少し分かりにくいお話を交えましたので、9ページを御覧ください。ATMを基盤とした決済ネットワークとお話ししましたけれども、ここにすごく簡単に図に示してあります。今年度、2020年度は、ローソン銀行にとっては一つのエポックメイキングな年になりました。従来のATMという非常にコンベンショナルなビジネスでデジタルの世界への第一歩を踏み出した、そういう年になりました。

図の中で、上のほうの図は今のATMの仕組みを非常に簡単に描いたものです。右側の金融機関さん、たくさんの金融機関さんが全国のATMにつながっています。これは、どの金融機関も自前のATMを張りめぐらせる必要がなく、全国で自分のATMを運営できるということになります。

この仕組みを少しいじりまして、下の図が新たに始めた、6月から始めたんですが、ペイメント事業者のアカウントへ銀行口座からチャージを行うビジネスの図になります。右側の金融機関のお客様の口座から、私どものATMの仕組みを通して、どのペイメント事業者にもつながっていく。つまり、従来のATMの位置づけを、それぞれのペイメント事業者に置き換える、こういう形でデジタルの世界での決済業務への進出をやっております。私ども持っているATMの仕組みに、新たなものはあまり大きく加えておりませんけれども、実際にお客様と、それから金融機関との締結を利用したペイメントビジネス、デジタルへの進出でございます。私どもは、今後、これを金融プラットフォームに展開していきたいと考えております。

10ページ目を御覧ください。10ページは、この話をメディアの方とかにするとなかなか御理解がいただけないところで、ローソン銀行がやっているATMは分かるし、それから、いろいろなペイメントがやっているところも分かるんだけれども、この2つは違うものですよねと言われます。見た目は確かに違います。10ページ目の左側にあるのが、今までのATMの事業です。ATMネットワークの中にATMがあって、お客様がそれを使われる。ただ、先ほど見ていただいたように、それを転用することで、実際には同じプラットフォームに、現金もデジタルも同じように電子データを流すことで決済することができるという仕組みに変えることができました。私どもは、ATMのネットワークを使って、銀行だからできる、安全で、安価で、しかも安心できる、簡単な決済のプラットフォームを御提供できると考えています。

11ページ目は、少し先のお話をさせていただいております。ここはちょっと大きな図になっていますけれど、私どもは、今のチャージを行うATMを運営しているプラットフォームを、将来的には、単にチャージやATMビジネスだけではなくて、私どもが提携させていただいている金融機関の商品やサービスを、コンビニなどでも御購入、御利用いただけるようなオープンプラットフォームに変えていきたいと考えています。リアルとデジタルを融合させた金融コミュニティーが私どもの最終系だと考えております。これが、私どもの将来にわたるビジネスのプランです。

12ページ目に、最近、ちょっと話題にもなっておりますので、リアルとデジタルの世界を結ぶということだけれども、本人認証はどうなっているのかという話は必ず聞かれます。簡単に触れさせてください。

当行では、ペイメント事業者さんのアプリに銀行口座を登録する場合、デジタルの世界だけでは閉じない本人認証を入れています。簡単に申し上げますと、ここの図にありますように、○○ペイというところに自分の銀行口座をつけようと思った場合には、私どものATMに来ていただきまして、それぞれのひもづけようとする銀行口座のキャッシュカードを差し込んでいただきます。そこで、御自分の4桁の暗証PINを入れていただきまして、その結果、出てくる確認番号を明細表上に発行します。この確認番号をペイメント事業者さんのアプリの中に入れることで、口座登録を完了させるという仕組みになっています。スマホアプリというデジタルと、全国に展開していますリアルのATM、キャッシュカードというリアルとデジタルを組み合わせた、かなり安全性の高い、ある意味、利用者にとっては若干の不便はあるのかもしれませんが、こういう形での安全性の確保もコンビニ銀行らしいサービスではないかと考えております。

13ページ目にございます。13ページ目のスライドでございますけれども、ここは親会社との間の独立性の確保ということでございます。字がたくさんあって読みにくいところですが、簡単に言えば、親会社であるローソン、もしくは、その親会社である三菱商事との関係については、私どもは、この中で書いておりますけれども、ローソン銀行経営管理規程というものを定めまして、この枠の中で私どもと親会社との間の関係を整理しております。具体的には、真ん中のグレーにレイアウトしたところに小さく協議会とございます。ガバナンスに関する協議会とビジネスに関する協議会、この接点をもって親会社の意向と我々の意向をすり合わせる。ここで、執行に関しての直接の指示、命令は受けないという形を確立してございます。詳細は、御覧いただければと思います。

15ページに移らせていただきます。先ほど申し上げましたように、私どもは地域金融機関さんとの協調関係というものをとても大事に考えています。私たちの持つ機能やサービスを地域金融機関さんにも使っていただき、共に地域経済を盛り上げていく、これも我々の企業理念でございます。具体的には、例えば店舗やATMの補完・代替、これは私どもだけではなくて、親会社のローソンも巻き込んで展開し、地域金融機関の効率化の御支援を申し上げています。

それから、金融機関の商品、サービスの販売チャネル、これは地域に限定的になっている地域金融機関さんに、先ほどお話ししたようなプラットフォームを御提供することで、どの地域のお客様にも、その地域にない金融機関の商品を御購入いただける、こういうような御提供の仕方を実現したいと考えております。また、近時のキャッシュレスの決済については、私どもがお手伝いすることで、地域金融機関さん自らがキャッシュレスを進めるというよりは、利用者の方、そして、お店の方にキャッシュレスの利便性を提供して、その地域の活性化にお役に立てると考えてございます。

また、最近ですけれども、地域金融機関さんが地域商社というものを立てていらっしゃいます。皆さん、それぞれいろいろな工夫をされ、また、御苦労されていらっしゃるところですが、グループとして流通業であるローソンがサポートを、いろいろな地域金融機関が主宰している地域商社を支援する形で、本当の意味の流通というもののお手伝いをさせていただいております。これは銀行の外の話ではございますが、グループとしてそういう形での地域経済への貢献を進めてございます。

16ページ目のところに、ATMでサポートということですが、非常に簡単に言ってしまうと、私どもと、地域金融機関さんのを持っていらっしゃる、運営されているATMのコストはかなり違います。30%から40%ぐらいのコストが違うのではないかと考えております。1つには、私どものATMというのは、御案内かもしれませんが、小銭が使えない、通帳が使えない、逆に言えば非常にシンプルな、機能を絞っています。それから、各金融機関がお持ちになっているATMの数に比べれば、全国で1万3,500台という数を運営しておりますので、機械を仕入れるコストも含めて、運営のコスト自体にも規模の利益が働いております。つまり、私どものATMコストは、地域金融機関さんに比べると大幅に低いというのがポイントになっております。

私どもがATMを地域金融機関さんから受託することによりまして、地域金融機関の皆さんにとってはコスト引下げということができますけれども、同時に、その地域の利用者のお客様の利便性を損なわないということを確保することができます。この点でも、地域金融機関さん、地域経済、そして私どもがお互いに補完をしながら、そのメリットを受けるという形になろうかと思っております。

次の17ページのところに、具体的な例を少し挙げてございます。昨年でございますけれども、農林中央金庫さんとの合意に基づきまして、全国のJAさんのATMについて私どもが代替を進めるということで合意をしております。これは、JAバンクグループさんの中期戦略の中のコストダウンの一助として位置づけられておりまして、現在進行中でございます。これは、JAバンクさんにとってみても、地域金融機関さんと同じように自前のATMを運営しているというのは、特にJAさんの場合には限られた台数の運営でございますので、いろいろな意味でコスト高になっております。この部分を、地域の利便性を損なうことなく、私どもに代替することでコスト削減をしている例として挙げさせていただきました。

18ページ目のところに、これは必ずしも銀行の話ではないんですが、ローソンとの共同店舗というのはどんなものかイメージをつかんでいただきたいと思いまして、写真を載せております。今、金融機関さんがお持ちの店舗を統廃合、もしくは新たに出すにしても、従来のような形ではない店舗の展開をお考えになっているときに、地域金融機関さんの店舗とローソンのお店がコラボレートしている例が幾つかございます。同じ敷地の中に、1つの建物の中に2つ、銀行とローソンのお店が入る例であるとか、もしくは地域金融機関さんの余剰スペースになったところにコンビニが入っている例と、いろいろな形がございます。ローソングループとしても、地域金融機関とのそういったコラボレーションに柔軟に対応しているということでございます。

19ページ以降で、最後に外国人支援について若干触れさせていただきます。

ここに、4つのマトリックスが書かれております。まだ全てができているわけではございませんけれども、ローソンの店舗には、現在、20万人の方が働いていらっしゃいます。20万人のうち、その10%弱に当たる1万8,000人の方が留学生をはじめとする外国人の従業員になっています。そういう方たちに、まず、金融サービスを提供していきたい、積極的に対応したいと考えております。

例えば、銀行の普通預金の口座開設であるとか、郷里送金であるとか、もしくは、少し毛色は違いますけども、復活が想定されているインバウンドのお客様に対する、海外からおいでいただくお客様に対するキャッシュポイントとして、現在、提携金融機関さんは必ずしも海外カードに対応したATMをお持ちになっていないので、私どもがその部分を、例えば客船が着く港に出してくださいとか、観光地の前に置いてくださいというようなリクエストに応じて、私どもが海外カード対応のATMを置かせていただくというようなことでの補完関係もやっております。また、今後は、クレジットカードの少額ローンについても、なかなか日本の在留外国人の方はそういうサービスを受けにくいと聞いておりますので、ここへのチャレンジを始めてみようと考えております。

最終ページでございます。ローソン銀行、コンビニATMからスタートした私どもでございますけれども、既に19年にわたる事業実績がございます。収益化しているATM事業を基盤に持っているという大きなメリットを生かしながら、同時に、流通と金融の境目にリアルな現金とキャッシュレスをつなげられるポジションにいるというメリット、そして、コンビニエンスストアと金融サービスの掛け合わせという点では、個人のお客様と金融機関の接点を担うことができるというポジション、こういったことを利用して新しい銀行の姿を目指していきたいと思います。このようなことを通じて、私どもとしてはお客様に一番近い銀行を目指すということを掲げています。

一般事業会社が保有する銀行として、これは全てではないと承知しておりますけれども、一つの可能性としてお聞きいただけたのであればありがたいと思います。

御清聴、ありがとうございました。

【神作座長】

山下社長、御説明、誠にありがとうございました。

それでは、ただいまの説明を踏まえて、メンバーの皆様に御討議いただきたいと存じます。御説明に対する御質問がございましたら、併せて御発言いただければと思います。

なお、本日は御欠席の高田メンバーより、資料4の意見書を提出していただいておりますので、メンバーの皆様におかれましては、適宜、御参照いただければと存じます。

御発言される際は、オンライン会議システムのチャットに、全員に当てて御自身のお名前を入力、送信してください。それを確認して、私が指名いたしますので、御自身のお名前をおっしゃっていただいた後、御発言ください。

どなたからでも結構でございますので、御発言、お願いできますでしょうか。いかがでしょうか。

【翁メンバー】

すみません、翁ですが、今日、すぐ出なければいけなくなりまして、岩下メンバーが先に挙げられているんですが、誠に申し訳ないんですが、先によろしいでしょうか。

【神作座長】

翁メンバー、どうかよろしくお願いいたします。

【翁メンバー】

岩下メンバー、申し訳ありません。

御説明、ありがとうございました。まず、銀行(本体)の付随業務に、地方創生等に資する業務を追加することには賛成でございます。その業務については、できるだけ広く構えて、いろいろとフレキシブルに、地方企業のためにできるようにするのがよいと考えます。資料2の2ページにもございますように、機動的に充実できるようガイドラインの外縁を明確にするということは適当であると考えます。

従属義務につきましては、各銀行や銀行グループがバックオフィス業務などを共同化して、合理化、効率化を図ることが求められていることを考えれば、総収入の90%をグループから得るとする収入依存度規制については緩和すべきと思います。50%を下限という提案もございますけれども、もう少し規制の在り方を検討してもいいのではないかと考えます。地銀などが、バックオフィスの効率化やデジタル化、RPA、クラウド化などを進められるように支援することや、地銀の収益源を確保していくことはとても大事なことでございますし、銀行(本体)の収益が厳しくなっている以上、経営をサステーナブルにできるように本体の収入自体をしっかり確保していくことが必要で、その上で、リスク管理を両立していくということを考えていく必要があるのではと思います。そのように考えますと、規制も、例えばバックオフィス業務のリスクについては財務規制で見ていくとか、そういった考え方もあるのではないかと思います。

次に、外国子会社・兄弟会社についての規制緩和についてですが、これも賛成でございます。業務範囲規制に抵触する外国の会社を子会社として保有し、売却するまでの猶予期間を延長することはもちろんだと思うんですけれども、10年目に売却する可能性がある、その後も1年ごとに当局が承認していくというようなことですと、非常に不確実性が高いのではないかと思います。そうしますと、現地のほかの金融機関との関係で不利に働く可能性があるのではないかと、懸念いたします。

今回の規制緩和は、銀行グループの国際競争力を考えて、円滑な国際業務展開を図るということを考えるのであれば、少し違う枠組みで、現地の銀行法に即した形で業務範囲を認めるというような枠組みを検討してはどうかと思います。もちろん、他業リスクというようなことについては懸念されますので、ここについては個別に見て認めていくというような考え方を取ってはどうか、そういったことも検討してみてはいかがかと思います。

最後に、主要株主規制でございますけれども、御提案のとおり、現在、銀行を保有している一般事業会社については、顧客の利便性は高く、問題が今まで生じていないのであれば、現状、追加的規制を課す必要はないと考えます。今後、プラットフォーマーが銀行を持つ場合には、ネットワーク外部効果により寡占的状況が生まれやすい。特に、親会社との情報共有によって、競争上の優越的な地位を利用したビジネス展開も、できる可能性も出てくるということには留意する必要があると思っております。また、金融システム全体について考えますと、顧客基盤が大きいだけに、非常に大きなプラットフォーマーが銀行を持つということになってきますと、将来システム上重要な銀行となり得る可能性もあるかと思います。その場合は、財務規制面での追加的な対応とか、経営悪化時にリスク遮断ができるかというようなことを、しっかり監督上で配慮で見ていくことも必要になるのではないかと思っております。

以上でございます。

【神作座長】

翁メンバー、どうもありがとうございました。

続きまして、岩下メンバー、お願いいたします。

【岩下メンバー】

どうもありがとうございます。岩下でございます。

ただいまの御報告、及び御発表、どうもありがとうございました。最初に、まず、ちょっと本筋から離れるんですが、先ほどのローソン銀行さんの御講演資料の中の12ページのところに大変よいことが書いてあるので、これについてコメントを述べさせていただきたいと思います。

現在、ドコモ口座事件以来、表に出てきた、いわゆる銀行の4桁暗証番号をインターネットの様々なアプリ等で入力をさせることに伴うセキュリティー侵害事例というのが、多数、発見されています。私、実は、京大のほかに、大阪大学の工学部でフィンテックとセキュリティーについての講座を持っているんですが、そこで学生への課題として、インターネットでは4桁のATM暗証番号を入れてはいけない、これはなぜか理由を考えなさいという課題を出したことがあります。それぐらい、ある意味で基本的なことですが、これが盛大に違反がなされていたというのは大変嘆くべきことであって、それに対する一つの重要な回答がこの12ページであると思います。

すなわち、同じ4桁の暗証番号しかないインターネットバンキングを使わないお客様に対して、ATMで暗証番号を使っていただく、これは全く正当な使い方ですので、その上で、そこから出されたランダムな数字が認証手段になるというのは大変よい方法だと思います。こういう方法が、ローソン銀行さんのみならず、他の銀行さんでも広がることが望ましいと思います。

また、ローソン銀行さんは、最後の御説明にもありましたとおり、国際クレジットカード、すなわち技術的な用語でいきますと、JIS-Ⅰの磁気ストライプが利用可能なATMを運用されています。日本国内ですと、セブン銀行さん及びゆうちょ銀行さんに並んで、たくさんの台数で可能にしています。これは大変望ましいことであります。一方で、各銀行は、事実上、表側にストライプのあるJIS-Ⅱしか使えていません。ただ、JIS-Ⅰを使えるということは、国際的なカード犯罪は今、圧倒的にJIS-Ⅰで起こっておりまして、JIS-Ⅱはほぼ無風でございます。そういう意味で、セキュリティー上の負荷が重くなるという部分については大変御苦労が多いと思いますが、こういったことについて役割をシェアしていただいていることに敬意を表したいと思います。

以上の点は、今日の論点からちょっと外れますが、先ほどの御講演に対するコメントとして述べさせていただきました。

それでは、資料2に即しまして、今日の本題に関するコメントを若干申し上げたいと思います。

通常、この種の、本日討議いただきたい事項という資料をいただいた際には、その中で、まず前提条件が書いてあって、その上で何をどう考えるかという個別の論点について意見を述べるというのが通例だと思います。ただ、私、今回、この1ページに書いてある、Ⅰの1.(1)①の2パラグラフ目の最後「銀行(本体)が自ら営む業務の範囲は、今後も引き続き限定的であるべきと考えられる」という整理の仕方になっていますが、それは必ずしも同意された前提条件ではないと考えています。従来と同じように引き続き限定的であるということをもう最初から前提としてしまうのであれば、この議論をする必要はないではないかと思うんです。その部分を考えるのがこのワーキング・グループの使命ではないかと思いますので、これを前提として、ここからスタートするのはぜひやめていただきたいと、私はまず申し上げたいと思います。

その上で、各論点ですけれども、何となくエクセスキャパシティーを使うのだったらいいではないか、①の後段ですね。それから、②のところで、人材派遣と人材紹介をこういうふうに規制上認めれば、こういう組合せができるではないかというのも、多分、実際にビジネスをやっている人にとってみれば、それぞれのビジネスモデルがあるわけなので、それを規制側が最初からこういうふうにやってはどうですかと定めていくというのは、これまでの何かこう、昔ながらの規制に逆戻りしてしまうような非常に不思議な感じがいたします。もちろん、何がしかの中で、何でもかんでもオーケーとするわけにいかないから、一定のルールを設けるんだということはよく分かるんですけれども、この種の細かい規制を入れていきますと、例えばバナナはおやつに入りますか問題なんていうのが出てくるわけです。

もう1つ問題なのは、これは要するに個々の行政官の方の判断が非常にいろいろなところへ入ってくるわけです。いろいろ聞くところによると、例えば地方の財務事務所などでこういうことについて大変厳格に判断される行政官の方がいらっしゃると聞いています。そういうところの地方にたまたま当たりますと、この種のことについては幾ら説明しても全然認めてもらえないというような話を聞くわけであります。多分、そういう形になってしまうのは、私、人間がやることですからしようがないと思うんですけれども、その基となる大変込み入った、この場合はこうやって、この場合はこうやってということを細かく元のルールに定めること自体、相当無理があることなどではないかと考えています。そういう部分については、そもそも根本的なところに立ち戻って議論をするべきだと思います。

また、同じく③、ページでいうと2ページの真ん中ぐらいですけれども、「機動的・柔軟に拡充できる仕組みとすることが適当と考えるが、どう考えるか」と書いてありますが、機動的、柔軟に拡充できる枠組みとするのであれば最初から柔軟に拡充してはどうか。もし、柔軟に拡充するということが予定されているのであれば、なぜ最初から拡充しないのかというのが私の素朴な疑問であります。

同じように、先ほど翁メンバーからもコメントがありましたが、複数の銀行の総収入の90%、単独の銀行でも30%という現在の規制、ルールというのは、非常に重い収入依存度規制を前提としますと、様々な業務を合理化するために子会社で取り扱うということで、当然、そういう会社になりますと自前で様々なことをやりたいわけですから、そういうことができなくなってしまうということで、新しい業務を、営業でビジネスを取ってきた途端に規制で駄目だみたいな話になってしまうのは、実際にやっているほうとしては大変つらいことだと思います。その意味で、もちろんこれ自体は他業ですから、他業を認めるためにどうやって、どういうルールでやればいいのかということについては、いろいろ知恵を考える必要がありますけれども、そうはいっても、現在の収入依存度規制をそのままにしたままで、グループ会社の場合には認めようとか、あるいは関連会社は認めようという何か小出しの形の認め方というのは、何となく戦力の逐次投入みたいなものでありまして、後でうまくいかなくなったらどうするんだという感じが非常にするわけです。

その点にいきますと、Ⅱの後ろのほうに、4ページでございますけれども、例えばこれからデジタルプラットフォームの、新たな競争相手が参入してくるかもしれない、そういう場合にどうするかという指摘がありますが、例えばGAFAのような存在が何がしかの力で参入してくることになったときに、それを規制によって食い止めるという、何かそれも随分古めかしい考え方でありまして、それが許される時代ではないような気がするんです。むしろ、それはそれで、今の時代ですからきちんと競争することを前提とした上で、その前に、どうやって国内の金融機関をきちんとした、そういう競争に耐えられるような会社にしていくかということのほうがより重要なはずであります。

そういう意味で、ビッグテック対応ということに、いろいろ物を考えたときには、ビッグテックを排除するための道具を用意するのではなくて、ビッグテックと十分に競ってやっていくだけの能力のある金融機関を育てるためにどうすればいいのかということを考えるべきであって、そういう意味からも、一番最後のところで、そもそも、何というか、この種の規制のイコールフッティングの話は昔からずっとあるわけですが、こういう問題を懸念する声が聞こえるんだけれども、なお慎重の意見が多いんだけれども、ここは変えないのだということが、これが議論のスタートになっているようですが、そうだとすれば、それこそ今の銀行(本体)に対する考え方を、もう一度スタートラインから考えるべきではないかというのが私の意見でございます。

すみません、長くなりました。以上であります。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、野崎メンバー、お願いいたします。

【野崎メンバー】

ありがとうございます。野崎です。順次、コメント申し上げます。

まず、1点目の付随業務に関しましては、エクセスキャパシティーの有効活用ですか、使われていないものを有効活用するということは機会コストの収益化につながりますから、これは素直に後押しするということにしていただいてよろしいのではないかと思います。

また、決め事ですけれども、先ほどの何をやって、何をやってはいけないかという部分に関しましても、やはり時代は変遷とともに変わっていきますので、そこは柔軟性を持たせていくべきかと思います。なお、ここでは下位規範とありますけども、恐らくこれは施行令、施行規則を含意していると思いますけれども、むしろ監督の指針でより柔軟性を持たせたほうが実効性は高くなるのではないかと思います。

それから、子会社・兄弟会社による高度人材等の派遣、銀行(本体)については紹介とありましたけれども、私、個人的には、なぜここで線引きをしなければいけないかというところについては十分咀嚼、理解できていません。

一方で、先ほどの定義の問題ですけれども、一定類型の業務に関しては、これは第2回会合でも高度化会社等のところでコメントいたしましたけれども、やはり明確かつ具体的な定義づけがまず必要であると考えます。

続いて、2点目、従属業務でございますけれども、ここについても同様に、収入依存度規制の90%、50%の区別について、何ら経済合理性の高い説明ができないということであれば、そこはそろえるか、あるいは依存度そのものについて見直す余地があるのではないかと考えます。

続きまして、重複・共通業務に関しての持ち株会社の事前認可につきましては、いろいろな業務がありますけれども、恐らくリスク管理体制ですとか、その辺、精査が必要なものと、そうでないものと峻別できると思います。ですから、そこは、ある程度の線引きをきちんとした上で、事前認可を不要とするような柔軟性を持たせる対応は必要かと思います。

簡単に、3点目、外国子会社とM&Aしたときの5年、10年ルールですけれども、ここはもう端的に、今のグローバル化の流れでいきますと、やはり10年ぐらいのアローアンスを持たせるほうが、経営戦略にとっては柔軟性を十分に持たせることができるのではないかと考えます。

最後の主要株主規制に関しましては、これは山下社長のほうから詳しく説明していただいて非常に助かりました。ここでやはりコンファームできたのは、ATM業務等を通じて、確実にユーザーに関しての利便性は向上しているとともに、ニーズの多様性に応えられているということです。それだけではなくて既存銀行と競合部分はもちろんありますけれども、戦うばかりではなくやはり協働できると、要するに協働によって消費者の利便性がより向上できているという意味では、私は評価すべきではないかと思います。

ですから、先ほどの岩下メンバーの話ではないですけれども、こういった新しい勢力に関して、それを規制で押さえつけるというよりは、環境の変化を柔軟に受け止めながら、監督上の運用でここをモニタリングしていくことがいいのではないかと思います。その文脈で申しますと、一方でデジタルプラットフォーマーは、実際に、公正性の面で言えば、独占禁止法的な見方で言うと、例えば出店者に対して無理やり与信づけするとか、あるいは健全性の点から言うと、銀行法的な見方として、親からの圧力によって与信をさせられるとか、そういった様々な弊害等がありますので、そこはあくまでも行政上、監督上の視点からきちんとチェックしていくことが必要かと思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続いて、坂メンバー、お願いいたします。

【坂メンバー】

ありがとうございました。

全体として、バランスの取れた枠組みにする必要があるかと思います。バランスの取り方にはいろいろな取り方があろうかと思いますが、一つのバランスの在り方として、今回、御議案の内容というのはおおむね了解できるところと思います。

そうした中で、私のほうからは、主として銀行主要株主規制について意見を述べさせていただければと思います。

まず、主要株主規制の趣旨ですけれども、主要株主との関係における財務的なリスクの遮断ということと、それから、主要株主の不当な影響力の行使による弊害防止という、やや異なる2つのものが含まれていると思われます。監督指針は、銀行の独立性確保と事業リスクの遮断という2つの観点が示されておりますけれども、主要株主の不当な影響力の行使によって、銀行の審査がゆがめられ、不適切な資金提供が行われたり、あるいは、適切な資金提供が妨げられることを防ぐことは、金融仲介機能の発揮のために重要な課題だと思います。銀行が信用創造機能を有するということからも、不当な影響力行使による弊害を防止することの必要性は高いと思います。

もっとも、銀行(本体)の事業内容によって、主要株主により問題が生じるリスクは異なり得るとも思われます。特に、主要株主の不当な影響力の行使により金融仲介機能をゆがめるリスクは、融資業務を広く行う銀行でより問題となり、また、融資業務を行う銀行の中でも、個人を対象とするものよりも事業者を広く対象とするもののほうがリスクは高いように思われます。これまで実態として、事業性融資は広く取り扱っていないとされていますけれども、ある意味これまでの業態では、リスクの比較的低い形のものが中心であったという見方もできるかと思います。今後、事業性の融資が拡大していく場合には、独立性の確保と事業リスクの遮断という観点はより重要であり、少なくとも的確なモニタリングが必要と思われますし、また、問題が顕在化したときには迅速な規制対応も必要と思われます。

次に、今後の留意点に関して、主としてデジタルプラットフォームを念頭に発言したいと思います。デジタルプラットフォームへの対応は、金融制度の観点からも重要な課題と思います。デジタルプラットフォームに関する政策課題としては、競争政策や個人情報保護一般に関するものと、金融仲介や金融システムに関するものがあり得ると思います。前者については、競争政策や個人情報保護の分野において対応がされると思われますけれども、金融関連のサービスが関わる場合には金融法制の観点からも適切な対応が必要と思います。後者については、デジタルプラットフォームの金融仲介機能や金融システムへの影響の在り方を的確に把握し、金融法制の中で規制対応を行うことが必要と思います。なお、銀行がデジタルプラットフォームの事業者側の利用者となり得ることにも留意が必要と思います。

以上を念頭に、3点ですけれども、まず第1に、デジタルプラットフォームはこれまでの一般事業者と異なり、社会経済的に大きな力を持ちうるという点について留意が必要と思います。この力の源泉は、事業者や消費者等の利用者が事実上これを利用せざるを得ない立場にあること、膨大な取引履歴や個人情報、企業情報をもつことから、情報独占、あるいは情報格差による力を持つこと、これらを背景にしつつ、利用者の行動を一定の方向に誘導し得る技術も持ち得ること等にあると思います。デジタルプラットフォームが、これまでと質的に異なる社会経済的な力を持ちうることに鑑みますと、主要株主規制等の中においても、デジタルプラットフォームにフォーカスをした規制の検討が必要であり、デジタルプラットフォームの行動の銀行への影響の在り方ですとか、あるいは、銀行行動とデジタルプラットフォーム行動が相まった場合の利用者への影響に在り方等を踏まえた検討が必要になるものと思います。

第2に、デジタルプラットフォームが新しいビジネス形態にあることにも留意が必要と思います。デジタルプラットフォーム透明化法の審議の過程でも、サービスの実態に関する情報が多くデジタルプラットフォーム業者側にあることや、行為規制等のルールの相場観が形成途上にあるなどから、まずはデジタルプラットフォームの透明化を図ることを旨として法整備を行うという議論が行われております。現在、このような議論状況にあることを踏まえつつ、今後、実態把握に努めるとともに、あるべき実効的な規律の在り方を継続的に検討していくことが必要と思います。

第3に、デジタルプラットフォームは変化が急速であるということも念頭に置く必要があると思います。提供するサービスが短期間に大規模に普及するような場合、金融仲介機能や金融システムに与えるリスクが急速に高まることも懸念されるところです。したがって、プラットフォームについては、不断にモニタリングを行うとともに、懸念が高まる動きがある場合には迅速な対処が必要となると思われます。その構えを何らかの枠組みとして考えておくことも必要と思いますし、そうならないような枠組みを検討することも必要と思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続いて、西原メンバー、お願いいたします。

【西原メンバー】

ありがとうございます。JPモルガンの西原です。私からは、銀行主要株主規制についての今後の留意点と、業務範囲規制の見直し案の留意点について申し上げます。

まず、銀行主要株主規制につきましては、事務局が御用意下さいました討議事項の資料に、規制が創設されて20年が経過する中で、一般事業会社が持つ銀行は利用者にベネフィットをもたらしてきた一方、事業性融資を広く提供していないということで、提供する銀行機能は限定的で課題はなかったということで、現時点においては追加的規制を課す必要がないとされています。この提案には異論はないのですが、今後の留意点としては次のように考えております。

まず、事業会社が持つ銀行の金融サービス参入は、ローソン銀行の山下社長の資料にもございましたように、まずはリテール領域の決済から始まり、資産運用、コンシューマーファイナンス、住宅ローンに広がりつつあります。この先に中小企業向けの企業融資がありまして、既にeコマースを展開する事業会社のプラットフォーマーは、eコマースに出店する事業者への融資を積極化しているという事実があります。こうした金融業を取り巻く環境変化を踏まえますと、当面の課題は、事業親会社を持つ銀行による優越的地位の濫用とか、利益相反上の問題ではなく、これらは主に企業向け融資に伴うと考えられますので、むしろリテール企業を通じて広く国民一般に影響を及ぼす金融システムへの影響であると考えられます。

今後の留意点としましては、検討事項の資料の5ページ目で書かれていますように、金融仲介機能や金融システムに与え得る影響に応じて、主要株主規制において規制監督の網というか、カバレッジをかけていくという考え方が適切なのではないかと考えます。これは、先ほどの翁メンバーと同じ意見になります。

具体的には、金融システム全体、ないしは主要な金融機能におけるシェアやプレゼンスがある一定水準を上回りまして、金融仲介機能とか、金融システムへの影響が大きいと判断される場合には、この当該プレーヤーを重要なプレーヤーと位置づけまして、連結自己資本比率規制といった財務規制等の対象とする、そうした仕組みが考えられます。もちろん、このように金融システムへの影響が大きいと判断する場合には、預金保険法の秩序ある処理に準ずる何らかのセーフティーネットの下に置いていくということも、また、どこまでセーフティーネットでカバーしていくかも、ともに検討していく必要があると考えます。

こうした考え方は、FSBによりBig Techの政策対応として示されましたエンティティベースの規制アプローチを、アクティビティーベースの規制アプローチで補足していくという方向性や、金融審でこれまで議論されてきた機能別、横断的な金融規制体制の考え方とも整合的だと考えます。

2点目の業務範囲規制の見直し案につきましては、基本的に、テクニカルな面も含めて賛成の立場であります。気がついた点としましては、やや細かい点でございますけれども、Ⅰの(1)の①の3つ目「業務に係る需給次第で余剰となり得る能力を新たに獲得することを基本的に伴わないと考えられる業務であることを要件の1つとする」は地銀が現在提供されていないサービスを、需給関係を悪化させないで適用していくということだと思いますし、地域における競争環境の緩和を意図されていると思いますが、今後、地方経済における生産性向上が課題となる中で、一定程度の競争環境を確保することによって、サービスの質の向上を図っていくという観点が必要だと思いますので、要件の1つとするよりは、留意するといった位置づけとすべきだと考えます。

また、③におきまして、銀行(本体)の付随業務を広くしていく中で業務の外縁を明確にしておく必要がありますが、何か変化があったときには迅速に対応可能な枠組みとすると書かれています。ここは翁メンバー、岩下メンバー、野崎メンバーと基本的には同意見ですが、外縁について定量的に決めつつ、やはり個別認可など、ケース・バイ・ケースで認めていくというアプローチの方が、柔軟で迅速な対応につながるのではないかと考えます。

そのほか、従属業務、共通・重複業務、外国子会社・兄弟会社制度の見直しにつきましては、事務局提案は環境変化を踏まえており、時宜にかなったものと考えます。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続いて、家森メンバー、お願いいたします。

【家森メンバー】

神戸大学の家森です。

まず、2ページの、今も出ましたけれども、冒頭、一番上のところの「需給次第で余剰となり得る能力」の部分ですけれども、これというのは、事務局資料の7ページの中の、その他の付随業務についての、注の1の部分に関わるものだと理解しています。具体的には、この注1に、黒ポツが4つあるんですね。(1)は「固有業務及び付随業務のうち各号列記に準ずるか」と。この「準ずるか」というのは、地方創生に資するものというのが、まず入ってきて、残りの3つは、結局、今のままということになるんではないのかなというふうに読めるんです。

私自身は金融機関の健全性をしっかり守る必要があるのと同時に、お客様の利便性を上げていく活動で、銀行の側からいろんなアイデアが出てきたら、それはできるようにするのが良いと思っています。ただ、むちゃくちゃに銀行がリスクを取るというのは困るので多分、なんらかの制約をつけられると思うのです。例えば、この中では、2つ目の黒ポツの、「規模が、その業務が付随する固有業務の規模に比して過大なもの」という部分であったり、健全性を自己資本に比してというような形で、ある程度は経営者の裁量でいけるんではないのかと思うわけです。

ある程度大きな金融機関でしたら、例えば、この派遣でも、別会社をつくってやろうというふうになると思うんですけれども、小さな金融機関で地方でということになると、わざわざ会社をつくってまでできるのか。いろいろ戦略上、つくらなくてもやれるということがあり得るんではないかと思うのです。そのときでも金融システムや銀行システム、あるいは信用金庫の決済システムに大きな影響がなければ、地方創生の中でやっていただくのでもいいのではないのかと思うところです。それが1点目です。

それから、2つ目のところは、これは冒頭で翁先生がおっしゃった収入依存度の50%という部分です。例えば、50にまでなるということは、他のところに50は売れるというぐらいですから、魅力的な商品を提供されつつあるわけで、それをもっと買いたいと地方で思ってらっしゃるところに、もう売れないんですというようなことはよくないことではないかと思うんです。ですから、一律の数字で50までで、もう51%になったから、今日からもう販売できませんというふうにならないほうが、むしろよいのではないかと思います。

せっかく今回規制緩和をするなら、例えば、バックオフィスの機能を銀行がこれについて何か大チョンボをやったときに、銀行にどんなリスクが来るのかということを調べて、どう見ても、銀行の健全性に影響がなければ、もうちょっと緩和したものにできるのではないのかなと感じたところです。

それから、3点目は、外国での兄弟会社、子会社の関係で、これは4ページの上のところに、5年から10年に延長するという話です。もともと、この5年に延長するときの審議会での議論にも、私は参加をしておりましたけれども、買収しようと思う外国の会社に、変なというか、日本の規制からいったら違うものがぶら下がっていたら、まず、それを切り分けてから入札させてくださいとお願いするというのでは、日本の金融機関に不利だということで、臨時やむを得ない措置として、これを入れられたというのが最初だと思います。

その後、今や考え方が変わってきているようです。10年ということになると、臨時でたまたま持ってもらっているということから変わろうとしているわけなので、これはもう質的に変わったんだというふうなことを明確にして、さっき翁先生がおっしゃったように、10年は良くて、11年目はアウトというのでは、次の規制の緩和のときに、15年にしましょうというふうになるんではないかと思うんです。もうそういうことではなくて、こちらに書いているような国際業務に資する観点で、かつ日本の金融システムなり、グローバルな金融システムに悪影響が出ない範囲でしたら、期限をこうやって区切るというのは特に必要ないのではないかと思いました。

それから4番目は、主要株主規制のところです。今日のローソンの山下社長からのお話を聞いて、この中でいうと13ページのところで、ローソンが親会社から独立し、ローソン銀行がローソンから独立するような仕組みがしっかり取られているという御説明があったんですが、金融庁としては、こういう形でローソン銀行が独立しているということは、今、監督できているというふうに理解をしております。こういうことができ得るのなら、今のところ心配なくて、ここに書いてある現状認識で十分ではないかと思っております。

他方で、企業融資がこれから行われるようになってきたりするかもしれません。これもニーズがあれば当然出てくるわけなんで、そのときに規制といいますか、監督できるような枠組みというのは準備しておく必要があります。特に優越的地位の濫用で、例えば、ネットに出店しているお客様について、よその銀行から借りたらペナルティだというようなことになると、これはやっぱり問題になると思いますので、そういう点については今後も監督していく必要があると思いました。

最後に、6ページのところで、今日の事務局資料の中で17ページに説明がありました、金融システムの秩序ある処理に関してというところです。銀行持ち株会社。いわゆる伝統的な銀行の銀行持ち株会社については、この対象になるけれども、例えば、ローソン銀行さんの場合でしたら、ローソン銀行は、もちろんこの秩序ある処理の対象になるんだと思うんですけれども、その上はならないよというのが違いだというふうに説明がありました。だから、そういう規制のアンバランスがあっても、ある程度、許容できるんだという論理なのかもしれませんけれども、逆に、本当に金融システムの安定のために、それが不要で大丈夫なのかという点も念のために確認はしておく必要はあると思います。それがないかわりに、今、G-SIBSに適用しているように、親会社に対しては特別な自己資本をもう少し積んでおくような規制が必要なんだとか、そういうことを深めていく必要があります。これは私の勉強不足なんですけど、今、事業会社系の銀行の中でも、例えば、今日の資料にもありましたけど、ソニー銀行の場合には、ソニーファイナンシャルホールディングスという中間持ち株会社を入れているんです。それを入れて事業会社につながっています。こういう中間持ち株会社の機能強化を図ろうということになっているみたいです。こういう中間持ち株会社を入れることによって、金融システムの安定性が確保、従来よりも確保できるのなら、例えば、そういう仕組みに変えていくとかということも、今後、考えていくこともありえます。単純に違うんだというだけじゃなくて、念のために、金融システムの安定性の観点で、何か必要なことはないかも検討しておく必要があるんではないかと思いました。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続いて、小倉メンバー、お願いいたします。

【小倉メンバー】

ありがとうございます。早稲田大学の小倉と申します。

まず、業務範囲規制に関する詳細な事務局からの御提案についてなんですけど、基本的に緩和する方向に賛成でございます。他業リスクであるとか優越的地位の濫用等の問題に配慮しつつも規制を緩和して、できるだけ使い勝手のよいものにするという方向性に賛成でございます。

それから、あと外国の金融関連業務会社に関する業務範囲規制に関する規制緩和についても、これは国際競争力を維持する上で必要な緩和であろうと思いますので、これも非常に合理的な緩和であると思います。

それから、猶予期間を5年から10年に延長するという点も基本的に賛成です。

以下、主に銀行主要株主規制に関して少し議論をさせていただきたいんですけれども、まず、イコールフィッティングではないという批判ですね。銀行持ち株会社に課されている業務範囲規制が、銀行を保有する一般事業会社グループには課されていない。それでイコールじゃないという点についてなんですけれども、この点を議論する上で、他業と一くくりにされている中にも、本業としての他業と、それから副業としてとか、あるいは新事業として行う他業というのがあるので、これらを区別して議論したほうが話の見通しがよくなるのではないかなと思っております。

一般事業会社の行う他業のうち、その会社の本業、あるいはそれに関連する事業というのは、業歴も長くてリスクが小さいと見積もるのが自然なので、この部分に規制をかける必要は全くないと思われます。

一方で、銀行持ち株会社の場合ですと、他業はほとんどの場合、本業以外の、本業の銀行業以外の新しい事業ということになりますので、先ほどの一般事業会社が本業として行っている他業よりは、相対的にリスクが大きくなると見るのが自然であろうと思うんですね。ですので、そういう意味で、銀行持ち株会社について、こうした他業に関する規制を強めに設定していくことは合理的なんではないかなと思います。

ちょっと微妙なのが、銀行を保有する一般事業会社が副業として新事業を始める場合です。これがかなり論争になりそうな点なんですけれども、この場合は、やはり比較考量で考えるしかないのかなと考えております。預金者保護の観点から、他業リスクを抑えるということを重く見るのか、あるいは一般事業者としての機動的な事業展開を大事にするのか、あるいは金融業への新規参入を促進して、多様なサービスが提供されるように促すのか、この3つの要因の比較考量で考えなければいけないと思うんですが、先ほどの山下社長の御報告の中にありました、様々なサービスの中で、外国人支援ビジネスに関して、私は大変感銘を受けたんですけれども、こういった多様なサービスが提供をされるように促す方向に、今のうちはやっぱりかじを切っておいたほうがいいんではないかなと思いますので、そういう意味で、いろいろなことを長々と申し上げましたが、現状のような規制の在り方ですね。他業に関して、特に銀行持ち株会社について、少し強めの規制がかかっているという状況は、これはこれで合理性があるのではないかなと考えております。

もう一点、デジタルプラットフォームですね。巨大なデジタルプラットフォームが銀行に進出するという場合に、どういうふうに対応するべきなのかという点なんですけれども、皆さん御存じのとおりでありまして、デジタルプラットフォームというのは、放っておくと自然に独占に向かっていく、そういう性質があるわけなんですね。

例えば、オンラインショッピングモールで考えますと、お店がたくさんあるからお客さんが集まる。お客さんが来るからお店もたくさん出てくるということで、お客さんの数とお店の数の間にポジティブフィードバックがあって、大きいプラットフォームはますます大きくなって、小さいプラットフォームはいずれ消滅してしまうという形で、どうしても自然に独占の方向に向かってしまうという性質がある。そういう非常にパワフルなプラットフォームが銀行を保有していくと。

こうしたプラットフォームですね。一旦巨大になって独占的になる。そうすると、そこでお店を出している事業者というのは、ほかに選択肢がなくなる。そこのプラットフォームから降りてしまうと、売上げががくんと減ってしまって、どうしようもなくなる。したがって、プラットフォームに残らざるを得ないということで、ほかに選択肢がなくなる。そういう状態で銀行業もそのプラットフォームがやり始める。その銀行が出店事業者向けに融資を行うとなりますと、家主が債権者にもなるということで、かなり一般事業者の立場が弱くなるおそれがあります。しかも情報も握られている、スイッチする先もないということで、非常にプラットフォームの優越的な地位が強くなる、そういうおそれがあります。ですので、その辺は非常に心配なところでございますので、こういったプラットフォームが銀行主要株主となりそうな場合には、認可要件として、少なくとも優越的地域の濫用を防ぐような仕組みが明示的に確保されているということを1つ要件として考えていく必要があるのではないかな、そういうふうに思っております。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、森下メンバー、お願いいたします。

【森下メンバー】

ありがとうございます。

本日、具体的に御提案いただいた点については、私は全て賛成をいたしたいと思います。その上で5点申し上げたいと思います。

まず1点目は、従属業務についてです。これはほかのメンバーもおっしゃいましたけれども、例えば、合理化などで努力をしてきて余力が出てきたというようなところを、地域のため、あるいはほかのお客様のために使っていただけるというのは結構なことなのではないのかなと思います。今まで自分ですとか自社のためにやっていた事業を他社のためにすることになったことによって、大きくリスクが変わるということもないのではないかと思われます。

ただし、これを全く撤廃してしまいますと、まさに他業をどうぞということになりますので、そうではなく、やはり自分がユーザーであるということ。したがって、自分が常に使っているので、その健全性などは常時ウオッチできるということだと思いますが、そういったようなことですとか、ある程度、最低限の、例えば、2割がいいのか3割がいいのか分かりませんが、そういった規制は必要だと思いますが、5割ということにこだわる必要はないのではないかと思われます。

2点目は、外国での業務ですけれども、これも翁委員もおっしゃっていたと思いますけれども、あるいはほかの委員もおっしゃっていたと思いますけれども、一律の年度で閉めなければいけない、その業務をやめなければいけないというようなタイプの規制が本当に必要なのかというのは、やや疑問に思います。むしろ原則と例外を逆転させて、基本的に現地で容認されているものであれば、ブランチであろうが子会社であろうが容認すると。現地の当局の監督に適切に服しているのであればですね。その上で不適切なものはやめていただくというような形で、原則と例外を逆転させるという発想があってもいいのではないかと思います。

ただし、国内の業務範囲規制の抜け道に使われるとか、いろいろ細かな点はあるかもしれませんが、発想を転換していいのではないかと思われます。

3点目ですけれども、一般事業法人の主要株主規制のお話をお伺いして思ったんですけれども、大きな違いは、業務範囲規制がかかっているかどうかというのは1つ大きな規制だと思うのですけれども、業務範囲規制がかかっていなくても、例えば、そういった一般事業法人下の銀行との関係で大きな問題が発生していないのは、本当に事業性資金の融資とかをしていないからだけなのだろうか、という点は考えてみる必要があると思います。ガバナンスとリスク管理が適切になされているということがあれば、兄弟会社の業務範囲規制というものがそれほどきつくなくても、適切にリスクがコントロールできるという1つの例と考えることができるのではないかというようにもお話を聞いていて感じました。

1つは、金融庁で入り口の認可をされるときに、主要株主を厳格に審査されているということはあると思うのですけれども、それは今、銀行については、もう満たされているわけですから、こういった一般事業法人の持ち株会社を新たに規制をするというよりも、それでうまくいっているんであれば、兄弟会社の業務範囲規制というのは、もう少し緩めても十分健全性を確保できるのではないかというような気がいたしました。

4点目ですけれども、これは翁メンバー、あるいは西原メンバーからもお話があって、私も本当にそのとおりだと思うんですけれども、今、確かにシステム上重要な銀行というような概念は、破綻処理のときにはありますけれども、平時の監督との関係ではクリアではないのかなと思います。しかし、今後はそういったようなものが必要になってくるのかなというように思います。例えば、巨大なデジタルプラットフォームの傘下にある銀行も、そういった概念でとらえることができると思います。したがって、それは新しい概念かもしれませんけれども、この機会に検討してみたらいいのではないかと思いました。

最後ですけれども、この新しい業務範囲の部分というのは、これは岩下メンバーからもお話があったかもしれませんが、やはり微妙なところがあって、恐らくいろいろ相談をしながら、官と民が知恵を出し合いながら取り組んでいくべき問題だと思います。そうすると、今、金融庁さんではフィンテックについてサポートデスクというような一律の窓口を設けて、一緒に相談をしながらやっていくというような体制を取っておられますけれども、これも、例えば、地方銀行さんの業務であったとしても、一律、サポートデスクを金融庁さんに設けて、一体となって規制の在り方、あるいはどうやったらできるのかというようなことを検討していくという体制を整えていただくというのが、そういうこともいいのではないかと感じました。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、後藤メンバー、お願いいたします。

【後藤メンバー】

東京大学の後藤でございます。御説明をどうもありがとうございました。幾つか意見を申し上げたいと思います。

まず、全体としてなのですけれども、今回の資料の2で提案されている具体的な項目については、いずれも賛成と申しますか、反対するものでは全くございません。規制緩和を進めるということで、そのこと自体は非常に結構なのではないかと思うところなのですけれども、他方で、岩下委員や家森委員などが示唆されましたように、やや物足りなさを感じているというのが正直なところでございます。特に岩下委員の御発言にあったかと思いますけれども、これは当局としては仕方ないところなのかもしれませんが、どうしてもこれまで積み重なってきた他業禁止規制の桎梏から逃れられていないというところがあるような気もするところでございます。そのような前提で、以下、順番に意見を申し上げたいと思います。

まず、付随業務のところですけれども、余剰リソースを生かした地方創生等に資する一定の業務を追加するということ自体はいいのではないかなと思うのですけれども、これがその他の付随業務の判断基準として挙げられていた要素とどう関連するのかというのは、よく分かりにくいところがあると思っております。余剰リソースの活用という要素に関係することは良いのですけれども、判断基準としては、それ以外に本業との機能的な親近性やリスクの同質性という要素も挙げられておりました。しかし、地方創生等に資する業務として考えられていることに本業との親近性、リスクの同質性があるのか、銀行の方がお得意さんを回るときに見守りサービスをするという程度での親近性はあるのかもしれませんが、判断基準の中で挙げられていた機能的な親近性って、そういうことを言っていたんだろうかというと、ちょっと疑問もあるところでございます。

むしろ、ここで問題となっているのは、今の地方の経済において地銀にこういう業務をも行うことが期待されているということであって、それらが既存の銀行業務との間に同質性や親近性があるかどうかは関係ないような気がしているところでございます。だからと言って、これらの業務を付随業務として認めることに反対するということではなく、今回の御提案がこれまでその他の付随業務の判断基準として挙げられていた業務の機能的な親近性やリスクの同質性は決定的な要素ではないんだということを暗に含意していると捉えた上で、そのことに賛成をするところでございます。

そうしますと、決め手となるのは「地方創生等に資する」がどうかということですが、何をすれば「地方創生」に資するのかは具体的にはよく分からないところでもありまして、ここをあまり強く限定的に読むべきではないような気もしているところでございます。「等」の範囲ということなのかもしれませんけれども、むしろ銀行が余剰リソースを活用して役に立つことをしていくということであれば良いというぐらいに広げてもいいのではないかなという気がしているところでございます。

ただ、ここで1つ気をつけるべき要素があるように思っておりまして、銀行の株主という目線から見た場合には、余剰リソースを抱えていることは果たしてどうなのかという観点もあるわけでございます。余剰人員が非常に多いのであれば、解雇するというのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、人員の整理をするということも考えてしかるべきでして、余剰リソースに何とか働き口を与えるために新しい事業をどんどん広げていくということには、銀行の株主の観点からも銀行の健全性という観点からも懸念もあるところでございます。言い換えると、銀行の利益という観点からは、余剰リソースを使って、銀行のビジネス全体にとってさらにプラスになる必要があるということです。地銀さんの場合には、地域経済が活性化することが地銀の経営基盤を強化することにもなるわけですから、そういう観点からいいということなのかも知れませんが、地方創生等に資するという言葉の意味は広く読む必要がある一方で、銀行の株主の観点も含めて、もうちょっとちゃんと考えていく必要があるのではないかなという気がしているところでございます。

次に、海外の子会社や兄弟会社というところです。これは何人もの方から御指摘がありましたけれども、一定の制限をしたくなるというのは、それはそれで分かるのですが、1度例外を認めた場合に1年ごとに再延長というのは、どうしても煩雑になる恐れがあるように思います。あと1年で問題の事業を売却できそうだから、ちょっと待ってくださいという場合であれば、それがどうなったかを1年後に確認するというのは構わないんですけれども、ある国ではこのビジネスを持っていることが銀行の競争力にとって重要なんだということで例外を認めたのであれば、その状況が1年やそこらで変わるとは思われませんので、私はせめて5年ごとにしたらと思っていたんですけれども、どなたかのご発言にあったように半永久的に外すというような枠組みがあってもいいのかなと思いました。

今度、主要株主規制のところでございますけれども、事業法人が主要株主となっている銀行について、これまで20年間問題がなかったということなので、それはそれで非常に結構なことなのですけれども、事業会社である親会社もしくは兄弟会社が仮に倒産した場合に、それによって銀行の評判も毀損されるといったことは、親会社が銀行持株会社ではなくて事業会社であった場合にも同様に生じる可能性があるわけです。そのようなリスクに対して、資料1の事務局資料の20ページの下半分に、事業親会社等の事業リスクの遮断ということが挙げられておりますけれども、業績が悪化した親会社に支援や融資を行わないとか親会社の破綻時に営業継続が困難にならないようにするなど、このページに列挙されているようなところに着眼することによって、それのリスクには十分に対処できるという考え方が現在取られているわけでございます。そうであれば、銀行持株会社の兄弟会社についても全く同じことが言えるんじゃないだろうかと私は考えておりまして、この観点からすると、銀行持株会社傘下の銀行の兄弟会社については、業務範囲規制をおよそ外すということもあり得るんじゃないかなと感じているところでございます。

この点につきましては、小倉委員から、全くリスクが同じなのかというと、そうではない可能性があるというご指摘があったところであり、それはごもっともかと思います。本業として、例えば、EC事業を展開している会社が銀行をやる場合のEC事業のリスクと、銀行グループが新しいことに手を出す場合のリスクというのでは、後者のほうが失敗する可能性というのは当然高い。もっとも、先ほど、たしか森下委員がちょっとおっしゃっておられたと思いますが、適切なガバナンスとリスクコントロールが銀行の中で行われていれば、それで十分なわけでして、もちろん銀行によって信頼できるところとできないところが、ひょっとしたらあるかもしれませんけれども、カテゴリカルに銀行の兄弟会社の他業を禁止するのではなく、銀行グループのガバナンス体制という中でリスクを見ていけばいいのではないかと考えております。また、当局もご監督もそのような観点からされていくべきなのかなという感じでおります。今回どこまで緩和するのかは分からないんですけれども、長期的目標としては、イコールフッティングを図るという目標は決して下ろすべきではないという気がしているところでございます。

他方で、事業会社が持っている銀行に対する健全性規制のかけ方についてですが、これも何人もの委員から御指摘がありましたけれども、今現在、銀行持株会社には連結自己資本比率規制がかけられ、預金保険法上の「秩序ある処理」の対象とされているのに対して、事業会社が親会社の場合は対象となっていない。しかし、この規制が必要かどうかは、ある銀行を含むグループが、金融システム上、どれだけインパクトのある存在であるかというところに依存する話であって、親会社の総資産のうちの銀行が占める割合で変わってくる問題ではないように感じております。

そうすると、先ほど申し上げましたように、銀行持株会社傘下の銀行の兄弟会社の業務範囲規制を外す一方で、連結自己資本比率規制や預金保険法上の破綻処理、もしくは事前の防止措置については、銀行持株会社かどうかで区別するのではなく、銀行のシステム上の重要性が認められるか否かによって区別し、システム上重要な銀行の所属しているグループに対しては連結自己資本比率規制もかけるべきだと思われますし、預金保険法上の破綻処理や事前の防止措置の対象にすべきなのかなと考えているところでございます。

最後、長くなってしまっておりますけれども、デジタルプラットフォーマーによる優越的地位の濫用の問題についてです。銀行についても従来から優越的地位の濫用の可能性が指摘されているところではありますが、そこでは融資への依存というのが優越性の源泉として想定されていたと思います。これに対して、プラットフォーマーの場合にはプラットフォームへの依存が優越性の源泉だとすると、それに銀行業が追加されたことでどれだけ変わるのかということを考える必要があると思います。銀行業が追加されたことで融資ができるようになるとプラットフォーマーが濫用できるものが増えるという意味では確かに違いはあるんですが、これが何か本質的な違いを生むのかというと、そこはどうなのかなという気がしますので、それは金融庁と公正取引委員会がぜひ御連携をされて、適切な処理がされれば、優越的地位の濫用のおそれが、ここでの規制緩和の抑制となることは避けることができるんじゃないかなと感じております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続いて、加藤メンバー、お願いします。

【加藤メンバー】

ありがとうございます。私からは3点コメントをさせていただきます。

1点目ですが、資料の2の業務範囲規制の付随業務の緩和についてです。

ほかの先生方の御意見を伺っていて、そろそろ付随業務という枠組みが制度疲労を起こしているのではないか、との印象を持っています。

例えば、2018年の監督指針の改正で、人材紹介業務がその他の付随業務として認められました。しかし、これを銀行法本体の各号列記業務に加えるような法改正は可能でしょうか。仮にそのような法改正は難しく、しかしながら、人材紹介業務を銀行が行うことに社会的な需要があるならば、そういった業務を銀行が円滑に行うことができる新たな枠組みを考える時期が来ているように思います。

2点目ですが、新しく提案されている、保有するリソースを活用した地方創生などに資する一定の業務をその他の付随業務として認めるのか、各号列記業務として認めるかによって、相当、出来上がってくる制度が違ってくるように思います。仮に付随業務という枠組みを維持するのであれば、むしろ、各号列記業務として位置づけたほうが各銀行の創意工夫の余地が広がるように思います。なぜかというと、その他の付随業務ということになると、どうしても事務局資料1の7ページの注1のような制約がかかってくるからです。一方、各号列記業務として追加するということは、確かに立法の段階で注1の要件を満たしているか判断されることになるかもしれませんが、いったん各号列記業務になると各銀行が注1の制約を気にする必要性が小さくなると思います。

3点目は、外国金融機関及び外国金融関連業者の買収に関する規制の緩和についてです。繰り返しになりますけれども、銀行持ち株会社が買収した外国金融機関や外国金融関連業者の競争力、現地での競争力を維持するという観点からは、規制の緩和が適当であると考えます。現地で稼ぐためには、当然、現地の競争相手との競争が問題になるわけで、外国において日本の銀行持ち株会社が、今後、例えば、新興国などの成長の果実を得ることができるようにするということを重視するのであれば、やはり現地で対等な条件で、ほかの現地の金融機関と競争できる状況を確保すべきです。その上で、5年を10年に緩和するということでは物足りないという意見がありましたが、私もそのように考えます。

そこで、具体的にどのように見直すかということですが、森下委員がおっしゃったように、原則と例外を逆転させるというのも1つのアイデアだと思います。また、どの国の金融機関を買うのかということも監督の際に考慮できるような枠組みが適切だと考えます。外国金融機関や外国金融関連業者も、外国では健全性などを目的とした規制の対象になっているわけで、そういった規制によって、健全性などが十分確保されていると判断できるのであれば、日本の銀行持ち株会社が買収したことによって、銀行持ち株会社が新たに負担しなければならないリスクは限定的だと思います。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続いて、大庫メンバー、お願いいたします。

【大庫メンバー】

コンサルタントをしています、大庫でございます。

私は基本的に、今日の金融庁からの御意見については、おおむね合意というふうに考えています。一つ一つ細かい点に触れるよりも、どうしてそんなふうに感じているのかということで、私が感じたことを少し申し上げたいかと思います。

主に銀行主要株主のお話と業務規制緩和のお話でお話をさせていただこうと思うのですが、事業会社から銀行に入る場合と銀行から事業会社、事業分野に入っていく場合で、イコールフッティングではないと、非対称ではということで随分議論にもなっていますが、多分、どこまで行っても非対称が続くんだろうと思います。また事業会社がそう簡単に銀行業をやっているわけでは私は決してないと思います。

実際問題、銀行を始めるためには、どうしても銀行免許が必要になりますので、御当局に行って審査を受けなければいけない。その審査もそう簡単に通してくれないということで、それぞれ新しくできた銀行は、もともとの事業基盤に応じたユニークなところをレバレッジしてユニークな事業モデルを御提案されているんではないかと思います。それでようやく銀行免許を得られて、実際に業務を始めるためには、システム投資が、普通、数十億円は必ずかかり、極めてシリアスな経営判断をしながら事業会社は銀行を始めることになります。だからこそ、先ほど山下社長が御紹介された、ほかの新しい銀行についても、おおむね好業績を収めていらっしゃるという現実があるのではないのかなと思います。

一方で、銀行から事業に入る場合というのは、当然、銀行法において規制があって、その規制でいいと言っている部分以外はできないということになるわけなんですけれども、一たび規制が緩和されて、「この業務オーケーですね」と言った瞬間から、どんどん、入ってくるわけであります。

前回も少しお話を申し上げましたけれども、じゃあ、新しい業務の中で、どれだけ銀行がその業務を物にできているのかというと、なかなかそうではないのかなと思います。事業会社が銀行に入ってくるときの物すごい高いハードルを越えるときの努力と同じぐらいのことを銀行が新しい事業、規制緩和された新しい事業に対してされたのかなというと、全然そうではないのかなと私は感じています。本質的には、むしろどうやって銀行の方々に、規制緩和された業務で、ちゃんと物にできるような形にするのかというのが私は大切なことではないかと思っています。

これは理屈の話というよりも、むしろ政策としてという話になるかと思うんですけれども、シリアスに事業を展開させるために、何らかの絞り込みということが必要になるだろうなと思います。その意味で、今般、地方創生というテーマが国全体で重要になってきているわけなので地方創生というテーマを1つ挙げて、これにかけるということではありませんけれども規制緩和を検討していくというのは、ある意味で筋が通っているのかなと考えています。

さらに、シリアスに展開をさせるためのいろんな政策というのが考えられるわけなんですけれども、1つは兄弟会社で展開をする場合というところについては、なるべく緩やかに展開をさせるということがよろしいんではないのかなと。

特に、これは別途11月にお時間を頂いていますが、現実には大きい銀行グループのほうが、実は本部スタッフが充実していて、それぞれの業務について企画をし、営業支援をしていく体制、専門家を持つことができる、そういう余裕が出てくるということを考えると、兄弟会社を持てるような規模の銀行グループに積極的に展開させるというのが、1つ、政策としては私は成り立ち得るのではないのかなと思っています。

また、今、兄弟会社ということを申し上げましたけれども、銀行と、それから、事業会社を考えていった場合に、財務的に圧倒的にレバレッジの問題が違ってまいります。銀行の場合は、純資産、大体、今ですと5%ぐらいしかなくて、超ハイレバレッジのビジネスをやっています。なおかつ、資金調達の大半が預金という特殊なもので、事業のボラティリティーが大きいことはできないことになるのかなと思います。だからこそ、御当局の規制という形で、いろんな形で縛りが入っているのではないでしょうか。だから、純資産が5%ぐらいでもオーケーという世界なのかなと私は思っています。

一方、事業会社を見てみると、当然純資産は3割から5割ぐらいあって当たり前という世界で、銀行に業務規制を緩和するということがあったとしても、基本的には、なるべく兄弟会社で展開できるような形にしたほうがいいと思います。例外として、営業担当者に見回りサービスをしていただくとか、経営資源を分けることができないようなものも銀行本体でやるということについては、賛同をいたしますけれども、基本的には一般事業をやるわけですから、通常のレバレッジのエンティティで行うということが投資家に対しても見える化ということを確保することになって、よろしいのではないかなと思います。

ただ、兄弟会社の箱を使うということになりますと、1つ大きな問題が出てくるのは、銀行の持っている情報をどこまで兄弟会社と共有できるかというところであって、その制度設計も、今回の取組の中に重要な問題ということで位置づけて検討するべきではないのかなと私は思います。

以上でございます。

【神作座長】

ありがとうございました。

続きまして、河野メンバー、お願いいたします。

【河野メンバー】

河野でございます。私は何度も申し上げますけれども、専門的知見はございません。一般の国民の視点からということで発言させていただきたいと思っています。

本日の検討事項なんですけれども、これまで専門家の先生方が様々言及されておりますので、基本的な設置については、こういった規制の方針という方向に進んでいくことには賛同いたします。

1点目の業務範囲規制のところで地方創生等に資する業務と書かれてございまして、これは、やはり明確化が必要だということで、ガイドライン等で今後示されていくということなんですけれども、この方向性は、私も賛同いたします。

そこで地方創生の取組にはどういう事例があるんだろうと思って少し調べました。まち・ひと・しごと創生本部の事務局から、この5年間ぐらいで事例集というものが出されていまして、初年度は非常に事例が少なかったんですけれども、つい先般、今年の5月に公表された事例を拝見しますと、様々なカテゴリーにおいて、銀行、金融機関の皆さんが地方創生に資する取組というのをやっていらっしゃいます。こういったものを例示として書いていただければ、どういう方向性が許容されるのかというところで、私たち国民と、社会の理解が進むのではないかと思いました。

それから、2点目は、銀行主要株主規制のところで、本日はローソン銀行さんの取組事例を御説明いただきました。私は、このビジネスモデルの考え方として、収益源としての金融から機能としての金融へという考え方が、事業者さんによる銀行業参入のところの大きなポイントだと伺って、なるほどと思った次第でございます。常に、今ある金融サービスの中で顧客の視点に立ったらどういうサービスが求められるんだろうかという視点からスタートしてサービスの構築をされているということで、一般利用者からは選びやすいというか、選択をしやすいという提供の仕方だと思っています。

もう一つの利点は、やはりビジネスアイデアが出てきたら、それを身軽に社会実装ができる、サービス提供に即つなげられるということで、今回、金融機関がこの規制緩和をされるということなんですけれども、果たして本当に先ほどのローソン銀行さんが御提案になったような身軽に社会実装が本当にスピーディーに行われるのかというふうな辺りは大変気になるところです。銀行さんは、金融システムの中核をこれまでも担ってくださいましたし、これからも担っていくわけですから、意識改革、何によって立つのかと、規制緩和ありきではなくて、それを武器にして何をするのかというところをぜひ改めて考えていただければと思いました。

最後に、今後に向けて主要株主規制に関する今後の留意点というところで、デジタルプラットフォームをどう考えるかという御提案がございました。先ほど坂メンバーが懸念点を幾つか御指摘されておりましたけれども、私も同じような危惧を持っております。これまでの経済社会では、資本、資金を持つ者が一番優位にありましたけれども、これからは、データを所有する者が優位に立つというふうなバランス構造になっていくのだと思っております。どんな形でデジタルプラットフォーマーが金融に入ってくるのかは分かりませんけれども、昨年、フェイスブックがグローバルデジタル通貨、リブラの提案をしたときに、世界中が震撼したわけで、ワンアプリで簡便で、利便性の高い金融システムが別の枠組みの中でできてしまったら、それはそれで安心とか、安全とかいうところからは離れしまうと思いますので、漠然とした不安しか持っておりませんけれども、この辺りはしっかりと今後、ウオッチをしていただければと思っています。

以上でございます。

【神作座長】

ありがとうございました。

予定の時刻は過ぎておりますけれども、あとお二人から手を挙げていただいておりますので、延長をお願いし、ご発言いただきたいと思います。まず村岡メンバー、お願いいたします。

【村岡メンバー】

村岡です。今日、いろいろ話を聞いていてというか、改めて思ったんですが、要は金融機関の経営は大変だなと。私は金融機関の経営者じゃなくて本当によかった。これだけ手かせ足かせ縛られて経営するというのは本当に大変なことだと思いますので、私個人的には、方向性としては、緩和をするだけじゃなくて、なるべく規制をシンプルにしていく。それによって、金融機関の経営というものをもっとシンプルにする。それがひいては顧客の利便性であったり、あるいは地方創生であったり、経済全体に対する便益を増していくということにつながっていくものだと考えます。

3つだけ申し上げますと、1つは、従属業務のところで出ていましたが、バックオフィス機能に関するところですけど、エクセスキャパシティーがあるというのは、普通の企業ではあり得ないんですね。エクセスキャパシティーがあれば、それをなくそうとすることが、企業の健全性を高めていくことですので、この規制によって本当に金融機関の健全性を守ることにつながっているのかどうか。私はどちらかというと懐疑的です。

したがって、そもそもこの収入依存度規制というもの自体は必要あるのかどうかということも議論を今後していくタイミングに来ているんじゃないかと思います。基本的には、エクセスキャパシティーがなくなるように、金融機関の経営のインセンティブが向くような形にどうやって規制を持っていくか、あるいは規制をなくしていくかという考え方が必要だと考えます。

それから、2つ目は、外国子会社の件です。外国子会社・外国兄弟会社の件についても、現状をやっぱり見直すというタイミングに来ているんじゃないかと思います。そもそも、海外の金融機関が一般事業会社を傘下に持っていたとすると、それは、その国や地域では経営の経済合理性があるから1つのグループとしてやっているわけですので、何らか合理性があるはずです。

したがって、現地の当局の規制上それが問題なくということであれば、原則それを認める。ただし、入り口の段階で日本の当局、日本側の規制上大きな問題があるということであれば、入り口の段階で何らか規制を整理をしてもらうことにして、年限を制限するというやり方はそろそろ見直すという方向でもよろしいんじゃないかなと思います。

それから、3つ目は、株主規制の話ですね。今日のローソン銀行のお話が非常に分かりやすかったと思います。基本的には、一般事業会社側からの参入が金融業界全体、それから、特にユーザーにどういう利便性を与えているのか、それが非常に分かりやすく説明をされたと思います。ですので、一般事業会社からさらに参入を促すような方向で目線を少なくとも持っておいたほうがいいんではないかと私は考えます。

一般事業会社から参入するほうについては、もうからないところには参入してこないんですよね。したがって、補完的な形でやはり参入してくるのが多いと思いますし、かつ、実態はそうなっていると思いますから、今の時点で規制を強めるということは、必要ないと考えます。

私からは以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、最後に、全銀協の林オブザーバー、お願いいたします。

【林メンバー】

全銀協の林でございます。申し上げます。

ここまで多くの先生からコメントを頂戴しましたが、収入依存度規制の見直し、あるいは人材派遣業を本体の付随業務としていただくことについて、私どもとして大変心強い御意見を頂戴したと感じております。改めまして、現在の社会課題の解決に向けて、銀行グループがより一層力を発揮すべきと御指摘いただいていると理解をしております。身の引き締まる思いでございます。

本日、頂戴しております資料2については、大きな方向感を討議するための内容と理解しており、詳細、個別の規制緩和項目に関わる網羅的な議論、これは今後、より詳細に取り上げられていくものと理解しています。

1.(1)の付随業務においては、①に、保有リソースを活用した地方創生等に資する一定の業務の銀行本体の付随業務の追加について、例示として、自行用に開発したソフトウエア、アプリケーションの提供業務、あるいは見守りサービス等が記載されております。地方創生への貢献につきましてはその主旨を十分に理解しておりますが、我が国の抱える社会問題に対して銀行に期待される役割、あるいは果たすべき役割はもっともっと骨太であるべきと理解しております。そして、社会全体、デジタル化やSDGsへの力強い貢献など、より広い分野にまたがっており、そこに貢献してまいりたいということです。

全銀協は、今回の例示に限ることなく、広告ビジネス、あるいは②に関連する本体での人材派遣業務を含めて、前回様々な要望をお示ししております。これらについては、引き続き御検討を頂戴したいと思っております。

また、③に、下位規範やガイドラインで追加する付随業務の外縁を明確化することと記載をいただいておりますが、銀行がこれらの業務に新たに取り組む際の分かりやすさにつながることを歓迎しておりますが、外縁の取り方が狭くならないことも同時に重要と考えております。資料2に記載いただきましたとおり、機動的・柔軟に拡充できる枠組みをぜひ構築頂きたいと思っております。

1.(2)の従属業務につきましては、収入依存度規制の数値基準や対象となるグループの範囲の緩和の方向感が提示されておりますが、前回の会合では、保有リソースを活用して取引先等をより力強く支援をするための収入依存度規制の撤廃について要望申し上げております。今回、50%以上という案を提示いただいておりますが、この比率の算定、あるいはこの比率を守っていくための管理負荷もやはり相当かかっているという実態もあります。当然、従属業務が銀行本体に過度なリスクを及ぼすものではないということを踏まえ、あくまでも収入依存度規制を撤廃いただけないかと考えております。

また、2.に外国子会社・外国兄弟会社の業務範囲に関して、外国子会社買収の際の業務範囲規制適用猶予期間延長、さらに、延長する場合は金融庁の認可を要する旨示していただいておりますが、現地法制で認められている業務は、本邦業務範囲規定にかかわらず認めていただきたいと考えております。本邦金融機関による外国子会社買収はまさに記載のとおり、適切なガバナンスやリスク管理の下で、海外で金融機関が稼ぐ力を確保する、そのものでございまして、現地法制における競争上のイコールフィッティングの確保が非常に大事だと考えております。

また、前回は全銀協の資料に、対象外として要望に含めておりませんでした銀行主要株主規制に関しても言及いただいております。銀行グループのみの業務範囲に厳しい制約が課されている状態は健全ではないと思っており、主要国と比較しても非常に特別な状態です。イコールフッティングが確保された下で様々なプレーヤーが切磋琢磨し、創意工夫していくことが必要と考えております。

なお、このイコールフットの確保は、一般事業会社グループの規制を強めるということではなくて、銀行グループの規制緩和を行うことを通じて規制の壁の高さをそろえていくということが基本的な解決方法だと考えております。

冒頭に申し上げたことを繰り返しますが、今回は大きな方向感について議論を頂戴していると理解しております。今回、提示、例示されました内容に限らず、成長戦略フォローアップに記載の事項、あるいは前回会合において全銀協から要望いたしましたものも含めて、今後の我が国の社会課題や多様化するニーズ、これに併せて幅広い規制の見直しの御検討を頂戴できますようにお願いを申し上げます。

以上でございます。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

予定の時間をかなり大幅に過ぎております。まだまだ御意見があるとは存じますけれども、本日はここまでとさせていただき、次回以降、御発言いただきたいと思います。資料2で提示されました御提案については、おおむね御賛成という御意見が多かったと思いますけど、まだ踏み込みが足りないのではないかという御意見も多かったように思います。

他方、付随業務の概念ですとか、従属業務における収入依存度規制のような、そもそもの規制の存在意義といいますか、それらの基礎にある他業禁止にまで踏み込んだ御発言等もありました。様々な有益な御議論をいただきましたので、本日いただきました御説明や御意見を踏まえて、今後さらに議論を深めてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

最後に、事務局から連絡事項などがございましたら、お願いいたします。

【端本信用制度参事官】

次回のワーキング・グループの日程につきましては、皆様の御都合を踏まえた上で、後日、事務局より御案内させていただきます。よろしくお願いいたします。

【神作座長】

それでは、以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了いたします。遅くまで誠にありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局総務課信用制度参事官室(内線3572、3556)

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