金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」(第7回)議事録

  • 1.日時:

    令和2年12月16日(水)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室

金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」(第7回)
令和2年12月16日
  
【神作座長】

おはようございます。定刻より少し前ではございますけれども、皆様おそろいでございますので、ただいまより銀行制度等ワーキング・グループの第7回会合を開催いたします。皆様、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。

本日の会合もオンライン開催とし、一般の傍聴は「なし」とした上で、メディア関係者の皆様には、金融庁内の別室において傍聴いただくこととしております。

それでは早速、議事に移ります。本日は、本ワーキング・グループにおけるこれまでの検討を踏まえ、報告の取りまとめに向けて御議論いただきたいと思います。まず事務局より本ワーキング・グループの報告案について御説明を聴取した上で、メンバーの皆様に御討議いただくという流れで進めさせていただきます。

それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

【端本信用制度参事官】

それでは、まず資料2に沿って、銀行の業務範囲規制等の見直し案について御説明させていただきます。

まず考え方ですが、ポストコロナの日本経済の回復・再生、デジタル化や地方創生など持続可能な社会の構築に向けて、銀行規制を抜本的に見直す。2つ目の丸です。預金者保護の観点から、兄弟会社・子会社を中心に規制を緩和する。また、資金調達が公的なセーフティネットで保護されている点などにおいて、銀行は一般事業会社に対する優位性を有しているということも考慮するということでございます。

見直しの具体的内容でございます。業務範囲規制、(1)子会社・兄弟会社。左側が現行制度でございます。まず他業、金融業務以外を営む仕組みといたしまして、銀行業高度化等会社の下でデジタル業務を中心に営める。それから、従属業務会社ということで、収入依存度規制の下で、バックオフィス業務等を営めるということになっております。

見直し後が右側でございます。まず銀行業高度化等会社の外縁を法令で拡充いたします。デジタル等に加えまして、地方創生などの持続可能な社会の構築ということで外縁を大きく拡大いたします。この枠組みの下で引き続き銀行の創意工夫に基づいて幅広い業務を営むことが可能となります。

それに加えまして、認可要件を緩和した通常の子会社・兄弟会社認可で、現在の高度化等会社の下で営まれておりますフィンテック、地域商社、それから、従属業務の下で営んでいますアプリやITシステムの販売、データ分析・マーケティング・広告、登録型人材派遣、ATM保守点検などは営んでいただけるということでございます。フィンテック、地域商社については、認可要件が大きく緩和されますし、従属業務で営んでいる会社につきましては、収入依存度規制がこの枠組みの下ではなくなるということでございます。それに加えまして、持続可能な社会の構築という観点から、障害者雇用促進法に係る特例子会社、地域と連携した成年後見業務などをこのカテゴリーに追加してはどうかということでございます。その2つ下でございます。財務健全性、ガバナンスが十分なグループが銀行の兄弟会社において当該業務を営む場合は、認可不要、届出ということでございます。

従属業務会社につきましては、法令上の数値基準、50%以上という数値基準を削除することを考えております。

続きまして、(2)銀行本体でございます。銀行業の経営資源を活用して行うということで、アプリやITシステムの販売、データ分析・マーケティング・広告、登録型人材派遣、それから、幅広いコンサルティング・マッチング、ビジネスマッチングなどを規定してはどうかということでございます。

(3)出資規制でございます。投資専門会社によるコンサル業務を可能にいたします。それに加えまして、出資範囲・期間の拡充ということで、早期の経営改善・事業再生支援や、中小企業の新事業開拓の幅広い支援を可能にしていくということでございます。地域活性化事業会社、現行50%までの議決権保有となっておりますが、これを100%まで可能とするということでございます。

(4)国際競争力の強化の観点でございます。外国金融機関等の買収に係る環境整備ということで、日本の銀行法の業務範囲の枠外にある業務を営む子会社がある場合につきましても、現地の競争上必要があれば恒久的な保有を認めるということで、リース業や貸金業についても同様の仕組みにしてはどうかということでございます。日本の銀行法の業務範囲の枠外にある業務は5年以内に基本的に整理していただくという枠組みから原則を大きく変える抜本的な見直しと考えております。以上が銀行の業務範囲規制等の見直しの概要でございます。

続きまして、資料1に基づきまして、報告書案について御説明させていただきたいと思います。

まずⅱページ、目次でございます。第1章、銀行の業務範囲規制等のあり方、第2章、地域における金融機能の維持、第3章、その他所要の改正となっております。

1ページ、「はじめに」でございます。まず第1パラグラフ、日本の抱える人口減少等の課題、第2パラグラフ、新型コロナウイルス感染症の影響、第3パラグラフ、金融システムを巡る状況、第4パラグラフ、それを踏まえて金融機関に期待される役割が記載されております。2ページ、これを踏まえて諮問が行われたという紹介をさせていただいております。

続きまして、3ページ、内容に入ってまいります。第1章、銀行業務範囲規制等のあり方でございます。まず経緯でございます。まず2つ目、第2パラグラフで、兄弟会社業務範囲規制の創設、最後の2行辺り、兄弟会社の業務範囲については、社会経済情勢などの変化に応じて弾力的に対応する必要性があることが指摘されているということ。1998年の「新しい金融の流れに関する懇談会」、これも最後の行、機能に着目した横断的な金融法制を整備する必要性が指摘されているということでございます。

「近年」ということで、次のパラグラフでございます。1つ目の黒ポツ、銀行業高度化等会社が2016年に創設されております。それから、次のポツでございます。2018年の金融制度スタディ・グループの中間整理、次の4ページ1つ目のポツ、銀行の業務範囲規制の趣旨のうち、利益相反取引や優越的地位の濫用、他業リスクは、今後も適切に防止・管理される必要がある。2つ目のポツ、検討の際は、①銀行持株会社を頂点とする銀行グループと、銀行を保有する一般事業会社グループとの間の規制のイコールフッティングなどが論点となる。3つ目の丸、セーフティネットで保護すべき部分とそれ以外の部分の分離可能性に配慮しつつ検討する必要があるという指摘がございます。

続きまして、(2)検討の視点でございます。まず1つ目のパラグラフ、岩原先生をはじめとする有識者のプロジェクトを紹介させていただいております。具体的内容については、注9に記載させていただいております。次のパラグラフ、上記(1)で挙げた規制の趣旨やセーフティネットの存在にも留意するということで、セーフティネット、現行の制度を紹介させていただいております。

5ページ目の一番下になります。本ワーキング・グループは、以上に配慮した上で、ポストコロナの日本経済の回復・再生、デジタル化や地方創生など持続可能な社会の構築に向けて、銀行・銀行グループの業務範囲の拡充などを提言するものであるということでございます。

続きまして、6ページ、業務範囲規制でございます。まず1つ目のパラグラフ、今回の改正の基本的な考え方でございます。1つ目の丸の最後の2行辺り、他業は、セーフティネットで直接保護される銀行本体との間で一定のリスク遮断がなされている子会社・兄弟会社を中心に営むことを認める。次の丸、最後の3行ぐらいです。今回は、①この高度化等会社の考え方をさらに進めて、業務の外縁を拡充するとともに、②高度化等会社の保有に当たって必要な手続を業務の実績やリスク、銀行・銀行グループの財務健全性やガバナンスに応じて緩和するという考え方でございます。

①子会社・兄弟会社でございます。高度化等会社の業務の拡充ということで、まず現行の制度の紹介が初めのパラグラフにございます。7ページになります。これについてということで、2行目から、高度化等会社がデジタル化に加え、地方創生をなど持続可能な社会の構築に貢献することを幅広く可能とすべく、法律に規定された業務の外縁をさらに拡充することが考えられるということで、注14の最後の3行目辺りです。例えば高度化等会社の認可に際し金融庁が個別金融機関に示した考え方を可能な範囲で公表するなど、金融庁として制度の適切・円滑な利活用に向けて取り組むことが考えられるという御意見を記載しております。

「また」以降でございます。銀行・銀行グループが従属業務として営んできたバックオフィス業務、そのパラグラフの最後の2行目、そうした業務について、高度化等会社の認可の枠組みの中で収入依存度規制の制約なく営むことを可能とすることが考えられるということでございます。

続きまして、「一定の高度化等業務」の認可基準の緩和でございます。まず一定の高度化等業務の認可基準を緩和するものの具体的な考え方でございます。1つ目の丸、銀行・銀行グループが営むことへの期待が高いと考えられる業務、2つ目の丸、金融業務との関連性、3つ目の丸、これまでの業務の実施状況等に鑑みて他業リスクや優越的地位の濫用、利益相反取引の著しいおそれがあるとは認められない業務、以上を一定の高度化等業務といたしまして認可基準を緩和することが考えられるということでございます。

具体的には、一定の高度化等業務は内閣府令に個別列挙ということで、注16にそれを記載しております。それから、通常認可をするということで、通常認可の内容については注17のほうに記載させていただいております。8ページ、一定の高度化等業務は、今後の業務の実施状況やニーズの変化などを踏まえて機動的に変更していくことが考えられるということでございます。

続きまして、兄弟会社に係る特例ということで、2つ目のパラグラフ、「具体的には」以降でございます。財務健全性やガバナンスが一定以上であることについて認定を受けた銀行グループが、兄弟会社において営む場合は、個別認可を不要として届出制とすることが考えられるということで、注19で、財務健全性については、米国金融持株会社制度を参考にすると記載させていただいております。ガバナンスにつきましては、例えばという例示でございますけれども、銀行持株会社が指名委員会等設置会社であるということを要件の1つとすることがそれぞれ考えられるということでございます。それから、注20でございます。兄弟会社・子会社の話ですけれども、今後も引き続き銀行本体へのリスク遮断などに係る子会社・兄弟会社の差異に応じて、両者の規制に差異を設けていく必要があるとの指摘もあると記載させていただいております。

また本文に戻っていただけますでしょうか。本体でございます。2つ目のパラグラフ、「こうしたことを踏まえ」の後でございます。銀行業に係る経営資源の有効活用に当たる範囲内において、銀行本体がデジタル化や地方創生など持続可能な社会の構築に資する業務を営めるようにすることが考えられるということで、法令において個別に明確化すべきであるということです。具体的には、銀行本体の法律上の付随業務に、銀行業に係る経営資源を主として活用して営む業務であって、デジタル化や地方創生などの持続可能な社会の構築に資するものを追加した上で、次のページ、その具体的内容は内閣府令に定めて外縁を明確にし、制度の実施状況やニーズの変化などを踏まえて機動的に変更できる枠組みとすることが適当であると。その内閣府令の具体的内容は、注24に記載させていただいております。

③その他、従属業務でございます。銀行・銀行グループのバックオフィス業務に当たる従属業務、このパラグラフの最後、収入依存度規制により従属業務が銀行・銀行グループのために営まれていることを確認してまいりました。これにつきましては、次のパラグラフの3行目辺りから、しかしながら、収入依存度規制がこうしたグループ外への柔軟な提供を阻害しているとの指摘もあるということで、具体的には以下のとおりということで、登録型人材派遣などについては、一定の高度化等業務や銀行本体の付随業務として規定し、収入依存度規制の制約なく営むことを可能とする。これ以外の業務につきましても、他業認可を受けることで、高度化等会社の枠組みの下で収入依存度規制の制約なく営むことを可能とするという、先ほどのことを再度追記させていただいています。

「また」以下でございます。厳しい経営環境にある銀行・銀行グループは、バックオフィス業務を共同化して合理化・効率化を図り、経営余力を捻出する必要があるということで、具体的な内容として、下の黒ポツのところ、収入依存度規制に係る法令上の数値基準を撤廃する。

10ページになります。上記「銀行等」の範囲を拡充し、銀行・銀行持株会社の子法人等・関連法人等までを含める。これについての考え方が注28でございます。銀行の子会社・兄弟会社業務範囲規制の趣旨が、監督指針において、関連法人等にまで及ぼされていることとも整合的であるということでございます。

3つ目の丸、複数の銀行グループに業務を提供する従属業務会社に係る規律を、親銀行グループのみに業務を提供する従属業務会社に係る規律と同様とするということでございます。

続きまして、共通・重複業務でございます。2つ目のパラグラフでございます。共通・重複業務は多岐にわたりますが、例えば福利厚生に関する業務や事務用物品の購入・管理業務につきましては、最後の1行、認可制から届出制に移行することが考えられるということでございます。

続きまして、(2)出資規制でございます。現行制度の趣旨から記載させていただいております。議決権取得等制限は、銀行・銀行グループの業務範囲規制の趣旨が、一般事業会社の議決権の取得・保有により没却することを防ぐためのものである。同時に、地域において資本性資金の供給主体が不足している状況に鑑み、投資専門会社を通じたベンチャービジネス会社や事業再生会社などへの出資については例外とされているということでございます。

次のパラグラフ、最後の3行でございます。引き続き投資専門会社経由での出資を基本とし、個別性が高く資金調達が容易でない非上場の会社に関して、議決権取得等制限の例外を拡充することが考えられるということでございます。

具体的内容は、①から下に参ります。まず①投資専門会社の業務範囲の拡大ということで、「これについて」以降でございます。投資専門会社のハンズオン支援能力を強化するため、コンサルティング業務などを業務に追加することが考えられるということでございます。これに関しましては、注35がございます。一番下でございます。銀行・銀行グループの投資専門会社のハンズオン支援能力をさらに強化する観点からは、非上場株式などの円滑な取扱いを可能にすることが重要との指摘もあるということを記載させていただいております。

また本文に戻っていただけますでしょうか。「なお」以下でございます。投資専門会社がコンサルティング業務をも営むようになると、出融資先企業による投資専門会社への依存が高まり、事業再生の局面などにおいて優越的地位の濫用や利益相反取引のおそれが高まるとの指摘がある。銀行・銀行グループはこうした懸念に留意し、投資専門会社において顧客利益を保護するための体制を適切に整備することが求められる。

②地域経済の支援強化のための出資範囲の拡充ということで、まずベンチャービジネス会社でございます。1つ目のパラグラフの最後です。現在は常勤研究者の人数などに関する数値基準を満たすことが要件とされておりますが、次のパラグラフ、これについて、様々な業態における新たな事業分野の開拓を幅広く支援する観点から、ベンチャービジネス会社に係る要件を緩和することが考えられるということでございます。

続きまして、事業再生会社・事業承継会社でございます。1つ目のパラグラフの最後の3行目にございます。現在は、財務状況が相当程度悪化した会社が主な対象となっております。次のパラグラフ、これについて、銀行・銀行グループによる早い段階からの経営改善・事業再生支援を可能とするため、事業再生会社に係る要件を緩和することが考えられるということでございます。それから、次のパラグラフの最後の2行でございます。事業承継会社の議決権の保有可能期間に係る要件は、事業再生会社と同程度、具体的には10年ということですけれども、まで緩和することが適切である。

13ページに参ります。地域活性化事業会社でございます。2つ目のパラグラフでございます。地域の「面的再生」の取組は、今後さらに重要性を増すと考えられますので、最大で100%の議決決取得を認めることが適当である。

続きまして、(3)外国子会社・兄弟会社の業務範囲でございます。1つ目のパラグラフ、外国業務に経営資源を投じ、「海外で稼ぐ力」を強化することは、最後の行、日本国内に利益をもたらすと言えると。次のパラグラフでございます。現行制度上、銀行・銀行グループが買収した外国銀行などが保有する外国子会社については、業務範囲規制に抵触する場合、買収後5年以内に売却することが「原則」とされております。また、一般事業を兼営する外国のリース会社や外国の貸金業者については、買収自体が認められていないということです。

これについて、「具体的には」という、ページの一番下のところです。上記「原則」を変更し、以下のように取り扱うことが考えられるということでございます。業務範囲規制に抵触するものであっても、一律に、買収後10年間は業務範囲規制の適用を猶予する。その後につきましても、現地における競争上の必要性があれば、10年間の猶予期間内に承認を受けることで、期間の制限なく継続的に保有することを認める。これ以外の場合でも、やむを得ない事情があれば、1年ごとに承認を受けることで適用を猶予するということです。一般事業を兼営する外国のリース会社や貸金業者についても同様の取扱いとすることが適当であるということでございます。

続きまして、(4)銀行主要株主規制等でございます。1つ目のパラグラフは、主要株主規制創設時の趣旨。それから、それについての、次のパラグラフ、以下の指摘ということで2点ございます。まず1つ目の黒ポツ、銀行持株会社を頂点とする銀行グループについては、兄弟会社含めたグループ全体に業務範囲規制などが課されます。一方、銀行を保有する一般事業会社には主要株主としての規制は課されますけれども、業務範囲規制などが課されない。こうした規制の差異の合理性。もう一つの御指摘といたしましては、銀行主要株主規制の創設から約20年間の社会経済情勢の変化を踏まえた対応の必要性と、この2点の御指摘がございます。

これにつきまして、まず①現状の評価でございます。一般事業会社が銀行を保有する場合ということでございますけれども、2つのパラグラフ、「他方」以下でございます。今日一般事業会社が保有する銀行は、実態として事業性融資を広くは取り扱っていないなど、提供している銀行機能は限定的である。「また」以降でございます。銀行グループの規制の差異に関しましては、銀行グループの業務範囲規制は、累次緩和されてきているということ。それから、2つ目のポツです。銀行グループにつきましては、充実したセーフティネットが整備されているということでございます。

このほかということで、一般事業会社が保有する銀行が、少なくとも現在までの間、それら以外の伝統的な銀行にはない形で課題を顕在化させたとは言い難いことを踏まえまして、現在銀行を保有している一般事業会社について、銀行主要株主としての追加的な規制を直ちに課す必要はないと考えられるということでございます。

続きまして、②社会経済情勢の変化を踏まえた今後の留意点ということで、1つ目のパラグラフ、直近では、いわゆるビッグ・テックなどのテクノロジー企業の躍進が見られるということでございます。こうした点を踏まえまして、1つ飛びまして、以上の将来的な課題に対応するためということで、引き続き、以下の観点から検討を行うことが考えられると。

まず1つ目の黒ポツでございます。事業親会社グループが保有する銀行について、その規模などに鑑みて金融システムに著しく大きい影響を及ぼし得ると考えられる場合にはということですけれども、通常よりも厳格な自己資本規制を課す必要があるのではないか。加えてということで、銀行の危機時におけるグループによる支援など、システム上重要な業務を継続するために必要な方策を平時より策定するよう求める必要があるのではないか。さらに次のポツでございます。事業親会社グループが銀行業を併せ営むことによって生ずる優越的地位の濫用などがないよう、モニタリングを適切に行っていく必要があるのではないかということでございます。以上が銀行でございます。

続きまして、3、協同組織金融機関でございます。信用金庫や信用協同組合は地域密着型金融の重要な担い手である。現に成年後見業務を行うなど、地域に寄り添った独自の取組を進めているということでございます。このためということで、今回の改正の考え方です。協同組織金融機関についても、協同組織金融機関の本来的な役割は、相互扶助という理念の下で、中小企業及び個人への金融仲介機能を専ら果たしていくこと。この役割を十分に果たすべく、税制上の軽減措置が講じられているという考え方の下制限されてきたという経緯も踏まえながら、その保有する経営資源を地方創生等に役立てるという観点から、その業務範囲規制等について、銀行に係る見直しと同じ趣旨で見直すことが考えられるということでございます。

続きまして、4、保険会社でございます。保険会社におきましては、地域社会、さらには持続可能な社会の構築への貢献を進める動きが見られます。また、外国業務に経営資源を投じ、「海外で稼ぐ力」の強化を目指すものも存在します。今般、銀行の業務範囲規制等の見直しを検討するに際しては、同じ趣旨で保険会社の業務範囲規制等についても見直してはどうかということでございます。

「また」以降でございます。現在、保険会社・保険会社グループは、地域活性化事業会社の保有や、持株会社による共通・重複業務は認められておりませんけれども、2つ目のポツ、地域活性化に貢献することや、経営の効率化・合理化を図ることは、保険会社・保険会社グループにも求められることなどを踏まえまして、新たに認めることが考えられるということでございます。

見直しの具体的な内容は次のページ、表で整理させていただいております。注2、注3は、銀行と違う取扱いをしている理由を、信用金庫・信用協同組合の単位組織については注2、保険持株会社につきましては注3に整理させていただいております。

続きまして、20ページ、第2章、地域における金融機能の維持ということでございます。地銀等が厳しい経営環境の下、顧客ニーズに対応して貸出しにとどまらない総合的な金融サービスを提供し、ポストコロナの地域経済の回復・再生に貢献するためには、経営基盤の強化が従来にも増して重要となる。地銀等の経営基盤強化に向けた戦略は様々で、いずれの戦略を選択するかは各地銀等の経営判断によりますが、地銀等の経営基盤強化の選択肢をさらに拡充する施策が求められるということで、第2章の政策になってまいります。

2、対応の方向性。まず(1)兼業の代理業者による貸付けの代理・媒介の制限緩和ということでございます。2つ目のパラグラフ、今後、人口減少地域などでは、従来型店舗の維持が困難となるようなことも考えられます。その際には、地域の利用者利便が低下しないよう最大限配慮することが重要となる。

21ページに参ります。このような観点から、人口減少地域などにおいて従来型店舗を縮小する場面について、既存顧客への対面サービスを可能な限り維持することを目的として、一般事業を併せ営む代理業者が取扱可能な貸付けの範囲に係る制限を緩和することが考えられるということです。その際ということですが、優越的な地位の濫用、利益相反などの弊害については、現行制度上設けられている規制を実効性ある形で運用することにより適正に防止することが重要であるということでございます。

注55が下にございます。緩和に当たっては、与信審査を所属金融機関が行うことを条件とすべきとの指摘もございますが、こうした指摘の背景、①、②ございます。こうした懸念を払拭すべく、現行規制を実効性ある形で運用することが重要であるということを記載させていただいております。

本文に戻っていただきまして、(2)地域密着型の持続可能なビジネスモデルと非上場化ということです。非上場化を通じてより地域経済に関係の深い安定的な株主構成が実現されれば、地域密着型の持続可能なビジネスモデルの構築に資するという御議論がございました。これにつきましては、ガバナンス(情報開示、機関設計)、それから、株式流動性が低下するとの指摘もありました。それぞれについての現行制度を以下のパラグラフで整理させていただいております。

続きまして、(3)資金交付制度の創設でございます。まず、①基本的な考え方。地銀等には、ポストコロナの地域経済の回復・再生を支える「要」としての役割が期待されていると。次のパラグラフでございます。このため、地銀等がこうした役割を果たせるよう、地銀等が合併・経営統合等の抜本的な事業の見直しを行う際の時限的な支援措置として「資金交付制度」を創設することが考えられるということです。

以下の5点、主な指摘、アからございます。まずア、合併・経営統合は各地銀等の自主的な経営判断に基づくものであることを前提に、地銀等からの申請に基づく制度とする。イ、人口減少などにより特に経営環境の厳しい地域における貸出しを含む利用者ニーズの高い基盤的な金融サービスの維持・強化を目的とする。このため、対象となる地銀等は地域における貸出しを含む利用者ニーズの高い金融サービスの提供において相当程度の役割を果たしており、他の機関ではその役割を代替できないと考えられる先とする。ウ、資金交付の申請の際に計画の提出を求めます。その実施状況をモニタリングする仕組みとすることで、地銀等の救済を目的としたものではないということを明確にする。エ、支援は、抜本的な事業の見直しに伴い必要となる追加的な初期コストの一部とし、経常的な経費への支援は行わない。また、資金交付の際には、金融機関相互間の適正な競争環境を阻害しないか審査する。オ、財源は税財源(国の一般会計税収)を使用しないこととし、預金保険機構の金融機能強化勘定の利益剰余金を活用するということでございます。

以下、②対象金融機関、24ページ、③経営強化計画の提出・審査、④資金交付額、⑤財源、⑥監督・モニタリング、⑦申請期間ということで整理させていただいております。

続きまして、26ページ、その他所要の対応でございます。まず合併転換法関係ということで、(1)業務継続の円滑化、(2)代理業者等による業務継続ということで所要の規定を整備してはどうかということで整理させていただいております。

続きまして、27ページ、預金保険法関係でございます。預金保険法につきましては、これまでの預金保険制度の運用等を通じて明らかとなった実務上の課題認識を踏まえ、より円滑な運用を図っていく観点から、以下の規定の整備を行うことが考えられるということで、まず(1)預金者等の保護や破綻金融機関の債権者間の衡平を図るための貸付けということでございます。これにつきましては、注71、金融審議会、山本委員の意見書へのリンクを貼らせていただいております。それから、数字も含めてイメージできるようにということで参考を入れさせていただいております。

続きまして、28ページ、(2)破綻金融機関から救済金融機関への円滑な事業譲渡等に係る手続ということで、これは2つ目のパラグラフ、「例えば」以降でございます。そのままでは救済金融機関が承継しないような高金利・長期の預金契約について、手続規定を整備するということでございます。

(3)預金保険機構による破綻金融機関の経営者や債務者に対する調査ということでございます。2つ目のパラグラフでございます。保険金支払方式についても、資金援助方式と同様の対応ができるようにということの観点からの整理ということでございます。

続きまして、29ページでございます。金融機能強化法関係でございます。3つ目のパラグラフでございます。金融機能強化勘定については、返済見込みのある金融機関に対して金融機能強化法に基づいて資本参加を行うという基本的考え方は維持しますけれども、資本参加に関して将来生じ得る様々なリスクに対応するということで、金融機能強化勘定の財務の健全性を確保する観点から、他勘定からの廃止時における繰入れを可能とする規定を設けてはどうかということでございます。

最後、30ページでございます。「おわりに」ということで、読み上げさせていただきます。今後、銀行・銀行グループが創意工夫を凝らし、これまでよりも幅広い一般事業を含めた総合的な金融サービスを展開して、ポストコロナの日本の社会経済を力強く支えていくことを期待したい。銀行・銀行グループの業務範囲規制については、今後も、今回を含めたこれまでの規制の見直しが、社会経済の活性化や課題解決、企業・産業の支援に実際に貢献したのか、収益の改善を含め、銀行・銀行グループの持続可能なビジネスモデル構築に現実に役立ったのかなど、可能な限り検証するとともに、一般事業会社をはじめとする社会経済の幅広いステークホルダーの声を受け止めつつ点検し、必要に応じて見直しを検討すべきであるという形でまとめさせていただいています。

以上でございます。

【神作座長】

御説明どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を踏まえて、メンバーの皆様に御討議いただきたいと存じます。御説明に対する御質問がございましたら、併せて御発言いただければと思います。御発言をされる際は、オンライン会議システムのチャットに全員に宛てて、御自身のお名前を入力、送信してください。それを確認して私が御指名をさせていただきますので、御自身のお名前をおっしゃっていただいた後、御発言をお願いいたします。どなたからでも結構でございますので、御発言をお願いいたします。

それでは、岩下メンバー、お願いいたします。

【岩下メンバー】

岩下でございます。ありがとうございます。意見を述べさせていただきます。ただいまの御説明ありました本ワーキングの報告案につきまして、賛成をさせていただきます。コロナ禍にあって、地域経済を支えるための要として機能している地域金融機関を支えるといった言葉が随所に現れてきました。金融機関の業務範囲規制の見直しによって、金融機関に自主性を許しつつ、その経営改善を支援していくということは極めて大事なことであり、かつ迅速に行う必要がございますので、今回の内容につきまして賛同させていただきます。

その上で2点だけコメントを申し上げさせていただきます。総論的な話ですが、今回の見直しというのは、まさに最後のまとめのところにあったように、銀行の専業義務をどのように見直していくかということで過去20年以上にわたって議論されてきた内容の1つの通過点であって、ゴールではないということですね。その意味で、今回の見直しのそもそもの理念として、銀行の専業義務をどう考えるべきかというところについて様々な意見が出されて、それについて議論が行われたということは極めて有意義だったと思います。

こういった制度の根幹に関わる議論ですので、そう簡単に変えることはできません。かたがた、今回のコロナの状況に対応しての政策対応というのはタイミングを早く行う必要がありますので、そういった時間的制約も含めて考えますと、そもそも論を抜本的に議論していく余裕というのが十分には取れなかったということはやむを得ないことだと思います。

ただ、今後のことを考えますと、10年単位で銀行の専業義務が大きく見直されてきている中で、今回かなり拡充されて、高度化等会社による新たな業務範囲とか、あるいは収入依存度規制の実質的な撤廃であるとかといったようなことに加えて、さらに金融機関の自由度を増し、自主性を増して、独創的で、かつ多様な金融サービスを展開することにチャレンジする機会を与えることは極めて大事なことだと思いますので、弊害防止措置にも十分注意しながらですけれども、そういうことを進めていくべきだということが第1のコメントです。

第2のコメントは、それとやや関連するんですが、どうしてもこの手の話になりますと、両論併記になります。弊害はあるけれども、弊害防止措置を講じつつ規制緩和を進めていきましょうという話になるわけですが、ともすると、両論併記の弊害のほうにアクセントが置かれる傾向がこれまでも多かったように思います。

今回の報告書の読み方なんですけれども、確かに例えば様々な弊害が発生し得る可能性について、そのリスクが著しく大きい場合は認めるべきではないといったような限定がありますけれども、最後の認めるべきでないという部分をあまり強調し過ぎないでほしいということです。基本的にはやはり規制を緩和する方向だということとして報告書を私は受け止めております。その意味では、今回の報告書の中でいろいろと指摘されたリスクの可能性、様々な競争上の問題とかガバナンスの問題とかについて、もちろんリスクはあり得るけれども、そのあり得るリスクをきちんと対策を講じればそれに対する対処はできるんだよという精神の下で、原則として規制を緩和する方向に歩み出したというところをぜひ忘れないでいただきたいということが2つ目のコメントでございます。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、坂メンバー、お願いいたします。

【坂メンバー】

お取りまとめありがとうございました。非常にめり張りのついたいい報告書が出来たのではないかと思っております。若干の要望も含め、期待も込めて、4点ほど発言させていただければと思います。

1点目ですけれども、実体経済は、現在の生産設備を前提としての仕事の分担と、生み出される財やサービスの分配であって、信用をつなぐ金融と、所得移転、公的投資を行う財政活動は、実体経済を回す車の両輪であろうと思います。金融の役割は今後とも重要であって、信用をつなぐだけではなく、信用の関係をつくり出すこと、信用できる状況をつくり出していくことが期待されると思います。金融機関には金融仲介機能の発揮による地域経済社会への積極的な貢献を引き続きお願いしたいと思います。

2点目です。他方で今回の制度見直しによって、金融機関はより広い範囲で他業を営むことが可能となります。他業進出によって社会的摩擦が生じることがないよう配慮しつつ、グループ内外の多方面の知見や経験とも連携しつつ、銀行の持ち得る資源や能力を他業においても発揮する取組を期待したいと思います。

3点目です。今回の業務範囲の拡大を可能とした背景には、過去10年、20年の蓄積があると思います。これまでの利益相反管理や優越的地位の濫用防止の取組、ルールに基づく事後規制やプリンシプルベースの規律の拡大、それから、レグテック等情報や技術を用いた監督の可能性、金融ADRにおける紛争解決の蓄積等、10年前、20年前と比べて状況は変わってきていると思います。もっとも業務範囲の拡大により、利益相反や優越的地位の濫用のリスクが高まる面があることは否定できません。制度具体化に際し、業務範囲の外縁を適切に画するとともに、認可や監督におけるより実効的な運用をくれぐれもお願いしたいと思います。また、新たな状況の中で新たな課題が生じたときには、迅速かつ的確な対応をお願いしたいと思います。課題への対応力をつけていくということが大事と思います。

4点目ですけれども、困難な地域の地銀等への資金交付制度については、地域の金融機能のために生きる資金としてほしいと思います。地銀等の合併や組織統合は選択肢であり得ていいと思いますが、あくまでも目的は地域の金融機能の維持・改善、地域経済社会への貢献であって、資金はそれに資するものに広く生かしてほしいと思います。

以上です。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続いて、西原メンバー、お願いいたします。

【西原メンバー】

ありがとうございます。JPモルガンの西原です。私も本報告書案には賛成の立場です。まず、報告書案には、金融システムの安定を確保しながら、経済回復と持続的成長に資する銀行制度の在り方を検討するという諮問事項に対し、銀行がセーフティネットで守られているという、一般事業会社に対する優位性を持つことや、現行の銀行法の枠組みということに鑑みた上で、現時点ではかなり踏み込んだ、抜本的な銀行規制の見直しが盛り込まれたと考えております。

特にジャパナイゼーションと言われるなど超低金利環境の長期化等により、金利収入を成長の糧としてきた銀行のビジネスモデルの持続性が問われています。人口減少など環境悪化が厳しい地銀では、地域の経済回復へのコミットメントの持続性も懸念されています。こうした中で、銀行が新規業務を切り開いていくことを後押しするような、そうした規制緩和になったと思います。

具体的には、業務範囲規制の緩和につきましては、銀行と高度化等会社の業務範囲を拡大すること、また、一定の高度化等会社をあらかじめ個別列挙することで、通常認可で他業を行えるようにすること、さらに、メガバンクなど主要行や大規模地銀など財務の健全性やガバナンスが十分なグループにおいては、認可制ではなく届出制で他業を営むことができるようにすることなどが抜本的な見直しと考えます。さらに、本体の経営資源を活用するデータビジネスとか、広告とか人材派遣などを銀行本体でも行えるようになるという点も大きな見直しだと思います。

従属業務会社への収入依存度規制の撤廃については、代わりに設けるガイドラインがあまり厳しいものにならないようにとの注意点はありますが、ここも大きな見直しとなったと思います。

最後に、メガバンクによる外国金融機関の買収後の保有期間の制限の緩和とか、リース会社など買収対象を緩和したこと、こちらもメガバンク等日本のビッグバンクがグローバル銀行と競争していく上で環境を改善するような見直しになったと思います。

引き続き、優越的地位の濫用や利益相反の問題を運営上注意していくということではありますが、こうした抜本的な規制緩和の下で、銀行や銀行グループには幅広い新規業務を切り開き、自らの経営基盤を強化して、その持てる力をぜひ経済再生やデジタル化、地方創生などに最大限に発揮していただきたいと考えます。

第2に、資金交付制度の創設も地域金融機関の経営基盤強化のための1つの選択肢としての合併・経営統合の経済的なハードルを引き下げる効果があると非常に期待をしています。

最後に、今後の課題でございますが、本報告書案では、銀行持株会社とデジタルプラットフォームの規制のイコールフッティングにつきましては、銀行主要株主規制としては追加的な規制を直ちに課す必要はないとまとめています。デジタルプラットフォームによる金融分野の市場シェアは、何度か申し上げましたように、既に高まりつつあり、今後も急速に高まる可能性があるということに鑑み、報告書案にも書かれていますように、銀行を保有するデジタルプラットフォームが金融システムに与える影響において、銀行持株会社と同じような目線で見て、システムに与える影響が一定程度を超えた場合には自己資本規制などを課すことを引き続き検討していくべきだということ、その際に、企業の提供するサービスにおける金融と非金融業の垣根が低くなっている中で、縦割り行政によって規制に抜け穴が生じないように、機能別・市場別の観点から、1つの目線でモニタリングをしていくことも引き続き検討をしていく必要があると考えます。

以上です。どうもありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、加藤メンバー、お願いいたします。

【加藤メンバー】

取りまとめありがとうございました。私からは、細かい点になるかもしれませんが、2点コメントをさせていただきます。

1点目は、業務範囲規制の緩和と利益相反取引や優越的地位の濫用に関する規制との関係についてです。業務範囲規制を緩和することによって、利益相反取引や優越的地位の濫用の危険が増加する可能性があります。しかし、これらは優越的地位の濫用や利益相反取引を対象とした規制によって対処できるという判断の下に業務範囲規制を緩和することは、合理的であると考えます。

この点に関連する記述が、報告書の注18や注21にあります。これらの記述は、兼業の代理業者の業務範囲規制の緩和については、より具体的にこのような規制があるから業務範囲規制を緩和できると言及されていることに比べると、少し抽象的過ぎるとの印象を持っています。可能であれば、現在の規制によって十分対応可能であることを具体的な形で強調するべきであると考えます。

2点目は細かいかもしれないのですが、注35の記載についてです。注35の記載については、趣旨が不明確であるように思います。たとえば、この注35の読み方としては、銀行・銀行グループの投資専門会社のハンズオン支援能力をさらに強化することによって非上場株式などの円滑な取扱いが可能になるということなのか、それとも、投資専門会社が非上場株式などの取扱いを増やすことによって投資専門会社のハンズオン支援能力が蓄積されるということを言っているのか、どちらにも取れるような記述になっております。発言された方の意図に沿った記述になっているか、発言者の方に確認されてはどうかと考えます。

私からは以上です。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。ただ今、注18、21についてと、それから、注35について、この表現ぶりを改めてはどうかという御指摘があったと思いますけれども、この点について、事務局から何かコメントございますでしょうか。

【端本信用制度参事官】

まず注18と21につきましては、記載ぶりを検討させていただきたいと思います。

注35につきましては、今回、投資専門会社の業務範囲にコンサルティング業務などを追加すると。それにとどまらず、業務範囲としてもう少し非上場株式の扱いなどを含めて検討してはどうかという御意見をいただきましたので、そういう趣旨で記載させていただいております。

【神作座長】

加藤メンバー、いかがでしょうか。あるいは、この注35に関連する御意見をお持ちの方、併せて御発言いただけますと幸いに存じます。いかがでしょうか。

【翁メンバー】

多分、私、この点発言したと思うんですが、今、私、発言させていただいてよろしいでしょうか。

【神作座長】

はい、どうぞ、翁メンバー。

【翁メンバー】

この点に関しましては、やはり投資専門会社が中心になって地域の企業の事業再生を行おうとすれば、単にそこに出資をするだけでなく、その企業の再生を考えたときに、どういうところと一緒になってどういうビジネスモデルを考えていくかということで、その上場株式を持つ事業会社がどんなところかということでビジネスモデルのイメージ、ビジネスモデルが固まっていきます。ただ、今の業務範囲ですと上場株式の扱いがやりにくい状況になっておりますので、事業再生に本格的に取り組めない状況なのではないかと。ですので、こういった非上場株式などをしっかりふさわしい企業にあっせんしたりすることができるような枠組みというのも重要なのではないかという趣旨で申し上げました。

【神作座長】

大変ありがとうございました。加藤メンバー、御発言の御趣旨に照らしよろしゅうございますか、今御説明いただいたような内容で。

【加藤メンバー】

ありがとうございます。ハンズオン支援能力をさらに発揮させる、生かすためにはどうすればよいか、そういう趣旨のご指摘であるということを理解いたしました。ありがとうございました。

【神作座長】

事務局にお願いいたします。この点についても、また表現ぶりを検討していただけますでしょうか。

【端本信用制度参事官】

はい、明確にさせていただきます。

【神作座長】

よろしくお願いいたします。ありがとうございます。続いて、高田メンバー、お願いいたします。

【高田メンバー】

どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。

【神作座長】

はい、よろしくお願いします。

【高田メンバー】

御説明をいただきまして、ありがとうございました。また、今回の銀行制度等ワーキング・グループの報告書に基本的に賛同いたします。7回にわたる議論の取りまとめ等、また、今回の報告書の御対応に改めて御礼申し上げたいと思います。

今回の議論を総括して、幾つかコメントをさせていただきたいと思います。私、第1回目のときに機会をいただきまして問題提起させていただいたんですけれども、そのときに申し上げたかった点は、地域の銀行が商業銀行を中心とした預貸モデルという観点からは、構造不況というようなかつてない状況にあるということではなかったかと思います。当時、戦後、構造不況ということでいえば、産業政策でいえば4段階的な対応ということで、構造不況認定をしながら独禁法の適用除外をし、2番目にそれによる再編、3番目に持続性のある収支構造、そして、ある程度新たな収益分野、場合によっては業態転換というようなことが議論されたわけでありますけれども、そうしたフローを今回地域の銀行に当てはめる動きがあるのではないかと思います。

それから、7回の議論をして3か月近くがたったわけでありますけれども、ちょうど11月に独禁法の特例法の施行もございましたし、それから、交付金制度、それから、こうした審議会での一連の対応ということで、今申し上げた4段階のプロセスにおけるミッシングピースがかなり埋まるような状況になってきたと思います。

ただ、留意すべき点というのは、今回の対応というのは、地域の銀行の生き残りということが目的だけではなくて、あくまでも今回のコロナ禍における非常に厳しい環境にもある地域の企業を中心とした再生、それから、地域経済一体となった、ある面では一体として三位一体的な対応が重要になると思います。

しかもこうした一体改革を2020年代半ばぐらいの視野というので3年から5年ぐらいの集中改革期間で行うことが重要になっていると思います。こうした時間軸というのは、今申し上げたような構造不況的な、商業銀行としては非常に従来にないような、預貸モデルが働きにくい低金利環境、それから、ちょうど今、コロナ禍における緊急融資が行われております、事実上の猶予期間である3年~5年ぐらいの時間軸に相応するものでありまして、こういう期間の中で一体の改革を通じて日本経済もしくは地域経済そのものを底上げする成長戦略になるきっかけとなるということがやっぱり重要なのではないかと思います。

先ほど申し上げた4段階プロセスのスタートは、構造不況認定というような現状分析と、それから、改革へのキックオフということだったわけであります。そうした観点から申し上げますと、今回のワーキング・グループというのが、改革に向けた合意形成、また、改革に向けた当事者の意識も含めたナッジ効果というんでしょうか、世の中に向けてのそういう意識というものを認識させる、もしくは向けた意識づけ、気づきというものを発揮する効果があると考えております。

こうした議論というのは、これまでも長年議論されてきたわけでありますけれども、なかなか実現できないでいたわけでもあります。そういう意味から申しますと、今回のコロナという非常に危機というものを奇貨として、成長戦略と申しましょうか、もしくは具体的な動き、第一歩になるような形のものに期待したいと思います。

ただ、今回の状況、最初の議論になりますけれども、極めて未曾有な、戦後もしくは場合によってはマイナス金利も含めた人類初めてといったような状況でもあるわけであります。そうしたことを考えますと、今回の一連の動きというのは非常に重要な一歩ではあるわけでありますけれども、これから、あくまでも出発点として、創意工夫と申しましょうか、もしくは場合によってはさらなる改革というようなものも含めた不断の改革が必要になってくると思います。ただ、いずれにしても今回の状況は非常に重要なステップでもありますので、こうしたものを非常に広く行き渡らせるというか、認識されるようなことになるように求めたいと思っております。

以上でございます。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、森下メンバー、お願いいたします。

【森下メンバー】

ありがとうございます。今回、報告書を非常に適切におまとめいただいたのではないかと思います。業務範囲についてもかなり踏み込んだ提案がされているのかなと考えております。これはやはり銀行、協同組織金融機関、そして、保険会社グループに対する期待の表れを示したものと考えますので、これからいかにそうしたグループが期待に応えていくかということが重要なのではないかと思います。その観点から4点申し上げたいと思います。

まず1点目は、やはりグループとしての力をしっかりと発揮していただけるように、ガバナンスとか連携をさらに一歩進めていただくことが重要なのではないかと思います。子会社あるいは兄弟会社というような形で新たに認められる業務もありますし、出資なども含めてグループとしてしっかりとした連携を取った金融サービスの提供ということが大事になってくると思います。既に取り組まれているのだと思いますが、さらに一歩そこを進めていただいて、より多くの価値を提供できるようにしていただくことが重要ではないかと思います。

2点目ですけれども、今回の見直しで、金融グループが今までできなかったいろいろなことができるようになると思います。あとはどう実行していただくかということが重要だと思います。その際には、金融機関が提供したいものを提供するということではなく、顧客のニーズの掘り起こしも含めて、やはり必要とされているものを提供するという姿勢が非常に重要なのではないかと思います。過去には、残念なことではありますけれども、金融機関の側が、自分たちが売りたいものを売るというようなことがあったということは否めないわけですね。今回また同じようなことがあったのでは元も子もないということになると思います。

顧客本位の業務運営原則といったようなものが大分浸透してきていると思うのですけれども、今後、新たにできるようになった業務をうまく本当に社会のために行っていくためには、社会に必要とされているもの、あるいは社会に役に立つものを提供していくんだというようなマインドをグループ全体で浸透させていただいて、ほかも売っているから自分のところも売らなければいけないとかそういうような横並びの発想とか、自分たちがどうしても売りたいものを顧客のニーズを若干軽視したり、あるいは十分な説明なく売ると、そういうような過去に見られた営業活動が決して繰り返されるようなことがないように、ぜひそこはお願いしたいと思います。

それとともに、今、例えば銀行業界などについてもADRとか苦情を受け付けるというような体制は十分整っていると思いますけれども、そういったような窓口も含めて、いろいろな顧客からの声に敏感であっていただくということがより一層大事になるのではないかと思います。

3点目です。今回の枠組みですと、やはり金融庁による認可とか、あるいはモニタリングというものが重要な役割を占めている部分が随所にあるのではないかと思います。脚注にも、いろいろな考え方を対外的に示していただけるというような記載がありましたけれども、今後これを運用していくプロセスにおいては、ぜひ金融庁さんあるいは財務局さんにそういった認可のプロセスの透明性とか、あるいは対話という点で、従来以上に円滑にいくように進めていただけるといいのかなと思います。

最後ですけれども、今回は、全体として見ると、銀行業、銀行グループについて、経営基盤というか、経営の在り方を大きな意味で考える非常にいいチャンスなのではないかと思います。業務範囲が広がった、経営統合を支援するための制度が出来たとか、いろいろな意味で大きく制度が変わった局面、かつ社会の在り方も大きく変わるかもしれないという局面ですので、この業務ができるようになったというような個別の話を超えて、銀行グループとして今後どう社会に貢献していくのか、どう収益を上げていくのか、どういう経営基盤を組み立てていくのかということを大きな目で考える機会だと思います。ぜひこの機会を使ってよりよい金融グループになるように、ちょっと偉そうで申し訳ないですけれども、そういった機会として使っていただけることを希望したいなと思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、翁メンバー、お願いいたします。

【翁メンバー】

翁でございます。私も本報告書につきましては、思い切った規制緩和をいろいろな、本体でも、また兄弟会社・子会社でも、また、従属業務につきましても御検討いただいて実現するという方向が出ていて、私も大変よい報告書になっているというように思います。また、主要株主規制の将来的課題などについても過不足なく書かれていると思いますし、地域における金融機能、または預金保険法の改正などについても必要な措置が書かれているというように感じておりますので、全体として賛成しております。

これらが迅速に実現していくということと、各地方銀行など、また、協同組織金融機関も含めて、やはりデジタライゼーションの流れが非常に速い中、どうやって利用者に対して付加価値生産性を上げていくサポートができるのかということを趣旨として、それぞれのビジネスモデルをしっかり考えていただくということが求められているのではないかと思っております。

1つだけ感想を申し上げたいんですけれども、4ページの検討の視点というところがございます。この検討の視点のところに書いてあることは、セーフティネットが重要であり、特に免許業種であるので、利益の流出による公平性の阻害についてしっかり注意する必要があるということだと思っています。私はこの点は全く違和感はないのですけれども、書いてあることがそこだけなので、検討の視点というタイトルにしている割に、この2行だけだと私はちょっと不足しているところがあるんじゃないかなというふうな感じをちょっと持ちました。別に修文の要請とかそういうことではないのですが。

と申しますのも、やはりセーフティネットの議論をするのであれば、業務範囲が狭過ぎるというような状況でこの低成長・低金利の中で厳しい状況が続けば、それこそ銀行が生き残れなくて損失が出てしまって、それがセーフティネットに大きなコストになってしまう。また、もともとセーフティネットの維持に要するコストというのは原則として業者が拠出するものでございますので、それは金融機関にとってのコストでもあります。ですので、その意味では、そういったことを念頭に置いた上で、ただし、逆に規制緩和をし過ぎて大きな損失を被るというようなことがないようにしていくというようなこととか、こういった財務面の優位性の面もあるので、そこについての留意も必要だというふうに書くことのほうが、バランスの取れた書き方なんじゃないかなと思います。

前のページのところでは、しっかりと、セーフティネットで保護すべき部分とそれ以外の部分の平時から分離可能とするというような、業務範囲規制が広がった場合にはどういう準備が必要なのかというようなことについては既にもう整理をされている議論に触れております。ここについて、知っている方はおわかりになるかもしれませんけれども、これを初めて読まれる方については、そういった議論などについても紹介しながら書いたほうが、検討の視点と書くのであればいいのではないかなという感想を持ちました。よろしくお願いいたします。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。ただいま翁メンバーからは、修文までは求めないということをおっしゃっていただきましたけれども、4ページに記載されているセーフティネットの存在と業務範囲規制との関係についてもう少し分かりやすく説明することが考えられないかという御指摘がありましたので、事務局においてはさらに御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは続きまして、野崎メンバーお願いいたします。

【野崎メンバー】

野崎です。よろしくお願いいたします。まず結論としては、今回の報告書案は、審議内容を非常に適切にまとめていただいておりまして、精査の結果、特に修正の必要なしというふうに判断いたしました。特に評価させていただいているポイントとして、銀行の、あるいは銀行グループの経営行動についての柔軟性、自由度が高められるだけではなくて、やはり取引先とか社会にもメリットをもたらすような、そういった内容が盛り込まれたという点であります。中でも、投資専門会社の業務範囲の見直し、これについては、事業再生あるいは事業承継といった非常に悩み深いところに対して取引先へのソリューション提供を可能とするための実効性を持たせることができると思います。

また、このワーキングの中でも問題意識としてある程度共有化された論点として、銀行がデッドだけではなくて、エクイティを通じてある程度何らかの形で社会貢献するという点があります。この点に関しましては、ベンチャー会社に対する出資規制の見直しにより、時代の変化に即した柔軟性を持たせたというところは非常に意義深いのかなとは考えております。

細かい点として、資金交付制度についてですけれども、この点に関して、金融機能強化勘定の剰余金を使う、活用するということに関しまして、勘定としての健全性の問題について第6回の会合で問題提起させていただきました。この点に関して、早期健全化勘定の剰余金の組入れという形の柔軟性を持たせた対応というかたちで、これを措置いただいたので、この点に関しても評価させていただいております。

最後に、報告から少し離れるかもしれませんが、思うところを申し上げさせていただきます。やはりこういった規制等の見直し、緩和などの制度変更がありますと、どうしてもいきおい、緩和された事業あるいは業務に関してやみ雲に対応し、それが経営的な目的となってしまって、時として横並び的な行動が見られてしまうことがあります。それによって無駄に経営資源を費消させるというのはまさに本末転倒でありますので、先ほど森下メンバーのほうからも御指摘いただいたとおり、やはり今回の見直しというのは、もう少し大きく捉えて、環境変化を先取りする形で経営課題を明確化して、それから、先鋭化させて、今回の緩和措置を最大限活用していただきたいなと期待するところです。

もう一点だけ、この点に関しては、冒頭、岩下メンバーのほうから、銀行の本来業務的なものを含めてそもそも論というのを少し時間を割いて議論してもいいんじゃないかというような提起をいただきました。その中で、例えば今回銀行のグループということで、本体以外のところについての緩和措置がかなりふんだんに盛り込まれておりますけれども、やはり業容の小さい、経営規模の小さい銀行に関しましては、なかなか持株会社形態とか、あるいは子会社とか、そういった組織立てが難しいというところもあります。このため、今後の議論の中で、例えば先ほどのセーフティネットの存在とか、あるいはリスク管理上の視点、これをもう一度再び改めて議論する機会があってもいいんじゃないかなと感じました。

以上です。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、河野メンバー、お願いいたします。

【河野メンバー】

日本消費者協会の河野でございます。今回の業務範囲規制の見直しにおける一連の緩和策等の取りまとめ内容に対しまして、私も基本的に賛同いたしたいと思っております。人口減少による社会の活力の低下や、情報技術等の発展による産業構造の変化など銀行を取り巻く環境は大きく変わっている中で、今回の施策というのは銀行が時代に追いつくためのものだというふうに理解しました。片や大きな規制のないデジタルプラットフォーマーが時代を牽引する立ち位置にいることを考えますと、今回の対応というのは妥当だと考えております。

その上で御配慮をいただきたい点を申し上げたいと思います。まず、私がこのメンバーの中で一番の素人でございまして、専門家の先生方からしっかりと御議論いただいていると思うんですけれども、やはり他業リスク、優越的地位の濫用、それから、利益相反取引などガバナンス面、コンプライアンス面における問題が起こらないように、的確で公正な事業展開を望みたいと思っております。手足の縛りがなくなり、羽を伸ばせるようになったとはいえ、羽目を外すようなことがないように、ぜひこの点に関しては、金融庁をはじめとして当局にしっかりとした監視をお願いしたいと思います。

2点目なんですけれども、報告書にも書かれているとおり、これまで地域で培ってきた目利き力を十分に発揮していただき、地域の人や物や技術をうまくつなぎ合わせて、その潤滑油としてお金を適切に投入することで、地域の活力を取り戻す中心的役割を果たしていただきたいと思います。

その際に、ぜひお願いしたいことがございます。人口減が進み、産業が衰退し、不安の中で暮らす国民一人一人に対しても気配りを忘れないでいただきたい。持続可能な社会とは、苦しむ個人や中小の事業主を見捨てない社会であるべきで、今回の規制緩和が上ばかりを見るものではなく、身近な周囲や足元への対応にも効果を生み出すものであってほしいと思っております。この施策によって金融サービスの再構築が着実に進み、私たち国民や社会から見て、ああ、銀行変わったね、頼りになるねと実感できるような効果が生まれることを心から期待したいと思います。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、後藤メンバー、お願いいたします。

【後藤メンバー】

後藤でございます。どうもありがとうございます。報告書全体につきましては、冒頭、岩下メンバーがおっしゃられたように、今回がゴールではないとしても、かなり大胆な提案をしているところもあり、そういう意味では大きなステップなのではないかと考えておりまして、皆様と同じように、全体としては賛同いたしたいと思っております。

その上で、1点だけ非常に細かな点なのですけれども、コメントしたいところがございます。8ページの注19です。兄弟会社に関して高度化等会社の特例を設けるというところですけれども、財務健全性やガバナンスが一定以上であることについて認定を受けた銀行グループにおいては、その兄弟会社について、高度化等業務を個別認可ではなくて届出制とすると。このこと自体は非常に結構なのではなにかなと思っておりますが、このときのガバナンスが一定以上であることというのをどのように判断するかという点につきまして、注19では、例えばということではありますけれども、銀行持株会社が指名委員会等設置会社であることを要件の1つとするということが考えられると書かれています。

しかし、指名委員会等設置会社である場合に限定する必要があるかなというのが正直なところです。現在、3メガバンクと、ほかの大手2行は、確か全部指名委員会等設置会社であったかとは思いますけれども、地銀さんで指名委員会等設置会社であるのは確か数行、数グループにすぎず、監査等委員会設置会社に移行しているところは少なからずあるようですけれども、多分半数以上が監査役会設置会社なのでないかなと認識しております。そうすると、これを要件にすると、大半の地銀・地銀グループに対して、この特例を使いたかったら、指名委員会等設置会社に移行せよという、それ自体かなり大がかりな変更を要求することになるわけですが、その意義は果たしてどこにあるのかなということを考える必要があろうかと思います。

確かに過去においては、不正融資絡みの不祥事があったメガバンクや直近で同様に不正融資で話題になりました地方銀行が指名委員会等設置会社に移行するということがありました。これらの不祥事は、規模が大きく、かつ両方とも経営トップがある程度関与していた、もしくは経営トップに不正融資の認識があったということが報道されていたものです。そういう事態にまでなった場合には、組織の自浄作用を見せるという観点から、目に見えて分かりやすい変化があるように見せるために組織設計を大きく変えるということは、理解できるところがあるわけでございます。

しかし、指名委員会等設置会社になった場合に、これがそういう不祥事を防止する作用が一般にあるのかというと、会社法としては特にそういうことは考えてはおりません。指名委員会等設置会社には、社外取締役が株主の目線から経営者の選任及び報酬についてコントロールを効かせるようになるというところはあるのですけれども、個別の不祥事を防止する作用は、監査役会設置会社で社外監査役がいる場合と本質的な違いは基本的にはない。経営者に対するコントロールが強くなることによって経営者が関与する不祥事は抑えやすくなるかもしれませんけれども、そこにとどまるわけです。そうしますと、経営者が関与した不祥事がこれまでないので、監査役会設置会社として淡々とやってきた、適正に業務をずっとやってこられたという銀行に対して、ここでいきなり兄弟会社の業務範囲の特例を利用するために指名委員会等設置会社への移行を要求することの合理性には疑問があるところでございます。

また、現在、コーポレートガバナンスの議論も進展していますが、まず昨年の会社法改正によって監査役会設置会社でも最低1人の社外取締役が必要になりましたし、恐らく金融機関さんは、コーポレートガバナンス・コードに従って、2名以上の独立社外取締役を選任されておられるのではないかなと思います。さらに、コーポレートガバナンス・コードの改正の議論も金融庁さんも参加されて東証で行われているわけですけれども、そこでも取締役会の3分の1を社外取締役にするというような議論はありますけれども、指名委員会等設置会社になることを要求したりはしていないわけです。そういう状況にある中で、なぜここで指名委員会等設置会社であることを要件にするのかなと。もちろん、指名委員会等設置会社であるかどうかという基準は、形式的で判断しやすいというところはあるのですけれども、それ以外に指名委員会等設置会社でなければならないとする実質的な理由があるのかが疑問であるということです。もし社外取締役という話にこだわるのであれば、例えば、新しいガバナンス・コードの改訂で入るかもしれないと言われております、取締役会の3分の1を社外取締役にするということも、指名委員会等設置会社と並ぶ1つのやり方として認めるということも考えられるようには思っております。

また、そもそも論としては、ここでガバナンスが一定以上であることを何のために要求しているのかということなのですけれども、以前事務局が出された資料を拝見すると、ちょっと自信はないのですけれども、認可の対象となる会社が業務を的確かつ公正に遂行することができるかどうかという認可の項目に関連するのかなと思います。しかし、そうだとしますと、やはり社外取締役の人数の多さとは関係ないという可能性すらあるように思われるわけです。むしろ内部統制システムがしっかりしているかどうかというような話かと思います。内部統制システムの十分さを見たいはずなのに、社外取締役の人数というところで評価してしまうのでは、それは本来見たいところを見逃しているというおそれすら出てくるように思います。

長々と申し上げましたけれども、報告書のこの記載はあくまで「例えば」という書き方ですので、このままでも問題はないのかもしれませんが、地方銀行さんなどにも使い勝手のいいような基準であることをまず念頭に置きながら、何を問題としているのかをもう少し整理して頂いた上で、そこと対応した基準を採用されるように御検討していただければと思います。

以上でございます。

【神作座長】

御指摘ありがとうございました。今御指摘いただきましたのは、銀行持株会社が指名委員会等設置会社であることを要件の1つにするというのは、目的に照らしても、また現実に照らしても少し適切を欠くのではないかという点であると思いますけれども、この点につきまして事務局から何かコメント、御意見ございますでしょうか。

【端本信用制度参事官】

注19に記載しております点については、具体的には今後、内閣府令を策定する際に検討していくことになると思います。御指摘の点も含めてよく検討した上で定めていきたいと思います。

【神作座長】

後藤メンバー、よろしいでしょうか。趣旨としては、内部統制体制も含めてきちんと独立性のある監督がなされているということで、他方で基準である以上、基準としての明確性が要求されるということだと思います。後藤メンバー、何か追加の御意見、御発言ございますでしょうか。

【後藤メンバー】

どうもありがとうございます。御検討いただけるということですので構わないのですけれども、指名委員会等設置会社であるというのが唯一のルートであるということになると、やはりこれは制約が大きいかなと思っておりますので、ほかにも、指名委員会等設置会社であることを要求しようとされていたことの裏に何を期待していたのかということを踏まえて、それが例えば先ほど申し上げましたように独立社外取締役の割合とかそういうことでも実現できるようなものなのであれば、それで行くという手もあるでしょうし、また、ここはあくまで要件の1つとされておられますので、多分内部統制とかほかの要件も考えておられたのかなとも推測しますけれども、そちらはそちらで問題になってくるのかなと。1つの点で決める必要もないのでしょうけれども、その辺り含めて御検討いただくということで、ここではこれで結構でございます。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございます。それでは、大庫メンバー、お願いいたします。

【大庫メンバー】

私も今回の御提言に関しては大賛成であります。第1回目にこのワーキング・グループが出来て、最初に、外国の制度を調べたところバンキングとコマースが必ずしも明確な境界を持っているわけではないという議論から始まり今回まで7回、回を重ねてきたわけですが、これまでの議論が反映されている、すばらしい提言書だと私自身も思っております。

その上で、今後の運用等について、私の感想も含めてお話しさせていただきたいと思います。4点あります。うち2点は、レギュレーターに対するお願い事になるかと思います。残り2点は、推進されていかれる金融機関に対するお願い事ということで聴いていただければと思います。

まず、最初のポイントになりますけれども、今回の制度については、多くの業務を銀行高度化等会社のほうに持ち込んで、子会社とか、あるいは兄弟会社とか、そういった形で推進をしていくという提言になっています。その意味で、銀行高度化等会社をどういう形で設立していくのか、また出資比率はどの程度認めていくのかというところにもかなり大きなポイントがかかってくるかと思います。ぜひ当局の皆さんについては、銀行高度化等会社の設立、それから、出資比率等について柔軟な御配慮をこれからいただければと思います。

それから、2点目でございます。今回の提言に当たっては、中小の金融機関に対する配慮ということも含めて、本体で行う業務が一部あり、子会社・兄弟会社という場合分けがなされています。私自身、銀行業務とのリスクを遮断するという意味で、理想的には兄弟会社で展開していくのが筋ではないかと申し上げてきましたが、現実の状況を鑑みると、こういった御判断をされたということについてもうなずけると考えています。ただ、当然ながら、経営環境、金融機関の会社としての体制自体も、状況が変化することというのが当然あるわけでございますので、時期を見て見直しをされていかれてはと思います。

残り2点は、金融機関の皆さんに対する期待というかお願いということになります。1つは、業務規制が緩和されるということで、ぜひ規制が緩和された業務を行うのであれば、物にしてほしいと。きちっとパフォーマンスを上げて、採算を上げてくださいということです。今回この業務規制緩和が始まっている議論の中には、銀行サービスだけではなかなか採算が取りにくくなったということが背景としてあると認識をしています。その意味で新しい業務に取り組むのであれば、確実に物にできる、収益を上げられるように、絞り込んで資源投入をしていく、それから、継続的な努力を積み上げていくということをぜひしていただけないかなと思います。

また、その成果については外部に対してもぜひ開示をいただけないのかなということでございます。兄弟会社・子会社の状況はもとより、本体で行う場合についても、そのセグメントにおけるパフォーマンスなどを開示することによって、業務規制緩和によってどれぐらい金融機関が変わっていったのかが明示できるようにしていただきたいと思っています。

最後のお願いというか、期待ということでございますが、今回地銀等ということで様々な制度が変わってきたということでございます。私自身も皆さん御指摘されているように、経営統合だけが地銀の今置かれた状況を変えて、地域金融サービスを持続させていく手段だとは思っていません。ただ、同時に、経営統合でなければ何なのだということをやっぱり具体的に明示していただく状況にそろそろ来たのではないのかなと思います。今回の業務規制緩和を通じて、1つの業務一点張りで変えていくことで、持続的な状況にできるというビジネスプランもあるでしょうし、複数の規制緩和された業務を積み重ねて、そういう状況をつくり出すというビジネスプランもあるかと思います。選択肢は幅が広がったわけですので、ぜひそうした具体性のあるビジネスプランを早く見てみたいというのが私からの期待とお願いということになります。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。御発言を希望されている方は以上かと思いますが、まだ多少お時間もございますし、言い残されていることがございましたらぜひ追加の御発言をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。特に小倉メンバーはまだ御発言いただいてないかと思いますが、もし御発言ございましたら、どうぞ御発言いただければと思います。

【小倉メンバー】

すみません、ありがとうございます。基本的に報告書に賛成でございます。これまでの議論を的確に踏まえて、緩和方向に踏み込みつつも、注意すべき点もきちんと議論を踏まえて的確に記載されていると思いますので、取りまとめありがとうございました。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。それでは、オブザーバーの林さん、御発言お願いいたします。全国銀行協会の林様、どうぞ。

【林オブザーバー】

ありがとうございます。全国銀行協会の林でございます。9月の末から本日に至るまで本ワーキング・グループにおきまして計7回にわたる様々な御議論の結果として、本日、報告書案をお示しいただきました。まずもって、本案取りまとめいただいた神作座長あるいは金融庁事務局の皆様、それから、様々な観点から御議論、御意見、御指導をいただきましたワーキング・グループのメンバーの皆様、本当にありがとうございました。

お示しいただいた報告案は、銀行が創意工夫を凝らして様々なサービスの提供が可能となるよう、業務範囲規制の緩和を大胆に取り込んでいただく内容と受け止めております。先ほど来、御指摘もございますが、私ども全銀協、それから個別行といたしましても、本案に賛同申し上げます。

第2回会合でも御説明申し上げましたが、ポストコロナ時代の社会課題解決への貢献のため、銀行界は高い期待を受けていると認識しておりますので、これに対して具体的な施策あるいは業務の展開を打ち出すことでお応えしていかなければならないと、身の引き締まる思いでございます。

今回の規制緩和を、お客様に対する一層の支援、社会課題の解決、経済の活性化、これらにしっかりと結びつけていくこと、その中で銀行グループとして創意工夫を凝らして収益の改善を進め、さらにはそれをまたお客様に還元し循環させていく持続可能なビジネスモデルを実現することが最も大切であると思っております。よって、引き続きの御指導を頂戴したいと存じます。

最後になりますが、報告案の「おわりに」のところに、銀行・銀行グループの業務範囲規制については、今後も必要に応じて見直しを検討すべきであるとの記載も頂戴しております。この1年間振り返りましても、経済金融環境や社会の構造、お客様のニーズは、急速且つ劇的に変化をしております。今後も、規制緩和について適切な見直しの御対応を、今回のワーキング・グループのように議論いただければと強く希望しております。

本当にありがとうございました。以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。ほかに御発言ございますでしょうか。よろしゅうございますか。

もしよろしければ、資料1の2ページに記載がございます金融審議会の総会においてなされた諮問に対して、かなり踏み込んだ適切な内容の取りまとめがなされ、かつこれまでの6回の本ワーキングにおける議論を適切にまとめていただいていると、基本的にすべて御賛同の御意見であったと思います。

ただ、若干細かなところではございますけれども、注につきましては、注18、19、21、および35の4か所については、少し文言を見直してはどうかという御提案をいただいております。これらの注の表現につきましては、やや細かな調整ということもございますので、本日の議論を踏まえて、今の点以外の点も含めて記載の最終的な調整や公表の取扱いについては私に御一任いただき、後日公表されたものをもって本ワーキング・グループの報告とさせていただきたいと存じますけれども、よろしゅうございますか。

どうもありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。皆様からは、業務範囲規制、それから、銀行主要株主規制、また、リスク管理やセーフティネットの在り方など、まだ議論すべき点が多々残っておるということを御指摘いただきました。そういう意味では、本報告は中間点と申しますか、決してゴールではないということだと思いますけれども、本報告の最後には、そのような課題と、本提案自体についての検証の必要性についても触れておりますので、また必要があれば引き続き御議論をいただくということとさせていただきたいと思います。

それでは最後に、古澤企画市場局長より一言お願いを申し上げます。

【古澤企画市場局長】

本日はどうもありがとうございました。神作座長、それから、森下座長代理はじめメンバーの皆様方に、2か月半という短い期間ではございましたけれども、本当に精力的に御審議いただきまして、ありがとうございました。

今回コロナ禍ということでウェブ開催という形にさせていただいて、メンバーの皆様方にいろいろ御不便をおかけすることもあったかと思います。これもある意味で中間点でございまして、更に改善できるところは、運営につきましても見直したいと考えてございます。忌憚のない御意見を寄せていただければと思います。

このワーキングにつきましても、またお気づきの点があればぜひ御指導いただきたいと思いますし、エクイティの問題など市場制度のワーキングで関係する問題、さらにはコーポレートガバナンスなどフォローアップ会議で取り上げている問題、そういった点につきましても、お気づきの点があれば、ぜひ忌憚のない御指導をいただければと思います。

本報告書につきましては、本日のいただいた意見も踏まえまして、早急に来年の通常国会に向けた法案の作業を進めたいと考えてございます。

本日はどうもありがとうございました。

【神作座長】

それでは、以上をもちまして本日のワーキング・グループを終了いたします。誠にありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局総務課信用制度参事官室(内線3572、3556)

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