金融審議会「保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループ」(第1回)議事録

  • 1.日時:

    平成23年6月29日(水曜日)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○小原保険企画室長

ワーキング・グループの開催に先立ちまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

式次第の次の紙から、資料1といたしましてワーキング・グループのメンバーの方々の名簿でございます。資料2が、3月7日の金融審議会の総会におきまして、金融担当大臣から諮問がありました諮問事項でございます。資料3が、事務局の説明資料でございます。資料4、5、6が実務メンバーの皆様方からのご説明資料でございます。こ確認いただければと思います。

また、本ワーキング・グループの座長につきましては、吉野会長のご指名によりまして、洲崎様にお引き受けいただいたところでございます。本日からの議事進行につきましては、洲崎座長にお願いすることといたします。

○洲崎WG座長

ただいまより保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループ、第1回会合を開催いたします。

皆様、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

申し遅れましたが、私は当ワーキング・グループの座長を務めさせていただきます京都大学の洲崎でございます。私のように経験も能力にも欠ける者が座長をするというのは大変僣越で、また心もとないことでございますけれども、ご指名でございますので、座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

初めに、当ワーキング・グループについてご説明したいと思います。

このワーキング・グループは、本年3月7日に開催されました金融審議会総会・金融分科会合同会合において大臣より諮問された3つの事項のうち、保険会社のグループ経営に関する規制の在り方等に関する検討について調査・審議を行うため設置されたものであります。諮問の内容に沿って保険会社による外国保険会社の買収に関する規制や、その他の保険会社のグループ経営に関する規制について、論点となるものがあれば検討していきたいと考えております。

次に、ワーキング・グループにご参加いただくメンバーの皆様のご紹介をしたいと思います。お手元に名簿をお配りしていますが、メンバーのご紹介を事務局よりお願いいたします。

○小原保険企画室長

総務企画局の保険企画室長の小原でございます。

それでは、ワーキング・グループのメンバーの方々をご紹介申し上げます。座席順に皆様方の右側から、沖野眞巳様でございます。

○沖野委員

沖野でございます。どうかよろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

加藤広亮様でございます。

○加藤委員

加藤です。よろしくお願い申し上げます。

○小原保険企画室長

木下孝治様です。

○木下委員

木下と申します。よろしくお願いを申し上げます。

○小原保険企画室長

後藤元様。

○後藤委員

後藤でございます。よろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

丹野美絵子様です。

○丹野委員

丹野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

水口啓子様。

○水口委員

水口でございます。よろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

村木正雄様でございます。

○村木委員

村木でございます。よろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

家森信善様です。

○家森委員

家森です。どうぞよろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

米山高生様です。

○米山委員

米山です。よろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

松山保臣様です。

○松山委員

松山でございます。よろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

岩井幸司様です。

○岩井委員

岩井でございます。よろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

瀧下行夫様です。

○瀧下委員

瀧下でございます。よろしくお願いいたします。

○小原保険企画室長

このほか、本日遅れていらっしゃる予定でございますが、小島茂様、それから、本日はご欠席でございますが、阿部泰久様にもご参加いただくことになっております。

なお、事務局につきましては、お手元の配席表をもってご紹介にかえさせていただきます。

○洲崎WG座長

次に、議事の進め方について確認いただきたいと思います。

当ワーキング・グループは、原則公開とし、議事録も公表とさせていただければと思います。したがいまして、公表を前提としたご意見、ご発言をいただければと考えております。皆様、このような形で議論を進めるということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

○洲崎WG座長

ありがとうございます。

それでは、本日は事務局より諮問事項に係る背景等について説明いただいた後、今後の議論の参考とするため、実務メンバーの皆様から諮問事項に関するご見解等についてご説明を伺いたいと考えております。

それでは、まず事務局より説明をお願いいたします。

○小原保険企画室長

それでは、お手元の資料の資料3、説明資料というものに沿いましてご説明を申し上げたいと思います。

1枚おめくりいただきまして1ページ目でございますが、これは平成7年の新保険業法が制定以降のグループ経営に関します主な制度改正の変遷を並べたものでございます。特に子会社の業務範囲の拡大、それから本体の業務範囲の拡大が順次行われてきておりまして、それにあわせて一定の規制が導入されるといったことを中心に列挙させていただいております。

例えば子会社の業務範囲でいきますと、平成7年度に生損の子会社形式の相互乗り入れが解禁され、平成10年度には保険会社の銀行子会社、証券子会社が解禁されております。それから、13年度には従属業務子会社と金融関連業務子会社の兼営が解禁され、16年度には信託会社の子会社化、それから20年度には子会社によるイスラム金融が解禁されております。

それから、本体業務につきましても、平成7年度に他の保険会社の業務の代理、事務の代行、それから15年度につきましては、資金の貸付業務の解禁、それから16年度には証券仲介業務、17年度には銀行代理業務、20年度には排出権取引、さらに23年度でございますが、これは先般の通常国会で成立いたしました法律の中で、本体によるファイナンス・リース取引の解禁、それからグループ内の他の保険会社等の業務代理・代行の規制緩和というものが盛り込まれたところでございます。

それに応じまして、規制面でございますが、例えば平成10年度には連結ベースのディスクロージャー制度の整備が行われ、20年度には利益相反管理体制の構築、それと合わせて一定の規制緩和が行われていると。

さらに、平成22年度には、連結ベースのソルベンシーマージン基準を導入することが法律で定められておりまして、24年3月末の決算から導入される予定となっております。

1ページおめくりいただきまして2ページ目でございます。

これは、以上のような規制緩和等を通じまして、かなり保険会社のグループ化が進んでいるというものをお示ししたところでございます。実際には、さらに多数の子会社がグループの中に含まれておるわけでございますけれども、典型的なものを抜き出して示したものでございます。

左側が生命保険会社のグループの典型例でございますが、頭に生命保険会社があり、子会社に生命保険会社、損害保険会社、外国保険会社、その他の関連する会社がぶら下がっているという状況になっております。

右側が主として損害保険会社、これは持株会社形態でグループ化するものが典型例でございますけれども、保険持株会社の下に、あとは保険会社等がぶら下がっていると。一つ規制が違っているところがございまして、保険会社の子会社については、後ほど申し上げますように子会社として持てる範囲、つまり、子会社となることができる会社の業務範囲というものが限定列挙されておりますけれども、持株会社については、一定の範囲を超えるものであっても、承認を受ければ持株会社の子会社、すなわち保険会社にとって兄弟会社にすることができるといった若干の規制の違いがございます。

2ページの下のほうで、大体各社が経営統合されるときにプレスリリース等で目的として掲げられている項目の共通例といいましょうか、といったものを並べておりますが、事業基盤の強化、収益の拡大、経営統合によるシナジー効果の発揮、事業の効率化の推進といったものを掲げられているところでございまして、こういったものを追求していくに当たって一定の規制緩和等に関するご要望も出されているといったことが今回の諮問の背景ということでございます。

次の3ページ目をご覧いただきたいと思います。3ページ目以降は、諮問事項に頭出しをさせていただいております保険会社による外国保険会社の買収に係る規制についての説明でございます。

まず、その3ページ目でございますが、保険業法の106条によりまして、保険会社が子会社として保有することができる会社の業務範囲といったものが規制されているところでございます。具体的にはそこに掲げておりますように、保険会社あるいは銀行、証券会社といった広義の金融業を行う会社、それと従属業務という、本体業務の保険会社業務のアウトソースのようなものでございますが、そういったもの。非常にざっくりと言えば、金融に関連する業務を行う会社に限られていると。これは保険業法上、子会社対象会社というふうに呼んでいるところでございます。

もう一つの規制が、3ページの下のほうに参考で書いておりますが、保険業法の2条は定義の規定でございます。子会社の範疇に孫会社も含まれているということでございます。孫会社も子会社としてみなすということでございますので、保険会社の孫会社も上に列挙された業務を行っている必要があるということになっております。

4ページ目でございます。これは保険会社のグループ会社としてどのような業種の会社がふさわしいのかといった点について、過去の考え方などを整理したものでございます。4ページの上の段でございますが、これは新保険業法制定につながっております保険審議会の答申でございます。このときに生損保の子会社方式での兼営が認められたものでございますが、下線を引っ張っているところをご覧いただきますと、明確なリスク遮断が可能であること、それぞれの事業、商品の特性に応じた募集体制、監督面での差異に段階的に対応しつつ、相互乗り入れを行うことができることなどから子会社方式というものが採用されたところでございます。

下の保険審議会の平成9年の答申は、これは銀行子会社、証券子会社が解禁されたときの考え方でございますが、保険会社と金融他業態との間の参入の方式については、基本的にはリスク遮断、利益相反行為による弊害の防止等の面ですぐれている業態別子会社方式によることが適当である等の考え方が述べられているところでございます。

5ページ目でございますが、これは従属業務子会社と金融関連子会社の兼営が解禁されたときの金融審議会第一部会の報告でございます。銀行及び銀行子会社の業務範囲等については、経済社会の変化に応じて柔軟な対応が図られてきており、今後とも利用者ニーズの多様化や他業禁止の趣旨などを勘案しつつ、規制の今日的意義に照らし不断の見直しを行うことが適当である。保険会社についてもほぼ同様に妥当するといった考え方が述べられております。

5ページ目の下でございますが、これは平成19年の金融審議会の第二部会の報告でございます。その中で、銀行・保険会社のグループの業務範囲の拡大が議論されたわけでございますが、1つは、銀行・保険会社本体の経営の健全性確保が強く求められるということ。それから、個別の業務を銀行・保険会社グループに認めるか否かについてでございますけれども、当該業務が銀行・保険会社本体の経営の健全性に及ぼす影響を踏まえつつ、利用者利便の向上、銀行・保険会社グループ全体としての経営の効率化、国際競争力の確保等勘案した上できめ細かく判断していくことが適当である。

その上で、個別の業務を本体、子会社、兄弟会社のいずれに認めるかについてでございますが、他業禁止の趣旨を踏まえつつ、当該業務と銀行・保険会社の本来的業務との機能的な親近性、当該業務のリスクと、既に銀行・保険会社の負っているリスクとの同質性、銀行・保険会社本体へのリスク波及の程度等を勘案して決定すべきものというふうにされております。

これを受けまして、本体の排出権取引、子会社のイスラム金融あるいは利益相反管理体制の構築といったものが法律に盛り込まれるということでございます。

6ページ目でございます。これは昨年の12月に金融庁として取りまとめたアクションプランでございます。やや今回の趣旨とはストレートには関係しないものも含まれておるわけでございますが、一番上でございますが、これは冒頭若干ご説明いたしましたが、グループ内の他の保険会社の業務の代理・代行について認可制を届出制とする法改正について国会のご承認をいただいたところでございます。

それから、中段でございますけれども、こちらは、上の段は海外不動産投資を行う従属業務子会社でございますが、こちらについては昨年末に告示の改正をいたしまして、一定の範囲の投資子会社を従属業務子会社として認めることといたしております。中段の下のほうが、今回の諮問事項に入っているものでございます。

6ページの一番下でございますが、保険会社の資産運用規制でございますが、これは平成19年の金融審議会の報告書の中でもさまざまな問題点が指摘されておりまして、リスク管理についてソルベンシーマージン基準の高度化等を見きわめた上で、撤廃の方向で報告書をいただいております。これを受けまして、今回のアクションプランの中で、今年度中を目途に関係内閣府令を改正することによりまして規制を撤廃する方向で検討しているところでございます。

次に7ページ目でございます。ここも若干繰り返しになるところでございますが、今回のアクションプランの中で保険会社が外国の保険会社を子会社等とする場合の当該外国の保険会社の子会社等の業務範囲規制の在り方については、法改正を含めた必要な法制面での対応もあわせて、平成22年度検討し、平成23年度以降に結論を得て、必要な制度整備を実施するとなっておりまして、今回諮問に至ったところでございます。

下は、こういった規制緩和要望が行われているということでございます。

次に8ページ目でございます。先ほど申し上げた保険業を行う外国の会社を子会社として保有することは、既に認められているところでございますが、さらに、外国の保険会社の子会社、買収しようとする保険会社から見ると孫会社が日本の法律上、子会社対象会社である必要があると。そういったところから若干障害が出てくるといった背景に関するものでございますが、まずこの8ページ目の一番左側に日本の規制を設けております。本体規制があり、子会社について限定列挙されているということでございます。

残りの米、英、独、仏でございますが、本体については保険業なり、金融業なり、日本と同様に業務範囲が制限されている。法令上制限されているということでございますが、一方で、子会社については、この4カ国については、法令上業務範囲についての規制がないということでございます。したがいまして、当然のことながら、関連的にいろんな業種の会社を外国の保険会社が保有していることがあり得るわけでございまして、当該外国の保険会社を日本の保険会社が買収しようとするときに、その子会社、すなわち孫会社が日本の法律上規制がかかってくるという可能性があるということでございます。

それから、9ページ目でございます。これは実際に現在保険会社が子会社として保有している外国の保険会社のうち、初めから現地で現地法人を設立するという形態をとっていないものを議決権を買い取ることによって取得をした会社の例を並べておりまして、ご覧いただきますと、1つを除きまして、いずれも2000年代に買収が行われているということでございます。

以上が外国保険会社の子会社関係の規制でございます。

最後、10ページ目でございます。頭出ししております項目以外で、最近寄せられておりますグループ経営に関する規制改革要望を取り出したものでございます。

1つは、保険契約の包括移転関係でございます。保険契約の包括移転をする際には、ここに書いてありますように責任準備金の算出の基礎が同一である保険契約、これは包括して移転しなければならないという定めがございます。これがグループ内の、グループ再編を効率的に展開する上で障害になっているという理由で規制緩和の要望がされているところでございます。

2つ目は、従属業務子会社に関するものでございます。従属業務子会社というものは、例えば福利厚生ですとか、システム関係でございますとか、本体が当然行っていい、自分の会社の経営を行う以上当然行える業務をアウトソースするような会社でございまして、そういったものは一定の類型に該当すれば、子会社として認められることになっておるわけでございますが、その基準が親会社から収入の半分以上を依存しているといった要件がかかっております。この要件について緩和をしてほしいという要望でございます。

それから3つ目でございますが、グループ会社への業務委託関係ということで、保険募集における復代理等というものでございます。保険業法上、保険募集を他人に委託するという行為は、保険会社のみができることになっておりまして、保険会社から委託を受けた者がさらに別の者に委託をするということはできないこととなっております。これについてグループ内については、若干緩和してもいいのではないかというご要望が寄せられているということでございます。

私からは以上でございます。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。

それでは、続きまして、実務メンバーの皆様からのご説明に移りたいと思います。

では、松山委員から説明をお願いいたします。

○松山委員

日本生命の松山でございます。本日はこのような貴重な機会をいただきありがとうございます。

それでは、早速、当ワーキング・グループのテーマでございます保険会社のグループ経営に関する規制の在り方について意見を申し述べさせていただきます。

表紙をおめくりいただきまして、1ページをご覧ください。はじめに、私どもの基本的な考え方を述べさせていただきます。

保険会社を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、海外展開も含めたグループ経営の視点が、今後さらに重要になってくるものと考えております。そうした中で、保険会社のグループ経営の前提となる規制につきましては、2つの視点があると思っております。1つ目の視点はグループ経営の効率化であり、2つ目の視点は保険契約者等の保護およびグループ経営の適切なリスク管理であります。そして、検討の際に重要なことは、この両者のバランスをとっていくことだと考えております。

次に、当ワーキング・グループの論点として、3点お示しをさせていただいております。

最初の論点は、ご諮問事項である外国保険会社の買収等に係る子会社の業務範囲規制の見直しです。この論点につきましては、日本の保険会社の国際競争力を強化する観点から、海外展開の支障となっている規制について見直しの検討をお願いしたいと考えております。

続く2つは、これまでの経緯から今後議論が想定される論点でございますが、その1つは、本日のご当局の資料にも最近の主な規制改革要望等として挙げられておりますが、2の保険契約の移転単位の見直しでございます。もう一つが、3の保険募集人等の委託の在り方の検討、いわゆる復代理の問題でございます。

それでは、ただいま申し上げました3つの論点につきまして、次ページ以下で具体的な考えを説明させていただきます。

2ページをご覧ください。外国保険会社を買収する際の子会社の業務範囲規制でございます。

まず現行規制の内容ですが、保険業法によって日本の保険会社が保有できる子会社の業務範囲は制限されております。この規制は、日本の保険会社が外国の保険会社を買収する場合にも適用されることとなっております。したがって、資料の図のとおり、日本の保険会社が外国の保険会社を買収しようとする場合、当該外国保険会社の傘下に、子会社のHのような日本の保険業法では認められていない業務を営む会社が存在すると、不都合が生じます。この場合、買収前に子会社Hのような会社を個別に売却したり、清算するといった対応が必要となります。

3ページをご覧ください。先ほどの事例の場合、必ずしも当該会社の売却がスムーズに行われるとは限りませんし、その結果として買収自体を断念せざるを得なくなることも考えられます。

また、主要な欧米諸国では、資料に記載のとおり、特段の子会社の業務範囲規制が存在しないこととなっております。このため、買い手として欧米の保険会社と競合した場合、日本の保険会社が不利な立場に置かれるのが現状でございます。

つきましては、現行の保険業法の業務範囲規制の趣旨には留意しつつ、日本の保険会社の国際競争力を確保する観点から、買収を通じた海外展開がより機動的に行えるよう、ご検討をお願いしたいと思います。

続きまして、4ページの保険契約の移転単位の見直しでございます。保険契約の移転につきましては、保険業法上、責任準備金の算出の基礎が同一である保険契約の全部を包括して移転することを条件に、認められております。この「責任準備金の算出の基礎が同一」という文言の解釈が不明確であることから、これまでも金融審議会等の場面において様々な議論が行われ、ご契約者保護の視点から丁寧な検討が要請されているものと認識しております。

ページの下半分に記載しております、検討に当たっての視点ですが、見直しのメリットとして、基準を明確化することにより、保険会社の経営の自由度の向上や業務の効率化といった効果が期待できます。一方で、移転対象とされるご契約者の保護、移転元、移転先双方の保険会社の健全性の維持、そして、ご契約者間の公平性の確保は大変重要な要請であり、これらの点に十分配慮した制度設計が必要であると考えております。

5ページに、この点をもう少し具体的に記載しております。

まず1つ目が、ご契約者保護の視点でございます。ご契約者にしてみれば、保険会社の都合によってみずからの意思とは関係なく移転対象になるわけでございますから、ご契約者の意思をしっかりと確認するスキームが前提となります。現行制度では、移転対象とされるご契約者を対象に、異議申立制度が設けられておりますが、移転を止めるためには、移転対象者の5分の1を超える異議申出が必要とされておりますので、異議成立は難しいのが実態です。

また、移転対象とならず、もとの会社に残されるご契約者については、賛否を表明する機会がない点も課題と思われます。

そもそも現行の契約移転の制度は、保険会社の破綻時を想定して、破綻した保険会社のご契約を、速やかに他の保険会社に移転して保護するための制度であるとも考えられております。したがって、保険会社の事業再編のような平時において契約移転を検討する場合、ご契約者の意思確認の手続が破綻時と同じでよいかについては、今後十分な検討が必要と思われます。

2つ目の視点が、移転元、移転先双方の保険会社の健全性の視点です。

まず移転元の保険会社から移転される契約群団に相当するリスクを適切に算定し、それに見合った責任準備金や資本を確保する必要があります。

また、移転単位については、過度の細分化は不適切と思われます。やはり保険制度の根幹をなす大数の法則が働くだけの規模として、最低限どの程度のロットが必要であるか、その定量的な基準を検討する必要があると考えます。

また、例えば予定利率の低い契約等優良な契約のみを取り出す、いわゆるチェリーピッキングが行われる懸念があります。この結果、移転元の保険会社の健全性に悪影響を及ぼすようなことがあってはなりませんので、この点にも留意が必要かと思われます。

3つ目が移転元、移転先双方のご契約者の公平性の視点です。例えば移転先、移転元双方の保険会社の契約者配当の水準について、公平性を確保する手段を見出すことが必要と考えております。

最後になりますが、保険グループ会社間に限定すれば、より自由度の高い契約移転を認めてよいのではないかという考え方について申し上げます。

端的に言って、グループ内であるという理由だけでは、必ずしもこれまで申し上げてきた様々な課題を解決できるわけではないように思われます。例えば、グループ内での移転であるがゆえに、かえって移転先と移転元の取引条件が市場規律にのっとった形で公正に決められないのではないかといった懸念もございます。また、契約の移転後に、移転先のグループ会社が、例えばグループとは無関係の第三者に売却をされ、グループから外れることもございます。

したがって、ご契約者の保護、保険会社の健全性の維持の観点から、グループ内外での差のない制度設計が必要と考えます。

以上申し上げましたように、保険契約の移転単位の見直しにつきましては、ご契約者の保護の観点に十分配慮し、しっかりとご議論、ご検討をいただくことが必要と考えております。

続きまして、6ページの保険募集人等の委託の在り方、いわゆる復代理の問題でございます。

復代理とは、左の図のように、保険会社から保険募集の委託を受けた代理人がさらにこれを他の代理店に委託することですが、現行の規制において、保険募集は保険会社から代理店へ委託される2層構造までとされており、3層構造以上の復代理は禁止されております。これは、保険会社がみずからの委託先である代理店に対し、直接の管理・監督を行うことによって、代理店における業務の適切性を確保し、当該代理店の行為について責任を負うことが、消費者保護の観点から必要であるという考えによるものです。

また、今回のワーキングのテーマである保険会社のグループ経営の観点からは、右の図にお示ししているような例で、グループ内に複数の保険会社が存在する場合に、図のCのような販売会社に保険募集業務を集約し、Cを総代理店としてさらに傘下の代理店に保険募集を委託することも考えられます。

しかし、私どもといたしましては、グループ内におけるものも含め、復代理については消費者保護の観点から問題が少なくないものと考えております。

7ページをご覧ください。まず復代理の一般論についてでございますが、消費者保護の観点から3つの懸念点がございます。復代理店には、保険会社の直接の管理・監督が及びませんので、問題がある募集行為が発生する懸念がございます。次に、復代理店の行為に対する責任の所在が不明確になる懸念もあります。言いかえますと、復代理店がご契約者に損害を与えた場合、その場合、損害賠償責任は復代理店と直接委託契約を結んだ代理店が負うのか、あるいは元受けの保険会社が負うのかが明らかではありません。最後に、復代理の構造のもとでは、保険会社がそのすべての委託関係を把握することは難しくなり、結果的に問題のある代理店が混在してしまう懸念があります。

続いて、先ほど保険契約の移転で申し上げたのと同様に、グループ内に限定した復代理について意見を申し上げます。

まず、保険会社と代理店が同一グループにあるかどうかは、ご契約者にとってはあまり大きな意味を持たないということに留意する必要があると考えております。6ページ、右側の図のようなケースでございますが、会社と総代理店はいわゆる兄弟会社の関係にありますが、その両者の間には直接の資本関係がないため、一般的な復代理と同じく、保険会社のコントロールが及ばなくなる懸念があると思われます。

加えて、もともとグループにあった元受保険会社が売却等の資本関係の変動によってグループ外の会社となってしまった場合、一般的な復代理と何ら変わらない状況となり、ご契約者に対する責任の所在があいまいになることが懸念されます。

また、グループ外になった保険会社が仮に総代理店との委託契約を終了させた場合、ご契約者にとっては保険会社を変えざるを得なくなる懸念が生じると考えます。

以上、いろいろ申し上げましたが、復代理については、消費者保護の観点から、これらの懸念を十分に踏まえて慎重なご検討をお願いしたいと考えております。

私からは以上でございます。ご静聴ありがとうございました。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。

では、続きまして、岩井委員、お願いいたします。

○岩井委員

明日から日本損害保険協会の一般委員長に就任させていただきます岩井でございます。本日は貴重なお時間を頂戴してまことにありがとうございます。

まずは、本ワーキング・グループのテーマとも関係するため、本題に入る前に若干お時間を頂戴して、私ども損害保険協会が置かれている環境につきましてご説明を申し上げたいと思います。

それでは、資料5の1ページをおあけくださいませ。

ご案内のとおり、我が国では少子高齢化の進展によりまして保険加入世代も減少しており、また、若者を中心とした自動車離れなどもありまして、売り上げに相当する正味収入保険料は頭打ちの状況でございます。会員会社合計の正味収入保険料は、2007年以降、3年連続で減少しております。

一方、主力商品である自動車保険では、夏の急激な交通量の増加、また冬の記録的な大雪の影響、修理費単価の上昇などによりまして損害率は各社とも高どまり、会員会社合計のいわゆるコンバインドレシオは、正式な集計ができております2008年度、2009年度では、2年連続で100%を上回っている状況でございます。各社とも懸命に経営努力を続けておりますが、この傾向は今後とも続いていくものと考えております。

こういった環境に対応するため、損害保険各社は経営統合による効率化や海外進出にも積極的に取り組んできております。

それでは、2ページの図をご覧ください。

ご覧のような形で業界再編が進みまして、さまざまな保険会社がグループを形成しております。各社ともに早期に経営統合効果を発揮できるようグループ全体で抜本的な業務インフラの改革を進めるなど、業務の効率化を図っているところでございます。

また、海外進出につきましては、リスク分散の観点もあり、各社がアジア、BRICs、欧米市場等にも積極的に海外展開し、収益機会の拡大を図っております。各グループともに持続的な成長を図るべく、海外市場や生命保険分野を含めた効果的な経営資源の配分に取り組んでいるところでございます。

それでは、3ページをお開きください。

今回のワーキング・グループの目的は、「外国保険会社の買収等に係る子会社の業務範囲規制の見直しを検討するとともに、保険会社のグループ経営の向上に資するような規制の在り方等について検討すること」とされております。保険会社のグループ経営にはいろいろな問題がございます。本日は諮問事項に加えて、これらの点についてもご説明をさせていただきますので、ぜひともテーマとしてお取り上げいただければありがたいと考えております。

具体的には、M&A等を通じた収益機会の拡大及び事業再編という分野で3点。グループ内の機能再編を通じたグループ経営の効率化・サービス力強化という分野で1点の、合計4つの課題をお取り上げいただければと思っております。

黒い四角の項目をご覧ください。

まずM&A関連の課題といたしましては、保険会社の外国保険会社の買収等に係る子会社の業務範囲規制の見直しが1点目、保険会社の包括移転に係る規制の見直しが2点目、同一人与信規制の見直しが3点目でございます。また、グループ機能の課題といたしましては、保険募集人等の委託の在り方の見直しがございます。本日は、各項目のポイントのみをお話しさせていただきたいと思います。

1点目は、4ページ、5ページをあわせてご覧いただきながらお聞きいただければと思います。

まずは、保険会社による外国保険会社の買収等に係る子会社の業務範囲規制の見直しということでございます。現在の問題は、先ほどの金融庁事務局のペーパーにもございましたけれども、4ページのとおりでございます。保険業法では保険会社が傘下に持つことができる子会社の範囲が決められておりますが、海外における規制の内容が日本の当該規制と異なることがある。その規制の違いによって、日本の保険会社が海外の保険会社を買収する際に、日本の規制では認められない子会社が、言ってみればたまたまぶら下がっていると、こういう状態が起きているということでございます。

このような場合、海外保険会社買収の際に、日本の規制を遵守するという観点から、当該子会社の清算等を前提条件として入札しなければならないようなケースが現実に起きておりまして、入札上のライバルである他の外国保険会社に比べて交渉上不利となるというようなケースがございます。これが相対交渉ですと、比較的まだできるんですけれども、入札となると、非常に実務上厳しいという実態がございます。

次の5ページがご要望事項でございます。先ほどのようなケースがございますので、買収対象の海外の保険会社の子会社等については、国内における保険会社の子会社の業務範囲規制を適用除外とするよう見直していただきたいと思っております。保険会社の海外展開が急速に進んでおりまして、今後もさらに拡大していくことが考えられます。期待される効果は下段のとおりでございまして、より機動的な海外展開が行えるよう、ぜひともご検討をお願いする次第でございます。

続きましては、6、7ページをあわせてご覧いただきながらお聞きください。

保険契約の包括移転に係る規制の見直しにつきましては、随分前から損害保険業界として規制緩和要望をさせていただいてきたテーマでございます。こちらについても規制の内容は6ページに記載させていただいております。

若干ご説明がダブる部分もございますけれども、保険契約を移転する際には、責任準備金の算出基礎を同じにする契約をすべて包括して移転するということが業法にて規定されております。責任準備金というのは、将来の保険金支払いに備えて積み立てておくもので、火災保険や自動車保険といった保険種目や保険商品ごとに分けられております。保険会社も、さまざまな販売戦略や効率化を目指しているところでございますが、6ページ下段の図のとおり、例えば保険グループ内での契約移転の問題を例にとれば、販売チャネル別や地域別への組織再編には、この規制がハードルとなっているというのが現状でございます。

次に、7ページでございます。

もちろん過去の金融審議会でのいろいろな議論もあり、公平性や契約者保護の観点も踏まえたルールづくりは必要であると認識をしております。その一方で、保険会社の健全性につきましては、いわゆる統合リスク管理も強化されてきておりまして、私どもといたしましては、本件は今後の経営を行っていく上で大きなポイントというふうにも考えておりますので、このような組織改編も可能にするため、責任準備金の算出基礎が同一である保険契約の一部を移転することができるように、改めてご検討願えないかと考えている次第でございます。

続きまして、M&A等の事業再編の最後の項目でございます。8ページ、9ページをあわせてご覧いただきながらお聞きください。

ここでは、保険会社の資産運用規制の一つである同一人与信規制についてお話をさせていただきます。保険会社は確実に保険金をお支払いしなければなりませんので、資産運用についても規制がございます。運用方法の制限に加えて、特定の先に貸付けなどが集中することを排除するために、同一人に対する与信規制が設けられております。具体的には、資料の8ページのとおりですが、保険業法と施行規則のポイントは、一つの与信先に対して投資や融資等を総資産の10%以内にすることが求められているということでございます。この与信先には、いわゆる純粋な投資先のほかに子会社等が含まれているため、8ページの下段に書かせていただいたように、特に大規模なM&A等の際に、当該会社が結果として総資産の10%を超えるため、規制に抵触するという場合がございます。

ご要望事項は9ページのとおりでございます。縷々記載させていただいておりますけれども、子会社リスクは、本質的には、各保険会社の抱える事業リスクでございまして、すなわちこの事業をどう運営していくかというものであるというふうに認識をしております。

一方で、子会社を含めた事業リスクにつきましては、既にしっかりと管理をさせていただいているという状況でもございますので、いわゆる与信リスクとは一線を画するものだと考えております。したがいまして、本来の規制趣旨から考えますと、子会社までを当該規制の対象に含めるというのは、いささか行き過ぎではないかと考える次第でございます。また、今日ではグループベースでの監督体制が進んできておりまして、子会社等に対して保険会社が主体的に管理・監督する仕組みが整備されてきております。私どもがご要望させていただいていることは、金融庁の掲げるベター・レギュレーションのご趣旨にも合致するものではないかと考えておりまして、ぜひとも前向きにご検討をお願いしたいと思っております。

次に、グループ内機能の再編についてお話をさせていただきたいと思います。資料の10ページをご覧ください。

ここに書かせていただいているのは、ご参考としてのイメージ図でございます。これは一種の究極的な姿ではありますが、グループ内各社の機能を集約したり再編したりすることも経営の効率化やお客様へのサービス強化の一つの選択肢だと考えているということをご理解いただければと思います。

続きまして、具体的な要望事項といたしまして11ページと12ページをあわせてご覧ください。

それでは、最後にグループ内における保険募集機能の在り方についてお話をさせていただきたいと思います。

現在、各社はグループの総合力を生かし、相乗効果を発揮するために、例えばグループ内の中核となる保険会社が、他のグループ内保険会社の業務の代理、事務の代行を行っているケースが多く見られます。11ページの図は現在認められている代理・代行制度を使って損保A、図の中の白抜きの「グループ中核」と書かせていただいている保険会社のことでございます、このA社が、損保や生保のB、C、D社の業務や事務を代行している例を示しております。皆様ご存じのとおり、現状では、このような場合でも、A社の代理店さんがB、C、D社の保険商品を販売するためには、それぞれの保険会社の代理店委託契約を改めて交わす必要がございます。

次に12ページをご覧ください。

私どもがご要望したいのは、グループ内保険会社間の販売代理制度を整備し、新たに委託契約書を締結することなく、グループ内各社の商品を販売できるようにしていただきたいということでございます。

ちょっとご参考に資料の13ページをご覧ください。ちなみに先ほどもございましたが、本件に類似する検討は、過去に総代理店制度の導入という形で行われた経緯がございます。当時の議論で言う総代理店制度とは、保険会社から損害保険代理店に直接委託するのではなく、保険会社は総代理店と委託契約を交わし、総代理店が損害保険代理店と委託契約を交わす、こういった仕組みでございました。当時の金融庁のご回答では、主として業務の適切性を理由に、措置困難という結論に至っており、日本損害保険協会としても、このケースにつきましては同様に考えているというところでございます。

ただ、今回ご提案申し上げたいと考えておりますのは、少し切り口を変えまして、保険会社が代理・代行で他の保険会社の商品を販売するときに、当該保険会社と代理店との委託契約を基軸に、代理・代行商品の販売についても業務の適切性が確保できているものとみなして、代理・代行会社に保険商品を提供した保険会社とまで委託契約を結ばなくてもいいと。それもグループ内の保険会社同士の場合に限ってということでルールづくり等々も含めてご整理をいただけないかということでございます。こちらもぜひご検討を頂戴できればと存じおります。

以上で日本損害保険協会からのご説明とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。

続きまして、瀧下委員、お願いいたします。

○瀧下委員

外国損害保険協会の瀧下でございます。よろしくお願いいたします。

まず、私どもの外国損害保険協会を簡単にご紹介したいと思います。私どもの会員は、日本で保険業を行っております外国保険会社20社が会員となっておりまして、推定マーケットシェア、損害保険市場におけるマーケットシェアは約6%ほどでございます。会員20社のうち、外国保険会社の支店の形態をとっているのが16社、外国保険会社100%出資の日本法人となっているのが3社、残り1社は特定法人、すなわちロイズでございます。そういう団体でございます。

まず、私どもの会員、これが外国に本拠のあるいわゆる多国籍の保険金融グループでございますけれども、基本的な彼らの経営上の考え方について説明させていただきたいと思っております。

まず、一番の特徴というのが、経営組織、マトリクスというやり方、これがかなり一般的に普及しているということでございます。この表、概念図を書きましたが、法人単位で管理するというよりもグループ単位で機能別に管理する。グローバルの本社があり、場合によると地域ごとの本社があり、それぞれの各国に実際の事業会社がある。それを本社の社長から子会社の社長に指示するのではなくて、それぞれの機能ごとに、本社の各機能がそれぞれの事業会社の事業体のその部門に直接指示するという、そういうことでございまして、例えばコンプライアンスに関しては、グローバルな本社にコンプライアンスのチーフ・コンプライアンス・オフィサーなんていうのがいまして、彼がコンプライアンスの方針、やり方等を定めて、それを例えば日本の事業単位のコンプライアンス・オフィサーに指示する。写しが日本の支店長あるいは日本の子会社の社長のところにいくというのが基本的なスタイルでございます。これは、会社の規模あるいは事業がどのぐらい多角化しているかとか、いろいろな要素によって濃淡が大分ございまして、縦線がえらい太いグループもあれば、横線もかなり太いグループもある。一つ確かなことは、事業上の指揮監督は縦線で来る。人事権は横線というのは基本的なスタイルかと思います。

それともう一つは、ストラテジック・ビジネス・ユニットという考え方をとっているところが多いということでございまして、一つのグループがすごく保険会社をたくさん持っていたりする。特にアメリカの場合顕著でして、保険の種類ごと、場合によってはレート水準の違い、あるいは地域、あるいは販売方法等によって保険会社がたくさんに分かれている。数十というのは普通で、大きいところになると数百という保険会社が1つのグループの中で、例えばアメリカで展開しているというようなことになっております。それを会社単位で経営しているというよりも、やはりグループごとにありまして、例えば幾つかの部門にその会社を分ける、あるいは会社の中の部門ごとにさらに分けて、家計向けの保険部門、企業向け、特殊保険部門というような形で分けるというのが普通でして、それのビジネス・ユニットの本部が本社の中にまずあって、それが各子会社の各部門、その部門を指揮していく。これもマトリクスになっているわけですね。

そのビジネス・ユニット、損害保険の場合は、パーソナル、コマーシャル、スペシャリティという分け方が一般的でございまして、パーソナルは当然家計向けの保険、コマーシャルの企業向けの一般的な保険で、スペシャリティというのは企業によって大分やっていることが違いますが、例えば海上保険であるとか、特殊な賠責保険、あるいは建設工事とか海上石油開発とか宇宙とか、そのようなものがスペシャリティというヘディングのもとで営まれていることが多うございます。

これは私どもの会員のフェデラルという保険会社の例ですが、親会社はチャブという会社で、これはニューヨーク上場の会社でございまして、ここを例にとりましたのは、非常にシンプルでわかりやすいからとりまして、まず生保事業をやっていないということと、海外がそれほど大きくないということで例に取り上げてございますけれども、彼らは子会社群をチャブ・グループ・オブ・インシュランス・カンパニーズというような言い方で子会社群をまとめておりまして、そこに書きました、1枚目の下の表でございますけれども、これがチャブグループにおける主要なアメリカにおける保険会社でございます。名前を見ていただくと、Pacificなんてついているのは西海岸用の会社だったり、Indemnityなんて書いてありますけれども、これはそういう信用保証関係をやっているとか、そんな形で幾つかの会社に分かれております。

ところが、これの実際の営業は、2枚目をめくっていただきますと、SBU、ストラテジック・ビジネス・ユニット、3つにやはり彼らも分かれておりまして、実際のマーケティングとか商品管理、それに引き受けというのは、この3つのユニットが担当しております。これごとに責任者がいるということででき上がっております。

また1枚目を見ていただきまして、先ほど見ていただいた保険会社の一覧なんですが、右側に*をつけているんですが、実はこのチャブという会社が有名だというのは幾つか理由があるのですが、一つはマネジメント会社方式をとっているということで業界の中でも有名な会社でございまして、保険子会社はたくさんあるんですけれども、これの経営を一つのマネジメント会社に委託しているということでございます。チャブ&サンという会社がございますが、これはフェデラルという保険会社の実は子会社なんですが、そのチャブ&サンというところに実は職員とか経営資源が全部投入されていまして、そのチャブ&サンという会社が、フェデラルもそうなんですが、この*のついた会社の経営全般、業務全般を請け負っている。

この中にSBUも実はございまして、ここの営業部門が3つに分かれているということでございます。その他の機能もすべて査定も含めて集約されて、この保険会社のためにやっている。*のついていない保険会社についても、この中の一部の業務については、チャブ&サンで業務委託を受けているものもあるというふうに聞いております。

そのほか、グループ内で経営効率化のためにいわゆる総務関連の業務について、あるいは経理システムについては、共通の組織を持っておりまして、子会社にしてございまして、それをシェアド・サービスという言い方を最近しておりますけれども、シェアド・サービスという形で各子会社の同じ業務、会計であるとか、人事であるとか、購買であるとか、オフィス管理みたいなことは一つの会社で各保険会社にサービスを提供するということでございまして、私どもの会員で日本で幾つかの事業体を持っているところでは、やはりこのシェアド・サービスをやっているところもございます。

こういう形で私どもの会員はグローバルに組織されておりまして、その組織の一部が日本にある。その日本にある組織の団体が私ども外国損害保険協会ということになります。私ども外国損害保険協会として、今まで幾つか具体的に要望をお願いしていたのがございまして、幾つかある中の一つが、総合的な監督指針という、いわゆるガイドラインと呼んでいる中に、ガイドライン自体は日本法人を想定した規定でございまして、外国損害保険会社の支店に関しては、文言上当たらないものが多々ある。

例えば取締役会、その会社の取締役会、私どもの会員の取締役会というのは、外国にあるもので日本にないわけでして、そのままあれを読み込むことはできないわけですが、今までの金融庁の検査の考え方は、日本の事業体の中にすべての機能がなければいけないと。自足的に充足していなければいけないということで、何とかの責任者を置けとか、何とかの部門、専門の部門を置けとか、いろいろそういうことで書かれているわけなんですが、申し上げましたように、支店の場合、そこにすべての機能を充足するということは普通あり得ない。例えば日本の保険会社が、日本における支店にリスクマネジメントの専門家がいるかといったら、そういうわけでもないでしょうし、支店は支店として、本社から指揮監督を受けて、本社の機能を使いながら事業を行っている、これは日本の保険会社もみんな同じかと思うのですが。

そういうことで、この前の検査マニュアルの改訂に当たって、私どもはコメントさせていただいたのが、そこに書いてあるわけでして、要するに、本店とか本社とか、あるいは親会社とか、そういうところでその支店に対してサポートしている機能、行っている機能をあわせて監督指針に書かれている機能を満たしていればよろしいんですよねといったところ、貴見のとおりですということでご回答いただいたということでございます。

それと、私どもが言っていることが瑣末なことで大変恐縮なんですが、今一番会員が困っているのが検査情報でございまして、入検すると、はい、それまでというので、全部シールされるわけですね。検査が入ったこと自体もだれにも言っちゃいけないということになっていて、ところが、申し上げているように、支店でできることは非常に限られているわけでして、やはり本店、本社、親会社に対して、大変だ、大変だということで、検査が入りましたということで報告して支援を得なければならない。なぜならば、本社、本店、親会社がその支店に関する業務を支援しているからで、そこと共同して取り組まなければ、検査対応も指摘事項の改善も非常に困難であると。検査局の幹部の方にお話を聞いたら、それはグループ経営なんだから当然そのグループ内で情報共有して取り組んでほしいとおっしゃるんですが、実際に入られる検査官の方は全然違いまして、もう一切だめだと。この紙、この情報について本社のだれに出すのか、一々全部それを特定して、非常に細かくたくさんの承認を取らなきゃならないということになっておりまして、一番私があきれたのが、某私ども会員の支店、検査が入りまして、検査報告書を本社に送りたい。で、承認願うと。ついては、日本語なので読めないので、外国語に翻訳したい。それはもっともだ。だけども、検査の報告書は会社外に持ち出すことはならない。したがって、翻訳家を会社に呼んでやれということで、翻訳会社にその検査報告書を出すことはまかりならんと言われたので、しようがないから、翻訳家の方に会社に来てもらって翻訳してもらったという、そんなことがあったそうです。

それと、業務範囲規制につきましても、私ども若干困っているのがありまして、一つは、最初に事務局からご案内のあった一番最後の事項で、兄弟会社間の代理・代行については承認にかえましょうというお話なんですが、これは私どもの会員の海外にある兄弟会社についてもお願いしたいというふうに考えておりまして、外国にある兄弟の保険会社の、例えば日本向け輸出貨物などの損害査定を私どもの会員が日本で行っているわけなので、そういうことにつきまして、認可から承認ということで取り扱いをお願いしたいと考えております。

それと、生命保険に関しては、日本の生命保険会社を有姿のまま外国の保険会社が買うというのが多々あったわけですが、最近、私どもの会員会社も、日本の損害保険会社を買収いたしました。買収した結果、非常に日本の損害保険協会加盟の会社と事情がよく似てきちゃったんですね。そういうことで、やはり私どもとしても子会社の業務範囲規制について、いろいろと規制緩和をお願いしたい。私どもの会員会社の日本にいる兄弟会社の海外部門もありますので、先ほど日本損害保険協会からもお話がありましたように、海外保険会社買収に際して、子会社の業務範囲については柔軟に対応していただきたい。

私どもの会員に聞きましたところ、業務範囲規制がないということは、全く野放しということではないわけでして、保険会社が子会社を持って、損害保険業務以外のことを行うについては、やはりそれなりの見方をされて、保険契約者に危害、リスクが及ばないか、保険契約者にとって何かメリットがあるのかどうか、そういう観点からやはり規制はされているわけで、野放しにされているわけではないということで、その範囲内で子会社の業務範囲についても柔軟に認めていただければというふうに思っております。

それともう一つが、これも以前から私ども、あるいはその他の団体がお願いしているところで、最後のページになります。日本における外国保険会社の支店、これの法人化の問題でございます。外国の制度の中には、ドメスティケーション、現地化という、そういう法的手続を認めている法制もありまして、支店のそのまま法人格を認めてしまうというような、そういう法制もあるようなんですが、日本ではそこまではできない、法制上難しいでしょうが、保険業法、会社法、税法、いろんなところに障害がございましてなかなかできなくなっている。

特に税法については、長年、戦後50年、60年営業している保険会社の支店も日本にあるわけで、それが現在の税制のもとで法人になるとすると、いわゆる簿価と時価の差額が顕在化して莫大な税金がかかるということで、これが一番大きな障害になっている。その他、会社法でも非常に手続が煩瑣であるという問題もございます。業法については、運営でできるとは思うのですが、柔軟に運営していただければ、事業法については何とかいけるのではないかと思っております。会社法については、在日米国商工会議所も最近提案、意見書を出しておりまして、いわゆる準会社分割と言っておりますが、会社分割に準じた取り扱いを支店の場合についても認めてほしいということで要望しております。私どもも同じ意見でございます。

いろいろと申し上げましたけれども、私から申し上げたいのは、私どもの会員はグローバルな組織でございまして、先ほど申し上げたようないろいろなグループ経営も日本の金融機関、保険会社よりも大分先にいっているように思います。そういった実態を踏まえた規制、監督をぜひともお願いしたいと思います。

ありがとうございました。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。

それでは、これまでの事務局説明や実務メンバーの皆様からのご説明等に関しまして、ご質問、ご意見等をお願いできればと思います。

○水口委員

同一人の与信規制の見直しということでご提案というか、お話がありましたけれども、アナリストの観点から申し上げましても、国内中心の事業の成長性の制約への対応と言うことも考えたときに、保険会社の収益基盤とか事業基盤の強化施策のあり方について、海外展開を含めたいろんな選択肢があると思っております。海外事業を展開する際に留意すべきは事業リスクでありますが、こうした与信規制という枠組みが、純粋な資産運用などの投資行動というのと違った形の保険会社の行為がである海外の事業の多様化などを進められるときに障害になるとしたら、それはどうなのかというふうに思います。

一方で、当然新たな事業を展開するということで、そうした事業を展開するにかかわるところの事業リスクというのはしっかり掌握する必要があるとやはり思いますので、連結ベースソルベンシー規制などでのしっかりした海外事業を含めたリスクの特性を掌握するような枠組みを整備することに加えて、海外市場においてビジネスプラクティスのあり方が違うとか市場の特性も違うなどいろいろな観点がありますし、リスク特性を知った上で買収した会社等が海外ローカルのマネジメントによって運営をされているかということを、しっかりわが国の親会社が目配り・グリップできているかと言った観点などから、ガバナンスのあり方をモニターする体制整備といったものも必要なのではないかと考えます。

以上です。

○小島委員

遅れて来まして済みません。今お3人のメンバーの方からご意見をいただきました。今回、このワーキング・グループに課せられている諮問の一つであります、1番目の海外の買収に伴う子会社規制の見直しの件であります。3人の方については、基本的に規制は外すべきだというご意見でありました。特に松山委員、岩井委員からご意見を伺いたい。買収に伴う海外子会社の業務範囲の規制の撤廃というか、外すということについてです。全く規制をかけないという、例外なしに何でもいいんだと考えるのか、一定の投機的な事業については規制をし、それは外すといったような、何らかの規制は必要なのかどうか、ここについての質問です。

何が投機的事業かというのはなかなか難しいんですけれども、例えば一定の事業については規制をするという場合に、どういう事業は外したらいいのか、いわばネガティブリストというか、そういうことが想定されるのかということが質問の1点です。

そして、海外の子会社を買収する場合には、そういう規制を緩和、外すということですが、国内の場合はどうするか。国内も同じにするか。国内の会社を買収する場合の規制を、これも海外買収と同じように規制を外すということなのか。国内と国外の規制といいますか、ダブルスタンダードにするのか、そこは一緒にするのかということについての質問です。ここについてお3人の委員のご見解をいただければと思います。

次に、松山委員、岩井委員から指摘された保険契約移転の問題、あるいは代理店の問題については、お2人のお考え方が違うようですけれども、そこは生損保の商品の違いということもあるんだと思います。そこについて、特にグループ内における代理店の契約の問題です。グループ内には生損保、両方抱えているところもあります。松山委員は慎重にというご意見でありました。岩井委員は、そこは進めるべきではないかということでありますけれども、この問題については、生損保の商品の違いによるすみ分けというか、ある程度そこは線引きをするというような形で対応が可能なのかどうか、松山委員、岩井委員のお考えをお聞きしたいと思います。

以上です。

○洲崎WG座長

第1点が、保険会社の外国保険会社の買収等に係る子会社の業務範囲規制の見直し、この点について、単に規制を外してほしいということにとどまるのか、もうちょっと具体的に、例えばこういう規制が考えられるのではないかということをお考えなのか。もう一つが、日本の子会社の場合にどうするのかというのが、第1点に関するご質問だったかと思います。

それでは、松山委員と岩井委員からそれぞれお願いします。

○松山委員

お答えいたします。外国保険会社買収等に係る子会社の業務範囲規制でございますが、先ほど申し上げましたように、実際に海外でビジネスを展開する場合には、やはり諸外国には規制がないということと、それから日本にあるという、この辺のアンバランスが、例えば先ほど岩井委員のほうからもございましたが、現実にそういった場面になったときに、やはり阻害要因になってしまうということがあると思います。

一方で、それでは、どこまで認めるかということにつきましては、保険業法に他業禁止というものがございますから、そういった趣旨も踏まえて、とにかく何でもよいということではなくて、例えば国内の業務範囲規制を一定程度にらみながら、それをあまり逸脱しないような形で留意して枠組みを決めていくということが必要であろうというように考えてございます。

以上です。

○洲崎WG座長

日本のほうについては、特には……。

○松山委員

移転と……。

○洲崎WG座長

いや。

○松山委員

国内ですか。

○洲崎WG座長

日本の子会社規制に関して、それを緩めてほしいのかどうか。

○松山委員

これについても、今申し上げましたように、現在他業禁止というのがございますから、それに基づいて考えていくということでよろしいかと思います。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。

○岩井委員

海外の保険会社の買収につきましては、まずお願い申し上げているのは、このワーキング・グループの場で規制撤廃ということをベースにしながら取り上げていただいてご議論させていただきたいということが、今回の趣旨でございます。というのは、M&A系の話というのは、表に出てこないのも含めていろんなことが動いたりなくなったりしているというふうに考えておりますので、やはり早目の処方せんが欲しいなというところがございます。

その中で、何らかの制限をかけるかどうかということに関しましては、その議論の中でお話をさせていただければというふうに考えております。例えば、事業で分けるという、今たまたまお話がございましたけれども、海外のオーナー系の保険会社とか、比較的お付き合いで持っている小さな事業もありますので、例えばそういうのが適当なのかどうか。何が我々のM&Aをするときの競争力につながって、一方では健全性につながるのかということも含めてご議論させていただければというふうに考えております。

国内につきましては、もちろんそういう可能性、方向性はあると思いますけれども、今回はとりあえず急ぎの処方せんということですので、まずは海外のM&Aというのが業界の喫緊の課題というのが実情でございます。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。

瀧下委員からも何かございますか。

○瀧下委員

範囲の問題については特別申し上げるのはないんですけれども、規制の仕方で、よく海外であるのは、何年以内にこの部分は取り除けと、ダイベストと言っていますけれども。また、買収した場合、経営側もそれをそのまま持つということはあまりなくて、これは要るけど、これは要らないと整理するダイベストメントというのが行われていますので、そういう監督の手法も考えていただいていいのかなと思います。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。

もう一点が一部包括移転に関して、どうもこれについては生保業界と損保業界で必ずしも足並みが一致していないように思われたということで、これが実際のところ、どうなのかという、そういうご質問だったかと思いますけれども、何かコメントはございますか。

○松山委員

大前提といたしましては、私どももやはり経営上、効率化を図る観点からいろいろなことについて見直しをしていくべきだというようには考えておりますが、一方で、やはり大切なことは、いわゆるお客様といいますか、契約者保護の視点、それから適切なリスク管理、これがやはり移転の場合も、それからもっと申し上げれば、いわゆる復代理についても同じようなことが言えると思うのですが、そういった視点のバランスをとりながら進めていくべきだというように思います。

それから、最終的にやはり保護ということに加えまして、先ほどの例えば業務範囲のことに関して申し上げても、いわゆるグループ全体の収益性ですとか、競争力が向上することによって、まさにこれもお客様に対して様々なサービスの向上とか還元ができるということが大事なのではないかというように考えております。

そういう視点から、移転についてはいわゆる公平性ということも含めて、いろいろまだ検討すべき課題があるのではないかということを議論して参りたいというように思っております。

○洲崎WG座長

ありがとうございます。

○岩井委員

先ほども申し上げましたようにこれまでもいろいろな議論があったということもよく承知をしております。ただ、今日いろいろ申し上げておりますことは、グループ、損害保険業界、先ほどの2ページの図にありますように非常にグループ化というのが進んでいる状況にございます。そういう中で、グループのガバナンスというのが相当強化されているという流れにあります。この流れとあわせて経済価値ベース、リスクベースの健全性のチェックというのは進んでいると。これが従来と状況と大きく違っていることだというふうに思います。

加えて、この問題自体は、この場ではかつてご論議されたことがなかった切り口でご提案をさせていただいておりますので、ぜひご論議を頂戴したいなというふうに思っているということでございます。

○洲崎WG座長

おそらく生命保険のほうで、やや消極的な意見を述べられたというのは、一部包括移転がなされる場合、契約内容は維持されて移るわけですけれども、生命保険の場合は、契約内容は変わらなくても、A会社からB会社に移ったときに、A会社とB会社が資産内容が違えば、資産内容というか、経営内容が違うと、これは最初のご報告でもありましたけれども、配当が違ってくることになる可能性がありますし、それから、おそらく保険契約の性格として、生命保険契約は長期なので、AからBに移ったときに、Bのところで、Aのほうは財務内容がよくて配当もよかったのに、Bに移ると、そこでやめられないですね。特に健康状態が悪化して加齢していると、もうB会社は気に入らないからそこをやめてほかの会社に移ることはしにくいという、そういう問題は確かに生命保険の場合にはあるのかなという気がしますが、逆に損害保険の場合に、もう少し何か具体例を、特に一部包括移転が、こういう場合に特にやりたいんだというような具体例を挙げていただくと、小島委員からのご質問に対する答えとして、皆さん具体的なイメージを持つことができるのではないかなという気がするんですけれども。

○岩井委員

具体的な例として、基本的にはいろいろな選択肢を保険会社の経営のためにも、あるいはご契約者のためにも持ちながら進めていきたいというところで、その具体例というのも、検討の段階あるいは検討の前の段階というところがあろうかと思います。

ただ、幾つか申し上げれば、例えば販売チャネルごとにご契約者様にどこが接点になるかということを考えながら契約を組みかえていく、あるいは専門性を考えながらご契約者にとってこちらのほうがサービスがよかろうということで契約を組みかえていく。あるいは販売会社を別途つくるという可能性もあるかというふうに考えております。あくまでも選択肢ということであると思います。

○洲崎WG座長

代理店経由で売っている、A会社、B会社、C会社の代理店経由というものを1つの会社に集める、あるいは通販で売っているものをまた別の会社に集める、例としてはそういうようなことですか。

○岩井委員

そうしたこともあり得るというふうに思います。

○丹野委員

一つ質問でございますが、今議論の進め方で、諮問事項としている外国損害保険会社の買収に係る子会社の業務範囲規制の見直しと、それから、それ以外、それぞれ生保のほうから、損保のほうから出されている、生保のほうで言うと、あと2つですか、損保のほうで言うと、あと3つですけれど、そこをみんなまぜて一緒くたにして議論していくのか、それとも少し整理をして、例えば業務範囲規制だけの話をまずしてしまうのかどうなのかというのがいまいちよくわかりませんで、どういうふうに話をしたらいいかわからないというのが一つございます。

もう一つは、とりあえず頭出しで何でも言っていいというなら、ここで意見を言わせていただくのでしょうが、そこだけちょっと教えていただきたいと思います。

○小原保険企画室長

まず諮問事項は、読んでいただくとわかりますように、保険会社による外国保険会社の買収等に係る子会社の業務範囲規制の見直しを含む保険会社のグループ経営の向上に資するような規制の在り方等でございますので、本日お話しされた内容はすべて諮問事項に含まれているというふうにまず認識しております。

今後の議論の進め方をどうするかにつきましては、本日の委員の皆様方のご意見も踏まえまして、座長とご相談した上で、次回委員の皆様方にお諮りしたいというふうに思います。

○丹野委員

わかりました。全部諮問事項だというのはよくわかりましたが、項目は項目としてあるだろうと思いますが、少し意見を述べさせていただいてもよろしいでしょうか。

○洲崎WG座長

どうぞ。

○丹野委員

消費者・契約者の保護という観点から私は物を申し上げようと思っています。契約者に利益があるんだろうか、消費者に利益があるんだろうかという観点からお話をさせていただきます。

保険会社に関する最大のミッションはつぶれないことだと思っています。破綻して契約者の保護に欠けるようなことは絶対慎んでほしいというのがまずございます。

それから、外国損害保険会社の買収に係る子会社の業務範囲規制の見直しという点で申し上げれば、非常に素朴に心情的に申し上げれば、日本の保険会社にぜひ頑張ってほしい。外国へ出ていくのにそんなにハードルが高いのでは困るだろうというのがまず基本でございます。基本であるのですが、ただ、外国の保険会社が実は子会社をこういうのを持っていましたと。先ほどからリスクというお話が出ていますけれども、例えば極端なことを言えば、原子力関連の何とかをやっていましたとか、非常にリスキーなものを持っていました云々という話があったりして、それが日本の保険会社のほうに、結局業績が悪くなってはね返ってくるというのは、非常に困ることだと思うんです。

そこで、ちょっと質問させていただきたいんですが、先ほど金融庁の出していらっしゃるペーパーだと、海外4カ国の例を挙げていて、業務範囲規制はございませんよというふうになっておりました。そこの中で、例えば業務範囲規制がないことによって、それが理由かどうかはともかくとして、そういう実態の中で非常に業績が悪くなったとか、何かトラブルが起きたとか、そういう事例はないのかというのがまず一つ聞きたいことでございます。そこを教えていただきたい。

その上で、そういうものがないのだということで、日本のほうが非常に規制が厳しくて、海外はハードルが低い、緩やかだということが、今、保険に限らず、例えばデリバティブみたいなものの商品の話をすると、海外のほうで規制がフリーだったおかげで、それでトラブルが非常に起きて、逆に少しずつ規制を強化しつつあるというような現状も他方にあるというようなことを含めれば、先ほど申し上げたように日本の企業に頑張ってほしいという思いはあるのですけれど、全部撤廃するのがよいかどうかわからない、先ほど全く野放しではなくというようなことをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、それが外れたときはどうなるのか。

それから、国内については、他業禁止でいくんだと先ほどお話がありましたけれども、早晩、それは当然のことに国内の規制のほうにもはね返ってくるのではないかというふうに、そこは非常に懸念を持っていますので、その辺について教えていただければと思います。

○小原保険企画室長

まず1点目でございますが、各国とも法令上どういう業種の子会社は持ってはいけないという規制はございません。それで、子会社を取得する際に、事前の認可等も、各国とも基本的にはかかっていないと。ただ、子会社に不適切な会社がある場合には、株式を処分させる等の命令権限を一様にお持ちのようでございます。

それで、今回のワーキング・グループの開催の準備のために、各国当局にそういった事例があるのかについて照会をかけましたが、今まで回答があったドイツ、フランス、アメリカにつきましては、事例はないという回答をいただいているところでございます。

2点目は、非常に難しいご質問かと思うんですけれども、日本の法制でかなり事前規制的な体系になっているのが各国を並べると大変目立つわけでございますけれども、過去議論されてきたのは、一つは、行政判断の透明性を確保するという要請が強いということ、それから当局による監督の実効性確保の要請が非常に強いということで、その結果できている全体の法体系の中での整合性ということを踏まえて、現在のような仕組みが維持されているというふうに理解しております。

それで、日本の制度にはね返ってくるのではないかというのはご指摘のとおりでございまして、一つこれも論点になるかと思うんですが、仮に外国保険会社の子会社であることをもって何でも持てるような法制にした場合には、子会社規制、業務範囲規制というのはリスク管理の観点から設けてありますので、同じような業種、業務を行っている国内の会社は持てなくて、海外の会社は持てるということにもなってしまいますので、そのあたりを踏まえながらご議論いただければというふうに思っております。

○後藤委員

先ほど来お話の出ています外国保険会社を買収したときの子会社のお話と、あと契約移転の単位のことについて少し感想を述べさせていただきたいと思います。

まず、子会社範囲が規制されているそもそもの趣旨は何かというと、親会社に子会社の事業リスクが波及すると困るということであるかと思うのですが、ただ、法人格が分かれていますので、株主は有限責任であるということからすると、本来親会社の負担するリスクは、その投資した額がゼロになるというだけで、マイナス部分を負担する義務は法律上は存在しないということになり、子会社に大きな事故が起きたとしても、その責任は遮断されるということになると思います。ただ、事実上、親会社である以上、何か責任をとれと言われることが、特に日本においてはひょっとしたらあるかもしれないということで、このような形になっているものというふうに考えております。もっとも、それはあくまで事実上の可能性の話であって、法律的にはリスクを遮断できるということからすると、そもそも日本の子会社範囲規制自体がひょっとしたら厳し過ぎるのかもしれない。先ほど申し上げたように、これは日本の実情に合ったものなのかもしれませんが、どこまで妥当すべき話かという観点はあるように思います。

そうすると、先ほど急ぎの話なので、とりあえず海外子会社だけをというお話がございましたが、今の丹野委員のお話にもあったことと関連するかと思いますけれども、本来はやはり国内とあわせてどういうスタンスで臨むべきかということから考えていかないと、制度間の不整合を生じさせてしまうことになると思います。制度間の不整合があると、潜脱に使われるおそれもありますので、改正のタイミングはいろいろありうるかと思いますが、スタンスとしては国内についての規制も含めて議論していくべきなのかなというふうに感じております。

さらに、規制の手法をどういう風にしていくかということを対象範囲の問題とあわせて考えるべきかなという気もしております。先ほど瀧下委員からもご紹介があったかと思いますが、海外の買収先の子会社に日本では認められていないタイプの子会社があったとして、それをこの際保有し続けてよいということにするのか、買収するときの調査とかに時間がかかって、またその交渉も大変になるので、それだけ対処しましょうというのであれば、買収の時点ではそのまま買収してもよいが、何年と期限を切ると問題があるかもしれませんけれども、適時に処分しなさいという形の規制にするのかということが考えられます。また、翻って一切規制を外すということになると、海外であれば、さらに子会社を増やしていっていいですよということまでするのか。もし日本国内で子会社の範囲を今のように規制し続けるのであれば、さすがに追加で取得するというのは、ちょっと違和感を覚えるところなのですけれども、その辺の規制の手法とあわせて国内とのバランスがとれる必要があるのではないかなという気がしております。

あと、契約移転の単位規制のほうなのですけれども、先ほど松山委員と座長からご指摘がありました、移転先で配当水準が変わってしまうのではないかという問題のほかにも、ひょっとしたらサービスの内容も変わってしまうかもしれませんので、やはりこの保険会社は嫌なので移転したくないということがあるという問題は、非常に重要であると思います。ただ、その問題と、今現在の責任準備金の算定の基礎が同一という単位の規制の仕方の問題とがかみ合っているかというと、移転させられたら配当の額が変わってしまうかもしれないというのは、責任準備金の算定の基礎が同一のものを全部まとめて移す場合であっても生じ得る問題ですので、今現在の単位規制でも対処できていない問題があるから、現在の単位規制を緩和しないというのは、ややかみ合っていない議論のようにも感じられるわけであります。

そうすると、単位規制というのは、それで何をカバーしようとしているかというと、移転する契約と移転しない契約とを分けることによって、例えば松山委員の資料の中にもありましたように、保険契約の群団が少なくなってしまうことによって分散度合いが低下し、大数の法則が働かなくなって、その結果、保険会社の経営に影響を及ぼすような事態が生じる可能性があるという問題と、いい契約と悪い契約、例えば、健康体の人の契約と健康が悪い人の契約を分けて、片方だけを移すという問題だと思います。これらは問題であるとは思うのですが、それに対処するときにどのような手当てを置くかというお話と、先ほどの移転先で配当が低下してしまうとか、そもそも移転させられた先の保険会社の経営は苦しいというような場合に、それにどう対処するかというお話とは、規制の仕方としていろいろ分けて考えていく必要があるような気がしております。

また、仮に前者の分散が低下するとか、優良契約と不良契約を分けるというようなお話についても、これもまとめてでないと移せませんというタイプの規制がいいのか、それとも、例えば、健康の状況を見て分けるということだと問題があるとは思うのですけれども、営業チャネルと健康状態はあまりリンクしていないということであれば、営業チャネルごとに分けるということの問題はないかもしれないとすると、現在の一律にまとめてでないと動かせませんという規制をやめるかわりに、何か認可などの中で問題がある区別の仕方ではないかということをチェックしていくというやり方も考えられるような気がいたしますので、いずれも重要な問題ではあるとは思うのですが、規制手法をいろいろ考えていくということは必要なのではないかというふうに感じております。

○家森委員

きょう事務局からお配りいただきましたように、平成19年度の金融審第二部会報告が考えるべき基本的な視点をまとめていると思います。つまり、経営の健全性、利用者利便の向上、経営の効率化、国際競争力の確保ということです。これらがこのワーキングでも重要な視点だろうと思います。

一方、平成4年の保険審議会の答申では、子会社方式をとることは明確なリスク遮断が可能であるという前提に立って議論がされたわけですが、きょう生保、損保の方々からお話を聞くと、損保の方は、もう既にグループが一体化して、リスクも既に共有している。だから、あたかもグループ全体を一社のごとく考えてもらいたいという、こういうイメージになっているようです。一方、生保の方は、いやいやリスク遮断の制度があって、いざとなれば、嫌なやつはほっぽり出せるというような仕組みがまだ残っているんだというご意見かと思います。

そうすると、グループ経営をこれから充実させていくんだという方向に議論を進めるとすれば、具体的には持株会社でしょうが、グループ全体のガバナンスをきちんと機能するようにしておくことが大事な論点になるのではないだろうかと思いました。

いずれにせよ、きょう具体的にご提案があった1から4のテーマは、それぞれ保険会社の国際競争力を増したり、あるいは効率性を増す上での一つの手段になり得るものでして、これらはすべて議論する必要があると私は思います。

逆に、この4つのうちのどれもやれないとなると、保険会社の国際競争力あるいはグループ経営を効率化していく別の手段には何があるのか、今のままでいればいいとは思えませんので、そういう深刻な疑問が生じます。ぜひこれらの項目をご検討いただければと思います。

最後に、具体的なことはまた次回以降にお話しできると思うのですけれども、一つだけ質問をします。外国でM&Aをやった場合に、先ほど損保の方からは、「たまたま」保険業法で認められない会社をぶら下げているというようなご発言があったわけですが、これは、全部たまたまなのでしょうか。例えばローカルな市場においては、そういうものを持っていないと、ローカルマーケットでの競争力が失われるようなものがあるのではないのかと予想します。こうした会社が、ほんとうに全部たまたま、つまり、先ほどおっしゃった、何か地縁、血縁で持っているだけというようなものばかりなのかというのは、また次回以降でいいので教えていただければと思います。以上です。

○木下委員

まず子会社の業務範囲規制の件で、仮に海外のものについて規制を撤廃するとした場合に、保険業法の132条1項の適用によって、包括的な監督権限のもとでそこの弊害の部分について調整をするということが最終的には考えられると思うのですが、今般の議論は、それよりももう少し子会社の業務範囲規制に特化したような、もう少し直接的な規制の根拠となるようなルールについても考えるべきということなのか、あるいは132条の解釈を深めておけば、それで対応できるという考えなのか、これは今後議論すればいいかと思いますけれども、現状において、事務局はどういう認識をしておられるか教えていただきたいことが1点です。

もう一点ありまして、包括移転の問題ですが、これも先ほどから議論がありますように、グループ内での包括移転だから規制を緩和できるとかという、そこに特化するということが、この問題のアプローチとして適切なのかということについては少し違和感がありまして、グループ内でできるのであれば、では、グループ外ではなぜできないのかという議論が、やはりこの問題の後に控えていると思っております。先ほどのチャネルごとに分けるというようなものは、まさにコストの点で全く違ってくるわけで、価格とか、あるいはシステムとか、いろんなことで価格体系が全然違った業態になるかと思いますので、それはもちろん魅力的なことだろうとは思うのですけれども、それを包括移転の制度をかりて、一部移転を使わないとできないことなのか。特に損保の場合、1年契約で、1年たてば、そういう会社を立てて、そちらが魅力的であれば、お客さんは自動的にそちらに流れていくというような構造を持っていると思いますので、それについて、なぜ包括移転の規制緩和でないと対応できないということなのかについても、業界側の認識を教えていただければありがたいと思っております。

○小原保険企画室長

では、1点目でございますが、木下先生から保険業法132条、業務の停止等という業務改善命令、業務停止命令ということで対処するというのは、多分ご趣旨は、外国保険会社の子会社であれば、もうすべてオッケーということにして、問題があれば、業務改善命令で対処するかということを当局として考えているのかというご趣旨かと思いますが、その場合ですと、やっぱり外国の保険会社の子会社であるがゆえに、入り口では全く規制がないということになって、全体との整合性がそれで保てるのかという点をきちんと検討しなければならないかなというふうに思います。私どもとして、そういった方式、スタイルにすることを現時点において志向しているということでもございませんで、委員の皆様方のご意見をよく拝聴したいというふうに思います。

○岩井委員

一言お答えさせていただきます。先ほど保険会社の健全性を経済価値、リスクベースでしっかり見る方向があるということをお話申し上げまして、あわせてグループ連結でも見ているというお話を少し申し上げましたので、多少2つの点が混同されてしまったかというふうに思っておりますけれども、包括移転につきましても、業界内の論議では、グループ内に限ったという論議をしているわけではなく、むしろ各保険会社の健全性を経済価値ベースでしっかり見るようになっているから、そういうことが、例えば以前の論議とは客観情勢が変わってきているのではないかということが基本にございます。

ただ、わかりやすく、具体的な例で言えば、例えばグループ内ということで表にも書かせていただいて、こういったようなことが現実としてあり得るということで申し上げたということで、むしろ今リスクベースでいろいろソルベンシーも含めて保険会社の健全性を見るという方向が進んでいるということが今回改めてご議論いただきたいということの根本だということだけ少し補足をさせていただきます。

○洲崎WG座長

木下委員のご質問の中では、移転させるのではなくて、新しい保険会社の中に契約更新時に移ってもらうようにするという形ではいけないのかというご質問あったかと思いますが、やっぱりそれでは対応できずに、包括移転という手法をとる特に必要性があるのか、あるいはこれは次回以降にまたご説明いただくということでも結構ですけれども、具体的にどういう必要性があるのか、ニーズがあるのかについてご説明いただくほうが、議論もしやすくなると思いますので、またこの点はよろしくお願いいたします。

○加藤委員

今回3委員のほうからご説明いただいた件すべてが今後の検討事項だということでお話しいただいたと思いますが、特にその中でも瀧下委員のほうからご質問があった部分についても、そこに含まれるという理解でよいか、ちょっと質問させていただければと思います。

具体的には、私も心情的には、日本の保険会社が海外に出ていくというようなときでの規制緩和という方向、基本的には当然賛成でございますが、同時に内資、外資という区別が相当にもうつきにくい、外資であっても日本の中で、日本の利益貢献、売上貢献が半分を超えているような会社さんが相当出てきていらっしゃる中で、同時に、こういった外国の保険会社さんが日本におけることというのも検討たるべきではないかなというふうに個人的には思ってございます。

そんな中で、在日支店の法人化、もしくは業務範囲規制ということであった部分も、このワーキングでの検討範囲なのか、いやいや、ちょっとそこはさすがに今回のワーキングの趣旨とずれるのかだけ、ちょっとご確認をさせていただければと思います。

以上です。

○小原保険企画室長

瀧下委員のプレゼン資料の4番と5番がこのワーキングと直接かかわってくる可能性のある事項かと思います。まず、4の(1)の兄弟会社間の代理・代行でございますが、これは先般成立いたしました金商法等の一部改正の中の保険業法の改正の部分におきまして、一定の範囲内の業務の代理・代行については届出制に移行するということで、現在内閣府令の案を作成しているところでございます。

この趣旨でございますが、現在、保険会社が他の保険会社の業務の代理・代行をする際には認可制となっております。これは当該受託する業務を適切に遂行するかどうかという点に加えまして、受託する保険会社が本業を的確に行うことができるかどうかというものをチェックするということで、原則認可制がかかっているわけでございますけれども、兄弟会社間のような資本関係がある場合には、それほどの懸念はないであろうというふうに考えておりまして、基本的には、その範囲内で内閣府令を定めようと思っております。

外国保険業者等につきましても、その考え方で説明ができる範囲内で措置をするということは考えているところでございます。

それから、(2)については、まさに本日の議論になりましたところでございますので、まさに検討対象になっているということかと思います。

それから、5番目でございますけれども、これはおそらく保険業を行っている外国会社に限らない話かと思います。支店形態で国内で事業を営んでいる外国の会社に係る組織再編類似行為ですとか、税制上の問題ということでありまして、保険業法のテリトリーで何か物を考えようといたしますと、その保険契約をどうこうするということは可能かと思います。例えば、外国保険業者について包括移転の手続も可能でございますが、それ以外の部分について、保険業法のテリトリーで何か物事を特例を設けるといったのはなかなか難しいかなということで、これまでこのご要望については我々としてはお答えはしていないという経緯がございます。

○洲崎WG座長

よろしゅうございましょうか。

○加藤委員

はい。

○米山委員

今回、提示された論点は、いずれも十分に検討すべきものだと私も了解しております。基本的には、保険会社戦略的な自由度を拡大するということですから、素朴に考えると、保険会社一般にとってはそんなに悪いことではないということだと思います。ただ、今までいろいろ指摘されてきましたように、契約者の保護だとか、財務健全性とか、そういった等の問題がありますし、また、きょう効率化が随分強調されましたけれども、こういった選択肢を広げることが、即効率化につながるわけではなくて、効率化になるかどうかというのは、各社のマネジメント、戦略によるわけですから、ここでは効率化が達成できるとか、そういうことではなくて、保険会社の戦略の余地を広めると。ただ、それに伴っていろんな問題があるとしたら、それをクリアするにはどうしたらいいか、あるいはクリアできないか、そういう議論ではないかと思っております。

それに関して、生保と損保で若干温度が違ったので、一つ瀧下さんにお聞きしたいことがあるのですけれども、先ほどのチャブグループの例というのは、生保がない組織の例ですよね。

○瀧下委員

はい。

○米山委員

損保でこういった組織があるということなんですけれども、生保は損保と違って、また契約を含む特徴があるので、海外の例で生保を含む組織というのも、もちろん今日ではなくても結構なんですけれども、どういう違いがあるのかということを教えていただくと、今後考える材料になるかもわかりませんので、よろしくお願いしたいと思います。

○瀧下委員

わかりました。

○村木委員

上場保険会社さんの株主さんとディスカッションする機会が多くあるんですが、保険会社の中では、株主の4割ぐらいが外国人株主になってきている会社さんもありまして、そういった海外の投資家さんからすると、例えばM&Aの機動力が劣っている、あるいは再編のスピードが見劣りをすると見た場合は、比較的簡単に投資を引き揚げて、ほかの海外の保険会社さんにその資金を振り向けてしまうという動きに、今さらされやすくなってきているというふうに感じています。

彼らの視点は、実質的にどの程度の不利益が出ているのかということになるかと思いますので、また次回以降にその紹介を伺えればというふうにも考えているんですが、外国保険会社の業務範囲において、過去、M&Aの際にどういったところがひっかかってしまっているのか、実際保険会社の海外子会社でどういった業務をやっているケースが多いのか、あるいは今後想定される海外の生損保の買収において、具体的にどういった業務の部分が影響があって、仮にそれを分離した場合に、買う会社の価値が大きく変わってしまうのかどうかという、そこの実質的な影響度を伺えればというふうに思います。

包括移転に関しましても、損保グループさんが今再編をして、持株会社の下に保険会社さんが複数並んでいる状況です。これを機能別であったり、地域別に子会社別に再編をするという前提でのお話だったかと思いますが、例えばこれは一つの保険会社に合併をした上で、社内で事業部制、ユニット制のような形で分けることも可能ではあると思いますので、実質的にリーガル・エンティティとして特化をする必要がどの程度あるのか、それができないことによる不利益がどの程度あるのかという部分も含めて次回以降ディスカッションさせていただきたいと思います。

○洲崎WG座長

ありがとうございました。これは次回以降の宿題ということでよろしゅうございますか。

時間のほうは12時までということを予定しておりますけれども、何かもう一言だけ、どうしても今日のうちにご発言しておきたいということがございましたら…。よろしゅうございますか。

それでは、本日いただきましたご意見を踏まえまして、本ワーキング・グループにおいて具体的に検討いただく論点について事務局において整理していただいた上で、次回以降、具体的な検討に移っていくということとしたいと思います。

それでよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

○洲崎WG座長

ありがとうございます。

最後に、次回の日程でございますが、皆様のご都合を踏まえた上で、後日、事務局よりご案内を差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3557)

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