金融審議会「保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループ」(第4回)議事要旨

1.日時:

平成23年9月26日(月曜日)14時00分~16時10分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

保険会社のグループ経営に関する規制の在り方について

  • 保険募集等の委託の在り方
  • 保険契約の移転単位規制の在り方

4.議事内容:

  • 「保険募集等の委託の在り方」及び「保険契約の移転単位規制の在り方」に関して、それぞれ事務局及び実務メンバーから資料に基づいた説明。後藤委員から保険契約の移転単位規制の在り方に関連して資料「保険契約の包括移転と保険契約の移転単位規制について」に基づいた説明。それぞれの説明の後、討議。

  • 討議における主な意見等は以下のとおり。

「保険募集等の委託の在り方」

  • 大枠では、グループ内の保険会社を保険募集の再委託者とすることが、委託者による再受託者に対する監督や賠償責任に係る懸念は相当までは払拭できる可能性があるところ、これらの保険契約者保護の観点からの懸念事項を払拭する措置を講じた上で、保険グループの総合力の発揮、コスト効率やサービスの向上につながることも想定される。こうした制度の改定を生かす、保険グループの経営管理体制の整備は非常に重要であり、これを行うよい機会という考え方もできる。委託者による再受託者の適切な監督に向けて、代理店の管理のあり方にかかわる基準などが相応にグループ内で共有化されることを期待。
  • 経営や事務の効率化によって、結果的に契約者にメリットがあるとの説明であったと理解している。銀行代理業を参考に、再委託には委託者の許諾を必要とし、委託者が再委託者に対する管理監督を含め、最終的には損害賠償責任も負うという要件であれば、限定的な見直しが可能ではないか。ただし、問題が出てきた場合には、直ちに見直しを行うことも含めた対応が必要ではないか。
  • 再委託における委託者と再受託者のように、遠くなれば遠くなるほどコントロールが効かないのが世の中の常であり、委託者の商品を委託契約なしに再受託者の代理店が売ることは、契約者の側から見て大変心もとない。また、本来事前に防ぐべきものであるにも関わらず、当然予測されるトラブルがあるという部分において懸念が残る。委託者が非常に複雑難解な商品を販売した場合、再委託者において説明責任がきちんと果たせるのか。小規模な保険会社が、再委託者であるグループの中核会社の販売網を用いること等が消費者側に利便性があるという説明に対しては、非常に抵抗感がある。保険会社における不払い問題以降の施策である、適切なレベルの代理店の維持の観点から考えると、このスキームによる顧客への適正な保険募集に関しては、懸念を持たざるを得ない。
  • グループ内で、一番人的資源もノウハウも持っているような中核会社である再委託者に、全部を見るべきという責任を課した上、代理店群を監督させていくのがむしろ良いのではないか。その中核会社が、委託者の商品に係る企画に関与し、募集、支払いの段階まで責任を持って代理店に対してコントロールすることについて、当局による監督の中で見ていくことを含めて手当てがなされることを前提に、このような制度はあっても良いのではないか。
  • 事務局の原案に賛成であり、その枠組みにおける弊害をなくす形で検討を進めていくべきではないか。保険会社である委託者、再委託者双方がきちんとやるというインセンティブを持つようにするという意味で、悪いことをしたときには非常に厳しいペナルティーがあるということを仕組みの中に入れてはどうか。
  • 再委託者であるグループの中核保険会社が、日頃からしっかりと管理している販売基盤を活用しながら委託者である保険会社の商品を売る仕組みが本件の肝であり、実務的にリーズナブルなものとなるよう、慎重なご議論、ご配慮もお願いしたい。
  • この新たなスキームを使う場合、再委託契約については、再委託者と代理店の間の何万あるいは何十万という既存の全部の契約内容を、委託者が再委託者と代理店の間の契約内容について何か口出しできるようなものに修正しなければならないのではないか。
  • 特定の商品についてのみではなく、総括的な再委託契約をすれば、契約の結び直しは1回で済むことになるのか。委託者の名前を具体的に挙げないような総括的な再委託契約を最初にしておくことができないとすると、委託者が増えるたびに、再委託契約を全部結び直し、例えば印紙税を払わなければならないことになり、おそらく要望の中で考えられていたメリットはほとんどなくなってしまうと思われるため、もう少し詰めて考えた方が良いのではないか。
  • 契約内容の修正については中身によるが、大がかりな変更は必要ないのではないか。再委託契約の際、例えば追加委託というようなものを委託契約書にする必要があるという旨の指摘に対しては、どのような方法が良いのか考えたい。
  • 委託者が、再委託者と代理店の間の契約内容を変更したり解約したりすることを求める条項、代理店側において、委託者から解約請求があった場合に文句を言わないというような条項に加えて、再委託者が委託者の商品に係る十分な情報提供を行うための措置を確保するための条項等を盛込む必要があり、ベースとなる既存の契約は少なくともすべて変更する必要があるのではないか。
  • 再委託者と代理店の間で、複数の委託者B、C、Dも含めて大きく基本的な契約を1本締結し、その後例えばBだけを解約する必要がある場合には、変更の可能性がその後さらに出てくるのではないか。
  • 再委託によって経費節減や効率化がどの程度図れるかは疑問。少なくとも弊社では、現行の代理店委託契約において、商品が変わればその都度契約を結び直している。また、保険は募集のみならず保全、収納や支払に至るまでの一連の流れで安全や安心を保障していく商品。元受保険会社がしっかり再委託先の教育・管理を行うことを担保することが、非常に重要。今回の復代理に関しては、まずどの程度消費者のメリットがあるのかを今一度考えることが必要。

「保険契約の移転単位規制の在り方」

  • 追加的な責任準備金の積立てに関して、移転される契約の片方にだけプラスしてしまうと、全体では総和が同じでなくなり、過大な積立てになるのではないか。また、課税の問題が生じるのではないか。
  • 全体としての総和が同じであれば良いという考え方に対し、会社としての総額を一定にするために個別の契約単位で積み減らす場合、契約者保護の観点から問題となる可能性があるという考え方も一方にあると思われる。現行の決算の責任準備金でも部分的に有税扱いとなる部分はある。
  • 責任準備金の算定の適切性の確保に向けて、経済価値ベース評価については制度化には至っておらず、代替策として、追加責任準備金のアプローチも一定の妥当性がある。その際、移転先及び移転元の会社双方の保険計理人が確認することで、適正な責任準備金の算出に係る判断の独立性が一定程度強化されることもあるかもしれない。一部移転にかかわる契約集団の、契約時の基礎率に基づく責任準備金額が移転時の将来収支分析に基づく評価額を上回る部分はリスクバッファーと位置付けられ、その部分の取扱いについて整理する余地があると思われる。移転後に生じ得る将来的な配当水準に関する、公平性の確保に向けた考え方の整理は容易でなく、今回の審議における有配当保険の取り扱いについては、考える余地もあると思われる。
  • 責任準備金の算定について、いわゆるポートフォリオとしての価値は、必ずしも責任準備金の価値ではなく、むしろ基本的に市場に任せるほうが妥当ではないか。
  • 移転会社と移転先会社が同じグループ間で、例えば親会社の意向に従って子会社が損を引き受けざるを得ないような場合は、市場に任せることはできず、慎重に考える必要がある。移転の際、責任準備金以外の自己資本をどう分けるか、現行の認可が行われる一般的な基準で良いかどうかが問題になっていると思われる。
  • 本来必要とされる個別同意が、現行法では実質的に非常に薄く消極同意という形になっていることから、保険契約の移転に係る正当性や必要性の判断を確認し、確保する必要がないのか、更に検討すべき論点の項目として挙げることの要否について、検討して頂きたい。また、これらの必要性、正当性及び合理性の判断が諸外国のルールなどでは仕組みとして設けられていないのかどうか説明頂きたい。
  • ドイツは、移転対象契約が客観基準で分けたとは言えない場合、おそらく認可をしないのではないか。イギリスは、事業譲渡と言えるだけの移転の仕方をすることが一般的であり、問題がないと考えられているのではないか。アメリカの切り分け方の合理性については、移転対象契約者の「行きたくない」選択権によって、かなり担保されていると思われる。当事者において必要性があると考えている組織再編を外部がやめさせることは、どの国も直接的にはしていないのではないか。
  • 特に損保商品は代理店形式販売が中心であり、保険会社の属性に応じた再編などに、販売をする代理店が専門性の向上などを通じてどれだけ対応できるのか、契約者に本当にメリットが生じるのか疑問が残る。企業再編や経営効率化を図る際に包括移転を活用する場合、労働組合の立場からすると、コスト削減・人員削減を目的とした再編がなされることで働いている従業員の雇用への影響が懸念されるので、その点十分な配慮が必要ではないか。
  • 包括移転が必要であり、それを行いたいと言っているから合理性があるというのは、あくまで保険会社サイドの説明に過ぎず、その保険会社の都合で売り止めになり、別の会社への移転を余儀なくされた契約者サイドから見て、その事態において、必要性、正当性、合理性というものはどうなのだろうという疑問を持っている。

以上

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総務企画局企画課保険企画室(内線3557)

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