金融審議会「保険制度ワーキング・グループ」(第1回)議事録

  1. 日時:

    令和8年10月1日(木曜)10時00分~12時00分
  2. 場所:

    中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用
  3. 議題:

    • (1)開会
    • (2)事務局説明
    • (3)ヒアリング
    • (4)討議
    • (5)閉会
  4. 出席者:

    【委員】
    洲崎博史(座長)、大村由紀子、恩藏三穂、田中千晶、中出哲、永沢裕美子、中林真理子、柳瀬典由、
    山下徹哉、家森信善、米田博雄
    【プレゼンター】
    日本損害保険協会
    三菱重工業株式会社 増山啓
    フォーサイトリスクマネジメント株式会社 河野英介
    【金融庁】
    井上企画市場局長、山下審議官、中島総務課長、守屋企画監理官兼企画調査室長兼保険企画室長、
    政平保険法制企画管理官
    堀本資産運用・保険監督局長、三浦参事官、齋藤保険課長
    【オブザーバー】
    日本損害保険協会、外国損害保険協会、生命保険協会、日本保険仲立人協会、生命保険契約者保護機構、
    日本経済団体連合会、財務省(オンライン)、経済産業省
  5. 議事録:

    【洲崎座長】

    定刻になりましたので、ただいまより、保険制度ワーキング・グループの第1回会合を開催いたします。皆様、御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

    私は、当ワーキング・グループの座長を務めさせていただきます、同志社大学の洲崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

    初めに、当ワーキング・グループについて御説明したいと思います。当ワーキング・グループは、資料1にありますとおり、本年8月31日に開催されました金融審議会総会・金融分科会合同会合におきまして、近年の企業や家計を取り巻く不確実性の高まりを踏まえ、企業の成長投資を後押しするとともに、国民生活の安全安心を確保するための保険機能を強化する観点から、再保険キャプティブ制度の創設や生命保険のセーフティネット制度の在り方について検討を行うことという、大臣からの諮問がなされたことを受けて設置されたものです。

    皆様から御意見をいただきつつ、幅広い観点から議論を進めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

    次に、会議の運営と議事の公開、そして議事録の取扱いについて、まずお諮りをさせていただきたいと思います。会議は、本日のようにオンライン会議を併用した開催とさせていただき、会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせていただきたいと思います。また、議事録は、発言者の氏名を記載し作成の上、後日、金融庁のウェブサイトに掲載させていただきたいと考えております。

    以上のような取扱いとすることにつきまして、御了解いただけますでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)

    【洲崎座長】

    ありがとうございます。

    次に、事務局より、メンバーの皆様の御紹介をお願いします。

    【守屋企画監理官兼企画調査室長兼保険企画室長】

    保険企画室長の守屋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

    このたび当ワーキング・グループの委員に御就任いただいた方々を、資料2のメンバー名簿順に御紹介させていただきます。

    大村由紀子様です。

    恩藏三穂様です。

    田中千晶様です。

    中出哲様です。

    永沢裕美子様です。

    中林真理子様です。

    柳瀬典由様です。

    山下徹哉様です。

    家森信善様です。

    米田博雄様です。

    また、本日は御欠席ですけれども、後藤元様、小林いずみ様にも委員をお引き受けいただいております。

    オブザーバーの皆様につきましては、時間の都合もございますので、恐縮でございますが、メンバー名簿をもって御紹介に代えさせていただきます。以上です。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。メディア関係者の方々は、ここで御退席をお願いいたします。

    それでは、議事に移ります。本日は、初めに、事務局より資料3-1に沿って御説明します。続けて、損害保険協会様より資料4に沿って、三菱重工業株式会社増山様より資料5に沿って、そしてフォーサイトリスクマネジメント株式会社河野様より資料6に沿って御発表をいただきます。その後、全体について、委員の皆様より御意見や御質問をいただくという流れで進めさせていただきます。

    それではまず、事務局より御説明をお願いします。

    【守屋保険企画室長】

    それでは、資料3-1に沿って事務局から、再保険キャプティブ制度の創設について御説明をさせていただきます。

    資料は1ページ目の目次のとおり構成しております。

    まず、制度の検討の背景につきまして、3ページを御覧ください。近年、企業を取り巻くリスク環境は大きく変化しております。損害保険をめぐる環境変化として、自然災害の頻発化・激甚化等が見られる中、足元では、損害保険を活用した企業のリスク移転が従来と同様の条件では成立しにくくなっていると指摘されております。一方で、企業経営をめぐっては、コーポレートガバナンス改革の流れもあり、資本コストの最適化や株主に対する説明責任への意識が高まっております。こうした中で、企業には従来以上に高度なリスクマネジメントが求められているものと認識しております。

    4ページでは、参考としまして、自然災害による損害規模が世界的に拡大しており、日本でも火災保険の保険金支払額が近年増加傾向にあることをお示ししております。

    5ページも参考でございますが、柳瀬先生の研究室で実施されたアンケート調査結果の概要を掲載しております。保険料の上昇が深刻化していると認識する企業が多く、保険カバーの確保についても厳しさを感じる企業が多いことが示されております。

    6ページを御覧ください。本日、資料3-2としてお示ししております、本年4月に公表された「企業のリスクマネジメントの高度化に向けた検討会」の報告書では、こうした環境変化の中で、企業には、リスクファイナンス、リスクコントロール、レジリエンスの統合的なリスクマネジメントの高度化が求められるとされております。キャプティブは、このうち、リスクファイナンスの手法の一つで、企業がリスクの保持・移転をコントロールするものと位置付けられ、これを利活用するための政策の検討が求められているところでございます。

    7ページから9ページにかけまして、関連する文書や、本ワーキング・グループの設置について御了承いただいた金融審議会総会での主な御指摘を掲載しておりますので、御参照いただければと存じます。

    続きまして、10ページ以降でキャプティブの仕組みと活用状況について御説明いたします。

    11ページを御覧ください。キャプティブとは、一般に、特定の親会社やグループ会社のリスクを専門的に引き受けることを目的として設立される保険会社とされております。実務におきましては、キャプティブの所有と引受範囲あるいは引受形態によって分類されることが多くなっております。現状、日本ではキャプティブ固有の制度がなく、再保険キャプティブを活用するためには保険会社の免許取得が必要となりますが、その負担が重く、日本企業はキャプティブ制度が整備されている米国ハワイ州等で主にピュアキャプティブに該当する再保険キャプティブを設立している状況となっております。

    続いて、12ページで再保険キャプティブの仕組みをお示ししております。企業が元受保険会社と保険契約を締結し、元受保険会社がその保険リスクの一部をその企業の傘下のキャプティブへ再保険として移転します。そして、このキャプティブは、必要に応じて再保険市場でさらにリスクを移転することも可能となっております。こうした仕組みを通じまして、企業は自社グループのリスク情報を集約した上で、どのリスクをグループ内で保有し、どのリスクを移転するかを判断することになります。

    続いて、13ページでございます。実際に再保険キャプティブを設立している日本企業等に事務局がヒアリングした結果をまとめているものでございます。日本企業は様々なリスク分野で再保険キャプティブを活用しており、その効果としましては、例えば、グループ内各社が個別に加入している保険を一元管理することで、グループ全体で保険コストを最適化できる、あるいは、キャプティブを通じて一部リスクをグループ内で保持することで、元受保険会社が引受けに慎重なリスクにも対応できる、さらに損害予防活動の効果をグループ内に還流できるといったことが挙げられております。

    14ページは、再び柳瀬先生の研究室によるアンケート調査結果でございます。回答企業の4割弱がキャプティブを既に設置している、または検討経験があるとされておりまして、特に大企業や海外展開を図っている企業で利用ニーズが高いということが示されております。

    15ページからは、これまでの議論と海外制度についてまとめております。

    16ページを御覧ください。2000年代初頭、沖縄県名護市から、金融特区を活用した再保険キャプティブ制度の創設の要望がございましたが、当時は、再保険を利用した元受保険会社の健全性への影響、あるいは、その先にいる一般の保険契約者の保護に支障が生じるおそれがあること、さらに、多くの主要国においてキャプティブ制度が設けられていなかったことなどを踏まえまして、慎重に対応する必要があるとされました。

    その一方で、17ページでございますが、その後も、例えば2006年の経済産業省の「リスクファイナンス研究会」の報告書では、キャプティブはリスクを一元管理し、リスクの保有・移転を戦略的に手当てするために有効な仕組みであり、企業の戦略的なリスクファイナンスの活用を促すためにも制度整備が必要といった指摘がなされておりました。

    続いて、18ページ以降、税制の関係についてお示ししております。キャプティブにつきましては、租税回避のためにタックスヘイブンに設立するのではないか、といった指摘がなされることもございますが、2009年時点の論文でございますけれども、一概に租税回避目的によるものと決めつけるべきではない、あるいは、課税上の問題ありきでリスクマネジメント手段としてのキャプティブについての政策論を放棄すべきではない、といった御指摘もあるところでございます。

    また、19ページにございますとおり、特に近年では国際課税制度におきましてタックスヘイブン対策が進んでいることもございまして、実務におきましても、キャプティブに関して課税裁定の有無でドミサイル(設立地)を選択することに意味がなくなったといった指摘がございます。また、現在、キャプティブ制度の創設を検討中の英国政府も、制度の導入に当たり、税制優遇は不可欠な要素ではない、との見解を示しております。

    20ページは国際課税制度の参考資料ですので説明を割愛させていただきまして、21ページ以降で海外制度との比較を行っております。ハワイ、シンガポール、アイルランドなどではキャプティブの事業特性を踏まえた規制が整備されておりますが、日本の損害保険会社に対する規制と比較しますと、例えば最低資本金の水準が大幅に低い、元受契約の契約者がグループ内ないし密接な関係がある第三者に限定されている、役員の兼職は原則可能、といった点が特徴と言えるかと存じます。

    22ページを見ましても、健全性規制を含めて、総じて各種の規制が簡素なものとなっていると言えると考えております。

    23ページでございます。先ほど少し触れました英国のキャプティブ制度案の概要をお示ししております。特徴としまして、再保険の引受けだけでなく、元受けも対象としようとしている、元受契約の契約者の範囲に一定のグループ外企業も含めようとしている、簡素な健全性規制を採用しようとしているといった点が挙げられると考えております。

    ここで、英国では検討されている元受キャプティブについて、次の24ページで触れております。現状、日本の保険業法では、元受キャプティブの業務は保険業の対象外とされておりますが、実例がなく、企業の具体的なニーズやユースケースが必ずしも明確ではないと考えております。さらに、仮に制度整備をするとしましても、海外直接付保規制の趣旨との整合性についてどう考えるか、そもそも保険業法の目的との関係をどう考えるかなど整理すべき論点が多いことから、事務局としては、再保険キャプティブ制度の創設を優先的に検討してはどうかと考えておるところでございます。

    以上を踏まえまして、25ページの冒頭に記載しておりますとおり、事務局としましては、再保険キャプティブ制度の創設に向けた基本的な考え方として、元受保険会社を相手方として自社グループのリスクのみを引き受けるという事業特性を踏まえつつ、海外制度を参考に、契約者保護や健全性確保にも十分配慮しながら制度の在り方を検討していくことが適当と考えております。

    具体的には、表にありますとおり、免許の審査基準や最低資本金の水準を最適化する、元受契約の契約者はグループ内と認められる範囲とする、リスクマネジメントの高度化等を図るという制度趣旨を踏まえて引受対象種目を設定する、役員等のガバナンス体制につきましては、業務の適切性と効率性のバランスを確保できるものとする、健全性規制は支払能力を確保できる範囲で簡素な規制とするといったような方向性が考えられるのではないかと考えておるところでございます。

    最後でございます。27ページに、本日御議論いただきたい事項を3点記載しております。1点目は、企業のリスクマネジメントの高度化と投資余力の確保を後押しする観点から、制度創設に当たり留意すべき事項について、2点目は、損害保険会社と比較して追加的な税制措置は前提とせず、再保険キャプティブの機能や事業特性に着目して、25ページに記載の方向性で制度の在り方を検討することについて、3点目は、具体的なニーズやユースケースが明確な再保険キャプティブ制度の創設を優先し、元受キャプティブについては将来的な検討課題と位置付けることについて、これらの点について御意見を頂戴できますと幸いでございます。

    事務局からの説明は以上です。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。それでは続いて、日本損害保険協会様より御説明をお願いいたします。

    【日本損害保険協会】

    日本損害保険協会の山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

    企業価値向上に資するリスクマネジメントの高度化につきまして、今事務局より説明された部分が相当程度ありますので、ポイントを絞り5分程度で御説明させていただきたいと思います。

    1ページ目を御覧ください。初めに、企業を取り巻くリスク環境の変化についてです。事務局説明にもありましたとおり、自然災害は激甚化・頻発化し、企業リスクも複雑化・多様化しています。したがいまして、従来と同様の条件でリスクを保険商品に転嫁することが困難になっているといった状況でございます。

    2ページ目を御覧ください。このような状況下で企業価値を向上させるためには、資料の右側にありますとおり、リスクマネジメントを攻めの経営戦略と捉え直すことが求められています。具体的には、防災活動への投資コスト、それから自己負担によるリスク保有のコスト、そして保険といった外部移転に係るコスト、こういったものの総費用、これらを最適化するといったことが不可欠でございます。

    3ページ目を御覧ください。こちらがリスクマネジメント高度化の全体像です。事務局資料にもありましたとおり、企業自らが全社的なリスクを可視化した上で、リスクを保有するものと、保険などの外部移転するもの、これをリスクテイク方針に合わせて主体的に組み合わせることが必要となっております。この保有と外部移転との境界線を企業が自律的に設計をして適切なリスクシェアを実現することが、リスクマネジメント高度化の本質と言えます。そして、再保険キャプティブは、リスクファイナンスにおける自家保有の一つの方法と位置付けられております。

    4ページ目を御覧ください。こちらは再保険キャプティブの仕組みを表した図です。事務局説明と重複しますので詳細は割愛しますけれども、重要なのは、再保険キャプティブを設立して終わりではないということ、また、企業グループの中だけで全てのリスク管理が完結するものでもないということでございます。企業等と元受損害保険会社がどのようにリスクを分け合って、どこに保有と移転の境界線を引くのか、この設計のプロセスがリスクシェアの重要なポイントとなります。リスクを一時的に引き受けた元受損害保険会社が一部を再保険キャプティブに出再して、さらに再保険キャプティブは、抱え切れないリスクを必要に応じて再保険市場に出再します。この過程で、再保険市場とのコミュニケーションによってリスクマネジメントの見直しが行われることもあります。元受損害保険会社は、単なる窓口ではなく、専門的なアンダーライティング機能の提供によって企業のリスクマネジメントを最前線で支える協業のパートナーの位置付けでございます。

    5ページ目を御覧ください。こちらは業界として再保険キャプティブに望むことです。まず、大前提としまして、キャプティブの活用は、あくまで企業のリスクマネジメントの高度化に資するものであるべきということでございます。単なるプロフィットセンターを目的とするような設立が生じないよう制度設計をお願いしたいと思っております。

    そういった健全な制度とする上で、設立・運営に関して望まれることとして3点挙げております。1つ目は財務の健全性でございます。万一の際にも再保険金を確実に支払えるよう、十分な自己資本等を確保して、財務の健全性を維持すべしといったことでございます。2つ目は、実効性あるガバナンスと専門人材の確保です。適切にリスクマネージャーを配置するとか、あるいは再保険市場と対等に交渉できる専門人材を確保する、そういったことが不可欠でございます。3つ目は、アンダーライティング情報の透明性です。企業が保有するリスクの実態や防災データなどが企業グループから損害保険会社へ適時適切に共有されることが、健全なリスクシェアの基盤となります。

    最後、6ページ目を御覧ください。改めて申し上げますけれども、本質的な目的は、再保険キャプティブ制度の導入ではなくて、企業のリスクマネジメント能力の向上でございます。損保業界といたしましては、単なる保険商品の提供にとどまらず、各種ファイナンスの設計のパートナーとして、日本企業全体のレジリエンス強化と持続的な企業価値の向上、こちらに全力で貢献してまいる所存でございます。

    また、次ページ以降にもございますけれども、業界共通のカリキュラムを通じた人材育成の支援などにも全力で取り組んでまいります。

    以上でございます。御清聴ありがとうございました。

    【洲崎座長】

    御説明どうもありがとうございました。それでは続きまして、三菱重工業株式会社増山様より御説明をお願いいたします。

    【増山参考人】

    三菱重工業株式会社の増山でございます。よろしくお願いいたします。

    本日はキャプティブに関する議論というところでありますけれども、まず、2ページ目のところで元受けの保険プログラムの重要性、リスクマネジメントプロセスの要諦というところで一つお話をさせていただきたいと思います。

    こちらの資料は、本年2月に「企業のリスクマネジメントの高度化に向けた検討会」でも御説明をしておりますが、当社の保険プログラムは、リスクマネジメントプロセスのうち、リスクの特定、ここに非常に重点を置いております。つまり、特定をされていないリスクというのはそれ以上の検討も対策も行われないということで、リスク情報を集める、つまり、リスクセンサーの機能がまず一番に重要でありますというところです。

    まず、当社では、保険プログラムを通じましてグループ内から様々なリスク情報を集めるとともに、保険マーケットのほうからも、再保険マーケット、それから元受保険会社から、いろいろなリスク情報を得ております。こういうリスクはなかなか引受けが難しい、といった情報を得て、経営者には、これを事業ポートフォリオの戦略立案に使っていただき、事業推進部門には製品・サービスの向上に努めていただくと。こういった情報をフィードバックしていくという非常に重要な機能があると思っております。

    3ページ目です。特に当社では、賠償責任保険を重要視しております。賠償責任保険と単純に言いましても、1つの保険プログラムの中で、下のほうのレイヤー、いわゆる高頻度・低インパクトのレイヤーと上のほうのレイヤーで位置付けが全く違います。この図で申し上げますと、上のグレーの薄い部分は、いわゆるExcessレイヤーで、万が一の事故に備える、ファイナンス目的のところですけれども、下のブルーのPrimaryレイヤーは、実務上、先ほどのリスクセンサー機能にも非常に関わりのあるところです。

    こちらの図でお示しのとおり、2024年度からExcessレイヤーのほうは一部キャパシティ不足が生じております。こちらはファイナンス目的ですので、買えないなら自家保有するしかないと、単純自家保有をチョイスしておりますが、残念ながら、今年度は下のPrimaryレイヤーのところにも自家保有が広がっているということで、当社も今年から再保険キャプティブを立ち上げ、運営をしております。

    Primaryレイヤーでのキャプティブ活用の意味というところで、先ほど事務局資料にもありましたけれども、賠償責任保険は付保証明の発行が非常に重要でございまして、当社は年間大体1万件ぐらい付保証明を発行しております。これがないとやっぱりビジネスにならないというところと、こういうサービスが提供できないと、③番のところですが、グループ会社がもうばらばらに保険を買い始めてしまうと、ガバナンスの観点でもよろしくないということで、キャプティブを使おうということでございます。一番下のところにございますが、キャプティブなしでも同じことができないのか、ということも検討いたしましたけれども、レギュレーションとかビジネスプラクティスの関係で、やはり元受保険契約という形を維持するのは非常に重要という結論に至り、今年の4月にハワイに設立をしたという次第でございます。

    4ページ目でございます。課題と提言ということで書かせていただいております。当社はやはり保険プログラムというところをリスクセンサーとして非常に重要視しております。これを維持していくために何とか保険のキャパシティを出していただくよう努力はしているのですが、年々やはりリスクも難しくなってきておりまして、元受けのキャパシティを得ることが難しくなっているというのが現状でございます。

    その中で安定的にプログラムを運営していくためにキャプティブは非常に重要なのですけれども、今現時点ではやはり海外に作らざるを得ないというところで、海外におけるいろいろな規制とか税制の変更という突然の変化のインパクトを受ける可能性があります。特に当社は、賠償責任保険という足の長い保険を引き受けているものですから、安定性というところは非常に重要視しておるところでございます。また、設立趣旨からしましても、このキャプティブは別に収益目的につくっているわけではなくて、あくまでリスクマネジメントのためのコストセンターというところでございますので、設立・運営に関しましては、なるべくローコストで行いたいというところでございます。

    したがいまして、提言事項というところでございますけれども、先ほどの事務局資料にもございましたが、第三者リスクの引受けを行わない、あくまでグループ内の保有ビークルであるというところを御勘案いただきまして、規制とか制度面は規制の緩和をいただきたいというところが1点でございます。

    それから、業界全体の健全な発展というところでいきますと、キャプティブは保険会社としてリスクを引き受ける会社ですので、アンダーライティング能力等も当然必要ですということですので、そういったものを運営する保険リスクマネージャー等を設置するのが望ましいと思います。こちらの柳瀬先生の意見書(資料7)にも出ておりますが、そのサービスを提供いただく元受保険会社にどういう付加価値を出していただくのか、リスクテイカーとしてキャプティブはどういうふうにアンダーライティング能力を高めるのかという役割分担をきちんとしていくという必要があるのではないかと思っております。

    私からは以上でございます。

    【洲崎座長】

    御説明どうもありがとうございました。それでは続きまして、フォーサイトリスクマネジメント株式会社河野様より御説明をお願いいたします。

    【河野参考人】

    フォーサイトリスクマネジメント株式会社の河野でございます。本日はよろしくお願いいたします。本日は、当社が20年以上キャプティブの助言及び運営実務に携わってきた経験と知見に基づき、キャプティブ制度創設に関する論点と提言をお話しさせていただきます。

    本日申し上げる点は、スライド2の3つです。まず、国内キャプティブ制度は必要であり、時機を得ていると考えます。次に、日本企業によるキャプティブ設立と活用が諸外国で行われている背景とその理由、そこから見える国内制度創設の利点についてお話しいたします。そして、日本のキャプティブ制度において検討し考慮すべき制度設計上の主な参入要件、キャプティブの機構について提言をさせていただきます。企業のリスクマネジメントの主体は企業にあり、その高度化において企業に十分な選択肢を提供することにより、日本の成長にも資するものと考えます。これら各論点について、次のスライド以降で御説明いたします。

    スライド3で、まずは1つ目の論点についてお話しします。キャプティブには、この図のとおり、企業グループ内の直接的な保険取引による元受キャプティブと保険会社を経由した再保険キャプティブの2つの形態があります。日本企業の競合相手である諸外国の企業は、いずれも活用しております。日本企業では、海外での設立の形態をとることから、再保険キャプティブが多く見られます。また、これらそれぞれの形態の詳細については、別紙3でも記載しておりますので、併せて御覧ください。

    次にスライド4です。傾向としてですが、日本企業のキャプティブの設立と活用の実績については、過去50年以上にわたり継続的に拡大しております。このスライドに示すとおり、現在181社あると考えられております。詳細は別紙1にも記載しております。この統計については、キャプティブの設立地となっている諸外国において弊社が直接調査・収集した一次資料及びキャプティブを設立されている企業の開示情報から集計しております。キャプティブの設立を行う日本企業は、規模・業種ともに様々です。大手企業もございますし、また、売上高200億円規模の企業でも、リスクマネジメントを目的としたキャプティブの設立を行っております。

    スライド5を御覧ください。この現状を考えますと、なぜ我が国でキャプティブ制度が実現していないのかという質問があるかと思います。キャプティブ制度は、四半世紀前に、先ほど事務局からの御説明にもありましたとおり、沖縄県名護市の金融特区及びその構造改革要望のプロセスにおいて検討された経緯があります。しかし、当時、制度創設に至らなかった経緯としては、このスライド記載の複合的な背景・要因もあったと考えられます。主なこととしては、平成8年の保険業法改正以降の変化の過渡期であったこと、まだ再保険に関する情報と知見の共有が十分でなかったこと、キャプティブが企業財務戦略であるという位置付けが整理されていなかったことなどが挙げられます。加えて、キャプティブ自体が30社程度という状況もある程度影響はあったかと思います。

    スライド6を御覧ください。現状はどうかといいますと、日本における現状として、このスライドのとおり、四半世紀前とは違っておりまして、政府においても企業のリスクマネジメント高度化におけるキャプティブの位置付けと理解が広まっている。また、その主役である産業界からも具体的な要望・提言が出てきていると理解しております。キャプティブ制度創設の効果としては、国益への貢献にもつながると考えられます。キャプティブ制度の資本、金融資産の国内蓄積、それに伴うリスク情報、リスクマネジメント、人材の育成、経験の蓄積など、幅広い効果が期待されます。

    スライド7を御覧ください。日本企業が海外でキャプティブを行う理由としては、企業のニーズ、そしてその地にそういった制度・仕組み、専門家による運営体制の環境があるためと言えます。このスライドにまとめてありますとおり、キャプティブは実質的にはリスクファイナンス専用の特別目的子会社としての機能があり、その運営については保険取引を使い、専門性を持った人員で運営されております。諸外国は自国の企業のためにこうした制度や事業環境を整備し、それについて企業からの意見や活動動向を踏まえ継続的に改善をしております。これらが意味するところとしては、現状、日本企業はリスクマネジメントの高度化やリスクマネジメントの実現のために、海外の制度に依存する状況が続いているということです。日本がその制度を企業のために創設することは、海外に依存しない制度をつくることにつながると考えます。

    スライド8では、海外の制度から学べるものはあるのかというところで2つ例をお示ししております。これは日本企業の利用実績が多い、米国ハワイ州、英国領バミューダの概要をまとめております。詳細については資料を御覧ください。

    スライド9で、本日提言させていただきたいところをまとめております。キャプティブはリスクマネジメントを目的としたファイナンス会社であること、それから規律については、右の表にあるとおり、様々な緩和措置を持った制度設計が望ましいと考えます。

    以上をもちまして、私からの説明とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。

    それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、委員の皆様に御討議をいただきたいと思います。なお、本日は初回の会合でございますので、諮問事項や当ワーキング・グループの検討課題を含め、幅広い観点から御意見を頂戴したいと思います。また、ここまでの御説明に対する御質問がありましたら、併せて御発言いただければと思います。

    御発言を希望される際は、対面で御出席の方におかれましては、机上の名札、これを縦にしていただき、オンラインで参加されている方におかれましては、オンライン会議システムの挙手機能にてお知らせをください。それを確認して、私のほうで指名いたします。なお、限られた時間の中で可能な限り多くの方に御発言をいただきたいと考えておりますので、お一人当たり5分以内で御発言をいただければと思います。

    それでは、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いします。

    それでは永沢委員、お願いします。

    【永沢委員】

    永沢でございます。3点、述べさせていただきたいと思います。

    まず、事務局資料の16ページに、2004年に名護市からの要望が出たときの当局の御対応について御紹介いただいておりますが、当時、健全性に関する懸念が示されたということですが、本日、特に河野様からの御説明から、当時の事情と今の事情がどう違うのかをおおよそ理解することはできましたが、一方、制度を必要とする事情の変化と当時の懸念への対応は、分けて確認しておくことが必要ではないでしょうか。特にキャプティブが破綻した場合の元受保険会社への影響や、新たな制度のもとでどう対応するのかは、これからの審議の中で御説明いただき、明らかにしていくことがこの作業部会の役割であろうと思います。

    第2点として、国内に制度を設ける意義と想定する利用企業についても詳しく御説明があり、産業界に国内設立を求める声があることは理解しましたが、ニーズの規模とか、どのような企業が利用を希望しているのかは、もう少し具体的にお示しいただくことが望ましいと思います。また、海外で既にキャプティブを設立して運営されている企業とこれからという企業とでは、事情が違うと思われますので、分けて検討すべきではないかとも思いますし、具体的にどんなことが期待されるのかももう少し整理してお示しいただけると、この制度の創設について、広く御理解いただけるのではないかと思います。冒頭に申し上げるべきでしたけれども、制度の創設については、私は基本的に賛成でございますが、そのためには、国民に広く理解を求めていただく必要があり、そのためにも、分かりやすくご説明いただくことが必要です。

    この制度を利用する企業が一部に限られる可能性がありますが、そのことを理由に制度創設を否定する気はありませんし、規制の見直しが合理的であることは本日のご説明を通じて理解しましたが、利用する企業の利益がほかの保険契約者の負担によって支えられるというようなことはないのでしょうか。それから、新たにこの制度を利用する企業に必要とされるリスク管理能力や財務の健全性について、この点は損保協会様の資料でも示していただいていますが、当局がこれらをどのように確認されるのかという点もご説明をいただきたいと思います。

    最後に、企業と損害保険会社との関係についてです。2024年に開催された損害保険業の構造的課題と競争の在り方に関する有識者会議で指摘されたことを思い出しまして、企業と損害保険会社との関係の改善を進めていただいているとは聞いていますが、改善の状況の進捗具合を確認させていただく必要もあると感じました。先の有識者会議では、一部の大口企業に対して、損害保険会社がリスクに見合った条件を提示しにくい構造があるというお話でしたが、そういう構造が引き続き残っているならば、キャプティブの活用によって企業側の選択肢が増える一方で、元受保険会社に残されるリスクとか、それから事故対応などの業務に十分な対価が支払われない可能性などが生じて、ほかのところにしわ寄せが行くのではないかということも懸念されます。

    日本企業のリスクマネジメントの高度化を後押しする制度づくりはもちろん重要ですが、保険市場全体の健全な発展にもつながるように、損害保険業や市場の改善の状況を踏まえながら、制度設計を進めていただきたいと思っています。

    私からは以上です。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。特に回答を求める趣旨ではないということでございましたが、第2の、国内の再保険キャプティブのニーズを持つ企業規模とか、どのような企業かという点に関して、もしお分かりの方がございましたらお答えいただければと思います。

    そして、第1の名護市の金融特区の問題については、元受保険会社の背後にいる保険契約者への影響というものが、当時、当局が再保険キャプティブに対して消極的な態度をとった大きな理由であったわけです。それは現在でも妥当することかもしれませんし、その辺りについて事務局のお考えを聞いておいたほうがいいかなと思いますので、これについては事務局からお願いできますでしょうか。

    【守屋保険企画室長】

    ありがとうございます。御指摘をいただきました、名護市の御要望を慎重に対応する必要があると回答した、当時の元受保険会社の財務への影響という懸念について、今も同じようにそこにも留意をしなければいけないことは変わっていないという点は御指摘のとおりかと思います。

    一方で、先ほど河野様のプレゼンにもございましたけれども、足元、日本企業は、海外ではございますが、キャプティブの設立が進んでいて、実務が一定程度進捗しているということもあり、当時は懸念されていた部分はあるものの、実務はしっかりと動いており、そういったところの環境変化というのはあると思います。

    また、今回キャプティブを創設するに当たって、キャプティブ自身のリスク管理をどうするかというところもしっかりと考えていかなければいけないという問題意識は持っております。例えば、親会社が必ずキャプティブにはおりますので、親会社にきちんとリスクを管理できる人材がいるかどうか、そういったところをチェックしていくということも考えられるかと思いますし、グループ全体としてどうリスクをマネジメントしていくかというところをチェックする、そういった制度設計の仕方もあろうかなと思っていまして、いただいた御意見などを踏まえながら、事務局のほうでさらに検討を深めてまいりたいと考えてございます。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。それから、国内の再保険キャプティブについてニーズを有する企業の規模感とか、どういうタイプの企業にニーズがあるのか、海外キャプティブを既に設立済みの企業とそうでない企業とで違いがあるのかという点について、これは、増山様から御回答いただけますか。

    【増山参考人】

    全社を把握しているわけではないのですけれども、やはり比較的リスクプロファイルの厳しい、大きなものを造っているとか、大きな工場を持っているとか、そういう意味では重厚長大とか化学とか石油とかこういった業種というのは、保険会社からしても引受けが難しい業種になりますので、こういう業種に対してはやっぱりキャプティブ設立希望、もう既に持っていらっしゃる企業も多いのではないかなとは思っております。

    【洲崎座長】

    ほかに御補足いただける方いらっしゃいましたらよろしくお願いいたします。

    【日本損害保険協会】

    では、日本損害保険協会から、企業と保険会社との関係について少し補足させていただきます。一連の問題がございまして、今、会員各社によっては業務改善計画に沿った対応を進めています。以前は、A契約が儲かっているからB契約は損をしてもいいとか、あるいは大きい代理店、大きい巨大な企業さんにはちょっと忖度があるとか、そういったカルチャーがありましたが、そこは今大きく変わってきておりまして、適正な保険料水準を提示して、適正な収益は取れるようになっており、関係性は正常化してきているという状況でございます。

    以上でございます。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。

    それでは、次の方に移りたいと思います。家森委員お願いします。

    【家森委員】

    ありがとうございます。神戸大学の家森です。本日はゲストスピーカーの皆様方から貴重な御説明をいただき、大変参考になりました。ありがとうございます。

    事務局資料27ページの3つの論点について意見を申し上げます。

    まず、企業のリスクマネジメントの高度化と投資余力の確保を後押しする観点から、再保険キャプティブ制度の創設に賛成いたします。追加的な税制上の措置を前提とせずに、事業特性に応じた制度を検討すること、また、再保険キャプティブを優先し、元受キャプティブを将来的な検討課題とする方向性も妥当と考えております。

    まず、第1の論点について、最も重要なのは、利用する企業が自らのリスクを把握し、適切に管理できる体制を備えているということであります。企業規模だけで利用の可否を判断するのではなく、ちょうど今日、小さな企業も利用されているという御説明がありましたし、規模だけではなく、引き受けるリスクに見合った管理体制と財務的な対応能力を確認すべきだと思います。

    具体的には、グループ全体のリスク情報を集約し、保有するリスクと外部に移転するリスクを判断できるような人材がしっかりいらっしゃること、経営陣が責任を持って外部専門家の活用も含めて必要な人材を活用されること、そして大きな損害にも対応できる資本と資金繰りを備えておられること、これを継続的に確認する仕組みが必要であろうと思います。キャプティブが保有するリスクは、グループ全体としては内部に残りますので、保険加入の外形と実際のリスク負担について、株主や取引先などに認識のずれが生じないよう、情報の提供も必要だと考えます。

    第2の論点については、自社グループのリスクのみを引き受ける特性を踏まえ、参入要件や運用上の負担を合理化することにも賛成をいたします。その上で、対象となる保険種目は当面限定することが適当と考えます。まずは、これまでの議論や活用事例を踏まえ、火災保険をはじめ企業の財物、賠償責任などの事業リスクを対象とする損害保険分野から制度整備を進めて、その後、議論を深めて様々なところに拡張していくことがよいのではないかと考えます。また、投資余力の確保を目指す場合にも、将来の再保険金支払いに必要な資金まで親会社の投資に回ることのないよう、準備金や資本、配当や貸付けによる資本移動のルールを整理しておくことも重要と考えました。

    第3の論点について、再保険キャプティブでは、元受保険会社による審査や継続的な確認が働くことが期待できます。これは先ほど永沢先生の議論のまた別の見方であります。損保協会様が先ほどおっしゃったように、企業と損保会社との間の関係はかなりしっかりしてきたとは言いながらも、プロ同士だからもう完全にプロの契約自治に任せておくかというのにはいささか躊躇するところがございます。キャプティブは相手が特に恐らく大手、超大企業になりますので、これらは保険会社にとって非常に重要な取引先でもあります。その取引関係や交渉力によって、元受保険会社が必要な情報提供や担保を求めにくくなり、チェックが十分に働かず、最終的に保険システムに負担がかかる可能性にも留意しておく必要があると思います。

    そのため、元受保険会社の確認を補完するために、一定の規制・監督の枠組みを金融庁が整備するということも重要だと思います。キャプティブのリスク管理、支払能力、親会社との取引について当局が実態を把握し、必要な場合には改善を求められる仕組みも用意しておくのが望ましいと思います。もちろんこれらの規制の負担は、リスクの性質や規模に応じて最小限のものであるということは言うまでもありません。キャプティブからの再保険金の回収不能や遅延が元受保険会社による保険金支払いに支障を生じさせることがないようにしておく必要があるということでございます。

    最後になりますけれども、企業自身のリスク管理、元受保険会社による確認、当局による監督がそれぞれの役割を果たす制度となることを期待しております。

    私からは以上です。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。基本的には、今回の事務局から投げかけられた論点については、賛同されるという御発言であったかと思います。第1に関して、企業自身のリスク管理ができているか、そのために適切な人材がいるか、経営陣がどのようなコントロールをしているか、そして第3に関しては、当局がどのような規制・監督をするのかが重要であるというご指摘であったかと思いますけれども、もし事務局の方でこの辺りについて、お考えのところがございましたら、お願いいたします。

    【守屋保険企画室長】

    ありがとうございます。先ほど永沢委員から御指摘をいただいた部分と重複するところもあるかと存じますけれども、やはり企業自身がどうリスクを把握して、キャプティブに何を保有させるのかというグループ全体としてのリスクマネジメントの中では、リスクマネージャーのような方の存在というのも非常に大事になってくるのかなと認識をしております。先ほどと重複して恐縮でございますが、制度に落とし込むときに、どういうアプローチでそこを求めていくかということを、御議論を踏まえながら考えていきたいと存じます。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。それでは続きまして、柳瀬委員、お願いいたします。

    【柳瀬委員】

    御指名ありがとうございます。詳細は提出済みの意見書を御参照いただきまして、ここでは要点を絞って申し上げたいと思います。

    まず、今回の制度創設の目的を改めて明確にしておく必要があると思います。私はこの目的が、単に国内のキャプティブや企業の自己保有を一律に増やすということではないと考えております。重要なのは、企業が自律的・戦略的にリスクを管理し、将来の成長投資を支え、企業価値を高める手段を充実させることにあると考えます。そもそも大きな損失で割安な内部資金を失ってしまい、その結果、割高な外部資金調達がその後必要になり、資金調達が困難となれば、企業は非常に重要な将来の価値ある投資までも断念しかねません。これは過少投資問題と言われるものです。理論的には、リスクマネジメントには、既存事業を守るだけではなく、無形資産投資を含む将来の成長投資の資金を持続的に確保する役割があると考えます。これは目下、金利のある世界への回帰が進み、資金制約が企業にとって改めて課題になる中、今後、より重要な役割になると考えております。

    ここで、企業には2つの重要な意思決定が求められます。一つは、どのリスクをどこまで保有し、どの部分を外部に移転するかという、リスクファイナンスの意思決定。もう一つは、リスク分析や損害査定などの機能をどこまで自前で担い、保険会社や専門家にどこから先を外注するかという、いわゆるmake or buyの意思決定です。この組合せを選ぶ能力を高めることがリスクマネジメントの高度化の重要な一部だと考えております。

    もちろん足元のキャパシティ不足は制度創設のきっかけにはなりますが、制度創設の本質的な意義はそれにはとどまらないと考えます。つまり、企業にとっての選択肢が増えることで、企業が自ら比較し判断し、結果を検証する、いわゆるlearning by doing、つまり、経験を通じてその能力を育てる基盤を整えることにこそ、本質的な意義があると考えます。

    その上で、第1の論点ですが、再保険キャプティブの創設には賛成です。ただし、これを創設したからといって、自動的に、企業のリスクマネジメント力が高まるわけではないと考えます。そこで私としては、3点留意が必要だと考えます。

    第1に親会社のリスク管理部門等による主体的な関与を形式にとどめない仕組みとすることです。もちろんリスクセンサーとして集約した情報を企業自身が判断に使い、結果を検証できる運営体制、これは非常に重要です。専門作業は外注できても、重要な判断まで任せ切りにしては能力が育たないと考えます。

    第2に、保険会社による専門サービスの質と継続的な供給です。たとえば、保険会社がリスクを負担していれば、損害予防サービスによって保険金が減るということから、自らの利益になります。したがって、専門サービスに力を入れるそもそものインセンティブが強く生じるわけです。しかし、保険金の大部分を、例えばですけれども、キャプティブから回収するという形にした場合、その便益は主にキャプティブに帰属することになりますので、理論的にはこうしたインセンティブは弱まる可能性があります。そのため、良質なサービスが報われる報酬や評価の仕組みとともに、提供者が採算を確保し、供給を続けられる条件も確認したほうが望ましいと考えます。

    第3に、規制の簡素化、これは重要ですが、企業が実際の負担軽減につながるかどうかの確認も重要だと思っています。例えば最低資本金を下げても、元受の保険会社が再保険金の回収に備えて多額の担保を求めるということがあれば、結局、成長投資に回せる資金が結果的に減ってしまう可能性すらあります。そのため、簡素化の効果は最低資本金だけではなくて、担保や運営費用、グループ内で負担する損失を合わせた企業全体のコストから評価することが重要だと考えます。

    次に第2の論点ですけれども、基本的に賛成です。ただし、追加的な税制上の措置を前提としないことと、税務上の予見可能性を確保することは別の問題だと考えます。例えば、準備金の異常危険準備金などの取扱いなどを含め、現行税制の適用関係を分かりやすく示していただくことは重要です。この意味で税務の問題は、キャプティブを有利にするための政策手段というよりは、企業の合理的な制度選択を不必要に歪めないための中立性を提供するものだと整理できるかと思います。また、対象種目のうち、第1・第3分野については、英国の議論等を参考に今後の検討課題とすることが望ましいと考えます。

    最後に第3の論点でございますが、制度創設のスケジュールの観点から、再保険型の創設を優先することに一定の合理性があると考えます。ただし、元受型を将来の検討課題とするのであれば、具体的な検討項目は何なのか、改めて判断する時期はいつなのか、制度創設の段階である程度は明確にしておくことが望ましいと考えます。検討に当たっては、元受型か、再保険型かという、いわゆる法的な区別だけではなく、冒頭で少し述べさせていただきました2つの意思決定の観点から見ることが必要だと思います。すなわち、リスクファイナンスとmake or buyの意思決定です。

    再保険型でも出再条件や業務の分担によって、保有するリスクや自前で担う機能の範囲は当然変わります。また、逆に元受型を選んでも、全てを自前で行う必要はなく、例えば専門サービスは外部から購入することだってできるわけです。したがって、企業の能力向上という点において重要なのは、元受型か再保険型のどちらかという二項対立ではなく、自社にとってどのリスクをどこまで保有し、どの機能を自前で担うか、というこの判断能力を高めることです。その機会を与えることです。したがいまして、元受型を選択肢に加える意義もここにあると思います。元受型を選ぶこと自体でなく、企業が比較できる組合せを広げ、リスクマネジメント能力の高度化を後押しするという意味において重要だと考えます。

    この観点から検討項目を幾つか考えてきました。第1に、税務上の効果やキャプティブ一般の便益とは区別した上で、元受型を選択肢に追加する便益とは一体何かという点です。元受型は、現行、保険業の枠外でもちろん設立できるわけですが、使い勝手や予見可能性の低さが、現状のニーズを見えにくくしている面もあると思います。そのため、企業を中心に、保険会社やブローカー等様々な専門家から広く意見を求め、具体的な利用場面に即して議論することが重要だと考えます。現状のニーズがないからといって、それが本当に潜在的・将来的なニーズがないということを結論づけるのは時期尚早だと考えております。

    第2に、外部の専門家に業務を委ねる場合、企業自身にどこまでどのような能力が必要かという点です。ここがやはり課題だと思います。元受保険会社に代えて例えばブローカー等を利用しても、重要な判断までを結局任せ切りであれば、単に依存先が変わるだけの問題です。

    したがいまして、外部委託先と企業の利益が一致しない場合、さらに企業の提案が妥当性を見極めにくい場合、つまり、両者の間に情報の非対称性があるような場合には、いわゆるエージェンシー問題が生じ得るわけです。そのため、外部専門家が補完できる業務はどこまでか、それから企業自身に必要な判断・監督能力は何なのかについては、やはり詰めておく必要があると考えます。そしてそれをどう育てていくかという点が重要だと考えます。さらに、企業にこういった能力を求めるという方向性が重要であるということが確認されるのであれば、例えばですけれども、それを備えた企業には能力に見合った選択肢を認めるという発想も重要です。これは前回のワーキングでも指摘されたプロ保険契約者の議論がこの発想に近いかなと考えます。

    第3に、リスクに見合う価格づけをどう確保するかという点です。再保険型では外部の元受保険会社内で条件を決めますが、元受型では親会社との間で直接保険料や引受条件を決めることになるので、グループ内でどうこれを判断するか。これは元受型ではより明示的なコーポレートガバナンス上の課題として顕在化すると考えます。

    最後に、法制上の問題、例えば海外付保規制等との関係をどう整理するかは、これは当然必要な課題であると考えております。

    少し長くなってしまい申し訳ございません。以上が私の意見でございます。ありがとうございました。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。論点1の最初のところで言われた親会社のリスク管理部門による関与をどう考えるかということについては、再保険キャプティブの設立が認められたとして、当局が直接的に監督するのは再保険キャプティブであって、グループ会社の子会社であるわけですね。しかし、実際にはその再保険キャプティブをコントロールしているのは、親会社ないしグループ会社のリスク管理部門なので、その辺りをどのように監督の中で落とし込んでいくかというのは非常に重要な問題になりそうです。これについて事務局のほうで何かお考えのところがございましたらお願いします。

    【守屋保険企画室長】

    今までの永沢委員、家森委員の御指摘とも重なる部分がございますが、まさに親会社のリスク管理部門の主体的な関与という部分が非常に大事だということで、例えばでございますが、保険会社の今の規制の枠組みを参考としますと、主要株主規制、株主に対する規制というのがございます。そういった枠組みも参考に、キャプティブだけではなくて、株主に対してもどういうアプローチができるかというところも含めてよく考えてまいりたいと考えてございます。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。今回の事務局案ではその辺りのことまでは明確には述べられておりませんでしたけれども、次回以降のワーキング・グループでその辺りについて整理して、制度枠組みについてももう少し突っ込んだ考え方をお示しいただければと思います。

    柳瀬委員からはほかにもいろいろ御指摘いただいたのですけれども、時間の関係もございますので、先に進ませていただきます。次は大村委員、お願いします。

    【大村委員】

    御指名いただき、ありがとうございます。私自身も、基本的に事務局の方向性に賛成でございます。

    まず1点目、再保険キャプティブ制度を創設するという方向性自体には賛成でございまして、その上で、制度の留意点として3点ほど申し上げたいと思います。

    まず第1、健全性確保と契約者保護の2層構造を明確にした上での制度設計が必要という点でございます。何度か出ておりますが、再保険キャプティブの相手方は元受損保でございまして、キャプティブの破綻リスクは、まずは出再者である元受損保の再保険金の回収可能性や健全性によって顕在化し、その先で一般の保険契約者の保護に波及し得るという二段階の構造になっております。

    それを踏まえますと、キャプティブ側の簡素な健全性規制だけではなく、元受側における再保険信用リスク管理、また、保険業法施行規則第71条に基づく責任準備金不積立ての取扱いや、必要に応じた担保等の信用補完をどのように組み合わせるのか、といった点について整理しておく必要があるのではないかと考えております。

    実務上は、再保険金の回収可能性を確保するために、信用状、いわゆるLCであったり、再保険料留保、Funds Withheldなどの信用補完が用いられる場合もあると理解しております。これ自体は合理的な仕組みですが、それを法制度上どう位置付けるかを整理する必要があろうかと思われます。

    ハワイでは最低資本金そのものを信用状で充当できる仕組みがあるとも聞いており、同一の信用補完措置を資本規制と再保険信用リスク管理の双方でどのように評価するのかについては、それぞれの機能の違いを踏まえつつ、過度な重複負担とならないような整理が必要ではないかと考えております。

    第2は、親会社との資本関係です。この点は先ほど柳瀬先生や家森委員が御指摘はされておりますが、キャプティブの信用力というのは、自己資本や再々保険だけではなく、実務上、親会社の信用力や支援能力とも強く関連しています。

    そこで、親会社保証や追加出資コミットメントを健全性確保の観点からどの程度評価するのか、他方で、キャプティブ資産の親会社への貸付けやグループ内預託等を広く認めることによって、保険事故発生時に親会社とキャプティブが同時に資金難となるような、いわゆる相関・集中リスクが生じないかという点は非常に気になっておりまして、この点は資産運用規制との関係で明示的に検討しておく必要があるのではないかと考えております。

    さらに、過度な配当その他の親会社への資金還流によってキャプティブの健全性が損なわれないための規律や、グループ内取引の管理も論点になるのではないかなと考えております。

    第3に、外部委託と企業自身の判断責任の関係です。キャプティブでは、アクチュアリーやブローカー、キャプティブマネージャーなどといった外部専門家が広く活用されていると理解しておりますが、それらの専門家の利害が必ずしも企業の利害と一致するものではございません。

    したがって、キャプティブマネージャー等については、登録・承認その他の適格性を確認できるような仕組みを設けることも検討しつつ、企業側にも、委託先の提案の前提や利害関係等をきちんと理解した上で、最終的なリスク保有方針を自ら決定し、委託先を監督できる最低限の体制を求める必要があるのではないかと思います。外部委託を認めることと判断そのものまで丸ごと外部に委ねてよいということは異なるということを制度上明確にしておくことが重要ではないかと考えております。

    次に、25ページに記載された制度の方向性についてでございます。こちらについても、再保険キャプティブを損害保険会社の一類型として位置付けつつ、その機能と事業特性に着目して規制を最適化するという基本的な考え方には賛同しております。その上で、3点ほど申し上げたいと思います。

    1点目は、最低資本金と人的体制についてです。頂いた資料にもございましたが、ハワイのClass1では10万ドル、バミューダのClass1でも12万ドルと、実績のある主要法域では低い法定下限が設定されています。英国でも似たような水準、10万ポンドをベースにした比例的な資本規制が提案されていると理解しております。

    広いアクセスを許容するという観点からは、我が国でも、低い法定のフロアを置きつつ、実際に引き受けるリスクの種類や規模、また再々保険等の利用状況等を踏まえて、必要な資本や流動性を判断するという考え方も1つの選択肢となり得るのではないかと考えております。

    また、役員体制要件については、企業ごとにリスクマネジメントの成熟度に相当ばらつきがある中で、本制度の目的が企業のリスクマネジメントの高度化を後押しすることにある以上、入り口段階で完成形に近い内部体制を一律に求めることは、利用可能性を必要以上に制限してしまうため賛同できないと考えております。

    他方で、要件を一切課さなければ、総会でも指摘されておりましたが、リスク管理能力をどう測るかという懸念に応えられないのではないかと思います。そのため、社内には少なくとも、最終的なリスク保有方針を決定し、外部委託先を監督できる責任者・機能を確保させる。他方で、アクチュアリーや管理業務などの専門性の高い機能については、継続的な外部委託を認めるといったような形が現実的ではないかと考えておりました。

    第2は、再保険キャプティブに認める保険種目の範囲ですが、こちらは家森先生や柳瀬先生と全く同じでございまして、基本的には第2分野から始めるべきではないかと思っております。

    その前提として、まず、現行法でも再保険の免許上の位置付けというものは、元受保険の分野との関係でやや複雑になっていると理解しており、今回の再保険キャプティブについてどの元受リスクまで引き受けを認めるかは制度上明確にしておかないと、混乱が起きる可能性があると思っております。

    その上で、第1・第3分野については、もともと個人や第三者の利益が介在する商品が多いことに加えて、長期性や準備金計算などの第2分野とは異なる論点がございますので、簡易な制度として立ち上げる初期制度に直ちに含めるかという点については、慎重に検討する必要があると考えております。

    第3は、税制についてでございます。こちらについては、追加的な優遇ではなくて、予見可能性を確保するという柳瀬先生の意見に賛同いたします。キャプティブは、節税を主目的とするものではなく、企業がリスクの保有と移転の在り方を見直すためのリスクファイナンスの選択肢として位置付けるべきものだと考えておりますので、優遇措置を設けることは本来の趣旨に反するのではないかと考えております。

    その一方で、再保険キャプティブについて、通常の損害保険会社と同様の異常危険準備金制度を適用するのか、それとも、キャプティブの特性に応じた別の準備金資本規制にするのかは、制度設計上整理は必要ですし、その結論に応じて、税務上の損金算入等の取扱いについても、企業が制度利用を検討する時点で予見可能であるということは非常に重要ではないかと思っております。

    また、国内法人としてキャプティブを設立する場合には、外国子会社を対象とするCFC税制の問題は生じないという既存制度上の関係も含めて、税制の適用関係が分かりやすく示されていると実務上は非常に選択がしやすいのではないかと考えております。

    設問3については、当局の意見に賛同いたしますので、割愛させていただきます。

    以上です。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。

    大村委員からも、親会社とキャプティブのリスク分担の在り方、それをどのように監督の中に落とし込んでいくかというところが課題であるというご意見をいただきましたが、この点はここまでの4名の委員と同様の問題点の指摘であったかと思います。どうもありがとうございます。

    それでは、続きまして、中出委員、よろしくお願いいたします。

    【中出委員】

    どうもありがとうございます。私はキャプティブ制度創設に向けた事務局の提案内容に賛成します。その上で、特に重要と思う基本的なことについてお話をしたいと思います。

    まず第1は、なぜ今キャプティブなのかということです。企業がグローバル化して、保険も国際的に広がり、こうした中で、我が国の保険制度では十分な受皿がないとなると、いろいろなものが外に出ていってしまいます。資本も出ていくし、人材、expertiseなども重要です。それらが我が国に蓄積しない結果、空洞化といいますか、国内の企業保険市場が弱くなってしまうと思います。

    そうした中で、このキャプティブ制度の創設は重要なチャンスになると思っていまして、キャプティブのドミサイルとして選ばれる場所にならなくてはいけないのでないかと思います。

    第2は、キャプティブとは何か、その本質なのですが、ここは非常に難しいところです。例えば、今回の事務局資料の中では、資料の11ページですと「保険会社とされる」とあります。外形的には保険会社なのですが、その機能とか実質は保険会社とはやはり違っていて、グループ内のリスクの保有と、そして、そこから外へリスクファイナンシングする、再保険であったりキャットボンドだったり、それらに接続していくビークルですので、保険会社とパラレルで、あるいは保険会社の一類型として捉えてしまうと、その本来の機能を十分に発揮するようなものができるか疑問があります。ここは非常に重要な点だと思います。

    第3は、どのようなリスクを対象にするかですが、私の自説にはなるのですけれども、大量の母集団があるような自動車保険、生命保険のような「マスリスク」の保険は、従来の保険で十分にリスクを消化できているわけですが、そうではないようなリスク、「非マスリスク」、これは新しいものにチャレンジしていく中で必ず向き合わなくてはいけないリスクですが、現行の保険市場では十分なカバーを提供できず、世界の再保険市場等をうまく利用しなくてはいけないリスクと認識しています。

    その領域においてキャプティブは非常に重要となりますので、新たに作るキャプティブは、いろいろなリスクを将来引き受けられるようにするというようなことよりも、むしろ非マスリスクを対象の中心に考えて、自分のグループ内のリスクをうまく消化するビークルとして割り切っていくというのでしょうか、いわゆる保険会社とは異なる制度設計をしていくことが重要でないかと思っています。ですので、引受対象は企業の非マスリスクとして、第三者である従業員が関係するようなものは、再保険であっても対象外としておく方向があり得るのではないかと思います。

    それから、第4になりますが、キャプティブの形態は、再保険型から入るということは現実的な方向として賛成しますし、元受型は保険業法2条の保険業の定義や海外直接付保規制の関係で少し難しい部分があると思いますが、再保険型に限定した特殊な制度を厳格につくり過ぎてしまうと、今後また保険業法を改正して違うものをつくることが非常に難しくなると思いますので、できるだけ緩やかなものをつくっておいて、将来、いろいろなキャプティブの形態に適合できるようにしておくことが重要でないかと思います。

    保険業法で再保険型に限定する規定を設けた場合、100%元受けから引き受ける場合であっても、フロンティングとして保険会社を通していれば再保険であるので問題ないのか、しかし、それは実質的には元受けと一緒でないか、といった論点も出てくると思います。大切なことは、どういうリスクに対して制度をつくるかということで、そのための枠組みはできるだけ柔軟にしておいて、保険業法ではなくて政府令とか監督指針の中で機動的に変えられるようにすべきだと思います。特にこの領域は国際的な競争にさらされていますので、柔軟に考えていく必要があります。

    その点では、完璧を求めない。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、どうしても日本の制度はきちっとしたものをつくらないと批判が出てきたりしますけれども、グローバルな領域においては前に進むことも重要ですので、機動的に変化に応じて修正していくという対応が必要と思います。

    また、キャプティブは本質を保険会社として捉えるのではなくて、保険という形式は使うけれども、機能とか実質は違う、そこから制度設計が必要ですので、資本金の意義も全く同じわけでなく、契約者保護の重要性も低いと考えれば、海外でとられているように、最低資本金の額は最小限にした上でリスク量に応じたものにする。これによって中小企業も入ることができますし、大企業はリスクの大きな企業として適合する資本を求めていく。資本も現金である必要はなく、保証状とか親会社の信用保証とかいろいろなやり方は海外でも取られていますので、この辺りも研究する必要は十分にあると思います。

    それから、規制を非常に簡素化するということで、業務報告は年一度で十分でないかと思いますが、大切なことは、規制を簡素化することがキャプティブの質の低下になってはいけないというところで、世界から信用されるキャプティブをつくる必要があります。そのためには専門人材が大切で、人を確保していく、そういう人を育成していく。リスクマネージャーもそうですし、アクチュアリー、弁護士、いろいろな専門家が必要と思うのですが、そういう専門家が育っていく、そして、適切でない動きがあれば、当局が監督できるようにしていかなくてはいけない。

    元受保険会社やキャプティブそのものは監督できるとしても、周辺サービスについては難しい面もあるかもしれませんが、キャプティブをめぐるいろいろな取引を全体として当局が見ていって、形式よりは、実質的に適切な人材がリスクマネジメントできているか、その実質を見ていくことが必要と思います。

    最後になりますけれども、グローバルな競争の中で今後日本の将来を考えると、ここできちんとした制度をつくって前に動き出すことは極めて大切だと思います。ただ、この「きちんとした制度」というのは、本質を押さえた制度という意味です。要は、細かいことは政府令に回して、まずは前に進みながら実務の動きを考える。制度をつくっても、日本の企業がハワイとか外国に行ってしまったら意味がないと思います。少なくとも日本に制度を作ったら、一定の企業は日本でビジネスをしてもらえることを目指すべきでないかと思います。

    以上になります。ありがとうございます。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。

    中出委員がおっしゃった点については、今回のワーキング・グループが議論すべきことの本質を突いておられるかと思います。再保険キャプティブについては、通常の保険会社の免許取得の要件よりも少し緩くしてもいいのではないかということで、今回の事務局の提案はそのようになっているわけですが、それがいき過ぎると結局、最初にも議論になりましたけれども、元受保険会社の背後にいる保険契約者への不利益になりかねません。

    それから、再保険キャプティブに適切な人材がないまま再保険キャプティブの設立が認められると、グローバル再保険市場へ出ていったときに適切な再々保険が得られないということにもなるおそれがありますので、結局、その辺りの再保険キャプティブに何が求められるかというところは微妙なさじ加減になるのかなという気がいたします。どうもありがとうございました。

    続きまして、中林委員、お願いします。

    【中林委員】

    御指名ありがとうございます。私のほうからは全般的なお話と、御議論いただきたい事項それぞれについて、一言ずつコメントをさせていただきます。

    まず、全般的には、再保険キャプティブの設立を可能にするという今回の議論について賛成です。なぜならば、企業のリスクファイナンスの選択肢が増えるということは非常に好ましいことと思っているからです。

    それと同時に、先ほど中出委員の御発言のまとめのところにもありましたが、せっかく制度をつくっても、実効性がなくて誰も使いたがらない制度になってしまっては意味がないと思っております。ですので、制度を緩くすればいいという話ではなく、適切な制度をつくって、参入したい企業が増えるような仕組みをつくる必要があると考えております。

    既に海外でキャプティブを運営している企業は十分ありますが、そういった企業がぜひ国内でと思うことが重要です。そのためのインセンティブは何なのか、さらに、まだキャプティブの活用に至っていない企業が、国内で設立できるのであればキャプティブをつくってみようとなるインセンティブは何なのか、こういったことを明確にしていく必要があると考えております。

    どのような場合でもコストはどうしても生じてくるわけですが、そのコストをいかに軽減できるか、この議論を丁寧にしていく必要があるかと思っております。

    特にキャプティブを今まで使っていなかった企業に関して、今日のお話ですと中小企業でも使っているということですが、一般的には大企業中心で使われてきたと捉えております。従って、それ以外の企業、例えば中小企業であるとか、特に中堅企業が制度が変わることによってキャプティブを使えるようになれば、より企業の競争力を高めることにつながるのではないかと思っております。

    以下、議論していただきたい点それぞれについてです。1点目に関して言えば、企業の戦略的なリスクファイナンスの選択肢が広がるという観点から考えて、再保険キャプティブの設立は必要と思っております。そして、多くの委員の方がおっしゃっているように、親会社のリスク管理部門などの主体的な関与について実効性を持たせることが鍵になるのではないかと思っております。

    2点目に関してですが、今の検討の在り方に関して基本的に賛成しております。そして、どういった種目で対応していくかに関しては、既存の保険の購入や単純な自家保険をすることに比べて、キャプティブを使うほうがより効果的になることが見込まれる種目から対応する必要があると考えております。分野としては第2分野からという考え方が妥当ではないかと思っております。

    最後に3点目に関してですが、まず、実現可能性が高い再保険キャプティブからという考えに、賛成しております。しかし、再保険キャプティブのための制度が設立されたらそれで終わりということではなくて、制度設立後に定期的な見直しを行い、さらに、元受キャプティブの設立に関する検討までのロードマップのようなものをあらかじめ示しておくということが重要と考えております。

    今回の資料にも出てきておりますが、イギリスで同時期に元受キャプティブも含めた検討が行われているということですが、こちらの動向を注視することは非常に重要だと思っております。ただ、この議論だけで、イギリスと日本の環境の違いなど全く考えずに元受キャプティブもすぐにできるというような考えは、短絡的過ぎると思います。ですので、どうすれば元受キャプティブが設立できるのか、逆に必要がないのであれば必要がないということでいいと思うのですが、イギリスの事例を注視しながら、その問題点を確認し、日本での制度設計に生かしていくということが非常に重要ではないかと思います。

    最後になりますが、今回の議論を行うことによって、日本企業の競争力をさらに高めていくことにつなげる必要があると考えております。

    以上となります。ありがとうございました。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。基本的に事務局で示された方向性に賛同されるというご意見であったかと思います。

    再保険キャプティブの対象については損害保険に限るべきであるというご意見でした。ただ、最後に言及された元受キャプティブについての検討のロードマップをどこまで示すべきかはなかなか難しい問題で、これについてはまた議論が必要なのかもしれません。現状でも、企業が元受キャプティブを設立しようと思えば、それは保険業法にいう保険業ではないので、免許無しにできますけれども、現実には使われていない。使われていないのがどういう事情によるものなのかというのもよく分からないところではあるのですが、その辺も含めて、元受キャプティブについての検討のロードマップをどのように考えるべきなのか、イギリス等の検討状況を見ながらという形になるのか、また検討させていただければと思います。

    先に進ませていただきます。田中委員、よろしくお願いいたします。

    【田中委員】

    ありがとうございます。田中でございます。御指名いただき、ありがとうございます。

    アクチュアリーについて、資料にはあまり記載されていなかったので、アクチュアリーが知られているのかなと若干不安だったのですが、複数の委員の方から取り上げていただき安堵いたしました。私はアクチュアリーで、海外キャプティブをお持ちになっている日本の企業に対して、いわゆるロスリザーブ・アクチュアリーやスタチュトリー・アクチュアリーとして御支援をさせていただいています。資格制度の問題から私自身が署名することはできないのですが、そういったお仕事をさせていただいているという立場でございます。

    アクチュアリーは保険料や責任準備金を保険数理的に評価して、保険会社の財務健全性を継続的に確認するという役割を担っております。今までの委員の皆様とは立場が若干違う形の発言になるかもしれませんが、私は一アクチュアリーという立場で今回の議論いただきたい事項の内容についてコメントをさせていただきます。

    第1に、この制度の創設を検討するに当たって留意すべき事項は何かということですが、キャプティブが設立された後、我々はアクチュアリーとしてその健全性を維持しなければならないという立場におりますので、そういう観点からの意見となります。最低資本金を引き下げるという話がございますけれども、最低資本金は設立時の話であり、設立後は、責任準備金、資本、それから流動性及び再々保険を通じていかに支払能力を確保していくかということが重要になると思います。そういった観点からは、他の委員の方からも出ておりますが、実際に必要となる資本というのは、むしろソルベンシーの話になるかと思っております。設立時に小さい金額であっても、結局ソルベンシー規制で高い必要資本を求められるとなると、そこが大きなコストになりますので、そこについてはなるべく早めに整理をしていただいたほうがいいと考えております。特に保険業界では、今年から経済価値ソルベンシーが導入されまして、非常に厳しい規制が入りましたので、それをこの再保険キャプティブにどういうふうに適用していくのか、全く違うものにするのかも含めて検討をいただくことが必要と思っております。

    第2の論点は、再保険キャプティブが損害保険会社の一類型と位置付けられる点と、それから25ページに記載の方向性でございます。他の委員からもご意見が出ておりますが、税制上の取扱いは利用可能性に影響するとは思いますが、まず参入要件や健全性の規制、実質的なリスク管理機能、保有リスクについて設計し、税制措置というものの要否は恐らく政策目的や公平性を踏まえて別途検討していただくことが必要と思っております。そういった観点から、追加的な税制措置を前提とするものではないという意見に関しては、私は賛同させていただきたいと考えております。

    25ページに記載された方向性については、実務者として少し細かいコメントになる点は御理解いただければと思います。まず、今回、第2分野の再保険キャプティブは損害保険会社の一形態と記載いただいておりますが、通常の損害保険会社の規制を一律に適用すると、海外にあるキャプティブと比べて規制が厳しくなるという課題もあります。なお、海外の制度は参考にはなると思いますが、キャプティブ以外の保険業界の制度が違う中に海外の制度をそのまま持ち込むというのは合理的ではないと思いますので、現在日本にある責任準備金、保険会計の制度や保険計理人の制度を基礎として、最低資本金、報告内容、検証頻度、あるいはアクチュアリーの関与・確認の内容等々をリスクに応じた形で調整していくという形での対応を考えていただくのがよろしいのではないかと考えております。

    それから、先ほども述べましたが、健全性規制のところでございます。自社グループのリスクのみを引き受けるという特性を踏まえて、通常の保険会社と同一の経済価値ソルベンシー規制要件を一律に適用するものではないという観点が、やはり必要なのだと思いますので、簡素な規制を整備するという点については合理的だと考えております。

    一方で、キャプティブは、同一企業グループリスクのみを保有するためにリスクが集中し、また、関連当事者間取引という特徴がありますので、そういったものをどういう形で適切に管理するかというところを考えつつ、支払能力を確保するために、基本的な健全性規制という枠組みの中で管理をしていただく必要があると考えております。

    それから、元受保険会社は、再保険の有無に関わらず契約者に対する保険金支払義務を負っているわけですので、元受保険会社側でもこの新たなキャプティブ制度に適切に対応するために、再保険に関わる信用リスク、それから、何人かの委員からも出ておりましたが、企業との間の取引条件を適切に管理する必要性があると思います。そのため、追加的に、監督指針などで考えていただく必要があるのではないかと考えます。

    保険種目の話についてですが、アクチュアリーの立場から見ますと、第1分野、第2分野、第3分野はリスクが全く異なっております。経済価値ソルベンシーでも、生保リスク、損保リスクという形でリスクに応じて対応が異なっておりますので、そういった観点から、今回、第2分野を引き受けるキャプティブを損保の一形態として位置付けるということであれば、そこに、第1分野と第3分野も含めるというのは、整合性がないと思います。私としては、第2分野から入るということが一応合理的なのであれば、他の分野については、アクチュアリーの関与も含めて、よく検討してから追加する必要があると思っております。

    3点目の元受型なのか再保険型なのかというお話でございます。今日いろいろな委員の方からも出ておりますが、企業のリスク管理の高度化という観点からは、恐らく企業グループが自ら元受けを行う元受キャプティブに合理性があると思います。一方、元受キャプティブを利用する場合、海外直接付保等の問題等があると理解しておりますので、そういった観点等からすると、再保険キャプティブという形態が現実的には実効性が高いと考えております。

    また、再保険キャプティブは、元受保険会社と企業がリスクをシェアするという観点では、そのことによってリスクを予防する、リスクを下げていく、あるいは、いろいろなデータを保険会社としても取得できるという利点があり、損害保険会社自身の高度化にも寄与するのではないかなという期待も持っております。そういった意味では、まず実効性の高いものから開始する、現実的なものから開始することに意味があると考えますので、再保険キャプティブを優先することについては私も合意をさせていただきます。

    まとめますと、キャプティブの規模、機能及びリスク特性に応じた比例的な制度、特に健全性について、検討いただきたいと思っております。

    以上、私からの意見でございます。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。

    再保険キャプティブに対する監督に当たっては、免許付与の要件としての最低資本金のほかに、設立後、事業を開始してからのソルベンシー規制も重要であるという、大変重要な御指摘をいただいたかと思います。ソルベンシー規制に関しては、先ほど大村委員などからも御指摘のあった親会社からの信用保証といったことも含めて考えていくこともあり得るのかなというふうに思います。どうもありがとうございます。

    それでは続きまして、恩藏委員、よろしくお願いいたします。

    【恩藏委員】

    ありがとうございます。私も皆様と同じように、基本的に事務局がお示しした方向性に賛成でございます。私としましては、ここで2点意見がございます。

    まず1つ目が、元受損保側の出再先管理についてです。柳瀬委員の意見書にありますように、企業自身がリスクの保有・移転や専門機能の自前・外注を比較し判断できる体制を持つことが重要だという点には、私も賛成でございます。その上で、制度として実効性を持たせるためには、キャプティブ自身だけではなく、親会社、元受損保、外部委託先のそれぞれがどのような役割や責任を持つのかを整理することも重要だと思います。

    冒頭で永沢委員が企業と損保会社の関係性ですとか、先ほど田中委員もおっしゃっていたことにも関連すると思うのですけれども、特に再保険キャプティブの場合、キャプティブから再保険金を十分に回収できなかったとしても、契約者に対する支払責任は元受損保に残ります。したがって、キャプティブ側の健全性だけでなく、元受損保側が出再先キャプティブの財務健全性や支払能力、必要に応じて担保などを適切に確認するという規律も重要ではないかと思います。

    現行の監督の枠組みで対応するのか、今回の制度創設に伴って何らかの考え方を明確にするのかも含めて、制度設計の中で整理しておく必要があるのではないかということが1つ目でございます。

    それから、2つ目、これは大村委員、田中委員からも御意見が出されていたと思いますけれども、対象保険種目についてでございます。この対象とする保険種目についてですが、第1分野、第2分野、第3分野という形式的な区分だけでなく、今回の制度目的に照らして、キャプティブを利用することによって企業のリスクマネジメントがどのように改善するのか、また、それぞれのリスクがどのような性質を持つのかという観点から考える必要があると思います。

    例えば、企業自身がどこまでそのリスクを把握・管理できるのか、また、企業自身の財産リスクなのか、それとも、従業員や家族などの被保険者保護がより重要になるリスクなのか、といった点です。この点から考えると、第1分野、第3分野の生命・医療などについては、企業財産のリスクとは性質が異なり、従業員や家族の生活保障に直接関わりますし、長期的な支払能力についても慎重に考える必要があります。

    したがって、少なくとも今回の制度創設においては、第1分野、第3分野は対象外として、まず第2分野を中心に制度設計することでよいのではないかと思います。

    以上2点でございます。ありがとうございました。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。検討の対象について、今回についてはまず第2分野から考えるべきだという御意見は、これまでのほかの委員の御意見とも共通しているところかと思います。どうもありがとうございました。

    それでは、山下委員、お願いします。

    【山下委員】

    御指名いただきありがとうございます。山下でございます。

    私も、再保険キャプティブ制度の創設という御提案に賛成いたします。本制度を創設することは、企業のリスクマネジメントの高度化の契機になると思いますので、積極的に賛成したいと考えております。また、同時に、日本の保険市場の活性化につながるようなものになってほしいとも考えております。そのうえで、そのための制度をどうつくるかということについて、3点ほど意見を申し上げます。

    第1に、キャプティブというのは保険という金融商品を利用する制度ですが、1つの企業グループのリスクのみを引き受けるものとしてのキャプティブ子会社を規制する趣旨は何か、すなわち保険業法としてこれを規制する趣旨を、整理する必要があるのではないかと考えております。保険業法における典型的な規制目的である、保険業の公共性や保険契約者の保護といったものが直接的には妥当しない可能性もございますので、なぜ規制するのかということを検討しておく必要があります。あり得る考え方としては、再保険キャプティブにおけるキャプティブ子会社が倒産するリスクは、元受保険会社の財務の健全性に影響が及び、ひいては元受保険会社の一般顧客の利益にも影響が及ぶというものはございますが、そのほか幾つかあるかもしれませんので、その辺りについて議論していく必要があるように思っております。

    第2に、キャプティブ子会社の規制枠組みですけれども、既に御指摘がありましたが、再保険キャプティブの場合は、元受保険会社の財務の健全性とキャプティブ子会社の財務の健全性の両方を考える必要があろうかと思います。そのため、元受保険会社についても、キャプティブ子会社に出再する際のリスク管理などについて、一定の体制の整備や責任準備金の規制の見直しなどが必要ではないかと考えております。

    キャプティブ子会社の免許の在り方については、今回の制度導入の趣旨からいたしますと、企業グループとしてのリスクマネジメント能力の向上が前提であり、企業グループに対し、そのための体制の整備を求めなければならないわけですから、先ほど主要株主規制を使う案などの提案がございましたけれども、何らかの手法により、企業グループとしての体制整備の要求をキャプティブ制度の中に落とし込む必要があると考えております。

    もう一つ、キャプティブ子会社が外部の業者に様々な業務を委託するときに、外部委託の適正性を確保する必要もございますので、キャプティブ子会社において、業務委託にかかる管理体制の構築を求める必要があろうかと思います。それはグループ全体としてのリスクマネジメントの体制に含まれ、先ほど申し上げた論点と密接に関係いたします。制度設計を考える際に、業務委託の適正確保が論点になるかと思っております。キャプティブ子会社側の制度設計では、業務委託の適正性が十分に確保できないのであれば、受託する側の業者について、一定の業法上の規制ということもあり得ると思っております。

    再保険キャプティブ子会社が引き受けることのできる保険種目については、今回の制度導入の趣旨からいたしますと、差し当たり第2分野からということでいいのではないかと思っております。引受けの保険種目として、特に第1、第3分野のうち従業員の生命保険や医療保険等を含めますと、保険業の公共性とか広い意味での保険契約者に準ずる地位に立つ従業員の利益なんかも考えないといけません。つまり、規制趣旨も広がったりする可能性があります。つまり、性質の異なるものが混在するということになりそうですので、当面は第2分野のみとすることでいいのではないかと考えております。

    第3に、当局による監督の在り方についてでございます。再保険キャプティブ子会社を認め、その設立を促進するということになりますと、監督対象の数が増えることになります。これに対応できるだけの金融庁としてのモニタリングの体制、特に人的な体制の整備が必要になるように思われます。金融庁による再保険キャプティブ子会社に対する監督の在り方も考えておく必要があります。

    当局による直接的なモニタリングに重点を置くのであれば、かなりの人的な体制が必要となるように思われます。前回の令和7年保険業法改正により、保険募集のほうでかなりの監督リソースを必要とすることになりましたので、その上に、さらに再保険キャプティブ子会社を当局が十分にモニタリングできるのだろうかという点が気になっております。

    監督の在り方としては、元受キャプティブではなく、再保険キャプティブであれば、元受保険会社が介在しますので、元受保険会社が再保険キャプティブに出再する際の体制整備の確認をメインとし、当局が直接モニタリングする対象は元受保険会社とし、そこから間接的にキャプティブ子会社の健全性を確保するという間接的なモニタリングが効く可能性もあります。そのため、監督体制・その実効性も勘案したうえで、何をどこまで認めるかということを考えていく必要があるのではないかと思っております。

    そうすると、元受キャプティブの検討については、再保険キャプティブ以上に当局が直接モニタリングしないといけないということになります。さらに、元受キャプティブは、海外直接付保規制の趣旨と密接に関連する問題であり、そこについての議論も必要となりますので、その辺りを踏まえれば今後の課題かなと、今回は時間的になかなか困難かなというふうに考えております。

    私からは以上でございます。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。

    最初に指摘された再保険キャプティブならばなぜ規制が必要になるか、という問題点ですが、元受キャプティブについては、事務局の資料でも少し書いてありますが、保険業の定義から外れていることから、保険業免許なしにやろうと思えばできます。現状では実例がないようですが、法律上は保険業免許なしにやりたければやってもよいということになっている。そういう状況からすると、再保険キャプティブになれば、なぜ保険業免許の問題として保険業法で規制することが必要になるのかについて、確かに総論のところで整理していただくほうがいいかもしれないなという気がいたします。どうもありがとうございました。

    続きまして、米田委員、お願いします。

    【米田委員】

    御発言の機会をいただき、ありがとうございます。私も皆様と同じで、事務局資料で示されている方向性について賛成の意見を持っております。これまで委員の皆様がいろいろ御意見をもう既に出されていて、重複する部分もあるかと思っており、そこは御容赦いただきたいのですが、私のほうから大きくは1つです。これまでもありましたが、設立して終わりというわけではなくて、むしろ始まりであって、企業にとっての重要な経営アジェンダであるリスクを管理し、それをマネージしていくというところ、これができる体制を企業様側に持っていただくというところが大事なのかなと思っておりますので、このキャプティブができた、保険調達の選択肢が増えたといったところにとどまらないようにしていくというのが大事かなと思っております。

    制度上でどこまでそれを求めていけるのかというのはまさに議論すべきところかなと思うのですが、ここからは皆様も御指摘されているとおりですけれども、企業様本体のほうにそうした企業全体のリスクをしっかりと見ていく体制を求めていく必要があるのかなと思っているところでございます。

    その中には人材をちゃんと確保していくというところもあろうかと思いますし、私が実際に企業様とお話しする中では、グループ会社も多岐にわたりますので、そうしたところから適時に必要となる情報を入手していくということだけでもなかなか大変な作業になっているというところは感じるところでございますので、そうしたものをしっかりと体制として整えていくというインフラ的なところも求めていく必要があるかなと思いますし、そうした情報を基に、企業のしかるべきマネジメント層も関与しながら管理をしていく体制も求めていく必要があるのかなと思ってございます。

    今、簡単に人材というふうに言ってしまいましたけれども、日本の国内の状況を見まして、このリスクマネジメント領域というのは非常に専門的な領域であって、これができる方というのはそんなにたくさんいらっしゃるわけではないというのが現状ではないかなと思ってございます。ですので、これも少し制度の枠組みから外れるのかもしれませんけれども、そういった人材の育成というのもこの制度を進めていくに当たっては考えていかなければいけないポイントなのかなと思っております。もちろん企業様自身が全てをやる必要というのもおそらくなくて、役割分担という話はこれまでも出てきておりますけれども、外部のリソースまたは元受損害保険会社さんとうまくパートナリングしながら進めていくというところも必要になってくるかと思いますので、制度としては、そういったところも排除せず、外部のリソースもうまく使ってほしいといったような趣旨にしていくということも考えられるのかなと思っているところでございます。

    最後になりますけれども、制度として、必要なことは当然企業様側にはやっていただく必要があると思いますので、それらは当然定めていくということかと思いますが、企業様側から見ると、どうすればいいのかがよく分からない部分が多くありますと、なかなか迷ってしまう、場合によっては設立を躊躇してしまうという事態もあり得るのかなと思いますので、できる範囲になろうかと思いますが、こういったところはこうしてくださいといった明確化、対象となる種目や会計上の処理の仕方ですとか、そういったところも入ろうかと思いますが、なるべく明確化できるところは明確化していくといったような取組も必要になろうかと思ってございます。

    私からは以上でございます。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。

    米田様からも基本的に事務局の方向性に賛同するというご意見をいただきましたが、最初のところで、グループ会社のリスクの把握をどうするかというのは非常に大変で、各企業はそのところに苦労しておられるというのをコンサルタントの実感としてお話しいただいたと思いますし、リスク把握が非常に大変だけれども非常に重要であるというのは増山様のプレゼンテーションでもあったところです。それは結局、親会社のリスク管理部門が主導してやることになるのでしょうけれども、それがきちんとできているかどうかを監督の中で見るとなると、事務局からもありましたが、例えば、主要株主規制の中でそれを見ていくということは1つの手段として考えられるかなというふうに思います。

    委員の方からは全員から御意見はいただけましたが、まだ時間がありますので、オブザーバーの方からもし御発言希望がございましたら御発言をいただきまして、最後に、委員の方々で言い足りなかったこと、あるいは、ほかの委員の御意見を聞いてさらに御意見を述べたいという方がおられましたら、御発言の機会を設けたいと思います。まず、オブザーバーの方からよろしくお願いいたします。

    【日本経済団体連合会】

    経団連といたしましては、今般の日本成長戦略が経団連の目指す「投資牽引型経済」と軌を一にするものとして、高く評価しております。そうした中、同戦略において、企業のリスクマネジメント高度化と投資余力の確保を後押しする観点から、再保険キャプティブ制度の創設検討が位置付けられたことを評価しております。

    また、日本損害保険協会から御説明のあったように、再保険キャプティブはリスクマネジメントの高度化に資するものであり、適切なリスクシェアを支え、企業の健全発展を実現するものとして活用されることが重要であると考えていることは、同じ意見であります。

    今後の制度設計に当たりまして、企業のリスクマネジメント高度化という本来の目的に沿って、グループ全体のリスク情報の集約分析やリスク管理能力の向上につながる制度となることを期待しております。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。

    ほかに御発言ございますでしょうか。それでは、生命保険協会様、よろしくお願いいたします。

    【生命保険協会】

    生命保険協会の竹内と申します。複数の先生方から第1分野と第3分野の件についてお話がございましたので、生命保険協会としてのお考えも少し共有させていただきます。

    先生方がおっしゃるように、第1分野、第3分野につきましては人の生命や身体に関する保障ということになってまいりますので、リスクの性質でありますとか、長期安定的な給付を支える体制とか、今般の議論の対象とされているものとは少し性質が異なるのかなと我々も考えておりますので、先生方の御表明されました慎重に検討ということにつきましては、我々も賛同させていただきます。

    以上です。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。では、外国損害保険協会様、よろしくお願いいたします。

    【外国損害保険協会】

    ありがとうございます。

    細かく協会内のメンバーで議論したわけではありませんが、基本的に、この方向性は会員保険会社からは非常に好意的で賛成という意見が多くありました。グローバルマーケットに合わせていくというのは当協会会員会社の基本的な考え方でもありますので賛成というところです。

    意見がまとまってはいないのですが、元受キャプティブについては、会社というより個人の考え方で賛否が分かれるかと感じております。一方、第2分野で再保険のキャプティブからまずはスタートすることに関して、特に反対意見は聞いたことがありませんので、賛成ということになります。

    以上でございます。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。

    オブザーバーの方々からも一通り御意見をいただいたということで、まだ若干時間が残っておりますので、委員の方々から御発言ございますでしょうか。それでは、中出委員、よろしくお願いいたします。

    【中出委員】

    機会をいただいて、ありがとうございます。

    対象を第2分野からということで、第1、第3分野は後から考えるというトーンの話が多いかと思うのですが、私はもともと第1、第3分野は日本のキャプティブ創設にはなじみにくいものと思っており、加えて第2分野であれば何でもいいというわけでもないように思っております。第2分野のメインは、自動車それから火災保険ですけれども、多くの個人分野あるいは従業員のいろいろなリスクは、第2分野であってもリスクの性格は違うという気がします。

    仮にそれらもキャプティブの対象としてしまうと、グループ内であっても、元受契約者である従業員の保護をどうするのかという問題がでてきたり、あるいは、企業と個人との間の利益相反等の関係性の問題も出てきます。キャプティブの対象は企業のいろいろなリスクの内、私の言葉で言うと非マスリスクというような、ほかの保険市場で引受けが容易でないようなものを対象にしておいて、最終的なリスクのテイカーも自分の企業であるので保護もあまり必要ない領域にしておく、ただ健全な仕組みである必要がある、という形で考えないと、結局、簡素なものができないのではないかと感じます。対象は、保険市場で消化が難しい非マスリスクのようなものを想定していくのが重要でないかと思いました。

    そこはほかの委員の方と意見が少し違うかもしれないので、発言させていただきました。

    【洲崎座長】

    ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。では、大村委員、よろしくお願いいたします。

    【大村委員】

    コメントというわけではないのですが、今回制度を創設する以上は、実際に企業に利用される制度にすることが重要だと思っておりまして、その観点からキャプティブを活用されている三菱重工業様に、可能であれば何点か、実効性の観点からお伺いしたいと思っております。

    1点目は、既にハワイに設立されているということですが、仮に日本に今回のような再保険キャプティブ制度ができた場合、現在ハワイに設立されているキャプティブを日本に実際に移転することが現実的な選択肢になり得るのかという点でございます。それとも、既存のキャプティブを移すというよりも、今後、新たなリスクをキャプティブで保有する必要が生じた場合に、日本を選択する可能性があるというのが実務的感覚に近いのかという点をお伺いしたいと思います。

    もう一点、仮に日本の制度を選択するとした場合に、何を最も重要な選択要因として考えているのかが気になっております。最低資本金、人的要件、申請期間、外部委託の自由度、監督当局の専門性、税務の予見可能性、いろいろなものがあるとは思うのですが、どのようなものがあると日本を選びやすいのか実務家の観点から可能な範囲で教えていただければと考えております。

    【洲崎座長】

    では、増山様、よろしくお願いいたします。

    【増山参考人】

    ありがとうございます。

    まず、移転可能性があるかというところにつきましては、当然、保険会社ですので、設立した後移転する、ポートフォリオトランスファーをするということは当然あり得ると思いますけれども、それにもコストがかかりますので、費用対効果を分析して、先ほど予見可能性の話もありましたが、制度ができた暁には、そういったものを総合勘案して、移転するのか、両方につくるのか、もしくはそのまま残すのかという経営判断をするということになろうかというふうに思っております。

    重要な項目は何かというところでございますけれども、特に大企業セクターにおいては、あまり最低資本金が問題になるということはないと思っていまして、それよりは制度の安定性、税制の予見性も含めて、安定的に運営できるかというところが極めて重要だと思っております。

    諸外国におきまして税制の変更があって、実務が変わるというところにつきましては、オーナー側としては安定性を欠いているし、経営に対する説明、最初に経営会議に通したのと違うじゃないかみたいな話になってしまいますので、特に大企業としては、足の長いリスクを入れていく可能性が高いということを考えると、中長期的な安定性というのを重視されるのではないかなと思っております。

    せっかく発言の機会をいただきましたので、もう一点。企業側が重要ですと皆様から御指摘をいただいておりまして、その中で一番重要なのは、人材の確保というのは非常に当社としても課題感がございます。なかなかOJTだけでこういう人材を育てていくというのは難しい中で、企業間であったりもしくは業界間の人材交流は非常に重要で、いろいろセミナーとか教育の機会はいただいているのですけれども、双方の実務をきちんと理解しておく、相互理解があるということが非常に重要だと思っております。

    先ほどの大村委員のソルベンシーの話などは、多分一般企業の方はほとんど御存じないので、なぜこれが重要なのかという相互理解が進まないと、そうした方が企業側に安定的に人材として在籍している状態をつくるということを考えると、なかなか、企業単体で人材を確保していくのは厳しいと思っております。そういう意味では、人材流動性の低い日本の雇用環境を考えますと、次の施策として、人材交流の仕方というのをよく、実務家としては考えていきたいなと思っております。

    以上です。

    【洲崎座長】

    増山様、どうもありがとうございました。それでは、柳瀬委員、よろしくお願いいたします。

    【柳瀬委員】

    今、人材交流のお話が出ましたので、先ほど中出委員からも、今回のこのキャプティブ創設というものをきっかけにリスクマネジメント能力を向上させていく、そのときに、対象となる保険契約の観点から一定の制約も必要ではないか、という話しがございました。もちろん、保険契約からの制約もあると思いますが、契約者の能力の成熟度、プロ保険契約者の要件の議論も引き続き、議論を続けていただくことが重要であると考えます。

    例えば、プロ保険契約者の制度が創設され、それが利用され始めると、さきほど、増山様がおっしゃったように、リスクマネジメント人材の業界や立場を超えた人材流動化に際して、その担い手の質を担保するシグナルになると思います。人材流動化が実行性をもつためには、こうしたシグナルは、例えば、プロ保険契約者の要件を満たす人材を企業側でも、保険会社側でも育成するとともに、人材交流をするときの非常に有効なツールになると思います。こうした視点からも、引き続き、プロ保険契約者の有効性に関して、継続的な議論や研究を続けていただくことを強く期待します。

    以上です。

    【洲崎座長】

    どうもありがとうございました。

    最後に柳瀬委員に御発言をいただき、ちょうど2時間の討議時間を使い切ることができました。皆様の御協力をもちまして、活発な議論をすることができたのではないかと思います。どうもありがとうございました。

    本日いただきました御説明や御意見を踏まえまして、今後さらに議論を深めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    最後に、事務局から連絡事項などございましたらお願いします。

    【守屋保険企画室長】

    次回ワーキング・グループの日時でございますが、皆様の御都合を踏まえた上で、後日事務局より改めて御案内をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

    本日はどうもありがとうございました。

    【洲崎座長】

    それでは、以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了いたします。どうもありがとうございました。

    ―― 了 ――

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