金融審議会「インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ」(第1回)議事要旨

1.日時:

平成23年7月8日(金曜日)10時00分~11時16分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

3.議題:

1.開会、メンバー等の紹介

2.事務局説明

3.自由討議

4.閉会

4.議事内容:

  • 冒頭、神田座長より、ワーキング・グループの設立経緯について説明があり、続いて、事務局より、メンバーの紹介があった。

  • 事務局からの説明後、討議が行われた。

  • 討議における主な意見は以下のとおり。

1.純粋持株会社に係る重要事実(審議事項1)について

  • 純粋持株会社に係る重要事実を連結ベースとする考え方については賛成。純粋持株会社の範囲が独占禁止法上の持株会社に限定されてしまうと、実態が純粋持株会社であっても、海外でのオペレーションが大きい場合は該当しないことになるため、なるべく広く考えるべき。また、純粋持株会社に係る合併以外の決定事実や発生事実に関しても、連結ベースとする検討の対象にすべき。
  • 純粋持株会社については、配当が売上高を構成しており、通常の会社と異なることを論拠として議論することはできると思う。また、売上高10%以上の会社を子会社とする場合に軽微基準に該当しないという点も、純粋持株会社の売上高である配当という、本来比較すべきではないものを比較して決めているため整合性がとれていないということはよく分かる。一方で、その基準が投資判断にとって重要な影響がないのかどうかについてより実証的な見地からの検討も必要。
  • 取引所の適時開示では、投資家の投資判断は連結ベースで行われることが主流になってきているという考え方に立って、既に軽微基準を連結ベース中心に移している。方向性としては、純粋持株会社のような場合に、連結ベースの基準に改めていくことでよいのではないか。
  • 純粋持株会社に係る重要事実を連結ベースとする方向で検討すべきだが、事業持株会社であっても、配当の割合が大きい会社もあるので、その線引きを検討する必要。
  • 持株会社の株主の関心事は、全て事業会社の事業活動であることから、投資家の投資判断に影響を及ぼす情報という観点からいえば、軽微基準についても連結ベースで考えるべき。
  • 純粋持株会社に係る重要事実の問題について、実際にどういう不都合が生じているのか。インサイダー取引規制は投資家保護が根本であるので、連結で判断することの合理性やグループ企業経営の円滑化の重要性、それが投資家保護を妨げないものであることについての説明が必要。

2.企業の組織再編に係る規制の適用関係(審議事項2)について

  • 企業再編に限らず、インサイダー取引規制全体にかかわる問題になる。新株発行と自己株式の交付とで会社法上のルールやディスクロージャーの規制内容は変わらないということになると、インサイダー取引規制は整合性がとれていないので、検討すべき。
  • 規律をそろえていく方向に議論することが望ましいが、内部者取引の規律全体と相互に影響を受けることにならざるを得ないのではないか。例えば、諸外国には、内部者取引の要件として内部者情報を「用いて」やるというルールが確立されているのであれば、企業再編を含む形で全体として適切な規律となる余地もあると考えられるが、他の規律を動かさず、この部分だけ見直すのは問題が生じてくるようにも思われる。
  • 合併と事業譲渡、新株発行と自己株式の交付は、それぞれ経済実態は変わらないにもかかわらず、一方には規制がかかり、他方には規制がかからないというのは、円滑なグループ経営の支障となるため、規制の適用除外とすることが適当。
  • 新株発行と自己株式の交付の扱いについては、もともと商法改正で金庫株を解禁したときに自己株式の処分を新規発行と混同したような議論となっている面があり混乱している。この議論は、こうした点も含め全体としてさかのぼって行わないと結論が出ないのではないか。
  • 新株発行と自己株式の交付については、経済実態が同じであれば同じように規制すべき。両者ともディスクロージャーが行われている場合には、インサイダー取引規制の対象にしないというのは1つの考え方。一方、合併と事業譲渡については、そこに含まれている財産の中に取引先の上場株式が入っている場合であるため、当該取引先が有価証券報告書を出していることやタイムリーディスクロージャーの対象となっていることをどう見ていくかということが議論の1つの切り口になるのではないか。
  • インサイダー取引のおそれがあるか、投資者の市場に対する信頼を害する可能性があるかというところに立ち返って検討すべき。組織再編を利用して会社がインサイダーとしての利益を得ることを考えれば、会社法上の行為であって取引行為ではないという一刀両断な切り口ではなく、細かく検討していく必要。

3.グループ経営に関するその他の事項(審議事項3)等について

  • 子会社に係る重要事実そのものの問題も議論してよいのではないか。
  • 公開買付けの公表措置について、他社株の公開買付けを行う場合に、現状では色々な不都合があるため、より柔軟に行うことができるよう検討すべき。

以上

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