金融審議会「インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ」(第3回)議事要旨

1.日時:

平成23年10月5日(水曜日)16時31分~18時14分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

1.開会

2.プレゼンテーション(経団連)

3.質疑応答

4.事務局説明

5.討議

6.閉会

4.議事内容:

  • 組織再編に係る規制の適用関係について、プレゼンテーションが行われた。

  • 事務局からの説明後、討議が行われた。

  • 討議における主な意見は以下のとおり。

1.純粋持株会社に係る重要事実について

  • コンプライアンスの面からは分かりやすいということが非常に重要であるが、案2は難しく、分かりにくい。
    案1は、連結の情報だけで投資家が投資判断を行っていると本当に言えるかとの問題があるが、単体の情報が投資判断に著しい影響を及ぼしたと言わざるを得ないような場合は、バスケット条項をうまく使って抑止されればよいのではないか。
  • 基本的に投資家は連結の情報で投資判断するというのが実態に則していると思うので、案1でよいのではないか。上場会社の重要事実と子会社の重要事実でベースが違っていることについては、両方の軽微基準を連結ベースでそろえればよく、その方が全体として整合性が高まるのではないか。
  • 純粋持株会社の定義ができない状況では、全てを連結基準で考えた方が分かりやすい。案2は年度によって変動があり、かえって混乱がおきるのではないか。
  • 案1は、連結にすると打ち消し合い、定性的なトレンドが見えにくくなるのではないか。何でも全部連結にしていいのかという危惧がある。
    案2は、年度によって変動があると思うが、グループ経営をやっているところであれば、それなりに対応できるのではないか。
  • 基準となる数値が毎年変わるということについては、例えば会社法で、大会社に該当するかといった場合に、その判断基準である負債の総額が毎年変わるように、会社はそういうのは容易に判定できるのではないか。これが決定的に案2を否定する理由にはならないのではないか。
  • 投資家が企業グループ全体に投資しているという実態があるものを括り出すことができるのであれば、そのような企業グループの軽微基準について連結基準を採用することがもっとも適当な考え方である。したがって、案2が基本的な考えとして正しいのではないか。しかしながら、本当にそのような実態がある場合に適用可能な基準を設定して上手に括り出すことができるか若干懸念がある。そのような懸念が実際に重大なものであれば、案1も次善の策として考えられる。

2.企業の組織再編に係る規制の適用関係について

(1)組織再編による保有株式の承継について

  • 資料2-6の適用除外1の考え方として、今、規制対象となっているものの適用除外という意味では、事業譲渡にかかわるところは軽微であり得ると思うが、合併を新たに規制対象に被せるための適用除外というのであれば、相当なボリュームでないと納得感がない。
    2に重要事実を知る前に締結した契約とあるが、タイミングとして契約なのか、あるいは承継会社で決めた段階、取締役会決議等があればその段階でいいのではないか、契約と決めつける必要はないのではないか。特に承継会社側の判断だと思うので、もう少し前広に考えた方がよい。
    3の新設分割については、対象とする必要性は全くない。
  • 会社法の観点から言えば、会社分割は事業譲渡に非常に機能的にも近づいていると思う。従前は、会社分割の対象が事業に限定されていたが、会社法のもとでは、分割会社の事業に属する権利または義務の全部または一部という形で、まさに取引先の上場株式だけを会社分割の対象にして承継させるということも可能となっているので、そのような観点からすれば、会社分割も内部者取引規制の対象に加えた上で、適切な適用除外を考えるというスタンスで議論していくのが望ましいのではないか。
  • 軽微基準よりは重要基準というか、大きいものを規制の対象にするというつくり込みが非常に重要ではないか。
  • 保有している上場株式が保有している会社にとってはそれほど大きな資産ではないとしても、発行済み株式数の関係等をいろいろ考えると、全体を規制の対象として軽微なものを除くというのがよいのではないか。
  • 承継資産に占める株式の割合というと金額的なイメージと思うが、実は承継する株式の発行会社を支配するということも非常に重要な要素であり、むしろそのことが、一般の投資家に与える影響が大きいというケースが考えられる。そういう実質的なものまで考えるとすれば、非常に複雑になってきてしまう懸念がある。
  • 事務局の見直し案に賛成。

(2)組織再編の対価としての新株発行と自己株式の交付について

  • 新株発行、自己株式交付に関する見直しについては、事務局案が大体妥当するのではないかと考えている。つまり、組織再編の本質から、インサイダー取引規制とあまり関連づけるべきものではないのではないかということに賛成である。
    一方、今回の検討対象ではないが、例えば自己株式の交付とか、新株発行を全部インサイダー取引規制の対象から外すべきだと思っているわけではなく、新株発行であっても、インサイダー取引に該当するようなものがあるのではないかということは、別途考えるべき必要がある。
  • 新規発行と自己株式の処分を区別する理由はないのではないか。会社法と金商法等の関係での話ではなく、保護法益が同じ金商法の中で規制を統一できるものは統一すべきであり、できないものについては別途検討するのがよいのではないか。
    発行市場においても、インサイダー取引はあり得、例えば、会社関係者に株を発行するというときに、その人が非常にいい情報を持っていた場合、ふだんなら買えないところを、今回は買ってみようかということもないわけではなく、このようなことは、自己株式の処分の場合も同じである。
  • 新株発行と自己株式交付に関する見直しについては、本来はインサイダー取引について、すべて統一的に規制を見直すべきであり、その場合には、新株発行を規制対象とする方向での見直しが望ましい。しかし、今回は、組織再編の範囲についてのみ見直すというやり方もあり得る。将来見直しをするときには、今回こういう理屈を入れたから、それは絶対に間違っていないという前提をとらないでやる必要がある。
  • 事務局の見直し案に賛成。

以上

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