金融審議会「インサイダー取引規制に関するワーキング・グループ」(第4回)議事要旨
1.日時:
平成23年11月4日(金曜日)16時00分~17時02分
2.場所:
中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室
3.議題:
1.開会
2.事務局説明
3.討議
4.閉会
4.議事内容:
○事務局からの説明後、討議が行われた。
○討議における主な意見は以下のとおり。
1.純粋持株会社等に係る重要事実
- 案2で差し支えないが、明らかに純粋持株会社の形態をとっている会社については措置の範囲におさまるような基準にしてほしい。年度ごとに対象になるかならないかが変わるというのは混乱を招くと思うので、80%を75%ないし70%まで引き下げることも検討いただければと思う。
- 単体開示の有用性や連結による軽微基準の希釈化度合い等を勘案すると、将来的に連結による基準の一元化といったことも見据えつつも、現段階では、一定の会社について案2のような形で整理をすることも、現実的な方策ではないか。
- 証券業界のさまざまな基準も連結で進んでおり、連結での引受審査がかなり進んできているので、将来的には連結に全面的に移行することがあるべき姿だと思っている。しかし、まだまだ親子上場のような状態が残っていることを考えると、いきなりすべて連結の会社だけ、連結でみるというのは若干行き過ぎなので、案2はリーズナブルな提案であると思う。
- 基本的にはやはり軽微基準は連結ベースに移行すべきではないかと思う。しかしながら、20年以上も単体の数字を軽微基準に使ってきた経緯等を踏まえ、今回は案2で当面の問題に対処するということでよいと思う。
- 純粋持株会社であれば別だが、案1では、自ら事業を行っていて、その売上げの中でかなりの部分をその事業が占めているというような場合には、連結ベースにすると投資家保護の観点から規制すべき対象を漏らしてしまう可能性があるのではないか。
- 案2は複雑であるとか、算定しにくいという指摘があるが、通常、今までもやってきているレベルの話なので、決定的な欠点とはならないと思う。
- 軽微基準の水準として10%という数字があり、その範囲内での変動は許容されている。その数字を使うことも理屈的にはありえ、収益依存度の基準は90%とすることがよいのではないか。
- 2事業年度の収益依存度の平均値を用いることについては、制度を過剰に複雑にするので、ある年は該当し、別のある年は該当しないという会社が出ても仕方がないと思う。
2.組織再編による保有株式の承継
- 承継資産に占める対象株券の割合が20%未満というのは、もう少し高い数字がよいかと思う。
- 最終の取締役会決議以降は、インサイダー取引規制の適用がないというのは非常にわかりやすいように思うが、その前の合併に関する覚書のときに既に取締役会決議をして発表しており、よほどの事情変更がない限り事業再編は行われることになる。そのため、最終の取締役会決議というのがやや狭いのではないか。
- 実質的に対価が決定していれば問題ないということはあり得るが、最終的には変わってしまい得るため、承継対価を決定する最終の取締役会決議より前にさかのぼることはないのではないか。
- 実務的に考えた場合、事務局案の結論で問題ないと思う。
3.発行者以外の者が行う公開買付けに関する公表措置
- 実務上問題があった制度なので、事務局案のようにすれば弊害がなくなると思う。
- 基本的に事務局案に賛成だが、TDnetに掲載すると直ちに売買ができることになるので、その点を悪用されて困ることがないか気になっている。特に非上場会社が公開買付けをする場合には、正体不明の会社やファンドであることもあり得るため、そういった者が直ちにTDnetに上場会社と一緒に情報を載せたからといって、すぐに売買できるということが本当に問題ないのか一度よく整理する必要があるのではないか。
- TDnetを運営している当事者として、TDnetに掲載される連名の資料は、あくまで上場会社が公開したものであり、公開買付者が公開したものではない、という建て付けにすることをお願いしたい。
- 事務局案のように見直す必要があるとは思うが、上場会社の開示に対する協力が得られるかどうかで公表の時点が技術的に異なってくるということになり、そのことによって何か不合理なことや、あるいは市場を混乱させるような行動が容易にできるというようなことはないか頭の体操をやっていただきたい。
以上
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課市場機能強化室(内線3607、2622)