金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」(第4回)議事録

  • 1.日時:

    平成26年11月6日(木曜日)16時00分~18時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【岩原座長】

予定の時間になりましたので、決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ第4回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

それではまず、本日の参考人のご紹介を事務局からお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、私からご紹介を申し上げます。

本日、参考人といたしまして、柏木委員の両隣に三菱東京UFJ銀行より、前回もご出席いただきました蔵納淳一様及び岩崎圭様に参考人としてご出席をいただいております。

また、あちらのほうでございますが、企業財務協議会より山梨聡様、Kyribaより桑野祐一郎様に参考人としてご出席をいただいております。

私からは以上でございます。

【岩原座長】

それでは、議事に移らせていただきます。

本日は、まず牧野委員から、日本企業の海外展開と決済システムの課題についてご説明いただきます。続いて、山梨参考人からCMSと決済に関する課題について、桑野参考人からCMSの新潮流についてお話しいただき、その後に一括して自由討議を行います。本日の議事はこのような流れで進めたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

それでは、牧野委員から、時間の関係もございますので、恐縮ですが15分程度でお話をお願いします。

【牧野委員】

花王株式会社の牧野秀生と申します。どうぞよろしくお願いいたします。こちらのスタディ・グループの専門委員として、この会に出席させていただいております。

本日は、花王株式会社がこの4年間取り組んできた財務のキャッシュマネジメントを中心に、表題にありますように、「一企業から見た財務のグローバル展開を進めるにあたっての考察」というテーマでご説明させていただきます。

2ページ目を開いていただけますでしょうか。こちらの資料は、右上のほうにページ数を載せていますので、そのページを言ってから説明させていただくことといたします。

2ページ目なのですけれども、ここにアジェンダということで、全銀システム:一企業から見た課題、2番目に、花王グローバルキャッシュマネジメントの狙いと展開、実際やってきたことをここでご説明させていただいて、2番目を受けて、外銀・邦銀のGCMS各サービスの比較という形でご説明させていただこうかと思っています。

3ページ目をご覧いただきたいと思います。ここでは、全銀システムの課題と現状、将来こうなればいいなという私見をフリーコメントという形で、青の括弧書きのところに記載しております。このテーマについては、前回の第3回で中島教授、伊藤様から詳細の話がありましたので、私からは一企業のニーズとして要約した形で、左側の3点を皆様と共有したいと思います。

まず、XML電文のところなのですけれども、ここは、入金業務といったところの金融EDIと海外送金、ここの2つがキーになるのかなと思っています。海外送金の場合は、会社によって桁数が足りないだとか、そういうので幾つか事務のところでトラブルがあって、どう対応したらいいだとか、そういう課題が過去にもありました。

XMLのところの「大口支払の取扱」というところなのですけれども、これもよく聞く話なのですけれども、10桁までという制限がありますので、100億円以上の送金をやる場合に何回かに分けて送金しているというのが、花王の場合もご多分に漏れずあって、そういうことが、言ってみれば我々の企業側の、ノウハウみたいな形で覚えているというのも、何かナンセンスのような気がしますので、あえてこの場でお話しさせていただきました。

右側を補足したいと思います。先日の中島教授の話でもありましたけれども、XML電文というのは、第6次全銀システムでもう既に対応しているという話だったと思うのですけれども、我々のほうでも国内支払いについてはほぼ支障がないため、特に変更していないというのが我々の現状であります。

あと、フリーコメントのところなのですけれども、先日もお話がありましたけど、欧州のSEPAみたいな形が、例えば多通貨対応でアジア版のSEPAみたいなことができたらいいなと思います。

ちなみにそのSEPAの話で、花王がやっている取り組みを、4ページ目、開いていただけますでしょうか。現在、花王では欧州でGCMを進めていて、ユーロプーリングを邦銀の仕組みを使って運用しています。SEPAをきっかけに、ここにあるドイツ子会社が中心になって支払代行を進めています。支払代行とはどういうことかといいますと、例えばスペインの会社があるのですけれども、このスペインの会社が直接支払うのではなくて、ドイツの会社がそのスペインの会社のかわりに払いますよと、ただ、後でグループの中で決済してしまうと、そういうことを支払代行といいます。

これをやるメリットなのですけれども、右側の下のほうに書いてあるんですけれども、各社、支払い業務を、これはユーロだけに限ってなんですけれども、全くしなくてよくなったという、業務プロセスの統合というんですかね。それと、あとは送金手数料、フランスからスペインに送るのがとても安くなっただとか、そういうのが実現されているというのが、花王グループ、欧州のところではこういうのが当たり前のようになっているというのがあると思います。

また3ページ目に戻っていただけますでしょうか。2番目のテーマである全銀通信の安全性といったところなのですが、ここの話は、海外送金限定の話という形で聞いていただきたいんですけれども、花王では、全銀フォーマットを使用して海外への送金を行っております。つまり、花王は全データを電信送信後、ファクスで送金金額をある銀行に連絡しています。その確認のために、使用している銀行からわざわざ、件数幾らで幾らの金額を受け取りましたという電話確認が入ってくるのですね。こういうオペレーションがとても煩わしいので、省きたいと依頼をかけたところ、回答として、さきにあるようなここの安全性といったところなのですけれども、特に海外送金においては、全銀ベーシック手順通信方法は安全性がファクス並み程度しかないということで、電話確認がその外銀の手順となっているとのことです。

それを回避するにはどうすれば良いかと聞いたところ、回答としては、全銀システムが暗号化されていない公衆回線なので問題がありますということでした。特に海外の場合ですね。それで、暗号化するか、もしくはインターネット、SFTPといった専用回線をつなぐことによって送信してもらえばオーケー、そういう電話連絡はしなくていいよという話を受けて、もうちょっと突っ込んで聞いてみると、現時点ではまだハッカー等の被害に遭っていないという報告だそうなのですけれども、近い将来かなりの確率で起こり得ると考えているため、その某外銀というのはそういう形で対応しているということでした。

3番目に行きます。日経新聞の二、三週間前の記事でりそな銀行が掲載されていましたけれども、我々としては、現時点ではどのようなメリットを享受できるかという具体的なイメージは持っていませんが、24時間365日になれば、当日送金は無理だと思っていたものが送金できるようになるなど、企業にとっても非常に便利になるとは思います。もしかしたら、全ての銀行が同様にならなくてもいいのかもしれないとも思っています。ゼロか100かだけではない方法もあるのではないかと思います。この件もどうぞよろしくお願いいたします。

5ページ目、お願いします。今から、花王のGCMについてお話しさせていただきます。GCMはグローバルキャッシュマネジメントの略でございます。GCMの導入は、企業みずからがシステムを構築する場合であったり、システムベンダーを使って構築する場合とか、花王のように銀行の仕組みを使う場合があると思います。今回ご紹介させていただくものは、銀行の仕組みを使った1つのGCMだということで、ご理解いただければと思います。

6ページ目、お願いします。6ページ目で、実は、先ほど冒頭に言いましたけれども、4年間進めてきた花王のGCMを1枚にあらわすとこういうような形になるということで、私は2010年7月に花王の財務に着任して、ここのグローバル基盤整備というところなのですけれども、グローバル銀行を選定したり、あと2011年7月にネッティング、プーリングを開始して、それに伴って社内のルールの整備を行ってきました。あと、2013年にはグループ資金の見える化という形で、現時点では、花王グループでは日々95%の資金が把握できるような状態になっております。また今年になってからは、SSCという切り口で、地域別の支払いとか事務代行、及びサプライヤーファイナンス、これも後ほどお話しさせていただきたいと思います。

このSSCというのは、シェアードサービスセンターの略で、各社業務の標準化を行って、地域もしくはグローバルでその業務を取り込むということでございます。今回の場合は、支払いの業務を地域またはグローバルで取り込むということでございます。

7ページをご覧いただけますでしょうか。まず、グローバル基盤整備について、もうちょっと詳しくご説明させていただきます。

8ページ、お願いします。先ほど申しましたけれども、ネッティング、ドル、ユーロのプーリングについては、2011年7月に、第1弾として同時期にグローバル展開しました。この時期にあわせて、グループの決済条件、例えばグループで60日にしようだとか、そういうルールを決めました。そこから出てきたのは、長い支払いサイトの海外子会社から苦情が噴出してきました。実はグローバル通貨であるドル、ユーロのプーリングを同時にスタートさせていたことにより、その会社に対しては、その分の運転資金についてプーリングの枠を与えるからということで、渋々合意を得て進めたということで、決済の統一とプーリングというセットでできることによって、何とかグローバルキャッシュマネジメントが動いたという例の1つでございます。

資金の効率化では、グループ全体で送金手数料とか為替手数料の削減で、一番上のところなのですけれども、年間1.5億円の削減を図ることができました。プーリングのヘッダーに資金が集中して、各社に資金を置かなくてもよくなりましたので、各社の運転資金は回るということを実感してもらい、子会社からの配当も、資金還流という形で日本のほうに戻ってくるということを大幅に増加させることができております。

あと、内部統制という面では、プーリングヘッダーの資金運用が、ヘッダーがいて参加会社がいるということですから、その参加会社のお金が全て集まってくるということになりますから、そのヘッダーのお金じゃないのですね。そういうことを説明して、プーリングヘッダーの資金運用というのを本社財務部の事前承認を得ないと実行ができないなど、追加のルールを設けて統制強化を図ったこともありました。

次、9ページ目、お願いします。実際、グローバルでキャッシュマネジメントを進めてきたのですけれども、アジア諸国には国の規制とかGCMができないとか、いろいろやりづらいところが今現時点でもあります。我々の知る情報で、自国通貨の外国送金、国をまたがるネッティング、プーリング、支払代行について、国ごとに我々が知っている範囲内でまとめてみました。

また、下のほうにちょっと書いてあるのですけれども、グループ内利息には源泉税が当たり前のようにかかっています。4ページ目に記載したユーロ圏のところなのですけれども、見ていただいたらわかるように、ユーロ圏の中では源泉税はかかってきません。実は、ここの4ページ目のところにちょっと戻っていただいて見ていただいて、真ん中のところに日本花王というのがあると思うのですが、ここは参加会社として入っているのですね。もちろんこのドイツ子会社というのは日本の子会社であるにもかかわらず、こういうプーリングといったときは、花王が参加会社として参加しているという、言ってみればちょっと不思議な感じなのですけれども、これも、やはり源泉税とかそういう規制があったので、これをやるのが一番スムーズだということで進めていきました。

9ページ目に戻っていただいて、これらのアジア諸国の規制については、規制の緩和が実現するまで辛抱強く待つしかないと思っていますけれども、GCMに当たっては必ずぶつかる壁だと思います。例えば事務局側で国家間の課題として捉えていただき、それをなお緩和することができれば、とてもありがたいことでございます。よって、今回もあえて紙面に記載させていただきました。

10ページ目をご覧ください。これは、花王が現在取り組んでいる課題で、全て解決しているものではございません。CMSを業務の標準化、スリム化で活用するだけでなく、CMSを運転資金の改善ツールとして活用している欧米の事例も触れさせていただきたいと思っています。

11ページ目、お願いします。左の冒頭にCCCという見なれない言葉がありますけれども、このCCCというのはキャッシュコンバージョンサイクルといって、日本語で言うと現金循環化日数のことで、企業の仕入れから販売に伴う現金回収までの日数を示して、この日数が小さいほど企業の現金回収サイクルが早いことを意味します。

CCCの推移というのは、この折れ線グラフを見てほしいのですけれども、これで見ると、実は花王も含めて国内というのは若干上がっていますと。それに比べて海外――D社からG社のところなのですが、ちょっとFは違いますけれども、それぞれががくがくっと下がっているのが見えると思うのですね。これが、一番見てほしいのは、もちろん在庫を減らすだとかそういったこともあるのですけれども、買掛金、この下のところ、オレンジの部分なのですけれども、未払金、そういったところが大幅に増加しているといったことに注目してほしいと思います。

真ん中のところにCash on the tableという言葉がございますが最近、某コンサルタント会社がこういう言葉を使っているのですけれども、どういう意味かというと、運転資金マネジメントで使う言葉で、同じテーブルにお金がある時、限られたお金の奪い合いが行われており、これらの運転資金マネジメントを起こした企業にのみお金が集中するということです。逆に言うと、何もしない企業からはお金が流れていってしまうということで、言ってみれば、花王だとかほかのところというのは、このままで行くと、CCCというのが悪いのでお金が流れていってしまうということだと思います。

12ページ目をご覧ください。これは、右の上のほうに書いてありますけれども、2013年4月にウォールストリートジャーナルで掲載されたプロクター・アンド・ギャンブル社の記事です。端的に言ってしまえば、先ほど前のページで説明させていただいたように、買掛金、未払金を延長しますよという記事なのですね。もちろん、単純に外部にサイトを延長するだけでなくて、それが一番下のところの表なのですけれども、プロクター・アンド・ギャンブル社としては、P&G社としては、買掛金、未払金の延長を、この45日から75日にするという30日の延長を行いますということです。

サプライヤー側に何のメリットがあるのということなのですけれども、ここに銀行、Bankと書いているところがあると思うのですけれども、この銀行が、ここで言うとP&G社の格付を利用して、サプライヤーが独自で借りるより安い金利で資金を活用することができるということです。また、このサプライヤーは売掛金をバランスすることができる等の、いわゆるウィン・ウィンの関係でやっていこうというのが、今、欧米等々で進んでいるサプライヤーファイナンスというスキームだそうです。

欧州中心に広まって、数年前からまた米州がやっているというふうに聞いているもので、11ページ目の絵で見ていただいたらわかるように、D社、E社というのは、まさにこのサプライヤーファイナンススキームというので買掛金、未払金のサイト日数を増やしているということが言えると思います。

13ページ目、ご覧ください。これは、SSC化への挑戦と書いている表なのですけれども、11ページ、12ページで競合他社がやっていること等を認識して、実はもっとやるべきこともあったのですけれども、優先順位をちょっと変えて、我々もやっぱりこっちに向かわないといけないということで、今、取り組んでいる課題です。

左上のほうにちょっと小さく書いてありますけれども、花王はSAPというERPパッケージを使用していまして、売上金額ベースで約9割使っております。このSAPという情報基盤を利用して、CMSに強い銀行の仕組みを利用して、共通のインターフェースをつないで早期展開を図るというのが、我々が今、進めていることでございます。

導入前と書いてある左側のほうなのですけれども、花王各社は各国の銀行と決済を行っていたと。SAPを導入してもう既に10年たつのですけれども、今までどおりSAPを使う前の銀行と決済していたというのが現状であるのですが、先ほど御説明したように、銀行のインフラを利用して、関係会社には右側に載っているようなネッティング、これは既に実施済みのもので、第三者に対してはホスト間連携という形でございます。ホスト間連携というのは後で補足します。さらにはサプライヤーファイナンスと。サプライヤーファイナスというのは、先ほどP&G社のところで説明したものでございます。

このホスト間連携というやつなのですが、これは各社が支払い指示をして自分の口座から引き落とすという処理をするのではなくて、上のほうにSSCと書いてありますけれども、ここで行くと、日本と書いてありますが、日本がこの支払い指示を実施することによって、各社の、今ここで、左側でいきますとマレーシアとかシンガポールが完了と書いてありますけど、ここの会社のお金を事務代行して実行するということをやっております。

今、事務代行という言葉を使いましたけれども、実際は、4ページ目にありましたようなオンビハーフでドイツが払うだとか、そういう支払代行というのを進めていきたいとは思っているのですけれども、アジアの現状を見ていただいたらわかるように、すぐさまそういう形にはいけないということで、今は事務代行ということで、支払い指示をSSCのほうで実行しているというのを現状としてやっています。14年度中にアジア各国の完成を目指して、今、取り組んでおります。

右側の一番下のところはサプライヤーファイナンスで、P&G社だとか、ほかのいろんな会社が進んでいるこういったことを、我々も進めていくということです。1つの利点というのは、ここでちょっと外銀の話をしますけれども、外銀が持っている仕組みを我々の競合他社も利用しております。それを我々も利用すれば、言ってみれば短期間ですぐ導入できてしまうといったような効果もあると思います。

14ページ、お願いします。今まで4年間取り組んできたことを、一般的な財務資金管理体制という、これは「Think!」という雑誌をちょっと抜粋して、青字と赤字ということで、花王のをちょっと書いてみたのですけれども、上の表題に書いてありますように、こういう活動をしてきたことによって、ツールという面では資金管理体制は整ったのかなと思ってはいるのですけれども、まだまだやるべきことはあって、左上のほうに載っていますけれども、今までは各社管理とか、あとグループ全体で見たときに運用を日々当座に置いておかないといけないとか、そういうような形じゃなくて、グループ全体で考えて、中期運用資金で置けるだとか短期で置けるだとか、そういう形でちょっとでもお金を有効に活用していって、将来的には来るべきときに資金を備えるといったことを、どんどんやっていきたいと思っています。

ここまでが花王の活動という形で説明させていただきました。

15ページ目、お願いします。ここでは、今まで2番でやってきたことを踏まえて、外銀・邦銀のGCMS各サービスの比較を行っていきたいと思います。それぞれ読んでいってもいいのですけれども、今回、外資系の銀行の左側のところは、総じて言えばシステムがすぐれていて、邦銀のほうは人的サポートがすぐれていると。両方とも記載は、できるだけ肯定形で書くような形で記載しております。

2つ目に載っている外銀のユーロマネーというのは「GCMSでトップランクの銀行と付き合うことにより、早期にベストプラクティスを導入可能」というふうに、私、書いたのですが、これが先ほど話しさせていただいた、例えばサプライヤーファイナンスであってもそうですし、そういうのがすぐできるという利点ですね。実際、ユーロマネーというのはどういうものかということで、参考までに添付してみたのですけれども、17ページを見ていただいたらわかるように、実はここら辺の外銀が、特に1から5番目の銀行というのは、ほぼ変わらずにこういったところにあるということです。邦銀ではどこがあるかということを見てみると、15位のところでBTMUが入っていらっしゃいます。

18ページ目、お願いします。16ページ目のところは、どちらかというと大きな話を共通という形でお話しさせていただいたのですが、18ページ目のところは、プーリングとかネッティングとか、ツールのところで記載させていただきました。

プーリングといったところでコメントさせていただきますと、1つに、時差がある国、特に長い時差、8時間の時差があっても対応できる仕組みかどうかというのが、1つポイントになるのかなと思います。今、右側のプーリングの2番目のところに書いたのですけれども、邦銀も最近はFollow the Sun――Follow the Sunというのは何かというと、太陽の流れと同じということなので、日本から欧州だとか、そういったものの対応というのは可能になってきているという意味です。ただ、今、Follow the SunじゃなくてAgainst the Sunといって、そういう言葉もあるそうなのですけど、これは米州とかから日本と、そういう時差が反対のところですね、そういったところでも同じ日付で処理できるといったことが、具体的に言うと、システムが完全に構築されているかどうかを見るポイントなのかなと思っています。

あともう一つ、左側のプーリング対応完備といったところの4番目に書いてあるのですけれども、3階層以上対応可能というのも1つのポイントで、今、右側のほうは、私が間違いじゃなければ2階層ぐらいまでしかできないのではないかなと思っています。そういった2つのポイントで、完全システム対応できているか、もしくは人的なところで動かしているかといったところがわかれるのかなと思っています。

19ページ目、ご覧ください。16ページ目と18ページ目を表にして、私が、二重丸、丸、三角という形で私見でまとめました。16ページ目の冒頭に言いましたように、システムの完成度、一番左上なのですけれども、やはり外資系の銀行が二重丸で、人的サポートといったところが邦銀が強いとなっております。邦銀のところでいくと、下から2番目の、ちょっとおこがましい表現なのですけれども、例えば中小企業が外国進出していったときは、外銀は実は相手にしなくて、邦銀が対応してくれるだとか、そういったところは実際あるそうです。

真ん中のほうにプラットフォームというのを書いてみたのですけれども、外資系銀行は1、邦銀は2以上と書いてあるのですけれども、それは次ページでちょっとイメージを持ってもらおうかなと思って、記載してみました。

外資系の銀行の場合は、自分の本国の自国内の仕組みも含めてワンプラットフォームでやっていると聞いておりまして、逆に邦銀のところは、いわゆる日本円を中心にした仕組みと、海外進出しないといけないということで海外専用の仕組み、こういう2つをつくってやっていると私は理解しているのですが、これは素人発想でしかないのですけれども、こういう2つを持つことによって、システムの投資額だとか、システムの志向というようなところにも影響してくるのではないのかなと思いました。

今までずっと言ってきたことを、最後にまとめという形で21ページ目にまとめてみました。全銀システムはXML電文を使っていきたい。特に海外でやるとき、及び売掛金の入金といったところでやっていきたいなということと、あと、全銀通信の安全性はほんとうに担保されるのかどうかということです。特にクロスボーダー、海外とのやりとりですね。あと24時間対応の件です。

2番目の狙いと展開といったところでは、花王は銀行の仕組みを活用していますということです。何故かというと、SAPという仕組みがあって、そことインターフェースをつくることによって、安価で欧米企業にすぐ追いつくことができるということで使っております。ただ、これは銀行の仕組みですから、ある銀行でしか使えないのですね。だから、それをある銀行じゃなくて、マルチバンクで対応できるような仕組みというのがあれば、そういう形でできたらいいなと思って、ここに書いています。欧米競合は、近年、運転資金改善ツール、これは先ほど述べたとおりです。あと、源泉税とか送金規制、これも国の働きかけがあれば、改善できたらなということです。

3番目、システムに差がありますよという話です。追いつけ追い越せで行くのか、独自性で行くか。ただ、日本企業の外国進出はサポートしてほしいなと思います。世界共通の標準フォーマットの採用ということも論点だと思います。

CMSの件で、実はCMSの導入を検討しているような事業法人とのフェース・ツー・フェースの面談形式で、例えばもう10数社、1年、2年ぐらいの間でやっている、及びグローバル財務戦略研究会とか、スイフト社のセミナーとかでも講演を実はさせていただいていて、実は昨年度は金融庁が事務局の官民ラウンドテーブル「資金決済サービスの向上」作業部会でも説明させていただいて、言いたいことは、いつでも断ることなく、花王グループの財務グローバル展開について、内容が稚拙であるかどうかもわからずに説明してきましたということです。財務CMSにおいて事業法人では、日本企業が欧米に比べて大幅におくれております。花王も実際おくれていたのですけれども、取り組み次第では安価で素早く対応ができると思います。邦銀と外銀がシステム面で大きく違います。システム面では大幅におくれております。日本の金融決済制度が先進国に比べておくれているという認識で、いかに対応して追いつけ追い越せというようなことの危機感を共有できればという形で、一生懸命やってきたのですけれども、今回の説明もこれらの一助になれば幸甚だと思います。

ご清聴ありがとうございました。

【岩原座長】

はい、どうもありがとうございました。後ほどまとめてご質問、ご審議いただく時間を予定しておりますが、ただいまのご説明の内容につき、今ご質問されたいということがございましたら、どうかお願いします。よろしいですか。

それでは、続きまして山梨参考人、恐縮ですが15分程度でお願いたします。

【山梨参考人】

ご紹介にあずかりました企業財務協議会の山梨でございます。本日はこのような席にお呼びいただきまして、ありがとうございます。私のプレゼンテーションとして、題名が「日本企業のグローバル・キャッシュ・マネジメントと金融法制の課題」ということで、お手元に資料があるかご確認ください。この資料に沿ってお話ししていきます。15分ほどだということですので、ちょっと手短にいきたいと思います。

我々、企業財務協議会というのはどういう協議会かというのを一番初めにご説明させていただきます。1枚おめくりいただいて、2ページ目と3ページ目をご覧ください。

2ページ目のほうに沿革が書かれておりますが、企業財務協議会というのは、1992年に設立されました民間企業の自主的な団体でございます。目的は、後段のほうに書いておりますが、企業の資金調達の円滑化の観点から重要と考えられる問題点について、重点的かつ機動的に議論を行うとともに、関係各方面に積極的な働きかけを行うことを目的としているということで、どういう企業が参加しているのかというのが3ページに書かれております。

会員企業が、今現在、随分減りまして、2014年の9月時点で39社の構成になっております。銀行、証券などの伝統的な金融機関を除く、それ以外の多業種にわたっているということで、幹事会社は今8社でございまして、オリックス、新日鉄住金、住友化学、東京ガス、日立製作所、三菱重工業、三菱商事、三井物産という形になっております。

1枚めくっていただいて、4ページ目でございますが、企業財務協議会でどういうことを考えているかということが、これは釈迦に説法になりますが、資金調達環境ということでお示しさせていただきました。我々、ここでキーワードとしまして、グローバル基準への収斂というのが起こっているのではないかということを記載させていただいております。先ほど花王のお話からも出てきましたけれども、外国の企業でM&Aをすることも多数ありますし、そうした場合に、SSCの話も出ておりましたが、同じような基準、同じような枠組みの中で討議していなかないと、なかなか事が進まないという状況かなと思っております。

それは、資金調達の環境についても同じような状況かと思っております。金融機関の借り入れ、社債発行、株式発行というのが資金調達手段ではございますが、それらに関連して、例えば金融機関の借り入れで言いますと、今、大口信用供与規制というのが入ってきております。これはバーゼル委員会による国際的な規制強化ではございますが、我々事業会社にとっては、エクスポージャーの管理というのが非常に難しくなってきております。連結子会社の分も含めてエクスポージャーを管理しなければいけない、あるいは社債、デリバティブの取引に関しても合算しなければいけないということで、2019年に向けて、各金融機関の取引をどのようにしましょうかということに頭を悩まさなければいけない状況です。

一方で、社債の発行に関して考えると、格付機関の対応がございます。格付機関の対応ということになると、今、どちらかというと日本企業固有の格付の見方というのが減ってきまして、米国流の評価基準というのが一般的になってきました。先ほどの大口信用供与規制とは若干違う目線で、エクスポージャーを分散しなければいけないのだけれども、今度は、あなたのところの親密の金融機関はどこですかと、それが評価基準になったりしているということで、やや発行の仕方によって、いろいろ目配せしなければいけないところが変わってきています。それも、グローバルで同じ基準になってきています。

これ、株式発行につきましても、昨今、日本でもガバナンスの強化ということでStewardship Codeが叫ばれておりますが、こちらのほうも、世界的に見て同じような基準に収斂していきましょうかというような動きかなと考えております。翻って、我々が今やっているグローバルCMSについても、同じような状況ではないかなというのが、これから説明していくことでございます。

5ページ目をご覧ください。先ほど、花王はかなり先進的な取り組みをされておりまして、我々の協議会のメンバーが今現状どんな状態かというのはここに記載しております。金融子会社を設立しております。それで、親子間の金銭貸借を実施しております。目的は、グループ企業間の資金効率化が目的ということで、キャッシュ・プール、グループ会社の日々のキャッシュのでこぼこを、一口座に集約して管理していきます。ここまでは何とか皆やられております。

ここから先はということで、将来的にはキャッシュ・プール以外に、グループ企業各社の為替の予約だとか手形の割引などの外為ドキュメント手続だとか、送金手配や入金処理などの決済、これら資金周りの全体の業務を代行して行うような方向性に今あるのかなと思います。逆に欧米の企業、シーメンスですとかそういうようなところを見ていきますと、もうこのあたりのところは十分整えられております。事業譲渡をしようといいますと、では、何月何日に我々の部隊というのは全部事業譲渡しますから、決済周りは全部あなたのところに任せますから、あなたのSSCでやってください、そんなようなことを言われる状況です。逆に日本の企業はそれであたふたしてしまうという状況で、我々はどんどんここの部分を強化していかなければいけないなと考えております。

その中で課題として挙げているのが2点ございます。1点目は、日本の金融法制です。これは後ほど説明しますが、4月に規制緩和で貸金業が改正されましたが、まだまだ使い勝手が悪いものだなというような形になっています。それで、先ほどのお話にも出ていましたけど、租税条約のほうの改正も引き続きやっていっていただきたいと考えております。

もう1点が、システム構築、拡大ということで、キャッシュ・プーリングシステム、花王も一金融機関のシステムをお使いだということですが、事業会社にとってみてここを踏みとどまっているのは、ある程度自由度を確保したいなというところがありまして、ITベンダーに頼んでも、なかなか金融機関とのシステムのつなぎ込みがうまくいかないだとか、そういうところで悩んでいる方の話を聞きます。

それで、理想論を言えば、ここの部分で言うと、例えば信託銀行が貸付業務を外出ししたような展開で、システムベンダーと各金融機関が一緒になって、ここのキャッシュ・プーリングのシステムだとかそういう部分というのは外出しして、どこの銀行に口座を持っていてもプーリングがある程度自由にできるというような仕組みづくりを考えていただければなというのが、我々の希望でございます。

この次のページからは、金融法制に限って、どちらかというと要望ということをお伝えしていきたいと思います。6ページ目をご覧ください。

事業会社のほうは貸金業に絞ってお話ししますが、金融子会社を設立しております。その中で各社各様でして、課題としてこの2点ぐらいを挙げております。1つ目は、体制整備義務や行為規制への対応コストです。この中で、例として人的要件を挙げておりますが、貸金業の実務経験3年以上の常勤の役員、プラス貸金業務取扱主任者の設置ということで、一般の事業会社にとって、金融子会社で上記の要件を満たす人材をコンスタントに確保するというのは、非常に難しい状況でございます。実際、本体でこの貸金業のライセンスを取っておりましたが、もう辞退されて返上された企業もいますし、このことでなかなかご苦労されていて、この業務につくから、これから主任者のテストを受けてくれよというようなことで、対応に苦慮されているというのが現状でございます。

一方で、グループ企業全体での資金効率化の阻害要因ということで、先進各国において、事業会社間の金銭消費貸借を規制する法律はまれというのが我々の認識でございます。例えばイギリスでいきますと、モーゲージですとか消費者金融、決済代行業務というのはかなり規制があると認識しておりますが、企業間、特にグループ間の資金の貸借については、ある程度自由に行えると認識しております。米国におきましても、州法で規定されていると思いますが、カリフォルニア州でレンダーズライセンスというのが必要になるというような、州によってはございますが、それ以外のところでは、ある程度、グループ間の企業の資金の貸借においては自由にやらせていただけるのではないかなと考えております。こういう意味においては、グローバルな基準という意味では、やや日本においては使い勝手が悪いのかなと感じております。

そんな中で、この4月に規制緩和ということで、貸金業のほうも改正していただきました。これが7ページ目のほうに、復習ということで再度記載させていただいているということで、大きな点は2点、左側にございますが、グループ会社間の貸し付けと、合弁会社への貸し付けでございます。

グループ会社間の貸し付けでございますが、以前は、親子間の資金の貸借というのはできておりました。一方で、子と子の間というのは、どういうように動かしていいかということで、一つ一つお伺いしてという状況だったのが、今回の規制緩和で、議決権が40%以上のグループというのは一体とみなしていただけるということで、その中での資金のやりくりは適用除外というお話をいただきました。

実際にこの改正を受けて、我々幹事会社は8社ございますが、その中で実は2社、ライセンスのほうを返上させていただいております。ただ、残りの6社に関しては、さまざまな理由でまだ返上していないという状況でございます。例えばその1つが、40%未満の会社への貸し付けというのは残っております。我々会員の企業は、当然、大企業で上場している企業ということで、ある程度ガバナンスについては、中小の企業とは違う枠組みで捉えていただいてもいいのではないかなと考えております。

それ以外にも、行為規制のところで、実は適用除外になったのだけれども、貸金業のライセンスを維持しているために、親子間の取引も引き続き、例えば契約時の書面の交付ですとか事前の説明とかを、同じように強いられるという状況で、少なくともそこの部分に関しては、さらなる規制緩和をしていただきたいという要望を引き続き考えております。

2点目の、合弁会社への貸し付けでございますが、こちらは、いわゆるジョイントベンチャーの形でございまして、株主2社、3社が一緒になって1つの会社をつくっているということで、今回の改正で20%以上の議決権を持っている株主においては、全ての株主の同意を得られれば融資が行えるというように、適用除外というようにしていただきました。

ただ、ジョイントベンチャーの精神からいきますと、株主間で出資比率に応じて応分の負担をするというジョイント精神でいきますと、全ての株主の同意が得られるのであれば、20%未満の株主からの融資も認めていただけるだとか、あるいはグループ内に持っている金融子会社からの融資というのも、規制緩和として適用除外にしていただきたいというのを引き続き考えている次第でございます。

そのあたりのところをまとめたのが、その次の紙でございます。8ページ目と9ページ目をご覧ください。これは一例でございますが、昨今、M&Aが非常に多うございます。M&Aが増えてきている状況で、9ページ目を見ていただきたいのですが、買収元の親会社が今まで子会社に融資をしておりました。買収にするに当たって、先方の買収先の親会社から、まだまだ融資は継続してくださいという依頼を受けます。そうでなければこの買収は破談ですと言われているケースがあったと仮定しますと、そういう場合、現行の貸金業法ですと、売却元の親会社からの融資というのは、買収前に取り決めているものであれば、そのまま継続することはできます。ただ、その後にデューが来て継続したいといっても、それは貸金業のライセンスが必要ですよという状況になっております。

買収に当たってはいろいろな交渉の仕方がございますので、これだけが選択肢ではないというご意見もあるのはわかりますが、ただ、買収にはいろいろな手を持っておきたいということであれば、海外の規制と比較して、この部分に関してはなお一層の規制緩和をお願いしたいと考えている次第です。

続いて10ページ目、11ページ目をご覧ください。こちらのほうは合弁会社、いわゆるジョイントベンチャーに関してでございます。11ページ目で、現行の規制というのは、A社、B社、C社、これはちなみに40%、40%、20%と仮に置いておりますが、ここから融資をしております。これに関しては、A社、B社、C社の全ての株主の合意に基づけば、融資をすることができます。それも、貸金業のライセンスの適用除外であるというようになっております。

ただ、最近は我々、資金を、金融子会社を擁して、そこから出すケースが非常に多い状態でして、下の要望事項というところ、A社の金融子会社、B社の金融子会社、C社の金融子会社、ここからジョイントベンチャーの会社に融資をするといった場合は、各子会社で貸金業のライセンスが必要となります。

これはグループ一体と見ていただければ、例えばA社が子会社の保証をしているというような事態、いろいろなケースがありますが、何とかこういうような資金を効率的に回すためには、この部分の規制緩和もぜひ考えていただきたいというのが2点目の要望でございます。

続いて最後、12ページ、13ページ目でございますが、こちらは他の省庁との連携ということですが、花王のお話にも出ておりましたが、租税条約に関しては、いろいろな各国と引き続き交渉をしていただきたいという要望でございます。現行の制度、源泉税を我々もお支払いしております。ただ、これ、何が大変なんだとよく聞かれるのですが、やはり人的な制約が多いというのが現状の認識でして、海外での金融子会社、国内での金融子会社、事業会社として源泉税のやりとりを頻繁に行わなければいけません。これは非常に骨の折れる仕事でございます。

今、米国ですとか英国との租税条約というのは、改正に向けて準備をしていただいているということでありますが、それ以外の国においても引き続き租税条約で、少なくとも上場会社、どちらかの国に上場している会社の親子間、もしくはグループ間の資金のやりとりに関しては、源泉税の免除ということをお願いしたいと考えております。

あるいは、例えばシンガポールでは、ファイナンストレジャリーセンターというライセンスがありまして、優遇税制があります。日本も同じような優遇税制、同じような枠組みをつくっていただければ、本邦の企業は、基本的には日本に配当のためにお金を持ってこなければいけませんので、もう少し日本経由でお金を回せる仕組みができるのではないかなと考えている次第でおります。ご検討のほどよろしくお願いいたします。

以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。ただいまの山梨参考人のお話につきましても、後ほどまとめてご質問、ご審議いただく予定でございますが、今、何かご質問されたいということがございましたら、いかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、続きまして桑野参考人に、同じく15分程度でお願いいたします。

【桑野参考人】

Kyribaジャパンの桑野です。本日は貴重な会にお招きいただきまして、ありがとうございます。

私はベンダーの立場で、なるべくお伺いさせていただいたお客さんであるとか、財務の部門の方、CFOの方等のお話をお伺いした客観的な事実に基づいて、今日はちょっとお話をさせていただきたいと考えております。

まず、Kyribaの簡単なご紹介をさせていただきたいのですが、前面のほうにスクリーンでお出しさせていただいていますので、前面のほうを見ながらお話しさせていただければと思います。

Kyribaが、まず、アメリカの会社で、米国で2000年に設立されています。今現在、財務型、いわゆるクラウド型の財務に特化したソリューションとしては、グローバル全体で900社のお客さんに使っていただいています。96カ国、3万5,000ユーザーがKyribaのクラウドを使っております。少しおくれて、日本法人のほうは2012年に設立をしていまして、実際に営業を開始したのは2013年からになります。

こちらが、Kyribaのグローバルでの主要なお客さんの一部になるのですが、特徴としては、いわゆる業種であるとか業態は問わないというところです。お手元の資料にはないのですが、少し日本のお客さんで公表可能なお客さんをちょっと抜かせていただきました。ほんとうはもっとたくさん入れていたのですが、こんなにたくさんの方がいらっしゃると思わなかったので、プレスリリースをしたお客さんであるとか、ロゴ使用の許可をいただいたお客さんのみ記載させていただいています。

少しここで、CMSとTMSですね、我々はトレジャリーマネジメントシステムという言い方をしているのですが、大体皆さん、キャッシュマネジメントシステムという言い方をされています。この違いについて、簡単に考えていきたいなと思います。

そもそも欧米企業のトレジャラーというのは非常に、何ていうのでしょう、花形の職業として活躍をされているわけなのですけれども、トレジャラーの役割に関して一言で言うと、リスク管理をする人間なんじゃないかなと思っています。どういうことかというと、いわゆるグローバルレベルで最適なリクィディティを保持、維持していくということです。よく日本のお客さんとお話をさせていただくと、国内はできているのだけどねと、グローバルレベルではなかなかできていないよという声を聞きます。

あるいは、最適な資本構成を維持していくということです。ほかにも、最適な財務ガバナンスを維持していくというので、リクィディティを維持しつつ、リスクに対して早期のアクションを打ち出していくというのが、トレジャラーの役割ではないかなと思います。そのトレジャラーが、トレジャリーマネジメントの仕組みから、いろんな情報というのをとってきているといったところになります。

一方、日本の会社の例えば財務の方をご訪問させていただいて、お話をお伺いすると、とにかく財務部門の方は数字の集計に忙殺されているようです。本来であれば、どこにお金を使っていこうであるとか、そういった財務の戦略を立案していく戦略部門へ転換していく必要があると考えるのですが、とにかくレポートの集計、エクセルのスプレッドシートのまとめといったものに忙殺されているのが現状ではないでしょうか。

我々は、このトレジャリーマネジメントの仕組みを使って、財務業務そのものを自動化、効率化して、あいた時間を戦略立案に使っていただきたいと考えています。実際のところ、財務業務の自動化、効率化をしない限り、なかなかその企業で財務の部門の人の増やすというようなお話は、お伺いしても出てきませんので、効率化できる部分は効率化しようということです。

ただ、大体月に1回、事業会社、あるいは金融の子会社から情報を集約して、最終的にはヘッドクオーターの皆さんがスプレッドシートの取りまとめに終始しているというのが、現状ではないかなと考えています。ですので、正しい戦略立案には正しい状況把握、阻害要因としては、なかなか仕組みがないであったり、膨大な投資が必要であるといったところが原因にあるのではないかと考えています。

さらに少し具体的にお話をさせていただくと、じゃあ、どんなことを財務部門の方がやっているのかというのがこちらの資料になります。例えば、銀行の残高、いわゆるキャッシュのポジション、キャッシュのフォーキャスト、資金繰りの予測、グループ内の貸借であったり、銀行からの借り入れ、貸し付け、あるいは為替の情報というものを、ヘッドクオーターで一元的に管理をしております。

国内は、銀行の残高に関して言うと、いわゆるCMSで把握はできます。ただ、グローバル全体になると、どうしてもスプレッドシートの集計業務が発生しているというのが、日本の会社の大多数ではないかなと思います。その場合に、エクセルスプレッドシートを使うことによって、作業の手間であったり、ミスやエラー、属人的、共有できない、レポート作成の工数がかかっていると、大体こういったところが一般的な状況であると考えています。

もう一つ、タイミングの観点で、例えば下段に事業会社があって、北米の例えば金融子会社、本社というレポートラインが入った場合に、先ほどの残高、借り入れ、為替の情報というものを、大体1カ月に1回報告を受けているというのが、やっていらっしゃる会社です。中には、決算に関連するので、3カ月に1回はこれを集計して集めているよと、現預金の情報なんかを知りたいといったところになります。なので、大体月1回の報告レベルというのが現状にあると思います。

Kyribaはこれをクラウドで提供していますので、国内外の全ての財務の情報というのをここにまとめていって、自動化できる、あるいは効率化できる業務に関しては自動化をしていくと。この仕組みを使うことによって、一番財務の方にやっていただきたい作業としては、いろんな観点でレポートが見えるようになりますので、リクィディティを把握して戦略を立案していくと。プラス、リスク管理に役立てていただくような仕組みというのを提供しています。今日は、後半、うちの石動が、実際にクラウドの環境に接続をして、どんなイメージなのかなというのを皆さんに見ていただこうかなと考えています。

ここでまた、これはちょっと愚痴になるかもしれないのですが、経理と財務の仕組みに関してなんですけれども、事業会社の多くは、例えば会計の仕組み、ERPの仕組みというものには、ある程度、数億円であったり10数億円のお金を投資して、実際に先ほど花王さんがSAPを使っているというお話なんかもありましたけれども、投資をされていらっしゃるのではないかなと思います。ここは明確に法規制があって、会社法で四半期に1回は決算報告をしなさいという強制力がございます。しかし、財務の仕組みに関しては、依然、日本では非常に原始的なエクセルでの取りまとめを行っており、法規制なんかはもちろんございません。必ず、このトレジャリーの仕組みですとかCMSのお話になったときに、ROIという議論に事業会社ではなっていきます。

ただ、皆さんにちょっと考えていただきたいなと思うのは、経理の仕組みというのは、事業をやってきたアウトプットのデータをまとめていくもので、いわゆるトレジャリーマネジメントの世界というのは、これからどう企業を運営していくのだとか、どうお金を使っていくのだといったような、将来の数字にかかわる内容のお話になりますので、過去が大事ではないというわけではないんですけれども、将来の数字にも同等以上の金額をかけていく必要というのも、あるいは同等以上の注力をしていく必要もあるんじゃないかなと考えています。

あとは、よくお話をお伺いすると、各子会社に任せているですとか、金融子会社に任せているというお話を必ずお伺いするのですが、例えば、月に1回程度情報が集約されていく中で、当然リアルタイムではないわけですよね。例えば経営陣の方が経営判断をされるときに、グローバル全体のキャッシュのポジションって今どうなっているのだという話が、大体少し時間がずれた状態で上がってきていると伺います。ですので、各会社に任せているというお話をよくお伺いするのですけれども、ここに書かせていただいた、全てを把握できなくて、仕方なく各子会社、金融会社に任せているというお話と、全てを網羅した上で、あえて各子会社に任せる、金融子会社に任せるという話は、リスク管理の観点からすると全く意味合いは違うといったところが言えるかなと思っています。

じゃあ、TMSで管理するリクィディティって何なのかと、キャッシュマネジメントと何が違うのかというところなのですが、これは一応Kyribaの画面を使って、左側がいわゆるキャッシュのポジションですね。右側がリクィディティポジションなのですが、大体、ちょっとわかりづらいですが、エンティティ別に、例えば銀行の口座残高の実績が見られていくということです。右に時間軸があるのですが、将来の情報としては見込みの情報として入っているというのが、この左のキャッシュポジションです。Kyribaの場合ですと、マルチバンクでこの情報というのは集めることができます。

一方、我々がリクィディティが大事ですよねというお話をさせていただいているのは、この右のほうになるのですが、グローバル全体で、あるいはあるエンティティで、あるいはある事業会社でといった借り入れの情報であるとか貸し付けの情報、プラス、キャッシュの情報、あるいは銀行の当座貸越枠であったり信用枠、全てを合算した状態で、我々の流動性というのはどうなんだろうと。例えば、それが今月はどうなんだ、今週どうなんだ、今日はどうなんだといったような情報というのを、欧米では管理してております。ですので、キャッシュというのは、リクィディティの中のある一要素でしかないわけなのですね。

じゃあ、リクィディティというものが把握できると何がうれしいのかと言う前に、CMSに関してもう少しお話をさせていただきたいのですが、よく国内は、銀行の仕組みを使って、ポジションなんかはもうリアルタイムに見られているよと、ただグローバルは見られていないといいます。

ただ、グローバル全体でキャッシュのポジションを見える化しても、戦略って次に何をするんだっけですとか、投資対効果はどうなのというようなお話が、必ずオブジェクションとしては出てきます。

金融拠点に余剰資金を集めていって、キャッシュのポジションのでこぼこを解消すべくプーリングをやっていくということです。ただ、これは私が言ったのではなくて、あるお客さんが言ったお話なのですけれども、どうしても今の例えば金融機関のプーリングの仕組みというのは、基本的に自行の口座を持っている世界でのプーリングというところになりますので、単一の金融機関に資金決済を独占されると。銀行の囲い込みのためのツールにCMSがなっているのじゃないかなと言っていらっしゃるお客さんがいらっしゃいました。

あるいは、親会社のクレジットによって資金供給をするのだけれども、実際には事業会社の日々の資金繰りの懸念というのは極小化されるものの、事業会社は財務規律を失うというところで言うと、おれの金だよねというところが結構蔓延していくということです。なので、事業会社は資金効率を無視した意思決定をしやすくなっていくので、そこは、与信強化なんかは課題になってくるといったお話をよく伺います。

なので、せっかくキャッシュポジションであるとかリクィディティポジションをグローバルレベルで管理していこうとするのであれば、まずそういった情報をもとに予兆を捉える、リスク管理と改善アクションにつなげていく仕組みにしていくべきであろうと考えています。なので、CMSをユーロシステムとして、事業会社を「ギリシャにしない」仕組みといったところですとか、あと、キャッシュフローの特徴を把握する上では、先ほどの月次ベースではほぼ不可能ですので、日次で事業会社のキャッシュフローを把握していくですとか、例えばM&Aののれんの減損リスクなんかを考えてみても、実際に事実となるのはキャッシュフローになっていくので、事業会社の事業計画自体がちょっと甘いのじゃないかといったものは、それぞれの事業会社のキャッシュフローを見れば、それが甘いのかどうかという判断もできるので、やっぱりキャッシュフローというのは大事じゃないかなと思います。あとは、金融資本の状況はたった1日で激変する経験を我々もしていますので、こんなところでCMSというのを考えていくということです。

トレジャリーマネジメントシステムというのはリクィディティポジションを把握することですよというお話をさせていただいたのですが、今、欧米ではTiMSという言葉なんかが結構はやっていたりします。Treasury Integrated Management Systemと、いわゆる財務の情報を企業の中核システムにして、ありとあらゆる経営判断の中核にしていくということです。なので、TiMSをTreasury Intelligence Management Systemといった言い方をしているところもあります。

お伝えしたいのは、リクィディティは先ほどの銀行のポジションであったり、借り入れ、貸し付けの情報といったものは、全て事実に基づくFactの情報になりますので、例えば銀行の残高が将来予測はだんだん減少している傾向が見てとれます。であれば、先ほどの牧野委員のお話ではないですけれども、P&Gのように、サプライチェーンファイナンスを活用して手元現金を増やしていくと。売掛債権をすぐに現金化していく仕組みというのを活用していくですとか、あるいは手元現金のだぶつきが目立つのであれば、新規投資案件に回していくとかといったところが、リクィディティから読み取れるのではないかなと思います。

あとは、これもある事業会社から聞いたお話なのですけれども、国内外の投資案件の投資の判断を財務部門が行っているわけなのですけれども、銀行の残高はわかるんだけれども、流動性のポジションというのがわかっていないので、大体これぐらい借り入れすればいいんじゃないかといったような、わりと丼勘定で判断をされているといったような、ちょっと恐ろしい話もお聞きしました。

あるいは、これはおそらく財務の専門家の方ではなくて、例えばCEOの方なんかからよくこんなことを言われるのだということを言われたことがあるのですが、うちって何で現預金が、キャッシュがグローバル全体で2,000億円もあるのに、有利子負債が200億もあるのと、これ返せばいいじゃないと、普通に聞かれるということです。ただ、これは銀行にいつでもお金を借りるために、つき合いで借りているのだよといったようなことを言われている会社なんかもありました。

なので、その場合は資金予測の精度を向上して、負債を削減していくですとか、先ほどの新規投資案件に回していくですとか、M&Aの資金に充てるといったような、活用できるお金があれば多分どなたも、皆さんもハッピーになるのじゃないかなと考えています。

あるいは、キャッシュのポジションというところで言うと、キャッシュのポジションだけではなくて、定期預金であったり譲渡性預金を含む運用資金を把握し、これをリクィディティポジションで把握していくということです。

あとは、単一の金融機関に資金が集中するというところで、カウンターパーティーリスクですとか、そういったものをリクィディティポジションから読み解いていくということです。

あるいは、支払い業務における不正ですね。ここの不正の話もちょっとさせていただきたいなと思うのですが、こういったものをリクィディティポジションから把握していくというのが、重要なんじゃないかなと感じています。

ここから企業を取り巻く環境というところで、ここでお伝えしたいのは、とにかく市場というのは不安定性と不確実性が増していて、ただ、日本の会社は海外展開をしていかなくちゃならない現状がある中で、毎22日ごとに、新しい規制ですとかコンプライアンスというのが増加しているという現状があります。

不正というところで言うと、これは、ある情報からとってきたものなのですが、企業の61%は支払い業務における不正を経験したことがあるということです。これは大体日本の財務の方とお話しすると、ちょっと日本人の感覚では考えられないのですが、事実こういうことがグローバルで起こっているそうです。実際、不正の26%は従業員によるものです。特に支払い業務というのは不正が横行していて、87%が大体小切手による不正ですね。額面を変えるとか、そういったところなのじゃないかなと思います。

2005年から2012年にかけて、企業における不正というのが72%増えております。それに伴って、企業価値というのは22%失われております。なので、先ほどのキャッシュのポジションとかの話にもつながってくるのですが、月に1回、事業会社の過去のポジションなんかを集めてきたとしても、実はあまり意味はなくて、今何が起ころうとしているのかとか、流動性とか、そういったものを管理していく必要というのが、不正の観点ではあるんじゃないかなと思っています。

これもリスクに対する対応というところで、エクスポージャーですね、例えば危険にさらされているお金というものがどのぐらいあるかというところで、2013年時点で5年前と比較したときに、明らかにエクスポージャー自体は増えているという企業が6割です。減っているという会社は12%しかいらっしゃらないということです。それに伴って、リスクに対応する投資として、ITの投資であるとか、あるいは企業の売り上げ目標、利益目標というのは当然上がっていく中、ビジネスの地理的拡大ですね。もともと日本でしかやっていなかったのを、アメリカに展開していく、アジアに展開していくといったような、拡大している企業というのは51%もございます。製品のラインナップも増えていて、ただ、従業員の方は減っていっております。とすると、やはり財務業務の自動化、効率化というのは必須ではないかなと思います。一方、外部要員の登用というのは増えていっているというところです。人がいないのだけれども、捉まえなければいけない課題というのは増えていっているというようなお話になります。

対応すべき重要なリスクとしていろいろ挙げさせていただいているのですが、いろいろ考えないといけないですねといったようなお話になります。

Kyribaの考え方は、キャッシュマネジメント・プラス・トレジャリーマネジメントというところで、もともとFactの情報で例えば資金といったものは、お金というのは企業の生命線であるので、この情報をベースに、リクィディティをもとにいろんな戦略的な意思決定というのをしていただくといったところにあります。

じゃあ、早速なんですが、デモを少し見ていただこうと思います。(省略)

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、自由討議に移りたいと存じます。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。

小野委員、どうぞ。

【小野委員】

3人の方、今日は大変貴重なお話をいただきましてありがとうございました。

最初にお話しいただいた牧野委員に3点ほどご質問をさせていただければと思います。

資料の19ページで外銀と邦銀のキャッシュマネジメントサービスの比較をされていらっしゃいますが、1つ目の質問は、外資系と邦銀とで比べた場合にコストがどう違うのかということを教えていただければということです。

それから、2点目なのですけれども、今日のお話では、外資系と邦銀とで、それぞれ一長一短あるということだったかと思うのですけれども、どちらかがすぐれているのであれば、それはそれぞれの事業会社がニーズに応じて使い分ければいいということだと思います。事業会社から見て一番困るのは、どちらも対応できていない未充足のニーズがあるようなケースではないかと想像するんですけれども、もし、こういった点について、邦銀にも外資系にも不満を持っているというようなことがあれば教えてください。

それから、最後の質問なのですけれども、今日お話を伺っていて御社は大変先進的な取り組みをされていらっしゃると理解しましたし、それなりにコストをかけてこういうシステムを組み立てていらっしゃるのかなと想像しています。他方で、初回の事務局の方からのご説明でも、今、中小企業を含めて海外にどんどん出ていっているということでした。2万社以上出ていっているという数字もあげられていたかと思いますが、御社のようなキャッシュマネジメントシステムを構築するニーズが生じるのは、例えば海外に事業所が何カ所あるような会社なのか、あるいはどれぐらいの規模の企業であればこういったニーズが生じてくるものなのかを、ざっくりとした実感で構いませんので教えてください、というのが3点目になります。

以上です。

【岩原座長】

牧野委員、お願いします。

【牧野委員】

まず、1番目のコストなのですけれども、特に邦銀のほうは、コスト度外視でも提案してくるといったところはありました。端的に言うと、邦銀のほうが安い場合もあります。ただ、月間手数料という意味では、邦銀も外資系も、うちの場合はなんですが、ほぼ同額でした。

2番目、どこも対応できていないこと、邦銀も外銀もという、そこについては、やはり規制だとかがあるところに対してはできないので、先ほどご説明させていただいたような、9ページ目みたいなところは、どこの銀行がやっても対応できないというのが、ここにあるバツというところです。

3番目、実際、このCMSを導入する導入コストというのは、基本的には、うちの場合だけかもしれませんけど、かかっていません。いわゆる月間手数料を払う。例えばプーリングをつなげるために幾らだとか、ネッティングをつなげるために月間幾らというコストはかかってはいるのですけれども、導入のためのコストについては、うちの場合だけかもしれませんけど、かかっていません。ですから、中小企業でも、月間手数料がペイすると感じてもらえれば、数カ国でも導入は十分可能なのかなと思います。もちろんその外資系もしくは邦銀のところが、そこの中小企業と一緒にやっていくという前提条件つきだと思いますが。

簡単ですが、回答とさせていただきます。

【岩原座長】

よろしいですか、小野委員。

【小野委員】

すみません、最後の導入コストはなかったというお話ですけれども、手数料が固定なのか、何かに対する料率なのかということによってコスト負担が異なる、例えば手数料が固定的な金額であれば、当然、規模が小さい企業ほどメリットが相対的に小さくなるように思うんですけれども、そこはどういう形になっていらっしゃるんでしょうか。

【牧野委員】

1社1口座というような形で課金制になっていますので、10社入れるのであればその10倍だし、100社入れるのであれば100倍だしと、そういうような形です。

【小野委員】

ありがとうございました。

【岩原座長】

よろしいですか。

【小野委員】

はい。

【岩原座長】

ほかのご質問、ご意見等ございますでしょうか。ほかに何かございませんか。

堀委員、どうぞ。

【堀委員】

今日のお三方のご説明、よくわかりました。ありがとうございます。

私どもがご相談を受けるケースの中で、実務上、日本でCMSの統括会社を持つ場合に、法律上の規制が不明確である、あるいはネックになっているということで認識している事情が3点ほどございますので、この場でお話をさせていただければと思っております。

まず、山梨参考人からのご指摘もありましたが、各グループ会社と統括会社の資金移動、あるいはグループ会社間での資金移動について、貸し借りという構成をとれば、貸金業法上適用除外になったということを受けて、実行可能になったと認識しております。

しかし、貸金業法の適用除外となるグループ会社の範囲が、会社法や財務諸表等規則で連結対象とされている範囲とずれているということがございまして、これは意図的なのかもしれませんが、グループ会社の資金管理の方法としては完全ではないという点が、1点目のご指摘になります。

2点目でございますが、統括会社がいわゆるCCPとなって資金移動の仕組みを構築する場合に、そもそも全体が資金移動、あるいは為替取引の定義に当たるのかどうかという問題が1つあるわけですけれども、仮に貸し借りという構成をとれば、この点はクリアできるのかもしれませんが、さらに進んで、統括会社が各グループの資金を外部の第三者へ支払いしようという場合に、統括会社が行う資金移動が為替取引の定義に該当するのではないかという懸念が挙げられます。ご承知のとおり為替取引を行うためには、銀行免許か資金移動業登録が必要になってくるわけで、事業会社が銀行免許を取ることは現実的ではなく、資金移動業では1件100万円という上限規制がございますので、CMSで扱う金額の規模感とは乖離しており、事業会社がCMSのために免許または登録を得るということは困難と考えられます。

そもそも、このグループ会社の資金管理や外部支払い集約のための行為について業規制を及ぼす必要性があるのかどうかというのは疑問であり、グループ会社のために行う資金移動については為替取引に関する業規制の適用除外とすべきであるという意見があることが、2点目の指摘になります。

最後に、統括会社が各グループ会社から委託を受けて統括的に資金を運用しようとする場合、投資運用業の定義に該当するのではないか、金融商品取引業の登録が必要となってしまうのではないかという懸念が3点目の指摘でございます。統括会社のほうで、グループ会社の運用財産のポジションを把握して統一的なリスク管理をしたいというニーズがある一方で、グループ会社のポジションで、その委託を受けて統括会社がどの商品をどれだけ買うのかという投資決定を行うということは、投資一任に該当するのではないかという疑義がある点が挙げられます。この点も、グループ会社の資金の運用について業規制を及ぼす必要があるかどうかは疑問であり、グループ会社のために行う投資運用については、金融商品取引法の適用除外とすべきであるという意見がございます。

もちろん本日のご説明のように、システムや通貨、それから租税上の問題が日本外で統括会社を持つ理由の主たるものであるのかもしれませんが、日本の現状の規制のもとで、統括会社が日本においてCMSを行うことができるのかという点について、法的にクリアではないというところも、日本に統括会社を置くことについて消極的になっている原因の一つになっていると認識しております。

以上でございます。

【岩原座長】

ただいまの堀委員の問題提起については、何か事務局のほうからございますか。

佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

ありがとうございます。いずれも非常に関心深く、重要な論点であると思っております。私ども、法制度を担当している人間として、非常に悩ましいところが確かにございます。というのは、要件や定義を明確にすればするほど、潜脱が起こったりといったところに非常に難しさを感じて、日々業務をやっております。

私、今、金融庁におりますが、以前、内閣法制局というところで各省庁の法律を審査する立場だったのですが、その際も、要件とか定義等をどこまで明確にすればいいのか、逆に要件を曖昧にすれば、また曖昧にしたで、グレーゾーンがどんどん出てくるという問題が生じます。そのバランスをどこにとるのが一番いいのかというのは、非常に難しいところであったと思っております。

例えば、日々よく問い合わせがありますのが、いわゆる業法の中で、何とかを業として行うこと、これが規制の対象になるとあります。業というものはご承知のとおり、反復・継続して社会通念的に見て1つの業務と認められるようなものが業とされておりますが、反復・継続して業となるのが一体どこからなのかというのは非常に難しいところで、そこは実情に応じてやらざるを得ないというところはございます。

今、お話にございましたいろんなグループ会社間での資金のやりとりですとか貸し付けとかを含めて、我々も具体的な実情がどうであって、どういうところがグレーゾーンであって、どういう解決の方策があるのかなど、引き続き継続的に勉強していきたいと考えておりまして、ぜひ実務をやっておられる方の意見も十分参考にさせていただきながら、どういうやり方がいいのか、十分に検討させていただきたいなと考えております。

すみません、ちょっと一般論になりましたが、以上でございます。

【岩原座長】

何かこの点についてご意見等ありますでしょうか。

堀委員、どうぞ。

【堀委員】

ありがとうございます。1点だけ補足なのですが、たしか資金決済法の政令、内閣府令のパブリックコメントのときだったと思いますけれども、「営業として」あるいは「業として行う」の解釈に関連して、キャッシュマネジメント業務が業、あるいは営業として行われるものでなければ、規制の適用がないという解釈が示されたことがあったと認識しております。けれども、フィーを取らない、手数料を取らないケースであれば、営利の目的ではないということは言いやすいように思うのですが、グループ会社間であったとしても、主として税務上の問題と認識しておりますけれども、全く無償で業務提供をするということがなかなかしづらいところがあり、相当の対価を支払うという形になってしまうと、お金のやりとりが発生してしまうので、かつ、おっしゃるとおり反復・継続性があるとすると、業の解釈だけで適用なしと判断することにはいささか躊躇があるという声があることは、ご指摘をさせていただければと思いまして、また引き続きのご検討をお願いしたいと思っております。

以上です。

【岩原座長】

はい。何かございますか。そもそも堀委員のご指摘の第1点の、グループの定義の問題にもかかわってきますし、グループならなぜ適用除外になるのかという理由から、多分、規制の根本にさかのぼって考えていく必要がある問題だろうと思いますが。

ほかに何かご質問等ございますでしょうか。

加毛委員、どうぞ。

【加毛委員】

山梨参考人に、小さな点を確認させていただきたいと思います。資料の7ページにおきまして、先ほども話題になりました貸金業法の適用除外のことが取り上げられました。合弁会社への貸し付けについて、現行法では、全株主の同意があることと、議決権の20%以上を保有していることという2つの要件がかかっているのに対してもう少し規制を緩和してほしいというご要望をいただきました。お伺いしたいのは、規制を緩和する対象として、どこまでのことをおっしゃったのかということです。資料の11ページにおきましては、20%以上の議決権を持っている会社が子会社を通じて融資を行うということを認めてほしいというお話だったかと思うのですけれども、7ページでは、株主全員の同意があるのであれば、20%の要件を満たさなくても融資を認めてほしいという趣旨のことをおっしゃったと記憶しています。両者では、だいぶロジックが変わってくると思いますけれども、どこまでの規制緩和を求めているという趣旨のご発言だったのか、そのことを確認させていただきたいと思います。

【岩原座長】

山梨参考人、お願いいたします。

【山梨参考人】

ご指摘ありがとうございます。ご指摘のとおり2点に分かれております。ご指摘のように1点目は、ページ数でいきますと11ページですかね。こちらのほうで、まずは20%以上の会社に限って、そのグループ内に金融子会社がある場合は、金融子会社も一体とみなして、そこから出す融資に関して規制緩和をしていただきたいというのがこちらのほうの要望でございます。

ご指摘いただいた7ページ目のところでの説明ということは、確かにもう1点要望がございまして、いろいろな要望があるのですが、この要望とは違って、ジョイントベンチャーという会社の性質といいますと、親会社がリスク分担を対等に行うということがございます。そういうような形で設立した会社において、では、20%未満だからその会社から融資をしなくていいかというと、なかなかそうはいかないということです。

では、実際の業務でどうなるかといいますと、20%未満の会社は、20%以上の会社に頼んで、自分の分も肩代わりしてもらうということがございます。そうすると、例えばいろいろ複雑になりますが、20%以上の会社というのはそのお金を金融機関から借り入れしなければいけません。その会社だけ金融機関から20%未満の会社の分も借り入れしますので、いわゆる割り勘負けというのが起こってしまうのですね。その前の話で大口信用供与規制というのがございましたが、そうすると、金融機関から見れば、20%以上の会社だけのエクスポージャーが増えて、20%未満の会社のエクスポージャーは減るわけですね。それでは、裏保証がある、ないにかかわらず、では融資しましょうよという話にはなかなかいかないだろうと。では、金融機関から直接そこだけ融資してもらうという形があるのですが、なかなか、そういうことになると手間がかかってやりにくいと、合意も得にくいということで、このあたりのところも緩和していただけばと考えております。

では、20%未満はどれぐらいまでいいかというのは、なかなか判断が難しいというのは我々でも議論になっております。例えば1%の会社が、では、そこの株主間合意があればいいのか、逆のことを言うと、1%の会社から全部の資金を融資していいかと、そういうことは我々は思っておりませんで、リスク分担に応じて、1%の会社であれば1%相応の金額まで融資をするという形で、規制緩和をしていただきたいというのが要望でございます。

【岩原座長】

よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。

戸村委員。その後で浜委員。

【戸村委員】

ありがとうございます。私も山梨参考人にご質問させていただきたいのですが、7ページのところで、牧野委員からの説明とちょっと総合的な理解をしたいので質問させていただきたいのですが、このような規制等々の問題があって、事業会社が金融取引をするにはいろいろな規制があると仰っていましたが、1つの解決策としては、これを全て銀行のプラットフォームでやってしまって、当座貸越等々を通じてするというのが1つの解決策だと思うのですが、一応、御協議会のメンバー様のニーズとしては、できるだけ銀行サービスをやはり使いたくないというようなバックグラウンドで、こういうような要望が出ているということなのでしょうか。

以上です。

【岩原座長】

山梨参考人。

【山梨参考人】

いや、必ずしも我々、銀行のサービスを使いたくないというわけではございませんが、金融機関の口座も多行にわたっておりまして、では、そこでどこか1行に集約するのは果たしていいのだろうかというところは、常に悩んでいるところでございます。金融機関との取引というのは、借り入れだけに限らず、それ以外のサービスもありますので、包括的に考えると、そこの部分を1行に集約して、ほかの部分はほかのサービスにというわけにもなかなかいかないということで、できれば自分のところで自由度の多い形で貸し借りができればというのが希望となっております。

【岩原座長】

よろしいですか。戸村委員。

【戸村委員】

はい。ありがとうございました。

【岩原座長】

それじゃあ、浜委員、お願いします。

【浜委員】

参考人の方々、ご説明ありがとうございました。桑野参考人にお伺いしたいのですが、日本に進出されるのに何かご苦労された点はないでしょうかということなんですけれども、Kyribaのように海外でTMS、トレジャリーマネジメントシステムを提供されている会社が数多くあられると思うのですが、日本にまで進出されているところは非常に少なくて、何がしかの、日本にはそれなりのハードルがあって進出されないのか、それを乗り越えるのにKyribaはどういうふうにされたのかというのを、ちょっとお伺いしたいと思いました。よろしくお願いします。

【岩原座長】

桑野参考人、どうぞ。

【桑野参考人】

確かにKyriba自身が2000年に設立されているわりに、我々が日本法人を設立したのが2012年なので、普通のベンダーの日本進出のタイミングとしては、かなり間があいているというところはあると思います。しかし、我々のファウンダーの話を聞くと、もともとこのトレジャリーマネジメントの仕組みというのはやっぱり欧州で盛んになっていって、それがアメリカのほうに流れていって、ようやっと日本に入ってきているタイミングなので、それぞれ5年ぐらいタイムギャップがあるんだみたいなことを言っていたので、5年ずつと考えると、10年ぐらいかかってようやっと日本でもそういった動きをちゃんと捉まえていかないといけないのかなというところは、理由にあるんじゃないかなと思っています。

なので、欧州でそれが一般的になって、その考え方みたいなものがアメリカに流れていって、アメリカから日本にと。途中、シンガポールとかアジアを通過していくということはあるとは思うのですが。

【岩原座長】

よろしいですか。

【浜委員】

はい。

【岩原座長】

ほかに何かございませんか。

小野委員、どうぞ。

【小野委員】

すみません、ちょっと小さな質問なのですけれども、山梨参考人にお伺いしたいのですけれども、11ページで要望事項として書かれているポンチ絵について、これは、A社が40%出資して金融子会社から融資する場合ということですけれども、金融子会社を通じて出資も融資もするという場合ですと、現行規制上どうなるのでしょうか。

【岩原座長】

山梨参考人。

【山梨参考人】

間違っていたらご指摘いただきたいのですが、子会社から出資も融資することは、この規制上は、子会社同士ですね、全部の子会社の同意に基づいていれば可能というように考えております。

【小野委員】

そこのプロセスが面倒くさいということなのですか。

【山梨参考人】

いや、グループ内で子会社というのは、ここは金融の子会社でして貸金のことだけをやっている会社なのですね。ですから、逆に会社のたてつけで言いますと、出資をするのはあくまでも親会社というように、グループ企業内での役割分担をしているということで、今現状は、各社、金融子会社をお持ちで、その金融子会社はあくまでも資金周りのところだけやっているという状況でございます。

【岩原座長】

よろしいですか。

ほかに何かありますか。

ちょっと私からも質問させていただきたいのですけれども、最初の牧野委員の資料の3ページのところで、全銀システムのセキュリティーの問題を提起されて、全銀システムが暗号化されていない公衆回線を使っているということで、セキュリティーに不安があるということをたしかおっしゃったと思います。以前、銀行の行内オンラインシステムに暗号化されていないものがあったと聞いたのですが、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律を検討した際や、資金決済法の立法を以前金融審議会で検討したときも、銀行のシステムの暗号化がおくれているという点が、セキュリティーとして不十分ではないかというご議論があり、たしか金融界として検討していくということだったと思ったのですけれども、なお現在も暗号化が進んでいないのでしょうか。

あと、専用回線という問題も提起されたのですけれども、専用回線も危ないところがあって、非常に古い話ですけど、昭和57年に、銀行の専用回線に電電公社の職員がハッキングをして、暗証番号等の情報を盗んで、偽造カードを作成して他人の預金を勝手に引き出したという事件も起きているわけです。そういうことを考えますと、セキュリティーの体制が現状でよいのか、金融界としてどのように考えていらっしゃるのか、柏木委員等からお聞かせいただければと思います。

【柏木委員】

はい。残念ながら私はセキュリティーの専門家ではないということと、当行の行内の事情は承知しているつもりでございますけれども、銀行界全体がどうかというのは全てわかる立場ではないという前提で、お聞きいただきたいと思います。

まず、花王の牧野委員からご指摘いただいた点については、これはちょっと勘違いをしていただいてはいけないなと思いまして、はっきりさせておきますが、全銀システムの課題としてご説明いただいたのですが、必ずしも全銀システムの課題ではございません。まず、花王様のような企業から銀行に振り込みの依頼が行われます。それから、銀行間のやりとりが行われ、ここは全銀システムで行っております。さらに、受取人の銀行へ行きまして、その銀行から受取人の企業の口座に入る。ここはまた受け取り側の銀行のシステムで行っていくと。さらに、そこで例えば入金が入りましたよという通知を企業に行う場合には、これは銀行と企業間でのシステムが使用されます。ですから、3つぐらいに分かれていると思っていただければと思うのですが、ご説明いただいた全銀ベーシック手順というのは確かに古い手順でございますが、これは企業と銀行の間の手順でございます。したがって、全銀システムが暗号化されていないということではないというのが第1点でございます。

それでは、ここでご指摘いただいている企業と銀行間はどうかということでございますが、確かに、現在もこうした古い手順をまだお使いいただいている企業もたくさんいらっしゃいますので、そういう企業に対しましては大変申しわけないのですが、今は、ここでご指摘いただいたような二次的な手段を各銀行が講じております。例えばファクスで送っていただくとか電話で確認するとか、あるいは別なパソコン上のシステムで確認するとか、そういった手順をとっていると認識しております。

ただ、最近は、ご存じのようにインターネット上でやりとりするケースがかなり増えてきておりまして、私どもの銀行でもかなり増えています。そちらのほうになりますと、当然のことながら、インターネット上に出る話でございますので、きちんと暗号化もされておりますし、セキュリティーも講じられているということでございます。

ただ、私どもから第2回でご説明したように、世の中はこの分野はイタチごっこでございますので、銀行界としてはここは常に注意して、セキュリティーを向上していかないといけないということだと思います。

それからもう一つ、今ご指摘いただいた点は、銀行間、あるいは銀行とお客様との間の話のほかに、銀行の内部のシステムの暗号化がどうかという話でもあるかと思います。この点は、この場での発言は控えさせていただきたいのですが、一般論として申し上げれば、これはしっかりと対応していると認識しております。

以上でございます。

【岩原座長】

はい、どうもありがとうございました。

ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。

それでは、特にご質問、ご意見等がないようでございましたら、本日の自由討議を終わらせていただきたいと思います。

本日いただきましたご説明やご意見等を踏まえ、引き続き検討を進めていきたいと存じます。

なお、次回は、新しい決済サービスの発展に向けた課題について、関係者の方からヒアリングを行いたいと考えております。

最後に、事務局のほうから連絡事項がございましたらお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、次回以降の日程についてご案内申し上げます。既にご案内申し上げているところの確認でございます。次回第5回の会合は、11月18日火曜日16時から18時までを予定しております。その次、第6回でございますが、11月27日木曜日10時から12時までを予定しております。会場等につきましてはまた改めてご案内申し上げます。

事務局からは以上でございます。

【岩原座長】

それでは、以上をもちまして本日のスタディ・グループを終了させていただきます。

どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3558、3560)

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