金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」(第10回)議事録

  • 1.日時:

    平成27年2月5日(木曜日)16時00分~18時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【岩原座長】

それでは、予定の時間になりましたので、決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ第10回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

それではまず、本日の参考人のご紹介を事務局からお願いします。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

それでは、本日の参考人をご紹介申し上げます。柏木委員の向かって左側でございますけれども、全国銀行資金決済ネットワークの松本康幸様でございます。本日は以上でございます。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、柏木委員及び松本参考人から、銀行界における決済高度化に向けた取り組みについて、また、翁委員から、銀行の決済ビジネスと業務範囲規制についてお話しいただき、その後で一括して自由討議を行います。

それでは、柏木委員及び松本参考人から、時間の関係もございますので、恐縮ですが合わせて25分程度でよろしくお願いいたします。

【松本参考人】

全銀ネットの松本と申します。よろしくお願いいたします。本日は、全銀システムの高度化に向けた取り組みについてご説明をさせていただきます。配付資料といたしまして資料1-1、それと資料1-2、その下にパンフレットをおつけしております。本日は資料1-1に基づきましてご説明をさせていただきます。2ページ目に目次ということで記載しております。まず、全銀ネットや全銀システムの概要についてご紹介をさせていただき、その後、高度化への取り組みについてご説明をさせていただきます。

それでは、3ページをご覧いただければと思います。まず、全銀ネットの正式名称、先ほどもご紹介にあずかりましたけれども、一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークであります。平成22年に施行いたしました資金決済法に基づく資金清算機関でありまして、銀行振り込みの中核システムであります全銀システムを運営してきております。

平成22年4月に設立されまして、同年10月から業務を行っております。ただ、全銀システム自体は昭和48年から稼働をしておりまして、従来は全銀協の前身であります東京銀行協会がこの業務を行っておりましたが、資金決済法が制定され免許制になったというものであります。このため、全銀協は新たに全銀ネットを設立いたしまして、全銀ネットは内閣総理大臣から免許を受け、当時の東銀協から全銀システムの運営業務を引き継ぐ形で業務を行っているというところであります。下の表は、全銀システムのこれまでの歴史、歩みとなっております。

ページをおめくりいただきまして、次に4ページの全銀システムに参加する金融機関、これを私どもは加盟銀行と呼んでおります。国内のほぼ全ての預金取扱金融機関、具体的にはここに記載の銀行のほか、信用金庫や信用組合、労働金庫、農協など、1,340金融機関が参加をしている一大ネットワークであります。右の図は加盟銀行のシステムと全銀システムの接続構成の概略となっております。

続きまして、全銀システムの概要についてご説明をさせていただきます。5ページ目をご覧いただければと思います。全銀システムとは、金融機関の間の内国為替取引、これは主に国内における他行宛ての振り込みを指しておりますけれども、それをオンライン・リアルタイムで処理をするシステムであります。イメージ図のとおり、全国の金融機関で受け付けられましたお客様からの振り込み依頼は、窓口のほかATMやインターネットバンキングを通じて、概略このような流れで全銀システムで処理をいたしまして、金融機関の間で送受信をされ、受取人の口座へリアルタイム着金が実現をしているというところであります。

また、全銀システムは、これに伴う金融機関間の債権債務を清算し、1日の終わりに日本銀行の当座預金口座を利用して金融機関の間の決済が行われる仕組みとなっております。ただし、後ほどご説明をさせていただきますが、1億円以上の為替取引、これを大口内為取引と呼んでおりますが、こちらについては1日の終わりではなく、取引の都度、即時に日本銀行の当座預金口座を利用して金融機関間の決済が行われております。

なお、ここには記載はしておりませんが、他行宛ての振り込みではなく、同一の金融機関内での振り込みについては全銀システムにおいては処理されずに、その金融機関内で処理が完結しているところであります。

ページをおめくりいただき、6ページでは、全銀システムで取り扱う件数、金額をまとめております。平成25年度の1日の平均の取り扱い件数でありますが、約636万件。取り扱い金額は約12兆2,694億円。25年度全体では、件数は約15億5,795万件、金額は約3,006兆円でありまして、送金の取り扱い高としては世界でも最大規模となっております。ちなみに平成25年度の日本のGDPは約530兆円ということですので、年間でGDPの約6倍弱の金額を取り扱っているということになります。推移は下のグラフのとおりでありまして、取り扱い件数、金額とも右肩上がりになっております。

次に7ページでございます。全銀システムの構成を記載しております。全銀システムは、システムの安全性、信頼性を確保するため、センターや通信回線等が二重化をされております。東京もしくは大阪にありますセンターが被災をしたとしても、他方のセンターによって業務が継続できるようになっているところであります。昭和48年の全銀システム稼働以来、全銀システムは一度もサービス停止をしたことはございません。

ページをおめくりいただきまして、8ページでは、全銀システムのこれまでのシステムのレベルアップ等についてまとめております。これまで1次から6次までありますが、おおむね8年ごとにシステム更改を行ってきているところであります。ご覧のとおり、全銀システムは取引量の拡大ですとか、セキュリティーの向上などのため、順次システムの性能向上ですとか、機能追加を進めてきておりまして、現在は第6次のシステムが稼働中ということになっております。

その6次の全銀システムにおいては、この右側の丸に特記事項が5つほどありますけれども、2つ目の丸と4つ目の丸に相当いたしますが、主に決済リスクの削減、それと国際標準化への対応、この2つの観点から高度化を行っております。こちらについて、簡単にご説明をさせていただきます。

9ページになりますが、まず1つ目の決済リスクの削減であります。全銀システムは、以前から決済の安全性、それと信頼性を確保するため、各種決済リスク対策を実施してまいりました。第6次全銀システムは、これらに加えまして、下の大きな囲みに記載しておりますとおり、1億円以上の為替取引、すなわち大口内為取引の即時決済化を行っております。先ほど冒頭でも簡単にご説明いたしましたが、従来、加盟銀行間の決済は為替取引の金額の大小にかかわらず、全ての為替取引を対象として、1日の終わりに日本銀行の当座預金口座を利用してまとめて決済を行っていたわけですが、第6次全銀システムは、このうち大口内為取引について、取引1件ごとに日本銀行の日銀ネットに転送して、即時に日本銀行の当座預金口座を利用して加盟銀行の間の決済を行う仕組みに変更しております。

これによりまして、全銀システムで取り扱う為替取引のうち、件数ベースでは約0.2%と少ない件数ではありますけれども、金額ベースでは約70%もの為替取引が即時決済に移ったということで、決済リスクを削減することができたということであります。

ページをおめくりいただきまして、10ページであります。2つ目が国際標準化への対応というところであります。第6次全銀システムにおいては、従来からの固定長フォーマットの電文に加えまして、XMLフォーマットの電文にも対応できるようにいたしました。XML電文で使用するメッセージのフォーマットといたしましては、ISO20022という国際規格を採用しております。こういった観点で国際標準化への対応を図っているというところであります。

このXML電文の採用によって、外部システムとの接続設計の柔軟性向上を期待できるほか、現状最大20桁であったEDI情報欄につきましては、140桁を繰り返し使用することが可能となりました。なお、全銀システムにおきますXML電文の処理イメージはこの図のとおりでありまして、全銀システムは仕向銀行から受信した電文を被仕向銀行のほうに合わせたフォーマットの電文に変換して送信いたします。そのため、仕向銀行は、被仕向銀行において受信可能なフォーマットを意識することなく電文をやりとりできるような形になっております。

以上が、第6次全銀システムにおける主な取り組みであります。これまで全銀システムの概要をご説明させていただきましたが、特徴を総括いたしますと、この11ページのとおり大きく2つあるかなと思っております。

まず1つ目は、全国をカバーする広範なネットワークであるということであります。銀行など、預金取扱金融機関がお客様の窓口となりまして、また、ほぼ全ての預金取扱金融機関が全銀システムに参加していることから、お客様は安心して日本全国にお金を振り込むことができるというところであります。

2つ目は、高い安全性・信頼性であります。先ほどもご説明をしておりますが、システムを二重化しているほか、決済リスクの削減等にも取り組んできております。その結果、稼働以来、一度もサービス停止したことはなく、決済が完結しないといった事象は発生しておりません。以上の2つが全銀システムの強みでありまして、日本経済の経済取引の基盤になっているというところであります。

全銀システムはこうした土台の部分の強化を行ってまいりましたけれども、今後はこうした土台をしっかりと維持しながら、全銀システムの高度化に向けてさらに取り組んでいきたいと考えております。

次のページからは、その高度化に向けた現在の取り組みとなります。12ページをご覧いただければと思います。全銀ネットは決済システム等を取り巻く国内外の環境変化を踏まえまして、今後の全銀システムのあり方に係る検討を行ってきております。特に今年度は全銀システムの稼働時間の拡大を中心に検討を行っておりまして、去る12月18日に全銀協と全銀ネットの共同で「全銀システムのあり方に関する検討結果」を取りまとめました。なお、資金決済高度化につきましては、昨年6月に改定されました政府の日本再興戦略にも盛り込まれておりますが、それが公表されてから半年程度で迅速に取りまとめることができたというところであります。

資料の1-2というのが資料となりますが、この資料の次の13ページからその要旨をまとめてありますので、13ページをご覧いただければと思います。全銀ネットは全銀システムの稼働時間の拡大の検討に当たりまして、個人、法人を対象にニーズ調査を行いました。その結果をグラフにまとめております。上のほうの段に個人のニーズ調査の結果を取りまとめております。下のほうの段が法人のニーズ調査の結果であります。ご覧いただくとおり、個人、法人とも、平日の夕方から夜の時間帯、それと土日、祝日にはリアルタイム着金についての相応のニーズがあるということを確認をいたしております。

ページをおめくりいただきまして、14ページとなります。全銀ネットはこうしたニーズ調査結果等も踏まえまして、全銀システムの24時間365日稼働を決定しております。ここの14ページの白抜きの部分というのが現行の時間帯になります。現行は平日の8時30分から15時半まで稼働しているところであります。新たに拡大する時間帯については、それ以外の薄いブルーになっている部分でありまして、既存の本体システムとは別に新しいプラットフォームを構築させていただきまして、こちらで対応することとしております。

現行の稼働時間帯は全ての加盟銀行が接続を義務づけられているのに対しまして、新たに拡大する稼働時間帯につきましては、各加盟銀行がお客様のニーズ等を踏まえて、個別に接続する時間帯を決めるスキームとしております。ただし、一定の時間帯は新しいプラットフォームに接続する加盟銀行が共通して稼働時間を拡大するなど、お客様に満足していただくための取り組みを銀行会界で検討していく予定としております。

また、この新しいプラットフォームはシステム開発などの準備が整った加盟銀行から順次参加、接続していくこととしておりまして、主にインターネットバンキングなどを利用した振り込みを念頭に置いております。このように、新プラットフォームに接続する加盟銀行間でのリアルタイム着金が実現するということになります。

次の15ページとなります。サービス提供開始時期につきましては、平成30年中を目指しております。現在、今回の検討結果を踏まえまして、プロジェクトを立ち上げるとともに、専門の検討部会を設置し、関係者と具体的な検討を進めている状況であります。正式なサービス提供開始時期につきましては、業務システム要件の検討後、新しいプラットフォームの開発完了時期などを検討いたしまして、受入・総合運転試験の十分性を確保するなど、安全性・信頼性に配慮して決定をするということとしております。

以上が高度化に向けた現在の取り組みとなります。

ページをおめくりいただきまして、16ページをご覧いただければと思います。最後に、全銀ネットにおける今後の主な検討課題を列挙しております。今後、私ども、先ほど説明した全銀システムの稼働時間拡大について、具体的な検討を精力的に進めてまいります。このほか、決済システムの国際連携ということで、諸外国においては決済システムを相互に接続することによって、海外送金の効率化を図る動きといったものがあることから、こうした動きを把握するための調査を実施する予定としております。また、国際標準への対応推進といった課題についても検討していく予定としております。

私からのご説明は以上となります。ご清聴どうもありがとうございました。

【柏木委員】

続きまして、三菱東京UFJ銀行の柏木より、将来の決済高度化に向けた取り組みの方向性に関してご説明申し上げます。資料の2をご覧いただきたいと思います。最初にお断り申し上げておきますと、内容の性質上、個別行の事例等もお話ししたいと思いますので、必ずしも今あったような銀行界全行の話ではない部分もございますし、委員としての私見等も入っておりますことをあらかじめご理解いただければと思います。

それでは、お開きいただきまして2ページ、目次でございます。最初に環境認識をお話しした後、先進技術・アイデア等を活用した取り組みと、商流全体を捉えた決済関連業務高度化への取り組みに関してご説明し、最後にまとめたいと思います。

それでは、3ページをご覧ください。ここでは環境認識として、ICT関連の動向、顧客動向、規制・制度動向をまとめております。技術動向に関しては、詳細の説明は省略させていただきますが、ビッグデータ、スマートデバイス、人工知能、ロボティクス、3Dプリンティング等の技術の著しい進化が見られ、そういった技術を活用した金融ビジネスの観点では、オムニチャネルマーケティング、モバイル決済・デジタル通貨、クラウドファンディング、セキュリティー強化、イノベーション手法の多様化などのトレンドが見られていると思います。

こうした技術進歩と利用者の行動変化により、社会全体の産業革命規模の構造変革が起きているのではないかと思っております。右側にあるとおり、お客様の動向では法人も個人もデジタル化が加速しております。個人のお客様では、生まれたときからインターネットになれ親しんでいるデジタルネーティブ世代が増加する一方、高齢化も継続的に進展しており、多様なお客様のニーズに対応していく必要があるかと思います。

その点、図3にありますように、ジェネレーションYやミレニアル世代といった若い世代が過半を占める米国の状況とは日本は異なっており、必ずしも海外と同じことをすればよいというわけではないことには、留意する必要があると思います。

3点目が、規制・制度動向でございます。ご存じのようにマイナンバーがスタートいたしますし、また、今国会では個人情報保護法の改正が議論されると報道されておりまして、いわゆるパーソナルデータの活用に関するルールが定められれば、ビッグデータの活用が促進されるのではないかと見られております。こうした環境認識を踏まえて決済の高度化を図っていく必要があると考えております。

それでは、4ページをご覧ください。翻って、こうした環境下、日本の銀行の取り組みはどうなのかということでございます。これまでのスタディ・グループでは、どちらかというと主に課題に関して議論がなされてきましたので、今日は将来の方向性のお話をする前に、これまでの銀行のイノベーションの取り組み実績についてもご説明させていただこうと思います。

日本の銀行の決済分野における取り組みは必ずしも世界的に見て消極的だったわけではなくて、これまで日本のお客様のニーズや商慣習等に合わせて、その時々の先進的な技術を取り入れて安心・安全で利便性の高いサービス提供に取り組んできたという一面もあろうかと存じます。

左側にございます図表1では、その一例を挙げております。例えばATMでございます。海外では現金引き出しが中心とお聞きしておりますが、日本では入出金以外にも、他行も含めた即時の振り込み、税金や各種の支払い、通帳の記帳、定期預金や外貨預金取引も実現しており、世界的に見ても高機能ではないかと認識しております。海外の金融機関も最近になってATMの高度化に取り組み始めております。

また、皆様がインターネットバンキングやATMで振り込みをする際に、受取人の口座番号を入れれば、他行であっても口座名義が即座に確認できるわけでございますが、このようなきめ細かいサービスも実現できている国は少ないというふうに思います。さらに、生体認証、モバイル決済、ネット専業銀行等、日本ではいわば当たり前となっているような決済サービスも、実は海外では必ずしも一般的ではなくて、日本の銀行が先端技術も活用してきた事例ではないかと考えております。

5ページをお開きください。ここからは、今後の取り組みの方向性についてご説明申し上げます。冒頭申し上げました環境変化を踏まえると、銀行としてもイノベーティブな取り組みを強化していく必要があることは論を俟ちません。こうした中、欧米金融機関では自前主義にこだわらず、金融ベンチャーの買収等、外部知見を取り入れ、金融サービスを高度化する取り組みが見られます。

図表1にまとめておりますのは、欧米銀行が先端技術や最新ビジネスモデルに関する情報を収集・評価しつつ、自社での利用を進めるため、R&Dに特化した組織を立ち上げている事例であります。Citi BankですとかWells Fargoをはじめアメリカの銀行等では、100名規模の要員で、R&D専用の予算枠も設置していると聞いております。

また、図3は、欧米金融機関の金融ベンチャー企業への投資、買収の事例を挙げています。これはごく一部の例であり、欧米ではライセンス契約や出資等の連携から一歩踏み出して、専用の投資ファンドを組成し、積極的に買収に取り組む金融機関が出現しております。

こうした海外の動きに対して邦銀も取り組みを始めております。個別行の戦略の話なので、こういった場で申し上げるのは非常に難しい面もございますが、私どもの銀行の事例を一部ご紹介したいと思います。右側にありますとおり、私どもでは昨年、イノベーションの一大拠点であるシリコンバレーがございます米国西海岸に常駐者を派遣して、現地にあります銀行と協働でイノベーションセンターを設置し、現地での情報収集やベンダーとのネットワーキング等を開始しております。

また、今年の6月には日本でビジネスコンテストの開催を予定しております。おそらく日本の銀行では初めてではないかと思います。主にベンチャー企業や個人の方からITを活用した金融サービスアイデアを広く募集したいと思っております。すぐれたアイデアには表彰を行い、事業化に向けて参加者と銀行で検討、協議を進めていこうとするものであります。

以上、海外とは、企業への投資等の規制上の違いはございますが、邦銀においても決済高度化に向けて企業の枠組みを超えて、社外からも広く知識、知見、技術を集めるイノベーションの取り組みが重要であると考えております。

6ページをご覧ください。ここでは、決済高度化に向けて、私見にはなりますが別の観点からお話をしたいと思います。この図は、個人や企業のお客様が物やサービスを購入する際の大まかな流れを左から右にあらわしています。こうして見ますと、銀行が提供している決済は、一連のプロセス、流れの中の最後の一部でしかないということがわかります。お客様は決済をしたいというニーズがあるわけではなくて、物やサービスを利用したいという大きなニーズの中で、決済は必要不可欠な機能として、安全・安心、便利に利用できればよいということかと思います。

また、今後お客様のご利用になるデバイスはスマートフォンやタブレットに加えて、さまざまなウェアラブル端末等、ますます高度化、多様化してまいりますし、認証をはじめとしたセキュリティー技術が進化していくと思います。こうしたことを踏まえると、お客様にとって決済を便利にお使いいただくためには、上に書いてあるフリクションレス、すなわち、摩擦がないということが1つの鍵になるのではないかと思います。したがいまして、決済そのものを高度化する必要があると同時に、商流全体を捉えて、その中でセキュリティーも確保し、安心・安全で便利な決済を高度化していくという発想が必要だと思います。

それでは、7ページをご覧ください。今日のお話をまとめさせていただきます。邦銀における将来の決済高度化の実現に向けては、2点を考慮していく必要があろうかと考えております。1つは、外部知見の活用等の取り組み強化でございます。2つ目は、伝統的な銀行業務領域を超えたサービス検討の必要性であります。また、こういった取り組みを今後進めていく際には、諸外国に比べ現行の銀行業規制が障害となる可能性もあり、見直しも視野に検討を進めていく必要があろうかと考えております。

例えばということで載せておりますが、イノベーション推進に向けて金融ベンチャーへの出資をすることを想定した場合、銀行による事業会社株式の保有は原則として5%に制限されている点、一部の電子商取引業者・モール事業者は傘下に銀行を持ってサービスを展開しており、消費者の購買プロセス効率化や利便性の向上につながっていると考えられる一方、銀行が電子商取引事業、あるいはモール事業に取り組むことを想定した場合は、銀行法で付随業務として認められない限り業務範囲は厳格に制限される点などが挙げられるかと思います。

今後、こういった点に関しても、海外の事例ですとか有識者のご意見を踏まえて議論させていただければと思います。私からの説明は以上でございます。

【岩原座長】

続きまして、翁委員、大変恐縮ですが、25分程度でよろしくお願いいたします。

【翁委員】

それでは、資料3に沿いましてお話をさせていただきます。1ページおめくりいただきまして、今日の内容といたしましては、まず銀行のネット決済ビジネスということで、近年の電子商取引の拡大を踏まえて、銀行のネット決済ビジネスの将来と銀行業務範囲規制上の論点をまずお話しいたします。

それから、オープンイノベーションにつきまして、今も柏木委員からいろいろご説明がございましたけれども、オープンイノベーションの重要性と、これに関する業務範囲規制上の論点と、それから、3番目に、決済業務等に関して銀行間の連携や協働を進めていく上での業務範囲規制上の論点と、こういった点につきまして少し論点を整理させていただきたいと思います。

まず、次おめくりいただきまして、一番最初のネット決済ビジネスについてでございます。この4ページのグラフは、ご承知のとおり、電子商取引は近年大きく拡大しているわけでございますが、これに沿う形でネット決済サービスや販売決済情報等を活用した融資サービスなどの提供機会も拡大しているという現状認識であるということでございます。

次のページ、ご覧いただきますと、これは事業会社のネット決済ビジネスの参入状況でございます。ここのスタディ・グループでもいろいろとご説明をいただきましたが、事業会社によるネット決済ビジネスへの参入が活発化しております。そして、電子商取引と金融サービスの一体提供、それから両者を融合させた新たな金融サービスといったものが登場しているということでございます。一体提供ということは、つまり商取引から決済までを自社グループで提供する動きが見られているということでございます。

こちらに来ていただいた企業の方も多うございますけれども、楽天につきましても、例えば楽天銀行ということで一体提供が可能になっておりますし、YAHOO!につきましても出店者向けの新型融資の取り扱い開始を予定しているということとか、amazonにつきましても、これは2012年の段階からAmazon Lendingということで電子商取引の取引情報を活用して貸し出しをするという動きが広がっている。Alibabaについても、Alipayということで、融資のみならず預金受け入れも展開するという形で、こういった一体提供、両者の融合ということが事業会社サイドから非常に積極的に提供されて、利用者の利便性の向上に寄与していることが見てとれます。

次のページでございますが、それでは、銀行のネット決済ビジネスについてどのように考えていけばいいかということでございます。まず、電子商取引とネット決済ビジネスというのは非常に親和性が高くて、銀行にとっても有望な成長分野であるということは間違いがないと思います。親和性が高いというのは、必ず振り込みとか、クレジットカードとか、電子マネー決済など、そういった決済ニーズが発生するという意味で、電子商取引というのは親和性が高いと書いてございます。

金融庁の論点整理にもございましたけれども、融資のほうは早くからアンバンドリングというのが進んでいたわけでございますけれども、決済につきましても、この事業会社の参入によって銀行業務のアンバンドリングというのが進んで構造変化が進行しているという状況でございます。今ご紹介したような電子商取引と金融サービスの一体提供、それから電子商取引と金融サービスの融合というような新たな金融サービスの提供ということが事業会社を通じてできるようになってきているわけです。幾つかジャパンネット銀行などは、こちらのほうに記載しておりますけれども、そういった取り組みが始まっていますが、いわゆる我が国の伝統的な銀行からは、必ずしも新たな金融サービスの提供が活発に行われていない現状があるということではないかと思います。

柏木委員からもご説明がございましたけれども、伝統的な銀行の業務範囲の制約というのもこの一因になっているのではないかということでした。こういったことを考えますと、近年の環境は非常に大きく変わってきておりますので、業務範囲規制が足元の環境に即したものとなっているか、点検、見直しの検討をすることが必要になっているのではないかという問題意識からお話をさせていただきます。

次のページ以降は、例えばいわゆるバーチャルモールの例をとりまして、アメリカの動向がどうなっているか、これがアメリカではどう認められているか、日本についてはどういうふうなことが制約になっているかについて、1つの例としてお話をしたいと思います。アメリカにつきましては、ここにございますように2000年代の初頭にネット決済ビジネスの強化を目的として、米銀がバーチャルモールの運営に参入をしている。ここでお示ししておりますように、例えばCitiとかはボーナスキャッシュセンター、Wells Fargoにつきましてもこういった新しいビジネスが始まっているということで、米銀についてはこういったバーチャルモールの運営を実際にやっているという状況でございます。

これはどういうことで認められているのかということを少し調べてみました。アメリカでは、2000年代の前半にネット決済ビジネスの環境変化を踏まえまして、いわゆるFinder Activityというのが銀行業務に認められているわけです。ファインダー業務というのは、この注のところにありますように、潜在的な売り手と買い手の発掘や、関心の有無に関する照会、それから売り手と買い手の引き合わせ、取引の場の提供というようなことでございます。こういったものの一環として、銀行によるバーチャルモールの運営が解釈上認められたということでございます。このファインダー業務に付随する業務として、こういったバーチャルモールが従事可能であるということが整理されているということでございます。

その下のほうに英語でお示ししてありますのは、OCCという監督当局の解釈ということでございます。上のほうは、そういったウェブとのリンクを張るということはできるということでございまして、下のほうはさらにそういったことに限られた範囲ではあるけれども、いろいろな情報を提供していいというようなことが書いてございます。こういった個別解釈のもとでバーチャルモールの運営が認められているということのようでございます。

一方で、我が国につきましては、銀行法上、こういったバーチャルモール、電子モールの運営というのは、明文上の規定はもちろんございませんので、同業務の可否というのは明らかになっていないということです。今はできない状況になっているということでございます。

その次、ただし、こういった米銀ではバーチャルモールの運営をしておりますけれども、もちろん、そこにおいてはいろいろな留意点があり、日本で考えていく場合も検討していく必要があるというように思います。その点をここに少し記載しておりますが、ネットショッピングモールの運営というのは、当然銀行の健全性へのリスクを限定できる範囲で定義する必要がある。商取引そのものというのは当然禁止をするということでございますので、銀行のやることは、取引の場の提供であって、商取引そのものではないということでございます。

ネットショッピングモールの運営者の責任に関しましては、経産省で電子商取引及び情報財取引等に関する準則というのがまとめられていまして、そこで一定の整理がなされています。例えば、購入画面にモール運営者が売り主でないときちんと書く、取引の場を提供するということをきちんと記載するということによって、例えば商品の欠陥があるといったような場合には、モール運営者ではなく、実際にそれを出しているお店の方が責任を負うということで、モール運営者は責任を負わないということを記載することが責任分担上必要になるという整理がされております。

先ほどお話しいたしましたが、アメリカでは銀行業務としてFinder Activityが認められ、それに付随する業務としてこのバーチャルモールができるようになっているわけでございます。ほんとうにそれは銀行本体でやっているようなんですけれども、実際にネットショッピングモールが将来発展していくこととか、日本独自の発展の可能性などを考えると、アメリカと同じような定義がふさわしいかどうかについては十分検討する必要があるのではないかと思います。やはりリスク遮断というのは非常に重要だと考えますので、例えば銀行持株会社の子会社、銀行の子会社といった子会社に限定するということも必要になってくるのではないかという留意点を記載してございます。

では、次に、銀行の決済に係るオープンイノベーションについてお話を進めてまいりたいと思います。先ほど柏木委員からもご説明ございましたけれども、私も銀行のオープンイノベーションというのはこれから非常に重要であると考えております。今回スタディ・グループで海外の動向なども伺いまして、この国際競争力の観点からも、これを進めていくということは重要ではないかと考えております。

ちなみにこの11ページ以降については、日本企業全体のIT投資について記載したものでございます。これは、経産省の「稼ぐ力」創出研究会の資料でございます。左側を見ていただきますと、日本のIT投資というのは、ほかの諸外国、先進国と比べても、それほど投資額自体は低い水準ではないことが見てとれます。ところが、その内訳を見ますと、これは右になりますけれども、運営という支出の内訳が圧倒的に8割ぐらいを占めておりまして、変革とか、成長というものが非常に少ないことが見てとれます。これは日本企業全体の動向でございます。

それから、次のページをご覧いただきますと、これは日本企業と米国企業を比較いたしましたIT投資の動向でございます。日本は、どうしても守りのIT投資が多い。右側を見ますと、アメリカのほうは攻めのIT投資が多いということが、これでもよく見えます。ちなみに弊社の野村主任研究員が米銀の動向で、攻めのIT投資が60%ぐらいになっているというお話をさせていただきましたけれども、やっぱり多分日本の銀行を見ても、おそらくデータはございませんけれども、守りのIT投資の部分のほうが多い可能性があるのではないかなという感じを持っております。

オープンイノベーションの重要性というのは銀行に限ったことではない、日本企業の大きな課題だと考えております。特に、IT分野を中心に技術革新が加速する中、従来の自前主義から企業間の連携を強化した形でのオープンイノベーションというのはアメリカでは非常に活発化しておりますけれども、日本ではなかなか進んでいないということです。もともと日本でもございましたけれども、それがうまく機能していないという感じを持ちます。

ちなみに、アメリカのコーポレートベンチャーキャピタルの投資動向につきましては、2000年代にかけて非常に大きくなっているというのが左側の図表でございます。

それから、コーポレートベンチャーキャピタルの投資先の内訳を見ますと、右側になりますが、通信とか、ITサービスとか、ソフトウエア、コンピューター及び関連機器といった、やはりIT関連のものが多いということが見てとれて、それが彼我の差を生んでいるというところがあるのではないかと思います。

次のページは、海外の銀行のオープンイノベーションの動向でございます。これも、先ほど柏木委員からも幾つかの事例の紹介がございました。私もこれら全部を承知しているわけではございません。米銀や欧州の銀行でITなどや、IT技術の取り込みなどを目的としたベンチャーへの出資や買収がどのぐらいあるかということを少し拾ってみたものでございまして、かなり欧米では活発に行われているらしいということがこの表だけでも見てとれます。やはり、2000年代の後半から足元にかけて非常にそういった動きが加速をしているという感じを受けます。

次のページですけれども、それでは、欧米で業務範囲規制はどうなっているのかということを見たものです。アメリカでは、金融持株会社につきましては、銀行持株会社よりもより広い範囲の本源的金融業務または付随業務というのを容認しております。そして、金融持株会社については、当局の個別認可を得て金融業務の補完的業務に従事するということも可能になっているということでございます。

この個別認可を得て金融業務の補完的業務に従事することも可能というところでございまして、こういう形で個別認可で柔軟に認めていく枠組みがあるということがここで申し上げたいことでございます。マル1のように、本源的金融業務、またはこれらの金融業務に付随する業務というのがまずございます。銀行につきまして、銀行持株会社についてもありますし、金融持株会社についてもございます。ここついては、金融持株会社は銀行持株会社より、より広い業務を認められているんですけれども、金融持株会社に関しましてはマル2のところで金融業務の補完的業務ということで、各行の個別申請を受けてFRB、これは中央銀行である連邦準備制度が金融持株会社の監督をしておりますけれども、ここが個別に認可をするということで、こういったものに参入したいとか、5%以上の議決権を保有したいといったときには、FRBに認可申請をするという仕組みになっております。FRBは、それが銀行業務の補完と言えるかどうか、それから、当該業務が銀行の健全性や金融システムの安全性にリスクを及ぼさないかという点を個別に審査して、認可をするというような仕組みになっているということのようでございます。

こういった形になっていて、また、申請する場合にはいろいろなことを申請の際に出さなければいけないのですが、競争条件はどうなのかとか、利益相反はどうなのかとか、そういったことについても申請の際に書いて出さなければいけないというような仕組みになっています。ですから、いろいろな点を考慮して、FRBは、特に新規業務が補完的か、金融システムの安定にリスクを及ぼさないかということを個別に審査して認可をしているようでございます。

アメリカについては、いわゆる5%ルールというのがございまして、それの例外として認める形になっているわけですが、EUについては5%ルールというのはありません。業種に関係なく、一般事業会社の議決権を100%まで取得・保有できるということになっておりますけれども、自己資本比率規制上制約がありまして、1社当たりの当該銀行の総自己資本の15%を超える、または幾つかの条件の場合のみが認められるという形で、自己資本比率規制上で制約をするというつくりとなっています。

ですから、他業リスクというのは、自己資本比率規制を満たしていれば健全性に問題が生じないという考え方でやっているというのがEUの考え方のようでございます。

日本の場合どうかということで、日本の子会社の業務範囲規制の課題ということですが、日本の場合は、銀行子会社の業務範囲というのは限定列挙方式という形になっておりまして、欧米と比較するとやや柔軟性・拡張性に欠ける枠組みとなっています。最近になって若干柔軟に認められるようになった枠組みもあるんですけれども、やはり限定列挙という形になっていますので、限定列挙された業務以外は一切営んではなりませんし、それから、その都度、その都度、改正を要するということなので、技術革新のスピードについていきにくいという状況になっているというように思います。

金融業界の世界的なオープンイノベーションの流れを踏まえますと、今後邦銀でも決済高度化という観点からベンチャーなどへの出資を検討する局面も出てくるというふうに考えられるんですけれども、それが限定列挙された業務に該当するとは限らないということで、仮に該当しない場合には難しくなってしまうので、ここについて点検、見直しが必要なのではないかと思います。

ただ、17ページに参りまして、銀行業であるということに関していろいろな留意点があるということだと思います。銀行の健全性に及ぼす影響については、きちんとそういうことがないように配慮する必要があるということだと思います。そういう意味では、投資可能額に上限を設けるとか、限定列挙業務以外の業務のリスクの性質とか大きさなど、またはシナジーの有無とか、そういったことを個別に検証する仕組みが必要なのではないかと思います。

そういう意味で、アメリカの個別に認可するというような仕組みも含めて、スピーディーにどのような対応ができるかということ、それからリスク遮断についてどういうふうに考えていくかということ、こういったことを考えながら検討していく必要があるのではないかと思います。

最後に、決済業務等に関する銀行間の協働・連携ということで若干お話をしたいと思います。ご承知のとおり、次のページを見ていただきますと、地域別の人口動態というのが非常にこれから大きく急速に変わっていき、生産年齢人口も大きく変わっていくということが予想されているということでございます。ですから、こういったところで、地銀などにつきまして、コミュニティーバンクも含めて、いろいろとこれから効率化を図っていったり、収益を上げていくということを考えていかなければいけないということがございます。

20ページは、地銀がこのように再編が進んでいるということを幾つかの例をお示ししております。最近はそれが加速化しているということをお示ししております。

それから、21ページにつきましては、コスト構造ということで、必ずこうだというわけではありませんが、地方銀行の規模と営業経費率の関係を見ますと、規模が大きいところと小さいところでは経費率の違いがあるということで、こういったことについて、人口減少やビジネスの市場縮小ということを考えると、いろいろなことを考えていかなければいけないと思います。

そういう中で、22ページになりますけれども、今後、地域金融機関などでは、統合とか、そういうことだけでなく、いろいろな――決済だけではないかもしれません、決済関連事務とここには書いておりますけれども、いろいろな事務の合理化というのを進めていくということが必要になると思います。コスト構造を見直ししていくということが活発になる可能性があるのではないでしょうか。

例えばここに書いたように信用金庫の手形管理業務の共同化などもございますけれども、こういうことを考えますと、例えば銀行がほかの銀行の事務をやるということとか、その事務の効率性、弱み、強みといった金融機関間の違いがありますので、そういった事務関連業務とかを受託するということもできるようにしていくということも考えていってもいいのではないかと思います。

これを考えますと、現行規制というのが銀行間の事務受託の制約になっていないか、こういったことも将来を考えると検討しておいてもいいのではないかと思います。収入依存度規制というものもありますし、受託可能な事務ということも、決済高度化ということを考えますと、いろいろ検討しておいてもいいのではないかなと考えております。

以上が現場の環境の変化を考えた業務範囲規制の論点ということで、幾つかお示しをさせていただきました。ご清聴どうもありがとうございました。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、自由討議に移りたいと存じます。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。牧野委員、どうぞ。

【牧野委員】

全銀協の方にお伺いしたいのですが、16ページ目に書かれている、一番下のXMLの対応という形で、第3回の中島教授のほうも言われていましたが、今実際XMLというのが使われていない現状で、今後対応推進の検討とここに課題として挙げられておりますが、具体的に今進めようとされている話をもう少し詳しく教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【岩原座長】

では、柏木委員。

【柏木委員】

それでは、柏木のほうからご回答させていただきます。お配りしている資料1-2、「全銀システムのあり方に関する検討結果について」に関し、今日ご説明したのは主に前半の稼働時間の拡大についてでございますが、6ページ以降に金融EDIの活用についても記載しております。全銀協・全銀ネットといたしましても、金融EDIの活用を積極的に進めていこうということで、さまざまな活動をしております。

1つは、国内のニーズ調査を行いました。その中で、ニーズはあるという声もある一方、課題も幾つか浮き彫りになってきているということでございます。

それから、おめくりいただきまして8ページにあるとおり、流通業界との間で、実際にASPサービスを使って共同システム実験の形でデータを流してみるということも行いました。このスキームは機能しまして、効果も出ているということが確認されたわけでございます。

今後の対応については、9ページにまとめてございます。今申し上げたニーズ調査や共同システム実験を通じて効果が明らかになった一方、先ほど申し上げました課題も浮き彫りになっておりまして、こういった課題を踏まえて解決していかないといけないと考えております。これは実は銀行界、あるいは全銀協、全銀ネットだけで解決できるような問題でもないので、流通業界をはじめとする各業界団体、あるいはシステムをつくっていらっしゃるEDIとか会計のシステムベンダーの方などとも協働して、検討をもう少し深めていかないといけないということでございます。

具体的には、金融EDIの活用に向けた検討ということで、商流のEDIというのは既にございますので、それと決済情報をどう紐付けるかという話。それから、当然これはかなりのコストがかかる話になりますので、費用対効果や、それを誰が分担するのかということに関して実現可能なスキームを検討していく。それから、現在の商流のEDIというのは業界ごとにばらばらとお聞きしております。これはアンケートでも出ているのですが、これがばらばらのまま一緒にするというのはなかなかつらいというお声もいただいているということで、産業界における商流のEDIの業界横断的な標準化に向けた対応という課題が現時点でわかっております。

こういうものを含めて、先ほど申し上げたとおり銀行も含めて各業界において、引き続き検討していくということで考えている次第です。以上です。

【岩原座長】

よろしいですか、牧野委員。

【牧野委員】

はい、ありがとうございます。

【岩原座長】

ほかに。小野委員、どうぞ。

【小野委員】

ご報告ありがとうございました。2点質問と、1点意見を申し上げます。質問ですけれども、1点目は、柏木委員の資料の6ページで、商流全体を捉えた決済業務の高度化が必要であるということで、そのときのキーワードとしてフリクションレスということをおっしゃっていました。逆に言うと、何か現状、商流においてフリクションがあるというご認識があって、そこを何とかしなきゃいけないということだと思います。先ほど出たEDIもその1つの例かもしれませんけれども、何が決済においてフリクションになっているのかという具体的な事例をご教示いただければというのが、1点目の質問です。

2点目の質問ですけれども、翁委員の資料の8ページで、ファインダー業務についてご説明いただきました。最初にこれを伺ったときに私がぱっと思いついたのは、日本のビジネスマッチングでした。これは翁委員にお伺いするのがいいのか、事務局の方にお伺いするのがいいのか、わからないんですけれども、仮にファインダー業務がビジネスマッチングと似たような業務であると考えられるとすると、ビジネスマッチングというのは現行規制上どのように位置づけられているのか、ここで言っているバーチャルモールでのファインダー業務とビジネスマッチングとで規制上の取り扱いが違う─―つまり、今日の翁委員のご発表だと、現行の銀行法上は可否が必ずしも明らかではないということですので――のは、何がネックになっているのかを教えていただきたいというのが2点目の質問になります。

それから、1点、意見ですけれども、今日は、業務範囲規制についてそれぞれの委員の方からご報告いただきました。業務範囲をどこまで認めるかということについてはリスクとリターンとの見合いでどう考えるかということですので、個別具体的にこれから深堀りしていかなければいけないんだろうと思います。それとは別の観点として、これは柏木委員から最後にご指摘がありましたけれども、現行規制上、流通系の事業者などが銀行ビジネスを展開することは認められていますが、そのときの規制上の取り扱いと、銀行が商流のほうに出て行こうとするときとの取り扱いが非対称になっているという問題があります。これについては、本来対称的にすべきだろうと思いますし、それは銀行が決済業務を展開していくときにどこまで商流のリスクをとっていいかを認めるかという問題いかんにかかわらず、おそらく対称であるべきだろうと思いますので、その点の検討も忘れずにする必要があるのではないかと考えます。以上です。

【岩原座長】

それでは、ご質問の第1点について、柏木委員。

【柏木委員】

フリクションの事例でございますが、これは心理的なフリクションもありますし、物理的なフリクションもあるかと思います。今お話がありました点は、そのとおりでございまして、法人取引においては、先ほどXMLのところで申し上げましたが、例えばEDIなどを考えるときに、ERP、企業のシステム、あるいはパッケージでやっているところもあると思いますが、そういうところと決済をいかにつなげていくかという話もあると思います。

それから、個人で申し上げれば、例えばリアルの店舗の場合、今ですと、お店に行ってお財布を出して、その中からカードを出して、暗証番号を入れて、あるいはサインをしてという――クレジットカードの場合ですね、あるいは現金を出して、そのためにATMでお金を下ろしてということで、いろいろなことをやらないといけない。例えばそれが生体認証ですとか、そういうものでスムーズな世界が来れば、もう少し簡単にできるようになります。

あるいは、今のはリアルな話でしたけれども、バーチャルな世界においてもショッピングモール等で決済をするときに、なるべくお客さまがスムーズに決済できるよう、銀行もさまざまなことを考えていかないといけないのではないかということが、事例としてはあるのではないかと思います。

【岩原座長】

それでは、第2点については事務局のほうからお願いします。

【安藤総務企画局企画課信用制度参事官室企画官】

では、第2点目についてお答え申し上げます。現在のコンサルティング業務がどういったものか、位置づけがどうかというご質問が最初あったと思います。これにつきましては、銀行法の第10条第2項でその他付随業務というのが位置づけられておりまして、具体的には実は監督指針のほうに規定がございます。そこにはどう書かれているかと申し上げますと、「銀行が従来から固有業務と一体となって実施することを認められてきたコンサルティング業務、ビジネスマッチング業務、M&Aに関する業務、事務受託業務については、取引先企業に対する経営相談、支援機能の強化の観点から、固有業務と切り離してこれらの業務を行う場合も、その他の付随業務に該当する」ということで、付随業務に該当するということでございます。

翁委員がご提案になったファインダー業務、これにつきましてはECサイトに係るビジネス関連ということでございますので、現行の銀行法に照らし合わせて見ますと、恐らく銀行の固有業務に関する付随業務には該当しないのではないだろうかというところでございます。

【岩原座長】

よろしいですか。小野委員。

【小野委員】

済みません、ちょっと追加で。私、法律はよくわからないところがあるんですけれども、お伺いしたいのは、要はECサイトを使うケースとリアルのケースとで規制上の取り扱いが違うということですが、取引企業同士の出会いの場をつくるという本質においては、あまり変わりはないように思うんです。そのときに、ECサイトであれば付随的に何かリスクが高いので認めないというロジックであればわかるんですけれども、そうなっていないのは何か理由があるんですかということをお尋ねしたいんですが。

【岩原座長】

それでは、中島参事官。

【中島総務企画局参事官】

まさにECサイトをどうやって取り扱うかというのは、そういうところの議論をするためにこういうワーキングというか、スタディ・グループがあると思うんですけれども、これまでの取り扱いというのが、事務局から説明したように、ある程度限定したところでコンサルティング、マッチングということをやってきたというのが実態であります。じゃ、今まさに新しいイノベーションでECサイトが出てきたときに、これをどう取り扱うか。我々の立場からしますと、なし崩し的にどんどん認めるというよりは、やはりここはしっかり議論の整理をしてから対応すべきだというふうに考えておりますので、引き続き議論させていただきたいと思います。

【岩原座長】

よろしいですか。

それ以外の……森下委員、どうぞ。

【森下委員】

今の小野委員のご質問の点に関連してなんですけれども、私も同じような印象を抱きまして、付随業務に関する監督指針では、おっしゃられたようにビジネスマッチング業務なども挙げられていると思うのです。それと同時に、総合考慮する4つの要素というものもあって、既存の業務に準じるかどうかということですとか、過大ではないか、リスクが同質ではないかどうか、あと余剰能力を活用しているかどうかというような、4つの要素を総合的に判断しています。

必ずしも1つが欠けたから直ちにだめだということまで考えられているわけでもないとは思うのですけれども、ビジネスマッチング的なものをウェブ上でするということについて、従来の銀行業務に準じているかというと、そこはどうかなという部分があるかもしれませんけれども、ビジネスマッチング業務と類似するという見方もできるかもしれません。また、過大なほどモール・ビジネスをやるということであれば、また別でしょうけれども、そうではなく、銀行が運営しているサイトの余剰スペースを使ってそういった業務をしますという程度であれば過大でもなく、余剰能力活用といえるように思います。

あとは、モールを運営することでどういったリスクを負うかという点ですけれども、モールでビジネス上の情報を提供するということについて、翁委員からのご報告にもあったように、情報提供者がサービス提供の主体であると誤認されるとかいう形で、情報提供していることによる固有の大きなビジネスリスクが発生するというのですと、それは問題かなとは思うのですが、情報提供するだけであれば、さほど大きな法的なリスクを負担することはないと思います。

ということになると、4つの要件に照らして、ものすごくハードルが高いというほどでもないのかなという印象を抱きながらお話をお伺いしたのですけれども、もしその点について事務局なり、ほかの方からご意見があれば、ぜひお伺いしたいと思います。

【岩原座長】

事務局サイドで何かコメントがありますでしょうか。池田局長、どうぞ。

【池田総務企画局長】

この点については、先ほど中島参事官のほうからお答え申し上げように、まさにこの問題をどう考えていくかということをこれからこのスタディ・グループで考え方を整理いただく、また、いただけるよう我々も検討を進めていきたいと思います。

今ご質問で、ビジネスマッチングとの比較という切り口からご質問をいただいたわけですけれども、伝統的には銀行とコマースの分離というのが、ご存じのように制度的には古くから我が国の制度には存在しております。ただ、eコマースが、伝統的なコマースと同じかというと、結びつけているという側面が強く、小野委員がおっしゃったように、それはマッチングとあまり変わらないのではないか、付随業務として認められているマッチングとそう変わらないではないかというのが、1つの考え方としてあり得るのだろうと思います。

他方、eコマースで現実に行われていることは、今別に銀行がやっているわけではないんですけれども、eコマースとしてやられていることが厳密にマッチングだけかというと、必ずしもそうでもないビジネスのやり方もあり、それは消費者の方にタイムリーに物が届くようにモール運営会社自身で、あるいはその関係のところで一定の在庫を持たれるとか、そういうケースもないわけではないと思います。

じゃ、そういう在庫みたいなものは否定してマッチングのところだけ認めるのかということになると、今日もおそらく翁委員からもあったように、これからのいろいろな発展性を考えたときにファインダー業務の延長で整理するのが果たして建設的なのか、どうなのか。そうしたことも含めて、このeコマースの今後の可能性なども含めてどう考えていったらいいのかというのを、私どもとしても考えていきたいと思いますけれども、ぜひスタディ・グループの委員の皆さんにも問題提起をさせていただいて、議論をいただけるように整理をしていきたいと考えています。どうかよろしくお願いしたいと思います。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

では、森下委員、どうぞ。

【森下委員】

ぜひ、この機会に教えていただきたいのですが、モールをああいう形で運営することによって、実際モール関係者というものはどういったリスクを負うものとして理解されているのか。おそらくアメリカでも、ひょっとするとそういった議論はあるかもしれませんし、既にモールビジネス等を展開されている業界の委員の方は、そういったビジネスに進出することによって負うであろうリスクということについてのお考えとかご経験というものもおありかと思います。

もし、よろしければ、そういった点について何かご存じでしたら、お伺いできれば、その後の議論の発展に資するのかなと思いますが、いかがでしょうか。

【岩原座長】

ただいまの問題提起、どなたか参加者でお答えいただける方、いらっしゃいますでしょうか。

古閑委員など、いかがですか。

【古閑委員】

一口にモールといっても、先ほど池田局長からご指摘があったとおり、いろいろなやり方があると思いますので、どこまでやるのかというところ次第かと思います。どこまでやるかということがそのモールがはやることの差別化にもつながっていくので、これも完全に戦略の問題だと思います。

私どもについても、第5回のときにご紹介をさせていただいておりますけれども、例えば補償みたいなものを設けたりですとか、あるいはやっぱり安心してモールに訪れていただけるようにある程度パトロールをしたりですとか、さまざまなコストはかけておりますので、そういったことをどこまでやるのか、やらないのか。

これがモールという定義があるわけでもございませんので、あくまでも本当にケース・バイ・ケースになるものと存じます。

【岩原座長】

ありがとうございます。ほかに何かご指摘ありますでしょうか。

戸村委員、どうぞ。

【戸村委員】

今の一連の議論に追加する形で、私も感想と質問をさせていただきたいんですが。まず感想からいきたいんですが、私の発言は翁委員の7ページ目に関連するところです。翁委員がおっしゃられたように、決済に親和性の高い業務に銀行が出ていくということは原則として認めるほうが効率性は高まるのではないかと思います。独禁法上の課題は、もしかしたら出てくるかもしれませんが、原則としてはそういう活動があってもよいかと思います。

その問題意識を前提にして質問なんですけれども、そういうふうな金融と、もしくは決済と、物流と、ITのプラットフォームのサービスを統合的に提供するやり方としては、事業会社が親会社になって銀行子会社を持つという形が現存しております。例としては、楽天や日本郵政グループもそうではないかと思うんですが。ここで基本的な点について翁委員、もしくは事務局に対して質問です。

例えば都市銀行の1行が日本郵政グループのような形で、銀行持株会社の上に親会社をつくって、物流、IT企業と並列した形で銀行持株会社を子会社として持つということは可能なのでしょうか。難しいのであれば、障害となる法規制、もしくは実務上の課題は何なのかというのが質問です。最後に問題意識をつけ加えたいんですが、銀行持株会社が事業会社を子会社として持つと、どうしても翁委員ご指摘のように事業リスクへのエクスポージャーが問題になると思いますが、事業会社が銀行を子会社として持ったほうが、金融システムの安定性という観点からは銀行のリスクエクスポージャーが減るので、そちらのほうが望ましいと思います。

そういう意味で、都市銀行が日本郵政グループのようなビジネスモデルをやろうと思ったときに何か課題があるのであれば、教えていただきたいというのが質問です。

【岩原座長】

それでは、池田局長。

【池田総務企画局長】

まず、前提として申し上げたほうがいいと思うのは、今事業会社が銀行を持つケースについてありましたが、そこは誤解なきように言えば、全く規制がなくて認められているわけではございません。銀行法上、主要株主規制というのがあって、20%以上銀行の株を保有する場合は、それについて認可が必要で、認可をするしないを判断する際には、その主要株主が適切な方かどうかということは財務上等も含めてチェックするとともに、その親会社から銀行業務がゆがむような圧力等がかからない、あるいは利益相反関係が排除されるような枠組みがちゃんと整備されているかということを点検した上で認可をしています。

ですので、そういう方が親会社であるから、その人の意のままに銀行が動く、いわゆる機関銀行化しないように手当てをしながら主要株主の認可をしているということなので、銀行を持つから、その事業会社の意のままに銀行が運営されることが認められていることではないということで、まずあると思います。

他方、では、銀行が持株会社を持って、その傘下に何でもおさめて業務をやることが適切かどうかということについては、基本的な銀行法の考え方は、預金保険制度などでカバーされる銀行の経営の健全性を確保する等の観点から、基本は銀行とあまりにも異質なリスクが銀行業務の中に混在しないようにということは、基本的な視点として押さえられているということであると思います。ですので、少なくとも従来の考え方に立てば、銀行業務とあまりにも異質な業務は、その中に入れるということは法律上認められていないということであって、先ほど言いましたように、ほんとうの伝統的なコマースみたいなものを銀行でやるということは、我が国の法制上は長く認めてきておりません。

ただ、おそらく今日の翁委員、あるいは全銀協のほうからいただいているお話は、銀行業務とシナジーが発揮できるような領域、あるいはそこに決済など、今後も成長性が見込まれる分野について、今の取り扱いでいいのかという問題提起をいただいていると理解をしております。ですので、銀行業務とシナジーも期待できない全く異質なものを傘下でやるべきだというご提案ではないと理解していますし、もし仮にそういうご提案だと、今の銀行法の枠組みとは相当違う、極めてハードルが高いことかと受けとめております。

【岩原座長】

ありがとうございます。よろしいですか。

それでは、安田委員、その後で堀委員、お願いします。

【安田委員】

戸村委員からの質問があった翁委員の資料、7ページに関連してなんですけれども、このCiti Bankともう一個例に挙がっていて、2000年代初頭はちょうど私自身も留学して北米にいて、ちょうどCiti Bankのカスタマーだったんですけれども、一度もこのサービスは使ったことがなかったです。存在を知らなかったんです。実際にこういった銀行がネット上でモールを開いて、それがどれぐらい成果を上げたか。つまり、金額ベースで見て、例えば同じネットビジネスだと、例えばぱっとamazonとかが思い浮かぶんですけれども、それと比べてどれぐらいの規模なのかということです。

あと、仮にある程度親和性が強いのであれば、いち早くこういったモールを開設した銀行に顧客増が見られたのかとか、どれぐらいリアルなインパクトがあったのかというのをもしご存じでしたら、教えていただきたいです。多分サービスをスタートして、2000年代初頭ということはもう10年以上たっているので、何らかのデータもあると思うんですけれども、ご存じでしたら教えてください。

【岩原座長】

翁委員。

【翁委員】

実際にはまだちょっとデータまでございません。ただ、多くの銀行が参入していることは確かなんですが、やめているところもあります。ですから、amazonとか、そういったガリバーなところは幾つもございますので、そういう意味で収益性がすごく高いかというと、それほどでもない可能性もあるのではないかと思います。

ただ、そこはもう少し調べてみないとわからないので、今日のところでは幾つもの大きな銀行のモールの存在自体は確認しておりますが、実績についてはまだこれから確認しないとわかりません。

【安田委員】

どうもありがとうございます。付随して1点だけコメントなんですけれども、仮にアメリカの事例としてデータを見ても、サイズ的に銀行のモール営業というのが大きな収益を上げていなかったとしても、それはたまたまアメリカでamazonのようなガリバーがいて、うまくいかなかっただけかもしれないので、日本でやった場合に、日本でもうまくいかないということは意味しないわけですね。

一般にこのモールビジネスは、僕の専門としている経済学とかゲーム理論でいうとプラットフォームビジネスとか、トゥーサイディッドマーケットと専門用語でよく語られるんですけれども、通常の古典的な、要は生産者が消費者に物を売るというのと大分違ったビジネス形態だということが知られていて、一番大きい特徴は、これはおそらく古閑委員とかはまさに専門だと思われるんですけれども、非常に規模の経済みたいなのが働きやすい、先行者利益が発生しやすい。

それは、あるモールに買い手がばっと集まると、売り手がどんどん参入する。売り手が増えると利便性が高まるので、また買い手が参入するという形で、ネットワーク効果とかも言われるんですけれども、それが働きやすいマーケットなので、最初にある程度の規模、クリティカルマスに達するようなモールが出現すると、ここになかなか太刀打ちできないという構造になっています。

これが銀行が仮にこうしたモールを日本で運営した場合に、そういった閾値に達するかというのは先のことなのでわからないですけれども、その点を少し考慮するのであれば、現状法律的、制度的にグレーゾーンで、銀行がそういったことをやっていいかどうかわからない状況だとすると、将来的に銀行も積極的にモールビジネスをアメリカのようにやっていいという状況が仮に日本でも起きた場合に、あらかじめ何年後に解禁されるということをアナウンスしないと、ぽっと運良く始めたところが――どこの銀行が始めるかわからないですけれども、大きいシェアを獲得して、その後、ほかの銀行が全く入れないということが起こりかねない。ですので、仮に日本で法制度を変える場合には、そういったタイミング、アナウンスをいつして、どれぐらいのスパンで認めるかということを少し留意したほうがいいかもしれないなと、素人ながら思いました。

【岩原座長】

それでは、堀委員。

【堀委員】

済みません、少し戻ってしまいますが、戸村委員のご質問をお伺いしていて少し思いました点を申し上げます。銀行もその上に事業会社を持てば、その傘下の子会社がいろいろなことができるのではないかという観点でご意見をいただいたところだとは思うんですけれども、事業会社の下で銀行が存在するケースの場合には、確かに銀行以外の子会社のほうでどのようなビジネスをやっているのかということについては特に規制がない状況です。

つまり、事業会社には主要株主規制はかかりますけれども、また、銀行の傘下にある銀行グループについては銀行法上の業務範囲規制がかかりますけれども、事業会社の持っているほかの子会社については特に規制がなく、そこと連携することでいろいろなビジネスのチャンスがあるという点は、非常に事業会社が銀行を持つメリットがあるところだろうと感じております。

他方で、銀行グループには業務範囲規制がある以上、子会社として持てる会社が決まっているので、グループ外のところと連携を模索していかなければいけないというのが、現状の、先ほど小野委員からもありましたけれども、対称でない部分があるという点だと認識しております。

ただ、翁委員の資料の6ページ目に、我が国の伝統的な銀行からは必ずしも新たな金融サービスの提供が活発に行われていないとありますように、既に伝統的な銀行として存在する銀行が事業会社を新たにつくるというのはなかなか現実的ではないと思います。また、むしろ事業会社の下に入っているのは楽天銀行や、ネット銀行など、新しい形での銀行だというふうに理解しておりますので、伝統的な銀行でもいろいろな連携を模索するという意味では、銀行の子会社の業務範囲規制を少し広げるという可能性を認めるということは、非常に意義があることではないかと感じております。

また一方で、翁委員の整理を拝見しておりまして、銀行の子会社の業務範囲規制のほうにむしろ重点が置かれたご要望だと理解したのですが、銀行自体も業務範囲を少し広げたいという要望があるのではないかと感じているところもございます。それで、前回、そこで承認という形で、例えば今銀行法に列記されている業務、あるいは付随業務というふうに明確に整理できないものでも、銀行業務に親和性のあるもので、これはやってもいいのではないか、リスクが少ないのではないかという業務を銀行が行いたいというときに、その道を開くということは認められてもよいのではないかと感じているところです。

銀行の業務範囲規制をどう広げるのか、広げないのかという議論と、銀行子会社の業務範囲をどのようしていくのか、この両面から議論をしていくことは、今後のあり方を考えるに当たってよろしいのではないかと思いまして、つけ加えさせていただきます。以上です。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょう。

松井委員、どうぞ。

【松井委員】

詳細なご報告をありがとうございました。大変勉強になりました。翁委員に1点ご質問と、1点、若干のコメントです。

先ほどから話題になっておりますとおり、8ページなどで、欧州では金融機関が事業会社も持てるということが示されておりました。アメリカにせよ、あるいはヨーロッパにせよ、金融機関が事業会社を保有できる状況になっていたり、事業会社がすべき活動に参入をしやすい状況になっていたりするのにはどういう背景があるのでしょうか。そもそもこの点について、過去に何か議論があったのでしょうか。

日本の場合、先ほど池田局長からもありましたように、機関銀行になってはいけないとか、あるいは過剰なリスクを金融機関がとってはいけないということがあり、それには相応の歴史的な背景があって、だからこそ最初からリスクを遮断しておくという政策判断をしたわけです。

翻って、ヨーロッパやアメリカを見たときに、事業活動に金融機関が入っていく余地を認めるについては、日本にあったような問題意識は存在したのでしょうか。あるいはそのような意識はなかったのでしょうか。仮にあったのだとしたら、そこをどう克服して今のような制度になっているのでしょうか。もしおわかりになれば、そのあたりのお話を伺えますと幸いです。

それともう一点、今の点に関連するコメントです。先ほどマッチングビジネスの話との関連で、それはその他付随業務としてやっているというお話でした。取引先企業等に対するサービスの一環としてやっているというご説明をいただいて、私は、今の日本の銀行法のスタンスからすれば当然であるし、なし崩し的になってはいけないというのも、おっしゃるとおりだと思います。

ただ、今回なされている議論は、銀行が決済業務を高度化し、あるいはサービスを高めていく中で、戦略的に新しい事業をやろうという話ですから、明らかに今までの銀行法のスタンスとは違ってくるのだと思います。もし、ほんとうにこの問題を考えるのであれば、これまでの銀行の固有業務や付随業務の範囲をどう考えるかというレベルではなくて、従来の銀行法のスタンスそれ自体を変えてしまう可能性すらがあるかもしれません。つまり、新たなカテゴリーをつくってしまう可能性もありうるのだ、という前提で問題を考えていかないといけないのではないかという気がしております。

単純に業務範囲を拡大するという話ではなく、日本の銀行法のスタンスが変わってくるのではないかということですと、私自身は少し慎重に考えたいとも思っております。もちろん、およそ新しい事業をやるのはまかりならないという話ではなく、そういう問題が法的にはあるのではないかというお話がございます。

【岩原座長】

松井委員からのご質問がありましたので、それに対する答えについて、まず、翁委員からお願いします。

【翁委員】

まず、欧州につきましては、先ほどご説明をいたしましたように、ユニバーサルバンクであり、かつ、こういった事業会社の株式保有についての規制というのはございません。そういう意味では、日米とは違う考え方をとっているということはご説明したとおりです。ですから、他業のリスクを日米では業務範囲規制で事前に排除するという考え方ですけれども、EUは、銀行について他業リスクについては、自己資本比率規制を満たしていれば、ある程度健全性についての問題は生じないということで、ですから、あまり産業支配とか、そういうところについての議論が日米よりは少ないということだと思います。

一方で、アメリカにつきましては、この金融持株会社でこういったものが認められましたのは1999年のグラムリーチブライリー法というもので金融持株会社が創設されまして、そのときにいろいろな業務範囲の拡大が認められたということでございます。このときにつきまして、アメリカは、先ほどもお話ししましたけれども、5%ルールというのがございますので、それの例外としてこの金融持株会社について5%超でも認められるというものが幾つかございます。このほかにも、マーチャントバンキング業務とかございますけれども、マーチャントバンキング業務につきましても一定の範囲で経営関与を禁止するとか、銀行の自己資本の一定程度までとか、投資期間の限定とか、そういったものでやっております。

それから、これの個別に認定するやり方があるということで今日ご紹介をいたしましたけれども、FRBに申請をするときに提出すべき事項としていろいろなことが書いてございます。もちろん、金融システムの安定性についてどうなのか、リスクはどうなのかというようなことに加えて、コンフリクツ・オブ・インタレスト、利益相反とか、アンフェアなコンペティションを生まないかどうかというようなこととか。

そして、全体の公衆へのベネフィッツ・トゥー・ザ・パブリックということで、それがどのぐらいそういったことに対して見合うだけのものがあるのかということも、全部この申請に当たり提出すべき事項として書かれていて、そこでFRBはいろいろ勘案して、先ほどのような審査基準でやるという形になっています。ですから、その意味で、アメリカにおいてもいろいろな議論がありましたけれども、今もそういうことの弊害が出ないような工夫をしてクリアをしているということだと思います。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。欧州については松井委員のほうが詳しいのではないかと思いますが、アメリカについて言えば、そもそも19世紀の初めにおいては、中には銀行が事業会社に直接投資する例もあったのですけれども、それが結局銀行破綻を招いたという経験がかなりありました。そこで、最初は州法レベルで、その後は判例法によっても、銀行が事業会社株式を取得することを禁止するようになっていった。バンキングとコマースの分離ということが、19世紀の間にそうやって形成されたわけです。

同時に、アメリカの場合は、ポピュリストとも呼ばれますけれども、金融機関が産業を支配することに対する、一種の独禁法的、産業法的な観点から非常に強い懸念があって、それも相まってバンキングとコマースの分離という原則が非常に強く確立されてきた。今翁委員からご紹介のありましたGLB法は、それを若干緩和したということであって、バンキングとコマースの分離原則は、今でも基本的にはアメリカで維持されています。

それに対して、ヨーロッパはちょっと違う感覚を持っているということは言えるかと思います。日本の場合は、アメリカほどではなかったけれども、やはり戦前の昭和金融恐慌のときに機関銀行などの問題が起きて、昭和3年の旧銀行法により銀行の他業禁止が定められました。事業会社を支配したりすることは許されないと戦前から認識されていたのです。しかし他方、事業会社が銀行を支配して、それが乱脈経営をして銀行が破綻したというケースが戦後もありました。法律上、はっきり事業会社による銀行支配を規制するようになったのは平成14年の銀行法改正により主要株主規制が導入されることによってであると理解しております。

どうぞ、松井委員。

【松井委員】

翁委員と岩原座長から大変詳細かつ貴重なご示唆をいただきまして、ありがとうございました。まさに私の関心は、日本でこの問題を考えていくときに、どういうスタンスでこの問題を考えるか、という点にございます。

例えばヨーロッパのようにもともと金融と産業の関連が非常に強くて、そこに対する問題意識が弱いところの規制を参照して、我が国の規制を見ていくのか。あるいは、歴史的に産業と金融の結びつきが生じて、その結果問題が生じたという歴史を持っているところの規制を参照するのが我が国にとって参考になるのか。そういう参照の仕方を考えるときに、まさにアメリカとヨーロッパのどちらが参考になるのかという問題意識があったものですから、ご質問をさせていただいた次第であります。大変参考になりました。ありがとうございました。

【岩原座長】

ちょっとつけ加えさせていただきますと、日本で銀行が他業の会社の株式の保有を制限される、5%以下でなければならないとしたのは、最初は独禁法でありました。敗戦後の財閥解体との絡みで、同9条が持株会社を禁止するとともに、金融機関を含む財閥グループが日本の産業を支配することに対する懸念から、金融業を営む会社はほかの会社の株式を5%を超えて所有できないという規制が11条に設けられました。昭和56年銀行法の下での銀行監督行政もそれを前提にしていました。けれども、平成9年独禁法改正が持株会社禁止規定を大幅に緩和したのを受けて、平成10年改正銀行法は、銀行持株会社の規定を設けるとともに、16条の3に5%ルールを銀行独自の一般事業会社の議決権取得制限の規定として新たに規定したのです。

そのような経験もあり、今でも独禁法上の持株会社の定義をそのまま銀行法が使っているなど、実はいろいろな問題が独禁法絡みで今の銀行法にはあるように感じております。

ほかにございますでしょうか。永沢委員、その次に河野委員にお願いします。

【永沢委員】

ありがとうございます。翁委員に質問です。私は素人でございますので、アメリカの銀行のお話、特に7ページ、8ページのお話というのはとても興味を引かれました。そこで1つ質問なんですけれども、eコマースが拡大する中で、ネット決済ビジネスというものが非常に有望であることはもちろんだと思うんですけれども、米銀はネット決済からの収益を拡大する目的でこのようなことをされているのでしょうか。それとも、次のページを拝見しますと、注のところで取引の場の提供ということも書いてありますが、例えば、このような場所貸しをすることによって収益を獲得されているのでしょうか。これが1点目の質問でございます。

それから、もう一つ、このCiti Bank、Wells Fargoのサイトには、SearsだとかKmartという個別企業名が出てまいります。先ほど翁委員から、利益相反等などいろいろな基準があるというお話がありましたが、銀行のサイト上にどういう基準でこのようなものを載せているのか、また、銀行がこのようなことをされるときにそうした基準等が公表されているのだろうかというのが、1つ気になるところでした。

先ほど座長の岩原先生から、銀行の産業支配のお話がありました。消費者としては、銀行が自行と取引関係の強い企業を選んでここに載せてくるのではないかと思った次第です。それが直ちに悪いことというつもりはないのですが、そのような推測なども働いてしまいまして、銀行に対する規制などというものはあるのだろうかということを、1つお尋ねさせていただけたらと思います。以上でございます。

【岩原座長】

まず、翁委員。

【翁委員】

米銀にヒアリングをしていないので、ぜひこれから金融庁の方でしていただければと思いますが、ネット決済ビジネス、やっぱり銀行でございますので一番の収益源というのはそこだろうと思います。当然こういうモールとかを提供することによって、いろいろなビジネス機会とか、商流とかが見えてくるということによるビジネスチャンスというのも金融機関にとっては大きいはずです。ですから、そういう意味で参入しているんだろうと思います。

弊害防止装置というのは当然必要になってくると思いますので、おそらくFRBが審査のときにそういう幾つかの項目を出しているということでございますし、おそらく監督の上で、そういう視点で監督をしている可能性があるのではないかというように思います。当然そういうことも考慮していく必要があるというふうに思います。

【永沢委員】

ありがとうございました。

【岩原座長】

今の永沢委員の後半の銀行の産業支配との関係……。

【永沢委員】

産業支配といいますか、私なんかは、銀行というのは公の器、公器という印象を持っておりまして、そういう捉え方を一般消費者は多分していると思っております。そこで、ここ(公器たる銀行のサイト)に載るような企業というのはどういう企業が選ばれるんだろうか、銀行との取引関係が強い企業のサイトボタンが載せられるのではないかということもちょっと気になりました。翁委員のほから、アメリカではそのようなことに対するおそらくチェックなどもあるというお話がありましたし、企業と銀行とのつながりが強くなるようなことがあってはいけないわけではないんですけれども、そういうことはどうなんだろうかと素朴に疑問に思った次第です。

それがよいことなのか、悪いことなのかということもちょっとわからないんですけれども、そもそも、こういうサイトという場というのは無限なようで、消費者から見える場所は限られていますので、ここ(消費者の目につくところ)に載せてもらえるということはどういう意味なのかなと思った次第なんです。消費者の銀行に対する信頼というのは特別なものがありますので、ここに選ばれるということに意味があるのではないかと感じた次第で、問題意識にすぎません。済みません。以上です。

【岩原座長】

あえて、あり得るとすれば、銀行が支配するモール市場を設定して、そこへの参加者資格について自分との取引関係で差別的な扱いをするとすれば、独禁法上の優越的地位の乱用の問題になっていくというようになるかと思います。永沢委員の問題意識にきちんと答えられているかどうかわかりませんが。

【永沢委員】

済みません。銀行がモール支配をするというような状況が当面は想定しづらいとは思いますので、そのような心配は多分ないと改めて思いました。失礼いたしました。

【岩原座長】

それでは、河野委員。

【河野委員】

ありがとうございます。いろいろ今までの委員の皆様方のご議論を聞いていて、普通の銀行利用者からものすごく率直な感想を申し上げたいというふうに思っています。

今日の最初のお話は、全銀システムの高度化に向けた取り組みということで、そこの主たる話が稼働時間をどれだけ拡大するかというお話でしたね。つまり、今私たちのふだんの決済システムを支えてくださっているほとんどの銀行が、金融機関が加入している全銀システムは、次のステップは、私たちはほんとうに不便だと思っていますけれども、どれだけ夜間とか土日の時間を拡大するかということで、それに対してもある程度ロードマップはあるけれども、なかなかハードルは高く、全部の金融機関が一斉にスタートするということは難しいと。それがまず1点目でした。

それで、次のお話が、事業会社が今決済できる銀行を所有しているから、銀行のほうも、今モールという話になっていますけれども、そういったところに事業進出をして、新たなビジネスチャンスといいましょうか、形を生み出すことをどう考えるかというふうにお話をされていたというふうに思います。

私は、全銀システムというのがこの日本の国の中で担ってきた業績とか責任というのは、全銀システムの資料の11ページに書いてくださったように、全国をカバーする広範なネットワークと、高い安全性、信頼性、これに尽きるかなと思っています。その結果として、次は稼働時間だということなので、ぜひ目前にあるすごく実現可能な目標に向かっては着実にやっていただきたいと。まずはそこが先だろうというふうに感じていたところです。

それで、柏木委員が説明してくださいました資料の7ページ、まとめのところに書いてありましたけれども、邦銀において将来の決済高度化実現に向けては次の2点が鍵であると。1つ目が、外部知見の活用等、イノベーションへの取り組み強化、それから、2つ目が、伝統的な銀行業務領域を超えたサービス検討の必要性というところで、例えばというふうにここに書かれているんですけれども、そもそも、時間延長さえもなかなか克服困難な状況で、この2に行くこと、つまり、2を考える銀行法の規制を緩和する、緩和して新しいビジネスに進んでいくことに対しては、消費者とするとやっぱり非常に懸念といいましょうか、ぜひ慎重に考えていただきたいなというふうに思っています。

おそらく決済で重要なのは、私が考えるに安全性。それから、このICTが発達した今の現在でいうと、やっぱり効率化ということだと思います。銀行に望みたいのは安全性であって、さらに目前で努力していただくのであれば、さっきのフリクションですとおっしゃっていたように、より効率的に、私たちがふだんあまりストレスを感じないで決済が行われるようにしていただくというふうなところだというふうに感じています。

先ほど永沢委員もおっしゃっていましたけれども、銀行のような大きな資本がいわゆる商流のほうに入っていくことによる独占とか寡占というのを、私もイメージでしかわかりませんけれども、何となくイメージで不安感というのは持つところです。ですから、まずは今持っていらっしゃる、これまで築いてきた広範なネットワークと、それから高い安全性、信頼性のところをさらにブラッシュアップしていくことで、まず当面しっかりとやっていただきたいなというのが希望です。

1つ、最後に質問なんですが、柏木委員もここの7ページに書かれていたように、電子商取引とかモール営業のようなところに、銀行として今後メリットを見出して入っていきたいというふうに考えていらっしゃるのかどうかというのを教えてください。

【岩原座長】

それでは、柏木委員。

【柏木委員】

ありがとうございます。前段のお話は非常にそのとおりだなと思っております。ただし、勘違いがあっていけないなと思いますが、今日の資料はかなり将来に向けてどういう問題意識、論点があるかをまとめた資料でございます。足元において、稼働時間を延長していくというのは非常に大事なことだと思っておりますので、これについては銀行界としてはしっかりやっていくということで考えています。ですので、そこは誤解のないようにしていただければと考えております。

それから、モールをやりたいかどうかということに関して申し上げますと、これはまた個別行の話になってしまうので、この場でお答えするのはなかなか難しいというふうに思います。今、現時点でそういう計画があるかというと、あるわけではございませんけれども、それについて将来どうなるかというのは、個別行の戦略なのでこの場では差し控えさせていただければと思います。

【岩原座長】

池田局長、お願いします。

【池田総務企画局長】

今日出た電子商取引市場自体をどう銀行法上に位置づける云々は、先ほど申し上げたように、これからきちんと論点を押さえて議論をいただけるように我々も整理に努めたいと思うんですけれども、今、河野委員が言われた中で、若干混同してはならないと思うのは、全銀ネットというのは、まさに今日のご説明でもありましたけれども、要するにいろいろな銀行間のネットワークの話であります。新しいシステムは全員参加型ではないとは言いつつも、それなりの人たちが参加するからネットワークになることを想定しているので、ある程度銀行の足並みをそろえていかないとできないという仕組みを持っているもので、それはそれで着実に進めていく必要があるというテーマです。

他方、翁委員、あるいは、今日全銀協の後半のほうで説明があった話は、そういうネットワークの問題というよりも、個々の銀行が自分の提供する決済としてどういう可能性があるかとの話で、そこはある程度、他の銀行よりも進んだインフラストラクチャーを持っているようなところは、もちろん他行に先駆けていく可能性があるのでこういう論点が生じ得るということなんだと思います。

要するに、全部の銀行が足並みそろえるというのと、個々の銀行がそれより進んでやることを待たせるべきなのかどうかというのは、両者は性格が違う部分があるということです。今日一緒に説明があったので、ややまざっている部分があるかなという印象を持ちました。

【岩原座長】

ほかに何かございますか。沖田委員。

【沖田委員】

2点ございます。先ほどから、少したびたび出ていますバーチャルモールの観点について、インターネットビジネスの専門家として少しご意見を申し上げたいんですけれども、まず、済みません、ちょっとこの米国のCitiですとかWells Fargoの事例というのは私、把握していないので、日本の話になるんですけれども。先ほど安田委員からも、今後、日本でも銀行がというようなお話があったかと思います。現行も、銀行本体ではないですけれども、いわゆるカード会社たち、銀行傘下のカード会社も含めて、いわゆるポイントモールですとか、アフィリエートモールという形でインターネットモールを展開されているケースは非常に一般的でございます。

それはどういったモデルかというと、既に持っている顧客ベースですね、カード会員に対して、そのモールを経由してショッピングを行うとポイントがよりたまりますというような、そういったサービスでございます。そういう意味では、これは自社カードの促進というのはその決済の面もそうですけれども、加えて広告のビジネスにビジネスモデルとしては近いようなところがございます。

それから、先ほどamazonですとか、楽天とか、YAHOO!みたいなイメージと同列で議論されていましたけれども、このケースにおいてはショッピングシステムを中に持っているわけではなくて、あくまでも経由をして、それぞれのお店で買うというような形です。ですので、途中、途中の議論の部分とは少し、いわゆるamazonと比較するというよりは、むしろamazonと並存するようなモデルが非常に一般的ですので、ちょっとその点は申し上げたいかなと思います。

そういう意味では、先ほど池田局長からもあったように、突飛にモールをやっているというような形ではなくて、あくまでも既存の事業との明確なシナジーです。そういう意味では、既存に持っていられる顧客ベース、ユーザーベースを生かして、そちらに対して、どちらかというと、消費者の方にとって有益なサービスを提供することによってカード会社たちも副次的に取引量の増加であったり、広告収益を得るというようなモデルで既に逆に展開されてもいらっしゃるので、その点は補足させていただければというところでございます。

もう一点、意見というか、ご質問も少し含むんですけれども、翁委員ですとか柏木委員がおっしゃられていたオープンイノベーションというのは、私も非常に強く賛同するところでございます。これは逆に、Googleですとかamazonのようなテクノロジカンパニーもむしろオープンイノベーションで積極的にやっていますので、邦銀に代表されるような伝統的金融機関も同様に行っていくべきではないかなと思います。

お二方ともおっしゃられた5%ルールですとか、業務範囲というようなところを緩和するというのは、それは1つ、非常に効果的ではあると思うんですが、一方では、途中途中で、やはり銀行に関しては非常に無謬性の高さをというか、期待値が極めて高いというか、非常に清廉性を極端に要求されるようなところもある中で、そのルールを改正していくというのは効果的ではあると思うんですが、一方で、それだけではなかなかオープンイノベーションですとか、イノベーションを促進していくには、ちょっと何となく現実味に欠けるような気もしております。

そういう意味では、より効果的に日本の伝統的金融機関がオープンイノベーション等を生かしてそういった産業的なリーダーシップを国際的に維持していくには、規制の面もそうですけれども、もう少し違う観点も含めてやっていかないといけないんじゃないかなと思います。

もしよろしければ、柏木委員のほうから、そういったより促進していくための、もう少し今出ている部分とは別の観点があれば、ご意見いただけるとありがたいなと思いまして。

【岩原座長】

それでは、柏木委員、お願いします。

【柏木委員】

沖田委員からご指摘の点は我々も日ごろ感じていることでございます。例えば規制の見直しが行われたからといって、すぐに、次々とスタートアップ企業が出てくるということでは多分ないだろうと思います。

やはり、河野委員もおっしゃいましたが、銀行がしっかりと安心・安全を守ってきたというのは、1つの日本の決済の利点だったんだというふうに強く感じております。

そういう意味では、銀行がそういう会社と一緒に連携する――今は買収はできませんけれども、一緒に連携してやっていくということで、日本の商習慣とか、日本のお客様の期待値に合わせたサービスを一緒につくっていくということは十分できるのではないかというふうに思っております。

ただ、最近は雑誌にもフィンテックとか書いてありますけれども、現時点では、ファイナンシャルの領域でITを使ってやっているスタートアップ企業の数というのはそんなにはないと思うので、我われとしても増やしていき、一緒に決済を高度化していくというような取り組みをしていくしかないのかなと考えております。そこで、今日も申し上げたビジネスコンテストのように、銀行が少し奨励金のようなものをお出しして、良いアイデアがあったら一緒に事業化していきましょうというような取り組みを、少しずつだとは思いますけれどもスタートしたいなということで考えているということでございます。

【岩原座長】

ほかに何か。それでは、牧野委員、その後、山上委員。

【牧野委員】

済みません、事業会社の立場でもう少しお話しさせていただくと、翁委員の11ページ、12ページのところでIT投資のお話が出ております。これは、別に銀行だけの話ではなくて、全企業とかを含めたデータだと思いますが、運営コストにお金がかかって、成長とか変革ができていないというのは日本にとってはあまりいいことではないというのは承知のとおりだと思うんです。

では、どういう形でできるかといったところが課題だと思っています。それで、私の第4回のときにもご説明させて頂きましたが、邦銀と欧米系の銀行というのは、グローバルキャッシュマネジメントを考えたときに、システム面で、すごく差があるというふうに考えています。その差というのが、銀行それぞれに対してお願いして投資をしてくださいというものなのか、もしくは、わからないですが、銀行の共同体みたいなところで、様々な外銀に勝ち得るぐらいのインフラをつくってしまうといったようなことを考え得るのかどうかと。

実は、何でこんな話をしているかというと、いろいろな機会に事業会社等々が集まっている財務の打ち合わせの中でよくこういう話が出たりするものですから。それぞれ、例えば銀行にお願いしてやるのか、もしくは、どこかの共同体みたいなところで、そういうスキームをつくってしまうのかだとか、そういったことを、もし事務局の方がコメント等あれば、コメントをいただけたらなと思います。難しい質問ではあるのですが。

【岩原座長】

答えにくいと思います。

【牧野委員】

1行1行で考えると難しいところがあると個人的には、思っています。やはり日本企業は、できれば邦銀にGCMとかをお願いしたいと思っているところが多いと思います。何故なら、借入等を邦銀に頼り、お金回りの効率化というところだけ外銀の仕組みを使うといったことが、特に借り入れが多い企業にとってみてはなかなかハードルが高く、そのために本当はGCMをやりたいけれどできないといったところ、ジレンマを抱えている会社が多いためです。

【岩原座長】

池田局長、お願いします。

【池田総務企画局長】

直接お答えできるものを持ち合わせていないんですけれども、個人的な感想として関連して申し上げれば、正しくないかもしれませんけれども、これまで決済をめぐる問題についてはいろいろな取り組みをしてきたわけですけれども、個人的な感想としては、やはり金融機関の足並みがそろうということをかなり強く意識をしながら進めてきて、それは、今日のネットワークの問題とか、そういうものはこれからも進めていかなければいけないと考えております。

同時に、そういうことをあまり強く意識し過ぎると、特に先端的な分野についての進歩というのがなかなか遅れぎみになるという傾向も、これは反省も含めて感じるところです。ただし、個々のイシューについて、全体でやる話と、個々の金融機関で取り組むべき話のどちらがなじむのかというのは、個々の具体的なものに応じて考えなければいけないと思います。

個人的な感想を含めて言えば、これからは、これまでよりもそれぞれの金融機関の創意工夫というものを尊重していくほうが全体のレベルアップにつながる可能性が高いのではないかというふうに、もちろん、ネットワークなどの問題は違う問題としてありますが、感想を持っているというふうに思います。

【岩原座長】

どうも。それでは、山上委員。

【山上委員】

翁委員に質問させていただきます。プレゼンテーションの最後の22ページなんですが、決済関連事務受託ビジネスが必要になるのではないかというご指摘なんですけれども、直接の関係はないんですが、全銀ネットのプレゼンテーションの4ページに、全銀システムへの接続の図が書いたものがありました。

あくまで参考としてこれを見た場合に、翁委員がご指摘なさっている事務受託ビジネスというのは、この全銀システムの下に農中系統センターとか、何とかセンターというのが横にずらっと並んでおります。この話のさらにこの下のほうにぶら下がっている個別の金融機関の機能をもうちょっと事務レベルでも束ねる必要があるのではないかというご指摘なのか、もしくは、左側のオレンジの銀行の箱が3つほどありますけれども、ここもマルペケセンターのようなふうに機能を統合していったほうがいいのではないかというようなご指摘なのか、もうちょっと教えていただけたらいいなと思ったんですが、いかがでしょう。

【岩原座長】

翁委員、どうぞ。

【翁委員】

はい。銀行とか、信金とか、そういうことに全くこだわらず、得意とする業務があって、それで受託をしたいというニーズのある金融機関があれば、そこで、ほんとうは決済に限らないのかもしれませんけれども、そういうコストのかかるビジネスとか、そういったものを銀行とかが受託できるようにしてもいいのではないかという意味で申し上げたということでございます。

【山上委員】

これはアンバンドリングですとか、マネーセンターバンクとか、そのような議論につながっていくようなものだと理解してよろしいですか。

【翁委員】

一部の業務を受託するという意味で、その業務の一部を受託するということで、そこがアンバンドルするという意味ではそういうことはあり得るかと思いますけれども、いろいろなニーズがあるが、そういうときに収入依存度規制などがネックになる場合があるような話も聞いております。ですので、そういうことも、将来を見わたしたときに、やはりいずれの銀行も同じような業務をやっていて、そういったことを受託したいというところがあったときに、そういうニーズに応えられるような仕組みがあってもいいのではないかなというふうに思ったという次第です。

【山上委員】

ありがとうございました。私の理解で1つだけコメントをさせていただきますと、欧州でSEPAというのが数年前から進展していく過程で、金融機関のこの決済の機能が切り出されて、幾つかが合併して、こういうようなものがどんどん生まれていったというようなものが観察されたんです。それは、あくまで1つの通貨圏の中での、銀行はそんなにいっぱい要らないよねという議論もかなりまじったお話だというふうには理解するんですけれども。

今般、ご指摘のように人口が減少して、取引量が減るから、もしくは新たな決済がインフラ側で投資されるので、お金がたくさんかかるからというような、コストプッシュ型でも、こういう規模の利益の追求をするための新しい手段を考えていく必要があるんですよという、そういうご指摘だと思えばいいですね。

【翁委員】

統合とかは今いろいろ動きはありますけれども、そういう一部の業務とかを受託したり、そういうことができるようにしていくことによって、銀行の機能を果たしつつ、コストのより効率的に銀行をマネージするということが可能になるのであれば、そういうことを考えてもいいのではないかということでございます。

【山上委員】

ありがとうございました。よくわかりました。

【岩原座長】

よろしいでしょうか。関委員。

【関委員】

子会社に銀行を持っている楽天でございます。せっかく出ているので、感想ということで少しお話をしようかなと思います。楽天の子会社として楽天銀行がございますけれども、銀行法の規制によりまして、当然、経営のオペレーションであるとか、システムとか、そういったものについては遮断されている部分はございます。したがって、銀行は銀行で健全性であるとか、安全性であるとか、そういったものに配慮しながら、銀行業としての経営をしているということでございます。

ただ、同じグループ内ですので、いろいろビジネスについて話をしやすかったりとか、あるいは、これはネット専業銀行全般に言えることだと思いますけれども、イノベーションに対してわりと積極的に取り入れようとしている姿勢があるだとか、そういうこともあって、いろいろなサービスを展開しているという実態があると思います。

事業会社で銀行を持っている会社というのは、ネットモール事業者以外にもいろいろございます。今日、いろいろ話を聞いておりましたが、銀行が業務の拡大という意味で、銀行自身がモールであるとか、ほかの業務を行うのを認めていくかどうかを検討するにあたって、現在事業会社が子会社に銀行を持つことを認められていることを根拠として、事業会社が銀行を持てるなら銀行の業務も拡大できる、銀行を子会社に持つ事業会社がやっている業務は銀行の業務として行えるようにすべきだという発想はあまり正しい方向ではないのかなというふうに思います。

やはり、銀行として、もともと業務の規制があるという趣旨に立ち返って、業務の拡大として意味があるものは何か、あるいは、本来の規制の範囲でどこまで許されるのかという、通常どおりの考え方で検討をすべきではないかと思います。

そもそもネット業界の会社というのは、周りを見渡しても足並みがそろわない人たちばかりでございまして、そういう意味でも、銀行は比較的足並みそろえてやっているということからすると、なじむ部分となじまない部分とあると思います。そういったことを感じました。感想だけです。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。よろしいでしょうか、時間も大分オーバーしてしまいましたので。何か。

今日は非常に積極的にいろいろな問題提起をしていただきまして、ありがとうございました。最後の関委員のご発言にもありましたように、結局何で銀行の規制があるのかという、多分根本に戻って考える必要があるかと思います。規制の非対称性の問題も、その根本からどこまでジャスティファイできるかということを考えていくことにもなると思います。

それから、さっき堀委員がご指摘になりました、銀行本体でやれるのか、子会社でやれるのか。さらに子会社も、銀行子会社でやるのと、銀行持株会社の子会社でやるのとでどう違うのか。現行法上は、両方の子会社の業務範囲はほぼ同じですけれども、若干の違いを認めております。そこら辺、先ほどのそれこそ規制の根本に戻って、どうしてそういう違いがあって、例えば銀行の子会社ではやれないことが持株会社の子会社ならやっていいということにどうしてなるのかということ等も、ここで検討していく必要があるかなというふうに感じました。

どうも、今日はほんとうに熱心なご議論をいただきまして、まことにありがとうございます。

事務局のほうから連絡事項がございましたら、お願いいたします。

【黒井総務企画局企画課信用機構企画室長】

それでは、今後のスケジュールについてでございますけれども、前回の会合でも事務局から申し上げましたとおり、事務局におきまして2月から3月ごろにかけて海外調査を行わせていただき、海外調査終了後、スタディ・グループを再開させていただければと考えております。

次回会合の日程につきましては、皆様のご都合を踏まえた上で、後日事務局よりご案内させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

【岩原座長】

それでは、以上をもちまして本日のスタディ・グループを終了させていただきます。どうも、長時間ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3560、3558)

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