金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」(第12回) 議事録

  • 1.日時:

    平成27年4月22日(水)16時00分~18時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【岩原座長】

予定の時間になりましたので、「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」第12回会合を開催いたします。皆様お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、事務局より本スタディ・グループとしての中間整理案について説明をいただき、その後、討議を行います。

事務局から説明をお願いいたします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

それでは、ご説明を申し上げます。お手元に「中間整理(案)」と書いた資料が配付されているかと思います。この中間整理案は、私ども事務局におきまして、これまでのご審議も踏まえて案として作成いたしたものでございます。相当大部になりますので、なるべくポイントをかいつまんでご説明申し上げます。

まず、1枚おめくりいただきたいと思います。目次を書いておりますが、全体の構成について申しますと、最初に冒頭の「はじめに」があり、続いて、第1章はリテール、第2章は企業向けの決済サービスということで、この2章で利用者と関係の深い分野について記述をしております。次いで、第3章において、こうしたサービスを支える決済インフラについて記述を行い、第4章、第5章におきまして、横断的な事項であるシステムの安定性や情報セキュリティ、また、イノベーションの促進と利用者保護といったことについて記述をし、その上で、今後さらに検討を進めていく必要のある課題として、第6、第7章におきまして、アクションプランの策定、法制面に関する課題についての整理を行っております。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。次のページとその次につきましては、本スタディ・グループに参加いただきました皆様方の名簿と、各回のヒアリング等に参加いただいた参考人の方々のお名前を記載しております。

もう1枚おめくりいただきまして、「はじめに」と書いてある、下に算用数字で1とページが付されているところがございます。この「はじめに」におきましては、まず本スタディ・グループで審議が開始されるに至った背景といたしまして、2段落目の最初にありますように、近年、IT(情報技術)の急速な発展が金融に変革をもたらしていること、2行飛びまして、そうした決済をめぐる環境が大きく変化していること、こうした環境変化の中で決済サービスの利便性や安全性などを高めること、すなわち、決済の高度化に対する要請が急速に高まっていることといった背景をまず記載しております。

次の段落に、「以上を踏まえ」と書いておりますが、こうした背景を踏まえて、金融担当大臣より金融審議会に対して諮問がなされたということを記載し、その次の段落、本スタディ・グループでは、この諮問を受けて、10月以降、ヒアリング等を行い実態把握等を行うとともに、基本的な論点や方向性について審議を行ってきたこと、またこの中間整理の位置づけとしまして、これまでの審議を通じて把握された多岐にわたる論点・課題等を総括するものであることを記載しております。

最後のパラグラフは、この全体構成、章立ての関係等、冒頭私が申し上げたようなことについて簡単に記載しております。

その次のページ、第1章のところでございます。まず第1章リテール分野を中心としたイノベーションの進展ということで、最初に最近の動向についてファクトの面のまとめをしております。便宜上、(1)から(4)まで4つに分けて記載をしております。

最初の(1)でございます。ITを活用した新しい決済サービスの登場ということで、最初の段落で、ITの進展等を背景にリテール分野を中心に革新的なサービスが相次いで登場していることについて紹介をし、次の段落で、具体例として、「例えば」としまして、ドングルと呼ばれる携帯電話のジャックに差し込むことでクレジットカードを読み取ることができる端末の登場、また次の段落ですが、海外を中心にモバイルウォレットとか、あるいは口座振替契約などをあらかじめ行った上で携帯電話やSNS(Social Network Service)アカウントを用いた送金等のサービスが登場していることについて紹介しております。

なお、モバイルウォレットのところで右肩に2と書いております。例えばこういうモバイルウォレットなど解説を必要とすると思われるようなところにつきましては、下の欄で注釈として内容の解説をそれぞれのところで記載しております。

(1)の最後の段落に戻っていただきまして、こうした新しい決済サービスは、ITの発展を活用し、国際的な展開や決済サービスの標準化をめぐる競争がグローバルなレベルで進みつつあることについて書いております。

次の、(2)決済を起点とした金融ビジネスの拡大ということです。まず最初に、決済を起点に、銀行のみならず、ノンバンク・プレーヤーが銀行業務の一部を代理するようなビジネス等を展開しつつあることを紹介し、次の段落で「例えば」としまして、銀行と提携し、手数料無料でATMの入出金等を提供するサービス、これは銀行と銀行サービス利用者の間に立って両者を介在するサービスを提供する者が登場していること。次の段落、「また」としまして、電子商取引市場の運営業者が、決済や取引に関する情報を活用し、次のページにわたりますが、最初の行でございます、電子商取引市場の参加者に融資を行うようなサービスも登場していることを紹介し、次の段落で、ノンバンク・プレーヤーが、従来銀行が担ってきた業務を分化させ、サービスを提供する動き、いわゆるアンバンドリング化とも言うべき構造変化が進行していることについて紹介をしております。

その次、(3)としまして、プレーヤー間の連携・協働による決済サービスの発展でございます。冒頭、欧米を中心に、銀行間または銀行とノンバンク・プレーヤーとの連携・協働など、こういうことを通じて利便性の向上を図る取り組みが進んでいることを記述し、次の段落で「例えば」という具体例としまして、前述した電子商取引市場の参加者向け融資のほか、米国の大手銀行の協働による携帯電話番号を用いた送金サービス、決済業者とATM設置・運営業者の連携によるATMを通じた個人間送金サービスの登場などを記載し、次の段落で、また、我が国でもということで、流通関連企業などノンバンク・プレーヤーが、買収や提携等を通じて金融ビジネスを小売サービスなどの非金融ビジネスと連携して展開する動きがあることについて紹介をしております。

その次、(4)決済を軸とした銀行業務のイノベーションということです。世界にFinTechと呼ばれる動きが広がっていること。こうした中、欧米の銀行では、GoogleやFacebook等のIT関連企業が今後の銀行の競合先として挙げられるなど、最近の環境変化が危機感を持って捉えられ、そうした変化に対して戦略的に応じる動きの活発化、これについて記述をしております。

その次のページ、4ページ目、「例えば」で始まっておりますが、米国の銀行については、いわゆる維持のためのIT投資よりも変化のためのIT投資をより重視する動きが見られるということについて記載をし、次の段落で、また、欧米の銀行においては、投資先としてではなくて、ITの取り込みを目的としてITベンチャー企業との連携や買収を進める動きが活発化していること、また、そうしたことも通じて、オムニチャンネル化やビッグデータの活用等といった動きも見られることについて記載をしております。

次の、今後の課題ということで、今申し上げましたようなファクトを受けまして、まず最初の段落で、我が国において、決済サービスはこれまで基本的には銀行を中心としたサービス分野であり、比較的クローズドな領域であったこと、次の段落で、しかしながら、近年の決済分野におけるイノベーションが主にIT企業をはじめとするノンバンク・プレーヤーにより牽引されていること、このことは決済分野のイノベーションに資するものと考えられると。他方、こうした構造変化を踏まえれば、我が国でも決済サービスや決済に関連する銀行業務のあり方そのものをあわせて見直していかなければ、世界的なイノベーションの動きから取り残されるおそれがある旨を記載しております。

次の段落で1行目ですが、決済分野について、従来の銀行を中心としたクローズドな構造からの展開を図ることが必要であると考えられる。そのため、銀行のみならず、多様なプレーヤーが参加する中で競争的に決済サービスのイノベーションが進められるようにすることが求められていると。

次の段落で、2行目ぐらいですが、銀行サイドにおいても、いわゆる自前主義ではない、オープンイノベーションを重視した体制やビジネスモデルの構築、それにより戦略的に先進的なITを取り込むことが重要な課題である。その次の段落ですが、そうした金融ITを活用した先進的なサービスについて、アジアやグローバルなレベルでの標準化も念頭にサービスの面的・量的な拡大を図ること、また、例えば金融・商流連携に基づく融資事業につなげるなど、事業面での戦略性強化を通じた収益性の確保についても重要であるという旨を書いております。

その次に、第2章としまして、企業向けの決済サービスの高度化についてでございます。最初に総論的に、企業向け決済サービスの高度化に対する期待の高まりといたしまして大きく2つ。1つは、キャッシュ・マネジメントや債権管理の効率性に対する要請、それが企業の競争力の重要な要素となっていること。2つ目の段落としまして、商取引の電子化等が進行する中で債権管理の電子化やペーパーレス化への要請が高まっていること、また、債権流動化による資金調達への期待もあることを書いております。

次いで、具体的なところとしまして、まずキャッシュ・マネジメントについて2で記載しております。最初に、キャッシュ・マネジメントを巡る状況としまして、欧米の主要行においては、企業活動のグローバル化等に伴い、キャッシュ・マネジメント・サービスに対するニーズの高まり等を踏まえ、キャッシュ・マネジメント・サービスを経営戦略の柱の1つと位置づけて、より高度なサービス展開を進めていると。

その次に、具体的な先進的な取り組み例として、例えば以下のようなサービスということで幾つか記載をしております。最初の黒いポツのところでございますが、グローバルに統合された単一のシステムによってサービスが提供される。このため、企業側としては、世界各地のグループの資金管理を単一のプラットフォームで行うことができること。さらにそれ以降4つほど点をつけておりますが、例えば2つ目の点、リアルタイムの資金の過不足や余剰資金の統合運用とか、3つ目の点ですが、ノーショナル・プーリングのサービス等さまざまなサービスを提供していることについて紹介しております。

次の、今後の課題でございます。以上のことを踏まえ、邦銀、特に主要行においては、CMSの強化に向けて世界のリーディングバンクに期待される水準を念頭に置き、ニーズ等もくみ取りつつ、CMSの経営戦略上の位置づけを明確にすることが強く期待される旨を書いております。

次の段落で、邦銀と欧米の主要銀行との間でのCMSの水準の違いの背景には、IT戦略投資のあり方の問題も関連していると考えられる。これを踏まえれば、銀行の戦略的なIT投資の道を拡大していくことが重要な課題であると書いております。その次の段落でございます。「さらに」とありますが、2行目ぐらいにあります、例えば、海外地場の決済サービス関連事業者と提携することなど、邦銀が海外に進出した海外拠点において、現地の事情も踏まえたより機動的な事業展開が図られることが重要になると考えられる。

次のページですが、加えて、我が国企業のサプライチェーンが主要新興国などへ拡大する中で、「例えば」と2行目ぐらいに書いておりますが、外貨入出金や居住者に対する非居住者からの貸し付けなど、新興国の諸規制の緩和に向けた働きかけを強化することも期待される。次の段落で、企業がグループ内やクロスボーダーで資金管理・移動を行う場合等こうしたキャッシュ・マネジメント・サービスを円滑に提供するに当たって、障害となる制度的な要因があれば、それらについても検討を進めることが重要である旨を記述しております。

次に、電子記録債権の活用でございます。まず最初の段落で、電子記録債権制度の目的について書いております。これは売掛債権等の指名債権や手形債権とも異なる新たな類型の金銭債権を創設し、二重譲渡のリスクあるいは手形の保管コストといったデメリットを解消し、あわせて事業者の資金調達の円滑化等を図ることを目的として制度整備が図られたと。

次の段落で、制度導入以降、これまでに4つの電子債権記録機関が設立されたところでございますが、登録件数などを見ると十分な普及には至っていないことを書いております。その次の段落、利用形態としてもということですが、制度導入時には、手形の電子化のみならず、債権を金融機関に譲渡して現金化するようなそうした多様な利用が想定されていたにもかかわらず、資金調達手段としての多様な活用は十分にはなされていない状況にあること。

こうしたことを踏まえ、次の段落ですが、以下のような課題について、ニーズを踏まえつつ検討を進める必要があると。最初の黒ポツでございますが、現行制度では、複数設立されている電子債権記録機関の間で電子記録債権を移動させることは想定されていないと。このことが、次のページにわたりますが、電子記録債権の流通性の妨げになっているとの指摘がある。こうした観点から、電子債権記録機関の相互接続(電子記録債権の移動)を可能とすることについて、検討を進めるべきであると。

次の黒ポツですが、現在、公的機関の支払いに際して電子記録債権は活用されていない。3行ほど飛びまして4行目の後ろぐらいですが、こうしたことを踏まえ、公的機関がその事業等の支払いに際して電子記録債権を活用していくことについて、検討を進めるべきであると。

次に、第3章で決済インフラの改革についてでございます。最初に基本的認識ということで、最初のパラグラフは、欧米や主要先進国では決済インフラの高度化に向けた戦略的な取り組みが強化されていることを紹介し、その次と次の段落で、我が国において日銀ネットあるいは全銀システムにおいて一定程度の取り組みはなされているものの、3つ目の段落の最後ぐらいですが、世界各国の取り組みに照らすと、改革の広がりやスピード感が不足している面があるとの指摘がある。

次のパラグラフは、決済インフラを取り巻く状況変化を踏まえれば、個人利用者あるいは企業の競争力強化の観点から、迅速かつ広範な対応が必要と考えられる。その次ですが、したがって、我が国でも、金融・IT融合等が進む中での銀行業務の将来像なども見据えて、さらには国際的な動向、将来的なニーズも踏まえて、戦略的な改革に取り組むべきであると。具体的にはということで、その次以降、幾つかに分けて書いております。

最初が、2としまして、シームレスな決済インフラの構築ということでございます。(1)、(2)と項目ごとに分けておりますが、最初の(1)は送金フォーマット項目の国際標準化でございます。欧州につきましては、いわゆるSEPA構想を通じて、域内送金フォーマットを国際送金で用いるフォーマットに統一し、域内外で切れ目のない送金環境を構築していると。

次の段落ですが、これに対して我が国では、国内送金と国際送金のフォーマット項目等が異なっているということがあると。その次のページでございますが、10ページの4行目ぐらいに、この結果、企業において国内・国際送金の一体的な処理を円滑に行うことができない状況にあり、グローバルに事業を展開する企業などが内外一体的なキャッシュ・マネジメントを行っていくためにシームレスな決済環境を構築していくことが必要であると。次の段落、「また」とありますが、今後、海外のACH等との相互接続を通じて決済インフラの国際連携を取り組んでいく上でも、国内送金と国際送金の項目の統一化が望ましい。

こうしたことを受けて、最後ですが、こうした観点から、企業向け送金を中心に、アルファベット表記の口座名義やBIC・IBANの採用など国内送金で用いるフォーマット項目を国際送金フォーマットの項目に統一することなど、顧客全般の利用実態にも留意しつつ、エンド・デイトも設けることも含め検討を進めるべきであると。

次が、(2)国際送金における「ロー・バリュー送金」の提供でございます。米国あるいは欧州のACHにおいて、最初の段落で、国際的な相互接続を実現していることについてまず記載をし、次の段落で、「これにより」で始まっておりますが、こうしたことで実現されている国際送金スキームは、着金まで1日から2日程度を要するものの、手数料は比較的安価であることを特徴としている。こうしたスキームは、個別行間でのコルレス契約に基づく国際送金が基本的に当日中に着金がなされる一方で比較的高い手数料が求められるのをハイ・バリュー送金とすると、ロー・バリュー送金ということで位置づけられると。

次の段落ですが、特に我が国の企業あるいは個人の国際的な活動が拡大・多様化するような中、ロー・バリュー送金のスキームを提供することが利便性向上の重要な課題と考えられる。こうした観点から、国際送金のための新たな決済インフラのサービスとして、IPFA等のスキームによるACHの相互接続等を進めることによってロー・バリュー送金を提供することについて、検討を進めるべきであると。

次の(3)は非居住者口座に係る円送金の効率性向上でございます。まず最初に、邦銀に開設された非居住者口座に係る円送金のあり方について、グローバルに事業を展開する企業等から、同じ円送金、国内銀行口座間の送金でありながら非居住者と居住者の取引を区別して取り扱うことになっているため、キャッシュ・マネジメントの効率性を阻害しているとの指摘がある。次の段落で、我が国の主要企業の活動が基本的にボーダレスになっている中、基本的にはシームレスな決済環境を提供することが望ましい。こうした観点から、非居住者関連の円送金を居住者間の送金と同様全銀システムで統一的に取り扱うことについて、検討を進めるべきであると記載をしております。

次に、(4)として、大口送金の利便性向上でございます。冒頭記載しておりますのが、我が国においては全銀システムによる送金は100億円未満とされている。2行ぐらい飛びまして、このことについて一部の大企業等からは、100億円以上の送金を行う場合に、大規模送金を分割したりするようなそういう手間がかかるため、キャッシュ・マネジメントの効率性の障害となっているとの指摘がある。企業のキャッシュ・マネジメントの効率化の観点からは、決済インフラが規模によらないシームレスな環境を提供することが重要で、送金限度額のあり方について今後検討を進めるべきであると。

その次、(5)としまして、アジアにおける決済インフラ構築への関与でございます。まず冒頭、アジアの新興国が目覚ましい成長を遂げていること、他方で決済システムや制度が未整備の国も多く、近代的なシステムや制度の導入が課題となっている。また、現在アジアにおきまして、ASEANを中心にクロスボーダーでのATM等の接続を行ういわゆるAPN構想が推進されている。次の段落で、こうした取り組みは、アジアの金融・経済の将来的なあり方、地域統合や地域金融協力にもかかわるもので、各国では取り組みへの関与を強化していると。

我が国企業や金融機関において、ビジネス環境の観点や現地における他国との競争条件向上等の観点から、アジア各国で我が国の制度やシステムと親和性のある近代的な決済環境が整備されることについて期待がある。またこうした中で、ASEAN諸国等から我が国に対し、日本の技術や経験を活用してインフラ整備に協力を求める声がある。こうしたことを踏まえまして、我が国の成長力強化やアジア地域の発展に貢献する観点から、以下のような課題に取り組むことが考えられる。

最初の黒ポツが、APNについて、必要に応じて官民が連携しながら、関連事業者等が一体となった提案を行うことを通じて、平成29年ごろまでを目途としたアジア地域共通の決済インフラの構築に積極的に参画していく。そのほか、システムや制度等につきまして、将来的な相互接続の可能性等も視野に、ソフト面も含めて、主要新興国での導入に適切な支援を図ることが重要であると。

その次、3としまして、決済インフラの機能拡大でございます。そこまでで申し上げてきたのが、シームレスな決済環境ということで内外を視野に入れたことを記述しておりましたが、これ以降は、国内のみでの決済も念頭においてインフラの高度化について記載をしております。

最初は、(1)としまして、XML電文への移行ということでございます。銀行システム間で送受信される電文について、フォーマットの項目(中身)のみならず、記述方式の標準化・高度化が重要である。その後ろに書いておりますが、情報量等の点で優れているとされるXML方式で記述することが国際標準(ISO20022)とされており、国際的にXML電文への移行が進んでいると。

その次のページ、14ページです。特に欧米では、機能面に優れたXML電文への移行を計画的に推進している。例えばとして、欧州におきましてエンド・デイトを設定したこと、あるいは米国の戦略文書におきましてもエンド・デイトの設定等について記載がなされることを紹介し、次の段落で、我が国の状況ですが、全銀システムにおいても平成23年にXML電文を採用したものの、従来型のフォーマットも引き続き使用可能で、銀行においてシステム対応が進んでおらず、いまだXML電文が使用されていないと。

その次の段落ですが、XML電文の採用が進めば、従来20文字であったEDI情報が140文字を繰り返し記載可能となるなど、金融EDIの普及に資するとの指摘もある。以上を踏まえれば、我が国においてもXML電文への移行を迅速かつ計画的に進める観点から検討する必要があると。特に電文はネットワークで用いられるので外部性が存在するために、新旧入りまじっている状況では新しい電文への移行が進まないおそれがある。こうした観点から、全銀システムにおけるXML電文への全面的な移行に向け、次のページになりますが、エンド・デイトを設けることも含め、その方策についてさらに検討を進めるべきであると。

その次、(2)としまして、24時間365日化の推進でございます。最初の段落は、英国やシンガポールなど諸外国における取り組みを記述しております。2つ目の段落におきまして、「この点」とありますが、我が国においては、昨年12月、全国銀行協会が24時間365日リアルタイム送金を実現すべく、新たなプラットフォームの構築等をすることを決定した。今後、平成30年中のサービス開始を目指し、具体的な検討を進めることとされているところ、多くの銀行の参加が期待される旨を記述しております。

その次に、(3)決済イノベーションの基盤としての新たな活用ということです。最初の段落は、欧米において、ACHをはじめとする決済インフラは、単に資金清算をするだけではなしに、携帯電話番号による送金サービス、あるいは顧客が他行に口座を移転する場合に顧客情報の移管サービスなどさまざまなサービスを提供している。次の段落でございますが、我が国においても、欧州の例に見られるように、こうしたことについて活用・構築するとの発想が重要であり、最後でございますが、このような観点から、銀行がより高度な決済サービスを提供する上で有益な資金清算以外の機能の充実について、今後検討を進めるべきであるとしております。

その次に、決済インフラに係るイノベーション推進のための体制整備ということです。冒頭、海外の例として、海外、特に欧州のACHは、主要な銀行が出資する株式会社であることが多く、多様なサービスの提供やシステムの海外展開を行うなど、自国内外の環境変化等に応じて迅速かつ柔軟に事業展開が図られている。また、欧米では、国内に複数のACHが存在し、それぞれのターゲット層などに応じてサービスを提供しており、顧客が利用目的に応じて選択的に使い分けるような体制も構築されていると。

我が国におきましても、先ほど申しました全銀システムにおいて新しいプラットフォームの構築が検討されており、最後の2行でございますが、こうしたニーズに応じた複線的な決済インフラの提供は、今後の決済インフラのあり方として重要であると考えられる。これを受け、最後の段落ですが、近年我が国においても、決済インフラのサービスに対するニーズの多様化、国際連携の必要性等の要請が高まっており、こうした要請に応えていく観点から、迅速かつ機動的により高度なサービスを提供していくための体制、またニーズ等に応じた複線的な決済インフラの構築など、決済インフラの基本的なあり方について検討を進めるべきであるとしております。

その次、第4章は、システムの安定性と情報セキュリティでございます。最初にシステムの安定性について記載をしております。最初の段落で、決済システムが経済活動全体から見て基幹的なインフラ機能を果たしており、その安定性の確保は重要であること。特に銀行間のネットワークで構成されているシステムは最終的な決済手段となるものであり、その安定性の確保が極めて重要であることを記載しております。

次の段落で、近年、決済を起点としてノンバンク・プレーヤーによる金融サービスの提供が拡大して、こうした動きがイノベーションを促進していること、あるいは利便性の向上に貢献するものであるが、他方で、ノンバンク・プレーヤーの破綻やシステム停止等に伴うリスクが増大するおそれがある。こうした機能拡大等が進む中にあって、次のページでございますが、ノンバンク・プレーヤー等の破綻やシステム停止等に伴うリスクを低減させるとともに、万が一そうした事象が起こった場合におきましても、信用創造機能や決済ネットワークに大きな影響が生じることがないような手当てが必要であり、こうした観点から、実務面も含め幅広い観点からの検討が必要であると。

その次、情報セキュリティでございます。最初に最近の動向といたしまして、銀行等における情報セキュリティ対策について、金融情報システムセンター(FISC)における安全対策基準等の整備、また、銀行以外の事業者についても、セキュリティ基準の設定や自主ルールの整備等が図られてきたことを紹介し、また最近では、次の段落ですが、サイバーセキュリティ基本法の全面施行、サイバーセキュリティ戦略本部の設置など、いろいろな面での取り組みが行われていると。次の段落ですが、偽造・盗難キャッシュカードの被害防止策として例えばICカード化等の対応が図られてきたところであるが、ICカードの普及は一部にとどまっており、磁気ストライプカードなどが広く利用されるなど実効性に課題が残っている旨を記載しております。

こうしたことを受けて、次の今後の課題でございます。まず、銀行における情報セキュリティについて、基本的に外部接続先を主として金融業界内に限定することで対応がなされてきた。次のページ、18ページをごらんいただきたいのですが、他方としまして、ITの発展等を背景に、ネットバンキングなどの例に見られるように決済のインターフェースが銀行の外部へ拡大し、また銀行業務のアンバンドリング化が進行する中で多様なプレーヤーが決済情報のプロセスに組み込まれるようになっている。

こうした中にあっては、従来のようにサービスを提供する側が責任を負い、外部とのネットワークは遮断することというような手法では十分な対策が講じられないおそれがある。こうしたことを踏まえると、今後ネットワークのオープン化に対応した対策などが重要ではないかと。このため、当面としまして、以下3つほど具体的な課題を書いております。

最初の黒ポツが、まず銀行のネットバンキングなどについては、監督指針、安全対策基準等の取り組みがなされていたが、多様なプレーヤーがプロセスに組み込まれる中にあって、こうした多様なプレーヤーによる情報セキュリティ対策の向上が重要であり、よりどころとなるような準則や、あるいは業界における基準の策定等の方策が重要であること。

次の黒ポツですが、オープン化されたネットワークにおいて有効な情報セキュリティ対策を講じるためには、銀行その他の多様なプレーヤーと利用者がそれぞれ一定の責任を持って対策を講じることが必要である。そのために、問題発生の場合の責任分担・損失分担等において、必要に応じて一定の合理的なルールの形成が期待されると。

最後の黒ポツですが、金融機関の外部も含めてセキュリティ水準を向上させるためには、サービス提供側だけではなく、サービスを利用する側のセキュリティ対策も重要である。こうした観点から、利用者のリテラシー向上も含めて、幅広い関係者がセキュリティ対策を推進していく方策が重要であることを記載しております。

次のページ、19ページ、第5章としまして、イノベーションの促進と利用者保護でございます。最初に、1としまして最近の動向として、まず2行目ぐらいにあります、さまざまな新しいサービスが展開されていることを紹介し、次の段落、「他方」としまして、利用者とのトラブルに関し、国民生活センターなどに対してさまざまな相談が寄せられている。また、利用者の側から、さまざまなインターフェースが登場する中で決済プロセスに多様な事業者がかかわるようになってきていることについて、安全性確保の観点が重要との指摘もある。こうした中で、事業者側でガイドラインの策定や自主的な取り組みが行われている例もある。

次の今後の課題でございます。まず決済高度化を検討するに際し、イノベーションの促進あるいは利用者利便の向上という観点と、利用者保護という観点の双方を踏まえる必要がある。また、マネー・ロンダリングなど犯罪防止の観点にも留意する必要がある。次の段落としまして、近年、決済分野におきましてノンバンク・プレーヤーが提供するサービスが拡大するような中、利用者保護の観点からリスクに対する必要な手立てを講じることも必要である。次の段落、「例えば」としていますが、従来銀行とサービスの利用者との関係は主に直接コンタクトして処理されてきたが、両者の間に立って介在するようなサービスが拡大し、そこでトラブルが発生した場合の利用者保護をどのように図るかといった課題も生じてくる可能性がある。

次の段落ですが、利用者保護や犯罪防止はまずもってサービスを提供する事業者において責任を持って対応することが必要である。しかしながら、さまざまなプレーヤーが登場し、種類も拡大する中で、適正な利用者保護等を図るための枠組みについて検討していく必要もある。その際には、例えば事業者に対する許認可等の規制により適正な運営を確保することや、あるいはそれぞれの業態に応じた自主ルールで対応することなどさまざまな方法が考えられるが、実態を十分に踏まえ、実効性のある対応を行っていくことが重要である。またあわせて、利用者保護を図る上で問題になる行為に関する情報共有や注意喚起、高齢者等への配慮、利用者側のリテラシー向上なども重要であると。

最後に、「なお」としまして、仮想通貨等新たな形態の決済手段についても、利用実態や犯罪その他不正利用の可能性、国際的な規制の動向等も踏まえた上で、対応のあり方について必要に応じ検討していくことが考えられるのではないかとの指摘があった旨を記載しております。

次に、第6章改革に向けたアクションプランでございます。最初の最近の動向としまして、米国やEUにおける戦略的な文書の発表など、諸外国における取り組みを紹介しております。

これを受け、次の2.改革に向けたアクションプランの策定のところです。我が国においても戦略的に決済高度化に向けた取り組みを進めていく必要があるとした上で、2行ほど飛びまして3行目の終わりぐらいのところからですが、包括的な改革のためのアクションプランを策定し、それを官民挙げて着実かつ継続的に実行していくことが検討されるべきである旨を記載しております。

最後の章、法制面に関する課題でございます。冒頭まず、決済分野においては、上述のとおり、ノンバンク・プレーヤーが提供するサービスが拡大し、従来銀行が担ってきた決済に関する業務や機能が分化されているという変化がある。こうした動きは今後もさらに進んでいくものと考えられる。

こうした動きに対して、欧州においてはということで、取り組みの例として、EU決済サービス指令が制定されたこと、2つ目の黒ポツで、さらにその見直しのため、PSD2と呼ばれておりますが、その策定に向けた検討が行われていることの紹介をまずしております。

その次、「法制度のあり方は」で始まるところですが、法制度のあり方は、それぞれの国・地域の経済状況等を踏まえて考える必要があるが、環境が変化する中、我が国においても以下のような観点に立って検討が必要ということで、以下、幾つかの観点を記載しております。

最初の黒ポツですが、IT分野の成果を取り込む等の要請に応えていくためには、ノンバンク・プレーヤーも含めた多様な主体の事業展開を促していくことが重要である。他方、各種サービスのリスクに応じた適切なルールを構築することも重要と。次の点ですが、銀行規制に関しても、必要な連携等も行いつつ、決済関連業務を戦略的に展開していくことを可能とするような業務範囲規制などについて検討することも重要と。その次の点でございますが、銀行その他の業者と利用者を取り次ぐようなサービスなどが登場しているが、こうしたいわゆる中間的な業者にトラブルが生じることも考えられ、次の22ページにわたっておりますけれども、利用者保護上のリスクに対応した規制のあり方を検討することも重要と。次に、さらに、従来銀行が担ってきた業務が分化される中、信用創造機能、決済ネットワークの提供など、銀行が果たしている経済システム上の根幹的な役割を維持することも重要である旨を記載しております。

次の段落で、こうした論点に加えて、審議の過程におきまして、資金決済法に関連し、各種サービスに対する適用関係や資金移動業者の送金限度額、またプリペイドカード発行業者の表示義務、供託負担、また、事業譲渡手続、その他CMSに関連した法制面の適用関係についての問題提起も記載しております。

次に、「なお」と書いておりますが、なお、金融審議会において、今般新たに金融グループをめぐる制度のあり方について諮問がされ、銀行グループの業務範囲規制や銀行法制に関する論点はその審議の中で全体のガバナンスの観点も踏まえて検討が進められるものと考えられ、次のパラグラフですが、当スタディ・グループを改組して設置されるワーキング・グループでは、グループをめぐる制度のあり方についての審議も踏まえつつ、決済高度化の観点から、法制面での論点について審議を進めていくことが必要である。その際、個別論点のみではなく、規制の全体像・相互関係等を十分に踏まえることが重要であると。

「おわりに」としまして、以上を踏まえて、環境が大きく変化する中で、決済高度化の重要性が高まっており、我が国においても、アクションプランの策定など、また制度面の手当てなどについてもさらに検討を進めていく必要があり、最後でございますが、本中間整理はこれまでの審議を総括したものであるが、この総括も踏まえ、新たに設置されるワーキング・グループにおいて決済の高度化に向けた諸課題について審議を深めていくことが期待されるという結びで終わっております。

以上、急ぎ足になりましたが、中間整理案についてご説明を申し上げました。

【岩原座長】

どうもありがとうございました。

それでは、討議に移りたいと存じます。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。

柏木委員、どうぞ。

【柏木委員】

これまでの有識者へのヒアリングなどを通して出ました論点や課題が、本中間整理案で非常によく網羅的に整理されたと考えており、事務局に感謝申し上げたいと思います。また、我々金融機関としても、日ごろ悩んでいる課題、要望を広く共有、議論できて、大変よい機会になったと思います。

一方、これらの課題や論点に対する対応というのは、金融の実務担当者からするとなかなか一筋縄ではいかないものが多いと考えております。この中間整理案の中でも、一部、対応の方向感の例示の記載があるわけでございますが、引き続き、具体的には今後のワーキング・グループでその妥当性や導入方法の是非も含めて議論を深めていくことを期待したいと思います。

例えばニーズがあるとしても、我々から見ていますと、その強さや広さにはかなり留意が必要だと思っております。一部の利用者の限定的なニーズである可能性もあるということだと思います。また、対策にコストがかかるような方向感も出ておりまして、特にニーズが一部の利用者に限定される場合は、そのコストを誰が負担するのか、あるいは例えばデッドラインを設けて強制的に何かを変える場合には、一般の利用者や中小も含めた金融機関等への影響、負荷も十分に考える必要があると思います。加えて、広く社会インフラとして対応すべき課題か、あるいは個別の金融機関の努力や競争によって解決すべき課題かというような峻別も必要になってくるかと思います。

その観点から少し具体的に申し上げますと、9ページにありました送金フォーマットの内外統一のニーズでございますが、これは確かにグローバルに事業を展開する一部の企業からは確実にニーズがあると聞いておりますものの、反面、もし全ての国内振り込みで対応するとなると、全くニーズのない中小企業も含めて対応が必要となりまして、極めて影響が大きくなってしまうという懸念がございます。

これはXMLの電文も同じ問題があるわけでございます。個別行の話ではありますが、私どもの銀行では、そういうニーズがある一部の企業向けにXMLフォーマットで国内送金の受け付けもしており、こういった個別行の対応が望ましいという考え方もものによってはあるのではないかと思います。

それから、12ページにありました100億円以上の大口内為振り込みですが、これも、これまで全銀システムは数年に1度更改しておりますので、そのタイミングで検討してきたわけですが、100億円以上の送金件数は限定的な反面、対応するには相当のコストがかかるという問題があります。

それから、戻りまして10ページ、IPFAに関しましても、ロー・バリュー・ペイメントの高度化の1つの選択肢であるとは確かに思いますが、その一方で、欧州ではご存じのようにACHは数多く存在する中で、IPFAに参加しているのはオランダのEquensだけであり、米国も2つあるACHのうち1つだけが参加という状況です。また、これはIPFAのホームページにて確認した情報ですが、英国のACH、ヴォカリンクとか、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ等はすでに脱退しているように思われます。実態面をよく見ていく必要があると思いますし、一方で、ロー・バリュー・ペイメントのサービスを提供するという意味では、新しいソリューションも日々出現しており、ニーズをどう解決するかはさまざまな観点から検討が必要なのではないかと思います。

以上、幾つか事例を申し上げました。繰り返しになってしまいますが、課題や論点が非常に明確になって共有できたことは、大変大きな成果であったと思います。これをもとに、今後は対応策について、官民が一体で我が国の決済業務等の高度化に向けて戦略的なアクションの議論を深めていけたらいいのではないかと思っております。以上でございます。

【岩原座長】

ただいまのご指摘に関してでも結構ですし、それ以外の点でもいかがでしょうか。

関委員、どうぞ。

【関委員】

中間整理案についておまとめいただきまして、ありがとうございます。全体を通して非常によく整理されているのかなと感じました。この中で、サービスの高度化あるいはイノベーションを伸ばしていくといったことが背景に流れていると思うんですが、そういう視点で幾つか、杞憂かもしれませんが、気になった点だけ申し上げたいと思います。

18ページの真ん中に「多様なプレーヤーが対応の拠り所とできる準則」という表現があるんですが、これは具体的にどういうものかちょっとイメージできなかったもので、質問として申し上げさせていただきます。通常、準則というと特定の法律の解釈指針的なガイドライン的なものかなとも思うんですが、この場合はどういうものを指しているのかという質問でございます。

それから、2点目が、20ページの一番上の段落の中の真ん中あたりに「実態を十分に踏まえつつ、実効性ある対応を行っていくことが重要である」ということですが、もちろんこの中にはイノベーションを阻害しないということも当然入っているのだろうと思いますので、ここにも明記していただければなと思いました。

それからもう1つ、細かい点だけどよろしいでしょうか。21ページの下のほうの下から3つ目のポツで「リスクに応じた適切なルールを構築する」というふうにあるんですが、ほかのところでは一応、「検討する」という表現で書いていることが多いので、構築するに当たっていろいろな検討をした上で、いろいろな視点でのルール化、あるいはルール化しないことも含めたことを検討するんだろうなということから、「構築する」とまで言わずに、「検討」というふうな表現のほうが望ましいのではないかなと思いました。非常に細かいところで申しわけありません。

それから、最後、22ページの一番上の段落のところで「中間的業者にトラブルが生じることも考えられ」ということで、そういったことも考えられるのかもしれないんですが、過度な規制あるいは予防的なもので過度なものというのは避けるべきだと考えますので、実態を十分に調査した上で、規制が必要かどうかも含めて慎重な議論が必要だろうと思います。その旨、そういったニュアンスのことも記載していただければなと思います。以上でございます。

【岩原座長】

ご質問もありましたので、事務局のほうからお願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず冒頭ご質問いただきました、18ページ、セキュリティの準則のところでございます。まず私どもがこれをドラフトする段階で、情報セキュリティの構築というのは難しいところがたくさんあるだろうなということを考えておりました。難しいと申しましたのは、おそらく実際に行っている業務の実情に応じて、それは業務の内容もそうですし、どういう方々を相手にしてどういうところとネットワークがつながっているかとか、そういう実情に応じた対応が必要という点で難しいところがあるであろうと。ただ、ネットワークが広がる中で、多様なプレーヤーがある程度、最低水準とも言うべきルールに従うということがだんだん必要になってくるのかなと思われます。

したがって、ここで準則と書きましたが、おそらく実態に応じていろいろなルールがあり得るのではないかと思われ、それを何と表現するかというのはやや難しいところで、準則と書きましたのも、一定のルールがあって必ずそれに縛られるのか、このルールのようなものは最低水準を目指すものであって、それにプラスアルファのよりセキュリティを向上させるような個別の事業者の取り組みということもあり得ると思われるところ、表現が適切だったかどうかということはありますが、参照にすべきルールや準則というつもりでドラフトしたところでございます。

それ以外のところ、イノベーションの促進が重要というのは、どこに書いたか忘れたんですが、幾つかのところで触れておりまして、どういう表現が適切か、印象論も含めて考える必要があるのかなと思います。

21ページの「ルールを構築することも重要である」のところは、これもドラフトする段階では、まずその前段で「我が国においても、以下のような観点に立っての検討が必要と考えられる」と、まず全て検討なんだということで、それを踏まえて幾つかの観点ということで、黒ポツの中で、こういうことも重要だ、こういうことも重要だということで書いたつもりです。したがいまして、あくまでも全体として検討が必要であると係るようにドラフトを考えたところでございます。

【関委員】

2ポツ、3ポツが「検討」になっているという、それだけで、杞憂かもしれません。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

確かに、2ポツ、3ポツは、規制などについて検討と書かれており、どういう書き振りが適切なのかご意見もあろうかなと思いますが、とりあえずドラフトしたときの考え方は以上でございます。

【岩原座長】

それ以外のご質問、ご意見等いかがでしょうか。

古閑委員、どうぞ。

【古閑委員】

済みません、今のところに関連してのところなんですけれども、最後の22ページの点ですけれども、「検討」ということなので、そんなに心配はしていないですけれども、その検討のフェーズなんですけれども、単にトラブルが生じる「可能性」ということだけをもって検討というよりは、どのぐらい大きな問題なのかとかいったことも踏まえて、ただトラブルが生じるというだけで直ちに検討に入るというのではなく、全体観をちゃんと見てバランスをとった検討がなされることを望みたいと思いますので、意見として述べさせていただきます。

【岩原座長】

ほかにいかがでしょうか。

松井委員、どうぞ。

【松井委員】

多様な内容を丁寧に取りまとめてくださって、本当にありがとうございました。非常に頭がすっきりいたしました。

私から、1点コメントと、1点質問がございます。まず1つ、コメントでございますけれども、今回のこの取りまとめの中で、各業界とか、あるいは個別の金融機関等に取り組みを要請するようなものが多々ございます。その中には、時間軸がはっきりと見えるものとそうでないものがございます。例えば13ページを拝見しますと、例えばこちらに、APNに対して官民が連携しながら積極的に参画すると、これはもう平成29年という数字が書き込まれております。あるいは、10ページや15ページあたりに、技術的な面についてエンド・デイトを設定するかどうかということで、これは具体的にいつということではないけれども、やはり時間軸をかなり意識したものがございます。

他方で、なかなか難しいということもあるのでしょうけれども、今後の検討や取り組みを期待すると書かれているものの中には、時間軸がどれぐらいのスパンで考えられているのか必ずしもはっきりしないものもございます。第6章でアクションプランがございますが、おそらく今後具体的な検討を進める中で、事項の性格に応じてある程度時間軸を示していくということがこの問題を考える上で大事ではないかということを――非常に抽象的ではございますけれども――感じました。むろん、中間報告といたしましては今の書き方で特に問題はないのではないかと思います。

それからもう1点、質問でございますが、21ページから法制面に関する課題ということで幾つか具体的な可能性が指摘されております。法制面に関する課題ということで、第1に念頭に置かれているのは、銀行法をはじめとした具体的な法律の改正、ないしそれに基づく下位法令の改正なのだと思います。ただ、例えば21ページの真ん中の下にある、ノンバンク・プレーヤー等を含めて各種サービスのリスクに応じた適切なルールを構築していくといった話のときに、このルールというのは、具体的な今申し上げたような法律のみを念頭に置いているのか、あるいは業界の自主規制の作成など、いわゆるハードローではないような手法も可能性として考えられておられるのか、このあたりのご感触のようなものがございましたらお教えいただけたらと存じます。

【岩原座長】

それでは、佐藤参事官。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

まず今ご質問いただいたルールのところでございますが、ドラフトした際の考え方としては、ルールには恐らくいろいろなルールがあるのであろうと考えておりました。それはまさにリスクに応じたルールということであり、どういうリスクがあって、そのリスクに対応するためにどういうルールが求められるか、その中には可能性としては法令、ハードローもあるでしょうし、あるいは何か自主的なルールが適当という場合もあり得るかと思われます。自主的なルールというのも多分またいろいろな段階があって、相当程度バインディングな自主ルールを業界団体で決められることもあれば、任意団体のようなところで、基本的な考え方などをまとめるということもあるでしょうし、まさにそこはリスクに応じたどういうルールが適当であるか、そういうことをよく踏まえた上で構築していくことが重要であると、そういう意味でドラフトした次第でございます。

もう1つ、冒頭の時間軸のところにつきまして、APNの平成29年ごろまでとここだけ年数が出ているところにつきましては、ここはAPNの話し合いの中で、平成29年――平成に勝手に変換してしまいましたが、西暦で何年になるのかな、西暦何年ぐらいまでにアジア地域の決済インフラの構築を目指そうということがうたわれておりますので、それをここに記載したところでございます。

【岩原座長】

よろしいでしょうか。

ほかに。

翁委員、どうぞ。

【翁委員】

ありがとうございます。今、佐藤参事官がご説明された趣旨に基づけば、21ページの下から3つ目のところが、各種サービスのリスクに応じた適切なルールということで法令も自主規制も含むという考え方であるといたしますと、22ページの一番上のところに関しましても、利用者保護上のリスクに対応したルールのほうがよいのではないかと思います。同じ考え方であるとすると、規制、法令面だけではなく自主規制というのもあり得るのではないかと思いますが、いかがでございますでしょうか。

【岩原座長】

それでは、佐藤参事官、お願いします。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

確かにここで規制とルールと書き分けられておりまして、そこはもう一度、横並びも含めて見直しをさせていただきたいと思います。

【岩原座長】

細かい文言の吟味は後でまとめてさせていただきたいと思います。

ほかにございますでしょうか。

加毛委員、どうぞ。

【加毛委員】

ありがとうございます。先ほど松井委員から、時間軸をアクションプランに向けて考えていく必要があるだろうというご指摘がありましたが、それとともに、可能な範囲でアクションプランでは名宛人を明らかにするのがよいのではないかと考えます。

中間整理案を拝読しまして、非常に幅広い論点が拾われており、かつ、さまざまなところに対してメッセージが送られているのだろうと理解いたしました。中間整理案で指摘されているさまざまな課題を解決するために努力すべき名宛人としては、主として業界団体あるいは政府が想定されているのだろうと思います。例えばグローバルCMSについて新興国へ働きかけるというのは、やはり政府が主導して行う必要があるでしょうし、そのための公的阻害要因の排除というのもやはり政府の課題であるかと思います。また、電子記録債権の機関相互間の接続につきましては、法制度面の整備と技術面の整備の必要があるかと思いますけれども、少なくとも法制度面の整備についてはやはり政府が考えていかなければいけない。さらに公的機関による電子記録債権の利用拡大も、政府主導のもとで各機関が努力すべきことなのだろうと思います。他方で、業界団体に向けられたものとしては、先ほど柏木委員からご指摘のあった送金フォーマットの統一や、XML電文への移行についてのエンド・デイトの設定などが挙げられます。

ただ中間整理案について興味深いのは、政府や業界団体を超えて、個別の銀行・事業者や利用者に対してもメッセージが投げかけられていることであると思います。個別の銀行・事業者については第1章の2におけるオープンイノベーションの促進や、戦略性強化による収益性の確保、さらには2章におけるCMSの強化、IT戦略投資、機動的な事業展開などが指摘されているところです。利用者についても、4章の2におきまして、適切なセキュリティ対策等をとるべきことが述べられています。

このような観点からしますと、アクションプランを作成するに際して、誰が何をすべきであるかを明確にすることができれば、アクションプランの価値も高まるように思われます。時間軸とともに名宛人という軸を意識して今後の作業を続けていくことができればよいのではないでしょうか。先ほど柏木委員から、送金フォーマット統一の必要性が本当にあるのだろうかというご指摘がございましたが、この点も業界団体と個別の銀行のいずれを名宛人とすべきなのかという問題に関わるように思いました。

それから、もう1つ細かい点なのですが、20ページにおきまして、仮想通貨あるいは暗号通貨についてのご指摘があります。このスタディ・グループでは本格的に検討してないということもありますし、また、前回安田委員からのご指摘に対して佐藤参事官がお答えになったところですけれども、問題の現れ方にやや特殊なものが入ってくるように思われますので、その取り扱いについては慎重さが求められるのではないかと考えます。

【岩原座長】

ほかに。

小野委員、どうぞ。

【小野委員】

ありがとうございます。まず事務局の皆さんに、幅広い論点を手際よく整理していただきまして、お礼申し上げます。

今、加毛委員からあったことと重なるのですけれども、私も最初にこれを拝読したときに、挙げられている検討事項というのが誰に対して検討を要請しているのかという点が、それぞれの項目によって違う印象を持ちました。最初は、このワーキングは諮問を受けてやっているものだと理解していますので、その諮問を出した相手に対して検討を要すると言っているのかなと思ったんですけれども、中身によっては、今お話に出たとおり、あるいは最初の柏木委員からお話が出たとおり、該当しそうな金融機関に対して検討を要請していると受け取れるような項目もございます。中間整理全体として、誰に対して物を申しているのかという点がやや曖昧なのかなという印象を持ちました。ただ、項目ごとに一々書き分けていくのは大変だということもあるのかもしれません。そうであれば、先ほど来お話に出ているように、今後詰めていくであろうアクションプランにおいて、検討項目ごとに、時間軸と、先ほどの加毛委員のお言葉でいえば名宛人を明確にしていくのがよいかと思います。それが1点目です。

その上で2点目ですけれども、今後の議論をしていく上で中間整理から読み取りにくいと思った点が2点あります。1つ目ですが、今後検討を進めていくに当たっては、アクションプランを策定することが大事だというメッセージが書いてあります。それからもう1つのメッセージとして、後継のワーキングで検討を進めるということも書いてあります。それでは、この両者はどういう関係にあるのか。アクションプランの策定にかかわる主体とこのワーキングとの関係というのはどうなっているんだろうかというのが素朴な疑問としてあります。

それから2つ目は、ワーキングで検討対象とする事項ですけれども、22ページを見ますと、7章の最終段落のところで、ワーキング・グループにおいては法制面での論点について審議を進めていくことが必要であると書いてあります。これを読むと、ワーキングでは法制面についての審議をするのだなと思ったんですけれども、「おわりに」を見ると、諸課題についてさらに審議を深めていくということで、もうちょっと幅広い話になっています。先ほどのアクションプランの話等も含めてどういう関係であることを想定しているのかというのがわかりづらかったので、そこを整理した中間整理にしたほうがよいのではないかという意見です。

【岩原座長】

それでは、ただいまのご指摘について、佐藤参事官のほうから。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

今のお話の中で、アクションプランと後継ワーキング・グループとの関係というところにつきましては、まず、アクションプランをどういうふうに検討していくかというのは、いろいろと考える必要があろうかと思っております。先ほど柏木委員からもお話ありましたが、おそらく事業者サイドとしては、フィージビリティーとかコストベネフィットの問題なども考える必要があり、そういうビジネス面での実態ということもよく踏まえて検討していく必要があるのかなと感じるところであります。

後継のワーキング・グループで、皆さんお時間のないときにそういう細かいところまで議論するのが果たして適切かどうかというところもあり、アクションプランと後継のワーキング・グループの関係については、ワーキング・グループの座長や委員の皆さんのご意見も聞きながら道行きの整理をしていく必要があるのかなとまず考えております。

もう1つは、ワーキング・グループで検討する課題というところなんですが、法制面の課題については、これは第7章で記載されている通りであります。ただ、新しいワーキング・グループでの検討課題は、法制面の話だけではなしに、アクションプランとの関係も含めて、それ以外の課題もあるものと考えております。例えばセキュリティの話など、必ずしも法制面に限定されるわけではない論点が多々あるものと考えております。いずれにしろ、中間整理を受けまして、今後のワーキング・グループの進め方については、審議のしやすさということなども含めて、事務局としてもいろいろと考えた上で、ご相談していきたいと考えております。

【岩原座長】

池田局長、お願いします。

【池田総務企画局長】

この中間整理で名宛人をもっと明確にしてから出したほうがいいんじゃないかという小野先生のご指摘だったかと理解しますが、現実には、例えば全銀協なんかはいらっしゃいますが、今、加毛先生と小野先生がご指摘くださったように、名宛人というのは必ずしもここに今いらっしゃらない方もいるので、やはり審議会として名宛人を明示するためには、まず名宛人と想定される人ともよく話をしながら明確にしていく必要があると考えていまして、現時点でこのスタディ・グループの中間整理の中で名宛人を明記するということは現実問題として難しいと。

ただ、ご指摘がありましたように、最終的なアクションプランが名前どおりアクションプランと呼べるものになるためには、全項目についてそうなるかはわかりませんけれども、主要なものについて、やはり時間軸と名宛人がないとなかなかアクションプランと称するものにはならないだろうというのはご指摘のとおりだと思います。今回はこういった形で大きい方向性についてスタディ・グループとしてのお考えをいただけば、その上で、これから名宛人と思われる方ともいろいろな形で私ども話をしていく必要が出てくるんだと思います。

そのときに、小野先生からあったように、じゃあ、アクションプランをつくる主体は誰かという問題がありますけれども、これも名宛人とおぼしき方ともよく話しながら判断していく必要があって現時点で確たることは申し上げられないのですけれども、いずれにしても、アクションプランを策定していく過程では、このスタディ・グループの後継になるワーキング・グループでご意見を賜りながら進めていきたいと考えています。

ご質問にあった点ですけれども、後継のワーキング・グループは法制面だけをやるのではなくて、アクションプランの策定について、どういう形になるかは現時点では確定的なことは申せませんけれども、一定のご意見を賜るということは考えております。それと、法制面についてもいろいろな検討のご要請をこれまでの審議の中でもいただいておりますので、それらについても審議をお願いしたいと考えているところでございます。全てがクリアに書き込めていないというご指摘をいただいているのだと思いますが、現時点ではここまでの作業をまずまとめてから、名宛人と話をしていく必要があると考えている次第です。

【岩原座長】

どうもありがとございます。

それでは、加毛委員、どうぞ。

【加毛委員】

今の池田局長からのお話につきまして、小野委員は違う考え方をお持ちかもしれませんけれども、私は、中間整理案としてはこれでよいのだろうと思います。中間整理の検討は、かなり深いところに立ち入っているというのが私の感想でして、これからアクションプランに向けて、それをどのように明確にできるのかを検討してはどうかと考えます。先ほどの発言は、中間整理案について名宛人を明確にせよという趣旨ではなく、中間整理案をもとに今後どのような作業をしていくのかについて申し上げたかった次第です。

【岩原座長】

小野委員、どうぞ。

【小野委員】

ありがとうございました。若干、質問の趣旨を補足させていただきます。日本語というのは便利な言語で、主語がなくても一応文が構成できるんですけれども、英語だと主語がない文というのはないので、そこが気になったというのが素朴な疑問のそもそもの趣旨です。

その点は別にして、この中間案を拝読して思ったのは、結局は池田局長がおっしゃったとおりアクションプランで今後クリアにしていく課題ということに尽きるのかもしれませんけれども、これ以上話しようがないテーマだなと思う点も個人的にはありました。例えば電債間の相互接続をどうするかというのは、おそらく個別のプレーヤーの方々の競争関係というのもあっての話だと思いますので、話し合いの場を設けるぐらいのことはできるかもしれないですけれど、そこで話が進むかどうかというのは正直よくわからないし、それは個別判断に委ねるしかないのではないかという印象を持ちました。

その上でひっかかったのは、これもちょっと印象的な話になってしまうかもしれないんですけれども、「検討を進めるべきである」という用語が多用されています。検討すること自体はいいことなので、まずは検討すべきであるという趣旨で使われているのであれば全く異論はないんですが、前向きに検討すべきであるというニュアンスであるとすると、そこはちょっと判断材料を持ち合わせていないのでなんともいえないな、と正直なところ思うようなテーマもあります。冒頭柏木委員がおっしゃっていた点について、我々実務をやっていない者からすると判断のしようがないということです。

ですので、そのこともあって、きちんと名宛人を明記した上で、その方に検討してもらいたいという趣旨でした。ただ、だからといって、この中間案自体を大きく変えるべきだということではありません。先ほど申し上げたとおり、アクションプランにおいて今後詰められていくことでしょうし、アクションプランとワーキングとの関係についても、先ほど佐藤参事官がおっしゃったとおりで、細かい話について限られた時間で話をしても仕方がないと私も思いますので、そういう整理でよろしいかと思います。

以上です。

【岩原座長】

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

山上委員、その後で森下委員、お願いします。

【山上委員】

まず、多岐にわたるテーマに対してご丁寧に取り扱っていただきまして、大変ありがとうございました。

名宛人の話とは直接関係ないんですけれども、今回このように中間整理をしてくださった過程でも、例えば欧米で決済改革が進んでおりますとか、アジアでこんな状況ですというのが取り扱われておりますが、実際にそういう人たちのお話を聞いたりする機会が私のような者は多いものですから、逆に日本でどのような決済改革に関しての方針がこれから出てくるのだろうかというようなことについても非常に興味を持って見ておられるように感じております。ですから、それは名宛人には入らないとは思うものの、こういうものの最終的な成果物が日本語にとどまるだけでなくて海外にも何らかの形で伝わるように、翻訳なりを通じて最終的に見られるようなものになっていくのかどうかということについて、ぜひご意見をお伺いしたいなと思いました。

仮にそうなんだとすると、欧米のそういったいろいろな書類とかを拝見していきますと、日本としてはこんな決済ができてくるといいなというようなことがまず冒頭部に幾つか並んでいて、ビジョンみたいなものだと思うんですけれども、その上でアクションが、今後の議論の中から出てくるものだとは思うんですけれども、連なっていくようなイメージだと非常にメッセージ性もあるのかなと思ったんですが、その辺のあたりはいかがでございましょうか。

【岩原座長】

では、池田局長。

【池田総務企画局長】

この中間整理自身を英語にする予定になっているのか等は事務方からまだきちんと聞いていないので、どういう計画になっているのか詳細はわからないんですけれども、あくまでも中間整理という問題だと思うんです。それで、その上で、今後ワーキング・グループに改組して、そこでなのか、それに関連してなのかわからないけれども、やはりアクションプランをつくり、当然そのアクションプランができる背景にある考え方、大きい方向性、ストラテジーみたいなものはぜひこのスタディ・グループの後継であるワーキング・グループからもインプットをいろいろいただきたいと思うわけですけれども、それはでき得れば、日本としての大きい戦略をインターナショナルにも示せるものがつくれれば、それはいいなと思っているわけです。

じゃあ、なぜそこを今しないんだということかもしれませんけれども、私自身の感想も含めていえば、やっぱり昨年秋にこの問題の諮問を受け、審議を開始していただいて、お忙しい中、何度もヒアリング等に委員の皆さんにもおつき合いいただいたわけですけれども、その過程の中でやはり決済というものの重要性、決済高度化の重要性というのは、世の中全体、半年前よりは金融界においては意識が相当高まっているのではないかと。今日ご指摘あったように、一つ一つのテーマについてもう少しきめ細かくニーズの広がりと深さ、それから、かかるコストを吟味しなくちゃいかんというご指摘をいただきましたけれども、半年前はそういうことを検討しようという動きすらなかったのではないかと私は感じています。大変お忙しい委員の方々のお手間をとらせて恐縮でありますが、半年でようやく、少なくとも検討しなければいけない課題をここまで洗い出すことができたというのは、私ども事務局としては大きい成果がここまで出てきていると思っています。

今後はそういう中で一つ一つきめ細かく精査をして、最終的には世界からも、日本は無駄遣いをしているなと言われないように、しっかり戦略的に効果的なことをやる。そのためには官民連携してという言葉もいろいろな方から今日いただきましたけれども、やっぱり英知を結集してゴールに向かいたいと、引き続き、ご支援賜りたいと考えております。

【山上委員】

ありがとうございました。

【岩原座長】

佐藤参事官のほうから何かありますか。

【佐藤総務企画局信用制度参事官】

英文のものをつくるか否かというところなんですが、率直なところ、役所というのは予算の制約があり、その縛りもある中で考えていく必要があります。ただ、今いただいたお話は我々としても念頭に置きながら、どういうことが可能であるか少し検討していきたいと思っております。

【岩原座長】

英文で公表するということは外に非常に強いインパクトを与えることになりうると思います。例えば最近ですと、たしか日本版コーポレートガバナンス・コードの策定については非常にスピーディーに英訳がつくられて、非常に大きい影響を与えたと認識しております。英文で公表すること自体が大きい影響を与えますので、それを十分に考慮に入れて、どの時点でそういうことをやっていくのがいいのかということを慎重に考えた上でやっていただきたい。最終的にはやはり外国でも理解していただけるような公表の仕方がなされるのがよろしいと私も思っております。

ほかにありますでしょうか。

森下委員、どうぞ。

【森下委員】

感想のようなものではございますけれども、やはり官民挙げて、ということがいろいろな箇所で言われているということは非常に大事だと思います。それぞれの項目によって、直接的な名宛人というものはあるのかもしれませんけれども、これは誰の仕事だからという形で誰かに丸投げしてしまうということではなく、今回のこの報告書、あるいは今回の取り組みをきっかけに、やはり官民挙げてお互い知恵を出し合って、よい方向を目指していく、そのためのステップとして捉えることが重要なのではないかと考えております。

あとは、先ほど電子記録債権のお話がありましたけれども、電子記録債権につきましては、例えば相互接続とか公的な機関の利用ということが書かれています。今回はこの2つのテーマを挙げていますが、これをきっかけに、今後の検討の中でよりよいものを目指した、いろいろな知恵を出していくきっかけになればいいなというふうに考えております。今回の報告書もそのような、今後、官民が協力してよりよい知恵を出し合っていくためのファーストステップというような形で受けとめられるならば、より一層価値のあるものになるのではないかと考えております。以上です。

【岩原座長】

ほかにございますでしょうか。

堀委員、どうぞ。

【堀委員】

今回スタディ・グループに出席させていただきまして、論点ありきではなく、決済に関するさまざまな点が議論されて、その結果として論点や課題が浮かび上がってきたということについては、非常に新しい形の取り組みであったと思いますし、また今、池田局長からもお話ありましたように、非常に成果があったと認識しております。この中間整理案では議論の全てが網羅されておりまして、事務局の取りまとめに大変敬意を表したいと思います。

今後ワーキングにおいて個別の論点がさらに、課題が課題として残るのではなく、少しでもよりよい決済の高度化に向けて深掘りされ議論されていって、実際に幾つかの課題については解決されて、解決に向けた施策が実施されることを期待しております。また、この半年の間でも、新しいイノベーションがどんどん起きていて、新しい決済サービスができたり、環境変化が生じたりしている分野だと思いますので、また一定期間たちましたら、見直しや、検討の機会が設けられることを期待しております。中間整理に書くというよりは、これはこれで実施していただきたい、今後また定期的に見直す機会があり得るということが望ましいと考えておりますことをご意見として申し上げたいと思います。以上です。

【岩原座長】

はい、どうも。

ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。

特にもしこれ以上のご意見、ご質問がございませんようでしたら、本日事務局からお示しいただきました中間整理案については、表現ぶりについてはいろいろご意見いただきましたが、内容についてはおおむねご賛同いただいたものと思います。最終的なそういうご指摘をいただいた表現等に関する修正等については私に一任をしていただきまして、必要に応じて修正したものをもって本スタディ・グループとしての中間整理とさせていただきたいと思います。その場合、修正の過程におきましては必要に応じてメール等を通じて皆様にご確認をいただきたいと考えておりますので、そういう手続を踏んだ上で本スタディ・グループとしての中間整理とさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】

どうもありがとうございます。あわせて、公表等の取り扱いについても一任させていただきたく存じます。

本スタディ・グループにつきましては、昨年10月9日以来12回の会合を重ねてまいりました。メンバーの皆様方には、大変お忙しいところ精力的なご議論を賜りまして、まことにありがとうございました。この場をおかりしまして厚く御礼を申し上げたいと存じます。

なお、既にご案内しておりますとおり、3月3日開催されました金融審議会において、本スタディ・グループをワーキング・グループに改組し、さらに審議を深めていただくこととされております。そのワーキング・グループの人選及び座長の指名その他の詳細につきましては、事務局ともご相談しながら決定し、ご連絡をさせていただきたいと考えております。よろしゅうございましょうか。

それでは、以上をもちまして、決済業務等の高度化に関するスタディ・グループを終了させていただきます。どうも長い間ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3560、3558)

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