金融審議会「公認会計士制度部会」(第6回)議事要旨

1.日時:

平成18年5月29日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題:

諸外国の監査法人制度等について

4.議事内容:

  • 以下について、事務局より報告

    • 中央青山監査法人及び同法人社員に対する懲戒処分について
    • 衆議院財務金融委員会付帯決議(平成18年5月12日)について
  • 以下について、事務局より説明

    • 金融審議会公認会計士制度部会報告「公認会計士監査制度の充実・強化」(平成14年12月17日)における今後の検討課題等とされた事項について
    • 諸外国(米、英、仏、独及びEU)の監査法人制度等について

主な意見等は以下のとおり

  • EU諸国では、監査事務所形態の有限責任化が図られている。まず監査法人内部のローテーションの実施状況をみて、問題があれば監査法人自体のローテーションを考えるというのが監査に関するEU第8次指令の考え方ではないか。職業賠償責任保険の加入は強制される方向だと思われる。
  • 監査法人に対する刑事罰の適用については、EU各国とも一般の法人処罰の考え方に基づいており、各国の状況は一律でない。我が国で刑事罰の適用を考える際には、一般法人に刑事罰を課しているかどうかとのバランスが問題になるのではないか。
  • EU第8次指令が上場会社を監査する監査事務所に情報開示を幅広く強く求めているのは画期的。きちんとした統制の仕組みをつくる動機を与えようとする趣旨と思われる。
  • 事業会社はガバナンス強化・内部統制の構築に努めているが、監査法人もそのガバナンス、内部統制を改善すべきではないか。
  • 監査法人と一般事業会社では性格・ガバナンスのあり方に違いがある。これは、監査報告書の署名の仕方、監査従事者と監査法人との責任の関係とも関連する論点。
  • 監査法人の開示制度の整備・強化を検討すべき。開示内容が真実であるとの宣誓を監査法人トップに義務付け、宣誓に違反した場合の罰則明確化も一つの方法。EU透明性報告書のようなものを義務付け、その内容を他の者に吟味させることも考えるべし。
  • 経営・執行に関わっている者が監査人の選任及び報酬を決定する仕組みは構造的におかしいので、日本独自の方法を考えるべし。
  • 監査法人への刑事罰導入も十分検討すべきであるが、刑事罰をできるだけ発動しない方がよい。現行制度と刑事罰との間をつなぐ処分について検討する必要がある。
  • 刑事罰の導入については、制裁が多様性に富む方が良い。また、制裁的な性格を有する課徴金の導入、公益通報に報いる制度等、柔軟な制度設計が必要ではないか。
  • 刑事罰が課されて監査法人の名声が失われると、実質的にその監査法人が崩壊するという大きな影響があり、その導入については、じっくり議論すべき。むしろ、監査の問題が起こらないような体制をいかにつくるかという点に重点を置いて検討すべき。
  • 行政処分については、不祥事が再発しないよう、きちんと監査法人にペナルティ-を課すべき。それによる企業、市場への影響を分析し、実効性ある行政処分を検討すべし。
  • 監査法人への業務停止処分は、1日でも相当厳しい効果を有するので、課金・罰金的な方向が考えられるべき。刑事罰は責任追及の手段の一つに過ぎないのではないか。
  • 行政処分の一つとして、継続的専門研修等の強化も考えてよいのではないか。精神的な部分の強化、職業人意識の明確化ができるような提言ができるとよいのではないか。
  • EU第8次指令では法定監査人の登録制を求めている。登録制により、監査人が監査を適切に行なえるかの資格を明示的に管理できると考えられるのではないか。
  • 登録制については、自主規制機関たる公認会計士協会の役割を強化して対応したい。
  • 公認会計士・監査審査会の審査・検査は十分なのか検討すべき。その観点から米PCAOBを見ていく必要あり。監査法人の監視を強化するのは非常に重要であり、必要な予算については手当てをする必要がある。
  • 監査法人制度の強化については、公認会計士協会が自主規制機関として自己の業務の改善に最大限努力し、それを補完する形で公認会計士・監査審査会等の官のチェックを受けるのが国民経済的に最善ではないか。
  • 日本公認会計士協会による品質管理レビューは十分なのかについても議論すべし。
  • 一例として、カネボウ、中央青山監査法人にかかる会計不祥事が生じた原因を分析し、再発防止策を考える必要がある。
  • 監査法人の社員が良心的に業務をしたくてもバイアスがかかってしまう構造的問題があるのか、もし不正が起きる土壌があるのであれば、検査・監視をいかに有効に働かせるのか、抑止力を働かせるルールをどのようなものにすればよいのかを検討すべき。
  • カネボウ粉飾事件に鑑みると、論点は、公認会計士の専門技術的能力の欠如というよりは、プロフェッショナリズムを遂行できなかったという当事者の精神的独立性の欠如の問題、現場と審査部門の間の情報伝達の悪さの問題の2つなのではないか。
  • 日本では、中規模の監査法人の数が諸外国と比較しても少なく、監査の受け手として大手4法人以外で選択肢が少ないことを踏まえて議論する必要がある。
  • 規制強化の議論があるが、監査報酬水準の低さについても考えないと、バランスを欠いた結果となるのではないか。
  • 仏のように公開会社に共同監査制度が導入されていれば、監査法人への処分の影響で監査法人の交代が行なわれても、被監査会社、市場が安心感を得られるのではないか。監査効率、守秘義務、監査報酬の問題はあろうが、一つの案ではないか。
  • 我が国は確定決算主義をとっており、会計と税務が関連しているため、税理士等も長年の粉飾についてはある程度わかるはず。対応策を考える上でこの点を認識すべき。
  • 会計と税務の問題を突き詰めていくと、社員資格の拡大の問題につながっていくのではないか。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局 企業開示課(内線2765)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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