金融審議会「公認会計士制度部会」(第9回)議事要旨
1. 日時:
平成18年9月12日(火曜日)10時00分~12時00分
2. 場所:
中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室
3. 議題:
- 監査法人における品質管理・ガバナンス・ディスクロージャーのあり方について
4. 議事内容:
○ 監査法人における品質管理・ガバナンス・ディスクロージャーのあり方について
- 事務局より説明
- 討議
主な意見等は以下のとおり。
- 監査法人のガバナンスを論じるに当たっては、所有者(出資者)である公認会計士、被監査企業、投資者など誰をステークホルダーとして考えるかということを考える必要があるのではないか。
- 現行の公認会計士法上、監査法人が監査を適切に行うための組織の機関設計のあり方が十分に定められていない。まず大規模な監査法人の組織の存在を念頭に機関設計を考えることが適当。その際、外部者の目をどのように監査法人の経営に取り入れるかとの視点も必要になってくるのではないか。
- 監査法人内部での報酬の配分はどうなっているか。若手のインセンティブとなるように若手への配分が行き届いているかが問題。
- 近時、内部統制の議論が行われているが、組織としてでないと、監査の対象となる大企業に上手く対応できない。監査業務だけでなく、組織としての事業経営も見ることのできる(株式会社における)監査役のような人材が必要。そうすれば、監査法人内部における報酬配分についても自然に変わってくると思われる。
- 企業経営者と渡り合える公認会計士が必要。米国のように、短期でのローテーション等により独立性の強化が図られると監査の質が低下するというようなトレードオフが日本でも起こる可能性がある。
- 内部機関の法定化や開示の義務付けについては、非監査業務の範囲、機関設計の柔軟化等と併せて検討すべきである。
- 監査法人の大規模化や外国の事例を見ても、監査だけでは収益的に成り立たないことから、総合的なサービスを提供する「会計法人」のような仕組みを考える必要があるのではないか。
- 公認会計士ではない者に議論に参加してもらうのは有用であるが、ボードメンバーは株式会社における取締役ないし執行役と同様の責任を負うこととすると、責任の問題も併せて考えることが不可欠。
- ボードのあり方については、品質管理とは別次元の問題として考えるべきであり、まずは監査法人の定款で必要となるものを整備することが求められるのではないか。
- 出資者である以上必ず業務に参加する必要があるのかは慎重な検討が必要。
- 品質管理基準が企業会計審議会によって決まっている中、品質管理が適切に行われているか否かについては、開示の充実で評価してもらうのが正しい方向ではないか。
- 監査法人の大小ではなく、監査対象が上場会社か否か等の基準で求められる開示のレベルを区分すべき。また、社員の有限責任形態を認めるのであれば、財務情報に関する開示を強化し、合名会社形態であれば財務情報に関する開示は不要、というような仕切りも考えられる。
- 開示は単に財務基盤の透明性のためにのみ存在するのではなく、監査法人がその社会的責任を果たしていることを担保するものとしての役割が重要。銀行法上の説明書類と同様の役割という位置付けが考えられる。
- 貸借対照表や損益計算書の開示を義務付けることが必要ではないか。
- 開示を強化するという方向に賛成。その際、法律で固めるのではなく、自主規制も利用し、どの事項を自主規制の対象とするかを法定化するのも一案。
(以上)
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局 企業開示課(内線3665)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。