金融審議会「市場構造専門グループ」(第3回) 議事録

 

1.日時:令和元年10月2日(水)9時30分~11時30分

2.場所:中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室
 
 
【神田座長】
 ただいまから、金融審議会の市場構造専門グループ第3回会合を開催させていただきます。皆様方にはいつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 会議に先立ちまして、事務局から皆様にご連絡がございます。
 
【池田監理官】 
 市場業務監理官の池田でございます。以後、よろしくお願いいたします。
 本会合にオブザーバーでご出席いただいている方にご異動がございましたので、ご紹介させていただければと思います。

 まず、日本証券業協会の松本自主規制本部長でございます。
 
【松本オブザーバー】 
 松本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【池田監理官】
 それから本日、後からお見えになる予定ですが、経済産業省の呉村産業資金課長もご異動で新たにオブザーバーとなられました。
 また、事務局側につきましても人事異動がございましたが、時間の都合もあり、お手元の配席図で紹介にかえさせていただきます。事務局からは以上でございます。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは本日の議事に入ります。本日は色々な方々からのヒアリングでございまして、2部構成とさせていただきます。まず、第1部としまして、地方に本拠を置く上場企業の方々から、この会合のテーマである市場構造のあり方についてお話を伺いたいと考えております。
 後半の第2部といたしまして、東京に本拠を置く新興企業の方々からお話を伺い、さらに議論を深めていきたいと思います。本日の議事はこのように進めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 では、第1部の議論に入りたいと思います。まず事務局から、参考人としてお越しいただいていらっしゃいます方々のご紹介をお願いいたします。
 
【池田監理官】 
 それでは事務局から配席図に従ってご紹介させていただきます。委員の方々に近い方から、北海道に本社がございます、株式会社北の達人コーポレーションより、木下代表取締役社長です。
 
【木下参考人】  
 よろしくお願いいたします。
 
【池田監理官】 
 次に、同じく北海道に本社がございます、エコモット株式会社より、工藤取締役管理部長です。
 
【工藤参考人】  
 よろしくお願いいたします。
 
【池田監理官】  
 続きまして、新潟県に本社がございます、株式会社ハードオフコーポレーションより、山本代表取締役会長でございます。
 
【山本参考人】  
 山本です。よろしくお願いします。
 
【池田監理官】  
 次に、愛知県に本社がございます、タキヒヨー株式会社より、武藤取締役専務執行役員でございます。
 
【武藤参考人】  
 よろしくお願いいたします。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまご紹介させていただきました4社の方々から、簡単な会社紹介等も含め、順次、ご意見をいただければと存じます。
 まず、株式会社北の達人コーポレーションの木下社長からお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
 
【木下参考人】  
 改めまして、北の達人コーポレーション社長の木下と申します。今日はよろしくお願いいたします。では、早速、資料1からご説明させていただきたいと思います。
 
 当社の現状と、今回の市場構造に対する意見というところをお話しさせていただきたいと思います。まず1ページ目の左側が、当社の概要になります。2002年5月に創業した会社で、北海道札幌市に本社がございます。現在、東証一部と札幌証券取引所に上場させていただいております。事業内容は健康食品、化粧品のインターネットの販売というところです。年商は昨年83億、今期109億と、中小規模の会社でございます。事業員数も143名というところです。

 当社の沿革ですが、資料右側にございます。2002年に設立いたしまして、2012年に札幌証券取引所のアンビシャス市場に上場させていただきました。この時の時価総額が約6億円という数字です。そして翌年、札幌証券取引所の本則市場に市場変更いたしまして、この時が時価総額44億円。そしてその翌年、東京証券取引所市場二部に上場させていただきまして、この時が時価総額50億円。そしてまたその翌年、東証一部に指定変更になりまして、この時の時価総額が82億円。そして現在、2019年9月時点での時価総額が約1,000億円というところです。
当社の特徴としては、地方市場から東証へステップアップした会社であるということ、そして東証二部から1年で東証一部へステップアップした会社であること、そして東証一部上場後、時価総額10倍へステップアップした会社であるというのが挙げられると思います。
 
 次のページは飛ばさせていただきまして、3ページ目に移らせていただきます。現在の市場構造の変更イメージです。こちらは色々といただいた情報だったり、マスコミに流れている情報だったりを含めた形で、我々のほうでこういう流れになっているのかなという認識したものを表にしたものでございます。右側の上にあります、市場構造改革の素直な印象というところですが、現市場における上場企業の新市場移行、振り分けについて、こんな感じなのかなと思っています。C市場がグローバル化に焦点を当てた、市場一部からのプレミアム市場。A市場が市場一部、二部、ジャスダック・スタンダードを集めたレギュラー市場。B市場はジャスダック・グロースとマザーズのエントリー市場、というイメージで受け取っておりますが、これが正しいかどうか、私が間違っている部分はあるかもしれませんが、そんな感じなのかなと思っています。
 
 そして、下にあります、今回の新市場の再編に対する我々からの希望で、2点ございます。本来、企業の上場は資金調達が第一義ではありますが、実態として、上場していることによる社会的信用性の意義もかなり大きいと感じています。特に知名度の低い当社のような地方企業は、人材採用面、営業上の信用面でも、東証一部上場企業であるかそうでないかは大きな違いがあると考えています。そういった環境下で、新市場再編において、従来の東証一部上場企業の一流企業ブランドを維持できるかどうかは、当社のような認知度・信用度を高めたい企業にとって大きな問題だと思っております。
 
 よって今回、以下2点提言させていただきたいと思っております。まず1つ目が、地方企業の実態を考慮した制度・基準づくり、2つ目が現上場企業の格下げ感を防ぐ市場ネーミングと移行状況です。
 次のページに行かせていただきます。まず左側をご説明させていただきます。地方企業の実態を考慮した制度・基準づくりで、地方上場企業の実態であります。日本の上場企業数3,763社のうち、東京・大阪・愛知の3大都市に所在する企業が2,553社ですが、残り3割強は地方企業であるというところです。そして、東証の資料「コンセプトに基づく基準」によると、ガバナンス体制、流動性、利益水準、市場評価(時価総額)等が挙げられておりまして、これまでの議論でもガバナンス体制、英文開示、国際会計基準の必要性が強く言われています。英文開示については、社内体制や外部機関の活用で対応可能ではあるのですが、その他の項目の中には地方の人材確保面において多くの困難が存在すると考えております。
 
 一例ですが、社外取締役の人数については、言葉は悪いですが人数を揃えるだけというのは可能ではあるのですけれども、実際、上場企業数自体が地方には非常に少ないところがありますし、それに適任者自体が圧倒的に不足している部分があります。また、例えば女性役員の比率について言えば、優秀な女性は地方にもたくさんいるのですが、役員になってくれる女性となると、非常に少なくなります。地方には未だ、女性自身に結婚したら家庭に入るものという意識が根強く残っています。これは非常に都市部と大きく違うところを感じております。当社自身は幸いなことに女性の役員・幹部がたくさんいるのですが、これはかなり苦労しております。そして、IFRSの適用についても、対応できる会計能力、経験を有する人材を地方で確保することは非常に厳しい状況であると感じております。
 
 現状、北海道には東証一部上場企業が20社しかありませんので、東証一部上場企業の管理部門経験者などは数えるほどしかおりません。地元での採用は現状でも非常に困難な状態です。また、札幌は日本で第5の規模の都市ではありますけれども、やはり本州と地続きではありませんので、本州から北海道への転職は非常にハードルが高いと感じています。よって、ガバナンス体制、英文開示、国際会計基準等の条件内容次第では、北海道に限らず、地方の現東証一部上場企業は、先ほどのC市場の条件を維持する人材を確保するために、東京への本部移転が必須となる感じがします。実際、当社も今、東京支店の強化を進めているのですが、これはほぼ人材難によることからです。特に、管理部門の人材難があります。現存の上場企業は何とか対応できるとしても、今後、新たに地方からC市場上場企業が誕生するのは非常に困難ではないかと考えています。これは、さらなる東京の一極集中を加速させ、政府の掲げる地方創生と逆行した方向に進むことになりはしないか危惧しております。
 
 そしてもう一つ、右側ですが、上に当社のROE及びROAの推移を書いております。一番右端に直近の数字が書いてありますが、当社ROEは48.9%、ROAが33.5%というところです。非常に高水準であると自負しております。
 資料下部の説明をいたします。形式よりも実態を考慮した制度づくりというところで、当社は成長過程にある企業ですので、東証一部のブランドに頼ることも多く、顧客の中には「東証一部企業だから」ということで商品を手にとって、買っていただいているお客様も多くいらっしゃいます。グローバル視点を重視しているC市場において、今後どのようなハードルが設けられるのかは不明なため、個別列挙はできないですけれども、少なくとも全国各地で人材難の問題が想定されるなど、移行時に求められる基準に即応できない事態が発生することが予想されています。

 ただ、コーポレートガバナンス・コードの導入についても、海外企業に比べてROEが著しく低いことが一因と認識しているのですが、例えば当社のROE及びROAは上図のとおり、一般的な東証一部上場企業平均の9.1%を大幅に上回っています。また、IFRSを適用してはいないですけれども、外国人等の株主の参入もあるなど、適切な開示と成長性を示すことができれば、適切に評価されるという実証にもなっていると思っております。
 すなわち、コーポレートガバナンス・コード自体はあくまでも手段であり、目的ではないので、例えばROEのような数値基準を上回っている場合はコンプライ・オア・エクスプレイン、下回っている場合はコンプライ必須、そして一定の猶予期間にそれが出来ない場合は降格・退出など、本来の目的に鑑みた企業の実態・実力を、画一的な基準でなく、総合的に判定する制度設計を望みたいと考えております。
 
 次のページに行かせていただきます。もう一つの提言ですけれども、②現上場企業の格下げ感を防ぐネーミングと移行条件のご提案で、私自身、マーケティング畑の人間ですので、ネーミングとか世間の印象を非常に意識します。今回の市場再編によって、現在の東証一部上場企業が2つに分かれることが前提であるように私自身は受け取っているのですけれども、当事者として一番気になるのは格下げ感の部分なのです。資料の右側の説明をさせていただきますと、課題としまして、現状の一部、二部というネーミングは一軍、二軍のイメージがあります。このネーミングイメージを引っ張ったままだと、プレミアム市場に行けない現一部企業は二軍への格下げ感がありますし、そうした企業が現二部企業と統合した市場に行くと、事実上二部市場への格下げというイメージになり、非常に抵抗があります。
 対策案として、市場名及び新市場の位置づけについて、C市場は東証プレミアム市場、これを上級市場として位置づけ、A市場を東証スタンダード市場もしくは東証レギュラー市場として、これを基準市場と位置づけ、そしてB市場を東証エントリー市場、これを初級市場と位置づけることを提言したいと思います。

 東証スタンダード市場もしくは東証レギュラー市場について、現東証一部上場企業は、基本的にはこの市場に移行するという考え方をしています。東証プレミアム市場には、現東証一部上場企業のうち時価総額500億から1,000億以上くらい、かつ、ガバナンス体制等の条件を満たす企業が移行する。
スタンダード市場が名前のとおり基準の市場で、プレミアム市場が上級市場という感じとなるため、プレミアムに行けなかった現一部企業が格下げ感を感じにくいと考えております。

 そして東証エントリー市場については、現二部、そしてジャスダック、マザーズ企業が基本的にここに移行するところで、このように現一部と現二部がそれぞれ違う市場に移行するとなると、現一部企業の格下げ感を感じないかなと考えております。
現一部企業が現二部企業と同じ市場に行くと、やはり二部への格下げ感を感じます。大証合併前は一部、二部、マザーズという序列でしたけれども、二部よりもマザーズのほうが平均時価総額が高いことや、マザーズのほうが一般的に注目度が高いことから、現二部市場がマザーズと同格扱いになることに対する格下げ感は感じないかなと思っています。

 実は、当社自身は、マザーズは経ずに二部から一部に上がった会社ですけれども、二部にいた時にどう感じたかというと、やはり二部よりもマザーズのほうが注目度が高いのではないかというイメージを持っていましたので、二部の会社がマザーズと合体する、同じ市場に行くことに対する抵抗感は非常に少ないのではないか、少なくとも我々はなかったかなと感じております。
そしてエントリーという言葉はスタート感があって、この市場に長期間いるのは成長していないような恥ずかしい感じがあるので、該当企業の上の市場へのステップアップへの動機づけになるのではないかと思っています。

 そして次のページに行きます。ここから本当に勝手な提言になるのですけれども、新規上場及びステップアップ条件のイメージ、時価総額と在籍年数というところで、最初に申し上げましたとおり、当社はステップアップを3回体験してきました。この中で感じたもの、実感、感覚としか言いようがないですけれども、ご参考にしていただければと思います。

 まず、3回の市場ステップアップを経てきた経験から以下のことを感じました。まず1つが、企業の内部体制を評価する際の一つとして在籍年数という基準の導入が有効ではないかと思っています。ここで言う在籍期間というのは、問題のなかった在籍期間ということで、極端な下方修正や、何らかの不祥事等の問題が起きた時はリセットされるべきであると思っています。数値基準は違いますが、内部体制に求められるものは地方市場も変わりませんので、地方市場在籍経験も含むと思っています。
現状の時価総額基準は実態に合っていないのではないかというところで、ほとんどの企業がマザーズや二部上場時には時価総額40億以上で上場しておりますので、ほぼ時価総額基準としては東証一部へのステップアップの基準を最初から満たしている現状にあります。

 以下の基準、これは勝手な提言ですけれども、まず、エントリー市場は時価総額10億円以上、時価総額が5億円未満となった場合においては1年以内に5億円以上とならない時は上場廃止。次にスタンダード市場について、直接上場は時価総額250億円以上。エントリー市場、名証、札証、福証からのステップアップ条件は在籍3年以上、及び時価総額100億以上。時価総額が100億未満となった場合においては2年以内に100億円とならない時はエントリー市場へ降格。
そして3つ目、プレミアム市場について、直接上場は時価総額1,000億以上。エントリー、スタンダート、名証、札証、福証からのステップアップ条件は在籍3年以上、時価総額500億以上。時価総額が500億円未満となった場合においては2年以内に500億以上とならない時はスタンダート市場へ降格ということで、指定替え、廃止基準においては時価総額基準を今よりも上げることで、成長力の維持のプレッシャーを強くする。
一方で、規模が大きくなれば一時的な株価の上下も大きいため、猶予期間を2年と長目に設定する。各市場のコンセプトを維持するためには、降格・廃止基準の機能発揮も重要であると考えております。

 そして、退出企業の地方市場での受け皿対応というところで、やはりオールジャパンという観点で、東証からの退出となった場合に、各地方のほうで受け入れる体制もあってもいいのではないかと思います。
 最後のページは補足になりますので、割愛させていただきます。ちょっと長くなりましたが、私の発表は以上となります。どうもありがとうございます。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。
 それで続きまして、エコモット株式会社の工藤取締役、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【工藤参考人】  
 改めまして、エコモットの工藤と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、弊社の概要ですが、弊社は設立して12年ほどの会社となっております。売上高は直近で16億、資本金6億円の企業です。従業員数も100名程度と、まだ中小規模の企業となっております。
 次のページに行きまして沿革ですが、当社は設立してから、融雪システムの遠隔監視ソリューションという、地場に向けたシステムの企画提案をやっており、北海道を中心にビジネスを展開してきております。その北海道を中心にしたシステムを、土木ですとかMaaS、ドライブレコーダーなどのシステムに転換していきまして、全国に事業を拡大させている企業になっております。2017年6月に札証アンビシャスに上場して、2018年6月には東証マザーズに上場しております。
 3ページ目、現在の市場構造についてですが、当社は北海道の地場の企業ということで、かなり地元の金融機関ですとか取引所の方々に支援されて事業を伸ばしてきております。そういったこともありまして、札幌証券取引所のアンビシャスにまず上場して、そういった地元支援のIPOのエコシステムをどんどん盛り上げていきましょうという気持ちで札証に上場しております。

 札証に上場してから感じたこととして、地場企業としての認知度が向上したこと、地元の個人株主割合が増加したことがあります。現在も株主は北海道の割合が比較的大きく、長期株主の獲得につながっていると感じております。ただ、そういう地元の創業支援ですとか企業の活性化も必要ではあるのですが、いざ札証アンビシャスに上場してから、やはり投資家層がかなり限られると感じました。機関投資家からも、札証上場だとちょっと投資しにくいよねというお言葉をいただいております。そういった流動性の低さなどが、これから全国にどんどん事業を広げていくときにはネックとなりますので、翌年には東証マザーズに上場しております。
 
 東証マザーズについてですが、やはり高い成長可能性を有する企業というコンセプトは明確でわかりやすいと感じています。当社もベンチャー企業としてどんどん成長性を評価いただきたく、東証マザーズの上場を決めております。さらに、東証マザーズは上場社数も300社以下ということで、その希少性も企業アピールの差別化ポイントになっております。当社は100名ほどの従業員数ですが、新卒採用などの面で、やはり東証マザーズ、成長市場にいることがかなりの差別化になっております。
 東証一部の市場区分に言及するのは、まだ東証マザーズに上場して1年ぐらいの会社なので早いところもあるのですが、まず、東証一部へのステップアップについて、やはり日本を代表する市場であり、企業のブランディング効果は確実に望めるだろうと考えております。ただ、上場社数が多くて、玉石混交感は確かに否めないだろうと。さらに、当社が札証アンビシャスに上場した意義と、東証マザーズに上場した意義を考えると、東証一部の上場コンセプト自体はやはり曖昧というか、代表市場であるということ以外にちょっとコンセプトが見いだせない状況ですので、将来的には上場維持の意義が薄れる可能性はあるのかなと考えております。
 
 市場区分の見直しについてですが、当社としては時価総額基準というのは、幾らがいいということはいまいち理解ができないところでありまして、やはり上場する意義とその市場のコンセプトが整合しているべきではないのかなと考えております。そういった上場している意義と市場コンセプトを整合させるためには、やはり流動性が低い企業ですとか、IRに注力していない、もしくは、したくない企業が退出しやすい環境を整えていくこと。そもそも上場したくないのであれば退出しやすい環境、例えばMBOですとか他社からの買収による退出ができるような環境が整っていると、市場の活性化につながるのではないかと考えております。
 それと、持続的な高い成長性を求める挑戦的な市場があると、また市場の活性化につながると考えています。起業家を育てるとか地方を元気にしていくという観点では、やはり成長性は重要な一つの基準になると思いますので、そういった成長市場を明確につくっていくのが今後の市場活性化につながるのではないかと考えております。
 簡単ではありますが、以上になります。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、株式会社ハードオフコーポレーションの山本会長、よろしくお願いいたします。
 
【山本参考人】  
 ハードオフコーポレーションの山本です。よろしくお願いします。それでは資料に沿いまして、ご説明させていただきます。
 まず、会社の概要ですが、新潟県の新発田市という人口10万弱の地方都市に本社を置いています。会社の設立が、私が24歳の時ですけれども、1972年、昭和47年です。
 現在の資本金が16億76百万円。業績は、昨年度が売り上げ188億、経常利益11億。当社はフランチャイズの本部もやらせていただいていますので、チェーン全体が535億の売り上げでありました。従業員は直営だけで合計3,367名、フランチャイズ加盟店さんを入れると今、1万名弱ぐらいに働いていただいています。事業内容は正確に言うとリサイクルではなくてリユースショップです。2000年に上場させていただきましたけれども、そういう意味では日本で初のリユース業界の上場だったと思っています。今、業界では十二、三社が株式を上場しているのではないかと思います。ハードオフやオフハウスなど、いろいろな屋号のお店があり、ブックオフに関しましてはフランチャイズ加盟店として50店舗やらせていただいている立場です。店舗数は894ということで、直営店が約35%、フランチャイズさんが約65%といった割合です。海外でも店舗をいくつか運営しております。

 次のページに移ります。株主数は約7,000人ちょっと、過去の株主数の推移は折れ線グラフをご覧ください。一番下の株価推移のグラフですけれども、本当に300円台の時もあるし、1,500、1,600円の時もある。現在は約700円ですが、株価によって当然時価総額は5倍ぐらいにぶれます。実力と決して比例しない時があったりするのだなと。上場した2000年から約19年、このグラフを見て、ほんとうに時価総額一本で評価するというのはおかしな感じだなとつくづく思っています。当社だけでも5倍ぐらいにぶれがあるということですね。
 次のページです。一番言いたいことはこれですけれども、2000年にジャスダックに上場させていただいた後、2004年に東証二部、そして2005年に一部に上場させていただき、当社も人材採用とか店舗開発の面、またフランチャイズの本部として、東証一部に上場しているから安心が担保されているのではないかと、東証一部上場企業のバリューは絶大だと、その恩恵も感じております。働いてくれている社員さんのモチベーションにも相当つながっているだろうとは思います。
 今回の問題でありますけれども、市場コンセプトを明確にして、企業価値の向上、動機づけの観点から制度設計の見直し、その必要性自体は理解しております。例えばトヨタ自動車さんやパナソニックさん、そういう国際的な大企業と中堅企業の我々が肩を並べて同じ市場にあることは、もしかするとそちら側が見ると違和感を覚えるということは理解できます。
 ただし、新聞などでは250億という時価総額基準がずっとひとり歩きしていますが、時価総額のみで企業価値を判断することは非常に困難だと思います。先ほどの当社の例でも、時期によって5倍ぐらいにぶれたりしているということは、他の各社さんでもそうじゃないかなと思います。時価総額は経済環境によって大きく変動もしますし、基準日の設定により判断が異なることもあるだろうと思います。

 いずれにしても、正式な手続を経て東証一部上場を果たした企業が降格となった場合のイメージ悪化は、はかり知れないものがあります。言葉は悪いですけれども、突然はしごを外されたと感じるかもしれません。取引所のルールに従ってジャスダック、二部、一部と来ているのに、ここに来てはしごを外すとはどういうことだと、そういうふうにも思うわけであります。本当に言いづらいことでしたが、言わせていただきました。仮に時価総額を基準の一部に組み入れる場合、250億ではあまりにもインパクトが大きくて、それは反対であります。
 四角に囲ませていただきましたけれども、高い基準をクリアする企業を対象としたプレミアム市場、例えば仮に時価総額は1,000億から3,000億ぐらいだったら納得できそうだなということと、時価総額ばかりでなくて、純資産もやはり相当考慮すべきだということ。純資産もあわせて500億以上ぐらいでプレミアム市場とすれば納得性があるかなと思います。その後に、実績ある企業を一部、その他の成長企業、そのように3部門に分けたらいかがかと思います。
 そして、市場区分の基準ですが、もちろん純資産、PBR、自己資本比率、各利益の水準、ROE、ROA、流動性、IR活動、あとガバナンス等。そういうことも含めて総合的な指数で設定すべきだと思います。
特に思うのですが、非上場・上場にかかわらず、事業承継とかM&Aとかが結構盛んに行われていると思いますが、まずM&Aをする時には、必ずデューデリジェンスなどを行ない、純資産を押さえるわけですね。本当の企業の価値はどうなのかと。やはり純資産とかPBRとか、このあたりをもう少し考慮すべきだろうと思います。特に純資産は大事だと思います。あと、新しく市場を形成するに当たって、ある程度十分な猶予期間を設けていただきたいと思います。

 右に図を書かせていただきましたけれども、今までの市場イメージはピラミッド型になっていて、上が頂点で、下に向けて裾野が広がるような図式が多いと思うのですが、できれば横に行くというかですね、左に行ったり、場合によっては右に戻るとか、そういう並列型がいいのじゃないかと思います。あと、特にぜひお願いしたいことは、東証一部の名称は必ず残してほしいと。私どもの立場からすると特にこれはお願いしたいと思います。

 あとは参考資料でありますけれども、次のページです。
新潟県には上場会社が38社ございます。たまたま私は今、新潟経済同友会の筆頭代表幹事をやらせていただいている関係もありまして、新潟県の上場企業だけで集まって勉強会をしましょう、そして新潟県の経済の活性化にもつなげていこうじゃないかと、新潟を元気にして日本も元気にと、「新潟県上場企業経営者の会」という会をやらせていただいています。これは全国で初めてだと思うのですが、38社が集まって勉強会や、合同のIRを行っています。地方の上場している会社も様々でして、特に新潟の場合は、新潟証券取引所がございましたが、38社のうち25社ぐらいは新潟証券取引所から移行をされた会社さんだと思います。上場企業経営者の会では東証の宮原社長にも講師としてお越しいただいています。普段は、証券会社さん同士はあまり仲がよくはないのですけれども、本当に心一つで新潟の上場会社のために協力してくださっています。
新潟には実は素晴らしい会社がいっぱいあるけれども、意外とそういうIR等の機会がなく、投資家の皆さんに声を聞いていただきたいということで、会をつくらせていただきました。

 最後になりますけれども、9月30日現在の新潟県の上場企業の時価総額とPBRを書かせていただきました。ちなみに時価総額1,000億と250億と100億でラインを設けるとこんな形の区分けになるということでありますので、ご参考までによろしくお願いいたします。終わります。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、タキヒヨー株式会社の武藤取締役からよろしくお願いいたします。
 
【武藤参考人】
 タキヒヨーの武藤でございます。本日このような形で意見を述べさせていただく機会をいただきまして、大変ありがたく思っております。
 表紙をおめくりいただきまして、私ども、創業が1751年と、270年弱の歴史を持っております。名古屋に本拠地を置きまして、二部市場を経て、2005年、今から15年ほど前に東証・名証の一部に上場させていただいている状況です。業種は繊維専門、主に製品と衣料品、生地の取り扱いが主体であります。連結ベースで売り上げが648億円、従業員数がそこにお示ししてあるとおり。事業所といたしましてはニューヨーク、ミラノに支店、それと上海、香港、韓国に現地法人を有しております。
 1ページおめくりください。株式に関する事柄ですけれども、左の上の表のとおり、発行済み株式総数が960万株、現在の時価総額は、172億8,000万円という、いわゆるスモールキャップに位置づけられる企業ではないかと思います。ご覧いただきますとおり、株価は右肩下がりで膠着状態です。株主数につきましては、個人の株主さんを主体に堅調に増加してございます。また、右の表でありますけれども、株主の構成といたしましては、上位2社がオーナーの資産管理会社であります。そのほかにもタキヒヨー取引先持株会、滝茂夫という名前がありますけれども、こういった意味でオーナーシップの色の強い中堅企業と言えようかと思います。

 その次のページから業績のハイライトということで何ページかお示ししておりますけれども、一言で申し上げますと、衣料品の市場は大変厳しい状況が続いており、ここ数年、当社の業績も苦戦という状況であります。
 最後のページで今回の意見、あえて私見とさせていただいておりますけれども、今までご説明いただいた各社の皆さんからすると多少文学的になって恐縮です。結論から申し上げますと、C市場あるいはA市場を私ども上場企業が主体的に選択して、かつ申請をし、審査をいただいた上で、最終的にどこへ振り分けられるのかを決定いただければありがたいということであります。

 1つ目でありますけれども、時価総額で一定のハードルを設けて自動的に振り分けるということが巷間伝えられております。しかし、この時価総額のみがハードルとして前へ前へと出されることによる不安感というのは、私ども強く感じているところであります。サッカーのJリーグで、下位数チームがある一定のハードルのもとでJ2へ自動降格するというような受けとめられ方ということに対しては大変な抵抗感がありますし、また、経営を主体的に行っていくに当たっても、そのモチベーションがダウンするようなことになりますと、地方経済ひいては日本経済にもマイナスの影響を与えることにもなりかねないと感じております。また、このような自動降格に際しては、これも今、言われていますように、TOPIX等から外されることになりますと、私どもの株が売られるようなきっかけとなってくることへの不安感もあります。また、この場で議論いただいている中の資料を読ませていただく中で、市場区分が多立化したとか、曖昧であるということは、既に上場している私ども企業に帰する問題なのかという疑問があります。
 したがいまして、今回、一定の基準は設けられることとなろうかと思いますけれども、私ども自身が積極的にどの市場を選択する。その選択理由は当然、ステークホルダーの中でまず株主、投資家に説明が求められますし、また、従業員、得意先、仕入れ先にも説明責任を求められます。そういったこともあり、市場を企業自身が積極的に選択し、その理由を自ら主体的に説明できればと思います。

 2番目に、日本企業が上場を果たすことの意味とかセンチメントということですけれども、現時点、低金利ということもありますが、市場から直接的に資金を調達することが必ずしも上場の第一の理由とはなっていないと思います。資本コスト、株式の希薄化等々の問題を考えますと、必ずしも直接調達にメリットがあるとは思えないということであります。こういった資本市場へのアクセスということよりも、むしろ優秀人材を確保すること、得意先・仕入れ先・金融機関からの信用度・知名度、それから市場・社会から一定の規律の要請を求められ、上場企業であればこそ、この要請のレベルが高いということが、企業の質の向上に資するところが大ではないかと思います。また、地方におきましては、私どももほとんど屋号イコール社名ということでありますけれども、経営することと、それから資本家であることが一体となったオーナー経営会社が非常に多くて、上場が一つの勲章であるというような、上場に対するセンチメントは大都市と比べると格別な意味を持つということが言えようかと思います。また、企業価値の向上、それは時価総額を増やしていくということでありますけれども、これは当然の責務でありますが、一方で企業のサステナビリティーといいますか、より長く持続させていく、存続させていただくということも同じように与えられた責務と感じております。

 3つ目でありますけれども、市場区分あるいは時価総額規模とコーポレートガバナンス、内部統制といった点ですが、コーポレートガバナンスの強化であるとか内部統制システムの整備については、先ほど申し上げたように、企業の質を高めるためにむしろこういった規律がひとしく課せられることはプラスであると考えております。必ずしも負担とは捉えておりません。こういったことでステークホルダーと向き合うために企業が備えるべき装置、いずれ、上場していなくても大会社には求められるであろう規律を先取りして対応できるということで、積極的に捉えているところであります。
 それから次でありますけれども、市場区分あるいは英文有価証券の開示、IFRSの全面的な採用ということでありますが、有価証券報告書の英文開示は極めて技術的な問題でありまして、市場区分のハードルとはなり得ないのではないかと考えております。ただし、IFRSとなりますと、私ども海外展開もしておりますが、海外への上場等々考えない企業にとりましては、全面的な移行が義務となりますと高いハードルになってくると考えております。

 最後に、世界における日本の株式市場の存在感向上と市場区分見直しの相関関係というあたりが、これはあえて私見とさせていただいているところでありますけれども、腹落ちがなかなかしにくいところがございます。現在、時価総額トップ50の中でエントリーされる日本企業はトヨタ自動車のみということで、そもそも日本企業自身が米国あるいは中国の企業に押されて存在感がなくなりつつあるということが言えようかと思います。こういった面で、投資マネーを呼び込むことと市場区分がどのように関係するのかということが、どうしても理解しづらいところがございます。また、外国人投資家のシェアが増加する一方で個人投資家が伸び悩んでいることも、これはこの場の議論ではないと思いますけれども、個人が投資する環境も同時に対応が必要なことは言うまでもないと。また、世界的なテックカンパニーであるとか、いわゆるユニコーン企業が日本でなかなか生まれにくいわけですけれども、こういった風土、あるいはアントレプレナーとして業を起こす意欲であるとか、規制緩和等々、ちょっと壮大なことを申し上げてしまい過ぎておりますけれども、あわせてトータルでご議論いただければありがたいと思うところであります。以上であります。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。4社の皆様方からは大変貴重なご意見、そして率直なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは質疑応答の時間をとりたいと思います。今いただきましたご意見等を踏まえ、委員の皆様からご質問、ご意見をお出しいただければありがたく思います。いかがでしょうか。井口委員どうぞ。
 
【井口委員】  
 ありがとうございます。
 1つ質問と、皆様のプレゼンを踏まえて自分の意見を言わせていただければと思います。
 1つお聞きしたかったのはハードオフ様なのですが、資料の最後の3ページのところで、
時価総額250億円ではインパクトが大きいため反対とおっしゃっている一方、この赤い四角の中で時価総額1,000億、3,000億と、かなり高いハードルを設けていらっしゃいますが、その辺のお考えというのはどういうところにあるのでしょうか。
 
【山本参考人】 
 今まで、新聞等で時価総額250億が勝手にひとり歩きしていて、それ一本で分けるんだみたいなことについては本当に反対だということです。もし時価総額で分けるのであれば、最低1,000億以上であればもう少し納得性があるし、そしてあわせて純資産も500億以上で時価総額も1,000億以上の企業であったらプレミアム市場という名称にふさわしい分け方かなと、そんなふうに思ったものです。
 単純に250億の時価総額一つでというような、新聞なんかにもそう書かれていましたが、そういうことは絶対反対という意味です。
 
【井口委員】  
 ありがとうございました。
 意見が2つありまして、タキヒヨー様のご意見の最後のところで、日本企業の存在感向上、投資マネーを呼び込むことが市場区分見直しの目的となり得るのか、と書いていらっしゃいますが、私は、なり得ると思っています。というのは、私は、海外投資家にも知り合いがいますが、日本企業のガバナンスは、ガバナンス・コード以降進化しているとは思いますが、海外に比べるとまだ足りないところもあって、この市場区分見直しに伴い、そこが良くなれば、海外投資家は、もっと日本企業への信頼感を持つことができると考えているからです。

 もう一つ、皆様の全般的なプレゼンを踏まえた意見を言わせていただきたく思います。
皆様にプレゼンしていただいた内容の中で、東証の市場区分でいうC市場や東証一部の上場メリットについて、内容に微妙な差はあるものの、多くのプレゼンの中で、本業への効果、人材採用面、あるいはブランド効果とかを上げてらっしゃいました。ここは投資家としては非常に微妙なところです。というのは、資本市場というのは株式を売買させていただくところと思っているからです。ただ、C市場なり東証一部というものの上場メリットは企業にとってもかなりあるということは理解できました。
もう一つ、多くの方が、時価総額基準だけではなくて、クオリティー的な要素を重視してほしいということをかなりおっしゃっていたと理解しています。1回目の会合の時にプレゼンの機会をいただいて、私もC市場のあり方を述べさせていただいた時に、コーポレートガバナンス・コードの重要項目への準拠、あるいは英文有価証券報告書の作成というようなクオリティー面はすごく重要であるということを申し上げました。そういう意味では経路とか理由はともあれ、私の考え方は、比較的、企業さんと結論的には近いところにいるのかなと思いました。また、このような思いを企業さんがすごく持たれているということは、このC市場のあり方いかんでは、日本の資本市場が大きく変わる可能性もあるではないか、とも理解しています。

 ただ、これも以前にも申し上げましたように、クオリティー面は重要だと思ってはいるのですが、投資家の目線から言わせていただくと、企業の株式を保有させていただいた時に、やはり残念ながら何かがあり、そして、株を売りたいという時に、時価総額なり一定程度の流動性は確保していただけなければならないということはあります。これは、我々がお金をお預かりしているアセットオーナーへの説明時にも、時価総額や流動性などをどう見ているのかというのはすごく問われるところで、売れる状況を確保する点で、流動性や時価総額は重要だと思っています。
 それがどの水準だとかはここでは議論しないものと認識しておりますが、やはりそういう基準は欠かせないと思っています。その水準が、北の達人様がおっしゃったほどの高いレベルであるべきかどうかというのはありますが、ただ何らかの流動性なり時価総額の基準も必要だと思っています。

 それから、これは経営者の方はよくご存じのように、時価総額というのは企業の努力の外ではないと思っています。時価総額の根っこにあるのは企業の利益とか、あるいはIRのご尽力、それから将来の成長期待をマーケットにしっかり伝えることでバリュエーションが変わってくるということも影響しますので、これもやはり企業努力の一つと思っています。ですので、そういう意味でも時価総額あるいは流動性というのも一つの基準になり得ると思っています。
 最後ですけれども、北の達人さんからご提言のあった、市場区分の名前、ネーミングについては一定の考慮が必要と私も思います。英国でもプレミアム市場とかいうふうに呼んでいると認識しておりますが、そういうことも重要と思っています。以上でございます。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。では池尾先生、翁先生の順で。池尾先生どうぞ。
 
【池尾委員】 
 プレゼンテーションどうもありがとうございました。
お聞きしていて大きな違和感は基本的にありませんでした。ご指摘がありましたように、報道ぶりだと時価総額にすごく偏った議論がされていましたが、何度かこの場でも申し上げたように、決してそういう議論はしてきていなくて、もちろん時価総額が非常に重要な基準の一つではありますけれども、最低限マーケットですから、例えば時価総額がすごく大きくても、親会社がほとんど株式を持っていて、マーケットに出回っている株数が少なくて流動性が低いような企業というのはどうなのだという話がありますし、それからもう一つ、コーポレートガバナンスの体制がちゃんとしているかどうかも重要です。

 ただ、コーポレートガバナンスの体制がちゃんとしているかどうかに関しては悩ましいところがあって、コーポレートガバナンス・コードをコンプライしている比率が高ければいいという話にはならないのですよね。コーポレートガバナンス・コードは、ご案内のようにコードであって、一律に、画一的にそれを守れという話ではないわけです。画一的にそれを守ればいいという話であれば、会社法に規定すればいい話であって、コードである必要はない。しっかりエクスプレインすればいいというものですから、形式基準に落とし込んでコーポレートガバナンスの充実を図るのは非常に困難なところがあります。社外取締役の人数とかを基準にするのは、私は個人的には論外だと思っておりますので、ちょっと悩ましいのですが、トータルで見たガバナンスの重要度はもちろん基本的な基準になると思いますので、そういう複数の基準を一応置いた上で、主体的に企業様の側から市場区分を選択していただくというのが基本的な議論の方向性としてきたつもりですので、その辺はご理解いただきたいと思います。

 最後に1つだけ質問があるのですが、最初にプレゼンテーションいただいた北の達人コーポレーションの木下社長の資料の最後から2ページ目の付録というところで、一つの基準としての時価総額に関して、直接上場の場合とほかの市場からのステップアップのところで差をつけられていますよね。これはどうしてなのか。要するに、附属高校から進学する時は易しくて、一般入試を受けると厳しいみたいな話は本当にいいのかという感じがするので、ちょっとここのところだけ補足の説明をいただければと思います。
 
【木下参考人】  
 ご質問ありがとうございます。当社はステップアップを3回経た会社なのですが、やはり在籍している期間が長いと、日々開示する業務などがありますので、やはりそうした経験の中で成長していくというのをすごく感じています。そういうところで、時価総額で一律で区切るというよりは、時価総額と内部体制の2つで見るとした時に、直接上場の段階ではまだ内部体制の部分はあくまでも推測というか、いけるだろうということでしかないので、時価総額を高めにしている。なので、ステップアップの基準を下げたというよりは、直接上場の場合の基準を上げるという感じのイメージで考えております。よろしいでしょうか。
 
【池尾委員】  
 わかりました。ありがとうございました。
 
【神田座長】  
 ありがとうございます。それでは翁委員どうぞ。
 
【翁委員】  
 ご説明どうもありがとうございました。私も地方の企業の実態が分かりまして、非常に勉強になりました。
 北の達人の木下様にお伺いしたいのですが、ステップアップしていくに連れて、時価総額もかなり大きくなってきているのですが、その投資家の顔ぶれというのは、市場が変わることによってかなり影響を受けているのか、それとも、成長してきていることによってかなり変わってきているという実感があるのか、株主の構造について特にご説明がなかったかと思うのですが、もし何かその点でお気づきの点があったら教えていただきたいと思います。
 
【木下参考人】  
 ありがとうございます。当社は、本当に最初に上場した時、アンビシャスに上場した時は300人ぐらいの株主さんだったのですけれども、今、前回だと4万8,000人まで上がってきています。顔ぶれに関しては、最初はほぼ個人投資家というところから、今は上位にはほぼ機関投資家になってはいますが、4万8,000人という中でやはり個人の方もたくさんいらっしゃいます。
 そして海外の方が今15%ぐらいですので、我々自身、業績の方を一生懸命やるというのは大前提ではあるのですけれども、IRにもかなり力は入れておりますので、他社との比較は全くできないのでわからないですが、当社の成長とともに株主の数も増えていき、そして機関投資家比率も上がり、国際的な投資の比率もちょっとずつ上がってきたという感じでございます。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 
【神田座長】  
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは高田委員、三瓶委員の順で。高田委員どうぞ。
 
【高田委員】  
 ご説明いただきまして、どうもありがとうございました。私のほうは若干のコメントといいましょうか、意見的なお話をさせていただければと思います。
 全体をお伺いした印象ということですけれども、例えば北の達人コーポレーションの木下様がおっしゃったように、やはり格下げ感というのでしょうか、ネーミングが重要とおっしゃった点、それから、ハードオフコーポレーションの山本様がおっしゃったように、降格ですとか、はしごが外れるというようなお話ですとか、それからタキヒヨーの武藤様がおっしゃったように、モチベーションのダウンを防ぐというようなお考えが、やはり市場を分ける場合にはどうしても出てくるということなので、その辺はやはり今回のこの議論の中でも十分考えていかなければいけないと思った次第であります。
 そういう中で、ハードオフコーポレーションの方がおっしゃっておられましたように、ピラミッド型ではなく、横並びというのでしょうか、そういう概念もやはり重要になってくると思いました。また、たとえ市場区分があるにしても、北の達人コーポレーションのおっしゃったように、ネーミングは重要になってくるのではないかと思います。

 いずれにしても、せっかく市場のあるべき姿を作る中では、おっしゃったようなモチベーションダウンですとか、日本もしくは地方へのマイナスの影響を抑えていくことはやはり重要なのだろうと思います。
 ただ一方で、もう一つ議論する必要があるのは、グローバルな中での日本の資本市場のあり方、そしてそれが世界の中で選ばれるというような使命も十分あるわけでありますので、こうした点をどういうふうに両立させていくのかが、今後非常に大きな課題になってくるのかなと改めて感じた次第であります。
 それから、先ほど池尾先生も話題にされた点でありますけれども、最初に北の達人コーポレーションの木下社長さんがおっしゃったところで、直接上場の場合と、ステップアップの場合というところ、これをどういうふうに区分していったらいいのかというところは、一つ重要なところではないかと思いました。この在籍期間も含めた違いをどこまでつけていったほうがいいのか。確かに北の達人さんはそういう意味での一つの良い例という形でありますけれども、そこのあり方を今後どうしていくのかというところ、もしくは差があったほうがいいのかというところに関しては、いろいろやはり議論も出てくるのではないかと思いますので、その辺は今後一つの論点になり得るのかなと感じた次第でございます。
 改めまして、どうもありがとうございました。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。では三瓶委員どうぞ。
 
【三瓶委員】  
 ご説明どうもありがとうございました。私からは幾つか質問もさせていただきたいのですが、その前に、タキヒヨーの武藤様からご説明いただいた中で、ページ数はないですが「私見」というところで、市場区分の多立化・曖昧性は上場企業に帰する問題なのかということについて、これはまさにおっしゃるとおりだと思います。上場企業が全て責任を負うということではないのだろうと。それと、ガバナンスのところでおっしゃっていた、ガバナンスというのは企業が備えるべき装置を先取りできると積極的に捉えているということ、しかも、上場していなくても大会社であれば求められる規律であるということは、まさにそのとおりだと思って、大変心強いと感じました。

 質問ですが、先ほど北の達人の木下社長様からは、在籍年数を一つの基準として考えたらどうかというのがございました。また、ハードオフの山本会長からは、純資産が大事であるというご意見がありました。これについては、確かに時価総額は非常にブレがあるけれども、純資産はそれに比べればもう少し安定しているということかなと思いますが、それもなるほどというところがありつつ、例えばそもそものこの市場区分の議論の一つには、企業の新陳代謝を促すという要素も考えていると思います。その時に、在籍年数の基準が新陳代謝のブレーキにならないか。または純資産についても、例えば上場基準すれすれになった場合に、市場から見れば、そういう時に積極的な株主還元をして株価を上げていくことは大いにあると思います。ただ、それをすると純資産は下手すると減るかもしれません。そういうジレンマがある時に純資産基準が非常に強いとなると、そこでむしろ株主還元は躊躇するというか、ブレーキがかかることは良いことなのかというような、簡単になかなか整理できないですけれども、そういったいろいろなことを考慮しながら、何がいいのかを考えていかなければいけないのかなと思います。

 そして、エコモットの工藤様がおっしゃった成長市場について、コンセプトがはっきりするということですが、例えばそうなると、企業の成長について、何らかの基準というのは心づもりとしておありなのかどうか。これから成長するぞと、この市場のコンセプトも成長だという場合に、かけ声だけで数年たっても成長していないとなると、そこは見直しをすべきになるのだと思いますが、その時に何かの基準というか、あまりがちがちの数値基準がいいかどうかはわかりませんけれども、見直す時の何か物差しがないと困るのではないか。そういった物差しについてどうお考えでしょうか。

 最後に、議論にはなっていませんでしたが、これまでの我々の議論で出てきた話として、若干いろいろな基準が変わるかもしれませんけれども、東証一部という市場はそのまま存続したとして、その一方で、これまで東証一部と全く同じ範囲でTOPIXというインデックスがありましたが、これを東証一部イコールではないとした場合。TOPIXはもうちょっとハードルを厳しくして、東証一部と分離した場合に、それについてどう考えるか。ですから、看板として東証一部企業であるというのは変わらないけれども、TOPIXの基準が変わった時に、それはどういうふうにお考えになるか、ということをお聞かせいただければと思います。
 
【神田座長】  
 ありがとうございます。それでは順番に、まず、市場区分の基準として在籍年数に着目する点について、木下さん、いかがでしょうか。
 
【木下参考人】  
 ありがとうございます。あくまでも、こちらでご提言させていただいている在籍年数の基準に関しては、いわゆるステップアップの審査基準の際というところであって、それを経た後は、上場維持のための基準とする必要は全くないと思っております。
3年間なりの株主総会を全部経たということは、きっちりやってきたのであろうというところではありますので、そこで一旦ステップアップの条件としてはいいと思うのですけれども、その後の上場を維持する中においては、やはりその後に何か問題があったりとかもあると思いますので、あくまでもステップアップの条件として、上場維持の条件ではないと考えております。
 
【神田座長】  
 ありがとうございます。それでは、純資産に着目するという点について、山本会長、いかがでしょうか。
 
【山本参考人】  
 純資産の比率、金額の問題も当然あると思いますけれども、確かに言われるとおり、株主還元が少な過ぎると、そうした基準に結びつくと言われたら、それも理解できます。
 M&Aか何かの案件が生じると、必ず本当の純資産はいくらなのだと、それが企業の一番の価値の源だと思いますので、それに対してまず正しく理解していただければと。あとはTOPIXですが、TOPIXに関しては東証一部の中である基準を満たしたものがTOPIX銘柄で、そうでないものが普通の一部と。それは妥当性があって良いのではないかと思いました。
 
【神田座長】  
 ありがとうございます。それでは成長というのをどう定義するか、どう測るかということについて、工藤さん、いかがでしょうか。
 
【工藤参考人】  
 成長の基準ということですが、定量的な基準を設定することを考えると、やはり今の実績に成長性を掛ける、PERなどが基準になり得るのかなとも思います。
 その成長性を投資家がどう判断して、株価に紐付けていくのかというところだと、例えば企業の中期事業計画で将来の数字を定量的に出すことも考えられますが、市場環境の変化が速い業種の企業にとっては、中期事業計画を出すことも難しい。どこまで定量的な将来情報を出せるかというと、かなり難しいところもあると思います。ですので、非財務情報を積極的に投資家に説明し、成長性をアピールしていくということかと思います。完全に定量的な基準を設けるのは難しいと考えております。
 
【神田座長】  
 ありがとうございます。最後に、東証一部という区分は維持するとしても、TOPIXを東証一部と切り離して、全上場会社をTOPIXとはしないということについて、直接のご意見は本日なかったのですけれども、その場合は東証一部からは外れないけれどもTOPIXからは外れるということが生じ得るわけです。もしご意見があれば、ちょっと予定の時間がオーバーしていますので、簡潔にお願いできればと思いますけれども、4社の方どなたでも結構です。
 いかがでしょうか。北の達人の木下社長、どうぞ。
 
【木下参考人】  
 北の達人、木下でございます。これは多分、社内の立場にもよる部分があるとは思うのですが、いわゆる事業をやっている社長の立場からすると、TOPIX企業ではなくて、やはり東証一部上場企業という認識が強いですね。なので、私どもの立場から申し上げた、世間でのブランディングだったり、対消費者とかだったり、対採用のブランディングの部分においては、TOPIXから外れることはあまり問題ないかなと思っています。

 ただ、投資家の方々、特に海外から見た時に印象が変わってくる部分でいきますと、ちょっと話がそれてしまうと申しわけないですが、市場のネーミングについて、東証ではジャスダックはもともとグロースとスタンダードに分かれていたと思うのですけれども、東証一部をジャパンスタンダードとかグローバルスタンダードに分ける形にしていただくのはどうかと思います。日本国内の市場しか見ていない企業もたくさんあると思いますので、その会社はジャパンスタンダード基準、海外も対応した、IFRSとかを導入している会社はグローバルスタンダード基準という形で分けていただくと、格下げ感も感じづらいし、海外の投資家からもわかりやすい形になるのではないかと、私見では思っております。以上でございます。
 
【神田座長】  
 ありがとうございます。ほかの3社の方、今の点で何かございますか。
 タキヒヨーの武藤取締役、どうぞ。
 
【武藤参考人】  
 私どもも同じような考えでありまして、東証一部であることとTOPIXであることは、今、自動的に連動していますけれども、目に見えるところでは東証一部上場のインパクトのほうがステークホルダーに与える影響は大きい。TOPIXの中に組み入れられなくなったことに対する対応は、企業のIR等の努力によって着実にリカバーしていけるところだろうと思っておりますので、特にそこのところは違和感がないと考えております。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。またお気づきの点があれば後日にでもぜひ教えていただければ。ありがとうございます。ちょっと予定の時間を15分ほどおくれておりますので、松山委員、できれば簡潔にご発言いただいてから、第2部にいきたいと思います。
 
【松山委員】  
 わかりました。皆様からお話がありましたように、やはり東証一部のブランド効果といいますか、東証一部に上場、ステップアップしていくということは、資金調達以上にいろいろな意義を皆様が感じておられるということを、改めて思いました。ご意見がありましたように、やはり市場のコンセプトを明確にしたうえで、新市場区分のネーミングや、移行の方法については、昇格・降格というイメージではないやり方を工夫しないといけないなと改めて感じたところです。
 地方に本社を置かれる企業の皆様にとって、課題として人材の問題が木下社長からお話がありましたけれども、人材以外にも何かあるかどうか、山本会長にご意見をお伺いしたいと思います。
 
【山本参考人】  
 私どものお店が900店舗ぐらいあるわけですけれども、昔、苦しい思い出がありまして、店舗開発で地主さんなり大家さんに交渉する時に、君のところは東証一部だったら貸してあげたのにと言われて、それで本当に悔しい思いをしたり、そういう意味で本当に東証一部のブランドというのは店舗物件にしても人材にしてもはかり知れない価値を感じております。そこだけはぜひ担保していただきたい。
 今、先生方のお話を聞いて、TOPIXとプレミアムがセットになった東証一部と、普通の東証一部というのであれば、何となくおさまりがいいなと勝手に思いました。以上です。
 
【神田座長】  
 よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
 ちょっと私の不手際もあって、予定の時間を15分以上超過しておりまして、申しわけございません。このあたりで第1部の議論を終了とさせていただきます。4社の皆様方には、本日は大変遠いところから、またお忙しい中お越しいただきまして、誠にありがとうございました。また引き続き、いろいろご教示いただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。ここでご退席される方はご退席いただいて結構でございます。もちろんそのまま議論を聞いていただいても結構でございます。
 それでは第2部の議論に入りたいと思います。事務局から参考人としてご参加いただく方々のご紹介をお願いいたします。
 
【池田監理官】  
 ご紹介させていただきます。
 窓側のほうから、まず、株式会社メルカリより、長澤執行役員CFOでございます。
 
【長澤参考人】  
 よろしくお願いします。
 
【池田監理官】  
 そのお隣が、同じくメルカリ様より、吉川社長室政策企画マネージャーでございます。
 
【吉川参考人】  
 よろしくお願いいたします。
 
【池田監理官】  
 そのお隣が、ラクスル株式会社より、永見取締役CFOでございます。
 
【永見参考人】  
 よろしくお願いします。
 
【池田監理官】  
 以上でございます。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございます。お待たせして申しわけございませんでした。
 第2部の進め方でございますが、東京に本拠を置く新興企業様からのご意見ということでございまして、株式会社メルカリの長澤様、吉川様、そしてラクスル株式会社の永見様から続けてご説明、お話をいただき、その後でまとめて質疑応答の時間をとらせていただきたいと思います。
 それでは、メルカリの長澤様、よろしくお願いいたします。
 
【長澤参考人】  
 メルカリの長澤と申します。本日はこのような場でお話をさせていただく機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
 私からはメルカリのIPOを踏まえて、今回の市場構造に関しての我々からの提案という形で、10分ほどお話をさせていただければと思っております。お手元の資料の資料5と右上に書いてある資料に沿ってお話をさせていただきたいと思っています。
 
 まず表紙をめくっていただいて、ページの2から始めさせてください。我々、今申し上げましたとおり、去年の6月19日に上場いたしまして、上場から1年強たったところでございます。日本市場におけるIPOの上位5社ということで、2016年から18年という形でお示しをしておりまして、その中でいうと我々は現在3番目と書かせていただいていまして、初値ベースでの時価総額で申し上げますと、6,800億近い時価総額をつけております。ただ、市場というところであえて書かせていただいているところではありますけれども、我々はこの5社の中で唯一マザーズさんという市場を選択させていただきました。ここに関しては当然、我々発行体と東証さんとの間でいろいろな議論を重ねてこういう形になったということですけれども、どういうところが論点になったかというところで、次の3ページ、4ページで、東証さんの一部市場への上場の形式基準と実質基準をお示しさせていただいています。
形式基準のところを見ていただいても、これらそれぞれポイントがあるところでございますが、それらに対して我々の対応状況はどうだったかを振り返らせていただくと、おおむねこの辺はクリアさせていただいていたのかなというところでございます。株主数であったり、流動性、時価総額、事業の継続年数、総資産額、そして利益の額または時価総額に関してはミートさせていただいたかなというところです。
 
 一方、4ページにめくっていただくと、企業の継続性及び収益性のところに関しては、当初よりいろいろな議論をさせていただいていて、我々のPL、損益計算書を創業以来見ていただくとわかるのですが、ずっと赤字の状況でございます。赤字の中で事業継続をしていて、企業価値としては過去に非上場ながらいろいろな資金調達を重ねてまいった経緯の中でも、投資家様からはある程度ご評価をいただけるというところで、時価総額は伸ばしてきたところです。
 
 ここで大事なのは、我々の赤字の質のところですけれども、事業の特性上、特にインターネットのサービスを営むような我々のような事業者からすると、将来の成長に向けて投をするということ。投資をする対象について、我々、固定資産とかをたくさん持つような事業体ではございませんので、広告であったり、人材の獲得であったりに投資をしていくことになりますが、それはどうしてもPL上に出てしまって、収益性に対してネガティブなインパクトがある。すなわち赤字に陥りやすいというところになります。
 
 したがって、我々のように事業が伸びているなという実感を持って経営をしている過程においては、実はより投資をしているということ。そして、投資をすることによって、よりPLは短期的には痛めつけてしまう形になるので、成長すればするほど、短期的に、足元では、我々の表現としては「赤字を掘る」という言葉をよく使うのですけれども、赤字を掘って事業を成長させていくことを経営の方針としてよくとっております。
 
 そこに関しては、概念としてはご理解いただけるということで東証さんと議論をさせていただいたのですけれども、やはりこの実質基準に照らし合わせると、収益性というところがやはり確認できないというところが後々まで、上場の最終局面までいろいろ会話がございまして、結果としてマザーズに上場したということ。我々としては東証一部にという希望は当然あったのですが、最終的にはマザーズさんで上場させていただいております。
 
 次の5ページ以降、では投資家さんから見ての我々の評価はどうなのだというところで、改めてデータをお示しさせていただいています。我々、IPOのタイミングで、実質的に販売させていただいた株の 一定割合を 実は海外の機関投資家さんに配分させていただくようなIPOの形をとらせていただきました。その中で、浮動株に占める外国人比率を見ているのですけれども、それなりに18年6月末のタイミングでは 一定の 外国人比率があったところなんですが、実は、我々のIPOの後、株価がふっ騰いたしまして、その株価が上がっていく局面で、やはり機関投資家さんはある程度上がったら売らなくてはいけないというルールの中で運用されている方々もいらっしゃるので、機関投資家さんが抜けていって、個人の方が買い増されたタイミングがありました。それが18年9月末とか年末にかけてで、個人が増えて、外人の方々は多少減ってきたところがあります。一方で、また直近半年ぐらい、株価が大分下がって落ちついてきたところもあるので、我々として海外の機関投資家さんにしっかりIRをさせていただくことで、マザーズながらも海外の機関投資家さんに買っていただけるような、ご評価いただけるような銘柄になってまいりました。
 
 実際に他社比でこの外国人株主の比率は今どうなのかというところをお示しすると、次の6ページですけれども、時価総額としてわりと近しいところと、インターネットの業種の中で他社比較をさせていただきましたが、赤いところの比率を横比較していただくと、ある程度こういった大手の一部上場企業のインターネットの方々と肩を並べるほどの外国人株主の需要は集めさせていただいているところでございます。逆に言うと、この辺である程度マザーズの理解がないような外国人投資家さんからすると、何でメルカリさんって東証 一部ではないんでしたっけというような声はよくいただくところではございます。その辺の具体的な声をまとめさせていただいたのが次の7ページになります。やはり一つの問題意識、投資家さん側の投資をする側の意識として、マザーズだと流動性が一般的に低かったり、ボラティリティーが高いというところで投資がしにくいとおっしゃる声もありますし、一方で、東証一部であると、投資家の層が厚いということがあります。インデックスに従った需要や、資金流入があるので、その部分もアプローチできるということで、海外の機関投資家さんから見ても、そういった追い風を確認できる市場で投資をしたいというニーズがあるので、そこに関してはできれば早く一部に行ってほしいという声もお聞きすることはございます。

 あとは、これは国内の機関投資家さんから特にお聞きすることが多いのですが、やはり投資家側の投資基準の関係で、東証一部でないとなかなか投資ができないんだということをおっしゃられるところがございます。事業としてはおもしろいし、魅力的だし、ぜひ投資の対象銘柄として推薦はしたいのだけれども、やはり基準の中で、投資家側の中でそういう線引きがされているので非常に難しいというところが、お声としていただくことがございます。
 
 次の8ページのところ。スタートアップという我々のようなビジネス、出来て6年ちょっとの会社ですけれども、こういう企業が上場を目指して、成長を目指して事業に投資をしていくところに、多少の市場構造上の課題もあると思って、このような形で書かせていただいています。米国においては、赤字上場の会社の割合は極めて多いところです。
これは、赤字だから良いのだというわけでは当然ないのですが、赤字をきちんと評価できる上場市場であったり、そういう投資家さんというのが十分にいらっしゃるところが、このような結果にあらわれている。一方で、日本は赤字の質の判断に至らない。赤字だからすなわちこれはだめだという評価で、赤字だと非常に上場するのが難しいところに至ってしまうケースが多いので、このような数字にあらわれているのかなというところがございます。
 一方で、大きく成長して、日本のインターネット会社ですとグローバルではGAFAといわれるような会社になれるかなれないかわかりませんが、それを目指して我々も投資をし続けていく中で、この上場の基準をミートするために投資を抑えることになってしまうと、企業の経営としては本末転倒というところもございますので、その部分で一部制約を受けてしまうところも、我々としては若干課題を感じておる次第でございます。
 
 次の9ページのところは、今まさに申し上げたところで、投資額を抑えることで本則市場というようなことになってしまうと本末転倒なのではないかと思っている次第です。
後はちょっと飛ばしていただいて、最後に11ページのところで、市場構造のあり方へのご提案ということで申し上げたいところです。赤字だから良いということでは当然ないので、赤字の質をきちんと判断していただくことがやはり大事なのではないかと思っています。したがって、短期的な収益水準ではなくて、ほかの上場の基準にある時価総額、流動性、ガバナンス、成長性などとあわせた総合判断でぜひご評価をいただいて、上場すべき市場をきちんと議論し、決めていただくプロセスにぜひ変えていただけないかと考えています。
 ここの下に書いてありますけれども、一概に赤字といっても、損失補塡のための赤字なのか、それとも成長戦略としてあえて選択した赤字、投資としての赤字なのかを見きわめていただけるような審査プロセスがあると、我々のようなスタートアップの成長というのも、より思い切った経営ができるのではないかと考えております。
 
 最後12ページのところですけれども、今、我々が投資家さんから感じているところで言うと、外国人なり大手の優良機関投資家さんは、我々のようなスタートアップでもきちんと投資をしていただいている、株主構成を見ても投資していただいているというところでございます。ですので、この新C市場を早急に立ち上げていく、 またそこへ新たに入る基準の構築をしていく、 このスピード感は特に大事だと我々も思っています。ぜひともここにいる関係者の皆様のサポートをいただきながら、我々もそういったレールに乗って世界に挑戦できるような企業になっていきたいと考えております。

 本日は短い10分ほどでございましたけれどもお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。以上とさせていただきます。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、ラクスル株式会社の永見取締役、よろしくお願いいたします。
 
【永見参考人】 
 初めまして。ラクスル株式会社取締役CFOの永見と申します。
お手元の資料6の弊社の資料をご覧いただければと思います。初めに、このような機会をいただき、大変ありがとうございます。私の資料はページ数が多いので、少し飛ばしながらご説明させていただければと思っています。ちょうど8月に弊社は東証一部に指定替えさせていただいたのですが、今日はあくまで成長企業という観点でご説明をさせていただければと思っています。

 まず冒頭、4ページ目、会社の概要ですが、当社は2009年に創業した会社で、会社のビジョン「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」のもと、印刷、物流といった大きな産業をテクノロジーの力でよりよくしていきたいという志のもと経営している企業でして、昨年の2018年5月に承認いただいて会社がマザーズに上場したという形になっています。
 会社の概要は何枚か続いているのですが、少し割愛させていただいて、次に、昨年の5月に上場した時の特長をご説明させていただくと、9ページ目及び10ページ目をご覧いただければと思います。昨年の5月に上場した際の時価総額がちょうど400億円強ぐらいで、その後、東証一部に行かせていただいて、直近の時価総額が約1,000億円程度という形で、業績とともに堅調に株価は推移している状況でございます。
この裏にあったそもそものIPOの特長を9ページでまとめさせていただいていますが、一番下にある背景にある思想をご覧いただければと思います。基本的にはメルカリさんと同様、我々もビジョンの実現に向けて成長を大事にしており、その成長の過程の企業を適切に価値評価できるような機関投資家の方、特に海外機関投資家の方からの投資を受けることを主眼に、それが上場後の経営及び企業価値の向上にとって最重要という観点で、IPOのプロセスそのものを設計しておりました。具体的なIPOの設計がどうだったのかというのが上のサマリーにありますが、大きく3点あります。

 1点目が、上場時の実際の株式のオファリングで、全株式のうちの半分ぐらい、200億円弱をオファリングさせていただき、流動性を一定担保して、機関投資家の方が入れるようにしたこと。その背景として、ベンチャーキャピタルの方に未上場時に株式を保有いただいたのですが、ほぼ全株を売却いただいている形で、上場株の投資家、特に機関投資家の方が購入しやすい、入りやすいような形でオファリングを設計したというのが1点目。

 2点目が、通常マザーズに上場した際に、多くの企業が個人投資家の方に配分するのが約8割、機関投資家の方に配分するのが約2割という形なのですが、これは別に法律上決まったものでもないという認識でしたので、私たちは機関投資家からの需要は旺盛というところも一定見えていたため、この割合を半々にしています。という形で、特に機関投資家の方が入りやすいような形にしたこと。さらにその中においても海外機関投資家の方への配分を全機関投資家のうちの約65%という形で、機関投資家の方に入りやすいような設計をしています。

 最後、その結果、どのような株式評価を受けたかのご説明をさせていただくと、機関投資家の方は国内機関投資家の方と海外機関投資家の方で、評価の手法が大きく違いました。先ほど長澤さんからも短期的な利益ではなくて成長を評価してほしいという点、私たちも同じ考えでして、その中においては国内機関投資家の方は引き続きPER、これは最終的な当期純利益ですね、その水準で評価をする。一方で海外機関投資家の方は、短期的な最終利益の水準ではなくて、その会社が将来、社会において提供していく価値や、プラットフォームの価値をちゃんと評価していくには、売り上げの基準・規模をちゃんと見たほうがいいのではないかということで、PSR、これは売上高で時価総額を割った水準ですが、これで評価をしています。こういった特に海外機関投資家の方の評価を受けて上場させていただいたというのが、我々のIPOのサマリーでございます。

 もう1ページだけ、10ページ目をご覧いただければと思います。このような上場の特徴、プロセスは、上場時にその瞬間だけ頑張ったというわけではなくて、実は上場前から相当程度設計をして行ってまいりました。大きく3点ございます。
 1点目がストラクチャーという形で、これはテクニカルなので詳細は割愛しますが、海外投資家の方が入っていただけるようなオファリングのストラクチャー、上場のストラクチャーというところを、流動性とともに担保したのが1点目。
 2点目は、上場時に「はじめまして」ですとなかなか会社の魅力を理解していただきにくい部分があるので、上場数年前から会社の概要ですとか魅力を海外機関投資家の方に、これは国内の方もそうですが、相当程度説明しています。何か勧誘行為になるようなことは一切せず、一通りのガイドラインはちゃんと弁護士の方と設計した上で、会社の概要をご説明するのを未上場のタイミングから相当程度、かつこれを英語で実施していまして、結果として、上場時に海外機関投資家の方にご興味をいただいたというのが2点目。
 3点目は、主幹事の証券会社の方々に相当程度ご支援いただきました。弊社の主幹事の証券会社の体制は3社、大和さん、三菱モルガンさん、みずほさんにご支援いただいていましたが、証券会社さんからのコミットメントとか支援、あとアナリストレポートの発行、こういった支援をしていただくことによって、結果的に海外機関投資家の方にご支援いただき、IPOが成功裏に終わり、その後堅調に株価が推移したというような一連のストーリーになっています。

 このような、我々の実態の実例をもとにして、私からの提言というか私見という形でまとめさせていただいているのが17ページ目以降でございます。総論という形でまずご説明させていただくと、今回、市場の構造という点が一番の議論だと認識はしている一方で、大上段の目的はやはり国内資本市場の活性化だと思っていまして、その大上段の目的においては、それも重要ではあるのですが、あくまで一論点にすぎないと考えています。
 また、本質的には市場の参加者、これは上場企業はもちろん、投資家や証券会社、こういった市場の参加者が、やはりちゃんと企業価値の向上にこだわった活動を行っていくのが一番重要だと思っていますし、その中で価値を共創していく循環が非常に重要だと思っています。まさにコーポレートガバナンス・コードもそうですし、投資家で言うとスチュワードシップ・コード。我々も上場前、実際の東証さんの審査の中で、形式上これを満たしているかいないかではなくて、実態としてガバナンスはどうあるべきなのかは取締役会でも相当議論していまして、やはり大事なのは形式ではなくて実態だと思っています。なので、最終的には制度や枠組みが大事だと思うのですが、その前に本質的に重要なのは、やはり経営者であったり投資家であったりが、いかに意識を高く持っているかというのが大事だと思っていて、それが一番本質的な点だと思っています。

 加えて、上場会社、投資家だけでなくて、やはり証券会社や投資銀行の方が市場において果たすべき役割も非常に重要だと思っております。その前提において、あえて市場構造の見直しのところに今回フォーカスさせていただくと、主な意見がその下になります。5点ほどあります。
 1点目。市場は各市場ともちゃんと特色を明確にしたほうがいいと思っていまして、市場構造は可能な限りシンプルにして、位置づけを明確にする。今、東証一部から二部に落ちる落ちないといった時価総額の基準の話も当然あると思うのですが、より本質的には東証本則市場は1つの市場でいいのではないかと思っています。成熟企業向けの市場が1つ、もう一つは成長企業向けの市場が1つ、こういった形で並列に並ぶ2つの市場が大きくあるほうが、より位置づけが明確なのではないかと考えています。
 その中において、成長企業においては、審査基準、特に赤字上場に対する審査を個別かつ柔軟に行うのが望ましいというのが2点目で、これは長澤さんと同意見でございます。
 3点目。この議論とともに、TOPIX、インデックスの構成銘柄を東証一部全上場企業から、国内資本市場を表現する主要な上場企業に変更するということで、これは一部上場企業だけでなくてマザーズやジャスダックにおいても一部含まれる企業があってもいいのではないかと考えています。
 4点目。市場構造の再編に伴って、やはり長期での企業価値の向上にコミットしていくというのが実態として大事ということ。先ほど申し上げたとおりで、これがちゃんとインセンティブとして報われるような仕組みが入ったほうがいいのではないかと思っています。株式報酬もそうですし、議決権のテニュアボーティング、長く保有している方がより多くの議決権を持つというような形の仕組みが入るといいのではないかと思っています。
 最後の5点目。そうすると一部から二部に降格するといった議論がない中では、上場社数はひたすら増えていくと思います。これに対してどう向き合えばいいのかについては、基本的には一定年限の中での取引高(株式売買総額)に一定の水準を置いて、それ以下の企業については流動性がないということで、上場している意味合いをちゃんと鑑み、明確な上場廃止基準を設けたほうがいいのではないかと考えています。

 以上のことの詳細を、18ページ目以降、簡単にご説明させていただくと、18ページ目、市場構造の整理で、先ほど申し上げたとおり、成熟企業向け、実績に基づく厳格な審査がなされる東証本則市場と、成長企業向け、将来性を勘案した審査という形での成長企業市場という、2つに大きく市場を分けるということ。この中において大きく違うのが、東証本則については、より一定の継続性がある企業が集まっていると思っていますので、逆に四半期開示は必要ないのではないかと思っていまして、そのかわり年に1回はしっかり統合報告書を発行して、会社の方向性や戦略を明確に位置づけるというのが大事なのではないかと思っています。上場廃止基準は先ほど申し上げたとおりです。あえて、流動性が極端に低い場合でも上場を維持したい場合は、地方証券取引所が国内においてはしっかりありますので、そういったところへの鞍替えも検討してもいいのではないかと思っています。

 最後、成長企業市場の「その他」に書かせていただいていますけれども、やはり多くの企業へちゃんとスポットライトが当たるというのが大事だと思っていますので、成長企業市場に上場する企業については、主幹事証券会社のセルサイドアナリストによるレーティングを全社必須という形で、客観的な評価がなされている状態をつくるのが大事なのではないかと思っています。

 19ページ目。成長企業にとっては、現マザーズ市場の意義は非常に大きいと思っていまして、やはりイノベーションを創出する社会であるためには、こういった市場があるのはすごく大事だと思っている一方で、リスクプロファイルはそれなりに大きい市場において、一番取引を行っているのは相対的に投資経験が少ない個人投資家というのがやはり矛盾していると思っていますので、結果、証券取引所の審査が厳格的になるのは致し方ない部分が一定程度あると思っています。この中においても取引所の方には、成長過程の評価を柔軟に行っていただきたいと思っていますし、本質的には、国内、海外の機関投資家の方が主要な投資家として成長企業向け市場においてもトレーディングしていくのが重要だと思っているので、そのためにもセルサイドのアナリストの方のレーティングを全社必須にするのは一案としてあるのではないかと思っています。
 めくっていただいて20ページ目。今回、我々も東証一部に指定替えさせていただいて改めて感じたメリットとしては、流動性のさらなる向上と、知名度の向上が大きくあると思っています。ただし、これが成長企業市場において大きく担保されるのであれば、必ずしも一部に指定替えしていくメリット、意義はないのではないかと。逆に言うと、並列した市場でいいのではないかと思っていまして、その実現のためには3つ、1点目としては、インデックスを市場区分と別に定義・運用していくという話。2点目は、成長企業向け市場においても国内機関投資家の方に積極的に参画いただくという話。3点目は、東証一部=ブランドという固定観念は、やはり国としても、社会としてもちゃんと払拭していく事が大事なのではないかと思っています。
 その下、全く別論点として、マザーズから東証一部への指定替えの形式要件に時価総額40億円という点があるのですが、これは全然個別の意見としてですが、さすがにちょっと低いのではないかと思っていまして、仮に時価総額の基準で市場構造を見直す場合の結論においては、一部直接上場と同じ水準でよろしいのではないかと思っています。

 残り2ページほどですが、21ページ目。インデックスの位置づけと運用で、先ほど冒頭申し上げたとおり、やはり国内を代表する上場企業群を組み込んだ、日本の証券市場を表現するパフォーマンスインディケーターであるべきというところで、東証一部全上場企業を組み込む必然性は必ずしもないのではないか。かつ、MSCIのように四半期に1回は組み入れ銘柄の見直しやリバランスの形でそれが実施されてもいいと考えています。

 最後22ページ目です。市場構造とは少し離れる議論ですが、資本市場における証券会社・投資銀行の役割と重要性で、あるべき姿としては次世代のトヨタもしくは日本発のアマゾンという、こういう非常に大きな会社を長期で育てる視点を持っていただき、ぜひご支援いただきたいと思っています。先ほど私が、弊社の上場の時に個人投資家が通常8割配分のところを5割に変えたと申し上げたのですが、やはり前例主義から脱却して、より個別の企業にとってあるべき姿とは何だろうというのをちゃんと考えて、大きな企業を育てていく視点という形でご支援、ご指導いただくというのが、市場の参加者としての証券会社・投資銀行においても非常に期待していますし、結果として、市場の構造の論点のみに関わらず、国内資本市場の活性化という観点においては、証券会社の位置づけ・役割も非常に重要なのではないかと考えています。
 少し長くなってしまいましたが、国内の資本市場の活性化という大上段の目的においては、私も貢献していければと思っていますし、こういった意見を少しでも反映させていただければと思っていますので、ぜひご勘案いただければと思っています。ご清聴いただき大変ありがとうございました。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の皆様方からご質問、ご意見をと思います。翁委員どうぞ。
 
【翁委員】  
 ご説明ありがとうございました。今ご意見を伺いまして、メルカリさんにいたしましてもラクスルさんにいたしましても、おっしゃっていることは同じで、やはり成長性をしっかり審査の基準で見てほしいということでした。赤字といっても企業にも色々と特性がございますので、そこだけを審査の基準としないということは非常に重要で、成長性を見ていくことは極めて重要だと認識いたしました。
 もう一つ、両社ともおっしゃったのですけれども、機関投資家への配分の問題は、私も問題意識を持っておりまして、市場構造を変えていく点では、この機関投資家への配分比率みたいな不文律というか前例主義というか、これ自体をやはり変えていく必要が非常に大きいのではないかと感じております。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。隣の池尾先生どうぞ。
 
【池尾委員】  
 プレゼンテーションどうもありがとうございました。
 成長市場のあり方に関して、ラクスルさんの資料の19ページ以降の議論なのですが、現在のマザーズというのは世界で一番上場しやすい市場ということで、非常に時価総額が小さい段階でも上場できる市場であって、そういう市場が存在することは、ベンチャーキャピタルに資金制約があったような時期には、早く上場させて投資した資金をリサイクルしてまた再投資するということで意味があったんでしょうけれども、現状だと、やはり成長市場だといっても、もう少し規模が大きくなってから初めてIPOをするというような市場に変えていったほうが望ましいのではないかと個人的には思っています。
 例えば時価総額だけで言えば300億円ぐらいになって初めて上場できると。そうすると、やはり機関投資家も入りやすくなるというか、機関投資家の視野に入るぐらいの大きさになってから初めてIPOをするというような形で、マザーズ自身のあり方も大分見直すべきではないかということも思っているのですが、そのあたりについて、もし追加でご意見があればお聞かせいただきたいと思うのですが。
 
【神田座長】  
 いかがでしょうか。メルカリの長澤様、どうぞ。
 
【長澤参考人】  
 ありがとうございます。まさに今、おっしゃられたことを、私も共感するところが非常に大きいと思っています。ちなみに、私どもの会社は去年の6月に上場しましたが、その2年ほど前に、実は非上場の中で増資をしました。その時は初めて日本でユニコーンという言葉が使われるようになった時で、当時84億円、非上場で調達をしたということがあったんですね。その時を振り返って私も思ってみますと、スタートアップにしてはそれだけ大型の資金調達をする時にも、マザーズに上場する以外の選択肢はほとんどなかったんです。

 なぜかというと、おっしゃるとおり投資家さん、ベンチャーキャピタルさんも、そういう大型のファイナンスはやはりしないというところがあって、結果として、我々その時は、個別名で恐縮でありますけれども三井物産さんとか日本政策投資銀行さんにご支援をいただいて、非上場でいることのメリットというか、上場せずに思い切って投資をできる、経営に集中できるメリットをとらせていただいて、もう一回非上場で、我々はこれを「潜る」という表現をしますけれども、潜って経営にとにかくフォーカスする、事業にフォーカスしたということ。そしてある程度のサイズ感になってからIPOをするということで、投資家層という意味でもいい投資家さん、優良な機関投資家さんも入れられるし、我々の経営という観点からも事業にフォーカスする時間をつくれるので、そこに関してはおっしゃるとおりです。

 今、この環境の変化で見ると、レーターステージのベンチャーに投資をするようなベンチャーキャピタルさんとか、新しいお金は当時よりも格段に増えている認識が私もございます。なので、あえてマザーズに上場してお金を調達しなければいけないという状況でもないですし、きちんと目ききのできるベンチャーキャピタルさん、レーターステージのベンチャーで投資のできる投資家もいらっしゃる環境になってきたので、おっしゃるような環境変化の中で、マザーズの上場が少し形を変えていってもいいのではないかというのは、スタートアップを経営している我々の立場からも非常に共感するところでございます。
 
【神田座長】  
 ありがとうございます。ラクスルの永見様、いかがですか。
 
 
【永見参考人】  
 会社によってはイノベーションを起こす際に大きく投資をして大きく成長していく企業と、イノベーションとしては大きくないかもしれないけれども、やはり社会においては意義がある会社さんはあると思っていまして、前者のような会社で言うと、まさにご指摘いただいたように、上場と未上場の境がほとんどなくなってきているような今日の環境なので、マザーズにそんなに早く行かなくてもいいのではないか、つまり上場しなくていいのではないか、というのはご指摘のとおりかとまず考えています。
 一方で、そこまでの投資は必要ないけれども、やはり着実に社会において価値を出す会社さんも当然あると思っていまして、そういった会社の上場を何かの水準によって妨げる必要も必ずしもないのではないかと思っています。どちらかというと、市場をどう活用していくのかというのが大事だと思っていて、先ほどの成長性の議論においては、マザーズに上場させていただいた後に投資が継続できる、PL上の赤字が許容されるのであれば、時価総額が60億とか50億で上場した会社さんも、その後成長投資をずっと続けて、1年後には300億、500億になっている事例も当然あると思っていまして、より大事なのは、そういった成長に対する投資の許容を実施していくこと自体ではないかとは考えています。
 
【神田座長】  
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは高田委員どうぞ。
 
【高田委員】  
 ご説明どうもありがとうございました。私のほうは若干の意見みたいな部分と、加えてちょっとご質問させていただければと思っております。
 まず、全体感ということですけれども、やはり私自身、比較的長くクレジットアナリストをやっていた関係からすると、どうしても日本の場合のこういう評価基準が、ややデット市場での評価というのでしょうか、そうしたものにややバイアスや軸足が置かれやすくなってきたのかなとも思います。
そういう観点からすると、今議論があったように、これからの成長性のあるエクイティ市場については、やはりもう少し評価の基準みたいなものが従来の我々の発想から少し変わっていかなくてはいけない部分はあるのかなというのは、私も思うところであります。それがやはり赤字の質といいましょうか。そうした分野への評価に生じやすいと思います。

 それから永見さんのお話の中にもありましたように、海外と日本との評価の基準が違う、特に日本の場合どうしてもスタティックになりがちなところが、海外の場合は先を見てというか、ダイナミックにというか、そういう評価のところも変わっていかなくてはということになると思います。
 ただ、その場合、どうしても車の両輪となるのが、これも永見さんのお話の中にあったのですが、資本市場におけるアナリストというか、これを評価してくれるところがないと、なかなかできないわけです。それから先ほどの議論の中にもありましたように、それがないと機関投資家のところに配分もなかなかできないこともありますので、その辺をいかに今後日本の資本市場として育成していくのかというところがやはり重要になってくるのではないかと思います。そういう意味では、単に箱をどうするかだけでなくて、その担い手をどうするかということが重要なところになるのだろうと思います。

 それから、永見さんのお話がありましたように、インデックスについて、東証一部からどう切り離しながら考えていくのかもやはり重要なので、先ほどの前半部分の議論にもありましたけれども、市場という箱のところと、このインデックスのところのあり方というのは重要だと思います。
 最後に一点お聞きしたいところです。長澤さん、前半のお話の中に、これは第1回のこの審議会で東証さんの資料にもあったわけですけれども、アメリカの場合、赤字の上場が80%を超えていて、日本の場合はそれが2%であると。そういう中で、最後のご提言といたしまして総合的に見るべきであるというご判断があったわけですけれども、これは非常に大きな課題だろうと思うので、その辺、海外の状況等も踏まえた上で、既にそうおっしゃっていただいているわけでありますが、どういう点をやはり具体的にもう少し日本の場合は改めて考えていった方がいいのかといったところ、総合判断でというのに尽きるのかもしれませんけれども、今後の重要な論点として、その辺をもし追加でコメントいただけるようであれば非常に嬉しいなと思います。
 
【神田座長】  
 長澤さん、お願いします。
 
【長澤参考人】  
 ありがとうございます。まさに赤字の判断というのは極めて重要なところだと認識しています。では赤字の質が何なのかというところのリテラシーが、我々発行体は当然そうですし、審査される東証さんもそうですし、あとは投資家さんも含めて、きちんと理解がそろっていくところが大事だと思っています。

 その中でいうと、先ほど申し上げたように、特にインターネットとかの業種でいうと、固定資産を持たない、設備投資をしないような業種だと、投資をするイコールPLで掘っていく、PLで赤字を出していくということになります。ただ、その投資をやめれば黒字になるのだけれども、中長期的な将来性がないというような経営になっていってしまいます。そこの部分をきちんとご評価いただけるような審査の体制になっていますかということ。
 そこで重要なのが、これはPL上赤字なのだけれども、体質的には黒字になれる企業なのかどうなのか、それは資本市場から評価を得られるのかというところがやはりすごく重要だと思っていて、我々の個別の事情でいうと、国内でわりとステーブルで安定成長している事業と、投資をしている海外の事業がありますと、なのでそれらを合わせると赤字になるのだけれども、例えば海外の投資をストップすれば黒字になるんですよということを、ある程度数字をもってきちんと説明できるような状況にあったと我々も理解していますが、そこに対して単に赤字ということで切り離すのではなくて、そこも含めてきちんと見ていきましょうというような、まず審査の体制があるというところだと思っています。

 あとは、それを評価するのは最終的には投資家だと思っているので、やはり投資家がそれをきちんと評価しているということ。プロの方々が見て、それでも企業価値を生むということで見ていただいているところが極めて大事なところだと思っていますので、そういう意味での総合判断だと思います。時価総額であったり、きちんと流動性を生むところも含めてきちんと担保できるのであれば、プロの投資家から見ても、これは単に損を出している事業ではなくて、将来に向けて投資をしている赤字の会社なのだということを、きちんと納得感を持ってお見せできると思っていますので、そういった意味での評価が必要なのかなと思っています。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは三瓶委員どうぞ。
 
【三瓶委員】  
 ご説明ありがとうございます。
 今、何度かお話に出てきたところですけれども、まずその赤字について。これは私の意見も、長澤様、永見様のおっしゃっていることと全く一緒です。赤字というのが単純にだめだというのは、ちょっと今や違うかなと。今の企業を見ていると、戦略的にあえて今は先行投資をたっぷりやるんだとか、ビジネスモデル的には先に加速的な投資をするんだとか、そういうものが増えてきていると思います。ですから、そこを従来どおりの「とはいっても黒字にしてくれ」ということは成り立たないということがあります。
 
 ですから、特に新興の企業について、そういうはっきりとした戦略を持って、ビジネスモデル的に赤字をそう捉えているのだったら、その評価をちゃんとすべきだということ。そこで資金調達がちゃんとできる状態が必要だと思っています。これは第1回だったと思いますけれども、弊社フィデリティの考え方として提言をさせていただいた中にも同様の考え方が入っています。

 また、こちらは永見様がご説明していただいた市場構造の整理のところでのインデックスとの関係。これもほぼ我々の考え方と近いと思います。ただ1点だけ慎重にと思っているのは、テニュアボーティングのところです。18ページに書いてあるところによると、東証本則と成長企業市場全てにわたってテニュアボーティングの導入ということが書いてあります。ごく限られた状況下では考慮の余地があるのかもしれませんけれども、一般的にはかなりこれは慎重に考えるべきかなと思っています。以上です。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。井口委員どうぞ。
 
【井口委員】  
 ありがとうございます。時間の関係もありますので簡潔に申し上げます。
 最近ではサブスクリプションモデルといったような、事業立ち上げ当初に赤字が出るビジネスモデルの企業がかなり出てきています。そういう企業が将来成長することを考えると、そういう企業を排除すべきではないというのは、皆さんのおっしゃっているところと一緒です。この点で、ご説明いただいた企業さんや委員の方々に総論では賛成となります。
 ただ、気をつけなければならないと思うのは、市場区分というのがあるわけで、東証さんの区分でいうとB市場というのがまさに高い成長の可能性を有する企業向けとなっているので、そちらの市場で、こういった企業さんを受け入れ、利益評価ではなく、市場評価を重視するような基準を入れていったらいいのではないかと思っています。機関投資家は対TOPIXで運用を任された場合、アカウンタビリティーがより求められるという点でTOPIX外の企業の投資はハードルになる部分もあるのですが、弊社も含めて、マザーズとかジャスダックの会社に全然投資ができないかというと、対TOPIXで運用しているファンドでも投資でき、必ずしも不可能ではありません。ですので、市場区分を活用した規律ある運営が必要ではないかと思っています。

 それから、三瓶委員もおっしゃったようにテニュアボーティングの導入というのはかなり危険なことと考えています。今、この委員会の議論というのは日本の資本市場をよくするということで議論していると思いますので、それと全く逆行することになると思います。企業さんがおっしゃるように投資家のショートターミズムに悩まされているというお気持ちもわかりますが、それはむしろスチュワードシップ・コードとかなどで、投資家の行動を是正していくところで対応していくのがいいのではないかと思っております。以上です。
 
【神田座長】  
 ありがとうございました。
 あっという間に時間になってしまいまして、既に3分程度超過しておりますが、本日はこのあたりで終わらせていただきたいと思います。本日いただきましたご意見を踏まえ、次回以降も議論を継続させていただきます。
 本日ゲストとして、参考人としてお越しくださいました皆様方には、大変お忙しいところ、貴重なご指摘、ご意見をいただきました。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に事務局からご連絡等ございましたらお願いします。
 
【池田監理官】  
 事務的なご連絡ですが、専門グループの次の日程でございますけれども、前回同様、皆様のご都合を踏まえた上で、後日事務局よりご案内させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは散会いたします。

 
―― 了 ――

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