金融審議会「市場構造専門グループ」(第5回) 議事録

 




1.日時:令和元年11月20日(水)16時30分~18時30分
2.会場:中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

 

【神田座長】  
 それでは皆様方おそろいですので、始めさせていただきます。
 
 金融審議会市場構造専門グループ第5回目の会合を開催させていただきます。皆様方にはいつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 
 本日の議事ですが、市場構造の見直しについて、取りまとめに向けたご議論とご審議をお願いいただければ幸いです。この会合につきましては、ご存じのように今年5月に設置して以来、機関投資家や企業経営者、学識経験者等、多くの方々にヒアリングを実施するなど、精力的かつ多角的な議論をしてまいりました。
 
 本日、皆様方のお手元にお配りしております討議資料でございますけれども、これはこれまで頂戴いたしましたプレゼンテーションですとか、皆様方からのご意見、ご指摘等を踏まえまして、事務局のほうで市場構造の見直しに関する論点として取りまとめたものです。従いまして、本日はまず、お手元の資料1の討議資料について、事務局のほうから説明していただきまして、その後、討議の時間とさせていただきます。
 
 なお、あらかじめ申し上げますと、討議につきましてはポイントを明確にして深みのあるご議論をお願いしたいと思いますので、2回に分けたいと考えております。まず、事務局から資料の説明をしていただきますが、その後、具体的に言いますと、まず前半の討議としまして、お手元の資料の冒頭から4ページから5ページ目に入ったあたり、これまでC市場と呼んでいた市場で、本日の資料ではプライム市場とされている市場の設計、ここまでについてご議論をしていただきます。後半の討議では、残りの部分についてご議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
 なお、本日はご欠席でございますが、高田委員から、討議資料に関する意見書が提出されておりますので、皆様方のお手元に配付しております。
それでは、まず、事務局の池田監理官から、市場構造の見直しに関する論点についてのご説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。

 
【池田監理官】
 池田でございます。よろしくお願いいたします。

 討議は前半、後半に分けて行いますが、資料の説明のほうは私から一気通貫でさせていただければと思います。
 それでは、お手元にございます資料1の討議資料に沿ってご説明させていただければと存じます。これまでの議論を踏まえた方向性ということでございますが、先ほど座長からもお話がありましたが、仮称として、これまでA市場とされていたものをスタンダード市場、B市場とされていたものをグロース市場、C市場とされていたものをプライム市場と呼んでおりますが、これはあくまで仮称でございまして、この点について熱心に今日ご議論いただきたいということでは必ずしもございませんので、よろしくお願いいたします。
 
 市場構造の見直しの目的のところでございますが、これまでも繰り返しご議論ありましたように、市場構造の見直しにより、最終的には経済の好循環を実現していくということかと思っておりまして、その際に、これまで繰り返し言われてきたことでございますが、3つの課題があるのではないかということです。市場区分のコンセプトが曖昧で、利便性が低くなっているのではないか。上場会社の皆様の企業価値向上の動機づけにおいて期待される役割を十分果たせていないのではないか。そして、投資対象としての機能性、市場代表性を兼ね備えた指数がうまくいっていないのではないかということ。これらを踏まえまして、まず、新たな市場区分の基本的な方向性についての論点をご説明いたします。

 現在、5つある市場を、3つの市場に再編してはどうかというのを1つ目の論点とさせていただいております。また、スタンダード市場、プライム市場につきましては、上下関係の無い並列の市場ということで、既存の一部上場企業の皆様においては、自社の理念、ガバナンス、株主との対話へのコミットメントなどを踏まえて、適切と考える市場区分を選択いただくということにしてはどうかということでございます。また、グロース市場とスタンダード市場、プライム市場との関係につきましても、ここも並列の関係と考えてはどうかという論点とさせていただいております。
 
 1枚おめくりいただきまして、次は指数の話でございますが、従来TOPIXは市場第一部と一体のものですけれども、市場区分と指数の役割がそれぞれ異なってきている中で、市場区分とTOPIXの範囲を切り離してはどうかということを次の論点とさせていただいております。
 
 次に、プライム市場の具体的な話になってまいりますが、まずプライム市場のコンセプトにつきましてはどのようなものが考えられるかというのがまさに論点でございます。例えば、多くの機関投資家の皆様の投資対象になり得るだけの規模の時価総額・流動性、それから、より高いガバナンス水準を備えていて、かつ、投資家との建設的な対話を中心に据えて、企業価値の向上にコミットされていく企業。そしてまた、そういう企業に投資をするための市場ということとしてはどうかということを、まず冒頭の論点とさせていただいております。

 これを踏まえました具体的な上場基準につきまして、報道等では時価総額がいろいろと言われているわけですけれども、それも重要ですが、時価総額だけではなく、流動性やガバナンスといった他の基準をあわせて検討することが重要ということで、それをどのように組み合わせていくかということも、ここで論点とさせていただいております。
 具体的に、まず時価総額の話では、今後新たに上場される企業の時価総額(流通時価総額)について、どのような水準が考えられるかを、まず具体的に論点とさせていただいております。
 
 次の論点として、そうした時価総額の基準について、これまでは退出時の基準と、上場時の基準が分かれていましたので、そこをどうするかということでございます。現在の基準では、市場第一部から市場第二部へ移行となる基準は、時価総額20億円未満となっておりますが、これが上場時の基準と分かれていることが、新陳代謝を妨げているという指摘もございます。ですので、1枚おめくりいただきまして、冒頭のところですけれども、上場後の企業価値向上の動機づけのためには、この点をどう考えるか、どのような水準が考えられるかという論点にさせていただいております。
 
 また、これまでのご議論でもございましたが、マザーズを経由した市場第一部への上場基準につきましては、市場第一部に直接上場する際の時価総額よりも緩和された基準になっておりますので、この点については所要の経過措置を設けた上で、基本的には直接上場する際と同じ水準に一本化してはどうかという、ある程度方向性を示した論点とさせていただいております。
 
 続きまして、流動性の話です。プライム市場のコンセプトとしては、投資家との建設的な対話を企業価値向上の中心に据えてやっていくという企業ということですが、そうした対話の実効性を高めるためには、株主構成の中で、いわゆる安定株主がほとんどを占めているよりも、流通株主の比率が高いほうが、経営に対するガバナンスは働きやすく、建設的な対話が行われるのではないかということを問いかけさせていただいております。現在、市場第一部に上場する際の流通株式の比率の基準につきましては35%以上が必要になっているわけですが、上場後にこの比率が大きく低下しても上場を維持している企業があるということで、この点をどのように考えたらいいかということです。かつ、安定株主だけで特別決議が可決できるということにならないような水準に、流通株主の比率を維持することがプライム市場のコンセプトから見て考えられるのではないかということですけれども、この点もいかがでしょうかという論点になってございます。

 それから、ガバナンスについてですが、我が国を代表する投資対象として優良な企業が集まる市場にふさわしいガバナンスの水準を、ここでは求めていく必要があるのではないかということでございます。今後行うコーポレートガバナンス・コードの改訂などを通じて、プライム市場の性格にふさわしい水準にガバナンスを向上させることを促進していくことが考えられますが、いかがでしょうかということでございます。
 
 1枚おめくりいただきまして、ここは1つ論点として、委員の皆様の間でいろいろなご議論もありましたが、上場企業の持続的企業価値の向上の動機づけのために、ガバナンスに関する項目については、コードに加えて、例えば社外取締役の数や割合などをここで挙げさせていただいておりますが、そうした一定の事項について強制適用とするような上場基準はどうかということも論点にさせていただいております。

 それから、収益基準でございますけれども、現状ですと、直近決算期が赤字である場合等に市場一部への上場が難しいという指摘がございますけれども、メルカリ様のプレゼン等でもありましたが、近年のネット系統の事業では、積極的な広告宣伝などを行うことで、収益上は赤字に見えるけれども、結果としてそうした広告投資などが将来的に大きな企業価値につながり得るということを踏まえ、直近の決算が赤字の場合でも、プライム市場への上場を認めることができるように基準を見直すこととしてはどうか。その上で、プライム市場に上場するための基準として、時価総額、売上や開示などの条件を加重することが考えられるが、この点についてはいかがでしょうかという論点にさせていただいております。

 それから、経過措置についてです。これはまさに、既存の一部上場企業の皆様の取り扱いをどうしていくかということですが、ここも、これまでのヒアリングの中で、地方企業の皆様からいろいろご指摘ありました。やはり、一部上場が1つのブランドイメージとなり、雇用や取引など、そうしたことを通じて企業価値に反映されているのではないかとも考えられるところであります。本日の冒頭で、市場のネーミングの話はそれほど熱心にはしないという話もしましたが、市場一部の名称を今後も継続してほしいという声もございますので、この点についてどのように考えるかということも論点にさせていただいております。
 
 そして、具体的な経過措置の話が5ページ目の冒頭からございますけれども、今申し上げた地方企業の皆様の声なども踏まえますと、既存の一部上場企業については、上場基準、退出基準に関する新たな時価総額、あるいは流通時価総額に関する基準を満たしていない場合であっても、ガバナンスについてのコミットメントを行う限りにおいては、プライム市場への上場維持というのを基本的には認めてはどうかという論点にさせていただいております。それから、やはり既存の一部上場企業の件ですけれども、先ほど申し上げた流動性に関する基準、流通株式比率に関する基準を満たしていなくても、プライム市場の選択を希望する場合には、当分の間、流通株式比率向上に向けた取り組み等を策定し、それを開示することによって、プライム市場への上場を認めることとしてはどうかということにさせていただいております。
 
 次からがスタンダード市場の話になります。

 スタンダード市場につきましては、市場のコンセプトとしてどのようなものが考えられるかということが論点でございます。例えば、上場市場における投資対象として基本な時価総額・流動性、それからガバナンスを備えつつ、投資家との建設的な対話ということでも必ずしもないけれども、企業価値の向上にコミットしている企業のための市場ということではどうか。
スタンダード市場につきましては、こうした性格から、主として現在の市場二部、JASDAQスタンダード市場に属する企業から移行されるのではないかということですが、一方で、こうした市場の性格を踏まえて、現在の市場第一部に属する企業の皆様がスタンダード市場を選択することも想定されるのではないかということです。

   そこで、今後、スタンダード市場に上場しようとする際の基準をどうするかですが、現行、市場二部でいえば時価総額20億円が1つの基準となっておりますが、この基準をどのような水準にすることが考えられるかが次の論点になっております。
 また、先ほど申し上げたとおり、スタンダード市場が、現在の市場二部、それからJASDAQスタンダードに上場している企業が移行してくる市場だとすると、現在、コーポレートガバナンス・コードの適用の仕方が、市場二部とJASDAQスタンダードでは異なっておりまして、具体的には、JASDAQスタンダードのほうは基本原則のみの適用となっておりますが、コードの適用をどのようにするかということが、また改めて論点になるということが5ページ目最後の白丸のところでございます。
 
 次からがグロース市場の話になりますが、市場のコンセプトとして、例えば、高い成長可能性を実現するための事業計画と進捗の適時適切な開示が行われて、一定の市場評価が得られる企業のための市場ということではどうかということでございます。仮に、こうした性格の市場だとすると、基本的には現在のマザーズ市場、それからJASDAQグロース市場の上場企業が移行してくることが想定されるのではないかということです。
 
 また、その上場基準につきまして、これまでも委員の皆様でいろいろご議論ありましたが、時価総額10億円で上場できるという現在のマザーズ市場の基準が、非常に時価総額の基準として低く、その後の成長が見られなくなるのではないかという指摘でありますとか、逆に、そういう基準で早期に上場したことで得られた資金を、次のベンチャーへ投資することも可能になっているという、両面の指摘がございます。こうした両面の考え方がある中で、適切な上場基準についてどのように考えるかでありますが、基本的には引き続きベンチャー企業にとって世界で最もアクセスしやすい市場であるために、時価総額などの現状の基準を維持してはどうかという論点にさせていただいております。

 また、このグロース市場への機関投資家の参入についてもいろいろご議論いただいたところでありますが、現在のマザーズ市場は確かに個人投資家中心になっておりますので、機関投資家の参入を進めるための方策について、今後検討していく必要があるのではないかという論点にさせていただいております。
 
 それから、インデックス(TOPIX)の話でございますけれども、新たなTOPIXへ内容を変更していくにあたり、マーケットへの影響を最小化、連続性の確保に十分留意し、そして十分な移行期間と事前周知を最大限配慮する必要があるのではないか。また、コンセプトとしては、機関投資家の皆様にとって使い勝手が良く、選定される企業の皆様にとっても納得感のあるインデックスということ。

 その具体的な算出基準につきましては、これまでTOPIXは市場第一部と一体だったわけですが、既存の一部上場企業については、今後、プライム市場ではなく、スタンダード市場を選ぶ可能性もあるという前提に立ちますと、指数の継続性の観点から、スタンダード市場からもTOPIX銘柄に選定できるものとすることが考えられますが、いかがでしょうかということでございます。

 また、選定に当たっては、やはり機関投資家の皆様がインデックス投資などで指数を利用されているという観点を踏まえますと、市場の流動性をより重視した流通株式時価総額を中心とすることが考えられますが、いかがでしょうかということでございます。
 そして、その際の着眼点ですけれども、流通株式、いわゆる浮動株の定義につきまして、より厳格にすべきという考え方もありますが、どのように考えるか。

 それから、諸外国の代表的なインデックス算出に当たっての時価総額でありますとか、代表市場の時価総額に関する水準、これを参考にしてはどうかということ。
また、TOPIXは実際に幅広い投資家に使われておりますので、そうした指標の算出にあたっての独立性の確保でありますとか、プロセスの公平性の確保、この点についても考えていく必要があるのではないか。

 更に、これまで何度も出てきておりますが、TOPIXの内容を変更するにあたって、現在のTOPIXに対して、インデックス全体の時価総額という観点で見た場合に、連続性を確保できる水準とする必要があるのではないか。

 経過措置についても触れておりますが、既にTOPIXは投資対象、あるいはベンチマークとして利用されておりますので、その内容を変更するうえで、経過措置としてどのようなことが考えられるかというのも論点になってございます。

 最後、その他のところでございますが、退出基準、特に市場二部から上場廃止になる時価総額について、現在ですと10億円ですが、他方、マザーズ市場から上場廃止になる時価総額は5億円となっています。この点については、企業価値向上の動機づけのために引き上げることが考えられるのではないかという意見もあるところでございます。

 一方で、ここを厳格にしていくことになりますと、投資家の換金機会の確保という観点からは問題が大きいのではないかということも指摘としてはあり得るわけでして、そうしたことを考えますと、退出基準を強化する場合には、受け皿となる市場の整備についても、あわせて今後検討していく必要があるのではないかという論点にさせていただいております。
適用時期につきまして。これは今回の市場構造の見直し全体についての適用時期ということでございますけれども、今後、仮にこの市場構造専門グループとして報告書がまとまったとしても、東証における規則の改正などもございますし、これに企業の皆様が対応するための期間なども必要ですので、そうした期間を十分に設けつつも、速やかに実施することが望ましいのではないか。最後の論点は、以上の論点に漏れがございませんでしょうかということになってございます。

 討議資料のご説明は以上でございます。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。
 
 それでは、残りの時間は討議とさせていただきます。

 冒頭に申し上げましたとおり、2つのパートに分けて討議をお願いしたいと思います。
 
 まず前半部分ですが、プライム市場の設計のあり方について、資料の1ページ目から5ページ目の上までの範囲についてご質問、ご意見をお出しいただきたいと思います。
 どなたからでもよろしくお願いいたします。では、井口委員、どうぞ。

【井口委員】
 ご説明ありがとうございました。この討議資料に従いまして、幾つかコメントをさせていただければと思います。

 まず、市場構造の目的ですが、市場構造の見直しを通じて、上場企業の持続的な成長を促すということに賛同いたします。
 
 次に、市場区分の方向性ですが、3市場に再編したうえで、スタンダード市場とプライム市場の両市場を上下なく、コミットメントに応じて上場企業が選べるようにするということも同意いたします。

 ただ、最後に書いてあります、グロース市場とその他の市場との関係についてですが、これは言葉の使い方があるかもしれませんが、これらを同列と言ってしまうと、この後でガバナンス・コードの適用など色々な話があると思いますが、逆にグロース市場、資本市場の入り口を狭めるおそれがあるのではないかと思うので、ここは慎重に考えたほうがいいと思います。
次の2ページ目、市場区分とTOPIXの切り離しにつきましては、これまで色々な議論がありましたし、私も1回目にプレゼンさせていただいた時に、両者は切り離す方向性で良いと思っていましたので、これも同意いたします。
 
 同じく2ページ目のプライム市場について、投資家との建設的な対話や、高いガバナンス水準にコミットされている企業がこの市場に上場するというコンセプトに賛同いたします。これも第1回目のプレゼンで述べさせていただいていますように、時価総額基準というのも大事だとは思っていますが、それ以上に、クオリティー基準というのがすごく大事だと思っています。更に、クオリティー基準の中でも、前回の審議会でも申し上げましたとおり、東証が調べられた市場構造のあり方等に関する市場関係者からのご意見の概要でも、時価総額や流動性の次にガバナンスの要件が挙がってきていることからも、ガバナンス、あるいは開示が大事になってくると認識しております。

その下に書いてあります時価総額の一本化は、事務局の提案どおりで賛同いたしております。
 
 3ページの下、ガバナンスのところですが、ここは先ほども申し上げましたように、東証が調べられたステークホルダーとの調査にもありますが、クオリティー基準の中でも一番重要なところだと思っています。この意味で、最初に書かかれている、ガバナンス・コードの改訂を通じて、企業のガバナンスをプライム市場にふさわしい水準に向上させるという考え方には、大いに賛成したく思っております。これも1回目にプレゼンさせていたただいたときから、ずっと申し上げていることですが、ガバナンス・コードの中でもいろいろの定めがありますが、その中でも、そのまま平仄を合わせる形で、独立社外取締役の数や投資家から注目される取締役会の委員会の独立性が重要と思います。開示では、ここには英文開示と書かれていますが、英文開示というと例えば任意の報告書も入ってきますが、そうではなく、有価証券報告書の英文での開示が大事になってくると思っています。また、資料では強制適用と書かれていますが、そういう取り組みが非常に大事だと思っています。これらの仕組みがあって初めて資本市場が良くなると思っています。

 特に後段にあります経過措置で、現行の1部上場企業は流通時価総額基準を満たさなくてもプライム市場に残れるとなれば、なおさらクオリティー基準が大事になると思いますので、そういう意味ではここの強制適用というのは、私にとってすごく納得感があります。

 第3回目の審議会に地方企業の方が来られたときにも、時価総額基準はやや難があるかもしれませんが、英文有価証券報告書や、あるいはガバナンスの体制を整えるというクオリティー面は企業努力の範囲で対応可能ですということを、多くの企業さんがおっしゃっていたと思いますし、市場構造の目的の最初に書かれていた、上場企業に持続的な成長を促すということにおいて、これはすごく大事なところだと思います。

 ただし、強制適用となれば、対応のための一定の移行措置をとったり、あるいは企業のエクスプレインが十分であるかどうかを東証さんが審査を行ったりすることを検討する必要があるのかもしれませんが、ただ一定の期間内にクオリティー基準を満たしていく必要はあると思います。ただ、冒頭にありましたように、このクオリティー基準は、全上場企業に強制適用ではなく、プライム市場とスタンダード市場は並列ということですので、企業さんが対応できない、あるいは対応したくないという場合はスタンダード市場に移るという選択はあると思います。

 以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。では、三瓶委員、どうぞ。

【三瓶委員】
 ありがとうございます。
 
 まず、討議資料の1ページ目、市場構造の見直しの目的と、市場区分の基本的な方向性については、ここに書いてあるとおり、5つある市場を3つの市場に再編してはどうかということですけれども、それと同時に、TOPIXを東証一部から切り離すという案も出ています。そうすると、結果的には、発行体の視点からすると3市場に再編なのかもしれないけれども、投資者の視点からすると3市場プラスインデックスで、4つということになります。ですから、今までの5市場からあまり変わっていないし、わかりやすくなったかというと、そういうふうになっていないということです。

 ですから、これまで何度も申し上げていますが、市場区分としては2つ、そのうえでTOPIXを市場第一部から切り離すと、やっと3つになるのですね。そういう発想というのはあり得ると思います。

 海外の投資家にとっても、わかりやすいというのは非常に大事だと思います。2つの市場区分+インデックスで考えた場合、米国を例にとれば、ニューヨーク証券取引所への上場がまずありますね、NYSEへの上場です。それとNASDAQへの登録。一般的に、NYSE上場というのは、いわゆるプライムとかスタンダードみたいなものです。NASDAQは、一般的には成長市場と見られています。そしてインデックスをつくるときには、このどちらからでも基準を満たせば入れるという状況です。
ですから、ものすごく大雑把な言い方をすると、プライムとスタンダードは分けなくてもよくて、1つの市場とする。それに加えてグロースという市場区分に、新TOPIXがある、ということも十分考え得るのではないかと思います。
 
 ただ、その場合、この資料には論点として、スタンダードとプライムは若干ガバナンス面で要求するレベルが違うと書かれています。その辺をどうするかですが、ただ、そこに格差があるということで、この目的に書いてある経済の好循環ということが本当に果たされるのか。プライムでしか、または新インデックスしかお金が回らないということになると、本当の意味での経済の好循環という目的が果たせるのかという疑問があります。
 
 それから、流通時価総額という表現が今回新たにたくさん出てくるんですけれども、意義はよくわかります。一定程度、その考え方を使うのはいいかなと思いますが、ちょっと流通時価総額に頼り過ぎかなという面があります。似たようで違うものは、いわゆる売買代金です。例えば、実際私たちが投資するときに、この銘柄に投資していいのかどうか、またはどのぐらいまで投資できるだろうかということを測るときには、売買代金を見ます。売買代金は非常に動きますから、例えば、何年平均とかそういった形で見ますけれども、売買代金の要素をもう少し入れるほうがいいのではないかと思います。

 例えばですけれども、TOPIX組み入れの二千数百社の中で、売買代金と時価総額の関係を見たときに、これは5年間の平均をとっていますけれども、一番時価総額と売買代金の差が大きい銘柄だと、時価総額が80億円、売買代金はその30倍です。一方で、最もアクティブではない会社は、時価総額が8兆円を超えているけれども、実際に動いている売買代金で見ると、年間で時価総額の6%です。これが、実際に私が投資するときに肌感覚で投資しやすい、しにくいと感じることなので、この要素というのは、もう少し考えていただけたらと思います。ただし、これは新規に上場するときの基準にはなり得ないんですね。まだ売買代金の実績がないですから。従って、これはどちらかというと上場の継続基準になると思います。これが著しく落ちてくるようであれば見直さなきゃいけない。著しく落ち過ぎた後で市場からの退出を考えても、今度は退出するときの売買そのものも非常に難しくなるので、これは継続してモニターする場合の基準として重要じゃないかと思います。

 とりあえずここまでにしておきます。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、池尾先生どうぞ。

【池尾委員】
 私も、三瓶委員のご意見、特に前半のほうでおっしゃった意見に非常に賛同するところが多くて、市場区分とインデックスを切り離すという前提に立ったときに、スタンダード市場とプライム市場という市場区分を設けることの意義が逆によくわからなくなると思います。グロース市場は成長性がある市場、スタンダード及びプライム市場に属する企業は実績のある企業。実績のある企業と成長可能性の高い企業、どっちが上だというようなことは言い難い面があるから、グロースとスタンダード及びプライムが並列というか、上下関係は特にないですよというのはわかるわけですけれども、プライムとスタンダードの間で、プライムは高いガバナンス、スタンダードは緩いガバナンスを求めるのであれば、これで上下関係がないと言うのはなかなか難しいという話です。私はやっぱり、上場企業として、要するにパブリックカンパニーとして認められるガバナンス水準というのを、東証に上場する企業には一律に求めるべきだと思います。

 そして、その中でレベルが高いとか低いとかいうのは、コンプライ・オア・エクスプレインでのレベルの話として、機関投資家等とのやりとりの中で、それぞれの企業の選択の問題として決まることであって、市場区分で強制する話ではないと思うんですね。

 従って、ちょっと繰り返しでくどいですけれど、パブリックカンパニーとして最低限満たしてもらわなきゃいけないガバナンスの基準というのは当然要求するにしても、それを超えてどうするかというのは、ガバナンスが本来持っている多様性を踏まえて決まっていく話として考えるべきであって、市場区分として強制するべきものとは思いません。
だから、TOPIXと市場区分を切り離して、プライムという区分を設けるとすると、それは何か旧東証一部というラベルを実質的に保持する以上の効果がどこにあるんだという感じがします。グロースというのは別のマーケットとして区分されていいけれども、東証上場企業でいいんじゃないか、東証は1つの市場でいいんじゃないかというふうに思って、その中でTOPIX対象企業とそうでない企業という区分が新たに実質的に設けられることになればよく、わざわざというか、スタンダードとプライムで、コンセプトが違うからといってプライムのほうにより高い基準を設け、そうは言いながら上下関係はないと言っているのは、ちょっと何か理解しにくいなというか、私の理解力が低いせいかもしれませんけれども、もう少しわかるように説明していただきたいなという気はします。以上です。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 小林委員、どうぞ。

【小林委員】  
 投資家サイドの思いはわかりませんが、企業経営者としての感覚で申し上げますと、グロースと、プライムとスタンダードをまとめた2つだけで十分であり、インデックスには少なくとも両方の市場から入れるべきであるという三瓶さんと池尾さんのお話は、論理的にはすっきりしていると思いますし、一気にグローバルスタンダードに移行しようとすればそういうことになると思います。
 
 しかし、相応の経過措置を考慮しますと、5つから3つの市場に再編するくらいが、とりあえずは無理がないのではないかと思います。
やはり企業規模に応じたある意味での機能というものが当然あるでしょうし、別に今までの一部、二部そのまま移すというわけではなく、例えば時価総額250億円なら250億円あたりで区切って、その上でコーポレートガバナンス・コードの考え方を適用することも可能かと思います。いずれにせよ、全体を通して5市場を3市場にして、インデックス自体を新しく考えるということには賛成です。
 
 但し、これは後ほど議論になるかと思いますが、市場から退出する基準に関して、プライム市場の企業に退出を求める流通時価総額の基準についても考える必要があります。確かこれは参考データ集にも記載されていましたが、従来の退出基準では、日本と韓国だけが債務超過に陥ったら即座に上場廃止となりますが、このあたりももう少し明確に詰めていただいたほうがよいかと思います。バランスシート上は実質債務超過になるにせよ、ある時間軸によってはすぐに解消できるとか、あるいは独禁法的にタイミングを失してしますなどの場合でも上場廃止になり得るので、無理矢理経営戦略を変えさせられてしまうというのは、極めてもったいないことだと思います。退出基準についてももう少し深く議論をしていただきたいと思います。以上です。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 それでは、松山委員、どうぞ。

【松山委員】
 ありがとうございます。全体の方向性については賛成でございます。

 1つずつ意見を申し上げますと、冒頭のほうのプライム市場における時価総額基準に関しましては、諸外国等の水準も参照しながら、慎重に検討していく必要があると考えております。
それから、2ページ目の下段ぐらいから、流通時価総額、あるいは流通株式比率という用語が出てくるわけですけれども、これについては幾つか検討しないといけない視点があるのではないかと考えております。まず1つは、企業再生局面において、INCJ、あるいはプライベート・エクイティ・ファンドから資金を仰ぐというようなケースがありますけれども、この場合、支援する投資家が相当な持株比率となるケースが多々ございます。こういった場合に、上場維持を考える必要があるのかどうかといった点を検討する必要があると考えております。
 
 それから、流通株式の定義について、3ページの中段のところ、注書きに、10%以上の大口保有者を除くとなっているところ、これをどのように考えるかというのがございます。資料の最後のところで、インデックスにも浮動株の検討をとございますけれども、これについて、長期に株式を保有している投資家、アセットオーナーなどが流通株式から外されないようにお願いしたいと考えております。企業としましては、建設的対話を通じて中長期の成長戦略を説明して、それに見合って中長期に保有していただける株主が増えることを期待しているわけでございまして、この辺が流通株式から除外されるというようなことがないように、ぜひお願いしたいと考えております。

 それから、赤字の場合におけるプライム市場への上場ですけれども、これについては論点整理のとおり、上場できるとしていただければどうかと思っております。
それから、プライム市場におけるコーポレートガバナンスのあり方でございますけれども、これについても、コーポレートガバナンス・コードの精神でありますコンプライ・オア・エクスプレインを基本として、その趣旨が生かされるような適用の仕方を考えていただきたいと考えております。上場区分の中でこれを強制すれば、コーポレートガバナンス・コードそのものの適用の仕方を根本から考え直さなければいけないのではないかと考えております。例えば、英文開示についてはディスクロージャーの問題ですから、コーポレートガバナンス・コードにも入っているものの、東証の上場規則の中でも取り扱えるのだと思いますけれども、一方で、取締役会の構成等については、コーポレートガバナンスそのものの議論になると思いますので、フォローアップ会議等でも十分検討しなければいけない問題ではないかと思っているところであります。

 以上でございます。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、翁委員、どうぞ。

【翁委員】  
 今回の見直しの目的については、この資料で3点にまとめられたとおりでございまして、企業にとっても投資家にとっても、経済の好循環をより実現する方向で考えることが望ましいと考えております。

 特に市場区分の見直しなどの今回の改革が、ネガティブメッセージを与えてはならないということが重要だと思っておりまして、本来の日本の金融市場の発展や、企業の成長を方向づけるような改革にしていくということが極めて重要だと思っております。
 
 その点で、今回の提案は、コーポレートガバナンスを向上させ、株式の流動性も向上させるという2点について企業の努力を促すことに寄与すると思っておりまして、基本的には賛成でございます。
 
 今、三瓶さんと池尾さんからご指摘がありましたので、もう少し考えてみたいとは思っていますが、私自身は、TOPIXを変えるというのは時間のかかる話かもしれないと思っていたので、当面とりあえず3つの市場に再編するということでよいのではないかと、今のところ思っています。もちろん、投資家サイドからのわかりにくさというご指摘があったので、もうちょっと自分自身でも考えてみたいと思いますが、もし3つの市場に区分するとしても、これが企業の選択性になっているということは大事なことだと思います。また、特により高いコーポレートガバナンス、具体的には今後考えるのだろうと思いますが、それの程度で企業は市場を選択していくことになるのだと思っておりますし、また、流通比率を非常に重視しているということも意味があると思っています。特に親子上場が非常に多い日本の現状を考えても、流動性とか、どのぐらい流通しているか、どのぐらい対話をするかということについて基準として考えることは適切であると思っております。
 
 プライム市場の高いガバナンス水準をどのように見きわめるかというのは、やはりとても難しいと思っております。資料でもご指摘がありますけれども、英文開示とか、社外取締役などの義務づけというのはあり得ると思っておりますが、強制適用の対象というのはあまり多くないほういいのではないかと感じております。

 それから、流動性というのも、先ほど三瓶さんがおっしゃったとおりで、どのぐらい流通比率があるのかということと、売買がどれぐらい活発かということは違う概念でございますし、先程整理していただいたように、新規上場の企業については流動比率で考えるのだと思いますけれども、継続上場の基準では、どのぐらい売買されているかということが重要で、流動性の概念とも大分違うので、流通時価総額基準というのもどういう概念なのかということも、もう少し明確に考える必要があるかなという印象を持ちました。
 
 それから、下位市場を経由した上場基準と、直接上場の基準の違いだとかは、もちろん今回を機に一本化していくということが大事だろうと思っております。
 
 収益基準につきましては、ビジネスモデルによっては、当初は赤字が大きいという企業はたくさんございます。その点でも、投資家が判断しやすいように時価総額とか開示の条件を加重するということについては賛成しておりますし、その内容を投資家がよくわかるような、そういった配慮が必要ではないかと思っております。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 小林さん、どうぞ。
 
【小林委員】  
 先ほど申し忘れたことですが、情報開示の件で、翁さんが強制適用に疑問を呈されておりましたが、例えば社外取締役の数の要件などは会社法でも一定程度明確になってきています。また今般、外為法の基準を1%に改正することで、今後、海外からの直接投資が厳格になることも含め、そろそろ英文開示、ネット、あるいは電磁的開示は、プライム市場ではむしろ強制適用するぐらいのこともやったほうがいいのではないかという気がします。

 赤字でも上場できるというのは、賛成です。先ほどの、債務超過で撤退しなければならないといった基準は、企業戦略との整合性が必ずしもとれないのではないでしょうか。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
 
 前半部分の討議につきまして、一通り大変貴重なご指摘をいただきましたが、ここで後半に移りましょうとはいきそうにありません。前半部分につきまして、ご意見が取りまとめに向けて収れんできているとは思えませんので、もう少しご意見をいただきたいと思っております。

 この討議資料との関係で申しますと、多くの項目についてはご賛同というか、それほど異論はないものと思いますが、ご意見が分かれていると思うのは3つありまして、1つは、市場区分を幾つとするかという三瓶委員からの問題提起で、市場区分が3つあり、そこへインデックスを加えて4つの市場なのか、インデックスを加えて3つの市場がよいのかというのが1つです。
 
 それから、2番目は、流通時価総額基準の考え方で、流動性をはかる指標として、何にどういうタイミングで着目したらいいのか。
3つ目はガバナンス基準についてです。ガバナンスの重要性は、皆様方もご賛同いただいていると思うのですが、ガバナンスといってもいろいろな項目がありますので、何について、どの程度、そして コンプライ・オア・エクスプレインなのか、強制という言葉を使わせていただくとすると、オールウェイズ・コンプライ なのかというあたりが、委員の皆様方の間でもご意見が分かれているところかと思います。

 このあたりについて、もう少しご意見をいただければ、議論を先に進ませる上で非常にありがたいのですが、いかがでしょうか。
 
 三瓶委員、どうぞ。
 
【三瓶委員】
 整理していただきありがとうございます。退出と強制適用について申し上げます。

 例えば、上場区分からの退出について、企業が自ら区分を変更したいという場合、それを退出と見ることができるかもしれません。また、何かが著しく悪化した状況で上場廃止になる場合もあると思います。

 一方で、先ほど市場を幾つに分類するのかという話にも関わりますが、退出と強制適用のありかたで最も難しいのは、プライム市場だと思います。先ほど申し上げたような、スタンダードとプライムは同じで、それよりもっと大きい、TOPIXと新TOPIXというのは別だということにすると、強制適用というのは、新TOPIXの基準では厳しくできると思います。これは何故かというと、新TOPIXから外れるということは、上場区分から落ちるということにはならないので、その移行措置とか、適用の難しさというのは、市場区分の基準とは全然レベルが違うということです。

 そのときに、例えば、上場区分としての基準は、先ほどからご意見が出ているように、赤字や債務超過というのはもっと緩めに考えていいと思います。そう考えると、スタンダード、プライムでの強制適用の基準はもっとハードルは下げておきつつ、新TOPIXでは非常に厳しくしておくという調整をすることで、両者が両立することがあります。そういうことも含めて、先ほどは申し上げました。
 
 ガバナンス基準についても、例えば市場区分からの退出を考えた時、何か1つブリーチしたらすぐ退出というよりは、複数のクライテリアがあると思うんですね。その複数のクライテリアを、例えば5年間の移動平均的に見ていって、そのときに75%なり80%なりを満たさない場合には、退出に近づいていくということも考えられる。これだと、ある意味経過措置的に捉えることができます。ブリーチの度合いが大きくなれば、企業としてやれる自助努力はしなきゃいけないということになりますが、そのための期間がある程度確保できて、何の部分をもう少し改善すれば残れるのかということの予見可能性が高くなりますので、これは1つのやり方ですけれども、そういうことも含めて考えると、単純に強制適用なのかそうじゃないのか、それがすぐにトリガーして退出なのかという単純な話ではなくなるのではないかなと思います。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 池尾先生、どうぞ。

【池尾委員】
 整理していただいた論点に直接関わるとすれば、1番目の市場区分についてですが、討議資料の5ページの上の部分にグランドファザリングについて記載されています。既存の一部上場企業はプライムにとどまり続けられるようにするという話です。私はある種の激変緩和措置というか、経過措置は必要だと思っていますので、グランドファザリングを否定するものではないのですけれども、これはやっぱり市場間の上下関係という発想が明らかにある議論ですよね。

 当初、この市場区分の議論が少し不幸な経緯をたどって、降格だとかそういう話が非常に強調されたので、上下関係はありませんということを強調したいという思いがあるのは私もよくわかるし、私自身もあえて上下関係を強調したいと思いません。しかし、やっぱりスタンダードとプライムという2つの市場区分について、並列だと言い切るのはちょっと無理がある。
2つの市場を区分するからグランドファザリングが必要になるということですから、区分しなければ、グランドファザリングは必要でなくなります。
ですので、この論点については、結局、東証一部というブランドを残すか残さないかという議論になっている感じがします。率直な感想ですが。
 
【神田座長】
 ありがとうございました。

 井口委員、どうぞ。

【井口委員】
 ありがとうございます。
 
 三瓶委員がおっしゃったように、市場が2つになれば分かりやすいというのはあると思いますが、一方で、小林委員がご指摘されたように、例えば、グローバルに通用するニューヨーク証券取引所の厳しいガバナンス基準のようなものを、現状で全上場企業に適用できるかというと難しいところがあると思っています。

 また、2ページに記載のあるプライム市場のコンセプトはその通りだと思いますが、ここにあるようなガバナンスの重視だとか、投資家との高いレベルの対話という観点を、現在の東証一部、二部上場の企業のすべてに適用することも厳しいところがあると思っています。

 そういう意味で言うと、現実論としてはまず3つの市場に分けて、そのうえでまずはプライム市場から始めてはどうかと思います。プライム市場には、企業努力により社内体制を整えれば引き続き残れるという考え方になっているわけですから。その結果、日本全体の企業のガバナンス水準が向上するというやり方が良いのではないかと思います。
ただ、ご議論があったように、複数のクライテリアがあるべきという考えももちろんあると思いますし、あるいは先ほど申し上げましたように、例えばガバナンス基準を欠いた場合に、即、プライム市場から移行するのではなく、対応期間を設定するとか、あるいはエクスプレインのクオリティーを東証さんのほうで審査したうえで、移行するかどうかを判断するというやり方もあると思っております。
 
 あともう一つ、流動性のところですが、事務局案の概念を中心としつつ、三瓶委員もおっしゃったように、投資家が売買を判断する際には売買比率も見ていますので、補足として、そういう指標を加えるというのも1つあるかなとは思います。
以上でございます。
 
【神田座長】
 ありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。経済産業省の呉村課長、どうぞ。
 
【呉村オブザーバー】
 経済産業省でございます。10月23日の審議会で、我々も経産省として、長期成長に資する市場構造のあり方という意見を提出させていただきましたので、それに関連して、2点だけご意見させていただければと思います。

 市場構造全体の見直しの目的のところでございますが、当然、全体としてこういう方向で見直しをしていくということには賛同いたしたいと思います。ただ、東証の論点整理でも、この見直しの目的の中で整理をされていましたが、上場各社がまさに中長期的な企業価値を向上させていくという点と、もう一方は、まさに今後、この資本市場に入って、資本市場を厚くしていくベンチャー企業の育成をどうするかという観点が非常に重要だと思っていますので、ぜひこの見直しの目的のところに、ベンチャー企業の成長を支えるという観点からの市場の見直しという点も、触れていただけるといいのではないかと思います。

 もう1点は、市場区分の基本的な方向性ということで、スタンダード、グロース、プライムという市場をお示しされていますが、それぞれのコンセプトを明確化しつつ、そのコンセプトに一貫した制度設計が必要だと思っていますし、スタンダード、グロース、プライムそれぞれの設計をされていくということが非常に重要だと思っています。その点、プライム市場のコンセプトとしては一定の時価総額、流動性をもち、主に機関投資家の投資対象となり、対話をしながら、中長期の価値向上に資する市場というコンセプトになっているにも関わらず、5ページ目の経過措置では、ガバナンスについてのコミットを損なわない限りにおいては、既存の一部上場企業はこの市場を維持できると書いてありますが、これについても、もとの市場のコンセプトに沿ったものにすべきと考えます。例えば、一定の経過期間を設け、時価総額だけでなく流通株式時価総額などで流動性を評価する基準とすれば、一定の時価総額を満たさない既存の上場企業についても、その一定期間のうちに、流通株式比率を向上させる選択肢や、企業価値を向上させていくという余地を残すことができるのではないかと思います。

 そういう意味では、経過措置の期間自体が非常に重要だと思いますので、その移行期間の長さについてもご議論いただければと思ってございます。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 松山委員、どうぞ。

【松山委員】
 市場区分について、プライム市場とスタンダード市場を分ける意義があるかどうかというところでございますけれども、先ほど少し申しましたが、5ページの一番下のところに、二部市場はコーポレートガバナンス・コードがフル適用され、JASDAQスタンダードは基本原則のみの適用とあります。市場が一つになった場合、数百社のレベルで基本原則のみ適用だった会社が入ってくることになりますが、そうした会社がいきなりプライムと一緒に、同じコードを適用していけるかどうかというところが一番の問題なのではないかと思います。そういう意味では、プライムとスタンダードを分けざるを得ないというような考え方もあるのではないかと思っております。以上です。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。事務局より太田原市場課長どうぞ。
 
【太田原課長】
 事務局を務めます市場課長でございます。

 委員の皆様、非常に建設的なご意見をありがとうございます。ちょっと感想めいたことになってしまいますけれども、市場の数、インデックスのところを1つと数えるかどうか、これは見方の問題であって、特に結局は異論ないかと思います。あと、プライムとスタンダードを分けるべきか、一緒であるべきかというようなお話が重要なご指摘としてあったかと思います。

 すみません、金融庁の中で詰めた議論ではなくて、私の個人の意見になりますけれども、理屈の上では市場は1つであって、ガバナンスの適用・遵守のあり方で分けるというようなことも、理屈としては筋の通ったものかなとは思うんですけれども、一方で今、松山委員のご指摘とも関連すると思うのですが、コンセプトとしては流通時価総額が大きいものとそうでないもの、あるいはガバナンスがしっかりしている、より高いガバナンスを遵守しているものとそうでないものという分け方というのは、一応意味をなすのかなと思っていますし、あとは金融機関の投資家のように緻密に分析して投資をするという方もいれば、一般投資家もいます。あとは実際、取引や雇用を生み出している企業、現にこれまでのヒアリングでも、一部上場企業かそうでないかというところで、現実に当事者、あるいはそれを見る人の中で、差異を設けて見ておられる方がいる中で、一緒にするということがどういう意味を持つのかなというのは、ちょっとよく考えてみないといけないとは思っております。
 
【神田座長】
 ありがとうございました。

 私もちょっと1点意見を申し上げると、インデックスについてどういうイメージを持つかによっても、捉え方が違ってくるように思うのですね。と申しますのは、具体的な数字を挙げるとかえって誤解を招くかもしれませんが、市場区分が3つになったときに、例えば1,000社、1,000社、1,000社と3つに別れて、インデックスはそれぞれの市場から選ばれるというイメージを持った場合、投資家から見れば本当に4つの市場となってしまうと思うのですけれども、実際には、1,000、1,000、1,000とはならず、例えば現在の市場第一部、二部のように2,500社、1,000社となれば、インデックスはほとんどが2,500社の中から選ばれることになる。仮にインデックスが1,000社から構成されるとすれば、メインはプライムで、それ以外の市場も多少は入るという、そういうあたりではないかと思います。

 つまり、市場区分は3つで、インデックスはそのうちの1つの区分がメインとなりつつ、ほかの市場からも入り得るという、そういうイメージを持った場合に、プライムとスタンダードという2つは区別しなくていいでしょうかという、そういう問題だと思うのですね、三瓶さんが最初におっしゃった論点は。
ですから、そこは論理的にはもちろんいろんな選択肢があるかとは思うのですけれども、なかなか一部と二部を合併して1つにしましょうというのは厳しいという感じを持つのですが。その点について、さらにご議論いただければ大変ありがたいと思います。

 池尾先生、どうぞ。
 
【池尾委員】
 現実に、企業のレベルや大きさに差があるのだから、それを2つに分けたほうがわかりやすいというのは、私もそのとおりだと思いますが、その場合、それは並列じゃないでしょうということを申し上げているわけです。

 明らかに1軍、2軍ということになりますよねということを申し上げているのです。
 
【神田座長】
 ありがとうございます。

 三瓶委員、どうぞ。
 
【三瓶委員】
 簡潔に申し上げますが、プライムとスタンダードが一緒になったときに、ガバナンス・コード全てが適用され、これが負担になるというところは、多分ちょっと誤解があるかもしれません。

 まず、ガバナンス・コードというのは、コンプライ・オア・エクスプレインです。従って、コンプライできなければ、エクスプレインすればいいだろうというのが1つです。
基本原則のみの適用と、全体的な適用がどれぐらい違うかというと、基本原則は大項目の5つだけです。さらっとした大きなことを読んで、うん、わかったという話です。これがフル適用になると、全体の70項目を見たうえで、これについてはちょっとまだ私たちはできないというエクスプレインになります。
一通り70数項目を読んで、上場会社にはこういうことが求められているのかという意識づけというのが大事だと思うんですね。そのほとんどがすぐにコンプライできないとしても、上場している限りはこういうことが求められるんだということ。ただし、今は例えば事務的な体力がないからできないというのは大いにあってよくて、そういう意味では、一通り読んでみましょうというぐらいのこともありだとは思います。

 あともう一つ、インデックスとプライム市場の範囲がかなり重なってくるかもしれないということですけれども、インデックスと市場区分の一番大きな違いというのは、いわゆる競争を起こすドライバー力です。インデックスに入るかは相対的な基準だと思いますので、相対的に競争したうえで、生き残るか残らないかです。一方で、市場区分というのは絶対基準があって、それを超えればそこに入れる。だから、言い方は悪いですけれども、安住ということにもなる。ですから、それ以上の変化が起こらない。それに対し、インデックスは、常に相対順位が下がれば自分が落ちるかもしれないということで頑張るというインデックス効果があるので、ちょっと日本のTOPIXはこれまで違いましたけれども、こういう効果をどう使うかということにもつながっていると思います。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
 
 それでは、次に後半部分についてのご議論ということで、5ページ以降の部分についてご意見をいただけませんでしょうか。前半部分と関連する場合に、前半部分に戻っていただいても結構でございます。どなたからでも結構です。
 
 井口委員、どうぞ。
 
【井口委員】
 ありがとうございます。5ページ以降のところでコメントさせていただきたいと思います。

 スタンダード市場について、コンセプト等は同意いたします。最後の、コーポレートガバナンス・コードについてですけれども、スタンダード市場もプライム市場と同様に適用されるべきと思っています。ただ、池尾先生は両方の市場に差があるんじゃないかとおっしゃっていて、私もそういうふうなことをこれまで言っていたかもしれませんが、やっぱりプライムってすごくいい響きで、一番良いという意味があります。経過措置的に、時価総額でスタンダードと区別をつけないということがありましたが、コードも両方に適用するとなると、私は、クオリティー基準でスタンダードと差をつけるということになってくると思っていますが、どのようにスタンダードと差をつけるのかということは考えなければならないことと思っております。

 あと、6ページのグロース市場のところも特に異論はありません。ただ、下のほうに書いてありますグロース市場への機関投資家の参入というところですけれども、上場基準でそういうことをやるのは不可能でしょうし、インデックスにグロース市場を無理矢理入れて、機関投資家に株を持たせるというようなことではなくて、先ほどから議論に出ていますように、開示のベストプラクティスといいますか、上手に行っている会社もたくさんありますので、そういったことを共有化するのがいいのではないか、と思います。我々の投資対象も、基本的には東証一部、二部が多いのですけど、マザーズでも調査して投資している会社もあって、その会社さんはかなり高い水準で開示をやっていらっしゃるところです。なので、ルールなどで縛るというよりも、そういうことをうまくやっている会社さんの例、ベストプラクティスというのをグロース市場の企業さんの間で共有化するというのが一番いいんじゃないかと思っています。
最後、インデックスのところですが、6ページ以降ですね。ここは基本的に方向性としては賛同しております。1回目のプレゼンでも説明させていただきましたけれども、ここは時価総額とか流動性を基本としつつ、現状よりも絞る、ということが大事かなと思います。これは第2回目に投資家の方を参考人としてお招きしたときも、皆さん、同じようなことをおっしゃっていたと認識しています。あと、その中でもう一つご指摘がありましたのが、実務の中でTOPIX指数というのはかなり浸透していますので、現状と連動性をもたせるのが望ましいということで、私もそのように思っています。
 
 その上で、残念ながらTOPIX以外の指数はあまり使われていないということはあるとは思いますが、前回、川北先生がおっしゃったような、いろいろな指数の開発ということを、先ほど申し上げた現状のTOPIXの継続の前提の上で、やるというのがいいのではないかと思います。
私としては、ここで新しいTOPIXを作るというよりも、今のTOPIXをより使いやすいものに修正するというイメージでいまして、これは例えば東証が2005年10月から2006年3月にかけて、1年かけてTOPIX指数の浮動株化というのを慎重に入れられたという経緯がありますが、そのように慎重にやりつつ、市場をあまり驚かさないように行うということがすごく大事じゃないかなと思います。以上でございます。

【神田座長】   
 どうもありがとうございました。

 では小林委員、どうぞ。
 
【小林委員】  
 2点あります。まず、市場がプライム、スタンダード、グロースという形になった時、プライムは文字どおりプライムで、スタンダードが標準という意味合いになれば、自ずと、プライムから落ちるとか、2軍といったイメージは、現在の一部、二部よりは払拭できるのではないかということです。

 それから、企業価値は、単に時価総額の話だけなのかということです。むしろESG投資に代表される世の中の流れの中で、環境や社会性といった非財務の部分を、TOPIXなりにいかに反映するか。あるいは、GAFAのように無形のテクノロジーがあり、ROEとリニアになっていない会社が沢山出てきている事象をどのようなファクターで加味していくかということについても、何らかの形でもう少し議論したほうがいいのではないか。
 
 また、適用時期とスケジューリングというのが非常に重要な要素ではないかと思うのですが、この辺りを事務局にお聞きしたいと思います。以上です。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。
 
 事務局から、今の小林委員の最後の点について何かご意見ございますか。
  
 太田原市場課長、どうぞ。
 
【太田原課長】
 小林委員、ご指摘ありがとうございます。

 また東証から後ほど指摘があるかもしれませんけれども、今、事務局として考えておりますのは、この金融審議会の市場構造専門グループでは、おそらく基本的な方向性、コンセプトをまとめるということが期待されているのかなと思っていまして、その範囲で我々も今、知恵を出しているところです。具体的には、おそらく東証のほうで上場規則など細かいところまで見た上で制度設計をして、さらにそれをパブリックコメントに付すであるとか、他に市場の数の問題がありましたけれども、仮に選択する余地があるとしたら、それぞれ企業にいろいろご判断いただく期間も必要であろうと思っていますので、具体的にここで何年何月と申し上げるつもりはないですけれども、必要な期間というのは置かなければいけないと。ただ、先送りがいいとは思っていないので、その中で速やかに、そうするとおのずから必要な準備期間を置いて、周知期間を置いた上で実行していただくということをイメージしております。
 
【神田座長】
 中島局長、どうぞ。
 
【中島局長】
 これまでの議論と、今の市場課長のコメントの補足になりますが、今回の議論のうち、コーポレートガバナンスのあり方というのは重要な論点だと考えております。事務局の資料にもありますように、コーポレートガバナンス・コードは、来年見直しのタイミングに入ります。そうすると、今回、この場で色々なご意見をいただいたことも踏まえながら、来事務年度にコーポレートガバナンス・コードの見直しをした上で、市場課長が申し上げたように、各企業がそれを先取りしてプライムに上場するのかなどを判断していくことになろうかと思います。

 そういう意味では、今ここで全てが綺麗に決まるわけではなく、順次、順番を追いながら決まっていくものと考えております。今回の議論では、大まかなコンセプトや考え方が決まり、その後、東証の方で具体的な規則等を策定しつつ、その次にコーポレートガバナンス・コードを見直していく。そういったことを順番に行ったうえで、最終的に、新たな市場区分が動き出すのだと思っております。

 そういう意味で、この議論の後に、例えばプライムにふさわしいガバナンスはどうあるべきか、あるいはスタンダードにふさわしいガバナンスはどうなのかということについて、再度、コーポレートガバナンスの専門家にご議論いただくとか、必要があれば金融審でも議論いただくかもしれませんが、順番に1つずつ手順を踏んでいくということです。

 また、感想めいたことを申し上げると、プライムとスタンダードの違いは確かに見えにくいかもしれませんが、例えば、時価総額基準について、市場一部に直接上場する場合と、マザーズを経由する場合とで差があるものを、高い方の基準に統一しようとなれば、これから新規に上場する企業にとって、市場一部はそんなに簡単には上場できるような市場ではなくなってしまうのではないかと思います。そうすると、企業にとっては、例えばグロースに上場して、その次はスタンダード、プライムへというように、順番を踏んで上場していくようなイメージになるのかもしれません。こう言うと、池尾先生がおっしゃったように、市場間に上下があるじゃないかとなるのですが、そこはある意味、上下というよりも、そうしたことも含めて企業の選択に委ねられることになるということです。上下関係ではなく、企業それぞれが何を目指して、どういう選択をするのかという意味で、各市場が並列だということです。
我々もあまり並列にこだわるつもりはないので、いずれにしても、企業価値の向上を目指すような市場をそれぞれ考えて参りたいと思っております。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、池尾先生、どうぞ。

【池尾委員】
 インデックスを市場区分から切り離すという点ですけれども、これまでの議論を伺っていたら、私も切り離すべきだと思うようになっているのですが、その場合、討議資料7ページの中央ぐらいに書かれていますように、指標算出機関をどうするかという課題があります。要するに、独立性を確保しつつ、プロセスの公平性を確保するということが、これまでよりはるかに重要になると思います。インデックスの範囲が市場区分と一体だったら、上場基準を満たしていれば、あとは機械的にインデックスを算出するだけの話ですが、それとは違う要素が入ってくるのであれば、独立性の確保、プロセスの公平性の確保という観点から、算出機関をどうするかというのは非常に重要な論点になると思います。

 幸いなことに、JPXは持株会社の形態をとっていますから、算出する部門だけ法人格を別にして、自主規制機関と同じような形で独立させるという余地はあると思うんですけれども、いずれにせよ現状の算出体制のままでは済まなくなるんじゃないかなということはあって、その点の検討がかなり必要かなと思います。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、三瓶委員、翁委員の順で、三瓶委員、どうぞ。

【三瓶委員】
 ありがとうございます。6ページ目のグロース市場への機関投資家の参入についてというところですが、先ほど経産省からお話があった、ベンチャーとのつながりというところも含めて考えると、この区分については、株主数基準というのを極めて緩和するということが大事だと思います。ベンチャー企業がプライベートの市場から上場してくるときに、通常は、かなり限られた数の投資家がいます。株を持ち続けて上場する投資家もいますし、または売却する投資家もいますけれども、上場時点で、早目に入ろうとする機関投資家というのはそんなに多くありません。機関投資家を呼び込みたいということであれば、現在、マザーズへの上場には株主数が200人以上という基準があると思いますけれども、この200人に行き渡るようにと、ある決まった総額を割っていくと、一つ一つの額が小さくなるわけですね。そこで、例えばこの200という基準を取っ払ってしまえば、それなりの大口の機関投資家が、意味のある金額を投資できる。
 
 ですから、ベンチャーとのつながりも考えた上で、グロース市場に機関投資家をうまく誘導するには、株主数基準を取っ払うか、著しく緩和するというのが考えられます。
もう1点、インデックスのほうですけれども、連続性とか、指数継続性の観点というのが資料中に何回か出てきます。それが一定程度大事なのはわかりますが、これまでも申し上げましたけれども、例えば、海外でのインデックス投資というのがちゃんと意味があるものになっているのは、そのインデックスがちゃんと厳選されているからです。前も言いましたけれども、S&P500などは指数が出来てから現在までで160倍になっている。他方、土台となっているNYSEのコンポジットというものは37倍です。37倍も立派かもしれませんけれども、そのぐらい差があるということからすると、日本のTOPIXは、これまでの実績では著しく劣後しています。
 
 ですから、その劣後しているものの連続性というと、劣後を引っ張ることにもなるので、できる範囲でより良いものに改善するということをやっていくべきではないかと思います。

 【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、翁委員、どうぞ。
 
【翁委員】
 スタンダード市場に関しましては、プライムとの比較でいくと、あたかもあまりガバナンスをきちんとしなくてもよいような印象があるので、それを払拭していただきたいと思います。ガバナンスもできるだけ引き上げていくんだというような、そういった方向性を示していくことが大事ではないかと思っております。

 それから、グロース市場について、概念は賛成でございますし、こちらに書いてあるように、時価総額を高くしてから上場するという考え方もあると思いますが、ベンチャーにとって最もアクセスしやすい市場であるということを維持してもいいのではないかと思っております。ただ、やはり前から私も何度か申し上げましたが、機関投資家が入れるようにさまざまなルールとか、そういったものを見直していくということがとても大事だと思っております。また、より赤字の企業が上場しやすいようにしていくということもとても大事でありますが、仮にそうであれば、開示の条件だとか、個人投資家の方も企業を良く見きわめられるような、何らかの工夫をしていくということも大事なのではないかなと思っております。
インデックスについて、当面は指数の継続性の観点から、あまり大きな激変にならないという形でスタートするということですが、範囲については市場区分と切り離したうえ、スタンダードからもインデックスに選ばれるということもあるのかもしれないと思いますが、日本を代表する指数であるということであれば、ガバナンスの観点が全く入っていないというのもどうなのかなとも思います。資料には特に書かれていないのですが、そういったところも当然見ていくということが必要なんじゃないかと思っておりますし、先ほど三瓶委員からもご指摘あったんですが、ここは銘柄の入れ替えがあるということによって、より企業価値の向上にも結びつけていくということが重要だと思っておりますので、そういった点も少し工夫する余地がないか、ご検討いただきたいと思います。

 あと、私も池尾先生がおっしゃった、インデックスを算出するうえでの独立性とかプロセスの公平性というのは非常に重要ですので、そこについてはきちんと議論する必要があるかと思っております。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 池尾先生、どうぞ。
 
【池尾委員】
 グロース市場について、1点意見を述べたいと思います。

 討議資料の6ページにありますように、上場基準に関しては、現状の基準を維持するということでいいと思います。上場基準自体を引き上げることはあまり考えなくていいと思いますが、何らかの形で、もっと市場規律が強まることは必要だと思っています。
基準としては時価総額10億円で上場できるとしても、数十億円ぐらいの時価総額で上場しようとしたときに、マーケットからどうしてそんな段階で上場するんだということを厳しく問われるというか、上場をアドバイスする証券会社もそういうことを奨励すると後で非難を受けるというのは言い過ぎかもしれませんけれども、そういった市場慣行などで、例えば時価総額300億円ぐらいになってから初めて上場するのが相場としてはどうかと。

 それよりも早い段階、より規模が小さな段階で上場するとしたら、それはどういう理由があるか、どういう合理性があるのかというようなことを厳しく問われる、そういう市場規律が働くような慣行を形成する努力を、具体的にどういうふうに取り組めばいいか、すぐにアイデアはないですけれども、そういう取り組みをすべきだというふうに思っていますので、基準そのもので縛るというふうなことは避け、世界で一番上場しやすいという基準を一応維持することでいいんじゃないのかというのが、私の個人的な意見です。
 
【神田座長】
どうもありがとうございました。

他に、後半部分についてご意見ございませんでしょうか。呉村課長、どうぞ。
 
【呉村オブザーバー】
 後半部分で、グロース市場とインデックスについて少しコメントをさせていただければと思います。

 私ども経産省からも意見を言わせていただいた時にも申し上げましたが、赤字企業、特にバイオベンチャーを含めた先行投資型企業について、事業性の審査の難易度が非常に高く、上場しにくいという指摘がありますので、いわゆるプライム市場だけではなく、グロース市場においても、こうした先行投資型企業についての上場審査のあり方について、引き続き議論をしていただければと思っております。当然、先ほど池尾先生がおっしゃったような市場規律が前提だとは思いますが、そういった先行投資型企業の上場審査のあり方についても議論をすべきではないかと思っております。

 6ページ目に記載のあるように、グロース市場に機関投資家が入ってくれば、ベンチャー企業がガバナンスを含めてより大きくなっていくという観点で、非常に好ましいのではないかと思っています。さらに言うと、企業がプライベートのまま企業価値をより大きくしてから上場を行う場合には、上場時に長期的視点の機関投資家に対する配分が現状より大きくなるような設計などの長期的視点の機関投資家がより入ってくるような市場設計ができるのであれば、企業がスモールIPOではなく大きく成長してから上場することを促し、良いのではないかと思ってございます。

 インデックスについて、これは資料の7ページに、プライム、スタンダードから選出すると書かれてございますが、先ほども申し上げたように、機関投資家がグロース市場に入ってくることや各市場のコンセプトを踏まえれば、グロース市場もインデックスの選定対象から排除すべきではないと思っております。それから、算出基準のところに、着眼点ということで4つ書かれてございますが、これは三瓶委員からのご指摘にもあったことで、この市場区分のコンセプトの中にも記載されてございますが、対象銘柄を入れ替えることによって、企業が持続的な価値向上の動機付けとなるようなインデックスとするというのが重要な着眼点ではないかと思いますので、ぜひそういう観点も含めて設計をしていただければと思います。
最後の着眼点のところで、連続性の確保ということも重要だとは思いますが、ただ、あまり連続性の確保だけを強調し過ぎますと、全く同じものができてしまうということだと思います。そのため、段階的に移行することで連続性を確保するというような仕組みや仕掛け、経過措置が大事なのではないかと思います。以上でございます。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 前半、後半含めて、さらに追加でご意見とかございませんでしょうか。

 松山委員、どうぞ。
 
【松山委員】
 資料6ページのところですけれども、グロース市場への機関投資家の参入について、先ほど三瓶委員からもご意見ありましたけれども、これについては是非いろいろな方策を講じていただきたいと思います。経団連のスタートアップ政策タスクフォースにおきましては、グロース市場において成長ポテンシャルの高い企業を主要銘柄とするインデックスの創設なども提案されているところでございまして、是非、資金が集まってくるように、施策をいろいろとっていただきたいと思います。

 それから、最後に退出基準の議論がありましたけれども、投資家の換金機会の確保の観点からいえば、いわゆる監理ポスト、整理ポストに置く期間を今以上に長くすることなども考えていかなければいけない問題と思っております。

 以上です。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、オブザーバーの東京証券取引所のほうから、全体を通じてもしご意見、ご感想があれば伺いたいと思いますが、青さん、いかがでしょうか。

【青オブザーバー】
 ご発言のタイミングをいただきありがとうございます。これまで非常に精力的にいろいろなご意見を頂戴しまして、私どもの今後の市場設計に当たっても大変参考になります。引き続きご意見を頂戴しながら、取りまとめに向けてうまく進んでいくことを期待する次第でございます。

 先ほどの、市場の数についてですが、規制や、インデックスの見直しについて考えますと、市場区分の見直しにより実現しやすいことと、インデックスの見直しにより実現しやすいことというような、それぞれの性格があるかと思います。そうした観点を踏まえながら、市場の構造の全体として良い形に持っていければよいと感じています。また、市場構造の見直しにあたっては、理想をどう求めていくかということと、現実をどう踏まえていくのかという、この2つをうまく両立させながら、最終的によりよい方向を目指すことが非常に大事だと考えております。
 
 そのため、現実も考えながら、ただ、方向としてはしっかりと前を向いて進んでいくという形の取りまとめとなると大変いいのではないかとの印象を受けております。
例えば、インデックスの見直しにより、企業のマインドが上がるということが当然ございますし、市場の区分の見直しにより、マインドが上がるということもございます。その両方をうまくにらみながら、今後のご検討を進めていただければ幸いに存じます。

 また、私どもとしましては、企業の意思が非常に大事になってくると考えています。仮に、プライムとスタンダードとを分ける場合には、各企業が、しっかりと、どういうことがプライムでは求められるのか、あるいはスタンダードはどういう場所なのかということを認識されたうえで、選択していただくことが非常に重要だと考えてございます。上場会社様に、しっかりとご理解いただき、よりよい選択をしていただけるよう意識をしながら取り組んでまいりたいと考える次第でございます。

 インデックスに関しましては、これまでTOPIXは市場一部とイコールであることを前提としており、投資家の方々のニーズにも十分お応えできていない部分もあったかと存じます。今後も、連続性を当然考えながら、十分に利用者のニーズを踏まえた議論をしていく必要があると考えております。ガバナンスの体制等々についても、利用者のニーズを踏まえてしっかり対応していかれるよう、いいガバナンスのプロセスをつくっていくことが大事であると考えております。

 今後、そういうこともご認識いただきながら、さらにご議論を進めていただければと考える次第でございます。引き続きよろしくお願いいたします。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 本日はまだ時間に余裕があるのですが、大体このあたりかなとも感じております。追加でご発言ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 
 それでは、本日はいつもより遅い時間に始めておりますので、このあたりとさせていただこうかと思います。
 方向性が見えてきたかと言われると、見えつつあるなという感じでありますが、本日も大変貴重なご指摘や建設的なご議論をたくさんいただきまして、本当にありがとうございました。様々なご意見をいただいたまま残ったという論点もあるかとは思ういますけれども、事務局のほうでさらに整理、調整をしていただきまして、次回は、できましたら報告書の取りまとめのご 審議をお願いできないかと考えております。
 
 それでは、最後に、事務局からお知らせがありましたらお願いいたします。
 
【池田監理官】  
 次回の日程でございますけれども、前回同様ではございますが、皆様のご都合を踏まえた上で、後日事務局よりご案内させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 
―― 了 ――

 

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