金融審議会「市場構造専門グループ」(第6回) 議事録

 
1.日時:令和元年12月25日(水)9時30分~11時00分
2.場所:中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

 

 

【神田座長】
 定刻になりましたので始めさせていただきます。
ただ今から、金融審議会市場構造専門グループ第6回目の会合を開催させていただきます。皆様方にはいつも大変お忙しいところ、また本日は朝早くからご参集いただきましてまことにありがとうございます。

本日の議事でございますが、これまでの皆様方のご議論を踏まえた報告書の案につきまして、この専門グループとしての取りまとめに向けた議論を行い、できれば取りまとめをさせていただきたいと考えております。
そこで、まず、お手元にお配りしている報告書(案)について、事務局からご説明をお願いいたします。

【池田監理官】
 それではご説明させていただきます。
お手元の「金融審議会 市場ワーキング・グループ 市場構造専門グループ報告書(案) -令和時代における企業と投資家のための新たな市場に向けて-」という資料をご覧いただければと存じます。
表紙をおめくりいただきますと、目次と、このグループのメンバー名簿、それからこれまでヒアリングをさせていただきました参考人の方々のリストを挙げさせていただいておりまして、次の「はじめに」から報告書(案)の内容が始まっております。

 「はじめに」のところですが、東証と大証が統合した後もそれぞれ基本的な市場区分を維持してきたところ、それを改善するために、昨年11月から東証の懇談会において検討が行われ、3月に論点整理が取りまとめられました。その後、本件は我が国市場そのものの在り方に直結するということで、金融審議会においても議論を深めることとなりまして、今般の検討に至っているという経緯を整理させていただいております。

 おめくりいただきまして、2ページ目から具体的な内容の話が始まってまいります。
この市場構造の見直しの目的でございますが、現在の市場構造につきましては様々な課題が指摘されておりまして、1つ目として、現在の5つの市場区分では、それぞれの市場区分のコンセプトが曖昧であって、投資家にとって利便性が低くなっているという点。2つ目が、市場 第一部へのステップアップ基準など、上場会社の持続的な企業価値向上に向けた動機づけの点で、必ずしも期待された役割を果たしていないのではないかという点。
それから3つ目、③のところですが、TOPIXがインデックス投資で使われてきているわけですけれども、現在のTOPIXには時価総額や流動性の低い銘柄が含まれていて、使い勝手が悪くなっているという点。

 こうした課題について、コンセプトの明確化、株価指数を改定すること等によって、上場会社、ベンチャー企業の持続的な成長と企業価値向上を動機付け、また、内外の投資家にとって魅力あふれる市場にする。そして、それにより、企業価値の向上と収益の果実が家計を含む我が国全体にわたっていくことが、この議論の目的であると整理させていただいております。

 1枚おめくりいただきまして、具体的な市場区分の話です。この点は前回、論点整理でご議論いただいたところでありますが、プライム市場、スタンダード市場、それからグロース市場と、いずれも仮称ではございますが、3つの市場区分に再編することが適当ではないかということ。また、既存の上場企業には、それぞれの市場のコンセプトに照らして、自社の理念やガバナンスの水準、株主との対話へのコミットメントなどを踏まえて、適切と考える市場区分を主体的に選択いただくようにするということです。

 プライム市場の話から始まっておりますが、コンセプトについては前回の論点整理でもお示し申し上げたとおり、機関投資家等との建設的な対話を中心に据えて、中長期的な企業価値向上にコミットする企業ということですので、機関投資家の対象になり得る規模の時価総額や流動性、高い水準のガバナンスを備えているような企業を念頭に置いた市場でありまして、かつ、そうした企業に投資する投資家のための市場ということです。

 上場基準につきましては、時価総額だけでなく、流動性やガバナンスも組み合わせることが重要ではないかということで、具体的な時価総額基準の説明については3ページ目の下部から始まっておりますが、この時価総額についても、市場における流動性に着目する観点から、単純な時価総額だけではなく、流通時価総額を基準とすることが適当ではないかとさせていただいています。かつ、今回の機会に、この流通株式の定義についても、見直しを検討することが考えられるのではないかということでございます。

 具体的な基準でございますけれども、現在、この市場一部に直接上場する際の時価総額を踏まえつつ、新たな定義による、流通時価総額をめどに検討することが考えられると書かせていただいておりますが、脚注の3のところをご覧いただければと思います。
今申し上げた、市場一部へ直接上場する際の時価総額の基準は現在250億円となっておりまして、また、その上場時の流通株式比率としては、ページが跨って恐縮ですが、35%以上となっております。これらを踏まえると、新たな定義による流通時価総額の基準は、100億円をめどに検討することが考えられると整理させていただいております。

 また、4ページ目の冒頭のところですが、現在、マザーズ市場を経由して市場一部へ上場する場合、直接上場する場合よりも、緩和された時価総額基準となっていますが、これについても、今申し上げた新たな基準に一本化することが適当と考えられると記載させていただいております。
脚注4のところですが、現在、マザーズ市場に上場しようとしている企業の中には、現行の緩和された基準を念頭に取り組んでおられる企業もありまして、こうした企業については、所要の規則改正までに申請を行った社に限り、この緩和された時価総額基準に基づく上場を認めていくことが考えられると、経過措置的なものを書かせていただいています。
 ただし、所要の規則改正について、この緩和された基準を強化する部分は全体の規則改正に先行して実施することも考えられます。

 それから、本文にお戻りいただきまして、市場一部から市場二部へ移行する基準でございます。これは現在時価総額20億円未満となっておりますが、ここが市場一部へ上場する際の基準と非 対照になっていて、かつ、非常に低い基準になっていることで、市場の新陳代謝を妨げているのではないかということでございます。このことから、企業価値向上の動機づけのために、新たにプライム市場に上場する企業については、プライム市場に上場する際に求められる基準を、この移行を求める基準としても、一定の所要の経過期間を設けた上でではございますが、求めていくことが考えられると整理させていただいております。
 また、なお書きのところですが、決算期末時点で債務超過となった場合に、一部から二部への移行、あるいは2期連続債務超過の場合は上場廃止となるわけですが、この点について機械的・画一的な運用とならないよう、当該基準の見直しを検討することが考えられるということも記載させていただいております。

 次に流動性の基準のところですけれども、プライム市場のコンセプトとして、建設的な対話を企業価値向上の中心に据えるということでありますので、安定株主によって大部分を占められているような株主構成よりも、流通株式比率が高いほうが、経営に対するガバナンスが働きやすいだろうということが言えるわけです。
 しかしながら、現在、市場一部に上場する際に、流通株式の比率として、上場株式等35%以上が求められているわけですが、実態を見ますと、上場後、比率が大きく低下したまま上場を維持している企業もありまして、今後は、安定株主が特別決議の可決のために必要な水準を占めることのない水準、流通株式比率の水準を維持していただくことが適当ではないかということを書かせていただいております。また、これにあわせ、流動性については、新たに売買高・売買代金に着目した基準の必要性についても検討が考えられるのではないかということでございます。

 次に、ガバナンスについてですが、プライム市場に上場する企業については、それにふさわしいガバナンスの水準を求めていく必要があるということで、この点につきましては、今後、コーポレートガバナンス・コードなどの改訂等を重ねるごとに、他の市場と比較して一段高い水準のガバナンスを求めていくことなどで、ガバナンスを向上させていくということでございます。
プライム市場に上場する企業については、プライム市場を選んだという選択を踏まえて、それにふさわしいコンプライアンスの状況や、エクスプレインの質を達成していくことが強く期待されると書かせていただいております。

 それから収益基準について、赤字上場の論点でございますけれども、これまでのヒアリングでもご意見がございましたが、ネット系の企業などでは、初期段階で広告、人材獲得、研究開発などによって、収益上は赤字となるものの、長期的に見ると、大きな企業価値の向上を図っているという企業もあるということでございますので、こうした事例について、直近の決算が赤字の場合でも、プライム市場への上場を認めることができるよう基準を見直すことが適当ということでございます。
ただ、その場合も、時価総額、売り上げや開示などの条件を加重することが考えられるのではないかということでございます。

 それから経過措置のところですけれども、現在の市場一部に上場している企業において、市場第一部のブランド力というものが、ある種、企業価値に反映されているのではないかということは、ヒアリングを通じて確認されたところかと認識しております。
その点、時価総額につきましては、企業努力ですぐに伸ばすというのはなかなか難しいと思っておりますが、他方で、プライム市場のコンセプトに照らし、ガバナンスを強化することで企業価値の向上につなげていくという観点は重要かと思いますので、市場第一部に既に上場されている企業については、上場・退出基準である新たな時価総額を満たしていないとしても、プライム市場を選びたいという場合には、より高いガバナンスについてのコミットメントを行う限り、当分の間、プライム市場への上場・上場維持を基本的に認めることが適当ではないかということでございます。

 また、流通株式比率の方も強化していくということですが、この点は企業努力により達成できる可能性は比較的高いと考えておりまして、このため、現在流通株式比率に関する基準を満たしてない市場一部の上場企業に関して、プライム市場の選択を希望する場合には、流通株式比率向上に向けた取り組みを策定、あるいはそれを開示するということによりまして、今後、流通株式比率 の向上に向けたコミットメントを行う 限りにおいて、引き続き上場・上場維持を認めていくということが考えられると書かせていただいております。

 次にスタンダード市場ですが、市場のコンセプトにつきましては、これも前回の論点整理のとおりでございますが、公開された市場における投資対象として、一定の時価総額、流動性、ガバナンスの水準を備えつつ、企業価値向上にコミットする企業のための市場であり、その企業に投資する投資家のための市場でもあるということでございます。
このスタンダード市場は、主に市場 第二部、JASDAQスタンダードに属する企業が移行していくものと考えておりますが、現在の市場第一部に上場している企業が、コンセプトに照らしてスタンダード市場を選ぶということも想定されるのではないかということでございます。
具体的な上場基準について、スタンダード市場の時価総額基準ですけれども、具体的な尺度としましては、プライム市場と同様に、流通時価総額を基準とするということでございます。その際の水準としては、現在の市場第二部への上場基準をめどに検討するということでございます。
また、ガバナンスにつきまして、現在の市場第二部の上場企業には、コーポレートガバナンス・コードの全原則を、JASDAQスタンダードの企業には、コードの基本原則のみの適用となっておりますが、今後のスタンダード市場につきましては、このコーポレートガバナンス・コードの全原則を適用することが考えられるのではないかということでございます。

 7ページ目、グロース市場のところですが、コンセプトにつきましては、これも論点整理のとおりでございますけれども 、高い成長可能性を実現するための事業計画、その進捗の適時・適切な開示が行われて、一定の市場評価が得られるような企業であり、それに投資する投資家のための市場であるということでございます。
グロース市場は、現在のマザーズ、それからJASDAQグロースの上場企業が移行していくことが想定されるのではないかということでございます。
上場基準につきまして、時価総額10億円で上場することが可能となっておるわけですが、この点については、基準を引き上げるべきではないかという意見もある一方で、そうすべきではないという意見も色々とある中で、引き続きベンチャー企業にとって、世界で最も投資資金にアクセスしやすい市場であるべく、時価総額などの現状の基準は原則として維持することが適当ではないかと整理させていただいております。

 ただ、その上でも、ベンチャー企業の中から、ユニコーン企業のような一定の規模まで成長した後に上場を目指す企業というのも現れておりますので、企業の成長段階の適切なタイミングで、上場が選択される市場慣行が醸成されていくことが期待されるということでございます。
これに関連した話にもなりますが、機関投資家の参入促進のところですけれども、マザーズ市場は個人投資家中心の市場になっているわけですが、機関投資家の参入を進めるための方策として、例えばということで、機関投資家の投資を呼び込んでいるマザーズ上場企業の好事例集の策定でありますとか、あるいは、上場時の株主数基準の見直しでありますとか、あるいは上場時の投資家への配分のあり方などを含めて、幅広い観点から今後検討することが考えられるということです。これらを通じて、先ほど申し上げたような市場慣行が醸成されていくことも、期待されるのではないかということでございます。

 おめくりいただきまして8ページ、インデックスについてでございますが、現在、市場第一部とTOPIXは同一の範囲でございますが、それぞれ役割が変わってきていますので、今後は、市場区分とTOPIXの範囲を切り離すことが適当ということでございます。
選定の基準でございますけれども、機関投資家にとって使い勝手のよい、また選定される企業にとっても納得感のあるインデックスを目指す必要があるということで、TOPIXについて既に、年金運用や投資信託で数多く用いられておりますので、この点からしても、連続性の確保に配慮しつつ、より流動性を重視する方向で銘柄選定することが適当ではないかということであります。

 具体的には、現在TOPIXの算出に用いられております浮動株の定義を見直して、新たな浮動株の定義を用いて計算される流通時価総額というものを基準とするということでございますが、その際の流通時価総額の水準につきましては、新たにプライム市場に上場する際の基準となる流通時価総額をめどとする方向で検討することが考えられるということでございます。これは脚注11になりますが、先ほど3ページ目の脚注の3のところでご説明申し上げましたように、ここでも流通時価総額100億円をめどとする方向で検討することが考えられるのではないかということでございます。

 なお書きのところになりますが、選定対象数に上限を設けて定期的に入れかえを行うでありますとか、あるいは選定に当たってガバナンスや環境など、ESGの要素を加味してはどうかとのご意見もいただいておりますけれども、TOPIXの連続性を確保するという点もありますので、TOPIXとは別の指数開発の実現可能性を含めて、引き続き検討することが考えられるということではないかと整理いたしております。
こうしたTOPIXの変更に当たりまして、どの市場から銘柄を選ぶのかということもあるわけですが、これは主にプライム市場から選定されることが想定されておりますけれども、スタンダード市場などからも選定できるようになるということではないかということでございます。
また、市場区分とTOPIXの対象を切り離すことにあわせまして、東証におきまして利益相反の懸念を排除するために、指標算出に当たっての独立性あるいはプロセスの公平性を確保するための方策について検討を行うことが適当ではないかということでございます。

 TOPIXに関する経過措置のところでございますけれども、今後TOPIXの内容を変更していくに当たって、マーケットに過度な影響を与えないよう、連続性の確保に十分留意しつつ、十分な移行期間を設けて事前周知など最大限の配慮を行う必要があるということです。例えばということで、過去にTOPIXを浮動株指数に移行させた事例がございますので、こうしたものを参考にしつつ、見直しに当たってはどうしても外れる銘柄というのも出てくるわけですけれども、そうした銘柄を一定の時期に、機械的にばっさりと対象から外すというのではなくて、今回の改革のパッケージや、市場区分・インデックスの変更開始の時期から徐々にTOPIXへの組入比率を低下させるということ、段階的にパーセンテージを低下させていくということを、数年程度かけて慎重に進めていくことが適当でないかということでございます。

 一方で、現在のTOPIXを引き続き使いたいという方もいらっしゃるかと思いますので、もちろん新たに変更されたTOPIXが使われることを期待するわけですけれども、当分の間は経過措置として、古いTOPIXも並行して算出していくということではないかということをあわせて、ここに書かせていただいております。
また、なお書きのところでございますけども、先物取引市場などについても、このTOPIXの見直しとあわせて見直すことが考えられるということでございます。

 おめくりいただきまして10ページのところ、その他でございます。
退出基準と受け皿市場というところですけれども、市場二部、あるいはマザーズ市場から上場廃止になる時価総額の基準というものがあるわけですが、企業価値向上の動機づけという点ではこの退出基準を引き上げることも考えられるわけですけれども、厳格化する場合には、投資家の換金機会の確保ということで、あわせて受け皿市場の整備についても検討が必要だということになりますので、この部分の退出基準の強化の検討については、今まさに申し上げた受け皿市場の整備とあわせて、今後検討する必要があると整理させていただいております。

 それから適用時期でございますけれども、市場構造の見直しに関しましては、今後東証の各種規定の改正ということが行われていくわけですけれども、企業、あるいは市場関係者の皆様に周知期間を十分に設けた上で、できるものは速やかに実施していくということでございます。
具体的には、今後、コーポレートガバナンス・コードの改訂が予定されているということでありますが、その改訂の姿が明らかになった後に、各企業において、どの市場に上場するかを選んでいただくということになるかと思いますので、コードの姿が明らかになるのが2021年頃だとすると、それを見ていただいた後、2022年上半期をめどに、この市場区分、TOPIXの変更を開始するということが想定されるのではないかと整理させていただいております。

 1枚おめくりいただきまして、11ページ目になります。終わりにということでございまして、これまでご説明したことが検討結果ということではございますが、まだ十分に議論を尽くすことができなかったテーマというのもございます。
先ほど申し上げた退出基準と受け皿市場に関する論点などもあろうかと思いますし、また、明確に今後の課題とされた検討項目もあります。この点、東証を中心に、市場に求められる役割 が十分に果たされるよう、検討が進められることを期待するということでございます。

 最後、締めでございますけれども、こうした提言に応じた対応策が実現されることで、冒頭にも申し上げましたが、内外の投資家にとって魅力あふれる市場となり、市場の公正性・活力が確保され、企業・経済が持続的に成長して、国民経済の発展に寄与することを期待したいということで、報告書を締めさせていただいてございます。
 以上が報告書(案)のご説明でございます。ありがとうございました。

【神田座長】
どうもありがとうございました。
ただ今ご説明いただきました報告書の案は、これまでの皆様方による議論を踏まえて、事務局のほうで整理をしていただいたものです。
本日はこの報告書(案)についてご議論をお願いし、できましたら取りまとめを目指させていただきたいと思います。
それでは、委員の皆様方からご質問・ご意見があれば、どの点についてでも、また、どなたからでも結構ですので、ご発言いただければありがたく存じます。いかがでしょうか。
井口委員、どうぞ。
それから池尾先生、よろしくお願いします。

【井口委員】
 報告書案の作成、それからご説明どうもありがとうございました。
全体の方向性には賛同いたしますが、資料の内容につきまして、幾つかコメントさせていただければと思います。

 まず、3ページ目の市場区分についてです。
こちらは前回も議論になりましたが、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに市場区分を再編し、上場企業がガバナンス水準などへのコミットメントを踏まえて市場を選択するという方向性には賛同いたします。
ただ、前回も少し議論になりましたが、市場を区分する、特に、プライム市場とスタンダード市場を区分することにおいては、プライム市場の上場基準がどうあるかということは重要になると思っています。
そのプライム市場の上場基準につきましては、全体の方向性として、事務局からご説明がありました時価総額とガバナンスを主要な項目にするということに賛同いたします。

 一点だけコメントですが、4ページの上のほうに書いてあります、債務超過になった場合というところです。ここは、現状については先ほどご説明がありましたように、二期連続で債務超過となった場合は上場廃止となるということだと認識しております。
大体、債務超過になった場合というのは、監査報告書などで事業の継続性に疑義が生じるということとなって、それで機関投資家も投資対象から外すというケースが多いのではないでしょうか。したがって、債務超過という事象は投資家からすると非常に重い事象となっているということで、こうした上場基準を定めていらっしゃるのだと思います。
特に、後段にありますように、プライム市場というのはTOPIXの投資対象にもなって、機関投資家だけではなくて、投資信託商品を通じて個人のお金もかなり入るということで、ここは重要なポイントと思っています。
ただ、ここでの意味というのは、機械的・画一的な運用と書かれておりますが、永続的に債務超過の会社を入れることではないと理解していますので、例えば、債務超過の場合でも早期に回復できると判断できる場合、といったような注意書きなり何かしておく必要があるのではないかと思っております。

 次に、4ページから5ページに記載のあるガバナンス水準についてです。
市場を区分するうえではクオリティー面が非常に大事と思っていまして、そういう中でも、市場参加者から強い期待のあるガバナンス基準は重要と思っております。ですから、ここでガバナンスということを強調されたことについて、事務局に感謝申し上げます。
このガバナンスの具体的な内容については、前回、事務局からご説明がありましたように、コーポレートガバナンス・コードの全体的な検討の中で定められていくというお話がありましたので、ここでは詳細な議論をいたしませんが、ただ、この専門グループの1回目から一貫して申し上げていますように、ガバナンス・コードの改訂を踏まえた上で、ガバナンスのうえで特に重要な、取締役会の独立性や、あるいは英文有価証券報告書の策定などの基準が、上場基準に反映されることを強く希望しております。

 それから、5ページの収益基準のところです。
ご指摘のように、先行投資型のネット系企業の中にはサブスクリプションモデルなども出てきておりまして、会計上は直近赤字の会社でも、将来かなり有望な会社もあるということで、この方向性には賛同をします。
ただ、いつまでも赤字だと倒産や経営破綻となりますので、そのあたりについては、この資料にも書いてありますように、時価総額などの条件を加重するということが非常に重要ではないかと思っております。

 また、5ページのその下にある経過措置についてです。
繰り返しになりますが、この市場区分においては、クオリティー面というのが非常に重要になると思っていますので、ここの下から2行目に書いてあります、より高いガバナンスについてのコミットメントを行い、実行できる企業のみがプライム市場に残ることができるということを強調することは非常に重要ではないかと思います。
あと、流通時価総額基準と異なって、こちらについては経過措置がないと理解しておりますので、ご説明の冒頭にありました、持続的な企業価値向上を動機づけ、資本市場全体を向上させるという目的の達成が、このクオリティー面の強調により実現される、と思っております。

 6ページのスタンダード市場につきまして、コーポレートガバナンス・コードの全原則が適用されるということに同意いたします。

 7ページ目の③のグロース市場の機関投資家の参入促進について、これは前回も申し上げましたが、インデックスに直接入れてしまうという発想ではなく、ここに記載いただいているように、企業のIR活動の改善などにより、企業価値向上に沿った形で機関投資家も入っていけるような施策を、ご検討 いただければと思います。

次に、8ページのインデックスについてです。
こちらは、第2回目に参考人として参加された投資関係者もおっしゃっていましたように、TOPIXの現状の重要度、実務における重要度というのを考えますと、報告書にもご記載のあるとおり、連続性を確保しつつ、より流動性を重視するということが望ましいと思います。
こちらも1点だけですが、TOPIXの対象範囲についてです。
TOPIXの対象企業については、主にプライム市場から選定されることが想定されるが、スタンダード市場等からも選定できるようにするというような記述があります。
この「等」が、先ほども少し申し上げましたが、グロース市場のことだとすると、投資家保護の観点からかなり懸念があるのではないかと思います。
今までの議論にありましたように、例えばグロース市場においては、コーポレートガバナンス・コードの全原則を適用しないということで、明らかにクオリティー面での基準に差があるということです。先ほども申し上げましたように、そうした銘柄がTOPIXに入るとなると、機関投資家だけではなくて、一般個人の資金も投資信託商品を通じて投資されるということだと思います。ですから、ここは非常に注意深く検討する必要があるのではないかと思います。
例えば、グロース市場からTOPIXに入るとしても、その際はスタンダード市場以上のクオリティー基準を満たすとか、そのように何か補足するような基準というのが必要になってくるのではないかと思います。

最後、10ページの適用時期については、これまでの議論からしますと、コーポレートガバナンス・コードを含めて、そういう基準や考え方というのが整理された上で上場基準に反映していくという話もありましたので、この適用時期等については適切ではないかと思っております。
長くなりましたが以上でございます。

【神田座長】
どうもありがとうございました。
それでは池尾先生、どうぞ。

【池尾委員】
 どうもありがとうございます。
この報告書(案)は非常に慎重に書かれているので、基本的に内容に関して、強い異議はありませんが、2点だけ気にかかることについて述べさせていただきたいと思います。

 1点目は、上場基準の話です。3ページの真ん中にありますが、従来から私も、時価総額や流動性のような定量的に測定可能な基準だけではなくて、ガバナンスに代表される定性的な要素も考慮すべきだということを申し上げてきたので、他の基準と合わせることが重要であると記載していただいていることについてはこの通りだということで賛同します。
 ただ、悩ましいこともあるという話もさせていただいていたと思いますが、定性的な基準としてガバナンスを考えるとした際、この企業はきちんとしたガバナンスをしているとか、この企業のガバナンスの質は低いとか高いとか、そういうことを取引所が判断できるのかという問題、あるいは取引所が判断することが適切なのかという問題があると思います。
ガバナンスが重要だという話と、上場基準として実際どう運用するかという、インプリメンテーションのレベルの話というのが別々にあると思っていて、ガバナンスの重要性は
誰も否定しないと思うのですが、取引所において、上場規則として何か強い基準を定めて、それを取引所が判断するというのが、私にはどうも良いことではないような気がしているということです。

 最近、大学改革で国語と英語から記述式問題を出題することを延期するという話がありましたが、思考力や判断力を測るためには記述式問題を出すのがいいに決まっているわけですよね。ただ、記述式問題が良いということと、50万人の規模の試験で記述式問題を公平かつ中立的に実施できるかというのは別の問題なわけでありまして、それと似たように、市場区分を考える際にガバナンスが重要だという話と、取引所がガバナンスの良し悪しを判断していくことが妥当なのかというのは、問題として分ける必要があると思っています。個人的には、後者は妥当ではないと思っていて、取引所としては、コーポレートガバナンス・コードを各上場企業が受け入れ、コンプライ・オア・エクスプレインという形で真摯に対応しているかどうかチェックするというレベルのことができるのだと思っています。

 それから、グロース市場のところでは、私の申し上げたことも含めて反映していただき 、上場基準等に「市場慣行」という言葉が出てきておりますが、ガバナンスに関しても、当然、プライム市場に上場する企業には高い水準を求めたいのですけれども、それを上場基準として強制していくというのは、インプリメンテーションのあり方として違うのではないかということで、そこはある種の市場慣行的なものとして求めていくのが適切ではないかと思います。
繰り返しでくどいですが、取引所としては、上場企業がコーポレートガバナンス・コードを受け入れて、それに適切に対応しているかどうかだけをチェックするというのが妥当ではないかと思っております。それが1点目です。

 2点目は、市場構造の改革については、これからも色々と検討しなければいけないことが残されているわけですね。その際に、その検討を誰がどこでするのかという話が当然問題になると思うのですが、報告書の10ページを見ると、東京証券取引所を中心に検討が進められることを期待するとなっています。これはこれで、おかしくはないと思うのですが、ただ1点、8ページの最後から9ページの1行目にかけての部分ですが、市場区分とTOPIXを切り離した場合に、東京証券取引所として、市場運営者の立場と指標算出者の立場の間に利益相反が発生する懸念があるということで、指標算出にあたっては、独立性や、プロセスの公平性の確保が非常に重要になるという話ですよね。それを東証中心に検討するというのは、果たしてどうでしょうか。利益相反の可能性があると言っていることを、みずから利益相反の懸念を払拭するためにいろいろと考えるというのは、それはそれで当然のことですが、ただ、ここについては監督機関である金融庁等の関与がもっと積極的になされてしかるべきだと思います。

 あと、10ページに記載のある「受け皿市場」についても、東証だけで検討するのは難しいと思いますので、日本証券業協会などと協力することになると思いますが、指標算出機関の独立性、その論点に関しては、繰り返しますが、金融庁の関与が検討作業の際に非常に求められると思います。
以上2点です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
それでは小林会長、どうぞ。

【小林委員】
 全体の構造については全く賛同いたします。ご苦労様でした。
 2、3点、資料に沿ってお話をさせてもらいたいのですが、4ページ目の債務超過のところで、ここは先ほど井口委員からもお話がありましたが、私の知識から言いますと、2期連続で債務超過になると上場廃止という上場規則は日本と韓国のみで、世界にはこういうルールはないと記憶しています。ですから、そういう意味でかなりグローバルスタンダードになるというのは大いに賛成です。例えば、直近2年間で、財務諸表上で瞬間的に債務超過となっても、長い時間軸で考えると当然リカバーするというような会社を、一部から二部に降格させて、また二部から一部に引き上げるという、とんでもない無駄なエネルギーと時間を使っているという事象もございますので、ここは大いに結構な記述だと思っております。

 それと、ガバナンスについては、今後、経産省の方でも検討しているデジタルガバナンスであったり、アーキテクチャーデザインであったりと、未来投資会議や規制改革推進会議でも議論されているとおりですが、この全体的にデジタル化が進む社会において、どういったガバナンスというのが必要になるのだろう、あるいは制度設計をどうしていくんだろうという論点があります。そこが非常に関心を集めている中で、それに対するガイドラインなり将来の方向性なりの記述がないのでいいのだろうかということです。これは、適用時期の2年後までにコーポレートガバナンス・コードが改訂されていく中に包含しているといえばそうなのですけれども、何らかの形で、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション、コーポレートガバナンスのトランスフォーメーションという、そういうあたりを報告書へ記述する必要があるのではないかと感じます。

 それから、グロース市場のガバナンスについてです。経産省の資料をちらっと 見ますと、英国の取引所の規則について、プレミアム市場は英国のコーポレートガバナンス・コードに従えとあります。一方で、スタンダード市場、ハイグロースセグメントは、英国のコーポレートガバナンス・コードまたはQCAコーポレートガバナンス・コード、あるいは各国のコーポレートガバナンス・コードでも適用可能とあります。このように、英国では市場ごとにコーポレートガバナンス・コードの適用について基準が明確になっているのですが、報告書の方では、7ページのグロース市場の上場基準等というところで、コーポレートガバナンスに関してのガイドラインというか、基本的な基準についての記述が何もありませんので、これでいいのだろうかというのは感じます。
以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。
それでは高田委員、どうぞ。

【高田委員】
ご説明いただきましてどうもありがとうございました。
今回の報告書について、全体的な私の見解でございますけれども、今回の市場構造の改革というものが、白地に絵を書くというわけではないということからしますと、現段階での最良の答えをいただいているのではないかなと思います。そういう意味で、報告書の内容に全く違和感はございません。

 ただ、冒頭にご説明があったように、本件は課題の解決に向けた第一歩ということになるのではないかと思います。
また、今後、その制度の運用も含めてどのようにしていくかについて、先ほど池尾委員からも指摘がございましたように、東証の方でそれなりの対応をしていくということでありますけれども、当然のことながら金融庁の方々も含めた一定の関与といいますか、幅広い関係者によって進捗をモニターしていくということは必要ではないかと思っています。
それから、今回の対応は、日本を代表する市場としての成長戦略でもございますので、そういう一つのあり方というか、方向性に向けたインベストメントチェーンの中核として、資産形成を通じた経済の好循環の在り方といったもの を常に考えながら対応していくということが必要ではないかと思います。

 また、海外からも、今回のこの対応が非常に注目されていたということからしますと、そういう意味での広報といいますか、最低限、英文でこれをすぐにまとめて示すといったようなことは重要ではないかと思います。
その上で、幾つか簡単に付言させていただければと思います。
一つは、プライム市場のコンセプトについて、日本を代表する企業群ということでもございますので、そういう中で流動性というものは非常に重要であるというのは論を待たないことだと思います。

 ただ一方で、今回「流通株式」というものを重視した対応ということになるわけでありますけれども、その企業の意図として、一定の株式の保有を行うということも日本の慣行であるということからしますと、そういう点については相応の配慮というものも必要ではないかと思いますので、流通株式の定義については慎重な対応も必要ではないかなと思っている次第でございます。

 それから、グロース市場につきましては、あくまでも成長戦略のエコシステムの中で、市場への機関投資家の参入を促すということをかなり重視されていたわけでありますし、そういう中では今後の課題として、この調査体制といったようなものを市場でどう育成できるかといったところは非常に重要な論点ではないかと、改めて思う次第でございます。

 それからインデックスについては上場区分と範囲を分けるということで、これは非常にいいことだなと思っています。一方で、TOPIXが年金運用やベンチマークにかなり使われていることを考えますと、その連続性というものも、記述があったとおり非常に重要でございますし、また一方で、この指標をみんなに、特にアセットオーナーを中心として活用してもらうということが重要でございますので、その点を含めた幅広い広報体制といいますか、こうしたところは非常に重要になってまいりますので、ここは指標を作った時だけではなく、そのあとの運用においても広報というのが重要ではないかと思います。また、一定の課題を残している点だと思います。

 最後になりますけれども、現在の市場との連続性を重視するといっても、こうした中である程度一定の変化もあるわけでありますが、特にこの退出条件、それから受け皿市場といったところも含め、新陳代謝が非常に重要です。そうなりますと、この退出ということの中で、白か黒かの全く別々の世界というよりは、退出後の流動性の整備を行うというような、ある面でのシームレスな状況をいかに作っていくかというのも重要な点ではないかと思います。
こういった点も、今後、条件整備として検討を続けていくという点は重要ではないかと思っております。
以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
それでは松山委員、どうぞ。

【松山委員】
 報告書(案)の全体的な方向性について、賛成であります。
特に、プライム市場の上場基準において、赤字であっても一定の条件を満たせば上場できるという見直しにも触れられておりまして、新しい上場基準の方向性が示されているのではないかと考えております。
1点だけ申し上げます。6ページの下のほうから7ページにかけてですけれども、スタンダード市場におけるコーポレートガバナンス・コードの適用についてでございます。JASDAQスタンダードの約700社は、現在基本原則のみ適用とされております。「今後はスタンダード市場全体としてコーポレートガバナンス・コードの全原則を適用することが考えられる。」とされておりますけれども、ここはもう少し時間をかけて段階的に、基本原則と原則までとして、補充原則は免除するというような考え方も必要ではないかと考えております。

 といいますのも、私はあまりJASDAQの企業に詳しくはないのですけれども、店頭登録銘柄がJASDAQ市場になって、それが大証になって、今、東証になって、今回スタンダード市場に移ってくるというわけで、企業としては店頭登録の手続をしただけですけれども、気がついたら、東証における三市場区分の一つに入っているということになります。店頭に戻りたくても戻るところがないという状態なのではないかと思います。

 これらの企業のご意見については、今回の検討会で聞く時間がとれなかったわけですけれども、一方では市場からの要請もあると思いますので、そのあたりをもう少し時間をかけて検討してはどうかと思っているわけです。最終的な方向性はガバナンス・コードの適用ということになると思うのですけれども、ここへもう少し緩和的、段階的といいますか、「十分な準備期間を設けた上で」というような記載が考えられないものか。報告書の記載は「考えられる」ですから、もともと緩和的ではありますが、もう少し何か一言入らないかと思っております。

 最後の適用時期のところでは、今後のコーポレートガバナンス・コードの改訂後に、各企業において自社が上場する先として適切と考える市場を選択することも踏まえるということになっていますが、どちらの市場もコードがフル適用となれば、選択の余地があまり無いということになるのではないかというところを懸念いたしました。
以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
それでは三瓶委員どうぞ。

【三瓶委員】
 今回、意見書(案)を取りまとめいただきありがとうございます。
TOPIXを市場第一部と切り離すということは、この会議が始まった当初の議案には無かったと思いますので、それを反映していただきありがとうございます。
主に二点、申し上げたいと思います。

 一点目は、そのTOPIXに関係することです。まず、確認ですけれども、この場は最終的な改革案を結論づける場ではないということ。ここは、今後東証で結論を出していく上での論点整理と、期待する方向性について確認するという場だと理解しています。
それを踏まえた上で、8ページですが、インデックスについての記述のところで、選定基準の下半分あたり、なお書きのところから、選定対象数の上限や、あるいは別の指数開発という言葉が出てきます。
要するに、TOPIXはTOPIXで、先ほど述べたようにプライム市場等からは一定程度切り離した形になっているけれども、もう一歩進んで、例えばインデックスとして指数に組み入れられる構成銘柄数を限定するなどということについては、別の指数開発が考えられるとされています。この点については、この審議会で議論する中で、現行のTOPIXを残しつつ別の指数を作るのでは、なかなか移行がされないなどという指摘も随分あったかと思います。ですから、その議論があったにも関わらず、こうした形で記載されていることについては違和感があります。このように書いてあると、今後東証で議論するときに、選択肢はこうであるということを限定しているように聞こえてしまうというのが理由です。
それとは違う議論が無かったかと言えば、先ほども事務局のほうから何回かご説明のある「連続性」というのがキーワードになってくるのだと思いますが、その連続性をどのくらい重要視するのかというのは非常に大事な問題です。今のところ連続性が非常に重要視されていますが 、そうすると、あまり改革が進まなくなるという懸念があります。
 そういうことも踏まえて、9ページですけれども、経過措置等の一番下に書いてある先物市場に関して、TOPIXに多少の変更があり、あわせて別指数も開発されたときに、TOPIXに先物がある一方で、万が一別指数に先物がないとすると、その別指数は一切使われないと思いますので、この別指数を考えたときに先物というのは絶対、重要な観点だと思います。
 
 また、TOPIXと別指数が並存することによる弊害を考慮するならば、TOPIXはより市場代表性に関わる統計データだという扱いだとすると、これはそのまま残しつつ、TOPIXの先物を無くすことなども考えられます。そのようにすると、別指数への移行というのは、むしろスムーズになるだろうということで、このあたりは東証のほうで十分に考えていただきたいというところです。
あまり「連続性」を前面にすると、改革が進まないということは先ほど申し上げましたが、この点については、これまでの市場構造の問題分析というのがどこまでされたのか、または共有されたのかというところの課題がまだあるのかとも思います。
一方で、その課題が理解されていないか、理解されているけれども連続性を重視となると、この方向づけや改革をする上でのガバナンス自体にも懸念が残ります。
市場構造の問題があるからこそ、こういった議論をしていると思うのですが、そこで重大な問題があれば、通常ガバナンスの要諦としては、問題がわかった時点で変えられることを変えるということだと思いますけれども、わかっているけれども変えないということになると、そういう意味ではこれもガバナンスの問題があります。

 2点目です。先ほどから少しずつ議論に出ていることで、池尾先生からも指摘がありましたし、松山さんからもご意見がありましたが、この3つに区分した市場ですけれども、これでコンセプトの明確化というのはある程度されたと思います。
ただ、コンセプトというものだけでは、例えば市場に上場する企業、また市場を使う投資家の両者が抱くであろう、何となくはわかったけれども、どこが違うんだ、どう違うんだという疑問に、必ずしも答えていないかもしれません。
そこで、今ここに書いてある説明を私なりに読みとると、流動性や時価総額というところは数字が出てくるので比較的わかりやすいのですが、特にガバナンスのところですね。
コーポレートガバナンス・コードというのは、基本的、全面的に、上場企業に対しての規律であります。それが、市場区分ごとの上場基準として、コーポレートガバナンス・コードのどの部分をどのくらい実行させるのかという期待値が違うのであろうということです。
ガバナンス・コードはあくまでも原則主義のコンプライ・オア・エクスプレインだけれども、そのうちどのぐらいのレベルを期待するのか、その期待値の違いを明確に上場基準なりに書き込むことで、2段階にはなりますが、プライムとスタンダードの何が違うかが明確になると。
そして、グロースにも本来だったら、それが多少は書かれたらいいのでしょうけれども、それを書くかわり、この報告書の7ページで重要なこととして、上場基準等の真ん中あたりに書かれていますが、「投資資金にアクセスしやすい」市場だということ。これは、グロース市場に上場しやすいとは言ってないのですね。

「投資資金にアクセスしやすい」ということは、上場会社にあまりにもガバナンスの規律がなければ、資金提供者は投資をしません。そうなると資金にアクセスできないということになります。
ですから、そう考えていくと、例えばグロース市場に上場はできたけれども資金が集まらないとか、あるいは、グロース市場に上場したうえ、できるだけのことをやって、きちんとガバナンスの規律も守っている、そうすると資金が集まるといったように、差が出てくるのだと思います。
この差をどのくらい設けるかについてはグロース市場の在り方の話ではありますけれども、目的である投資資金にアクセスしやすいということを考えれば、企業は自らそのガバナンスの規律を高めていくことになるのではないかと思います。
ここに書かれた 意味合いは、そこを最初から基準で線引きをする、しないという問題であると思いますので、今後東証で具体化していくときに、そのあたりを考慮いただければと思います。
以上です。

【神田座長】
どうもありがとうございました。
それでは翁委員、どうぞ。

【翁委員】
 ご説明ありがとうございました。
今回の報告書については、経過措置や、他の市場への移行など、いろいろと配慮しながらまとめられたものとなっていると思っております。
取りまとめの方向としても、市場区分について、特に流動性とコーポレートガバナンスの質ということについて企業の努力の動機づけになるような配慮がされている報告書になっていると思います。また、先ほどのご説明にもありましたが、TOPIXについて、銘柄の入れかえが可能な指数に変えていくというところも、非常に重要なことだと思っております。

 幾つかコメントがございまして、特に修正を求めるものではありませんが、流通株式比率を基準に入れていくことについては、非常に大きな方向として正しいと思っております。
流動性が増すということは、固定的な株主が少なくなることによって、株主との対話によるガバナンスや企業価値の向上が進められていくことと同時に、東証でも活発に売買されることになるということです。企業価値の向上を考えていく上では、投資家との対話や、機関投資家のエンゲージメントによる企業価値の向上と、売買が活発で流動性の高い市場であるという両方の要素が求められると思っております。

 それから2つ目は、皆様から既に出ているお話ではございますが、私自身もコーポレートガバナンスを求めていくということが非常に大事だと思っておりますけれども、池尾先生がおっしゃいましたが、そのクオリティーの評価というのが非常に大きな課題になると思います。これからプライム市場を選択したいという企業は、2021年に示されるコーポレートガバナンス・コードを見てから、そこを選択するということになりますので、とりあえずその水準を満たすように努力することが求められていくと思いますが、それをどのように評価していくのかというところは非常に難しい課題だと思いますので、そこについてはぜひきちんと議論をしていただきたいと思っております。

 それから、7ページ目のところに、グロース市場についての機関投資家の参入促進が③のところに書いてございます。ここについては非常に重要な課題だと思っておりまして、東証だけでなく、日本証券業協会といったところも、このルールや慣行の見直しなどについて積極的に議論をしていただき、マザーズ市場が幅広く活性化していくということを考えていくことが重要かと思っております。

 それから、最後ですけれども、グローバルに開かれたマーケットになっていくということが大事だと思いますし、上場を考えるアジアの企業など、そういったところも含めて関心を持っている方々に英語で発信するなど、グローバルな視点も忘れず、これから検討を進めていただきたいと思っております。
以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
池尾先生、どうぞ。

【池尾委員】
 繰り返しになりますが、ガバナンスの話について、先ほど三瓶委員が発言されましたし、翁委員も触れられましたので、もう一度申し上げたいと思います。
三瓶委員がおっしゃったことは、抽象論としては非常によく理解できて、求められるガバナンスの質について市場ごとに期待値が違って、その期待値の違いを上場基準に反映させられれば私もいいと思うんですけれども、そういうことが本当に実行可能かというと、私は非常に懐疑的です。以前、参考人として来られた武井弁護士もおっしゃっていましたけれども、結局、エクスプレインの余地を排除して、強制適用みたいな形になる懸念が非常に強いのではないか。

 改めての話ですけれども、コーポレートガバナンス・コードの原則って、コンプライすることが偉いという話ではないはずで、もしコンプライすることが全ての企業にとって望ましいのであれば会社法で規定すればいい話であって、必ずしも全ての企業にとって望ましくないからこそのコード、指針なのであって、そこにエクスプレインの余地を与えているわけですよね。

 そういうことまで含めて、どういう具体的な内容として上場基準に落とし込めるのかというのを考えると、私には具体的な姿がイメージできないというのが率直なところです。
改訂された後のコーポレートガバナンス・コードについても、グロース市場は別にして、スタンダード市場に参加する企業を含めて全部、受け入れるわけですよね。それに対してどこまで応えていくかというのを、繰り返しで恐縮ですけれども、取引所が、この企業は良く対応しているとか、していないとかいうように判断するのではなくて、マーケットの参加者に判断してもらうしかないのではないかと思うのです。
だから、市場慣行として、プライム市場のほうが、相場観的にも、企業の対応ぶりに対して市場参加者が非常に高い期待値をもっていて、きちんと対応しなければ市場参加者から非常に不満が出る。そういう姿が、5ページの「強く期待される」という表現になっているんだと思うんです。
 
そうすると、修文要請になってしまって恐縮ですけれども、注の7について、これは事前に説明していただいていた後に入ったものですけれども、こういう意見があったことは事実ですから、別にこれを削れと言うつもりはないですけれども、では他方で、上場基準で強制すると、エクスプレインの余地を排除して強制適用になってしまうのではないかという懸念もあったわけですよね。これだけだと懸念は消されてしまうかのような気もしますので、今日の議論を踏まえると、くどくなりますけれどもそういう懸念もあったというのは入れてほしいなと思います。

【神田座長】
どうもありがとうございました。
三瓶委員、それから井口委員の順で、簡潔にお願いできればと思います。

【三瓶委員】
 池尾先生ありがとうございます。
私が先ほど申し上げた、コーポレートガバナンス・コードを上場基準にというところは、例えばコンプライ率で、プライムはコンプライ率90%、スタンダードはコンプライ率60%などと、そういう乱暴なことではなくて、むしろコーポレートガバナンス・コードの70数項目のうち、グローバルの投資家が、例えばここはどうしてもなくてはという項目が幾つかあると思います。そういう項目は、プライム市場であれば当然クリアしていてほしいということです。

 ですので、一律コンプライ率何%というのは私も全く無意味だと思いますが、項目によってはクリアしていてほしいものがある、ということです。
微妙なところですけれど、例えば、改訂後のコードでは、報酬諮問委員会、指名諮問委員会の設置ということを求めてきています。もちろんこれもコンプライ オア エクスプレインですけれども、プライム市場であれば、そういったものの設置が強く求められるなどということです。
ですから例えば、逆に言うと、独立取締役の人数や、比率という単なる数値目標みたいなものがいくら以上などということを期待して申し上げたのではないということだけ追加させていただきます。

【神田座長】
 ありがとうございます。井口委員、お願いします。

【井口委員】
 ありがとうございます。池尾委員がおっしゃったように、実質的なガバナンスを見きわめるのは非常に難しいと思っていまして、これは多分、投資家の間でも、どの会社が良いガバナンスかというのはまさにアルファの源泉になるので、みんな異なるところかと思っています。
ということで、上場基準として活用できるものとして、妥当性があり、かつ、コンセンサスがとれる基準として、コーポレートガバナンス・コードをもっと拠り所にするのが良いのではないかということを、1回目の会合からずっと申し上げてきました。

僕も三瓶委員と同じ意見で、取締役会やその委員会の独立性など、非常に重要な項目はコードに既にありますので、そういう項目は上場基準に直接入れてはどうかということを申し上げていましたが、それに対して、そういうのはコンプライ・オア・エクスプレインベースで議論すべきだという意見も強かったというように認識しています。

ただ、例えばコンプライ・オア・エクスプレインでも、エクスプレインのクオリティーをチェックする、あるいはガバナンス・コードのつくり方の話になってくるかもしれませんが、ある程度工夫をして、重要項目についてはプライム市場に適用し、他方で、これらの項目はコンプライ・オア・エクスプレインでやってください、というやり方も僕はあるかと思っています。
その場合、どういう規律が効くのかというと、プライム市場に対するそのようなガバナンス・コードがあれば、機関投資家はそれを議決権行使の基準の拠り所とし、十分なエクスプレインがなければそれに反対することなどを通じ、規律は効いてくると思っています。ということで、工夫次第によっては、その重要な項目をプライム市場に適用してやっていくというやり方もあるのではないか と思っています。

こういうことをいうと、形式的なガバナンスに何の意味があるのかというような議論もあるかと思いますが、日本でもガバナンス・コードを入れて以降、投資家として企業を見ている中では、実質のガバナンスも良くなって、企業によってはそれを企業価値の向上につなげていらっしゃるところも多くあるので、形式面のガバナンスであっても、更にこの水準を高めていくことによって、実質面である企業価値向上につなげていくということは可能ではないかと思っています。
以上です。

【神田座長】
ありがとうございました。
三瓶委員、どうぞ。

【三瓶委員】
 1点だけ言い忘れました。
先ほど、池尾委員がおっしゃったことで、ガバナンスについては市場が一つ一つ見ていけばいいのではないかというようなご意見がありました。
それは確かにそのとおりですが、特に海外の投資家が今、日本の市場をそんなにきちんと見てくれるかというと、見てくれていないと思っています。
 海外投資家に日本のスペシャリストが相当いなくなってしまったところで、日本への投資態度においても、日本市場に対して、例えばガバナンス規律について、ある一定の期待ができるのかできないのかというところが非常に大きくなってしまっているので、どこに期待をしていいのか、何に対してどこまで期待していいのかということぐらいは示さないと、見向きもされないという懸念もあるので、ある程度そういうことの見える化が必要かなということで申し上げました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
貴重なご指摘を多数いただきましてありがとうございました。
事務局から何かご発言があればお願いします。

【太田原課長】

委員の皆様におかれては、これまでも活発にご議論いただきましてありがとうございます。そして本日も、貴重なご意見を多数いただきましてありがとうございます。
現時点で十分に答えきれるかどうかはわかりませんが、皆様のご意見に関して、現時点で考えられるものを申し上げたいと思います。

まず、債務超過について、お二方の委員からご意見がありましたけれども、いずれも言わんとしていることは、結局、実質的に今後の回復の可能性があるのかという観点からのお話です。我々としては、それが機械的・画一的な運用とならないようにということで、お二方のご意見は踏まえたつもりで記載しておりますし、今後、東証でそういう要請にお答えできるように検討が進められるものと期待しております。
次に、ガバナンスについても色々なご意見がございました。最初に、井口委員から、取締役会の独立性ですとか、英文の有価証券報告書のお話などもありましたし、あと、小林委員からも具体的な基準がわからないというようなご趣旨の指摘があったかと思います。
ここは、コーポレートガバナンス・コード改訂の議論自体がこれからということでありますので、そこでの議論の先取りとして何か特定の項目を書くというよりは、いただいたご意見を踏まえながら今後検討が進んでいくということを期待しております。

また、インデックスの対象範囲について、グロースから選ぶというようになると、投資家保護の観点から懸念があるというご意見がありました。インデックスについては、アプリオリに、どこの市場からは選定してはいけないということは言わないつもりで文章を書いていますが、TOPIXの連続性についてもいろいろご意見がありましたところ、実態としては、まずは連続性を確保しつつ、使い勝手を良くしていくべきであろうと 考えています。
そのことを別の表現で言えば、現在のTOPIXは市場第一部のすべての企業という状況ですけれども、それ以外の市場から選ぶというのは、現時点ではそれほど可能性が高いものとして考えているわけではありません。ただ、ここも先ほども申したように、可能性を全て潰すということではなくて、今後検討していく中で、決め方が見えてくるのだろうと思います。
続きまして、池尾委員からもご指摘がありましたガバナンスについて、取引所が判断できるのかということについてです。池尾委員が最後に、市場による評価ということをおっしゃっていて、まさにそういうことだろうと思っていますけれども、もともと市場構造が全てを解決するものではないと考えていまして、むしろ、企業と投資家との建設的な対話が進み、それによってガバナンスの水準が向上、維持されていくというようなことを主要なルートとして考えておりました。
企業がガバナンスについて真摯に対応しているかどうかを東証がチェックできるのかというようなご指摘があったかと思いますが、何をどれだけ見るかというのは今後詰めていくことになるでしょうし、また、東証からもご意見があるかもしれませんが、全てを東証で見るということではなく、ある程度は東証も見つつ、全体としては投資家との対話の中で、きちんと判断されて選別されていくというようなことが当然あり得ると考えております。

あとはインデックスについて、東証内で利益相反もあり得るにも関わらず、東証でTOPIXの在り方を検討するのはどうかというご指摘がありました。これは言わずもがなでしたので、特に金融庁がどうということは報告書に書いていないのですけれども、今回の議論も、日ごろから東証との意見交換を密にやってきておりますし、今後も我々は取引所の監督をする立場でありますので、当然、東証と議論を重ねていきたいと考えております。
あと、小林委員から、デジタルトランスフォーメーションのご指摘がありまして、これは確かに記載しておりませんので、扱いをどうするかについては、座長とも相談いたしたいと考えております。
高田委員と翁委員から、本件は海外からも注目されているので、今回の議論や報告書を英語で示す重要性についてご指摘をいただきました。何分、報告書の記載ぶりについては今日もおそらく手を加えることになると思いますので、英訳作業がすぐにできるわけではないのですけれども、ご指摘はごもっともだと思います。我々も英文での公表の重要性は認識していまして、報告書の概要については英文で迅速に公表できるように準備はしておりますので、可及的速やかに対応したいと考えております。
それから、株式の流動性、流通株式の定義について、慎重な対応が必要というご意見を、高田委員からいただきました。これらの定義は、まさに今後東証を中心に検討するということですから、我々もご指摘を踏まえて見ていきたいと思います。

また、高田委員からは、退出基準、受け皿市場のあり方についても、シームレスな状況をどうつくるかということについてご指摘いただきまして、これはまさに宿題事項と考えておりますので、今後引き続き検討したいと思います。
それから、松山委員から、スタンダード市場へのコーポレートガバナンス・コードの適用についてのご指摘がありました。ここはサブスタンスにかかわることですので、どういう書き方がいいのかどうか、座長や東証とも相談をしたいと思いますけれども、ご趣旨は承りました。
続きまして、三瓶委員から、幾つかご指摘がありました。

 TOPIXについて、連続性がキーワードということをご指摘いただいて、まさにそれを考えたことは確かでございます。一方で、委員がおっしゃるような指数も重要であるということも理解しておりますので、それも本文に書かせていただいております。あと、先物が必要だということについては、投資家などの意見を踏まえて、別指数も当然先物と一体として検討されていくものであろうと考えております。
 
 あとは、同じく三瓶委員から関連で幾つかありましたけれども、コードで求められる事項を上場基準に書き込むべきかどうかについては、何を上場基準に書くのかという議論や、池尾委員からもその後ご指摘があったように、強制コンプライになっていいのかというような議論もあったことから、両方の意見を付記する方向で考えたいと思います。
ここまででお答えした以外で言うと、翁委員からは、日証協も積極的に議論してほしいということですが、協会も関係者だと認識しておりますので、そこはご趣旨を受けとめた上で対応したいと考えております。

最後、ガバナンスについて幾つかやりとりがありましたけれども、先ほど申したように両様のご意見がありましたので、それらを踏まえて対応したいと思います。
私からは以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは呉村課長、どうぞ。

【呉村課長】
 経産省から、オブザーバーとして少しコメントさせていただければと思います。時間もありませんので、手短にお話いたします。
これまでの大変な議論を、包括的な報告書に取りまとめていただき大変ありがとうございます。経産省としても、ベンチャー企業を含めた日本企業の長期成長に資する資本市場構造をということで、幾つか申し上げさせていただければと思います。
 
 5ページのプライム市場の経過措置という点で、経過措置を置くこと自体は連続性の観点から問題ないと思いますが、流通株式比率の扱いについては経過措置が設けられているのか不明確になっておりますので、もし経過措置があるとすれば「当分の間」といった記載があったほうがいいのではないかと思いました。

 それから、6ページ、7ページのコーポレートガバナンス・コードについて、全原則の適用という方針には賛同いたしますが、今後のコードの改定等を通じ、市場区分のコンセプトの違いに応じて運用面で差異を設けるということは検討すべきではないかと思います。
あと、7ページでグロース市場の上場基準等について書かれておりますが、これは我々としても、特にバイオ企業を含めた赤字先行企業についての基準も引き続きぜひ議論をさせていただきたいと思っていますし、我々の中でも関連する研究会をやっていますので、今後東証で検討を進める中で、いろいろな貢献ができるのではないかと思ってございます。
それから同じ7ページの、機関投資家の参入は非常に重要な課題と認識してございます。事例が幾つか、例示的に書いてございますが、以前発言させていただいたとおり、機関投資家が上場前後をまたいで投資を継続するような、クロスオーバー投資を促せる整備のことも触れていただくといいのではないかと思います。

 最後にTOPIXについて、ベンチャー企業が上場した後も継続的に成長していくという観点で、TOPIXの対象になり得るということが非常に重要だと思います。
また幾つか、委員からもご発言がありましたが、新しいTOPIXに組み入れられる企業が、継続的に企業価値を向上させていくための、インセンティブの設計をしていくということが重要だと思います。
その観点で、8ページに記載されている新TOPIXについて、企業数を限定して、銘柄の入れかえが起こる仕組みは、別のインデックスも含めて検討と指摘されていますが、企業価値向上の動機づけのためには、TOPIXの選定基準にそうしたものを入れて、今後検討していく必要があるのではないかと思います。
脚注11の流通株式時価総額100億円については、書きぶりの問題かもしれませんが、絶対評価の基準にも見えますので、企業数の限定も含めて、相対評価の基準にしていくべきではないかと思っています。

 最後の9ページですが、旧TOPIXも経過措置として算出を続けると記載されてございます。TOPIX自体を見直すべきということが審議会の中でも議論されていたと思いますので、現在行われているTOPIXを用いた投資については、変更後のインデックスに基本的には自動で移行していくという方向で、変更を行っていただければと思ってございます。
旧TOPIXについては経過措置として残すということですが、当分の間ではなく、例えば新TOPIXの移行完了までの間という形で、期間をより明確に表現したほうがいいのではないかということでございます。
あと、インデックスの名称として、変更後のインデックスがTOPIXであることを明確化すべきではないかということについては、委員からの発言にありましたとおり、新旧TOPIXが並び立ってしまうと、今までの議論が意味のないものになってしまうのではないかということを懸念してございます。
以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
先ほど、市場課長から皆様のご意見に対していくつか説明がありましたけれども、私からも二、三、手短に申し上げたいと思います。

 一点目は、この審議会で最も長く議論してきましたコーポレートガバナンスのクオリティーをどのように求めていくかについてです。池尾先生が何度もご指摘されていることですが、上場基準とコーポレートガバナンス・コードとの連携、連結を考えると、コーポレートガバナンス・コードの方は今後とも改訂されていきますので、ややこしい話になると思うのですね。
あくまで、コーポレートガバナンス・コードはコンプライ・オア・エクスプレインです。
この原則について、現時点では変更はないと思いますのが、もしかするとある事柄についてはコンプライ・オア・エクスプレインではなくて、コンプライが求められてしかるべきだという話となった場合には、そうした基準は、コーポレートガバナンス・コードではなくて、先ほど池尾先生は会社法に規定すべきだとおっしゃったんですけれども、おそらくコード以外の上場基準などで書く必要があるので、これは三瓶委員がおっしゃっていることだと思いますけれども、そこのコーポレートガバナンス・コードとの連結の話と、上場基準についてはコンプライを求めていくという話は、わかりやすく整理する必要があると思います。
いずれにしても、どの基準がそれに当たるかということについては、ここでは十分に議論できませんでしたけれども、実際問題としては、意見が分かれるかと思います。

 それから二点目は、主としてスタンダード市場やグロース市場に関してご指摘があったことですけれども、井口委員が最初に、TOPIX等の指数に入り得る銘柄については、クオリティー基準が高いというのが当然の前提だと思いますが、グロース市場に上場する企業からも入り得ても良いとおっしゃっていました。また、小林委員がおっしゃった、グロース市場のコーポレートガバナンスについて求める基準が報告書に書かれていないのも確かにそのとおりですし、松山委員がおっしゃった、旧店頭登録銘柄についてもコーポレートガバナンス・コードが一律全適用となっていたりすることなど、そこのあたりの書き方を工夫したいと思います。

 3点目は、三瓶さんが繰り返しおっしゃった、別の指数というように整理してしまっていいのかという問題は確かにあって、最後に経産省の呉村課長のお話にも関係することで、ここも意見は分かれるところだとは思いますが、表現の工夫で改善できると感じております。
そのほかも、多数の貴重なご指摘をいただき、また、報告書(案)を策定いただいた事務局としてのご説明も先ほどいただきましたが、本日の会議時間も予定を少し過ぎておりますので、今後のことについては、次のようにさせていただいてはどうかと思います。
本日、多くのご指摘をいただきましたので、それを報告書へ反映させていただきたいと思います。ただ、基本的な方向感は皆様にご賛同いただいていると思いますので、もう一回皆様にお集まりいただく必要はなく、本日いただいたご指摘の反映や、てにをは等の表現の平仄等の精査を私と事務局とでさせていただいた後で、皆様に確認をしていただき、それをもって取りまとめとさせていただきたいと思います。その方向で、今後の作業については、大変恐縮ですけれども、私にご一任いただきたいと思いますけれども、ご承認いただけますか。

(「異議なし」の声あり)


【神田座長】
 ありがとうございます。それではそういうことで進めさせていただきたいと思います。
また、報告書の公表等の取り扱いにつきましても、大変恐縮ですけれども、私にご一任いただければありがたく存じますが、そうさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【神田座長】
 どうもありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。
この専門グループは本年5月に議論を開始させていただき、メンバーの皆様方には大変お忙しい中で毎回積極的にご参加いただき、精力的なご議論をしていただきまして、心より厚く御礼を申し上げます。ここまでたどり着けたのも、委員の皆様方の積極的なご意見、ご協力のおかげでございます。
 それでは中島局長から、お願いいたします。

【中島局長】
 事務局を代表して一言、御礼を申し上げたいと思います。
現在、東京証券取引所には既に多くの企業が上場しており、現行の仕組みが長年定着してきている中にあって、本件は、企業の持続的な成長を促し、内外の投資家にとって魅力のある市場をどのように作っていくのかという、現在の状況を踏まえつつ将来に向かっての姿を考えるというような、非常に難しい議論だったと思いますけれども、大きな方向性と、さらにその具体的な内容についても、ある程度踏み込んで取りまとめができたのではないかと思っております。本当に感謝いたしております。

 一方で、今後この報告書を具体化するというのは非常に重要な作業でありまして、もちろん東京証券取引所がすべきことも多いとは思いますけれども、我々もそれに関与していく責任があると思っておりますし、コーポレートガバナンス・コードの改訂作業についても、これから積み重ねていく必要があると考えております。
引き続き、委員の皆様方には、いろいろな場面でご指導いただくことになると思いますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
東京証券取引所からも一言あればお願いします。

【青オブザーバー】
 東証の青でございます。これまで、精力的にご議論いただきましたことを改めて御礼申し上げます。
報告書の内容につきまして、まだ全てが確定したわけではありませんが、本日の議論を踏まえまして、私ども東証といたしましては、2022年の上半期中を目途として新たな制度を開始するべく、今後速やかに、具体的かつ詳細な制度設計を進めてまいりたいと考えております。

 具体的に申し上げますと、まず、来年の2月頃を目途に新制度の骨子をお示しし、来年夏以降、段階的かつ着実に新制度の実施を始めてまいりたいと考えている次第でございます。
また、TOPIX等の指数の見直しに関しましては、上場制度と株価指数とで求められることに差異があるとの御議論がございました。指数のご利用者の皆様のご意見を踏まえていくということが重要だと考えておりますので、そうしたご意見を踏まえながら、株価指数を担当する部門におきまして、今後検討を深めていくということを想定しております。

 具体的に申し上げますと、算出プロセスの公正性の向上のため、金融庁様とご相談させていただきながら、ご利用者の方の声、また、外部の有識者の声をお伺いするための新たな常設の委員会の設置、さらに、指数専用のコンサルテーションの手続の導入により、利用者の皆様のご意見を取り入れる枠組みを整備していくことを考えている次第でございます。
最後に、今回の見直しを行った後も、今後さまざまな環境変化が生じることが考えられます。取引所におきましては、これまでご議論いただきました課題や、対応の方向性を踏まえ、そうした環境変化に応じて、将来的にも、能動的かつ継続的に、適切に制度の見直しを行う所存でございます。
市場関係者の皆様には、引き続き、ご理解、ご協力を賜れますよう、重ねてお願い申し上げる次第でございます。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
それでは今後につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

【池田監理官】
 報告書の公表に向けた段取りにつきましては、先ほど神田座長よりおまとめいただいたとおりでございますが、取りまとめ後、この報告書を市場ワーキング・グループ、金融審議会へ報告するという段取りも考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
それでは今日は年末のお忙しいところ、若干の延長となってしまいまして申しわけありませんでした。どうもありがとうございました。
皆様方、どうかよいお年をお迎えください。

―― 了 ――

 

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